以下、添付図面を参照して、本願の開示する製鉄制御システムおよび制御システムの実施形態を詳細に説明する。なお、以下に示す実施形態によりこの発明が限定されるものではない。
[1.鉄鋼プラント]
図1は、実施形態に係る製鉄制御システムを有する鉄鋼プラントを示す図である。図1に示すように、鉄鋼プラント200は、第1〜第n設備2011〜201n(nは整数)を有し、例えば、連続鋳造を行う。これらの設備2011〜201n(以下、設備201と総称する場合がある)は、製鉄制御システム100によって制御される。
かかる製鉄制御システム100は、第1〜第n制御装置11〜1nと、複数の駆動装置21_1〜21_m、22_1〜22_p、23_1〜23_q、・・・、2n_1〜2n_kと、複数のリモートI/O装置31_1〜31_x、32_1〜32_y、33_1〜33_w、・・・、3n_1〜3n_zとを備えている。
なお、以下において、第1〜第n制御装置11〜1nを制御装置1と総称し、駆動装置21_1〜21_m、22_1〜22_p、23_1〜23_q、・・・、2n_1〜2n_kを駆動装置2と総称する場合がある。また、リモートI/O装置31_1〜31_x、32_1〜32_y、33_1〜33_w、・・・、3n_1〜3n_zをリモートI/O装置3と総称する場合があり、設備201に配置されている駆動装置2およびリモートI/O装置3を設備機器と総称する場合がある。
第1設備2011は、レードル70と、レードルターレット71と、タンディッシュ73とを有する。かかる第1設備2011では、レードルクレーン(不図示)により溶鋼を収容するレードル70がレードルターレット71に移載される。レードルターレット71は、例えば、180度旋回することによって、レードル70をタンディッシュ73上に配置する。なお、タンディッシュ73は、タンディッシュカー75に搭載されている。
レードル70に収容された溶鋼は、レードル70底部のレードルスライディングノズル72からタンディッシュ73へ抽入される。レードルスライディングノズル72の開度を調整することで、タンディッシュ73内の溶鋼レベルが調整される。
タンディッシュ73底部には、タンディッシュスライディングノズル74が配置され、かかるタンディッシュスライディングノズル74から溶鋼が第2設備2012のモールド80へ受け渡される。タンディッシュスライディングノズル74の開度を調整することで、モールド80内の溶鋼レベルが調整される。
レードルターレット71、レードルスライディングノズル72およびタンディッシュスライディングノズル74などには、例えば、モータなどの駆動機構が取り付けられており、これら駆動機構は、駆動装置21_1〜21_mによって駆動される。また、第1設備2011には、複数の計測装置が設けられており、これらの計測装置は、リモートI/O装置31_1〜31_xと接続される。
第2設備2012は、モールド80と、振動装置81と、電磁撹拌装置82と、水冷機構83〜85と、ピンチロール部86と、昇降機構871〜874と、ダミーバーウインチ88と、切断装置89とを備える。
モールド80は、振動装置81によって鋳造方向に振動させられ、また、水冷機構83によって冷却される。タンディッシュスライディングノズル74からモールド80の中空状部分に注入された溶鋼はモールド80によって冷やされかつ振動が与えられ、また、電磁撹拌装置82によって攪拌される。
モールド80の下端内部には、ダミーバー(不図示)が挿入されている。モールド80内に溶鋼が注入された後、先端にダミーバーが結合された鋳片がピンチロール部86によってモールド80から下方に引抜かれる。水冷機構84、85は、モールド80から引抜かれた鋳片を冷却し、ピンチロール部86は、冷却により固まりかけた鋳片を搬送する。
なお、図1では、鋳片を冷却する冷却機構として、2つの水冷機構84、85のみを図示しているが、鉄鋼プラント200には、例えば、鋳片を前後左右方向からそれぞれ冷却するために4つの水冷機構が設けられてもよい。また、図1では、4つの昇降機構871〜874のみが図示されているが、例えば、昇降機構871の上流側にも昇降機構87が設けられてもよい。
ダミーバーウインチ88は、ダミーバーの先端が昇降機構874と対向する領域を通過したところで、ダミーバーの先端を引っかけてピンチロール部86と同期運転を行う。その後、鋳片とダミーバーとの継ぎ目が昇降機構874と対向する領域を通過したところで、ダミーバーウインチ88がダミーバーを鋳片から切り離すようにして巻き上げる。
ダミーバーが切り離された後、ピンチロール部86によって搬送された鋳片は、切断装置89によって所望の長さに切断され、第3設備2013に送られる。なお、昇降機構871〜874は、ピンチロール部86のピンチロールを昇降する。
振動装置81、電磁撹拌装置82、ピンチロール部86の各ピンチロール、昇降機構871〜874、ダミーバーウインチ88および切断装置89などには、例えば、モータなどの駆動機構が取り付けられており、これら駆動機構は、駆動装置22_1〜22_pによって駆動される。また、第2設備2012には、複数の計測装置が設けられており、これらの計測装置は、リモートI/O装置32_1〜32_yと接続される。
第3設備2013は、ロール昇降装置90や搬送テーブル91などが設けられている。ロール昇降装置90は、鋳片を搬送するロールが切断装置86によって切断されないように、ロールを個別に昇降することができる。また、搬送テーブル91は、切断装置89によって切断された鋳片を搬送する。かかるロール昇降装置90や搬送テーブル91などには、例えば、モータなどの駆動機構が取り付けられており、これら駆動機構は、駆動装置23_1〜23_qによって駆動される。
また、第3設備2013には、複数の計測装置が設けられており、これらの計測装置は、リモートI/O装置33_1〜33_wと接続される。なお、第4設備2014〜第n設備201nについても、同様に、設備内に設けられた駆動機構を駆動する駆動装置2や計測装置に接続されたリモートI/O装置3が配置される。また、リモートI/O装置3には、計測装置以外の機器も接続することができる。
上述したように、製鉄制御システム100は、第1〜第n制御装置11〜1nを有しており、かかる第1〜第n制御装置11〜1nは、各設備2011〜201nに配置された駆動装置2やリモートI/O装置3を制御することにより、鉄鋼プラント200の運転を行う。
なお、上述した第1〜第n設備2011〜201nは一例であり、上述した構成に限定されない。例えば、タンディッシュスライディングノズル74は、第1設備ではなく、第2設備として第2制御装置12で制御してもよく、また、切断装置89は、第2設備ではなく、第3設備として第3制御装置13で制御してもよい。
また、製鉄制御システム100は、複数のHMI(Human Machine Interface)41〜4S(Sは2以上の整数)と、複数のEWS(Engineering WorkStation)51〜5T(Tは2以上の整数)とを備えている。HMI41〜4S(以下、HMI4と総称する場合がある)は、例えば、利用者の操作に基づき、制御装置1が実行する過去または現在の制御状態や設備201の状態を表示したり、制御装置1に制御を実行させたりする。また、EWS51〜5T(以下、EWS5と総称する場合がある)は、例えば、利用者の操作に基づき、制御装置1のプログラムを変更する。
かかる製鉄制御システム100は、システムの信頼性を向上させることができるように構成されており、以下、製鉄制御システム100の構成について詳細に説明する。
[2.製鉄制御システム100]
図2は、実施形態に係る制御装置1、駆動装置2およびリモートI/O装置3の接続関係および配置関係を示す図である。
図2に示すように、各制御装置1、各駆動装置2および各リモートI/O装置3は、第1ネットワーク61および第2ネットワーク62に接続される。制御装置1と駆動装置2およびリモートI/O装置3とは、第1ネットワーク61および第2ネットワーク62を介して互いにデータの送受信が可能である。
第1ネットワーク61および第2ネットワーク62は、制御装置1と駆動装置2およびリモートI/O装置3との間を通信可能に接続するための通信ネットワークであればよく、専用の通信ネットワークであっても、汎用の通信ネットワークであってもよい。
また、第1〜第n制御装置11〜1nは、互いに別体の制御装置であり、各設備201に対応する場所に分散配置される。例えば、各第1〜第n制御装置11〜1nは、図2に示すように、互いに異なる制御盤81〜8nに収容される。このように分散配置されることから、落下や高温環境などの外的要因による影響を分散させることができ、製鉄制御システム100の信頼性をさらに向上させることができる。なお、第1〜第n制御装置11〜1nは、その一部または全部を同じ場所に集中配置するようにしてもよい。
なお、図2に示す例では、制御装置1、駆動装置2およびリモートI/O装置3の符号として、各設備201との関係や数などを示す情報を下付文字で表しており、かかる下付文字のうち、「k」、「m」、「p」、「q」、「w」、「x」、「y」、「z」は、例えば、3以上の整数である。なお、制御装置1は、2以上であればよく、各設備201における駆動装置2やリモートI/O装置3は、1つずつであってもよい。
[2.1.制御装置1の構成]
図3は、制御装置1の構成例を示す図である。図3に示すように、制御装置1は、演算部10と、第1〜第6インターフェイス(I/F)部11、12、21〜24と、入出力切替部13、25と、入力処理部14、26と、出力処理部15、27とを備える。
演算部10は、例えば、CPU(Central Processing Unit)と、フラッシュメモリやRAM(Random Access Memory)などの記憶部と、入出力ポートなどを有するマイクロコンピュータや各種の回路を含む。
演算部10の記憶部には、n個の仮想CPUを形成するためのプログラムが記憶されており、演算部10のCPUは、記憶部に記憶されているプログラムを実行することによって、n個の仮想CPUとして機能する。
また、演算部10の記憶部には、n個の設備201に対応するn個の設備制御プログラムが記憶されている。n個の仮想CPUは、n個の設備制御プログラムを実行することによって、第1〜第n制御部161〜16nとして機能する。n個の設備制御プログラムは、第1〜第n設備制御プログラムであり、例えば、第1設備制御プログラムは、第1設備2011を制御するためのプログラムであり、第n設備制御プログラムは、第n設備201nを制御するためのプログラムである。演算部10のCPUが1つである場合、かかるCPUは、例えば、第1〜第n設備制御プログラムを順次実行する。
第1〜第n制御部161〜16n(以下、制御部16と総称する場合がある)は、例えば、PLC(Programmable Logic Controller)であり、シーケンス制御を行う。かかるシーケンス制御は、あらかじめ定められた順序または手続きに従って制御の各段階を順次進めていく制御方式である。なお、第1〜第n制御部161〜16nが行う処理は、シーケンス制御に限定されるものではなく、例えば、シーケンス制御に代えてまたは加えて、その他の演算処理、論理演算、データ処理などを行うことができる。
第1制御部161は、第1設備2011に配置された駆動装置2やリモートI/O装置3を制御し、第2制御部162は、第2設備2012に配置された駆動装置2やリモートI/O装置3を制御する。また、第3制御部163は、第3設備2013に配置された駆動装置2やリモートI/O装置3を制御し、第n制御部16nは、第n設備201nに配置された駆動装置2やリモートI/O装置3を制御する。
なお、ここでは、第1〜第n制御部161〜16nは、仮想CPUで構成されるものとして説明したが、第1〜第n制御部161〜16nは、それぞれ物理的に独立したCPUがそれぞれ設備制御プログラムを実行することによって構成されてもよい。
また、第1〜第n制御装置11〜1nがすべて正常動作している場合、第1〜第n制御装置11〜1nは、それぞれ一つの制御部16が主制御部として対応する設備201に配置された駆動装置2やリモートI/O装置3を制御する。また、第1〜第n制御装置11〜1nにおける制御部161〜16nのうち、主制御部以外の制御部16は、副制御部であり、異常時に有効になるサブの制御部である。
副制御部は、主制御部による設備201に対する制御の実行と並行して設備201を制御するための演算処理を実行しており、主制御部が故障した場合に、設備201を制御するバックアップ用の副制御部である。
図5は、第1〜第n制御装置11〜1nが正常動作している場合における、第1〜第n制御装置11〜1nの制御部161〜16nと設備2011〜201nとの関係を示す図である。
図5に示すように、第1制御装置11においては、第1制御部161が主制御部として第1設備2011に配置された駆動装置2やリモートI/O装置3を制御し、第2〜第n制御部162〜16nが副制御部として機能する。
また、第2制御装置12においては、第2制御部162が主制御部として第2設備2012に配置された駆動装置2やリモートI/O装置3を制御し、第1、第3〜第n制御部161、163〜16nが副制御部として機能する。
また、第n制御装置1nにおいては、第n制御部16nが主制御部として第n設備201nに配置された駆動装置2やリモートI/O装置3を制御し、第1〜第n−1制御部161〜16n-1が副制御部として機能する。
第1〜第n制御装置11〜1nのいずれかに異常が発生した場合、異常が発生した制御装置1が制御していた設備201は、異常が発生した制御装置1以外の制御装置1の副制御部によって制御される。
図6は、第1制御装置11に異常が発生した場合の例を示す図である。図6に示すように、第1制御装置11に異常が発生した場合、第1制御装置11の第1制御部161により第1設備2011を制御できない。この場合、例えば、第2制御装置12の副制御部である第1制御部161が第1設備2011を制御する。これにより、第1設備2011の運転を継続して行うことができる。なお、第3〜第n制御装置13〜1nのいずれかの副制御部である第1制御部161が第1設備2011を制御することもできる。
また、第2制御装置12に異常が発生した場合、第2制御装置12以外の制御装置1の副制御部である第2制御部162(例えば、第1制御装置11の第2制御部162)が第2設備2012を制御することができる。これにより、第2制御装置12に異常が発生した場合であっても、第2設備2012の運転を行うことができる。
このように、第1〜第n制御装置11〜1n(nは2以上)のいずれかが故障した場合であっても、故障した制御装置1以外の制御装置1が設備の制御を行うことができる。そのため、バックアップ専用の制御装置を別途設ける場合に比べ、制御装置の数を低減させて製鉄制御システムの信頼性を向上させることができ、また、システム構築のコストも低減することができる。また、第1〜第n制御装置11〜1nを全て同じ構成にすることができるため、システム構築コストを抑えることができる。
図3に戻って、制御装置1の説明を続ける。制御装置1の第1および第2インターフェイス部11、12は、第1および第2ネットワーク61、62を介して駆動装置2やリモートI/O装置3との間でデータの送受信を行う。
第1インターフェイス部11は、第1ネットワーク61上に流れるデータを取得して入出力切替部13に渡し、入出力切替部13から渡されたデータを第1ネットワーク61に出力する。また、第2インターフェイス部12は、第2ネットワーク62上に流れるデータを取得して入出力切替部13に渡し、入出力切替部13から渡されたデータを第2ネットワーク62に出力する。
入出力切替部13は、第1および第2インターフェイス部11、12からデータを取得すると、取得したデータを入力処理部14へ渡し、また、出力処理部15から取得したデータを第1および第2インターフェイス部11、12へ渡す。
入力処理部14は、入出力切替部13から取得したデータを演算部10へ渡し、出力処理部15は、演算部10から取得したデータを入出力切替部13へ渡す。制御部16は、入力処理部14からデータを取得し、また、入力処理部14から取得したデータや設備制御プログラムに従って駆動装置2やリモートI/O装置3を制御するためのデータを生成して出力処理部15へ渡す。
また、第3および第4インターフェイス部21、22は、第3および第4ネットワーク63、64を介してHMI4との間でデータの送受信を行う。また、第5および第6インターフェイス部23、24は、第5および第6ネットワーク65、66を介してEWS5との間でデータの送受信を行う。なお、第3〜第6ネットワーク63〜66は、制御装置1とHMI4やEWS5との間を通信可能に接続するための通信ネットワークであればよく、専用の通信ネットワークであっても、汎用の通信ネットワークであってもよい。
第3インターフェイス部21は、第3ネットワーク63上に流れるデータを取得して入出力切替部25に渡し、入出力切替部25から渡されたデータを第3ネットワーク63に出力する。また、第4インターフェイス部22は、第4ネットワーク64上に流れるデータを取得して入出力切替部25に渡し、入出力切替部25から渡されたデータを第4ネットワーク64に出力する。
第5インターフェイス部23は、第5ネットワーク65上に流れるデータを取得して入出力切替部25に渡し、入出力切替部25から渡されたデータを第5ネットワーク65に出力する。また、第6インターフェイス部24は、第6ネットワーク66上に流れるデータを取得して入出力切替部25に渡し、入出力切替部25から渡されたデータを第6ネットワーク66に出力する。
入出力切替部25は、第3〜第6インターフェイス部21〜24からデータを取得すると、取得したデータを入力処理部26へ渡す。また、入出力切替部25は、出力処理部27から取得したデータを第3および第4インターフェイス部21、22または第5および第6インターフェイス部23、24へ渡す。
入力処理部26は、入出力切替部25から取得したデータを演算部10へ渡し、出力処理部27は、演算部10から取得したデータを入出力切替部25へ渡す。制御部16は、このようにデータの受け渡しを行うことによって、HMI4やEWS5などの管理機器からの指示を実行する。
例えば、制御部16は、HMI4との間でデータの受け渡しを行うことによって、制御装置1が実行する過去または現在の制御状態や設備201の状態をHMI4に表示したり、HMI4への操作入力に応じた制御を制御装置1に実行させたりすることができる。
また、演算部10は、EWS5との間でデータの受け渡しを行うことによって、演算部10の記憶部に記憶された第1〜第n設備制御プログラムを変更することができる。なお、設備制御プログラムの変更は、第1〜第n設備制御プログラムのそれぞれについて行うことができる。
[2.2.駆動装置2、リモートI/O装置3、HMI4およびEWS5の構成]
次に、駆動装置2、リモートI/O装置3、HMI4およびEWS5の構成について説明する。図4は、駆動装置2、リモートI/O装置3、HMI4およびEWS5の構成例を示す図である。
図4に示すように、駆動装置2は、第1および第2インターフェイス(I/F)部311、321と、入出力切替部331と、入力処理部341と、出力処理部351と、制御部361とを備える。また、リモートI/O装置3は、第1および第2インターフェイス(I/F)部312、322と、入出力切替部332と、入力処理部342と、出力処理部352と、制御部362とを備える。
また、HMI4は、第1および第2インターフェイス(I/F)部313、323と、入出力切替部333と、入力処理部343と、出力処理部353と、制御部363とを備える。また、EWS5は、第1および第2インターフェイス(I/F)部314、324と、入出力切替部334と、入力処理部344と、出力処理部354と、制御部364とを備える。
第1インターフェイス部311、312は、第1ネットワーク61を介して制御装置1との間でデータの送受信を行い、第2インターフェイス部321、322は、第2ネットワーク62を介して制御装置1との間でデータの送受信を行う。
また、第1インターフェイス部313は、第3ネットワーク63を介して制御装置1との間でデータの送受信を行い、第2インターフェイス部323は、第4ネットワーク64を介して制御装置1との間でデータの送受信を行う。
また、第1インターフェイス部314は、第5ネットワーク65を介して制御装置1との間でデータの送受信を行い、第2インターフェイス部324は、第6ネットワーク66を介して制御装置1との間でデータの送受信を行う。
以下においては、冗長な説明になることを防ぐため、便宜上、第1インターフェイス部311〜314を第1インターフェイス部31と総称し、第2インターフェイス部321〜324を第2インターフェイス部32と総称し、入出力切替部331〜334(選択部の一例)を入出力切替部33と総称する場合がある。また、入力処理部341〜344を入力処理部34と総称し、出力処理部351〜354を出力処理部35と総称し、制御部361〜364を制御部36と総称し、第1〜第6ネットワーク61〜66をネットワーク6と総称する場合がある。
第1および第2インターフェイス部31、32は、それぞれ異なるネットワーク6上に流れるデータのうち制御装置1から送信されるデータを取得して入出力切替部33に渡し、入出力切替部33から渡されたデータをそれぞれ異なるネットワーク6に出力する。
入出力切替部33は、第1および第2インターフェイス部31、32からデータを取得すると、取得したデータを入力処理部34へ渡し、出力処理部35から取得したデータを第1および第2インターフェイス部31、32へ渡す。
入力処理部34は、入出力切替部33から取得したデータを制御部36へ渡し、出力処理部35は、制御部36から取得したデータを入出力切替部33へ渡す。制御部36は、入力処理部34および出力処理部35を介してデータの受け渡しを行う。
例えば、駆動装置2の制御部361は、入力処理部341から取得したデータに基づいて駆動機器を駆動する制御を行い、また、駆動機器の制御状態などを示すデータを出力処理部351へ渡す。また、リモートI/O装置3の制御部362は、入力処理部342から取得したデータに基づいて計測機器や、電磁弁および遮断弁などのアクチュエータを制御し、また、計測機器によって測定された情報を含むデータを出力処理部352へ渡す。
[2.3.データ伝送マップ]
ここで、ネットワーク6におけるデータ伝送マップについて説明する。なお、駆動装置2およびリモートI/O装置3を設備機器と総称する場合があり、HMI4およびEWS5を管理機器と総称する場合がある。また、制御装置1から設備機器や管理機器へ送信されるデータを入力データとし、設備機器や管理機器から制御装置1へ送信されるデータを出力データとする。
[2.3.1.第1および第2ネットワーク61、62におけるデータ伝送マップ]
まず、第1および第2ネットワーク61、62におけるデータ伝送マップについて説明する。図7は、第1および第2ネットワーク61、62におけるデータ伝送マップを示す図であり、図8は、図7に示すデータ伝送マップのうち第1制御装置11からの入力データのデータ伝送マップを示す図である。
図7に示すように、第1〜第n制御装置11〜1nからの入力データは、制御装置11の入力データから制御装置1nの入力データにかけて順番に第1〜第n制御装置11〜1nから駆動装置2およびリモートI/O装置3へ送信される。また、第1〜第n制御装置11〜1nへの出力データは、第n制御装置1nからの入力データの後に、駆動装置2およびリモートI/O装置3からすべての第1〜第n制御装置11〜1nへ送信される。
第1制御装置11の入力データは、図8に示すように、駆動装置21_1宛の入力データからリモートI/O装置3n_z宛の入力データにかけて順に制御装置11から駆動装置2およびリモートI/O装置3へ送信される。
各設備201に配置された駆動装置2およびリモートI/O装置3への入力データは、制御装置1の各設備201に対応する制御部16によって生成されて出力処理部15へ渡される。
例えば、第1設備2011に配置された駆動装置2およびリモートI/O装置3への入力データは、第1制御装置11の第1制御部161によって生成されて出力処理部15へ渡される。また、第2設備2012に配置された駆動装置2およびリモートI/O装置3への入力データは、第1制御装置11の第2制御部162によって生成されて出力処理部15へ渡される。
第1制御装置11の各入力データには、駆動装置2用制御データまたはリモートI/O装置3用制御データが含まれており、さらに、制御装置11が正常であるか否かを判定するための正常検出用データが含まれている。
また、各第2〜第n制御装置12〜1nの入力データのデータ伝送マップは、図8に示す正常検出用データが各第2〜第n制御装置12〜1nの正常検出用データである点以外は、図8に示す第1制御装置11についてのデータ伝送マップと同じである。各駆動装置2および各リモートI/O装置3は、各制御装置11〜1nの正常検出用データに基づいて、制御装置11〜1nが正常であるか否かを判定することができる。
正常検出用データは、例えば、1周期分の入力データ(例えば、図7参照)を生成する毎に演算部10によってカウントされる値であり、各制御装置1の演算部10は、nビット(nは2以上の整数)のカウンタをインクリメントすることで正常検出用データを生成する。
例えば、演算部10は、−32768から+32767までを繰り返し+1ずつインクリメントして正常検出用データを生成することができる。なお、正常検出用データは、制御部16単位や演算部10単位で生成することができる。
各制御装置1の各制御部16は、それぞれ制御対象となる駆動装置2およびリモートI/O装置3に対する制御データ(図7参照)を生成し、各制御データに正常検出用データを付加して生成した入力データを出力処理部15に渡す。
なお、各制御装置1の演算部10は、上述したカウント値に代えて、正常か異常かを示す情報を正常検出用データとして生成することもできる。例えば、正常検出用データが1ビットである場合、正常を示す情報として、「1」を、異常を示す情報として、「0」が設定される。
次に、第1〜第n制御装置11〜1nへの出力データのデータ伝送マップについて説明する。図9は、第1〜第n制御装置11〜1nへの出力データのデータ伝送マップを示す図である。
図9に示すように、駆動装置21_1の出力データからリモートI/O装置3n_zの出力データにかけて順に各駆動装置2および各リモートI/O装置3からすべての第1〜第n制御装置11〜1n宛に送信される。
駆動装置2の各出力データには、駆動装置2から制御装置1へ通知されるデータである通知データが含まれており、さらに、駆動装置2が正常であるか否かを判定するための正常検出用データが含まれている。かかる正常検出用データは、例えば、制御装置1の正常検出用データと同様にカウント値であってもよく、または、正常か異常かを示す情報であってもよい。
また、リモートI/O装置3の各出力データには、リモートI/O装置3から制御装置1へ通知されるデータである通知データが含まれており、さらに、リモートI/O装置3が正常であるか否かを判定するための正常検出用データが含まれている。かかる正常検出用データは、例えば、制御装置1の正常検出用データと同様にカウント値であってもよく、または、正常か異常かを示す情報であってもよい。
[2.3.2.第3〜第6ネットワーク63〜66におけるデータ伝送マップ]
次に、第3〜第6ネットワーク63〜66におけるデータ伝送マップについて説明する。
図10は、第3および第4ネットワーク63、64における伝送マップを示す図であり、図11は、第5および第6ネットワーク65、66におけるデータ伝送マップを示す図である。なお、図10のデータ伝送マップと図11のデータ伝送マップは、HMI4かEWS5かの違いのみであり、冗長な記載を避けるため、図10のデータ伝送マップについて説明し、図11のデータ伝送マップについての説明を省略する。
図10に示すように、第1〜第n制御装置11〜1nからの入力データは、制御装置11の入力データから制御装置1nの入力データにかけて順番に第1〜第n制御装置11〜1nからHMI4へ送信される。また、HMI41〜4Sからの出力データは、第n制御装置1nからの入力データの後に、HMI41の出力データからHMI4Sの出力データにかけて第1〜第n制御装置11〜1nへ送信される。
各制御装置1からの入力データには、第1〜第n制御部161〜16nからの複数の入力データが含まれており、各制御部16からの入力データには、制御部16からのHMI4へのデータと、制御部16の正常検出用データとが含まれている。かかる正常検出用データは、例えば、制御装置1の正常検出用データと同様にカウント値であってもよく、または、正常か異常かを示す情報であってもよい。
また、HMI4からの出力データには、HMI4から制御部16へのデータと、HMI4の正常検出用データとが含まれている。例えば、HMI41からの出力データは、HMI41から各制御部16へのデータにHMI41の正常検出用データが付加されたデータである。かかるHMI4のデータは、HMI4の制御部363によって生成される。なお、EWS5のデータの場合は、EWS5の制御部364によって生成される。
HMI4から制御部16へのデータは、例えば、制御装置1が実行する過去または現在の制御状態や設備201の状態を示す情報の送信要求指令であり、制御部16からHMI4へのデータは、例えば、送信要求指令に応じた情報である。また、EWS5から制御部16へのデータは、例えば、設備制御プログラムの表示要求や変更要求であり、制御部16からEWS5へのデータは、例えば、設備制御プログラムを表示するための表示情報である。
[2.4.制御装置1の入出力切替部13による処理]
次に、各制御装置1の入出力切替部13による処理について説明する。図12は、各制御装置1の入出力切替部13による処理の流れを示すフローチャートである。かかる処理は、1周期分のデータ(例えば、図7、図10または図11参照)の受け渡しを行う毎に繰り返し実行される。
なお、以下においては、制御装置1の通信対象が駆動装置2やリモートI/O装置3などの設備機器であるものとして説明するが、制御装置1の通信対象がHMI4およびEWS5などの管理機器である場合も、同様の処理が行われる。
図12に示すように、入出力切替部13は、設備機器への入力データを出力処理部15から取得したか否かを判定する(ステップS10)。かかる処理において、入力データを出力処理部15から取得したと判定すると(ステップS10;Yes)、入出力切替部13は、取得した入力データを第1および第2インターフェイス部11、12へ渡す(ステップS11)。これにより、設備機器への入力データが第1および第2ネットワーク61、62へ送信される。
ステップS11の処理が終了した場合、または、入力データを出力処理部15から取得していないと判定した場合(ステップS10;No)、入出力切替部13は、1周期分の出力データ(例えば、図9参照)を取り込み済みであるか否かを判定する(ステップS12)。
1周期分の出力データを取り込み済みではないと判定した場合(ステップS12;No)、入出力切替部13は、第1インターフェイス部11の通信が正常であるかどうかを判定する(ステップS13)。第1インターフェイス部11の通信が正常であると判定した場合(ステップS13;Yes)、入出力切替部13は、ネットワーク6から第1インターフェイス部11で受信した出力データを取り込む(ステップS14)。
ステップS14の処理が終了した場合、または、ステップS13において、第1インターフェイス部11の通信が正常ではないと判定した場合(ステップS13;No)、入出力切替部13は、第2インターフェイス部12の通信が正常であるかどうかを判定する(ステップS15)。
ステップS15において、入出力切替部13は、第2インターフェイス部12の通信が正常であると判定した場合(ステップS15;Yes)、ネットワーク6から第2インターフェイス部12で受信した出力データを取り込む(ステップS16)。
ステップS16の処理が終了した場合、または、ステップS15において第2インターフェイス部12の通信が異常であると判定した場合(ステップS15;No)、入出力切替部13は、1周期分の出力データ(例えば、図9参照)を取り込み済みであるか否かを判定する(ステップS17)。
ステップS17において1周期分の出力データを取り込み済みであると判定すると(ステップS17;Yes)、入出力切替部13は、出力データの引き渡し処理を行う(ステップS18)。かかる処理は、図13に示すステップS20〜S26の処理であり、後で詳述する。
ステップS18の処理が終了した場合、ステップS12において1周期分の出力データを取り込み済みであると判定した場合(ステップS12;Yes)、または、ステップS17において1周期分の出力データを取り込み済みではないと判定した場合(ステップS17;No)、入出力切替部13は、1周期分のデータ(例えば、図7参照)の受け渡しが完了したか否かを判定する(ステップS19)。
1周期分のデータの受け渡しが完了していないと判定した場合(ステップS19;No)、入出力切替部13は、処理をステップS10へ移行する。一方、1周期分のデータの受け渡しが完了していると判定した場合(ステップS19;Yes)、入出力切替部13は、図12に示す処理を終了する。
このように、第1〜第n制御装置11〜1nは、第1および第2インターフェイス部11、12を有することから、これら第1および第2インターフェイス部11、12のうち一つが故障した場合であっても、設備機器や管理機器との間で通信を行うことができる。
次に、図12に示すステップS18の出力データの引き渡し処理について説明する。図13は、図12に示す出力データの引き渡し処理の流れを示すフローチャートである。
図13に示すように、入出力切替部13は、例えば、駆動装置21_1を第1設備機器とし、かかる第1設備機器からの出力データを判定対象データに設定し(ステップS20)、かかる判定対象データが正常であるか否かを判定する(ステップS21)。
かかる処理において、入出力切替部13は、第1インターフェイス部11で取得された判定対象データに含まれる正常検出用データに基づいて判定対象データが異常であるか否かを判定する。入出力切替部13は、例えば、正常検出用データがカウント値である場合、かかるカウント値が前回のカウント値からインクリメントされたものであれば、判定対象データが正常であると判定し、そうでなければ、判定対象データが異常であると判定する。
また、入出力切替部13は、正常検出用データが正常か異常かを示す情報である場合、正常検出用データが正常を示す情報であれば、判定対象データが正常であると判定し、正常検出用データが異常を示す情報であれば、判定対象データが異常であると判定する。
ステップS21において、判定対象データが正常であると判定した場合(ステップS21;Yes)、入出力切替部13は、第1インターフェイス部11で取得された判定対象データを入力処理部14へ渡す(ステップS22)。
ステップS21において、判定対象データが異常であると判定した場合(ステップS21;No)、入出力切替部13は、第2インターフェイス部12で取得された判定対象データに含まれる正常検出用データに基づいて判定対象データが異常であるか否かを判定する(ステップS23)。かかる処理において、判定対象データが異常であるか否かの判定は、ステップS21の処理と同様に行われる。
ステップS23において、判定対象データが正常であると判定した場合(ステップS23;Yes)、入出力切替部13は、第2インターフェイス部12で取得された判定対象データを入力処理部14へ渡す(ステップS24)。
ステップS24の処理が終了した場合、ステップS22の処理が終了した場合、または、ステップS23において、判定対象データが異常であると判定した場合(ステップS23;No)、入出力切替部13は、全ての設備機器からの出力データを判定対象データとして設定したか否かを判定する(ステップS25)。
入出力切替部13は、全ての設備機器からの出力データを判定対象データとして設定した場合(ステップS25;Yes)、図13に示す処理を終了する。一方、全ての設備機器からの出力データを判定対象データとして設定していない場合(ステップS25;No)、入出力切替部13は、次の設備機器からの出力データを判定対象データに設定し(ステップS26)、処理をステップS21へ移行する。
なお、ステップS26における「次の設備機器」とは、例えば、図9に示すデータ伝送マップの場合、判定対象データとして設定した最新の出力データが駆動装置21_2である場合、駆動装置21_3である。
また、入力処理部14に渡された出力データは、各制御部16によって対応する出力データが取得される。例えば、第1制御部161は、第1設備2011に配置された駆動装置2やリモートI/O装置3からの出力データを入力処理部14から取得し、第2制御部162は、第2設備2012に配置された駆動装置2やリモートI/O装置3からの出力データを入力処理部14から取得する。
このように、第1〜第n制御装置11〜1nは、正常検出用データに基づき、出力データの異常を検出することができることから、一方のネットワーク6上の出力データが異常である場合であっても、正常な出力データを判定して取得することができる。
また、第1〜第n制御装置11〜1nは、第1〜第n制御部161〜16nを有しており、これらの第1〜第n制御部161〜16nのすべてがそれぞれ対応する設備制御プログラムを実行して入力データの送信や出力データの受信を行う。すなわち、第1〜第n制御装置11〜1nはいずれも、第1〜第n制御部161〜16nによる制御の演算処理を行う。そのため、1周期分のデータの処理が終わった時点で、第1〜第n制御装置11〜1n間で第1〜第n制御部161〜16nでの制御処理状態は同じである。
これにより、第1〜第n制御装置11〜1nのうち一部の制御装置1が故障した場合であっても、故障した制御装置1に対応する設備201の運転をシームレスに行うことができる。なお、制御装置1は、主制御部のみ実行し、他の制御装置1が故障した場合に、副制御部を実行することもでき、これによっても、故障した制御装置1に対応する設備201の運転を再開することができる。
また、HMI4やEWS5から、第1〜第n制御装置11〜1nのn個の設備制御プログラムへのアクセスや設備制御プログラムの変更を行うことができる。また、第1〜第n制御装置11〜1nのうち一部の制御装置1が故障した場合であっても、HMI4やEWS5から、故障していない残りの制御装置1の第1〜第n設備制御プログラムへのアクセスや第1〜第n設備制御プログラムのそれぞれの変更を行うことができる。
[2.5.入出力切替部33による処理]
次に、入出力切替部33によって行われる処理について説明する。図14は、駆動装置2の入出力切替部331による処理の流れを示すフローチャートである。かかる処理は、1周期分のデータの受け渡しを行う毎に繰り返し実行される。
図14に示すように、入出力切替部331は、制御装置1への出力データを出力処理部351から取得したか否かを判定する(ステップS30)。かかる処理において、出力データを出力処理部351から取得したと判定すると(ステップS30;Yes)、入出力切替部331は、取得した出力データを第1および第2インターフェイス部311、321へ渡す(ステップS31)。
ステップS31の処理が終了した場合、または、出力データを出力処理部351から取得していないと判定した場合(ステップS30;No)、入出力切替部331は、1周期分の自装置宛(例えば、駆動装置21_1の場合、駆動装置21_1宛)の入力データを取り込み済みであるか否かを判定する(ステップS32)。
入力データを取り込み済みではないと判定した場合(ステップS32;No)、入出力切替部331は、第1インターフェイス311の通信が正常であるかどうかを判定する(ステップS33)。第1インターフェイス311の通信が正常であると判定した場合(ステップS33;Yes)、入出力切替部331は、ネットワーク61から第1インターフェイス311で受信した入力データを取り込む(ステップS34)。
ステップS34の処理が終了した場合、または、ステップS33において、第1インターフェイス311の通信が異常であると判定した場合(ステップS33;No)、入出力切替部331は、第2インターフェイス321の通信が正常であるかどうかを判定する(ステップS35)。
ステップS35において、入出力切替部331は、第2インターフェイス321の通信が正常であると判定した場合(ステップS35;Yes)、ネットワーク62から第2インターフェイス部321で受信した入力データを取り込む(ステップS36)。
ステップS36の処理が終了した場合、または、ステップS35において第2インターフェイス321の通信が異常であると判定した場合(ステップS35;No)、入出力切替部331は、ステップS32の処理と同様に、入力データを取り込み済みであるか否かを判定する(ステップS37)。
ステップS37において入力データを取り込み済みであると判定すると(ステップS37;Yes)、入出力切替部331は、入力データの引き渡し処理を行う(ステップS38)。かかる処理は、図15に示すステップS40〜S45の処理であり、後で詳述する。
ステップS38の処理が終了した場合、ステップS32において入力データを取り込み済みであると判定した場合(ステップS32;Yes)、または、ステップS37において1周期分の入力データを取り込み済みではないと判定した場合(ステップS37;No)、入出力切替部331は、1周期分の自装置宛の出力データおよび入力データの受け渡しが完了したか否かを判定する(ステップS39)。
1周期分の出力データおよび入力データの受け渡しが完了していないと判定した場合(ステップS39;No)、入出力切替部331は、処理をステップS30へ移行する。一方、1周期分の出力データおよび入力データの受け渡しが完了していると判定した場合(ステップS39;Yes)、入出力切替部331は、図14に示す処理を終了する。
なお、入出力切替部332〜334によって行われる処理は、入力データや出力データの内容およびデータ伝送マップが異なる以外は駆動装置2の入出力切替部331と同様の処理であり、自装置名や添え字部分の数字を入れ替える等によって読み替えることができる。以下、同様である。
このように、設備機器や管理機器の入出力切替部33は、第1および第2インターフェイス部31、32を有することから、これら第1および第2インターフェイス部31、32のうち一つが故障した場合であっても、制御装置1との間で通信を行うことができる。
次に、図14に示すステップS38の入力データの引き渡し処理について説明する。図15は、図14に示す入力データの引き渡し処理の流れを示すフローチャートである。
図15に示すように、入出力切替部331は、制御装置11〜1nから取得した自装置宛の入力データのうち主制御部からの入力データが正常であるか否かを判定する第1処理を行う(ステップS40)。かかる第1処理は、図17に示すステップS50〜53の処理であり、後で詳述する。
入出力切替部331は、例えば、選択テーブルを記憶しており、かかる選択テーブルに基づき、第1〜第n制御装置11〜1nから取得した自装置宛の入力データのうち、どの入力データが主制御部からの入力データであるか否かを判定する。図16は、選択テーブルの一例を示す図である。
図16に示すように、選択テーブルは、「設備番号」の情報と「選択順序」の情報とが対応付けられた情報である。入出力切替部331には、自装置が設置されている設備に対応する設備番号が設定されており、入出力切替部331は、設定されている設備番号に基づいて、選択順序が1番である制御装置1の制御部16を主制御部として判定する。
例えば、駆動装置21_1の入出力切替部331には、駆動装置21_1が設置されている第1設備2011に対応する設備番号「1」の情報が設定されている。駆動装置21_1の入出力切替部331は、設定されている設備番号「1」の情報に基づき、第1制御装置11の制御部161を主制御部として判定する。
また、例えば、駆動装置2n_1の入出力切替部331には、駆動装置2n_1が設置されている第n設備201nに対応する設備番号「n」の情報が設定されている。駆動装置2n_1の入出力切替部331は、設定されている設備番号「n」の情報に基づき、第n制御装置1nの制御部16nを主制御部として判定する。
ステップS40の第1処理が終了した場合、入出力切替部331は、第1および第2インターフェイス部311、321への主制御部からの入力データが共に異常であるか否かを判定する(ステップS41)。
第1および第2インターフェイス部311、321への主制御部からの入力データが共に異常であると判定すると(ステップS41;Yes)、入出力切替部331は、所定の規則に従って副制御部を選択する(ステップS42)。入出力切替部331には、上述したように選択テーブルが設定されており、入出力切替部331はかかる選択テーブルに基づいて副制御部を選択する。
例えば、駆動装置21_1の入出力切替部331は、設定されている設備番号「1」の情報と選択テーブル(例えば、図16参照)に基づき、第2制御装置12の第1御部161を副制御部として選択する。また、駆動装置23_1の入出力切替部331は、設定されている設備番号「3」の情報と選択テーブルに基づき、第4制御装置14の第3制御部163を副制御部として選択する。
次に、ステップS42の処理が終了した場合、入出力切替部331は、第1〜第n制御装置11〜1nから取得した自装置宛の入力データのうち、選択した副制御部からの入力データが正常であるか否かを判定する第2処理を行う(ステップS43)。かかる第2処理は、図18に示すステップS60〜63の処理であり、後で詳述する。
ステップS43の第2処理が終了した場合、入出力切替部331は、選択された副制御部からの第1および第2インターフェイス部311、321への入力データが共に異常であるか否かを判定する(ステップS44)。
選択された副制御部からの第1および第2インターフェイス部311、321への入力データが共に異常であると判定すると(ステップS44;Yes)、入出力切替部331は、所定の規則に従って次の副制御部を選択し(ステップS45)、処理をステップS43に移行する。
例えば、駆動装置21_1の入出力切替部331は、ステップS44で第2制御装置12の第1制御部161からの入力データが異常であると判定された場合、第3制御装置13の第1制御部161を次の副制御部として選択する。また、駆動装置23_1の入出力切替部331は、ステップS44で第4の制御装置14の第3制御部163からの入力データが異常であると判定された場合、第5の制御装置15の第3制御部163を次の副制御部として選択する。
ステップS41において第1および第2インターフェイス部311、321への主制御部からの入力データが共に異常ではないと判定された場合(ステップS41;No)、入出力切替部331は、図15に示す処理を終了する。
また、ステップS44において第1および第2インターフェイス部311、321への副制御部からの入力データが共に異常ではないと判定された場合(ステップS44;No)も、入出力切替部331は、図15に示す処理を終了する。なお、入出力切替部331は、全ての副制御部からの入力データがすべて異常である場合も、図15に示す処理を終了する。なお、後述するように、バックアップ用の制御装置1n+1が設けられる状態で、全ての副制御部からの入力データがすべて異常である場合、入出力切替部331は、制御装置1n+1の制御部16を副制御部として選択することができる。
次に、図15に示すステップS40の第1処理について説明する。図17は、図15に示す第1処理の流れを示すフローチャートである。
図17に示すように、入出力切替部331は、主制御部から第1インターフェイス部311への入力データが正常であるか否かを判定する(ステップS50)。入出力切替部331は、主制御部からの入力データは正常であるか否かを、主制御部からの入力データに含まれる正常検出用データに基づいて判定する。
例えば、入出力切替部331は、正常検出用データがカウント値である場合、かかるカウント値が前回のカウント値からインクリメントされたものであれば、入力データが正常であると判定し、そうでなければ、入力データが異常であると判定する。
また、入出力切替部331は、正常検出用データが正常か異常かを示す情報である場合、正常検出用データが正常を示す情報であれば、入力データが正常であると判定し、正常検出用データが異常を示す情報であれば、入力データが異常であると判定する。
ステップS50において、入力データが正常であると判定した場合(ステップS50;Yes)、入出力切替部331は、主制御部から第1インターフェイス部311への入力データを第1インターフェイス部311から取得し、入力処理部341へ渡す(ステップS51)。
入力データが異常であると判定した場合(ステップS50;No)、入出力切替部331は、主制御部から第2インターフェイス部321への入力データが正常であるか否かを判定する(ステップS52)。かかる処理において、主制御部からの入力データは正常であるか否かの判定を、ステップS50の処理と同様に、正常検出用データに基づいて行う。
ステップS52において、入力データが正常であると判定した場合(ステップS52;Yes)、入出力切替部331は、主制御部から第2インターフェイス部321への入力データを第2インターフェイス部321から取得し、入力処理部341へ渡す(ステップS53)。ステップS53の処理が終了した場合、ステップS51の処理が終了した場合、または、入力データが異常であると判定した場合(ステップS52;No)、入出力切替部331は、図17に示す処理を終了する。
次に、図15に示すステップS43の第2処理について説明する。図18は、図15に示す第2処理の流れを示すフローチャートである。
図18に示すように、入出力切替部331は、選択された副制御部から第1インターフェイス部311への入力データが正常であるか否かを判定する(ステップS60)。入出力切替部331は、選択された副制御部からの入力データは正常であるか否かを、選択された副制御部からの入力データに含まれる正常検出用データに基づいて判定する。なお、係る処理は、ステップS50の処理と同様の処理である。
ステップS60において、入力データが正常であると判定した場合(ステップS60;Yes)、入出力切替部331は、選択された副制御部から第1インターフェイス部311への入力データを第1インターフェイス部311から取得し、入力処理部341へ渡す(ステップS61)。
入力データが異常であると判定した場合(ステップS60;No)、入出力切替部331は、選択された副制御部から第2インターフェイス部321への入力データが正常であるか否かを判定する(ステップS62)。かかる処理において、選択された副制御部からの入力データは正常であるか否かの判定を、ステップS52の処理と同様に、正常検出用データに基づいて行う。
ステップS62において、入力データが正常であると判定した場合(ステップS62;Yes)、入出力切替部331は、選択された副制御部から第2インターフェイス部321への入力データを第2インターフェイス部321から取得し、入力処理部341へ渡す(ステップS63)。ステップS63の処理が終了した場合、ステップS61の処理が終了した場合、または、入力データが異常であると判定した場合(ステップS62;No)、入出力切替部331は、図18に示す処理を終了する。
このように、設備機器や管理機器の入出力切替部33は、正常検出用データに基づき、出力データの異常を検出することができることから、一方のネットワーク6上の出力データが異常である場合であっても、正常な出力データを判定して取得することができる。
また、設備機器や管理機器の入出力切替部33は、2つのネットワーク6を介して送信される主制御部からの入力データが共に異常である場合、副制御部からの入力データを選択し、制御部36は、入出力切替部33が選択した入力データに基づいて動作する。これにより、設備機器や管理機器は、いずれの制御装置1のデータを用いるかを選択することができる。
そのため、第1〜第n制御装置11〜1nのうち一部の制御装置1が故障した場合であっても、故障した制御装置1に対応する設備201の運転をシームレスに継続することができる。また、各制御装置1は、一部の制御装置1が故障した場合であっても、設備機器や管理機器に対してデータの選択指令などを行うことなく、故障した制御装置1に対応する設備201の運転をシームレスに継続することができるため、処理を簡素化することができる。
なお、上述した実施形態では、製鉄制御システム100において、4つ以上の制御装置1を設けた例を説明したが、制御装置1の個数は、2つ以上であればよい。制御装置1の個数は、2つである場合、一方の制御装置1に故障が生じた場合であっても、残りの1つの制御装置1で設備の運転を行うことができ、製鉄制御システム100の信頼性を向上させることができる。
また、制御装置1の個数を3つとすることにより、仮に、2つの制御装置1に故障が生じた場合であっても、残りの1つの制御装置1で設備の運転を行うことができ、製鉄制御システム100の信頼性を飛躍的に向上させることができる。制御装置1の個数を4つ以上とした場合には、製鉄制御システム100の信頼性をさらに飛躍的に向上させることができる。このように制御装置1の個数が増す毎に製鉄制御システム100の信頼性を大幅に向上させることができる。
なお、上述した実施形態では、制御装置1の演算部10において、第1〜第n制御部161〜16nをそれぞれ一つずつ設けているが、制御装置1の構成はかかる構成に限定されず、例えば、図19に示す構成であってもよい。図19は、実施形態に係る制御装置1の他の構成例を示す図である。
図19に示す制御装置1は、物理的に互いに独立した制御ユニットとして第1演算部101(主制御ユニットの一例)と第2演算部102(副制御ユニットの一例)とを備える。第1演算部101と第2演算部102は、上述した演算部10と同様の構成であり、それぞれ上述した制御部161〜16nとしての機能を実行する。そのため、1周期分のデータの処理が終わった時点で、第1演算部101と第2演算部102間で第1〜第n制御部161〜16nでの制御処理状態は同じである。
入力処理部14は、入出力切替部13から取得した出力データを第1演算部101と第2演算部102とにそれぞれ渡す。また、出力処理部15は、第1演算部101が正常である場合、第1演算部101からの入力データを入出力切替部13へ渡し、第1演算部101が異常である場合、第2演算部102からの入力データを入出力切替部13へ渡す。これにより、図19に示す制御装置1は、第1演算部101が故障した場合であっても、第2演算部102からの入力データによって設備201の運転を継続することができる。
また、第1〜第n制御装置11〜1nに加え、さらに、バックアップ専用の制御装置1n+1を設けることもできる。図20は、バックアップ専用の制御装置1n+1をさらに設けた製鉄制御システム100の構成例を示す図であり、理解を容易にするため、制御装置11〜1n+1とネットワーク61、62以外の構成は図示していない。
図20に示す制御システム100は、第1〜第n制御装置11〜1nに加え、バックアップ専用の制御装置1n+1が設けられる。かかる制御装置1n+1は、図3または図19に示す制御装置1の構成と同じであり、第1〜第n制御装置11〜1nとは別体である。
したがって、仮に、第1〜第n制御装置11〜1nがすべて故障した場合であっても、バックアップ用の制御装置1n+1により設備の運転を行うことができ、例えば、より高い信頼性の製鉄制御システム100を構築する場合に有効である。また、バックアップ用の制御装置1n+1を第1〜第n制御装置11〜1nとは異なる場所(例えば、異なる建屋や離れた場所)に設置することにより、地震、津波、台風等の自然災害に対して信頼性を向上させることができる。
なお、上述した実施形態では、鉄鋼プラント200を制御する製鉄制御システム100について説明したが、かかる製鉄制御システム100は、制御システムの一例である。すなわち、駆動装置2、リモートI/O装置3、HMI4およびEWS5は、第1〜第n制御装置11〜1nによって制御される機器の一例である、本実施形態に係る制御システムは、例えば、水処理プラント、火力プラント、電力配電設備など、様々なプラントや設備に適用することができ、第1〜第n制御装置11〜1nと各プラントの機器や各設備の機器とによってシステムの信頼性を向上させることができる。
また、図7〜図11に示すデータ伝送マップは一例であり、出力データや入力データの伝送順序等は適宜変更することができる。また、図16に示す選択テーブルは、一例であり、例えば、設備機器や管理機器は、異常のない制御装置1であれば、任意に選択することもできる。
以上のように、製鉄制御システム100を含む制御システムは、複数の設備のうちそれぞれ異なる設備を主制御対象として制御する複数の制御装置11〜1nを備え、各制御装置1は、複数の設備のうち主制御対象の設備以外の設備をバックアップ用の副制御対象として制御する手段を備える。これにより、システムの信頼性を向上させることができる。
さらなる効果や変形例は、当業者によって容易に導き出すことができる。このため、本発明のより広範な態様は、以上のように表しかつ記述した特定の詳細および代表的な実施形態に限定されるものではない。したがって、添付の特許請求の範囲およびその均等物によって定義される総括的な発明の概念の精神または範囲から逸脱することなく、様々な変更が可能である。