本発明は、従来のこのような問題点に鑑みてなされたものであり、その目的の一は、簡単な構成としながら、水質の浄化作用を備えたシルトフェンスを提供することにある。
課題を解決するための手段及び発明の効果
上記の目的を達成するために、本発明の水質浄化作用を有するシルトフェンスによれば、水に浮く浮きとなるフロート部1と、フロート部1の下部に連結されたフェンス部2と、フェンス部2の下端に固定されたウェイト部3とを備えるシルトフェンスであって、さらに、水質の浄化作用を有する浄化手段4を備えており、この浄化手段4が、汚物の吸着作用を有する炭素繊維からなる浄化部材13を備えると共に、浄化部材13を、フェンス部2またはフロート部1に対して交換可能に配設している。
上記構成により、シルトフェンス自体に、汚物を吸着して水質を浄化する機能を付加することで、シルトフェンスを配置するのみで、浄化手段を別途用意することなく、シルトフェンスで囲まれた領域内の水質を浄化する機能を果たすことができ、コンパクトな構成で設置を容易にしつつ作業性の低下も回避した使い勝手のよいシルトフェンスが実現できる。とくに、このシルトフェンスは、浄化手段として、汚物の吸着作用を有する炭素繊維からなる浄化部材を、フェンス部またはフロート部に対して交換可能に配設しているので、汚物を吸着した浄化部材を新しいものと交換することで、経時的な浄化作用の低下を防止して、速やかに浄化作用を改善できる。したがって、工事等で汚濁が発生した領域の水質をより効果的に、しかも短時間で浄化できる。
本発明の水質浄化作用を有するシルトフェンスは、浄化部材13を、炭素繊維からなる1以上の紐状体、シート片、筒体のいずれか又は複数とすることができる。
浄化部材を炭素繊維からなる1以上の紐状体又はシート片とする構造は、浄化部材を水中に配置する前には全体の体積をコンパクトにして、収納や搬送を容易にしながら、水中に浸漬した状態では、紐状体やシート片を拡開させて全体の表面積を大きくして、より効率よく汚物を吸着できる。また、浄化部材を炭素繊維からなる1以上の筒体とする構造は、水中に浸漬した状態で、全体の表面積を大きくして、より効率よく汚物を吸着できることに加えて、筒体の内部に水を通過させることで、筒体を形成する炭素繊維に効果的に微生物を生息させて、微生物の生分解作用による浄化を促進できる。
本発明の水質浄化作用を有するシルトフェンスは、浄化部材13をリング状の固定具14に固定すると共に、固定具14を脱着自在にフェンス部2の上部またはフロート部1の下部に連結することができる。
上記構成により、複数の浄化部材をリング状の固定具に固定することで、浄化部材の扱いを簡単にできると共に、リング状の固定具を介して簡単に脱着できる。また、固定具をフェンス部の上部に連結する構造は、フェンス部の上部を水面に引き上げて簡単に交換できる。また、固定具をフロート部の下部に連結する構造は、水面近傍において、簡単に交換できる。
本発明の水質浄化作用を有するシルトフェンスは、浄化手段4が、複数の浄化部材13と、複数の浄化部材13が所定の間隔で脱着自在に固定された紐状の移送線材17と、フェンス部2の下部に配置されて、移送線材17が掛けられた滑車18とを備え、移送線材17が、中間部を折返し部として滑車18に掛けられると共に、折返し部から延びる一対の延長部17A、17Bを水面まで延長し、さらに、一方の延長部17Aに複数の浄化部材13を脱着自在に固定することができる。
上記構成により、水中に配置された複数の浄化部材を簡単に交換できる特徴がある。それは、以上のシルトフェンスの浄化手段が、移送線材の中間部を折返し部としてフェンス部の下部に配置した滑車に掛けると共に、折返し部から水面まで延長された一対の延長部の一方に複数の浄化部材を所定の間隔で脱着自在に固定しているからである。この浄化手段は、浄化部材が固定された延長部を水面まで引き上げることで、延長部に固定された浄化部材を水中から引き上げて容易に取り外して交換できる。また、浄化部材を新しいものと交換した後、浄化部材が固定されない側の延長部を引き上げることで、浄化部材が固定された側の延長部を水中に沈降させて水中の定位置に配置できる。
さらに、このシルトフェンスは、交換可能な浄化部材を水中の深い場所に配置することも可能である。それは、滑車をフェンス部の下端部に設けることで、移送部材で移送される複数の浄化部材を水中の深い部位まで移動させることができるからである。したがって、このシルトフェンスは、汚濁された水域の水面付近から水底付近に至るまで、水中の広い範囲にわたって複数の浄化部材を交換可能な状態で配置して、より広い範囲を理想的に浄化できる。
本発明の水質浄化作用を有するシルトフェンスは、浄化手段4が、複数の浄化部材13と、複数の浄化部材13が所定の間隔で脱着自在に固定された紐状の移送線材17と、フェンス部2の上端部に配置されて、移送線材17が掛けられた滑車18とを備え、移送線材17が、中間部を折返し部として滑車18に掛けられると共に、折返し部から延びる一対の延長部17A、17Bを水面に沿って延長し、さらに、一方の延長部17Aに複数の浄化部材13を脱着自在に固定することができる。
上記構成により、水面近くに複数の浄化部材を所定の間隔で配置しながら、これ等の浄化部材を簡単に交換できる特徴がある。それは、以上のシルトフェンスの浄化手段が、移送線材の中間部を折返し部としてフェンス部の上端部に配置した滑車に掛けると共に、折返し部から水面に沿って延長された一対の延長部の一方に複数の浄化部材を所定の間隔で脱着自在に固定しているからである。この浄化手段は、浄化部材が固定された延長部を水面に沿って引っ張ることで、延長部に固定された浄化部材を移動させて容易に取り外して交換できる。また、浄化部材を新しいものと交換した後、浄化部材が固定されない側の延長部を引っ張ることで、浄化部材が固定された側の延長部を水面に沿って移動させて水面近くの定位置に配置できる。したがって、この浄化手段は、水面近くに配置された複数の浄化部材を交換する際に、ユーザーが水面上を移動することなく、すなわち、ボートを一箇所に停止させた状態で、浄化手段を操作して複数の浄化部材を簡単かつ能率良く交換できる。
本発明の水質浄化作用を有するシルトフェンスは、浄化手段4に加えて、水質の浄化作用を有するサブ浄化手段5を備えることができる。このサブ浄化手段5は、汚物の吸着作用を有する炭素繊維からなる平面状のサブ浄化部材24とし、このサブ浄化部材24をフェンス部2またはフロート部1に固定することができる。
上記構成により、交換可能な浄化部材を備える浄化手段に加えて、サブ浄化手段を備えて、このサブ浄化手段を炭素繊維からなる平面状のサブ浄化部材として、フェンス部またはフロート部に固定することで、シルトフェンスの浄化作用を向上できる。とくに、このサブ浄化手段を平面状とすることで、全体の体積を小さく抑制しながら、水中の広い面積にわたってより効果的に浄化できる。
以下、本発明に係る実施形態及び実施例を、図面に基づいて説明する。ただし、以下に示す実施形態及び実施例は、本発明の技術思想を具体化するための水質浄化作用を有するシルトフェンスを例示するものであって、本発明は、シルトフェンスを以下のものに特定しない。なお、各図面が示す部材の大きさや位置関係等は、説明を明確にするため誇張していることがある。さらに以下の説明において、同一の名称、符号については同一もしくは同質の部材を示しており、詳細説明を適宜省略する。さらに、本発明を構成する各要素は、複数の要素を同一の部材で構成して一の部材で複数の要素を兼用する態様としてもよいし、逆に一の部材の機能を複数の部材で分担して実現することもできる。また、一部の実施例、実施形態において説明された内容は、他の実施例、実施形態等に利用可能なものもある。
本発明のシルトフェンスは、海、河川、湖沼、池、ダム等の沿岸や水底の土木工事において、工事領域の周辺水域の周りに設置されて、工事に伴って発生する汚濁が外部の水域に拡散されるのを防止する。さらに、本発明のシルトフェンスは、汚濁が外部に拡散するのを防止することに加えて、汚濁が発生した水域の水質を浄化する浄化作用を有している。なお、本明細書において、海、河川、湖沼、池、ダム等の沿岸や水底で行われる土木工事とは、護岸工事、浚渫工事、埋め立て工事、港湾工事、改修工事等の種々の工事を含む広い意味で使用する。
本発明のシルトフェンスは、図1に示すように、沿岸で施工される土木工事により工事領域51の周辺水域52の汚濁が外部に拡散するのを防止するために、工事領域51の周囲に沿って設置される。図1は、海岸で土木工事が行われる際に、この工事領域51の周辺水域52を囲む状態でシルトフェンス101を設置して、工事領域51の周辺水域52と外部の海域とを遮断する状態を示している。ここで、工事領域51の周辺水域52であって、シルトフェンス101に囲まれる周辺水域52は、工事により発生する汚濁が拡散される汚濁領域となる。シルトフェンス101は、汚濁領域の汚濁が外部に拡散するのを防止している。
図1ないし図3に示すシルトフェンス101は、水に浮く浮力を有するフロート部1と、このフロート部1の下部に連結されて水面から水底に向かって配置されたフェンス部2と、フェンス部2の下端に連結されたウェイト部3と、汚濁領域の水質を浄化する浄化作用を有する浄化手段4とを備えている。
図1に示すシルトフェンス101は、工事領域51の周辺水域52を完全にカバーできる全長を有している。すなわち、フロート部1、フェンス部2、及びウェイト部3の全長を、工事領域51の周辺水域52をカバーできる全長として、工事領域51から発生する汚濁を周辺水域52内で封じ込めて、外部の水域に広がるのを防止している。このシルトフェンス101は、図1に示すように、工事領域51から所定の距離だけ離れた位置に配置される。シルトフェンス101を周辺水域52の定位置に固定するために、図1に示すシルトフェンス101は、所定の全長を有するフロート部1の中間部の複数箇所に、サブフロート31とアンカー32を連結して固定している。図1と図2に示すシルトフェンス101は、フロート部1の両側に上部ワイヤー等の連結線材33を介してサブフロート31を連結すると共に、これ等のサブフロート31に、アンカーワイヤー8を介してアンカー32を固定している。アンカー32は水底に設置する状態で配置されており、その自重によって、シルトフェンス101を定位置に保持して、シルトフェンス101が潮流やうねり、干満等で移動するのを防止している。
(フロート部1)
フロート部1は、図3に示すように、水に浮く浮力を有する浮き部材11を備えている。浮き部材11には、円柱状の発泡スチロールや中空状のプラスチック容器等の大きな浮力を有する部材が使用できる。フロート部1は、発泡スチロールやプラスチック容器からなる浮き部材11をカバー部12で被覆して定位置に保持している。カバー部12は、例えば、可撓性を有するシート材を筒状に形成したもので、内部に浮き部材11を収納すると共に、複数個の浮き部材11を長さ方向に数珠状に連結してフロート部1としている。
フロート部1は、筒状のカバー部12に収納される複数の浮き部材11を隙間なく配置することができる。このフロート部1は、水面上からの汚濁の拡散を確実に防止できる。ただ、フロート部1は、筒状のカバー部12に収納される複数の浮き部材11を多少の隙間を設けて配置することもできる。このフロート部1は、隣接する浮き部材11の間の隙間において、容易に折曲させることができ、水面上に設置されるフロート部1の自由度を向上できる。図3に示すフロート部1は、浮き部材11の両端面のコーナー部を湾曲面状に面取りしており、隣接する浮き部材11の境界においてフロート部1を折曲し易くしている。
(フェンス部2)
フェンス部2は、水中にスクリーン状に配置されるシート材で、水面から水底にわたって配置されて周辺水域52の汚濁が外部に拡散するのを防止する。フェンス部2は、好ましくは液体成分は透過させるが、固体成分は通過させないシート材が使用できる。このようなシート材として、例えば、ポリエステル等のプラスチック繊維を所定の大きさの目となるように形成された織物シートや編物シート、あるいはプラスチックシートが使用できる。ただ、フェンス部2には、液体成分を透過させない非透水性シートを使用することもできる。
フェンス部2は、周辺水域52の汚濁が外部に拡散するのを防止するために、好ましくは水面から水底まで延長された上下幅(H)を有する。さらに、フェンス部2は、図2に示すように、水中に上下方向に配置された状態で前後方向にたわむことができるように、可撓性を有することが好ましい。可撓性を有するフェンス部2は、図4に示すように、海で使用される場合においては、潮の干満やうねり等によって海面が上下動することがあるが、このような場合においても下端のウェイト部3が海底から離れることがないように、十分な上下幅(H)を有することが好ましい。たとえば、干潮時における水深(D2)を5mとする海域においては、この水深(D2)よりも1m以上、好ましくは3m以上大きな上下幅(H)とする。これにより、下端に設けたウェイト部3が海底から離れて、この隙間から汚濁が外部に漏れるのを防止できる。以上のように、フェンス部2は、これを使用する海域の水深や潮の干満等を考慮して最適な上下幅とすることができる。
(ウェイト部3)
ウェイト部3は、フェンス部2の下端縁に沿って設けられた錘である。ウェイト部3は、自重で水底まで沈降すると共に、フェンス部2の下端を下方に引っ張って水底まで沈降させる比重を有する。このようなウェイト部3として金属製のチェーンが使用できる。金属製のチェーンであるウェイト部3は、複数のリングを連結することで、自由な形状に変形可能であって、水底に沿って敷設される状態で、水底面との間に隙間を生じさせることなく理想的に沈降できる。このような金属として、鉄や鉛等の比重の大きな金属が使用できる。とくに、鉄製のチェーンは汎用性に優れて安価で加工が簡単である。
チェーンであるウェイト部3は、図3に示すように、複数箇所がフェンス部2の下端に連結されてフェンス部2に固定される。以上のウェイト部3は、水底に接触するまで沈降することでフェンス部2の下端を水底まで沈降させて、シート状のフェンス部2を水中にスクリーン状に広げた状態で配置することができる。
図3に示すシルトフェンス101は、フロート部1、フェンス部2、及びウェイト部3からなるフェンスユニットを形成しており、このフェンスユニットを複数連結することで、図1に示すように、工事領域51の周辺水域52全体をカバーできる全長に形成される。フロート部1は、複数の浮き部材11を収納してなるカバー部12の対向する端縁が互いに連結される。フェンス部2は対向する側縁が互いに連結される。ウェイト部3は、対向する端縁を互いに連結することができる。このような連結には、図示しないが、ロープや連結金具等が使用できる。
(浄化手段4)
浄化手段4は、汚濁領域である周辺水域52側に配置されて、汚濁水域の水質を浄化する。図3と図5に示す浄化手段4は、汚物の吸着作用を有する炭素繊維からなる浄化部材13を備えており、この浄化部材13をフェンス部2に対して交換可能に配設している。炭素繊維には、一般に水質浄化材として用いられているもの、例えば、PAN系の繊維が使用される。この炭素繊維には、微細なカーボンファイバーを集めて束にしたものを使用する。ただ、炭素繊維には、一般工業用のものを水質浄化材として加工したものも使用できる。
図に示す浄化部材13は、炭素繊維からなる複数の紐状体13Aで構成している。紐状体13Aである炭素繊維は、水中において、細い繊維の1本1本が広がることにより、表面積を広くして汚物の吸着効果を向上できる特徴がある。ただ、浄化部材13は、炭素繊維の紐状体13Aには特定しない。浄化部材は、図示しないが、炭素繊維をシート状に形成したシート材を所定のサイズに裁断してなる複数のシート片で構成することもできる。浄化部材13を炭素繊維からなる複数の紐状体13Aやシート片とする構造は、浄化部材13を水中に配置する前には、全体の体積をコンパクトにして収納や搬送を容易にでき、水中に浸漬した状態では、紐状体13Aやシート片を拡開させて全体の表面積を大きくして効率よく汚物を吸着できる。さらに、浄化部材は、図示しないが、炭素繊維からなるシート材を筒状に形成したものとすることもできる。浄化部材を炭素繊維からなる筒体とする構造は、水中に浸漬した状態で、全体の表面積を大きくして、より効率よく汚物を吸着できることに加えて、筒体の内部に水を通過させることで、炭素繊維に効果的に微生物を生息させて、微生物の生分解作用による浄化を促進できる。さらに、浄化部材13は、紐状体、シート片、筒体を組み合わせたものも使用できる。
図3と図5に示す浄化手段4は、複数の紐状体13Aからなる浄化部材13をリング状の固定具14に固定して浄化ユニット15としている。浄化ユニット15は、固定具14に固定される紐状体13Aの長さを長くして数を多くすることで浄化作用を向上できる。ただ、紐状体13Aを長くして数を多くするとコストが高くなる。したがって、浄化ユニットは、これ等のことを考慮して固定具14に固定する紐状体13Aの長さや数を調整する。図5に示す浄化ユニット15は、複数の紐状体13Aを固定具14に房状に固定している。この浄化ユニット15は、固定具14をリング状とすることで、房状に連結される複数の紐状体13Aを水中において速やかに広げることができる。さらに、図5に示す固定具14は、リングの一部を開閉可能な可動片14Aとしており、この可動片14Aを開いた状態で、フェンス部2に設けた連結部16に簡単に脱着できるようにしている。この固定具14は、浄化ユニット15の交換を、簡単かつ速やかにできる。以上のように複数の浄化部材13をリング状の固定具14に固定すると共に、この固定具14を介して脱着自在にフェンス部2に連結する構造は、複数の浄化部材13をリング状の固定具14に固定することで、複数の浄化部材13の扱いを簡単にできると共に、リング状の固定具14を介して簡単に脱着できる。ただ、複数の浄化部材を固定する固定具は、必ずしも以上の構造には限定しない。固定具は、複数の浄化部材を固定できる他の全ての部材が使用できる。
フェンス部2は、その上部に、浄化ユニット15の固定具14を脱着自在に連結するための連結部16を設けている。図3に示すフェンス部2は、短冊状のシート材を中間で折り返すと共に、両端部を積層してフェンス部2に縫着して輪状の連結部16を設けている。この構造は、簡単な構造で固定具14を連結可能な連結部16を設けることができる。ただ、連結部は、以上の構造には特定せず、浄化ユニットの固定具を脱着自在に連結できる他の全ての構造、例えば、紐体や線材をループ状に固定したものや、リング状の連結具を固定したものも採用できる。
以上のシルトフェンス101は、図4の(c)に示すように、フェンス部2の上端部を水面まで引き上げることによって、フェンス部2に固定された浄化ユニット15を交換する。したがって、浄化手段4は、浄化ユニット15をフェンス部2の上部に配置している。図3のフェンス部2は、浄化ユニット15を連結する連結部16を設ける位置であって、フェンス部2の上端からの距離(d)をフェンス部2の上下幅(H)の約1/3としている。ただ、連結部16を設ける位置は、フェンス部2の上端からの距離(d)がフェンス部2の上下幅(H)の1/2以内となる位置とすることができる。さらに、図4の(c)に示すシルトフェンス101は、フェンス部2の下端を水底から離すことなく浄化ユニット15を交換できる位置に浄化ユニット15を固定している。
なお、図4において、(a)は満潮時であって海面が上昇した状態を、(b)と(c)は干潮時であって海面が下降した状態をそれぞれ示している。
浄化ユニット15の固定位置は、フェンス部2の上下幅(H)や使用する海域の水深(D1、D2)、潮の干満による海面差(D1−D2)等により最適な位置とすることができる。例えば、干潮時に水深(D2)が5mとなる海域で使用する場合、フェンス部2の上下幅を8mとすると、満潮時において水深(D1)が6mとなったとしても、まだ2mの余裕があるため、海のうねりが1m以上あっても、下端のウェイト部3が海底から離れることがない。また、干潮時においては、ウェイト部3が水底から離れるまでには3mの余裕があるため、フェンス部2の上部に連結された浄化部材13を海面から引き上げて交換できる。すなわち、水深5mの状態ではフェンス部2の上部3mの位置までに連結された浄化部材13を海面まで引き上げながら交換できる。以上のように、フェンス部2は、これを使用する海域の水深や潮の干満等を考慮して最適な上下幅(H)とすると共に、最適な位置に浄化部材13を固定することができる。
さらに、図3の浄化手段4は、複数の浄化ユニット15を、フェンス部2の上部に所定の配列で配置している。ここで、シルトフェンス101は、フェンス部2に設ける浄化ユニット15の数を多くすることで、水質の浄化作用を向上できる。ただ、フェンス部2に設ける浄化ユニット15は、数が多過ぎるとコストが高くなると共に、多数の浄化ユニット15の交換に手間がかかり、必ずしも経済的ではない。したがって、浄化手段4は、フェンス部2に配設する浄化ユニット15の数や配列を調整して、浄化ユニット15の単位あたりの浄化効率とコストをバランスしている。
図3に示す浄化手段4は、フェンス部2の上部おいて、水平方向に所定の間隔(k)で複数の浄化手段4を配設している。浄化手段4は、前述のように、浄化効率とコストを考慮して、フェンス部の横幅(W)に対して水平方向に配置する浄化ユニット15の個数と間隔(k)を決定する。さらに、図3に示す浄化手段4は、水平方向に1列に複数の浄化ユニット15を配置しているが、浄化手段は、上下方向に複数列にわたって浄化ユニットを配置することもできる。上下に複数列に配置される浄化ユニットは、マトリクス状に配置することも、上下に交互に設けて千鳥状に配置することもできる。
以上のシルトフェンス101は、図4に示すようにして浄化部材13を交換する。図4の(a)に示す満潮時においては、水中に張設されたフェンス部2の下端に連結されたウェイト部3は海底に接触するが、水深が深いため、フェンス部2の下端部のたわみ量が少なくなる。このため、海面が上昇している状態では、好ましくは浄化ユニット15は交換しない。ただ、浄化ユニット15の連結位置がフェンス部2の上端に近く、浄化ユニット15を交換可能な位置までフェンス部2の上部を引き上げても下端のウェイト部3が海底から離れない場合には、浄化ユニット15を交換することもできる。また、フェンス部2の上部を引き上げる状態で、ウェイト部3が海底から離れる状態であっても、この部分からの汚濁の拡散が少ない場合には浄化ユニット15を交換してもよい。
図4の(b)に示す干潮時においては、水深が浅くなるので、水中に張設されたフェンス部2の下端部のたわみ量は大きくなる。このため、海面が下降している状態では、図4の(c)で示すように、浄化ユニット15を交換可能な位置までフェンス部2の上部を引き上げても下端のウェイト部3が海底から離れることはない。このように、ウェイト部3が海底から離れない状態では、この部分からの汚濁の拡散は阻止される。したがって、このシルトフェンス101は、好ましくは、干潮時等の海面が下降しているタイミングにおいて浄化ユニット15を交換する。
以上の浄化手段4は、複数の浄化ユニット15をフェンス部2の上部に脱着自在に固定している。この浄化手段4は、例えば、水面から数十cm〜数mと浅い水深部分に浄化ユニット15が配置されて、浅い部分に浮遊する汚物を効果的に吸着できる。また、この浄化手段4は、フェンス部2の上部を水面に引き上げて、浄化ユニット15が交換される。
さらに、浄化手段4は、図6に示すように、浄化ユニット15をフェンス部2の上端に固定し、あるいは、図示しないが、浄化ユニット15をフロート部1の下部に固定することができる。フロート部に固定される浄化ユニットは、例えば、フロート部のカバー部に固定具用の連結部を設けて、浄化ユニットを脱着自在に固定できる。図6に示す浄化手段4は、複数の浄化ユニット15をフェンス部2の上端に沿って配置している。浄化ユニット15をフェンス部2の上端、あるいは、フロート部1に固定する構造は、水面近くに配置される浄化部材13によって、水面近くに浮遊する汚物をより効果的に吸着できる。とくに、土木工事で発生する多量の浮遊汚物を効率よく付着させて浄化できる。また、水面近くに配置される浄化ユニット15は、フェンス部2を引き上げることなく、水面近傍において簡単に交換できる特徴もある。
さらに、浄化手段4は、図7に示すように、複数の浄化ユニット15をフェンス部2に複数列に配置することもできる。図に示す浄化手段4は、複数の浄化ユニット15をフェンス部2の上端と上端から離間した位置の2列に配置している。さらに、図の浄化手段4は、フェンス部2の上端に配置される浄化ユニット15と、上端から離間して配置される浄化ユニット15の左右の位置をずらせて、上下に交互に配置している。この構造は、水面近くに配置される浄化部材13によって、水面近くに浮遊する汚物を吸着しながら、浅い水深部分に配置される浄化ユニット15によって、浅い部分に停滞する汚物も効果的に吸着できる。このように、浄化手段4は、配置する浄化ユニット15の個数や上下位置、間隔等を種々に変更して、シルトフェンスの設置場所に最適な浄化能力を付加することができる。
以上のシルトフェンス101は、取り外された浄化ユニット15の浄化部材13を水洗いすることで再使用できる。取り外された浄化ユニット15の浄化部材13は、これを構成する炭素繊維の表面に、吸着した汚物やシルトが付着している。この浄化部材13は、水洗いによって汚れ成分が除去される。汚れ成分が除去された浄化部材13は、汚物の吸着力が改善されて再利用される。このように、浄化部材13を再利用することにより、ランニングコストを低減しながら優れた浄化作用を実現できる。
(浄化手段の他の例)
さらに、シルトフェンス101は、浄化手段4を以下の構造とすることもできる。図8と図9に示す浄化手段4は、複数の浄化部材13と、複数の浄化部材13が所定の間隔で脱着自在に固定された紐状の移送線材17と、フェンス部2の下部に配置されて、移送線材17が掛けられた滑車18とを備えている。移送線材17は、中間部を折返し部として滑車18に掛けると共に、折返し部から延びる一対の延長部17A、17Bを水面まで延長し、さらに、一方の延長部17Aに複数の浄化部材13を脱着自在に固定している。
図8と図9に示す浄化手段4は、移送線材17に脱着自在に固定される浄化部材13として、図5に示す前述の浄化ユニット15を使用している。すなわち、炭素繊維からなる紐状体13Aである浄化部材13を固定具14に固定して浄化ユニット15としている。図の浄化手段4は、滑車18に掛けられた移送線材17の一方の延長部17Aに、複数の浄化ユニット15を脱着自在に固定している。複数の浄化ユニットは、上下方向に離間して所定の間隔で固定されている。この浄化手段4は、浄化効率とコストを考慮して、フェンス部2の上下幅(H)に対して上下方向に配置する浄化ユニット15の個数と間隔(k)を決定する。
浄化手段4は、複数の浄化ユニット15が固定される移送線材17をロープとしている。ロープである移送線材17は、中間部を滑車18に掛ける状態で水中に配置されている。図8の移送線材17は、一方の延長部17A(図において左側)には複数の浄化ユニット15を所定の間隔(k)で連結しながら水面まで延長し、他方の延長部17B(図において右側)はそのまま水面まで延長している。ロープである移送線材17は、例えば、図10の拡大図に示すように、連結リング19を挿通して固定すると共に、この連結リング19に浄化ユニット15の固定具14を脱着自在に連結できるようにしている。図に示す浄化手段4は、連結リング19を金属リングとするが、連結リング19はロープに固定された紐体をリング状に形成したものとすることもできる。
滑車18は、図8と図9に示すように、フェンス部2の下端部に、垂直面内で回転できるように固定されている。滑車18は、外周面に移送線材17を案内する嵌入溝18Aが設けられており、この嵌入溝18Aに案内された移送線材17を移動させる状態で回転できるように、回転軸20を介してフェンス部2に固定されている。さらに、滑車18に掛けられた移送線材17が嵌入溝18Aから外れないように、滑車18の下側半分には正面視半円状の滑車カバー21が設けられている。この滑車カバー21は、滑車18に掛けられた移送線材17の一方の延長部17A(17B)を上方に引っ張る状態では、滑車18をスムーズに回転させて、かつ滑車18から移送線材17が外れるのを防止する。滑車18及び滑車カバー21は、例えば、ステンレス等の金属製で、自重により水中に沈降する比重としている。このように、水中において沈降する滑車18及び滑車カバー21により、滑車18に掛けられた移送線材17は水面から水底に向かって張設された状態で配置される。ただ、滑車と滑車カバーはプラスチック製とすることもできる。滑車と滑車カバーをプラスチック製とする構造は、下端に錘を設けることで水中で沈降させることができる。
滑車18は、図9の一部拡大図に示すように、水中に吊り下げられた状態では、回転軸20が水平姿勢となるように配置されている。このことを実現するために、滑車18の回転軸20は、図8と図9の一部拡大図に示すように吊り下げバンド22を介して吊り下げられている。すなわち、滑車18の回転軸20は、直接にフェンス部2に固定されることなく、吊り下げバンド22を介してフェンス部2に固定されている。この構造は、水中において自重で落下する滑車18の回転軸20を、滑車18の両側において吊り下げバンド22で支承するので、回転軸20を確実に水平姿勢に保持できる。
滑車18の位置は、水底に近いほど、浄化部材を水中の深い位置まで移送できる。ただ、滑車18は、図9の(b)で示すように水底に接触すると、正しく駆動しなくなるおそれがある。したがって、滑車18は、図8に示すように、フェンス部2の下部であって、好ましくはフェンス部2の下端よりもある程度上方に配置される。滑車18の固定位置は、図9の(a)に示すように、少なくとも満潮時等の海面の上昇位置において、海底に接触しない位置とすることができる。図8のフェンス部2は、滑車18を配置する位置であって、フェンス部2の下端からの距離(t)をフェンス部2の上下幅(H)の約1/6としている。ただ、滑車18を設ける位置は、フェンス部2の下端からの距離(t)がフェンス部2の上下幅(H)の1/2以内、好ましくは1/4以内となる位置とすることができる。
さらに、水面まで延長された移送線材17の両端部を固定するために、水面近くにはリング23が配置されている。滑車18から水面まで延長された延長部17A、17Bは、水面近くにおいてこのリング23に挿通されている。図に示すリング23は、略円形であって、浄化ユニット15の交換時に、浄化ユニット15を通過できる内形としている。このリング23は、一端がフェンス部2の上端又はフロート部1に連結されており、このリング23に移送線材17の上端部を挿通して連結することで、移送線材17の両端部の位置を把握しながら管理することができる。移送線材17の両端部は、例えば、リングに結びつけて、あるいは連結具を介してリングに固定することができる。
以上の浄化手段4は、浄化ユニット15を交換する際には、複数の浄化ユニット15が固定された延長部17Aを上方に引っ張って浄化ユニット15を水面まで引き上げることで、浄化ユニット15を取り外して簡単に交換できる。また、浄化ユニット15を新しいものと交換した後、浄化ユニット15が固定されない側の延長部17Bを上方に引っ張ることで、浄化ユニット15が固定された側の延長部17Aを水中に沈降させて、浄化ユニット15を水中の定位置に配置できる。なお、以上のように浄化ユニット15を交換する場合は、図9の(a)で示すように、満潮時等のように海面が上昇位置にあるタイミングであって、少なくとも滑車18が水底に接触していない状態で行うことが好ましい。
さらに、シルトフェンス101は、浄化手段4を、図11に示す構造とすることもできる。図11に示す浄化手段4は、複数の浄化部材13が所定の間隔で脱着自在に固定された紐状の移送線材17を、水面近くにおいて、フェンス部2の上端に沿って配置している。図の浄化手段4は、複数の浄化部材13と、複数の浄化部材13が所定の間隔で脱着自在に固定された紐状の移送線材17と、フェンス部2の上端部に配置されて、移送線材17が掛けられた滑車18とを備えている。図の浄化手段4は、フェンス部2の上端部であって左右の一端(図においては左端)に位置して、滑車18を固定している。移送線材17は、中間部を折返し部として滑車18に掛けると共に、折返し部から延びる一対の延長部17A、17Bを水面に沿って左右の他端(図においては右端)まで延長し、さらに、一方の延長部17Aに複数の浄化部材13を脱着自在に固定している。
図11に示す浄化手段4も、移送線材17に脱着自在に固定される浄化部材13として、前述の浄化ユニット15を使用している。複数の浄化ユニット15は、左右方向に離間して所定の間隔(k)で固定されている。この浄化手段4も、浄化効率とコストを考慮して、左右方向に配置する浄化ユニット15の個数と間隔(k)を決定する。図11の移送線材17は、一方の延長部17A(図において下側)には複数の浄化ユニット15を所定の間隔(k)で連結しながらフェンス部2の他端(図において右端)まで延長し、他方の延長部17B(図において上側)はそのまま他端(図において右端)まで延長している。
滑車18は、フェンス部2の上端部に、垂直面内で回転できるように固定されている。この滑車18には、前述の滑車と同じものが使用できる。滑車18は、外周面に設けた嵌入溝に案内された移送線材17を移動させる状態で回転できるように、回転軸20を介してフェンス部2に固定されている。さらに、滑車18に掛けられた移送線材17が嵌入溝から外れないように、滑車18の片側(図においては左側)半分には正面視半円状の滑車カバー21が設けられている。この滑車カバー21は、滑車18に掛けられた移送線材17の一方の延長部17A(17B)を滑車18から離れる方向に引っ張る状態では、滑車18をスムーズに回転させて、かつ滑車18から移送線材17が外れるのを防止する。滑車18の位置は、水面に近いほど、浄化部材13を水面近くに配置して、水面付近に浮遊する汚物を効果的に吸着でき、また、移送線材17に連結された浄化ユニット15の交換が容易になる。したがって、滑車18は、フェンス部2の上端から回転軸20までの距離(d)が、数cm〜数十cmとなる位置に配置される。
さらに、水面に沿って延長された移送線材17の両端部を固定するために、フェンス部の上端部の他端(図において右端)にはリング23が配置されている。滑車18が固定された位置からフェンス部2の他端まで水面に沿って延長された延長部17A、17Bは、このリング23に挿通されて固定される。移送線材17の両端部は、例えば、リング23に結びつけて、あるいは連結具を介してリング23に固定することができる。
以上の浄化手段4は、浄化ユニット15を交換する際には、リング23の近傍にボートを停止させると共に、その停止位置からボートを移動させることなく、複数の浄化ユニット15を能率良く交換することができる。この浄化手段4は、リング23の近傍において、複数の浄化ユニット15が固定された延長部17Aを引っ張って浄化ユニット15をボートまで引き寄せることで、浄化ユニット15を順次取り外して簡単に交換できる。また、浄化ユニット15を新しいものと交換した後、浄化ユニット15が固定されない側の延長部17Bを引っ張ることで、浄化ユニット15が固定された側の延長部17Aをフェンス部の反対側まで移動させて、浄化ユニット15を水面に沿って所定の間隔で配置できる。なお、以上の浄化手段4を用いて浄化ユニット15を交換する場合は、潮の干満等の条件に左右されることなく行うことができる。
(サブ浄化手段5)
さらに、シルトフェンス101は、交換可能な浄化手段4に加えて、水質の浄化作用を有するサブ浄化手段5を備えることができる。このサブ浄化手段5は、汚物の吸着作用を有する炭素繊維からなる平面状のサブ浄化部材24で構成される。図11〜図13に示すシルトフェンス101は、浄化作用を促進する平面状のサブ浄化部材24として炭素繊維からなる浄化シートをフェンス部2に固定している。浄化シートであるサブ浄化部材24は、フェンス部2の表面であって、汚濁領域である周辺水域52側に配置される。このような浄化シートとして炭素繊維をシート状に成形したもの、例えば織物シートや編物シートが使用できる。ただ、平面状のサブ浄化部材には、炭素繊維からなる網材等も使用できる。さらに、以上のサブ浄化部材24は、図示しないが、フロート部1に固定することも、フェンス部2とフロート部1の両方に固定することもできる。炭素繊維のシート材や網材からなるサブ浄化部材24は、例えば、フェンス部2を構成するシート材やフロート部1のカバー部12に縫い付けることによって簡単に固定できる。
以上のサブ浄化部材24は、フェンス部2やフロート部1に対して、交換できないように固定される。したがって、サブ浄化部材24は、シルトフェンスを設置する最初から、除去される最後まで交換されることなく水中に配置される。このシルトフェンス101は、サブ浄化部材24を前述の浄化部材13のようには交換できないが、吸着能力を有する炭素繊維からなるサブ浄化部材24を長期間にわたって水中に配置することで、水中の汚濁成分を付着して汚濁水を浄化する。すなわち、サブ浄化手段5により浄化作用がさらに付加されるため、シルトフェンス101の浄化能力が向上する。
以上のように、炭素繊維のシート材や網材からなるサブ浄化部材24は、図12に示すように、フェンス部2の全面にわたって配置することで最も効果的に汚濁領域の水質を浄化できる。なお、図12においては、フェンス部2の表面の全面にわたってシート材のサブ浄化部材24を配置する状態をわかりやすくするために、フェンス部2の左下部分に対向して配置されるサブ浄化部材24を部分的に除去している。
また、図11と図13に示すシルトフェンス101は、サブ浄化部材24をフェンス部2の表面に部分的に配置している。図11と図13に示すシルトフェンス101は、フェンス部2の表面であって、浄化手段4を配置しない領域において、サブ浄化部材24を配置している。
図11に示すシルトフェンス101は、浄化手段4をフェンス部2の上端部に左右方向に延長して配置しているので、シート状のサブ浄化部材24を、フェンス部2の上下の中間部に左右方向に延長して帯状に配置している。図11のサブ浄化部材24は、フェンス部2の左右の両端にわたって配置している。ただ、フェンス部の左右に延長して配置されるサブ浄化部材は、フェンス部の左端部や右端部を除く部分に配置することも、中間部分のみに配置することもできる。また、左右方向に延長して配置されるサブ浄化部材は、上下方向に複数列に離間して配置することもできる。このシルトフェンスは、設置場所の汚濁状況に応じて、例えば、水面付近をより浄化したい場合には、フェンス部の上部に帯状にサブ浄化部材を配置し、水底付近をより浄化したい場合には、フェンス部の下部に帯状にサブ浄化部材を配置することで、特定の場所を集中的に浄化することもできる。
また、図13に示すシルトフェンス101は、上下方向に配置された浄化手段4を左右方向に離間して複数列に配置しているので、これ等の浄化手段4の間に位置して、シート状のサブ浄化部材24をフェンス部2の上下方向に延長して配置している。図のサブ浄化部材24は、フェンス部2の上端から下端にわたって配置している。ただ、フェンス部の上下に延長して配置されるサブ浄化部材は、フェンス部の上端部や下端部を除く部分に配置することも、中間部分のみに配置することもできる。以上のように、フェンス部に部分的にサブ浄化部材24を設ける構造は、使用するサブ浄化部材24の面積を少なくして低コストにしながら、シルトフェンス101の浄化作用を向上できる。図13のシルトフェンス101は、上下方向に延長されたサブ浄化部材24を左右方向に離間して配置している。このシルトフェンスは、左右に離間して配置されるサブ浄化部材24の左右幅(S)と間隔(K)とを種々に変更してシルトフェンス101の浄化能力を調整できる。
さらに、シルトフェンス101は、炭素繊維のシート材からなるサブ浄化部材24を厚くして十分な強度を実現できる場合には、フェンス部2自体を炭素繊維のシート材で構成することもできる。すなわち、フェンス部2として、前述のプラスチック繊維で製造された織物シートや編物シート、あるいはプラスチックシートからなるシート材に代わって、炭素繊維のシート材からなるサブ浄化部材24を単独で使用することもできる。このシルトフェンス101は、周辺水域側の水質を浄化するだけでなく、周辺水域の外側における水質も浄化できる。
以上のサブ浄化手段5を備えるシルトフェンス101は、汚濁水域から除去された後、サブ浄化部材24を水洗いすることで再使用できる。使用後のシルトフェンス101は、サブ浄化部材24を構成する炭素繊維の表面に吸着した汚物やシルトが付着している。このサブ浄化部材24も、前述の浄化部材13と同様に、水洗いによって汚れ成分が除去される。汚れ成分が除去されたサブ浄化部材24は、汚物の吸着力が改善されて、再利用される。すなわち、シルトフェンス101は、サブ浄化部材24を交換することなく再利用できる。このように、サブ浄化部材24再利用するシルトフェンス101は、コストを低減できる。