JP6491389B1 - Miケーブルの製造方法および製造装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】品質が良く長尺なMIケーブルを効率よく提供できる製造技術を提供せんとする。【解決手段】板材90を上方位置から斜め下方の位置に向けて連続的に移送する移送部10と、該移送部10により移送される間、板材90を平板状からU字状に成形し、さらに筒状に成形する成形部11を備え、さらに板材90がU字状である区間にて、上側の開口部91から内側に絶縁材を連続的に供給する絶縁材供給部12と、筒状に成形された後の移送区間にて互いに近接または接触している両側端部を溶接接合する溶接部13を備えている。【選択図】図1

Description

本発明は、MIケーブルの製造方法および製造装置に関する。
従来、温度センサ用ケーブルやヒータ用ケーブル、通信ケーブルなどのMI(Mineral Insulated)ケーブルは、金属シースのパイプ状の素管内に、導線や熱電素線、ヒーター線などの金属線および絶縁材を組み込み、これを所定のサイズまで穴ダイスを用いた伸線・縮径加工して製造されている。出来上がるケーブルの長さは原材料の金属パイプ(素管)の長さで制限されることになる。現在一般的に市販されている金属パイプの長さは7m程度で、例えば4.8mm径のシース型熱電対のケーブルでは約200m程度の長さが製造できる限界である。このため、たとえばシェールオイル採掘用のMIケーブルとして求められる2000m等には遠く及ばず、この場合、接続具などを使用する必要が生じるため、コストが上がり、労力も要求され、さらに接続部分のシール性など品質面でも問題が生じる虞があった。また、絶縁材の充填作業が難しく、充填度にも一定の限界があり、金属線の位置決めも容易ではない。
これに対し、特許文献1には、金属テープを円筒状に成形しつつ、該円筒内へ導体を挿入し、該金属テープの突き合せ部を接合して金属シースを形成するとともに、導体と金属シースの隙間に無機質粉末を充填し、ついて伸線または圧延加工を施すことで無機絶縁電線を連続的に製造する方法が提案されている。このような連続的な製造方法によれば、比較的長尺な金属テープを購入して長尺なケーブルを連続的に製造することができ、絶縁材の充填度を高めることや金属線の位置決めも容易となる。
しかし、特許文献1の製造方法は、互いに溶接接合される突き合せ部分に無機質粉末が付着して溶接接合部の品質が安定しないといった問題や、無機質粉末の充填状態の変動によって充填レベル面が変動することが避けられず、溶接前の突き合せ部分から無機質粉末が漏れ出てしまったり多量の無機質粉末が付着して上記溶接接合品質をより悪化させてしまうという課題があった。
特開昭54−103589号公報
そこで、本発明が前述の状況に鑑み、解決しようとするところは、絶縁材の充填度が高く、金属線の位置決めも安定させることが容易で、品質が良く、長尺なMIケーブルを効率よく提供できる製造技術を提供する点にある。
本発明は、以下の発明を包含する。
(1) 金属シース内に、、単又は複数本の金属線が配置され、且つ隙間に絶縁材が充填されてなるMIケーブルの製造方法であって、金属シース材料として金属の板材を、上方位置から斜め下方の位置に向けて連続的に移送する過程で、該板材の両側端部から徐々に上側に立ち上がるように平板状からU字状、さらに両側端部が互いに近接又は接触した筒状に成形してゆき、前記U字状の区間にて、上側の開口部から内側に絶縁材を連続的に供給し、前記筒状に成形された後の区間にて、前記互いに近接または接触している両側端部を溶接接合することを特徴とする、MIケーブルの製造方法。
(2) 前記移送される板材が、少なくとも前記両側端部が溶接接合されるまでの間、底部に平坦な領域を維持したまま、前記筒状に成形されてゆく、(1)記載のMIケーブルの製造方法。
(3) 前記供給された粉末の充填レベル面を検知する検知装置が設けられ、該検知装置の出力信号に基づき、前記充填レベル面を前記溶接接合された後の区間における所定位置になるように絶縁材の供給量を制御する、(1)又は(2)記載のMIケーブルの製造方法。ここに「充填レベル面」とは、内部の絶縁材のそれより以降はすでに充填された状態となる充填終端位置である充填のレベル面をいう。
(4) 前記金属シース内の所定の位置に金属線を配するための、金属線供給用の案内治具を、前記筒状に成形された区間の定位置まで挿入した状態に配置してなる(1)〜(3)のいずれかに記載のMIケーブルの製造方法。
(5) 前記溶接接合され且つ絶縁材が充填された後の区間にて、所定の形状になるようにローラによる圧延加工、又はダイスを用いた伸線加工を行う、(1)〜(4)のいずれかに記載のMIケーブルの製造方法。
(6) 金属シース内に、、単又は複数本の金属線が配置され、且つ隙間に絶縁材が充填されてなるMIケーブルを製造する製造装置であって、金属シース材料として金属の板材を、上方位置から斜め下方の位置に向けて連続的に移送する移送部と、該移送部により移送される間に、該板材の両側端部から徐々に上側に立ち上がるように平板状からU字状、さらに両側端部が互いに近接又は接触した筒状に成形する成形部と、前記U字状の区間にて、上側の開口部から内側に絶縁材を連続的に供給する絶縁材供給部と、前記筒状に成形された後の移送区間にて、前記互いに近接または接触している両側端部を溶接接合する溶接部と、を備えることを特徴とする、MIケーブルの製造装置。
(7) 前記成形部が、少なくとも前記両側端部が溶接接合されるまでの間、前記移送される板材を、底部に平坦な領域を維持したまま、前記筒状に成形してゆく、(6)記載のMIケーブルの製造装置。
(8) 前記供給された絶縁材の充填レベル面を検知する検知部と、該検知部の出力信号に基づき、前記充填レベル面を前記溶接接合された後の区間における所定位置になるように絶縁材の供給量を制御する制御部と、を備えることを特徴とする、(6)又は(7)記載のMIケーブルの製造装置。
(9) 前記金属シース内の所定の位置に金属線を配するための、金属線供給用の案内治具を、前記筒状に成形された区間の定位置まで挿入した状態に配置してなる(6)〜(8)のいずれかに記載のMIケーブルの製造装置。
(10) 前記溶接接合され且つ絶縁材が充填された後の区間にて、所定の形状になるようにローラによる圧延加工、又はダイスを用いた伸線加工を行う圧延加工部を設けた、(6)〜(9)のいずれかに記載のMIケーブルの製造装置。
以上にしてなる本願発明に係る製造装置および製造方法は、板材を上方位置から斜め下方の位置に向けて連続的に移送する過程で、該板材の両側端部から徐々に上側に立ち上がるように平板状からU字状、さらに両側端部が互いに近接又は接触した筒状に成形してゆき、前記U字状の区間にて、上側の開口部から内側に絶縁材を連続的に供給し、前記筒状に成形された後の区間にて、前記互いに近接または接触している両側端部を溶接接合するため、長尺なMIケーブルを効率よく製造できると同時に、供給された絶縁材が溶接接合される板材の側端部に付着してしまうことなく斜め下方に板材の底面を滑るように供給して重力により充填させることができ、充填度を高めることができると同時に溶接接合部に絶縁材が混じってしまうことを回避でき、品質の良い溶接接合部を維持できる。
現在、金属の板材(フープ)はコイル状に巻き取って供給されており、運搬に可能な重量まで製作可能であるが、市販品でも数百mのものがあり、4.7mm径まで加工をおこなえば数千mの長尺なロングケーブルが効率よく低コストで製造できる。
また、移送される板材が、少なくとも前記両側端部が溶接接合されるまでの間、底部に平坦な領域を維持したまま、前記筒状に成形されてゆくものでは、底部の平坦面が位置決め用の面として機能し、移送中の板材の回転(捻じれ)を防止し、安定した姿勢が保持され、これにより溶接接合される両側端部の位置も安定し、溶接接合を同じ位置で精度よく品質よく接合できる。
また、供給された粉末の充填レベル面を検知する検知装置が設けられ、該検知装置の出力信号に基づき、前記充填レベル面を前記溶接接合された後の区間における所定位置になるように絶縁材の供給量を制御するものでは、絶縁材が溶接前の開口部分から漏れ出てしまったり側端部に付着して溶接接合の品質を低下させることを防止できるとともに、充填レベル面を溶接位置に近い位置に設定することができ、ライン長の短縮による装置の効率化が可能となる。さらに、充填レベル面が下降して絶縁材の充填区間が足りなくなると、充填密度が低下し、その後の圧延工程などで金属線が容易に動いてしまったり空気等が残留し易くなるといった不都合も生じるが、そのような不都合も未然に防止できる。
また、金属シース内の所定の位置に金属線を配するための、金属線供給用の案内治具を、前記筒状に成形された区間の定位置まで挿入した状態に配置してなるものでは、金属線を所定の位置に配置し、品質のよいケーブルを効率よく製造できる。
また、溶接接合され且つ絶縁材が充填された後の区間にて、所定の形状になるようにローラによる圧延加工を行うものでは、該圧延加工をそのまま一工程内で連続的に効率よく行うことができるため、伸線加工よりも効率よく製造できる。
本発明の代表的実施形態にかかるケーブル製造装置の全体構成を示す概略説明図。 同じく製造装置の要部を示す説明図。 同じく製造装置の他の要部を示す説明図。 (a)は同じく製造装置が備える金属線の案内治具を示す説明図、(b)は同じく案内治具が板材内に配置された状態を示す断面図。 板材が成形され、金属線、絶縁材が供給される様子を示す説明図。 板材がさらに成形され、溶接、圧延加工される様子を示す説明図。 板材を成形する第1フォーミング装置の成形ローラ対を示す説明図。 第2フォーミング装置の成形ローラ対を示す説明図。 第3フォーミング装置の成形ローラ対を示す説明図。 圧延加工部の圧延ローラ対を示す説明図。
次に、本発明の実施形態を添付図面に基づき詳細に説明する。
本発明の製造方法、製造装置により製造されるMIケーブルCは、図6(e)の断面図に示すように、ステンレス等からなる金属シース9内に、、単又は複数本の金属線8が配置され、且つ隙間に絶縁材7が充填された構造のケーブルである。具体的には熱電対ケーブル、抵抗体リードケーブル、ヒータケーブル、通信ケーブルなどであり、金属線8は熱電対素線、ヒータ線、導電線などである。また、絶縁材7は、従来からこれらのケーブルに用いられるものを広く用いることができ、たとえば酸化マグネシウム(MgO)などの紛体を用いることができる。
本発明にかかるMIケーブルの製造装置1は、図1に示すように、金属シース材料として金属の板材90を、上方位置から斜め下方の位置に向けて連続的に移送する移送部10と、該移送部10により移送される間、図5(a)〜(b)に示すように板材90の両側端部90a,90bから徐々に上側に立ち上がるように平板状からU字状に成形し、さらに、図6(a),(b)に示すように両側端部90a,90bが互いに近接又は接触した筒状に成形する成形部11を備えている。
また、製造装置1は、さらに前記板材90が前記U字状である区間にて、上側の開口部91から内側に絶縁材を連続的に供給する絶縁材供給部12と、前記筒状に成形された後の移送区間にて、前記互いに近接または接触している両側端部を溶接接合する溶接部13を備えている。金属線8は、前記板材90が平板状の区間から板材90と並行して供給されてもよいし、絶縁材と同様、板材90が前記U字状である区間にて上側の開口部91から内側に供給されてもよい。本例の製造装置1では、後者の例であり、前記開口部91から金属線8を内側に供給する金属線供給部18をさらに備えている。
金属シース材料としてステンレス等の金属の板材(フープ材)90は、一定幅の連続した長尺な帯状の材料であり、これをコイル状に巻いたボビンよりなる供給装置2から連続的に引き出され、製造装置1の前記上方位置の端部に設けられた供給ローラ101を介して前記斜め下方に向けて移送される。板材90の幅、厚みは製造するケーブルの金属シースの径、厚みに応じて適宜選択され、たとえば幅36mm、厚み1.2mmのものなどが使用される。
板材90は、傾斜した装置基台面19上に設けられた各移送部10により当該基台面19に沿って平行に上方位置から下方の位置に向けて移送され、その過程で内部に金属線8および絶縁材7が供給されるとともに筒状に成形される。そしてケーブルCに成形された後、移送部10を構成している巻取り案内ローラ30を介してボビンよりなる巻き取り装置3に巻き取られる。
基台面19の傾斜は、供給される絶縁材7が重力により板材90上を下方に滑り落ち、筒状に成形された板材90内に密充填される角度であり、かつ供給される絶縁材7が筒状に成形された板材90の互いに近接又は接触する側端部90a,90b間に介在しない角度に設定される。たとえば、15°以上90°未満が好ましく、15°以上80°以下がより好ましい。
成形部11は、基台面19に沿って上側の位置から、板材90を図5(a)に示す平板状から図5(b)に示すようなU字状に成形する、複数の成形ローラからなる第1フォーミング装置11A、板材90を図5(b)〜(d)に示すU字状から図6(a)に示すような略丸形の筒状に成形する、複数の成形ローラからなる第2フォーミング装置11B、および板材90を図6(a)のような略丸形の筒状から略三角形の筒状に成形する、複数の成形ローラからなる第3フォーミング装置11Cより構成されている。
第1フォーミング装置11Aは、たとえば、図7に示すように、第1段目の上下の成形ローラ40、41よりなる成形ローラ対111と、第2段目の上下の成形ローラ42、43よりなる成形ローラ対112と、第3段目の上下の成形ローラ44、45よりなる成形ローラ対113とを備えた、複数段の成形ローラ対より構成される。第2フォーミング装置11Bは、たとえば図8に示すように、上下の成形ローラ46、47よりなる成形ローラ対114により構成される。板材90は各成形ローラ対の対面するローラ面(外周面)の間で加圧されてローラ面の形状に沿った形に成形される。
各成形ローラ対111〜114の下側の成形ローラのローラ面は断面凹形状であり、その底面には、少なくとも中央部に断面視で軸方向に平行な略直線状の面が設けられている。これにより、第1フォーミング装置11Aおよび第2フォーミング装置11Bによって平板状から筒状に成形されるまでの間、板材90は底面(下面)に平坦な領域が維持されることになる。すなわち板材90は、第1フォーミング装置11Aによって図5(b)に示すように底部に平坦面R1を有するU字状に成形され、さらに第2フォーミング装置11Bによって底部に平坦面R2を有する筒状に成形される。
第3フォーミング装置11Cは、たとえば図9に示すように、上下の成形ローラ48、49よりなる成形ローラ対115により構成される。この第3フォーミング装置11Cにより略三角形の筒状に成形されることで、上端の互いに溶接接合される板材の両側端部90a,90bがより近接または接触し、溶接接合を確実に行うことができるとともに、底部の平坦面R3がより広くなり、ねじれ等を生じずに前記両側端部の位置が安定し、品質のよい溶接接合を安定して行うことができる。
上記基台面19上の第1フォーミング装置11Aと第2フォーミング装置11Bの間の位置には、U字状の板材の上側の開口部91を通じて絶縁材7を内側に供給する絶縁材供給部12、および同じく開口部91を通じて金属線8を内側に供給する金属線供給部18が設けられている。絶縁材供給部12は、公知の粉体フィーダ120を広く用いることができ、投下口の隙間を可変にして排出速度を制御できるものが好適である。使用する絶縁材7の種類に応じて、粉体用以外に、液体用、スラリー用、ゲル用等のフィーダを適宜用いることができる。図2にも示すように、粉体フィーダ120から排出された絶縁材7は板材90の開口部91から内側に差し込まれたホッパ121を介して板材90の内側に供給される。
供給された絶縁材7は、板材90の内側底面に沿って下方に滑り落ち、図2に示すように、溶接部13による溶接位置T1よりも下方の位置T2で筒状の板材内部に充填される。すなわち、内部の絶縁材のそれより以降(下側)はすでに充填された状態となる充填終端位置である充填レベル面L0(位置T2)が、溶接部13で溶接される位置T1よりも下方の位置となるように、上述の絶縁材供給部12の供給速度、本例では粉体フィーダ120の排出速度が設定される。
これにより、溶接前の区間の絶縁材7は板材90の内部底面に沿って滑り落ちることとなり、絶縁材7が溶接前の板材側端部90a,90b間の隙間から外部に漏れ出たり、溶接される前の当該側端部90a,90bに絶縁材が付着して溶接接合の品質が低下してしまうことが回避されている。この充填レベル面L0の位置を、溶接位置T1よりも下方の位置により確実に制御するために、本製造装置1には、さらに充填レベル面L0を検知するための検知部14と、該検知部の出力信号に基づき、前記充填レベル面を前記溶接接合された後の区間における所定位置T2になるように絶縁材の供給量を制御する制御部15とを備えている。
検知部14は、溶接接合された後の筒状の板材90の外壁を一定の力で叩くハンマー装置140と、その音を定位置で入力する集音マイク141とが設けられている。集音マイク141から入力された音情報はコンピュータよりなる制御部15に送られ、その演算処理部(CPU)において前記音情報の周波数に基づいて充填レベル面の変動を検知し、絶縁材供給部12の供給速度を制御する制御信号を生成し、該信号を絶縁材供給部12に送信して供給速度を制御する。
ハンマー装置140は所定の間隔で板材外壁を叩く。そして制御部15が、前記音情報の周波数に基づいて絶縁材供給部12の供給速度を充填レベル面L0が一定位置T2になるようにフィードバック制御する。充填レベル面L0が変動すれば周波数も変動する。これを捉えて制御するのである。このように制御部15の演算処理部は、充填レベル面の変動を検知する検知処理部と、検知された変動に基づき絶縁材供給部12を制御する制御信号生成処理部と、該信号を送信して絶縁材供給部12を動作制御する制御処理部とが設けられ、これら処理部は制御部15内のメモリ等の記憶手段に記憶された各種パラメータ情報およびプログラムによって実現される。
このように充填レベル面L0をモニタリングして定位置に制御できるため、絶縁材が溶接前の開口部分から漏れ出てしまったり側端部90a,90bに付着して溶接接合の品質を低下させることを防止できるとともに、充填レベル面L0を溶接位置T1に近い位置に設定することができ、これによりライン長の短縮による装置の効率化が可能となるほか、充填レベル面が下降して絶縁材の充填区間が足りなくなると、充填密度が低下し、その後の圧延工程などで金属線8が容易に動いてしまったり空気等が残留し易くなるといった不都合も生じるが、そのような不都合も未然に防止できることになる。
また、同じく充填レベル面L0を定位置に制御できることから、後述する案内治具16を充填レベル面L0の近くまで挿し込んだ位置に配置することができ、金属線8の位置をより安定化させることが可能となる。案内治具16が充填レベル面L0よりも下方の位置になると、絶縁材の充填部分によって案内治具16が詰まってしまったり下方の絶縁材充填領域内に引きずり込まれてしまうという事態が生じるが、本例のように充填レベル面L0を所定の位置T2に安定化させることができることで、案内治具16も充填レベル面L0の近くまで配置させることができるのである。ハンマー装置140による打撃は絶縁材7の充填密度を上げ、空気を抜く効果もある。
金属線供給部18は、金属線をコイル状に巻いたボビンよりなる供給装置80から連続的に引き出された金属線8を前記開口部91から板材90の内側に引き込むためのものであり、図3にも示すように、ガイド部材50、51およびガイドローラ52を備えたガイド装置5が設けられている。さらに、金属シース内の所定の位置に金属線8を配するための、金属線供給用の案内治具16が、板材90の筒状に成形された区間の定位置まで挿入された状態に配置されている。
案内治具16は、具体的には、図4(a)、(b)に示すように、基端側が板材90の開口部91から外部に突出して前記ガイド装置5などの外部の装置に支持される棒状またはパイプ状の芯基材60と、該芯基材60の先端部外周面上に設けられ、芯基材60を板材90内の所定の断面位置に規制するとともに金属線8を板材90内側の所定の断面位置に配するための第1ガイド部材61と、芯基材60の長手方向途中部の外周面上に設けられ、当該芯基材60を板材90内側の所定の断面位置に配するための第2ガイド部材62と、同じく長手方向途中部の外周面上に設けられ、金属線8を位置規制する第3ガイド部材63とより構成されている。
先端部の第1ガイド部材61は、金属線8が配置されるべき位置に略L字状のガイド片が単または複数突設された部材であり、ガイド片に挟持されるように金属線8が位置規制される。また、当該第1ガイド部材61は上述の溶接位置T1よりも下方の充填レベル面L0の近傍位置に配置され、板材90は図4(a)に示すように略三角形の筒状に成形されている。第1ガイド部材61のガイド片の先端が当該筒状の板材90の内壁に当接することで、芯基材60はほぼ中央の位置に位置規制され、ねじれ等も防止される。
第2ガイド部材62は、芯基材60の真下の位置に略L字状のスペーサ片が突設されたものであり、スペーサ片の先端が板材90の底面に当接することで芯基材60が板材90の内側の所定位置に位置規制されるものである。第2のガイド部材62は長手方向途中部に設けたが、第1ガイド部材と同様、先端部に設けてもよい。第3ガイド部材63は、第1ガイド部材61のガイド片に対応する位置に設けられる筒体より構成され、該筒体内に金属線8を通すことで金属線を位置規制するものである。
板材90は上述のとおり筒状に成形されるまでの間、底面に平坦面R1〜R2が維持され、溶接前後も三角形に成形され、同じく底面に平坦面R3が維持されることから、内側底面にも同じく平坦面が維持され、これにより前記第2ガイド部材62の略L字状のスペーサ片の一対の先端辺が各々当該平坦面に当接し、芯基材60を回転させることなく、所定位置に安定配置し、金属線のねじれをより確実に防止できるように構成されている。このような案内治具16によれば、金属線8と金属シース9との接触や、複数本設けられる場合の金属線同士の接触を確実に防止し、金属線を所定の位置に配置することができる。
溶接部13は、たとえばプラズマ溶接機より構成され、略三角形の筒状に成形された板材90の両側端部90a、90b間を連続的に溶接する。ここで、両側端部90a,90b間の位置を検出するセンサ(光センサ、撮像カメラ)を設け、検出された位置の情報に基づいて溶接部13の溶接機の位置を自動調整する機構および制御部を設けることや、同じく検出した位置が正しい位置からずれた場合に機械を止める等の制御部を設けることも好ましい。溶接部13の下側(下流側)に隣接する位置には、断面視略三角径の板材の上端溶接接合部92に当接する当接ローラ21と下端の平坦面R3に当接する平坦な案内面220を有するガイド板22よりなる規制装置20が設けられている。この規制装置20の当接ローラ21とガイド板22との間で溶接直後の板材90は回転することなく安定した姿勢のまま移送され、両側端部90a.90bの位置が安定して溶接部13による溶接接合の品質がより安定化するように構成されている。
また、製造装置1は、溶接部13で溶接接合され且つ絶縁材7が充填された後の区間にて、所定の形状になるようにローラによる圧延加工を行う圧延加工部17が設けられている。圧延加工部17は、たとえば、図10に示すように、第1段目の上下の圧延ローラ70、71よりなる圧延ローラ対171と、第2段目の左右の圧延ローラ72、73よりなる圧延ローラ対172と、第3段目の上下の圧延ローラ74、75よりなる圧延ローラ対173と、第4段目の左右の圧延ローラ76、77よりなる圧延ローラ対174とを備えた、複数段の圧延ローラ対より構成される。
このようの上下方向からの圧延、左右側方からの圧延を交互に繰り返して所定のサイズまで縮径される。本例は4段設けたが、これに何ら限定されない。圧延加工の代わりに伸線加工を行ってもよいが、本発明のような連続的にケーブルを製造する製造装置では圧延加工をそのまま一工程内で連続的に効率よく行うことができるため、圧延加工の方がより好ましい。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明はこうした実施例に何ら限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々なる形態で実施し得ることは勿論である。
1 製造装置
2 供給装置
5 ガイド装置
7 絶縁材
8 金属線
9 金属シース
10 移送部
11 成形部
11A 第1フォーミング装置
11B 第2フォーミング装置
11C 第3フォーミング装置
12 絶縁材供給部
13 溶接部
14 検知部
15 制御部
16 案内治具
17 圧延加工部
18 金属線供給部
19 基台面
20 規制装置
21 当接ローラ
22 ガイド板
30 案内ローラ
40−49 成形ローラ
50 ガイド部材
52 ガイドローラ
60 芯基材
61 第1ガイド部材
62 第2ガイド部材
63 第3ガイド部材
70−76 圧延ローラ
80 供給装置
90 板材
90a,90b 側端部
91 開口部
92 溶接接合部
101 供給ローラ
111−115 成形ローラ対
120 粉体フィーダ
121 ホッパ
140 ハンマー装置
141 集音マイク
171−174 圧延ローラ対
220 案内面
C MIケーブル
L0 充填レベル面
R1−R3 平坦面
T1、T2 位置

Claims (10)

  1. 金属シース内に、単又は複数本の金属線が配置され、且つ隙間に絶縁材が充填されてなるMI(Mineral Insulated)ケーブルの製造方法であって、
    金属シース材料として金属の板材を連続的に移送する移送部と、
    前記板材を平板状からU字状、さらに筒状に成形する成形部と、
    前記U字状に成形された前記板材に対して絶縁材を供給する絶縁材供給部と、
    前記筒状に成形された前記板材の互いに近接または接触している両側端部を溶接接合する溶接部とを備える製造装置を設け、
    前記移送部によって前記板材を、上方位置から斜め下方の位置に向けて連続的に移送する過程で、
    前記成形部によって該板材の両側端部から徐々に上側に立ち上がるように平板状からU字状、さらに両側端部が互いに近接又は接触した筒状に成形してゆき、
    前記U字状の区間にて、前記絶縁材供給部によって上側の開口部から内側に絶縁材を連続的に供給し、
    前記筒状に成形された後の区間にて、前記溶接部によって前記互いに近接または接触している両側端部を溶接接合することにより、
    前記製造装置によって、供給された絶縁材を溶接接合される板材の側端部に付着させることなく斜め下方に板材の底面を滑るように供給して重力により高充填度で充填する、
    MIケーブルの製造方法。
  2. 前記移送部によって移送される板材が、少なくとも前記両側端部が溶接接合されるまでの間、底部に平坦な領域を維持したまま、前記成形部によって前記筒状に成形されてゆく、
    請求項1記載のMIケーブルの製造方法。
  3. 前記製造装置に、
    前記供給された絶縁材の充填レベル面を検知する検知部と、
    該検知部の出力信号に基づき、前記充填レベル面を前記溶接接合された後の区間における所定位置になるように絶縁材の供給量を制御する制御部とを備えさせた、
    請求項1又は2記載のMIケーブルの製造方法。
  4. 前記金属シース内の所定の位置に金属線を配するための、金属線供給用の案内治具を、前記筒状に成形された区間の定位置まで挿入した状態に配置してなる請求項1〜3のいずれか記載のMIケーブルの製造方法。
  5. 前記製造装置に、前記溶接接合され且つ絶縁材が充填された後の区間にて、所定の形状になるようにローラによる圧延加工、又はダイスを用いた伸線加工を行う伸線加工部を備えさせた、請求項1〜4のいずれか記載のMIケーブルの製造方法。
  6. 金属シース内に、単又は複数本の金属線が配置され、且つ隙間に絶縁材が充填されてなるMIケーブルを製造する製造装置であって、
    金属シース材料として金属の板材を、上方位置から斜め下方の位置に向けて連続的に移送する移送部と、
    該移送部により移送される間に、該板材の両側端部から徐々に上側に立ち上がるように平板状からU字状、さらに両側端部が互いに近接又は接触した筒状に成形する成形部と、
    前記U字状の区間にて、上側の開口部から内側に絶縁材を連続的に供給する絶縁材供給部と、
    前記筒状に成形された後の移送区間にて、前記互いに近接または接触している両側端部を溶接接合する溶接部と、
    を備え、
    供給された絶縁材を溶接接合される板材の側端部に付着させることなく斜め下方に板材の底面を滑るように供給して重力により高充填度で充填された、
    MIケーブルの製造装置。
  7. 前記成形部が、少なくとも前記両側端部が溶接接合されるまでの間、前記移送される板材を、底部に平坦な領域を維持したまま、前記筒状に成形してゆく、
    請求項6記載のMIケーブルの製造装置。
  8. 前記供給された絶縁材の充填レベル面を検知する検知部と、
    該検知部の出力信号に基づき、前記充填レベル面を前記溶接接合された後の区間における所定位置になるように絶縁材の供給量を制御する制御部と、
    を備えることを特徴とする、
    請求項6又は7記載のMIケーブルの製造装置。
  9. 前記金属シース内の所定の位置に金属線を配するための、金属線供給用の案内治具を、前記筒状に成形された区間の定位置まで挿入した状態に配置してなる請求項6〜8のいずれか記載のMIケーブルの製造装置。
  10. 前記溶接接合され且つ絶縁材が充填された後の区間にて、所定の形状になるようにローラによる圧延加工を行う圧延加工部、又はダイスを用いた伸線加工を行う伸線加工部を設けた、請求項6〜9のいずれか記載のMIケーブルの製造装置。
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