JP2017512930A - 熱処理後の最終圧延ステップを使用して形成された絶縁導体 - Google Patents

熱処理後の最終圧延ステップを使用して形成された絶縁導体 Download PDF

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Abstract

絶縁電気導体(MIケーブル)は、内側電気導体と、電気導体を少なくとも部分的に取り囲む電気絶縁体と、電気絶縁体を少なくとも部分的に取り囲む外側電気導体とを含み得る。絶縁電気導体は、少なくとも約100mの実質的に連続した長さを有し得る。絶縁電気導体は、少なくとも約100mの実質的に連続した長さにわたって、約1300°F(約700℃)および約60Hzにおいて電気絶縁体厚さ1ミル当たり少なくとも約60ボルト(電気絶縁体厚さ1mm当たり少なくとも約2400ボルト)の初期破壊電圧を有し得る。絶縁電気導体は、絶縁電気導体の直径の約100倍の半径に巻き付け可能であり得る。外側電気導体は、0.2%のオフセット量に基づいた約100kpsiの降伏強度を有し得る。

Description

本発明は、地表下地層を加熱するために使用されるシステムおよび方法に関する。より詳細には、本発明は、地表下炭化水素含有地層を加熱するためのシステムおよび方法に関する。
地下地層から得られる炭化水素は、エネルギー資源、供給原料および消費者向け製品として使用されることが多い。利用可能な炭化水素資源の枯渇に関する懸念および生成される炭化水素の全体的な品質の低下に関する懸念が、利用可能な炭化水素資源のより効率的な回収、処理および/または使用のための工程の開発につながっている。これまではアクセスが不可能でありおよび/または利用可能な方法を使用して抽出するにはコストがかかり過ぎた地下地層から炭化水素材料を取り出すために、現場工程を使用してもよい。炭化水素材料を地下地層からより容易に取り出すことを可能にするためにおよび/または炭化水素材料の価値を高めるために、地下地層中の炭化水素材料の化学的および/または物理的特性を変化させる必要がある場合がある。化学的および物理的変化は、取り出し可能な流体を生成する現場反応、地層中の炭化水素材料の組成変化、可溶性変化、密度変化、相変化および/または粘度変化を含み得る。
現場工程中に地層を加熱するために、坑井孔内に加熱器を配置してもよい。地層を加熱するために使用できる多くの異なる種類の加熱器が存在する。坑内加熱器を利用する現場工程の例が、Ljungstromの米国特許第2634961号明細書、Ljungstromの米国特許第2732195号明細書、Ljungstromの米国特許第2780450号明細書、Ljungstromの米国特許第2789805号明細書、Ljungstromの米国特許第2923535号明細書、およびVan Meursらの米国特許第4886118号明細書、およびWellingtonらの米国特許第6688387号明細書に示されている。
米国特許第2634961号明細書 米国特許第2732195号明細書 米国特許第2780450号明細書 米国特許第2789805号明細書 米国特許第2923535号明細書 米国特許第4886118号明細書 米国特許第6688387号明細書
いつかの用途では炭化水素含有地層を加熱するなどの、地表下用途に使用する無機絶縁(MI)ケーブル(絶縁導体)は、MIケーブル産業において典型的なものよりも長く、より大きな外径を有し得およびより高い電圧および温度で動作し得る。長尺の絶縁導体の製造および/または組み立て中に多くの潜在的な問題が存在する。
例えば、絶縁導体に使用される電気絶縁体の経時劣化に起因する潜在的な電気的および/または機械的な問題が存在する。絶縁導体加熱器の組み立て中に克服するべき、電気絶縁体に関する潜在的な問題も存在する。コア膨張または他の機械的欠陥などの問題が絶縁導体加熱器の組み立て中に発生する場合がある。かかる発生により、加熱器の使用中に電気的な問題が生じる場合があり、加熱器が意図した目的で動作しなくなる可能性がある。
加えて、絶縁導体の組み立ておよび/または地表下への設置中に絶縁導体にかかる応力の増加に関する問題が存在し得る。例えば、絶縁導体の輸送および設置のために使用されるスプールでの絶縁導体の巻き取りおよび繰り出しにより、電気絶縁体および/または絶縁導体の他の構成要素への機械的応力が生じる場合がある。従って、絶縁導体の製造、組み立ておよび/または設置の際の潜在的な問題を軽減または排除するために、より信頼性の高いシステムおよび方法が必要とされる。
本明細書で説明する実施形態は、概して、地表下地層を処理するためのシステム、方法および加熱器に関する。本明細書で説明する実施形態はまた、概して、内部に新たな構成要素を有する加熱器に関する。かかる加熱器は、本明細書で説明するシステムおよび方法を使用することにより得ることができる。
ある実施形態において、本発明は、1つまたは複数のシステム、方法および/または加熱器を提供する。幾つかの実施形態において、これらシステム、方法および/または加熱器は、地表下地層を処理するために使用される。
ある実施形態において、絶縁電気導体(例えば、MIケーブル)は、内側電気導体と、電気導体を少なくとも部分的に取り囲む電気絶縁体であって、無機絶縁物を含む電気絶縁体と、電気絶縁体を少なくとも部分的に取り囲む外側電気導体とを含み、絶縁電気導体が少なくとも約100mの実質的に連続した長さを有し、および絶縁電気導体が、少なくとも約100mの実質的に連続した長さにわたって、約700℃および約60Hzにおいて電気絶縁体厚さ1mm当たり少なくとも約2400ボルトの初期破壊電圧を有する。
更なる実施形態では、特定の実施形態の特徴を他の実施形態の特徴と組み合わせてもよい。例えば、一実施形態の特徴を他のいずれかの実施形態の特徴と組み合わせてもよい。
更なる実施形態において、地表下地層の処理は、本明細書で説明する、方法、システム、電力供給源または加熱器のいずれかを使用して行われる。
更なる実施形態では、追加の特徴を本明細書で説明する特定の実施形態に追加してもよい。
本発明の方法および装置の特徴および利点は、添付の図面と併せて解釈される場合に、本発明による現時点で好ましいがあくまでも例示的な実施形態の以下の詳細な説明の参照により十分に理解されるであろう。
炭化水素含有地層を処理するための現場熱処理システムの一部分の実施形態を示す概略図である。 絶縁導体熱源の実施形態を描いた図である。 絶縁導体熱源の実施形態を描いた図である。 絶縁導体熱源の実施形態を描いた図である。 絶縁導体加熱器に使用される温度制限加熱器の構成要素の実施形態を描いた断面図である。 絶縁導体加熱器に使用される温度制限加熱器の構成要素の実施形態を描いた断面図である。 加熱器組立体内のブロックに軸方向の力をもたらすために使用できるブロック押圧装置の実施形態を描いた図である。 加熱器組立体内のブロックに軸方向の力をもたらすために使用できるブロック押圧装置の実施形態を描いた図である。 加熱器組立体内のブロックに軸方向の力をもたらすために使用できるブロック押圧装置の実施形態を描いた図である。 プランジャがブロックに力をもたらすがジャケット内側のコアには力をもたらさないことを可能にする断面形状を備えたプランジャの実施形態を描いた図である。 ずらされた(千鳥配置された)ブロックを押圧するために使用できるプランジャの実施形態を描いた図である。 上/下に配置されたブロックを押圧するために使用できるプランジャの実施形態を描いた図である。 予め冷間加工され、予め熱処理された絶縁導体の実施形態を描いた断面図である。 冷間加工および熱処理後の、図12に描かれている絶縁導体の実施形態を描いた断面図である。 冷間加工後の、図13に描かれている絶縁導体の実施形態を描いた断面図である。 電気絶縁体用の粉末を使用して絶縁導体を製造するための工程の実施形態を描いた図である。 絶縁導体内側の第1の外装材料の第1の設計の実施形態を描いた断面図である。 第2の外装材料が管状に形成されおよび第1の外装材料の周囲で溶接された、第1の設計の実施形態を描いた断面図である。 ある程度の圧延後に第2の外装材料が第1の外装材料の周囲で管状に形成された、第1の設計の実施形態を描いた断面図である。 絶縁導体が圧延ロールでの最終圧延ステップを通過したときの第1の設計の実施形態を描いた断面図である。 絶縁導体内側の第1の外装材料の第2の設計の実施形態を描いた断面図である。 第2の外装材料が管状に形成されおよび第1の外装材料の周囲で溶接された、第2の設計の実施形態を描いた断面図である。 ある程度の圧延後に第2の外装材料が第1の外装材料の周囲で管状に形成された、第2の設計の実施形態を描いた断面図である。 絶縁導体が圧延ロールでの最終圧延ステップを通過したときの第2の設計の実施形態を描いた断面図である。 異なる絶縁導体における最大電界(例えば、破壊電圧)対時間を描いた図である。 無機(MgO)粉末電気絶縁物を使用して形成された異なる絶縁導体における最大電界(例えば、破壊電圧)対時間を描いた図である。 絶縁導体の一端部を終端させる油カップ端終端部を備えた試験装置を示す図である。 試験のために実験室オーブン内に固定された絶縁導体252を示す図である。
本発明は種々の修正形態および代替形態を受け入れる余地があるが、本発明の特定の実施形態は、図面中に例として示され、本明細書で詳細に説明される。図面は縮尺通りではないことがある。図面およびこれら図面について詳細な説明が、本発明を開示の特定の形態に限定するように意図するものではなく、むしろ反対に、本発明が、添付の特許請求の範囲により規定される本発明の精神および範囲内に含まれる全ての修正、同等物および代替物を網羅するものであることが理解されるべきである。
以下の説明は、概して、地層中の炭化水素を処理するためのシステムおよび方法に関する。炭化水素生成物、水素および他の生成物を産出するために、かかる地層を処理してもよい。
「交流電流(AC)」とは、実質的に正弦波状に方向を反転させる時間変動電流を指す。ACは、強磁性導体に表皮効果電流を生じさせる。
熱出力の少ない加熱システム、装置および方法に関連して、「自動的に」という用語は、かかるシステム、装置および方法が、外部制御(例えば、温度センサおよびフィードバックループを備えるコントローラ、PIDコントローラまたは予測コントローラなどの外部コントローラ)を使用せずに特定の方法で機能することを意味する。
「結合される」とは、1つまたは複数の物体または構成要素の間の直接接続または間接接続(例えば、1つまたは複数の介在接続)を意味する。「直接接続される」という表現は、物体または構成要素が「使用時点」で動作するように物体または構成要素が互いに直接接続されるような、物体または構成要素の間の直接接続を意味する。
「キュリー温度」は、その温度を超えると強磁性材料がその強磁性特性の全てを失う温度である。キュリー温度を超えると強磁性特性の全てを失うことに加えて、強磁性材料は、増加する電流が強磁性材料を通過するときにその強磁性特性を失い始める。
「地層」は、1つまたは複数の炭化水素含有層、1つまたは複数の非炭化水素層、上層土および/または下層土を含む。「炭化水素層」とは、炭化水素を含有する地層中の層を指す。炭化水素層は、非炭化水素材料および炭化水素材料を含有し得る。「上層土」および/または「下層土」は、1つまたは複数の異なる種類の不透過性材料を含む。例えば、上層土および/または下層土は、岩、頁岩、泥岩または含水/緻密カーボネートを含み得る。現場熱処理工程の幾つかの実施形態において、上層土および/または下層土は、比較的不透過性である1つまたは複数の炭化水素含有層であって、上層土および/または下層土の炭化水素含有層の大幅な特性変化をもたらす現場熱処理工程中の温度にさらされない1つまたは複数の炭化水素含有層を含み得る。例えば、下層土は頁岩または泥岩を含有してもよいが、現場熱処理工程中に下層土を熱分解温度まで加熱することはできない。場合により、上層土および/または下層土は、ある程度透過性であってもよい。
「地層流体」とは、地層中に存在する流体を指し、熱分解流体、合成ガス、流動化炭化水素および水(水蒸気)を含み得る。地層流体は、炭化水素流体および非炭化水素流体を含み得る。「流動化流体」という用語は、地層の熱処理の結果として流動することができる、炭化水素含有地層中の流体を指す。「生成された流体」とは、地層から取り出された流体を指す。
「熱流束」は、単位時間における単位面積当たりのエネルギーの流れ(例えば、ワット/メートル)である。
「熱源」は、実質的に伝導熱伝達および/または放射熱伝達により地層の少なくとも一部分に熱を与えるためのシステムである。例えば、熱源は、絶縁導体、細長い部材および/もしくは導管内に配置された導体などの、導電性材料ならびに/または電気加熱器を含み得る。熱源はまた、地層外部または地層中で燃料を燃焼させることにより熱を発生させるシステムを含み得る。システムは、表面バーナ、坑内ガスバーナ、無炎分配燃焼器および自然分配燃焼器であってもよい。幾つかの実施形態では、1つもしくは複数の熱源に与えられるかまたは1つもしくは複数の熱源において発生させる熱を、他のエネルギー源により供給してもよい。他のエネルギー源が地層を直接加熱してもよく、または、地層を直接または間接的に加熱する伝達媒体にエネルギーを印加してもよい。地層に熱を印加する1つまたは複数の熱源が異なるエネルギー源を使用できることが理解されるべきである。従って、例えば、所定の地層に対して、幾つかの熱源は、導電性材料、電気抵抗加熱器から熱を供給してもよく、幾つかの熱源は、燃焼からの熱を与えてもよく、幾つかの熱源は、1つまたは複数の他のエネルギー源(例えば、化学反応、太陽エネルギー、風力エネルギー、バイオマスまたは他の再生可能なエネルギー源)から熱を与えてもよい。化学反応は、発熱反応(例えば、酸化反応)を含み得る。熱源はまた、加熱器坑井などの加熱場所の近傍のおよび/または加熱場所を取り囲むゾーンに熱を与える導電性材料および/または加熱器を含み得る。
「加熱器」は、坑井内または坑井孔領域付近で熱を発生させるための任意のシステムまたは熱源である。加熱器は、限定されるものではないが、地層中の材料または地層から生成された材料と反応する電気加熱器、バーナ、燃焼器および/またはこれらの組み合わせであってもよい。
「炭化水素」は、一般に、主として炭素および水素原子により形成される分子として定義される。炭化水素はまた、限定されるものではないが、ハロゲン、金属元素、窒素、酸素および/または硫黄などの他の元素を含み得る。炭化水素は、限定されるものではないが、ケロゲン、ビチューメン、ピロビチューメン、油、天然鉱ワックスおよびアスファルタイトであってもよい。炭化水素は、土中の鉱物基質に位置し得るか、または土中の鉱物基質に隣接して位置し得る。基質は、限定されるものではないが、堆積岩、砂、シリシライト、カーボネート、珪藻土および他の多孔質媒体を含み得る。「炭化水素流体」は、炭化水素を含む流体である。炭化水素流体は、水素、窒素、一酸化炭素、二酸化炭素、硫化水素、水およびアンモニアなどの非炭化水素流体を含んでもよく、非炭化水素流体を取り込んでもよく、または非炭化水素流体に取り込まれてもよい。
「現場変換工程」とは、地層中で熱分解流体が生成されるように、熱源により炭化水素含有地層を加熱して、熱分解温度を超える温度まで地層の少なくとも一部分の温度を上昇させる工程を指す。
「現場熱処理工程」とは、流動化流体、ビスブレーキング流体および/または熱分解流体が地層中に生成されるように、熱源で炭化水素含有地層を加熱して、流動化流体、ビスブレーキングおよび/または炭化水素含有材料の熱分解をもたらす温度を超える温度まで地層の少なくとも一部分の温度を上昇させる工程を指す。
「絶縁導体」とは、電気を伝導することができおよび全体または一部が電気絶縁材料により被覆される任意の細長い材料を指す。
「変調直流電流(DC)」とは、強磁性導体に表皮効果電流を生じさせる、実質的に非正弦波状の時間変動電流を指す。
「窒化物」とは、窒素と周期表の1つまたは複数の他の元素との化合物を指す。窒化物は、限定されるものではないが、窒化ケイ素、窒化ホウ素または窒化アルミナを含む。
「穿孔」は、導管、管、パイプまたは他の流路に対する流入または流出を可能にする、導管、管、パイプまたは他の流路の壁における開口部、スリット、開口または孔を含む。
強磁性材料の「相転移温度」は、材料が強磁性材料の透磁率を低下させる相変化(例えば、フェライトからオーステナイトへの相変化)を受ける温度または温度範囲を指す。透磁率の低下は、キュリー温度での強磁性材料の磁気転移に起因する透磁率の低下によく似ている。
「熱分解」とは、熱を加えることにより化学結合を破壊することである。例えば、熱分解は、熱のみにより化合物を1つまたは複数の他の物質に変換することを含み得る。熱分解を引き起こすために、地層のある箇所に熱を伝達してもよい。
「熱分解流体」または「熱分解生成物」とは、実質的に炭化水素の熱分解中に生成された流体を指す。熱分解反応により生成された流体は、地層中の他の流体と混合し得る。混合物は、熱分解流体または熱分解生成物であると考えられる。本明細書で使用される場合、「熱分解ゾーン」とは、反応させられてまたは反応して熱分解流体を形成する地層(例えば、タールサンド地層などの比較的透過性の地層)の体積を指す。
「熱の重畳」とは、2つ以上の熱源間の少なくとも1つの場所における地層の温度がこれら熱源により影響を受けるように、これら熱源から地層の選択された箇所に熱を与えることを指す。
「温度制限加熱器」は、一般に、温度コントローラ、電力調整器、整流器または他の装置などの外部制御を使用せずに、特定温度を超える熱出力を調整する(例えば熱出力を低下させる)加熱器を指す。温度制限加熱器は、AC(交流電流)または変調(例えば「チョップされた」)DC(直流電流)駆動の電気抵抗加熱器であってもよい。
層の「厚さ」は、層の断面の厚さを指し、断面は、層の面に対して垂直である。
「時間変動電流」とは、強磁性導体に表皮効果電流を生じさせるとともに、時間と共に大きさが変動する電流を指す。時間変動電流は、交流電流(AC)(例えば、60Hzまたは50HzのAC)と変調直流電流(DC)の両方を含む。
加熱器に電流が直接印加される温度制限加熱器の「ターンダウン比」は、所定の電流についての、キュリー温度を超える最低抵抗に対するキュリー温度未満の最高AC抵抗または変調DC抵抗の比である。誘導加熱器のターンダウン比は、加熱器に印加される所定の電流についての、キュリー温度を超える最低熱出力に対するキュリー温度未満の最高熱出力の比である。
「u形坑井孔」とは、地層における第1の開口部から地層の少なくとも一部分を通って延び、地層における第2の開口部から出る坑井孔を指す。これに関連して、坑井孔は、「u形」であると考えられる坑井孔について、「u」の「脚」が互いに平行であるかまたは「u」の「底」に対して垂直である必要はないという理解の下で、概ね「v」または「u」の形状であればよい。
「坑井孔」という用語は、地層の掘削または地層への導管の挿入により作製された地層における孔を指す。坑井孔は、実質的に円形の断面、または別の断面形状を有し得る。本明細書で使用される場合、地層における開口部を指すときの、「坑井」および「開口部」という用語は、「坑井孔」という用語と交換可能に使用することができる。
多くの異なる生成物を生成するために、地層を種々の方法で処理してもよい。現場熱処理工程中、地層を処理するために異なる段階または工程を使用してもよい。幾つかの実施形態では、地層の1つまたは複数の箇所から可溶性鉱物を取り出すために、これら箇所が溶液採鉱される。鉱物の溶液採鉱を、現場熱処理工程前、工程中および/または工程後に行ってもよい。幾つかの実施形態では、溶液採鉱される1つまたは複数の箇所の平均温度を約120℃未満に維持してもよい。
幾つかの実施形態では、地層の1つまたは複数の箇所から水を取り出しおよび/またはこれら箇所からメタンおよび他の揮発性炭化水素を取り出すために、かかる箇所が加熱される。幾つかの態様では、水および揮発性炭化水素の取り出し中に平均温度を周囲温度から約220℃未満の温度に上昇させてもよい。
幾つかの実施形態では、地層中の炭化水素の移動および/またはビスブレーキングを可能にする温度まで、地層の1つまたは複数の箇所が加熱される。幾つかの実施形態では、地層の1つまたは複数の箇所の平均温度をこれら箇所における炭化水素の流動化温度まで(例えば、100℃から250℃、120℃から240℃または150℃から230℃の範囲の温度まで)上昇させる。
幾つかの実施形態では、地層中での熱分解反応を可能にする温度まで、1つまたは複数の箇所が加熱される。幾つかの実施形態では、地層の1つまたは複数の箇所の平均温度を、これら箇所における炭化水素の熱分解温度まで(例えば、230℃から900℃、240℃から400℃または250℃から350℃の範囲の温度まで)上昇させてもよい。
複数の熱源で炭化水素含有地層を加熱することで、地層中の炭化水素の温度を所望の加熱速度で所望の温度まで上昇させる熱源の周囲に熱勾配を確立してもよい。所望の生成物の流動化温度範囲および/または熱分解温度範囲を通じての温度上昇率は、炭化水素含有地層から生成された地層流体の品質および量に影響を及ぼし得る。流動化温度範囲および/または熱分解温度範囲を通じて地層の温度をゆっくりと上昇させることで、地層から高品質で高API比重の炭化水素の生成を可能にしてもよい。流動化温度範囲および/または熱分解温度範囲を通じて地層の温度をゆっくりと上昇させることで、炭化水素生成物として地層中に存在する大量の炭化水素の取り出しを可能にしてもよい。
現場熱処理の幾つかの実施態様では、地層の一部分は、ある温度範囲を通じて温度をゆっくりと上昇させる代わりに、所望の温度まで加熱される。幾つかの実施形態において、所望の温度は、300℃、325℃または350℃である。所望の温度として他の温度を選択してもよい。
複数の熱源からの熱の重畳は、比較的迅速および効率的に地層中に所望の温度を確立することを可能にする。地層中の温度を実質的に所望の温度に維持するために熱源から地層へのエネルギー入力を調節してもよい。
流動化生成物および/または熱分解生成物を、生成坑井を通じて地層から生成してもよい。幾つかの実施形態では、1つまたは複数の箇所の平均温度を流動化温度まで上昇させ、炭化水素が生成坑井から生成される。流動化による生成が選択値よりも低下した後に、1つまたは複数の箇所の平均温度を熱分解温度まで上昇させてもよい。幾つかの実施形態では、熱分解温度に達する前にほとんど生成を行わずに、1つまたは複数の箇所の平均温度を熱分解温度まで上昇させてもよい。熱分解生成物を含む地層流体を、生成坑井を通じて生成してもよい。
幾つかの実施形態では、1つまたは複数の箇所の平均温度を、流動化および/または熱分解後に合成ガスの生成を可能にするのに十分な温度まで上昇させてもよい。幾つかの実施形態では、合成ガスの生成を可能にするのに十分な温度に達する前にほとんど生成を行わずに、炭化水素を、合成ガスの生成を可能にするのに十分な温度まで上昇させてもよい。例えば、合成ガスを、約400℃から約1200℃、約500℃から約1100℃または約550℃から約1000℃の範囲の温度で生成してもよい。合成ガスを発生させるために、合成ガス発生流体(例えば、蒸気および/または水)をこれら箇所に導入してもよい。合成ガスを生成坑井から生成してもよい。
溶液採鉱、揮発性炭化水素および水の取り出し、炭化水素の流動化、炭化水素の熱分解、合成ガスの発生ならびに/または他の工程を、現場熱処理工程中に行うことができる。幾つかの実施形態では、幾つかの工程を現場熱処理工程後に行ってもよい。かかる工程は、限定されるものではないが、処理された箇所から熱を回収すること、事前に処理された箇所に流体(例えば、水および/または炭化水素)を貯蔵することおよび/または事前に処理された箇所に二酸化炭素を隔離することを含み得る。
図1は、炭化水素含有地層を処理するための現場熱処理システムの一部分の実施形態の概略図を描いている。現場熱処理システムは、障壁坑井200を含み得る。障壁坑井は、処理領域の周囲に障壁を形成するために使用される。障壁は、処理領域への流体の流入および/または処理領域からの流体の流出を抑制する。障壁坑井は、限定されるものではないが、脱水坑井、真空坑井、捕獲坑井、注入坑井、グラウト坑井、凍結坑井またはこれらの組み合わせを含む。幾つかの実施形態において、障壁坑井200は、脱水坑井である。脱水坑井は、液体水を除去し、および/または、加熱されるべき地層の一部分にもしくは加熱されている地層に液体水が入るのを抑制してもよい。図1に描かれている実施形態では、障壁坑井200は、熱源202の一方の側に沿ってのみ延びるように示されているが、障壁坑井は、典型的には、地層の処理領域を加熱するために使用されるまたは使用されるべき全ての熱源202を囲む。
熱源202は、地層の少なくとも一部分に配置される。熱源202は、絶縁導体、導管内導体型加熱器、表面バーナ、無炎分配燃焼器および/または自然分配燃焼器などの加熱器を含み得る。熱源202はまた、他の種類の加熱器を含み得る。熱源202は、地層中の炭化水素を加熱するために地層の少なくとも一部分に熱を与える。供給ライン204を通して熱源202にエネルギーを供給してもよい。供給ライン204は、地層を加熱するために使用される1つまたは複数の熱源の種類に応じて、構造的に異なっていてもよい。熱源用の供給ライン204は、電気加熱器用の電気を送っても、燃焼器用の燃料を輸送してもよくまたは地層中で循環させる熱交換流体を輸送してもよい。幾つかの実施形態では、現場熱処理工程用の電気を1つまたは複数の原子力発電所により供給してもよい。原子力の使用により、現場熱処理工程での二酸化炭素の排出を削減または排除することが可能となり得る。
地層が加熱されると、地層への熱入力により地層の膨張および地質工学的運動が生じ得る。熱源は、脱水工程前、脱水工程と同時または脱水工程中に作動させてもよい。コンピュータシミュレーションにより、加熱に対する地層の反応をモデル化してもよい。地層の地質工学的運動が、熱源、生成坑井および地層中の他の設備の機能性に悪影響を及ぼさないように、地層中の熱源を稼働させるためのパターンおよび時間系列を開発するために、コンピュータシミュレーションを使用してもよい。
地層を加熱することで、地層の透過性および/または多孔性を向上させてもよい。透過性および/または多孔性の向上は、水の蒸発および除去、炭化水素の取り出しおよび/または破砕の形成による地層の質量の減少に起因する可能性がある。地層の透過性および/または多孔性の向上により、流体は地層の加熱部分においてより容易に流れ得る。透過性および/または多孔性の向上により、地層の加熱部分における流体は、地層を通って相当な距離を移動し得る。相当な距離は、地層の透過性、流体の特性、地層の温度および流体の移動を可能にする圧力勾配などの種々の要因に応じて、1000m超であってもよい。流体が地層中で相当な距離を進むことができるので、生成坑井206を地層中で比較的大きく離間させて配置することが可能となる。
生成坑井206は、地層から地層流体を取り出すために使用される。幾つかの実施形態において、生成坑井206は熱源を含む。生成坑井内の熱源は、生成坑井にてまたは生成坑井付近にて地層の1つまたは複数の部分を加熱してもよい。現場熱処理工程の幾つかの実施形態において、生成坑井から地層に供給される生成坑井1m当たりの熱量は、地層を加熱する熱源から地層に印加される熱源1m当たりの熱量よりも少ない。生成坑井から地層に印加された熱は、生成坑井に隣接する液相流体を蒸発させ除去することにより、ならびに/または、マクロ破砕および/もしくはミクロ破砕の形成によって生成坑井に隣接する地層の透過性を向上させることにより、生成坑井に隣接する地層の透過性を向上させ得る。
2つ以上の熱源を生成坑井内に位置決めしてもよい。隣り合う熱源からの熱の重畳が、生成坑井を備える地層を加熱することによりもたらされる利点を打ち消すのに十分に地層を加熱したときに、生成坑井の下部分における熱源をオフにしてもよい。幾つかの実施形態において、生成坑井の上部分における熱源は、生成坑井の下部分における熱源を停止させた後も作動したままであってもよい。坑井の上部分における熱源は、地層流体の凝縮および還流を抑制してもよい。
幾つかの実施形態において、生成坑井206内の熱源は、地層からの地層流体の気相除去を可能にする。生成坑井においてまたは生成坑井を通じて加熱を行うことで、(1)生成流体が上層土の近傍の生成坑井内を移動しているときのかかる生成流体の凝縮および/または還流を抑制し、(2)地層への熱入力を増加させ、(3)熱源のない生成坑井と比較して、生成坑井からの生成速度を増加させ、(4)生成坑井内で高炭素数化合物(C6以上の炭化水素)の凝縮を抑制しおよび/または(5)生成坑井におけるまたは生成坑井の近傍の地層の透過性を増加させてもよい。
地層中の地表下圧力は、地層中で発生した流体圧力に相当し得る。地層の加熱部分における温度が上昇するにつれて、現場流体の熱膨張、流体の発生の増加および水の蒸発の結果として、加熱部分における圧力が上昇し得る。地層からの流体取り出しの速度を制御することで、地層中の圧力の制御を可能にしてもよい。地層中の圧力を、生成坑井付近もしくは生成坑井、熱源付近もしくは熱源、または監視坑井などの、多くの異なる場所で測定してもよい。
幾つかの炭化水素含有地層では、地層中の少なくとも一部の炭化水素が流動化および/または熱分解されるまで、地層からの炭化水素の生成が抑制される。地層流体が選択された品質を有する場合、地層流体を地層から生成してもよい。幾つかの実施形態において、選択された品質は、少なくとも約20°、30°または40°のAPI比重を含む。少なくとも一部の炭化水素が流動化および/または熱分解されるまで生成を抑制することで、重質炭化水素から軽質炭化水素への変換を増加させてもよい。初期の生成を抑制することで、地層からの重質炭化水素の生成を最小限に抑えてもよい。相当量の重質炭化水素の生成は、高価な設備を必要としおよび/または生成設備の寿命を短くする可能性がある。
幾つかの炭化水素含有地層では、地層の加熱部分に大きな透過性が発生する前に、地層中の炭化水素を流動化温度および/または熱分解温度まで加熱してもよい。初期の透過性の欠如により、生成坑井206への発生した流体の輸送が抑制される場合がある。初期加熱中に、地層中の流体の圧力は、熱源202の近傍で上昇し得る。上昇した流体圧力を、1つまたは複数の熱源202を通じて解放、監視、変更および/または制御してもよい。例えば、選択された熱源202または別個の圧力逃し坑井は、地層からの一部の流体の除去を可能にする圧力逃し弁を含み得る。
幾つかの実施形態では、生成坑井206への開放路または任意の他の圧力溜めが地層中にまだ存在していなくても、地層中で発生した流動化流体、熱分解流体または他の流体の膨張により発生した圧力が上昇することが可能であり得る。流体圧力は、地盤圧力に向かって上昇する場合がある。炭化水素含有地層における破砕は、流体が地盤圧力に近づくときに形成される場合がある。例えば、破砕は、地層の加熱部分において熱源202から生成坑井206へと形成される場合がある。加熱部分における破砕の発生は、この部分における圧力の一部を逃がし得る。望ましくない生成、上層土もしくは下層土の破砕および/または地層中の炭化水素のコークス化を抑制するために、地層中の圧力を選択された圧力未満に維持しなければならない場合がある。
流動化温度および/もしくは熱分解温度に達して地層からの生成が可能になった後で、生成された地層流体の組成を変更および/もしくは制御するため、地層流体中の非凝縮性流体に対する凝縮性流体の割合を制御するためならびに/または生成されている地層流体のAPI比重を制御するために、地層中の圧力を変化させてもよい。例えば、圧力を低下させることで、より多くの凝縮性流体成分の生成をもたらしてもよい。凝縮性流体成分は、オレフィンをより大きな割合で含有し得る。
現場熱処理工程の幾つかの実施形態では、地層中の圧力を、20°よりも大きなAPI比重を有する地層流体の生成を促進するために十分に高く維持してもよい。地層中における上昇した圧力を維持することで、現場熱処理中の地層の沈下を抑制してもよい。上昇した圧力を維持することで、収集導管内の流体を処理施設に輸送するために地表において地層流体を圧縮する必要性を低減または排除してもよい。
地層の加熱部分における上昇した圧力を維持することにより、驚くことに、向上した品質および比較的低分子量の大量の炭化水素の生成が可能となり得る。生成された地層流体が選択された炭素数を超える最小量の化合物を有するように、圧力を維持してもよい。選択された炭素数は、最大で25、最大で20、最大で12または最大で8であってよい。一部の高炭素数化合物は、地層中で蒸気に取り込まれてもよく、蒸気と共に地層から取り出してもよい。地層中における上昇した圧力を維持することで、高炭素数化合物および/または多環炭化水素化合物が蒸気に取り込まれるのを抑制してもよい。高炭素数化合物および/または多環炭化水素化合物は、かなりの期間にわたって地層中に液相で留まってもよい。このかなりの期間は、化合物が熱分解して低炭素数化合物を形成するのに十分な時間を提供し得る。
比較的低分子量の炭化水素の発生は、一部が、炭化水素含有地層の一部分における水素の自己発生および反応に起因するものと考えられる。例えば、上昇した圧力を維持することで、熱分解中に発生した水素を地層中で液相にしてもよい。この部分を熱分解温度の範囲内の温度まで加熱することで、地層中の炭化水素を熱分解して、液相熱分解流体を発生させてもよい。発生した液相熱分解流体成分は、二重結合および/または基を含み得る。液相中の水素(H)は、発生した熱分解流体の二重結合を還元し、これにより、発生した熱分解流体からの長鎖化合物の重合または形成の可能性を低減し得る。加えて、Hはまた、発生した熱分解流体中の基を中和し得る。液相中のHは、発生した熱分解流体が互いにおよび/または地層中の他の化合物と反応するのを抑制し得る。
生成坑井206から生成された地層流体は、収集配管208を通して処理施設210に輸送してもよい。地層流体はまた、熱源202から生成してもよい。例えば、熱源に隣接する地層内の圧力を制御するために、流体を熱源202から生成してもよい。熱源202から生成された流体は、管もしくは配管を通して収集配管208に輸送してもよく、または生成された流体は管もしくは配管を通して処理施設210に直接輸送してもよい。処理施設210は、分離ユニット、反応ユニット、品質向上ユニット、燃料電池、タービン、貯蔵容器、ならびに/または、生成された地層流体を処理するための他のシステムおよびユニットを含み得る。処理施設は、地層から生成された炭化水素の少なくとも一部分から輸送燃料を形成してもよい。幾つかの実施形態において、輸送燃料は、JP−8などのジェット燃料であってもよい。
絶縁導体を、加熱器または熱源の電気発熱素子として使用してもよい。絶縁導体は、電気絶縁体で取り囲まれた内側電気導体(コア)と、外側電気導体(ジャケット)とを含み得る。電気絶縁体は、無機絶縁物(例えば、酸化マグネシウム)または他の電気絶縁物を含み得る。
ある実施形態において、絶縁導体は、炭化水素含有地層における開口部内に配置される。幾つかの実施形態において、絶縁導体は、炭化水素含有地層におけるケーシングなしの開口部内に配置される。炭化水素含有地層におけるケーシングなしの開口部に絶縁導体を配置することで、放射および伝導による絶縁導体から地層への熱伝達を可能にしてもよい。ケーシングなしの開口部を使用することで、必要に応じて、坑井から絶縁導体を容易に回収してもよい。
幾つかの実施形態では、絶縁導体を、地層中のケーシング内に配置してもよく、地層内にセメントで固定してもよく、または砂、砂利もしくは他の充填材料と共に開口部に詰め込んでもよい。絶縁導体を開口部内に位置決めされた支持部材上に支持してもよい。支持部材は、ケーブル、ロッドまたは導管(例えば、パイプ)であってもよい。支持部材を、金属、セラミック、無機材料またはこれらの組み合わせで作製してもよい。支持部材の部分は使用中に地層流体および熱にさらされる場合があるので、支持部材は、化学的耐性および/または熱耐性を有し得る。
絶縁導体の長さに沿った種々の場所において絶縁導体を支持部材に結合するために、タイ、スポット溶接および/または他の種類のコネクタを使用してもよい。支持部材を地層の上面における坑口に取り付けてもよい。幾つかの実施形態において、絶縁導体は、支持部材が不要となるように十分な構造強度を有する。絶縁導体は、多くの場合、温度変化を受けたときの熱膨張による損傷を抑制するために、少なくともある程度の可撓性を有し得る。
ある実施形態において、絶縁導体は、支持部材および/またはセントラライザなしに坑井孔内に配置される。支持部材および/またはセントラライザのない絶縁導体は、耐温度性および耐食性、クリープ強度、長さ、厚さ(直径)ならびに使用中の絶縁導体の故障を抑制する冶金技術の適切な組み合わせを有し得る。
図2は、絶縁導体252の実施形態の端部分の斜視図を描いている。絶縁導体252は、限定されるものではないが、円形(図2に描かれている。)、三角形、楕円形、矩形、六角形または不規則形状などの任意の所望の断面形状を有し得る。ある実施形態において、絶縁導体252は、コア218と、電気絶縁体214と、ジャケット216とを含む。コア218は、電流がコアを通過するときに抵抗加熱してもよい。コアが抵抗加熱するようにコア218に電力を供給するために、交流電流もしくは時間変動電流および/または直流電流を使用してもよい。
幾つかの実施形態において、電気絶縁体214は、ジャケット216への電流の漏れおよびアーク放電を抑制する。電気絶縁体214は、コア218において発生した熱をジャケット216に熱伝導してもよい。ジャケット216は、地層に熱を放射または伝導してもよい。ある実施形態において、絶縁導体252は、長さが1000m以上である。特定の用途の要求を満たすために、より長いまたは短い絶縁導体を使用してもよい。絶縁導体252のコア218と電気絶縁体214とジャケット216の寸法を、絶縁導体が使用温度上限でも自らを支えるのに十分な強度を有するように選択してもよい。このような絶縁導体を、絶縁導体と共に炭化水素含有地層中に延びる支持体を必要とせずに、上層土と炭化水素含有地層との間の境界付近に位置決めされた坑口または支持体から吊り下げてもよい。
絶縁導体252を、約1650ワット/メートル以上の電力レベルで動作するように設計してもよい。ある実施形態において、絶縁導体252は、地層を加熱するときに約500ワット/メートルから約1150ワット/メートルの電力レベルで動作する。絶縁導体252を、典型的な動作温度での最大電圧レベルが電気絶縁体214の実質的な熱的および/または電気的破壊を生じさせないように設計してもよい。絶縁導体252を、ジャケット216がジャケット材料の耐食性の著しい低下をもたらす温度を超えないように設計してもよい。ある実施形態では、絶縁導体252を、約650℃から約900℃の範囲内の温度に達するように設計してもよい。他の動作範囲を有する絶縁導体を、特定の動作要件を満たすように形成してもよい。
図2は、単一のコア218を有する絶縁導体252を描いている。幾つかの実施形態において、絶縁導体252は、2つまたは複数のコア218を有する。例えば、単一の絶縁導体は、3つのコアを有し得る。コア218を金属または別の導電性材料で作製してもよい。コア218を形成するために使用される材料は、限定されるものではないが、ニクロム、銅、ニッケル、金、パラジウム、亜鉛、銀、アルミニウム、マグネシウム、炭素鋼、ステンレス鋼および合金またはこれらの組み合わせを含み得る。ある実施形態では、オームの法則から導き出されるように、1メートル当たりの選択された電力損失、加熱器の長さおよび/またはコア材料に許容される最大電圧について、コア218の抵抗によりコア218を電気的および構造的に安定させるような直径および抵抗を動作温度で有するように、コア218が選択される。
幾つかの実施形態において、コア218は、絶縁導体252の長さに沿って異なる材料で作製される。例えば、コア218の第1の箇所を、コアの第2の箇所よりも抵抗が著しく低い材料で作製してもよい。第1の箇所を、第2の箇所に隣接する第2の地層の層ほど高い温度まで加熱する必要がない地層の層に隣接して配置してもよい。コア218の種々の箇所の抵抗を、可変直径を有することによりおよび/または異なる材料で作製されたコアの箇所を有することにより調節してもよい。
電気絶縁体214を様々な材料で作製してもよい。一般的に使用される粉末は、限定されるものではないが、MgO、Al2O3、BN、Si3N4、ジルコニア、BeO、スピネルの異なる化学的変種およびこれらの組み合わせを含み得る。MgOは、良好な熱伝導性および電気絶縁特性をもたらし得る。所望の電気絶縁特性は、低い漏れ電流および高い絶縁耐力を含む。低い漏れ電流は熱的破壊の可能性を低下させおよび高い絶縁耐力は絶縁体両端のアーク放電の可能性を低下させる。漏れ電流により絶縁体両端のアーク放電にもつながる絶縁体温度の漸進的な上昇が生じた場合に、熱的破壊が発生する可能性がある。
ジャケット216は、外側の金属層または導電層であってもよい。ジャケット216は、高温の地層流体に接触してもよい。ジャケット216を、高温において高い耐食性を有する材料で作製してもよい。ジャケット216の所望の動作温度範囲において使用できる合金は、限定されるものではないが、304ステンレス鋼、310ステンレス鋼、316ステンレス鋼、347ステンレス鋼、他の300系ステンレス鋼、600系ステンレス鋼、800系ステンレス鋼、Incoloy(R)800およびInconel(R)600(Inco Alloys International,Huntington,West Virginia,U.S.A)を含む。ジャケット216の厚さは、高温で腐食性の環境において3年から10年持続するのに十分でなければならない場合がある。ジャケット216の厚さは、一般に、約1mmから約2.5mmの間で異なってもよい。例えば、3年を超える期間にわたって地層の加熱領域における硫化腐食に対する良好な耐化学性をもたらすために、310ステンレス鋼の厚さ1.3mmの外側層をジャケット216として使用してもよい。特定の用途の要件を満たすために、より大きなまたは小さなジャケット厚さを使用してもよい。
1つまたは複数の熱源を形成するために、1つまたは複数の絶縁導体を地層における開口部内に配置してもよい。地層を加熱するために、開口部における各絶縁導体に電流を通してもよい。代替的に、開口部における選択された絶縁導体に電流を通してもよい。未使用の導体を予備加熱器として使用してもよい。絶縁導体を任意の好都合な方式で電源に電気的に結合してもよい。絶縁導体の各端部を、坑口を通過する引き込みケーブルに結合してもよい。このような構成は、典型的には、熱源の底部付近に位置する180°の屈曲(「ヘアピン状の」屈曲)または湾曲を有する。180°の屈曲または湾曲を含む絶縁導体は、底終端部を必要としないかもしれないが、180°の屈曲または湾曲は、加熱器における電気的および/または構造的な弱点となり得る。絶縁導体を、直列に、並列にまたは直列と並列の組み合わせで、互いに電気的に結合させてもよい。熱源の幾つかの実施形態では、電流は絶縁導体の導体に流れ込んでもよく、熱源の底部においてコア218をジャケット216(図2に示す。)に接続することにより、絶縁導体のジャケットを通して電流を戻してもよい。
幾つかの実施形態において、3つの絶縁導体252は、3相Y字構成で電力供給源に電気的に結合される。図3は、Y字構成で結合された、地表下地層における開口部内の3つの絶縁導体の実施形態を描いている。図4は、地層における開口部238から取り出し可能である3つの絶縁導体252の実施形態を描いている。Y字構成の3つの絶縁導体には、底部接続は必要でない場合がある。代替的に、Y字構成の3つの全ての絶縁導体を、開口部の底部付近で互いに接続してもよい。絶縁導体の加熱箇所の端部で直接、または絶縁導体の底部の加熱箇所に結合された低温ピンの端部(低抵抗箇所)で、接続を行ってもよい。絶縁体が充填され密封されたキャニスタまたはエポキシが充填されたキャニスタを用いて底部接続を行ってもよい。絶縁体は、電気絶縁体として使用される絶縁体と同じの組成であってもよい。
図3および図4に示す3つの絶縁導体252を、セントラライザ222を使用して支持部材220に結合してもよい。代替的に、絶縁導体252を、金属ストラップを使用して支持部材220に直接固定してもよい。セントラライザ222は、支持部材220上の絶縁導体252の位置を維持しおよび/または絶縁導体252の移動を抑制してもよい。セントラライザ222を、金属、セラミックまたはこれらの組み合わせで作製してもよい。金属は、ステンレス鋼または腐食性で高温の環境に耐えることができる任意の他の種類の金属であってもよい。幾つかの実施形態において、セントラライザ222は、約6m未満の間隔で支持部材に溶接される弓形の金属ストリップである。セントラライザ222に使用されるセラミックは、限定されるものではないが、Al2O3、MgOまたは別の電気絶縁体であってもよい。セントラライザ222は、絶縁導体の動作温度において絶縁導体の移動が抑制されるように、支持部材220上の絶縁導体252の位置を維持してもよい。絶縁導体252はまた、加熱中の支持部材220の膨張に耐えるように、ある程度可撓性であってもよい。
支持部材220、絶縁導体252およびセントラライザ222を、炭化水素層240における開口部238内に配置してもよい。絶縁導体252を、低温ピン226を使用して底部導体接合箇所224に結合してもよい。底部導体接合箇所224は、各絶縁導体252を互いに電気的に結合させてもよい。底部導体接合箇所224は、導電性であるとともに開口部238内に見られる温度で溶融しない材料を含み得る。低温ピン226は、絶縁導体252よりも低い電気抵抗を有する絶縁導体であってもよい。
引き込み導体228を、絶縁導体252に電力を供給するために、坑口242に結合してもよい。引き込み導体228を、引き込み導体を通過する電流からの発熱が比較的少なくなるように、比較的低い電気抵抗の導体で作製してもよい。幾つかの実施形態において、引き込み導体は、ゴムまたはポリマーで絶縁された銅撚線である。幾つかの実施形態において、引き込み導体は、銅コアを備えた無機絶縁導体である。引き込み導体228は、上層土246と地表250との間に位置する密封フランジを介して地表250における坑口242に結合してもよい。密封フランジにより、開口部238から表面250へ流体が漏れるのを抑制してもよい。
ある実施形態において、引き込み導体228は、つなぎ導体230を使用して絶縁導体252に結合される。つなぎ導体230は、絶縁導体252の低抵抗部分であってもよい。つなぎ導体230は、絶縁導体252の「低温ピン」と称されることもある。つなぎ導体230は、絶縁導体252の主な加熱箇所の単位長さにおける放散と比べて、単位長さ当たり約1/10から約1/5の電力を放散するように設計してもよい。特定の用途の要求に応えるためにより短いまたは長い長さを使用してもよいが、つなぎ導体230は、典型的には、約1.5mから約15mであってもよい。一実施形態において、つなぎ導体230の導体は銅である。つなぎ導体230の電気絶縁体は、主な加熱箇所において使用される同じ種類の電気絶縁体であってもよい。つなぎ導体230のジャケットを耐食性材料で作製してもよい。
ある実施形態において、つなぎ導体230は、接合部または他の結合継手により引き込み導体228に結合される。接合部はまた、つなぎ導体230を絶縁導体252に結合するために使用してもよい。接合部は、対象領域の動作温度の半分に等しい温度に耐えるものでなければならない場合がある。接合部における電気絶縁物の密度は、多くの場合、必要とされる温度および動作電圧に耐えるのに十分に高くなければならない。
幾つかの実施形態では、図3に示すように、充填材料248は、上層土ケーシング244と開口部238との間に配置される。幾つかの実施形態において、補強材料232は、上層土ケーシング244を上層土246に固定してもよい。充填材料248は、流体が開口部238から地表250に流れるのを抑制してもよい。補強材料232は、例えば、高温性能の改善のためにシリカ微粉と混合されたクラスGもしくはクラスHのポルトランドセメント、スラグもしくはシリカ微粉および/またはこれらの混合物を含み得る。幾つかの実施形態において、補強材料232は、約5cmから約25cmの幅で径方向に延びる。
図3および図4に示すように、支持部材220および引き込み導体228を、地層の表面250において坑口242に結合してもよい。表面導体234は、補強材料232を囲んで坑口242に結合してもよい。表面導体の実施形態は、地層における開口部内におよそ3mからおよそ515mの深さまで延びてもよい。代替的に、表面導体は、地層中におよそ9mの深さまで延びてもよい。絶縁導体の電気抵抗により熱を発生させるために、電流を電源から絶縁導体252に供給してもよい。3つの絶縁導体252から発生した熱は、炭化水素層240の少なくとも一部分を加熱するために、開口部238内を伝わり得る。
絶縁導体252により発生した熱は、炭化水素含有地層の少なくとも一部分を加熱してもよい。幾つかの実施形態において、熱は、地層への発生した熱の放射により実質的に地層に伝達される。開口部内に存在するガスによる熱の伝導または対流により、一部の熱を伝達してもよい。開口部は、図3および図4に示すように、ケーシングなしの開口部であってもよい。ケーシングなしの開口部は、加熱器を地層に熱でセメント固定することに関連するコスト、ケーシングに関連するコストおよび/または開口部内に加熱器を詰め込むコストを不要にする。加えて、放射による熱伝達は、典型的には伝導による熱伝達よりも効率的であるので、開放した坑井孔内において加熱器をより低温で動作させてもよい。熱源の初期動作中の伝導熱伝達を、開口部内にガスを追加することにより高めてもよい。ガスを、最大で約27バール(絶対圧)の圧力で維持してもよい。ガスは、限定されるものではないが、二酸化炭素および/またはヘリウムを含み得る。開放した坑井孔内の絶縁導体加熱器は、有利には、熱膨張および収縮に対応するように自由に膨張または収縮し得る。絶縁導体加熱器は、有利には、開放した坑井孔に対して取り出し可能または再配置可能であってもよい。
ある実施形態において、絶縁導体加熱器組立体は、スプール組立体を使用して設置され、または取り外される。2つ以上のスプール組立体を、絶縁導体と支持部材の両方を同時に設置するために使用してもよい。代替的に、支持部材を、コイルチューブユニットを使用して設置してもよい。支持体が坑井に挿入されるときに、加熱器をスプールから繰り出して支持体に接続してもよい。電気加熱器および支持部材を、スプール組立体から繰り出してもよい。スペーサを、支持部材の長さに沿って支持部材および加熱器に結合してもよい。追加のスプール組立体を、追加の電気発熱素子用に使用してもよい。
温度制限加熱器は、ある温度で加熱器に自動温度制限特性をもたらす構成であってもよくおよび/またはこのような材料を含み得る。ある実施形態では、強磁性材料が温度制限加熱器に使用される。強磁性材料は、材料に時間変動電流が印加されたときに減少した熱量を提供するために、材料のキュリー温度および/もしくは相転移温度範囲またはその付近で温度を自己制限してもよい。ある実施形態において、強磁性材料は、ほぼキュリー温度でありおよび/または相転移温度範囲にある選択された温度に、温度制限加熱器の温度を自己制限する。ある実施形態において、選択された温度は、キュリー温度および/または相転移温度範囲の約35℃の範囲内、約25℃の範囲内、約20℃の範囲内または約10℃の範囲内である。ある実施形態において、強磁性材料は、種々の電気的および/または機械的特性をもたらすように、他の材料(例えば、高導電性材料、高強度材料、耐食性材料またはこれらの組み合わせ)に結合される。温度制限加熱器の幾つかの部分は、温度制限加熱器の他の部分よりも低い抵抗(異なる幾何学形状によりならびに/または異なる強磁性材料および/もしくは非強磁性材料を使用することにより生じる。)を有し得る。温度制限加熱器の部分が種々の材料および/または寸法を備えることで、加熱器の各部分からの所望の熱出力の調整が可能となる。
温度制限加熱器は、他の加熱器よりも高い信頼性を有し得る。温度制限加熱器は、地層中のホットスポットによる機能停止または故障が起こりにくい。幾つかの実施形態において、温度制限加熱器は、地層の実質的に均一な加熱を可能にする。幾つかの実施形態において、温度制限加熱器は、加熱器の全長にわたるより高い平均熱出力で動作することにより、より効率的に地層を加熱することができる。温度制限加熱器は、加熱器のいずれかの点に沿った温度が加熱器の最大動作温度を超えるかまたは超えようとしている場合に、典型的な一定のワット数の加熱器の場合のように、加熱器への電力を加熱器全体に対して減らす必要はないため、加熱器の全長にわたってより高い平均熱出力で動作する。加熱器のキュリー温度および/または相転移温度範囲に近づいた温度制限加熱器の部分からの熱出力は、加熱器に印加される時間変動電流の制御された調節なしに自動的に低下する。熱出力は、温度制限加熱器の部分の電気的特性(例えば、電気抵抗)の変化に起因して自動的に低下する。従って、加熱工程の大部分にわたって、より多くの電力が温度制限加熱器により供給される。
ある実施形態において、温度制限加熱器を含むシステムは、最初に第1の熱出力をもたらし、次いで、温度制限加熱器が時間変動電流で通電されると、加熱器の電気抵抗部分のキュリー温度および/または相転移温度範囲で、その付近でまたはこれを超えると、減少した(第2の)熱出力をもたらす。第1の熱出力は、下回ると温度制限加熱器が自己制限を開始する温度での熱出力である。幾つかの実施形態において、第1の熱出力は、温度制限加熱器の強磁性材料のキュリー温度および/または相転移温度範囲よりも低い約50℃、約75℃、約100℃または約125℃の温度での熱出力である。
温度制限加熱器は、坑口において供給される時間変動電流(交流電流または変調直流電流)で通電されてもよい。坑口は、電源および温度制限加熱器への電力の供給に使用される他の構成要素(例えば、変調部品、変圧器および/またはコンデンサ)を含み得る。温度制限加熱器は、地層の一部分を加熱するために使用される多くの加熱器のうちの1つであってもよい。
幾つかの実施形態では、強磁性導体のキュリー温度および/もしくは相転移温度範囲またはその付近の温度で、温度制限加熱器の電気抵抗による熱出力の大部分をもたらすために、比較的薄い導電層が使用される。このような温度制限加熱器を、絶縁導体加熱器における加熱部材として使用してもよい。絶縁導体加熱器の加熱部材は、外装と加熱部材との間に絶縁層を備えて、外装の内側に位置してもよい。
図5Aおよび図5Bは、加熱部材としての温度制限加熱器を備えた絶縁導体加熱器の実施形態の断面図を描いている。絶縁導体252は、コア218と、強磁性導体236と、内側導体212と、電気絶縁体214と、ジャケット216とを備える。コア218は、銅コアまたは銅ニッケル合金(例えば、合金90または合金180)である。強磁性導体236は、例えば、鉄または鉄合金である。
内側導体212は、強磁性導体236よりも高い導電性を有する、非強磁性材料からなる比較的薄い導電層である。ある実施形態において、内側導体212は銅である。内側導体212は、銅合金であってもよい。銅合金は、典型的には、純銅よりも平坦な抵抗対温度プロファイルを有する。より平坦な抵抗対温度プロファイルは、キュリー温度および/または相転移温度範囲までの温度に応じた、より変動の少ない熱出力をもたらし得る。幾つかの実施形態において、内側導体212は、6重量%のニッケルを含む銅(例えば、CuNi6またはLOHM(商標))である。幾つかの実施形態において、内側導体212は、CuNi10Fe1Mn合金である。強磁性導体236のキュリー温度および/または相転移温度範囲未満では、強磁性導体の磁気特性が、電流の流れの大部分を内側導体212に限定する。従って、内側導体212は、キュリー温度および/または相転移温度範囲未満で、絶縁導体252の抵抗による熱出力の大部分をもたらす。
幾つかの実施形態において、内側導体212は、コア218および強磁性導体236と共に、所望量の熱出力および所望のターンダウン比をもたらすような寸法とされる。例えば、内側導体212は、コア218の断面積の約1/2から1/3の断面積を有し得る。典型的には、内側導体212は、内側導体が銅または銅合金である場合に所望の熱出力をもたらすために、比較的小さな断面積を有していなければならない。銅製の内側導体212を備える実施形態では、コア218が0.66cmの直径を有し、強磁性導体236が0.91cmの外径を有し、内側導体212が1.03cmの外径を有し、電気絶縁体214が1.53cmの外径を有しおよびジャケット216が1.79cmの外径を有する。CuNi6の内側導体212を備える実施形態では、コア218が0.66cmの直径を有し、強磁性導体236が0.91cmの外径を有し、内側導体212が1.12cmの外径を有し、電気絶縁体214が1.63cmの外径を有しおよびジャケット216が1.88cmの外径を有する。このような絶縁導体は、典型的には、キュリー温度および/または相転移温度範囲未満で熱出力の大部分をもたらすために薄い内側導体を使用しない絶縁導体よりも小さくおよび製造コストが安い。
電気絶縁体214は、酸化マグネシウム、酸化アルミニウム、二酸化ケイ素、酸化ベリリウム、窒化ホウ素、窒化ケイ素またはこれらの組み合わせであってもよい。ある実施形態において、電気絶縁体214は、圧密化された酸化マグネシウム粉末である。幾つかの実施形態において、電気絶縁体214は、窒化ケイ素のビードを含む。
ある実施形態では、より高温で銅が電気絶縁体へ移動するのを抑制するために、小さな材料層が電気絶縁体214と内側導体212との間に配置される。例えば、小さなニッケル層(例えば、約0.5mmのニッケル)を電気絶縁体214と内側導体212との間に配置してもよい。
ジャケット216は、限定されるものではないが、304ステンレス鋼、316ステンレス鋼、347ステンレス鋼、347Hステンレス鋼、446ステンレス鋼または825ステンレス鋼などの、耐食性材料で作製される。幾つかの実施形態において、ジャケット216は、強磁性導体236のキュリー温度および/もしくは相転移温度範囲でまたはこれを超えると、絶縁導体252にある程度の機械強度をもたらす。幾つかの実施形態において、ジャケット216は、電流を伝導するためには使用されない。
比較的長尺(例えば、10m以上の長さ)の絶縁導体の作製には、多くの潜在的な問題が存在する。例えば、絶縁導体内に電気絶縁体を形成するために使用される材料のブロック間に間隙が存在する場合がありおよび/または絶縁物両端の破壊電圧が加熱器長さに沿って熱を提供するために必要な動作電圧に耐えるのに十分に高くない場合がある。絶縁導体は、加熱器として使用される絶縁導体および/または地層の上層土箇所に使用される絶縁導体(熱出力をほとんどまたは全くもたらさない絶縁導体)を含む。絶縁導体は、例えば、無機絶縁ケーブルなどの無機絶縁導体であってもよい。
絶縁導体を作製(形成)するために使用される典型的な工程では、絶縁導体のジャケットは、導電性材料(例えば、ステンレス鋼)のストリップとして開始する。ジャケットストリップは、部分円筒形状に形成され(長手方向に丸められ)、電気絶縁体ブロック(例えば、酸化マグネシウムブロック)が部分円筒ジャケットに挿入される。挿入されたブロックは、半円筒ブロックなどの部分円筒ブロックであってもよい。ブロックの挿入に続いて、典型的には中実の円筒である長手方向コアが、部分円筒内および半円筒ブロックの内側に配置される。コアは、銅、ニッケルおよび/または鋼などの導電性材料で作製される。
電気絶縁体ブロックおよびコアが適所に配置された時点で、ブロックおよびコアを収容するジャケットの部分をブロックとコアの周囲で完全な円筒に形成してもよい。ジャケットの内側にコアと電気絶縁体ブロックとを備えた絶縁導体組立体を形成するために、円筒を閉じるジャケットの長手方向縁部を溶接してもよい。所望の長さの絶縁導体組立体を形成するために、ブロックを挿入してジャケット円筒を閉じる工程をジャケットの長さに沿って繰り返してもよい。
絶縁導体組立体が形成されるときに、組立体における間隙および/または多孔性を減少させるための更なるステップを行ってもよい。例えば、組立体における間隙を減少させるために、絶縁導体組立体を、漸減システム(冷間加工システム)を通して移動させてもよい。漸減システムの一例は、ローラシステムである。ローラシステムにおいて、絶縁導体組立体は、組立体が水平ローラおよび垂直ローラ間を交互に通る状態で、多数の水平ローラと垂直ローラとを通って前進してもよい。ローラは、絶縁導体組立体の大きさを最終的な所望の外径または断面積(例えば、外側電気導体(外装もしくはジャケットなど)の外径または断面積)まで徐々に減少させてもよい。
ある実施形態では、ブロック間の間隙を最小限に抑えるために、絶縁導体組立体の内側のブロックに軸方向の力がかけられる。例えば、1つまたは複数のブロックが絶縁導体組立体に挿入されるときに、挿入されるブロックを、既に組立体内にあるブロックに対して組立体に沿って軸方向に(機械的にまたは空気圧で)押圧してもよい。挿入されるブロックを既に絶縁導体組立体内にあるブロックに対して十分な力で押圧することで、組立体圧延工程を通じて組立体を移動させるときに組立体の長さに沿ってブロック間に力をもたらしおよび維持することにより、ブロック間の間隙を最小限に抑える。
図6から図8は、絶縁導体組立体内のブロックに軸方向の力をもたらすために使用できるブロック押圧装置254の一実施形態を描いている。ある実施形態では、図6に示すように、装置254は、絶縁導体ホルダ256と、プランジャガイド258と、空気シリンダ260とを備える。装置254は、絶縁導体組立体を作製するために使用される組立ラインに位置してもよい。ある実施形態において、装置254は、組立ラインのうちの、ブロックをジャケットに挿入するために使用される部分に位置する。例えば、装置254は、ジャケットストリップを長手方向に丸めて部分円筒形状にするステップとコアを絶縁導体組立体に挿入するステップとの間に位置する。コアの挿入後に、ブロックとコアとを収容するジャケットを完全な円筒に形成してもよい。幾つかの実施形では、コアがブロックよりも先に挿入され、ブロックがコアの周囲におよびジャケットの内側に挿入される。
ある実施形態において、絶縁導体ホルダ256は、ジャケット216の一部を保持するとともに、ジャケット組立体が絶縁導体ホルダを通って移動することを可能にする一方でジャケットの他の一部が同時に組立ラインの他の部分を通って移動するような形状とされる。絶縁導体ホルダ256をプランジャガイド258と空気シリンダ260とに結合してもよい。
ある実施形態において、ブロックホルダ262は、絶縁導体ホルダ256に結合される。ブロックホルダ262は、ブロック264を収納しおよびブロック264をジャケット216に挿入するために使用される装置であってもよい。ある実施形態において、ブロック264は、2つの半円筒ブロック264A、264Bから形成される。ブロック264を、限定されるものではないが、酸化マグネシウムなどの、絶縁導体組立体において使用するのに適した電気絶縁体から作製してもよい。幾つかの実施形態において、ブロック264は、長さが約6インチである。しかしながら、ブロック264の長さは、絶縁導体組立体についての所望または必要に応じて異なってもよい。
ブロックがジャケット216に適切に挿入されるように、ブロックホルダ262内においてブロック264A、264Bを隔てるために仕切りを使用してもよい。図8に示すように、ジャケットが絶縁導体ホルダ256を通過するときに、ブロック264A、264Bをブロックホルダ262からジャケット216内に重力により送給してもよい。ブロック264A、264Bを、直接並んだ配置でジャケット216に挿入してもよい(挿入後に、ブロックがジャケット内で水平方向に直接並べて載置される。)。
ブロック264A、264Bがジャケット216に挿入されるときに、ジャケット内側のブロック間の間隙を取り除くために、ブロックを先に挿入されたブロック側に移動させ(押圧し)てもよい。図8に示すプランジャ266を使用して、ブロック264A、264Bを先に挿入されたブロック側に移動させてもよい。プランジャ266は、ジャケット自体にではなくジャケット内側のブロックに圧力をもたらすように、ジャケット216の内側に位置してもよい。
ある実施形態において、プランジャ266は、プランジャがジャケット216内側を自由に移動するとともにジャケット内側のコアに力をもたらさずにブロックに軸方向の力をもたらすことを可能にする断面形状を有する。図9は、プランジャ266がブロックに力をもたらすがジャケット内側のコアには力をもたらさないことを可能にする断面形状を備えたプランジャの実施形態を描いている。幾つかの実施形態において、プランジャ266は、セラミックで作製されるか、またはセラミック材料で被覆される。使用できるセラミック材料の例としては、ジルコニア強化アルミナ(ZTA)である。セラミック製のまたはセラミック被覆されたプランジャを使用することで、プランジャによりブロックに力が印加されるときのプランジャによるブロックの摩耗を抑制してもよい。
ある実施形態において、空気シリンダ260は、1つまたは複数の棒(図6および図7に示す。)を用いてプランジャガイド258に結合される。空気シリンダ260およびプランジャガイド258は、ブロックまたはジャケットに角度モーメントを加えるのを抑制するためにジャケット216およびプランジャ266と整列してもよい。空気シリンダのどちら側に正の空気圧がもたらされるかに基づいて空気シリンダを伸縮させることができるように、空気シリンダ260を、2方向弁を使用して動作させてもよい。空気シリンダ260を(図6に示すように)伸ばすと、プランジャガイド258は、プランジャ266が邪魔にならないように動かされてブロック264A、264Bをブロックホルダ262からジャケット216に挿入する(例えば、落下させる)ことを可能にするように、絶縁導体ホルダ256から離れる方向に移動する。
空気シリンダ260が(図7に示すように)縮むと、プランジャガイド258がプランジャ266に向かって移動しおよびプランジャ266がブロック264A、264Bに選択された量の力をもたらす。プランジャ266は、ブロックをジャケット216に先に挿入されたブロックに押し付けるために、ブロック264A、264Bに選択された量の力をもたらす。プランジャ266によりブロック264A、264Bにもたらされる力の量を、限定されるものではないが、ジャケットが組立ラインを通って移動するときのジャケットの速度、ジャケット内の隣り合うブロック間における間隙の形成を抑制するのに必要な力の量、ブロックに損傷を与えずにブロックに印加できる力の最大量またはこれらの組み合わせなどの要因に基づいて選択してもよい。例えば、選択された量の力は、約100ポンドの力から約500ポンドの力(例えば、約400ポンドの力)であってもよい。ある実施形態において、選択された量の力は、ジャケット内の隣り合うブロック間に間隙を存在させないために必要な最小限の力である。選択された量の力を、空気シリンダにもたらされる空気圧の量により決定してもよい。
ブロック264A、264Bが先に挿入されたブロックに対して押圧された後に、プランジャ266が引っ込められて追加のブロックをブロックホルダ262からジャケット216内に落下させるように、空気シリンダ260における空気圧が逆向きにされて空気シリンダが伸びる。この工程を、ジャケット216が絶縁導体組立体の所望の長さまでブロックで満たされるまで繰り返してもよい。
ある実施形態では、プランジャ266を、空気シリンダ260にもたらされる空気圧の方向を交互に切り替えるカムを使用して往復移動(伸縮)させる。カムを、例えば、空気シリンダを動作させるために使用される2方向弁に結合してもよい。カムは、空気シリンダを伸ばすように弁を動作させる第1の位置と、空気シリンダを縮めるように弁を動作させる第2の位置とを有し得る。空気シリンダの動作を伸びと縮みとの間で切り替えるように、カムを、プランジャの動作により第1の位置と第2の位置の間で移動させてもよい。
プランジャ266の伸縮により間欠的な力をブロック264A、264Bにもたらすことにより、ジャケット216に挿入された一連のブロックに選択された量の力がもたらされる。この力をジャケット内の一連のブロックにもたらすことにより、隣り合うブロック間における間隙が除去され間隙の形成が抑制される。ブロック間の間隙の抑制することにより、絶縁導体組立体における機械的および/または電気的破損の可能性が低減される。
幾つかの実施形態において、ブロック264A、264Bは、上で説明した直接並んだ配置を除く他の方法でジャケット216に挿入される。例えば、ブロックを、ブロックがジャケットの長さに沿ってずらされる千鳥状に並んだ配置で挿入してもよい。このような配置では、プランジャは、ずらされたブロックに対応する異なる形状を有し得る。例えば、図10は、ずらされた(千鳥配置された)ブロックを押圧するために使用できるプランジャ266の実施形態を描いている。別の例として、ブロックを、上/下の配置(ある半円筒ブロックが別の半円筒ブロックの上に位置する。)で挿入してもよい。上/下の配置では、ブロックが互いに直接重なり合ってもよく、またはブロックがずらされた(千鳥配置された)関係にあってもよい。図11は、上/下に配置されたブロックを押圧するために使用できるプランジャ266の実施形態を描いている。ジャケット内側でブロックをずらすかまたは千鳥配置することで、挿入されたブロックの前または後のブロックに対するブロックの回転を抑制してもよい。
比較的長尺(例えば、10m以上の長さ)を備えた絶縁導体における潜在的な問題の別の原因は、電気絶縁体の電気的特性が経時劣化し得ることである。電気的特性(例えば、抵抗)の僅かな変化でも、絶縁導体の破損につながる場合がある。長尺の絶縁導体に使用される電気絶縁体が典型的には上で説明したように電気絶縁体の幾つかのブロックで作製されるので、電気絶縁体のブロックを作製するために使用される工程を改善することで、絶縁導体の信頼性を高めてもよい。ある実施形態において、電気絶縁体は、絶縁導体の使用中(例えば、絶縁導体加熱器による熱の生成中)において経時的に実質的に一定のままである抵抗を有するように改良される。
幾つかの実施形態において、電気絶縁体ブロック(酸化マグネシウムブロックなど)は、ブロックの経時劣化を生じさせ得る不純物を除去するために精製される。例えば、電気絶縁体ブロック用に使用される原材料を、金属酸化物の不純物を金属元素に変換するために(例えば、酸化鉄の不純物を鉄元素に変換してもよい。)、より高温に加熱してもよい。金属酸化物から除去するよりも容易に電気絶縁体の原材料から金属元素を除去し得る。従って、不純物の除去前に原材料をより高温に加熱することにより、電気絶縁体の原材料の純度を向上させてもよい。例えば、プラズマ放電を使用することにより、原材料をより高温に加熱してもよい。
幾つかの実施形態において、電気絶縁体ブロックは、当技術分野で公知のセラミック作製方法であるホットプレスを使用して作製される。電気絶縁体ブロックをホットプレスすることにより、ブロック中の原材料を絶縁導体加熱器内の接触点において融合させてもよい。接触点でのブロックの融合は、電気絶縁体の電気的特性を向上させ得る。
幾つかの実施形態において、電気絶縁体ブロックは、乾燥空気または清浄空気を使用してオーブン内で冷却される。乾燥空気または清浄空気を使用することで、冷却工程中のブロックへの不純物または水分の付着を減少させてもよい。ブロックから水分を除去することで、ブロックの電気的特性の信頼性を高めてもよい。
幾つかの実施形態において、電気絶縁体ブロックは、ブロックの作製工程中に熱処理されない。ブロックを熱処理しないことで、ブロックにおける抵抗を維持しおよびブロックの経時劣化を抑制してもよい。幾つかの実施形態において、電気絶縁体ブロックは、ブロックにおける抵抗の維持を補助するために、遅い加熱速度で加熱される。
幾つかの実施形態においては、絶縁導体のコアは、絶縁導体の電気絶縁体への不純物の移動を抑制する材料で被覆される。例えば、合金180製のコアをニッケルまたはInconel(R)625で被覆することで、合金180から電気絶縁体への材料の移動を抑制してもよい。幾つかの実施形態において、コアは、電気絶縁体へ移動しない材料で作製される。例えば、炭素鋼製のコアは、電気絶縁体の経時劣化を生じさせない。
幾つかの実施形態において、電気絶縁体は、粉末状の酸化マグネシウムなどの粉末状の原材料で作製される。粉末状の酸化マグネシウムは、他の種類の酸化マグネシウムよりも良好に劣化に抗し得る。
ある実施形態において、絶縁(無機絶縁)導体組立体は、圧延ステップと圧延ステップとの間に熱処理(アニール)される。絶縁導体組立体の熱処理(アニーリング)は、絶縁導体組立体に使用される金属(複数可)の機械的特性を取り戻すために必要である場合がある。絶縁導体の熱処理(アニーリング)を、応力を緩和しおよび材料(例えば、金属合金材料)を自然状態(例えば、合金材料の任意の冷間加工または熱処理前の合金材料の状態)に戻す熱処理として説明することができる。例えば、オーステナイト系ステンレス鋼が冷間加工されると、オーステナイト系ステンレス鋼は、より強度が高くなるが、追加の冷間加工により材料がその脆弱性のため破断し得る状態に達するまでより脆くなる。アニールされた材料の強度および冷間加工を通じて達成され得る破損前の強度は、処理される材料に基づいて決まり(異なり)得る。
幾つかの実施形態において、熱処理は、絶縁(無機絶縁)導体組立体の更なる圧延(冷間加工)を可能にする。例えば、絶縁導体組立体を、冷間加工後の組立体における金属中の応力を低減しおよび金属の冷間加工(漸減)特性を向上させるために熱処理してもよい。絶縁導体組立体における金属合金(例えば、ジャケットまたは外側電気導体として使用されるステンレス鋼)を熱処理した後に急速に急冷する必要がある場合がある。成分が結晶を形成するのを可能にするよりもむしろ、成分がまだ溶解している間に合金を凝固させるために、金属合金を急速に急冷してもよく、この急冷は、必要に応じて金属合金の機械的特性に寄与しなくてもよい。
急冷時には、ジャケット(外側電気導体)が最初に冷却され、次いで、ケーブルの内側からジャケットを通して熱がより緩やかに伝達される。従って、ジャケットが収縮して電気絶縁体(例えば、MgO)を圧搾し、このことにより、電気絶縁体が更に圧密化される。次いで、電気絶縁体およびコアが冷却されると、電気絶縁体およびコアは、収縮して小さな空隙を残し、例えば、絶縁導体組立体の内側の電気絶縁体ブロック間の継ぎ目から圧力を逃がす。小さな空隙または継ぎ目は、電気絶縁体における細孔容積および/または多孔性の増加に寄与し得る。
これらの空隙により、絶縁導体組立体の熱処理が、絶縁導体組立体の絶縁破壊電圧(絶縁耐力)を低下させ得る(例えば、絶縁破壊電圧を電気絶縁体における細孔容積および/または多孔性の増加により低下させる。)。例えば、熱処理は、絶縁導体組立体に使用される金属の典型的な熱処理について、破壊電圧を約50%以上低下させ得る。このような破壊電圧の低下は、長尺の加熱器に必要な中電圧から高電圧(例えば、約5kV以上の電圧)で絶縁導体組立体が使用されるときに、短絡または他の電気的破壊を生じさせる場合がある。
ある実施形態において、熱処理後の絶縁導体組立体の最終圧延(冷間加工)は、破壊電圧を長尺の加熱器に対しての許容値まで回復させてもよい。しかしながら、最終圧延は、許容限度を超える組立体における金属の歪みまたは過剰な歪みを防ぐために、絶縁導体組立体の先に行った圧延ほど大きな圧延でなくてもよい。最終圧延において圧延し過ぎると、結果として、絶縁導体組立体における金属に機械的特性を回復させるために、追加の熱処理が必要になる場合がある。従って、最終圧延(冷間加工)ステップは、電気絶縁体の破壊電圧特性を望ましいレベルまで回復させるために、電気絶縁体を圧縮して電気絶縁体における空隙を減少させるかまたはほとんど排除する(例えば、細孔容積および/または多孔性を減少させる)のに十分に絶縁導体組立体の断面積を減少させてもよい。
図12は、予め冷間加工され、予め熱処理された絶縁導体252の実施形態を描いている。ある実施形態において、絶縁導体は、コア218と、電気絶縁体214と、ジャケット216(例えば、外装または外側電気導体)とを含む。幾つかの実施形態では、電気絶縁体214を、絶縁材料(例えば、MgOなどの無機絶縁物)の複数のブロックから作製してもよい。ジャケット216として使用される部分的に形成された円筒の内側に位置決めされたコア218の周囲に絶縁材料のブロックを挿入してもよい(例えば、ジャケットは、部分的に円筒状に形成されおよびブロックがジャケットの内側に挿入されることを可能にするためにコアの周囲で互いに完全に溶接されていない。)。ブロックを絶縁導体252の長さに沿ったコア218に沿って位置決めしてもよい。部分的に形成されたジャケット216の内側にブロックが挿入された後に、コア218および電気絶縁体214(絶縁材料のブロック)の周囲に円筒を形成するために、ジャケットの長手方向端部を互いに接合(例えば、溶接)してもよい。従って、電気絶縁体214の圧密化後に、絶縁導体252は、コア218と電気絶縁体214とジャケット216が絶縁導体の長さに沿って連続した状態で形成される。幾つかの実施形態において、ジャケット216は、絶縁導体252の長さに沿った連続した継ぎ目に沿って接合(例えば、溶接)される。
ある実施形態において、ジャケット216は、熱処理後に、電気絶縁体214を再圧縮するのに十分にジャケットの直径(断面積)を減少させるようにおよびジャケットが巻き付けられ/巻き出される(例えば、スプール組立体に対して巻き取られ/繰り出される)のに十分な延性を維持するように十分に延性のある材料から作製される。例えば、ジャケット216を、304ステンレス鋼、316ステンレス鋼または347ステンレス鋼などのステンレス鋼合金で作製してもよい。また、ジャケット216を、Incoloy(R)800およびInconel(R)600などの他の金属合金で作製してもよい。
ある実施形態において、絶縁導体252は、絶縁導体を最終寸法に最終圧延する前に冷間加工/熱処理工程で処理される。例えば、絶縁導体組立体の断面積を少なくとも約30%減少させるために、組立体を冷間加工してもよく、その後に、誘導コイル出口における光高温計で測定される少なくとも約870℃の温度での熱処理ステップが続く。図13は、冷間加工および熱処理後の、図12に描かれている絶縁導体252の実施形態を描いている。絶縁導体252を冷間加工および熱処理することで、予冷間加工され、予熱処理された絶縁導体のジャケット216と比較して、ジャケット216の断面積を約30%減少させてもよい。幾つかの実施形態では、電気絶縁体214および/またはコア218の断面積を、冷間加工および熱処理工程中に約30%減少させる。
幾つかの実施形態において、絶縁導体組立体は、組立体の断面積を最大で約35%減少させるかまたは絶縁導体組立体の機械的破損点の近くまで減少させるように冷間加工される。幾つかの実施形態において、絶縁導体組立体は、約760℃から約925℃の温度で熱処理および/またはアニールされる。幾つかの実施形態において、絶縁導体組立体は、最大で約1050℃の温度(例えば、組立体内の電気絶縁物を溶融させずに絶縁導体組立体における金属に機械的完全性をできるだけ回復させる温度)で熱処理および/またはアニールされる。ある実施形態において、絶縁導体組立体は、合金を十分にアニールする温度(例えば、合金の実際の(または十分な)アニール温度)で熱処理および/またはアニールされる。例えば、304ステンレス鋼製のジャケットを備えた絶縁導体組立体を、約1050℃の温度(304ステンレス鋼の実際のアニール温度)でアニールしてもよい。絶縁導体組立体に対する熱処理/アニール温度は、絶縁導体組立体のジャケットに使用される合金(金属)によって異なってもよい。合金に対する実際のアニール温度で絶縁導体組立体におけるジャケットを熱処理/アニールすることで、巻き付けおよび取り扱いがより簡単である、より延性のある絶縁導体を提供してもよい。幾つかの実施形態において、熱処理ステップは、絶縁導体組立体を所望の温度まで急激加熱し、次いで、組立体を元の周囲温度まで急冷することを含む。
ある実施形態では、絶縁導体組立体の断面積が組立体の所望の最終断面積に近づく(例えば、約5%から約15%以内)まで、冷間加工/熱処理ステップが2回以上繰り返される。絶縁導体組立体の断面積を組立体の最終断面積に近づける熱処理ステップ後に、絶縁導体組立体の断面積を最終断面積まで減少させるために、最終ステップで組立体が冷間加工される。従って、絶縁導体組立体は、少なくとも部分的に冷間加工された状態にある(例えば、絶縁導体組立体は、最終(ポストアニール)冷間加工ステップでの絶縁導体を含む。部分的に冷間加工された状態は、後熱処理された状態(例えば、約760℃から約1050℃の温度に加熱された状態)と十分に冷間加工された状態(例えば、組立体の断面積を少なくとも約30%減少させるかまたは絶縁導体組立体の機械的破損点の近くまで減少させるように冷間加工された状態)との中間である選択された部分的に冷間加工された状態であってもよい。
図14は、最終冷間加工ステップ後の、図13に描かれている絶縁導体252の実施形態を描いている。図14のジャケット216の実施形態の断面積を、図13のジャケット216の実施形態と比較して約15%減少させてもよい。ある実施形態において、最終冷間加工ステップは、絶縁導体組立体の断面積を約5%から約20%の範囲の量だけ減少させる。幾つかの実施形態において、最終冷間加工ステップは、絶縁導体組立体の断面積を約8%から約16%の範囲の量だけ減少させる。幾つかの実施形態において、最終冷間加工ステップは、絶縁導体組立体の断面積を約10%から約20%の範囲の量だけ減少させる。幾つかの実施形態では、電気絶縁体214および/またはコア218の断面積を、冷間加工および熱処理工程中に減少させる。
最終冷間加工ステップ中に絶縁導体組立体の断面積の減少を最大で約20%に制限することで、地表下地層を加熱するのに使用する絶縁導体組立体のジャケット(外側導体)における十分な機械的完全性を維持しながら、絶縁導体組立体の断面積を所望の値まで減少させる。従って、適切な機械的特性が維持されるので、絶縁導体組立体の機械的完全性を回復させるための更なる熱処理の必要が排除されるかまたは実質的に低減される。最終冷間加工ステップ中に絶縁導体組立体の断面積を約20%超減少させる場合、地表下地層中における長い加熱器として使用するのに十分な機械的完全性を絶縁導体組立体に戻すために、更なる熱処理が必要となる場合がある。しかしながら、このような更なる熱処理は、絶縁導体組立体の電気的特性を低下させる可能性がある。
ある実施形態において、最終(ポストアニール)冷間加工ステップ後の絶縁導体組立体のジャケット(外側導体)における十分な機械的完全性を維持することは、限定されるものではないが、絶縁導体組立体が選択された降伏強度を有する絶縁導体および/または外側電気導体の直径の選択された数倍の半径に巻き付けられることが可能であることを含む。例えば、ある実施形態において、絶縁導体組立体は、最終(ポストアニール)冷間加工ステップ後の絶縁導体の直径の約100倍の半径に巻き付けることが可能である。幾つかの実施形態において、絶縁導体組立体は、最終(ポストアニール)冷間加工ステップ後の絶縁導体の直径の約75倍または約50倍の半径に巻き付け可能である。
ある実施形態において、外側電気導体は、最終(ポストアニール)冷間加工ステップ後に、0.2%のオフセット量に基づいた約120kpsiの選択された降伏強度を有する。幾つかの実施形態において、外側電気導体は、最終(ポストアニール)冷間加工ステップ後に、0.2%のオフセット量に基づいた約100kpsiまたは約80kpsiの選択された降伏強度を有する。限定されるものではないが、304ステンレス鋼、316ステンレス鋼および347ステンレス鋼を含むステンレス鋼については、かかる降伏強度が、外側電気導体(ひいては、絶縁導体組立体)が絶縁導体の直径の約100倍の半径に巻き付けられることを可能にし得る。自然状態(例えば、任意の冷間加工または熱処理前のステンレス鋼の状態)でのこのようなステンレス鋼の降伏強度は、典型的には、0.2%のオフセット量に基づいて約30kpsiであってもよい。
従って、最終(ポストアニール)冷間加工ステップ後のこのような合金材料の降伏強度は、自然状態での降伏強度よりも高くてもよい。ある実施形態において、最終(ポストアニール)冷間加工ステップ後の外側電気導体(例えば、ステンレス鋼などの金属合金)は、自然状態での金属合金の降伏強度よりも少なくとも約50%高い、0.2%のオフセット量に基づいた降伏強度を有する。ある実施形態において、最終(ポストアニール)冷間加工ステップ後の金属合金の降伏強度は、自然状態での合金材料の降伏強度の最大で約400%である。
追加的に、熱処理ではなく冷間加工を絶縁導体組立体の作製工程における最終ステップにすることおよび/または熱処理することにより、絶縁導体組立体の絶縁破壊電圧が向上する。絶縁導体組立体の冷間加工する(断面積の減少)ことにより、組立体の電気絶縁物の細孔容積および/または多孔性が減少する。電気絶縁体における細孔容積および/または多孔性を減少させることで、電気絶縁体における電気的短絡および/または破損の経路を排除することにより破壊電圧が高くなる。従って、(典型的には破壊電圧を低下させる)熱処理ではなく冷間加工を最終ステップにすることにより、断面積を最大で約20%減少させる最終冷間加工ステップを使用して、より高い破壊電圧の絶縁導体組立体を作ることができる。
幾つかの実施形態において、最終冷間加工ステップ後の破壊電圧は、予め熱処理された絶縁導体組立体の破壊電圧(絶縁耐力)に近づく。ある実施形態において、最終冷間加工ステップ後の絶縁導体組立体内の電気絶縁物の絶縁耐力は、予め熱処理された絶縁導体内の電気絶縁物の絶縁耐力の約10%以内、約5%以内または約2%以内である。幾つかの実施形態において、絶縁導体組立体の破壊電圧は、組立体の寸法に応じて約12kVから約20kVである。幾つかの実施形態において、絶縁導体組立体の破壊電圧は、組立体の寸法に応じて最大で約25kVである。ある実施形態において、絶縁導体組立体の破壊電圧は、少なくとも15kVである。
図18は、異なる絶縁導体における最大電界(例えば、破壊電圧)対時間を描いている。データ点300は、後の冷間加工ステップなしに最終アニールステップで処理された絶縁導体に関するものである。データ点302およびデータ点304は、最終(ポストアニール)冷間加工ステップで処理された絶縁導体に関するものである。データ点302に対して使用される絶縁導体は直径がより小さいが、データ点300および304に対して使用される絶縁導体は大きさが実質的に同様である。例えば、データ点300および304に対して使用される絶縁導体を、4−1/2”の直径のキャニスタ内における(3相Y字構成で互いに結合するための)3つの絶縁導体として使用されるような大きさとしてもよく、その一方で、データ点302に対して使用される絶縁導体を、2−7/8”の直径のキャニスタ内における3つの絶縁導体として使用されるような大きさとしてもよい。図18において、最大電界は、絶縁導体の各々における電気絶縁体厚さを使用して正規化されている(例えば、最大電界は、電気絶縁体厚さの1ミル当たりのボルト(V/mil)として表される。)。
最大電界を電気絶縁体厚さ(V/mil)に換算して算出するために、式1を使用してもよい。式1によれば、
(1)E=V/(a*ln(b/a))
であり、ここで、Eは最大電界であり、Vは印加される電圧であり、aは内側導体(例えば、コア)の半径であり、bは外装(例えば、ジャケット)の内径である。式1は、一般に、約0.125インチ(約0.3175cm)から約0.5インチ(約1.27cm)の直径を備えたコア(内部導体)に適用可能である。しかしながら、式1は、異なる直径を備えたコアに適用可能であってもよい。例えば、式1は、式を修正せずに、より大きな直径を備えたコアに適用可能であってもよい。
ライン301は、地表下炭化水素含有地層を加熱するのに使用すべき絶縁導体に許容される最小破壊電圧(最大電界強度)を表している。データ点300、302および304は、絶縁導体試料が絶縁破壊される前に約1300°F(約700℃)の持続温度において耐えることができる最大電界(例えば、約1300°F(約700℃)での破壊電圧)を表している。データ点300および302は、x軸線で示すように、後の時間に(後日)取られたデータ点を含む。網掛け領域306は、データ点300に対応しており、破壊電圧の予測される経時劣化を示している。網掛け領域308は、データ点302に対応しており、破壊電圧の予測される経時劣化を示している。網掛け領域310は、データ点304に対応しており、破壊電圧の予測される経時劣化を示している。
図18に示すように、最終(ポストアニール)冷間加工ステップでの絶縁導体は、最終アニールステップを伴う絶縁導体よりも(標準的基準で)高い最大電界を有する。幾つかの実施形態において、最終(ポストアニール)冷間加工ステップでの絶縁導体は、最終アニールステップを伴う絶縁導体の初期破壊電圧よりも2倍から5倍大きな初期破壊電圧を有する。追加的に、最終(ポストアニール)冷間加工ステップでの絶縁導体は、更に良好な長期破壊電圧劣化特性(例えば、より高い長期破壊電圧)を有し得る。
最終(ポストアニール)冷間加工ステップで作製された絶縁導体を、実質的に長い、実質的に連続した長さに形成してもよい。実質的に連続した長さは、例えば、絶縁導体間に接合部または他の接続部を作製する必要のない連続した長さを含み得る(例えば、絶縁導体は、実質的に連続したコアと、実質的に連続した電気絶縁体と、実質的に連続したジャケット(外装)とを含む。)。ある実施形態において、実質的に連続した絶縁導体のジャケットは、その長さに沿って溶接された連続した継ぎ目を備える。
ある実施形態において、最終(ポストアニール)冷間加工ステップでの絶縁導体は、少なくとも約100mの実質的に連続した長さを有する。幾つかの実施形態において、このような絶縁導体は、少なくとも約50m、少なくとも約250mまたは少なくとも約500mの実質的に連続した長さを有する。かかる絶縁導体は、絶縁導体の他の寸法(例えば、直径)に応じて、最大で約1000m、約2000mまたは約3000mの実質的に連続した長さを有し得る。
ある実施形態において、最終(ポストアニール)冷間加工ステップでの絶縁導体は、選択された電気的特性を有する。例えば、このような絶縁導体は、絶縁導体の実質的に連続した長さにわたって、選択された温度および選択された周波数において選択された(初期)破壊電圧を有し得る。ある実施形態において、最終(ポストアニール)冷間加工ステップでの絶縁導体は、絶縁導体の実質的に連続した長さにわたって、約1300°F(約700℃)および約60Hz(または約50Hz)において、電気絶縁体厚さの少なくとも約60V/ミル(約2400V/mm)の初期破壊を有する。幾つかの実施形態において、最終(ポストアニール)冷間加工ステップでの絶縁導体は、絶縁導体の実質的に連続した長さにわたって、約1300°F(約700℃)および約60Hz(または約50Hz)において、電気絶縁体厚さの少なくとも約100V/ミル(約4000V/mm)または電気絶縁体厚さの少なくとも約120V/ミル(約4750V/mm)の初期破壊を有する。
ある実施形態において、初期破壊電圧に対する実質的に連続した長さは、少なくとも約100mである。
幾つかの実施形態において、初期破壊電圧に対する実質的に連続した長さは、少なくとも約50m、少なくとも約75m、少なくとも約250mである。追加的に、このような絶縁導体は、(図18にデータで示すように)実質的に連続した長さに沿った許容可能な経時劣化を伴う破壊電圧を有し得る。
典型的には市販されている絶縁導体(MIケーブル)は、ヒートトレース用途、温度検出用途(例えば、熱電対)および高温使用が必要とされる給電用途(例えば、消火ポンプ、エレベータまたは非常用回路)に主に使用される。これらの用途は、典型的には、本質的に(約1000VAC未満の)低い電圧である。これらのMIケーブルの設計および試験性能要件は、2つの工業規格、即ちIEEE規格515(商標)−2011およびIEC60702−1、第3版、2002−02により規定され得る。
これらの種類のMIケーブルの合否判定は、通常、周囲温度条件での誘電性能試験に基づき得る。典型的には、この目的で実行される2つの試験が存在する。これら試験は、以下の通りである。
1.DC絶縁抵抗(IEC 60702−1、セクション11.3)−各MIケーブルは、(15±10)℃の温度で少なくとも1時間完全に水中に沈められる。水からの取り出しから8時間以内に、ケーブル端部を剥がして導体を露出させ、ケーブル端部を各端部において一時的に密封する。1000VのDC電圧が外側外装と中心導体との間に印加される。絶縁抵抗は、測定値が一定であるかまたは低下していなければ、電圧印加の1分後に測定される。絶縁抵抗は、10,000MΩ以上でなければならない。
2.絶縁試験(ACハイポット)(IEEE規格515(商標)、セクション4.1.1)−各MIケーブルは、絶縁耐圧試験を受ける。この試験は、真の正弦波AC出力をもたらすACハイポットを使用して行われる。耐圧試験に使用される周波数は、2.2kVの印加試験電圧で60Hzである。MIケーブルは、絶縁破壊なしに1分間この印加電圧に耐えることが可能でなければならない。
対照的に、本明細書で説明した絶縁導体の実施形態などの地表下用途に適した絶縁導体(例えば、最終(ポストアニール)冷却加工ステップで形成された(無機)絶縁導体の実施形態)は、より高温(例えば、地表下における動作温度)においてより高い破壊電圧を有し得る。例えば、これらの絶縁導体のある実施形態は、60Hz(または50Hz)および約1300°Fの動作温度において少なくとも約20kVの破壊電圧を有し得る。幾つかの実施形態において、これらの絶縁導体は、60Hz(または50Hz)および約1300°Fの動作温度において少なくとも約25kVの破壊電圧を有し得る。以下のような標準的な中電圧ケーブル試験方法を利用することによりこのような電気特性を実証してもよい。
1.絶縁抵抗(IEC 60702−1、セクション11.3)−各MIケーブル(絶縁導体)は、(15±10)℃の温度で少なくとも1時間完全に水中に沈められる。水からの取り出しから8時間以内に、ケーブル端部を剥がして導体を露出させ、ケーブル端部を各端部において一時的に密封する。5kVのDC電圧が外側外装と中心導体(コア)との間に印加される。絶縁抵抗は、測定値が一定であるかまたは低下していなければ、電圧印加の1分後に測定される。この試験は、周囲温度条件で行われる。メートル長さを乗じた絶縁抵抗は、1TΩ・m以上でなければならない。
2.超低周波(VLF)ACハイポット(IEEE400.2(商標)、セクション5.3)−このMIケーブル試験は、真の正弦波AC出力をもたらすVLF ACハイポットを使用して行われる。MIケーブルに使用される周波数は、15分間印加される19kVの印加試験電圧で0.10Hzであってもよい。試験装置は、図20に示すように、終端部とMIケーブル(絶縁導体252)のジャケット216とが隔離された状態で一端部が導体に対して終端する油カップ端終端部312を含む。変圧器油は、誘電性媒体として使用される。MIケーブルは、絶縁破壊なしに15分間この印加電圧に耐えることが可能でなければならない。
3.絶縁試験(ACハイポット)(IEEE規格400(商標)、配電設備およびシステムに関するNETA−受入試験仕様書、セクション7.3.3)−各MIケーブルは、AC絶縁耐圧試験を受ける。この試験は、真の正弦波AC出力をもたらすACハイポットを使用して行われる。耐圧試験に使用される周波数は、19kVの印加試験電圧で60Hzである。この試験を、MIケーブルリールからの短い試料(20ft未満)に対して実施してもよい。図21に示すように、試験試料(絶縁導体252)を、温度監視機器および終端部312を備えた実験室オーブン314内に固定してもよい。試験試料の各端部は、変圧器油を誘電性媒体として使用する、終端部とMIケーブルの外側外装とが隔離された状態で一端部が導体に対して終端する油カップ端終端装置を利用して、高電圧試験機器への相互接続のためにケーブルの中心導体を露出させることにより適切に終端されなければならない(図20を参照)。試験試料は、1200°F(またはこれよりも高い。)の平均温度まで加熱され、試験温度で最低30分間安定化させた状態である。MIケーブルは、絶縁破壊なしに試験温度で5分間この印加電圧に耐えることが可能でなければならない。
4.雷インパルス試験(IEEE規格4)
この規格では、MIケーブルが、中電圧クラスの機器(5kV)用に規定される60kVの雷インパルスレベル BIL(基準インパルスレベル)に耐えることを要求する[参照:ANSI IEEE C37.20.2]。例えば、最終(ポストアニール)冷間加工ステップで形成されたMIケーブルは、1.2/60μsの雷インパルス波形を使用する60kVのインパルス試験(BIL試験)に耐え得る。既知の市販のMIケーブルは、上で説明したBIL試験に合格せず、一般に、最終(ポストアニール)冷間加工ステップで形成されたMIケーブルのBIL能力の半分未満のBIL能力を有する。
ある実施形態において、最終(ポストアニール)冷間加工ステップで形成されたMIケーブル(絶縁導体)は、上に列挙した標準的な中電圧ケーブル試験法の1つまたは複数に合格する。従って、最終(ポストアニール)冷間加工ステップで形成されたMIケーブル(絶縁導体)は、ある用途では、標準的な中電圧ケーブルであると分類され(または見なされ)得る。例えば、最終(ポストアニール)冷間加工ステップで形成されたMIケーブル(絶縁導体)の実施形態を、(上で説明した)IEEE規格4により規定される60kVの雷インパルスレベル BILに耐えることが可能であるものとして説明することができる。上で説明した標準的な中電圧ケーブル試験方法のいずれかを使用する同様の説明を、最終(ポストアニール)冷間加工ステップで形成されたMIケーブル(絶縁導体)の実施形態に適用してもよい。
このような破壊電圧特性(電気絶縁体厚さの約60V/milを超える破壊電圧)を有する絶縁(無機絶縁)導体組立体は、直径(断面積)がより小さくてもよく、および地表下地層中で同様の長さを加熱するためにより低い破壊電圧を有する絶縁導体組立体と同じ出力をもたらしてもよい。より高い破壊電圧により絶縁導体組立体の直径をより小さくすることが可能となるため、絶縁ブロックがより小さな直径に圧縮されると更に細長くなる(より大きな長さを占める)ので、同じ長さの加熱器を作製するためにより少ない絶縁ブロックを使用してもよい。従って、絶縁導体組立体を構成するために使用されるブロックの数を減少させてもよく、これにより、電気絶縁物の材料コストを節減する。
ある実施形態において、最終(ポストアニール)冷間加工ステップでの絶縁(無機絶縁)導体は、地表下地層(例えば、炭化水素含有地層)中に熱をもたらすために使用される。絶縁導体は、地表下地層における坑井孔(開口部)内に位置し、本明細書で説明するように坑井孔内での放射、伝導および/またはコンベンションにより地層に熱をもたらしてもよい。ある実施形態において、最終(ポストアニール)冷間加工ステップでの絶縁導体は、地表下地層に少なくとも約400W/mの熱出力をもたらす。幾つかの実施形態において、このような絶縁導体は、少なくとも約100W/m、少なくとも約300W/m、少なくとも約500W/mの熱出力をもたらす。
幾つかの実施形態において、最終(ポストアニール)冷間加工ステップでの絶縁(無機絶縁)導体は、高電力ケーブルとして使用される。例えば、流体がパイプライン内を流れ続けること(流量保証動作)を確実にするために、絶縁導体を海底パイプラインにおいて使用してもよい。流量保証動作が約1000m以上の長さにわたって生じてもよく、これにより、高出力動作(約15kV、約20kV、約25kVまたはこれよりも高い。)を必要とする。従って、高い破壊耐圧を有する実質的に連続した絶縁導体(最終(ポストアニール)冷間加工ステップでの絶縁導体など)は、このような長い距離にわたる流量保証を提供するのに有用であり得る。
幾つかの実施形態において、最終(ポストアニール)冷間加工ステップで形成された絶縁導体は、絶縁導体のジャケットおよび絶縁物の内側に2つ以上の導体(例えば、コア)を含む。例えば、最終(ポストアニール)冷間加工ステップで形成された絶縁導体は、絶縁導体のジャケットおよび絶縁物の内側に3つのコア(例えば、内側導体)を含み得る。3つのコアを備えた絶縁導体を、各コアが3相電源の1相に結合された3相絶縁導体として使用してもよい。最終(ポストアニール)冷間加工ステップで形成された絶縁導体の内側における多数の(例えば、3つの)コアの使用は、電気絶縁物の特性の一部(例えば、初期破壊電圧)に影響を及ぼし得るが、絶縁導体に対する最終(ポストアニール)冷間加工ステップは、依然として、最終アニールステップで形成される絶縁導体と比較して電気特性および/または誘電特性が改善された絶縁導体をもたらし得る。
比較的長尺(例えば、10m以上の長さ)の絶縁導体を作製するための別の可能な解決策は、電気絶縁体を粉末ベースの材料から製造することである。例えば、酸化マグネシウム(MgO)絶縁導体などの、無機絶縁導体は、絶縁導体のコアを覆うようにおよび外装の内側に電気絶縁体を形成するために圧密化される無機粉末絶縁物を使用して製造することができる。電気絶縁体粉末を使用して絶縁導体を形成しようとする以前の試みは、粉末流れ、導体(コア)心合わせおよび外側外装またはジャケットの溶接工程中の粉末(例えば、MgO粉末)との相互作用に関連する問題に起因して、ほとんどが不成功であった。粉末取扱技術の新たな開発により、粉末による絶縁導体の作製の改善を可能にしてもよい。粉末絶縁物から絶縁導体を作ることで、材料コストを低減しおよび絶縁導体の他の作製方法と比較して高い製造上の信頼性を提供してもよい。
図15は、電気絶縁体用の粉末を使用して絶縁導体を製造するための工程の実施形態を描いている。ある実施形態において、工程268は、チューブミルまたは他のチューブ(パイプ)組立施設内で行われる。ある実施形態において、工程268は、スプール270とスプール272がそれぞれ第1の外装材料274と導体(コア)材料276を工程流れラインに送給することで始まる。ある実施形態において、第1の外装材料274は、ステンレス鋼などの薄い外装材料であり、およびコア材料276は、銅棒であるか、またはコア用に使用される別の導電性材料である。第1の外装材料274およびコア材料276は、心合わせロール278を通過してもよい。心合わせロール278は、図15に示すように、コア材料276を第1の外装材料274上に心合わせしてもよい。
心合わせされたコア材料276および第1の外装材料274は、その後、圧縮および心合わせロール280内に進んでもよい。圧縮および心合わせロール280は、第1の外装材料274をコア材料276の周囲で管に形成してもよい。図15に示すように、第1の外装材料274は、第1の外装材料の上流側部分における外装形成ロール281からの圧力のため、圧縮および心合わせロール280に達する前に管状に形成され始めてもよい。第1の外装材料274が管状に形成され始めるときに、電気絶縁体粉末282を粉末ディスペンサ284から第1の外装材料の内側に加えてもよい。幾つかの実施形態において、粉末282は、第1の外装材料274内に入る前に加熱器286により加熱される。加熱器286は、例えば、粉末282から水分を放出させおよび/またはより良好な粉末流れ特性と最終組立導体の誘電特性をもたらすために粉末を加熱する誘導加熱器であってもよい。
粉末282が第1の外装材料274内に入るときに、組立体は、圧縮および心合わせロール280に進入する前に振動機288を通過してもよい。振動機288は、第1の外装材料274の内側での粉末282の圧密化を高めるために、組立体を振動させてもよい。ある実施形態において、第1の外装材料274への粉末282の充填および振動機288の上流側での他の工程ステップは、垂直方向構成で行われる。このような工程ステップを垂直方向構成で行うことにより、第1の外装材料274の内側で粉末282がより良好に圧密化される。図15に示すように、工程268の垂直方向構成は、組立体が圧縮および心合わせロール280を通過する間に水平方向構成に移行してもよい。
第1の外装材料274とコア材料276と粉末282の組立体が圧縮および心合わせロール280から出たときに、第2の外装材料290を組立体の周囲に設けてもよい。第2の外装材料290をスプール292から提供してもよい。第2の外装材料290は、第1の外装材料274よりも厚い外装材料であってもよい。ある実施形態において、第1の外装材料274は、第1の外装材料が工程の後半で(例えば、絶縁導体の外径の圧延中に)壊れるかまたは欠陥を生じさせることなく許容される厚さと同程度に薄い厚さを有する。第2の外装材料290は、所望の寸法への絶縁導体の外径の最終圧延を依然として可能にするできるだけ大きな厚さを有し得る。第1の外装材料274と第2の外装材料290とを合わせた厚さは、例えば、絶縁導体の最終外径の約1/3から約1/8(例えば、約1/6)であってもよい。
幾つかの実施形態において、第1の外装材料274は、約0.020インチから約0.075インチ(例えば、約0.035インチ)の厚さを有し、および第2の外装材料290は、最終圧延ステップ後に約1インチの最終外径を有する絶縁導体に対して約0.100インチから約0.150インチ(例えば、約0.125インチ)の厚さを有する。幾つかの実施形態において、第2の外装材料290は、第1の外装材料274と同じ材料である。幾つかの実施形態において、第2の外装材料290は、第1の外装材料274とは異なる材料(例えば、異なるステンレス鋼またはニッケル基合金)である。
第2の外装材料290を、形成ロール294により第1の外装材料274とコア材料276と粉末282の組立体の周囲で管に形成してもよい。第2の外装材料290を管に形成した後に、溶接機296を使用して第2の外装材料の長手方向縁部を互いに溶接してもよい。溶接機296は、例えば、ステンレス鋼を溶接するためのレーザ溶接機であってもよい。第2の外装材料290の溶接により、組立体が、第1の外装材料274と、絶縁導体の外装(ジャケット)を形成する第2の外装材料とを備えた絶縁導体252に形成される。
絶縁導体252が形成された後に、絶縁導体が1つまたは複数の圧延ロール298に通される。圧延ロール298は、外装(第1の外装材料274および第2の外装材料290)ならびにコア(コア材料276)に対する冷間加工により、絶縁導体252の外径を最大で約35%減少させてもよい。絶縁導体252の断面を減少させることに続いて、絶縁導体を加熱器300により熱処理して急冷器302内で急冷してもよい。加熱器300は、例えば、誘導加熱器であってもよい。急冷器302は、例えば、絶縁導体252を急速に冷却する水急冷を使用してもよい。幾つかの実施形態では、絶縁導体252が最終圧延ステップのために圧延ロール304に供給される前に、熱処理および急冷が後に続く絶縁導体252の外径を減少させることを1回または複数回繰り返すことができる。
加熱器300および急冷器302での絶縁導体252の熱処理および急冷後に、絶縁導体は、最終圧延ステップ(最終冷間加工ステップ)のために圧延ロール304に通される。最終圧延ステップにより、絶縁導体252の外径(断面積)を最終圧延ステップ前の断面の約5%から約20%まで減少させてもよい。最終圧延された絶縁導体252を、次に、スプール306に供給してもよい。スプール306は、例えば、絶縁導体(加熱器)を加熱器組立体の位置に輸送するために使用されるコイルチューブリグまたは他のスプールであってもよい。
ある実施形態において、第1の外装材料274と第2の外装材料290を使用する組み合わせは、絶縁導体252を形成するために、工程268での粉末282の使用を可能にする。例えば、第1の外装材料274は、粉末282が第2の外装材料290における溶接部と相互作用しないように保護してもよい。ある実施形態において、第1の外装材料274の設計は、粉末282と第2の外装材料290における溶接部との相互作用を抑制する。図10および図11は、絶縁導体252において使用される第1の外装材料274の設計の2つの可能な実施形態の断面図を描いている。
図16Aは、絶縁導体252内側の第1の外装材料274の第1の設計の実施形態の断面図を描いている。図16Aは、絶縁導体252が図15に示す圧縮および心合わせロール280を通過するときの絶縁導体を描いている。図16Aに示すように、第1の外装材料274は、第1の外装材料が粉末282およびコア材料276の周囲で管状に形成されるときに、自らに重なる(重なり部308として示す。)。重なり部308は、第1の外装材料274の長手方向縁部間の重なり部分である。
図16Bは、第2の外装材料290が管状に形成されおよび第1の外装材料274の周囲で溶接された、第1の設計の実施形態の断面図を描いている。図16Bは、絶縁導体252が図15に示す溶接機296を通過した直後の絶縁導体252を描いている。図16Bに示すように、第1の外装材料274は、第2の外装材料290により形成された管の内側に載置される(例えば、外装材料の上部分の間に間隙がある。)。溶接部310は、第2の外装材料290を接合して第1の外装材料274の周囲に管を形成する。幾つかの実施形態においいて、溶接部310は、重なり部308に、または重なり部308付近に配置される。他の実施形態において、溶接部310は、重なり部308とは異なる位置にある。第1の外装材料274が溶接部と第1の外装材料内側の粉末282との相互作用を抑制するので、溶接部310の位置は重要でない場合がある。第1の外装材料274における重なり部308は、粉末282を密封し、粉末が第2の外装材料290および/または溶接部310に接触するのを抑制してもよい。
図16Cは、ある程度の圧延後に第2の外装材料290が第1の外装材料274の周囲で管状に形成された、第1の設計の実施形態の断面図を描いている。図16Cは、絶縁導体252が図15に示す圧延ロール298を通過するときの絶縁導体を描いている。図16Cに示すように、第2の外装材料290は、第2の外装材料が第1の外装材料274に接触するように、圧延ロール298により圧延される。ある実施形態において、第2の外装材料290は、圧延ロール298を通過した後に第1の外装材料274に密着する。
図16Dは、絶縁導体252が図15に示す圧延ロール304での最終圧延ステップを通過したときの第1の設計の実施形態の断面図を描いている。図16Dに示すように、最終圧延ステップ中に絶縁導体252の断面積を減少させたときに、重なり部308によって第1の外装材料274および/または第2の外装材料290の外側表面および内側表面に沿ってある程度の膨張または不均一が生じ得る。重なり部308が、第1の外装材料274の内側表面に沿ったある程度の不連続を生じさせる場合がある。しかしながら、この不連続は、絶縁導体252内に生成される任意の電界に最小限の影響しか及ぼし得ない。従って、絶縁導体252は、最終圧延ステップ後に、地表下地層を加熱するために使用するのに適切な破壊電圧を有し得る。第2の外装材料290は、絶縁導体252に対して密封腐食障壁を提供してもよい。
図17Aは、絶縁導体252内側の第1の外装材料274の第2の設計の実施形態の断面図を描いている。図17Aは、絶縁導体252が図15に示す圧縮および心合わせロール280を通過するときの絶縁導体を描いている。図17Aに示すように、第1の外装材料274は、第1の外装材料が粉末282およびコア材料276の周囲で管状に形成されるときに、管の長手方向縁部間に間隙312を有する。
図17Bは、第2の外装材料290が管状に形成されおよび第1の外装材料274の周囲で溶接された、第2の設計の実施形態の断面図を描いている。図17Bは、絶縁導体252が図15に示す溶接機296を通過した直後の絶縁導体252を描いている。図17Bに示すように、第1の外装材料274は、第2の外装材料290により形成された管の内側に載置される(例えば、外装材料の上部分の間に間隙がある。)。溶接部310は、第2の外装材料290を接合して第1の外装材料274の周囲に管を形成する。ある実施形態において、溶接部310は、第1の外装材料274の内側での溶接部と粉末282との相互作用を防ぐために間隙312とは異なる位置にある。
図17Cは、ある程度の圧延後に第2の外装材料290が第1の外装材料274の周囲で管状に形成された、第2の設計の実施形態の断面図を描いている。図17Cは、絶縁導体252が図15に示す圧延ロール298を通過するときの絶縁導体を描いている。図17Cに示すように、第2の外装材料290は、第2の外装材料が第1の外装材料274に接触するように、圧延ロール298により圧延される。ある実施形態において、第2の外装材料290は、圧延ロール298を通過した後に第1の外装材料274に密着する。絶縁導体252の圧延中に、絶縁導体が圧延ロール298を通過するときに、間隙312を減少させる。ある実施形態では、間隙の各側の第1の外装材料274の端部が圧延後に互いに当接するように、間隙312を減少させる。
図17Dは、絶縁導体252が図15に示す圧延ロール304での最終圧延ステップを通過したときの第2の設計の実施形態の断面図を描いている。図17Dに示すように、間隙312には第1の外装材料274の内側表面に沿ってある程度の不連続が生じ得る。しかしながら、この不連続は、絶縁導体252内に生成される任意の電界に最小限の影響しか及ぼし得ない。従って、絶縁導体252は、最終圧延ステップ後に、地表下地層を加熱するために使用するのに適切な破壊電圧を有し得る。
図19は、無機(MgO)粉末電気絶縁物を使用して形成された異なる絶縁導体における最大電界(例えば、破壊電圧)対時間を描いた図である。データが(x軸線における間隔により表される)2つの異なるケーブルの識別のために示されている。データ点316は、後の冷間加工ステップなしに最終アニールステップで処理された絶縁導体に関するものである。データ点318は、最終(ポストアニール)冷間加工ステップで処理された絶縁導体に関するものである。最大電界は、絶縁導体の各々における電気絶縁体厚さを使用して正規化されている(例えば、最大電界は、電気絶縁体厚さの1ミル当たりのボルト(V/mil)として表される。)。図19に示すように、最終(ポストアニール)冷間加工ステップでの絶縁導体は、最終アニールステップを伴う絶縁導体よりも(標準的基準で)高い最大電界を有する。
ある実施形態において、絶縁電気導体は、内側電気導体と、電気導体を少なくとも部分的に取り囲む電気絶縁体であって、無機絶縁物を含む電気絶縁体と、電気絶縁体を少なくとも部分的に取り囲む外側電気導体とを備え、絶縁電気導体が、絶縁電気導体の直径の約100倍の半径に巻き付け可能であり、および絶縁電気導体が、少なくとも約100mの実質的に連続した長さにわたって、約700℃および約60Hzにおいて電気絶縁体厚さ1mm当たり少なくとも約2400ボルトの初期破壊電圧を有する。
ある実施形態において、絶縁電気導体は、内側電気導体と、電気導体を少なくとも部分的に取り囲む電気絶縁体であって、無機絶縁物を含む電気絶縁体と、電気絶縁体を少なくとも部分的に取り囲む外側電気導体とを備え、外側電気導体が、0.2%のオフセット量に基づいた約120kpsiの降伏強度を有し、絶縁電気導体が、少なくとも約100mの実質的に連続した長さにわたって、約700℃および約60Hzにおいて電気絶縁体厚さ1mm当たり少なくとも約2400ボルトの初期破壊電圧を有する。
ある実施形態において、絶縁電気導体は、内側電気導体と、電気導体を少なくとも部分的に取り囲む電気絶縁体であって、無機絶縁物を含む電気絶縁体と、電気絶縁体を少なくとも部分的に取り囲む外側電気導体とを備え、外側電気導体が、熱処理および冷間加工された合金材料を含み、この前記合金材料は自然状態での合金材料の降伏強度よりも少なくとも約50%高いが、自然状態での合金材料の降伏強度の最大で約400%である、0.2%のオフセット量に基づいた降伏強度を有し、および絶縁電気導体が、少なくとも約100mの実質的に連続した長さにわたって、約700℃および約60Hzにおいて電気絶縁体厚さ1mm当たり少なくとも約2400ボルトの初期破壊電圧を有する。
ある実施形態において、連続した絶縁電気導体は、連続した内側電気導体と、連続した電気導体を少なくとも部分的に取り囲む連続した電気絶縁体であって、無機絶縁物を含む電気絶縁体と、連続した電気絶縁体を少なくとも部分的に取り囲む連続した外側電気導体とを備え、絶縁電気導体が、少なくとも約100mの実質的に連続した長さにわたって、約700℃および約60Hzにおいて電気絶縁体厚さ1mm当たり少なくとも約2400ボルトの初期破壊電圧を有し、連続した外側電気導体が、後熱処理された状態と十分に冷間加工された状態との中間である選択された部分的に冷間加工された状態にある。
ある実施形態において、地表下地層を加熱するためのシステムは、地表下地層における開口部内に位置決めされた絶縁電気導体を備え、絶縁電気導体が、内側電気導体と、電気導体を少なくとも部分的に取り囲む電気絶縁体であって、無機絶縁物を含む電気絶縁体と、電気絶縁体を少なくとも部分的に取り囲む外側電気導体とを備え、絶縁電気導体が少なくとも約100mの実質的に連続した長さを備え、および絶縁電気導体が、少なくとも約100mの実質的に連続した長さにわたって、約700℃および約60Hzにおいて電気絶縁体厚さ1mm当たり少なくとも約2400ボルトの初期破壊電圧を有する。
ある実施形態において、加熱のためのシステムは、管内に位置決めされた絶縁電気導体を備え、前記絶縁電気導体が、内側電気導体と、電気導体を少なくとも部分的に取り囲む電気絶縁体であって、無機絶縁物を含む電気絶縁体と、電気絶縁体を少なくとも部分的に取り囲む外側電気導体とを備え、絶縁電気導体が少なくとも約100mの実質的に連続した長さを備え、および絶縁電気導体が、少なくとも約100mの実質的に連続した長さにわたって、約700℃および約60Hzにおいて電気絶縁体厚さ1mm当たり少なくとも約2400ボルトの初期破壊電圧を有する。
本発明が、説明した特定のシステム(当然ながら異なってもよい。)に限定されるものではないことが理解されるべきである。本明細書で使用される用語が、特定の実施形態を説明することのみを目的としおよび限定的であることを意図するものではないことも理解されるべきである。本明細書で使用する場合、単数形「1つの(a)」、「1つの(an)」および「この(the)」は、文脈から明らかにそうでないと分かる場合を除き、複数の指示対象を含む。従って、例えば、「コア」に対する言及には、2つ以上のコアの組み合わせが含まれ、「材料」に対する言及には、材料の混合物が含まれる。
本説明を考慮すれば、当業者には、本発明の種々の態様の更なる修正および代替実施形態が明らかであろう。よって、本説明は、単なる例示的なものとして解釈されるべきであり、本発明を実行する一般的な方法を当業者に教示することを目的とする。本明細書で示しおよび説明した本発明の形態が現時点で好ましい実施形態と見なされるべきであることが理解されるべきである。要素および材料を、本明細書に例示しおよび説明したものと置換してもよく、部品および工程を逆にしてもよく、本明細書の本説明の利益を取得した後に当業者に全て明らかになるように、本発明のある特徴を単独で利用してもよい。以下の特許請求の範囲で説明される本発明の精神および範囲から逸脱することなく、本明細書で説明された要素に変更を加えてもよい。

Claims (15)

  1. 絶縁電気導体であって、
    内側電気導体と、
    前記電気導体を少なくとも部分的に取り囲む電気絶縁体であって、無機絶縁物を含む前記電気絶縁体と、
    前記電気絶縁体を少なくとも部分的に取り囲む外側電気導体とを備え、
    前記絶縁電気導体が少なくとも約100mの実質的に連続した長さを備え、および
    前記絶縁電気導体が、少なくとも約100mの前記実質的に連続した長さにわたって、約700℃および約60Hzにおいて前記電気絶縁体厚さ1mm当たり少なくとも約2400ボルトの初期破壊電圧を有する、絶縁電気導体。
  2. 前記絶縁電気導体が、前記絶縁電気導体の直径の約100倍の半径に巻き付け可能である、請求項1に記載の導体。
  3. 前記外側電気導体が、0.2%のオフセット量に基づいた約120kpsiの降伏強度を有する、請求項1または2のいずれか一項に記載の導体。
  4. 前記外側電気導体が、熱処理および冷間加工された合金材料を含み、前記合金材料は自然状態での前記合金材料の降伏強度よりも少なくとも約50%高いが、自然状態での前記合金材料の前記降伏強度の最大で約400%である、0.2%のオフセット量に基づいた前記降伏強度を有する、請求項1から3のいずれか一項に記載の導体。
  5. 前記内側電気導体、前記電気絶縁体および前記外側電気導体が連続しており、ならびに前記連続した外側電気導体が、後熱処理された状態と十分に冷間加工された状態との中間である選択された部分的に冷間加工された状態にある、請求項1から4のいずれか一項に記載の導体。
  6. 前記絶縁電気導体の前記実質的に連続した長さが、接合部のない長さを含む、請求項1から5のいずれか一項に記載の導体。
  7. 前記外側電気導体が、前記絶縁電気導体の前記実質的に連続した長さに沿って溶接された連続した継ぎ目を備える、請求項1から6のいずれか一項に記載の導体。
  8. 前記絶縁電気導体が、前記絶縁電気導体の断面積を前記絶縁電気導体の最終断面積まで減少させる最終冷間加工ステップと共に、前記絶縁電気導体に対して交互に行われる冷間加工/熱処理ステップを使用して形成されている、1から7のいずれか一項に記載の導体。
  9. 前記最終冷間加工ステップが、前記絶縁電気導体の前記断面積を前記最終断面積まで最大で20%減少させることを含む、請求項8に記載の導体。
  10. 前記絶縁電気導体が、地表下地層における開口部内に配置されるようにおよび前記地表下地層に少なくとも約400W/mの熱出力をもたらすように構成される、請求項1から9のいずれか一項に記載の導体。
  11. 前記絶縁電気導体が、IEEE規格4に規定される60kVの雷インパルスレベル BIL(基準インパルスレベル)に耐えることが可能である、請求項1から10のいずれか一項に記載の導体。
  12. 前記絶縁電気導体が、地表下地層における開口部内に位置決めされ、および前記絶縁電気導体が、前記地表下地層に熱をもたらすように構成される、請求項1から11のいずれか一項に記載の導体。
  13. 前記絶縁電気導体が、前記地表下地層に少なくとも約400W/mの熱出力をもたらすように構成される、請求項12に記載の導体。
  14. 前記絶縁電気導体が管内に位置決めされ、および前記絶縁電気導体が、前記管に熱をもたらすように構成される、請求項1から13のいずれか一項に記載の導体。
  15. 前記電気絶縁体が、複数の酸化マグネシウムブロックを含む、請求項1から14のいずれか一項に記載の導体。
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