JP6491052B2 - タービン入口構造、およびそれを用いた蒸気タービン - Google Patents

タービン入口構造、およびそれを用いた蒸気タービン Download PDF

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Description

本発明は、タービン入口構造およびそれを用いた蒸気タービンに関する。
一般的に、軸流タービンは、軸方向に回転翼列を複数段取り付けられたタービンロータと、このタービンロータの外周部に静止翼列にて形成された環状流路とを有しており、この環状流路に作動流体を流通させたのち回転翼列に加えられた流体力にてタービンロータを回転させることにより軸駆動力を得ている。
このような軸流タービンのうち、例えば蒸気タービンでは、タービン入口構造にはタービンロータの回転軸心に向かって作動流体を直角に流入させる方式がある。また、その中の複流式と呼ばれるタービン入口構造では、蒸気供給配管から絞りダクトを介して供給された蒸気を内部で周方向に二分して、タービン軸方向両側に設置されたタービン段落の環状流路に導いている。
軸流タービンの効率を向上させるには、上記の環状流路に作動流体を均一に流入させることが重要であり、作動流体を環状流路に導く機能を有する軸流タービンの入口構造には様々な工夫が施されている。
例えば、蒸気タービンの低圧タービンに複流式タービン入口構造を用いる際、タービン入口部内部の蒸気の流れを均一化するために複数の分流板を設置して分流させることにより、低圧タービン初段静翼に流入する蒸気流の周方向分布の均一化を図る技術が提案されている(特許文献1等参照)。
あるいは、蒸気供給配管から絞りダクトに至る流路を、その断面積が単調に変化するように形成することにより、作動流体の環状流路への均一な流入を図る技術も提案されている(特許文献2等参照)。
あるいは、蒸気流入口をタービン車室の対向する側面両側に配置し、上部及び下部車室内流路を、蒸気流入部から離れるに従いほぼ円周方向に断面が減少するように構成し、さらに車室内流路の周りで蒸気がほぼ半径方向内向きに流れるようにフローガイドを複数設けることにより、作動流体の環状流路への均一な流入を図る技術も提案されている(特許文献3等参照)。
特開平9−158703号公報 特開2008−38741号公報 特開2003−193809号公報
タービン入口部の環状流路に流入する作動流体が不均一になる原因として、一般的には、蒸気供給配管から絞りダクトを経て入口流路内部に至る箇所での流れのはく離が考えられる。
しかし、それ以上に問題となるのが、入口部流入時に作動流体が周方向左右に二分せずに、一方の入口からロータの周囲を大きく旋回して流入する場合である。この状態になると、入口部流入時の実質的な流路面積がほぼ半分になって流速が増加するため、混合損失が大きくなるだけではなく、タービン流入時の流れも静翼の向きから大きくずれてしまう。このために、タービン内部での損失も増加してしまう。
このようなタービン初段落に流入する流れの周方向分布の不均一を是正する手段として、ガイド板を設置する技術が知られている(例えば特許文献1)。しかしながら、タービン入口内部の流れは、タービン段落内より低流速ながらも数十m/s程度の速度を有し、また密度が低いため、流入角度とガイド板のなす角度の差が大きい(例えば15°〜20°)と、ガイド板の先端部で容易にはく離する。また、旋回の防止を考慮した構造にはなっていない。従って、単にガイド板を設置するだけでは、所望の効果を得ることは容易ではない。また、主流中に複数のガイド板を設置することは、不必要な摩擦抵抗を増加させ、さらに材料費や製作費の増加にも繋がる。
また、特許文献2に記載されているように、蒸気供給配管から絞りダクトに至る流路を、その断面積が単調に変化するように形成する方法を採用した場合、確かに流れのはく離を抑制し流れの均一化を図ることは可能ではあるが、その流路形状を単純な板曲げなどで製作することができないため、製作費と製作精度の点で課題がある。またこれも、旋回の防止を考慮した構造にはなっていない。
一方で特許文献3に記載されているように、蒸気流入口をタービン車室の対向する側面両側に配置方法を採用し、流路断面積を調整するように内部流路を形成した上で、さらにフローガイドを複数設置した場合、確かに流れのはく離と同時に旋回流入も抑制できるため、流れの均一化を図ることは可能ではある。しかし、内部構造が複雑であるため、製作費の点で課題があるだけでなく、主流中に複数のガイド板を設置するため、不必要な摩擦抵抗を増加させ、結果的に損失低減につながらない可能性がある。
本発明は、軸流タービン入口構造内部からタービン初段落に流入する流れの周方向分布の不均一化を是正して、タービンプラント効率を向上させることができるタービン入口構造およびそれを用いた蒸気タービンを提供する。
上記課題を解決するために、例えば特許請求の範囲に記載の構成を採用する。
本発明は、上記課題を解決する手段を複数含んでいるが、その一例を挙げるならば、作動流体を供給する配管の流体流れ方向下流側に接続する作動流体導入部と、外周側の一部がこの作動流体導入部に接続し、内周側がタービン段落入口に接続する環状流路とを備えたタービンのタービン入口構造であって、ロータ軸の伸びる方向にタービン入口の内部流路を見たときに、前記環状流路は、前記作動流体導入部から前記作動流体導入部の対向側に向けて流路面積が狭くなった後に広がるように、前記対向側の間の外周面側に、内周側に突出する凸状部材を有することを特徴とする。
本発明によれば、安価な形状改良で、タービン入口構造内部の流動抵抗をほとんど増加させることなく、一方の入口からロータの周囲を大きく旋回しながら流入してくる旋回流れの発生を抑制することができ、それによりタービン初段落に流入する流れの周方向分布の均一化を促して、タービンプラント効率を向上させることができる。
蒸気タービンの基本構造を模式的に表す系統図である。 蒸気タービンのタービン入口部の基本構造を概略的に表した側面断面図である。 図2中の点線円で囲んだタービン段落入口近傍部分の拡大図である。 一般的な蒸気タービンの低圧タービン入口部の正面図である。 一般的な蒸気タービンの低圧タービン入口部の斜視図である。 一般的な蒸気タービンの低圧タービン入口部の側面図である。 一般的な蒸気タービンの低圧タービン入口部において、理想的な状態での流れ場の様子を、流線を表す線で模式的に示した図である。 図7の流れ場に対応する圧力場の様子を、網掛けの濃淡で模式的に示した図である。 一般的な蒸気タービンの低圧タービン入口部において、段落入口部の周りを一方向に旋回しながら流入してくる流れ場の様子を、流線を表す線で模式的に示した図である。 図9の流れ場に対応する圧力場の様子を、網掛けの濃淡で模式的に示した図である。 本発明の実施例1に係るタービン入口部の構造を模式的に表した正面図である。 本発明の実施例1に係るタービン入口部の構造を模式的に表した斜視図である。 本発明の実施例1に係るタービン入口部の構造を模式的に表した側面図である。 本発明の実施例1に係るタービン入口部内の流れ場の様子を、流線を表す線で模式的に示した図である。 図14の流れ場に対応する圧力場の様子を、網掛けの濃淡で模式的に示した図である。 本発明の実施例2に係るタービン入口部の構造を模式的に表した正面図である。 本発明の実施例3に係るタービン入口部の構造を模式的に表した正面図である。 本発明のタービン入口部の他の構造を模式的に表した側面図である。 本発明のタービン入口部の他の構造を模式的に表した側面図である。
以下、本発明を実施するための形態について、作動流体として蒸気を、タービンとして蒸気タービンを採用した例に適宜図を参照して詳細に説明する。なお、各図面を通し、同等の構成要素には同一の符号を付してある。
<実施例1>
本発明のタービン入口構造および蒸気タービンの実施例1を、図1乃至図15を用いて説明する。
図1は、蒸気タービンの基本構造を模式的に表した系統図である。
図1に示すように、蒸気タービンでは、ボイラー等の蒸気発生器(図示せず)で加圧・加熱された蒸気を、主蒸気供給配管2を通して高圧タービン4に送る。高圧タービン4にて仕事をした蒸気は、再熱器3で再び加熱された後、中圧タービン5へと送られる。本実施例では、中圧タービン5は、複流型構造をしており、中圧タービン車室中央のタービン入口部10から流入した蒸気は、タービン軸方向前後(図中では左右)に分かれ、それぞれ別々の中圧タービン5a,5bの段落でタービンを回転させ、仕事を行う。
中圧タービン5から排出された蒸気は、クロスオーバ管(連絡管)8を通り、低圧タービン6a,6bに送られる。図1の例では、低圧タービン6a,6bも複流型であり、中圧タービン5と同様に、低圧タービン車室中央のタービン入口構造11から流入した蒸気は、タービン軸方向前後(図中では左右)に分かれ、それぞれ別の低圧タービン6a,6bの段落で仕事を行う。
高圧タービン4、中圧タービン5、低圧タービン6aおよび低圧タービン6bは、回転可能なタービンロータ1で機械的に連結されており、タービンロータ1に連結された発電機7によって、回転仕事を電力に変換する。低圧タービン6a,6bから排出された蒸気は、さらに下流に設置された復水器(図示せず)に導入され、そこで凝縮されて復水となり、再び蒸気発生器に還流し、再度加熱されて高圧タービン4へと送られる。
ここで、本発明のタービン入口構造は、蒸気タービンにおいては中圧タービンの入口部と低圧タービンの入口部を対象とするが、本実施例では低圧タービン入口部に適用した例について説明する。なお、現行の蒸気タービンの基本構造として図1に示すような複流型の中圧タービンの例を用いたが、本発明は低圧タービン入口部に単独で適用可能であるため、高中圧一体型など、他の型式の蒸気タービンにも当然適用可能である。また、蒸気タービン以外でも同様の入り口構造を持つタービンに対して本発明は適用可能である。
次に、図2から図6を用いて、一般的な複流型低圧タービンのタービン入口部の基本構造について説明する。図2は、蒸気タービンのタービン入口部の基本構造を概略的に表した側面断面図である。図3は、図2中の点線Aで示す円で囲んだタービン段落入口近傍部分の拡大図である。
図2および図3に示すように、低圧タービンのタービン入口部111は、低圧車室6のタービン軸方向中央付近に設けられ、クロスオーバ管8の末端とフランジ部14を介して接続し、フランジ部14直下の喉付根部となる円筒管15から、下方に向かってその断面が段階的に平たく扁平した形状に変化する構造となっている。そして、タービン入口部111の内部は、絞り流路部を含むタービン入口上半部118およびタービン入口下半部119によって形成される環状流路となっている。
段落入口(タービン入口中心部)30を構成する段落入口カバー31は、タービン周方向に半環状に構成されたダイヤフラム固定部材32の外周側に設けられ、絞り流路を形成する。ダイヤフラム固定部材32は、タービン入口上半部118を構成する入口部壁面に固定される。
ダイヤフラム固定部材32の内周側には、低圧タービン初段落ダイヤフラム33が取り付けられている。低圧タービン初段落ダイヤフラム33にはタービン周方向に複数の静翼35が取り付けられている。また静翼35の下流側には動翼36がタービン周方向に複数設けられており、動翼36は、タービン入口部中心にタービン軸方向に沿って回転可能に設けられたタービンロータ1に固定されている。
図4乃至図6は一般的な蒸気タービンの低圧タービン入口部であり、順に正面図,斜視図,側面図に対応する。
これらの図に示すように、低圧タービンのタービン入口部111には、クロスオーバ管8より矢印12の方向に導かれた蒸気を段落入口30に導く蒸気導入部16が設けられている。この蒸気導入部16は、タービン入口上半部118およびタービン入口下半部119によって形成される環状流路の外周面側に接続されている。タービン入口上半部118およびタービン入口下半部119によって形成される環状流路の内周面側には段落入口30が接続されており、段落入口30の内側にロータが配置される。
環状流路を形成するタービン入口上半部118とタービン入口下半部119は、フランジ部20を介して接続されている。タービン入口上半部118とタービン入口下半部119との間の段落入口30には、図3に示したように段落入口カバー31が設けられており、絞り流路が構成されている。段落入口カバー31の内周側は空洞に形成されており、低圧タービン6a,6bの段落に連通する段落入口30を構成している。
タービン軸方向から見たタービン入口部111の断面は、円筒管15から下方へ向かって徐々に幅が膨らみ、タービン入口の上下半部を接合するフランジ20より下方から再び徐々に縮小する梨型構造を有する。また、本実施例で例示する低圧タービンでは、クロスオーバ管8の中心を通る鉛直断面とタービン軸の中心を通る鉛直断面は一致する。そのためタービン入口部111は、タービン軸方向からみて左右対称の構造をしている。
タービン入口部111は、高圧の蒸気が流入するため、一種の圧力容器となっており、内圧により外側に膨張しようとする力が働く。これに抗するため、段落入口カバー31あるいはその近傍には、タービン入口部111の構造強度を補強する補強部材として断面が円形状のリブ21が段落入口に沿って周方向に一定間隔をおいて複数配置されている。
次に、本実施例の効果の理解を容易にするために、比較例として一般的なタービンのタービン入口部での流れの構造について、図7から図10を用いて説明する。図7は、一般的な蒸気タービンの低圧タービン入口部における、理想的な状態での流れ場の様子を、流線を表す線で模式的に示した図である。
図7に示すように、理想的な条件下ではタービン入口部111に流入した蒸気12は、梨型をしたタービン入口部111の内部流路全体に広がるように、ロータ1の軸を跨いで左右両側から流入する。この場合、流れが二手に分かれて広がっているため、平均流速が効果的に低減し、損失発生も低く抑制できる。
なぜなら、配管内での主要な損失発生メカニズムとして、壁面摩擦損失と混合損失があるが、いずれも流速の二乗に比例して大きくなるため、平均流速を低減することがそのまま損失の低減につながるからである。
図7の流れ場に対応する圧力場の様子を、図8に網掛けの濃淡で模式的に示す。ここでは大雑把に圧力の違いを4段階の濃淡で示している。最も淡い色の領域は低圧力領域43を示し、低圧力領域43より圧力の高い領域を淡い色順に中圧力領域44a,44bとし、最も濃い色の領域は高圧力領域45を示す。
低圧タービンのタービン入口内部での流れは一般的にマッハ数で0.1〜0.2程度であり、非圧縮性流体と見なせる。そのため一般的に、相対的に周囲より流速が高い領域は圧力が低く、その反対に流速が低い領域は圧力が高くなる。また、同じ流路空間(流路断面積)であれば、体積流量が少ないほど流速も低くなる。低圧タービン入口部111の中心部には段落入口30があり、作動流体である蒸気は順次その中に流出していくため、下流側に行くほど流路内の体積流量は減る。したがってこのような流れ場の場合、梨型形状の最下端となる位置で流速が最も低く、圧力が最も高い状態となる(図8)。
一方、実際のタービンには、負荷の変動、上流・下流流路部の構造非対称性、クロスオーバ管8への枝管からの蒸気混入などの、図7で示したような左右対称な流れを崩す様々な要因が存在する。そのため、図7のように常に左右対称な流れ場となっているわけではなく、頻繁に左右流路の流量バランスが変動しているものと考えられる。
ところで、流れが一旦タービン入口上半部118の左右の流路の片側に偏ると、偏った側の流量が相対的に増加して流れが加速するため圧力が低下する。また、途中で段落に流入する際に、段落入口部の段落入口カバー31で流れが絞られるために部分的に一層流れが速くなり、低圧力領域ができる。
ここで、流れの駆動力には基本的に慣性力と圧力差があり、それらのバランスにより流れの方向が決まる。そして、慣性力が卓越していない状態では一般に圧力の高い方から低い方へ流れる。
非圧縮性の流れでは、流れが加速するか、あるいは物質が減る、つまり流量が減ればそこでの圧力は周囲よりも低下する。しかし、段落入口近傍では段落に作動流体が流れ込む分、周囲よりも流量が減るため圧力も低下する。そして結果的に、図10の左側の流路部に示すように低圧力領域43が形成され、高・中・低と言う圧力勾配が助長される。このため、益々流れが偏った側に流れやすくなる。
さらに、タービン入口上半部118の左右流路の一方に偏って流入した作動流体は、ロータ1の軸の周囲を回り込みながらタービン入口下半部119の下端部を通過した後も、徐々に流量を減らしていくため、下流側ではより流速が低下し圧力が増加する。最終的にロータ1の軸の周囲をほぼ一周する過程で全ての作動流体がタービン段落へ流入する。この時、タービン入口上半部118の左右流路のもう一方の側には高圧力領域45が形成される。この高圧力領域45が、この方向に流れる作動流体に対する防波堤として働くために、図9で示したようなロータ1の軸周りの大きな旋回流が安定して形成されることになる。
つまり、図4に示したような一般的な低圧タービンのタービン入口部111においては、図7のような流れ場は安定な平衡状態ではなく、むしろ不安定な平衡状態である。そのため、不安定を生み出すきっかけがあれば、容易に、図9のようなより安定な流れ場に移行してしまうと考えられる。そして図9に示すような安定な流れ場に移行した場合、図7に示すような流れ場に戻ることはまず生じない。このため、タービン入口構造内部からタービン初段落に流入する流れの周方向分布の不均一は解消されず、タービンプラント効率の向上を図ることが難しい。
なお、図7乃至図10に示した蒸気流の様子は、CFD(Computational Fluid Dynamics)解析結果から得られた知見に基づくものである。
以上を踏まえ、本発明の実施例にかかるタービン入口構造11を以下に説明する。
図11乃至図13は、本発明の実施例1に係るタービン入口部の構造を模式的に表した図であり、順に正面図,斜視図,側面図に対応する。
前述の通り、一般的なタービン入口構造では、ロータ1の軸方向に見たときの流れの左右対称性を崩すような要因があれば、容易にロータ1の軸周りを大きく旋回する不均一な蒸気の流れを生じてしまい、タービン効率低下の一要因になると考えられる。
それに対し、本実施例の低圧タービンのタービン入口構造は、タービン入口上半部18とタービン入口下半部19はフランジ20を介して接続されて環状流路を構成する点、段落入口30に段落入口カバーが設けられており、絞り流路が構成されている点、蒸気導入部16が環状流路の外周面側に接続されている点、環状流路の内周面側には段落入口30が接続されている点、段落入口カバーの内周側は空洞に形成されており、低圧タービン6a,6bの段落に連通する段落入口30を構成している点は、上述した一般的なタービン入口構造と略同じである。
また、本実施例の低圧タービンのタービン入口構造は、図11乃至図13に示すように、環状流路のタービン入口下半部19の外周面側には、蒸気導入部から蒸気導入部の対向側に向けて、環状流路の流路面積が狭くなった後に広がるよう、内周側に突出する凸状部材50が形成されている。すなわち、タービン入口下半部19の左右の凸状部材50に囲まれる、蒸気導入部に対向する外周面近傍の流路空間の方が、その周方向両隣の流路空間よりも広くなるように、蒸気の収縮・膨張流路が流路下部の左右に形成されている。
この凸状部材50は、ロータ1の軸と平行な方向から見たときに、図12および図13に示すように、流路面積を均等に減少させ、且つその後に広げるように外周壁と平行に内周面側に突出している。
このため、凸状部材50の部分で一度流速が早くなり、蒸気導入部に対向する位置に形成される凸状部材50に囲まれる広がった空間部で流速が落ちる。すなわち、凸状部材50の部分で一度圧力が低下し、蒸気導入部に対向する位置に形成される凸状部材50に囲まれる広がった空間部で圧力がまた上昇する。従って、この広がった空間部の圧力が上昇して、梨型形状の最下端部に高圧力領域45が形成される。この高圧力領域は、その両側からの流れに対して壁の役割を果たし、この壁を通り抜けて低圧入口部内部を大きく旋回する流れ場の発生を抑制するように働く。そのため、図14に示すように、結果的に図7で示したような理想的な条件下に近い流れ場を実現できる。
以上、本実施例のタービン入口構造は、CFD解析結果から得られた知見に基づいて考案したものであり、その効果を従来技術と比較して、より確実に期待することができる。
また、本実施例のタービンの入口構造は単純な板曲げと僅かな内部部材の追設構造で構成されているため、製作コストを一般的なタービンの入口構造と同程度に抑えることが可能である。また、本実施例の構造により流れの加速・減速が生じる場所の流速は元々遅いため、混合損失などの増加はわずかである。
よって、本実施例によれば、安価な形状改良で、蒸気タービン入口構造内部の流動抵抗をほとんど増加させることなく、蒸気タービン入口構造内部におけるロータ1の軸周りの大きな旋回流れを抑制することができる。よって、タービン初段落に流入する流れの周方向分布の不均一化を抑制し、タービン入口部内の圧力損失や、その後の段落で発生する損失を低減することができ、タービンプラント効率を向上させることができる。
<実施例2>
本発明のおよび蒸気タービンの実施例2を図16を用いて説明する。図16は、本発明の実施例2に係るタービン入口部の基本構造を模式的に表す正面図である。この図において先の各図と同様の部分に相当する箇所には同符号を付して説明を省略し、以下の実施形態においても同様とする。
図16に示すように、本実施例のタービン入口部11Aでは、実施例1と同様の特徴を実現するに当たり、流路内部に凸状部材50を設置せずに、外周面が内周側にくぼんだ凹状部51を、タービン入口下半部19Aの外周側壁面の加工により直接形成している。
なお、凹状部51以外の構成は前述した実施例1のタービン入口構造と略同じ構成であり、詳細は省略する。
本発明のタービン入口構造および蒸気タービンの実施例2においても、前述したタービン入口構造、およびそれを用いた蒸気タービンの実施例1とほぼ同様な効果が得られる。
<実施例3>
本発明のタービン入口構造および蒸気タービンの実施例3を図17を用いて説明する。図17は、本発明の実施例3に係るタービン入口部の基本構造を模式的に表す正面図である。
図17に示すように、本実施例のタービン入口部11Bでは、実施例1と同様の特徴を実現するに当たり、タービン入口下半部19Bにおいて、流路内部に凸状部材50を設置せずに、ロータ1の軸の伸びる方向にタービン入口の内部流路を見たときに、蒸気導入部に対向する外周面近傍の流路空間の方が、その周方向両隣の流路空間よりも広くなるように、環状流路は、蒸気導入部から対向側に向けて面積が減少するよう形成されており、かつ対向側で外周側に突出する凸状部52を有する形状となっている。
なお、以外の構成は前述した実施例1のタービン入口構造と略同じ構成であり、詳細は省略する。
本発明のタービン入口構造および蒸気タービンの実施例3においても、前述したタービン入口構造および蒸気タービンの実施例1とほぼ同様な効果が得られる。
<その他>
なお、本発明は、上記の実施例に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。上記の実施例は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施例の構成の一部を他の実施例の構成に置き換えることも可能であり、また、ある実施例の構成に他の実施例の構成を加えることも可能である。また、各実施例の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることも可能である。
例えば、図11、図16、図17に示した壁面形状は、あくまで形状の一例を示したものであり、必ずしもこの形状そのものに限定されるものではない。例えば、実施例1のような凸状部材を例にすると、ロータの軸と平行な方向から見たときに、図12および図13に示すように、流路面積を均等に減少させ、且つ広げるように外周壁と平行に内周面側に突出している形態に限られず、図18,19に示すように、ロータの軸と平行な方向から見たときに、外周壁に対して曲線形状の凸状部材50a,50bが形成されていてもよい。
また、流れ場も必ずしも図14,図15に示した通りになる必要もなく、梨型形状の下端部に高圧力領域が安定的に形成されるように、下端部近傍の流路面積が狭い・広い・狭いと構成されていれば良い。
更には、流路面積が狭い・広いとなるのはタービン入口下半部19のみに限られず、タービン入口上半部18で流路面積が狭い・広いとなってもよいし、タービン入口上半部18からタービン入口下半部19にかけて流路面積が狭い・広いとなってもよい。
1…タービンロータ、
2…主蒸気供給配管、
3…蒸気再熱設備、
4…高圧タービン、
5…中圧タービン、
6a,6b…低圧タービン、
7…発電機、
8…クロスオーバ管、
10…中圧タービン入口部、
11,11A,11B…低圧タービン入口部、
12…蒸気の流れ、
14…低圧タービン入口フランジ部、
15…円筒管、
16…蒸気導入部、
18…タービン入口上半部、
19,19A,19B…タービン入口下半部、
20…フランジ、
21…リブ、
30…段落入口(低圧タービン初段落流入部)、
31…段落入口カバー、
32…ダイヤフラム固定部材、
33…低圧タービン初段落ダイヤフラム、
35…低圧タービン初段落動翼、
36…低圧タービン初段落動翼、
41…流線、
43…低圧力領域、
44a,44b…中圧力領域、
45…高圧力領域、
50,50a,50b…凸状部材、
51…凹状部、
52…凸状部。

Claims (5)

  1. 作動流体を供給する配管の流体流れ方向下流側に接続する作動流体導入部と、
    外周側の一部がこの作動流体導入部に接続し、内周側がタービン段落入口に接続する環状流路と、を備えたタービンのタービン入口構造であって、
    ロータ軸の伸びる方向にタービン入口の内部流路を見たときに、前記環状流路は、前記作動流体導入部から前記作動流体導入部の対向側に向けて流路面積が狭くなった後に広がるように、前記対向側の間の外周面側に、内周側に突出する凸状部材を有する
    ことを特徴とするタービン入口構造。
  2. 作動流体を供給する配管の流体流れ方向下流側に接続する作動流体導入部と、
    外周側の一部がこの作動流体導入部に接続し、内周側がタービン段落入口に接続する環状流路と、を備えたタービンのタービン入口構造であって、
    ロータ軸の伸びる方向にタービン入口の内部流路を見たときに、前記環状流路は、前記作動流体導入部から前記作動流体導入部の対向側に向けて流路面積が狭くなった後に広がるように、前記作動流体導入部から前記対向側の間で、外周面が内周側にくぼんだ凹状部を有する
    ことを特徴とするタービン入口構造。
  3. 作動流体を供給する配管の流体流れ方向下流側に接続する作動流体導入部と、
    外周側の一部がこの作動流体導入部に接続し、内周側がタービン段落入口に接続する環状流路と、を備えたタービンのタービン入口構造であって、
    ロータ軸の伸びる方向にタービン入口の内部流路を見たときに、前記環状流路は、前記作動流体導入部から前記作動流体導入部の対向側に向けて流路面積が狭くなった後に広がるように、前記作動流体導入部から前記対向側に向けて面積が減少するよう形成されており、かつ前記対向側で外周側に突出する凸状部を有する
    ことを特徴とするタービン入口構造。
  4. 請求項1乃至3のいずれか1項に記載のタービン入口構造において、
    前記環状流路は、前記作動流体導入部と接続されるタービン入口上半部と、前記作動流体導入部の対向側に配置されるタービン入口下半部とを有し、
    前記タービン入口下半部において前記環状流路の流路面積が狭くなった後に広がるよう構成された
    ことを特徴とするタービン入口構造。
  5. 請求項1乃至のいずれか1項に記載のタービン入口構造を備えたことを特徴とする蒸気タービン。
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