JP2010209857A - 蒸気タービン用ノズルボックスおよび蒸気タービン - Google Patents

蒸気タービン用ノズルボックスおよび蒸気タービン Download PDF

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Fumio Otomo
文雄 大友
Tsutomu Oishi
勉 大石
Yasunori Iwai
保憲 岩井
Munehisa Ono
宗久 大野
Yoshiki Niizeki
良樹 新関
Hisashi Matsuda
寿 松田
Katsuya Yamashita
勝也 山下
Asako Inomata
麻子 猪亦
Hiroyuki Kawagishi
裕之 川岸
Hiroki Shiina
浩毅 椎名
Toru Abe
徹 阿部
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Abstract

【課題】第1段動翼に蒸気を導入する際の圧力損失を低減し、タービン効率を向上させることができる蒸気タービン用ノズルボックスおよびこの蒸気タービン用ノズルボックスを備えた蒸気タービンを提供することを目的とする。
【解決手段】ノズルボックス10は、蒸気入口管220から周方向に広がる蒸気流路20に導入された蒸気を第1段ノズル213aへ導く環状の蒸気流路で構成されている。また、ノズルボックス10には、半径方向の蒸気流路高さが蒸気流の下流方向に徐々に減少する流路断面減少部40が形成されている。補強リブ30は、補強リブ30の半径方向に亘る前縁端31の少なくとも一部分のタービンロータ軸方向における位置が、他の部分のタービンロータ軸方向における位置と異なるように構成されている。
【選択図】図2

Description

本発明は、蒸気タービンに設置される蒸気タービン用ノズルボックスおよびこの蒸気タービン用ノズルボックスを備えた蒸気タービンに関する。
火力発電所などで用いられる蒸気タービンのような軸流回転機械は、作動流体が通過する流路が静止しているノズルと、回転する動翼とを複数段組み合わせて構成された翼列を備えている。蒸気タービンの場合、作動流体である蒸気の条件から、一般に、高圧部、中圧部、低圧部に分類されている。それぞれの翼列部において、作動流体による仕事の効率を向上させるため、翼列間の流路は、作動流体が円滑に流れるような形状に設計される必要がある。
従来、エネルギ資源の有効利用やCO排出量の削減のため、発電機器においては、機器の効率を向上させることが重要な課題となっている。蒸気タービンの効率を向上させるためには、例えば、与えられたエネルギを有効に機械仕事に変換することが挙げられる。その対策の1つとして、様々な内部損失を低減することが挙げられる。
蒸気タービンにおける内部損失には、翼の形状に起因するプロファイル損失、二次流れに起因する二次損失、翼列外への作動流体の漏洩に起因する漏洩損失、最終翼群に特有のドレンに起因する湿り損失などの蒸気タービン翼列内の損失がある。さらに、蒸気弁、蒸気をある翼列まで導く通路部、ある翼列を出て次の翼列までの通路部における損失、低圧最終段における排気損失などがある。
翼列と翼列をつなぐ通路部の圧力損失を低減するため、翼列にできるだけ均一に蒸気を導く技術が開示されている。例えば、翼列にできるだけ均一に蒸気を導くため、蒸気の流れを制御するガイドを備える蒸気タービンが開示されている(例えば、特許文献1−3参照。)。
ここで、従来のノズルボックスの構成について説明する。図13は、従来のノズルボックス300のタービンロータに垂直な断面を第1段ノズル303側から見たときの図である。図14は、図13のA−A断面を示す図である。なお、中心にはタービンロータが貫設されているが、ここではタービンロータの図示を省略して示している。
図13に示すように、ノズルボックス300は上下2つの空間に分離され、それぞれの空間にボイラ(図示しない)からの蒸気301が2つの蒸気入口管302によって導入される。図14に示すように、ノズルボックス300に導入された蒸気301は、ノズルボックス300の構造保持のために設けられた補強リブ304の間を通り、第1段ノズル303に導かれる。第1段ノズル303の下流で通路部は全周連結され、第1段ノズル303を通過した蒸気301は、第1段動翼(図示しない)へ導かれる。
図15は、蒸気入口管302からノズルボックス300の空間に導入された蒸気301が補強リブ304間に流入する際の蒸気301の流れを模式的に示した図である。図15に示すように、すべての補強リブ304は同形状で構成され、一定の方向を向いて、周方向に等間隔に設置されている。また、補強リブ304は、中心線305が直線となる形状で構成され、この中心線305がタービンロータ軸に平行になるように設置されている。ここで、図15に示したαは、補強リブ304間への蒸気301の流入角である。この流入角αは、補強リブ304間の蒸気流入部において、補強リブ304の最上流側の端部(以下、前縁304aという)における中心線305の延長線に平行な方向と、蒸気301の流れ方向、すなわち流線方向とがなす角度である。
図15に示すように、この流入角αが大きいほど、補強リブ304の間に流入した蒸気301の流れの一部に渦306や剥離が発生し易く、圧力損失が生じ易い。また、このように補強リブ304の間に流入した蒸気301は、乱れた状態で補強リブ304の下流側に設置されている第1段ノズル303へ流入する。
ここで、図16は、補強リブ304の周方向の位置を示す周方向角度における流入角αを示した図である。なお、図13には、この周方向角度に対応する位置を示している。図16に示された流入角αは、CFD(Computational Fluid Dynamics)を用いて、定常状態における3次元熱流体解析によって得られたものである。図16の縦軸に示された流入角αにおいて、例えば、流入角αが0度の場合には、蒸気301の流れ方向は、補強リブ304の前縁304aにおける中心線305の延長方向と平行となる。この場合、蒸気301は、補強リブ304の間を補強リブ304の中心線305に平行に流れ、第1段ノズル303へ導かれる。
図16に示すように、流入角αは、周方向角度において大きく変動している。さらに、大きな流入角αを有する場合には、上記したように渦306が発生し、圧力損失が生じ、蒸気タービンの効率が低下する。
図17は、2つの蒸気入口管302によってノズルボックス300に蒸気301を導入する構成を備える従来のノズルボックス300のタービンロータに垂直な断面を第1段ノズル303側から見たときの図である。図示しないが、このノズルボックス300においても、流入角αは、周方向角度において大きく変動する。さらに、大きな流入角αを有する位置では、図15に示したように渦306が発生し、圧力損失が生じ、蒸気タービンの効率が低下する。
また、図18および図19は、従来のノズルボックス300のタービンロータ軸方向に沿う断面を示す図である。なお、図中の311はタービンロータである。
図18に示されたノズルボックス300では、半径方向の外側の蒸気流路壁の内壁面を蒸気流の下流方向に行くに伴ってノズルボックス300の中央側に所定の角度で傾斜させた、下流方向に流路断面を減少させる流路断面減少部310を有している。このノズルボックス300は、いわゆる片側絞りタイプである。一方、図19に示されたノズルボックス300では、半径方向の外側および内側の蒸気流路壁の内壁面を、蒸気流の下流方向に行くに伴ってノズルボックス300の中央側に所定の角度で傾斜させた、下流方向に流路断面を減少させる流路断面減少部310を有している。このノズルボックス300は、いわゆる両側絞りタイプである。なお、補強リブ304は、ノズルボックス300の流路形状に応じた形状に形成され、例えば、流路断面減少部310においては、流路断面減少部310の流路形状に応じた形状に構成されている。また、補強リブ304の前縁は、半径方向に一直線となるように形成されている。
図18および図19に示された従来のノズルボックス300において、上記したような流路断面減少部310の壁面に沿った領域では、ノズルボックス300の中央側に所定の角度で傾斜し、流路断面が急激に変化する。そのため、補強リブ304内では、補強リブ304の後縁端近傍の蒸気301のように、主流の速度分布が半径方向に大きく偏向する。このように半径方向に速度分布が偏向した流れは、第1段ノズル303、さらには第1段動翼(図示しない)へ導かれる。また、図18および図19に示すように、流路断面減少部310における断面積が最小となるスロート部の下流には、主流の剥離流れによる大きな渦320が形成され、二次流れを形成する。そして、蒸気301は、形成された渦320を有する状態で第1段ノズル303に導かれる。
特開平8−260903号公報 特開平8−49501号公報 特開2003−193809号公報
上記したように、従来のノズルボックス300においては、速度分布が半径方向に偏向された状態で蒸気301が第1段ノズル303、第1段動翼に導かれるため、第1段動翼に導入される蒸気の速度分布が不均一となり、タービン効率が低下する原因となる。また、主流の剥離流れによる大きな渦320を有する二次流れが形成されることで、圧力損失が増加し、タービン効率が低下する原因となる。
そこで、本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、第1段動翼に蒸気を導入する際の圧力損失を低減し、タービン効率を向上させることができる蒸気タービン用ノズルボックスおよびこの蒸気タービン用ノズルボックスを備えた蒸気タービンを提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明の一態様によれば、蒸気入口管から導入され、周方向に広がる蒸気流路に流入した蒸気を補強リブ間を通して第1段ノズルへ導くように構成された蒸気タービン用ノズルボックスであって、前記補強リブが、前記蒸気流路の一部を構成する、半径方向の蒸気流路高さが蒸気流の下流方向に徐々に減少する流路断面減少部に少なくとも設けられ、前記補強リブの半径方向に亘る前縁端の少なくとも一部分のタービンロータ軸方向における位置が、他の部分のタービンロータ軸方向における位置と異なるように構成されていることを特徴とする蒸気タービン用ノズルボックスが提供される。
また、本発明の一態様によれば、蒸気入口管から導入され、周方向に広がる蒸気流路に流入した蒸気を補強リブ間を通して第1段ノズルへ導くように構成されたノズルボックスを備えた蒸気タービンであって、前記ノズルボックスが、上記した蒸気タービン用ノズルボックスであることを特徴とする蒸気タービンが提供される。
本発明の蒸気タービン用ノズルボックスおよびこの蒸気タービン用ノズルボックスを備えた蒸気タービンによれば、第1段動翼に蒸気を導入する際の圧力損失を低減し、タービン効率を向上させることができる。
本発明に係る一実施の形態のノズルボックスを備えた蒸気タービンの上半ケーシング部における断面を示した図である。 本発明に係る一実施の形態のノズルボックスにおけるタービンロータ軸方向に沿う断面を示す図である。 本発明に係る一実施の形態のノズルボックスにおいて、他の形状の補強リブを備えたときのタービンロータ軸方向の断面を示す図である。 本発明に係る一実施の形態のノズルボックスにおいて、他の形状の補強リブを備えたときのタービンロータ軸方向の断面を示す図である。 本発明に係る一実施の形態のノズルボックスにおいて、他の形状の流路断面減少部を備えたときのタービンロータ軸方向の断面を示す図である。 補強リブの高さ方向に垂直な補強リブの断面を示す図である。 補強リブの高さ方向に垂直な補強リブの断面を示す図である。 前縁後縁厚さ比と無次元化された空力損失との関係を示す図である。 本発明に係る一実施の形態のノズルボックス内における補強リブの配置構成を模式的に示した図である。 本発明に係る一実施の形態のノズルボックス内における補強リブの配置構成を模式的に示した図である。 翼列における圧力損失特性を示す図である。 補強リブの周方向の位置を示す周方向角度における流入角αを示した図である。 従来のノズルボックスのタービンロータに垂直な断面を第1段ノズル側から見たときの図である。 図13のA−A断面を示す図である。 蒸気入口管からノズルボックスの空間に導入された蒸気が補強リブ間に流入する際の蒸気の流れを模式的に示した図である。 補強リブの周方向の位置を示す周方向角度における流入角αを示した図である。 2つの蒸気入口管によってノズルボックスに蒸気を導入する構成を備える従来のノズルボックスのタービンロータに垂直な断面を第1段ノズル側から見たときの図である。 従来のノズルボックスのタービンロータ軸方向に沿う断面における蒸気の流れを示す図である。 従来のノズルボックスのタービンロータ軸方向に沿う断面における蒸気の流れを示す図である。
以下、本発明の一実施の形態について図面を参照して説明する。
図1は、本発明に係る一実施の形態のノズルボックス10を備えた蒸気タービン200の上半ケーシング部における断面を示した図である。
図1に示すように、蒸気タービン200は、例えば、内部ケーシング210とその外側に設けられた外部ケーシング211とから構成される二重構造のケーシングを備えている。また、内部ケーシング210内にタービンロータ212が貫設されている。また、内部ケーシング210の内側面には、ノズル213が配設され、タービンロータ212には、動翼214が植設されている。さらに、蒸気タービン200には、蒸気入口管220が、外部ケーシング211および内部ケーシング210を貫通して設けられ、さらに蒸気入口管220の端部が、動翼214側に向けて蒸気を導出するノズルボックス10に連通して接続されている。このノズルボックス10は、蒸気入口管220から導入された蒸気が周方向に広がる蒸気流路20を備えている。また、ノズルボックス10は、蒸気流路20に導入された蒸気を第1段ノズル213aへ導く補強リブ30を備えている。
蒸気入口管220を経て、ノズルボックス10内に流入した蒸気は、蒸気流路20内に広がり、蒸気流路20の一部を構成する、半径方向の蒸気流路高さが蒸気流の下流方向に徐々に減少する流路断面減少部40に、少なくとも設けられた補強リブ30間を通り第1段ノズル213aへ導かれ、第1段動翼214aに向けて噴出される。噴出された蒸気は、各段落のノズル213と動翼214との間の蒸気通路を通り、タービンロータ212を回転させる。また、膨張仕事をした蒸気の大部分は、排気され、例えば、低温再熱管(図示しない)を通りボイラ(図示しない)に流入する。また、膨張仕事をした蒸気の一部は、冷却用蒸気として内部ケーシング210と外部ケーシング211との間に導かれ、グランド部または膨張仕事をした蒸気の大部分が排気される排気経路から排気される。
なお、蒸気タービン200の構成は、上記した構成に限定されるものではなく、蒸気入口管220を経てノズルボックス10内に蒸気が流入される構成を備える蒸気タービンであればよい。
次に、本発明に係るノズルボックス10について説明する。
図2は、本発明に係る一実施の形態のノズルボックス10におけるタービンロータ軸方向に沿う断面を示す図である。なお、図2の左右方向がタービンロータ軸方向である。
図2に示すように、ノズルボックス10は、蒸気入口管220から周方向に広がる蒸気流路20に導入された蒸気を第1段ノズル213aへ導く環状の蒸気流路で構成されている。また、ノズルボックス10には、半径方向の蒸気流路高さが蒸気流の下流方向に徐々に減少する流路断面減少部40が形成されている。流路断面減少部40は、半径方向の外側の蒸気流路壁の内壁面を、蒸気流の下流方向に行くに伴ってノズルボックス10の中央側に所定の角度で傾斜させることで構成されている。また、流路断面減少部40において、タービンロータ軸方向に水平な内壁面と傾斜する内壁面との間は曲率を有する面で構成されている。このノズルボックス10の構成は、いわゆる片側絞りタイプである。
ここで、流路断面減少部40の入口の半径方向の高さHaと、流路断面減少部40の出口の半径方向の高さHbとの比(Hb/Ha)(以下、流路絞り比という)は、0.15以上0.65以下であることが好ましい。なお、第1段ノズル213aの半径方向の高さは、流路断面減少部40の出口の半径方向の高さHbと同じである。
流路絞り比を上記した範囲とすることが好ましいのは、流路絞り比が0.15未満の場合には、実用上の構成として現実的ではなく、さらに、例えば、機械学会発行の「管路・ダクトの流体抵抗」55頁の図4.7「急縮小の損失」によれば、収縮係数が0.65以下になり、流路断面減少部40の出口における流れの局所に剥離流れが形成されるからである。また、流路絞り比が0.65を超える場合には、例えば、機械学会発行の「管路・ダクトの流体抵抗」55頁の図4.7「急縮小の損失」によれば、損失係数が0.2以上となりエネルギ損失が増大するからである。このように、流路絞り比を上記した範囲とすることで、流路断面減少部40の出口の下流側に形成される剥離流れによる渦の発生を防止してエネルギ損失を抑制することができる。さらに、流路断面減少部40の出口、すなわち第1段ノズル213aの入口、さらには第1段動翼214aにおける蒸気の半径方向の速度分布を均一にすることができる。
補強リブ30は、少なくともこの流路断面減少部40に設けられている。すなわち、補強リブ30の形状は、少なくとも、流路断面減少部40の半径方向の高さに対応して形成されている。また、補強リブ30は、補強リブ30の半径方向に亘る前縁端31の少なくとも一部分のタービンロータ軸方向における位置が、他の部分のタービンロータ軸方向における位置と異なるように構成されている。
例えば、図2に示すように、補強リブ30の前縁端31の一部分を、タービンロータ軸方向で、かつ蒸気流の上流方向に突出するように構成することができる。補強リブ30間の突部32が形成された領域には、上流側から蒸気が流入し難くなり、多くの蒸気は、突部32間を回避するように補強リブ30間を下流側に流れる。例えば、半径方向の速度分布において、速度が速い部分、すなわち体積流束(Mass Flux)が大きくなる領域に突部32を設けることで、半径方向の速度分布の均一化を図ることができる。また、半径方向の速度分布の均一化により、流路断面減少部40の出口の下流側に形成される剥離流れによる渦の発生を防止することができ、エネルギ損失を抑制することができる。なお、このように、突部32が形成される半径方向の位置は、ノズルボックス10に流入する蒸気の速度分布などに応じて適宜に設定可能である。
なお、補強リブ30の前縁端31の形状は、上記した形状に限られるものではない。図3および図4は、本発明に係る一実施の形態のノズルボックス10において、他の形状の補強リブ30を備えたときのタービンロータ軸方向の断面を示す図である。
図3に示すように、前縁端31の半径方向外側の端部および半径方向内側の端部から、半径方向の中央に向かって徐々に突出し、所定の位置で突部端部33が形成されるように、補強リブ30の前縁端31を構成してもよい。
さらに、図4に示すように、補強リブ30の前縁端31が、前縁端31の半径方向外側の端部から半径方向内側の端部に向かって、タービンロータ軸方向で、かつ蒸気流の上流方向に徐々に突出して傾斜するように、補強リブ30の前縁端31を構成してもよい。
これらの他の形状の補強リブ30においても、上記した補強リブ30と同様の作用効果を得ることができる。なお、これらの他の形状の補強リブ30においても、突部端部が形成される半径方向の位置は、ノズルボックス10に流入する蒸気の速度分布などに応じて適宜に設定可能である。
また、上記したノズルボックス10では、流路断面減少部40が、半径方向の外側の蒸気流路壁の内壁面を、蒸気流の下流方向に行くに伴ってノズルボックス10の中央側に所定の角度で傾斜させることで構成される、いわゆる片側絞りタイプの一例を示したが、この形状に限られるものではない。
図5は、本発明に係る一実施の形態のノズルボックス10において、他の形状の流路断面減少部40を備えたときのタービンロータ軸方向の断面を示す図である。図5に示すように、半径方向の外側および内側の蒸気流路壁の内壁面を、蒸気流の下流方向に行くに伴ってノズルボックス10の中央側に所定の角度で傾斜させるように構成してもよい。また、流路断面減少部40において、タービンロータ軸方向に水平な内壁面と傾斜する内壁面との間は曲率を有する面で構成されている。このノズルボックス10の構成は、いわゆる両側絞りタイプである。この両側絞りタイプの構成を有する場合においても、上記した補強リブ30を備えることで、上記した片側絞りタイプの場合と同様に、半径方向の速度分布の均一化を図ることができ、さらに、流路断面減少部40の出口の下流側に形成される剥離流れによる渦の発生を防止することができ、エネルギ損失を抑制することができる。
また、図5に示されたノズルボックス10においても、流路断面減少部40の入口の半径方向の高さHaと、流路断面減少部40の出口の半径方向の高さHbとの比(Hb/Ha)である、流路絞り比は、前述した理由と同様の理由から、0.15以上0.65以下にすることが好ましい。
また、図6および図7は、補強リブ30の高さ方向に垂直な補強リブ30の断面を示す図である。図6および図7に示すように、補強リブ30の前縁側の形状は鈍頭型に形成されている。また、補強リブ30の最大厚さTmと、補強リブ30の後縁端の厚さTeとの比(Te/Tm)(以下、前縁後縁厚さ比という)は、0.38以下であることが好ましい。
ここで、補強リブ30の最大厚さTmは、補強リブ30の厚さが最大となる位置での厚さである。また、補強リブ30の後縁端の厚さTeは、図6に示すように、後縁端が曲率、すなわち丸みを有する形状の場合には、後縁端の丸みに一致する円の直径である。一方、図7に示すように、後縁端が平面形状の場合には、補強リブ30の後縁端の厚さTeは、後縁端における中心線35に垂直な方向の後縁端の厚さである。なお、中心線35は、補強リブ30を長手方向に2等分する線である。
ここで、前縁後縁厚さ比を0.38以下とすることが好ましい理由について図8を参照して説明する。図8は、前縁後縁厚さ比と無次元化された空力損失との関係を示す図である。無次元化された空力損失とは、翼列前後の全圧損失ΔPt(=翼列入口全圧−翼列出口全圧)を翼列出口平均速度Voutを基にした動圧(0.5×密度×Vout)で無次元化したものである。この図8に示された結果は、空力性能試験結果を示したものである。ここで、空力性能試験は、後縁厚さの異なる実機翼の二次元拡大翼列モデルを順次大型低速風洞に組み込み、実機規模の空力条件下の空気流れ場における翼列前後の圧力損失を測定することで行った。圧力損失は、多孔ピトー管をトラバース計測して得られた圧力に基づいて求めた。
一般に、空力損失の低減率は20%以上で、優位な効果と考えられている。すなわち、図8では、無次元化された空力損失が0.8以下となる範囲に相当する。したがって、前縁後縁厚さ比は0.38以下の範囲が好ましいこととなる。
次に、補強リブ30の配置構成について説明する。
図9および図10は、本発明に係る一実施の形態のノズルボックス10内における補強リブ30の配置構成を模式的に示した図である。
図9および図10に示すように、配置される補強リブ30の数は、第1段ノズル213aの数と同じであるか、または第1段ノズル213aの数よりも少なく設定される。また、補強リブ30は、その後縁が、第1段ノズル213aの前縁に対向するように配置されている。さらに、図9および図10に示すように、補強リブ30は、補強リブ30の後縁端における中心線35の延長線と、補強リブ30の後縁端を通るタービンロータ軸方向に平行な直線Lとのなす角θが0〜10度となるように配置されることが好ましい。
ここで、補強リブ30の後縁端における中心線35の延長線と、補強リブ30の後縁端を通るタービンロータ軸方向に平行な直線Lとのなす角θが0〜10度であることが好ましい理由を、図11を参照して説明する。
図11は、翼列における圧力損失特性を示す図である。図11の横軸は、設計流入角に対するずれ角を示しており、設計流入角で流入した場合をずれ角0度としている。ここで、設計流入角とは、翼列の空力設計で設定された主流流れ方向を、回転軸方向または回転軸と直角方向となす角度を示すもので、翼周りの流れは安定で大きな剥離流れなどが発生しない低損失流れ場になっている。この設計流入角からのズレ角をインシデンスとも呼ぶ。また、図11に示したように、正のずれ角の場合が、設計流入角よりも流入角が翼の背側にずれたとき(流入背打ち側)を示し、負のずれ角の場合が、設計流入角よりも流入角が翼の腹側にずれたとき(流入腹打ち側)を示している。なお、翼列における圧力損失特性試験は、前述の空力性能試験と同様に、実機翼の二次元拡大翼列モデルを順次大型低速風洞に組み込み、実機規模の空力条件下の空気流れ場を作り、流入角をパラメータとする翼列前後の圧力損失を測定することで行った。圧力損失は、多孔ピトー管をトラバース計測して得られた圧力に基づいて求めた。ここで述べている圧力損失とは翼列前後の全圧損失を意味している。
図11に示すように、一般に、複数の翼で翼列を形成する場合、設計流入角で蒸気が流入したときの圧力損失は小さいが、主流の流入角が設計流入角から外れると圧力損失が変化する。具体的には、流入腹打ち側に主流が偏向すると圧力損失が急激に増加する。一方、流入腹打ち側に主流が偏向した場合、ずれ角が10度程度までであれば、圧力損失の変化は非常に小さい。したがって、第1段ノズル213aの翼列よりも上流側の補強リブ30の取り付け角、すなわち補強リブ30の後縁端における中心線35の延長線と、補強リブ30の後縁端を通るタービンロータ軸方向に平行な直線Lとのなす角θを、流入背打ち側への傾き角として0〜10度の範囲で設定しても、流入角がずれることによる圧力損失への影響は小さいものとなる。また、例えば、流入角を設計流入角に設定した場合、流入腹打ち側に主流が偏向すると急激な圧力損失の増加を生じる。これに対して、中心線35と直線Lとのなす角θを、流入背打ち側への傾き角として0〜10度の範囲で設定した場合、流入腹打ち側に主流が偏向しても、圧力損失は、流入角が設計流入角に設定された場合の圧力損失を超えることはない。また、流入背打ち側に主流が偏向しても、流入背打ち側では圧力損失の増加は緩やかであるため、圧力損失の急激な増加を抑制することができる。
上記したように補強リブ30を配置することで、補強リブ30の後縁の後方に生成される後流ウェーク(速度欠陥部)流れが、第1段ノズル213aの翼列間に供されることがないとともに、蒸気の主流が、第1段ノズル213aにおいて前縁から背打ち側へ流入する。そのため、蒸気の主流が腹打ち側に流入する際に発生する前縁からの大規模な剥離流れの発生を抑制することができ、空力性能の低下を防止することができる。
ここで、図12は、補強リブ30の周方向の位置を示す周方向角度における流入角αを示した図である。なお、この流入角αは、補強リブ30間の蒸気流入部において、補強リブ30の前縁における中心線35の延長線に平行な方向と、周方向断面における蒸気の流れ方向、すなわち周方向断面の流線方向とがなす角度である。また、図12には、比較のため、前述した従来のノズルボックスを使用した場合における、補強リブの周方向の位置を示す周方向角度における流入角α(図16参照)も示している。また、図12に示された流入角αは、CFD(Computational Fluid Dynamics)を用いて、定常状態における3次元熱流体解析によって得られたものである。
図12に示すように、従来の構成のノズルボックスにおける流入角αに比べて、本発明に係るノズルボックスにおける流入角αは、周方向角度に対して変動が小さいことがわかった。これによって、補強リブ30の前縁における渦などの乱れの発生が抑制され、圧力損失を抑制できる。
上記したように、本発明に係る一実施の形態のノズルボックス10およびこのノズルボックス10を備えた蒸気タービン200によれば、半径方向の速度分布の均一化を図ることができ、さらに、流路断面減少部40の出口の下流側に形成される剥離流れによる渦の発生を防止することができる。これによって、エネルギ損失を抑制することができる。また、蒸気の主流が、第1段ノズル213aにおいて前縁から背打ち側へ流入するため、蒸気の主流が腹打ち側に流入する際に発生する前縁からの大規模な剥離流れの発生を抑制することができ、空力性能の低下を防止することができる。すなわち、本発明に係る一実施の形態のノズルボックス10およびこのノズルボックス10を備えた蒸気タービン200によれば、第1段動翼に蒸気を導入する際の圧力損失を低減し、タービン効率を向上させることができる。
以上、本発明を一実施の形態により具体的に説明したが、本発明はこれらの実施の形態にのみ限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。
10…ノズルボックス、20…蒸気流路、30…補強リブ、31…前縁端、32…突部、33…突部端部、35…中心線、40…流路断面減少部、200…蒸気タービン、210…内部ケーシング、211…外部ケーシング、212…タービンロータ、213…ノズル、213a…第1段ノズル、214…動翼、214a…第1段動翼、220…蒸気入口管。

Claims (9)

  1. 蒸気入口管から導入され、周方向に広がる蒸気流路に流入した蒸気を補強リブ間を通して第1段ノズルへ導くように構成された蒸気タービン用ノズルボックスであって、
    前記補強リブが、前記蒸気流路の一部を構成する、半径方向の蒸気流路高さが蒸気流の下流方向に徐々に減少する流路断面減少部に少なくとも設けられ、前記補強リブの半径方向に亘る前縁端の少なくとも一部分のタービンロータ軸方向における位置が、他の部分のタービンロータ軸方向における位置と異なるように構成されていることを特徴とする蒸気タービン用ノズルボックス。
  2. 前記補強リブの前縁端の一部分が、タービンロータ軸方向で、かつ蒸気流の上流方向に突出していることを特徴とする請求項1記載の蒸気タービン用ノズルボックス。
  3. 前記補強リブの前縁端が、当該前縁端の半径方向外側の端部から半径方向内側の端部に向かって、タービンロータ軸方向で、かつ蒸気流の上流方向に徐々に突出して傾斜していることを特徴とする請求項1記載の蒸気タービン用ノズルボックス。
  4. 前記流路断面減少部の入口の半径方向の高さHaと、前記流路断面減少部の出口の半径方向の高さHbとの比(Hb/Ha)が0.15以上0.65以下であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項記載の蒸気タービン用ノズルボックス。
  5. 前記第1段ノズルの半径方向の高さが、前記流路断面減少部の出口の半径方向の高さHbと同じであることを特徴とする請求項4記載の蒸気タービン用ノズルボックス。
  6. 前記補強リブの前縁側の形状が鈍頭型に形成され、前記補強リブの最大厚さTmと、前記補強リブの後縁端の厚さTeとの比(Te/Tm)が0.38以下であることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項記載の蒸気タービン用ノズルボックス。
  7. 設置される前記補強リブの数が、前記第1段ノズルの数と同じであるか、または前記第1段ノズルの数よりも少ないことを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項記載の蒸気タービン用ノズルボックス。
  8. 少なくとも1つの前記補強リブの後縁が、前記第1段ノズルの前縁に対向する位置で、かつ前記補強リブの後縁端における中心線の延長線と、前記補強リブの後縁端を通るタービンロータ軸方向に平行な直線とのなす角が0〜10度となるように、前記補強リブが配置されていることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項記載の蒸気タービン用ノズルボックス。
  9. 蒸気入口管から導入され、周方向に広がる蒸気流路に流入した蒸気を補強リブ間を通して第1段ノズルへ導くように構成されたノズルボックスを備えた蒸気タービンであって、
    前記ノズルボックスが、請求項1乃至8のいずれか1項記載の蒸気タービン用ノズルボックスであることを特徴とする蒸気タービン。
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