JP6490355B2 - リアクトル部品及びリアクトル - Google Patents

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Description

本発明は、リアクトル部品の構成部品であるコアを小型化しながらも高電流値の直流重畳特性を向上させ、且つ、リアクトル部品全体としての小型化・軽量化・低コスト化が可能なリアクトル部品及びリアクトルに関する。
リアクトルは、多種多様の用途に使用されている。代表的なリアクトルとして、電動機回路に直列に接続し短絡時の電流を制限する直列リアクトル、並列回路間の電流分担を安定させる並列リアクトル、短絡時の電流を制限しこれに接続される機械を保護する限流リアクトル、電動機回路に直列に接続して始動電流を制限する始動リアクトル、送電線路に並列接続されて進相無効電力の補償や異常電圧を抑制する分路リアクトル、中性点と大地間に接続して電力系統の地絡事故時に流れる地絡電流を制限する為に使用する中性点リアクトル、三相電力系統の1線地絡時に発生するアークを自動的に消滅させる消弧リアクトルなどがある。
リアクトルを含めたトランスやチョークコイル等の電気部品は、使用される電気回路等との関係上、電気的な所定の仕様を満足することを要求される。特に、リアクトルが高電流回路の昇圧リアクトル等に使用される場合等には、高電流値の直流重畳特性がその仕様を満足することが重要視される。
リアクトルは、リアクトル部品と、リアクトル部品を収容するケースとを備える。リアクトル部品は、コアと、コアの周囲に被覆された樹脂成形品と、コアに樹脂成形品を介して巻回されたコイルとを備える。
図10は、従来のリアクトル部品のコアを示す斜視図である。図10に示すように、従来のコア109は、例えば、数個の磁性体のブロック103a及び103bと各ブロック間に磁気ギャップとして挿入されるシート材106から形成されている。このコア109の形状は、全体として環状形状になっており、磁性体のブロック103bから成る直線部は2ヶ所あり、各直線部に樹脂成形品(図示せず)の巻枠部を介してコイル(図示せず)が巻回され、所定の電気特性が得られる。磁性体のブロック103aは各直線部と結合し、このコア109を環状形状にしている。
このような従来の環状形状のコア109は、磁束が漏れないようにするため、磁路に対し均一なコア断面積を有するように構成することが理想的である。例えば、図10に示すコア109では、磁性体のブロック103aの高さH1と磁性体のブロック103bの高さH2が同一の寸法に形成されると共に磁性体のブロック103aの幅W1と磁性体のブロック103bの幅W2も同一の寸法に形成されていた。従って、巻線が巻回される巻回部を構成する磁性体のブロック103bと巻線が巻回されない非巻回部を構成する磁性体のブロック103aが共に磁路と直交する方向の断面積が同じになるようなコア形状を構成していた。
図11に示すような概略θ形状のコア111の場合も同様に、磁束漏れがないように、磁路に対し均一なコア断面積を有するように構成することが理想的である。すなわち、図11に示すような概略θ形状のコア111は、中央に位置する中脚部111cにコイル(不図示)が巻回されており、中脚部111cで発生した磁束は、2方向に分かれて左右の2つの閉磁路を形成する。このような概略θ形状のコア111であっても、各閉磁路において、巻回部となる中脚部111cのコア断面積の半分の面積と、非巻回部となる外脚部111b及び背面部111aのコア断面積とを等しくしていた。換言すると、各部111a、111b、111cの高さを同じにし、かつ、各部111a、111b、111cの磁路と直交する幅方向の長さW3、W4、W5を同じにしていた。
特開2003−124039号公報
従来のリアクトル部品では、コアが閉磁路において均一なコア断面積を有する形状で構成されていたため、コアの形状が大きくなり、リアクトル全体が大型化および重量化していた。また、リアクトルの構成部品であるコアは、構成部品の中で最も高価な材料であるため、リアクトル全体のコストが高くなってしまっていた。
また、閉磁路において均一なコア断面積とするという関係上、客先が求めるコアの形状を実現しようとするとコアの形状が大きくならざるを得ず、リアクトル全体の大型化、重量及びコスト増大という問題を招いていた。
一方、コアの形状を小型化すると高電流値の直流重畳特性を得られず、高電流値の直流重畳特性の向上とコア形状の小型化との両立を図ることができなかった。
本発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、その目的は、コア形状を小型化しながらも高電流値の直流重畳特性を向上させ、且つ、リアクトル全体としての小型化、軽量化、及び低コスト化を可能とするリアクトル部品及びリアクトルを提供することにある。
本発明のリアクトル部品は、巻線と、磁性体のコアと、を備えるリアクトル部品であって、次の構成を有することを特徴とする。
(1)前記コアは、中央に配置され前記巻線が巻回される中脚部と、前記中脚部の両側に並行に配置された一対の外脚部と、前記中脚部及び一対の前記外脚部の端部を繋ぐ一対の背面部とを有する。
(2)前記中脚部の磁路と直交する断面積の半分の面積に対して、前記外脚部の磁路と直交する断面積及び前記背面部の磁路と直交する断面積がそれぞれ小さいこと。
(3)前記中脚部の磁路と直交する断面積の半分の面積に対する前記背面部の磁路と直交する断面積の比率と、前記中脚部の磁路と直交する断面積の半分の面積に対する前記外脚部の磁路と直交する断面積の比率との平均値が、0.4〜0.7であること。
本発明のリアクトル部品において、次の構成を有していても良い。
)前記背面部の磁路と直交する断面積に対する前記外脚部の磁路と直交する断面積の比率が、0.9〜1.4であること。
(5)前記コアは、圧粉磁心であること。
また、上記(1))、並びに上記((5)の少なくとも何れかを有するリアクトルであって、次の構成を有していても良い。
(6)前記リアクトル部品は、磁気シールド収容体に収容されていること。
(7)前記リアクトル部品と前記磁気シールド収容体との間隙に熱伝導性を有する充填材が充填されていること。
本発明によれば、コア形状の小型化しながらも高電流値の直流重畳特性を向上させ、且つ、リアクトル全体としての小型化、軽量化、及び低コスト化を可能とするリアクトル部品及びリアクトルを得ることができる。
第1の実施形態に係るリアクトルの全体構成を示す斜視図である。 第1の実施形態に係るリアクトル部品のコアの構成を示す平面図である。 図2のA−A断面斜視図である。 図2のB−B断面図である。 断面積比率Davgとリアクトル体積比率の関係を示すグラフである。 異なる断面積比率Davgのサンプルに対し、直流電流を印加した場合のインダクタンス値を示すグラフである。 断面積比率Dとリアクトル体積比率の関係を示すグラフである。 異なる断面積比率Dのサンプルに対し、直流電流を印加した場合のインダクタンス値を示すグラフである。 第1の実施形態の変形例に係るリアクトル部品のコアの構成を示す平面図である。 従来のリアクトル部品のコアの構成を示す斜視図である。 従来のリアクトル部品のコアの構成を示す平面図である。
以下、図面を参照して、本発明の実施形態のリアクトル部品及びリアクトルについて説明する。
[第1の実施形態]
[1−1.構成]
図1は、本実施形態に係るリアクトルの全体構成を示す斜視図、図2はそのリアクトル部品のコアの構成を示す平面図である。リアクトルは、例えばハイブリッド自動車や電気自動車の駆動システム等で使用される車載用のリアクトルとして用いることができる。
リアクトルは、リアクトル部品10と、ケース20とを備え、リアクトル部品10が、熱伝導性が高く軽量な金属で形成された略直方体の収容スペースを有するケース20内に固定される。ケース20は、例えば、アルミニウム、アルミニウム合金等により形成されており、後述するようにリアクトル部品10から発生する磁気をシールドする。リアクトル部品10とケース20との間隙には充填材(不図示)が充填・固化されている。充填材には、リアクトルの放熱性能の確保のため、シリコーン樹脂やエポキシ樹脂、ウレタン樹脂などの熱伝導性の高い樹脂が適している。充填材は、熱伝導性の高い樹脂であれば複数種類混合したものを用いても良い。また、充填材は、放熱性を向上させる観点から真空中で撹拌脱泡したものを用いると良い。
リアクトル部品10は、磁性体のコア11と、コイル12とを備える。磁性体のコア11は、圧粉磁心やフェライト磁心、ケイ素鋼板などを用いることができる。特に、圧粉磁心は、高い飽和磁束密度を持つため、直流重畳特性に優れている。ケイ素鋼板を用いる場合は、図9に示すように一対のE型コアの各脚部を突き合わせてコア11を形成するときに中脚部間にギャップGを設けることで直流重畳特性が向上する。
図2に示すように、本実施形態のコア11は、一対のE型コアの3つの脚部を突き合わせた形状であり、中央に配置された中脚部11cと、中脚部11cの両脇に空間を介して中脚部11cと並行に配置された一対の外脚部11bと、中脚部11c及び外脚部11bの端部を繋ぐ一対の背面部11aとを有している。なお、本実施形態では特に設けていないが、コアの突き合わせ部分にスペーサや接着剤を介してコア11を形成しても良い。また、コア11の周囲には、樹脂で形成された樹脂成形品(不図示)が設けられている。
中脚部11cには、その周囲に位置する樹脂成形品の巻枠部を介して巻線であるコイル12が巻回されており、中脚部11cは巻回部となる。一方、外脚部11bと背面部11aにはコイル12は巻回されておらず、これら外脚部11b及び背面部11aは非巻回部となる。すなわち、コア11にコイル12が巻回されるのは、中脚部11cだけである。
コイル12は、例えばエナメル被覆した銅線である。本実施形態では平角線のエッジワイズコイルを用いているが、絶縁被膜を有する導線であれば良い。コイル12の両端部は外部から電力供給されるように外部電源(不図示)と接続される。コイル12に電流が流れると、図2に示すように、中央の中脚部11cで磁束が発生し、中脚部11cから磁束は2方向に分かれてそれぞれ背面部11a、外脚部11b、背面部11a、中脚部11cの順で磁束が流れる。中脚部11cは磁束が発生する部分であり、背面部11a、外脚部11bは、単なる磁路となる。このように、本実施形態のコア11には、2つの閉磁路が形成される。
本実施形態のコア11は、中脚部11cの磁路と直交する断面積の半分の面積に対して、外脚部11bの磁路と直交する断面積、及び、背面部11aの磁路と直交する断面積がそれぞれ小さくなるように構成されている。中脚部11cで磁束が発生すると、背面部11a及び外脚部11bが磁路となって、発生した磁束はこれらの背面部11a、外脚部11bの内側を通過しやすい。そのため、外脚部11b及び背面部11aの外側の部分及び角の部分は、磁束がほとんど通らない箇所であるため、コア11が削減されている。なお、以下では、磁路と直交する中脚部11c、外脚部11b及び背面部11aの断面積を単に断面積という場合がある。
巻回部と非巻回部の断面積の比について説明する。図3は、図2のA−A断面斜視図であり、図4は、図2のB−B断面斜視図である。図3及び図4に示すように、巻回部である中脚部11cの断面積の半分の面積をAcとし、非巻回部である背面部11aの断面積をAa、外脚部11bの断面積をAbとする。中脚部11cの断面積の半分の面積Acに対する背面部11aの断面積Aaの比率Da(=Aa/Ac)と、中脚部11cの断面積の半分の面積Acに対する外脚部11bの断面積Abの比率Db(=Ab/Ac)との平均値Davg(=(Da+Db)/2)は、0.4〜0.7であることが好ましい。
Davgをこの範囲とすることにより、リアクトル体積を75.8%〜82.7%にすることができる。換言すると、リアクトル体積を17.3%〜24.2%削減することができる。この範囲を超えると小型化のメリットが小さくなるため、軽量化及び低コスト化のメリットも小さくなり、好ましくない。
背面部11aの磁路と直交する断面積Aaに対する外脚部11bの磁路と直交する断面積Abの比率D=Ab/Aaは、0.9〜1.4であることが好ましい。この範囲にすることで、リアクトル体積は比較的一定にすることができるが、この範囲を超えると、すなわち比率Dが0.9未満若しくは1.4超となると、リアクトルの体積は急激に増加する傾向にあるため好ましくない。
[1−2.実施例]
本発明の実施例を、図5〜図8並びに表1、2を参照して以下に説明する。以下、圧粉磁心により構成されるリアクトル部品について、(a)断面積比率Davgとリアクトル体積の関係、(b)断面積比率Dとリアクトル体積の関係の観点から、具体的なサンプルデータを示しつつ説明する。
なお、下記の実施例は、下記の条件(a)〜(e)及び下記表1、並びに下記の条件(a)、(b’)、(c)〜(e)及び下記表2により得られるリアクトル部品を想定したコンピュータによるシミュレーション結果である。
[リアクトル部品(圧粉磁心)]
(a)断面積比率Davgとリアクトル体積の関係
(a−1)解析対象としたサンプル
下記の条件(a)〜(e)を満たす下で、下記表1に示す断面積比率Davgの異なる15個のコア11に対し、その各コア11の中脚部11cに、平角線t1.6×w5.0の巻線を10ターン施したリアクトル部品をそれぞれ解析対象とした。
(a) 中脚部11cの断面積の半分の面積Acに対して、背面部11a及び外脚部11bの断面積Aa、Abがそれぞれ小さい。
(b) 背面部11aの断面積Aaと外脚部11bの断面積Abが等しい。
(c) 高電流時のインダクタンスLが一定である(代表値:電流60A、周波数10kHzの下でL=37μH)。
(d) コア11の素材は、直流最大透磁率80の純鉄系圧粉磁心とした。
(e) 中脚部11cにギャップは設けていない。
なお、各サンプルは断面積比率D=1.0とした。上記(c)の周波数10kHzは、解析対象とするサンプルを昇圧回路に用いた場合の、当該昇圧回路のスイッチング動作の周波数である。
(a−2)解析項目、及び解析結果
上記(a−1)の対象とする15個のサンプルについて、リアクトル実体積、及びインダクタンス値(L値)を解析した。その結果を表1、図5及び図6に示す。リアクトル実体積は、コア11と巻線(コイル12)の合計体積である。
表1及び図5の「リアクトル体積比率」は、Davgが1.0のとき、すなわち中脚部11cの断面積の半分の面積Acと、背面部11aの断面積Aaと、外脚部11bの断面積Abとがそれぞれ同じときのリアクトル実体積で、各リアクトル実体積を除し、100をかけて算出した。なお、Davg=1.0は、従来のリアクトル部品のコアの構成として磁束漏れが生じないAc=Aa=Abとなる理想的な構成である。
図5は、上記の条件(a)〜(e)を満たす下で、断面積比率Davgを横軸とし、リアクトル体積比率を縦軸として、断面積比率Davgを変化させて得られた表1のリアクトル体積比率をプロットしたグラフである。
図5に示すように、Davgを1.0から小さくするにつれてリアクトル体積は小さくなり、Davg=0.45付近を境に上昇し、リアクトル体積は大きくなる。リアクトルを小型化する観点からDavgが0.4〜0.7であることが好ましい。Davgをこの範囲とすることにより、リアクトル体積を75.8%〜82.7%にすることができる。換言すると、リアクトル体積を17.3%〜24.2%削減することができる。この範囲を超えると小型化のメリットが小さくなるため、軽量化及び低コスト化のメリットも小さくなり、好ましくない。
図5に示すように、Davg=1.0以外ではリアクトル体積を小さくできるが、断面積比率Davgは0.4〜0.7であることが好ましい。この数値範囲は、体積変化が概ね線形で無くなる点を境界としている。これは、リアクトル体積が線形で変化する箇所では、比較的リアクトル体積が大きくなり、また、リアクトル体積の変化幅も大きくなるからである。リアクトル体積の変化幅の大きいリアクトル体積が線形で変化する箇所でリアクトルを設計するには厳密性を要する。一方、上記数値範囲内ではリアクトル体積の変化幅が比較的小さいので、厳密な設計を要することもなく、しかも小型化することができる。
図6は、表1の実施例3、5、7及び比較例1、8のサンプルに対し、直流電流を印加した場合のインダクタンス値を示すグラフである。図6に示すように、実施例3、5、7は、上記条件(c)を満たすようにしているので、60A近傍の高電流側においても、L値が30μH以上と高いL値が確保できていることが確認できる。これは比較例1、8も同様であるが、実施例3、5、7の方が小型化できる利点がある。また、0A近傍の低電流側においては、実施例3、5、7は50μH程度の高いL値が得られることが分かる。
図6に示すように、60A以上の範囲で実施例も比較例も同等に高いL値が得られる。一方、0A〜60Aの範囲で、比較例1、8(Davg=1.0、0.3)に比べ、実施例3、5、7(Davg=0.6、0.5、0.4)の方が、インダクタンス値が高い傾向にある。特に、実施例7でインダクタンス値が高くなる傾向が顕著である。
(b)断面積比率Dとリアクトル体積の関係
(b−1)解析対象としたサンプル
上記の条件(a)、(c)〜(e)及び下記条件(b’)を満たす下で、下記表2に示す断面積比率Dの異なる15個のコア11に対し、その各コア11の中脚部11cに、平角線t1.6×w5.0の巻線を10ターン施したリアクトル部品をそれぞれ解析対象とした。
(b’) 背面部11aの断面積Aaと外脚部11bの断面積Abの比率D(=Db/Da)が異なるものとする。
なお、各サンプルは断面積比率Davg=0.5とした。上記(c)の周波数10kHzは、解析対象とするサンプルを昇圧回路に用いた場合の、当該昇圧回路のスイッチング動作の周波数である。
(b−2)解析項目、及び解析結果
上記(b−1)の対象とする15個のサンプルについて、リアクトル実体積、及びインダクタンス値(L値)を解析した。その結果を表2、図7及び図8に示す。リアクトル実体積は、コア11と巻線(コイル12)の合計体積である。
表2及び図7の「リアクトル体積比率」は、すなわち中脚部11cの断面積の半分の面積Acと、背面部11aの断面積Aaと、外脚部11bの断面積Abとがそれぞれ同じときのリアクトル実体積で、各リアクトル実体積を除し、100をかけて算出した。
図7は、上記の条件(a)及び(c)〜(e)を満たす下で、背面部11aの断面積Aaと外脚部11bの断面積Abとの比率D(=Ab/Aa)を横軸とし、リアクトル体積比率を縦軸として、上記(b’)に示すように、比率Dを変化させて得られた表2のリアクトル体積比率をプロットしたグラフである。
すなわち、背面部11aの断面積Aaと外脚部11bの断面積Abを等しくする条件(b)は課さずに、これらの断面積Aa、Abの比率Dを変化させた結果である。比率Dの変化においては、背面部11aの断面積Aaを小さくする場合、図3に示すように、背面部11aの磁路と直交する断面の幅Waを狭くする一方、断面積Aaが小さくなる範囲で高さHaを大きくする。外脚部11bについても同様に、断面積Abを小さくする場合、図3に示すように、外脚部11bの磁路と直交する断面の幅Wbを狭くする一方、断面積Abが小さくなる範囲で高さHbを大きくする。なお、本実施形態では、中脚部11c、外脚部11b、背面部11aの高さは等しくしている(Ha=Hb=Hc)。
このように、背面部11aと外脚部11bとの断面積比率Dを変化させる理由は、リアクトルの寸法バランスをユーザーの仕様に合わせて設計するためである。つまり、ユーザーの取付箇所に合わせて一方の長さを小さく、他方の長さを大きくしても良いなどの条件が付加された場合であっても、断面積比率Dを変化させることでその要求に応えることができる。
図7に示すように、背面部11aの断面積Aaに対する外脚部11bのコア断面積Abの比率Dは、0.9〜1.4とすることが好ましい。この範囲にすることで、リアクトル体積は比較的一定にすることができるが、この範囲を超えると、すなわち比率Dが0.9未満若しくは1.4超となると、リアクトルの体積は急激に増加する傾向にあるため好ましくない。
図8は、表2の実施例5、11、10、8及び比較例11、12のサンプルに対し、直流電流を印加した場合のインダクタンス値を示すグラフである。図8に示すように、実施例5、11、10、8は、上記条件(c)を満たすようにしているので、60A近傍の高電流側においても、L値が30μH以上と高いL値が確保できていることが確認できる。これは比較例11、12も同様であるが、実施例5、11、10、8の方が小型化できる利点がある。また、低電流側においては、実施例5、11、10、8は50μH超の高いL値が得られることが分かる。
図8に示すように、0A〜60Aの範囲で、比較例11、12(Davg=1.6、1.5)に比べ、実施例5、11、10、8(Davg=1.0、1.2、1.3、1.4)の方が、インダクタンス値が低い傾向にあるものの、60A以上の範囲で比較例11、12よりインダクタンス値が高い傾向にあることが分かる。
[1−3.作用効果]
(1)本実施形態のリアクトル部品10は、中脚部11cの磁路と直交する断面積の半分の面積に対して、外脚部11bの磁路と直交する断面積及び背面部11aの磁路と直交する断面積をそれぞれ小さくした。すなわち、従来のリアクトル部品のコアの設計においては、閉磁路におけるコア断面積がどの部分でも等しくなるように磁路を設計していたが、本実施形態のリアクトル部品10のコア11では、磁束がほとんど通らず磁気特性に影響のない部分を削減するようにし、中脚部11cの断面積に対して外脚部11b及び背面部11aの断面積をそれぞれ小さくした。これにより、コア形状を小型化しながらも高電流値の直流重畳特性を向上させ、且つ、リアクトル全体としての小型化、軽量化、及び低コスト化を図ることができる。
(2)本実施形態では、背面部11aの磁路と直交する断面積に対する外脚部11bの磁路と直交する断面積の比率が、0.9〜1.4となるようにした。従来のリアクトル部品の環状コアの設計においては、非巻回部の断面積は一定にされていたため、コア形状に制約がありリアクトル製品の設計が柔軟に行えず、必要な磁気特性(インダクタンスなど)が得られないという問題があった。また、所望のリアクトル製品の設計に合わせてコア形状を設計すると、コア形状が大型化し、リアクトル全体の大型化、重量及びコスト増大という問題を招いていた。しかし、本実施形態によれば、背面部11aと外脚部11bの断面積の比率Dを変化させることができる。すなわち、背面部11aの幅Waを外脚部11bの幅Wbより小さくしなければならない状況や、逆に外脚部11bの幅Wbを背面部11aの幅Waより小さくしなければならない状況など、限られたスペースでリアクトル部品10を収めなければならないような製品設計の条件が厳しい場合でも、必要なインダクタンス特性を得つつ、コア形状を小型化することができる。
(3)中脚部11cの磁路と直交する断面積の半分の面積Acに対する背面部11aの磁路と直交する断面積Aaの比率と、中脚部11cの磁路と直交する断面積の半分の面積Acに対する外脚部11bの磁路と直交する断面積Abの比率との平均値Davgが、0.4〜0.7となるようにした。これにより、コア形状を小型化しながらも高電流値の直流重畳特性を向上させ、且つ、リアクトル全体としての小型化、軽量化、及び低コスト化を図ることができる。
(4)コアを圧粉磁心とすることにより、高電流値の直流重畳特性を向上させることができる。
(5)本実施形態のリアクトル部品10は、磁気シールド効果を有するケース20に収容するようにした。すなわち、本実施形態では、中脚部11cの断面積の半分の面積に対して外脚部11b、背面部11aの断面積を小さくするようにしたため、外脚部11b、背面部11aの周囲では漏れ磁束が大きくなる傾向にある。そのため、リアクトル部品10の周囲に電子部品があるような環境下でリアクトル部品10を使用する場合は、ケース20を例えばアルミニウム製のケース20にリアクトル部品10を収容することで磁気シールド効果を得ることができる。また、コア11よりも軽い材質のケース20を使用することにより、軽量化することができる。
(6)リアクトル部品10とケース20との間隙に熱伝導性を有する充填材を充填するようにした。これにより、リアクトル部品10で発生した熱を、ケース20を介して効率良く放熱することができるため、リアクトル全体としてより小型化できる。すなわち、リアクトルの熱は、コア11とコイル12の損失に比例し、損失はリアクトルの体格が大きくなると小さくなる。従って、リアクトルの熱を下げるためには、リアクトルの体格を大きくする必要がある。しかし、本実施形態によれば、体格を大きくしなくても、充填材によりケース20を介して放熱効率を向上させているので、必要な放熱特性を得ることができる。従って、リアクトル全体としてより小型化することができる。放熱効率を向上させる観点から、充填材は脱泡したものを用いると良い。
[他の実施形態]
本発明は、第1の実施形態に限定されるものではなく、下記に示す他の実施形態も包含する。
(1)第1の実施形態のコア11は、一対のE型コアを突き合わせることにより形成したが、これに限定されない。例えば、E型コアとI型コアとで形成しても良い。すなわち、E型コアの3つの脚部をI型コアに接続し、E型コアの中央の脚部を中脚部とし、両脇の脚部を外脚部とし、他の部分及びI型コアを背面部とするようにしても良い。この場合でも中脚部をコイルが巻回された巻回部することで、2つの閉磁路を形成することができる。また、一対の平行なI型コアと、これと直交するように平行に3つ並んだI型コアとによって、2つの閉磁路を形成するようにしても良い。また、4辺を有する四角形状のコアを2つ隣接させてθ形状のコアを形成し、互いの1辺同士が接する箇所を中脚部としてコイルを巻回して2つの閉磁路を形成するようにしても良い。
(2)第1の実施形態では、リアクトル部品10をケース20に収容したが、磁束漏れが大きくなる箇所に限定して磁気遮蔽する部材をコア11の周囲に配置するようにしても良い。これにより、磁気シールド効果を得るための部材が部分的な配置で済むため、より軽量化したリアクトルを得ることができる。また、この部分的な配置とケース20とを併用して磁気シールド効果を得るようにしても良い。
(3)第1の実施形態では特に言及していないが、リアクトル部品10には、サーミスタなどの温度センサを接続可能なコネクタや、コイル端部に接続するバスバーの端子台等の各種部品を含めても良い。また、ケース20にはリアクトルを固定するためのボルト締結穴等を設けても良い。
(4)第1の実施形態では、コア11が圧粉磁心の場合はギャップを設けていないが、コア11を形成する際にギャップを設けるようにしても良い。例えば、一対のE型コアでコア11を形成する場合、各E型コアの3つの脚部同士の間にギャップを設けるようにしても良い。
(5)本発明は、以上の実施形態に限定されるものではない。以上の実施形態は例として提示したものであって、その他の様々な形態で実施されることが可能である。発明の範囲を逸脱しない範囲で、種々の省略や置き換え、変更を行うことができる。これらの実施形態やその変形は、発明の範囲、要旨、その均等の範囲に含まれる。
10 リアクトル部品
11 コア
11a 背面部
11b 外脚部
11c 中脚部
12 コイル
Aa 背面部の磁路と直交する断面積
Ab 外脚部の磁路と直交する断面積
Ac 中脚部の磁路と直交する断面積の半分の面積
Wa 背面部の磁路と直交する断面の幅
Wb 外脚部の磁路と直交する断面の幅
Wc 中脚部の磁路と直交する断面の幅の半分の幅
Ha 背面部の磁路と直交する断面の高さ
Hb 外脚部の磁路と直交する断面の高さ
Hc 中脚部の磁路と直交する断面の高さ
G ギャップ
103a 磁性体のブロック
103b 磁性体のブロック
106 シート材
109 コア
111 コア
111a 背面部
111b 外脚部
111c 中脚部
W3 背面部の磁路と直交する断面の幅
W4 外脚部の磁路と直交する断面の幅
W5 中脚部の磁路と直交する断面の幅の半分の幅

Claims (5)

  1. 巻線と、磁性体のコアと、を備えるリアクトル部品であって、
    前記コアは、中央に配置され前記巻線が巻回される中脚部と、前記中脚部の両側に並行に配置された一対の外脚部と、前記中脚部及び一対の前記外脚部の端部を繋ぐ一対の背面部とを有し、
    前記中脚部の磁路と直交する断面積の半分の面積に対して、前記外脚部の磁路と直交する断面積及び前記背面部の磁路と直交する断面積がそれぞれ小さく、
    前記中脚部の磁路と直交する断面積の半分の面積に対する前記背面部の磁路と直交する断面積の比率と、前記中脚部の磁路と直交する断面積の半分の面積に対する前記外脚部の磁路と直交する断面積の比率との平均値が、0.4〜0.7であること、
    を特徴とするリアクトル部品。
  2. 前記背面部の磁路と直交する断面積に対する前記外脚部の磁路と直交する断面積の比率が、0.9〜1.4であることを特徴とする請求項1に記載のリアクトル部品。
  3. 前記コアは、圧粉磁心であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のリアクトル部品。
  4. 請求項1〜の何れか1項に記載の前記リアクトル部品が、磁気シールド収容体に収容されていることを特徴とするリアクトル。
  5. 前記リアクトル部品と前記磁気シールド収容体との間隙に熱伝導性を有する充填材が充填されていることを特徴とする請求項に記載のリアクトル。
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