JP6487978B2 - 水溶性包装用フィルム - Google Patents

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本発明は、ポリビニルアルコール系フィルムからなる水溶性包装用フィルムに関する。
ポリビニルアルコール系フィルムは、水溶性を有しており、農薬、薬剤、染料、洗剤、肥料、化粧品、生理用品等の各種の薬剤を収容するための包材として広く使用されている。このような包材は、フィルムの水溶性を利用して、水性媒体中へ直接投入して包材を分解または溶解させて溶液を得る用途や、使用時に開封した包材をそのまま水に流して捨てる用途などに用いられている。
従来、包材に使用するポリビニルアルコール系フィルムは、艶消しやブロッキング防止のために、表面に梨地模様をつける梨地処理が施されたり、フィルムに凹凸形状をつけるエンボス加工が施されたりしている。例えば、特許文献1〜3では、ブロッキング防止のために、表面粗さ(Ra)が0.1〜8μmの梨地模様と、100メッシュ以下で深さが50〜300μmの凹凸模様とがフィルム表面に形成されることが開示されている。
ここで、100メッシュ以下で深さが50〜300μmの凹凸模様を付すためには、粗いメッシュでエンボス加工を行う必要があり、特許文献1〜3では、エンボスロールに100メッシュ以下で深さが100〜400μmの凹凸形状が刻印されている。
特開2002−347112号公報 特開2002−361379号公報 特開2002−361378号公報
しかしながら、エンボスロールに特許文献1〜3のように粗いメッシュで凹凸を刻印した場合、ロール耐久性が低くなり、例えば、エンボス加工時にゴミや異物がフィルムに付着したりしていると、エンボスロールの凹凸に欠けが生じたりすることがある。
また、ポリビニルアルコール系フィルムは、一般的に巻き取った状態で保管されるが、例えば夏場の倉庫などで高温下長期間保管されると、ブロッキングが発生しやすい。そのため、凹凸を付したポリビニルアルコール系フィルムには、高温で長期間保管した場合でも優れた耐ブロッキング性を有することが求められている。
本発明は、以上の事情に鑑みてなされたものであり、本発明の課題は、ポリビニルアルコール系の水溶性包装用フィルムの長期高温保管時の耐ブロッキング性を良好にしつつ、そのフィルムをエンボス加工するためのロールの耐久性を優れたものとすることである。
本発明者は、鋭意検討の結果、水溶性フィルムの表面粗さ(Ra)及び最大高さ(Rz)を所定の範囲にすることで、長期高温保管時の耐ブロッキング性を良好にしつつ、ロール耐久性も優れたものとすることができることを見出し、以下の本発明を完成させた。すなわち、本発明は、以下の[1]〜[7]を提供する。
[1]ポリビニルアルコール樹脂を含有する水溶性包装用フィルムであって、
フィルム表面に表面粗さ(Ra)が0.3〜1μmであり、かつ最大高さ(Rz)が3〜9μmである凹凸を有する、水溶性包装用フィルム。
[2]更に可塑剤を含有する上記[1]に記載の水溶性包装用フィルム。
[3]前記可塑剤の含有量が、3〜25質量%である上記[1]又は[2]に記載の水溶性包装用フィルム。
[4]前記ポリビニルアルコール樹脂のケン化度が、80〜99.9モル%である上記[1]〜[3]のいずれか1項に記載の水溶性包装用フィルム。
[5]前記ポリビニルアルコール樹脂が、未変性ポリビニルアルコールを含む上記[1]〜[4]のいずれか1項に記載の水溶性包装用フィルム。
[6]ポリビニルアルコール樹脂を含有するフィルムを、マットエンボスロールとバックアップロールの間を通過させてマットエンボス加工を行い、フィルム表面に凹凸を形成する、水溶性包装用フィルムの製造方法であって、
前記マットエンボスロールは、300〜400メッシュで第1の凹凸を刻印し、かつ、250メッシュ以下のサンドブラストで第2の凹凸を形成したものである水溶性包装用フィルムの製造方法。
[7]前記第1の凹凸は、刻印の深さが150μm未満となるように形成されたものである上記[6]に記載の水溶性包装用フィルム。
本発明では、長期高温保管時の耐ブロッキング性を良好にしたポリビニルアルコール系の水溶性包装用フィルムを提供するとともに、フィルムをエンボス加工するためのロールの耐久性も優れたものとすることができる。
以下、本発明についてより詳細に説明する。
[水溶性包装用フィルム]
本発明の水溶性包装用フィルムは、ポリビニルアルコール(以下、単に「PVA」ともいう)樹脂を含有する水溶性包装用フィルムであり、フィルム表面の表面粗さ(Ra)が0.3〜1μmで、最大高さ(Rz)が3〜9μmである凹凸を有するものである。
本発明では、表面粗さ(Ra)及び最大高さ(Rz)のいずれかを上記下限値未満とすると、長期間高温環境下で保管した場合などに耐ブロッキング性が悪くなる。また、いずれかが上記上限値を超えると、フィルム表面に凹凸を形成するためのエンボスロールの凹凸が必要以上に粗くなり、エンボスロールの耐久性が低下し、エンボスロールの凹凸に欠けや摩耗が生じやすくなる。
ロール耐久性及び耐ブロッキング性の両方をより優れたものとする観点から、表面粗さ(Ra)は好ましくは0.33〜0.9μm、より好ましくは0.34〜0.7μmである。また、最大高さ(Rz)は、好ましくは3.3〜8.3μm、より好ましくは3.4〜7.0μmである。なお、水溶性包装用フィルムは、いずれか一方の面が上記した表面粗さ(Ra)及び最大高さ(Rz)を有していればよい。
フィルム表面の凹凸の形状は、特に限定されないが、例えば、比較的粗大なピラミッド型、台形型、亀甲型、斜線型形状などの凸部を多数並べてなる凹凸と、より微細なランダムな凹凸とを組み合わせたものなどが挙げられる。なお、粗大な凹凸は、後述するエンボスロールの第1の凹凸により形成されるものであり、微細な凹凸は、サンドプラスト法による第2の凹凸により形成されるものである。
(ポリビニルアルコール樹脂)
本発明の水溶性包装用フィルムは、ポリビニルアルコール樹脂(PVA樹脂)を含有する。PVA樹脂は、従来公知の方法に従って、ビニルエステルを重合してポリマーを得た後、ポリマーをケン化、すなわち加水分解することにより得られる。ケン化には、一般に、アルカリ又は酸が用いられるが、アルカリを用いることが好ましい。PVA樹脂としては、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
ビニルエステルとしては、酢酸ビニル、ギ酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、ピバリン酸ビニル、バーサティック酸ビニル、ラウリン酸ビニル、ステアリン酸ビニル及び安息香酸ビニル等が挙げられる。また、ビニルエステルの重合方法は特に限定されないが、例えば、溶液重合法、塊状重合法及び懸濁重合法等が挙げられる。
PVA樹脂は、未変性のPVAであってもよいし、変性PVAであってもよい。未変性PVAとしてはポリビニルエステルをケン化したものが挙げられる。変性PVAは、ビニルエステルと他の不飽和モノマーとの重合体をケン化したものが挙げられる。
他の不飽和モノマーとしては、ビニルエステル以外のモノマーであって、ビニル基などの炭素−炭素二重結合を有するモノマーが挙げられ、例えば、オレフィン類、(メタ)アクリル酸及びその塩、(メタ)アクリル酸エステル類、(メタ)アクリル酸以外の不飽和酸類、その塩及びエステル、(メタ)アクリルアミド類、N−ビニルアミド類、ビニルエーテル類、ニトリル類、ハロゲン化ビニル類、アリル化合物、ビニルシリル化合物、酢酸イソプロペニル、スルホン酸基含有化合物、アミノ基含有化合物等が挙げられる。
オレフィン類としては、エチレン、プロピレン、1−ブテン及びイソブテン等が挙げられる。(メタ)アクリル酸エステル類としては、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−プロピル、(メタ)アクリル酸i−プロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、及び(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル等が挙げられる。
(メタ)アクリル酸以外の不飽和酸類、その塩及びエステルとしては、マレイン酸及びその塩、マレイン酸エステル、イタコン酸及びその塩、イタコン酸エステル、メチレンマロン酸及びその塩、メチレンマロン酸エステルなどが挙げられる。
(メタ)アクリルアミド類としては、アクリルアミド、n−メチルアクリルアミド、N−エチルアクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド等が挙げられる。N−ビニルアミド類としては、N−ビニルピロリドン等が挙げられる。ビニルエーテル類としては、メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、n−プロピルビニルエーテル、i−プロピルビニルエーテル及びn−ブチルビニルエーテル等が挙げられる。
ニトリル類としては、(メタ)アクリロニトリル等が挙げられる。ハロゲン化ビニル類としては、塩化ビニル及び塩化ビニリデン等が挙げられる。アリル化合物としては、酢酸アリル及び塩化アリル等が挙げられる。ビニルシリル化合物としては、ビニルトリメトキシシラン等が挙げられる。
スルホン酸基含有化合物としては、(メタ)アクリルアミドプロパンスルホン酸などの(メタ)アクリルアミドアルカンスルホン酸及びその塩、エチレンスルホン酸、アリルスルホン酸、メタアリルスルホン酸等のオレフィンスルホン酸あるいはその塩などが挙げられる。
アミノ基含有化合物としては、アリルアミン、ポリオキシエチレンアリルアミン、ポリオキシプロピレンアリルアミン、ポリオキシエチレンビニルアミン、ポリオキシプロピレンビニルアミン等が挙げられる。
また、変性PVAとしては、PVAに、グラフト重合等により、カルボキシル基、スルホン酸基、アミノ基、ピロリドン基などを付加したものであってもよい。
変性PVAは、特に、スルホン酸基、ピロリドン環基、アミノ基、及び、カルボキシル基から選択される少なくとも1種の親水性基によって変性されたものが好ましい。すなわち、具体的な好適な変性PVAとしては、スルホン酸基変性PVA、ピロリドン環基変性PVA、アミノ基変性PVA、カルボキシル基変性PVAが挙げられる。なお、これら親水性基は、これら官能基に加えて、これら官能基のナトリウム、カリウム等の塩も含む。また、親水性基としてスルホン酸基、ピロリドン環基がより好ましく、すなわち、変性PVAとしては、スルホン酸基変性PVA、ピロリドン環基変性PVAがより好ましい。
スルホン酸基変性PVAとしては、変性によってスルホン酸基が導入されたものであれば特に限定されないが、スルホン酸基が連結基を介して高分子主鎖と結合されたものであることが好ましい。上記連結基としては、アミド基、アルキレン基、エステル基、エーテル基等が挙げられる。なかでも、アミド基とアルキレン基の組み合わせが好ましい。連結基をこのようにアミド基とアルキレン基の組み合わせとするためには、不飽和モノマーとして、上記した(メタ)アクリルアミドアルカンスルホン酸又はその塩を使用すればよい。
また、上記スルホン酸基は、スルホン酸塩からなるものであることが好ましく、特にスルホン酸ナトリウム基であることが好ましい。上記変性PVAが、スルホン酸ナトリウム変性PVAである場合、スルホン酸ナトリウム変性PVAとしては、下記式(1)で表される構成単位を有することが好ましい。

(式(1)において、R1は炭素数1〜4のアルキレン基を表す。)
ピロリドン環基変性PVAは、変性によってピロリドン環が導入されたものであれば特に限定されないが、下記式(2)で表される構成単位を有することが好ましい。このような構成単位を有するピロリドン環基変性PVAを得るためには、例えば、他の不飽和モノマーとしてN−ビニルピロリドンを使用すればよい。
また、アミノ基変性PVAとしては、変性によってアミノ基が導入されたものであれば特に限定されないが、下記式(3)で表される構成単位を有することが好ましい。

(上記式(3)中、R2は単結合又は炭素数1〜10のアルキレン基を表す。)
また、カルボキシル基変性PVAとしては、変性によってカルボキシル基が導入されたものであれば特に限定されないが、下記式(4−1)、(4−2)又は(4−3)で表される構成単位を有することが好ましい。

(上記式(4−1)、(4−2)及び(4−3)中、X、X、X、X及びXは、それぞれ独立に、水素原子、金属原子又はメチル基を表す。すなわち、本明細書におけるカルボキシル基には、カルボキシル基の塩及びメチルエステルも含まれる。金属原子として、例えば、ナトリウム原子等が挙げられる。上記式(4−2)中、Rは炭素数1〜10のアルキレン基を表す。)
スルホン酸基、ピロリドン環基、アミノ基、及び、カルボキシル基から選択される少なくとも1種の親水性基によって変性された変性PVAは、親水性基変性量が、例えば0.1〜20モル%である。
より具体的には、スルホン酸基変性PVAのスルホン酸基変性量は、耐薬品性及び水溶性を向上させる観点から、好ましくは0.1〜6モル%、より好ましくは1〜5モル%である。また、同様の観点から、ピロリドン環基変性PVAのピロリドン環基変性量は、好ましくは0.1〜20モル%、より好ましくは0.5〜10モル%、さらに好ましくは1〜5モル%である。
なお、親水基変性量、スルホン酸基変性量又はピロリドン環基変性量は、それぞれ、変性PVAの構成単位の全モル数に対する、親水基、スルホン酸基又はピロリドン環基それぞれのモル数の比率を意味する。
PVA樹脂のケン化度は、好ましくは80〜99.9モル%である。ケン化度をこのような範囲とすると、水溶性包装用フィルムに必要とされる水溶性を確保しやすくなる。
また、PVA樹脂のケン化度の好適な範囲は、変性の有無、変性基の種類によっても異なる。例えば未変性PVAは、上記したように80〜99.9モル%が好ましいが、水溶性をより向上させる観点からは、80〜95モル%がより好ましく、85〜92モル%がさらに好ましい。
一方で、例えば、ピロリドン環基変性PVA、スルホン酸基変性PVAなどの変性PVAのケン化度は、上記したように80〜99.9モル%が好ましいが、耐薬品性及び水溶性をバランスよく向上させる観点からは、85〜99モル%がより好ましく、90〜98モル%がさらに好ましい。
上記ケン化度は、JIS K6726に準拠して測定される。ケン化度は、ケン化によるビニルアルコール単位に変換される単位のうち、実際にビニルアルコール単位にケン化されている単位の割合を示す。
なお、ケン化度の調整方法は特に限定されない。ケン化度は、ケン化条件、すなわち加水分解条件により適宜調整可能である。
PVAの重合度は特に限定されないが、好ましくは400以上、より好ましくは700以上、さらに好ましくは900以上である。また、好ましくは2000以下、より好ましくは1800以下、更に好ましくは1500以下である。上記重合度を上記下限値以上及び上限値以下とすると、水溶性包装用フィルムを製膜する際にPVA水溶液の粘度を適度なものとすることができるとともに、PVA樹脂の水溶性を良好にしやすくなる。また、水溶性包装用フィルムの強度も良好なものにしやすくなる。なお、上記重合度は、JIS K6726に準拠して測定される。
PVAは、4質量%水溶液として、20℃で測定した粘度が、好ましくは3mPa・s以上、より好ましくは8mPa・s以上である。また、該粘度は、好ましくは30mPa・s以下、より好ましくは20mPa・s以下である。なお、このような粘度はJIS K 6726に準じて測定することができる。
本発明のPVA樹脂は、未変性PVAを含むことが好ましい。本発明では、未変性PVAを使用することで、耐ブロッキング性をより優れたものにすることが可能である。また、未変性PVAを使用する場合、PVAとしては未変性PVA単独で使用してもよいが、未変性PVAと変性PVAとを併用してもよい。
耐ブロック性を良好にする観点から、PVA樹脂における未変性PVAの含有量は、PVA樹脂全量に対して50〜100質量%が好ましく、70〜100質量%がより好ましく、90〜100質量%がさらに好ましく、PVA樹脂として未変性PVAを単独で使用することが特に好ましい。
また、水溶性包装用フィルムは、主にPVA樹脂により構成されるものである。PVA樹脂の含有量は、具体的には、水溶性包装用フィルム全量基準で、好ましくは70質量%以上、より好ましくは75質量%以上、さらに好ましくは80質量%以上である。また、PVA樹脂の含有量は、好ましくは97質量%以下、より好ましく95質量%以下、さらに好ましくは93質量%以下である。PVA樹脂の含有量を上記下限以上とすると、水溶性包装用フィルムが良好な水溶性を有しやすくなる。また、上記上限値以下とすると、可塑剤などの添加剤を、水溶性包装用フィルムに適度に配合させることが可能になる。
(可塑剤)
本発明の水溶性包装用フィルムは、さらに可塑剤を含有することが好ましい。可塑剤を含有することで、水溶性包装用フィルムは、例えば、ガラス転移点が下がり、低温での耐久性を向上させることができる。また、水溶性包装用フィルムの水溶性を向上させることもできる。
可塑剤としては、特に制限はなく、例えば、グリセリン、ジグリセリン、ジエチレングリコール、トリメチロールプロパン、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、プロピレングリコール等の多価アルコール類、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等のポリエーテル類、ビスフェノールA、ビスフェノールS等のフェノール誘導体、N−メチルピロリドン等のアミド化合物、グリセリン、ペンタエリスリトール、ソルビトール等の多価アルコールにエチレンオキサイドを付加した化合物や水等を挙げることができる。これらは単独で使用してもよく、2種以上を用いてもよいが、2種以上を用いることが好ましい。
上記可塑剤のなかでは、水溶性を向上させることができることから、グリセリン、トリメチロールプロパン、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、プロピレングリコールが好ましく、特に水溶性向上の効果が大きいことからグリセリン、トリメチロールプロパンが特に好ましい。
可塑剤の分子量は、好ましくは90以上、より好ましくは92以上、好ましくは1200以下、より好ましくは1000以下である。
可塑剤の含有量は、水溶性包装用フィルム全量基準で、好ましくは3〜25質量%である。可塑剤の含有量を3質量%以上とすることで、可塑剤の配合した効果を得やすくなる。また、25質量%以下とすることで、可塑剤のブリードアウトが小さくなり、耐ブロッキング性が良好となる。可塑剤の含有量は、より好ましくは5質量%以上、さらに好ましくは7質量%以上である。また、より好ましくは22質量%以下、さらに好ましくは17質量%以下である。
(無機物粒子)
本発明の水溶性包装用フィルムは、無機物粒子を含有しなくてもよいが、含有していてもよい。無機物粒子は、特に限定されないが、例えば、シリカ、クレー、カオリン、水酸化アルミニウム、炭酸カルシウム、二酸化チタン、硫酸バリウム、サチンホワイト、タルク、酸化アルミニウム、ジルコニアなどが挙げられる。これらの中では、シリカが好ましい。水溶性包装用フィルムは、無機物粒子を含有することで、耐ブロッキング性をさらに向上させることも可能になる。
無機物粒子としては平均粒径が1〜10μmで、吸油量が230〜400ml/100gのものを使用することが好ましい。このような無機物粒子を使用することで無機物粒子により耐ブロッキング性を向上させやすくなる。特に、吸油量が230ml/100g以上のものを使用すると、長期高温保管時に無機物粒子が沈降することを防止し、長期高温保管時の耐ブロッキング性が良好となりやすい。
また、無機物粒子の平均粒子径が10μm以下となることで、無機物粒子によってエンボスロールに傷が付いたり、欠けが生じたりすることが防止され、ロール耐久性が良好となる。さらに、平均粒子径を10μm以下とすることで、フィルム製膜時などに使用するフィルターの目を密にしても目詰まりが生じにくくなる。そのため、PVA水溶液中の細かい異物をフィルターにより捕捉できるため、水溶性包装用フィルムに異物が混入しにくくなる。
長期高温保管時の耐ブロッキング性を優れたものとする観点から、吸油量は、240ml/100g以上がより好ましく、250ml/100g以上がさらに好ましい。また、無機物粒子の吸油量は、380ml/100g以下がより好ましく、350ml/100g以下がさらに好ましい。
また、無機物粒子の平均粒子径は2μm以上がより好ましく、3μm以上がさらに好ましく、9μm以下がより好ましく、8μm以下がさらに好ましい。
なお、本明細書において、無機物粒子の平均粒子径は、レーザ回折式粒度分布測定装置により測定したものである。
また、吸油量は、JIS K5101−13−1“顔料試験方法 第13部 吸油量”に準拠する方法により測定したものである。
水溶性包装用フィルムにおける無機物粒子の含有量は、水溶性包装用フィルム全量基準で、好ましくは6質量%以下である。6質量%以下とすることで、無機物粒子の沈降等を生じさせることなく、配合量に見合った効果を奏することが可能になる。無機物粒子の含有量は、5質量%以下がより好ましく、4質量%以下がさらに好ましい。
また、無機物粒子の含有量は、0.3質量%以上であることが好ましい。0.3質量%以上とすると、無機物粒子によって効果的に耐ブロッキング性を向上させることが可能になる。無機物粒子の含有量は、耐ブロッキング性をより良好にするために、0.4質量%以上がより好ましく、0.5質量%以上がさらに好ましい。
(その他の添加剤)
本発明の水溶性包装用フィルムは、さらに必要に応じて、着色剤、香料、消泡剤、剥離剤、紫外線吸収剤等、PVAフィルムに通常使用される添加剤を適宜含有してもよい。
本発明の水溶性包装用フィルムの厚さは、特に限定されないが、例えば、5〜150μmである。厚さを上記下限以上とすると、フィルムの強度を高くすることが可能になる。また、上記上限以下とすると、包装用フィルムとしてのパッケージング性やヒートシール性が良好となり、生産性が向上する。これら観点から、水溶性包装用フィルムの厚さは、好ましくは10μm、より好ましくは15μm以上である。また、好ましくは100μm以下、より好ましくは80μm以下である。
本発明の水溶性包装用フィルムは、各種物質を包装するために使用され、例えば、農薬、工業薬品、染料、洗剤、肥料、化粧品、生理用品、医薬品等の各種の薬剤を内包するための薬剤包装用フィルムに好適に使用される。
[水溶性包装用フィルムの製造方法]
本発明の水溶性包装用フィルムの製造方法としては、まず、PVA樹脂を含有するPVAフィルムを形成し、そのPVAフィルムにマットエンボス加工を行い、PVAフィルム表面に凹凸を形成する方法が挙げられる。
(PVAフィルムの形成)
PVAフィルムの形成方法は、特に限定されないが、例えば、PVA、及び必要に応じて添加される可塑剤などの添加剤を水で希釈して得たPVA水溶液を、支持部材に流延し、乾燥して製膜する方法等が挙げられる。また、PVA水溶液は、適宜フィルターを通した後、流延してもよい。
支持部材にPVA水溶液を流延する方法は、キャスト法、ロールコーティング法、リップコーティング法、スピンコーティング法、スクリーンコーティング法、ファウンテンコーティング法、ディッピング法、スプレー法などが挙げられる。
PVA水溶液は、水以外の成分が、水溶液全量基準で好ましくは35質量%以下、より好ましくは25質量%以下、更に好ましくは20質量%以下の濃度で水によって希釈される。また、水以外の成分は、好ましくは8質量%以上、より好ましくは10質量%以上、さらに好ましくは12質量%以上の濃度で水によって希釈されるとよい。
濃度を上記範囲内とすると、PVA水溶液の粘度が適度なものとなり、PVA水溶液の流延が容易になる。また、濃度を下限値以上とすることで乾燥時間が短くなり、良好な品質の水溶性包装用フィルムを得やすくなる。
上記支持部材は、PVA水溶液の流延時に、PVA水溶液を表面上に維持し、かつ得られるPVAフィルムを支持できるものであればよい。上記支持部材の材料としては、例えば、ポリオレフィン、ポリエステル及びアクリル樹脂等が挙げられるが、これら以外の材料よりなる支持部材を用いてもよい。また、支持部材は、シートないしフィルム状のものであってもよいが、その他の形状のものでもよい。なお、支持部材上に形成されたPVAフィルムは、後述するマットエンボス加工を行うまでに支持部材から剥離される。
上記PVA水溶液を流延した後の乾燥は、いかなる方法で行ってもよいが、例えば、自然乾燥する方法、PVA樹脂のガラス転移温度以下の温度で加熱乾燥する方法等が挙げられる。
(マットエンボス加工)
本製造方法におけるマットエンボス加工は、マットエンボスロールとバックアップロールの間を、PVAフィルムを通過させることで行う。マットエンボスロールとしては、300〜400メッシュで第1の凹凸を刻印し、かつ、250メッシュ以下のサンドブラストで第2の凹凸を形成したものを使用する。
本製造方法では、第1の凹凸を形成するための刻印を300メッシュ未満で行うと、エンボスロールの凹凸が粗くなることで、ロール耐久性が低下してロールに欠けなどが生じやすくなる。また、上記した水溶性包装用フィルムの最大高さ(Rz)、及び表面粗さ(Ra)が大きくなりすぎることがある。一方で、400メッシュより大きいと、水溶性包装用フィルムの最大高さ(Rz)及び表面粗さ(Ra)が上記した下限値未満になりやすくなる。
また、サンドブラストを行うときのメッシュを250より大きくすると、水溶性包装用フィルムの表面粗さ(Ra)、又は最大高さ(Rz)が小さくなり上記した範囲内に調整しにくくなる。さらに、本製造方法では、2種類の凹凸、すなわち、第1及び第2の凹凸をエンボスロールに形成することで、ロールに欠け、摩耗などが生じにくくなり、ロール耐久性が良好となる。
さらに、上記したマットエンボス加工により、フィルム表面に凹凸を形成すると、高温環境下で長時間保管しても、フィルム表面の凹凸の形状を維持しやすくなる。
水溶性包装用フィルムの表面粗さ(Ra)及び最大高さ(Rz)を所望の範囲内に調整し、かつロール耐久性を優れたものとする観点から、第1の凹凸を形成するための刻印は、350メッシュ以上で行うことが好ましい。また、第1の凹凸を形成するための刻印は、水溶性包装用フィルムの最大高さ(Rz)、及び表面粗さ(Ra)を所望の範囲に調整しやすくする観点から、390メッシュ以下で行うことが好ましい。
さらに、サンドブラストを行うときのメッシュは、水溶性包装用フィルムの最大高さ(Rz)、及び表面粗さ(Ra)を所望の範囲に調整しやすくする観点から、200メッシュ以下が好ましく、100メッシュ以下がより好ましい。また、サンドブラストを行うときのメッシュは、20メッシュ以上が好ましく、40メッシュ以上がより好ましい。
本製造方法において、第1の凹凸を形成するための刻印の深さは、150μm未満であることが好ましい。150μm未満とすることで、ロール耐久性が向上して、ロール欠けなどが生じにくくなる。また、水溶性包装用フィルムの最大高さ(Rz)、及び表面粗さ(Ra)を上記した上限値以下に調整しやすくなる。これら観点から、刻印の深さは、120μm以下がより好ましく、80μm以下がさらに好ましい。
また、刻印の深さは、10μm以上が好ましく、20μm以上がより好ましく、50μm以上がさらに好ましい。刻印の深さをこれら下限値以上とすることで、水溶性包装用フィルムの最大高さ(Rz)、及び表面粗さ(Ra)を上記下限値以上に調整しやすくなる。
第1の凹凸を形成するための刻印は、特に限定されず、ミール彫刻法、写真彫刻、機械彫刻などの公知の方法で圧刻などにより行えばよいが、これらの中ではミール彫刻法が好ましい。また、刻印の形状は、特に限定されないが、ビラミット形状、断面台形、亀甲型、斜線型などの凹部を多数並べたものなどが挙げられる。
また、第2の凹凸を形成するためのサンドプラスト法は、例えば、砂や研磨材をロールに吹きつけることにより行うとよい。
第1及び第2の凹凸の形成は、通常、ロール表面に対して均一に行うとよい。マットエンボスロールには、第2の凹凸を形成した後に第1の凹凸を形成してもよいが、第1の凹凸を形成した後に、第2の凹凸を形成することが好ましい。第2の凹凸を第1の凹凸の後に形成することでロール耐久性がより向上し、均一な凹凸柄を形成することができる。
マットエンボスロールは、表面にクロムメッキ、ニッケルクロムメッキ処理などにより、メッキ層を形成してもよい。メッキ層を形成することで、ロール耐久性がより向上する。メッキ層の厚さは、特に限定されないが、例えば、1〜1000μm、好ましくは3〜250μm、より好ましくは5〜30μmである。
メッキ層の形成は、例えば、第1の凹凸を形成するための刻印を行った後に行うとよい。また、第1の凹凸形成後で、かつ第2の凹凸形成前に行うことが好ましく、このようなタイミングでメッキ層を形成すると、第2の凹凸はメッキ層上に形成されることになる。
マットエンボス加工において使用するバックアップロールは、一般的なマットエンボス加工に使用するロールであればよく、例えば、ロール表面がゴムであるゴムロールを使用するとよい。ゴムロールのロール表面の硬度は、特に限定されないが、例えば硬度Aで60〜95°、好ましくは70〜95°である。なお、硬度Aは、JIS K 6253−3に規定されるデュロメータ硬さである。
マットエンボス加工時、マットエンボスは、例えば50〜150℃、好ましくは80〜120℃で加熱すればよい。一方で、バックアップロールは、加熱されてもよいが、加熱されずに、常温(23℃)前後にされていてもよい。具体的には、バックアップロールの温度は、例えば5〜50℃程度とすればよい。また、マットエンボスは、押圧力(線圧)が、例えば、40〜250kg/cm、好ましくは50〜200kg/cmとなるようにバックアップロールに押圧させるとよい。
さらに、PVAフィルムは、例えば、1〜50m/分の速度で、好ましくは5〜20m/分の速度でマットエンボスとバックアップロールの間を通過させるとよい。
マットエンボス加工は、インライン、オフラインのいずれで行なってもよい。インラインの場合、PVA溶液からPVAフィルムを製膜した後、巻き取ることなく、その製造ライン上で、マットエンボス加工を行うことになる。
一方、オフラインの場合、PVA溶液からPVAフィルムを製膜して、一旦巻き取ってロール状とした後、再度繰り出してマットエンボス加工を行う。オフラインにおいて、ロール状に巻き取られたPVAフィルムは、上記した支持部材が重ねられたまま巻き取られてもよいが、そのような場合でも、繰り出し後マットエンボス加工を行う前に、PVAフィルムを支持部材から剥離するとよい。
フィルムは、インライン、オフラインいずれの場合でも、マットエンボス加工を行った後、例えば、ロール状に巻き取られ、ロール状のまま倉庫等に保管される。
本製造方法では、PVAフィルムに対して延伸を行ってもよい。延伸は、マットエンボス加工を行う前に行ってもよいし、マットエンボス加工後に行ってもよい。マットエンボス加工前に行う場合には、流延後の乾燥中に行ってもよいし、乾燥後に行ってもよい。延伸は、例えば、ロールを用いた延伸、テンターを用いた延伸、巻取装置を用いた延伸、乾燥収縮を利用した延伸、又は、これらを組み合わせた延伸等の方法が挙げられる。延伸は、例えば延伸倍率1.05〜3倍程度で行うとよい。また、アニール処理など、フィルムに対して行う公知の処理を適宜行ってもよい。
以下、本発明を実施例により更に詳細に説明するが、本発明はこれらの例によってなんら限定されるものではない。
水溶性包装用フィルムの評価方法は以下のとおりである。
[表面粗さ、最大高さ]
得られた水溶性包装用フィルムを、23℃、50%RHの環境下、4時間放置した後、フィルムのTD方向に向かって、測定速度0.060mm/秒、測定長さ4mm、測定レンジ±64μmとし、JIS B0601−2001に基づき表面粗さ(Ra)、最大高さ(Rz)を3回測定して、その平均値をそれぞれ表面粗さ(Ra)、最大高さ(Rz)とした。
[表面状態の経時変化]
得られた水溶性包装用フィルムをアルミ袋に入れて、50℃、2週間放置した。その後、フィルムをアルミ袋から取り出し、フィルムのTD方向に向かって、上記と同様に表面粗さ(Ra)、最大高さ(Rz)を3回測定して、その平均値をそれぞれ経時後の表面粗さ(Ra)、最大高さ(Rz)とした。また、経時前の表面粗さ、最大高さ(Rz)に対する経時後の表面粗さ(Ra)、最大高さ(Rz)の値を、Ra比、Rz比として算出した。
[耐ブロッキング性]
得られた水溶性包装用フィルムをA4サイズにし、2kgfローラーで2枚貼り合せてアルミ袋に入れて真空密閉した。得られたアルミ袋を厚さ2mm(Aサイズ)のアルミ板間に挟み、250kgf/m2になるように錘を均等に置き、50℃で68時間放置した。その後、さらに23℃、50%RHで3時間放置した後、2枚の水溶性包装用フィルムを貼り合わせたものを、15cm×20cmのサイズにカットして、温度23℃、50%RH、剥離速度100mm/分の条件で、水溶性包装用フィルムの180度剥離力を測定し、以下のように耐ブロッキング性を評価した。
A:0.3N/15mm以下
B:0.3N/15mm を超える
[速溶解性]
得られた水溶性包装用フィルムを、温度23℃、50%RHの環境下に24時間暴露した。その後、水溶性包装用フィルムを35mm×40mmのサイズにカットして治具に固定した。そして、500mlビーカーに水500mlを入れて、スターラーにより400mlの印に渦巻の下が到達するように撹拌しながら、水温を20℃に保ちつつ、治具に固定したフィルムを水中に浸漬した。治具からフィルムが貫通して破れた時間(破れ時間)とフィルムの残査が視認できなくなった時間(溶解時間)を測定し、以下の基準により評価した。
<破れ時間>
1:11秒未満
2:11秒以上16秒未満
3:16秒以上
<溶解時間>
1:30秒未満
2:30秒以上40秒未満
3:40秒以上
[ロール耐久性]
各実施例、比較例の条件にて、マットエンボスロールとバックアップロールの間にPVAフィルムを通過させるマットエンボス加工を合計100時間実施し、マットエンボスロールの耐久性を以下の基準により評価した。
A:マットエンボスロール表面に異常がなし
B:マットエンボスロール表面に欠けや傷が目視で見られる
各実施例、比較例で使用した成分は以下のとおりである。
PVA(1):未変性PVA、重合度1300、ケン化度88.0モル%、4質量%水溶液粘度(20℃)14mPa・s
PVA(2):スルホン酸基変性PVA、重合度1200、ケン化度95.4モル%、スルホン酸基変性量4モル%、4質量%水溶液粘度(20℃)12.1mPa・s
GL:グリセリン、試薬、和光純薬株式会社製、分子量92
TMP:トリメチロールプロパン:試薬、和光純薬株式会社製、分子量134
無機物粒子:シリカ、サイリシア358(商品名.富士シリシア化学株式会社製)、平均粒径3.9μm、吸油量320ml/100g
(実施例1)
[マットエンボスロールの作製]
ロール表面の材質が鉄からなるロール上に、表1に示すように、ミール彫刻法でメッシュ#380により、深さ60μmになるように斜線形状の圧刻を施し、第1の凹凸を形成した。その後、約5μmのクロムメッキ層を形成した。次いで、クロムメッキ層の表面にサンドブラスト法で#60メッシュにより第2の凹凸を形成し、マットエンボスロールを得た。
[PVAフィルムの作製]
表1に示すように、水溶性包装用フィルム基準で、PVA樹脂が84.5質量%、可塑剤としてのグリセリンが13質量%、トリメチロールプロパンが2.5質量%となるように、これらを水に溶解、分散させて濃度15質量%のPVA水溶液を調整した。
得られたPVA水溶液を、目開き20μmのフィルターを通過させた後、支持部材であるポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(厚さ50μm)上にリップコーター法により塗布した。その後、70℃で10分間、次いで、110℃で10分間乾燥して、支持部材上にPVAフィルム(厚さ50μm)を製膜した。支持部材とPVAフィルムからなる積層体は、内径3インチの紙芯に巻き取った。
[マットエンボス加工]
巻き取った積層体を繰り出し、支持部材を剥離した後、PVAフィルムに対して、マットエンボスロールとバックアップロール(由利ロール株式会社製のゴムロール(表面に合成ゴムが被覆、硬度A90°))を用いてマットエンボス加工を実施し、厚さ50μmの水溶性包装用フィルムを得た。マットエンボス加工は、PVAフィルムを、100℃に加熱されたマットエンボスロールと常温のバックアップロールとの間を押圧力100kg/cmで押圧させつつ、10m/分の速度で通過させることで行った。得られた水溶性包装用フィルムの評価結果を表2に示す。
(実施例2)
PVA水溶液の配合を表1に示すとおりに変更した点を除いて実施例1と同様に実施した。
(実施例3)
マットエンボスロールの作製において、ミール彫刻法でメッシュ#300により、深さ120μmになるように斜線形状の圧刻を施して第1の凹凸を形成するとともに、クロムメッキ層の表面にサンドブラスト法で#80メッシュにより第2の凹凸を形成した点を除いて、実施例1と同様に実施した。
(実施例4)
マットエンボスロールの作製において、ミール彫刻法でメッシュ#300により、深さ120μmになるように斜線形状の圧刻を施して第1の凹凸を形成するとともに、クロムメッキ層の表面にサンドブラスト法で#200メッシュにより第2の凹凸を形成した点を除いて、実施例1と同様に実施した。
(実施例5)
PVA水溶液の配合を表1に示すとおりに変更した点を除いて実施例1と同様に実施した。
(比較例1)
PVA水溶液の配合を表1に示すとおりに変更するとともに、マットエンボス加工を実施しなかった点を除いて実施例1と同様に実施した。
(比較例2)
マットエンボスロールの作製において、ミール彫刻法でメッシュ#600により、深さ40μmになるように斜線形状の圧刻を施して第1の凹凸を形成するとともに、クロムメッキ層の表面にサンドブラスト法で#60メッシュにより第2の凹凸を形成した点を除いて、実施例1と同様に実施した。
(比較例3)
マットエンボスロールの作製において、ミール彫刻法でメッシュ#380により、深さ60μmになるように斜線形状の圧刻を施して第1の凹凸を形成するとともに、クロムメッキ層の表面にサンドブラスト法で#280メッシュにより第2の凹凸を形成した点を除いて、実施例1と同様に実施した。
(比較例4)
マットエンボスロールの作製を以下の方法で実施して、第2の凹凸が形成されないマットエンボスロールを使用した点を除いて実施例1と同様に実施した。
[マットエンボスロールの作製]
ロール表面の材質が鉄からなるロール上に、表1に示すように、ミール彫刻法でメッシュ#200により、深さ190μmになるように斜線形状の圧刻を施し、第1の凹凸を形成し、その後、約5μmのクロムメッキ層を形成して、マットエンボスロールを得た。

※表1における質量%は、水溶性包装用フィルム基準の質量%を示す。
実施例1〜5では、300〜400メッシュで第1の凹凸を刻印し、かつ、250メッシュ以下のサンドブラストで第2の凹凸を形成したエンボスロールを用いて、PVAフィルムにエンボス加工を行うと、フィルム表面に表面粗さ(Ra)が0.3〜1μm、最大高さ(Rz)が3〜9μmの凹凸が形成された。そして、耐ブロッキング性、速溶解性、及び、ロール耐久性の全てを良好にすることができた。さらに、実施例1〜5では、Ra比、Rz比が1に近く、高温環境下で長時間放置しても、フィルム表面の凹凸の形状を維持できた。
それに対して、比較例1〜4では、エンボス加工を行わず、また、エンボス加工をした場合でも、エンボス加工をしたときのエンボスロールに所定の第1及び第2の凹凸が形成されていなかった。そのため、フィルム表面に表面粗さ(Ra)が0.3〜1μm、最大高さ(Rz)が3〜9μmの凹凸が形成されず、長期高温保管時の耐ブロッキング性、又は、ロール耐久性のいずれかが良好にならなかった。

Claims (2)

  1. ポリビニルアルコール樹脂を含有するフィルムを、マットエンボスロールとバックアップロールの間を通過させてマットエンボス加工を行い、フィルム表面に凹凸を形成する、水溶性包装用フィルムの製造方法であって、
    前記マットエンボスロールは、300〜400メッシュで第1の凹凸を刻印し、かつ、250メッシュ以下のサンドブラストで第2の凹凸を形成したものである水溶性包装用フィルムの製造方法。
  2. 前記第1の凹凸は、刻印の深さが150μm未満となるように形成されたものである請求項に記載の水溶性包装用フィルムの製造方法
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