JP6487200B2 - 生体内留置部材用一次形状体、その製造方法、及びマンドレル - Google Patents

生体内留置部材用一次形状体、その製造方法、及びマンドレル Download PDF

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Description

本発明は、生体内留置部材に用いる一次形状体及びその製造方法並びにこの一次形状体により構成された生体内留置部材に関するものである。
近年、生体の血管に生じた動脈瘤等の治療では、金属で形成されたコイル(以下、「金属コイル」と称する。)を動脈瘤に埋めることで、その動脈瘤を血栓化させて破裂を防止する手技が採用されることが多い。このような金属コイルとしては、白金等のワイヤー等の素線をコイル状に巻き回して直線状に延びるように形付けした一次コイルを、さらに、らせん形状に或いは他の三次元で複雑な形状に形付けした二次コイルが用いられる。そして、金属コイルは、例えば押出用プッシャ部材の遠位端部において、押出用プッシャ部材に、押出用プッシャ部材と金属コイル(一次コイル)とを脱離可能に連結する離脱要素部を介して押出用プッシャ部材に連結され、一次コイルのように延ばした状態で、搬送用のカテーテルの内腔に挿入されて目的部位に搬送される。その後、搬送用のカテーテルから排出されると、元の二次コイルの状態に復元する(例えば図13参照)。このようにして、金属コイルは、生体の動脈瘤等に留置されるため、生体内留置部材とも称される。
生体内留置部材を構成する一次コイルの内腔には、一次コイルが不必要に伸びることを抑制するための伸長防止線を配置するのが一般的である。この場合、伸長防止線は、一次コイルの遠位端付近、及び、一次コイルの近位端付近、押出用プッシャ部材又は押出用プッシャ部材とコイルの間に配置された離脱要素部に固定されることが多い。
このような伸長防止線が固定された一次コイルの作製方法としては、例えば、特許文献1には、コイル状に巻き回された素線の内腔に伸長防止線が配置され、その両端で両者が固定された直線状の一次コイル(生体内留置部材でもある。)の作製方法が開示されている。特許文献1には、生体内留置部材(一次コイル)は、素線をコイル状に巻き回した後に、その内腔に伸長防止線を挿入する工程を経ることで作製されることが記載されている。
また、特許文献2には、伸長防止線の一方の端部が一次コイルの先端に固定され、もう一方の端部が押出用プッシャ部材に取り外し可能に取り付けられた一次コイルを用いた生体内留置部材の例が開示されている。この例でも、生体内留置部材は、素線をコイル状に巻き回した後に、その内腔に伸長防止部材を挿入する工程を経て得られた一次コイルを用いることで作製される。
このように特許文献1および2に記載の製造方法では、非常に細長いコイル状に巻き回された素線の内腔に、伸長防止線を挿入する工程が必要になる。このような工程では、作業者が挿入する際に伸長防止線が破損しやすいという問題がある。また、このような作業を行うには、高度の熟練度を要し、作業者が限定されるうえ、熟練者でも慎重な作業になり相応の作業時間を要する。
ところで、特許文献3には、伸長防止線を一次コイルの近位端部に固定するための近位側取付コイルとしてではあるが、一連状の素線の一部がコイルを形成し、その素線の他の一部がコイルの内腔に配置された構造の部材は記載されているが(特許文献3の図8〜9、符号346参照。)、この部材が生体内留置部材の全長を構成することは全く記載されていない。
特開平9−108229号公報 特表2007−507293号公報 特開2008−525113号公報
上記問題点に鑑みて、本発明の目的は、伸長防止線を内腔に挿入する工程を行うことなく、簡便に、伸長防止線が内腔に配置された生体内留置部材用一次形状体及びその製造方法を提供することにある。
本発明の発明者が鋭意検討を行ったところ、一連状の素線を用いて、この素線の一部により内腔を形成するとともに、他の一部をその内腔に配置して生体内留置部材用の一次形状体を形成することで、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
本発明は、両端を有する一連状の素線に、一方端と他方端を有する一次形状が付与された生体内留置部材用一次形状体にあって、上記一次形状体は、内腔を有する形状で、生体内留置部材の全長を構成するものであり、上記素線の一部が、上記一次形状体の全長における上記一方端の側から上記他方端の側に向かって上記内腔に配置されており、上記素線の両端は、上記一次形状体の上記他方端の側に位置する生体内留置部材用一次形状体に関する。
本発明の生体内留置部材用一次形状体では、上記一次形状体は、上記素線により上記内腔を形成する本体部と、上記本体部から連続して伸びて上記内腔に配置されている上記素線の一部である内線部とを有し、上記一次形状体の全長における上記他方端の側又は上記一方端の側及び他方端の側で、上記内線部が、上記本体部に固定されていてもよい。
本発明の生体内留置部材用一次形状体では、上記本体部と上記内線部との境界部分は、上記一次形状体の全長における上記一方端の側の端部の少なくとも一部を形成してもよい。
本発明の生体内留置部材用一次形状体では、上記内線部は、撓んだ状態で上記内腔に配置されていてもよい。
本発明の生体内留置部材用一次形状体では、上記境界部分は、環状の形状を有していてもよい。さらに、上記環状の形状の内側にアンカーが取り付けられていてもよい。加えて、上記アンカーは、上記素線よりも摩擦抵抗の高い材料で形成されていてもよい。上記材料は吸水性ポリマーであるのが好ましい。
本発明の生体内留置部材用一次形状体では、上記一方端の側の端部が溶融されることによって形成される半球状の形状を有していてもよい。
本発明の生体内留置部材用一次形状体では、上記一方端に先端チップが突設しており、上記先端チップは、上記内腔に嵌入される基部と、上記一方端から突出する半球状のチップ部とを有していてもよい。
また、本発明は、上記のような生体内留置部材用一次形状体に、二次形状を付与することで形成される生体内留置部材に関する。
さらに、本発明は、両端を有する一連状の素線に、一方端と他方端を有する一次形状が付与された生体内留置部材用一次形状体の製造方法にあって、マンドレルの軸方向に、素線の一部を沿わせる工程と、上記のマンドレルの軸方向に沿わされた素線の一部の外側から素線の残部の少なくとも一部を上記マンドレルの周方向に巻き回し、素線の両端となる部分を一次形状体の他方端となる側に位置させる工程と、を含む生体内留置部材用一次形状体の製造方法に関する。
本発明に係る生体内留置部材用一次形状体の製造方法では、上記生体内留置部材用一次形状体の全長における上記他方端となる側又は一方端及び他方端となる側で、上記のマンドレルの軸方向に沿わされた素線の一部を、上記マンドレルの周方向に巻き回した素線の残部の少なくとも一部に固定する工程をさらに含んでもよい。
本発明に係る生体内留置部材用一次形状体の製造方法に使用する上記マンドレルは、その軸方向に沿った溝部を有していてもよい。
本発明に係る生体内留置部材用一次形状体の製造方法に使用する上記マンドレルは、その側面に上記素線を引っかける突部を有していてもよい。
本発明によれば、伸長防止線を内腔に挿入する工程を行うことなく、簡便に、伸長防止線が内腔に配置された生体内留置部材用一次形状体を提供することができる。
本発明に用いる素線の実施形態の一例を模式的に示した図である。 (a)本発明に係る生体内留置部材用一次形状体の実施形態の第1例を模式的に示した平面図である。(b)図2(a)の右側面図である。(c)図2(b)のI−I方向断面図である。 (a)本発明に係る生体内留置部材用一次形状体の実施形態の第2例を模式的に示した平面図である。(b)図3(a)の右側面図である。 (a)本発明に係る生体内留置部材用一次形状体の実施形態の第3例を模式的に示した斜視図である。(b)図4(a)の符号48の部材が膨張した時の状態を模式的に示した斜視図である。 本発明に係る生体内留置部材用一次形状体の実施形態の第4例を模式的に示した一部断面図である。 本発明に係る生体内留置部材用一次形状体の実施形態の第5例を模式的に示した一部断面図である。 (a)本発明で用いるマンドレルの実施形態の第1例を模式的に示した斜視図である。(b)本発明で用いるマンドレルの実施形態の第2例の一部を模式的に示した斜視図である。(c)本発明で用いるマンドレルの実施形態の第3例を模式的に示した斜視図である。(b)本発明で用いるマンドレルの実施形態の第4例の一部を模式的に示した斜視図である。 図7(d)に示すマンドレルの軸方向に素線の一部を沿わせる工程を行った時の状態を模式的に示した平面図である。 (a)図7(d)示すマンドレルの軸方向に沿わされた素線の一部の外側から素線の残部の少なくとも一部をマンドレルの周方向に巻き回し、素線の両端となる部分を一次形状体の他方端となる側に位置させる工程を行っている時の状態を模式的に示した平面図である。(b)図9(a)の一部断面図である。 (a)本発明で用いるマンドレルの実施形態の第5例の構成部品を模式的に示した分解斜視図である。(b)本発明で用いるマンドレルの実施形態の第5例を模式的に示した斜視図である。 図10示すマンドレルの第1芯材の軸方向に沿わされた素線の一部の外側から素線の残部の少なくとも一部をマンドレルの第1芯材の周方向に巻き回し、素線の両端となる部分を一次形状体の他方端となる側に位置させる工程を行った時の状態を模式的に示した斜視図である。 (a)本発明に係る生体内留置部材の実施形態の第1例を模式的に示した斜視図である。(b)本発明に係る生体内留置部材の実施形態の第2例を模式的に示した斜視図である。 生体内留置部材を動脈瘤内に挿入している時の状態を模式的に示した説明図である。
以下では、本発明に係る生体内留置部材用一次形状体及びその製造方法、この一次形状体により構成された生体内留置部材の実施形態について図面を適宜参照しつつ説明する。尚、実施形態として説明する各部材の形状、材料、大きさ、長さ等は例示として示したものであって、適宜変更可能である。
<生体内留置部材用一次形状体>
本発明に係る生体内留置部材用一次形状体(以下、特にことわらない限り、単に「一次形状体」と称する。)は、両端を有する一連状の素線に、一方端と他方端を有する一次形状が付与されたものである。そして、この一次形状体は、内腔を有する形状で、生体内留置部材の全長を構成するものである。また、素線の一部は、一次形状体の全長における一方端の側から他方端の側に向かって内腔に配置されている。さらに、その素線の両端は、一次形状体の他方端の側に位置している。そして、内腔に配置されている素線が、従来の伸長防止線の機能を有する。
ここで、「生体内留置部材の全長を構成する」とは、生体内留置部材が一次形状体によりその全体が構成されることを意味する。また、ここでの「全体」には、必要に応じて用いられる、押出用プッシャ部材との接続部材(例えば、離脱要素部など)は含まない。また、例えば、後述するように、直線状の一次形状体に二次形状が付与される場合には、生体内留置部材の全長とは、二次形状が付与された状態における生体内留置部材の全長を意味するものではなく、二次形状が付与される前の直線状にした時の全長である。
本発明に用いることができる素線は、両端を有する一連状のものであれば特に限定はない。このような素線の構造としては、単線、複線又は単線と複線の組み合わせを採用することができる。複線としては、例えば、複数の線材を撚った撚線が挙げられる。単線と複線の組み合わせとしては、例えば、素線の長さ方向で単線と複線を任意に連続させて一連状にしたものが挙げられる。このように、本発明では、両端間で連続した素線を一連状の素線と称し、複数の線材同士を各端部近辺で相互に連結したものを含む。
単線、或いは、複線を構成する各線材の断面形状は特に限定はなく、円形、楕円、角形など様々な形状を選択可能である。
また、単線の断面形状が円形の場合、その直径(線径)は、瘤の大きさにもよるが、例えば、φ0.010mm以上0.200mm以下程度で任意に選択可能である。このうち、生体内留置部材とした場合の強度や硬さの面からは、0.030mm以上0.100mm以下が好ましい。単線線の断面形状が円形ではない場合は、同様に、その最大幅として、0.010mm〜0.200mm程度で任意に選択可能であり、0.030mm以上0.100mm以下が好ましい。複線の場合も、複線全体として単線に準じて断面の大きさを選択可能である。
素線の材料は、特に限定はなく、無機系材料、有機系材料を用いることができる。無形材料としては、金属等を用いることができ、例えば、プラチナ(白金)、タングステン、金、タンタル、イリジウム、チタニウム、ステンレス、ニッケル、チタン、及び、これらの金属から選択された2種以上の金属を含有する合金等が挙げられる。また、合金としては、例えば、タングステンとプラチナの合金、イリジウムとプラチナの合金、ニッケルとチタンの合金が好ましい。これらの金属は、放射線不透過性材料である。有機系材料としては、生体適合性の樹脂等を用いることができるが、放射線不透過性とする場合は、そのような特性を有する材料を混合した樹脂組成物を用いることができる。
図1は、本発明に用いる素線の実施形態の一例を示したものである。図1に示す素線10は、一方端11と他方端12の両端を有し、両端間で連続した単線である。単線の断面形状は円形(図示せず。)で、両端間で半径は実質的に一定である。以下の説明では、特にことわらない限り、図1に示す構造を有する素線を用いて説明するが、上述した各種の構造を有する素線を採用することが可能である。
本発明に係る生体内留置部材用一次形状体は、上述した素線に一次形状が付与されたものであり、一方端と他方端を有するとともに、内腔を有する。また、この内腔には、素線の一部が一次形状体の全長における一方端の側から他方端の側に向かって配置されている。そして、このような構成の一次形状体は、生体内留置部材の全長を構成する。このように、一連状の素線を用いることによって、内腔を形成する部分とこの内腔に配置される部分とが連続しているため、従来のように別部材である伸長防止線を一次形状体の一方端の側に固定する必要がなく、従来の伸長防止線を別部材として用いて一方端の側に固定する場合に比べて、伸長防止線の固定部位での破断を抑制することが期待できる。
一次形状体の内腔を形成する部分の構造は特に限定はなく、例えば、コイル状等が挙げられる。以下では、生体の血管の動脈瘤等の瘤に留置するのに好適な構造として、コイル状の場合を例に図面を参照しつつ説明する。
このコイル状の構造としては、素線を巻き回して得られる各種のコイル状の構造を採用することができる。素線を巻き回す方向は特に限定はなく、時計回りでも良いし、反時計回りでも良い。また、コイル状の構造におけるピッチ間隔は特に限定はなく、例えば、巻き回された隣接する素線同士が密着した密着巻き構造(例えば図2参照。)、間隔のあいたピッチ巻き構造(例えば図3参照。)、両者が1ヶ所以上ずつ混在した構造が挙げられる。また、コイル状の構造の軸方向に直交する方向からの平面視の形状は、円形、楕円形、卵型等の形状を採用することができる。コイル状の構造の径は、一次形状体の長さ方向で一定でも良いし、任意に変化させてもよい。また、コイル状の構造部分の外径は、留置部位や用途に応じて適宜決定できるが、生体内留置部材を動脈瘤等に搬送するために一般的に使用されるカテーテルの内腔径に適合させる観点から、上記平面視の形状が円形の場合、0.100mm以上0.500mm以下が好ましい。コイル状の構造部分の長さは、留置部位や用途に応じて適宜決定できるが、押出用プッシャ部材で生体内留置部材を安定的に押し出す観点から、10mm以上1000mm以下が好ましい。
図2(a)は、それぞれ本発明に係る一次形状体の実施形態の第1例を模式的に示した平面図である。図2(b)は、図2(a)の右側面図であり、図2(c)は、図2(b)のI−I方向断面図である。図2に示す実施形態の一次形状体20は、図1に示す一連状の素線10の一部がコイル状に形成された部分(符号24)を有し、当該部分には内腔23が形成されている。コイル状に形成された部分24の構造は、直線状に伸びるように素線10が螺旋状に巻き回された一定外径の密着巻き構造を有する。また、コイル状に形成された素線10の残りの部分(符号25)は、コイル状に形成された部分から連続して、内腔23に配置されている。したがって、内腔23に配置されている素線10は、コイル状に形成された部分の一方端の側から、その他方端の側に向かって伸びることになる。また、素線10の両端11、12は、一次形状体20の他方端の側に位置することになる。
ここで、一次形状体20の一方端を、コイル状に形成された部分の一方端(符号21)とし、一次形状体20の他方端を、コイル状に形成された部分の他方端(符号26)又はこの他方端26より外側に内腔23から飛び出している部分の端(符号22)とする。尚、一次形状体20の他方端は、他方端26から内腔23に配置されている部分が飛び出しているか否かにより決せされる。図2(a)、(c)に示す例では、一次形状体20の他方端は内腔23に配置されている部分のうち内腔23から飛び出している部分の端22とする。
本発明では、素線により内腔を形成する部分を本体部、内腔に配置される部分を内線部とも称する。図2に示す例では、素線10のうちコイル状に形成されている部分(符号24)が本体部(符号24とする。)に該当し、素線10のうち内腔23に配置されている部分(符号25)が内線部(符号25とする。)に該当する。
また、本発明では、本体部と内線部との連続部分を境界部分とも称し、境界部分は一次形状体の全長における一方端の側の端部の少なくとも一部を形成するのが好ましい。図2に示す例では符号27で示す部分が境界部分であり、直線状に延びる内線部25と所定径のコイル状の本体部24とをつなぐ右側面の平面視(図2(b)参照。)で概ね長円弧形状の部分が該当する。また、本例では、境界部分27は、一次形状体20の一方端21の側の端部の一部を形成している。
以下では、特にことわらない限り、「本体部」、「内線部」及び「境界部分」の用語を用いる。
本発明では、内腔に配置されている素線の一部である内線部の内腔における位置は特に限定はない。図2に示す実施形態の一例では、図2(b)に示すように、内線部25の一次形体20の一方端21の側が内腔23の内壁となる部分に接するように配置されている。このような配置以外でも、図示しないが、本体部24の中心軸近傍になるように配置してもよいし、その他の位置でも良い。尚、後述するように、先端チップ等を一次形状体の一方端に設ける場合は、先端チップの構造の観点及びその取り付けの容易性の観点から、また、一次形状体の一方端の側で本体部に固定する場合は、固定作業の容易性の観点から、図2に示す位置が好ましい。
本発明では、内線部の構造は特に限定はなく、例えば、直線状、波線状、コイル状や、これらの任意の組み合わせ等が挙げられる。また、波線状の構造としても、特に限定はなく、例えば、正弦波、余弦波、折れ線のジグザグ形状、これらの組み合わせ等が挙げられる。また、内線部の一次形状体の軸方向に直交方向の最大幅は、内線部を無理なく内腔に配置可能な大きさであればよく、例えば、内腔の最小径以下であるのが好ましい。また、内線部の長さは、本体部のコイル状に形成された部分の不意の伸長や破断を防止することができれば特に限定はないが、自然長の長さが本体部の軸方向長さ以上であるのが好ましい。
図2に示す例では、内線部25は直線状の構造を有し、自然長の長さが本体部24の軸方向長さより長くなっている。
本発明では、内腔に配置されている素線の一部である内線部は、素線により内腔を形成する本体部に対して、一次形状体の全長における他方端の側又は一方端の側及び他方端の側で固定されているのが好ましい。これにより内線部が伸長防止線としての機能をより効果的に発揮することができる。また、上記機能をさらに効果的に発揮させる観点から、内線部は一方端の側及び他方端の側で本体部に固定されているのがより好ましく、本体部の両端部近傍で固定されているのがさらに好ましい。また、本体部の一方端の近傍部では、本体部の隣接する素線同士が接合されているのが好ましい。これにより、伸長防止線に引張応力が負荷された時にコイル状に形成された部分が直線状になることを防止することができる。
図2に示す例で説明すると、一次形状体20の他方端22の側で本体部24に固定されるか、一方端21の側及び他方端22の側で本体部24に固定されるのが好ましく、本体部24の一方端21の近傍及び他方端26の近傍で固定されるのがより好ましい。尚、本発明において、内線部の本体部への固定には、接着剤やはんだ等による固定、先端チップ、或いは、押出用プッシャ部材との連結のために用いる脱離要素部等を用いた本体部に対する物理的な固定、先端チップ或いは脱離要素部等を介した間接的な固定を含む。
ここで、他方端の側及び一方端の側は、それぞれ、本体部の軸方向の中間点を基準として、他方端に近いか、一方端に近いかにより決定する。
本発明では、内線部は、撓んだ状態で内腔に配置されているのが好ましい。これにより、二次形状を付与する際や、生体内留置部材を患部に搬送する際の複雑な形状に容易に追随させることができる。このような配置は、内線部が直線状の構造を有する場合により好適である。
図3(a)は、本発明に係る生体内留置部材用一次形状体の実施形態の第2例を模式的に示した平面図であり、図3(b)は、図3(a)の右側面図である。この第2例は、図2に示す第1例において、本体部のコイル状の構造をピッチ巻き構造にした以外は実質的に同様であり、同様の構成を採用することができる。簡単に説明すると以下の通りである。図3に示す生体内留置部材用一次形状体30は、生体内留置部材の全長を構成するものであり、素線10を所定ピッチ間隔で螺旋状に巻き回し、直線状に伸びる一定外径の本体部34を有し、本体部34には内腔33が形成されている。内腔33には、本体部34から連続する素線10が、一次形状体30の一方端31の側から他方端32の側に向かって配置されている。内腔33に配置されている素線10は内線部35とも称する。また、素線10の両端11、12は、一次形状体30の他方端32の側に位置している。本体部34と内線部35との連続部分は境界部分37を構成し、図3(b)に示すように、直線状に延びる内線部35と所定径のコイル状の本体部34とをつなぐ右側面の平面視で概ね長円弧形状の部分が該当する。境界部分37は、一次形状体30の全長における一方端31の側の端部の少なくとも一部を形成する。また、図3(b)に示すように、内線部35の一次形体30の一方端31の側が内腔33の内壁となる部分に接するように配置されている。内線部35は直線状の構造を有し、その長さは本体部34の軸方向長さより大きくなっている。内線部35は、内腔33に撓んだ状態で配置されるのが好ましく、本体部34の一方端31と他方端36の近傍部で固定されているのが好ましい。
図4は、本発明に係る生体内留置部材用一次形状体の実施形態の第3例を模式的に示した斜視図である。図4に示す第3例の一次形状体40は、図2に示す実施形態において境界部分の形状を環状の形状にし、その内側にアンカーが取り付けられたものである。以下では、主として境界部分の相違点について説明するが、他の構成については、第1例において説明したのと同様の構成を採用することができる。
図4に示す一次形状体40は、生体内留置部材の全長を構成するものであり、素線10をコイル状に巻き回して形成された内腔43を有する本体部40と、本体部40から連続し、一次形状体40の一方端41の側から他方端42の側に向かって内腔43に配置された内線部45を有する。素線10の両端11、12は他方端42の側に位置している。そして、本体部40と内線部45との連続する部分に環状の形状の境界部分47が形成されており、その内側にアンカー48が取り付けられている。
第3例における境界部分47は、同一平面上に存在する環状の形状を有し、その平面に直交する軸線が一次形状体40の軸方向に直交するように形成されている。また、本体部43を構成する素線10は、図4(a)における本体部44の下部から一次形状体40の軸方向に向かうように方向を変えるとともに、本体部44の外径と同程度の径になるように図4(a)における本体部44の上部に向かうように弧を形成し、さらに弧を形成するように下部に向かって伸び、概ね1周の環状の形状を有する境界部分を形成し、内線部45に連続している。
アンカー48は、境界部分47に固定されているのが好ましい。固定方法はアンカーを構成する材質等に応じて適宜決定することができる。例えば、接着剤、溶接により接合する方法、境界部分47の環状の内側に挿入し、配置した後、他方端42の側から内線部45を引っ張って締め付けて、内線部45を本体部44の他方端46の端部近傍部に固定することで、かしめて物理的に固定する方法等が挙げられる。作業の容易性の観点、接着剤や溶剤等の成分を生体内に留置させない観点から、物理的に固定する方法が好ましい。
アンカー48を構成する材料は特に限定はないが、生体内留置部材の生体内の動脈瘤等の瘤内での動きを抑制し、生体内留置部材の瘤内への挿入性を向上させ、アンカーとしてより効果的に機能させる観点からは、素線10を構成する材料よりも瘤内壁に対する摩擦抵抗が高いものが好ましい。このような材質としては、微細凹凸形状を付与した金属材料、一般的なポリマー材料、吸水性ポリマー(ハイドロゲル)などが挙げられる。このうち、血液などの体液によって膨潤し、上記効果をより発揮させる観点からは、吸水性ポリマーが好ましい。このような吸水性ポリマーとしては、例えば、ポリエチレングリコール、ポリビニルアルコール等が挙げられる。
図4(b)は、アンカー48として吸水性ポリマーを採用した場合に、図4(a)に示す状態のアンカー48が膨潤し、膨張した時の状態を模式的に示した斜視図である。図4(b)に示すように、アンカー48は、図4(a)に示すように環状の内側に収まる程度の大きさであったものが、環状の境界部分47を覆うように膨張し、大きくなっている。そして、吸水性ポリマーは、素線10より瘤内壁に対する摩擦抵抗が高いため、アンカー48が瘤内壁に触れると、生体内留置部材の一方端の側が動きにくくなり、生体内留置部材が、瘤内を大きく動き回ることを防止することができる。例えば、複数本の生体内留置部材を動脈瘤内に挿入する場合に、先に入れた生体内留置部材が後に入れる生体内留置部材で押されることで動いてしまうことをより効果的に防止することができる。また、生体内留置部材が瘤内で動き回ることで生じる、生体内留置部材の絡みをより効果的に防止することもできる。
図5は、本発明に係る生体内留置部材用一次形状体の実施形態の第4例を模式的に示した一部断面図である。図5に示す一次形状体50は、図2に示す実施形態において、本体部24の一方端21の側の端部を構成する素線10が溶融されることにより形成された半球状の形状を有する溶融部58を形成したものである。このように、半球状の溶融部58が形成されていると、図2に示す一次形状体20の一方端21の側の端部の構造に比べて、滑らかな端部構造を有するため、生体内留置部材とした場合に、一方端21の側の端部で瘤の内壁を損傷することを防止することができる。
以下では、主として本体部24の一方端の側の端部の相違点について説明するが、他の構成については、第1例において説明したのと同様の構成を採用することができる。
第4例における溶融部58の形成方法としては、例えば、図2に示す実施形態の一次形状体20を作製した後に、本体部24の一方端21の側の端部を加熱し、溶融することにより、自然に半球状の形状に形成される。溶融方法としては、熱源を接触させる方法、レーザー光を照射する等の非接触の方法等を例示できる。加熱領域は、形成させる溶融部58の大きさに応じて所定の範囲を加熱すればよく、素線10の巻き数を基準にすると、一巻き以上が好ましく、二巻き以上がより好ましい。溶融により半球状の形状に形成した後は、冷却処理するのが好ましい。冷却処理方法としては、室温乃至室温未満の雰囲気下での放置、送風、冷却液への浸漬等が挙げられる。
以上のようにして溶融部58を形成することにより、内線部25の一方端21の側は本体部24の一方端21の側に溶融部58とともに固定される。また、コイル状に巻き回された本体部24の一方端21の少なくとも一巻きの素線の溶融により溶融部58が形成される。このように溶融部58を形成することで、内線部25の一方端21の側の端部が本体部24の一方端21の端部で溶融部58とともに固定されることで、内線部25が伸長防止線としての機能をより効果的に発揮することができるとともに内線部25に引張応力が負荷された時でも本体部24のコイル状の部分が解けることも効果的に防止できる。
図6は、本発明に係る生体内留置部材用一次形状体の実施形態の第5例を模式的に示した一部断面図である。図6に示す一次形状体60は、図2に示す実施形態において、境界部分27の構成を変更するとともに、本体部24の一方端21に半球状のチップ部を有する先端チップが突設するように構成したものである。このように、半球状のチップ部を有する先端チップが形成されていると、図2に示す一次形状体20の一方端21の側の端部の構造に比べて、滑らかな端部構造を有するため、生体内留置部材とした場合に、一方端21の側の端部で瘤の内壁を損傷することを防止することができる。
この第5例は、図2に示す第1例において、本体部24と内線部25との境界部分の構成を先端チップの基部を受け入れ可能なように構成し、本体部24の一方端21に先端チップが突設した点以外は実質的に同様の構成を採用することができる。簡単に説明すると以下の通りである。図6に示す生体内留置部材用一次形状体60は、生体内留置部材の全長を構成するものであり、素線10を密着巻きとなるように螺旋状に巻き回し、直線状に伸びる一定外径の本体部64を有し、本体部64には内腔63が形成されている。内腔63には、本体部64から連続する素線10が、本体部64の一方端61の側から他方端62の側に向かって配置されている。内腔64に配置されている素線10は内線部65と称する。また、素線10の一方端(図示せず)と他方端12は、図2の第1例の場合と同様に一次形状体60の他方端62の側に位置している。本体部64と内線部65との連続部分である境界部分67は、直線状に延びる内線部35と所定径のコイル状の本体部34とをつなぐ平面視で概ね円弧形状の構造を有する(図視せず。)。第5例と第2例における境界部分の相違は、弧の形状が異なっている点である。もっとも、境界部分67における弧の形状は、内腔63に先端チップ68の基部68bを嵌入可能なように、基部68bの構造に応じて適宜変更可能である。
先端チップ68は、本体部64の一方端61から突出する半球状のチップ部68aと、本体部64の内腔63に嵌入される基部68bとを有する。チップ部68aと基部68bとは連設されており、別々に作製してもよいが、一体的に形成されているのが好ましい。先端チップを構成する材料としては、特に限定はなく、無機系材料、有機系材料何れでも良い。無機系材料としては、上述した素線と同様の材料を採用することができる。有機系材料としては、樹脂材料を使用することができ、熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂、エラストマー等を用いることができる。先端チップ68の本体部64への固定方法は、先端チップ68を構成する材料に応じて適宜選択することができ、接着、溶接等を採用することができる。
<生体内留置部材用一次形状体の製造方法>
本発明に係る生体内留置部材用一次形状体の製造方法は、両端を有する一連状の素線に、一方端と他方端を有する一次形状を付与するものであり、マンドレルの軸方向に、素線の一部を沿わせる工程と、マンドレルの軸方向に沿わされた素線の一部の外側から素線の残部の少なくとも一部をマンドレルの周方向に巻き回し、素線の両端となる部分を一次形状体の他方端となる側に位置させる工程と、を含む。
このような工程を経ることで、従来のように別部材である伸長防止線を内腔に挿入する工程を行うことなく、簡便に、伸長防止線が内腔に配置された生体内留置部材用一次形状体を提供することができる。
以下では、一次形状体の内腔を形成する部分の構成が、コイル状である場合を例にして一次形状体の製造方法の実施形態を説明する。
本発明で用いることができるマンドレルの構成は、その軸方向に素線を沿わせるとともに、その外側から素線をコイル状に巻き回すことができれば特に限定はない。例えば、筒状、柱状等を採用することができ、軸方向に直交方向の断面の外形は、円、長円、多角形等を採用することができる。また、外表面には、素線を沿わせるための溝部を設けてもよいし、素線を引っかけて方向を変更するための突部を設けてもよい。以下に図を参照しつつ、本発明に用いることができるマンドレルの実施形態の例を説明するが、本発明に使用可能なマンドレルはこれらに限定されるものではない。
図7(a)〜(d)は、本発明で用いることができるマンドレルの実施形態を示したものである。図7(a)は、マンドレルの第1例を模式的に示した斜視図であり、図7(b)は、同第2例の一部を模式的に示した斜視図であり、図7(c)は、同第3例を模式的に示した斜視図であり、図7(d)は、同第4例の一部を模式的に示した斜視図である。
図7(a)に示すマンドレル70は、外径一定の円柱構造を有する芯材からなる。このマンドレル70を用いた場合、軸方向に直線状に素線を沿わせた後に、周方向に素線を巻き回すと、断面円形のマンドレル70とこれより小径の断面円形の素線10とが外接した状態の外周側から素線10が巻き回されるため、素線10一次形状体の軸方向に直交する平面に対する平面視において概ね卵形状のコイル形状を有する本体部が得られる。図7(b)に示すマンドレル71は、マンドレル70の外周面に突起72を設けたものである。突起72を設けることで、軸方向に沿わせた素線を引っかけて周方向に巻き回すための方向の変更が容易になる。図7(a)、(b)に示すマンドレル70、71を用いた場合は、マンドレル70に図7(c)に示すマンドレル73のように溝を設けた場合に比べて、上述したような卵形状のコイル形状となることで、表面積を大きくできる。そのため、生体内留置部材とした場合に生体内の瘤等の内壁との接触面積が大きくなり、瘤内での生体内留置部材の動きを抑制する効果が期待できる。
図7(c)に示すマンドレル73は、芯材75の外周面に軸方向に平行な溝部74が設けられたものである。このマンドレル73を用いた場合、軸方向に直線状に素線を沿わせた後に、周方向に素線を巻き回すと、一次形状体の軸方向に直交する平面に対する平面視において概ね円形状のコイル形状を有する本体部が得られる。図7(c)に示す例では、溝部は芯材75の両端に亘り設けられているが、これに限られない。また、溝部はマンドレルの軸方向に平行に設けられているが、マンドレルの外周面に沿う螺旋状に設けてもよい。このような螺旋状の溝部を設けた場合、一次形状体の内線部を螺旋状の形状に同時に付与することができ、また、マンドレルを回転させることで付与された螺旋状の形状に負荷をかげずにマンドレルを取り外すことができる。図7(d)に示すマンドレル76は、芯材77の外周面に、軸方向に平行な溝部78と、この溝部78の端部から連続し、溝部78の底部に連続する外周面を有する切り欠き部79とが設けられたものである。各溝部の深さは、素線を沿わせて溝部に配置することができれば特に限定はないが、素線の配置し易さの観点からは、素線の溝部の深さ方向に対する厚みの半分以上が好ましい。尚、図7(d)の切り欠き部79の深さは軸方向の溝部78の深さと同じ深さから周方向に沿って浅くなるようにしている。このようにすることで、一次形状体の内線部と本体部の連続部分(境界部分)の構造を形成する際に、切り欠き部79の周面に沿って素線を配置し所望の形状を付与しやすくなる。
図7(d)に示すマンドレル76を用いた場合を例に、図2に示す一次形状体20を製造する方法を説明する。
先ず、マンドレル76の軸方向に沿って素線10を沿わせる。マンドレル76には、軸方向に沿った溝部78が設けられており、溝部78に沿って素線10を沿わせる。この時の素線10の始端13は、芯材77或いは芯材77を固定する治具に固定するのが好ましい。固定方法は特に限定されず、テープなどでの貼り付け、ネジでの締結、芯材77への結束、芯材77に設けた溝部78の端部に設けたスリット(図示せず)への嵌め込み等などが例示される。
次に、溝部78に沿ってマンドレル76の軸方向に沿って配置された素線10の残部をマンドレル76の周方向に巻き回す。マンドレル76には切り欠き部79が溝部78から連続して設けられており、切り欠き部79の外周面に沿って素線10を巻き回す(図8参照)。尚、切り欠き部79の深さは、切り欠き部79の形状に対応して形成される境界部分の形状に対応させるように決定すればよい。また、軸方向の溝部78と切り欠き部79の外周面とが連続しており、素線10の軸方向から周方向への方向の変化を容易に行うことができる。
その後、マンドレル76の芯材77の外周に沿うようにして密巻きの螺旋状に素線10をマンドレル76の軸方向の所定長さに亘り巻き回し、素線10の両端となる部分を一次形状体の他方端となる側に位置させる(図9(a)、(b)参照。)。巻き回す軸方向の長さは、特に限定はなく、一次形状体の構造に応じて適宜決定すればよいが、溝部78に配置された素線10の始端13と、巻き回された素線10の端とが一致するか、始端13が素線10に覆われないようにするのが好ましい。
マンドレル76の溝部78に配置された部分の素線10が一次形状体20の内線部25、芯材77に巻き回された部分の素線10が本体部24、切り欠き部79に巻き回された部分が境界部分27に対応することになる。
必要に応じて、芯材77に巻き回した素線10の端部を切断し、マンドレル76を素線10の始端13の側から抜去することで生体内留置部材用一次形状体20が得られる。
本発明では必要に応じて、一次形状体20の全長における他方端となる側又は一方端及び他方端となる側で、マンドレル76の軸方向に沿わされた素線10の一部(内線部25)を、マンドレル76の周方向に巻き回した素線10の残部(本体部24)の少なくとも一部に固定する工程を行うのが好ましい。固定箇所や固定方法は既に述べたとおりである。尚、この工程は、後述するように二次形状を付与する場合は、二次形状を付与した後に行ってもよい。
図10(a)は、本発明で用いるマンドレルの実施形態の第5例の構成部品を模式的に示した分解斜視図であり、図10(b)は、本発明で用いるマンドレルの実施形態の第5例を模式的に示した斜視図である。図10に示すマンドレル80は、図4に示す一次形状体40を作製する際に好適なものである。マンドレル80は、第1芯材81と、第1芯材81に対してT字状に着脱可能に連結する第2芯材84とを備える。第1芯材81は円柱状の構造を有し、その外周面には、その軸方向に平行な平行溝部82が形成されおり、第1芯材の一方の端面には、軸方向に直交する方向に直交溝部83が形成されている。平行溝部82と直交溝部83とは交差している。第2芯材84は円柱状の構造を有し、その外周面には、第1芯材の直交溝部83が形成された端部を受け入れる凹部85が形成されている。第1芯材81の直交溝部83が設けられた端部を第2芯材84の凹部85に嵌入することで、T字状の構造が形成される。また、直交溝部83が貫通穴を形成する。
図10に示すマンドレル80を用いた場合を例に、図4に示す一次形状体40を製造する方法を説明する。
先ず、マンドレル80の第1芯材81の軸方向に沿って素線10を沿わせる。第1芯材81には、軸方向に沿った溝部82が設けられており、平行溝部82に沿って素線10を沿わせる。この時の素線10の始端13(図11参照。)は、マンドレル76を用いる場合と同様にして固定するのが好ましい。
次に、平行溝部82に沿って第1芯材81の軸方向に沿って配置された素線10の残部を直交溝部83に沿わせるとともに、この状態で、第2芯材84の凹部85に第1芯材81の直交溝部83が設けられた側の端部を挿入し固定する。その後、直交溝部83と凹部85とにより形成される貫通穴に配置されている素線10を第2芯材84の外周面の周方向に沿って巻き回した後、続けて第1芯材81の外周面の周方向に沿って密着巻きになるように素線を巻き回す(図11参照)。
マンドレル80の平行溝部82に配置された部分の素線10が一次形状体40の内線部45、第1芯材81に巻き回された部分の素線10が本体部44、垂直溝部83に配置されに第2芯材84に巻き回された部分が環状の形状の境界部分47に対応することになる。
必要に応じて、第1芯材81に巻き回した素線10の端部を切断し、第1芯材81の直交溝部83が設けられた端部を第2芯材84の凹部85から抜去する。そして、第1芯材81を素線10の始端13の側から抜去し、境界部分47から第2芯材を抜去する。そして、境界部分47の環状の形状の内側にアンカーを挿入することで生体内留置部材用一次形状体40が得られる。
尚、第2芯材84を用いる替わりに、アンカーを直接用いてもよい。
必要に応じて、一次形状体40の全長における他方端となる側又は一方端及び他方端となる側で、第1芯材81の軸方向に沿わされた素線10の一部(内線部45)を、第1芯材81の周方向に巻き回された素線10の残部(本体部44)の少なくとも一部に固定する工程を行ってもよいこと、この場合の固定箇所、固定方法、この工程は二次形状を付与した後に行ってもよいことは既に述べたとおりである。
<生体内留置部材>
以上のようにして得られた生体内留置部材用一次形状体は、そのまま生体内留置部材として用いることもできるが、生体の動脈瘤等の瘤内に安定して配置させる観点からは、一次形状体に二次形状を付与して生体内留置部材とすることが好ましい。二次形状の構造としては、線状の一次形状体が三次元状に配置されたものであればよい。このような二次形状としては、例えば、螺旋状や、螺旋状以外の複雑な三次元の形状が挙げられる。螺旋状の生体内留置部材としては、例えば、図12(a)に示す実施形態の第1例(符号91)のように、図1に示す両端11、12を有する素線10を用いて、図2に示す一次形状体20の構造においてより長尺の一次形状体90を密着巻きで外径一定になるように時計回りに所定回数巻き回した形状を有するものが挙げられる。尚、巻き方向、ピッチ間隔、巻き数、外径は適宜選択可能である。また、巻き方向、ピッチ間隔、外径は、二次形状の全長に亘って同一でもよいし、変化させてもよい。また、螺旋状以外で複雑な三次元の形状の生体内留置部材としては、例えば、図12(b)に示す実施形態の第2例(符号92)のように、円弧、円、螺旋などの湾曲ループが複数連続して構成されており、すべての湾曲ループが同一平面上にない立体構造を有するものが挙げられる。尚、図12(b)における生体内留置部材92もコイル状の一次形状体を用いて形成したものであるが、図面では省略して記載している。第2例の全体形状は、概ね立方体ないし直方体であるが、球形状、楕円球形状、卵形状、多面体形状、多角柱形状、円柱形状、多角錐形状、円錐形状、ランダム形状、これらの組み合わせ形状等各種の構造を採用することができる。尚、本発明の生体内留置部材の二次形状は、上記の実施形態以外に限られず、各種の二次形状を採用することができる。
二次形状の大きさは、生体内の動脈瘤等の瘤の大きさや用途に応じて適宜決定すればよいが、例えば動脈瘤の内部で概ね全体が壁面に沿うように配置させる用途に用いる場合は、瘤内に安定して配置させる観点から、1mm以上30mm以下が好ましく、3mm以上15mm以下がより好ましい。
このような二次形状は、所望の二次形状に対応するように形成された二次形状用マンドレルに一次形状体を巻き回して固定したり、鋳型内に配置した後、例えば、400℃以上の温度で15分以上加熱することで、一次形状体に付与することができる。
二次形状用マンドレルの形状は、所望の二次形状に応じて、適宜設定すればよく、例えば、球形状、楕円球形状、卵形状、多面体形状、多角柱形状、円柱形状、多角錐形状、円錐形状、これらを組み合わせた形状等が挙げられる。一次形状体を巻き付けやすくするために、二次形状用マンドレルに溝部や突起部を設けてもよい。
鋳型の内部形状も、所望の二次形状に応じて、適宜設定すればよく、例えば、球形状、楕円球形状、卵形状、多面体形状、多角柱形状、円柱形状、多角錐形状、円錐形状、これらを組み合わせた形状等が挙げられる。また、付与したい二次形状と同じように配置した中空パイプを鋳型として用いてもよい。
一次形状体に二次形状をより確実に付与する観点から、加熱を2回以上行ってもよい。例えば、一次形状体を二次形状用マンドレルに巻き付けた状態で加熱した後、二次形状用マンドレルから取り外した一次形状体を鋳型内に配置して再度加熱を行う方法などが挙げられる。
以上のようにして得られた生体内留置部材の使用方法について簡単に説明する。
図13は、母血管100に生じた動脈瘤99に生体内留置部材96を挿入している時の状態を模式的に示した説明図である。尚、図13における生体内留置部材96もコイル状の一次形状体を用いて形成したものであるが、図面では省略して記載している。
上述したように、生体内留置部材96を動脈瘤99内に挿入するには、先ず、搬送用カテーテル93の内腔に一次形状体の状態に伸ばした状態の生体内留置部材96を配置し、搬送用カテーテル93の先端を動脈瘤99の内部に挿入する。この時、搬送カテーテル93の内腔には、押出用プッシャ部材94と、その先端部に、離脱要素部95を介して近位端部97が固定された生体内留置部材96が移動可能に挿入される。ここで、生体内留置部材96の近位端部97は、一次形状体の他方端の端からその近傍部に亘る部分にあたる。図示しないが、一次形状体の本体部の他方端の端部に離脱要素部95の一部が挿入され、一次形状体の内線部の他方端の端部が離脱要素部95の外側と本体部の内壁部との間に挟み込まれて押さえ付けられることで物理的に内線部が本体部に固定されている。
押出用プッシャ部材94を搬送用カテーテル93の先端側に移動させ、生体内留置部材96の遠位端部98から順次近位端部97を搬送用カテーテル93の先端開口部から徐々に押し出すと、動脈瘤99の内部で二次形状に復元する(図13参照)。その後、脱離要素部分において押出用プッシャ部材から切り離され、動脈瘤99の内部に生体内留置部材96が留置される。
本発明に係る生体内留置部材用一次形状体を用いて得られる生体内留置部材は、その全長が本発明に係る生体内留置部材用一次形状体で構成されており、一連状の素線を用いて一次形状体の本体部と内線部を連続して形成させているため、内線部の破断が従来よりも抑制され、従来よりも安全で、確実に生体内留置部材を瘤内に搬送し、留置することが可能になる。また、本発明により、このような生体内留置部材を構成する一次形状体を簡便に作製することが可能になる。
10 素線
11 一方端
12 他方端
13 始端
20、30、40、50、60、90 生体内留置部材用一次形状体
21、31、41 一方端
22、32、42、62 他方端
23、33、43、63 内腔
24、34、44、64 本体部
25、35、45、65 内線部
26、36、46 他方端
27、37、47、67 境界部分
48 アンカー
58 溶融部
61 一方端
68 先端チップ
68a チップ部
68b 基部
70、71、73、76、80 マンドレル
72 突起
74、78 溝部
75、77 芯材
79 切り欠き部
81 第1芯材
82 平行溝部
83 直交溝部
84 第2芯材
85 凹部
91、92、96 生体内留置部材
93 搬送用カテーテル
94 押出プッシャ部材
95 離脱要素部
97 近位端部
98 遠位端部
99 動脈瘤
100 母血管

Claims (9)

  1. 両端を有する一連状の素線に、一方端と他方端を有する一次形状が付与された生体内留置部材用一次形状体にあって、
    上記一次形状体は、内腔を有する形状で、上記素線により生体内留置部材の全長を構成するものであり、上記素線により上記内腔を形成する本体部と、上記本体部から連続して伸びて上記内腔に配置されている上記素線の一部である内線部とを有し、
    上記素線の一部が、上記一次形状体の全長における上記一方端の側から上記他方端の側に向かって上記内腔に配置されており、
    上記素線の両端は、上記一次形状体の上記他方端の側に位置し、
    上記本体部と上記内線部との境界部分は、上記一次形状体の全長における上記一方端を形成し、
    上記内線部は、撓んだ状態で上記内腔に配置されている生体内留置部材用一次形状体。
  2. 上記境界部分は、環状の形状を有する請求項に記載の生体内留置部材用一次形状体。
  3. 上記一方端の側の端部が溶融されることによって形成される半球状の形状を有する請求項1又は2に記載の生体内留置部材用一次形状体。
  4. 両端を有する一連状の素線に、一方端と他方端を有する一次形状が付与され、アンカーを有する生体内留置部材用一次形状体にあって、
    上記一次形状体は、内腔を有する形状で、上記素線により生体内留置部材の全長を構成するものであり、上記素線により上記内腔を形成する本体部と、上記本体部から連続して伸びて上記内腔に配置されている上記素線の一部である内線部とを有し、
    上記素線の一部が、上記一次形状体の全長における上記一方端の側から上記他方端の側に向かって上記内腔に配置されており、
    上記素線の両端は、上記一次形状体の上記他方端の側に位置し、
    上記本体部と上記内線部との境界部分は、上記一次形状体の全長における上記一方端の側の端部の少なくとも一部を形成して、環状の形状を有し、当該環状の形状の内側にアンカーが取り付けられている生体内留置部材用一次形状体。
  5. 上記内線部は、撓んだ状態で上記内腔に配置されている請求項に記載の生体内留置部材用一次形状体。
  6. 上記アンカーは、上記素線よりも摩擦抵抗の高い材料で形成される請求項又はに記載の生体内留置部材用一次形状体。
  7. 上記材料が吸水性ポリマーである請求項に記載の生体内留置部材用一次形状体。
  8. 上記一次形状体は、上記一次形状体の全長における上記他方端の側又は上記一方端の側及び他方端の側で、上記内線部が、上記本体部に固定されている請求項1〜7の何れか1項に記載の生体内留置部材用一次形状体。
  9. 請求項1〜のいずれか1項に記載の生体内留置部材用一次形状体に、二次形状を付与することで形成される生体内留置部材。

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