JP6486171B2 - ヒンダードアミン系光安定剤の分析方法および分析システム - Google Patents

ヒンダードアミン系光安定剤の分析方法および分析システム Download PDF

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Description

本発明は、ヒンダードアミン系光安定剤の分析方法および分析システムに関する。
ヒンダードアミン系光安定剤(hindered amine light stabilizer;HALS)は、樹脂等の耐候性を向上させるための安定剤として広く使用されている。しかしながら、HALSは、溶媒への溶解性が低いこと、並びに、アミン骨格に起因する樹脂および充填剤への吸着等の理由から、その定量分析が難しい。そのため、HALSを定量分析する方法の開発が望まれている。
特許文献1には、ポリプロピレン中のHALSを、熱分解ガスクロマトグラフィーで測定し、原子発光検出器で分析する分析方法が開示されている。
特許文献2には、塩化ビニル樹脂中のHALSを、高周波電磁誘導装置を用いて分析する方法が開示されており、その方法は、下記(A)および(B)の工程を経て、HALSの変性物質の分析を行うというものである。
(A)樹脂サンプルと抽出溶剤とを混合し、得られた混合液を高周波電磁誘導加熱し、HALSを含む有機成分を抽出する;
(B)抽出液を、メタノールまたはエタノールの存在下に高周波電磁誘導加熱し、HALSを変性させる。
非特許文献1および2には、反応熱脱着ガスクロマトグラフィーによるHALSの高感度定量分析法が開示されている。また、特許文献3には、超臨界メタノールを用いた、芳香族ポリエステルからのモノマーの回収方法が開示されている。
特開2000−321258号公報(2000年11月24日公開) 特開2010−122151号公報(2010年6月3日公開) 特開平9−249597号公報(1997年9月22日公開)
Kimura et. al.,Analyst,125,465-468, 2000 Taguchi et. al.,J. Chromatogr. A,993, 137-142,2003
しかしながら、上述のような従来技術は、簡便な操作および良好な定量性によってHALSを分析するという観点からは十分ではなかった。
例えば、特許文献1は、ポリプロピレン中のHALSの有無および定性を分析するものであり、定量分析は行われていない。また、特許文献2においても、定量分析の結果が示されていない。さらに、特許文献2の技術は煩雑な操作が必要である。また、特許文献3には、HALSの分析結果は開示されていない。
非特許文献1および2に記載の技術も有機アルカリを加えた熱分解を行う等の前処理が必要であり、煩雑である。
本発明は、上記従来の問題点に鑑みてなされたものであって、その目的は、簡便な操作および良好な定量性によってHALSを分析する方法を提供することにある。
本発明者らは、上記の課題を解決するために鋭意検討し、HALSを高温高圧下にて流体と反応させて得られた分解物を定量することにより、簡便な操作および良好な定量性によってHALSを分析できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明に係る分析方法は、上記の課題を解決するために、ヒンダードアミン系光安定剤の分析方法であって、エステル結合を有するヒンダードアミン系光安定剤を含んだ試料とアルコールを含んだ流体とを、超臨界状態または亜臨界状態にて反応させる反応工程と、上記反応工程において得られた上記ヒンダードアミン系光安定剤の分解物の濃度を定量する定量工程と、を含むことを特徴としている。
本発明に係る分析方法では、上記アルコールは、炭素数1〜4のアルコールであってもよい。
本発明に係る分析方法では、上記アルコールは、メタノールであってもよい。
本発明に係る分析方法では、上記流体は、水および二酸化炭素の少なくとも一方をさらに含んでいてもよい。
本発明に係る分析方法では、上記流体におけるアルコールの含有量が70〜90%であってもよい。
本発明に係る分析方法では、上記流体は、メタノールと水との混合物であってもよい。
本発明に係る分析方法では、上記分解物は、カルボン酸エステルであってもよい。
本発明に係る分析方法では、上記定量工程において、ガスクロマトグラフ質量分析法、液体クロマトグラフ質量分析法または水素炎イオン化検出器付きガスクロマトグラフ法を用いて定量してもよい。
本発明に係る分析システムは、ヒンダードアミン系光安定剤の分析システムであって、エステル結合を有するヒンダードアミン系光安定剤を含んだ試料とアルコールを含んだ流体とを、超臨界状態または亜臨界状態にて反応させる反応部と、上記反応部において得られたヒンダードアミン系光安定剤の分解物の濃度を定量する定量部と、を備えることを特徴としている。
本発明に係る分析システムでは、上記アルコールは、炭素数1〜4のアルコールであってもよい。
本発明に係る分析システムでは、上記アルコールは、メタノールであってもよい。
本発明に係る分析システムでは、上記流体は、水および二酸化炭素の少なくとも一方をさらに含んでいてもよい。
本発明に係る分析システムでは、上記流体におけるアルコールの含有量が70〜90%であってもよい。
本発明に係る分析システムでは、上記流体は、メタノールと水との混合物であってもよい。
本発明に係る分析システムでは、上記分解物は、カルボン酸エステルであってもよい。
本発明に係る分析システムでは、上記定量部は、ガスクロマトグラフ質量分析装置、液体クロマトグラフ質量分析装置または水素炎イオン化検出器付きガスクロマトグラフ装置であってもよい。
本発明は、簡便な操作および良好な定量性によってHALSを分析できるという効果を奏する。
本発明の一実施形態に係る分析システムを示す模式図である。 本願実施例5−1において得られたGC−MS TICクロマトグラムを示す図である。 本願実施例5−2において得られたGC−MS TICクロマトグラムを示す図である。 本願実施例5−3において得られたGC−MS TICクロマトグラムを示す図である。 本願実施例5−4において得られたGC−MS TICクロマトグラムを示す図である。 本願実施例5−5において得られたGC−MS TICクロマトグラムを示す図である。 本願実施例5−6において得られたGC−MS TICクロマトグラムを示す図である。 本願実施例5−7において得られたGC−MS TICクロマトグラムを示す図である。 本願実施例5−8において得られたGC−MS TICクロマトグラムを示す図である。
以下、本発明の実施の形態の一例について詳細に説明するが、本発明は、これらに限定されない。なお、本明細書において特記しない限り、数値範囲を表す「A〜B」は、「A以上、B以下」を意味する。
〔1.分析方法〕
本発明に係る分析方法は、ヒンダードアミン系光安定剤の分析方法であって、エステル結合を有するヒンダードアミン系光安定剤を含んだ試料とアルコールを含んだ流体とを、超臨界状態または亜臨界状態にて反応させる反応工程と、上記反応工程において得られた上記ヒンダードアミン系光安定剤の分解物の濃度を定量する定量工程と、を含む。
<1−1.反応工程>
当該反応工程は、エステル結合を有するヒンダードアミン系光安定剤を含んだ試料とアルコールを含んだ流体とを、高温高圧下にて反応させる工程である。
本発明に係る分析方法において分析対象となるヒンダードアミン系光安定剤は、エステル結合を有している。そのため、当該反応工程において、ヒンダードアミン系光安定剤のエステル結合を選択的に開裂し、得られた分解物を後述の定量工程において分析することができる。
上記エステル結合を有するヒンダードアミン系光安定剤としては、特に限定されないが、例えば、下記式(I)〜(V)の化合物が挙げられる。
Figure 0006486171
(ここで、nは1以上の整数を示す。)
Figure 0006486171
Figure 0006486171
Figure 0006486171
Figure 0006486171
上記式(I)の化合物は、Tinuvin(登録商標) 622(BASF社製)である。上記式(II)の化合物は、Tinuvin(登録商標) 123(BASF社製)である。上記式(III)の化合物は、Sanol(登録商標) LS−2626(三共ライフテック株式会社製)である。上記式(IV)の化合物は、アデカスタブ(登録商標) LA−52(株式会社ADEKA製)である。上記式(V)の化合物は、アデカスタブ(登録商標) LA−57(株式会社ADEKA製)である。
その他にも、エステル結合を有するヒンダードアミン系光安定剤としては、Tinuvin(登録商標) 144(BASF社製)、Sanol(登録商標) LS−765(三共ライフテック株式会社製)、Sanol(登録商標) LS−770(三共ライフテック株式会社製)、アデカスタブ(登録商標) LA−62(株式会社ADEKA製)、アデカスタブ(登録商標) LA−63(株式会社ADEKA製)、アデカスタブ(登録商標) LA−67(株式会社ADEKA製)、アデカスタブ(登録商標) LA−68(株式会社ADEKA製)等が挙げられる。
なお、ヒンダードアミン系光安定剤を含んだ試料とは、ヒンダードアミン系光安定剤からなるものであってもよく、その他の有機化合物等が含まれた組成物であってもよい。当該組成物に含まれ得る有機化合物としては、特に限定されないが、ポリプロピレン、ポリエチレン、ナイロン、ABS樹脂(アクリロニトリル/ブタジエン/スチレン共重合体)等が挙げられる。
また、上記組成物には、ヒンダードアミン系光安定剤以外の添加剤が含まれていてもよい。本発明の分析方法によれば、ヒンダードアミン系光安定剤のエステル結合を選択的に開裂することにより得られた分解物を定量するため、ヒンダードアミン系光安定剤以外の添加剤が試料に含まれている場合であっても、ヒンダードアミン系光安定剤を選択的に分析できる。
上記流体は、ヒンダードアミン系光安定剤を分解するための溶媒(反応溶媒)である。上記流体は、アルコールを含んでいる。そのため、上記反応工程において、ヒンダードアミン系光安定剤のエステル結合を選択的に開裂することができる。
上記アルコールは、特に限定されないが、炭素数1〜4のアルコールであることが好ましく、炭素数1〜3のアルコールであることがより好ましい。上記炭素数であれば、実用性およびアルコールの臨界点などの観点から好ましい。例えば、上記アルコールとしては、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール等が挙げられる。なかでも、メタノールまたはイソプロパノールが好ましく、メタノールがより好ましい。上記アルコールがメタノールである場合、後述の定量工程において特に良好な定量性を示すため、好ましい。なお、本明細書において、「良好な定量性」とは、正確な定量が可能であり、回収率が高く、また、再現性も良いことを意味する。
上記流体は、アルコールからなる流体であってもよく、他の成分を含んでいてもよい。他の成分としては、水、二酸化炭素等が挙げられる。例えば、上記流体は、水および二酸化炭素の少なくとも一方をさらに含んでいてもよい。上記流体がメタノールと水との混合物である場合、後述の実施例に示すように、特に良好な定量性を示すため、好ましい。
上記流体におけるアルコールの含有量は、50〜100体積%であることが好ましく、50〜90体積%であることがより好ましく、70〜90体積%であることが特に好ましい。上記流体がメタノールと水との混合物である場合、メタノール/水の混合比(体積比)は、50/50〜900/10であることが好ましく、70/30〜90/10であることがより好ましい。
アルコールの含有量が50〜90%である場合、回収率が高く好ましい。また、アルコールの含有量が70%以上である場合、定量値および/または回収率が安定しており、再現性が良好であるため、好ましい。特に後述の定量工程にてGC−MSを用いる場合、良好な定量性を得るという観点からはアルコールの含有量が70〜100%であることが好ましく、70〜90%であることがより好ましい。
上記ヒンダードアミン系光安定剤を含んだ試料と上記流体とを後述の高温高圧下にて反応させることにより、上記ヒンダードアミン系光安定剤の分解物を得ることができる。当該分解物は、ヒンダードアミン系光安定剤のエステル結合が開裂されることにより生じる。当該分解物としては、例えば、カルボン酸エステルおよびアミン等が挙げられる。
上記式(I)の化合物を含んだ試料とメタノールを含んだ流体とを反応させた場合に得られる分解物としては、例えば、カルボン酸エステルである下記式(a)の化合物およびアミンである下記式(b)の化合物が挙げられる。
Figure 0006486171
上記式(a)の化合物はコハク酸ジメチルである。ここで、例えば、上記式(I)の化合物とイソプロパノールを含んだ流体とを反応させた場合には、コハク酸ジイソプロピルが得られる。
上記式(II)の化合物を含んだ試料とメタノールを含んだ流体とを反応させた場合に得られる分解物としては、例えば、アミンである下記式(c)〜(f)の化合物、カルボン酸エステルである下記式(g)および(h)の化合物、ならびにオクテン異性体が挙げられる。
Figure 0006486171
Figure 0006486171
上記式(III)の化合物を含んだ試料とメタノールを含んだ流体とを反応させた場合に得られる分解物としては、例えば、アミンである上記式(e)の化合物に加え、アミンである下記式(i)および(j)の化合物、ならびにカルボン酸エステルである下記式(k)〜(o)の化合物が挙げられる。
Figure 0006486171
Figure 0006486171
上記式(IV)または(V)の化合物を含んだ試料とメタノールを含んだ流体とを反応させた場合に得られる分解物としては、例えば、アミンである上記式(c)、(d)および(f)の化合物に加え、カルボン酸エステルである下記式(p)の化合物、および下記式(q)の化合物が挙げられる。
Figure 0006486171
もちろん、ヒンダードアミン系光安定剤の分解物はこれらに限定されず、上記ヒンダードアミン系光安定剤および上記アルコールの構造等によって様々な化合物が得られる。
上記反応工程は、例えば、容器内にヒンダードアミン系光安定剤を含んだ試料とアルコールを含んだ流体とを入れて密閉した後、当該密閉された容器を加熱することによって行うことができる。当該密閉された容器の内部容積は特に限定されず、内部に入れるヒンダードアミン系光安定剤を含んだ試料およびアルコールを含んだ流体の量に応じて適宜設定すればよい。容器の内部容積は、例えば、0.1〜0.5cmであってもよく、0.5〜1.0cmであってもよく、1.0〜1.5cmであってもよい。
密閉された容器に入れられる流体の量も特に限定されず、上記容器の内部容積に応じて適宜設定することができる。例えば、容器の内部容積が0.1〜0.5cmである場合には、流体の量は20〜200μLであることが好ましく、35〜180μLであることがより好ましい。また、容器の内部容積が0.5〜1.0cmである場合には、流体の量は150〜400μLであることが好ましく、180〜360μLであることがより好ましい。容器の内部容積が1.0〜1.5cmである場合には、流体の量は300〜600μLであることが好ましく、360〜540μLであることがより好ましい。上記の量であれば、効率的に反応を進めることができる。
また、ヒンダードアミン系光安定剤を含んだ試料の量も特に限定されず、上記容器の内部容積に応じて適宜設定することができる。例えば、容器の内部容積が0.1〜0.5cmである場合には、試料の量は2〜13mgであることが好ましく、2〜11mgであることがより好ましい。また、容器の内部容積が0.5〜1.0cmである場合には、試料の量は9〜25mgであることが好ましく、11〜22mgであることがより好ましい。容器の内部容積が1.0〜1.5cmである場合には、試料の量は20〜50mgであることが好ましく、22〜45mgであることがより好ましい。上記の量であれば、効率的に反応を進めることができる。
上記容器の材質は特に限定されず、内部空間を高温にできるとともに耐熱性を有するものであればよい。上記容器は、例えば、容器の内壁面がニッケル合金、金合金、マグネシウム合金、コバルト合金、アルミ合金、銅合金、合金鋼または鉄合金からなるものであってもよい。上記容器としては、一般的に使用されているSUS製の容器を使用することが可能である。
上記ヒンダードアミン系光安定剤を含んだ試料と上記流体とは、超臨界状態または亜臨界状態にて反応させられる。なお、本明細書において、超臨界状態とは、流体に含まれるアルコールの臨界点を超える高温高圧下にある状態を意味し、臨界温度は当該アルコールの臨界点における温度を意味し、臨界圧力は当該アルコールの臨界点における圧力を意味する。また、本明細書において、臨界点とは、物質の気相−液相間の境界がなくなる点を意味する。さらに、本明細書において、亜臨界状態とは、温度および圧力の少なくとも一方が臨界点以下であるが、高温高圧下にある状態を意味する。具体的には、亜臨界状態とは、温度がアルコールの蒸気圧曲線上の沸点以上臨界温度以下、および/または圧力がアルコールの蒸気圧曲線上の沸点における圧力以上臨界圧力以下であることを意味する。
上記ヒンダードアミン系光安定剤を含んだ試料と上記流体とを反応させる反応温度は、当該流体に含まれるアルコールが超臨界状態または亜臨界状態となる温度であればよく、臨界温度−50℃〜臨界温度+200℃であることが好ましく、臨界温度〜臨界温度+150℃であることがより好ましく、臨界温度+50℃〜臨界温度+100℃であることが特に好ましい。また、上記ヒンダードアミン系光安定剤を含んだ試料と上記流体とを反応させる圧力は、当該流体に含まれるアルコールが超臨界状態または亜臨界状態となる圧力であればよく、臨界圧力〜臨界圧力+15MPaであることが好ましく、臨界圧力〜臨界圧力+10MPaであることがより好ましく、臨界圧力+2MPa〜臨界圧力+8MPaであることが特に好ましい。上述の容器を使用する場合は、容器内が上記反応温度となるように加熱すればよい。
上記反応条件であれば、アルコールを含んだ流体を超臨界状態または亜臨界状態とすることができる。そのため、上記ヒンダードアミン系光安定剤を含んだ試料と上記流体とを効率的に反応させることができる。
例えば、メタノールの臨界温度は239℃であり、臨界圧力は8.1MPaである。従って、流体がメタノールを含んでいる場合の反応温度は200〜439℃であることが好ましく、239〜389℃であることがより好ましく、289〜339℃であることがさらに好ましい。流体がメタノールを含んでいる場合の反応圧力は8.1〜18.1MPaであることが好ましく、10.1〜16.1MPaであることがより好ましい。また、イソプロパノールの臨界温度は235℃であり、臨界圧力は5.37MPaである。従って、流体がイソプロパノールを含んでいる場合の反応温度は200〜435℃であることが好ましく、235〜385℃であることがより好ましく、285〜335℃であることがさらに好ましい。流体がイソプロパノールを含んでいる場合の反応圧力は5.4〜19.3MPaであることが好ましく、8.3〜17.3MPaであることがより好ましく、10.3〜15.3MPaであることがさらに好ましい。なお、水の臨界温度は374℃であり、臨界圧力は22MPaである。流体が混合物であることも考慮すれば、反応温度は300〜400℃であってもよく、反応圧力は10MPa以上であってもよい。
当該反応工程においては、100〜200℃から徐々に昇温した後、上記反応温度としてもよい。昇温速度としては、例えば、10〜30℃/分であってもよく、15〜25℃/分であってもよい。また、上記反応温度に達した後、30〜180分ホールドすることが好ましく、60〜120分ホールドすることがより好ましい。当該条件によれば、十分に反応を進行させることができる。本発明の分析方法によれば、前処理および測定を数時間で完了することができる。すなわち、本発明の分析方法によれば、従来技術に比べて極めて短時間で分析を行うことができる。
容器を加熱するための構成は特に限定されず、適宜、公知のヒーター、焼却炉またはサンドバス等を用いればよい。また、容器を加熱するために、ガスクロマトグラフ装置のオーブン等を使用してもよい。
上記反応温度にて所定の時間ホールドしたら、室温に冷却した後、得られた分解物を後述する定量工程で用いればよい。
当該反応工程では、上記ヒンダードアミン系光安定剤を含んだ試料と上記流体とを高温高圧下にて反応させるのみである。そして、当該反応工程は、例えば、容器内に上記ヒンダードアミン系光安定剤を含んだ試料と上記流体とを入れて加熱することで実現できる。すなわち、煩雑な前処理が必要な従来技術に比べて、本発明の分析方法は、簡便な操作にて実施することができる。
<1−2.定量工程>
当該定量工程は、上記反応工程において得られた上記ヒンダードアミン系光安定剤の分解物の濃度を定量する工程である。
上述のように分解物としては、カルボン酸エステルおよびアミン等が得られる。当該定量工程では、得られた分解物の全てを用いてもよいし、一部を用いてもよい。なお、当該定量工程では、カルボン酸エステルを用いた場合、より良好な定量性にて分析を行うことができるため、好ましい。
当該定量工程において用いる定量方法は、上記分解物の種類や反応溶媒となる流体の種類に応じて適宜選択することができる。例えば、定量工程は、ガスクロマトグラフ質量分析法(GC−MS)、液体クロマトグラフ質量分析法(LC−MS)、水素炎イオン化検出器付きガスクロマトグラフ法(GC−FID)等によって行うことができる。なかでも、分析対象範囲が広く、かつSIM測定により微量成分の検出が可能という観点からは、GC−MSによる定量が好ましい。
これらの定量方法は、当業者にとって周知の技術であるため、その詳細な説明は省略する。例えば、ヒンダードアミン系光安定剤の標準品を用いてまず検量線を作成した後、定量したい試料を分析し、ヒンダードアミン系光安定剤の濃度を測定すればよい。
なお、上記定量方法において、選択イオンモニタリング(Selected Ion Monitering;SIM)を用いてもよい。この場合、選択イオンとしては、上記分解物の一部を用いればよく、例えばカルボン酸エステルを用いてもよい。例えば、上述の式(I)の化合物を、メタノールを含んだ流体と反応させた場合、コハク酸ジメチルを選択イオンとしてもよい。また、上述の式(I)の化合物を、イソプロパノールを含んだ流体と反応させた場合、コハク酸ジイソプロピルを選択イオンとしてもよい。
本発明の分析方法は、上述の反応工程にて、ヒンダードアミン系光安定剤のエステル結合を開裂した結果得られた分解物を対象として定量を行う。そのため、従来技術に比べて、良好な定量性によってヒンダードアミン系光安定剤を分析することができる。
〔2.分析システム〕
本発明に係る分析システムを、図1を用いて以下に説明する。本発明に係る分析システムは、上記〔1.分析方法〕の欄で説明した方法を実施するためのシステムである。そのため、重複する構成に関しては、ここではその説明を省略する。
本発明に係る分析システムは、ヒンダードアミン系光安定剤の分析システムであって、エステル結合を有するヒンダードアミン系光安定剤を含んだ試料2とアルコールを含んだ流体3とを、超臨界状態または亜臨界状態にて反応させる反応部4と、反応部4において得られたヒンダードアミン系光安定剤の分解物5の濃度を定量する定量部6と、を備える。
<2−1.反応部>
反応部4の構成は、ヒンダードアミン系光安定剤を含んだ試料2とアルコールを含んだ流体3とを、超臨界状態または亜臨界状態にて反応させることができる構成であれば特に限定されない。
ここで、試料2および流体3は、容器1内に入れられてもよい。容器1は、その内部に試料2と流体3とを入れて密閉した後、加熱できる構成であればよい。容器1としては、上述の<1−1.反応工程>にて説明した容器を使用することができる。図1に示すように、内部に試料2と流体3とが入れられた容器1は、反応部4に収納された後、反応部4によって加熱される。
反応部4としては、上述の<1−1.反応工程>にて説明した「容器を加熱するための構成」を使用できる。すなわち、反応部4としては、公知のヒーター、焼却炉、サンドバス、ガスクロマトグラフ装置のオーブン等を使用できる。反応部4における反応温度等の条件は、上述の<1−1.反応工程>にて説明した反応条件を用いることができる。
反応部4において、試料2と流体3とを反応させることにより、ヒンダードアミン系光安定剤のエステル結合を選択的に開裂することができる。その結果、ヒンダードアミン系光安定剤の分解物5を得ることができる。
反応部4では、試料2と流体3とを高温高圧下にて反応させるのみである。具体的には、反応部4においては、例えば、試料2と流体3とを入れた容器1を加熱することで反応を実現できる。すなわち、煩雑な前処理が必要な従来技術に比べて、本発明の分析システムは、簡便な操作にて分析を行うことができる。
また、本発明の分析システムによれば、前処理および測定を数時間で完了することができる。すなわち、本発明の分析システムによれば、従来技術に比べて極めて短時間で分析を行うことができる。
<2−2.定量部>
定量部6では、反応部4において得られたヒンダードアミン系光安定剤の分解物5の濃度が定量される。
定量部6は、上述の<1−2.定量工程>にて説明した定量方法を行うことができる構成であれば、特に限定されない。つまり、定量部6としては、例えば、ガスクロマトグラフ質量分析装置、液体クロマトグラフ質量分析装置、水素炎イオン化検出器付きガスクロマトグラフ装置等が使用できる。なかでも、分析対象範囲が広く、かつSIM測定により微量成分の検出が可能という観点からは、定量部6がガスクロマトグラフ質量分析装置であることが好ましい。
本発明の分析システムは、上述の反応部4においてヒンダードアミン系光安定剤のエステル結合を開裂した結果得られた分解物5を対象として定量を行う。そのため、従来技術に比べて、良好な定量性によってヒンダードアミン系光安定剤を分析することができる。
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
以下、実施例に従って本発明を説明するが、本発明は実施例に限定されて解釈されるものではない。
〔実施例1.反応条件の検討〕
HALSの一つであるTinuvin 622を用いて、本発明の分析方法の反応条件を検討した。
(実施例1−1)
まず、Tinuvin 622の標準品を用いて検量線を作成した。SUS管(外径1/4’’(6.25mm)、肉厚1.24mm、長さ10cm、西尾工業株式会社製)に、Tinuvin 622の標準品5mgと、反応溶媒(メタノール)400μLとを加え、SUS管を密封した。当該SUS管を、ガスクロマトグラフィー用オーブン(株式会社島津製作所製)内に配置し、100℃から20℃/分にて300℃まで昇温し、60分間ホールドした。その後、SUS管を室温まで冷却し、開封した。得られた分解反応液を、メタノールを用いて5mLに定容した(1000μg/mL)。得られた希釈液を更に10倍希釈した(100μg/mL)。また、得られた希釈液を更に10倍希釈した(10μg/mL)。これらの希釈液を用いて、常法に従ってGC−MS測定を行い、検量線を作成した。なお、SIM選択イオンとしてコハク酸ジメチルを用いた。
次にTinuvin 622含有濃度が既知である試料を用いて分析を行った。SUS管に、Tinuvin 622含有ポリプロピレン25mg(Tinuvin 622含有量:0.15wt%)と、反応溶媒(メタノール)400μLとを加え、SUS管を密封した。当該SUS管を、ガスクロマトグラフィー用オーブン内に配置し、100℃から20℃/分にて300℃まで昇温し、60分間ホールドした。その後、SUS管を室温まで冷却し、開封した。得られた分解反応液を用いて上述の条件にてGC−MS測定を行った。測定は4回反復して行った。
(実施例1−2)
反応溶媒(メタノール/水=70/30)を用いたこと以外は、実施例1−1と同様の条件にてGC−MS測定を行った。測定は3回反復して行った。
(実施例1−3)
反応溶媒(イソプロパノール)を用いたこと、および、SIM選択イオンとしてm/z=101のコハク酸ジイソプロピルを用いたこと以外は、実施例1−1と同様の条件にてGC−MS測定を行った。測定は3回反復して行った。
(実施例1−4)
分解の際のホールド時間を120分間としたこと以外は、実施例1−1と同様の条件にてGC−MS測定を行った。測定は3回反復して行った。
(結果)
実施例1−1〜1−4の結果を表1に示す。
Figure 0006486171
いずれの条件においても70%を超える回収率が得られた。特に、反応溶媒(メタノール/水=70/30)を用いた実施例1−2では高い回収率を示した。
〔実施例2.反応溶媒の検討〕
本発明の分析方法において、Tinuvin 622含有濃度が既知である試料を用いて、メタノール/水の混合比を変更して分析を行った。
(実施例2−1)
実施例1−1と同様の条件にてGC−MS測定を行った。
(実施例2−2)
メタノール/水の混合比が90/10である反応溶媒を用いたこと以外は実施例1−1と同様の条件にてGC−MS測定を行った。
(実施例2−3)
メタノール/水の混合比が80/20である反応溶媒を用いたこと以外は実施例1−1と同様の条件にてGC−MS測定を行った。
(実施例2−4)
メタノール/水の混合比が70/30である反応溶媒を用いたこと以外は実施例1−1と同様の条件にてGC−MS測定を行った。
(実施例2−5)
メタノール/水の混合比が60/40である反応溶媒を用いたこと以外は実施例1−1と同様の条件にてGC−MS測定を行った。測定は2回反復して行った。
(実施例2−6)
メタノール/水の混合比が50/50である反応溶媒を用いたこと以外は実施例1−1と同様の条件にてGC−MS測定を行った。測定は2回反復して行った。
(結果)
実施例2−1〜2−6の結果を表2に示す。
Figure 0006486171
メタノールの比率が70%以上である場合は、定量値は正確であり、回収率が100%に近く、またバラツキも少なかった。また、メタノール100%である流体に比べ、メタノールの比率が70%以上90%以下である場合は、より正確に定量でき、また回収率は100%であった。
〔実施例3.再現性の検討〕
本発明の分析方法を用いて複数回GC−MS測定を行い、再現性の確認を行った。
(実施例3−1)
実施例1−1と同様の条件にてGC−MS測定を行った。測定は4回反復して行った。
(実施例3−2)
メタノール/水の混合比が70/30である反応溶媒を用いたこと以外は実施例1−1と同様の条件にてGC−MS測定を行った。測定は3回反復して行った。
(結果)
実施例3−1〜3−2の結果を表3に示す。
Figure 0006486171
上記結果により、実施例3−1及び3−2のいずれの場合においても、安定した再現性を示すことがわかった。また、反応溶媒としてメタノールのみを使用した場合に比べ、メタノール/水の混合比が70/30である反応溶媒を使用した場合は、回収率が向上した。
〔実施例4.試料一般性の検討〕
本発明の分析方法において、Tinuvin 622含有濃度が既知であり、さらにHALS以外の添加剤を含んだ試料を用いて、分析を行った。
(実施例4−1)
試料としてTinuvin 622含有ポリプロピレン(Tinuvin 622含有量:0.15wt%、Irganox(登録商標) 1010(BASF社製)含有量:0.05wt%)を用いたこと以外は実施例1−1と同様の条件にてGC−MS測定を行った。
(実施例4−2)
試料としてTinuvin 622含有ポリプロピレン(Tinuvin 622含有量:0.15wt%、Irganox 1010含有量:0.05wt%、Irgafos(登録商標) 168(BASF社製)含有量:0.05wt%)を用いたこと以外は実施例1−1と同様の条件にてGC−MS測定を行った。
(実施例4−3)
試料としてTinuvin 622含有ポリプロピレン(Tinuvin 622含有量:0.15wt%、スミライザー(登録商標)GA−80(住友化学株式会社製)含有量:0.05wt%)を用いたこと以外は実施例1−1と同様の条件にてGC−MS測定を行った。
(実施例4−4)
試料としてTinuvin 622含有ポリプロピレン(Tinuvin 622含有量:0.15wt%、スミライザー GA−80含有量:0.05wt%、Irgafos 168含有量:0.05wt%)を用いたこと以外は実施例1−1と同様の条件にてGC−MS測定を行った。
(実施例4−5)
試料としてTinuvin 622含有ポリプロピレン(Tinuvin 622含有量:0.15wt%、スミライザー(登録商標)GP含有量(住友化学株式会社製):0.05wt%)を用いたこと以外は実施例1−1と同様の条件にてGC−MS測定を行った。
(結果)
実施例4−1〜4−5の結果を表3に示す。
Figure 0006486171
上記結果から、本発明の分析方法は、様々な添加剤を含んだ試料を用いた場合であっても、特定の分析対象の添加剤(HALS)を回収し、定量できることがわかった。
また、定量下限および直線性を算出した。定量下限は、以下の式(1)により定量値を求め、さらに重量%で表した。
定量値(μg/g)=測定溶液中の濃度(μg/mL)×定容量(mL)/試料量(g) (1)
ここで、測定溶液中の濃度(検出下限濃度)は10μg/mL、定容量は0.4mL(分解液原液を測定するため)、試料量は0.025gとした。
直線性は、実施例1−1と同様に標準品の分解液を10倍、100倍希釈したものを用いて3点検量線を作成し、この検量線についての相関係数として求めた。
この場合、定量下限は0.016重量%、直線性についてはR=1.000であった。従って、本発明の分析方法は、試料一般性、直線性ともに良好であることがわかった。
〔実施例5.他のHALSへの適用〕
本発明の分析方法において、Tinuvin 622以外のHALSを用いて、分析を行った。
(実施例5−1)
試料としてSanol LS−2626の標準品を用いて分析を行った。SUS管(外径1/4’’(6.25mm)、肉厚1.24mm、長さ10cm、西尾工業株式会社製)に、Sanol LS−2626標準品13mgと、反応溶媒(メタノール)400μLとを加え、SUS管を密封した。当該SUS管を、ガスクロマトグラフィー用オーブン(株式会社島津製作所製)内に配置し、100℃から20℃/分にて300℃まで昇温し、60分間ホールドした。その後、SUS管を室温まで冷却し、開封した。得られた分解反応液を用いて常法に従ってGC−MS測定を行った。
得られたGC−MS TICクロマトグラムを図2に示す。図2中のピークAは上記式(e)の化合物、ピークBは上記式(i)の化合物、ピークCは上記式(j)の化合物、ピークDは上記式(l)の化合物、ピークEは上記式(m)の化合物を示している。
(実施例5−2)
メタノール/水の混合比が70/30である反応溶媒を用いたこと以外は実施例5−1と同様の条件にてGC−MS測定を行った。
得られたGC−MS TICクロマトグラムを図3に示す。図3中のピークAは上記式(e)の化合物、ピークBは上記式(i)の化合物、ピークCは上記式(k)の化合物、ピークDは上記式(l)の化合物、ピークEは上記式(m)の化合物、ピークFは上記式(n)の化合物、ピークGは上記式(o)の化合物を示している。
(実施例5−3)
試料としてTinuvin 123の標準品を用いたこと以外は実施例5−1と同様の条件にてGC−MS測定を行った。
得られたGC−MS TICクロマトグラムを図4に示す。図4中のピークAはオクテン異性体、ピークBは上記式(c)の化合物、ピークCは上記式(d)の化合物、ピークDは上記式(e)の化合物、ピークEは上記式(f)の化合物、ピークFは上記式(g)の化合物を示している。
(実施例5−4)
試料としてTinuvin 123の標準品を用いたこと以外は実施例5−2と同様の条件にてGC−MS測定を行った。
得られたGC−MS TICクロマトグラムを図5に示す。図5中のピークAはオクテン異性体、ピークBは上記式(c)の化合物、ピークCは上記式(d)の化合物、ピークDは上記式(e)の化合物、ピークEは上記式(g)の化合物、ピークFは上記式(h)の化合物を示している。
(実施例5−5)
試料としてアデカスタブ LA−52の標準品を用いたこと以外は実施例5−1と同様の条件にてGC−MS測定を行った。
得られたGC−MS TICクロマトグラムを図6に示す。図6中のピークAは上記式(c)の化合物、ピークBは上記式(d)の化合物、ピークCは上記式(f)の化合物、ピークDは上記式(p)の化合物を示している。
(実施例5−6)
試料としてアデカスタブ LA−52の標準品を用いたこと以外は実施例5−2と同様の条件にてGC−MS測定を行った。
得られたGC−MS TICクロマトグラムを図7に示す。図7中のピークAは上記式(c)の化合物、ピークBは上記式(d)の化合物、ピークCは上記式(f)の化合物、ピークDは上記式(p)の化合物を示している。
(実施例5−7)
試料としてアデカスタブ LA−57の標準品を用いたこと以外は実施例5−1と同様の条件にてGC−MS測定を行った。
得られたGC−MS TICクロマトグラムを図8に示す。図8中のピークAは上記式(c)の化合物、ピークBは上記式(d)の化合物、ピークCは上記式(f)の化合物、ピークDは上記式(p)の化合物を示している。
(実施例5−8)
試料としてアデカスタブ LA−57の標準品を用いたこと以外は実施例5−2と同様の条件にてGC−MS測定を行った。
得られたGC−MS TICクロマトグラムを図9に示す。図9中のピークAは上記式(c)の化合物、ピークBは上記式(d)の化合物、ピークCは上記式(f)の化合物、ピークDは上記式(q)の化合物、ピークEは上記式(p)の化合物を示している。
(結果)
図2〜9に示すように、Tinuvin 622以外のHALSについても、本発明の分析方法によって分解することができ、分解物について分析することが可能であることがわかった。また、これらの分解物を用いれば定量分析を行うことも可能である。例えば、分解物のうち、カルボン酸エステルを選択イオンとしてGC−MSを行うことで、定量分析を行うことができる。
〔実施例6.亜臨界状態での反応〕
本発明の分析方法において、反応工程を亜臨界状態にて行ない、分析を行った。
(実施例6−1)
メタノール/水の混合比が70/30である反応溶媒を用いたこと、および、SUS管をガスクロマトグラフィー用オーブン内に配置し、100℃から20℃/分にて200℃まで昇温し、60分間ホールドしたこと以外は実施例1−1と同様の条件にてGC−MS測定を行った。
(実施例6−2)
SUS管をガスクロマトグラフィー用オーブン内に配置し、100℃から20℃/分にて220℃まで昇温し、60分間ホールドしたこと以外は実施例6−1と同様の条件にてGC−MS測定を行った。
(結果)
実施例6−1および6−2の結果を表5に示す。
Figure 0006486171
上記結果から、亜臨界状態においても反応が進行し、分析が可能であることが確認できた。なお、反応温度が高くなるに従い、回収率が上昇することが確認できた。
本発明は、種々の分野に用いられる樹脂中のHALSの分析に広く利用することができる。
1 ・・・容器
2 ・・・試料
3 ・・・流体
4 ・・・反応部
5 ・・・分解物
6 ・・・定量部

Claims (14)

  1. ヒンダードアミン系光安定剤の分析方法であって、
    エステル結合を有するヒンダードアミン系光安定剤を含んだ試料とアルコールを含んだ流体とを、超臨界状態または亜臨界状態にて反応させる反応工程と、
    上記反応工程において得られた上記ヒンダードアミン系光安定剤の分解物の濃度を定量する定量工程と、を含み、
    上記流体は、水および二酸化炭素の少なくとも一方をさらに含んでいることを特徴とする分析方法。
  2. 上記アルコールは、炭素数1〜4のアルコールであることを特徴とする請求項1に記載の分析方法。
  3. 上記アルコールは、メタノールであることを特徴とする請求項2に記載の分析方法。
  4. 上記流体におけるアルコールの含有量が70〜90%であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の分析方法。
  5. 上記流体は、メタノールと水との混合物であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の分析方法。
  6. 上記分解物は、カルボン酸エステルであることを特徴とする請求項1〜のいずれか1項に記載の分析方法。
  7. 上記定量工程において、ガスクロマトグラフ質量分析法、液体クロマトグラフ質量分析法または水素炎イオン化検出器付きガスクロマトグラフ法を用いて定量することを特徴とする請求項1〜のいずれか1項に記載の分析方法。
  8. ヒンダードアミン系光安定剤の分析システムであって、
    エステル結合を有するヒンダードアミン系光安定剤を含んだ試料とアルコールを含んだ流体とを、超臨界状態または亜臨界状態にて反応させる反応部と、
    上記反応部において得られたヒンダードアミン系光安定剤の分解物の濃度を定量する定量部と、を備え
    上記流体は、水および二酸化炭素の少なくとも一方をさらに含んでいることを特徴とする分析システム。
  9. 上記アルコールは、炭素数1〜4のアルコールであることを特徴とする請求項に記載の分析システム。
  10. 上記アルコールは、メタノールであることを特徴とする請求項に記載の分析システム。
  11. 上記流体におけるアルコールの含有量が70〜90%であることを特徴とする請求項8〜10のいずれか1項に記載の分析システム。
  12. 上記流体は、メタノールと水との混合物であることを特徴とする請求項8〜11のいずれか1項に記載の分析システム。
  13. 上記分解物は、カルボン酸エステルであることを特徴とする請求項8〜12のいずれか1項に記載の分析システム。
  14. 上記定量部は、ガスクロマトグラフ質量分析装置、液体クロマトグラフ質量分析装置または水素炎イオン化検出器付きガスクロマトグラフ装置であることを特徴とする請求項8〜13のいずれか1項に記載の分析システム。
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