本発明の第1実施形態に係るインクジェットプリンタ(以下、単に「プリンタ」という。)1は、図1に示すように、直方体形状の筐体1aと、筐体1aの一側面に設けられたカバー1bとを含む。筐体1a内には、搬送機構20及び制御ユニット100が配置されている。筐体1aの天板上部には、用紙受容部4が設けられている。また、筐体1aには、記録モジュール50a〜50c及び用紙収容部3がそれぞれ移動可能且つ着脱可能に支持されている。
用紙収容部3及び用紙受容部4は、葉書サイズ、A6サイズ、A4サイズ、レターサイズ、及びA3サイズを含む複数種類のサイズの用紙Pを、それぞれ複数枚収容及び受容可能である。用紙収容部3は、本発明に係る「記録媒体(用紙P)を収容するための記録媒体収容部」に該当する。
搬送機構20は、用紙Pを用紙収容部3から各記録モジュール50a〜50cを経由させて用紙受容部4まで搬送するように構成されており、上流搬送機構20x及び下流搬送機構20yを含む。上流搬送機構20xが、本発明に係る「搬送機構」に該当する。
上流搬送機構20xは、用紙Pを用紙収容部3から各記録モジュール50a〜50cまで搬送するように構成されており、給紙ローラ21、ローラ対22a〜22f、ガイド23a〜23g及び切替部28a,28bを含む。給紙ローラ21は、用紙収容部3内で最も上方にある用紙Pの表面と接触するように配置されている。各ローラ対22a〜22fは、互いに接触する2つのローラを含む。給紙ローラ21、及び、各ローラ対22a〜22fのうちの一方のローラは、制御ユニット100による制御の下、上流搬送モータ20xM(図3参照)の駆動により回転する駆動ローラである。各ローラ対22a〜22fのうち他方のローラは、上記一方のローラの回転に伴って回転する従動ローラである。各ローラ対22a〜22fにおいて、一方のローラ及び他方のローラは、用紙Pを挟持しつつ互いに逆方向に回転する。各ガイド23a〜23gは、その厚み方向に互いに離隔した一対のガイド板を含む。各ガイド23a〜23gの一対のガイド板間の空間、及び、各ローラ対22a〜22fのローラ同士の接触点によって、経路R1x〜R3xを含む上流経路が形成されている。
各経路R1x〜R3xは、用紙収容部3から各記録モジュール50a〜50cのモジュール内経路Ra〜Rcの上流端部まで延在している。経路R1x,R2xは、用紙収容部3から分岐位置A1まで互いに共通の部分を有し、分岐位置A1において分岐して、互いに異なる記録モジュール50a,50bに向かう。経路R2x,R3xは、用紙収容部3から分岐位置A2まで互いに共通の部分を有し、分岐位置A2において分岐して、互いに異なる記録モジュール50b,50cに向かう。
また、各経路に着目すると、経路R1xは、2つの分岐位置A1,A2を含み、且つ、用紙収容部3から分岐位置A2までの経路R2x,R3xと共有される共通部分と、分岐位置A2から分岐位置A1までの経路R2xと共有される共通部分と、分岐位置A1から記録モジュール50aまでの他のいずれの経路とも共有されない個別部分とを含む。経路R2xは、2つの分岐位置A1,A2を含み、且つ、用紙収容部3から分岐位置A2までの経路R1x,R3xと共有される共通部分と、分岐位置A2から分岐位置A1までの経路R1xと共有される共通部分と、分岐位置A1から記録モジュール50bまでの他のいずれの経路とも共有されない個別部分とを含む。経路R3xは、1つの分岐位置A2を含み、且つ、用紙収容部3から分岐位置A2までの経路R1x,R2xと共有される共通部分と、分岐位置A2から記録モジュール50cまでの他のいずれの経路とも共有されない個別部分とを含む。
切替部28a,28bは、それぞれ、分岐位置A1,A2において用紙Pの搬送先を切り替えるためのものである。具体的には、切替部28aは、分岐位置A1において用紙Pの搬送先を経路R1xの個別部分と経路R2xの個別部分とのいずれかに切り替えるように構成されている。切替部28bは、分岐位置A2において用紙Pの搬送先を経路R1x,R2xの共通部分と経路R3xの個別部分とのいずれかに切り替えるように構成されている。
切替部28a,28bは、それぞれ、揺動部材28a1,28b1及び切替モータ28aM,28bM(図3参照)を含む。揺動部材28a1,28b1は、それぞれ、軸28ax,28bxを中心として揺動可能であり、制御ユニット100による制御の下、切替モータ28aM,28bMが駆動されることで、図1に実線で示す鉛直位置及び図1に点線で示す傾斜位置を選択的に取ることが可能である。
揺動部材28a1が鉛直位置にあるとき、分岐位置A1において、経路R1xの個別部分は開放され、経路R2xの個別部分は閉塞される。したがって、用紙収容部3から分岐位置A1まで搬送された用紙Pは、経路R1xの個別部分に導かれ、記録モジュール50aに向けて搬送される。揺動部材28a1が傾斜位置にあるとき、分岐位置A1において、経路R1xの個別部分は閉塞され、経路R2xの個別部分は開放される。したがって、用紙収容部3から分岐位置A1まで搬送された用紙Pは、経路R2xの個別部分に導かれ、記録モジュール50bに向けて搬送される。
揺動部材28b1が鉛直位置にあるとき、分岐位置A2において、経路R1x,R2xの共通部分は開放され、経路R3xの個別部分は閉塞される。したがって、用紙収容部3から分岐位置A2まで搬送された用紙Pは、経路R1x,R2xの共通部分に導かれ、分岐位置A1に向けて搬送される。揺動部材28b1が傾斜位置にあるとき、分岐位置A2において、経路R1x,R2xの共通部分は閉塞され、経路R3xの個別部分は開放される。したがって、用紙収容部3から分岐位置A2まで搬送された用紙Pは、経路R3xの個別部分に導かれ、記録モジュール50cに向けて搬送される。
各経路R1x〜R3xの個別部分に対向する位置に、用紙センサ6a〜6cが配置されている。各用紙センサ6a〜6cは、検知位置6ax〜6cxにおける用紙Pの有無を示す信号を出力するものであり、当該検知位置6ax〜6cxに用紙Pが有るときにON信号、用紙Pが無いときにOFF信号を出力する。各検知位置6ax〜6cxは、当該経路R1x〜R3xの個別部分の下流端部に定められている。
下流搬送機構20yは、各記録モジュール50a〜50cから搬送された用紙Pを用紙受容部4まで搬送するように構成されており、ローラ対25a〜25d及びガイド26a〜26dを含む。各ローラ対25a〜25dは、互いに接触する2つのローラを含む。各ローラ対25a〜25dのうちの一方のローラは、制御ユニット100による制御の下、下流搬送モータ20yM(図3参照)の駆動により回転する駆動ローラである。各ローラ対25a〜25dのうち他方のローラは、上記一方のローラの回転に伴って回転する従動ローラである。各ローラ対25a〜25dにおいて、一方のローラ及び他方のローラは、用紙Pを挟持しつつ互いに逆方向に回転する。各ガイド26a〜26dは、その厚み方向に互いに離隔した一対のガイド板を含む。各ガイド26a〜26dの一対のガイド板間の空間、及び、各ローラ対25a〜25dのローラ同士の接触点によって、経路R1y〜R3yを含む下流経路が形成されている。
各経路R1y〜R3yは、各記録モジュール50a〜50cのモジュール内経路Ra〜Rcの下流端部から用紙受容部4まで延在している。経路R1y,R2yは、互いに異なる記録モジュール50a,50bから延在し、合流位置B1において合流して、合流位置B1から用紙受容部4まで互いに共通の部分を有する。経路R2y,R3yは、互いに異なる記録モジュール50b,50cから延在し、合流位置B2において合流して、合流位置B2から用紙受容部4まで互いに共通の部分を有する。
また、各経路に着目すると、経路R1yは、1つの合流位置B1を含み、且つ、記録モジュール50aから合流位置B1までの他のいずれの経路とも共有されない個別部分と、合流位置B1から用紙受容部4までの経路R2y,R3yと共有される共通部分とを含む。経路R2yは、2つの合流位置B1,B2を含み、且つ、記録モジュール50bから合流位置B2までの他のいずれの経路とも共有されない個別部分と、合流位置B2から合流位置B1までの経路R3yと共有される共通部分と、合流位置B1から用紙受容部4までの経路R1y,R3yと共有される共通部分とを含む。経路R3yは、2つの合流位置B1,B2を含み、且つ、記録モジュール50cから合流位置B2までの他のいずれの経路とも共有されない個別部分と、合流位置B2から合流位置B1までの経路R2yと共有される共通部分と、合流位置B1から用紙受容部4までの経路R1y,R2yと共有される共通部分とを含む。
カバー1bは、鉛直方向に沿った軸1bxを中心として筐体1aに対して移動可能(回動可能)に取り付けられており、記録モジュール50a〜50cを筐体1aの外部に露出させて記録モジュール50a〜50cを筐体1aに対して移動可能とする開位置(図1に一点鎖線で示す位置)、及び、記録モジュール50a〜50cを覆って記録モジュール50a〜50cを筐体1aに対して移動不能とする閉位置(図1に実線で示す位置)を選択的に取ることが可能である。記録モジュール50a〜50cの筐体1aに対する移動や着脱は、カバー1bを開位置に保持した状態で行われる。鉛直方向において、カバー1bの長さHbは、記録モジュール50a〜50c全体の長さH以上である。また、カバー1bには、下流搬送機構20yの構成要素のうちローラ対25dを除く構成要素が設けられている。
記録モジュール50a〜50cは、鉛直方向に並んで配置されている。換言すると、筐体1aは、記録モジュール50a〜50cを鉛直方向に並列に支持している。鉛直方向において、記録モジュール50a〜50cのうち、記録モジュール50aが、用紙収容部3から最も遠く且つ用紙受容部4に最も近い位置にある。鉛直方向において、記録モジュール50a〜50cのうち、記録モジュール50cが、用紙収容部3に最も近く且つ用紙受容部4から最も遠い位置にある。
なお、本実施形態において、鉛直方向は、主走査方向及び副走査方向と直交する方向である。副走査方向は、水平面に平行で、且つ、経路R1x〜R3xの下流部分、モジュール内経路Ra〜Rc、及び経路R1y〜R3yの上流部分と平行な方向である。主走査方向は、水平面に平行で、且つ、副走査方向と直交する方向である。
記録モジュール50a〜50cは、互いに同じ構成であり、それぞれ、モジュール筐体5と、モジュール筐体5内に収容された、インクジェットヘッド(以下、単に「ヘッド」という。)51、キャリッジ52、キャリッジ移動機構52x、モジュール搬送機構53、プラテン54、キャップ55、インク収容部57、基板58及び連動機構59とを含む(図1及び図2(a)〜(c)参照)。各記録モジュール50a〜50cは、さらに、ロック機構60を含む(図6(a),(b)参照)。
ヘッド51は、本発明に係る「液体吐出部」に該当する。ヘッド51は、シリアル式であって、キャリッジ52を介して筐体1aに支持されている。ヘッド51の上面はキャリッジ52に固定されており、ヘッド51の下面は複数の吐出口51b(図2(a)参照)が開口した吐出面51aである。制御ユニット100による制御の下、吐出口51bから所望タイミングでインクが吐出されることで、用紙Pに画像が記録される。なお、図2(a)では、キャリッジ52の下方にあって点線で示すべき吐出口51bを実線で描いている。
キャリッジ移動機構52xは、図2(a)〜(c)に示すように、ガイド52g1,52g2、プーリ52p1,52p2、ベルト52b及びキャリッジモータ52Mを含む。ガイド52g1,52g2は、鉛直方向から見て矩形の形状を有し、副走査方向に互いに離隔している。ガイド52g1,52g2は、ヘッド51の上部を挟み、且つ、キャリッジ52の副走査方向両端を主走査方向にスライド可能に支持している。プーリ52p1,52p2は、ガイド52g2の主走査方向一端及び他端にそれぞれ回転可能に支持されている。プーリ52p1,52p2は、直径が互いに同じであり、副走査方向に関して互いに同じ位置に配置されている。ベルト52bは、プーリ52p1,52p2に架け渡されたエンドレスベルトであり、プーリ52p1,52p2の回転に伴って走行する。キャリッジ52は、ベルト52bに固定されている。キャリッジモータ52Mは、鉛直方向に長尺な円柱形状を有し、ガイド52g2の下面に固定されている。キャリッジモータ52Mの回転軸は、プーリ52p1に取り付けられており、鉛直方向に延在している。プーリ52p1は、駆動プーリであり、制御ユニット100による制御の下、キャリッジモータ52Mの駆動により正逆回転する。これに伴い、ベルト52bが走行する。プーリ52p2は、従動プーリであり、ベルト52bの走行に伴って回転する。このようなキャリッジ移動機構52xの各部の動作に伴い、キャリッジ52がヘッド51を支持しつつ主走査方向に往復移動する。
モジュール搬送機構53は、用紙Pをモジュール内経路Ra〜Rcに沿って搬送方向D(副走査方向と平行な方向)に間欠的に搬送するように構成されており、ローラ対53a,53b及びモジュール搬送モータ53M(図3参照)を含む。ローラ対53aは、ヘッド51よりも搬送方向Dの上流に配置されている。ローラ対53bは、ヘッド51よりも搬送方向Dの下流に配置されている。各ローラ対53a,53bは、互いに接触する2つのローラを含む。各ローラ対53a,53bのうちの一方のローラは、制御ユニット100による制御の下、モジュール搬送モータ53Mの駆動により回転する駆動ローラである。各ローラ対53a,53bのうちの他方のローラは、上記一方のローラの回転に伴って回転する従動ローラである。各ローラ対53a,53bにおいて、一方のローラ及び他方のローラは、用紙Pを挟持しつつ互いに逆方向に回転する。これにより、用紙Pが搬送方向Dに搬送される。各ローラ対53a,53bのローラ同士の接触点によって、吐出面51aと対向する位置を通過するように、モジュール内経路Ra〜Rcが形成されている。
プラテン54は、ローラ対53a,53bの間であって、吐出面51aと対向する位置に配置されている。プラテン54の上面は、用紙Pを支持するための支持面54aであり、吐出面51aとの間に記録に適した間隙を形成している。
ローラ対53a,53b及びプラテン54は、一対のフランジ56によって支持されている。一対のフランジ56は、副走査方向に延在し、主走査方向に互いに離隔している。
キャップ55は、図2(a)に示すように、ヘッド51のキャッピング位置(キャリッジ52によるヘッド51の可動範囲における主走査方向一端)の下方に配置されており、吐出面51aを封止することが可能な凹状の部材である。キャップ55によって吐出面51aが封止されることで、吐出口51b近傍の乾燥が防止され、吐出性能の悪化が抑制される。制御ユニット100は、例えば記録指令を所定時間以上受信しない場合に、キャリッジ移動機構52xを駆動させ、ヘッド51をキャッピング位置に配置する。このときキャップ55は封止位置(吐出面51aを封止する位置)を取る。また、制御ユニット100は、キャップ55が封止位置にあるときに記録指令を受信した場合、キャリッジ移動機構52xを駆動させ、ヘッド51をキャッピング位置から退避させて主走査方向に往復移動させる。このときキャップ55は吐出面51aを封止しない非封止位置を取る。つまり、キャリッジ移動機構52xは、本発明に係る「キャップ55が封止位置及び非封止位置を選択的に取るようにヘッド51及びキャップ55の少なくとも一方を移動させるための移動機構」に該当する。
インク収容部57は、インクを収容し、且つ、大気と連通している。また、インク収容部57は、チューブ(図示略)を介してヘッド51と連通している。インク収容部57内に収容されたインクは、制御ユニット100による制御の下、インク供給ポンプ57P(図3参照)の駆動により、チューブを介してヘッド51に供給される。インク収容部57は、本発明に係る「液体収容部」に該当する。
基板58には、メモリ58M(図3参照)が実装されている。メモリ58Mは、当該記録モジュール50a〜50c独自の情報(製造年月日等)を記憶してよい。
連動機構59は、キャリッジ移動機構52xと連動してヘッド51を主走査方向に移動させる機構であり、プーリ52p2の上面に固定されたギヤ59aと、ギヤ59aに噛合するギヤ59bと、ギヤ59bに噛合するギヤ59cと、ギヤ59cに噛合可能なギヤ59dを有する操作部材59xとを含む。操作部材59xは、ユーザにより操作可能な部材であり、ギヤ59dと、ギヤ59dの上面に固定された円盤59eとを含む。操作部材59xは、鉛直方向に移動可能にモジュール筐体5に支持されており、鉛直方向に移動することで、ギヤ59dがギヤ59cに噛合する噛合位置、及び、ギヤ59dがギヤ59cに噛合しない非噛合位置(図2(b),(c)に示す位置)を選択的に取ることが可能である。操作部材59xは、ギヤ59dの下面に固定されたばね59Sによって、噛合位置から非噛合位置に向けて(上方に)付勢されている。通常(記録動作が行われるとき等)、操作部材59xは、記録動作の妨げにならないよう、非噛合位置に配置されている。一方、記録モジュール50a〜50cを筐体1aから離脱させる際に、キャップ55が封止位置に配置されておらず、記録モジュール50a〜50cを筐体1aから離脱させることができない場合に、ユーザが、操作部材59xを押下し、操作部材59xを噛合位置に配置する。この状態で円盤59eを回すことで、ギヤ59a〜59dが回転し、当該回転がプーリ52p2を介してキャリッジ移動機構52xに伝達され、ヘッド51が主走査方向に移動する。
モジュール筐体5は、図4及び図5に示すように、4つの側壁5w1〜5w4、上壁5w5及び下壁5w6を有する。記録モジュール50a〜50cが筐体1aに支持された状態において、側壁5w1,5w2は鉛直方向及び主走査方向に延在し、側壁5w3,5w4は鉛直方向及び副走査方向に延在し、上壁5w5及び下壁5w6は水平方向に延在する。また、側壁5w1はローラ対53aよりも搬送方向Dの下流に配置され、側壁5w2はローラ対53aよりも搬送方向Dの上流に配置されている。
記録モジュール50a〜50cは、個別に、筐体1aに対して搬送方向Dに沿って移動可能であり、さらに筐体1aに対して着脱可能である。記録モジュール50a〜50cの筐体1aに対する移動や着脱は、例えばジャム処理、記録モジュール50a〜50cそのもの又はその構成部品(インク収容部57や基板58)の交換等の際に、ユーザによって行われる。
各記録モジュール50a〜50cは、筐体1aに支持された状態において、経路R1x〜R3xからモジュール内経路Ra〜Rcに用紙Pを供給可能に筐体1aに装着された装着位置(図1に実線で示す位置。図4及び図5の記録モジュール50a,50b参照)と、搬送方向Dと平行な移動経路Rxa〜Rxcに沿って装着位置から搬送方向Dに最も離れた引出位置(図1に一点鎖線で示す位置。図4及び図5の記録モジュール50c参照)との間で移動可能である。記録モジュール50a〜50cが装着位置にあるとき、ローラ対53a,53bは共に筐体1aの内部に配置されており、記録モジュール50a〜50cが引出位置にあるとき、ローラ対53a,53bは共に筐体1aの外部に配置されている。各記録モジュール50a〜50cは、搬送方向Dにおいて図1に一点鎖線で示す開位置にあるカバー1bの領域内で移動可能であり、引出位置にあるとき、開位置にあるカバー1bよりも搬送方向Dの下流に突出しない。
なお、各記録モジュール50a〜50cの筐体1aに対する移動及び着脱は、それぞれ、規制を解除して行われる。
各記録モジュール50a〜50cの筐体1aに対する搬送方向Dに沿った移動は、各記録モジュール50a〜50cの側壁5w3,5w4に設けられた一対の可動部材5x(図4及び図5参照)と、筐体1aに記録モジュール50a〜50c毎に設けられた一対の位置規制部(図示略)との当接によって、規制される。当該規制は、側壁5w1に設けられた一対の移動規制解除部材5zを搬送方向Dに引っ張ることで、解除される。各可動部材5xは、側壁5w3,5w4と直交する方向に沿った軸5xaを中心として回動可能であり、軸5xaが設けられた一端とは反対側の他端に、側壁5w3,5w4と直交する方向に突出した突起5xbを有する。突起5xbと位置規制部の突起とが搬送方向Dに対向しつつ当接することで、記録モジュール50a〜50cの筐体1aに対する搬送方向Dに沿った移動が規制される。移動規制解除部材5zが搬送方向Dに引っ張られると、可動部材5xが軸5xaを中心として回動し、突起5xbが位置規制部の突起から離隔し且つ当該突起と搬送方向Dに対向しない状態となり、記録モジュール50a〜50cの筐体1aに対する搬送方向Dに沿った移動の規制が解除される。このようにして規制が解除された状態で、記録モジュール50a〜50cを搬送方向Dに移動させることによって記録モジュール50a〜50cが筐体1aから引き出され、また、記録モジュール50a〜50cを搬送方向Dと反対の方向に移動させることによって記録モジュール50a〜50cが筐体1a内に収容される。筐体1aから引き出された記録モジュール50a〜50cが筐体1a内に収容され、記録モジュール50a〜50cが装着位置に到達すると、可動部材5xは、再び突起5xbと位置規制部の突起とが搬送方向Dに対向しつつ当接する位置に配置される。
各記録モジュール50a〜50cは、筐体1aに記録モジュール50a〜50c毎に設けられた一対の可動レール1lによって側壁5w3,5w4が支持された状態で、筐体1aに対して移動する(図4及び図5参照)。
筐体1aには、記録モジュール50a〜50c毎に、上記一対の可動レール1lと、一対の固定レール1mとが設けられている。各固定レール1mは、搬送方向Dに沿って延在し、筐体1aに固定されている。各可動レール1lは、搬送方向Dに沿って延在し、且つ、搬送方向Dと平行な方向に移動可能に固定レール1mに支持されている。記録モジュール50a〜50cが筐体1aに対して移動するとき、可動レール1lは、記録モジュール50a〜50cを支持しながら固定レール1mに対して移動する。
各記録モジュール50a〜50cの筐体1aに対する着脱は、ロック機構60により、側壁5w4に設けられた係合部材65が、一対の可動レール1lのうち側壁5w4と対向する一方の可動レール1lに設けられた穴1lxに係合することによって、規制される(図6(a)参照)。換言すると、各記録モジュール50a〜50cは、一対の可動レール1lに着脱可能に支持されている。当該規制は、係合部材65を穴1lxから退避させることで、解除される。ロック機構60の具体的な構成については、後に詳述する。
なお、各記録モジュール50a〜50cの側壁5w1及び上壁5w5には、図4に示すように、開口5a,5bが設けられている。ジャム処理の際、ユーザは、記録モジュール50a〜50cを引出位置に配置し、又は、記録モジュール50a〜50cを筐体1aから離脱させて、ジャムした用紙Pを開口5a,5bからモジュール筐体5外に取り出すことができる。
また、各記録モジュール50a〜50cの側壁5w2には、図5に示すように、コネクタ5p及び一対の凹部5qが設けられている。筐体1aには、記録モジュール50a〜50c毎に、装着位置にある記録モジュールの側壁5w2と対向する対向部1axが設けられている。各対向部1axには、コネクタ1p及び一対の凸部1q(図11(a),(b)参照)が設けられている。一対の凸部1qが一対の凹部5qに挿入されることで、記録モジュール50a〜50cが筐体1aに対して鉛直方向及び主走査方向に位置決めされる。
コネクタ1pには、図3に示す電力出力端子1p1及び接点1p2が設けられている。コネクタ5pには、電力入力端子5p1及び接点5p2が設けられている。電力出力端子1p1は、筐体1a内に配置された電源150と電気的に接続されており、電源150から供給された電力を出力する。電力入力端子5p1は、記録モジュール50a〜50cにおいて電力供給が必要な要素(ヘッド51、キャリッジモータ52M、モジュール搬送モータ53M、インク供給ポンプ57P及びメモリ58M)と電気的に接続されており、電力出力端子1p1と電気的に接続したときに電力出力端子1p1を介して入力される電力を上記要素に供給する。
記録モジュール50a〜50cが装着位置にあるとき、コネクタ1p,5pが係合している。このとき、電力出力端子1p1と電力入力端子5p1とが互いに接触して電気的に接続しており、電源150から電力出力端子1p1及び電力入力端子5p1を介して上記各要素に電力が供給されている。またこのとき、接点1p2,5p2同士が互いに接触して電気的に接続しており、記録モジュール50a〜50cと筐体1a内の制御ユニット100との間での信号の送受信が可能となっている。
記録モジュール50a〜50cが装着位置から引出位置に移動するとき、コネクタ1p,5pの係合が解除される。このとき、電力出力端子1p1と電力入力端子5p1とが互いに離隔し、電力出力端子1p1と電力入力端子5p1との電気的接続が解除されることで、上記各要素に電力が供給されなくなる。またこのとき、接点1p2,5p2が互いに離隔し、記録モジュール50a〜50cと筐体1a内の制御ユニット100との間での信号の送受信が不能となる。
記録モジュール50a〜50cが筐体1aから離脱した状態では、コネクタ1p,5pの係合が解除されており、電力出力端子1p1と電力入力端子5p1とが互いに離隔して電気的に接続されていないため、上記各要素には電力が供給されない。またこのとき、接点1p2,5p2が互いに離隔しており、記録モジュール50a〜50cと筐体1a内の制御ユニット100との間での信号の送受信が不能である。
制御ユニット100は、図3に示すように、演算処理装置であるCPU(Central Processing Unit)101、ROM(Read Only Memory)102、RAM(Random Access Memory)103、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)104、I/F(Interface)105及びI/O(Input/Output Port)106を含む。ROM102は、CPU101が実行するプログラム等の固定データを記憶している。RAM103は、CPU101がプログラムを実行するために必要なデータ(画像データ等)を一時的に記憶する。ASIC104は、画像データの書き替え、並び替え等(例えば、信号処理や画像処理)を行う。I/F105は、外部装置(例えば、プリンタ1に接続されたPC)とデータの送受信を行う。I/O106は、各種センサと信号の送受信を行う。CPU101は、制御ユニット100に含まれるCPU101以外の各部と電気的に接続されており、各部から受信したデータに基づいて制御を行う。なお、記録モジュール50a〜50cのいずれに用紙Pが供給されるかは、任意に決定されてよく、例えば、複数の用紙Pに対して連続的に記録を行う場合に、上から順番又は下から順番に用紙Pが供給されてよい。
次いで、図6(a)〜(d)を参照し、ロック機構60について説明する。
ロック機構60は、モジュール筐体5内における側壁5w4の近傍に配置されており、回動部材61、ばね61S及び係合部材65を含む。
回動部材61は、副走査方向に沿った軸61xを中心として回動可能にモジュール筐体5に支持されている。回動部材61は、軸61xが設けられ且つ軸61xと直交する方向に延在する基部61aと、基部61aの上端から主走査方向に沿って側壁5w4から離隔する方向に突出した突出部61bとを有する。
ばね61Sは、基部61aの上端と側壁5w4との間に配置されており、回動部材61を、基部61aの上端が主走査方向に沿って側壁5w4から離隔する方向(図6(a)において反時計回りの方向)に付勢している。
係合部材65は、副走査方向に沿った軸65xを中心として回動可能に、回動部材61の下端に取り付けられている。係合部材65は、回動部材61が回動するとき、回動部材61の下端が主走査方向に移動するのに伴い、主走査方向に移動する。係合部材65は、主走査方向に移動することで、可動レール1lの穴1lxに係合する係合位置(図6(a),(b)に示す位置)、及び、穴1lxに係合しない非係合位置(図6(c),(c)に示す位置)を選択的に取ることが可能である。
係合位置にあるとき、係合部材65は、側壁5w4の穴5cと可動レール1lの穴1lxとの両方を貫通しており、軸65xが設けられた後端とは反対側の先端が、可動レール1lの外側に突出している。このとき、記録モジュール50a〜50cの係合部材65と筐体1aの可動レール1lとが係合することで、記録モジュール50a〜50cの筐体1aからの着脱が規制される。
非係合位置にあるとき、係合部材65は、穴1lxから退避しており、先端が側壁5w4と可動レール1lとの間に位置している。このとき、記録モジュール50a〜50cの係合部材65と筐体1aの可動レール1lとの係合が解除されているため、記録モジュール50a〜50cの筐体1aからの着脱が許容される。
係合部材65は、常に(係合位置及び非係合位置のいずれにあるときも)、穴5cを貫通し、一部が側壁5w4の外側に突出した状態にある。
キャップ55が非封止位置にある(即ち、ヘッド51がキャッピング位置以外の位置にある)とき、図6(a),(b)に示すように、係合部材65は係合位置に配置されている。
キャップ55が非封止位置から封止位置に切り替えられる(即ち、ヘッド51がキャッピング位置に到達する)とき、突出部61bがヘッド51に押され、回動部材61がばね61Sの付勢力に抗して軸61xを中心として図6(a)において時計回りの方向に回動する。これに伴い、係合部材65が、係合位置から非係合位置に切り替えられる。
なお、キャップ55の非封止位置から封止位置への切り替えは、ユーザの手動(例えば、操作部材59xを押下して円盤59eを回す動作:図2(a)〜(c)参照)によって行われてもよいし、制御ユニット100がキャリッジ移動機構52xを制御することによって行われてもよい。
キャップ55が封止位置にある(即ち、ヘッド51がキャッピング位置にある)とき、図6(c),(d)に示すように、係合部材65は非係合位置に配置されている。
以上に述べたように、本実施形態に係るプリンタ1は、キャップ55が封止位置に配置されているとき、記録モジュール50a〜50cの筐体1aからの着脱を許容し、キャップ55が非封止位置に配置されているとき、記録モジュール50a〜50cの筐体1aからの着脱を規制するように構成されたロック機構60を備えている。つまり、ロック機構60により、キャップ55が封止位置にあるときだけ記録モジュール50a〜50cの筐体1aからの着脱が許可される。したがって、筐体1aから離脱した記録モジュール50a〜50cにおいて、水頭差のバランスが崩れて吐出口51bからインクが漏れ出したとしても、当該インクはキャップ55により受容される。これにより、筐体1aから離脱された記録モジュール50a〜50cにおいて吐出口51bから漏れ出したインクが記録モジュール50a〜50c内で飛散するのを抑制することができる。
用紙Pのジャムが生じた場合、通常、キャップ55は非封止位置にある(図2(a)参照)。この場合に記録モジュール50a〜50cを筐体1aから離脱させてジャム処理を行おうとすると、電力入力端子5p1が電力出力端子1p1と電気的に接続せず、キャリッジモータ52Mに電力が供給されない状態になる。そのため、キャップ55を非封止位置から封止位置に切り替えることができず、水頭差のバランスが崩れて吐出口51bから漏れ出したインクが記録モジュール50a〜50c内に飛散するという問題が生じ得る。しかし本実施形態では、ロック機構60により、キャップ55が封止位置にあるときだけ記録モジュール50a〜50cの筐体1aからの着脱が許可されるようにしたことで、当該問題を抑制することができる。
ヘッド51が移動することでキャップ55が非封止位置から封止位置に切り替えられたときに、係合部材65が係合位置から非係合位置に切り替えられる(図6(a),(b)参照)。上記構成によれば、ロック解除(係合部材65の係合位置から非係合位置への切り替え)を電気的な制御ではなく機械的な機構で実現するため、記録モジュール50a〜50cへの電力供給が遮断された場合に特に有効である。
続いて、図7〜図9を参照し、本発明の第2実施形態に係るプリンタについて説明する。第2実施形態は、ロック機構を含む記録モジュールの構成部品が第1実施形態と異なり、それ以外は第1実施形態と同じである。
本実施形態のロック機構160は、図7(a),(b)に示すように、モジュール筐体5内における側壁5w4の近傍に配置されており、フラッパーソレノイド161及び係合部材165を含む。
フラッパーソレノイド161は、副走査方向に沿った軸161xを中心として回動可能な可動板161pを有する。可動板161pは、フラッパーソレノイド161がOFFの場合、図7(a)に示すように、軸161xが設けられた基端から、基端とは反対側の先端に向かうにつれて、側壁5w4に近づくように傾斜した状態にある。可動板161pは、フラッパーソレノイド161がONの場合、図7(b)に示すように、鉛直方向に沿って延在した状態になる。
係合部材165は、副走査方向に沿った軸165xを中心として回動可能に、可動板161pの先端に取り付けられている。係合部材165は、可動板161pが回動するとき、可動板161pの先端が主走査方向に移動するのに伴い、主走査方向に移動する。係合部材165は、主走査方向に移動することで、可動レール1lの穴1lxに係合する係合位置(図7(a)に示す位置)、及び、穴1lxに係合しない非係合位置(図7(b)に示す位置)を選択的に取ることが可能である。つまり、フラッパーソレノイド161が本発明に係る「係合部材165が係合位置及び非係合位置を選択的に取るように係合部材165を移動させるための係合部材移動機構」に該当し、フラッパーソレノイド161がOFFのとき係合部材165は係合位置にあり、フラッパーソレノイド161がONのとき係合部材165は非係合位置にある。
係合位置にあるとき、係合部材165は、側壁5w4の穴5cと可動レール1lの穴1lxとの両方を貫通しており、軸165xが設けられた後端とは反対側の先端が、可動レール1lの外側に突出している。このとき、記録モジュール50a〜50cの係合部材165と筐体1aの可動レール1lとが係合することで、記録モジュール50a〜50cの筐体1aからの着脱が規制される。
非係合位置にあるとき、係合部材165は、穴1lxから退避しており、先端が側壁5w4と可動レール1lとの間に位置している。このとき、記録モジュール50a〜50cの係合部材65と筐体1aの可動レール1lとの係合が解除されているため、記録モジュール50a〜50cの筐体1aからの着脱が許容される。
係合部材165は、常に(係合位置及び非係合位置のいずれにあるときも)、穴5cを貫通し、一部が側壁5w4の外側に突出した状態にある。
本実施形態の記録モジュール50a〜50cは、それぞれ、図8に示すように、第1実施形態で述べたヘッド51等の他、モジュール制御部58P、ジャムセンサ170、キャッピングセンサ180及びモジュール電源250を含む。モジュール制御部58P、フラッパーソレノイド161、ジャムセンサ170キャッピングセンサ180は、ヘッド51等と同様、「記録モジュール50a〜50cにおいて電力供給が必要な要素」であり、電力入力端子5p1と電気的に接続されており、電力入力端子5p1が電力出力端子1p1と電気的に接続したときに電力出力端子1p1を介して入力される電力が供給される。
ジャムセンサ170は、用紙Pのジャム処理が完了したことを検知するためのものであり、吐出面51aと対向する位置に用紙Pが有るときにON信号、吐出面51aと対向する位置に用紙Pが無いときにON信号を出力する。
キャッピングセンサ180は、キャップ55が非封止位置から封止位置に切り替えられた(即ち、ヘッド51がキャッピング位置に到達した)ことを検知するためのものであり、ヘッド51がキャッピング位置にあるときにON信号、ヘッド51がキャッピング位置にないときにOFF信号を出力する。
モジュール電源250は、モジュール筐体5内に配置されており、電力入力端子5p1と電力出力端子1p1との電気的接続が解除されたときに、記録モジュール50a〜50cにおいて電力供給が必要な要素に電力を供給する。モジュール電源250は、電力入力端子5p1が電力出力端子1p1と電気的に接続したときに、電源150から供給された電力を蓄積可能に構成されている。
モジュール制御部58Pは、メモリ58Mと共に基板58に実装されている。モジュール制御部58Pは、本発明に係る「制御部」に該当し、図9に示すような制御を実行する。
モジュール制御部58Pは、先ず、当該記録モジュールが筐体1aから引き出された(即ち、装着位置から引出位置に向けて移動を開始した)か否かを判断する(S1)。モジュール制御部58Pは、コネクタ5p,1p間の接続が解除された場合に、当該記録モジュールが筐体1aから引き出された(S1:YES)と判断する。
当該記録モジュールが筐体1aから引き出されていない場合(S1:NO)、モジュール制御部58Pは、S1の処理を繰り返す。当該記録モジュールが筐体1aから引き出された場合(S1:YES)、モジュール制御部58Pは、ジャム処理が完了しているか否かを判断する(S2)。モジュール制御部58Pは、ジャムセンサ170からON信号が出力されている場合、ジャム処理が完了していない(S2:NO)と判断し、ジャムセンサ170からOFF信号が出力されている場合、ジャム処理が完了している(S2:YES)と判断する。S2:YESは、本発明に係る「ジャム処理検知処理」に該当する。
ジャム処理が完了していないと判断した場合(S2:NO)、モジュール制御部58Pは、ジャム処理要請の報知を行う(S3)。S3において、モジュール制御部58Pは、当該記録モジュールに設けられた出力部(例えば、発光部、ディスプレイ等の画像出力部、スピーカ等の音声出力部)を介して、ジャム処理を行う必要があることをユーザに報知する。S3の後、モジュール制御部58Pは、処理をS2に戻す。
ジャム処理が完了したと判断した場合(S2:YES)、モジュール制御部58Pは、キャッピングセンサ180からの信号に基づき、ヘッド51がキャッピング位置にある(即ち、キャップ55が封止位置にある)か否かを判断する(S4)。モジュール制御部58Pは、キャッピングセンサ180からON信号が出力されている場合、ヘッド51がキャッピング位置にある(S4:YES)と判断し、キャッピングセンサ180からOFF信号が出力されている場合、ヘッド51がキャッピング位置にない(S4:NO)と判断する。S4:YESは、本発明に係る「キャッピング検知処理」に該当する。
ヘッド51がキャッピング位置にないと判断した場合(S4:NO)、モジュール制御部58Pは、キャリッジモータ52Mを駆動させ、ヘッド51をキャッピング位置に移動させる(S5)。S5は、本発明に係る「キャッピング処理」に該当する。S5の後、モジュール制御部58Pは、処理をS4に戻す。
ヘッド51がキャッピング位置にあると判断した場合(S4:YES)、モジュール制御部58Pは、フラッパーソレノイド161がONになっている(即ち、係合部材165が非係合位置にある)か否かを判断する(S6)。モジュール制御部58Pは、フラッパーソレノイド161がONになっていると判断した場合(S6:YES)、当該ルーチンを終了する。モジュール制御部58Pは、フラッパーソレノイド161がONになっていないと判断した場合(S6:NO)、フラッパーソレノイド161をONにし、係合部材165を非係合位置から係合位置に切り替える(S7)。S7は、本発明に係る「ロック解除処理」に該当する。S7の後、モジュール制御部58Pは、当該ルーチンを終了する。
以上に述べたように、本実施形態によれば、第1実施形態と同様の構成による同様の効果に加え、以下のような効果を得ることができる。
モジュール制御部58Pによって、キャップ55が非封止位置から封止位置に切り替えられたことが検知されたときに(S4:YES)、係合部材165が係合位置から非係合位置に切り替えられるようにフラッパーソレノイド161を制御する(S7)。このように、ロック解除を電気的な制御で実現するため、フラッパーソレノイド161のような比較的簡単な構成の係合部材移動機構を採用することができる。
各記録モジュール50a〜50cがモジュール電源250を有しており、電力入力端子5p1と電力出力端子1p1との電気的接続が解除されたとき、モジュール制御部58P及びフラッパーソレノイド161にモジュール電源250から電力が供給される。したがって、記録モジュール50a〜50cが装着位置から引出位置に移動し、電力入力端子5p1と電力出力端子1p1との電気的接続が解除された場合でも、モジュール制御部58Pは、モジュール電源250からの電力供給により、上記のようなキャッピング検知処理(S4:YES)及びロック解除処理(S7)を行うことができる。したがって、ユーザが特に意識しなくとも、キャップ55が封止位置にある状態でロックが解除され、記録モジュール50a〜50c内でのインクの飛散を抑制しつつ、記録モジュール50a〜50cを筐体1aから離脱させることができる。
電力入力端子5p1と電力出力端子1p1との電気的接続が解除されたとき、キャリッジモータ52Mにも、モジュール電源250から電力が供給される。したがって、記録モジュール50a〜50cが装着位置から引出位置に移動し、電力入力端子5p1と電力出力端子1p1との電気的接続が解除された場合でも、モジュール制御部58Pは、モジュール電源250からの電力供給により、ジャム処理が完了した後に(S2:YES)、キャッピング処理(S5)を行うことができる。そのため、キャップ55を非封止位置から封止位置に切り替えるためにユーザがヘッド51及びキャップ55の少なくとも一方を手動で移動させる必要がない。
モジュール電源250は、電力入力端子5p1が電力出力端子1p1と電気的に接続したときに、電源150から供給された電力を蓄積可能に構成されている。上記構成によれば、モジュール電源250に対する充電を、追加の構成要素を付加することなく行うことができる。
続いて、図10を参照し、本発明の第3実施形態に係るプリンタについて説明する。第3実施形態は、モジュール制御部58Pが実行する制御内容が第2実施形態と異なり、それ以外は第2実施形態と同じである。
本実施形態においてモジュール制御部58Pが行うS11〜S17は、第2実施形態においてモジュール制御部58Pが行うS1〜S7と、S15とS5とが異なるだけで、それ以外は同じである。つまり、本実施形態において、モジュール制御部58Pは、キャッピング処理(S5)を行う代わりに、キャッピング要請の報知(S15)を行う。S15において、モジュール制御部58Pは、当該記録モジュールに設けられた出力部(例えば、発光部、ディスプレイ等の画像出力部、スピーカ等の音声出力部)を介して、キャップ55を非封止位置から封止位置に切り替える必要があることをユーザに報知する。S15は、本発明に係る「報知処理」に該当する。また、S1は、「離脱検知処理」に該当する。
以上に述べたように、本実施形態によれば、第2実施形態と同様の構成による同様の効果に加え、以下のような効果を得ることができる。
S15の報知に応じてユーザがヘッド51及びキャップ55の少なくとも一方を手動(例えば、操作部材59xを押下して円盤59eを回す動作:図2(a)〜(c)参照)で移動させ、キャップ55が非封止位置から封止位置に切り替えられれば、モジュール制御部58Pのロック解除処理(S17)によりロックが解除され、記録モジュール50a〜50c内でのインクの飛散を抑制しつつ、記録モジュール50a〜50cを筐体1aから離脱させることができる。
続いて、図11(a),(b)を参照し、本発明の第4実施形態に係るプリンタについて説明する。第4実施形態は、各記録モジュール50a〜50cに、コネクタ5pとコネクタ1pとを接続する導電性の接続部材400が設けられた点が第1実施形態と異なり、それ以外は第1実施形態と同じである。
接続部材400は、搬送方向D(装着位置から引出位置に向かう引出方向)に沿って伸縮自在なカールコードであり、当該記録モジュールが装着位置から引出位置に移動する間、コネクタ5p,1p間の接続(即ち、電力出力端子1p1と電力入力端子5p1との接続、及び、接点1p2と接点5p2との接続)を維持可能である。
本実施形態において、記録モジュール50a〜50cの筐体1aに対する着脱方向は鉛直方向(装着方向は下方、離脱方向は上方)である。コネクタ5pは、モジュール筐体5の下壁5w6に設けられており、接続部材400と鉛直方向に接続されている。記録モジュール50a〜50cが筐体1aから離脱される際に、当該記録モジュールが筐体1aに対して上方に移動されるのに伴い、コネクタ5pが接続部材400から離隔し、コネクタ5p,1p間の接続が解除される。
以上に述べたように、本実施形態によれば、第1実施形態と同様の構成による同様の効果に加え、以下のような効果を得ることができる。
接続部材400を設けたことにより、記録モジュール50a〜50cが引出位置にあるときに、電力入力端子5p1と電力出力端子1p1との電気的接続が解除されていないので、キャリッジ移動機構52xを駆動してキャップ55を非封止位置から封止位置に切り替えることができる。
電力入力端子5p1は、記録モジュール50a〜50cの着脱方向と平行な方向に接続部材400と接続されており、当該記録モジュールが筐体1aから離脱されるときに接続部材400から離隔する。上記構成によれば、記録モジュール50a〜50cを筐体1aから離脱させる動作によって電力入力端子5p1と電力出力端子1p1との電気的接続が解除されるため、電気的接続解除のための追加の作業が不要であり、ユーザの負担を軽減することができる。
以上、本発明の好適な実施の形態について説明したが、本発明は上述の実施形態に限られるものではなく、特許請求の範囲に記載した限りにおいて様々な設計変更が可能なものである。
・記録装置が複数の記録モジュールを含む場合に、当該複数の記録モジュールのいずれかに対してロック機構が設けられなくてもよい。
・1の記録モジュールに対するロック機構の数は、上述の実施形態では1つであるが、任意であり、複数であってもよい。
・記録モジュール及び筐体の一方に設けられた係合部材が係合する他方の部分は、貫通孔に限定されず、凹部等であってもよい。
・係合部材は、上述の実施形態では記録モジュールに設けられているが、筐体に設けられてもよい。
・ロック機構の構成は、上述の実施形態の構成に限定されず、任意であり、カム・ギヤを含む機構等であってもよい。
・記録モジュールの筐体からの引出方向は、搬送方向であることに限定されず、搬送方向と直交する方向(例えば主走査方向)等であってもよい。また、記録モジュールの筐体に対する着脱方向は、特に限定されず(例えば搬送方向でもよく)、また、引出方向と同じであってもよいし異なってもよい。
・上述の実施形態では、記録モジュールを筐体から引き出して引出位置に配置してから、記録モジュールの筐体に対する着脱を行う構成であるが、これに限定されない。
・制御部は、キャッピング検知処理やジャム処理検知処理を、センサからの信号に基づいて行うことに限定されず、キャリッジモータやモジュール搬送モータのエンコーダからの信号に基づいて行ってもよい。
・記録モジュールに設けられた制御部ではなく、筐体に設けられた制御部(CPU101)が、本発明に係る「制御部」として機能し、キャッピング検知処理、ロック解除処理、離脱検知処理、報知処理等を行ってもよい。
・第3実施形態では、離脱検知処理として、記録モジュールが装着位置から引出方向に向けて実際に移動を開始したことを検知する処理を採用したが、これに限定されず、記録モジュールが装着位置から引出方向に向けて移動を開始する前の事象(ジャムの発生、ユーザによるボタンの押下等)や、記録モジュールが引出位置に配置された後、筐体から離脱される前の事象を検知する処理であってもよい。
・接続部材を有する場合において、電力入力端子と接続部材とは、着脱方向と平行な方向に接続されることに限定されず、任意の方向に接続されてよい。例えば、第4実施形態において、コネクタ5pがモジュール筐体5の側壁5w2に設けられており、コネクタ5pと接続部材400とが搬送方向D(引出方向)と平行な方向に接続されてよい。また、記録モジュールが筐体から離脱されるときに電力入力端子が接続部材から離隔することに限定されない。例えば、第4実施形態において、記録モジュールが引出位置に配置された状態で、ユーザが、コネクタ5pと接続部材400との接続を手動で解除し、その後記録モジュールを筐体から離脱させてよい。
・記録装置に含まれる記録モジュールの数は、任意であり、1つであってもよい。
・液体吐出部は、シリアル式に限定されず、ライン式であってもよい。
・搬送機構は、記録媒体を挟持しつつ回転するローラ対を含む構成に限定されず、記録媒体を表面に支持しつつ走行するベルトを含む構成であってもよい。
・液体収容部に収容される液体は、インクに限定されず、インク中の成分を凝集又は析出させる処理液等であってもよい。
・液体収容部は、記録モジュールに対して着脱可能及び着脱不能のいずれであってもよい。
・移動機構は、液体吐出部を移動させずにキャップを移動させてもよく、また、液体吐出部及びキャップの両方を移動させてもよい。
・記録モジュールは、基板を支持していなくてもよい。
・記録装置は、プリンタに限定されず、ファクシミリ、コピー機、複合機等であってもよい。
・記録媒体は、用紙に限定されず、布等であってもよい。