JP6484618B2 - 中間体を単離しない6−ヒドロキシモルフィナンの製造 - Google Patents

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Description

本発明は、アルカロイドの調製方法に関する。かかる方法は、一般に、アルカロイドの多段階合成で生成する中間化合物の単離を回避する。
モルヒネ、コデイン、ヒドロモルフォン、ヒドロコドン、オキシモルフォン、及びオキシコドンなどのオピオイドは、重要な鎮痛薬である。これらのジヒドロを還元した生成物である、例えば6α−ヒドロモルホール、6α−ヒドロコドール、6α−オキシモルフォール(oxymorphol)、及び6α−オキシコドールといった6−ヒドロキシ類似体も、他の有益な特徴と合わせて鎮痛作用がある。最近、ポリマー官能基を有する6−ヒドロキシオピオイド化合物が、その一般的オピオイド鎮痛作用に加え、持続的放出特性及び乱用抵抗性を有することが報告された。PEG化6α−オキシコドール第II相臨床試験の患者登録が現在行われている。
しかしながら、ヒドロキシオピオイド化合物の製造は、一般に、多数の工程を経て行われ、その各工程で中間体を単離してからでなければ次の合成工程を実施できない。例えば、6α−オキシコドールは、オキシコドンを還元させることにより調製できるが、オキシコドン自体はテバインの酸化とそれに続く還元により調製されるため、単離工程が3回必要となる。単離が必要になる理由は数多くあり、例えば、反応副生成物とその後の工程との干渉は、収率の低下または反応の完全停止が起こり得る。しかし、中間体の単離自体は余分な工程であり、合成全体の収率及び効率を低下させ得る。したがって、諸々の操作を簡便化して、製造コスト及びサイクルタイムを削減できるようにするための、多段階反応工程用の高収率ワンポット方法の開発が求められている。
したがって、簡単に言うと、本開示の一態様は、飽和6,14−ジヒドロキシモルフィナンの調製方法を包含する。かかる方法は、不飽和6−O−ヒドロカルビルモルフィナンを過酸化水素及び有機酸と接触させて不飽和6−ケト−14−ヒドロキシモルフィナンを生成することを含む。不飽和6−ケト−14−ヒドロキシモルフィナンを第1の還元剤と接触させて不飽和6,14−ジヒドロキシモルフィナンを生成し、生成した不飽和6,14−ジヒドロキシモルフィナンを第2の還元剤と接触させて飽和6,14−ジヒドロキシモルフィナンを生成する。
本開示のさらなる態様は、式(I)を含む化合物から式(IV)を含む化合物を調製する方法を提供する。かかる方法は、式(I)を含む化合物と、式HOOCR18を含む化合物及び過酸化水素とを接触させて式(II)を含む化合物を生成することを含む。以下の反応スキームにしたがい、式(II)を含む化合物を第1の還元剤と接触させて式(III)を含む化合物を生成し、生成した式(III)を含む化合物を第2の還元剤と接触させて式(IV)を含む化合物を生成し、

これにおいて、
Aは、酸素、硫黄、及び窒素からなる群から選択され、
Rは、水素、ヒドロカルビル基、及び置換ヒドロカルビル基からなる群から選択され、
、R、及びRは、互いに独立して、水素、アミノ基、ハロゲン基、{−}OH、{−}OR1611、{−}SH、{−}SR1611、{−}NHR1611、{−}NR16111612、ヒドロカルビル基、及び置換ヒドロカルビル基からなる群から選択され、
、R、R、R、R10a、R10b、R15a、R15b、R16a、及びR16bは、互いに独立して、水素、アミノ基、ハロゲン基、{−}OH、{−}OR1611、{−}SH、{−}SR1611、 {−}NHR1611、{−}NR16111612、ヒドロカルビル基、及び置換ヒドロカルビル基からなる群から選択され、これにおいて、#が10、15、及び16のいずれか1つであるR#aとR#bとの任意のペアは、任意選択で互いに結合して{=}O、{=}S、{=}CH、及び{=}NR1612からなる群から選ばれる部分を形成し、
、R1611、及びR1612は、互いに独立して、ヒドロカルビル基及び置換ヒドロカルビル基からなる群から選択され、
18は、水素、ヒドロカルビル基及び置換ヒドロカルビル基からなる群から選択され、かつ
、R、R、R、R、R、R、R、R10a、R10b、R15a、R15b、R16a、及びR16bの1種またはそれ以上が、炭素環式、置換炭素環式、複素環式、置換複素環式、またはその組み合わせから選ばれる環もしくは環系の一部を形成し得る。
本発明のその他の特徴及び実施方法を以下に詳述する。
例えば、本発明は、以下の項目を提供する。
(項目1)
式(I)を含む化合物から式(IV)を含む化合物を調製する方法であって、
(a)前記式(I)を含む化合物を、式HOOCR 18 を含む化合物及び過酸化水素と接触させて式(II)を含む化合物を生成し、
(b)前記式(II)を含む化合物を第1の還元剤と接触させて式(III)を含む化合物を生成し、かつ
(c)前記式(III)を含む化合物を第2の還元剤と接触させ前記式(IV)を含む化合物を生成し、これらを以下の反応スキームにしたがって行い、

これにおいて、
Aは、酸素、硫黄、及び窒素からなる群から選択され、
Rは、水素、ヒドロカルビル基、及び置換ヒドロカルビル基からなる群から選択され、
、R 、及びR は、互いに独立して、水素、アミノ基、ハロゲン基、{−}OH、{−}OR 1611 、{−}SH、{−}SR 1611 、{−}NHR 1611 、{−}NR 1611 1612 、ヒドロカルビル基、及び置換ヒドロカルビル基からなる群から選択され、
、R 、R 、R 、R 10a 、R 10b 、R 15a 、R 15b 、R 16a 、及びR 16b は、互いに独立して、水素、アミノ基、ハロゲン基、{−}OH、{−}OR 1611 、{−}SH、{−}SR 1611 、{−}NHR 1611 、{−}NR 1611 1612 、ヒドロカルビル基、及び置換ヒドロカルビル基からなる群から選択され、これにおいて、#が10、15、及び16のいずれか1つであるR #a とR #b との任意のペアは、任意選択で互いに結合して{=}O、{=}S、{=}CH 、及び{=}NR 1612 からなる群から選ばれる部分を形成し、
、R 1611 、及びR 1612 は、互いに独立して、ヒドロカルビル基及び置換ヒドロカルビル基からなる群から選択され、
18 は、水素、ヒドロカルビル基及び置換ヒドロカルビル基からなる群から選択され、かつ
、R 、R 、R 、R 、R 、R 、R 、R 10a 、R 10b 、R 15a 、R 15b 、R 16a 、及びR 16b の1種またはそれ以上が、炭素環式、置換炭素環式、複素環式、置換複素環式、またはその組み合わせから選ばれる環もしくは環系の一部を形成し得ることを含む、前記調製方法。
(項目2)
Rは、水素、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、置換アルキル基、置換アルケニル基、置換アルキニル基、及び置換アリール基からなる群から選択され、
及びR は、互いに独立して、水素、アミノ基、アミン基、ハロ基、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、置換アルキル基、置換アルケニル基、置換アルキニル基、及び置換アリール基からなる群から選択され、
は、ヒドロキシ基、アルコキシ基、ヒドロカルビルオキシ基、及び置換ヒドロカルビルオキシ基からなる群から選択され、
は、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、置換アルキル基、置換アルケニル基、置換アルキニル基、及び置換アリール基からなる群から選択され、
、R 、R 、R 、R 10a 、R 10b 、R 15a 、R 15b 、R 16a 、及びR 16b は、互いに独立して、水素、アミノ基、アミン基、ハロ基、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、置換アルキル基、置換アルケニル基、置換アルキニル基、及び置換アリール基からなる群から選択され、かつ
18 は、水素、アルキル基、アリール基、置換アルキル基、及び置換アリールからなる群から選択される、項目1に記載の方法。
(項目3)
Aは酸素であり、
Rは、水素、メチル基、シクロプロピルメチル基、シクロブチルメチル基、及びアリル基からなる群から選択され、
、R 、R 、R 、R 、R 、R 10a 、R 10b 、R 15a 、R 15b 、R 16a 、及びR 16b は、存在する場合、水素であり、
は、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、置換アリールオキシ基、及び保護されたヒドロキシ基からなる群から選択され、
は、アルキル基及びアリール基からなる群から選択され、かつ
18 は、水素、メチル基、フェニル基、及び置換フェニル基からなる群から選択される、項目1または2に記載の方法。
(項目4)
前記式(I)を含む化合物と過酸化水素と前記式HOOCR 18 を含む化合物とのモル/モル比が約1:0.1:0.2〜約1:11:40である、項目1〜3のいずれか一項に記載の方法。
(項目5)
前記第1の還元剤が水素化ホウ素を含み、好ましくは、前記第1の還元剤が、水素化ホウ素ナトリウム及びトリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウムからなる群から選択される、項目1〜4のいずれか一項に記載の方法。
(項目6)
前記式(II)を含む化合物と前記第1の還元剤から得られる水素化物とのモル/モル比が約1:0.15〜約1:25である、項目5に記載の方法。
(項目7)
前記第2の還元剤が、水素移動反応剤、水素移動反応剤と金属触媒との組み合わせ、及び水素と金属触媒との組み合わせからなる群から選択され、好ましくは、前記第2の還元剤が、遷移金属触媒の存在下で使用される水素移動反応剤である、項目1〜6のいずれか一項に記載の方法。
(項目8)
前記式(III)を含む化合物と前記水素移動反応剤と前記遷移金属触媒とのモル/モル比が約1:0.5:0.0004〜約1:10:0.08である、項目7に記載の方法。
(項目9)
前記方法を、少なくとも1種のプロトン性極性溶媒の存在下で行い;前記溶媒の前記式(I)を含む化合物に対する体積/質量の比が約0.5:1〜約100:1であり;前記方法を、温度約0℃〜約100℃で行う、項目1〜8のいずれか一項に記載の方法。
(項目10)
工程(a)、(b)、及び(c)を、式(II)または式(III)を含む前記化合物を単離せずに単一反応ポット内で行う、項目1〜9のいずれか一項に記載の方法。
(項目11)
前記式(IV)を含む化合物のC−14から前記ヒドロキシル基を除去することをさらに含む、項目1〜10のいずれか一項に記載の方法。
(項目12)
前記式(I)、(II)、(III)、及び(IV)を含む化合物が、互いに独立して、光学活性が(−)または(+)であり;C−5、C−13、C−14、及びC−9の立体配置が、それぞれ、RRRR、RRSR、RRRS、RRSS、RSRR、RSSR、RSRS、RSSS、SRRR、SRSR、SRRS、SRSS、SSRR、SSSR、SSRS、またはSSSSであり、その場合、前記C−15及び前記C−16の両炭素がともに分子のα面にあるか、またはともに分子のβ面にあることを条件とする、項目1〜11のいずれか一項に記載の方法。
(項目13)
前記(III)または(IV)を含む化合物のC−6上のヒドロキシ基は、α型異性体とβ型異性体との比が少なくとも90:10である、項目1〜12のいずれか一項に記載の方法。
(項目14)
18 は水素であり、前記第1の還元剤は、水素化ホウ素ナトリウムまたはトリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウムであり、前記第2の還元剤は、遷移金属触媒の存在下で使用される水素移動剤であり、前記水素移動剤はギ酸である、項目3に記載の方法。
(項目15)
前記式(I)を含む化合物と過酸化水素と前記式HOOCR 18 を含む化合物とのモル/モル比が約1:0.6:1〜約1:2.2:8であり;前記式(II)を含む化合物と前記第1の還元剤から得られる水素化物とのモル/モル比が約1:0.7〜約1:5であり;前記式(III)を含む化合物と前記水素移動反応剤と前記遷移金属触媒とのモル/モル比が約1:0.1:0.002〜約1:1:0.02であり;前記方法を、少なくとも1種のプロトン性極性溶媒の存在下で行い;前記溶媒の前記式(I)を含む化合物に対する体積/質量の比が約1:1〜約20:1であり、かつ、前記方法を、温度約0℃〜約70℃で行う、項目14に記載の方法。
本明細書に開示するのは、飽和6−ヒドロキシモルフィナンの調製方法である。かかる方法は、中間化合物を単離しない、ワンポット式の多段階方法を含む。方法の第1工程は、炭素−炭素の二重結合2つを含む不飽和6−O−ヒドロカルビルモルフィナンを過酸化水素及び有機酸と接触させて、炭素−炭素の二重結合1つを含む不飽和6−ケト−14−ヒドロキシモルフィナンを生成することを含む。方法のこの工程中、過酸化水素と有機酸とが反応して、効果的酸化剤である過酸がその場で生成する。過酸がその場で生成するため、ペルオキシ酢酸のような高濃度の過酸の輸送、保管、及び/または取扱いに伴う問題が回避される。むしろ、過酸は不飽和6−ケト−14−ヒドロキシモルフィナン生成中に消費され、危険な高濃度に達することは全くない。さらに、有機酸がギ酸である実施形態では、ギ酸は、酸化工程中に消費されることなく触媒として作用するだけではなく、後の最終還元工程の過程で水素供給源としても機能する。
方法のこの次の工程は、不飽和6−ケト−14−ヒドロキシモルフィナンを第1の還元剤と接触させて不飽和6,14−ジヒドロキシモルフィナンを生成することを含む。オピオイド化合物の場合、典型的にα,β−不飽和ケトンを還元させるほうが飽和ケトンを還元させるよりはるかに立体特異的に6α−ヒドロキシ化合物が生成される。したがって、本明細書に開示する方法では、6−ケト−14−ヒドロキシモルフィナンを還元させて6α−ヒドロキシ基を付加することにより不飽和6,14−ジヒドロキシモルフィナンを生成する。
方法の最終工程は、不飽和6,14−ジヒドロキシモルフィナンを第2の還元剤と接触させて炭素−炭素の二重結合を還元させ、これにより、飽和6,14−ジヒドロキシモルフィナンを生成することを含む。第2の還元剤は、水素移動反応剤、水素移動反応剤と金属触媒との組み合わせ、または気体水素と金属触媒との組み合わせであってよい。本方法の第1工程で有機酸としてギ酸を使用する実施形態では、ギ酸を本方法のこの工程における水素供与体として使用してよい。典型的に、遷移金属触媒(例えば、炭素に対するパラジウム)は、ワンポット方法のこの工程中で付加する。したがって、触媒による水素移動反応により、炭素−炭素の二重結合が還元されるのみならず、少ないプロトン受容体を使用して反応混合物を中和し、最終生成物を析出させることができるよう反応混合物中の過剰なギ酸も消費される。さらに、水素移動反応を使用すると加圧式リアクター及び気体水素を使用しなくてすむ。
(I)飽和6,14−ジヒドロキシモルフィナンの調製方法
本開示の一態様は、飽和6,14−ジヒドロキシモルフィナンの調製方法を包含する。かかる方法は、不飽和6−O−ヒドロカルビルモルフィナンを過酸化水素及び有機酸と接触させて不飽和6−ケト−14−ヒドロキシモルフィナンを生成することを含む。不飽和6−ケト−14−ヒドロキシモルフィナンを第1の還元剤と接触させて不飽和6,14−ジヒドロキシモルフィナンを生成し、その不飽和6,14−ジヒドロキシモルフィナンを第2の還元剤と接触させて飽和6,14−ジヒドロキシモルフィナンを生成する。
不飽和6−O−ヒドロカルビルモルフィナンはテバインまたはオリパビンであってよい。飽和6,14−ジヒドロキシモルフィナンはオキシコドールまたはオキシモルフォール(oxymorphol)であってよい。飽和6,14−ジヒドロキシモルフィナンのC−14に付いているヒドロキシ基を除去してヒドロモルホールまたはヒドロコドールを生成してよい。飽和6−O−ヒドロカルビルモルフィナン、不飽和6−ケト−14−ヒドロキシモルフィナン、不飽和6,14−ジヒドロキシモルフィナン、及び飽和6,14−ジヒドロキシモルフィナンは、互いに独立して、光学活性が(+)または(−)であってよい。不飽和6,14−ジヒドロキシモルフィナンまたは飽和6,14−ジヒドロキシモルフィナンの6−ヒドロキシ基は、α型異性体とβ型異性体の比が少なくとも95:5であってよい。方法の各工程の反応混合物及び反応条件は、下記の項(II)に詳述されている。
一般に、本明細書に詳述するモルフィナン及びノルモルフィナンには下記に図式で示すモルフィナン構造を含むあらゆる化合物が含まれ、構造中のRは、モルフィナンではヒドロカルビル基または置換ヒドロカルビル基であり、ノルモルフィナンでは水素である。説明のため、モルフィナンのコア構造の環原子に下記のとおり番号を付している。
モルフィナン化合物は不斉中心を有する。特に、核となるモルフィナン化合物は、少なくとも4個のキラル炭素(上図中のアスタリスクが付された炭素)、すなわち、C−5、C−13、C−14、及びC−9を有してよい。
(II)式(IV)を含む化合物を、式(I)を含む化合物から調製する方法 本開示は、式(I)を含む化合物から式(IV)を含む化合物を調製する方法を提供する。かかる方法は、式(I)を含む化合物と、式HOOCR18を含む化合物及び過酸化水素とを接触させて式(II)を含む化合物を生成することを含む。以下の反応スキームにしたがい、式(II)を含む化合物を第1の還元剤と接触させて式(III)を含む化合物を生成し、生成した式(III)を含む化合物を第2の還元剤と接触させて式(IV)を含む化合物を生成し、

これにおいて、
Aは、酸素、硫黄、及び窒素からなる群から選択され、
Rは、水素、ヒドロカルビル基及び置換ヒドロカルビル基からなる群から選択され、
、R、及びRは、互いに独立して、水素、アミノ基、ハロゲン基、{−}OH、{−}O R1611、{−}SH、{−}SR1611、{−}NHR1611、{−}NR16111612、ヒドロカルビル基、及び置換ヒドロカルビル基からなる群から選択され、
、R、R、R、R10a、R10b、R15a、R15b、R16a、及びR16bは、互いに独立して、水素、アミノ基、ハロゲン基、{−}OH、{−}OR1611、{−}SH、{−}SR1611、{−}NHR1611、{−}NR16111612、ヒドロカルビル基、及び置換ヒドロカルビル基からなる群から選択され、これにおいて、#が10、15、及び16のいずれか1つであるR#aとR#bとの任意のペアは、任意選択で互いに結合して{=}O、{=}S、{=}CH、及び{=}NR1612からなる群から選ばれる部分を形成し、
、R1611、及びR1612は、互いに独立して、ヒドロカルビル基及び置換ヒドロカルビル基からなる群から選択され、
18は、水素、ヒドロカルビル基及び置換ヒドロカルビル基からなる群から選択され、かつ
、R、R、R、R、R、R、R、R10a、R10b、R15a、R15b、R16a、及びR16bの1種またはそれ以上が、炭素環式、置換炭素環式、複素環式、置換複素環式、またはその組み合わせから選ばれる環もしくは環系の一部を形成し得る。
ある実施形態では、Rは、水素、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、置換アルキル基、置換アルケニル基、置換アルキニル基、及び置換アリール基からなる群から選択されてよい。別の実施形態では、R及びRは、互いに独立して、水素、アミノ基、アミン基、ハロ基、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、置換アルキル基、置換アルケニル基、置換アルキニル基、及び置換アリール基からなる群から選択されてよい。その他の実施形態では、Rは、ヒドロキシ基、アルコキシ基、ヒドロカルビルオキシ基、及び置換ヒドロカルビルオキシ基からなる群から選択されてよい。さらに他の実施形態では、Rは、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、置換アルキル基、置換アルケニル基、置換アルキニル基、及び置換アリール基からなる群から選択されてよい。いくつかの実施形態では、R、R、R、R、R10a、R10b、R15a、R15b、R16a、及びR16bは、互いに独立して、水素、アミノ基、アミン基、ハロ基、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、置換アルキル基、置換アルケニル基、置換アルキニル基、及び置換アリール基からなる群から選択されてよい。
例示的な一実施形態では、Aは、酸素であってよく;R、R、R、R、R、R、R10a、R10b、R15a、R15b、R16a、及びR16bは、存在する場合、水素であってよく;Rは、水素、メチル基、シクロプロピルメチル基、シクロブチルメチル基、及びアリル基からなる群から選択されてよく;Rは、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、置換アリールオキシ基、及び保護されたヒドロキシ基からなる群から選択されてよく;Rは、アルキル基、アリール基、置換アルキル基、及び置換アリール基からなる群から選択されてよい。
いくつかの実施形態では、R18は、水素、アルキル基、アリール基、置換アルキル基、及び置換アリール基からなる群から選択されてよい。例示的な一実施形態では、R18は、水素、メチル基、フェニル基、及び置換フェニル基からなる群から選択されてよい。特定の実施形態では、R18は水素であってよい。
いくつかの実施形態では、式(I)を含む化合物と過酸化水素とHOOCR18を含む化合物とのモル/モル比は、約1:0.6:1〜約1:2.2:8であってよい。その他の実施形態では、方法を、少なくとも1種のプロトン性極性溶媒の存在下で行ってよく、溶媒の式(I)を含む化合物に対する体積/質量の比は、約1:1〜約4:1であってよい。さらに他の実施形態では、方法を温度約0℃〜約70℃で行ってよい。
その他の実施形態では、第1の還元剤は、水素化ホウ素を含んでよい。例示的な実施形態では、第1の還元剤は、水素化ホウ素ナトリウム及びトリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウムからなる群から選択されてよい。いくつかの実施形態では、式(II)を含む化合物と第1の還元剤から得た水素化物とのモル/モル比は、約1:0.7〜約1:5であってよい。
いくつかの実施形態では、第2の還元剤は、水素移動反応剤、水素移動反応剤と金属触媒との組み合わせ、及び水素と金属触媒との組み合わせであってよい。ある実施形態では、第2の還元剤は水素移動反応剤であってよく、遷移金属触媒の存在下で使用する。例示的な一実施形態では、遷移金属触媒は、炭素に担持させたパラジウムであってよい。いくつかの実施形態では、式(III)を含む化合物と水素移動反応剤と遷移金属触媒とのモル/モル比は、約1:0.1:0.002〜約1:1:0.02であってよい。
具体的な実施形態では、工程(a)、(b)、及び(c)は、式(II)または式(III)を含む化合物を単離せずに単一反応ポット内で行ってよい。例示的な実施形態では、第1工程の有機酸はギ酸であってよく、第1の還元剤は水素化ホウ素ナトリウムまたはトリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウムであってよく、第2の還元剤は、例えば、ギ酸のような、遷移金属触媒の存在下で使用する水素移動反応剤であってよい。
その他の実施形態では、方法は、式(IV)を含む化合物を析出させるために工程(c)の後にpHを約8.7より大きくなるよう調節することをさらに含んでよい。他のいくつかの実施形態では、方法は、式(IV)を含む化合物のC−14からヒドロキシル基を除去することをさらに含んでよい。
さらに他の実施形態では、式(I)、(II)、(III)、または(IV)を含む化合物は、互いに独立して、光学活性が(−)または(+)であってよく、また、C−5、C−13、C−14、及びC−9の立体配置は、それぞれ、RRRR、RRSR、RRRS、RRSS、RSRR、RSSR、RSRS、RSSS、SRRR、SRSR、SRRS、SRSS、SSRR、SSSR、SSRS、またはSSSSであるが、その場合、C−15及びC−16の両炭素がともに分子のα面にあるか、またはともに分子のβ面にあることが条件となる。特定の実施形態では、(II)または(IV)を含む化合物のC−6に付いているヒドロキシ基は、α型異性体とβ型異性体の比が少なくとも95:5であり得る。
(a)工程A−反応混合物
方法の工程Aは、式(I)を含む化合物と、式HOOCR18を含む化合物及び過酸化水素とを接触させて式(II)を含む化合物を生成することを含む。方法は、先に詳述されている式(I)を含む化合物、過酸化水素、式HOOCR18を含む化合物、及び任意選択で溶媒系を含む反応混合物を生成することから開始する。
(i)式HOOCR18を含む化合物及び過酸化水素
さまざまな有機酸がこの方法での使用に好適である。一般に、有機酸は式HOOCR18で表され、これにおいて、R18は水素、ヒドロカルビル基、及び置換ヒドロカルビル基からなる群から選択されてよい。いくつかの実施形態では、R18は、水素、アルキル基、アリール基、置換アルキル基、及び置換アリールからなる群から選択される。その他の実施形態では、R18は、水素、メチル基、フェニル基、及び置換フェニル基からなる群から選択される。特定の実施形態では、R18は水素である。好適な有機酸の非限定的な例としては、ギ酸、酢酸、安息香酸、及びクロロ安息香酸が挙げられる。例示的な実施形態では、有機酸はギ酸である。
式(I)を含む化合物と接触させる有機酸(すなわち、式HOOCR18を含む化合物)及び過酸化水素の量は異なり得る。一般に、式(I)を含む化合物と過酸化水素と有機酸とのモル/モル比は、約1:0.1:0.2〜約1:11:40の範囲であってよい。さまざまな実施形態では、式(I)を含む化合物と過酸化水素と有機酸とのモル/モル比は、約1:0.1:0.2〜約1:0.5:1、約1:0.5:1〜約1:0.8:1.5、約1:0.8:1.5〜約1:1:2、約1:1:2〜約1:2:4、約1:2:4〜約1:4:8、約1:4:8〜約1:8:16、または約1:8:16〜約1:11:40の範囲であってよい。例示的な実施形態では、式(I)を含む化合物と過酸化水素とHOOCR18を含む化合物とのモル/モル比は、約1:0.6:1〜約1:2.2:8であってよい。
(ii)溶媒
反応は一般に、溶媒または溶媒系の存在下で行われる。溶媒は、プロトン性極性溶媒、非プロトン性極性溶媒、または非極性有機溶媒であってよい。好適なプロトン性極性溶媒の非限定的な例としては、水;メタノール、エタノール、イソプロパノール、n−プロパノール、イソブタノール、n−ブタノール、s−ブタノール、t−ブタノール等のようなアルコール;プロピレングリコールのようなジオール;ギ酸、酢酸等のような有機酸;ホルムアミド、アセトアミド等のようなアミド;及び上記の任意の溶媒の組み合わせが挙げられる。好適な非プロトン性溶媒の非限定的な例としては、アセトン、アセトニトリル、ジエトキシメタン、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、N,N−ジメチルプロパンアミド(またはジメチルプロピオンアミド;DMP)、1,3−ジメチル−3,4,5,6−テトラヒドロ−2(1H)−ピリミジノン(DMPU)、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン(DMI)、1,2−ジメトキシエタン(DME)、ジメトキシメタン、ビス(2−メトキシエチル)エーテル、N,N−ジメチルアセトアミド(DMA)、N−メチル−2−ピロリジノン(NMP)、1,4−ジオキサン、ギ酸エチル、ホルムアミド、ヘキサクロロアセトン、ヘキサメチルホスホルアミド、酢酸メチル、N−メチルアセトアミド、N−メチルホルムアミド、塩化メチレン、メトキシエタン、モルホリン、ニトロベンゼン、ニトロメタン、プロピオニトリル、ピリジン、スルホラン、テトラメチル尿素、テトラヒドロフラン(THF)、2−メチルテトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、トリクロロメタン、及びその組み合わせが挙げられる。代表的な非極性溶媒としては、アルカン及び置換アルカン系溶媒(シクロアルカンを含む)、芳香族炭化水素、エステル、エーテル、ケトン、及びその組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。使用してよい具体的なプロトン性極性溶媒としては、例えば、水、ギ酸、酢酸、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、及びその組み合わせが挙げられる。
一般に、溶媒と式(I)を含む化合物との体積/質量の比は、約0.5:1〜約100:1の範囲である。さまざまな実施形態では、溶媒と式(I)を含む化合物との体積/質量の比は、約0.5:1〜約5:1、約5:1〜約25:1、または約25:1〜約100:1の範囲であってよい。ある実施形態では、溶媒と式(I)を含む化合物との体積/質量の比は、約1:1〜約20:1の範囲であってよい。
(b)工程A−反応条件
一般に、反応は、約0℃〜約100℃の範囲の温度で行われる。さまざまな実施形態では、反応は、温度約0℃〜約20℃、約20℃〜約40℃、約40℃〜約60℃、約60℃〜約80℃、または約80℃〜約100℃で行われてよい。いくつかの実施形態では、反応温度は、0℃〜約70℃の範囲であってよい。ある実施形態では、反応温度は、約20℃〜約35℃の範囲であってよい。その他の実施形態では、反応は、第1の温度である約20℃〜約35℃で行い、その後、第2の温度である約45℃〜約55℃で行ってよい。反応は、空気存在下で行われ得るか、または反応は、不活性雰囲気下(例えば、窒素またはアルゴン雰囲気下)で行われ得る。典型的には、反応は大気圧下で行われる。
典型的には、クロマトグラフィー(例えば、HPLC)または別の好適な方法により反応の完了が測定されるまで十分な時間をかけて反応を進行させる。この文脈において、「反応完了」は、一般に、反応開始時の量と比較して、反応混合物に含有される式(I)を含む化合物の量が有意に減少しており、かつ、式(II)を含む化合物の量が有意に増加していることを意味する。典型的には、反応完了後に反応混合物中に残る式(I)を含む化合物量は、約3%未満または約1%未満であってよい。一般に、反応を、約1時間〜約48時間進行させてよい。典型的には、反応持続時間は反応温度が低いほど長くなる。ある実施形態では、反応を、約1時間〜約3時間、約3時間〜約6時間、約6時間〜約12時間、約12時間〜約18時間、約18時間〜約24時間、約24時間〜約36時間、または約36時間〜約48時間の範囲の時間進行させてよい。例示的な実施形態では、反応を、約12時間〜約18時間進行させてよい。
一般に、式(II)を含む化合物は単離せず、方法の工程(b)を同一の反応ポットまたはリアクターで進行させる。いくつかの実施形態では、式(II)を含む化合物を、当業者に公知の技術を使用して反応混合物から単離してよい。好適な技術の非限定例としては、沈殿、抽出、気化、蒸留、クロマトグラフィー、及び晶出が挙げられる。
式(II)を含む化合物の収率は、異なり得、また、将来異なることとなる。典型的には、式(II)を含む化合物の収率は、少なくとも約40%であってよい。ある実施形態では、式(II)を含む化合物の収率は、約40%〜約60%の範囲であってよい。別の実施形態では、式(II)を含む化合物の収率は、約60%〜約80%の範囲であってよい。さらなる実施形態では、式(II)を含む化合物の収率は、約80%〜約90%の範囲であってよい。さらに別の実施形態では、式(II)を含む化合物の収率は、約90%より大きい、または約95%より大きくてよい。
(c)工程B−反応混合物
方法は、式(II)を含む化合物と第1の還元剤とを接触させて式(III)を含む化合物を生成することをさらに含む。方法は、先に詳述されている式(II)を含む化合物、第1の還元剤、及び任意選択で溶媒系を含む反応混合物を生成することから開始する。
(i)第1の還元剤
いくつかの実施形態では、第1の還元剤は、例えば、ボラン/テトラヒドロフラン、ボラン/ジメチルスルフィド、水素化ホウ素ナトリウム、水素化ホウ素リチウム、水素化ホウ素カリウム、シアノ水素化ホウ素ナトリウム、トリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウム、テトラ(n−ブチル)−アンモニウムボロヒドリド、水素化トリエチルホウ素リチウム、水素化トリ(sec−ブチル)ホウ素カリウム、水素化トリ(シアミル)ホウ素カリウム、水素化(sec−ブチル)ホウ素リチウム、水素化トリ(シアミル)ホウ素リチウム、水素化トリ(sec−ブチル)ホウ素ナトリウム、水素化アミノホウ素リチウム、水素化ジメチルアミノホウ素ナトリウム(sodium dimethylaminoborohydride)、水素化ジエチルアミノホウ素リチウム(lithium diethylaminoborohydride)、水素化ジ−n−プロピルアミノホウ素リチウム(lithium di−n−propylaminoborohydride)、水素化ジイソプロピルアミノホウ素リチウム(lithium diisopropylaminoborohydride)、リチウム−1−アザヘプタノボロヒドリド(lithium−1−azaheptanoborohydride)、水素化ピロリジノホウ素リチウム(lithium pyrrolidinoborohydride)、水素化モルホリノホウ素リチウム(lithium morpholinoborohydride)、水素化ピペリジノホウ素リチウム(lithium piperidinoborohydride)、及び水素化(N−エチル−N−フェニル−アミノ)ホウ素リチウム(lithium (N−ethyl−N−phenyl−amino) borohydride)、からなる群から選択される水素化ホウ素を含んでよい。例示的な実施形態では、第1の還元剤は、水素化ホウ素ナトリウムまたはトリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウムであってよい。
反応混合物に加える第1の還元剤の量は異なり得、また、将来異なることとなる。一般に、式(II)を含む化合物と第1の還元剤とのモル/モル比は、約1:0.15〜約1:25の範囲であってよい。ある実施形態では、式(II)を含む化合物と第1の還元剤とのモル/モル比は、約1:0.15〜約1:0.7、約1:0.7〜約1:1.5、約1:1.5〜約1:2.5、約1:2.5〜約1:5、約1:5〜約1:10、約1:10〜約1:15、約1:15〜約1:20、または約1:20〜約1:25の範囲であってよい。ある実施形態では、式(II)を含む化合物と第1の還元剤とのモル/モル比は、約1:0.7〜約1:5の範囲であってよい。
第1の還元剤が水素化ホウ素のような水素化物供給源である場合、モル/モル比は、水素化物供給源から得られる水素化物のモル当量をもとに計算してよい。例えば、1モルの水素化ホウ素ナトリウムからは4モルの水素化物が得られ、一方、1モルのトリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウムからは1モルの水素化物が得られる。当業者であれば、水素化物のモル当量は、例えば、第1の還元剤の化学式をもとに計算できるであろう。したがって、ある実施形態では、式(II)を含む化合物と第1の還元剤から得られる水素化物とのモル/モル比は、約1:0.15〜約1:0.7、約1:0.7〜約1:1.5、約1:1.5〜約1:2.5、約1:2.5〜約1:5、約1:5〜約1:10、約1:10〜約1:15、約1:15〜約1:20、または約1:20〜約1:25の範囲であってよい。ある実施形態では、式(II)を含む化合物と第1の還元剤から得られる水素化物とのモル/モル比は、約1:0.7〜約1:5の範囲であってよい。
第1の還元剤との接触は、一般に、溶媒または溶媒系の存在下で行う。好適な溶媒及び溶媒系は、上記の項(II)(a)(ii)に詳述されている。例示的な実施形態では、溶媒系は、水、ギ酸、酢酸、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、またはその組み合わせを含んでよい。
一般に、溶媒と式(II)を含む化合物との体積/質量の比は、約0.5:1〜約100:1の範囲である。さまざまな実施形態では、溶媒と式(II)を含む化合物との体積/質量の比は、0.5:1〜約5:1、約5:1〜約25:1、または約25:1〜約100:1の範囲であってよい。例示的な実施形態では、溶媒と式(II)を含む化合物との体積/質量の比は、約1:1〜約20:1の範囲であってよい。
(d)工程B−反応条件
反応をさせる温度は、異なり得、また、将来異なることとなる。一般に、反応温度は約0℃〜約100℃の範囲となるであろう。さまざまな実施形態では、反応温度は、約0℃〜約20℃、約20℃〜約40℃、約40℃〜約60℃、約60℃〜約80℃、または約80℃〜約100℃の範囲であってよい。反応によっては、反応温度は約0℃〜約70℃の範囲であってよい。具体的な実施形態では、反応温度は約30℃未満であってよい。一般に、反応は、不活性雰囲気下(例えば、窒素またはアルゴン雰囲気下)で大気圧にて行われる。
典型的には、先に詳述したように、反応が完了するまで十分な時間をかけて反応を進行させる。反応完了の際、反応混合物中に残る式(II)を含む化合物量は、約3%未満、または約1%未満であってよい。一般に、反応を約1時間〜約24時間進行させてよい。いくつかの実施形態では、反応を約1時間〜約3時間、約3時間〜約4時間、約4時間〜約6時間、約6時間〜約8時間、約8時間〜約12時間、約12時間〜約18時間、または約18時間〜約24時間進行させてよい。例示的な実施形態では、反応を約4時間〜約6時間進行させてよい。
一般に、式(III)を含む化合物は単離せず、方法の工程(c)を同一の反応ポットまたはリアクターで進行させる。いくつかの実施形態では、式(III)を含む化合物を、当業者に公知の技術を使用して反応混合物から単離してよい。好適な技術の非限定的例としては、沈殿、抽出、気化、蒸留、クロマトグラフィー、及び晶出が挙げられる。
式(III)を含む化合物の収率は、異なり得、また、将来異なることとなる。典型的には、式(III)を含む化合物の収率は、少なくとも約35%であってよい。ある実施形態では、式(III)を含む化合物の収率は、約35%〜約65%の範囲であってよい。別の実施形態では、式(III)を含む化合物の収率は、約65%〜約75%の範囲であってよい。さらに別の実施形態では、式(III)を含む化合物の収率は、約75%〜約85%の範囲であってよい。さらなる実施形態では、式(III)を含む化合物の収率は、約85%〜約95%の範囲であってよい。さらに別の実施形態では、式(III)を含む化合物の収率は、約95%より大きくてよい。
(e)工程C−反応混合物
方法は、式(III)を含む化合物と第2の還元剤とを接触させて式(IV)を含む化合物を生成することをさらに含む。方法は、先に詳述されている式(III)を含む化合物、第2の還元剤、及び任意選択で溶媒系を含む反応混合物を生成することから開始する。
(i)第2の還元剤
さまざまな還元剤を本方法の工程で使用してよい。例えば、第2の還元剤は、水素移動反応剤、水素移動反応剤と金属触媒との組み合わせ、または気体水素と金属触媒との組み合わせ(加圧下、例えば、60psi)であってよい。
いくつかの実施形態では、第2の還元剤は、水素移動反応により二重結合が還元されるような水素移動反応剤であってよい。一般に、水素移動反応剤は、1個またはそれ以上の水素原子に結合する酸素原子または窒素原子を含む。好適な水素移動反応剤の非限定例としては、ギ酸、ギ酸塩(例えば、ギ酸アンモニウム)、アルコール(例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール等)、ジオール(例えば、グリセリン)、及びアミン(例えば、トリエチルアミン、エタノールアミン等)などが挙げられる。例示的な実施形態では、水素移動反応剤はギ酸である。
式(III)を含む化合物と接触させる水素移動反応剤の量は、異なり得、また、将来異なることとなる。一般に、式(III)を含む化合物と水素移動反応剤とのモル/モル比は、約1:0.05〜約1:10の範囲であってよい。さまざまな実施形態では、式(III)を含む化合物と水素移動反応剤とのモル/モル比の範囲は約1:0.05〜約1:0.2、約1:0.2〜約1:1、約1:1〜約1:4、または約1:4〜約1:10である。例示的な実施形態では、式(III)を含む化合物と水素移動反応剤とのモル/モル比は、約1:0.1〜約1:1の範囲であってよい。
さまざまな金属触媒が、水素移動反応剤(または気体水素)とともに使用するのに好適である。いくつかの実施形態では、金属触媒は、遷移金属触媒であってよい。ここで、用語「遷移金属触媒」とは、遷移金属元素、遷移金属塩、または遷移金属錯体をいう。一般に、遷移金属は、どの遷移金属であってもよい。いくつかの実施形態では、遷移金属は、イリジウム、鉄、ニッケル、オスミウム、パラジウム、白金、ルテニウム及びロジウムであってよい。例示的な一実施形態では、遷移金属は、ルテニウム、イリジウム、またはロジウムであってよい。遷移金属の酸化状態は異なる場合があり、例えば、(0)、(I)、(II)、(III)、(IV)、(V)、(VI)または(VII)であり得ることは当業者には理解される。例えば、好適な遷移金属の非限定的例としては、ルテニウム(0)、ルテニウム(II)、ルテニウム(III)、ルテニウム(IV)、ロジウム(0)、ロジウム(I)、ロジウム(III)、イリジウム(0)、イリジウム(III)、イリジウム(IV)、パラジウム(0)、パラジウム(II)、パラジウム(IV)、白金(0)、白金(II)、白金(IV)、及びニッケル(0)が挙げられる。
いくつかの実施形態では、遷移金属触媒は、遷移金属元素自身であってよい。例えば、遷移金属元素は、例えば、ルテニウム粉末、ロジウム粉末、ルテニウムスポンジ、ロジウムスポンジ、パラジウムスポンジ等のような粉末またはスポンジであってよい。別の方法では、遷移金属元素は、ロジウムブラック、ルテニウムブラック、パラジウムブラックなどであってよい。さらに他の実施形態では、遷移金属元素を固体表面または支持体上に固定化してよい。好適な実施例としては、炭素上のルテニウム、炭素上のロジウム、炭素上のパラジウム、アルミナ上のルテニウム、アルミナ上のロジウム、アルミナ上の白金、アルミナ上のパラジウム、シリカ上のロジウム、シリカ上のパラジウム、木炭上のパラジウム、軽石上のパラジウム等が挙げられるが、これらに限定されない。例示的な実施形態では、遷移金属触媒は、炭素に担持させたパラジウムであってよい。
その他の実施形態では、遷移金属触媒は、遷移金属塩であってよい。好適な塩類の非限定的な例としては、酢酸塩、アセチルアセトナート、アルコキシド、酪酸塩、カルボニル、二酸化物、ハロゲン化物、ヘキソナート、水素化物、メシラート、オクタナート、硝酸塩、ハロゲン化ニトロシル(nitrosyl halides)、ニトロシル硝酸塩、硫酸塩、硫化物、スルホン酸塩、リン酸塩、トリフルオロメタンスルホン酸塩、トリメチル酢酸塩、トシラート、及びその組み合わせが挙げられる。好適な遷移金属塩類の非限定的な例としては、RuCl、RuBr、Ru(CFSO、Ru(SO、Ru(NO、Ru(OAc)、PdCl、Pd(OAc)、RhCl、RhBr、Rh(SO、(Rh(CO)Cl)、Rh(SO、Rh(OAC)、IrCl、及びOsClが挙げられる。遷移金属塩は、可溶性(すなわち、均一系)であってよい。別の方法では、遷移金属塩を、固体支持体(すなわち、不均一系)上に固定化してよい。遷移金属塩を固体支持体の上に非共有結合または共有結合により固定化してよい。いくつかの実施形態では、固体支持体は無機材料であってよい。好適な無機材料としては、シリカ、アルミナ、チタニア、カルボンジウム(carbondium)、ジルコニア、活性炭、ゼオライト、粘土、ポリマー、セラミック、及び活性炭が挙げられる。好適なシリカとしては、二酸化ケイ素、非晶質シリカ、及びマイクロポーラスもしくはメソポーラスのシリカが挙げられる。その他の実施形態では、固体支持体はポリマーであってよい。ポリマーは、天然ポリマー、合成ポリマー、半合成ポリマー、または共ポリマーであってよい。好適なポリマーの非限定例としては、アガロース、セルロース、ニトロセルロース、メチルセルロース、ポリアクリル酸、ポリアクリルアミド、ポリアクリロニトリル、ポリアミド、ポリエーテル、ポリエステル、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリスルホン、ポリ塩化ビニル、ポリビニリデン(polyvinylidene)、メタクリレート共ポリマー、及びポリスチレン−塩化ビニル共ポリマーが挙げられる。
さらなる実施形態では、遷移金属触媒は、遷移金属錯体であってよい。一般に、遷移金属錯体は、遷移金属及び酸化状態が0〜8の範囲である4、5、または6種の配位結合種を含む。錯体はイオンであってよく、または、錯体は、共有結合している配位子及び対イオンを含んでよい。別の方法では、錯体は、金属、配位子(複数可)、及び/または対イオン(複数可)同士の結合にイオン結合と共有結合を混合して含んでよい。配位子は、単座または多座であってよい。好適な配位子の非限定的な例としては、アレーン配位子、オレフィン配位子、アルキン配位子、ヘテロシクロアルキル配位子、ヘテロアリール配位子、アルキル配位子、シクロペンタジエニル配位子、ヒドリド配位子、アミン配位子、カルボニル配位子、窒素供与体配位子、リン供与体配位子、酸素供与体配位子等が挙げられる。配位子は、また、例えば、DMSO、メタノール、塩化メチレン、テトラヒドロフラン、アセトン、エタノール、ピリジン、またはテトラアルキルアンモニア(tetraalkylammonia)化合物などの溶媒であってもよい。好適な対イオンとしては、ハロゲン化物、BF、PF、ClO、CHO、CFSO、CHCO、ArCO、CHSO、p−tolylSO、HSO、HPO、及びヒドロカルビルの各陰イオンが挙げられるが、これらに限定されない。数多くの遷移金属錯体が、Uma et al., Chem. Rev. 103: 27−51 (2003) の“Transposition of Allylic Alcohols into Carbonyl compounds Mediated by Transition Metal Complexes”に詳述されている。
遷移金属錯体は、可溶性(すなわち、均一系)であってよい。別の方法では、遷移金属錯体を、固体支持体(すなわち、不均一系)上に固定化してよい。遷移金属錯体は、固体支持体の上に非共有結合または共有結合により固定化されてよい。好適な固体支持体の例は上記に提示されている。
水素移動反応に使用する遷移金属触媒の量は異なり得、また、将来異なることとなる。一般に、式(III)を含む化合物と遷移金属触媒とのモル/モル比は、約1:0.0004〜約1:0.08の範囲であってよい。ある実施形態では、式(III)を含む化合物と遷移金属触媒とのモル/モル比は、約1:0.0004〜約1:0.001、約1:0.001〜約1:0.003、約1:0.003〜約1:0.01、約1:0.01〜約1:0.03、または約1:0.03〜約1:0.08の範囲であってよい。ある実施形態では、式(III)を含む化合物と遷移金属触媒とのモル/モル比は、約1:0.002〜約1:0.02の範囲であってよい。炭素などの不活性支持体上に遷移金属触媒を固定化する場合、遷移金属触媒のモル/モル比は、支持体重量を含めた触媒総重量ではなく、触媒中に存在する遷移金属の割合に基づいてよい。当業者であれば、当該技術分野で一般的な手法を用いてモル/モル比を計算できるであろう。
第2の還元剤との接触は一般に、溶媒または溶媒系の存在下で行う。好適な溶媒及び溶媒系は、上記の項(II)(a)(ii)に詳述されている。例示的実施形態では、溶媒系は、水、ギ酸、酢酸、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、またはその組み合わせを含んでよい。
一般に、溶媒と式(III)を含む化合物との体積/質量の比は、約0.5:1〜約100:1の範囲である。さまざまな実施形態では、溶媒と式(III)を含む化合物との体積/質量の比は、0.5:1〜約5:1、約5:1〜約25:1、または約25:1〜約100:1の範囲であってよい。例示的実施形態では、溶媒と式(III)を含む化合物との体積/質量の比は、約1:1〜約20:1の範囲であってよい。
(f)工程C−反応条件
反応をさせる温度は、異なり得、また、将来異なることとなる。一般に、反応温度は約0℃〜約100℃の範囲となるであろう。さまざまな実施形態では、反応温度は、約0℃〜約25℃、約25℃〜約50℃、約50℃〜約75℃、または約75℃〜約100℃の範囲であってよい。いくつかの実施形態では、反応温度は、約0℃〜約70℃の範囲であってよい。具体的な実施形態では、反応温度は、約40℃〜約70℃、または約50℃〜約60℃の範囲であってよい。一般に、反応は、不活性雰囲気下(例えば、窒素またはアルゴン雰囲気下)で行われる。第2の還元剤が水素移動反応剤を含む実施形態では、反応は大気圧下で行われる。
典型的には、先に詳述したように、反応が完了するまで十分な時間をかけて反応を進行させる。反応完了の際、反応混合物中に残る式(III)を含む化合物量は、約3%未満または約1%未満であってよい。一般に、反応を約1時間〜約24時間進行させてよい。いくつかの実施形態では、反応を約1時間〜約3時間、約3時間〜約4時間、約4時間〜約6時間、約6時間〜約8時間、約8時間〜約12時間、約12時間〜約18時間、または約18時間〜約24時間進行させてよい。例示的な実施形態では、反応を、約4時間〜約8時間進行させてよい。
式(IV)を含む化合物は、当業者に公知の技術を使用して反応混合物から単離してよい。好適な技術の非限定的な例としては、沈殿、抽出、気化、蒸留、クロマトグラフィー、及び晶出が挙げられる。式(IV)を含む化合物をそのまま使用してよく、または、当業者によく知られている手法で別の化合物に変換して使用してよい。
式(IV)を含む化合物の収率は、異なり得、また、将来異なることとなる。典型的には、式(IV)を含む化合物の収率は、少なくとも約35%であってよい。ある実施形態では、式(IV)を含む化合物の収率は、約35%〜約65%の範囲であってよい。別の実施形態では、式(IV)を含む化合物の収率は、約65%〜約75%の範囲であってよい。さらに別の実施形態では、式(IV)を含む化合物の収率は、約75%〜約85%の範囲であってよい。さらなる実施形態では、式(IV)を含む化合物の収率は、約85%〜約95%の範囲であってよい。さらに別の実施形態では、式(IV)を含む化合物の収率は、約95%より大きくてよい。
(g)さらなる任意選択の工程
方法は、式(IV)の化合物生成の後、別の工程をさらに含んでよい。例えば、いくつかの実施形態では、式(IV)を含む化合物を析出させるためにpHを10より大きい値に調整してよい。その他の実施形態では、方法は、式(IV)を含む化合物のC−14からヒドロキシル基を除去することをさらに含んでよい。
(i)沈殿
いくつかの実施形態では、方法は、式(IV)を含む化合物を析出させるためにpHを約8.7より大きく調整することをさらに含んでよい。pHは、例えば、適量の好適なプロトン受容体を、式(IV)を含む化合物を含有している反応混合物に加えて調整してよい。プロトン受容体は典型的には、pKaが約7〜約13である。こうした特性を有する好適なプロトン受容体としては、水酸化物塩(例えば、NaOH、KOH、またはMg(OH));水素化物(例えば、アンモニウムヒドリド(ammonium hydride)、水素化ナトリウム、ナトリウムアミド等)、ホウ酸塩(例えば、NaBOなど)、塩基性ジホスファート及びトリホスファート(例えば、NaHPO及びNaPO等)、重炭酸塩(例えば、NaHCO、KHCO、LiCO等)、炭酸塩(例えば、NaCO、KCO、LiCO等)、有機塩基(例えば、ピリジン、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、N−メチルモルホリン、N,N−ジメチルアミノピリジンなど)、並びにあらゆる上記の混合物が挙げられる。例示的な実施形態では、プロトン受容体は、水酸化ナトリウムまたはアンモニウムヒドリド(ammonium hydride)のような水酸化物を含んでよい。
反応混合物に加えるプロトン受容体の量は異なり得る。一般に、かかる量のプロトン受容体を、約8.7より大きいpH、例えば、pH約9.0、約9.5、約10.、約10.5、約11、約12、または約13を達成するために加える。いくつかの実施形態では、約1:0.5〜約1:10の範囲であり得る、式(IV)を含む化合物とプロトン受容体とのモル/モル比を選択することにより目標pHを達成してよい。さまざまな実施形態では、式(IV)を含む化合物とプロトン受容体とのモル/モル比は、約1:0.5〜約1:2、約1:2〜約1:5、または約1:5〜約1:10の範囲であってよい。例示的な実施形態では、式(IV)を含む化合物とプロトン受容体とのモル/モル比は、約1:1〜約1:4の範囲であってよい。
いくつかの実施形態では、反応混合物は、溶媒をさらに含んでよい。好適な溶媒及び開始基質に対する溶媒の比は、上記の項(II)(a)(ii)に挙げられている。例示的な実施形態では、溶媒はプロトン性極性溶媒であってよく、溶媒と式(IV)を含む化合物との体積/質量の比は、約2:1〜約20:1の範囲であってよい。
一般に、反応は、約0℃〜約100℃の範囲の温度で行われる。さまざまな実施形態では、反応は、温度約0℃〜約20℃、約20℃〜約40℃、約40℃〜約60℃、約60℃〜約80℃、約80℃〜約100℃で行われてよい。反応は、一般に、大気圧下で実施される。一般に、反応を約2時間〜約24時間進行させてよい。いくつかの実施形態では、反応を約2時間〜約6時間、約6時間〜約12時間、または約12時間〜約24時間進行させてよい。
一般に、式(IV)を含む化合物の析出収率は少なくとも約40重量%となるであろう。ある実施形態では、式(IV)を含む化合物の析出の収率は、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、または少なくとも約95%であってよい。
(ii)脱水
その他の実施形態では、方法は、式(IV)を含む化合物のC−14からヒドロキシル基を除去することをさらに含んでよい。いくつかの実施形態では、式(IV)を含む化合物を適量の好適なプロトン供与体と接触させることによりヒドロキシル基をC−14から除去する。当業者であれば、式(IV)を含む化合物を脱水するための他の好適な試薬及び方法が認識されるであろう。
一般に、プロトン供与体はpKaが約9未満、例えばpKa約6未満である。pKa約6未満である好適なプロトン供与体としては、HOAc、HCOH、HCO、MeSOH、ポリHPO、HPO、HSO、HCl、HBr、HI、CFSOH、及びp−トルエンスルホン酸メチルが挙げられるが、これらに限定されない。pKaが約0未満の好適なプロトン供与体としては、MeSOH、ポリHPO、HPO、HSO、HCl、HBr、HClO、HI、HNO、CFSOH、p−トルエンスルホン酸メチル、HClO、HBrO、HIO、及びHIOが挙げられるが、これらに限定されない。
反応に加えるプロトン供与体の量は異なり得る。一般に、式(IV)を含む化合物とプロトン供与体とのモル/モル比は、約1:0.05〜約1:10の範囲である。さまざまな実施形態では、式(IV)を含む化合物とプロトン供与体とのモル/モル比は、約1:0.05〜約1:1、約1:1〜約1:5、または約1:5〜約1:10の範囲であってよい。例示的な実施形態では、式(IV)を含む化合物とプロトン供与体とのモル/モル比は、約1:0.1〜約1:5の範囲であってよい。
いくつかの実施形態では、反応混合物は溶媒をさらに含んでよい。好適な溶媒及び開始基質に対する溶媒の比は、上記の項(II)(a)(ii)に挙げられている。例示的な実施形態では、溶媒は、プロトン性極性溶媒であってよく、溶媒と式(IV)を含む化合物との体積/質量の比は、約2:1〜約20:1の範囲であってよい。
典型的には、先に詳述したように、反応が完了するまで十分な時間をかけて反応を進行させる。反応完了の際、反応混合物中に残る式(IV)を含む化合物量は、約3%未満または約1%未満であってよい。一般に、反応は、約0℃〜約100℃の範囲の温度で行われる。さまざまな実施形態では、反応は、温度約0℃〜約20℃、約20℃〜約40℃、約40℃〜約60℃、約60℃〜約80℃、約80℃〜約100℃で行われてよい。反応は、一般に、大気圧下で実施される。一般に、反応を約2時間〜約24時間進行させてよい。いくつかの実施形態では、反応を約2時間〜約6時間、約6時間〜約12時間、または約12時間〜約24時間進行させてよい。
脱水生成物を、当業者に公知の技術を使用して反応混合物から単離してよい。好適な技術の非限定的な例としては、沈殿、抽出、気化、蒸留、クロマトグラフィー、及び晶出が挙げられる。脱水生成物をそのまま使用してよく、または、当業者によく知られている手法で別の化合物に変換して使用してよい。
脱水生成物の収率は異なり得、また、将来異なることとなる。典型的には、脱水生成物の収率は少なくとも約35%であってよい。ある実施形態では、脱水生成物の収率は約35%〜約65%の範囲であってよい。別の実施形態では、脱水生成物の収率は約65%〜約75%の範囲であってよい。さらに別の実施形態では、脱水生成物の収率は約75%〜約85%の範囲であってよい。さらなる実施形態では、脱水生成物の収率は約85%〜約95%の範囲であってよい。さらに別の実施形態では、脱水生成物の収率は約95%より大きくてよい。
(h)例示的実施形態
ある実施形態では、方法は、式(Ia)を含む化合物から式(IVa)を含む化合物を調製することからなる。方法は、式(Ia)を含む化合物を、式HOOCR18を含む化合物及び過酸化水素と接触させて式(IIa)を含む化合物を生成することを含む。以下の反応スキームにしたがい、式(IIa)を含む化合物を第1の還元剤と接触させて式(IIIa)を含む化合物を生成し、生成した式(IIIa)を含む化合物を第2の還元剤と接触させて式(IVa)を含む化合物を生成し、

これにおいて、
Rは、水素、メチル基、シクロプロピルメチル基、シクロブチルメチル基、及びアリル基からなる群から選択され、
は、ヒドロキシル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、置換アリールオキシ基、及び保護されたヒドロキシ基からなる群から選択され、
は、アルキル基、アリール基、置換アルキル基、及び置換アリール基からなる群から選択され、かつ
18は、水素、メチル基、フェニル基、及び置換フェニル基からなる群から選択される。
特定の実施形態では、R18は水素であってよい。具体的な実施形態では、Rはメチル基であってよく、Rはヒドロキシ基、メトキシ基、または保護されたヒドロキシ基であってよく、また、Rはメチル基であってよい。
いくつかの実施形態では、式(Ia)を含む化合物と過酸化水素と式HOOCR18を含む化合物とのモル/モル比は、約1:0.6:1〜約1:2.2:8であってよい。その他の実施形態では、方法を、少なくとも1種の非プロトン性極性溶媒の存在下で実施してよく、溶媒と式式(Ia)を含む化合物との体積/質量の比は約1:1〜約4:1である。さらに他の実施形態では、方法を、温度約0℃〜約70℃で実施してよい。
例示的な実施形態では、第1の還元剤は、水素化ホウ素を含む。特定の実施形態では、第1の還元剤は、水素化ホウ素ナトリウムまたはトリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウムであってよい。別の実施形態では、式(IIa)を含む化合物と第1の還元剤から得た水素化物とのモル/モル比は、約1:0.7〜約1:5であってよい。
ある実施形態では、第2の還元剤は水素移動反応剤であってよく、還元を遷移金属触媒の存在下で実施する。例示的な一実施形態では、遷移金属は、炭素に担持させたパラジウムであってよい。その他の実施形態では、式(IIIa)を含む化合物と、水素移動反応剤と、遷移金属触媒とのモル/モル比は、約1:0.1:0.002〜約1:1:0.02であってよい。
例示的な一実施形態では、有機酸はギ酸であり(すなわち、R18は水素)、第2の還元剤は水素移動反応剤であり、これにおいて、かかる水素移動反応剤はギ酸である。水素移動反応は、炭素上のパラジウムといった遷移金属触媒の存在下で行われる。
いくつかの実施形態では、工程(a)、(b)、及び(c)は、式(IIa)または式(IIIa)を含む化合物を単離せずに単一反応ポット内で行ってよい。その他の実施形態では、方法は、式(IVa)を含む化合物を析出させるために、工程(c)の後に、pHを約8.7より大きくなるよう調節することをさらに含んでよい。さらに別の実施形態では、方法は、式(IVa)を含む化合物のC−14からヒドロキシル基を除去することをさらに含んでよい。例示的な実施形態では、式(Ia)、(IIa)、(IIIa)、または(IVa)を含む化合物は、互いに独立して、光学活性が、(−)または(+)であり、また、C−5、C−13、C−14、及びC−9の立体配置は、それぞれ、RRRR、RRSR、RRRS、RRSS、RSRR、RSSR、RSRS、RSSS、SRRR、SRSR、SRRS、SRSS、SSRR、SSSR、SSRS、またはSSSSであるが、その場合、C−15及びC−16炭素のどちらも分子のα面または分子のβ面のいずれかにあることが条件となる。さらに他の実施形態では、(IIIa)または(IVa)を含む化合物のC−6に付いているヒドロキシ基は、α型異性体とβ型異性体の比が少なくとも95:5であり得る。
(i)川下用途
いくつかの実施形態では、式(I)、(Ia)、(II)、(IIa)、(III)、(IIIa)、(IV)、または(IVa)を含む化合物を、薬理学的に許容される塩に変換してよい。用語「薬理学的に許容される塩」とは、アルカリ金属塩の生成、及び遊離酸または遊離塩基の付加塩の生成に一般的に使用される塩である。塩の性質は、それが薬理学的に許容される限り異なってよい。好適な薬理学的に許容される、式(IV)または(IVa)を含む化合物の酸付加塩を、無機酸から、または有機酸から調製してよい。このような無機酸の例は、塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、硝酸、炭酸、硫酸及びリン酸である。適切な有機酸は、脂肪族、脂環式、芳香族、芳香脂肪族、複素環式、カルボン酸及びスルホン酸に分類される有機酸であってよく、これらの例には、蟻酸、酢酸、プロピオン酸、コハク酸、グリコール酸、グルコン酸、乳酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、アスコルビン酸、グルクロン酸、マレイン酸、フマル酸、ピルビン酸、アスパラギン酸、グルタミン酸、安息香酸、アントラニル酸、メシル酸、4−ヒドロキシ安息香酸、フェニル酢酸、マンデル酸、エンボン酸(パモ酸)、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、パントテン酸、2−ヒドロキシエタンスルホン酸、トルエンスルホン酸、スルファニル酸、シクロヘキシルアミノスルホン酸(cyclohexylaminosulfonic)、ステアリン酸、アルギン酸、ヒドロキシ酪酸、サリチル酸、ガラクタル酸及びガラクツロン酸がある。好適な薬理学的に許容される塩基付加塩としては、アルミニウム、カルシウム、リチウム、マグネシウム、カリウム、ナトリウム及び亜鉛から作製した金属塩、またはN,N’−ジベンジルエチレンジアミン、クロロプロカイン、コリン、ジエタノールアミン、エチレンジアミン、メグルミン(N−メチルグルカミン)及びプロカインから作製した有機塩が挙げられる。これらの塩はいずれも、例えば、適切な酸または塩基と、式(I)、(Ia)、(II)、(IIa)、(III)、(IIIa)、(IV)、または(IVa)を含む任意の化合物とを反応させることにより、対応する化合物から従来の手段により調製してよい。
その他の実施形態では、式(I)、(Ia)、(II)、(IIa)、(III)、(IIIa)、(IV)、または(IVa)を含む化合物は、好適なN−アルキル化剤と接触させることにより、例えば、ナロキソン、ナルトレキソン、ナルブフェン(nalmefene)、ナルメフェン(nalmefene)、またはナルフラフィンなどの「ナル」化合物に変換してよい。さらに他の実施形態では、ブプレノルフィン、エトルフィン、ジヒドロエトルフィン、ジプレノルフィン等のような化合物を生成するために、式(IV)または(IVa)を含む化合物を誘導体化してよい。
(j)立体化学
式(I)、(Ia)、(II)、(IIa)、(III)、(IIIa)、(IV)、または(IVa)を任意に含む化合物は、偏光の回転に対して(−)または(+)の配向を有し得る。具体的には、モルフィナンまたはノルモルフィナンの各キラル中心は、RまたはSの立体配置を有し得る。本明細書に記載する化合物は、少なくとも4つのキラル中心、すなわち、炭素C−5、C−9、C−13、及びC−14有してよい。各キラル中心において、炭素原子における立体化学は互いに独立してRまたはSである。C−5、C−9、C−13、及びC−14の立体配置は、それぞれ、RRRR、RRRS、RRSR、RSRR、SRRR、RRSS、RSSR、SSRR、SRRS、SRSR、RSRS、RSSS、SRSS、SSRS、SSSR、またはSSSSであるが、その場合、C−15及びC−16原子の両者ともに分子のα面にあるか、または両者ともに分子のβ面にあることが条件となる。
式(III)、(IIIa)、(IV)、または(IVa)を含む化合物のC−6に付いているヒドロキシ基は、α型異性体またはβ型異性体として存在する。これらの任意の化合物の、α型異性体とβ型異性体との比は、約50:50〜約100:0であってよい。例示的な実施形態では、α型異性体とβ型異性体との比は少なくとも約80:20、約90:10、約95:5、約96:4、約97:3、約98:2、約99:1、約99.5:0.5、約99.9:0.01、または約99.95:0.05であってよい。
定義
本明細書に記載する化合物は不斉中心を有する。不斉置換原子を含有している本発明の化合物は、光学活性体またはラセミ体で単離し得る。具体的な立体化学または異性体形態が具体的に指定されない限り、キラル、ジアステレオマー、ラセミ体のあらゆる形態、及び構造のあらゆる幾何異性体が意図される。
本明細書で用語「アシル基」を単独または別の基の一部として使用した場合、有機カルボン酸のCOOH基からヒドロキシ基を除去することにより形成された部分、例えば、RC(O)−を意味し、これにおいて、RはR、RO−、RN−、またはRS−であり、Rはヒドロカルビル基、ヘテロ置換ヒドロカルビル基、またはヘテロシクロ(ヘテロシクロ(heterocyclo))であり、かつ、Rは水素、ヒドロカルビル基、または置換ヒドロカルビル基である。
本明細書で用語「アシルオキシ基」を単独または別の基の一部として使用した場合、上記のように、酸素の結合(O)を介して結合されているアシル基、例えば、RC(O)O−を意味し、これにおいて、Rは用語「アシル」と関連して定義される。
ここで、用語「アルキル基」は、好ましくは、主鎖に炭素原子1〜8個、かつ、最高20個の炭素原子を含有する低級アルキル基である基を表す。これらは、直鎖もしくは分岐鎖または環式(すなわち、シクロアルキル)であってよく、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、ヘキシル基等が挙げられる。
ここで、用語「アルケニル基」は、好ましくは、主鎖に炭素原子2〜8個、かつ、最高20個の炭素原子を含有している低級アルケニル基である基を表す。これらは、直鎖もしくは分岐鎖または環式であってよく、エテニル基、プロペニル基、イソプロペニル基、ブテニル基、イソブテニル基、ヘキセニル基等が挙げられる。
ここで、用語「アルキニル基」は、好ましくは、主鎖に炭素原子2〜8個、かつ、最高20個の炭素原子を含有している低級アルキニル基である基を表す。これらは、直鎖または分岐鎖であってよく、エチニル基、プロピニル基、ブチニル基、イソブチニル基、ヘキシニル基等が挙げられる。
本明細書で用語「芳香族」を単独または別の基の一部として使用した場合、非局在化電子を含む、任意選択で置換された単素環もしくは複素環式の共役した平面環または環系を意味する。これらの芳香族基は、好ましくは、環部分に5〜14個の原子を含有している、単環式(例えば、フランまたはベンゼン)、二環式、または三環式の基である。用語「芳香族」は、下に定義する「アリール」基を包含する。
本明細書で用語「アリール」または「Ar」を単独または別の基の一部として使用した場合、フェニル基、ビフェニル基、ナフチル基、置換フェニル基、置換ビフェニル基、または置換ナフチル基のように環部分に6〜10個の炭素を含有する、任意選択で置換された単素環式芳香族基、好ましくは、単環式もしくは二環式の基を意味する。
本明細書で用語「カルボシクロ」または「炭素環式」を単独または別の基の一部として使用した場合、環のすべての原子が炭素であり、各環に好ましくは、5個または6個の炭素原子を有している、任意選択で置換された、芳香族もしくは非芳香族、単素環式の環または環系を意味する。例示的な置換基には、ヒドロカルビル基、置換ヒドロカルビル基、アルキル基、アルコキシ基、アシル基、アシルオキシ基、アルケニル基、アルケノキシ基、アリール基、アリールオキシ基、アミノ基、アミド基、アセタール基、カルバミル基、カルボシクロ基、シアノ基、エステル、エーテル、ハロゲン基、ヘテロシクロ(heterocyclo)基、ヒドロキシ基、ケト基、ケタール基、リン酸基、ニトロ基、及びチオ基のうち1種またはそれ以上の基が含まれる。
本明細書で用語「ハロゲン」または「ハロ」を単独または別の基の一部として使用した場合、塩素、臭素、フッ素、及びヨウ素をいう。
用語「ヘテロ原子」とは、炭素及び水素以外の原子をいう。
本明細書で用語「ヘテロ芳香族(の)」を単独または別の基の一部として使用した場合、少なくとも1個の環に少なくとも1個のヘテロ原子を有し、好ましくは各環に5または6個の原子を有する、任意選択で置換された芳香族基を意味する。ヘテロ芳香族基は、好ましくは、環に酸素原子を1個もしくは2個及び/または窒素原子を1個もしくは4個有し、分子の残部に炭素を介して結合している。例示的な基としては、フリル基、ベンゾフリル基、オキサゾリル基、イソオキサゾリル基、オキサジアゾリル基、ベンゾオキサゾリル基、ベンゾオキサジアゾリル基、ピロリル基、ピラゾリル基、イミダゾリル基、トリアゾリル基、テトラゾリル基、ピリジル基、ピリミジル基、ピラジニル基、ピリダジニル基、インドリル基、イソインドリル基、インドリジニル基、ベンゾイミダゾリル基、インダゾリル基、ベンゾトリアゾリル基、テトラゾロピリダジニル(tetrazolopyridazinyl)基、カルバゾリル基、プリニル基、キノリニル基、イソキノリニル基、イミダゾピリジル基等が挙げられる。例示的な置換基として、ヒドロカルビル基、置換ヒドロカルビル基、アルキル基、アルコキシ基、アシル基、アシルオキシ基、アルケニル基、アルケノキシ基、アリール基、アリールオキシ基、アミノ基、アミド基、アセタール基、カルバミル基、カルボシクロ基、シアノ基、エステル基、エーテル、ハロゲン基、ヘテロシクロ(heterocyclo)基、ヒドロキシ基、ケト基、ケタール基、リン酸基、ニトロ基、及びチオ基のうち1種またはそれ以上が挙げられる。
本明細書で用語「ヘテロシクロ」または「ヘテロ環式」を単独または別の基の一部として使用した場合、少なくとも1個の環に少なくとも1個のヘテロ原子を有し、好ましくは各環に5または6個の原子を有する、任意選択で置換された、完全飽和もしくは不飽和、単環もしくは二環式、芳香族もしくは非芳香族の基を意味する。ヘテロシクロ(heterocyclo)基は、好ましくは、環に酸素原子を1個もしくは2個及び/または窒素原子を1個もしくは4個有し、分子の残部に炭素またはヘテロ原子を介して結合している。例示的なヘテロシクロ(heterocyclo)基には、上記のようなヘテロ芳香族が含まれる。例示的な置換基としては、ヒドロカルビル基、置換ヒドロカルビル基、アルキル基、アルコキシ基、アシル基、アシルオキシ基、アルケニル基、アルケノキシ基、アリール基、アリールオキシ基、アミノ基、アミド基、アセタール基、カルバミル基、カルボシクロ基、シアノ基、エステル、エーテル、ハロゲン基、ヘテロシクロ(heterocyclo)基、ヒドロキシ基、ケト基、ケタール基、リン酸基、ニトロ基、及びチオ基のうち1種またはそれ以上の基が挙げられる。
ここで、用語「炭化水素」及び「ヒドロカルビル」とは、炭素及び水素の2元素のみからなる有機化合物または基を表す。これらの部分としては、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、及びアリール部分が挙げられる。これらの部分には、他にも、アルカリール(alkaryl)、アルケンアリール(alkenaryl)及びアルキンアリール(alkynaryl)のような、他の脂肪族炭化水素基または環式炭化水素基で置換されたアルキル部分、アルケニル部分、アルキニル部分、及びアリール部分が挙げられる。特に明記しない限り、これらの部分は好ましくは1〜20個の炭素原子を含む。
ここで、用語「酸素保護基(oxygen−protecting group)」とは、酸素原子を保護することができる基(したがって、保護されたヒドロキシル基を形成する)を意味し、これにおいて、この保護基は、保護として使用された反応の後で分子の残部に影響を与えずに除去され得る。保護されたヒドロキシル基は、「ヒドロカルビルオキシ基」または「置換ヒドロカルビルオキシ基」という用語で表される場合がある。例示的な酸素保護基としては、エーテル(例えば、アリル、トリフェニルメチル(トリチルまたはTr)、p−メトキシベンジル(PMB)、p−メトキシフェニル(PMP))、アセタール(例えば、メトキシメチル(MOM)、βメトキシエトキシメチル(MEM)、テトラヒドロピラニル(THP)、エトキシエチル(EE)、メチルチオメチル(MTM)、2−メトキシ−2−プロピル(MOP)、2−トリメチルシリルエトキシメチル(SEM))、エステル(例えば、ベンゾアート(Bz)、炭酸アリル、炭酸(2,2,2−トリクロロエチル)(Troc)、2−トリメチルシリルエチルカーボナート(trimethylsilylethyl carbonate))、シリルエーテル(例えば、トリメチルシリル(TMS)、トリエチルシリル(TES)、トリイソプロピルシリル(TIPS)、トリフェニルシリル(TPS)、t−ブチルジメチルシリル(TBDMS)、t−ブチルジフェニルシリル(TBDPS)などが挙げられる。さまざまな酸素保護基及びその合成については、“Greene’s Protective Groups in Organic Synthesis,” 4th Ed. by P.G.M. Wuts and T.W. Greene, John Wiley & Sons, Inc., 2007に記載されている。
本明細書に記載する「置換ヒドロカルビル」部分は、炭素以外の少なくとも1個の原子で置換されるヒドロカルビル部分であり、これらとしては、炭素鎖原子がヘテロ原子、例えば、窒素、酸素、珪素、リン、ホウ素、またはハロゲン原子で置換される部分、及び別の置換基を含む炭素鎖部分が挙げられる。これらの置換基としては、アルキル基、アルコキシ基、アシル基、アシルオキシ基、アルケニル基、アルケノキシ基、アリール基、アリールオキシ基、アミノ基、アミド基、アセタール基、カルバミル基、カルボシクロ基、シアノ基、エステル、エーテル、ハロゲン基、ヘテロシクロ(heterocyclo)基、ヒドロキシ基、ケト基、ケタール基、リン酸基、ニトロ基、及びチオ基が挙げられる。
本発明またはその好ましい実施形態(複数可)の元素が導入されている場合、冠詞「a」、「an」、「the」及び「前記(said)」は、1個またはそれ以上の元素があることを意図する。用語「含む(comprising)」、「挙げられる(including)」及び「有する(having)」は、包括的であることを意図しており、記載された元素以外に別の元素があり得ることを意味する。
本発明を詳細に記載してきたが、添付の請求の範囲で定義される本発明の範囲から逸脱することなく修正及び変形が可能であることは明らかであろう。
本発明の特定の実施形態を示すために以下の実施例を含む。実施例で開示される技術は、本発明を実施する際によく機能させるために発明者らが発見した技術であることは当業者に理解されるべきである。しかしながら、本願開示に鑑み、開示されている具体的な実施形態において多くの変更を行い、なおも本発明の精神及び範囲から逸脱することなく類似または同様の結果を得ることが可能であり、したがって、全記載事項は例示的なものであり限定的なものではないと解釈されるべきであることを当業者は理解するべきである。
実施例1:テバインを酸化して14−ヒドロキシコデイノンを得る
テバイン(20.0g、64.2mmol)を25%ギ酸(50.0g、257mmol、4.0eq.)に溶解した。過酸化水素(4.8g、50%水溶液、70.0mmol、1.1eq.)を、反応温度を20〜35℃に維持しながら1時間かけて反応混合物に滴下した。溶液を室温(20〜25℃)で一晩撹拌した後、50℃で6時間加熱し、テバイン(COR<0.05%)は完全に消費された。所望の酸化生成物である14−ヒドロキシコデイノン及び14−ヒドロキシコデイノンN−オキシドを、それぞれ、HPLCによる測定値が面積85%(54.5mmol)及び面積5%(3.2mmol)で生成した。
実施例2:14−ヒドロキシコデイノンを14−ヒドロキシコデインを介して還元させオキシコドールを得る
フラスコに、実施例1で得た最終溶液の3分の1(約21mmol)、イソプロピルアルコール(7.5g、9.5mL)及び酢酸(1.0g、0.95mL)を加えた。その溶液を、濃縮水酸化アンモニウムでpH6.5に調整した後、冷却浴(0〜20℃)で撹拌した。水素化ホウ素ナトリウム(0.5g、13.21mmol、2.5eq.)を、等量で4回に分けて1時間にわたり加え、その間、混合物の反応温度を30℃未満に維持した。添加後、14−ヒドロキシコデイノン及び14−ヒドロキシコデインノン(hydroxycodeinenone)N−オキシドは、それぞれ、HPLCによる測定で、14−ヒドロキシコデイン(面積83%)及び14−ヒドロキシコデイン N−オキシド(面積5.5%)に完全に変換された。
反応混合物を50℃で2時間加熱し、その後、炭素上の5%パラジウム(0.33g、0.15mmolのPd、0.007eq.)を加え、ギ酸(1.0g、0.82mL)で酸性化し、引き続き50℃でさらに2時間加熱した。木炭をろ去し、ろ液を室温まで冷却してオキシコドールの澄明溶液(HPLCによる面積89%)を得た。
NaOH50%水溶液でpHを10.5に調整して沈殿させ、それを室温で1時間撹拌してからろ過した。濾過器に集まったウェットケーキ(wet cake)を水(6.6mL)で洗浄してから65℃のオーブンで18時間乾燥し、オキシコドールの純度が面積99.55%、また、6α−オキシコドールと6β−オキシコドールとの比が98.17:1.38(71.1:1)である白色固体としてのオキシコドール(5.19g)を得た。
実施例3:14−ヒドロキシコデイノンを14−ヒドロキシコデインを介して還元させオキシコドールを得る
フラスコに、実施例1で得た最終溶液の3分の1(約21mmol)、イソプロピルアルコール(5.0g、6.3mL)及び酢酸(1.3g、1.2mL)を加えた。その溶液を、濃縮水酸化アンモニウムでpH6.5に調整した後、冷却浴(0〜20℃)で撹拌した。トリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウム(6.7g、31.6mmol、1.5eq.)を、等量で4回に分けて1時間にわたり加え、その間、混合物の反応温度を30℃未満に維持した。添加後、14−ヒドロキシコデイノン及び14−ヒドロキシコデインノン(hydroxycodeinenone) N−オキシドは、それぞれ、HPLCによる測定で、14−ヒドロキシコデイン(面積79.3%)及び14−ヒドロキシコデイン N−オキシド(面積5.4%)に完全に変換された。
反応混合物を50℃で4時間加熱し、その後、炭素上の5%パラジウム(0.33g、0.15mmolのPd、0.007eq.)を加え、ギ酸(2.0g、1.6mL)で酸性化し、引き続き50℃でさらに4時間加熱した。木炭をろ去し、ろ液を室温まで冷却し、オキシコドールの澄明溶液(HPLCによる面積87.8%)を得た。
NaOH50%水溶液でpHを10.5に調整して沈殿させ、それを室温で1時間撹拌してからろ過した。濾過器に集まったウェットケーキ(wet cake)を水(6.6mL)で洗浄して65℃のオーブンで18時間乾燥し、オキシコドールの純度が面積99.06%、また、6α−オキシコドールと6β−オキシコドールとの比が99.03:0.03(3300:1)である白色固体としてのオキシコドール(5.12g)を得た。
実施例4:テバインを酸化して14−ヒドロキシコデイノンを得る
テバイン(40.0g、128.4mmol)を25%ギ酸(50.0g、257mmol、2.0eq.)に溶解した。過酸化水素(9.6g、50%水溶液、140mmol、1.1eq.)を、反応温度を20〜35℃に維持しながら1時間かけて反応混合物に滴下した。溶液を50℃で10時間加熱し、テバイン(COR<0.05%)は完全に消費された。所望の酸化生成物、14−ヒドロキシコデインノン(hydroxycodeinenone)及び14−ヒドロキシコデインノン(hydroxycodeinenone) N−オキシドを、それぞれ、面積85%及び面積4%で生成した。
実施例5:14−ヒドロキシコデイノンを14−ヒドロキシコデインを介して還元させオキシコドールを得る
フラスコに、実施例4で得られた最終溶液の6分の1(約21mmol)、イソプロピルアルコール(10g、12.5mL)及び酢酸(2.0g、1.9mL)を加えた。その溶液を、濃縮水酸化アンモニウムでpH6.5に調整した後、冷却浴(0〜20℃)で撹拌した。水素化ホウ素ナトリウム(0.5g、13.2mmol、2.4eq.)を、等量で4回に分けて1時間にわたり加え、その間、混合物の反応温度を30℃未満に制御した。添加後、14−ヒドロキシコデイノン及び14−ヒドロキシコデインノン(hydroxycodeinenone) N−オキシドは、それぞれ、HPLCによる測定で、14−ヒドロキシコデイン(面積83.4%)及び14−ヒドロキシコデイン N−オキシド(面積4.24%)に完全に変換された。
反応混合物を50℃で4時間加熱し、その後、炭素上の5%パラジウム(0.33g、0.15mmolのPd、0.007eq.)を加え、ギ酸(2.0g、1.6mL)で酸性化し、引き続き50℃でさらに4時間加熱した。木炭をろ去し、ろ液を室温まで冷却し、オキシコドールの澄明溶液(HPLCによる面積91.2%)を得た。
NaOH50%水溶液を使用してpHを10.5に調整して沈殿物を得、それを室温で1時間撹拌してからろ過した。濾過器に集まったウェットケーキ(wet cake)を水(6.6mL)で洗浄して65℃のオーブンで18時間乾燥し、純度が99.12%、また、6α−オキシコドールと6β−オキシコドールとの比が98.41:0.71(138:1)である白色固体としてのオキシコドール(5.33g)を得た。
実施例6:14−ヒドロキシコデイノンを14−ヒドロキシコデインを介して還元させオキシコドールを得る
フラスコに、実施例4で得られた最終溶液の半分(約64mmol)、イソプロピルアルコール(7.5g、9.5mL)及び酢酸(4.0g、3.8mL)を加えた。その溶液を、濃縮水酸化アンモニウムでpH6.5に調整した後、冷却浴(0〜20℃)で撹拌した。水素化ホウ素ナトリウム(0.96g、25.37mmol、1.6eq.)を、等量で4回に分けて1時間にわたり加え、その間、混合物の反応温度を30℃未満に維持した。添加後、14−ヒドロキシコデイノン及び14−ヒドロキシコデインノン(hydroxycodeinenone) N−オキシドは、それぞれ、HPLCによる測定で、14−ヒドロキシコデイン(面積78.16%)及び14−ヒドロキシコデイン N−オキシド(面積4.26%)に完全に変換された。
反応混合物を60℃で3時間加熱し、その後、炭素上の5%パラジウム(0.60g、0.28mmol、0.004eq.)を加え、ギ酸(3.0g)で酸性化し、引き続き60℃でさらに8時間加熱した。木炭をろ去してからろ液を室温まで冷却し、オキシコドールの澄明溶液(HPLCによる面積84.88%)を得た。
実施例7:反応混合物から塩酸オキシコドールを直接単離する
実施例6で得た最終溶液の半分(約64mmol)をフラスコに移した。水酸化ナトリウム50%水溶液でpHを10に調整した後、混合物を室温で10分間撹拌してからクロロホルム(60g、40.5mL)で抽出した。有機層を分離し、水(60g、60mL)で洗浄してからろ過した。ろ液をイソプロピルアルコール(60g、76mL)で希釈し、溶媒(60mL)の一部を蒸留により除去した。酢酸エチル(60g、67mL)、次いで、37%HClを加えてpHが3.5未満になるよう調整した。形成された懸濁液を60℃で1時間撹拌し、室温まで1時間冷却してからろ過した。濾過器に集まったウェットケーキ(wet cake)をイソプロピルアルコール(20mL)で洗浄し65℃のオーブンで18時間乾燥し、純度が96.01%、また、6α−オキシコドールと6β−オキシコドールとの比が95.00:1.01(95:1)である白色固体としての塩酸オキシコドール8.35gを得た。
実施例8:反応混合物から塩酸オキシコドールを直接単離する
実施例6で得られた最終溶液の残りの半分(約64mmol)をフラスコに移した。水酸化ナトリウム50%水溶液でpHを10に調整した後、混合物を室温で10分間撹拌してから酢酸エチル(60g、67mL)で抽出した。水層を分離し、酢酸エチル(20g、22mL)で抽出した。合わせた有機層を水(20g、20mL)で洗浄し、ろ過した。そのろ液に、pH<3.5になるまで37%HClを加えた。形成された懸濁液を60℃で1時間撹拌し、室温まで冷却してからろ過した。濾過器に集まったウェットケーキ(wet cake)を酢酸エチル(20mL)で洗浄して65℃のオーブンで18時間乾燥し、純度が99.45%、また、6α−オキシコドールと6β−オキシコドールとの比が98.05:1.40(70:1)である白色固体としての塩酸オキシコドール8.18gを得た。

Claims (17)

  1. 式(I)の化合物から式(IV)の化合物を調製する方法であって、
    (a)前記式(I)の化合物を、式HOOCR18の化合物及び過酸化水素と接触させて式(II)の化合物を生成し、
    (b)前記式(II)の化合物を第1の還元剤と接触させて式(III)の化合物を生成し、かつ
    (c)前記式(III)の化合物を第2の還元剤と接触させ前記式(IV)の化合物を生成し、ここで、前記第2の還元剤が、ギ酸、ギ酸塩、またはアミンから選択される水素移動反応剤を含み、
    これらを以下の反応スキームにしたがって行い、


    これにおいて、
    Aは、酸素、硫黄、及びNHからなる群から選択され、
    Rは、水素、ヒドロカルビル基、及び置換ヒドロカルビル基からなる群から選択され、
    、R、及びRは、互いに独立して、水素、アミノ基、ハロゲン基、{−}OH、{−}OR1611、{−}SH、{−}SR1611、{−}NHR1611、{−}NR16111612、ヒドロカルビル基、及び置換ヒドロカルビル基からなる群から選択され、
    、R、R、R、R10a、R10b、R15a、R15b、R16a、及びR16bは、互いに独立して、水素、アミノ基、ハロゲン基、{−}OH、{−}OR1611、{−}SH、{−}SR1611、{−}NHR1611、{−}NR16111612、ヒドロカルビル基、及び置換ヒドロカルビル基からなる群から選択され、これにおいて、#が10、15、及び16のいずれか1つであるR#aとR#bとの任意のペアは、任意選択で互いに結合して{=}O、{=}S、{=}CH、及び{=}NR1612からなる群から選ばれる部分を形成し、
    、R1611、及びR1612は、互いに独立して、ヒドロカルビル基及び置換ヒドロカルビル基からなる群から選択され、
    18は、水素、ヒドロカルビル基及び置換ヒドロカルビル基からなる群から選択され、かつ
    、R、R、R、R、R、R、R、R10a、R10b、R15a、R15b、R16a、及びR16bの1種またはそれ以上が、炭素環式、置換炭素環式、複素環式、置換複素環式、またはその組み合わせから選ばれる環もしくは環系の一部を形成し得ることを含む、
    前記調製方法。
  2. Rは、水素、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、置換アルキル基、置換アルケニル基、置換アルキニル基、及び置換アリール基からなる群から選択され、
    及びRは、互いに独立して、水素、アミノ基、アミン基、ハロ基、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、置換アルキル基、置換アルケニル基、置換アルキニル基、及び置換アリール基からなる群から選択され、
    は、ヒドロキシ基、アルコキシ基、ヒドロカルビルオキシ基、及び置換ヒドロカルビルオキシ基からなる群から選択され、
    は、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、置換アルキル基、置換アルケニル基、置換アルキニル基、及び置換アリール基からなる群から選択され、
    、R、R、R、R10a、R10b、R15a、R15b、R16a、及びR16bは、互いに独立して、水素、アミノ基、アミン基、ハロ基、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、置換アルキル基、置換アルケニル基、置換アルキニル基、及び置換アリール基からなる群から選択され、かつ
    18は、水素、アルキル基、アリール基、置換アルキル基、及び置換アリールからなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
  3. Aは酸素であり、
    Rは、水素、メチル基、シクロプロピルメチル基、シクロブチルメチル基、及びアリル基からなる群から選択され、
    、R、R、R、R、R、R10a、R10b、R15a、R15b、R16a、及びR16bは、存在する場合、水素であり、
    は、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、置換アリールオキシ基、及び保護されたヒドロキシ基からなる群から選択され、
    は、アルキル基及びアリール基からなる群から選択され、かつ
    18は、水素、メチル基、フェニル基、及び置換フェニル基からなる群から選択される、請求項1または2に記載の方法。
  4. 前記式(I)の化合物と過酸化水素と前記式HOOCR18の化合物とのモル/モル比が1:0.1:0.2〜1:11:40である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
  5. 前記第1の還元剤が水素化ホウ素を含む、請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法。
  6. 前記第1の還元剤が、水素化ホウ素ナトリウム及びトリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウムからなる群から選択される、請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法。
  7. 前記式(II)の化合物と前記第1の還元剤から得られる水素化物とのモル/モル比が1:0.15〜1:25である、請求項5または6に記載の方法。
  8. 前記素移動反応剤が、金属触媒の存在下で使用される、請求項1〜7のいずれか一項に記載の方法。
  9. 前記金属触媒が、遷移金属触媒ある、請求項に記載の方法。
  10. 前記式(III)の化合物と前記水素移動反応剤と前記遷移金属触媒とのモル/モル比が1:0.5:0.0004〜1:10:0.08である、請求項に記載の方法。
  11. 前記方法を、少なくとも1種のプロトン性極性溶媒の存在下で行い;前記溶媒の前記式(I)の化合物に対する体積/質量の比が0.5:1〜100:1であり;前記方法を、温度0℃〜100℃で行う、請求項1〜10のいずれか一項に記載の方法。
  12. 工程(a)、(b)、及び(c)を、式(II)または式(III)の前記化合物を単離せずに単一反応ポット内で行う、請求項1〜11のいずれか一項に記載の方法。
  13. 前記式(IV)の化合物のC−14から前記ヒドロキシル基を除去することをさらに含む、請求項1〜12のいずれか一項に記載の方法。
  14. 前記式(I)、(II)、(III)、及び(IV)の化合物が、互いに独立して、光学活性が(−)または(+)であり;C−5、C−13、C−14、及びC−9の立体配置が、それぞれ、RRRR、RRSR、RRRS、RRSS、RSRR、RSSR、RSRS、RSSS、SRRR、SRSR、SRRS、SRSS、SSRR、SSSR、SSRS、またはSSSSであり、その場合、前記C−15及び前記C−16の両炭素がともに分子のα面にあるか、またはともに分子のβ面にあることを条件とする、請求項1〜13のいずれか一項に記載の方法。
  15. 前記(III)または(IV)の化合物のC−6上のヒドロキシ基は、α型異性体とβ型異性体との比が少なくとも90:10である、請求項1〜14のいずれか一項に記載の方法。
  16. 18は水素であり、前記第1の還元剤は、水素化ホウ素ナトリウムまたはトリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウムであり、前記水素移動剤は、遷移金属触媒の存在下で使用され前記水素移動剤はギ酸である、請求項3に記載の方法。
  17. 前記式(I)の化合物と過酸化水素と前記式HOOCR18の化合物とのモル/モル比が1:0.6:1〜1:2.2:8であり;前記式(II)の化合物と前記第1の還元剤から得られる水素化物とのモル/モル比が1:0.7〜1:5であり;前記式(III)の化合物と前記水素移動反応剤と前記遷移金属触媒とのモル/モル比が1:0.1:0.002〜1:1:0.02であり;前記方法を、少なくとも1種のプロトン性極性溶媒の存在下で行い;前記溶媒の前記式(I)の化合物に対する体積/質量の比が1:1〜20:1であり、かつ、前記方法を、温度0℃〜70℃で行う、請求項16に記載の方法。
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