JP2011506601A - ブプレノルフィンおよびブプレノルフィンの誘導体を調製するためのプロセス - Google Patents

ブプレノルフィンおよびブプレノルフィンの誘導体を調製するためのプロセス Download PDF

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Abstract

本発明は、一般には、ブプレノフィン及びブプレノルフィン誘導体の製造プロセスを提供する。特に、プロセスは、ブプレノルフィン又はブプレノルフィン誘導体をノルヒドロモルホン又はノルヒドロモルホン誘導体から生成する合成経路を包含し得る。本明細書に記載のスキームにおいて、R及びRは、ヒドロカルビル及び置換ヒドロカルビルからなる群より独立に選択され、R、R及びR8aは、水素、ヒドロカルビル及び置換ヒドロカルビルからなる群より独立に選択され、R、R、R、R及びRは、水素、ハロゲン、OR、ヒドロカルビル及び置換ヒドロカルビルからなる群より独立に選択される。

Description

関連出願の相互参照
この出願は、2007年12月17日に出願された仮出願第61/014,090号(これは、その全体が参考として本明細書に援用される)からの優先権を主張する。
発明の分野
本発明は、一般には、ブプレノフィン(buprenophine)及びブプレノルフィン誘導体の製造プロセスに関する。
発明の背景
(−)ナルトレキソン、(−)ナロキソン、(−)ナルブフェン(nalbuphene)、(−)ナルメフェン、(−)ブプレノルフィンなどのオピエート化合物は、耽溺治療に使用されてきた。特に(−)ブプレノルフィンは、ヘロイン中毒の治療にますます使用されている。最近、(+)オピエート鏡像異性体は、その(−)対応物とは異なる重要な生理活性を有することが示された。(−)ブプレノルフィンの例外的なオピエート薬物活性のために、(+)ブプレノルフィンの治療効果には大きな興味が持たれている。この化合物の可能性のある利点を探究するために、高純度の生成物を高収率で生成する、効率的で費用効果の高い様式で(+)ブプレノルフィン又はその誘導体を生成する合成経路が当分野で求められている。
本発明は、一般には、ブプレノフィン及びブプレノルフィン誘導体の製造プロセスを提供する。一つの例示的な繰り返し(iteration)においては、例えば、プロセスは、ノルヒドロモルホン又はノルヒドロモルホン誘導体から以下の反応スキームに従ってブプレノルフィン又はブプレノルフィン誘導体を生成する合成経路を包含し得る。
Figure 2011506601
式中、
及びRは、ヒドロカルビル及び置換ヒドロカルビルからなる群より独立に選択され、
、R及びR8aは、水素、ヒドロカルビル及び置換ヒドロカルビルからなる群より独立に選択され、
、R、R、R及びRは、水素、ハロゲン、OR、ヒドロカルビル及び置換ヒドロカルビルからなる群より独立に選択されるか、又はRとRは一緒に{−}=Oを形成することができ、
はヒドロキシル保護基であり、
は、水素、ヒドロカルビル及び置換ヒドロカルビルからなる群より選択され、
Mは、IA族金属塩及びIIA族金属塩から選択され、
X及びXは、臭化物及び塩化物からなる群より独立に選択され、
は、Rが水素であるときには臭化物又は塩化物であり、Rが水素でないときにはRであり、
Yは、酸素、硫黄及び窒素からなる群より選択される。
本発明の他の態様及び繰り返しをより詳細に以下に記述する。
本発明は、ブプレノルフィンを製造するためのプロセス及び中間化合物を提供する。特に、プロセスは、ブプレノルフィン又はブプレノルフィン誘導体をノルヒドロモルホン又はノルヒドロモルホン誘導体から生成する合成経路を包含する。本明細書に記載の合成経路は、(+/−)ブプレノルフィンの製造に利用できることが予見されるが、本発明の例示的な一態様においては、プロセスは、(+)ブプレノルフィン又は(+)ブプレノルフィン誘導体の製造を包含する。
説明のために、反応スキーム1は、本発明の一態様に従う化合物1からの化合物8の生成を示す。
Figure 2011506601
式中、
及びRは、ヒドロカルビル及び置換ヒドロカルビルからなる群より独立に選択され、
、R及びR8aは、水素、ヒドロカルビル及び置換ヒドロカルビルからなる群より独立に選択され、
、R、R、R及びRは、水素、ハロゲン、OR、ヒドロカルビル及び置換ヒドロカルビルからなる群より独立に選択されるか、又はRとRは一緒に{−}=Oを形成することができ、
は酸素保護基であり、
は、水素、ヒドロカルビル及び置換ヒドロカルビルからなる群より選択され、
Mは、IA族金属塩及びIIA族金属塩から選択され、
X及びXは、臭化物及び塩化物からなる群より独立に選択され、
は、Rが水素であるときには臭化物又は塩化物であり、Rが水素でないときにはRであり、
Yは、酸素、硫黄及び窒素からなる群より選択される。
例示的一実施形態においては、R、R及びR8aは水素、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アリール及び置換アリールからなる群より独立に選択され、MはNaR、LiR又はRMgXからなる群より選択され、Xは塩化物又は臭化物であり、Rはヒドロカルビル又は置換ヒドロカルビルであり、X、X及びXは各々臭化物であり、Yは酸素である。R、R及びR8aのより好ましいヒドロカルビル基の一部としては、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、第三級ブチル、ペンチル、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、フェニル、メチルフェニル又はベンジルが挙げられる。例示的一実施形態においては、Rは{−}CH−シクロプロピルであり、Rはメチルであり、Rは第三級ブチルである。
考察を容易にするために、本明細書で参照するコアのモルフィナン構造の環原子を以下のように付番する。
Figure 2011506601
コアのモルフィナン構造において説明したように、本発明のプロセスに利用される化合物のいずれかを構成する4個の不斉炭素、すなわち炭素5、13、14及び9が存在する。したがって、本発明の化合物の配置は、C15とC16原子の両方が分子のα面又は分子のβ面上にあるという前提で、C5、C13、C14及びC9に関してRRRR、RRRS、RRSR、RSSS、SRRR、SRRS、SRSR、SRSS、RSRR、RSRS、RSSR、RSSS、SSRR、SSRS、SSSR又はSSSSであり得る。
(a)工程A:化合物1から化合物2への転化
一般に、化合物2の調製用基質は、反応スキーム1に示した化合物1に対応する。例示的化合物1は、以下の置換基を含む:Rは{CH}−シクロプロピルであり、R、R、R、R及びRは各々水素であり、Yは酸素である。この例示的実施形態では、化合物1は、(+)ノルヒドロモルホンをシクロプロピル−CHBrと反応させることによって調製することができる。あるいは、化合物1は、シクロプロピル−CHOを用いた(+)ノルヒドロモルホンの還元的アミノ化によって調製することができる。
プロセスの工程Aにおいては、化合物1を保護基と接触させて、C(3)位のヒドロキシル基を保護する。適切なヒドロキシル保護基としては、エーテル(例えば、アリル、トリフェニルメチル(トリチル又はTr)、ベンジル、p−メトキシベンジル(PMB)、p−メトキシフェニル(PMP))、アセタール(例えば、メトキシメチル(MOM)、β−メトキシエトキシメチル(MEM)、テトラヒドロピラニル(THP)、エトキシエチル(EE)、メチルチオメチル(MTM)、2−メトキシ−2−プロピル(MOP)、2−トリメチルシリルエトキシメチル(SEM))、エステル(例えば、安息香酸エステル(Bz)、炭酸アリル、2,2,2−トリクロロエチルカルボナート(Troc)、2−トリメチルシリルエチルカルボナート)、シリルエーテル(例えば、トリメチルシリル(TMS)、トリエチルシリル(TES)、トリイソプロピルシリル(TIPS)、トリフェニルシリル(TPS)、t−ブチルジメチルシリル(TBDMS)、t−ブチルジフェニルシリル(TBDPS)などが挙げられる。種々のヒドロキシ基保護基及びその合成は、“Protective Groups in Organic Synthesis”T.W.Greene and P.G.M.Wuts,John Wiley&Sons,1999に見いだすことができる。例示的一実施形態においては、ヒドロキシル保護基はアリール−CHBrを含む。
化合物1対ヒドロキシル保護基のモル比は、典型的には約1:1から約1:3である。例示的一実施形態においては、化合物1対ヒドロキシル保護基のモル比は、約1:1から約1:1.5である。
プロセスの工程Aに使用される溶媒系は、有機溶媒、プロトン溶媒、非プロトン溶媒及びこれらの各々の組合せを含み得る。代表的有機溶媒としては、(シクロアルカンを含めた)アルカン及び置換アルカン溶媒、芳香族炭化水素、エステル、エーテル、ケトン、その組合せなどが挙げられるが、それだけに限定されない。使用することができる具体的有機溶媒としては、例えば、アセトニトリル、ベンゼン、酢酸ブチル、t−ブチルメチルエーテル、t−ブチルメチルケトン、クロロベンゼン、クロロホルム、クロロメタン、シクロヘキサン、ジクロロメタン、ジクロロエタン、ジエチルエーテル、酢酸エチル、フルオロベンゼン、ヘプタン、ヘキサン、イソブチルメチルケトン、酢酸イソプロピル、メチルエチルケトン、メチルテトラヒドロフラン、酢酸ペンチル、酢酸n−プロピル、テトラヒドロフラン、トルエン、その組合せなどが挙げられる。
存在するときには、プロトン溶媒は、水、アルコール、RCOH(式中、Rは水素又はアルキルである。)、水/アルコール混合物、又は水/水混和性溶媒混合物であり得る。水/アルコール混合物の代表的アルコールとしては、例えば、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、イソブチルアルコール、t−ブチルアルコール、n−プロピルアルコール、n−ブチルアルコール及びその組合せが挙げられる。水/水混和性溶媒混合物の他の水混和性溶媒としては、例えば、アセトニトリル、N,N−ジメチルホルムアミド、1−メチル−2−ピロリジノン、N,N−ジメチルアセトアミド、アセトン、テトラヒドロフラン及びその組合せが挙げられる。
非プロトン溶媒の非限定的例としては、エーテル溶媒、アセトン、アセトニトリル、ベンゼン、ジエトキシメタン、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、N,N−ジメチルプロピオンアミド、1,3−ジメチル−3,4,5,6−テトラヒドロ−2(1H)−ピリミジノン(DMPU)、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン(DMI)、1,2−ジメトキシエタン(DME)、N,N−ジメチルアセトアミド(DMAC)、N−メチルピロリジノン(NMP)、酢酸エチル、ギ酸エチル、エチルメチルケトン、ホルムアミド、ヘキサメチルホスホルアミド、酢酸メチル、N−メチルアセトアミド、N−メチルホルムアミド、塩化メチレン、ニトロベンゼン、ニトロメタン、プロピオニトリル、スルホラン、テトラメチル尿素、テトラヒドロフラン(THF)、トルエン、トリクロロメタンが挙げられる。好ましい一実施形態においては、非プロトン溶媒は、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、ジオキサン、ホルムアミド又はN−メチルアセトアミドであり得る。
溶媒(単数又は複数)と化合物1の重量比は、約1:1から約20:1の範囲であり得る。一実施形態においては、溶媒(単数又は複数)と化合物1の重量比は、約1:1から約3:1の範囲であり得る。別の一実施形態においては、溶媒(単数又は複数)と化合物1の重量比は、約6:1から約12:1の範囲であり得る。更に別の一実施形態においては、溶媒(単数又は複数)と化合物1の重量比は、約12:1から約20:1の範囲であり得る。好ましい一実施形態においては、溶媒(単数又は複数)と化合物1の重量比は、約3:1から約6:1の範囲であり得る。
反応混合物を形成するために、典型的には、ヒドロキシル保護基の付加前に化合物1を溶媒(単数又は複数)と混合する。しかしながら、代わりに、溶媒(単数又は複数)とヒドロキシル保護基を混合し、その後、化合物1を含む反応器に添加することができる。
プロセスの工程Aの反応混合物温度は、典型的には、約0℃から約65℃の範囲内である。より典型的には、反応は約25℃から約50℃の温度で実施される。反応は、好ましくは周囲圧力下で実施され、好ましくは不活性雰囲気(例えば、窒素又はアルゴン)中で実施される。
(b)工程B:化合物2から化合物3への転化
化合物3の調製用基質は、反応スキーム1に示した化合物2に対応する。例示的化合物2は、以下の置換基を含む:Rはアリール−CHであり、Rは{CH}−シクロプロピルであり、R、R、R、R及びRは各々水素であり、Yは酸素である。
プロセスの工程Bにおいては、化合物2をオルトギ酸トリヒドロカルビルと接触させる。ヒドロカルビルは、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アリール及び置換アリールであり得る。この実施形態の一代替実施形態においては、ヒドロカルビルは、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、第三級ブチル、ペンチル、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、フェニル、メチルフェニル及びベンジルからなる群より選択される。例示的一実施形態においては、ヒドロカルビルは、オルトギ酸トリメチル又はオルトギ酸トリエチルである。
化合物2とオルトギ酸トリヒドロカルビルの反応を促進するために、反応は、一般にプロトン供与体の存在下で実施される。プロトン供与体は、一般に約0未満のPKaを有する。この特性を有する適切なプロトン供与体としては、MeSOH、ポリHPO、HPO、HSO、HCl、HBr、HClO、HI、HNO、CFSOH、p−メチルトルエンスルホン酸、HClO、HBrO、HIO及びHIOが挙げられるが、それだけに限定されない。
化合物2 対 オルトギ酸トリヒドロカルビル 対 プロトン供与体のモル比は、典型的には約1:1:1.5から約1:3:6である。例示的一実施形態においては、化合物2 対 オルトギ酸トリヒドロカルビル 対 プロトン供与体のモル比は、典型的には約1:1:1.5から約1:2:3である。
反応混合物を形成するために、化合物2及びオルトギ酸トリヒドロカルビルを、典型的には、プロトン供与体の添加前に非プロトン溶媒と混合する。適切な非プロトン溶媒は、工程Aに記載したとおりである。例示的一実施形態においては、反応は、アルコール含有溶媒の存在下で実施される。適切なアルコール含有溶媒としては、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、イソブチルアルコール、t−ブチルアルコール、n−プロピルアルコール、n−ブチルアルコール及びその組合せが挙げられる。これらの反応物を混合した後、塩化物及び臭化物から選択されるハロゲンを反応混合物に添加する。ハロゲンを化合物2 1当量当たり約2から約2.5当量の量で添加する。
プロセスの工程Bの反応混合物の温度は、典型的には、約20℃から約120℃の範囲内である。より典型的には、反応は約45℃から約80℃の温度で実施される。反応は、好ましくは周囲圧力下で実施され、好ましくは不活性雰囲気(例えば、窒素又はアルゴン)中で実施される。
反応は、反応混合物をプロトンアクセプターと接触させることによってクエンチすることができる。一般に、プロトンアクセプターは、約7から約13、好ましくは約8から約10のpKaを有する。使用することができる代表的プロトンアクセプターとしては、(例えば、NaBOなどの)ホウ酸塩、(例えば、NaHPO及びNaPOなどの)二塩基性及び三塩基性リン酸塩、(例えば、NaHCO、KHCO、その混合物などの)炭酸水素塩、(例えば、NaOH、KOH、その混合物などの)水酸化物塩、(例えば、NaCO、KCO、その混合物などの)炭酸塩、(例えば、ピリジン、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、N−メチルモルホリン、N,N’−ジメチルアミノピリジン、その混合物などの)有機塩基、(例えば、N−(2−アセトアミド)−2−アミノエタンスルホン酸(ACES)、N−(2−アセトアミド)−イミノ二酢酸(ADA)、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)グリシン(BICINE)、3−(シクロヘキシルアミノ)−1−プロパンスルホン酸(CAPS)、2−(シクロヘキシルアミノ)エタンスルホン酸(CHES)、4−(2−ヒドロキシエチル)−1−ピペラジンプロパンスルホン酸(EPPS)、4−(2−ヒドロキシエチル)ピペラジン−1−エタンスルホン酸(HEPES)、2−(4−モルホリニル)エタンスルホン酸(MES)、4−モルホリンプロパンスルホン酸(MOPS)、1,4−ピペラジンジエタンスルホン酸(PIPES)、[(2−ヒドロキシ−1,1−ビス(ヒドロキシメチル)エチル)アミノ]−1−プロパンスルホン酸(TAPS)、2−[(2−ヒドロキシ−1,1−ビス(ヒドロキシメチル)エチル)アミノ]エタンスルホン酸(TES)、その塩及び/又は混合物などの)有機緩衝剤、及びその組合せが挙げられるが、それだけに限定されない。プロトンアクセプターが有機緩衝剤である場合、有機緩衝剤は、好ましくはヒドロキシ置換窒素原子を欠く。というのは、この置換基は、ハロホルマート反応物との反応と競合し得るからである。好ましい一実施形態においては、プロトンアクセプターは、NaOH、KOH、LiOHなどの水酸化物塩から選択される。
(c)工程C:化合物3から化合物4への転化
化合物4の調製用基質は、反応スキーム1に示した化合物3に対応する。例示的な化合物3は、以下の置換基を含む:Rはメチルであり、Rはアリール−CHであり、Rは{CH}−シクロプロピルであり、R、R、R及びRは各々水素であり、X及びXは各々臭化物であり、Yは酸素である。
プロセスの工程Cにおいては、化合物3をプロトンアクセプターと接触させる。一般に、プロトンアクセプターは0未満のpKbを有する。使用することができる代表的プロトンアクセプターとしては、LiOH、NaOH、KOH、LiOR、NaOR、KOR、LiNR、NaNR及びKNR(式中、Rはアルキル基である。)が挙げられるが、それだけに限定されない。
反応を商業的に望ましい速度で進行させるために、化合物3 対 プロトンアクセプターのモル比は典型的には約1:1から約1:10である。例示的一実施形態においては、化合物3 対 プロトンアクセプターのモル比は、典型的には約1:2から約1:6である。
反応混合物を形成するために、典型的には、プロトンアクセプターの添加前に化合物3を非プロトン溶媒と混合する。しかしながら、代わりに、非プロトン溶媒とプロトンアクセプターを混合し、その後、化合物3を含む反応器に添加することができる。適切な非プロトン溶媒は、プロセスの工程Aで記載したとおりである。
プロセスの工程Cの反応混合物の温度は、典型的には、約40℃から約120℃の範囲内である。より典型的には、反応は約65℃から約80℃の温度で実施される。反応は、好ましくは周囲圧力下で実施され、好ましくは不活性雰囲気(例えば、窒素又はアルゴン)中で実施される。
(d)工程D:化合物4から化合物5への転化
化合物5の調製用基質は、反応スキーム1に示した化合物4に対応する。例示的な化合物4は、以下の置換基を含む:Rはメチルであり、Rはアリール−CHであり、Rは{CH}−シクロプロピル、{CH}−シクロブチル、{−}−アルキルであり、R、R、R及びRは各々水素であり、Xは臭化物であり、Yは酸素である。
プロセスの工程Dにおいては、化合物4をアルコール捕捉剤と接触させる。アルコールは、約1から約8個の炭素原子を有するアルコールとすることができる。例示的一実施形態においては、アルコール捕捉剤はメタノール捕捉剤である。適切なメタノール捕捉剤としては、P、POCl、POBr、PCl、PBr、SOCl、SOBr、MeSOCl、(MeSOO、SO、(CFSOO、(CFCO)O、(CRCO)O及びRSiX(式中、XはCl又はBrであり、Rはアルキル基である。)が挙げられる。
化合物4 対 アルコール捕捉剤のモル比は、典型的には約1:0.3から約1:3である。例示的一実施形態においては、化合物4 対 アルコール捕捉剤のモル比は、典型的には約1:0.5から約1:1.5である。反応は、一般に非プロトン溶媒の存在下で実施される。適切な非プロトン溶媒は、プロセスの工程Aで上述したとおりである。
プロセスの工程Dの反応混合物の温度は、典型的には、約0℃から約120℃の範囲内である。より典型的には、反応は約20℃から約80℃の温度で実施される。反応は、好ましくは周囲圧力下で実施され、好ましくは不活性雰囲気(例えば、窒素又はアルゴン)中で実施される。
(e)工程E:化合物5から化合物6への転化
化合物6の調製用基質は、反応スキーム1に示した化合物5に対応する。例示的な化合物5は、以下の置換基を含む:Rはメチルであり、Rはアリール−CHであり、Rは{CH}−シクロプロピルであり、R、R、R及びRは各々水素であり、Xは臭化物であり、Yは酸素である。
プロセスの工程Eにおいては、化合物5をビニルケトンと接触させる。例示的一実施形態においては、ビニルケトンは以下の式に対応する。
Figure 2011506601
式中、Rはヒドロカルビル又は置換ヒドロカルビルである。適切なヒドロカルビル基としては、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アリール及び置換アリールが挙げられる。より好ましいヒドロカルビルとしては、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、第三級ブチル、ペンチル、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、フェニル、メチルフェニル又はベンジルが挙げられる。例示的一実施形態においては、ヒドロカルビルはメチルである。
化合物5 対 ビニルケトンのモル比は、典型的には約1:1から約1:10である。例示的一実施形態においては、化合物4 対 ビニルケトンのモル比は、典型的には約1:1から約1:3である。反応は、一般に有機溶媒の存在下で実施される。適切な有機溶媒は、プロセスの工程Aで上述したとおりである。
プロセスの工程Eの反応混合物の温度は、典型的には、約20℃から約120℃の範囲内である。より典型的には、反応は約80℃から約120℃の温度で実施される。反応は、周囲圧力下又は(反応温度を上昇させるために)より高い圧力下で実施することができ、好ましくは不活性雰囲気(例えば、窒素又はアルゴン)中で実施することができる。
(f)工程F:化合物6から化合物7への転化
化合物7の調製用基質は、反応スキーム1に示した化合物6に対応する。例示的な化合物6は、以下の置換基を含む:Rはメチルであり、Rはアリール−CHであり、Rは{CH}−シクロプロピル、{CH}−シクロブチル、{−}−アルキルであり、R、R、R及びRは各々水素であり、Rはメチルであり、Xは臭化物であり、Yは酸素である。
プロセスの工程Fにおいては、化合物6を還元して化合物7を形成する。一般に、還元は、ビニル炭素基間の不飽和を還元するために実施される。加水分解剤を用いた化合物6の追加の処理を実施して、ヒドロキシ保護基Rを除去することができる。
例えば、化学的還元、接触還元などを含めて、多種多様な還元手法を工程Fにおいて使用することができる。水素を用いた接触還元法に使用される代表的還元剤としては、例えば、白金触媒(例えば、白金黒、コロイド状白金、酸化白金、白金板、白金スポンジ、白金線など)、パラジウム触媒(例えば、パラジウム黒、炭酸バリウム担持パラジウム、硫酸バリウム担持パラジウム、コロイド状パラジウム、炭素担持パラジウム、炭素担持水酸化パラジウム、酸化パラジウム、パラジウムスポンジなど)、ニッケル触媒(例えば、酸化ニッケル、ラネーニッケル、還元ニッケルなど)、コバルト触媒(例えば、ラネーコバルト、還元コバルトなど)、鉄触媒(例えば、ラネー鉄、還元鉄、ウルマン鉄など)などの一般に使用される触媒が挙げられる。例示的一実施形態においては、化合物6を接触還元(例えば、Pd/C触媒水素移動反応)によって還元する。好ましい触媒としては、Pd/C、Pt/C、Ru/C及びRh/Cからなる群より選択される遷移金属触媒が挙げられる。
化合物6 対 遷移金属触媒のモル比は、典型的には約1:0.0005から約1:0.05である。例示的一実施形態においては、化合物6 対 遷移金属触媒のモル比は、典型的には約1:0.008から約1:0.001である。反応は、一般に非プロトン溶媒の存在下で実施される。適切な非プロトン溶媒は、プロセスの工程Aで上述したとおりである。
プロセスの工程Fの反応混合物の温度は、典型的には、約60℃から約120℃の範囲内である。より典型的には、反応は約80℃から約110℃の温度で実施される。反応は、好ましくは加圧水素下で実施される。一般に、水素圧は約0から約500psi、より好ましくは約30から約120psiである。
g)工程G:化合物7から化合物8への転化
化合物8の調製用基質は、反応スキーム1に示された化合物7に対応する。例示的な化合物7は、以下の置換基を含む:Rはメチルであり、Rは{CH}−シクロプロピルであり、R、R、R及びRは各々水素であり、Rはメチルであり、Yは酸素である。
プロセスの工程Gにおいては、化合物7をRMと接触させる。ここで、Rはヒドロカルビル及び置換ヒドロカルビルから選択され、MはIA族金属塩及びIIA族金属塩から選択される。Rを形成するヒドロカルビル又は置換ヒドロカルビルは、好ましくは、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アリール及び置換アリールである。例示的一実施形態においては、Rは、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、第三級ブチル、ペンチル、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、フェニル、メチルフェニル又はベンジルである。例示的なMはNaR、LiR又はRMgXからなる群より選択され、Xは塩化物又は臭化物であり、Rはヒドロカルビル又は置換ヒドロカルビルである。別の例示的一実施形態においては、RMは、第三級ブチルMgClを含む。
化合物7 対 RMのモル比は、典型的には約1:2から約1:10である。例示的一実施形態においては、化合物7 対 RMのモル比は、典型的には約1:3から約1:8である。反応は、一般に非プロトン溶媒の存在下で実施される。適切な非プロトン溶媒は、プロセスの工程Aで上述したとおりである。
プロセスの工程Gの反応混合物の温度は、典型的には、約60℃から約120℃の範囲内である。より典型的には、反応は約80℃から約110℃の温度で実施される。反応は、好ましくは周囲圧力下で実施され、好ましくは不活性雰囲気(例えば、窒素又はアルゴン)中で実施される。
工程Gによって形成される生成物である化合物8は、以下の置換基を有し得る。
はメチルであり、
、R及びR8aは、水素、ヒドロカルビル及び置換ヒドロカルビルからなる群より独立に選択され、
、R、R及びRは、水素、ハロゲン、{−}=O、OR、ヒドロカルビル及び置換ヒドロカルビルからなる群より独立に選択され、
は、水素、ヒドロカルビル及び置換ヒドロカルビルからなる群より選択され、
Yは、酸素及び窒素からなる群より選択される。
例示的一実施形態においては、R、R及びR8aは、水素、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アリール及び置換アリールからなる群より独立に選択され、Yは酸素である。R、R及びR8aのより好ましいヒドロカルビル基の一部としては、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、第三級ブチル、ペンチル、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、フェニル、メチルフェニル又はベンジルが挙げられる。例示的一実施形態においては、化合物8は、(+)ブプレノルフィン又は塩又は以下の式を有する(+)ブプレノルフィン誘導体を含む。
Figure 2011506601
当業者には認識されるように、このプロセスによって製造される化合物8の収率及び純度は、選択される特定の反応物及び反応パラメータに応じて変動し得るものであり、変動する。収率は、一般に、工程Gで約50%から約90%を超える範囲である。より典型的には、収率は、約60%から約80%を超える範囲である。反応全体、すなわち化合物1から化合物8では、収率は、一般に、約8%から約20%を超える範囲である。純度は、一般に、クロマトグラフィー(例えば、HPLC)によって測定して、約90%から約99%を超える範囲であり、より典型的には、純度は約98%を超える。
8aが水素であるある実施形態においては、反応は、MBH(4−a)、MAlR(4−a)、BH(3−b)又はAlR(3−b)の存在下でのケトン還元を介して進行し得る。ここで、MはK、Na又はLiであり、Rはアルキル、アリール、アルコキシ又はR’C(O)Oであり、aは1、2又は3であり、bは1又は2である。
定義
単独で又は別の基の一部として、本明細書では「アシル」という用語は、有機カルボン酸のCOOH基からヒドロキシ基を除去して形成される部分、例えばRC(O)−を意味する。式中、RはR、RO−、RN−又はRS−であり、Rはヒドロカルビル、ヘテロ置換ヒドロカルビル又はヘテロシクロであり、Rは水素、ヒドロカルビル又は置換ヒドロカルビルである。
単独で又は別の基の一部として、本明細書では「アシルオキシ」という用語は、酸素結合(O)を介して結合した上述のアシル基、例えば、RC(O)O−を意味する。式中、Rは、「アシル」という用語に関連して定義したとおりである。
本明細書では「アルコール捕捉剤」という用語は、アルコールと反応し、同時に酸を放出することができる試薬である。
本明細書では「アルキル」という用語は、好ましくは1から8個の炭素原子を主鎖中に含み最高20個の炭素原子を含む低級アルキルである、基を表す。それらは、直鎖でも分枝鎖でも環式でもよく、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、ヘキシルなどが挙げられる。
本明細書では「アルカリール」又は「アルキルアリール」という用語は、好ましくはトルイル、エチルフェニル、メチルナフチルなどの低級アルキル置換基を有するアリール基である、基を表す。
本明細書では「アルケニル」という用語は、好ましくは2から8個の炭素原子を主鎖中に含み最高20個の炭素原子を含む低級アルケニルである、基を表す。それらは、直鎖でも分枝鎖でも環式でもよく、エテニル、プロペニル、イソプロペニル、ブテニル、イソブテニル、ヘキセニルなどが挙げられる。
本明細書では「アルキニル」という用語は、好ましくは2から8個の炭素原子を主鎖中に含み最高20個の炭素原子を含む低級アルキニルである、基を表す。それらは、直鎖でも分枝鎖でもよく、エチニル、プロピニル、ブチニル、イソブチニル、ヘキシニルなどが挙げられる。
本明細書では「アラルキル」という用語は、ベンジル、フェニルエチル、2−ナフチルメチルなど、好ましくは1から8個の炭素原子を含みアリール置換基を有する低級アルキルである、基を表す。
単独で又は別の基の一部として、本明細書では「芳香族」という用語は、場合によっては置換されている単素又は複素環式芳香族基を意味する。これらの芳香族基は、好ましくは、6から14個の原子を環部分に含む単環式、二環式又は三環式基である。「芳香族」という用語は、以下に定義する「アリール」及び「ヘテロアリール」基を包含する。
単独で又は別の基の一部として、本明細書では「アリール」という用語は、フェニル、ビフェニル、ナフチル、置換フェニル、置換ビフェニル、置換ナフチルなど、場合によっては置換されている単素環式芳香族基、好ましくは6から12個の炭素を環部分に含む単環式又は二環式基を意味する。フェニル及び置換フェニルは、より好ましいアリールである。
単独で又は別の基の一部として、本明細書では「ハロゲン」又は「ハロ」という用語は、塩素、臭素、フッ素及びヨウ素を指す。
「ヘテロ原子」という用語は、炭素及び水素以外の原子を意味するものとする。
単独で又は別の基の一部として、本明細書では「ヘテロシクロ」又は「複素環式」という用語は、少なくとも1個のヘテロ原子を少なくとも1個の環中に有し、好ましくは5又は6個の原子を各環中に有する、場合によっては置換されている完全飽和又は不飽和の単環式又は二環式芳香族又は非芳香族基を意味する。ヘテロシクロ基は、好ましくは、1若しくは2個の酸素原子及び/又は1から4個の窒素原子を環中に有し、分子の残部に炭素又はヘテロ原子を介して結合する。例示的なヘテロシクロ基としては、以下に示す複素環式芳香族が挙げられる。例示的な置換基としては、以下の基の1種類以上が挙げられる:ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビル、ヒドロキシ、保護されたヒドロキシ、アシル、アシルオキシ、アルコキシ、アルケノキシ、アルキノキシ、アリールオキシ、ハロゲン、アミド、アミノ、シアノ、ケタール、アセタール、エステル及びエーテル。
単独で又は別の基の一部として、本明細書では「ヘテロアリール」という用語は、少なくとも1個のヘテロ原子を少なくとも1個の環中に有し、好ましくは5又は6個の原子を各環中に有する、場合によっては置換されている芳香族基を意味する。ヘテロアリール基は、好ましくは、1若しくは2個の酸素原子及び/又は1から4個の窒素原子を環中に有し、分子の残部に炭素を介して結合する。例示的なヘテロアリールとしては、フリル、ベンゾフリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、オキサジアゾリル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾオキサジアゾリル、ピロリル、ピラゾリル、イミダゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、ピリジル、ピリミジル、ピラジニル、ピリダジニル、インドリル、イソインドリル、インドリジニル、ベンゾイミダゾリル、インダゾリル、ベンゾトリアゾリル、テトラゾロピリダジニル、カルバゾリル、プリニル、キノリニル、イソキノリニル、イミダゾピリジルなどが挙げられる。例示的な置換基としては、以下の基の1種類以上が挙げられる:ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビル、ヒドロキシ、保護されたヒドロキシ、アシル、アシルオキシ、アルコキシ、アルケノキシ、アルキノキシ、アリールオキシ、ハロゲン、アミド、アミノ、シアノ、ケタール、アセタール、エステル及びエーテル。
本明細書では「炭化水素」及び「ヒドロカルビル」という用語は、専ら元素炭素及び水素からなる有機化合物又は基を表す。これらの部分としては、アルキル、アルケニル、アルキニル及びアリール部分が挙げられる。これらの部分としては、アルカリール、アルケンアリール及びアルキンアリールなど、別の脂肪族又は環状炭化水素基で置換されたアルキル、アルケニル、アルキニル及びアリール部分も挙げられる。別段の記載がない限り、これらの部分は、好ましくは、1から20個の炭素原子を含む。
本明細書に記載の「置換ヒドロカルビル」部分は、炭素鎖原子が窒素、酸素、ケイ素、リン(III)(phosphorous)、ホウ素、硫黄、ハロゲン原子などのヘテロ原子で置換された部分を含めて、炭素以外の少なくとも1個の原子で置換されたヒドロカルビル部分である。これらの置換基としては、ハロゲン、ヘテロシクロ、アルコキシ、アルケノキシ、アリールオキシ、ヒドロキシ、保護されたヒドロキシ、アシル、アシルオキシ、ニトロ、アミノ、アミド、ニトロ、シアノ、ケタール、アセタール、エステル及びエーテルが挙げられる。
本明細書では「ヒドロキシ保護基」という用語は、遊離ヒドロキシ基を保護することができ(「保護されたヒドロキシ」)、保護を使用する反応に続いて、分子の残部を乱さずに、除去することができる、基を意味する。
本発明又はその好ましい実施形態(単数又は複数)の要素を持ち出すときに、冠詞「a」、「an」、「the」及び「said」は、1個以上の要素が存在することを意味するものとする。「含む」、「含めて」及び「有する」という用語は、包括的であることを意図し、列挙した要素以外の追加の要素が存在し得ることを意味するものとする。
本発明の範囲から逸脱することなく、上記化合物、生成物及び方法に種々の変更を行うことができるので、上記記述及び下記実施例に含まれるすべての事柄は、説明のためのものであって、限定的なものではないと解釈すべきであることが意図される。
以下の実施例は、本発明の種々の繰り返しを記述するものである。
(実施例1)
(+)ノルヒドロモルホンからの(+)ブプレノルフィンの生成
反応スキーム2に、本発明の一態様に従う(+)ノルヒドロモルホンからの(+)ブプレノルフィンの生成を示す。
Figure 2011506601
(+)ノルヒドロモルホンは、それをシクロプロピル−CHBrと反応させることによって化合物1に転化することができる。あるいは、化合物1は、シクロプロピル−CHOを用いた(+)ノルヒドロモルホンの還元的アミノ化によって形成することができる。化合物1をベンジルCHBrと接触させて、化合物2を形成することができる。メタノール中で還流下でプロトン供与体及びオルトギ酸トリメチル及び臭素2当量の存在下で化合物2を加熱して、化合物3を形成することができる。KOHなどのプロトンアクセプターの存在下でDMSO中で化合物3を加熱して、化合物4を生成させることができる。化合物4をメタノール捕捉剤と混合して、化合物5を生成させることができる。化合物5をメチルビニルケトンと接触させて、化合物6を形成することができる。加圧水素下で炭素担持Pdの存在下で化合物6を化合物7に転化することができる。化合物7と第三級ブチルMgClの反応によって、化合物8の(+)ブプレノルフィンが生成する。
(実施例2)
(+)ノルヒドロモルホンからの(+)ブプレノルフィンの生成
反応スキーム2aに、本発明の別の一態様に従う(+)ノルヒドロモルホンからの(+)ブプレノルフィンの生成を示す。
Figure 2011506601
化合物1からの化合物7の合成−プロセス1:
反応スキーム2aに従う一繰り返しにおいては、化合物7を以下のように調製した。
(a)化合物2の合成
(水5%を含む)含水DMF125mL中の化合物1(3−ヒドロキシル−N−シクロプロパンメチル−ノルヒドロモルホン、5.1g、0.0157mol、1.0当量)及び炭酸カリウム粉末(8.03g、0.0581mol、3.7当量)に臭化ベンジル(2.2mL、0.0185mol、1.18当量)を窒素下で添加し、生成した混合物を室温で撹拌した。反応をHPLCによってモニターした。3時間後、反応物に酢酸エチル500mLを添加し、混合物を塩水(3×100mL)で洗浄し、次いで有機相を無水硫酸ナトリウムを用いて脱水した。ろ過後、ろ液の揮発性物質を除去した。粘着性褐色オイルを得た。4:1EtOAc/DCM+1%MeOH+1%EtNを用いたシリカゲルカラムによって残留物を更に精製して、粘着性オイル7.6gを純度=86%で得た。収率は100%であった。
(b)化合物2aの合成
中間体2(5.7g、0.0124mol、1当量)と無水DMF(66mL)の溶液に60%鉱油中の水素化ナトリウム(0.74g、0.0186mol、1.5当量)を添加した。生成した淡黄色混合物を窒素下で15分間撹拌し、次いで氷浴中で0℃に10分間冷却し、次いで冷却した淡黄色混合物に硫酸ジメチル(2.07mL、0.0174mol、1.4当量)を添加し、30分間撹拌した。反応物を氷/水混合物(250mL)に注ぎ、生成物を酢酸エチル(400mL)で抽出し、有機相を分離し、1%水酸化アンモニウム塩性溶液(50mL×5)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムを用いて脱水した。揮発性物質除去後、オイル残留物が残った。3:1:1EtOAc/ヘプタン/DCM+1%EtN+1%MeOHを用いたシリカゲルによって粗製材料を精製した。最終生成物をガラス状液体(glass liquid)2.8gとして純度=90%、収率=53%で得た。HNMRによって所期の構造を確認した。
(c)化合物3の合成
(あらかじめ10分間冷却した)氷浴中のメタノール20ml中の中間体2a(1.3g、0.0028mol、1.0当量)の冷却溶液に、MeSOH(1.3mL、0.0142mol、5当量)のMeOH(13mL、0℃)冷溶液を添加した。生成した溶液を0℃で15分間撹拌した。N−ブロモアセトアミド(0.95g、0.0068mol、2.4当量)を添加した。反応物を氷浴中で1.5時間撹拌し、次いで濃NHOH(6mL)及び水(15mL)で処理した。それを15分間撹拌した。反応混合物をろ過した。収集した固体を室温で終夜減圧乾燥させた。生成物を白色固体1.75gとして収率=100%及び純度=89%で得た。LC−MS:M+1=620.4。
(d)化合物4の合成
(あらかじめ10分間冷却した)氷浴中のNMP18ml中の中間体3(1.5g、0.0244mol、1.0当量)の冷却溶液にKOH粉末(1.51g、0.027mol、11当量)を添加した。次いで、氷浴を除去し、反応温度を35℃(油浴温)に徐々に加熱し、30℃で3時間撹拌し、HPLC検査によって反応の終了を確認した。反応物を氷浴で冷却し、脱気水70mLを添加し、生成物をトルエン(3×40mL)で抽出し、混合有機相を水(2×60mLで洗浄し、無水硫酸ナトリウムを用いて脱水した。
揮発性物質除去後、淡黄色オイル1.3gを収率=99%、純度=95%で得た。LC−MS:M+1=538.4 。
(e)化合物5の合成
(あらかじめ10分間冷却した)氷浴中のクロロホルム10ml中の出発材料4(1.3g、2.44mmol、1.0当量)の冷却溶液にクロロトリメチルシラン(1.3mL、10.2mmol、4.2当量)を添加した。室温で15分間撹拌後、MeSOH0.3mL(3.28mmol、1.34当量)を滴下した。次いで、反応物を室温で15分間撹拌し、次いで35℃(油浴)に45分間加温し、次いで更にMeSOH0.18mLを添加した。反応物を35℃で更に2時間撹拌し続けた。室温に冷却後、反応物を氷冷5%水酸化アンモニウム溶液60mLに注いだ。有機相を分離した。水相をジクロロメタン(3×40mL)で抽出した。混合有機抽出物を水(3×50mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムを用いて脱水した。揮発性物質除去後、粘着性オイル1.0gを純度=69%で得た。LC−MS:M+1=506.4。
(f)化合物6の合成
出発材料5(0.5g、1mmol、1.0当量)のトルエン(6mL)溶液にメチルビニルケトン(2.2mL、27mmol、27当量)を添加した。生成した反応溶液を75℃(油浴温)で30時間、次いで週末を通じて室温で加熱した。揮発性物質除去後、所望の生成物を含む淡褐色粘着性オイル0.62gが残った。LC−MS:M+1=576.17。
(g)化合物7の合成
中間体6(0.3g、0.5mmol)のメタノール15mL溶液を、60spi H下でPd/C触媒の存在下で60℃(油浴)で2時間水素化した。室温に冷却後、固体をろ過した。ろ液を所望の生成物を含む淡褐色固体に蒸発濃縮させた。LC−MS:M+1=410.4。
化合物1からの化合物7の合成−プロセス2:
反応スキーム2aに従う別の一繰り返しにおいては、化合物7を以下のように調製した。
(a)化合物2から直接の化合物3の合成
中間体2(2.5g)、メタノール(5mL)、CH(OMe)(1mL)、CHCl(13mL)及びMeSOH(1g)を50℃で1時間加熱した。Br(1.9g)のCHCl(10mL)溶液を50℃で15分間滴下した。それを30分間撹拌し、次いでc−NHOH(3mL)の水(20mL)溶液に添加した。それをCHCl−水中で混合した。有機層をポンプ吸引して乾燥させ、トルエンに再溶解させ、再度ポンプ吸引して乾燥させて、生成物を粘着性固体として得た。
(b)化合物3aの合成
出発材料(2.3g)をMeOH(13mL)に溶解させ、0℃に冷却した。MeSOH(0.5g)のMeOH(10mL、0℃)冷溶液を添加した。それを0℃で15分間撹拌した。NBA(0.73g)を添加した。それを0℃で30分間撹拌し、c−NHOH(5mL)及び水(50mL)で処理した。水層を分離し、クロロホルム(2×20mL)で抽出した。混合有機層を水(2×25mL)で洗浄し、ポンプ吸引して乾燥させて、生成物2.1gを粘着性固体として得た。
(c)化合物4a及び化合物5aの合成
3aの化合物(0.7g)をDMSO(10mL)に溶解させた。KOBu−t(1g)を添加した。それを室温で1時間撹拌して、3−ベンジル−6,6−ジメトキシル−7−ブロモ−N−シクロプロパンメチル−ノルモルフィノン(normorphinone)4aを形成した。次いで、それを50℃で4時間加熱し、室温に冷却した。水(50mL)及びトルエン20mLを添加した。水層を分離し、トルエン(20mL)で抽出した。混合有機層を水(2×25mL)で洗浄し、ポンプ吸引して乾燥させて、3−ベンジル−N−シクロプロパンメチル−ノルオリパビン(nororipavine)5a 0.6gを粘着性固体(0.5g)として得た。
(d)化合物6aの合成
化合物5a(0.5g)をトルエン(5mL)に溶解させた。メチルビニルケトン(1.5)を添加した。それを60℃で20時間加熱した。それを室温に冷却し、水(30mL)で希釈し、クロロホルム(2×20mL)で抽出した。有機層をポンプ吸引して乾燥させ、IPAに再溶解させ、再度ポンプ吸引して、生成物を粘着性材料(0.5g)として得た。
(e)化合物7の合成
化合物6a(0.5g)をメタノール(5mL)に溶解させた。炭素担持5%Pd(0.1g)を添加した。フラスコを3回減圧/水素充填した。それを加熱し、水素圧(50PSI)下で45°Fで18時間撹拌した。反応はHPLCによって示されるとおりに完結した。それをろ過した。炭素ケーキをMeOH(2×5)で洗浄した。それをポンプ吸引して乾燥させた。得られた固体をTHFに再溶解させ、ポンプ吸引して乾燥させて、生成物を固体0.35gとして得た。
化合物8の合成
化合物7を調製する経路に無関係に、化合物8を化合物7から以下の手順に従って合成した。溶液t−BuLil(1.7Mペンタン溶液、2mL)をフラスコに窒素下で添加し、室温で維持した。化合物7(0.14g)のトルエン(5mL)溶液を添加した。それを室温で2時間撹拌し、水(10mL)でクエンチした。pHをHOAc及びc−NHOHでpH=9に調節した。混合物をクロロホルム(2×20mL)で抽出した。有機層を水(10mL)で逆洗し、ポンプ吸引して乾燥させ、IPAに再溶解させ、再度ポンプ吸引して、生成物を固体0.1gとして得た。

Claims (15)

  1. 以下の反応スキーム:
    Figure 2011506601
    に従う化合物8を調製するためのプロセスであって、式中、
    及びRは、ヒドロカルビル及び置換ヒドロカルビルからなる群より独立に選択され、
    、R及びR8aは、水素、ヒドロカルビル及び置換ヒドロカルビルからなる群より独立に選択され、
    、R、R、R及びRは、水素、ハロゲン、OR、ヒドロカルビル及び置換ヒドロカルビルからなる群より独立に選択されるか、又はRとRは一緒に{−}=Oを形成することができ、
    はヒドロキシル保護基であり、
    は、水素、ヒドロカルビル及び置換ヒドロカルビルからなる群より選択され、
    Mは、IA族金属塩及びIIA族金属塩から選択され、
    X及びXは、臭化物及び塩化物からなる群より独立に選択され、
    は、Rが水素であるときには臭化物又は塩化物であり、Rが水素でないときにはRであり、
    Yは、酸素、硫黄及び窒素からなる群より選択される、
    プロセス。
  2. 、R及びR8aが水素 アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アリール及び置換アリールからなる群より独立に選択され、
    MがNaR、LiR又はRMgXからなる群より選択され、Xが塩化物又は臭化物であり、Rがヒドロカルビル又は置換ヒドロカルビルであり、
    X、X及びXが各々臭化物であり、
    Yが酸素である、
    請求項1に記載のプロセス。
  3. が{−}CH−シクロプロピルであり、
    、R、R及びRが各々水素であり、
    がメチルであり、
    が第三級ブチルであり、
    Yが酸素である、
    請求項1又は2のいずれかに記載のプロセス。
  4. 化合物1 対 酸素保護基のモル比が約1:1から約1:3であり、前記反応が有機溶媒、プロトン溶媒、非プロトン溶媒及びその組合せからなる群より選択される溶媒の存在下で実施され、該反応が約20℃から約50℃の範囲の温度で実施される、請求項1から3のいずれかに記載のプロセス。
  5. 化合物2 対 オルトギ酸トリヒドロカルビル 対 プロトン供与体のモル比が約1:1:1.5から約1:2:3であり、前記反応が非プロトン溶媒の存在下で実施され、該反応が約20℃から約120℃の範囲の温度で実施される、請求項1から4のいずれかに記載のプロセス。
  6. 前記オルトギ酸ヒドロカルビルが、オルトギ酸トリメチル及びオルトギ酸トリエチルからなる群より選択され、前記プロトン供与体が、MeSOH、ポリHPO、HPO、HSO、HCl、HBr、HClO、HI、HNO、CFSOH、p−メチルトルエンスルホン酸、HClO、HBrO、HIO及びHIOからなる群より選択され、前記反応がアルコール含有溶媒の存在下で実施され、Xが、化合物2の各当量に対して約2から約2.5当量の範囲の量で添加される臭素である、請求項1から5のいずれかに記載のプロセス。
  7. 化合物3 対 プロトンアクセプターのモル比が約1:1から約1:10であり、前記反応が非プロトン溶媒の存在下で実施され、該反応が約40℃から約120℃の範囲の温度で実施される、請求項1から6のいずれかに記載のプロセス。
  8. 請求項1から7のいずれかに記載のプロセスであって、化合物4 対 アルコール捕捉剤のモル比が約1:0.3から約1:3であり、前記反応が非プロトン溶媒の存在下で実施され、該反応が約0℃から約80℃の範囲の温度で実施される、プロセス。
  9. 前記アルコール捕捉剤が、P、POCl、POBr、PCl、PBr、SOCl、SOBr、MeSOCl、(MeSOO、SO、(CFSOO、(CFCO)O及び(CRCO)O(からなる群より選択されるメタノール捕捉剤であり、ここで、Rはアルキル基である、請求項1から8のいずれかに記載のプロセス。
  10. 化合物5 対
    Figure 2011506601
    のモル比が約1:1から約1:10であり、前記反応が有機溶媒の存在下で実施され、該反応が約20℃から約120°の範囲の温度で実施される、請求項1から9のいずれかに記載のプロセス。
  11. 前記還元が接触還元であり、化合物6 対 触媒のモル比が約1:0.0005から約1:0.05であり、該触媒がPd/C、Pt/C、Ru/C及びRh/Cからなる群より選択される遷移金属触媒であり、水素圧が約0から約500PSIであり、前記反応が有機溶媒の存在下で実施され、該反応が加圧水素下で実施され、該反応が約20℃から約120℃の範囲の温度で実施される、請求項1から10のいずれかに記載のプロセス。
  12. 化合物7 対 RMのモル比が約1:2から約1:10であり、前記反応が非プロトン溶媒の存在下で実施され、該反応が約60℃から約120℃の範囲の温度で実施される、請求項1から11のいずれかに記載のプロセス。
  13. が第三級ブチルであり、MがMgClである、請求項1から12のいずれかに記載のプロセス。
  14. 化合物8の収率が約8%から約20%であり、化合物8の純度がクロマトグラフィーによって測定して少なくとも98%である、請求項1から13のいずれかに記載のプロセス。
  15. 化合物1から8のいずれかの炭素5、13、14及び9それぞれの配置が、C15とC16原子の両方が分子のα面又は該分子のβ面上にあるという前提で、RRRS、RRSS、SRRS、SRSS、RSRR、RSSR、SSRR及びSSSRからなる群より選択される、請求項1から14のいずれかに記載のプロセス。
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