JP6483627B2 - 脳内アミロイドβ蓄積症の予防または治療剤 - Google Patents

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Description

本発明は、アルツハイマー型認知症(以下、AZDとという)および脳アミロイド血管症(以下、CAAと表示)等の脳内アミロイドβ蓄積症によって生じる諸症状に対する改善作用を有する物質を含む予防または治療剤に関する。
AZDは、アミロイドβが主として神経細胞周辺に蓄積し、それが神経傷害の原因となり、脳萎縮および認知症を主とする脳機能低下が生じる病気である。AZDでは、頭部の画像検査により、海馬や前頭、頭頂葉などの大脳皮質を含む瀰漫性脳萎縮が見られる。すでに認知症の改善に対して有効性が認められた薬剤も存在する。しかし、かかる薬剤は、病状の進行を止めることができるわけではない。いずれの薬剤も、認知能の低下を長期的に予防または改善させ、病気を完全に治癒させる、という域には達していない。脳内での炎症が、AZDの病態の進行に関与していることを根拠として、抗炎症剤であるステロイドまたは非ステロイド系抗炎症剤(以下、NSAIDsという)を用いた多くの臨床試験が実施された。しかし、それぞれの有効性と副作用の双方を考慮すると、「いづれの薬剤治療もAZDに対する治療法としては推奨されない」との総括的報告が成されている(非特許文献1)。
CAAは、アミロイドβが主として脳血管に蓄積し、脳局所の循環障害(白質病変)、頭蓋内出血および脳内多発性微小出血(単発性、多発性、または、両側性)、並びにてんかん発作等の脳傷害が生じる病気である。CAAに対する病理組織学的検査では、脳血管壁へのアミロイドβの蓄積という特徴的所見が見られる。また、CAAではその他に、小型リンパ球、マクロファージ、好酸球、および核巨細胞等の様々な炎症細胞の浸潤並びに多数の微小出血(micro−bleeding)を伴うことが知られている。しかし、これらの原因は不明であり、AZDと同様、CAAの根本的な(対症療法ではなく、病態の進行を抑える程に有効な)予防、または、治療剤は未だ開発されていない。
頭部MRI画像の進歩により、T2強調撮像法(T2WI)が実用化された。それによって、これまで不明であった無症候性または症候性の脳内微小出血の同定が可能となった。これまでのようなバイオプシーと脳組織の病理診断を用いずとも、MRI画像上に観察される深部白質病変と多発性微小出血の存在によって、CAAと診断することが可能となった。しかし、同病に対する根本的な予防、または、治療剤は開発されておらず、一部の頭蓋内出血への外科治療や、てんかん発作への対症療法が成されるのみであった。
CAAに対する治療法に関して、AZDと同様に大量ステロイド(グルココルチコイド)療法等の抗炎症剤を用いた治療法の有効性が示唆されている(非特許文献2)。しかしながら、大量のステロイド投与には重篤な副作用、例えば、免疫能の抑制による易感染性とそれに伴うウイルス、細菌、真菌感染症、胃潰瘍形成や消化管出血、骨密度の低下や易骨折性の増加、耐糖能不全と急激な高血糖と脱水、うつ状態を含む各種の精神症状の出現、および副腎不全等を伴うことが知られている。ステロイドは、感染に対する生体の防御反応を幅広く抑える作用を有する。CAA様血管炎が、何等かの感染を伴っている場合、ステロイドの長期投与がかえって病状を悪化させる可能性もある。AZD、CAA、いずれの疾患においても僅かな副作用が致命傷ともなる中、高年での発症も多いため、途中で治療を断念するか、またはステロイド剤の減量による症状の再燃(リバウンド)の危険性もあった。
AZD同様、CAAに対しても、自己免疫のメカニズムが働いていると考えられている。これに基づいて、免疫抑制剤(シクロホスファミド等)と大量ステロイドの併用療法の有効性が報告されている(非特許文献2)。しかし、この方法は一般的な治療法とは成っていない。自己免疫が正常な脳血管を攻撃しているのか、傷害を受けて排除されるべき血管内物質、あるいは、組織傷害因子となるアミロイドβを攻撃しているかは不明である。
イグラチモド(または、T−614)、物質名:N−(3−ホルムアミド−4−オキソ−6−フェノキシ−4H−クロメン−7−イル)メタンスルホンアミド(N−(3−Formamido−4−oxo−6−phenoxy−4H−chromen−7−yl)methanesulfonamide)(式(A))は免疫調整剤に分類される薬剤であり、既存の抗リウマチ薬とは異なる(特許文献1)。2003年頃より人での使用(臨床試験)が開始された。イグラチモドは炎症の中でも特に、単球系細胞(マクロファージ)からのインターロイキン1及び6(interleukin:IL−1/6)、並びに腫瘍壊死因子(TNFα)の産生を抑制する作用を特徴とする。これらの作用は、既存のNSAIDs(例えば、インドメタシン)および疾患修飾性抗リウマチ薬(例えば、サラゾスルファピリジン、SASP)には認められていない。これらの作用は、「クロモン骨格」(式(B))を有するイグラチモド特有の作用とみなされている(非特許文献3)。
Figure 0006483627
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関節リウマチに対する治療薬に関し、免疫抑制剤に分類されるメトトレキセート(以下MTXという)、SASP、leflunomide、またはシクロホスファミドの有効性がすでに報告されている。そして、イグラチモドにも、MTXやSASPと同等の有効性を発揮することが明らかにされている(非特許文献4)。関節リウマチに対するその他の治療剤には、悪性リンパ腫に効果のあるリツキシマブ(商品名「リツキサン」)、抗生剤であるミノサイクリン・テトラサイクリン、高脂血症治療薬であるスタチン、多発性骨髄腫治療薬であるサリドマイド、シグナル伝達系のJAKを阻害する抗JAK阻害薬があり、関節リウマチという疾患の特殊性が示唆される。
インターロイキン(IL)は白血球から分泌されて炎症反応に係る物質の呼び名であり、それらには同定された順に番号が付けられている。現在では30種以上のILが知られている。IL−1およびIL−6は局所にて活性化された単球(マクロファージ)によって産生されることを特徴とし、炎症系細胞として分類されるその他の細胞、すなわち、T細胞、B細胞、NK細胞、好中球、肥満細胞、末梢血単球等が産生するサイトカインとは一線を画する。
特許第3521145号公報
Cochrane Database of Systematic Reviews, Issue 2, Article ID:CD006378, 2012 Journal of Neuroinflammation, 8:116,2011 Folia Pharmacol. Jpn.(薬理誌)、140、285-292、2012 Hindawi Publishing Corporation Clinical and Developmental Immunology Volume 2013, Article ID 310628, 16 pages Zaghi, J.等、Alzheimer disease macrophages shuttle amyloid-beta from neurons to vessels, contributing to amyloid angiopathy, Acta Neuropathol., 2009, 117, 111-124.
AZDおよびCAAの病態に関して、アミロイドβが神経細胞または血管壁に蓄積するということは知られている。しかし、それらの病態に対する根本的な予防、または、治療剤は、未だに開発されていない。アミロイドβが神経細胞または脳内の血管に蓄積していくことで、様々な症状を呈するこれらの難治性病態に関して、安全に病状の進行を抑え、精神・神経症状を改善し、一時的・一過性ではなく長期間にわたる改善状態、または、改善傾向を維持させる作用を有する新たな予防、または、治療剤の開発が求められていた。
AZDおよびCAAに対し、液性および細胞性を含む生体内の様々な炎症反応を幅広く抑制する大量ステロイド(または、ステロイドのパルス)療法が有効であったとの報告がある。しかし、この方法は、研究の域を脱しておらず、重篤な副作用の存在より、誰でも(医師)が容易に導入できるという治療法ではない。
生体で何等かの傷害が生じると、生体防御の一環としての炎症反応が生じ、それによる2次的な症状も生じる。よって、広域の抗炎症スペクトラムを有するステロイド療法によって何等かの症状が、少なくとも一過性に抑制されたとしても、同剤によって抑制される炎症反応が病状の原因であるのか、結果(2次的なもの)であるかは不明である。例えば、何等かの脳傷害(外傷、脳卒中、脳腫瘍、代謝傷害、その他)によって生じる脳浮腫という局所の炎症性生体応答は、それ自体で脳の新たな機能障害の原因となり得、抗炎症作用を有するステロイド治療の対象となる。しかし、感染によって生じた脳浮腫にステロイド治療を中・長期的に行った場合、かえって病状が悪化する場合があることより明らかなように、浮腫性脳傷害に対するステロイド療法、特に大量ステロイド療法は短期的、かつ、対症療法的に使用されているに過ぎない。
また、ステロイド(グルココルチコイド)剤の生体内での作用は多岐にわたる。例えば、ステロイドにより、リポコルチン、IL−1受容体アンタゴニスト、β2受容体、IκB等の産生は亢進される。一方、ステロイドにより、B細胞からの抗体の産生、アラキドン酸カスケード、並びに種々のサイトカインおよび細胞接着分子等の産生が抑制される。
尚、サイトカインとは炎症性細胞が産生する可溶性タンパク質であり、IL、インターフェロン(IFN)、ケモカイン、増殖因子、TNF(腫瘍壊死因子)、TGF(トランスフォーミング増殖因子)など、100種類以上が存在することが知られている。即ち、AZDおよびCAAに対し、大量のステロイド療法が、少なくとも一時的な有効性を示したとしても、同療法による炎症関連遺伝子の発現調整の他、細胞内炎症性カスケードへの影響、タンパク分泌やペプチド産生、その他の様々な炎症関連物質の産生への影響等、ステロイドの作用点は多岐にわたる。その中の、如何なるカスケードまたは物質に対する抑制剤が有効であるのかは不明である。そこで、AZDおよびCAAに関する、より病因特異的且つ安全な、新たな予防、または、治療剤の開発が求められていた。
一方、本邦において、イグラチモドに対し、膠原病の一つに分類される関節リウマチを効能効果とした製造承認が2012年6月に与えられている。しかし、本邦において、イグラチモドは、あくまでも関節リウマチに特化した治療薬である。イグラチモドが関節リウマチ以外の病態(病状)、例えばCAAおよびAZDで観られる諸症状の改善を目的として使用され、その結果、有効性が認められたとの報告はない。
本発明の目的は、AZDおよびCAA等の脳内アミロイドβ蓄積症の進行を抑制し、症状を緩和させ、更には改善させることのできる物質を提供することにある。
本発明者は上記事情に鑑み、脳内アミロイドβ蓄積症の病状を改善させる薬剤の発見に向けて鋭意検討を行った。その結果、本発明者は、イグラチモド(N−〔3−(ホルミルアミノ)−4−オキソー6−フェノキシー4H−クロメン−7−イル〕メタンスルホンアミド)等のクロモン骨格を有する化合物の投与が、AZDおよびCAA等の脳内アミロイドβ蓄積症に基づく諸症状を緩和させ、長期的に安定した有効性を示すことを見出した。イグラチモド等のクロモン骨格を有する化合物を用いたAZDおよびCAA治療の試みは、これまでに例がない。
本発明は、以上の知見に基づいて上記目的を達成するものである。
即ち、本発明の脳内アミロイドβ蓄積症の予防または治療剤は、式(1)で表わされる化合物またはその塩を有効成分とする。
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式(1)中、
は、ハロゲン原子で置換されていてもよいアルキル、アルケニルまたはアリール基を;
は、水素原子、アルキル基またはアシル基を;
は、水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、アジド基、カルボキシル基、ヒドロキシル基、ホルミル基もしくはアルコキシカルボニル基または置換されていてもよいアルキル、アルコキシ、フェノキシ、シクロアルキル、カルバモイル、アミノもしくはフェニル基を;
は、水素原子、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、カルボキシル基、アシル基、ヒドロキシル基もしくはアルコキシカルボニル基または置換されていてもよいアルキル、アルコキシ、アルキルチオ、フェニルチオ、アルキニル、アルケニル、スルファモイル、アルカンスルフィニル、アルカンスルホニル、アミジノ、フェニルもしくは複素環式基または式(2)もしくは式(3)で表わされる基を;
は、置換されていてもよいフェニル、チエニル、フリルまたはピリジル基を;
Zは、酸素原子、硫黄原子またはイミノ基を;および
破線は、単結合または二重結合を示す。
Figure 0006483627
Figure 0006483627
式(2)及び式(3)中、Rは、水素原子、ヒドロキシル基、シアノ基もしくはアルコキシカルボニル基または置換されていてもよいアルキル、シクロアルキル、フェニル、アミノ、アシル、カルバモイル、アルカンスルホニル、イミノメチルもしくはアミジノ基を;Rは、水素原子、置換されていてもよいアルキル、アルコキシ、フェニル、シクロアルキルもしくは複素環式基を示すかまたはRとRが隣接する窒素原子と一緒になって3〜7員環の置換されていてもよい複素環式基を示す。
本発明によれば、安全に、脳内アミロイドβの蓄積、例えば、AZDまたはCAAと名付けられた疾患に見られる諸症状を緩和させ、病状の進行を阻止することができる。即ち、これまで治療が不可能であったAZDあるいはCAAに伴う認知症の進行、気力の低下、失行、失認、失語、失禁、歩行障害等、様々な脳(精神、神経)機能障害を改善し、生活の質を向上させることができる。
式(1)で表わされる化合物(以下、式(1)化合物という)の具体的構造は、式(1)で表わされる要件を満たす限りには特に限定はない。式(1)の化合物として、以下の限定事項(A)〜(D)の1以上、好ましくは2以上、更に好ましくは3以上、より好ましくは、限定事項(A)〜(D)の全てを満たす化合物であるのが好ましい。
(A)破線は、好ましくは、二重結合である。
(B)Rは、好ましくはC1〜C6アルキル基、より好ましくはC1〜C3アルキル基である。
(C)Rは、好ましくは、フェニル基であり、Zは好ましくは酸素原子である。
(D)Rは、Rとして好ましくはアシル基(好ましくはホルミル基)である。
本発明の脳内アミロイドβ蓄積症の予防または治療剤は、式(1)で表わされる化合物またはその塩の中の一又は二以上を有効成分とする。
式(1)で表わされる化合物として、具体的には、式(A)で表わされる、例えばケアラムやコルベットという登録商標で、抗リウマチ治療剤として知られている「イグラチモド」(N−[3−(ホルミルアミノ)−4−オキソー6−フェノキシ−4H−クロメン−7−イル](N-[3-formylamino)-4-oxo-6-phenoxy-4H-chromen-7-yl]methanesulfonamide))が挙げられる。
Figure 0006483627
本発明の予防または治療剤は、その予防または治療効果を阻害しない限り、他の成分を含んでいてもよい。該他の成分として具体的には、例えば、1種又はそれ以上の他の医薬成分および1種又はそれ以上の薬学的に許容され得る添加剤が挙げられる。前記他の医薬成分としては、例えば、脳内アミロイドβの蓄積を抑制する薬剤、およびAZDまたはCAAのように、脳内アミロイドβの蓄積に起因する疾患に見られる諸症状を緩和させ、病状の進行を阻止することができる薬剤が挙げられる。また、前記添加剤として具体的には、例えば、賦形剤、崩壊剤、希釈剤、乳化剤、分散剤、補助剤、防腐剤、緩衝剤、結合剤、安定剤、コーティング剤、滑沢剤、着香剤、着色剤、甘味剤、矯味剤、懸濁化剤、および湿潤剤が挙げられる。
本発明の予防または治療剤の剤形は、その予防または治療効果を阻害しない限り、特に限定はない。前記剤形は、固形剤、半固形剤および液剤のいずれでもよい。前記剤形として具体的には、例えば、錠剤、被覆錠剤、丸剤、細粒剤、顆粒剤、散剤、カプセル剤、シロップ剤、乳剤、懸濁剤、注射剤、トローチ剤、および注射剤が挙げられる。また、本発明の予防または治療剤の剤形は、持続性または徐放性剤形でもよい。
本発明の予防または治療剤では、式(1)の化合物が有効成分として作用する。よって、本明細書は、脳内アミロイドβ蓄積症の予防または治療剤の製造のための式(1)の化合物の使用を開示する。また、本明細書は、脳内アミロイドβ蓄積症の予防または治療に用いるための式(1)の化合物を開示する。
上記脳内アミロイドβ蓄積症は、脳内の組織にアミロイドβが蓄積することに起因する疾患である限り、その具体的疾患に特に限定はない。上記脳内の組織としては、例えば、神経、グリア、および血管が挙げられる。上記脳内アミロイドβ蓄積症としてより詳細には、脳内アミロイドβの蓄積による精神・脳神経機能障害が挙げられる。上記脳内アミロイドβ蓄積症として具体的には、AZDおよびCAAが挙げられる。従って、本発明の予防または治療剤は、AZDまたはCAAの予防または治療剤として特に好適に用いることができる。
本発明の予防または治療剤は、上記のように、脳内アミロイドβ蓄積症、好ましくはAZDまたはCAAの予防または治療に用いることができる。従って、本明細書は、式(1)の化合物又は該化合物を含む医薬組成物を、脳内アミロイドβ蓄積症、好ましくはAZDまたはCAAの患者に投与することにより、これらの疾患を予防または治療する方法を開示する。式(1)の化合物または該化合物を含む医薬組成物の投与方法は、その予防または治療効果を阻害しない限り特に限定はない。該投与方法は、経口投与でもよく、非経口投与(例えば静脈注射、筋肉注射、点滴、点鼻、吸入)でもよい。
脳内アミロイドβ蓄積症によって生じる諸症状としては、例えば、AZDまたはCAAに伴う認知症の進行、中枢性歩行機能障害、平衡機能障害、運動機能麻痺、高次脳機能障害、失行、失認、失語、失禁、歩行障害、構語機能障害、嚥下障害、および意欲・気力の低下等の脳内アミロイドβの蓄積による様々な精神・脳神経機能障害が挙げられる。本発明の予防または治療剤は、脳内アミロイドβの蓄積、例えば、AZDまたはCAAと名付けられた疾患に見られる諸症状を緩和させ、精神・脳神経機能障害を改善することができる。また、本発明の予防または治療剤は、脳内アミロイドβの蓄積による病状の進行を抑制することができる。よって、本発明の予防または治療剤は、脳内アミロイドβ蓄積症の予防にも用いることができる。
本発明の予防または治療剤の用量、用法、他剤との併用、および使用期間には特に限定はない。これらは症状および患者の状態に応じて適宜選択することができる。本発明の治療剤は、有効成分である式(1)の化合物(イグラチモド等)の1日投与量が25mg〜75mgとなるように、1日1回〜3回に分けて内服することが好ましい。また、本発明の治療剤の生体内への投与経路についても特に限定はない。
本発明の予防または治療剤の作用機序について、発明者は、インターロイキンIL−1、IL−6、およびTNF−αの産生に対する抑制効果であると考えている。発明者は、クロモン骨格を有し、かつ、上記3物質の産生抑制効果を持つ物質については、これまでに例がないと考えている。尚、これは発明者の見解を表示するに留まり、何ら本発明を定義付けあるいは限定する趣旨の記載ではないことを付言する。
以下、本発明を実施例により イグラチモドの内服によるAZDおよびCAAに基づく諸症状の改善について説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
患者:79歳男性
家族歴:父親が脳出血(病型不詳)にて50歳代で死亡。兄が60歳代にCAA(皮質型脳出血、症候性てんかん)発症、72歳にてAZDを発症、76歳で死亡。
既往歴:60歳頃より、深部白質性病変(頭部MRI、T2WIにて診断)、傍側脳室性低吸収域(頭部CTにて診断)、および、海馬、頭頂葉、および、前頭葉を含む大脳皮質に中等度の脳萎縮と記銘力の軽度低下が認められていた。しかし、日常生活には特に問題なく経過。
現病歴:76歳0カ月頃より、歩行困難(歩行速度の低下と歩行安定性の低下)が出現し、緩やかに進行した。600m以上の長距離連続歩行および手や肩に重い(10kg以上の)荷物を持っての歩行が困難となる。時に小俣歩行や、前に突進様歩行を呈することがあったが、転倒することはなし。脳血管障害が疑われ、CTおよびMRI(T2WI以外の)検査が行われた。しかし、以前から存在する深部白質病変と中等度の脳萎縮以外、比較的急速な歩行困難を生じるような責任病巣は確認できなかった。また、パーキンソン病(症候群)も疑われたため、同病治療剤の内服が一時的に試されたが、効果なく中止となった。さらに77歳頃より、認知(記銘、定着保持、回想のいづれか、または、それらすべての)能力がさらに低下し、道の選択や機械操作に迷いが生じるようになり、車の運転を止めた(ただし、認知機能:知能テストでは正常範囲内)。また、不安定歩行も比較的速やかに進行し、室外では杖が必要となった。
78歳0カ月頃より歩行困難と認知能の低下がさらに進行し、78歳6カ月頃の精査によって、以下の病態:正常圧水頭症、葉酸・ビタミン不足、うつ病、パーキンソン症候群、脳血管狭窄(慢性脳虚血)症、神経変性疾患、甲状腺機能低下症、血管性認知症、等のALZ以外で認知症の原因となる病態は否定された。一方、MRI(T1/2WI、T2WI)にて、両側基底核(視床、および視床下部)から上位脳幹を中心とする多発性微小出血の存在が確認され、CAAと診断された。また、海馬や広範位の大脳皮質を含む瀰漫性脳萎縮と中等度認知症の存在によって、AZDと診断された。78歳8カ月よりCAAに対してプレドニン(5mg)、およびAZDに対してNMDA阻害剤、AZD治療剤(メマンチン)の内服が開始された。しかし、歩行機能障害および認知機能障害に著明な改善は認められず、両症状はその後も進行した。
78歳10か月頃より、気力や発動性のさらなる低下あり、発語が減少、自己の署名が困難となり、人の名前も殆ど思い出せなくなり、全般的な脳機能低下が示唆された。また、常に介助、少なくとも手すりを要する歩行となり、50m以上の連続歩行が介助付でも困難(不安定)となった。さらに、日中でも傾眠状態であることが多く観られるようになり、時には、食事時の覚醒レベルが低下し、嚥下困難が生じるようになった。78歳11か月、高熱の繰り返しを契機として立位および歩行が不能となり、胸部CTの結果、誤嚥性肺炎の徴候があり、近医へ入院となった。
入院直後より肺の炎症性疾患に対して抗生剤の投与を開始し、また、それまでの持続的ステロイド(5mg)療法による潜在的副腎機能(ミネラルバランス)低下症に対して、ステロイド補充を目的に、ミネラルコルチコイド大量投与(ハイドロコートン200mg注/日、7日間予定)を開始した。ステロイド補充療法の開始3日後より、意欲や発語の増加や認知機能の改善、さらに、歩行機能の改善が見られ、神経症状(AZDおよびCAA)に対する大量ステロイド療法の有効性が示唆された。しかし、ミネラルコルチコイドの投与開始5−6日目より次第に症状が悪化(それまでの回復が消失)し、歩行不能に加え、発語の消失、傾眠状態の増加(覚醒レベルの低下)と尿・便失禁が出現、自力での食事摂取が不能となり、入院9日目には、ほぼねたきり、無反応状態となったため、インフォームドコンセントに基づいて、脳機能の低下の改善を目的に、抗炎症作用を目的とするグルココルチコイド大量(プレドニン30mg/日)の内服を入院10日後より開始した。
大量のグルココルチコイド(ステロイド)剤の内服開始によって神経症状が寛解(傾眠状態の減少)し、気力の向上、発語の増加が見られ、尿意と便意を再度伝えられるようになり、介助歩行や自力(スプーン)での食事摂取力が回復した。しかし、入院20日目より、傾眠傾向が再び出現し、認知能の低下、歩行不能、発語消失、尿失禁、失行、および、失認症状が再度、出現した。よって、年齢的に内服可能な最大量のグルココルチコイド治療の持続によっても、症状(認知能の低下、歩行困難、意欲や発動性の低下、失語、失行、および、失認等)の進行を10日以上(大量ステロイド開始からは20日以上にわたり)阻止できないことが明らかとなった。
症状の改善傾向が全く見られないため、入院22日目に、インフォームドコンセントに基づき、認知機能低下、歩行機能低下、意欲や発動性の低下、並びに、失語、失行、失認の改善を目的に、大量グルココルチコイド療法に加え、イグラチモド(例えば、抗リウマチ剤として大正富山医薬品株式会社が製造販売する商品名「コルベット」又はエ−ザイ株式会社が製造販売する商品名「ケアラム」)25mgの投与を開始した。イグラチモドは、マクロファージ系サイトカインの産生抑制作用を有する新規の関節リウマチ治療剤であり、脳内アミロイドβ蓄積症(脳内アミロイドβ蓄積を伴う病態、および、その症状)へ対する有効性は不明であった。
入院24日目(イグラチモド投与開始2日後)より、発動性の明らかな改善が認められ、神経学的諸症状(CAAに伴う歩行機能低下およびAZDに伴う認知機能低下)の改善も認められた。そのため、入院28日目よりステロイド剤を1日20mgに減量し、入院34日目よりイグラチモドを1日50mgに増量した。ステロイド剤はその後も漸減させ、入院48日目には入院前の5mg/日まで戻すことができた。
イグラチモドの内服開始後、歩行や発動性(発語力、スプーンを用いた自力での食事摂取、尿意の訴え、その他の意思表示力)に関する神経学的症状が改善、持続し、入院前に見られた嚥下困難と歩行不全、失語、失認、失行、失書、失禁、感情表出の喪失、意欲低下、傾眠傾向、および認知能の低下に改善が見られ、内服開始の2か月後(79歳2カ月)に退院となる。退院時には介助による50m程度の連続歩行が可能となり、また、両腕の介助により、8段の階段を上がることができた。
退院後も認知能、気力、発動性および発語、失行、失認機能がさらに回復した。内服開始の6カ月後(79歳6カ月)には、介助による100m程度の連続歩行が可能となり、15段の階段を介助と手すりの使用で上がることができた。また、同時期の頭部MRI画像検査では、内服開始前のMRI(78歳7か月)に比して、新たな血管性異常の出現、および、脳萎縮の進行は認められなかった。
イグラチモドの内服開始から1年後(80歳0ヶ月)には、広域スペクトラムを有する抗炎症剤であるステロイド剤の内服を完全に中止し、それによる症状悪化は見られなかった。同時期頃より、テレビへの関心を取り戻し、時にはコメントするようになり、相撲番組も見るようになった。また、できなくなっていた署名を間違いなく行えるようになり、場所や人の名もある程度まで思い出すことができ、一週間以前の楽しかったことも思い出せるようになった。さらに、幼児を見かけると笑顔で声掛けをして、あやすようになった。
食事動作に関しては、退院時(内服開始3ヶ月後)は、まだ、食事を口へ運ぶ際に、時々こぼしていたが、内服開始半年後には、箸を用いた(衣服や周囲をよごさない)食事の自立が可能となった。歩行困難、および、認識障害の増強により入院した当時退院後よりは、失禁回数が徐々の減り始め、数か月後には、昼夜共にトイレでの排尿、排便が可能となり、銭湯や温泉旅行へも付き添いと供に出かけられるようになった。
同剤の内服開始1年後では、さらに、デイサービス・リハビリ施設では、簡単な筋力トレーニング用機器を用いたプログラムも、その場(機器)へ行くまでの歩行介助は必要ながら、ある程度までこなせるようになり、顔を覚えた同施設スタッフへの挨拶や、お礼の言葉を言えるようになった。認知機能の評価系であるミニメンタルステート検査(MMSE)では、イグラチモド開始前は、10以下(重度認知症)であったが、内服開始1年後には、10以上(中等度認知症)にまで改善した。
イグラチモド開始7か月後(79歳7か月)と19ヶ月後(80歳7か月)での3T-MRI:SWI撮像法による頭部画像検査では、脳萎縮やその他の病変の進行は明らかでなく、すでに認められていた両側視床、基底核、脳幹、小脳、深部白質、大脳灰白質等の散在性多発性微小出血(アミロイドβの血管壁への沈着、および、血液成分の血管壁への浸潤によるとされる血管性異常)の画像上で増加や増大は見られなかった。尚、症状の回復期間において、既存の認知症薬を追加することはなかったため、イグラチモドの内服以外に、アルツハイマー型認知症(AZD)による進行性の脳萎縮や認知機能障害、脳アミロイド脳血管症(CAA)によると考えられる脳内微小出血の増加や増大、進行性歩行困難、その他の日常生活動作の進行性困難、等に対する進展抑制、または、改善効果をもたらす理由が見当たらなかったため、それらはイグラチモドの内服によってもたらされたと考えられる。
考察:イグラチモドの内服開始後、認知機能や日常生活動作に関する臨床症状やMMSEスコアが改善し、また、脳画像上に観られる脳萎縮や血管性異常領域(画像上で確認される個数、および、個々の微小シグナルの面積)の進展が抑制されたことから明らかなように、脳内アミロイド蓄積による病態の進行が抑えられ、それに伴う諸症状が改善した。
ただし、実際に、イグラチモドの内服が「脳内アミロイドβの蓄積」を抑制したことを示す脳組織学的な(アミロイドβそのものが減少したとの)データは得られていない。すなわち、本発明は、あくまでも脳内アミロイドβの蓄積によって生じるAZD,および、CAA、および、それに伴う脳萎縮や脳内微小出血性病態の進展を抑制し、および、それに伴う諸症状を改善(治療)し、さらには、長期間(半年から1年以上)におよぶ病状(病態と症状)の進展を抑制させる、総じて、病態と症状の改善、および、予防効果に関するものである。例えば、同剤の内服が脳内アミロイドβの蓄積そのものに影響せずとも、その後に続く細胞内外の分子カスケードを制御(抑制、または、変換)し、そのことによって脳萎縮や血管性異常の進行を抑制し、症状を改善させるものであってもよく、いずれにしても、イグラチモド、および、その類似の分子構造と生体内での機能性を有する物質は、脳内アミロイドβの蓄積によって生じる病態の進展を予防し、そのことによって生じる諸症状を改善させることを目的として用いることができる。
以上、本実施例1のAZD、および、CAAの合併症例におけるイグラチモドの内服開始後の臨床経過から、少なくとも、脳内アミロイドβの蓄積によって発症する「認知機能の進行性低下」、および、「その他、各種脳機能の進行性低下」を特徴とする疾患群(例えば、AZDとCAA)の病態の進行を抑制し、諸症状を改善することが明らかとなった。
81歳女性、3-4年前より、社会的活動や人との出会いを好まなくなり、2年前より生活動作に差し障りを生じる程度の認知機能障害が現れるようになり、1年前より認知機能障害がさらに進行し、MMSEを施行したところ、14以下であった。頭部画像検査によると頭頂葉を含む大脳皮質、および、海馬の中等度萎縮が認められたため、臨床学的、および、脳画像所見より、「AZDによる中等度認知症」との診断が成された。日常生活では、会話内容を5分後に忘れるようになり、一人で外出の折には同じものを何度も繰り返し買ってくるという症状(記銘障害)が見られ、また、それまで好きであった手料理を作ることや、味の調整ができなくなり、さらに、家の近所の道に迷って帰宅できない事態(空間的認知障害)が生じたため、一人で外出することが困難となった。また、降圧剤等の内服の自己管理ができなくなったため(表計算の認知障害)、家人が管理する必要が生じた。AZDに対する既存薬の有効性(進行する症状の抑制)が半年以上にわたって認められなかったため、当人と家族へのインフォームドコンセントに基づき、イグラチモド25mg/日の内服を開始し、その4週間後には50mg/日に増量した。
内服開始3か月後、少し前のことを忘れるという症状は残存するが、一人での外出(と帰宅)が可能となっており、道に迷って帰られなくなったり、同じ品物を何度も買ってくるという症状は消失した。さらに、必要な食材料をで一人で購入し、以前より得意であったカレーを再度、作れるようになり、調理に伴う火の後始末を含め、一人での食事支度が再び、できるようになった。また、以前は困難であった自宅外での社会的活動への参加も部分的に可能となった。内服開始から5か月後、症状は安定しており、頭部画像検査による脳萎縮の進行は認められず、また、MMSEは17以上へと改善した。イグラチモドの内服以外には、上記のごとくの進行性脳萎縮の抑制、および、症状の改善理由は見当たらず、従って、イグラチモドの内服がそれらの原因と考えられた。
本例は、脳画像検査上、CAAを伴わない典型的AZD症例であり、イグラチモドの内服は、実施例1で示されたCAAを伴うアルツハイマー型認知症・症例と同様に、進行性脳萎縮を抑制し、それに伴う諸症状を改善した。
尚、本明細書において、「脳内アミロイドβ蓄積症」の記載は、単一の疾患名ではなく、脳内での異常なアミロイドβ(アミロイドβ前駆体タンパク質(APP)の分解産物)の蓄積に起因する疾患群であり、その中には、認知機能の低下によって発症するAZD、および、脳血管壁への蓄積が原因となって生じる多発性微小出血や、多発性、再発性、時に両側性の皮質下出血を示すCAAが含まれる。
最近では、AZD患者の9割近くにおいて脳血管壁にアミロイドβが蓄積していることが明らかとなり、脳血管壁にアミロイドβの蓄積が全く見られない場合にはAZDが発症しなかったことより、最近では、血管壁へのアミロイドβの蓄積がAZDの発症原因であると考えられている(非特許文献5)。血管壁へアミロイドβが蓄積する原因は、血管壁内を遊走するマクロファージを介した「アミロイドβの血管内血液(脳外)への排泄機構」への障害とされ、さらに、その原因は、血管壁で生じる何等かの炎症反応の存在が想定される。上記実施例(1)(2)は、幅広い抗炎症作用を有するステロイド剤では十分に抑制できない炎症、すなわち、「イグラチモド、および、その類似体が有する特異的作用によって初めて抑制、または、阻止される炎症反応」が原因となってアミロイドβが蓄積することを示している。

Claims (7)

  1. (A)で表わされる化合物またはその塩を有効成分とし、アミロイドベータワクチンと組み合わせないことを特徴とする脳内アミロイドβ蓄積症の予防または治療剤。
    Figure 0006483627

  2. 前記脳内アミロイドβ蓄積症が、アルツハイマー型認知症または脳アミロイド血管症である請求項1に記載の脳内アミロイドβ蓄積症の予防または治療剤。
  3. 脳内アミロイドβ蓄積症によって生じる諸症状を改善する請求項1または2に記載の脳内アミロイドβ蓄積症の予防または治療剤。
  4. 脳内アミロイドβ蓄積症によって生じる諸症状が、認知症の進行、中枢性歩行機能障害、平衡機能障害、運動機能麻痺、高次脳機能障害、失行、失認、失語、失禁、歩行障害、構語機能障害、嚥下障害、および意欲・気力の低下からなる群より選ばれる一または二以上である、請求項3に記載の脳内アミロイドβ蓄積症の予防または治療剤。
  5. アルツハイマー型認知症による脳萎縮の進行を抑制する、請求項1または2に記載の脳内アミロイドβ蓄積症の予防または治療剤。
  6. アルツハイマー型認知症による認知機能障害を改善する、請求項1または2に記載の脳内アミロイドβ蓄積症の予防または治療剤。
  7. アミロイド脳血管症による脳内微小出血の増加または増大を抑制する、請求項1または2に記載の脳内アミロイドβ蓄積症の予防または治療剤。
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