以下、図面を参照して発明を実施するための形態について説明する。
[第1実施形態]
図1は、本実施形態に係る前照灯1(車両用灯具の一例)の構成の一例を概略的に示す図である。前照灯1は、車両に搭載され、例えばLED(Light−Emitting Diode)である光源10と、光源からの光を投影する投影面21を有するミラーデバイス20と、ミラーデバイス20の投影面21で反射された光源10からの光を車両前方に照射する投影レンズ30を含む。前照灯1は、車両前端の左側に配置される前照灯1Lと、車両前端の右側に配置される前照灯1Rを含む。
なお、本実施形態において、前照灯1R,1Lの構成は、同一であり、前照灯1R,1Lの双方から車両前方に照射される配光パターン(車両前方の仮想的な鉛直投影面に形成される照射領域のパターン)も同一であるため、特に断らない限り、左右の区別をせず、前照灯1についての説明を行う。また、以下の説明において、「前」、「後」、「左」、「右」、「上」、及び「下」の方向は、前照灯1が搭載される車両における前、後、左、右、上、及び下を意味する。
前照灯1は、光源10からミラーデバイス20の投影面21に光を照射することで、投影面21を構成する反射素子23(図2参照)が、光源10からの光を投影レンズ30に反射させ、投影レンズ30を通して、外部(車両前方)に出射させる。
なお、図1に示すように、投影レンズ30は、投影面21の反射素子23で反射された光の上下左右を反転させて前方に出射する。
図2は、本実施形態に係るミラーデバイス20の構成の一例を示す図である。具体的には、前照灯1R,1Lのそれぞれに含まれるミラーデバイス20を車両前方から見た概略的な正面図である。
ミラーデバイス20の投影面21は、基板22上にマトリクス状に配列された複数の反射素子23により構成される。本実施形態では、縦10×横10の合計100個の反射素子23により投影面21が構成される具体例について説明する。
なお、ミラーデバイス20に含まれる反射素子23の個数は、任意であってよく、実装上、数万個から数百万個に設定される場合が多い。
反射素子23は、所定軸回りで回転可能に支持される。反射素子23は、電圧の印加により駆動する公知の駆動部(不図示)を含み、駆動部の作用により、電圧が印加される状態と印加されない状態とで、かかる所定軸回りに2態様の姿勢(反射角度)で静止することができる。これにより、光源10から照射される光を投影レンズ30に出射させる反射角度と、光源10から照射される光を投影レンズ30に出射させない反射角度の2態様で反射素子23を静止させることができるようになるため、各反射素子23の反射角度を個別に切り替えることにより、投影レンズ30から車両前方に出射する光束を自在に変更することができる。以下、各反射素子23に対して、縦10×横10のマトリクスにおける上から第1列目、第2列目、...、第10列目の順に、各列の左から右へ向けて、23−1、23−2、23−3、...、23−98、23−99、23−100の順で符号を付して区別する。
なお、以下では、全ての反射素子23が、光源10から照射される光を投影レンズ30に出射させる状態(ノミナル状態)であることを前提に説明を行う。
反射素子23−i(i=1,2,...,100)は、投影面21における配置位置に応じて、反射率が異なる。
図2に示すように、投影面21は、中央領域211、中間領域212、外端領域213を含む。中央領域211は、縦8×横8の反射素子23−i(i=23〜28,33〜38,43〜48,53〜58,63〜68,73〜78)のマトリクス部分に相当する領域である。また、中間領域212は、中央領域211の外周に位置する1列分の反射素子23−i(i=12〜19,22,29,32,39,42,49,52,59,62,69,72,79,82〜89)に相当する領域である。また、外端領域213は、投影面21の端部に位置する1列分の反射素子23−i(i=1〜11,20,21,30,31,40,41,50,51,60,61,70,71,80,81,90〜100)に相当する領域である。以下、中央領域211に位置する反射素子23−i(i=23〜28,33〜38,43〜48,53〜58,63〜68,73〜78)のうち、任意の何れかを反射素子23−pと称する。また、中間領域212に位置する反射素子23−i(i=12〜19,22,29,32,39,42,49,52,59,62,69,72,79,82〜89)のうち、任意の何れかを反射素子23−qと称する。また、外端領域213に位置する反射素子23−i(i=1〜11,20,21,30,31,40,41,50,51,60,61,70,71,80,81,90〜100)のうち、任意の何れかを反射素子23−rと称する。
反射素子23−p,23−q,23−rのうち、中央領域211に位置する反射素子23−pの反射率が最も高く、その次に、中間領域212に位置する反射素子23−qの反射率が高く、外端領域213に位置する反射素子23−rの反射率が最も低い。即ち、反射素子23−iの反射率は、投影面21の中央部から外端部に向かうにつれて、低くなる。以下、図3〜図5を参照して、反射素子23−p,23−q,23−rの反射率を異ならせる具体的な手法について説明する。
図3は、各反射素子23−iの構成の一例を示す図である。具体的には、図3(a)は、反射素子23−pの構成の一例を表し、図3(b)は、反射素子23−qの構成の一例を表し、図3(c)は、反射素子23−rの構成の一例を表す。
図3(a)に示すように、反射素子23−pは、光源10からの光が照射される略正方形の表面(以下、単に表面と称する)の全てが反射コーティングされている(図中の梨地部分)。
また、図3(b)に示すように、反射素子23−qは、表面のうち、外周の各辺から所定距離L1の部分(外周部分)に反射コーティングがなされず(図中の白地部分)、かかる外周部分を除く中央部のみ反射コーティングがなされている(図中の梨地部分)。
また、図3(c)に示すように、反射素子23−rは、表面のうち、反射素子23−qよりも更に広い、外周の各辺から所定距離L2(>L1)の部分(外周部分)に反射コーティングがなされず(図中の白地部分)、かかる外周部を除く中央部のみ反射コーティングがなされている(図中の梨地部分)。
即ち、反射素子23−pの表面における反射コーティング面積が最も広く、その次に、反射素子23−qの表面における反射コーティング面積が広く、反射素子23−rの表面における反射コーティング面積が最も狭い。これにより、反射素子23−pの反射率を最も高くし、反射素子23−q,23−rの順で、その反射率を小さくしていくことができる。
なお、反射素子23−p,23−q,23−rの反射コーティングの材料は、全て同一であり、例えば、銀、アルミ、ロジウム等である。
続いて、図4は、各反射素子23−iの構成の他の例を示す図である。具体的には、図4(a)は、反射素子23−pの構成の他の例を表し、図4(b)は、反射素子23−qの構成の他の例を表し、図4(c)は、反射素子23−rの構成の他の例を表す。
本例では、図3に示す例と同様、反射コーティングの面積を異ならせることにより、反射素子23−p,23−q,23−rの反射率を異ならせる。
図4(a)に示すように、反射素子23−pは、図3(a)と同様、表面の全てが反射コーティングされている(図中の梨地部分)。
また、図4(b)に示すように、反射素子23−qは、図3(b)と同様、表面の一部が反射コーティングされるが、反射コーティング部分(図中の梨地部分)が分散している。具体的には、略正方形の反射コーティング部分が、反射素子23−qの表面に縦5×横5のマトリクス状に等間隔で配置されている。
なお、図4(b)における分散された反射コーティング部分の合計面積は、図3(b)に示す反射素子23−qにおける反射コーティング部分の面積と略同一である。
また、図4(c)に示すように、反射素子23−rは、図3(c)と同様、表面の一部が反射コーティングされるが、図4(b)と同様、反射コーティング部分(図中の梨地部分)が分散している。具体的には、反射素子23−qよりも小さい略正方形の反射コーティング部分が、反射素子23−rの表面に縦5×横5のマトリクス状に等間隔で配置されている。
なお、図4(c)における分散された反射コーティング部分の合計面積は、図3(c)における反射コーティング部分の面積と略同一である。
このように、反射コーティング面積を異ならせる場合、反射コーティング部分は、反射素子23−q,23−rの表面で分散して設けられてもよい。これにより、図3(a)〜(c)に示す例と同様、反射素子23−pの反射率を最も高くし、反射素子23−q、23−rの順で、その反射率を小さくしていくことができる。
続いて、図5は、各反射素子23−iの構成の更に他の例を示す図である。具体的には、図5(a)は、反射素子23−pの構成の更に他の例を表し、図5(b)は、反射素子23−qの構成の更に他の例を表し、図5(c)は、反射素子23−rの構成の更に他の例を表す。
本例では、図3、図4に示す例と異なり、反射素子23−p,23−q,23−rの表面は全て反射コーティングされる。その代りに、反射素子23−p,23−q,23−rの間で、反射コーティングの材料を異ならせる。
図5(a)に示すように、反射素子23−pの表面は、全て反射コーティングされる(図中の白地部分)。反射素子23−pにおける反射コーティングの材料としては、反射率が比較的高い、例えば銀等が採用される。
また、図5(b)に示すように、反射素子23−qの表面は、全て反射コーティングされる(図中の梨地部分)。反射素子23−qにおける反射コーティングの材料としては、銀よりも反射率が低い、例えばアルミ等が採用される。
また、図5(c)に示すように、反射素子23−rの表面は、全て反射コーティングされる(図中の斜線部分)。反射素子23−rにおける反射コーティングの材料としては、銀やアルミよりも反射率が低い、例えばロジウム等が採用される。
このように、反射素子23−p、23−q、23−rの反射コーティングの材料を異ならせることによっても、反射素子23−pの反射率を最も高くし、反射素子23−q,23−rの順で、その反射率を小さくしていくことができる。
図6は、車両前方の鉛直投影面に照射された前照灯1(1R,1L)の配光パターン40の一例を表す図である。
ミラーデバイス20の投影面21を構成する各反射素子23−iから反射された光は、投影レンズ30を通じて、上下左右反転された上で車両前方の鉛直投影面に照射される。そのため、図6に示すように、鉛直投影面に形成される配光パターン40は、投影面21の中央領域211、中間領域212、外端領域213に対応して、照度が異なる照射領域41(図中の白地部分),照射領域42(図中の梨地部分),照射領域43(図中の斜線部分)により構成される。
即ち、配光パターン40のうち、中央部に位置する照射領域41は、反射率が比較的高い反射素子23−pで反射された光が照射されるため、照度が比較的高くなる。また、中央部の外周に位置する照射領域42は、反射素子23−pより反射率が低い反射素子23−qで反射された光が照射されるため、照射領域41より照度が低くなる。また、配光パターンの外端部(配光パターン40のカットライン近傍)に位置する照射領域43は、反射素子23−qより反射率が更に低い反射素子23−rで反射された光が照射されるため、照射領域42よりも更に照度が低くなる。
このように、本実施形態では、中央部に位置する照射領域41から、外側に向けて、照射領域42,43の順で照度が低くなるように、配光パターン40を生成することができる。即ち、配光パターン40のカットライン近傍である外端部の領域(照射領域42,43)の照度を、中央部(照射領域41)の照度より低くして、配光パターン40における明部と暗部の境界線(カットライン)を目立たないようにすることができる。また、照射領域41,42,43の順で、段階的に照度を低下させるため、カットラインを更に目立たないようにすることができる。また、本実施形態では、反射素子23−p,23−q,23−rの間で、予め反射率を異ならせるように構成するため、従来技術のように、一部の反射素子23の駆動部における負担を増加させるようなこともない。即ち、ミラーデバイスにおける反射素子の駆動部への負担を増加させることなく、カットラインを目立ちにくくすることができる。
[第2実施形態]
次いで、第2実施形態について、説明する。
第1実施形態では、前照灯1R,1Lの配光パターンが同一である前提のため、ミラーデバイス20における投影面21の端部(略正方形の投影面21の4辺)は、全て、車両前方に照射される配光パターン40のカットラインに対応する。即ち、投影面21を構成する反射素子23−iのうち、投影面21の端部に位置する反射素子23−rから反射される光によりカットラインが形成される。一方、前照灯の構成によっては、ミラーデバイスにおける投影面の端部のうちの一部のみがカットラインに対応する場合も有り得る。以下、本実施形態では、かかる場合について説明する。
まず、図7、図8を参照して、本実施形態に係る前照灯の構成の一例について説明する。
図7は、本実施形態に係る前照灯1A(1AR、1AL)に含まれるミラーデバイス20A(20Aa,20Ab)の構成の一例を示す図である。具体的には、車両右側の前照灯1AR、及び車両左側の前照灯1ALのそれぞれに含まれるミラーデバイス20Aa,20Abを車両前方から見た概略的な正面図である。図8は、車両前方の鉛直投影面に照射された前照灯1A(1AR,1AL)の配光パターン50の一例を表す図である。
図7に示すように、前照灯1ARに含まれるミラーデバイス20A(20Aa)の投影面21A(21Aa)は、第1実施形態と同様、中央領域211Aa、中間領域212Aa、外端領域213Aaを含む。そして、中央領域211Aaに配置される反射素子23A(23Aa)は、反射率が最も高く、中間領域212Aaに配置される反射素子23Aaは、その次に反射率が高く、外端領域213Aaに配置される反射素子23Aaは、最も反射率が低い。同様に、前照灯1ALに含まれるミラーデバイス20A(20Ab)の投影面21A(21Ab)は、第1実施形態と同様、中央領域211Ab、中間領域212Ab、外端領域213Abを含む。そして、中央領域211Abに配置される反射素子23A(23Ab)は、反射率が最も高く、中間領域212Abに配置される反射素子23Abは、その次に反射率が高く、外端領域213Abに配置される反射素子23Abは、最も反射率が低い。
図8に示すように、前照灯1Aは、車両右側の前照灯1ARと車両左側の前照灯1ALのそれぞれが、異なる配光パターンを生成することで、第1実施形態(図7の配光パターン40)と同様の配光パターン50を生成する。配光パターン50は、第1実施形態(配光パターン40)と同様、中央部に位置する照射領域51(図中の白地部分)、中央部の外周に位置する照射領域52(図中の梨地部分)、外端部(配光パターン50のカットライン近傍)に位置する照射領域53(図中の斜線部分)により構成される。照射領域51、照射領域52、及び照射領域53は、第1実施形態と同様、中央領域211Aa,211Ab、中間領域212Aa,212Ab、及び外端領域213Aa,213Abに対応する。即ち、配光パターン50は、照射領域51,52,53の順で照度が低くなるため、第1実施形態と同様の作用・効果を奏する。
前照灯1ARは、配光パターン50のうち、右側半分に相当する配光パターン50a(照射領域51a,52a,53a)を生成し、前照灯1ALは、左側半分に相当する配光パターン50b(照射領域51b,52b,53b)を生成する。即ち、配光パターン50aの左端部(略方形の配光パターン50aの左側の1辺)、及び配光パターン50bの右端部(略方形の配光パターン50bの右側の1辺)は、配光パターン50におけるカットラインを形成しない。
そのため、ミラーデバイス20Aaは、投影面21Aaの外端部(略正方形の投影面21Aaの4辺)のうち、配光パターン50aの左端部に対応する右端部(右側の1辺)において、反射素子23Aaの反射率を異ならせる(反射率を低くする)構成を有さない。同様に、ミラーデバイス20Abは、投影面21Abの外端部(略正方形の投影面21Abの4辺)のうち、配光パターン50bの右端部に対応する左端部(左側の1辺)において、反射素子23Abの反射率を異ならせる(反射率を低くする)構成を有さない。即ち、ミラーデバイス20Aは、投影面21Aの外端部(略正方形の投影面21Aの4辺)のうち、配光パターン50におけるカットラインに対応する端部に位置する反射素子23Aだけ、中央部に位置する反射素子23Aより反射率が低い構成を有する。
次に、図9、図10を参照して、本実施形態に係る前照灯の構成の他の例について説明する。
図9は、本実施形態に係る前照灯1B(1BR、1BL)に含まれるミラーデバイス20B(20Ba,20Bb,20Bc,20Bd)の構成の一例を示す図である。具体的には、車両右側の前照灯1BR、及び車両左側の前照灯1BLのそれぞれに含まれるミラーデバイス20Bを車両前方から見た概略的な正面図である。図10は、車両前方の鉛直投影面に照射された前照灯1B(1BR,1BL)の配光パターン60の一例を表す図である。
図9に示すように、前照灯1BRは、上下方向に並べて配置されるミラーデバイス20Ba,20Bbを含む。ミラーデバイス20Baの投影面21B(21Ba)は、第1実施形態と同様、中央領域211Ba、中間領域212Ba、外端領域213Baを含む。そして、中央領域211Baに配置される反射素子23B(23Ba)は、反射率が最も高く、中間領域212Baに配置される反射素子23Baは、その次に反射率が高く、外端領域213Baに配置される反射素子23Baは、最も反射率が低い。同様に、ミラーデバイス20Bbの投影面21B(21Bb)は、第1実施形態と同様、中央領域211Bb、中間領域212Bb、外端領域213Bbを含む。そして、中央領域211Bbに配置される反射素子23B(23Bb)は、反射率が最も高く、中間領域212Bbに配置される反射素子23Bbは、その次に反射率が高く、外端領域213Bbに配置される反射素子23Bbは、最も反射率が低い。
また、図9に示すように、前照灯1BLは、上下方向に並べて配置されるミラーデバイス20Bc,20Bdを含む。ミラーデバイス20Bcの投影面21B(21Bc)は、第1実施形態と同様、中央領域211Bc、中間領域212Bc、外端領域213Bcを含む。そして、中央領域211Bcに配置される反射素子23B(23Bc)は、反射率が最も高く、中間領域212Bcに配置される反射素子23Bcは、その次に反射率が高く、外端領域213Bcに配置される反射素子23Bcは、最も反射率が低い。同様に、ミラーデバイス20Bdの投影面21B(21Bd)は、第1実施形態と同様、中央領域211Bd、中間領域212Bd、外端領域213Bdを含む。そして、中央領域211Bdに配置される反射素子23B(23Bd)は、反射率が最も高く、中間領域212Bdに配置される反射素子23Bdは、その次に反射率が高く、外端領域213Bdに配置される反射素子23Bdは、最も反射率が低い。
図10に示すように、前照灯1BRのミラーデバイス20Ba,20Bb、及び前照灯1BLのミラーデバイス20Bc,20Bdは、それぞれ、異なる配光パターンを生成することで、第1実施形態と同様の配光パターン60を生成する。配光パターン60は、第1実施形態(配光パターン40)と同様、中央部に位置する照射領域61(図中の白地部分)、中央部の外周に位置する照射領域62(図中の梨地部分)、外端部(配光パターン60のカットライン近傍)に位置する照射領域63(図中の斜線部分)により構成される。照射領域61、照射領域62、及び照射領域63は、第1実施形態と同様、中央領域211Ba,211Bb,211Bc,211Bd、中間領域212Ba,212Bb,212Bc,212d、及び外端領域213Ba,213Bb,213Bc,213Bdに対応する。即ち、配光パターン60は、照射領域61,62,63の順で照度が低くなるため、第1実施形態と同様の作用・効果を奏する。
ミラーデバイス20Baは、配光パターン60のうち、右上部分に相当する配光パターン60a(照射領域61a,62a,63a)を生成し、ミラーデバイス20Bbは、右下部分に相当する配光パターン60b(照射領域61b,62b,63b)を生成する。また、ミラーデバイス20Bcは、配光パターン60のうち、左上部分に相当する配光パターン60c(照射領域61c,62c,63c)を生成し、ミラーデバイス20Bdは、左下部分に相当する配光パターン60d(照射領域61d,62d,63d)を生成する。即ち、配光パターン60aの左端部並びに下端部(略方形の配光パターン60aの左側並びに下側の2辺)、及び配光パターン60bの左端部並びに上端部(略方形の配光パターン60bの左側並びに上側の2辺)は、配光パターン60におけるカットラインを形成しない。また、配光パターン60cの右端部並びに下端部(略方形の配光パターン60cの右側並びに下側の2辺)、及び配光パターン60dの右端部並びに上端部(略方形の配光パターン60dの右側並びに上側の2辺)は、配光パターン60におけるカットラインの形成しない。
そのため、ミラーデバイス20Baは、投影面21Baの外端部(略正方形の投影面21Baの4辺)のうち、配光パターン60aの左端部及び下端部に対応する、右端部及び上端部(右側及び上側の2辺)において、反射素子23Baの反射率を異ならせる(反射率を低くする)構成を有さない。また、ミラーデバイス20Bbは、投影面21Bbの外端部(略正方形の投影面21Bbの4辺)のうち、配光パターン60bの左端部及び上端部に対応する、右端部及び下端部(右側及び下側の2辺)において、反射素子23Bbの反射率を異ならせる(反射率を低くする)構成を有さない。また、ミラーデバイス20Bcは、投影面21Bcの外端部(略正方形の投影面21Bcの4辺)のうち、配光パターン60cの右端部及び下端部に対応する、左端部及び上端部(左側及び上側の2辺)において、反射素子23Bcの反射率を異ならせる(反射率を低くする)構成を有さない。また、ミラーデバイス20Bdは、投影面21Bdの外端部(略正方形の投影面21Bdの4辺)のうち、配光パターン60dの右端部及び上端部に対応する、左端部及び下端部(左側及び下側の2辺)において、反射素子23Bdの反射率を異ならせる(反射率を低くする)構成を有さない。即ち、ミラーデバイス20Bは、投影面21Bの外端部(略正方形の投影面21Bの4辺)のうち、配光パターン60におけるカットラインに対応する端部に位置する反射素子23Bだけ、中央部に位置する反射素子23Bより反射率が低い構成を有する。
次に、図11、図12を参照して、本実施形態に係る前照灯の構成の更に他の例について説明する。
図11は、本実施形態に係る前照灯1C(1CR、1CL)に含まれるミラーデバイス20C(20Ca,20Cb,20Cc,20Cd,20Ce,20Cf)の構成の一例を示す図である。具体的には、車両右側の前照灯1CR、及び車両左側の前照灯1CLのそれぞれに含まれるミラーデバイス20Cを車両前方から見た概略的な正面図である。図12は、車両前方の鉛直投影面に照射された前照灯1C(1CR,1CL)の配光パターン70の一例を表す図である。
図11に示すように、前照灯1CRは、上下方向に並べて配置されるミラーデバイス20Ca,20Cb,20Ccを含む。ミラーデバイス20Caの投影面21C(21Ca)は、第1実施形態と同様、中央領域211Ca、中間領域212Ca、外端領域213Caを含む。そして、中央領域211Caに配置される反射素子23C(23Ca)は、反射率が最も高く、中間領域212Caに配置される反射素子23Caは、その次に反射率が高く、外端領域213Caに配置される反射素子23Caは、最も反射率が低い。同様に、ミラーデバイス20Cbの投影面21C(21Cb)は、第1実施形態と同様、中央領域211Cb、中間領域212Cb、外端領域213Cbを含む。そして、中央領域211Cbに配置される反射素子23C(23Cb)は、反射率が最も高く、中間領域212Cbに配置される反射素子23Cbは、その次に反射率が高く、外端領域213Cbに配置される反射素子23Cbは、最も反射率が低い。また、同様に、ミラーデバイス20Ccの投影面21C(21Cc)は、第1実施形態と同様、中央領域211Cc、中間領域212Cc、外端領域213Ccを含む。そして、中央領域211Ccに配置される反射素子23C(23Cc)は、反射率が最も高く、中間領域212Ccに配置される反射素子23Ccは、その次に反射率が高く、外端領域213Ccに配置される反射素子23Ccは、最も反射率が低い。
また、図11に示すように、前照灯1CLは、上下方向に並べて配置されるミラーデバイス20Cd,20Ce,20Cfを含む。ミラーデバイス20Cdの投影面21C(21Cd)は、第1実施形態と同様、中央領域211Cd、中間領域212Cd、外端領域213Cdを含む。そして、中央領域211Cdに配置される反射素子23C(23Cd)は、反射率が最も高く、中間領域212Cdに配置される反射素子23Cdは、その次に反射率が高く、外端領域213Cdに配置される反射素子23Cdは、最も反射率が低い。同様に、ミラーデバイス20Ceの投影面21C(21Ce)は、第1実施形態と同様、中央領域211Ce、中間領域212Ce、外端領域213Ceを含む。そして、中央領域211Ceに配置される反射素子23C(23Ce)は、反射率が最も高く、中間領域212Ceに配置される反射素子23Ceは、その次に反射率が高く、外端領域213Ceに配置される反射素子23Ceは、最も反射率が低い。また、同様に、ミラーデバイス20Cfの投影面21C(21Cf)は、第1実施形態と同様、中央領域211Cf、中間領域212Cf、外端領域213Cfを含む。そして、中央領域211Cfに配置される反射素子23C(23Cf)は、反射率が最も高く、中間領域212Cfに配置される反射素子23Cfは、その次に反射率が高く、外端領域213Cfに配置される反射素子23Cfは、最も反射率が低い。
図12に示すように、前照灯1CRのミラーデバイス20Ca,20Cb,20Cc、及び前照灯1CLのミラーデバイス20Cd,20Ce,20Cfは、それぞれ、異なる配光パターンを生成することで、第1実施形態と同様の配光パターン70を生成する。配光パターン70は、第1実施形態(配光パターン40)と同様、中央部に位置する照射領域71(図中の白地部分)、中央部の外周に位置する照射領域72(図中の梨地部分)、外端部(配光パターン70のカットライン近傍)に位置する照射領域73(図中の斜線部分)により構成される。照射領域71、照射領域72、及び照射領域73は、第1実施形態と同様、中央領域211Ca,211Cb,211Cc,211Cd,211Ce,211Cf、中間領域212Ca,212Cb,212Cc,212d,212Ce,212Cf、及び外端領域213Ca,213Cb,213Cc,213Cd,213Ce,213Cfに対応する。即ち、配光パターン70は、照射領域71,72,73の順で照度が低くなるため、第1実施形態と同様の作用・効果を奏する。
配光パターン70のうち、ミラーデバイス20Caは、右上部分に相当する配光パターン70a(照射領域71a,72a,73a)を生成し、ミラーデバイス20Cbは、右中央部分に相当する配光パターン70b(照射領域71b,72b,73b)を生成し、ミラーデバイス20Ccは、右下部分に相当する配光パターン70c(照射領域71c,72c,73c)を生成する。また、配光パターン70のうち、ミラーデバイス20Cdは、左上部分に相当する配光パターン70d(照射領域71d,72d,73d)を生成し、ミラーデバイス20Ceは、左中央部分に相当する配光パターン70e(照射領域71e,72e,73e)を生成し、ミラーデバイス20Cfは、左下部分に相当する配光パターン70f(照射領域71f,72f,73f)を生成する。
即ち、配光パターン70aの左端部並びに下端部(略方形の配光パターン70aの左側及び下側の2辺)、配光パターン70bの左端部、上端部並びに下端部(略方形の配光パターン70bの左側、上側並びに下側の3辺)、及び配光パターン70cの左端部並びに上端部(略方形の配光パターン70cの左側並びに上側の2辺)は、配光パターン70におけるカットラインを形成しない。また、配光パターン70dの右端部並びに下端部(略方形の配光パターン70dの右側並びに下側の2辺))、配光パターン70eの右端部、上端部並びに下端部(略方形の配光パターン70eの右側、上側並びに下側の3辺)、及び配光パターン70fの右端部並びに上端部(略方形の配光パターン70fの右側並びに上側の2辺)は、配光パターン70におけるカットラインの形成しない。
そのため、ミラーデバイス20Caは、投影面21Caの外端部(略正方形の投影面21Caの4辺)のうち、配光パターン70aの左端部及び下端部に対応する、右端部及び上端部(右側及び上側の2辺)において、反射素子23Caの反射率を異ならせる(反射率を低くする)構成を有さない。また、ミラーデバイス20Cbは、投影面21Cbの外端部(略正方形の投影面21Cbの4辺)のうち、配光パターン70bの左端部、上端部及び下端部に対応する、右端部、下端部及び上端部(右側、下側及び上側の3辺)において、反射素子23Cbの反射率を異ならせる(反射率を低くする)構成を有さない。また、ミラーデバイス20Ccは、投影面21Ccの外端部(略正方形の投影面21Ccの4辺)のうち、配光パターン70cの左端部及び上端部に対応する、右端部及び下端部(右側及び下側の2辺)において、反射素子23Ccの反射率を異ならせる(反射率を低くする)構成を有さない。また、ミラーデバイス20Cdは、投影面21Cdの外端部(略正方形の投影面21Cdの4辺)のうち、配光パターン70dの右端部及び下端部に対応する、左端部及び上端部(左側及び上側の2辺)において、反射素子23Cdの反射率を異ならせる(反射率を低くする)構成を有さない。また、ミラーデバイス20Ceは、投影面21Ceの外端部(略正方形の投影面21Ceの4辺)のうち、配光パターン70eの右端部、上端部、及び下端部に対応する、左端部、下端部、及び上端部(左側、下側、及び上側の2辺)において、反射素子23Ceの反射率を異ならせる(反射率を低くする)構成を有さない。また、ミラーデバイス20Cfは、投影面21Cfの外端部(略正方形の投影面21Cfの4辺)のうち、配光パターン70fの右端部及び上端部に対応する、左端部及び下端部(左側及び下側の2辺)において、反射素子23Cfの反射率を異ならせる(反射率を低くする)構成を有さない。即ち、ミラーデバイス20Cは、投影面21Cの外端部(略正方形の投影面21Cの4辺)のうち、配光パターン70におけるカットラインに対応する端部に位置する反射素子23Cだけ、中央部に位置する反射素子23Cより反射率が低い構成を有する。
このように、前照灯のミラーデバイスにおける投影面の端部のうちの一部のみが配光パターンのカットラインに対応する場合、投影面の端部のうち、カットラインに対応する端部に位置する反射素子だけ、投影面の中央部に位置する反射素子より反射率を低くする。
なお、図8、図10、及び図12に示す配光パターンにおいて、各ミラーデバイス20A,20B,及び20Cが生成する配光パターン同士は、重ならない態様であるが、部分的に重なる態様であってもよい。
以上、本発明を実施するための形態について詳述したが、本発明はかかる特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
1,1A,1B,1C 前照灯(車両用灯具)
10 光源
20,20A,20B,20C ミラーデバイス
21,21A,21B,21C 投影面
22 基板
23,23A,23B,23C,23−i,23−p,23−q,23−r 反射素子
30 投影レンズ