JP6481215B2 - クロス角同定方法、クロス角同定装置、及び圧延機 - Google Patents

クロス角同定方法、クロス角同定装置、及び圧延機 Download PDF

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Description

本発明は、金属板材を圧延する圧延機におけるロール間クロス角を同定するクロス角同定方法、クロス角同定装置、及びこれを備えた圧延機に関する。
熱間圧延プロセスにおいて通板トラブルの起因となる現象として、例えば鋼板の蛇行がある。鋼板が蛇行する要因の1つに圧延装置のロール間微小クロス(ロールスキューともいう。)で発生するスラスト力があるが、スラスト力を直接測定することは困難である。そこで、従来からロール間で発生するスラスト力(以下、「ロール間スラスト力」ともいう。)の合計値の反力として検出されるスラスト反力を測定し、あるいは、スラスト力の発生原因となるロール間クロス角を測定し、当該スラスト反力あるいは当該クロス角に基づきロール間スラスト力を同定して、鋼板の蛇行制御を行うことが提案されている。
例えば、特許文献1には、ロール胴長方向のスラスト反力と圧下方向の荷重を測定し、圧下位置零点と圧延機の変形特性のいずれか一方または双方を求め、圧延実行時の圧下位置設定し圧延制御する板圧延方法が開示されている。また、特許文献2には、圧延機の内部に設けられた距離センサを用いて測定されたロール間微小クロス角(ロールスキュー角)に基づきロールに発生するスラスト力を算出し、当該スラスト力に基づき圧下方向の荷重測定値から蛇行起因の差荷重成分を演算して圧下レベリング制御する、蛇行制御方法が開示されている。さらに特許文献3には、駆動側と操作側の荷重差を検出し、検出した荷重差に基づいて駆動側と操作側の圧下位置を独立操作することにより圧延材の蛇行を制御する際に、圧延中のスラストに起因する差荷重を推定することによって、圧延中の差荷重を圧延材の蛇行に起因するものとスラストに起因するものとに分離し、これら分離した差荷重に基づいて駆動側と操作側の圧下位置を操作する圧延機の制御方法が開示されている。
特許第3499107号公報 特開2014−4599号公報 特許第4962334号公報
しかし、上記特許文献1に記載の技術では、補強ロール以外のロールのスラスト反力の測定が必要となるため、スラスト反力を測定する装置がない場合には特許文献1の板圧延方法を実施することはできない。また、上記特許文献2に記載の技術では、渦流式等の距離センサにより測定されたロールの水平方向距離からロールスキュー角を求めている。しかし、ロール胴長部分の偏芯あるいは円筒度等機械加工精度によりロールが水平方向に振動し、また、圧延開始時の咬み込み時の衝撃等により水平方向のチョック位置が変動するため、スラスト力の発生起因となるロールの水平変位を正確に測定することは困難である。また、ロールの摩擦係数は、圧延本数が増えるにつれてロールの粗度が経時的に変化することから、時々刻々変化する。このため、摩擦係数の同定なしにスラスト力の演算をロールスキュー角測定のみから正確に行うことはできない。
さらに、上記特許文献3に記載の技術では、圧延に先立ち、上下ロールが接触しない状態にてロールを駆動しつつベンディング力を付与し、その際に発生する駆動側と作業側の荷重差から求めたスラスト係数あるいはスキュー量からスラストに起因する差荷重を推定している。特許文献3では上下ロールの1つの回転状態での測定値のみからスラスト係数またはスキュー量を同定している。このため、荷重検出装置の零点のずれ、あるいは、ハウジングとロールチョックとの摩擦抵抗の影響が左右で異なる場合、駆動側の測定値と作業側の測定値とに左右非対称な誤差が生じる可能性がある。特に、ベンディング力の負荷のように荷重レベルが小さい場合には、かかる誤差は、スラスト係数あるいはスキュー量の同定において致命的な誤差になり得る。また、特許文献3では、ロール間摩擦係数を与えなければスラスト係数またはスキュー量を同定することができない。さらに、特許文献3では、バックアップロールのスラスト反力はロール軸心位置に作用するとしており、スラスト反力の作用点位置の変化を考慮していない。通常、バックアップロールのチョックは圧下装置等に支持されるため、スラスト反力の作用点位置はロール軸心に位置するとは限らない。このため、駆動側の圧下方向荷重と作業側の圧下方向荷重との荷重差から求めるロール間スラスト力に誤差が生し、当該ロール間スラスト力に基づき算出されるスラスト係数あるいはスキュー量にも誤差が生じる。
そこで、本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的とするところは、ロール間クロス角を精度よく同定することが可能な、新規かつ改良されたクロス角同定方法、クロス角同定装置、及び圧延機を提供することにある。
上記課題を解決するために、本発明のある観点によれば、圧延機のロール間クロス角を同定するクロス角同定方法であって、圧延機は、少なくとも一対の作業ロールと一対の補強ロールとを含む、複数のロールを備える4段以上の圧延機であり、非圧延時に、作業ロールのロールギャップを開状態とした状態で、上側の作業ロールを含む上ロール系のロール間及び下側の作業ロールを含む下ロール系のロール間に荷重を負荷するようにロールベンディング力を負荷するロールベンディング力負荷ステップと、上側の補強ロールまたは下側の補強ロールのうち少なくともいずれか一方の、作業側及び駆動側の圧下支点位置において圧下方向に作用する圧下方向荷重を検出する荷重検出ステップと、検出した作業側の圧下方向荷重と駆動側の圧下方向荷重との荷重差を演算する荷重差演算ステップと、荷重差に基づいて、ロール間クロス角を同定する同定ステップと、を含み、荷重検出ステップでは、作業ロールの正転及び逆転実施して、それぞれの作業ロールの回転状態における作業側及び駆動側の圧下方向荷重を検出する、クロス角同定方法が提供される。
また、上記課題を解決するために、本発明の別の観点によれば、圧延機のロール間クロス角を同定するクロス角同定方法であって、圧延機は、少なくとも一対の作業ロールと一対の補強ロールとを含む、複数のロールを備える4段以上の圧延機であり、非圧延時に、作業ロールのロールギャップを開状態とした状態で、上側の作業ロールを含む上ロール系のロール間及び下側の作業ロールを含む下ロール系のロール間に荷重を負荷するようにロールベンディング力を負荷するロールベンディング力負荷ステップと、上側の補強ロールまたは下側の補強ロールのうち少なくともいずれか一方の、作業側及び駆動側の圧下支点位置において圧下方向に作用する圧下方向荷重を検出する荷重検出ステップと、検出した作業側の圧下方向荷重と駆動側の圧下方向荷重との荷重差を演算する荷重差演算ステップと、荷重差に基づいて、ロール間クロス角を同定する同定ステップと、を含み、荷重検出ステップでは、ロールギャップの開状態において負荷するロールベンディング力を少なくとも2水準以上設定し、作業ロールの正転及び逆転あるいは作業ロールの回転及び停止のいずれか一方を実施して、各水準における作業ロールの回転状態における作業側及び駆動側の圧下方向荷重を検出し、同定ステップでは、ロール間摩擦係数、または、補強ロールのスラスト反力の作用点位置をさらに同定する、クロス角同定方法が提供される
さらに、上記課題を解決するために、本発明の別の観点によれば、圧延機のロール間クロス角を同定するクロス角同定方法であって、圧延機は、少なくとも一対の作業ロールと一対の補強ロールとを含む、複数のロールを備える4段以上の圧延機であり、非圧延時に、作業ロールのロールギャップを開状態とした状態で、上側の作業ロールを含む上ロール系のロール間及び下側の作業ロールを含む下ロール系のロール間に荷重を負荷するようにロールベンディング力を負荷するロールベンディング力負荷ステップと、上側の補強ロールまたは下側の補強ロールのうち少なくともいずれか一方の、作業側及び駆動側の圧下支点位置において圧下方向に作用する圧下方向荷重を検出する荷重検出ステップと、検出した作業側の圧下方向荷重と駆動側の圧下方向荷重との荷重差を演算する荷重差演算ステップと、荷重差に基づいて、ロール間クロス角を同定する同定ステップと、を含み、荷重検出ステップでは、ロールギャップの開状態において負荷するロールベンディング力を少なくとも3水準以上設定し、作業ロールの正転及び逆転あるいは作業ロールの回転及び停止のいずれか一方を実施して、各水準における作業ロールの回転状態における作業側及び駆動側の圧下方向荷重を検出し、同定ステップでは、ロール間摩擦係数、及び、補強ロールのスラスト反力の作用点位置をさらに同定する、クロス角同定方法が提供される
また、上記課題を解決するために、本発明の別の観点によれば、圧延機のロール間クロス角を同定するクロス角同定装置であって、圧延機は、少なくとも一対の作業ロールと一対の補強ロールとを含む、複数のロールを備える4段以上の圧延機であり、クロス角同定装置は、上側の補強ロールまたは下側の補強ロールのうち少なくともいずれか一方の、作業側及び駆動側の圧下支点位置において圧下方向に作用する圧下方向荷重に基づいて、作業側の圧下方向荷重及び駆動側の圧下方向荷重との荷重差を演算する差荷重演算部と、荷重差に基づいて、ロール間クロス角を同定する同定処理部と、を備え、差荷重演算部に入力される作業側の圧下方向荷重及び駆動側の圧下方向荷重は、非圧延時に、作業ロールのロールギャップを開状態とし、かつ、上側の作業ロールを含む上ロール系のロール間及び下側の作業ロールを含む下ロール系のロール間に荷重を負荷するようにロールベンディング力を負荷した状態で、作業ロールの正転及び逆転実施し、それぞれの作業ロールの回転状態において検出された値である、クロス角同定装置が提供される。
また、上記課題を解決するために、本発明の別の観点によれば、圧延機のロール間クロス角を同定するクロス角同定装置であって、圧延機は、少なくとも一対の作業ロールと一対の補強ロールとを含む、複数のロールを備える4段以上の圧延機であり、クロス角同定装置は、上側の補強ロールまたは下側の補強ロールのうち少なくともいずれか一方の、作業側及び駆動側の圧下支点位置において圧下方向に作用する圧下方向荷重に基づいて、作業側の圧下方向荷重及び駆動側の圧下方向荷重との荷重差を演算する差荷重演算部と、荷重差に基づいて、ロール間クロス角を同定する同定処理部と、を備え、差荷重演算部に入力される作業側の圧下方向荷重及び駆動側の圧下方向荷重は、非圧延時に、作業ロールのロールギャップを開状態とし、かつ、上側の作業ロールを含む上ロール系のロール間及び下側の作業ロールを含む下ロール系のロール間に荷重を負荷するようにロールベンディング力を負荷した状態で、作業ロールの正転及び逆転あるいはロールの回転及び停止のいずれか一方を実施し、それぞれの作業ロールの回転状態において検出された値であり、圧下方向荷重は、ロールギャップの開状態において負荷するロールベンディング力を少なくとも2水準以上設定して検出されており、各水準において検出された圧下方向荷重の荷重差に基づいて、ロール間摩擦係数、または、補強ロールのスラスト反力の作用点位置をさらに同定する、クロス角同定装置が提供される
さらに、上記課題を解決するために、本発明の別の観点によれば、圧延機のロール間クロス角を同定するクロス角同定装置であって、圧延機は、少なくとも一対の作業ロールと一対の補強ロールとを含む、複数のロールを備える4段以上の圧延機であり、クロス角同定装置は、上側の補強ロールまたは下側の補強ロールのうち少なくともいずれか一方の、作業側及び駆動側の圧下支点位置において圧下方向に作用する圧下方向荷重に基づいて、作業側の圧下方向荷重及び駆動側の圧下方向荷重との荷重差を演算する差荷重演算部と、荷重差に基づいて、ロール間クロス角を同定する同定処理部と、を備え、差荷重演算部に入力される作業側の圧下方向荷重及び駆動側の圧下方向荷重は、非圧延時に、作業ロールのロールギャップを開状態とし、かつ、上側の作業ロールを含む上ロール系のロール間及び下側の作業ロールを含む下ロール系のロール間に荷重を負荷するようにロールベンディング力を負荷した状態で、作業ロールの正転及び逆転あるいはロールの回転及び停止のいずれか一方を実施し、それぞれの作業ロールの回転状態において検出された値であり、圧下方向荷重は、ロールギャップの開状態において負荷するロールベンディング力を少なくとも3水準以上設定して検出されており、各水準において検出された圧下方向荷重の荷重差に基づいて、ロール間摩擦係数、及び、補強ロールのスラスト反力の作用点位置をさらに同定する、クロス角同定装置が提供される
さらに、上記課題を解決するために、本発明の別の観点によれば、少なくとも一対の作業ロールと一対の補強ロールとを含む、複数のロールを備える4段以上の圧延機であって、作業ロールのロールギャップの開状態において上側の作業ロールを含む上ロール系のロール間及び下側の作業ロールを含む下ロール系のロール間に荷重を負荷するようにロールベンディング力を負荷する負荷装置と、上記のクロス角同定装置と、を備える、圧延機が提供される。
以上説明したように本発明によれば、ロール間クロス角を精度よく同定することで、例えばロール間スラスト力を低減して、被圧延材の蛇行及びキャンバーの発生を抑制することができる。
圧延時において圧延機のロール間に発生するスラスト力及びスラスト反力を説明するための、圧延機の概略側面図及び概略正面図である。 キスロール状態の圧延機においてロール間に発生するスラスト力及びスラスト反力を説明するための、圧延機の概略側面図及び概略正面図を示す。 ロール間クロス角同定時の圧延機の状態の駆動状態の一例を示す概略側面図及び概略正面図であって、ロール正転時の状態を示す。 ロール間クロス角同定時の圧延機の状態の駆動状態の一例を示す概略側面図及び概略正面図であって、ロール逆転時の状態を示す。 図3A及び図3Bの状態の圧延機において、下側のロールを正転させた場合と逆転させた場合とで取得された圧下方向荷重の差を示す説明図である。 ロール間クロス角同定時の圧延機の状態の駆動状態の他の一例を示す概略側面図及び概略正面図である。 図5の状態の圧延機において、下側のロールを停止させた場合と回転させた場合とで取得された圧下方向荷重の差を示す説明図である。 本発明の第1の実施形態に係る圧延機と、当該圧延機を制御するための装置との構成を示す説明図である。 同実施形態に係るロール間クロス角同定処理を示すフローチャートである。 下ロール系へのインクリースベンディング力負荷時に発生するロール間スラスト力を説明する説明図である。 本発明の第2の実施形態に係るロール間クロス角同定処理を示すフローチャートである。 本発明の第3の実施形態に係る同定処理を示すフローチャートである。 6段圧延機の構成を示す概略正面図である。 中間ロールと補強ロールとのロール間クロス角同定時の圧延機の状態の駆動状態の一例を示す概略側面図及び概略正面図であって、中間ロールのベンディング装置を使用し、作業ロールの正転逆転に伴う中間ロール正転逆転による同定時の状態を示す。 中間ロールと補強ロールとのロール間クロス角同定時の圧延機の状態の駆動状態の一例を示す概略側面図及び概略正面図であって、中間ロールのベンディング装置を使用し、全てのロールの停止状態と、作業ロールの回転に伴う中間ロール回転による同定時の状態を示す。 作業ロールと中間ロールとのロール間クロス角同定時の圧延機の状態の駆動状態の一例を示す概略側面図及び概略正面図であって、作業ロールのベンディング装置を使用し、作業ロール正転逆転による同定時の状態を示す。 作業ロールと中間ロールとのロール間クロス角同定時の圧延機の状態の駆動状態の一例を示す概略側面図及び概略正面図であって、作業ロールのベンディング装置を使用し、作業ロール停止回転による同定時の状態を示す。
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
<1.目的>
本発明の実施形態に係るクロス角同定装置について詳細に説明するにあたり、まず、図1〜図7に基づいて、ロール間クロス角を同定する目的を説明する。
本発明は、圧延機による被圧延材の圧延において、ロール間に生じるロール間クロス角を同定し、同定結果に基づいてロール間クロス角を調整することで、ロール間に発生するスラスト力をなくし、蛇行及びキャンバーのない、あるいは蛇行及びキャンバーが極めて軽微な製品を安定して製造することを目的とする。本発明では、一対の作業ロールと、各作業ロールをそれぞれ支持する一対の補強ロールとを少なくとも有する、4段以上の圧延機を対象とする。4段圧延機の場合は、互いに接触する作業ロールと補強ロールとの間にロール間スラスト力が生じないようにするために、ロール間クロス角が同定される。6段圧延機の場合は、互いに接触する作業ロールと中間ロールとの間、及び、中間ロールと補強ロール間にロール間スラスト力が生じないようにするために、ロール間クロス角が同定される。
ロール間スラスト力は、ロールに余分なモーメントを発生させ、非対称なロール変形が起因で圧延を不安定な状態にする一因であり、例えば蛇行あるいはキャンバーを引き起こす。このロール間スラスト力は、例えば4段圧延機の場合、作業ロールと補強ロールとにおいてロール胴長方向にずれが生じることにより発生する。そこで、本発明では、ロール間スラスト力を発生させるロール間クロス角を同定し、ロール間クロス角がゼロとなるようにロール位置を調整して、ロール間スラスト力を発生させないようにする。
ここで、ロール間クロス角は直接測定することが困難である。このため、本発明では、荷重検出装置を用いてロールに対する圧下方向の荷重(以下、「圧下方向荷重」ともいう。)を検出し、圧下方向荷重の変化からロール間クロス角を同定する。ロール間クロス角がゼロでないときには、ロールの作業側の圧下方向荷重と駆動側の圧下方向荷重との差荷重が発生する。したがって、圧下方向荷重の差荷重よりロール間クロス角を同定することができる。この際、作業ロールのロールギャップを開状態にして検出した圧下方向荷重に基づき、ロール間クロス角を同定する。その理由は以下の通りである。
(圧延時の圧下方向荷重の差荷重)
まず、圧延時に発生するスラスト力と圧下方向荷重の差荷重とについて説明すると、圧延中のロール間スラスト力により生じる圧下方向荷重の差荷重は、上ロール系及び下ロール系のうち、ロール間クロス角が生じている側でのみ発生し、ロール間クロス角が発生していない側ではほぼ発生しない。
図1に、被圧延材Sの圧延時において圧延機のロール間に発生するスラスト力及びスラスト反力を説明するための、圧延機の概略側面図及び概略正面図を示す。なお、図1に示すように、以下では、ロール胴長方向の作業側をWS(Work Side)、駆動側をDS(Drive Side)と表す。
図1に示す圧延機は、上作業ロール1及び下作業ロール2とからなる一対の作業ロールと、圧下方向(Z方向)において上作業ロール1を支持する上補強ロール3及び下作業ロール2を支持する下補強ロール4とからなる一対の補強ロールとを有する。圧延機を構成する複数のロールを本発明ではロール群ともいう。図1に示す4段圧延機の場合には、ロール群は、上作業ロール1、下作業ロール2、上補強ロール3及び下補強ロール4の4つのロールからなる。圧延機は、作業ロール間に被圧延材Sを通し圧延することで、被圧延材Sの板厚を所定の厚さにする。圧延機には、圧下方向(Z方向)において、被圧延材Sの上面側に配置された上作業ロール1及び上補強ロール3からなる(すなわち、ロール群の上側の作業ロールを含む上側のロール系である)上ロール系に係る圧下方向荷重を検出する上荷重検出装置9a、9bが設けられている。同様に、圧延機には、被圧延材Sの下面側に配置された下作業ロール2及び下補強ロール4からなる(すなわち、ロール群の下側の作業ロールを含む下側のロール系である)下ロール系に係る圧下方向荷重を検出する下荷重検出装置10a、10bが設けられている。上荷重検出装置9a及び下荷重検出装置10aは、作業側における圧下方向荷重を検出し、上荷重検出装置9b及び下荷重検出装置10bは、駆動側における圧下方向荷重を検出する。
上作業ロール1、下作業ロール2、上補強ロール3及び下補強ロール4は、被圧延材Sの搬送方向に対して直交するように、各ロールの胴長方向を平行にして配置される。しかし、圧下方向に平行な軸(Z軸)まわりにロールが僅かに回転し、上作業ロール1と上補強ロール3、あるいは、下作業ロール2と下補強ロール4に胴長方向のずれが生じると、作業ロールと補強ロールとの間に、ロールの胴長方向に作用するスラスト力が発生する。例えば、図1に示すように、下作業ロール2と下補強ロール4との間に胴長方向のずれが生じ、ロール間クロス角が発生しているとする。このとき、下作業ロール2と下補強ロール4との間にはスラスト力が発生し、その結果、下補強ロール4にモーメントが発生する。当該モーメントにより下作業ロール2と下補強ロール4との間の荷重分布が変化し、ハウジング(図示せず。)側から反力を受けることによって均衡する。この結果、駆動側の下荷重検出装置10bにかかる荷重が、作業側の下荷重検出装置10aにかかる荷重よりも大きくなり、差荷重が生じる。
一方、下ロール系のスラスト力を受けて、下作業ロール2と被圧延材Sとの間にもスラスト力(以下、「ロール‐材料間スラスト力」ともいう。)が作用する。しかし、このロール‐材料間スラスト力は微小なロールクロスによって生じるものであり、例えばクロスミルのように積極的にロール‐材料間にクロス角を設定する場合と異なり、このロール‐材料間スラスト力はロールバイト内での先進域および後進域の存在により緩和される。したがって、下ロール系のロール間クロス角により発生したロール間スラスト力は、上荷重検出装置9a、9bにより検出される上ロール系の圧下方向荷重にはほぼ影響しない。このように、圧延中のロール間スラスト力により生じる圧下方向荷重の差荷重は、上ロール系及び下ロール系のうち、ロール間クロス角が生じている側でのみ発生し、ロール間クロス角が発生していない側ではほぼ発生しない。
(キスロール状態での圧下方向荷重の差荷重)
次に、一対の作業ロールを接触させたキスロール状態において発生するスラスト力と圧下方向荷重の差荷重とについて説明する。キスロール状態では、圧延時と異なり、上ロール系及び下ロール系のうち、ロール間クロス角が生じている側で発生したロール間スラスト力は、上下の作業ロール間を介して、ロール間クロス角が発生していない側へ伝達される。
図2に、キスロール状態の圧延機においてロール間に発生するスラスト力及びスラスト反力を説明するための、圧延機の概略側面図及び概略正面図を示す。例えば、図2に示すように、下作業ロール2と下補強ロール4との間にロール間クロス角が発生しているとする。このとき、下作業ロール2と下補強ロール4との間にはスラスト力が発生し、その結果、下補強ロール4にモーメントが発生する。当該モーメントにより、駆動側の下荷重検出装置10bにかかる荷重が、作業側の下荷重検出装置10aにかかる荷重よりも大きくなり、差荷重が生じる。一方、下作業ロール2と上作業ロール1とは接触しており、下ロール系において発生したロール間スラスト力は、弾性体同士の接触によるものであるため、下作業ロール2と上作業ロール1との間にも作用し、上下の作業ロール間のスラスト力を発生させる。これにより、上作業ロール1にもモーメントが発生し、当該モーメントにより、作業側の上荷重検出装置9aにかかる荷重が、駆動側の上荷重検出装置9bにかかる荷重よりも大きくなり、差荷重が生じる。
このように、キスロール状態では、ロール間クロス角が生じている側で発生したロール間スラスト力は、上下の作業ロール間を介して、ロール間クロス角が発生していない側へ伝達されてしまい、圧延中の挙動とは異なる。このため、キスロール状態では、荷重検出装置の検出結果から、ロール間に生じているロール間クロス角を定量的に特定することは困難である。
(ロールギャップ開状態での圧下方向荷重の差荷重)
以上のように、圧延中及びキスロール状態において、ロール間クロス角を圧下方向荷重の変化から同定することは困難である。そこで、発明者らは、これらとは異なる方法を検討するため、小型圧延機を用いた実験的な検討を行い、以下の新しい知見を見出した。すなわち、本発明では、上述のキスロール状態のようにロール間クロス角が生じている側のロール間スラスト力が他側で検出される圧下方向荷重に影響を与えないようにするため、上ロール系と下ロール系とをそれぞれ独立して同定する。このため、上作業ロール1と下作業ロール2とを離隔し、ロールギャップを開状態として、ロール間クロス角を検出する。これにより、例えば、上ロール系においてロール間クロス角があり、ロール間スラスト力が発生してモーメントが発生した場合にも、上作業ロール1と下作業ロール2とは接触していないので、上ロール系で発生したロール間スラスト力は下ロール系へ伝達されない。したがって、下荷重検出装置により検出される圧下方向荷重は、上ロール系のロール間スラスト力による影響が排除された値となる。
本発明に係るロール間クロス角同定方法の具体例を図3A〜図6に示す。図3Aは、本発明の一具体例を示すロール間クロス角同定時の圧延機の状態の駆動状態を示す概略側面図及び概略正面図であって、ロール正転時の状態を示す。図3Bは、ロール間クロス角同定時の圧延機の状態の駆動状態の一例を示す概略側面図及び概略正面図であって、ロール逆転時の状態を示す。図4は、図3A及び図3Bの状態の圧延機において、下側のロールを正転させた場合と逆転させた場合とで取得された圧下方向荷重の差を示す説明図である。図5は、本発明の他の具体例を示すロール間クロス角同定時の圧延機の状態の駆動状態を示す概略側面図及び概略正面図である。図6は、図5の状態の圧延機において、下側のロールを停止させた場合と回転させた場合とで取得された圧下方向荷重の差を示す説明図である。
(a)ロール正転逆転によるロール間クロス角同定
本発明に係るロール間クロス角同定方法の一例として、作業ロールのロールギャップを開状態として、ロールを正転させた場合と逆転させた場合との圧下方向荷重を検出し、その差荷重に基づきロール間クロス角を同定する方法がある。対象とする作業ロール及び補強ロールにおいて、ロール間クロス角がゼロであれば、駆動側で検出される圧下方向荷重と作業側で検出される圧下方向荷重との差荷重はゼロとなる。一方、ロール間クロス角がゼロでない場合には、ロールにモーメントが発生して、駆動側と作業側とで検出される圧下方向荷重に差が生じる。また、ロール正転時とロール逆転時とでは、ロールに発生するモーメントの向きが反対となるため、駆動側と作業側とで検出される圧下方向荷重の大きさも反対となる。そこで、ロール正転時とロール逆転時との差荷重に基づき、ロール間クロス角を同定する。
例えば図3A及び図3Bに示すように、一対の作業ロール1、2と、これを支持する一対の補強ロール3、4とを有する圧延機において、上作業ロール1と下作業ロール2とを離隔して、作業ロール1、2間のロールギャップを開状態とする。なお、上作業ロール1は、作業側が上作業ロールチョック5a、駆動側が上作業ロールチョック5bにより支持されており、下作業ロール2は、作業側が下作業ロールチョック6a、駆動側が下作業ロールチョック6bにより支持されている。また、上補強ロール3は、作業側が上補強ロールチョック7a、駆動側が上補強ロールチョック7bにより支持されており、下補強ロール4は、作業側が下補強ロールチョック8a、駆動側が下補強ロールチョック8bにより支持されている。上作業ロールチョック5a、5b及び下作業ロールチョック6a、6bには、作業ロール1、2が互いに離隔された状態で、インクリースベンディング装置(図示せず。)によりインクリースベンディング力が付与される。
図3A及び図3Bに示すように、下作業ロール2と下補強ロール4との間にロール間クロス角が発生している状態で各ロールを回転させると、下作業ロール2と下補強ロール4との間にはスラスト力が発生し、下補強ロール4にモーメントが発生する。ここで、本例では、ロールを正転させた場合(図3A)と逆転させた場合(図3B)とにおいて圧下方向荷重を検出する。例えば、ロール正転時及びロール逆転時それぞれにおいて、所定のクロス角変更区間だけ下作業ロールを圧下方向に平行な軸(Z軸)まわりに回転させ、ロール間クロス角を変化させたときの圧下方向荷重を検出した結果を図4に示す。図4は、作業ロール径80mmの小型圧延機において、下作業ロールのロール間クロス角を駆動側の出側に向くように0.1°変更したときのロール正転時とロール逆転時との圧下方向荷重の差荷重の変化を検出した一測定結果である。各作業ロールチョックに負荷するインクリースベンディング力は0.5tonf/chockとした。
その検出結果をみると、ロール正転時に取得された駆動側の圧下方向荷重と作業側の圧下方向荷重との差荷重は、ロール間クロス角変更前と比較して、負の方向に大きくなる。一方、ロール逆転時に取得された駆動側の圧下方向荷重と作業側の圧下方向荷重との差荷重は、ロール間クロス角変更前と比較して、正の方向に大きくなる。このように、ロール正転時とロール逆転時とでは差荷重の現れ方が反対となる。
本発明では、ロール正転時とロール逆転時の差荷重に基づいて、当該差荷重が発生しているときに生じているロール間クロス角を同定する。そして、同定したロール間クロス角がゼロとなるように調整することで、ロール間スラスト力の発生なくし、蛇行及びキャンバーのない、あるいは極めて軽微な製品を安定して製造することが可能となる。なお、図4に示す例ではロール間クロス角の変更前から差荷重が現れている。これは、荷重検出装置の零点等のずれ、あるいは、ハウジング‐チョック間の摩擦抵抗等の影響により、荷重検出装置によって検出される値に左右非対称な誤差が入るためと考えられる。ハウジング‐チョック間の摩擦抵抗に関しては、摩擦抵抗は、圧下位置の開閉方向に対して反対に作用し荷重検出装置の検出結果に影響し、摩擦係数に左右差がある場合には圧下方向荷重の差荷重の誤差となり得る。このような誤差は、特に、ベンディング力の負荷のように荷重レベルが小さいときは、ロール間クロス角の同定において致命的となり得る。本発明に係る方法では、ロール正転時とロール逆転時とを比較してロール間クロス角を同定することで、この外乱の影響を除外することが可能となり、かつ、差荷重の変化量が2倍となるため同定精度が向上することが期待できる。
(b)ロール回転停止とロール回転とによるロール間クロス角同定
本発明に係るロール間クロス角同定方法の他の一例として、作業ロールのロールギャップを開状態として、ロールが停止している場合と回転している場合との圧下方向荷重を検出し、その差荷重に基づきロール間クロス角を同定する方法がある。上述の例では、圧延機はロールを正転及び逆転させることが可能に構成されている必要であるが、本例に示す方法は、圧延機がロールを一方向にのみ回転可能である場合にも適用可能である。
ロールが回転していない場合、すなわちロールが停止している場合では、ロール間にロール胴長方向の速度成分による駆動力が生じていないため、ロール間スラスト力は発生しない。したがって、ロールを停止させた状態で検出した圧下方向荷重の差荷重と、ロールを回転させて検出した圧下方向荷重の差荷重とを比較することで、ロール間スラスト力により発生するロール間クロス角を同定することができる。
例えば図5に示すように、図3A及び図3Bと同様の構成の圧延機において、上作業ロール1と下作業ロール2とを離隔して、作業ロール1、2間のロールギャップを開状態とする。上作業ロールチョック5a、5b及び下作業ロールチョック6a、6bには、作業ロール1、2が互いに離隔された状態で、インクリースベンディング装置(図示せず。)によりインクリースベンディング力が付与される。
下作業ロール2と下補強ロール4との間にロール間クロス角が発生しているとして、下作業ロール2及び下補強ロール4を回転させると、図5に示すように、下作業ロール2と下補強ロール4との間にはスラスト力が発生し、下補強ロール4にモーメントが発生する。当該モーメントにより、駆動側の下荷重検出装置10bにかかる荷重が、作業側の下荷重検出装置10aにかかる荷重よりも大きくなり、差荷重が生じる。一方、ロールを停止させた状態では、下作業ロール2と下補強ロール4との間にロール胴長方向の相対すべりは生じないため、ロール間スラスト力は発生しない。したがって、下荷重検出装置10a、10bでは、ロール間スラスト力の影響を受けない圧下方向荷重が検出される。
図6に、ロール停止時とロール回転時とにおいて、駆動側及び作業側で検出した圧下方向荷重の差荷重の変化を示す。本例では、下作業ロール2と下補強ロール4との間に所定のロール間クロス角を設け、ロールを停止させた状態での圧下方向荷重を検出し、その後ロールを回転させて圧下方向荷重を検出した。図6は、作業ロール径80mmの小型圧延機において、下作業ロールのロール間クロス角を駆動側の出側に向くように0.1°変更したときのロール正転時とロール逆転時との圧下方向荷重の差荷重の変化を検出した一測定結果である。各作業ロールチョックに負荷するインクリースベンディング力は0.5tonf/chockとした。図6に示すように、ロールを回転させたときの差荷重は、ロール停止時の差荷重よりも負の方向に大きくなる。このように、ロール停止時とロール回転時とでは差荷重が相違する。
本発明では、ロール停止時とロール回転時との差荷重に基づいて、ロール間クロス角を同定する。そして、同定したロール間クロス角がゼロとなるように調整することで、ロール間スラスト力の発生なくし、蛇行及びキャンバーのない、あるいは極めて軽微な製品を安定して製造することが可能となる。なお、図6に示す例ではロール停止時に差荷重が現れている。これは、図4と同様、荷重検出装置の零点等のずれ、あるいは、ハウジング‐チョック間の摩擦抵抗等の影響により、荷重検出装置によって検出される値に左右非対称な誤差が入るためと考えられる。このような誤差は、特に、ベンディング力の負荷のように荷重レベルが小さいときは、ロール間クロス角の同定において致命的となり得る。本発明に係る方法では、ロール停止時とロール回転時とを比較してロール間クロス角を同定することで、この外乱の影響を除外することが可能となる。
なお、上記(a)、(b)のいずれの場合にも、作業ロール1、2間にロールギャップを開状態にして圧下方向荷重を検出するため、上ロール系と下ロール系とそれぞれのロール間クロス角を独立して同定することができる。同定処理は、上ロール系、下ロール系について順次実行してもよく、上ロール系と下ロール系とについて同時に実行してもよい。
以上説明したように、本発明によれば、作業ロール間のロールギャップを開状態として、作業ロールと補強ロールとのロール間クロス角を検出する。これにより、一方にロール間クロス角があり、作業ロールと補強ロールとの間にスラスト力が発生してモーメントが発生した場合にも、上作業ロールと下作業ロールとは接触していないため、ロール間スラスト力は他方へは伝達されない。このように、一方で生じたロール間スラスト力による影響を排除した圧下方向荷重に基づき差荷重を算出し、ロール間クロス角を同定することで、より正確にロール間クロス角を同定することができる。そして、同定したロール間クロス角がゼロとなるように調整することで、圧延時のロール間クロス角によるロール間スラスト力の発生なくすことができ、蛇行及びキャンバーのない、あるいは極めて軽微な製品を安定して製造することが可能となる。以下、上記(a)、(b)のケースに関する本発明の実施形態を説明する。
<2.第1の実施形態>
図7〜図9に基づいて、本発明の第1の実施形態に係る圧延機及び当該圧延機を制御するための装置の構成と、ロール間クロス角同定方法について説明する。第1の実施形態は、上記(a)に示した、ロール正転逆転によるロール間クロス角の同定方法に関するものである。
[2−1.圧延機の構成]
まず、図7に基づいて、本実施形態に係る圧延機と、当該圧延機を制御するための装置とを説明する。図7は、本実施形態に係る圧延機と、当該圧延機を制御するための装置との構成を示す説明図である。なお、図7に示す圧延機は、ロール胴長方向の作業側から見た状態を示しているとする。
図7に示す圧延機は、一対の作業ロール1、2と、これを支持する一対の補強ロール3、4とを有する4段の圧延機である。上作業ロール1は上作業ロールチョック5により支持されており、下作業ロール2は下作業ロールチョック6により支持されている。なお、上作業ロールチョック5及び下作業ロールチョック6は、図7紙面奥側(駆動側)にも同様に設けられており、それぞれ上作業ロール1、下作業ロール2を支持している。上作業ロール1及び下作業ロール2は、駆動用電動機16により回転駆動される。また、上補強ロール3は上補強ロールチョック7により支持されており、下補強ロール4は下補強ロールチョック8により支持されている。上補強ロールチョック7及び下補強ロールチョック8も、図7紙面奥側(駆動側)にも同様に設けられており、それぞれ上補強ロール3、下補強ロール5を支持している。上作業ロールチョック5、下作業ロールチョック6、上補強ロールチョック7、及び下補強ロールチョック8は、ハウジング11により保持されている。
圧下方向において、上補強ロールチョック7とハウジング11との間の圧下支点位置30aには、上圧下方向荷重検出装置9及び圧下装置18が設けられ、下補強ロールチョック8とハウジング11との間の圧下支点位置30bには、下圧下方向荷重検出装置10が設けられている。上圧下方向荷重検出装置9及び下圧下方向荷重検出装置10は、図7紙面奥側(駆動側)にも同様に設けられている。また、上作業ロールチョック5とハウジング11との間のプロジェクトブロックには、入側上インクリースベンディング装置13a及び出側上インクリースベンディング装置13bが設けられており、下作業ロールチョック6とハウジング11との間には、入側下インクリースベンディング装置14a及び出側下インクリースベンディング装置14bが設けられている。入側上インクリースベンディング装置13a、出側上インクリースベンディング装置13b、入側下インクリースベンディング装置14a、及び出側下インクリースベンディング装置14bは、図7紙面奥側(駆動側)にも同様に設けられている。
各インクリースベンディング装置は、作業ロールと補強ロールとの間の接触荷重を上げるためのインクリースベンディング力を作業ロールチョックに付与する。また、圧延機は、作業ロールと補強ロールとの間の接触荷重を下げるためのディクリースベンディング力を作業ロールチョックに付与するディクリースベンディング装置23a、23b、24a、24bを備えていてもよい。
圧延機は、圧延機を制御するための装置として、例えば図7に示すように、インクリースベンディング制御装置15と、駆動用電動機制御装置17と、ロール間クロス角同定装置21とを有する。
インクリースベンディング制御装置15は、入側上インクリースベンディング装置13a、出側上インクリースベンディング装置13b、入側下インクリースベンディング装置14a、及び出側下インクリースベンディング装置14bを制御する装置である。本実施形態に係るインクリースベンディング制御装置15は、後述するロール間クロス角同定装置21からの指示に基づき、作業ロールチョックに対してインクリースベンディング力を与えるように、インクリースベンディング装置を制御する。なお、インクリースベンディング制御装置15は、本実施形態に係るロール間クロス角同定処理を実行する場合以外においても、例えば被圧延材のクラウン制御あるいは形状制御を行う際にも、インクリースベンディング装置を制御してもよい。
駆動用電動機制御装置17は、上作業ロール1及び下作業ロール2を回転駆動する駆動用電動機16を制御する。本実施形態に係る駆動用電動機制御装置17は、後述するロール間クロス角同定装置21からの指示に基づき、上作業ロール1及び下作業ロール2の駆動を制御する。具体的には、駆動用電動機制御装置17は、上作業ロール1及び下作業ロール2について、回転状態と停止状態との切替制御、回転方向及び回転速度の回転駆動制御等を行う。なお、駆動用電動機制御装置17は、本実施形態に係るロール間クロス角同定処理を実行する場合以外においても、上作業ロール1及び下作業ロール2を制御してもよい。
ロール間クロス角同定装置21は、非圧延時に、作業側及び駆動側にそれぞれ設けられた上圧下方向荷重検出装置9または下圧下方向荷重検出装置10の検出結果に基づいて、圧下方向荷重を検出した側の作業ロールと補強ロールとの間に存在しているロール間クロス角を同定する。ロール間クロス角同定装置21は、上作業ロール1及び上補強ロールからなる上ロール系と、下作業ロール2及び下補強ロール4からなる下ロール系とについて、それぞれ作業ロールと補強ロールとの間に生じているロール間クロス角を独立して同定する。
ロール間クロス角同定装置21は、同定対象とする側の圧下方向荷重検出装置によって検出された作業側及び駆動側の圧下方向荷重の差荷重を算出する上側差荷重演算部19及び下側差荷重演算部20と、ロール間クロス角を同定する同定処理部22とを有する。圧下方向荷重の取得の際、ロール間クロス角同定装置21は、インクリースベンディング制御装置15に対して、作業ロールと補強ロール間に所定の荷重が作用するように所定のインクリースベンディング力を負荷する指示を行う。また、ロール間クロス角同定装置21は、圧下装置18に対して、ロールギャップを開状態とするために上作業ロール1と下作業ロール2との間隔を調整するよう指示する。さらに、ロール間クロス角同定装置21は、圧下方向荷重を検出するときの作業ロールの駆動状態を駆動用電動機制御装置17に対して指示し、作業ロールの駆動状態を制御させる。例えば、本実施形態においては、作業ロールの正転時と逆転時とに圧下方向荷重を検出するため、ロール間クロス角同定装置21は駆動用電動機制御装置17に対して作業ロールを正転、逆転させる指示を出力する。このロールベンディング力負荷処理は、同定処理部22により行われる。
圧下方向荷重検出装置によって作業側及び駆動側の圧下方向荷重が検出されると、上ロール系については上側差荷重演算部19、下ロール系については下側差荷重演算部20により差荷重が演算される。同定処理部22は、上側差荷重演算部19または下側差荷重演算部20から入力された差荷重に基づき、ロール間クロス角を同定する。ロール間クロス角同定装置21は、ロール間クロス角がゼロでない場合には、同定されたロール間クロス角をゼロとするように、作業ロールチョックまたはハウジング側のシム、ライナー等の調整を行う。あるいは、ロールクロス角調整装置等を有する場合は、同定されたロール間クロス角がゼロとなるように、ロールクロス角調整装置等による角度調整を制御装置に対して指示する。なお、ロール間クロス角同定処理の詳細な説明は後述する。
[2−2.ロール間クロス角同定処理]
図8及び図9に基づき、本実施形態に係るロール間クロス角同定処理を説明する。なお、図8は、本実施形態に係るロール間クロス角同定処理を示すフローチャートである。図9は、下ロール系へのインクリースベンディング力の負荷時に発生するロール間スラスト力を説明する説明図である。なお、以下では、下ロール系のロール間クロス角を同定する場合について説明するが、上ロール系のロール間クロス角を同定する場合も同様である。
(初期設定:S100〜S102)
ロール間クロス角同定処理を行うにあたり、まず、ロール間クロス角同定装置21は、インクリースベンディング制御装置15に対して、インクリースベンディング装置により所定のインクリースベンディング力を作業ロールチョックに負荷するように指示する(S100)。インクリースベンディング制御装置15は、当該指示に基づき各インクリースベンディング装置を制御し、所定のインクリースベンディング力を作業ロールチョックに負荷する。
また、ロール間クロス角同定装置21は、圧下装置18に対して、作業ロール間のロールギャップが開状態となるように、上作業ロール1と下作業ロール2との間隔を調整するよう指示する(S102)。これにより、圧下方向荷重を検出可能な状態となる。なお、ステップS100とステップS102とは、どちらを先に実行してもよい。
(圧下方向荷重取得と差荷重演算:S104〜S114)
次いで、ロール間クロス角を同定するために必要な圧下方向荷重の取得とその差荷重を演算する。本実施形態では、ロール正転時とロール逆転時とにおいて、作業側及び駆動側の圧下方向荷重を検出する。ここで、ロールの回転状態を表す係数nについて、ロール正転時を1、ロール逆転時を2とする。
まず、ロール正転時における圧下方向荷重を検出する。ロール間クロス角同定装置21は、係数nを1とし(S104)、ロール回転条件として作業ロールの回転速度及び回転方向を設定する(S106)。そして、ロール間クロス角同定装置21は、駆動用電動機制御装置17に対して、設定した作業ロールの回転速度及び回転方向を出力し、このロール回転条件で作業ロールを回転させる(S108)。作業ロールが回転されると、荷重検出装置により同定対象であるロール系の作業側及び駆動側の圧下方向荷重を検出し、差荷重演算部によってその差荷重を演算する(S110)。取得されたロール正転時の差荷重は、ロール間クロス角同定装置21へ入力される。そして、係数nに1が加算される(S112)。
次いで、ロール間クロス角同定装置21は、係数nが2であるか否かを判定する(S114)。係数nが2である場合とは、ロール逆転時における圧下方向荷重を検出する場合である。すなわち、ステップS114では、ロール逆転時の圧下方向荷重を検出する処理を実行するか否かを判定している。係数nが2のとき、ロール間クロス角同定装置21は、ステップS106に戻り、ロール逆転時について、ステップS106〜S110の処理を実行する。なお、かかる処理はロール正転時と同一であるため、説明を省略する。そして、ロール逆転時の差荷重が取得され、ロール間クロス角同定装置21へ入力されると、係数nにさらに1が加算される(S112)。したがって、ロール正転時及びロール逆転時の差荷重が取得されたとき、係数nは3となっている。
そして、ステップS114での係数nの判定において、係数nが2でないと判定されたとき、すなわち、ロール正転時及びロール逆転時の差荷重が取得されたとき、ロール間クロス角同定装置21は、ステップS116の処理を実行する。
(ロール間クロス角同定:S116)
ロール間クロス角同定装置21は、ロール正転時及びロール逆転時の差荷重に基づき、ロール間クロス角を同定する(S116)。以下、図9に基づき、ロール間クロス角の同定について説明する。ここでは、下ロール系のロール間クロス角を同定する場合について説明する。なお、上ロール系のロール間クロス角の同定も同様に行えばよい。
(A)圧下方向荷重の差荷重とロール間スラスト力との関係取得
図9に、下ロール系において作業ロールチョックにインクリースベンディング力を負荷させたときに発生するロール間スラスト力の関係図を示す。下ロール系における作業ロール−補強ロールのロール間スラスト力TWB Bと、圧下方向の荷重差Pdf Bとの関係は、下記式(1)で表せる。ここで、DW Bは下作業ロール直径、DB Bは下補強ロール直径、hB Bは下補強ロールのスラスト反力の作用点位置、aB Bは下ロール系の支点間距離である。下記式(1)は、特許文献1に記載されているように、下記式(1−1)、式(1−2)で表される下作業ロールと下補強ロールのモーメントの平衡条件式より導出される。このとき、上作業ロールと下作業ロールとの間に作用するスラスト力TWW、上作業ロールと下作業ロールとの接触領域のロール胴長方向長さlWW、上下作業ロール間の線荷重分布の作業側と駆動側の差pdf WWは、作業ロール間のロールギャップが開状態となっていることからゼロとなる。そして、未知数である下作業ロールと下補強ロール間の線荷重分の作業側と駆動側の差pdf WB 及び下作業ロールと下補強ロール間との接触領域のロール胴長方向長さlWB を式(1−1)及び式(1−2)から消去することにより、下記式(1)が得られる。
Figure 0006481215
なお、下補強ロールのスラスト反力の作用点位置hB B は、図9に示す通り、下ロール系の補強ロールに作用するスラスト反力を集中荷重と見なした場合の作用点位置であり、鉛直方向において被圧延材から離れる向きを正としたときの、補強ロールの軸心からの距離として定義する。ここでまた、下作業ロールと下補強ロールとの間に作用するスラスト力T と前述のスラスト反力TWB の軸方向の力とは釣り合うので、T =TWB が成り立つ。補強ロールチョックは圧下方向の荷重が作用しているとき圧下装置等(以下、「圧下系」ともいう。)により支持されているので、補強ロールに作用するスラスト反力は、補強ロールの軸心だけでなく圧下系でも支持される可能性が高い。本発明では、垂直方向における、補強ロールに作用するスラスト反力が作用する位置と補強ロールの軸心の位置との距離を、補強ロールのスラスト反力の作用点位置として定義する。これにより、圧下方向の荷重差からロール間スラスト力を精度良く算出することができ、その結果、ロール間クロス角を正確に同定することができる。上ロール系の補強ロールのスラスト反力の作用点位置についても、下ロール系の補強ロールのスラスト反力の作用点位置と同様に定義することができる。
また、一般に、作業ロールと補強ロールとのロール間クロス角によって生じるスラスト力TWBは、下記式(2)で表される。
Figure 0006481215
ここで、Pは作業ロールと補強ロールとの間に作用する圧下方向荷重、μTはスラスト係数である。スラスト係数μTは、荷重に対するロール間スラスト力の発生比率を表す係数で、例えば、上記特許文献2の式(2)に示される通り、作業ロールと補強ロールとの間の相対的なクロス角φ、ロール間摩擦係数μ、ロール間線荷重p、ロールのポアソン比ν、縦弾性係数G、作業ロール径DW、補強ロール径DBの関数として表せる。ここでは、上記式(2)を下記式(3)のように標記することとする。
Figure 0006481215
本実施形態では、上作業ロールと下作業ロールとのロールギャップを開状態とし、インクリースベンディング力を負荷した場合に発生するロール間スラスト力の発生について考えている。したがって、圧下方向荷重Pは、作業ロールチョックあたりに作用するインクリースベンディング力FBの2倍(P=2FB)となる。これより、上記式(2)は下記式(4)で表される。
Figure 0006481215
そして、下ロール系のロール正転時における圧下方向の荷重差をPdf1 B、作業ロールと補強ロールとのロール間クロス角によって生じるロール間スラスト力をTWB1 B、インクリースベンディング力をFB1すると、上記式(1)〜(4)より、下記式(5)で表される圧下方向荷重の差荷重とロール間スラスト力との関係式が得られる。
Figure 0006481215
ここで、p=2FB1/LWB Bであり、LWB Bは下作業ロールと下補強ロールとの間の接触長を示す。式(5)において、Pdf1 B、FB1を測定値、μ、LWB B、ν、G、DW B、DB B、hB Bを既知の値とすると、未知数であるロール間クロス角φを求めることができる。なお、μ、ν、Gについては、上ロール系及び下ロール系で共通として与えているが、作業ロールと補強ロールで特性が異なる場合、あるいは、上下のロール系で特性が異なる場合は、個別に与えてもよい。
(B)ロール間クロス角の同定
本実施形態では、ロール正転時とロール逆転時の差荷重の値を比較し、ロール間クロスを同定する。上記式(5)では、ロール正転時における圧下方向荷重の差荷重とロール間スラスト力との関係を表したが、同様に、ロール逆転時における圧下方向荷重の差荷重とロール間スラスト力との関係式は、下記式(6)のようになる。なお、ロール逆転時における下ロール系の圧下方向の荷重差をPdf2 B、作業ロールと補強ロールとのロール間クロス角によって生じるロール間スラスト力をTWB2 B、インクリースベンディング力をFB2とする。
Figure 0006481215
ここで、ロール回転時とロール逆転時とにおけるインクリースベンディング力が同じ値であるとすると、ロール間スラスト力は、ロール回転時とロール逆転時とで大きさが同じで符号が異なる値となる。これより、下記式(7)が得られる。
Figure 0006481215
そして、上記式(5)、式(6)の差を取り、上記式(7)へ代入すると、下記式(8)が得られる。
Figure 0006481215
以上のように、ロール正転時とロール逆転時とにおける差荷重の値を比較することにより、作業ロールと補強ロールとのロール間クロス角の同定が可能となる。ロール正転時とロール逆転時との差荷重の相対的な変化を利用してロール間クロス角を同定するため、荷重測定値の零点がずれている等の外乱の影響を排除可能であり、また、差荷重の変化も大きくなるため、インクリースベンディング力が小さい場合において有効である。
図8の説明に戻り、ステップS116にて上記演算によりロール間クロス角が同定されると、ロール間クロス角同定装置21は、ロール間クロスの同定結果に基づいて、ロール間クロス角がゼロになるように、作業ロールチョックまたはハウジング側のシム、ライナー等の調整を行う。あるいは、ロールクロス角調整装置等を有する場合は、ロール間クロス角同定装置21は、同定されたロール間クロス角がゼロとなるように、ロールクロス角調整装置等に対して角度調整を実施する指示を出力する。これにより、ロール間クロス角をなくし、ロール間スラスト力による左右非対称変形を排除できる。その結果、蛇行及びキャンバーのない、あるいは蛇行及びキャンバーの極めて軽微な製品を安定して製造することができる。
<3.第2の実施形態>
次に、本発明の第2の実施形態に係るロール間クロス角同定方法について説明する。第2の実施形態は、上記(b)に示した、ロール回転停止時とロール回転時との荷重差を用いたロール間クロス角の同定方法に関するものである。なお、本実施形態に係る圧延機及び当該圧延機を制御するための装置は、図7に示した第1の実施形態の構成と同一であるため、ここでは説明を省略する。
図10に基づき、本実施形態に係るロール間クロス角同定処理を説明する。図10は、本実施形態に係るロール間クロス角同定処理を示すフローチャートである。本実施形態においても、以下では下ロール系のロール間クロス角を同定する場合について説明するが、上ロール系のロール間クロス角を同定する場合も同様である。
(初期設定:S200〜S202)
ロール間クロス角同定処理を行うにあたり、まず、ロール間クロス角同定装置21は、インクリースベンディング制御装置15に対して、インクリースベンディング装置により所定のインクリースベンディング力を作業ロールチョックに負荷するように指示する(S200)。インクリースベンディング制御装置15は、当該指示に基づき各インクリースベンディング装置を制御し、所定のインクリースベンディング力を作業ロールチョックに負荷する。
また、ロール間クロス角同定装置21は、圧下装置18に対して、作業ロール間のロールギャップが開状態となるように、上作業ロール1と下作業ロール2との間隔を調整するよう指示する(S202)。これにより、圧下方向荷重を検出可能な状態となる。なお、ステップS200とステップS202とは、どちらを先に実行してもよい。このように、ステップS200、S202の処理は、第1の実施形態のロール間クロス角同定処理におけるステップS100、102と同様に行われる。
(圧下方向荷重取得と差荷重演算:S204〜S214)
次いで、ロール間クロス角を同定するために必要な圧下方向荷重の取得とその差荷重を演算する。本実施形態では、ロール停止時とロール回転時とにおいて、作業側及び駆動側の圧下方向荷重を検出する。ここで、ロールの回転状態を表す係数nについて、ロール停止時を0、ロール回転時を1とする。
まず、ロール回転時における圧下方向荷重を検出する。ロール間クロス角同定装置21は、係数nを1とし(S204)、ロール回転条件として作業ロールの回転速度を設定する(S206)。そして、ロール間クロス角同定装置21は、駆動用電動機制御装置17に対して、設定した作業ロールの回転速度を出力し、このロール回転条件で作業ロールを回転させる(S208)。作業ロールが回転されると、荷重検出装置により同定対象であるロール系の作業側及び駆動側の圧下方向荷重を検出し、差荷重演算部によってその差荷重が演算される(S210)。取得されたロール回転時の差荷重は、ロール間クロス角同定装置21へ入力される。そして、係数nから1が減じられる(S212)。
次いで、ロール間クロス角同定装置21は、係数nが0であるか否かを判定する(S214)。係数nが0である場合とは、ロール停止時における圧下方向荷重を検出する場合である。すなわち、ステップS214では、ロール停止時の圧下方向荷重を検出する処理を実行するか否かを判定している。係数nが0のとき、ロール間クロス角同定装置21は、ステップS206に戻り、ロール停止時について、ステップS206〜S210の処理を実行する。ロール停止時の圧下方向荷重の検出においては、ステップS206で設定される作業ロールの回転速度はゼロである。したがって、ステップS208において作業ロールは回転されない。このような状態で、ステップS210では作業側と駆動側との圧下方向荷重が検出され、差荷重が演算される。そして、ロール停止時の差荷重が取得され、ロール間クロス角同定装置21へ入力されると、係数nからさらに1が減じられる(S212)。したがって、ロール回転時及びロール停止時の差荷重が取得されたとき、係数nは−1となっている。
そして、ステップS214での係数nの判定において、係数nが0でないと判定されたとき、すなわち、ロール回転時及びロール停止時の差荷重が取得されたとき、ロール間クロス角同定装置21は、ステップS216の処理を実行する。
(ロール間クロス角同定:S216)
ロール間クロス角同定装置21は、ロール回転時及びロール停止時の差荷重に基づき、ロール間クロス角を同定する(S216)。ここで、図9に基づき、ロール間クロス角の同定について説明する。ここでは、下ロール系のロール間クロス角を同定する場合について説明する。なお、上ロール系のロール間クロス角の同定も同様に行えばよい。
本実施形態においても、第1の実施形態と同様、まず、圧下方向荷重の差荷重とロール間スラスト力との関係が取得される。この演算処理は、第1の実施形態の「(A)圧下方向荷重の差荷重とロール間スラスト力との関係取得」で説明した演算処理と同一であるため、ここでは説明を省略する。
ロール回転時の圧下方向荷重の差荷重とロール間スラスト力との関係は、上記式(5)で表された圧下方向荷重の差荷重とロール間スラスト力との関係により表される。一方、ロール停止時においては、ロール間クロス角が存在したしてもロール間スラスト力は発生しない。これより、下記式(9)の関係が成り立つ。
Figure 0006481215
そして、ロール停止時とロール回転時とにおけるインクリースベンディング力が同じ値であるとすると、ロール停止時における圧下方向荷重の差荷重とロール間スラスト力との関係式は、上記式(1)、式(5)、式(9)より、下記式(10)のようになる。なお、下ロール系のロール停止時における圧下方向荷重差をPdf0 B、作業ロールと補強ロールとのロール間クロス角によって生じるロール間スラスト力をTWB0 B、インクリースベンディング力をFB0とする。
Figure 0006481215
以上のように、ロール停止時とロール回転時とにおける差荷重の値を比較することにより、作業ロールと補強ロールとのロール間クロス角の同定が可能となる。ロール停止時とロール回転時との差荷重の相対的な変化を利用してロール間クロス角を同定するため、荷重測定値の零点がずれている等の外乱の影響を排除することができる。また、第1の実施形態と比較して、作業ロール回転方向を変更した測定が不要となるため、同定作業の短縮が可能となる。なお、上記説明においては、ロール回転時にロールは正転しているものとして説明したが、ロール回転時にロールが逆転している場合であっても同様の効果が得られることは言うまでもない。
図10の説明に戻り、ステップS216にて上記演算によりロール間クロス角が同定されると、ロール間クロス角同定装置21は、ロール間クロスの同定結果に基づいて、ロール間クロス角がゼロになるように、作業ロールチョックまたはハウジング側のシム、ライナー等の調整を行う。あるいは、ロールクロス角調整装置等を有する場合は、ロール間クロス角同定装置21は、同定されたロール間クロス角がゼロとなるように、ロールクロス角調整装置等に対して角度調整を実施する指示を出力する。これにより、ロール間クロス角をなくし、ロール間スラスト力による左右非対称変形を排除できる。その結果、蛇行及びキャンバーのない、あるいは蛇行及びキャンバーの極めて軽微な製品を安定して製造することができる。
<4.第3の実施形態>
次に、本発明の第3の実施形態に係るロール間クロス角同定方法について説明する。本実施形態は、ロール間クロス角に加え、さらにロール間摩擦係数、補強ロールのスラスト反力の作用点位置の同定も可能な方法に関するものである。本実施形態においても、第1及び第2の実施形態と同様、作業ロール間のロールギャップを開状態にして、作業ロールチョックにインクリースベンディング力を負荷した状態で、2つのロールの回転状態(例えば正転と逆転、あるいは回転と停止)における圧下方向荷重の差荷重を取得する。このとき、インクリースベンディング力を変化させ、複数水準での圧下方向荷重の差荷重を取得する。これにより、ロール間クロス角だけでなく、他の未知数も同定することが可能となる。
図11に基づき、本実施形態に係る同定処理を説明する。図11は、本実施形態に係る同定処理を示すフローチャートである。なお、本実施形態に係る圧延機及び当該圧延機を制御するための装置は、図7に示した第1の実施形態の構成と同一であるため、ここでは説明を省略する。本実施形態では、下ロール系のロール間クロス角、ロール間摩擦係数、及び補強ロールのスラスト反力の作用点位置を同定する場合について説明するが、下ロール系に関して同定する場合も同様である。また、本実施形態において、圧下方向荷重の検出は、第1の実施形態と同様、ロール正転時とロール逆転時とにおいて行うが、本発明はかかる例に限定されず、第2の実施形態のように、ロール停止時とロール回転時とにおいて行ってもよい。
(初期設定:S300〜S302)
ロール間クロス角同定処理を行うにあたり、まず、ロール間クロス角同定装置21は、圧下装置18に対して、上作業ロール1と下作業ロール2との間隔を調整するよう指示する(S300)。また、ロール間クロス角同定装置21は、水準の数がM個のインクリースベンディング力を設定し、インクリースベンディング制御装置15へ出力する(S302)。インクリースベンディング力の水準の数は、同定する値の数に応じて設定される。例えば、ロール間クロス角とロール間摩擦係数とを同定する場合、Mは2となり、ロール間クロス角、ロール間摩擦係数、及び補強ロールのスラスト反力の作用点位置を同定する場合、Mは3となる。
(圧下方向荷重取得と差荷重演算:S304〜S322)
次いで、ロール間クロス角を同定するために必要な圧下方向荷重の取得とその差荷重を演算する。本実施形態では、作業ロールチョックに負荷するインクリースベンディング力を複数水準変更させて、ロール正転時とロール逆転時とにおける作業側及び駆動側の圧下方向荷重を検出する。ここで、ロールの回転状態を表す係数nについて、ロール正転時を1、ロール逆転時を2とする。また、係数mは、インクリースベンディング力の水準を表す正の整数(1〜M)である。本実施形態ではMは3とする。
まず、1水準目のロール正転時における圧下方向荷重を検出する。ロール間クロス角同定装置21は、係数nを1とし(S304)、係数mを1とする(S306)。そして、インクリースベンディング制御装置15は、1水準目のインクリースベンディング力F(1)を作業ロールチョックに負荷する(S308)。これにより、圧下方向荷重を検出可能な状態となる。さらに、ロール間クロス角同定装置21は、ロール回転条件として作業ロールの回転速度及び回転方向を設定し(S310)、駆動用電動機制御装置17は、このロール回転条件で作業ロールを回転させる(S312)。作業ロールが回転されると、荷重検出装置により同定対象であるロール系の作業側及び駆動側の圧下方向荷重を検出し、差荷重演算部によってその差荷重を演算する(S314)。取得されたロール正転時の差荷重は、ロール間クロス角同定装置21へ入力される。そして、係数mに1が加算される(S316)。
次いで、ロール間クロス角同定装置21は、係数mがMより大きいか否かを判定する(S318)。係数mがMより大きい場合は、ステップS302にて設定されたM水準のインクリースベンディング力における圧下方向荷重の差荷重が取得された場合である。すなわち、ステップS318では、設定されたすべての水準における圧下方向荷重の差荷重が取得されたか否かを確認している。係数mがM以下の場合には、ステップS308に戻り、インクリースベンディング制御装置15により、2水準目のインクリースベンディング力F(2)を作業ロールチョックに負荷し(S308)、ロール正転時の圧下方向荷重の検出とその差荷重の演算が行われる(S314)。
その後、係数mにさらに1が加算され(S316)、mは3となる。ロール間クロス角同定装置21は、ステップS318の判定要件を満たさないことから、ステップS308に戻り、インクリースベンディング制御装置15により、3水準目のインクリースベンディング力F(3)を作業ロールチョックに負荷し(S308)、ロール正転時の圧下方向荷重の検出とその差荷重の演算が行われる(S314)。そして、係数mに1が加算され(S316)、mが4となると、ステップS318の判定要件を満たすことから、ロール間クロス角同定装置21は、ステップS320の処理へ進み、係数nに1を加算する(S320)。そして、ロール間クロス角同定装置21は、係数nが2であるか否かを判定する(S322)。
ステップS322では、ロール逆転時の圧下方向荷重を検出する処理を実行するか否かを判定している。係数nが2のとき、ロール間クロス角同定装置21は、ステップS306に戻り、係数mを1にリセットした後、ロール逆転時について、ステップS308〜S320の処理を実行する。なお、かかる処理はロール正転時と同一であるため、説明を省略する。そして、ロール逆転時の差荷重が3水準取得されると、係数nにさらに1が加算される(S320)。したがって、ロール正転時及びロール逆転時の差荷重が取得されたとき、係数nは3となっている。
そして、ステップS322での係数nの判定において、係数nが2でないと判定されたとき、すなわち、ロール正転時及びロール逆転時の差荷重が取得されたとき、ロール間クロス角同定装置21は、ステップS324の処理を実行する。
(ロール間クロス角同定:S324)
ロール間クロス角同定装置21は、ロール正転時及びロール逆転時の差荷重に基づき、ロール間クロス角、ロール間摩擦係数、及び補強ロールのスラスト反力の作用点位置を同定する(S324)。以下、図9に基づき、ロール間クロス角、ロール間摩擦係数、及び補強ロールのスラスト反力の作用点位置の同定について説明する。ここでは、下ロール系の各値を同定する場合について説明するが、上ロール系の各値の同定も同様に行えばよい。また、図11の処理フローにおいては、3水準(M=3)のインクリースベンディング力についての差荷重の取得をする場合について示しているが、以下の説明では、より汎用的に2水準以上(M≧2)の場合について示している。
本実施形態においても、第1の実施形態と同様、まず、圧下方向荷重の差荷重とロール間スラスト力との関係が取得される。この演算処理は、第1の実施形態の「(A)圧下方向荷重の差荷重とロール間スラスト力との関係取得」で説明した演算処理と同一であるため、ここでは説明を省略する。そして、ロール正転時及びロール逆転時において負荷されるM水準のインクリースベンディング力をFB1(1)〜FB1(M)、FB2(1)〜FB2(M)とすると、上記式(8)から、インクリースベンディング力の各水準におけるロール正転時とロール逆転時とにおける相対的な変化と、作業ロールと補強ロールとのロール間クロス角によって生じるロール間スラスト力との関係式群は、下記式(11)式のように表せる。
Figure 0006481215
ここで、Pdf1 B(1)−Pdf2 B(1)〜Pdf1 B(M)−Pdf2 B(M)は、各水準(m=1〜M)のインクリースベンディング力を負荷したときのロール正転時とロール逆転時との圧下方向荷重の差荷重、TWB1 B(1)〜TWB1 B(M)は、各水準(m=1〜M)のインクリースベンディング力を負荷したときのロール間スラスト力、p1(1)〜p1(M)は、各水準(m=1〜M)のインクリースベンディング力を負荷したときのロール間線荷重である。
式(11)より、インクリースベンディング力を2水準(M=2)以上設定した場合、方程式の数は2つ以上となる。したがって、未知数として、ロール間クロス角の他、ロール間摩擦係数または補強ロールのスラスト反力の作用点位置のうち、少なくともいずれか一方を含めた2つ以上を設定することができる。インクリースベンディング力を3水準(M=3)以上設定した場合、方程式の数は3つ以上となる。したがって、未知数として、ロール間クロス角の他、ロール間摩擦係数及び補強ロールのスラスト反力の作用点位置を含めた3つ以上を設定することができる。なお、インクリースベンディング力を3水準より多く設定した場合、未知数の数に比べ方程式の数が上回るが、この場合は最小自乗解を求めることにより解くことができる。
以上のように、本実施形態においては、インクリースベンディング力の負荷水準を増やし、ロール正転時とロール逆転時における差荷重の値を比較することによって、ロール間クロス角の同定に加え、ロール間摩擦係数、補強ロールのスラスト反力の作用点位置を同定することが可能となる。経時的に変化するこれらの値を同定できるので、より高精度なロール間クロス角の同定が可能となる。
図11の説明に戻り、ステップS324では、3水準(M=3)のインクリースベンディング力を設定して取得されたロール正転時とロール逆転時との差荷重の比較により、上記演算により、ロール間クロス角、ロール間摩擦係数、及び補強ロールのスラスト反力の作用点位置を同定する。ロール間クロス角同定装置21は、ロール間クロスの同定結果に基づいて、ロール間クロス角がゼロになるように、作業ロールチョックまたはハウジング側のシム、ライナー等の調整を行う。あるいは、ロールクロス角調整装置等を有する場合は、ロール間クロス角同定装置21は、同定されたロール間クロス角がゼロとなるように、ロールクロス角調整装置等に対して角度調整を実施する指示を出力する。これにより、ロール間クロス角をなくし、ロール間スラスト力による左右非対称変形を排除できる。その結果、蛇行及びキャンバーのない、あるいは蛇行及びキャンバーの極めて軽微な製品を安定して製造することができる。
図7に示す構成の熱間仕上圧延機の第5〜第7スタンドについて、ロール間クロス角によるロール間スラスト力の影響を考慮した圧下レベリング設定に関して、従来法と本発明の方法との比較を行った。
まず、従来法では、定期的にハウジングライナー及びチョックライナーの交換を行い、ロール間クロス角が生じないように設備管理を行った。その結果、ハウジングライナーの交換直前の時期において、被圧延材として出側板厚1.2mm、幅1200mmの薄物広幅材を圧延したときに、板厚ウェッジ及びキャンバーが発生するとともに、第6スタンドにおいて蛇行による絞り込みが発生した。
一方、本発明の方法では、非圧延時にロールギャップを開状態として作業ロールチョックにロールベンディング力を負荷し、ロール正転時とロール逆転時とにつき、作業側と駆動側との圧下方向荷重の差荷重を比較し、ロール間クロス角を同定した。そして、同定結果に基づき、作業ロールチョック側のライナーと作業ロールチョックとの間にシム等を挿入し、ロール間クロス角が低減するように調整を行った。その結果、ハウジングライナーの交換直前の時期においても、従来法で絞り込みが生じた出側板厚1.2mm、幅1200mmの薄物広幅材を圧延した場合でも、板厚ウェッジ及びキャンバーの発生も少なく、被圧延材を圧延ラインに真直に通板させることができた。
以上のように、本発明の方法では、スラスト反力測定装置を必要とせず、ロール間クロス角を同定することが可能である。また、同定結果に基づいてロール間クロス角を調整することにより、ロール間クロス角に起因して発生するロール間スラスト力による左右非対称変形を排除できるので、蛇行及びキャンバーのない、あるいは蛇行及びキャンバーが極めて軽微な金属板材を、安定して製造することができる。
図7に示す構成の熱間厚板圧延機に、ロール間クロス角によるスラスト力の影響を考慮した圧下レベリング設定に関して、従来法と本発明の方法との比較を行った。
まず、従来法では、定期的にハウジングライナー及びチョックライナーの交換を行い、ロール間クロス角が生じないように設備管理を行った。
一方、本発明の方法では、非圧延時にロールギャップを開状態として、2水準のロールベンディング力を設定し、ロール停止時とロール回転時とにつき、作業側と駆動側との圧下方向荷重の差荷重を比較することによって、ロール間クロス角及びロール間摩擦係数を同定した。そして、同定結果に基づき、作業ロールチョック側のライナーと作業ロールチョックとの間にシム等を挿入し、ロール間クロス角が低減するように調整を行った。
表1に、本発明と従来法とについて、代表圧延本数に対するキャンバー発生の実績値を示す。被圧延材の先端部1mあたりのキャンバー実績値のうち、補強ロール組み替え直前かつハウジングライナー交換直前の値をみると、本発明の場合、0.12mm/mと比較的小さな値に抑えられている。これに対して従来法の場合、補強ロール組み替え直前やハウジングライナー交換直前の時期において、本発明の場合と比較してキャンバー実績値が大きくなっている。
以上のように、本発明の装置では、スラスト反力測定装置を必要とせず、ロール間クロス角を同定すると共に、経時的に変化するロール間摩擦係数の同定も可能であり、同定された値に基づいてロール間クロス角を調整することにより、ロール間クロス角に起因して発生するロール間スラスト力による左右非対称変形を排除できるので、蛇行及びキャンバーのない、あるいは蛇行及びキャンバーの極めて軽微な金属板材を、安定して製造することができる。
Figure 0006481215
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる例に限定されない。本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
例えば、上記実施形態では、ロール間クロス角の同定を行う際に、インクリースベンディング装置により作業ロールチョックに対して所定の負荷を与えた状態としていたが、本発明はかかる例に限定されない。例えば、インクリースベンディング力を一定とし、ディクリースベンディング装置により作業ロールと補強ロールとの間に所定の負荷を与えた状態で、ロール間クロス角の同定を行ってもよい。
また、上記実施形態では、圧下方向の荷重検出装置が上下双方に配置されているとしていたが、本発明はかかる例に限定されない。チョックやハウジングのライナー等の摩耗の進行によって生じるロール間クロスは、上下ともほぼ同時期に変化することが予想される。したがって、上下の一方に荷重検出装置が配置された場合においても、配置されている側のロール間クロス角の同定を行い、その同定結果に基づき、例えば、上下双方の作業ロールチョック側のライナーと作業ロールチョックとの間にシム等を同時期に交換することによって、上下双方のロール間クロス角の低減を行うことは可能である。これより、上下双方に圧下方向の荷重検出装置が配置されている場合と同様、蛇行及びキャンバーのない、あるいは蛇行及びキャンバーの極めて軽微な金属板材を、安定して製造することができる。
さらに、上記実施形態では、一対の作業ロールと、一対の補強ロールとを備える4段の圧延機について説明したが、本発明はかかる例に限定されず、4段以上の圧延機に対して適用可能である。例えば、図12に示すように、作業ロール1、2と補強ロール3、4との間にそれぞれ中間ロール41、42が設けられた6段圧延機への適用も可能である。上中間ロール41は、作業側の上中間ロールチョック43a及び駆動側の上中間ロールチョック43bに支持されている。下中間ロール42は、作業側の上中間ロールチョック44a及び駆動側の上中間ロールチョック44bに支持されている。
6段圧延機の場合、例えば図13及び図14に示すように、作業ロール1と中間ロール41とのロールギャップ及び作業ロール2と中間ロール42とのロールギャップが開状態において、中間ロール41、42のベンディング装置を使用して、中間ロール41と補強ロール3との間、及び、中間ロール42と補強ロール4との間に荷重を負荷する。このとき、作業ロール1、2のベンディング装置は、作業ロールの自重をキャンセルする程度、あるいは、作業ロールの回転を中間ロールに伝える程度に負荷して(負荷する力は図示していない。)、作業ロールと中間ロール間に荷重が作用しない状態に調整される。このような状態で、中間ロール41と補強ロール3とのロール間クロス角、及び、中間ロール42と補強ロール4とのロール間クロス角の同定が行われる。
中間ロール41と補強ロール3とのロール間クロス角、及び、中間ロール42と補強ロール4とのロール間クロス角の同定は、例えば図13に示すように、作業ロール1、2を正転させて中間ロール41、42を回転させた場合(図13上側)と、作業ロール1、2を逆転させて中間ロール41、42を回転させた場合(図13下側)とについてそれぞれ圧下方向荷重を検出し、その差荷重に基づき同定してもよい。あるいは、図14に示すように、すべてのロールを停止させた場合(図14上側)と、作業ロール1、2を回転させて中間ロール41、42を回転させた場合(図14下側)とについてそれぞれ圧下方向荷重を検出し、その差荷重に基づきロール間クロス角を同定してもよい。
このように、中間ロール41と補強ロール3とのロール間クロス角、及び、中間ロール42と補強ロール4とのロール間クロス角の同定を実施して、中間ロール41、42と補強ロール3、4との調整が行われる。その後、上記実施形態と同様に作業ロール1、2のベンディング装置を使用し、作業ロール1と中間ロール41との間、及び、作業ロール2と中間ロール42との間に荷重を負荷し、作業ロールと中間ロールとのロール間クロス角を同定する。
作業ロール1と中間ロール41とのロール間クロス角、及び、作業ロール2と中間ロール42とのロール間クロス角の同定は、例えば図15に示すように、作業ロール1、2を正転させた場合(図15上側)と作業ロール1、2を逆転させた場合(図15下側)とについてそれぞれ圧下方向荷重を検出し、その差荷重に基づき同定してもよい。あるいは、図16に示すように、すべてのロールを停止させた場合(図16上側)と作業ロール1、2を回転させた場合(図16下側)とについてそれぞれ圧下方向荷重を検出し、その差荷重に基づきロール間クロス角を同定してもよい。そして、作業ロール1と中間ロール41とのロール間クロス角、及び、作業ロール2と中間ロール42とのロール間クロス角の同定を実施した後、作業ロール1、2と中間ロール41、42との調整を行えばよい。なお、ロール間のスラスト力の方向の変化に伴いロール間の荷重分布も変化するが、図13〜図16に図示すると図が複雑となるため、ここではその記載を省略している。
中間ロールと補強ロールとのロール間クロス角、及び、作業ロールと中間ロールとのロール間クロス角の同定に際しては、具体的には、上述の各実施形態において説明した作業ロールと補強ロールとに関する各式について、中間ロールと補強ロール、作業ロールと中間ロールをそれぞれ想定して導出すればよい。このように順番にロール間クロス角の同定を行うことで、6段圧延機の場合にも4段圧延機の場合と同様に同定されたロール間クロス角に基づき各ロールの調整を行うことができる。その結果、蛇行及びキャンバーのない、あるいは蛇行及びキャンバーの極めて軽微な金属板材を、安定して製造することができる。
1 上作業ロール
2 下作業ロール
3 上補強ロール
4 下補強ロール
5a 上作業ロールチョック(作業側)
5b 上作業ロールチョック(駆動側)
6a 下作業ロールチョック(作業側)
6b 下作業ロールチョック(駆動側)
7a 上補強ロールチョック(作業側)
7b 上補強ロールチョック(駆動側)
8a 下補強ロールチョック(作業側)
8b 下補強ロールチョック(駆動側)
9a 上荷重測定装置(作業側)
9b 上荷重測定装置(駆動側)
10a 下荷重測定装置(作業側)
10b 下荷重測定装置(駆動側)
11 ハウジング
13a 入側上インクリースベンディング装置
13b 出側上インクリースベンディング装置
14a 入側下インクリースベンディング装置
14b 出側下インクリースベンディング装置
15 インクリースベンディング制御装置
16 駆動用電動機
17 駆動用電動機制御装置
18 圧下装置
19 上側差荷重演算部[減算器]
20 下側差荷重演算部[減算器]
21 ロール間クロス角同定装置
23 入側上ディクリースベンディング装置
23b 出側上ディクリースベンディング装置
24a 入側下ディクリースベンディング装置
24b 出側下ディクリースベンディング装置
30a、30b 圧下支点位置
41 上中間ロール
42 下中間ロール
43a 上中間ロールチョック(作業側)
43b 上中間ロールチョック(駆動側)
44a 下中間ロールチョック(作業側)
44b 下中間ロールチョック(駆動側)

Claims (7)

  1. 圧延機のロール間クロス角を同定するクロス角同定方法であって、
    前記圧延機は、少なくとも一対の作業ロールと一対の補強ロールとを含む、複数のロールを備える4段以上の圧延機であり、
    非圧延時に、前記作業ロールのロールギャップを開状態とした状態で、上側の前記作業ロールを含む上ロール系のロール間及び下側の前記作業ロールを含む下ロール系のロール間に荷重を負荷するようにロールベンディング力を負荷するロールベンディング力負荷ステップと、
    上側の前記補強ロールまたは下側の前記補強ロールのうち少なくともいずれか一方の、作業側及び駆動側の圧下支点位置において圧下方向に作用する圧下方向荷重を検出する荷重検出ステップと、
    検出した前記作業側の前記圧下方向荷重と前記駆動側の前記圧下方向荷重との荷重差を演算する荷重差演算ステップと、
    前記荷重差に基づいて、前記ロール間クロス角を同定する同定ステップと、
    を含み、
    前記荷重検出ステップでは、前記作業ロールの正転及び逆転実施して、それぞれの前記作業ロールの回転状態における作業側及び駆動側の前記圧下方向荷重を検出する、クロス角同定方法。
  2. 圧延機のロール間クロス角を同定するクロス角同定方法であって、
    前記圧延機は、少なくとも一対の作業ロールと一対の補強ロールとを含む、複数のロールを備える4段以上の圧延機であり、
    非圧延時に、前記作業ロールのロールギャップを開状態とした状態で、上側の前記作業ロールを含む上ロール系のロール間及び下側の前記作業ロールを含む下ロール系のロール間に荷重を負荷するようにロールベンディング力を負荷するロールベンディング力負荷ステップと、
    上側の前記補強ロールまたは下側の前記補強ロールのうち少なくともいずれか一方の、作業側及び駆動側の圧下支点位置において圧下方向に作用する圧下方向荷重を検出する荷重検出ステップと、
    検出した前記作業側の前記圧下方向荷重と前記駆動側の前記圧下方向荷重との荷重差を演算する荷重差演算ステップと、
    前記荷重差に基づいて、前記ロール間クロス角を同定する同定ステップと、
    を含み、
    前記荷重検出ステップでは、
    前記ロールギャップの開状態において負荷するロールベンディング力を少なくとも2水準以上設定し、
    前記作業ロールの正転及び逆転あるいは前記作業ロールの回転及び停止のいずれか一方を実施して、各水準における前記作業ロールの回転状態における作業側及び駆動側の前記圧下方向荷重を検出し、
    前記同定ステップでは、ロール間摩擦係数、または、前記補強ロールのスラスト反力の作用点位置をさらに同定するクロス角同定方法。
  3. 圧延機のロール間クロス角を同定するクロス角同定方法であって、
    前記圧延機は、少なくとも一対の作業ロールと一対の補強ロールとを含む、複数のロールを備える4段以上の圧延機であり、
    非圧延時に、前記作業ロールのロールギャップを開状態とした状態で、上側の前記作業ロールを含む上ロール系のロール間及び下側の前記作業ロールを含む下ロール系のロール間に荷重を負荷するようにロールベンディング力を負荷するロールベンディング力負荷ステップと、
    上側の前記補強ロールまたは下側の前記補強ロールのうち少なくともいずれか一方の、作業側及び駆動側の圧下支点位置において圧下方向に作用する圧下方向荷重を検出する荷重検出ステップと、
    検出した前記作業側の前記圧下方向荷重と前記駆動側の前記圧下方向荷重との荷重差を演算する荷重差演算ステップと、
    前記荷重差に基づいて、前記ロール間クロス角を同定する同定ステップと、
    を含み、
    前記荷重検出ステップでは、
    前記ロールギャップの開状態において負荷するロールベンディング力を少なくとも3水準以上設定し、
    前記作業ロールの正転及び逆転あるいは前記作業ロールの回転及び停止のいずれか一方を実施して、各水準における前記作業ロールの回転状態における作業側及び駆動側の圧下方向荷重を検出し、
    前記同定ステップでは、ロール間摩擦係数、及び、前記補強ロールのスラスト反力の作用点位置をさらに同定するクロス角同定方法。
  4. 圧延機のロール間クロス角を同定するクロス角同定装置であって、
    前記圧延機は、少なくとも一対の作業ロールと一対の補強ロールとを含む、複数のロールを備える4段以上の圧延機であり、
    前記クロス角同定装置は、
    上側の前記補強ロールまたは下側の前記補強ロールのうち少なくともいずれか一方の、作業側及び駆動側の圧下支点位置において圧下方向に作用する圧下方向荷重に基づいて、前記作業側の前記圧下方向荷重及び前記駆動側の前記圧下方向荷重との荷重差を演算する差荷重演算部と、
    前記荷重差に基づいて、前記ロール間クロス角を同定する同定処理部と、
    を備え、
    前記差荷重演算部に入力される前記作業側の前記圧下方向荷重及び前記駆動側の前記圧下方向荷重は、
    非圧延時に、前記作業ロールのロールギャップを開状態とし、かつ、上側の前記作業ロールを含む上ロール系のロール間及び下側の前記作業ロールを含む下ロール系のロール間に荷重を負荷するようにロールベンディング力を負荷した状態で、
    前記作業ロールの正転及び逆転実施し、それぞれの前記作業ロールの回転状態において検出された値である、クロス角同定装置。
  5. 圧延機のロール間クロス角を同定するクロス角同定装置であって、
    前記圧延機は、少なくとも一対の作業ロールと一対の補強ロールとを含む、複数のロールを備える4段以上の圧延機であり、
    前記クロス角同定装置は、
    上側の前記補強ロールまたは下側の前記補強ロールのうち少なくともいずれか一方の、作業側及び駆動側の圧下支点位置において圧下方向に作用する圧下方向荷重に基づいて、前記作業側の前記圧下方向荷重及び前記駆動側の前記圧下方向荷重との荷重差を演算する差荷重演算部と、
    前記荷重差に基づいて、前記ロール間クロス角を同定する同定処理部と、
    を備え、
    前記差荷重演算部に入力される前記作業側の前記圧下方向荷重及び前記駆動側の前記圧下方向荷重は、
    非圧延時に、前記作業ロールのロールギャップを開状態とし、かつ、上側の前記作業ロールを含む上ロール系のロール間及び下側の前記作業ロールを含む下ロール系のロール間に荷重を負荷するようにロールベンディング力を負荷した状態で、
    前記作業ロールの正転及び逆転あるいは前記作業ロールの回転及び停止のいずれか一方を実施し、それぞれの前記作業ロールの回転状態において検出された値であり、
    前記圧下方向荷重は、前記ロールギャップの開状態において負荷するロールベンディング力を少なくとも2水準以上設定して検出されており、
    各水準において検出された前記圧下方向荷重の前記荷重差に基づいて、ロール間摩擦係数、または、前記補強ロールのスラスト反力の作用点位置をさらに同定するクロス角同定装置。
  6. 圧延機のロール間クロス角を同定するクロス角同定装置であって、
    前記圧延機は、少なくとも一対の作業ロールと一対の補強ロールとを含む、複数のロールを備える4段以上の圧延機であり、
    前記クロス角同定装置は、
    上側の前記補強ロールまたは下側の前記補強ロールのうち少なくともいずれか一方の、作業側及び駆動側の圧下支点位置において圧下方向に作用する圧下方向荷重に基づいて、前記作業側の前記圧下方向荷重及び前記駆動側の前記圧下方向荷重との荷重差を演算する差荷重演算部と、
    前記荷重差に基づいて、前記ロール間クロス角を同定する同定処理部と、
    を備え、
    前記差荷重演算部に入力される前記作業側の前記圧下方向荷重及び前記駆動側の前記圧下方向荷重は、
    非圧延時に、前記作業ロールのロールギャップを開状態とし、かつ、上側の前記作業ロールを含む上ロール系のロール間及び下側の前記作業ロールを含む下ロール系のロール間に荷重を負荷するようにロールベンディング力を負荷した状態で、
    前記作業ロールの正転及び逆転あるいは前記作業ロールの回転及び停止のいずれか一方を実施し、それぞれの前記作業ロールの回転状態において検出された値であり、
    前記圧下方向荷重は、前記ロールギャップの開状態において負荷するロールベンディング力を少なくとも3水準以上設定して検出されており、
    各水準において検出された前記圧下方向荷重の前記荷重差に基づいて、ロール間摩擦係数、及び、前記補強ロールのスラスト反力の作用点位置をさらに同定するクロス角同定装置。
  7. 少なくとも一対の作業ロールと一対の補強ロールとを含む、複数のロールを備える4段以上の圧延機であって、
    前記作業ロールのロールギャップの開状態において上側の前記作業ロールを含む上ロール系のロール間及び下側の前記作業ロールを含む下ロール系のロール間に荷重を負荷するようにロールベンディング力を負荷する負荷装置と、
    前記請求項4〜6のいずれか1項に記載のクロス角同定装置と、
    を備える、圧延機。
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