JP6480726B2 - 低級オレフィンの製造方法、低級オレフィンの製造装置および低級オレフィンの製造設備の構築方法 - Google Patents

低級オレフィンの製造方法、低級オレフィンの製造装置および低級オレフィンの製造設備の構築方法 Download PDF

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Description

本発明は、軽質パラフィン系炭化水素原料から低級オレフィンを製造する低級オレフィンの製造方法、低級オレフィンの製造装置および低級オレフィンの製造設備の構築方法に関する。
石油化学工業では、製油所からのライトナフサを原料にして、スチームクラッキングによりエチレンやプロピレンといった低級オレフィンを製造している。これらの低級オレフィンは、繊維、プラスチック(合成樹脂)など、種々の化学製品の重要な基礎原料となる。ライトナフサを原料としたスチームクラッキングでは、ライトナフサとスチームを一定の比率で混合し、800℃以上の高温・無触媒の条件で熱分解することにより、低級オレフィンを製造するが、エチレンおよびプロピレンの生産比率は、2:1程度となり、単純な熱分解反応であるため、この比率を変化させるのが困難である。
近年、油田から排出される随伴ガスやシェールガスのような非在来型ガス中からエタンを分離して、エチレンを高収率で生産する、いわゆるエタンクラッカーの台頭により、ナフサを原料とした低級オレフィンの製造においては、プロピレンの生産量の増加が1つの課題となっている。
この課題の一つの解決策としてメタセシス反応を用いたOlefin Conversion Technology(OCT)が考案された。OCTのプロセス(以下、OCTプロセスと称する)を用いた商業装置が可動している。
OCTプロセスでは、特殊な触媒を用いて1モルのエチレンと1モルのブテンから2モルのプロピレンを生産することができる。OCTプロエスの商業装置は、ライトナフサのスチームクラッキングと組合せて用いられ、スチームクラッキングで生じるエチレンとブテンを用いてプロピレンを生成する。
この場合に、プロピレンの生産量は、スチームクラッキングで生成するブテンの生産量に支配されるため、例えば、スチームクラッカーの設備にOCTプロセスの商業装置を設けた設備におけるエチレンおよびプロピレンの生産比率は、1:1程度が限度となる。
以上のような従来のエチレンとプロプレンの製造に対して、プロピレンの生産比率を高める方法として、ゼオライト触媒を用いた接触分解反応により、ライトナフサからプロピレンを選択的に高収率で製造する方法が開発されている(例えば、特許文献1〜3参照)。これらの特許文献1〜3に示されるようなゼオライト触媒によるライトナフサの接触分解反応では、スチームクラッキングより200℃〜300℃低い温度で反応を進めることができるので、スチームクラッキングに対してエネルギー消費の点からも有利となる。
また、ゼオライト触媒を用いた接触分解反応では、エチレンおよびプロピレンの生産比率が、反応条件により1:1.5〜1:3程度となり、スチームクラッキングや、スチームクラッキングにOCTプロセスを組合せた場合よりもプロピレンの生産比率を飛躍的に高めることができる。
特開2014−24005号公報 特開2014−24006号公報 特開2014−24007号公報
ところで、上述のゼオライト触媒を用いたエチレンおよびプロピレンの製造では、エチレンに対してプロピレンの生産比率を飛躍的に高めることができるが、例えば、一次的なエチレンの需要増加や、プロピレンの需要減少に対応して、プロピレンに対するエチレンの生産比率を高くするように調節することは難しい。したがって、例えば、既存のスチームクラッカーの設備に代えて、ゼオライト触媒を用いた接触分解反応用の設備を設けた場合に、プロピレンの生産量の向上と、エネルギー効率の改善を図れるが、プロピレンとエチレンの生産比率を変更することが難しく、エチレン需要の急増等に対応できない。
また、既存のスチームクラッカーに代えて、ゼオライト触媒を用いた接触分解反応用の設備を設ける場合に、接触分解反応用設備を新設するコストに加えて、スチームクラッカーの解体コスト、解体時に発生する廃棄物の処理にかかるコストが必要となる。したがって、接触分解反応用設備を設けるための初期投資が大きくなってしまうという問題がある。
本発明は、前記事情に鑑みて為されたもので、ライトナフサ等の軽質パラフィン系炭化水素材料からエチレンおよびプロピレンを製造する場合に、これらエチレンおよびプロピレンの生産比率を容易に変更可能で、かつ、設備にかかるコストの低減を図ることができる低級オレフィンの製造方法、低級オレフィンの製造装置および低級オレフィンの製造設備の構築方法を提供することを目的とする。
前記課題を解決するために、本発明の低級オレフィンの製造方法は、軽質パラフィン系炭化水素原料から低級オレフィンとしてエチレンおよびプロピレンを製造する低級オレフィンの製造方法であって、
ゼオライト触媒を用いた接触分解反応により前記軽質パラフィン系炭化水素原料から前記エチレンおよび前記プロピレンを生成する接触分解反応工程と、
スチームクラッキングにより前記軽質パラフィン系炭化水素原料から前記エチレンおよび前記プロピレンを製造するスチームクラッキング工程とを備えることを特徴とする。
このような構成によれば、ゼオライト触媒を用いた接触分解反応により軽質パラフィン系炭化水素原料からエチレンとプロピレンが製造されるとともに、スチームクラッキングにより軽質パラフィン系炭化水素原料からエチレンとプロピレンが製造される。なお、本発明において製造されるのは、エチレンとプロピレンに限られるものではなく、例えば、ブタジエンやブテン等を含んでもよく、その他有用成分を分離して利用できるようにしてもよい。
このような場合に、ゼオライト触媒を用いた接触分解反応では、反応条件を適切に設定することにより、プロピレンのエチレンに対する生産比率(重量比)を1.5から3.0程度とすることができ、プロピレンを選択的に生産することができる。それに対してスチームクラッキングでは、プロピレンのエチレンに対する生産比率(重量比)は0.5程度となり、プロピレンの生産量よりエチレンの生産量が高くなる。
現状の需給関係では、例えば、エチレンよりプロピレンの増産が求められるが、スチームクラッキングによるプロピレンの生産において、エチレンに対するプロピレンの生産比率を現状以上に高くすることは困難である。そこで、スチームクラッキングによるエチレンとプロピレンの製造に接触分解反応によるエチレンとプロピレンの生産を組合せることで、スチームクラッキング単独の場合よりもエチレンに対するプロピレンの生産比率を高くすることができる。
また、現状で比較的多く存在する既存のスチームクラッカー(スチームクラッキング設備)にゼオライト触媒を用いた接触分解反応用の設備を設けることが可能であり、既存のスチームクラッカーの有効利用を図ることができる。例えば、スチームクラッキング用の設備を廃棄して接触分解反応の設備を新たに設けた場合に比較して、設備の構築にかかるコストの低減を図ることができる。
また、スチームクラッキングに比較して接触分解反応の方が反応温度が低く、接触分解反応の方がエネルギー効率が良いが、スチームクラッキングに接触分解反応を組合せることによって、スチームクラッキング単独の場合に比較してエネルギー効率の向上を図ることができる。本発明におけるスチームクラッキングも接触分解反応も、同じ原料からエチレンとプロピレンを生産するものであることから、エチレンとプロピレンの分離(分離精製)には、同様の設備を使用することが可能であり、スチームクラッキング設備に接触分解反応用の設備を設けた場合に、接触分解反応後のエチレンとプロピレンの分離精製に既存のスチームクラッキング用の分離精製設備を有効利用することが可能になり、さらなる設備の構築コストの低減を図ることができる。
なお、軽質パラフィン系炭化水素原料とは、例えば、炭素数7(C7)程度以下のパラフィンを主要成分とするものであり、例えば、C4〜C7程度のパラフィンを主要成分とするライトナフサが好適に用いられる。ライトナフサは、原油を蒸留により分離した場合に、C5、C6程度のパラフィンを多く含む留分であるが、原料は石油に限らず、シェールオイルや、コンデンセート等であってもよい。また、軽質パラフィン炭化水素原料は、ライトナフサに限られるものではなく、基本的にC4〜C7程度のパラフィンの含有量が高い炭化水素原料ならばよく、例えば、ヘビーナフサを含むナフサであってもよいが、生産効率や接触分解反応における触媒寿命等を考慮した場合に、例えば、C4〜C7のパラフィンの含有量が高く、それより炭素数が多い炭化水素、特に重質分が少ない炭化水素材料が好ましい。
本発明の前記構成において、前記軽質パラフィン系炭化水素原料を、前記スチームクラッキング工程に送る熱分解分と、前記接触分解反応工程に送る接触分解分とに分配するとともに、前記分配に際し、前記熱分解分と前記接触分解分との分配割合を調整可能となっていることが好ましい。
このような構成によれば、例えば、軽質パラフィン系炭化水素原料のうちの接触分解分の分配割合を増加させることにより、プロピレンの生産比率を高めたり、熱分解分の分配割合を増加させることにより、エチレンの生産比率を高めたりすることができる。なお、エチレンとプロピレンのそれぞれの需要は、時の経過に伴って変化するとともに、短期的にエチレンの需要が多くなったり、プロピレンの需要が多くなったりする可能性があるが、これらのエチレンの需要とプロピレンの需要の変化に対応して、エチレンとプロピレンの製造比率を比較的容易に変更することができる。
また、本発明の前記構成において、前記接触分解反応工程を経た前記分解混合物から前記エチレンおよび前記プロピレンを含み、主に炭素数4以下の低級炭化水素からなる低級炭化水素成分を分離する低級炭化水素分離工程を備え、
前記低級炭化水素成分と、前記スチームクラッキング工程を経た分解混合物とから前記エチレンおよび前記プロピレンを分離する共用分離工程を備えることが好ましい。
このような構成によれば、接触分解反応で生成されたエチレンおよびプロピレンと、スチームクラッキングで生成されたエチレンおよびプロピレンとを同じ共用分離工程で分離できる。すなわち、同じ分離精製設備を用いて、接触分解反応で生成されたエチレンおよびプロピレンの分離と、スチームクラッキングで生成されたエチレンおよびプロピレンの分離との両方を行うことができる。この場合に、既存のスチームクラッキング設備に接触分解反応用設備を設ける場合に、接触分解反応用の分離精製設備を設けることなく、スチームクラッキング設備における分離精製設備を接触分解反応用にも使う構成とすることが可能になり、設備の構築コストの低減や、設備コストの低減や、設備におけるスペース効率の向上を図ることができる。
また、低級炭化水素分離工程では、エチレンとプロピレンやその他の成分の分離を行わずに、基本的には、低級炭化水素成分と、後述の再分解用成分に分離するだけなので、例えば、分離に使用する蒸留塔等の設備を簡易なものとできる。したがって、既設のスチームクラッキング用設備に接触分解用設備を設ける場合に蒸留塔の増設が必要となっても、既存の分離精製設備に比較して少数の蒸留塔を設けるだけでよい、
また、本発明の前記構成において、前記低級炭化水素分離工程では、前記接触分解反応工程を経た前記分解混合物から前記低級炭化水素成分を除いた残留分を再分解用成分として、前記接触分解反応工程に戻すことが好ましい。
このような構成によれば、簡易な蒸留設備で、上述の低級炭化水素成分を共用分離工程に送るとともに、原料から低級炭化水素成分を除いた再分解用成分を接触分解工程に戻す構成とすることでき、接触分解用の設備に、エチレン、プロピレン、再分解用成分、その他の成分を分離精製する設備が必要なくなる。なお、再分解用成分は、芳香族化合物のBTX等の重質分を含まないことが好ましい。
また、本発明の前記構成において、前記共用分離工程では、C4より軽質(C1〜C3)のパラフィンを主要成分とする低級パラフィン成分を分離し、前記低級パラフィン成分を前記スチームクラッキング工程に戻すことが好ましい。
このような構成によれば、C4より軽質(C1〜C3)のパラフィンをスチームクラッキングにより処理し、例えば、エチレンやプロピンの原料として利用することができる。接触分解反応では、例えば、C4より軽質(C1〜C3)のパラフィンとしてエタンやプロパンをエチレンやプロピレンとすることが困難である。すなわち、これらエタンやプロパンを再び接触分解反応に戻しても分解が困難である。特に、エタンは接触分解反応で分解され難く、エタンを接触分解反応に戻す構成とすると、未反応のエタンの含有量が増加していくので、エタンを除去する必要が生じる。接触分解反応とスチームクラッキングとを併用することにより、エタンの有効利用を図ることができる。
また、本発明の前記構成において、前記接触分解反応工程で用いられる前記ゼオライト触媒におけるゼオライトは、鉄または鉄およびガリウムを含むMFI型の結晶性アルミノシリケートであることが好ましい。
このような構成によれば、接触分解反応において、鉄または鉄およびガリウムを含むMFI型の結晶性アルミノシリケートであるゼオライトを含むゼオライト触媒を用いることにより、接触分解反応におけるプロピレンの生成量を増加することが可能であり、スチームクラッキングによるエチレンとプロピレンの生産と組合せた場合に、よりプロピレンの生産比率を高めることができる。
本発明の低級オレフィンの製造装置は、軽質パラフィン系炭化水素原料から低級オレフィンとしてエチレンおよびプロピレンを製造する低級オレフィンの製造装置であって、
ゼオライト触媒を用いた接触分解反応により軽質パラフィン系炭化水素原料から前記エチレンおよび前記プロピレンを生成する反応器を備える接触分解手段と、
スチームクラッキングにより前記軽質パラフィン系炭化水素原料から前記エチレンおよび前記プロピレンを製造する分解炉を備える熱分解手段とを備えることを特徴とする。
このような構成によれば、上述の低級オレフィンの製造方法と同様に、スチームクラッキングによるエチレンとプロピレンの製造に接触分解反応によるエチレンとプロピレンの生産を組合せることで、スチームクラッキング単独の場合よりもエチレンに対するプロピレンの生産比率を高くすることができる。また、現状で比較的多く存在する既存のスチームクラッカー(スチームクラッキング設備)にゼオライト触媒を用いた接触分解反応用の設備を設けることが可能であり、既存のスチームクラッカーの有効利用を図ることができる。また、スチームクラッキング単独の場合に比較してエネルギー効率の向上を図ることができる。また、スチームクラッキング設備に接触分解反応用の設備を設けた場合に、接触分解反応後のエチレンとプロピレンの分離精製に既存のスチームクラッキング用の設備の分離精製設備を有効利用することが可能になり、さらなる設備の構築コストの低減を図ることができる。
本発明の前記構成において、前記軽質パラフィン系炭化水素原料を、前記熱分解手段に送る熱分解分と、前記接触分解手段に送る接触分解分とに分配するとともに、前記分配に際し、前記熱分解分と前記接触分解分との分配割合を調整可能となっている分配手段を備えることが好ましい。
このような構成によれば、上述の低級オレフィンの製造方法と同様に軽質パラフィン系炭化水素原料のうちの接触分解分の分配割合を増加させることにより、プロピレンの生産比率を高めたり、軽質パラフィン系炭化水素原料のうちの熱分解分の分配割合を増加させることにより、エチレンの生産比率を高めたりすることができる。
また、本発明の前記構成において、前記反応器から流出する分解混合物から前記エチレンおよび前記プロピレンを含み、主に炭素数4以下の低級炭化水素からなる低級炭化水素成分を分離する低級炭化水素分離手段と、
前記低級炭化水素成分と前記分解炉から流出する分解混合物とから前記エチレンおよび前記プロピレンを分離する共用分離精製手段とを備えることが好ましい。
このような構成によれば、上述の低級オレフィンの製造方法と同様に、接触分解反応で生成されたエチレンおよびプロピレンと、スチームクラッキングで生成されたエチレンおよびプロピレンとを同じ共用分離工程で分離できる。したがって、既存のスチームクラッキング設備に接触分解反応用設備を設ける場合に、接触分解反応用の分離精製設備を設けることなく、低級炭化水素分離手段だけ設け、スチームクラッキング設備における分離精製設備を接触分解反応用にも使う構成とすることが可能になり、設備の構築コストの低減や、設備コストの低減や、設備におけるスペース効率の向上を図ることができる。
本発明の前記構成において、前記反応器で用いられる前記ゼオライト触媒におけるゼオライトは、鉄または鉄およびガリウムを含むMFI型の結晶性アルミノシリケートであることが好ましい。
このような構成によれば、上述の低級オレフィンの製造方法と同様に、接触分解反応において、鉄または鉄およびガリウムを含むMFI型の結晶性アルミノシリケートであるゼオライトを含むゼオライト触媒を用いることにより、接触分解反応におけるプロピレンの生成量を増加することが可能であり、スチームクラッキングによるエチレンとプロピレンの生成と組合せた場合に、よりプロピレンの生産比率を高めることができる。
本発明の低級オレフィンの製造設備の構築方法は、軽質パラフィン系炭化水素原料から低級オレフィンとしてエチレンおよびプロピレンを製造する低級オレフィンの製造設備の構築方法であって、
スチームクラッキングにより前記エチレンおよび前記プロピレンを生成する分解炉と、前記分解炉から流出する分解混合物の分離精製を行う分離精製設備とを備える既存のスチームクラッキング設備に、軽質パラフィン系炭化水素原料からゼオライト触媒を用いた接触分解反応により前記エチレンおよび前記プロピレンを生成する反応器を備える接触分解反応設備を付設することを特徴とする。
このような構成によれば、既存のスチームクラッキング設備にゼオライト触媒を用いた接触分解反応設備を併設することにより、これら設備を合わせたエチレンとプロピレンの生産におけるプロピレンの生産比率を、スチームクラッキング設備単独の場合より高めることができる。この場合の設備の構築においては、スチームクラッキング設備を廃棄して接触分解用設備を設けた場合に比較して、スチームクラッキング設備の廃棄にかかるコストを必要とせず、コストの低減を図ることができる。また、接触分解反応後の分離精製までの後工程用の設備として、スチームクラッキング用の後工程設備を利用することが可能であり、接触分解反応用の分離精製設備を全て新たに設けるより、設備の構築コストの低減を図ることができる。
本発明によれば、スチームクラッキングとゼオライト触媒を用いた接触分解反応を併用してエチレンとプロピレンとを生産することにより、スチームクラッキング単独でエチレンとプロピレンを生産した場合よりプロピレンの生産比率を高めることができるとともにエネルギー効率を向上できる。
本発明の第1の実施の形態の低級オレフィンの製造方法における接触分解反応を説明するための工程図である。 同、低級オレフィンの製造方法におけるスチームを導入した接触分解反応を説明するための工程図である。 同、低級オレフィンの製造方法を示す工程図である。 同、低級オレフィンの製造方法を示す実施例1に対応した工程図である。 同、低級オレフィンの製造方法を示す実施例2に対応した工程図である。 同、低級オレフィンの製造方法を示す実施例3に対応した工程図である。 同、低級オレフィンの製造方法を示す実施例4に対応した工程図である。 同、低級オレフィンの製造装置の概略を示すブロック図である。 接触分解反応による低級オレフィンの製造の実験結果とそれに基づく計算結果を説明するための図である。 スチームを導入した接触分解反応による低級オレフィンの製造の実験結果とそれに基づく計算結果を説明するための図である。 実施例1〜実施例4のシミュレーション(計算)による実験結果を示す図である。
以下、本発明の実施の形態について説明する。
この実施の形態においては、炭化水素原料として軽質パラフィン系の炭化水素材料であるライトナフサを用い、主にエチレンおよびプロピレンを製造する低級オレフィンの製造方法、低級オレフィンの製造装置および低級オレフィンの製造設備の構築方法を説明する。
本実施の形態の低級オレフィンの製造方法においては、ゼオライト触媒を用いた接触分解反応によるエチレンおよびプロピレンの製造と、スチームクラッキングによるエチレンおよびプロピレンの製造とを組合せてエチレンおよびプロピレンを製造する。これは、本実施の形態の接触分解反応によるエチレンおよびプロピレンの生産比率が各種条件によるが1:1.5〜3.0程度であるのに対してスチームクラッキングでは、エチレンおよびプロピレンの生産比率が2:1程度となることから、これらの製造方法を組合せることにより、エチレンおよびプロピレンの生産比率の調整が可能となる。
次に、接触分解反応とスチームクラッキングとを組合せた低級オレフィンの製造方法を説明する前に、接触分解反応による低級オレフィンの製造方法を説明する。
図1に示すように、接触分解反応による低級オレフィンの製造においては、ゼオライト触媒を固定床方式で固定した反応器(反応容器)内にライトナフサを供給して、ゼオライト触媒にライトナフサを接触させて分解する接触分解反応工程S1を行う。次に、接触分解反応工程S1の後工程としてクエンチ・ガス昇圧・脱水工程(接触分解後処理工程)S2を行う。次に、接触分解反応工程S1で接触分解され、クエンチ・ガス昇圧・脱水工程S2を経た分解混合物に対して分離精製工程(接触分解用分離工程)S3を行うことにより、エチレンおよびプロピレンを得る。
接触分解反応工程S1では、ガリウム(Ga)および鉄(Fe)または鉄を含む結晶性アルミノシリケートであるゼオライトと、成形のための結合剤として機能する二酸化珪素とを含む複合体触媒が用いられる。なお、結合剤はアルミナ(酸化アルミニウム)であってもよいが、二酸化珪素の方が好ましい。
結晶性アルミノシリケートであるゼオライトは、例えば、MFI型の骨格構造を有するものである。なお、ゼオライトの骨格構造は、国際ゼオライト学会によりデータベース化されており、アルファベット大文字3個からなる構造コードが与えられており、MFI型とは、構造コードの1つである。
また、ゼオライト触媒に含まれるFeには、ゼオライトの酸点の酸強度を抑える機能がる。また、Gaには、アルカンの脱水素反応を促進する機能がある。本実施の形態のゼオライト触媒は、結合剤(バインダー)を加えての成形および焼成により得られる複合体触媒であり、バインダーとして二酸化珪素が用いられている。
鉄元素を含む(ガリウム元素を含まない)MFI型の結晶性アルミノシリケ−トであるゼオライトにおいて、鉄元素の元素モル組成比(Fe/(Fe+Al))が0.4〜0.7であることが好ましく、さらに、0.4〜0.6であることがより好ましい。
また、鉄元素を含む(ガリウム元素を含まない)MFI型の結晶性アルミノシリケ−トであるゼオライトにおいて、酸密度(Si/(Fe+Al)として定義されるモル組成比)は、75.0〜200.0であることが好ましく、さらに、80.0〜200.0であることがより好ましい。なお、元素比とは、上述の各元素のモル数による組成比である。
また、鉄元素およびガリウム元素を含むMFI型の結晶性アルミノシリケ−トであるゼオライトにおいて、鉄元素の元素モル組成比(Fe/(Fe+Ga+Al))は、0.2〜0.6であることが好ましく、さらに、0.3〜0.5であることがより好ましい。
また、鉄元素およびガリウム元素を含むMFI型の結晶性アルミノシリケ−トであるゼオライトにおいて、ガリウム元素の元素モル組成比(Ga/(Fe+Ga+Al))は、0.1〜0.4であることが好ましく、さらに0.2〜0.4であることがより好ましい。
また、鉄元素およびガリウム元素を含むMFI型のゼオライト触媒において、酸密度(Si/(Fe+Ga+Al)として定義されるモル組成比)は、75.0〜200.0であることが好ましく、さらに、80.0〜200.0であることがより好ましい
上述のように、鉄元素を含むMFI型の結晶性アルミノシリケ−トであるこの実施の形態のゼオライトを用いることにより、鉄元素の含有量と酸密度とから酸強度を調整することができ、さらに、ガリウム元素を加えることにより、アルカンの脱水素の促進作用を向上することができる。ゼオライトの酸点において、アルカンが分断されるとともに脱炭素反応により炭素の二重結合が生じ、低級オレフィンが生成されるが、例えば、酸点の酸強度が強すぎると、低級オレフィンとなった後も酸点から離脱せずに、さらに反応が進み、環化、脱水素されて芳香族炭化水素が生じ、芳香族炭化水素の生成量が多くなることで、コークの析出量が多くなり、複合体触媒の寿命を短くする原因となる。したがって、コークの析出量を減らす上で、酸強度の調整が重要である。
上述の鉄元素のモル数の組成比、ガリウム元素のモル数の組成比、酸密度を上述の範囲とすることにより、プロピレンの収率をより向上できるとともに、コ−ク生成の原因になる芳香族炭素の生成をより抑制できる。
また、複合体触媒における結合剤としての二酸化珪素(シリカ)は、複合体触媒における含有量が5〜50wt%(重量%)であることが好ましく、さらに、5〜40wt%であることがより好ましい。低級オレフィンの収率を高める上では、二酸化珪素の含有量を減らしてゼオライトの含有量を高くすることが好ましく、芳香族炭化水素の生成を抑制する上では、二酸化珪素の含有量を多くすることが好ましい。さらに、結合剤としての二酸化珪素には、ゼオライトの外表面にある酸点を被覆・不活性化する作用が結合剤としての酸化アルミニウム(アルミナ)より強いと推測される。
これにより、ゼオライトの外表面の酸点を被覆・不活性化することにより、ゼオライトの外表面の酸点での芳香族炭化水素の生成を抑制するとともに、ゼオライト外表面での炭素析出が抑制され、ゼオライトの細孔内部におけるアルカンから低級オレフィンへの転化の触媒能力を長期に維持することが可能となっていると思われる。
なお、上述のゼオライトの組成は、例えば、結合剤として二酸化珪素を用いた場合に適したものである。
このような複合体触媒を用いて、例えばライトナフサから低級オレフィンを製造する製造方法としては、ライトナフサ等の原料ガスをゼオライト触媒が固定床方式で配置された反応器に供給する。すなわち、ライトナフサを複合体触媒に接触させて反応させる。なお、原料ガスに希釈剤として例えばスチームや窒素ガスが含まれてもよく、この場合に複合体触媒に供給されるガスには、ライトナフサが15wt%以上含まれていることが好ましく、さらに、50wt%以上含まれていることがより好ましい。上述の複合体触媒を反応器内に固定床として配置し、反応器内に供給される原料ガスを、複合体触媒に接触させながら通過させる方法が用いられる。この際に、530℃〜650℃、より好ましくは550℃〜640℃の穏和な温度領域で反応を進行させ、エチレンおよびプロピレンを生成する。
また、低級オレフィンの炭化水素原料は、例えば、ライトナフサ等の軽質パラフィン系炭化水素原料(低沸点炭化水素原料)であるが、ナフサ(フルレンジナフサ)とは、原油を常圧蒸留装置によって蒸留分離して得られる製品のうち沸点範囲がおおむね35〜180(200)℃程度のものである。このナフサのうち沸点範囲が35〜80(100)℃程度のものをライト(軽質)ナフサといい、沸点範囲が80(100)〜180(200)℃程度のものをヘビー(重質)ナフサという。また、ライトナフサは、炭素数5のペンタンおよび炭素数6のヘキサンを主成分とする留分に相当する。なお、C4またはC7が含まれていてもよい。また、ライトナフサは、原油の蒸留だけではなく、シェールオイルや、コンデンセートからの蒸留によっても得ることができる。
言い換えれば、原料は、原油から蒸留されたナフサ以外であってもよく、例えば、石油以外のシェールオイルやコンデンセートやその他の炭化水素原料で、基本的にライトナフサ相当の留分のものを用いることができる。また、石油や天然ガスから各種製品を製造する際の副産物等も炭化水素原料として利用可能であり、基本的に沸点があまり高くない炭化水素を原料として用いることができる。また、本実施の形態において、低級オレフィンは、炭素数の少ないオレフィンとして、例えば、エチレン、プロピレン、ブテンや、それ以上の炭素数(例えば炭素数5から炭素数8等)のオレフィンを含むように定義される場合があるが、ここでは、低級オレフィンとは、炭素数2のエチレンと、炭素数3のプロピレンを含むものである。また、低級オレフィンに炭素数4のブテンやブタジエンを含めてもよい。
また、低級オレフィンを生成する反応に際しては、本実施の形態の複合体触媒における原料炭化水素のLHSV(Liquid Hourly Space Velocity:液空間速度)の逆数としての接触時間を0.08〜1.0hとすることが好ましく、さらに、0.08〜0.4hとすることがより好ましい。LHSVとしては、1.0〜12.5h−1とすることが好ましく、さらに、2.5〜12.5h−1とすることがより好ましい。ここでのLHSVとは、複合体触媒に原料炭化水素が液体として供給される際の速度であり、接触時間とは、複合体触媒を原料炭化水素が液体として通過する時間である(複合体触媒に原料が供給される際に、上述のように原料は液体からガス化した状態であるが、ここでは、反応器に供給されるガス化前の液体としての原料の空間速度を用いている)。なお、空間速度として原料ガス(gas)の空間速度(GHSV)を用いても良いし、重量(weight)の空間速度(WHSV)を用いてもよい。
低級オレフィンの製造では、反応温度を高くするほど、炭化水素原料の転化率が高くなり、低級オレフィンの生成量が多くなるとともに、芳香族炭化水素の生成量が多くなるので、加熱の際のエネルギー効率と、低級オレフィンの生産量と、芳香族炭化水素の増加による複合体触媒の寿命との兼ね合いで反応温度を決定する必要があり、上述の範囲とすることにより、複合体触媒の長い寿命を確保するとともに低級オレフィンの安定した生産を確保することができる。
また、低級オレフィンの製造では、接触時間を長くするほど、炭化水素原料の転化率が高くなり、低級オレフィンの生成量が多くなるとともに、芳香族炭化水素の生成量が多くなるので、低級オレフィンの生産量と、芳香族炭化水素の増加による複合体触媒の寿命との兼ね合いで接触時間を決定する必要があり、上述の範囲とすることにより、複合体触媒の長い寿命を確保するとともに低級オレフィンの安定した生産を確保することができる。
次に、クエンチ・ガス昇圧・脱水工程S2では、例えば、熱交換器であるクエンチタワーで接触分解反応工程S1から流出されるガスをクエンチ(冷却(急冷)による反応停止)する。この際には、液化した重質分を分離し、さらに液化した水を分離する。なお、ライトナフサを原料として接触分解反応を行った場合に、基本的に重質分はほとんどなく、水分もほとんどない。ただし、接触分解反応においてライトナフサに希釈剤としてスチームを添加する場合があり、この場合には、冷却によりスチームを液化して分離することになる。
分離精製工程S3では、クエンチ・ガス昇圧・脱水工程S2から上述のように昇圧されて供給されたガスを冷却して液化し、低沸点の物質から複数の蒸留塔により分離していく。本実施の形態では、分離精製工程S3において、原料としてのライトナフサの未分解成分(未反応成分)を再分解用成分として分離する。例えば、ナイトナフサの場合の未分解成分は、C5(炭素数5)、C6(炭素数6)のパラフィンを主要成分とするものであり、例えば、各蒸留塔において、C5,C6パラフィンより沸点の低い物質を分離することにより、最終的に、C5、C6パラフィンを主成分とする未分解成分を再分解用成分(未分解成分:未分解ライトナフサ)として分離する。なお、再分解用成分は、未分解成分を主要成分とし、エチレンとプロピレンとが分離されており、エチレンとプロピレンをほとんど含まない。
分離された未分解成分(再分解用成分)は、接触分解反応工程S1に戻され、再び、ゼオライト触媒を用いて接触分解される。なお、分離精製工程S3から接触分解反応工程S1に戻される未分解成分は、C5,C6パラフィンを主要成分とする。また、図1に示される各物質の時間当たりの重量は、後述の実施例において説明する実験とシミュレーションの結果を記載したものである。また、図1等において、未分解ナフサとして、C6パラフィン類と記載されているが、これは実施例における実験において、軽質パラフィン系炭化水素原料であるライトナフサの代表成分として、n−ヘキサン(n−C14)を用いており、未分解成分はC6パラフィン類となるが、ライトナフサを原料とするとC5,C6パラフィン類が未分解成分となる。
図1に示すように、分離精製工程S3では、水素とC3(炭素数3)以下の低級パラフィン成分であるメタン、エタン、プロパンのグループを分離する。また、エチレンを分離するとともにプロピレンを分離する。また、C4(炭素数4)類を分離する。また、芳香族成分(例えば、ベンゼン、トルエン、キシレンからなるBTX)。また、これらを分離した後の残りとしてOthersがある。なお、エチレンおよびプロピレン以外の物質で、必要とする物質があれば上述の各物質以外であっても分離される場合があり、上述の分離の仕方と異なる分離の仕方であってもよい。
図2は、図1と同様の接触分解による低級オレフィンの製造工程を示すものであるが、接触分解反応に際して、原料に加えてスチームを供給している。この場合に、プロピレンの生産量が高くなるが、詳細は後述の実施例で説明する。
本実施の形態では、例えば、図3から図7に工程図で示されるように、図1に示すゼオライト触媒を用いたライトナフサの接触分解反応と、スチームクラッキングによる熱分解反応とを組合せるとともに、接触分解反応と熱分解反応とに対する原料の供給量を調整することにより、エチレンおよびプロピレンの生産比率を変更可能としている。
すなわち、本実施の形態では、接触分解反応・クエンチ工程S11と、スチームクラッキング工程S13とを並行して行うようになっている。また、接触分解反応の後にクエンチを行い、接触分解反応後の分解混合物を重質分を除いた状態で、C4以下の低級炭化水素成分と、C5以上のパラフィン類を主成分とする再分解用成分とに二分し、低級炭化水素成分をスチームクラッキングと共用の分離精製装置に送り、再分解成分を接触分解用の反応器に送るようになっている。
したがって、図3〜図7に示す低級オレフィンの製造方法においては、図1および図2に示されるクエンチ・ガス昇圧・脱水工程S2と、分離精製工程S3は行われず、スチームクラッキング用の熱分解後の後処理と分離精製処理に、エチレンとプロピレンを含む低級炭化水素成分を送るために、接触分解反応後のクエンチされた分解混合物から低級炭化水素成分を分離する低級炭化水素分離工程S12が行われる。
図3〜図7に示すように、本実施の形態の低級オレフィンの製造方法においては、上述のゼオライト触媒を用い、ライトナフサを原料とする接触分解反応と、接触分解反応を経た分解混合物のクエンチとが行われる接触分解反応・クエンチ工程(接触分解反応工程)S11と、クエンチ後の冷却された分解混合物を上述の低級炭化水素成分と、未分解成分を含む再分解用成分(残留分)とに分離する低級炭化水素分離工程S12と、スチームクラッキング(熱分解)によりライトナフサを原料としてエチレンとプロピレンを生成するスチームクラッキング工程S13と、熱分解後の分解混合物と前記低級炭化水素成分とに対して後処理を行うクエンチ・ガス昇圧・酸性ガス除去・脱水工程(熱分解後処理工程)S14と、熱分解後の分解混合物および低級炭化水素成分からエチレン、プロピレン等を分離する共用の分離精製工程(共用分離工程)S15とを備える。
接触分解反応・クエンチ工程S11における接触分解反応は、上述の接触分解反応工程S1の場合と同様の方法で行われる。また、クエンチは、接触分解反応後の分解混合物を上述のクエンチ・ガス昇圧・脱水工程S2におけるクエンチと同様に行う。また、クエンチにおいては、接触分解後の分解混合物から液化した重質分と水分が除かれる。
低級炭化水素分離工程S12では、基本的に蒸留塔により、C4以下の低級炭化水素成分と、主にC5,C6の未分解成分を含む残留分に分離するものである。なお、この際には、例えば、重質分等として、接触分解反応時に生じた芳香族化合物(例えば、BTX等)を除去する。
低級炭化水素成分には、図4等に示すように、水素、メタン、C2、C3、C4のオレフィンおよびパラフィンが含まれる。なお、図4等において、右端上部の低級炭化水素成分において、0の記号がパラフィンを示し、=の記号がオレフィンを示す。具体的には、例えば、パラフィンとしてエタン、プロパン、ブタン、オレフィンとして、エチレン、プロピレン、ブテン、ブタジエン等である。
スチームクラッキング工程S13では、分解炉にスチームと原料が供給されて800℃以上に加熱され、原料がスチーム存在下で熱分解され、エチレンおよびプロピレンが生産される。
クエンチ・ガス昇圧・酸性ガス除去・脱水工程(熱分解後処理工程)S14では、分解炉から流出されるガス状の分解混合物(反応混合物)を冷却して熱分解反応の停止をするクエンチが行われる。クエンチでは、冷却により液化する重質分を分離するとともに、スチームから液化した水を分離する。また、次に分離精製工程S15で分解炉から流出されたガスを液化するためにガス昇圧を行いガスを圧縮する。
また、この際に酸性ガスを除去する。酸性ガスは、主に硫化水素である。スチームクラッキング工程S13では、分解炉内の管等へのコーク(炭素)の付着を抑制するためにDMDS(Dimethyl disulfide)が添加されている。DMDSは、熱分解反応において硫化水素となり、コークの付着を防止するが、流出するガス中に酸性ガスとして硫化水素が含まれることになり、クエンチ・ガス昇圧・酸性ガス除去・脱水工程S14において、硫化水素ガスが酸性ガスとして除去される。また、分離精製工程S15では、メタン等の分離のために低温とする。これにより水が氷って、配管の閉塞等が起こる可能性があるので、十分に水を除去する必要がある。
分離精製工程S15は、上述の接触分解反応後の分離精製工程S3と略同様の方法で行われる。なお、分離精製工程S3,S15においては、最初にガスを液化するために前の工程で昇圧されたガスを冷却することになるが、この冷却器のコンプレッサは、分解炉の熱を用いて発生させた蒸気により作動するようになっている。また、分離精製工程S15において、C4より軽質(C1〜C3)の低級パラフィンとして、エタンおよびプロパンが分離されてスチームクラッキング工程S13に戻されるようになっている。また、一般的なスチームクラッカーの設備では、分離精製工程S15から戻されるエタンおよびプロパンをメインの分解炉に戻すのではなく、メインの分解炉に対して小型のサブの分解炉を設け、当該分解炉で戻されたエタン、プロパン等のC4より軽質(C1〜C3)の低級パラフィンを分解するようになっている。本実施の形態においても、共用分離工程としての分離精製工程S15で分離されるエタン、プロパンをサブの分解炉に供給する。
したがって、スチームクラッキング工程S13に供給される未分解成分の熱分解分が0%であっても、サブの分解炉を起動してエタン、プロパン等を熱分解できるようになっていることが好ましい。また、この場合に、スチームクラッキング工程S13より後の工程を作動させることが好ましい。なお、C4より軽質(C1〜C3)の低級パラフィンを貯留しておき、メインの分解炉が作動した際に、メインの分解炉に供給するものとしてもよい。
本実施の形態においてば、接触分解反応・クエンチ工程S11と、スチームクラッキング工程S13とにそれぞれ原料としてライトナフサが供給される。この際に供給される原料を接触分解反応・クエンチ工程S11に送る接触分解分と、スチームクラッキング工程S13に送る熱分解分に分配するようになっている。また、この際の分配割合を調整可能となっている。
原料の接触分解分と熱分解分の比率は、例えば、原料のうちの接触分解分の割合を0%から100%まで変更可能となっているとともに、それに対応して熱分解分の割合を100%から0%まで変更可能となっている。図3に示す場合は原料の接触分解分を0%とし、熱分解分を100%とし、図4に示す場合は接触分解分を50%とし、熱分解分を50%とし、図5に示す場合は接触分解分を80%とし、熱分解分を20%とし、図6に示す場合には接触分解分を100%とし、熱分解分を0%としている。なお、図3に示す工程図での処理結果は、スチームクラッキング単独での低級オレフィンの製造と同様の結果となると思われる。また、図6に示す熱分解分を0%とした工程図での処理結果は、図1に示す接触分解反応単独の場合と近い結果となると思われる。また、図7に示す場合は、接触分解分を100%とし、熱分解分を0%とし、原料とともにスチームを反応器に供給している。この場合に、図2に示すスチームを加えた接触分解反応単独の場合に近い処理結果となると思われる。
熱分解分と接触分解分との割合を変えた状態でのエチレンやプロピレン等の生成量等については、後述の実施例において、実験とシミュレーションの結果として説明する。なお、図6に示すように、原料の100%を接触分解分として接触分解反応に供給すると、スチームクラッキングのメインの分解炉が停止状態となる(サブの分解炉は作動)。この場合に、メインの分解炉から分離精製工程S15の冷凍機のコンプレッサを作動する蒸気を供給できないが、スチームクラッキングの設備には、作動開始時に未だ分解炉が昇温していない状態の際に、分解炉に蒸気を供給するスタートアップボイラーが設けられており、このスタートアップボイラーから上述の冷却器のコンプレッサに蒸気を供給することができる。
上述のように、接触分解反応では、エチレンよりプロピレンの生産比率が高く、スチームクラッキングでは、プロピレンよりエチレンの生産比率が高くなるので、スチームクラッキング単独でエチレンとプロピレンを生産するより、接触分解反応とスチームクラッキングによる熱分解反応を組合せることにより、プロピレンの生産比率を向上するとともに、プロピレンの生産量を向上できる。同様に熱分解反応より接触分解反応の方が必要とされる温度が低く、スチームクラッキング単独でエチレンとプロピレンを生産するより、接触分解反応とスチームクラッキングによる熱分解反応を組合せることにより、エネルギー効率を向上し、省エネが可能となる。
次に、以上のような低級オレフィンの製造方法で低級オレフィンを製造する低級オレフィンの製造装置(製造設備)を説明する。
図8に示すように、上述の接触分解反応・クエンチ工程S11を行うための接触分解冷却手段(接触分解手段)11と、接触分解反応により生成した分解混合物から低級炭化水素成分を分離するとともに未分解成分を含む再分解用成分を分離する低級炭化水素分離工程S12を行うための低級炭化水素分離手段12と、原料のライトナフサを接触分解分と熱分解分に分離するとともに、接触分解分と熱分解分の分配割合を調整する分配手段13と、上述のスチームクラッキング工程S13を行う熱分解手段14と、熱分解後の分解混合物および低級炭化水素成分に対して上述のクエンチ・ガス昇圧・酸性ガス除去・脱水工程(共用後処理工程)S14を行う共用後処理手段15と、熱分解後の分解混合物および低級炭化水素成分に対して上述の分離精製工程S15を行う共用分離精製手段16とを備える。
接触分解冷却手段11は、上述のゼオライト触媒が固定床方式で充填された反応器と、当該反応器を上述の所定の温度に加熱するための加熱装置と、接触分解後の分解混合物を急冷して反応停止させるクエンチ用急冷装置とを備えるものである。
低級炭化水素分離手段12は、例えば、二つ程度の蒸留塔により、分解混合物からBTX等の芳香族炭化水素を重質分として除去し、次いで、C4以下の低級炭化水素成分とC5以上の再分解用成分(未分解成分)とに分留する。共用分離精製手段16のように分離される各成分に対応して多くの蒸留塔を備える設備に対して、簡略な設備となる。
分配手段13は、軽質パラフィン系炭化水素原料を上述の熱分解分と接触分解分に分配するとともに分配割合を調整可能となっており、熱分解分を接触分解冷却手段11の反応器に供給し、熱分解分を熱分解手段14の分解炉に供給する。
熱分解手段14は、上述のスチームクラッキング用のメインの分解炉、サブの分解炉、スタートアップボイラー等を備えるものである。
共用後処理手段15は、クエンチ用の急冷装置(急冷塔)、ガス昇圧装置、脱水装置、酸性ガス除去装置等を備えるものである。
共用分離精製手段16は、上述の冷凍機と、メタン、水素等の分離、エタンおよびエチレンの分離、プロパンおよびプロピレンの分離等のための複数の蒸留塔を備えるものである。例えば、C2の炭化水素としてエタンとエチレンを一緒に分離する蒸留塔と、一緒に分離されたエタンとエチレンを別々に分離する蒸留塔とのように複数の蒸留塔を備える。
このような低級オレフィンの製造装置により、上述の低級オレフィンの製造方法により低級オレフィンを製造することができる。
すなわち、低級オレフィンの製造装置によれば、接触分解用の反応器の下流側にクエンチ用の急冷装置を備え、その下流に低級炭化水素分離手段12を設け、接触分解後の分離精製を簡略化し、低級炭化水素成分と、再分解用成分とに分離するだけとしている。最終的なエチレンやプロピレン等の分離を熱分解後の分解混合物と一緒に共用分離精製手段16で行っている。
これにより、エチレンとプロピレンを含む低級炭化水素成分の分離精製をスチームクラッキング設備の分離精製設備を用いて行うことが可能になり、既設のスチームクラッキング設備にゼオライト触媒を用いた接触分解設備を付設する際に、後処理設備や分離精製設備として既設の設備を利用可能となり、設備コストや設備の構築コストの低減を図ることができる。
このような低級オレフィンの製造装置(製造設備)の構築方法は、スチームクラッカー(分解炉:スチームクラッキング設備)の敷地内や隣接または近接する敷地内に上述の接触分解冷却手段11(接触分解反応設備:反応器、クエンチ用急冷装置)と、低級炭化水素分離手段12と、分配手段13を付設するものである。
ここで、共用後処理手段15および共用分離精製手段(分離精製設備)16は、熱分解後の分解混合物の後処理および分離精製だけではなく、接触分解後の分解混合物から分離された低級炭化水素成分の後処理および分離精製にも使用されることになる。
これら共用後処理手段15および共用分離精製手段16は、スチームクラッカーの既存の設備であり、本実施の形態の低級オレフィンの製造装置の構築に際して、新たに設ける必要がなく、例えば、一部配管の変更や、一部の装置の交換程度が必要となる可能性はあるが、構築コストを大幅に低減することができる。
次に、本発明の実施例を説明する。
まず、図1および図9を参照して、スチームクラッキングによるエチレンとプロピレンの製造と組み合わされるゼオライト触媒を用いた接触分解反応による軽質パラフィン系炭化水素原料からのエチレンとプロピレンの製造実験について説明する。
接触分解反応による低級オレフィンの製造実験では、軽質パラフィン系炭化水素原料であるライトナフサの代表成分として、n−ヘキサン(n−C14)を用いた。また、ゼオライト触媒のゼオライトとしては、鉄およびガリウムを含むMFI型の結晶性アルミノシリケートを用いた。
このゼオライトの元素モル組成比は、合成したゼオライトを蛍光X線測定した結果、図9に示すように、Si/(Fe+Ga+Al)=126.4、Fe/(Fe+Ga+Al)=0.31、Ga/(Fe+Ga+Al)=0.16、Al/(Fe+Ga+Al)=0.53であった。
また、使用されるゼオライト触媒は、上述のゼオライトの粉末を結合剤により成形した複合体触媒であり、結合剤としてシリカ(SiO)を用いた。ゼオライトとシリカとの混合比、すなわち、Zeolite/SiO混合比は、90wt%/10wt%である。
接触分解反応の反応条件は、反応温度を565℃、全圧を0.1MPa、n−ヘキサンのLHSVを6.0h−1、ゼオライト触媒量を1.8mlとした。実験では、未分解成分(再分解用成分)を戻すことなく、n−ヘキサンを1回だけ反応させた(one pass)後の各生成物および未反応n−ヘキサンの濃度をガスクロマトグラフィにて測定し、各成分の収率を求めた。その結果(収率)に基づき、未分解成分を還流させて連続的に反応させることを想定した場合(図1)の各成分の収率(Overall収率)を計算により求めた。実験結果としての各成分のone pass収率と、連続反応させた場合のOverall収率を図9に示す。
未分解成分を還流した連続運転においては、エチレン(C)の収率が10.0wt%であり、プロピレン(C)の収率が22.6wt%となり、エチレンとプロピレンの生産比率は約1:2となった。なお、収率は、ゼオライトの各元素のモル組成比、結合剤の種類、反応条件等により変化する。例えば、反応条件として、接触分解反応時に原料に加えてスチームを導入して原料を希釈した場合に、スチームの導入量にもよるが、プロピレンの収率を例えば1.5倍程度高くすることも可能である。
例えば、スチームを加えて接触分解反応を行った際の実験結果および計算結果を図2および図10を参照して説明する。
スチームを希釈剤として加えた接触分解反応による低級オレフィンの製造実験では、上述の実験と同様に軽質パラフィン系炭化水素原料であるライトナフサの代表成分として、ナフサに代えてn−ヘキサン(n−C14)を用いた。また、ゼオライト触媒のゼオライトとしては、鉄を含む(ガリウムを含まない)MFI型の結晶性アルミノシリケートを用いた。
このゼオライトの元素モル組成比は、合成したゼオライトを蛍光X線測定した結果、図10に示すように、Si/(Fe+Al)=42.2、Fe/(Fe+Al)=0.43、Al/(Fe+Al)=0.53であった。なお、図10では、分母にGaが含まれるが、Gaのモル数はゼロとなっている。
また、使用されるゼオライト触媒は、上述のゼオライトの粉末を結合剤により成形した複合体触媒であり、結合剤としてアルミナ(Al)を用いた。ゼオライトとアルミナとの混合比、すなわち、Zeolite/Al混合比は、71wt%/29wt%である。
接触分解反応の反応条件は、反応温度を565℃、全圧を0.1MPa、n−ヘキサンのLHSVを1.0h−1、ゼオライト触媒量を9.3mlとした。また、原料とスチームを混合させるが、反応器へのガスの流入量全体に対してスチームの量を27%とした。実験では、図1の場合と同様に未分解成分(再分解用成分)を戻すことなく、n−ヘキサンを1回だけ反応させた(one pass)後の各生成物および未反応n−ヘキサンの濃度をガスクロマトグラフィにて測定し、各成分の収率を求めた。また、その結果(収率)に基づき、未分解成分を還流させて連続的に反応させることを想定した場合(図2)の各成分の収率(Overall収率)を計算により求めた。各成分のone pass収率と、連続反応させた場合のOverall収率を図10に示す。
未分解成分を還流した連続運転においては、エチレン(C)の収率が10.6wt%であり、プロピレン(C)の収率が29.4wt%となり、エチレンとプロピレンの生産比率は約1:2.8となった。
また、スチームクラッキングだけでエチレンとプロピレンとを生産した場合には、図11の比較例1に示すように、エチレンの収率が31.1wt%で、プロピレンの収率が17.1wt%であった。したがって、エチレンとプロピレンとの生産比率は、約1:0.5であった。なお、比較例1は、既存のスチームクラッカーにおけるエチレンとプロピレンの収率である。
次に、第1の実施の形態に対応する実施例1〜実施例4について図3〜図7と、図11を参照して説明する。実施例1〜3の接触分解反応におけるエチレンおよびプロピレンの収率は、希釈なしでのn−ヘキサン接触分解反応試験におけるone passの実験結果(図9)を用いて、それぞれ原料の接触分解分すなわち、接触分解反応器に供給される原料の分配割合を、0%と、50%と、80%、100%とした場合の計算結果である。実施例4の接触分解反応におけるエチレンおよびプロピレンの収率は、スチーム希釈条件下でのone passの実験結果(図10)を用いて、接触分解反応器に供給される原料の分配割合を100%とした場合の計算結果である。また、同様に、各実施例の熱分解反応におけるエチレンおよびプロピレンの収率は、原料の熱分解分すなわち、熱分解反応器に供給される原料の分配割合と、図9と図10に示されている接触分解反応側から得られるエタンとプロパンの収率(エタンとプロパンは分離回収して熱分解反応器へリサイクル供給することで、エチレンとプロピレンに転換できる)に基づいて計算により求めたものである。
なお、図3に示すように、接触分解反応用の反応器に供給される原料を0%とした場合に、実質的に、図11に示す比較例1のスチームクラッキング単独でのエチレンとプロピレンの生産結果(収率)と略同様となると思われる。図3に示す工程図は、本実施の形態の低級オレフィンの製造方法に含まれるものであり、かつ、本実施の形態のオレフィンの製造装置におけるオレフィンの製造の一例となるものである。但し、低級オレフィンの収率は、比較例1と略同様となる。
ここでは、図3に示す工程図を実施例0とし、エチレンおよびプロピレンの収率を比較例1と同じとする。すなわち、エチレンの収率は31.1%であり、プロピレンの収率は17.1%であり、これらエチレンとプロピレンとを合わせた収率は48.2%である。
実施例1は、図4および図11に示すように、原料(n−ヘキサン)のうちの熱分解反応に送る熱分解分が50%で、接触分解反応に送る接触分解分が50%となっている。この場合の接触分解反応と熱分解反応とを合わせたエチレンの収率は26.2%であり、プロピレンの収率は21.0%であり、これらエチレンとプロピレンとを合わせた収率は47.2%である。
実施例2は、図5および図11に示すように、原料のうちの熱分解反応に送る熱分解分が20%で、接触分解反応に送る接触分解分が80%となっている。この場合の接触分解反応と熱分解反応とを合わせたエチレンの収率は23.3%であり、プロピレンの収率は23.3%であり、これらエチレンとプロピレンとを合わせた収率は46.6%である。
実施例3は、図6および図11に示すように、原料のうちの熱分解反応に送る熱分解分が0%で、接触分解反応に送る接触分解分が100%となっている。この場合の接触分解反応と熱分解反応とを合わせたエチレンの収率は21.4%であり、プロピレンの収率は24.9%であり、これらエチレンとプロピレンとを合わせた収率は46.2%である。
実施例4は、図7および図11に示すように、原料のうちの熱分解反応に送る熱分解分が0%で、接触分解反応に送る接触分解分が100%となっている。また、反応容器に原料とスチームを合わせた供給量の27%となるスチームを導入したものである。この場合の接触分解反応と熱分解反応とを合わせたエチレンの収率は21.9%であり、プロピレンの収率は31.6%であり、これらエチレンとプロピレンとを合わせた収率は53.5%である。
比較例1では、スチームクラッキングによるエチレンの収率が高いことにより、エチレンとプロピレンとを合わせた収率が実施例1〜3と比較して少し高くなっている。なお、実験条件を変えること、例えば、接触分解反応へのスチームの導入等により、実施例4に示すように、接触分解反応におけるエチレンとプロピレンとを合わせた収率を高めることも可能であり、比較例1と、実施例1〜3のエチレンとプロピレンとを合わせた収率の差は問題になるほど大きなものではない。
実施例1〜3におけるエチレンとプロピレンとを合わせた収率の差は誤差レベルである。そして、供給原料における接触分解分の割合を0%、50%、80%、100%と上げていくと、プロピレンの収率が17.1wt%から24.9wt%まで上がることになり、逆にエチレンの収率が31.1wt%〜21.4Wt%まで下がることになる。すなわち、エチレンとプロピレンの生産量を調整することが可能である。プロピレン/エチレンの生産比率は、0.55から約1.16まで調整可能である。この場合にスチームクラッキングにOCTプロセスを組合せた場合よりもエチレンに対するプロピレンの生産比率を高めることが可能になる。
また、接触分解反応にスチームを加えた場合に、プロピレン/エチレンの生産比率は、1.44となり、プロピレンの生産比率を一層高めることができる。
なお、スチームクラッキングに供給される原料が0%であっても、接触分解反応後の分解混合物から分離されたエタンとプロパンがスチームクラッキングに供給されるので、スチームクラッキングにおけるエチレンとプロピレンの収率は0%とならない。
11 接触分解冷却手段(接触分解手段:反応器、クエンチ用急冷装置)
12 低級炭化水素分離手段
13 分配手段
14 熱分解手段(分解炉、スチームクラッキング設備)
16 共用分離精製手段(分離精製設備:スチームクラッキング設備)
S11 接触分解反応・クエンチ工程(接触分解反応工程)
S12 低級炭化水素分離工程
S13 スチームクラッキング工程
S15 分離精製工程(共用分離工程)

Claims (9)

  1. ライトナフサから低級オレフィンとしてエチレンおよびプロピレンを製造する低級オレフィンの製造方法であって、
    ゼオライト触媒を用いた接触分解反応により前記ライトナフサから前記エチレンおよび前記プロピレンを生成する接触分解反応工程と、
    スチームクラッキングにより前記ライトナフサから前記エチレンおよび前記プロピレンを製造するスチームクラッキング工程とを備え
    前記ライトナフサを、前記スチームクラッキング工程に送る熱分解分と、前記接触分解反応工程に送る接触分解分とに分配するとともに、前記分配に際し、前記熱分解分と前記接触分解分との分配割合を調整可能となっていることを特徴とする低級オレフィンの製造方法。
  2. 前記接触分解反応工程を経た分解混合物から前記エチレンおよび前記プロピレンを含み、主に炭素数4以下の低級炭化水素からなる低級炭化水素成分を分離する低級炭化水素分離工程を備え、
    前記低級炭化水素成分と、前記スチームクラッキング工程を経た分解混合物とから前記エチレンおよび前記プロピレンを分離する共用分離工程を備えることを特徴とする請求項に記載の低級オレフィンの製造方法。
  3. 前記低級炭化水素分離工程において、前記接触分解反応工程を経た前記分解混合物から前記低級炭化水素成分を除いた残留分を再分解用成分として、前記接触分解反応工程に戻すことを特徴とする請求項に記載の低級オレフィンの製造方法。
  4. 前記共用分離工程において、炭素数が3以下のパラフィンを主要成分とする低級パラフィン成分を分離し、前記低級パラフィン成分を前記スチームクラッキング工程に戻すことを特徴とする請求項または請求項に記載の低級オレフィンの製造方法。
  5. 前記接触分解反応工程で用いられる前記ゼオライト触媒におけるゼオライトは、鉄または鉄およびガリウムを含むMFI型の結晶性アルミノシリケートであることを特徴とする請求項1から請求項のいずれか1項に記載の低級オレフィンの製造方法。
  6. ライトナフサから低級オレフィンとしてエチレンおよびプロピレンを製造する低級オレフィンの製造装置であって、
    ゼオライト触媒を用いた接触分解反応によりライトナフサから前記エチレンおよび前記プロピレンを生成する反応器を備える接触分解手段と、
    スチームクラッキングにより前記ライトナフサから前記エチレンおよび前記プロピレンを製造する分解炉を備える熱分解手段と
    前記ライトナフサを、前記熱分解手段に送る熱分解分と、前記接触分解手段に送る接触分解分とに分配するとともに、前記分配に際し、前記熱分解分と前記接触分解分との分配割合を調整可能となっている分配手段を備えることを特徴とする低級オレフィンの製造装置。
  7. 前記反応器から流出する分解混合物から前記エチレンおよび前記プロピレンを含み、主に炭素数4以下の低級炭化水素からなる低級炭化水素成分を分離する低級炭化水素分離手段と、
    前記低級炭化水素成分と前記分解炉から流出する分解混合物とから前記エチレンおよび前記プロピレンを分離する共用分離精製手段とを備えることを特徴とする請求項に記載の低級オレフィンの製造装置。
  8. 前記反応器で用いられる前記ゼオライト触媒におけるゼオライトは、鉄または鉄およびガリウムを含むMFI型の結晶性アルミノシリケートであることを特徴とする請求項6または請求項7に記載の低級オレフィンの製造装置。
  9. ライトナフサから低級オレフィンとしてエチレンおよびプロピレンを製造する低級オレフィンの製造設備の構築方法であって、
    スチームクラッキングにより前記エチレンおよび前記プロピレンを生成する分解炉と、前記分解炉から流出する分解混合物の分離精製を行う分離精製設備とを備える既存のスチームクラッキング設備に、ライトナフサからゼオライト触媒を用いた接触分解反応により前記エチレンおよび前記プロピレンを生成する反応器を備える接触分解反応設備と、前記ライトナフサを、前記分解炉に送る熱分解分と、前記反応器に送る接触分解分とに分配するとともに、前記分配に際し、前記熱分解分と前記接触分解分との分配割合を調整可能となっている分配手段を付設することを特徴とする低級オレフィンの製造設備の構築方法。
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