JP6480431B2 - 注射針保護装置 - Google Patents
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Description
具体的には、本発明は、注射針保護装置であって、縦方向に延び、閉じた先端部と開いた基端部とを有する針用のエラストマーキャップを備え、前記エラストマーキャップは、側壁と端壁とを備え、前記側壁は、前記基端部から基端部領域に沿って延在して、注射器の本体の先端部分を受け止めるためのハウジングを形成し、前記端壁は、前記先端部から先端部領域に沿って厚みを有しており、その厚みが前記針の自由端により穿孔され、前記ハウジングは、前記基端部から順に、最大直径を有する開口部と、円錐台形状または円筒状の第1区分と、前記最大直径よりも小さい直径を有し、前記針を支持する前記本体の先端部分を収容するための円筒状の第2区分と、前記第2区分から前記ハウジングの端壁に向けて先細る第3区分とを備えるものに関する。
特許文献1には、上記針用エラストマーキャップに類似する針用エラストマーシース(sheath)を備える針シールドアセンブリが開示されている。
しかしながら、この種の注射針保護装置にはいくつかの欠点が見受けられる。
本発明の主題である注射針保護装置は、患者に薬液を注入する皮下注射器に装着するためのものである。皮下注射器は、予め薬液を充填しておくか、注射直前に病院職員が薬液を充填するかにかかわらず、使用するまで滅菌性を維持しなければならない。
アセンブリが加圧滅菌された後に、注射器に専用の液体が充填される。注射器本体は、注射器を補助するピストンおよびプランジャーによって梱包前に封止される。
加圧滅菌サイクルでは、加圧滅菌器のチャンバーで1回以上の部分真空(partial vacuum)が発生した後、チャンバーの温度が上昇し、圧力も従来通り大幅に(例えば2、3バールまで)上昇する。
サイクル終了時には、温度が周囲温度まで次第に降下する一方で、圧力は大気圧まで上昇する。
上記説明によると、加圧滅菌サイクルでは、チャンバー内で相当な圧力の急変が生じる。よって、チャンバー内の圧力が最大圧力から部分真空に急降下すると、エラストマーキャップのハウジング内で圧力の均衡が素早くとれず、チャンバーの圧力よりも大きな圧力が一時的にハウジング内に残存するということも起こり得る。
このキャップの位置ずれがあまりにも大きくなり、キャップの変形によって注射器本体の先端部がハウジングに保持されないと、キャップが注射器本体から外れてしまうこともある。
このような位置ずれにより、注射器から液体が流出して注射器内の投与量が減少するリスクも生じる。また、ユーザが液体に接触するリスクも生じる。液体によっては、検査、特に医用画像に用いられるものもあるため危険である。
注射器本体がガラス製の場合、この滅菌性を失うリスクはさらに高まる。なぜならば、注射器本体がプラスチック製の場合よりも寸法公差が相当に大きいからである。
当該突条部により、針を使用するまで気密状態で封止し滅菌雰囲気を維持する性能が大幅に改善された。
しかしながら、滅菌中に保護装置が膨張して、保護装置を注射器に保持するための表面積が小さくなるリスクがある。その結果、保護装置内の圧力が上昇すると、保護装置が外れて滅菌性が失われるリスクが生じる。さらに、保護装置内の圧力が低下して吸引が起こると、保護装置が収縮して滅菌性が失われるリスクも生じる。
好ましくは、前記スロットは、前記溝に対して千鳥状に配列される。
好ましくは、前記少なくとも1つの溝は、0.1mm以上0.5mm以下の幅、および/または、0.1mm以上の深さ、および/または、前記第2区分の高さよりも約0.5mm短い長さ、有利には1.50mm以上1.80mm以下の長さ、望ましくは約1.65mmの長さ、の寸法を有する。
好ましくは、前記半径方向に突出する突起部は、0.1mm以上0.5mm以下の半径方向の幅を有する。
好ましくは、前記エラストマーキャップの側壁の外表面の基端部は、環状の肩部を含み、前記環状の肩部は、装置の基端部に向けて凹入し、前記環状の凹入縁と係合する。
図1は、針用エラストマーキャップ20から構成される、注射針を保護するための保護装置を示す。キャップ20は、開口部した基端部22と閉じた先端部24との間を縦方向に沿って延在し、側壁28と端壁30とによってハウジング26を形成する。
側壁28は、基端部22からキャップ20の長さの有利には約3分の2を占める基端部領域32に沿って中心軸縦方向に延在する。
この種の注射針保護装置が普及しており、エラストマーキャップ20は縦方向中心軸を中心とする円筒状である。後述するように、キャップ20(側壁28および端壁30)の外側輪郭ならびにハウジング26を形成する側壁28の内側輪郭は、スロットおよび溝を除いて、円対称である。
ハウジング26の第1区分40は開口部36の近傍に位置し、図に示すように円筒状であるが、端壁38に向けて先細る円錐台形状であってもよい。
図に示すように、第1区分40の直径は、開口部36の直径D1に略等しい。
第2区分42は、第1区分40と反対方向にある第3区分44まで延在する。第3区分44の直径は、ハウジング26の端壁38に向けて徐々に先細る。ハウジング26の端壁38には、円筒状の第4区分46が位置する。第4区分46の直径は注射針の直径に略等しい。
端壁30の先端部24から外側を向く面は略平坦であって、そこから、第1部分50および第2部分52へと延びる。第1部分50は、比較的限られた範囲の円錐台形状である。第2部分52は、ハウジング26の第3区分44における基端部領域32の略半分まで延在し、わずかにフレアー状(flared:裾広がり)の円筒形状である。
突出した肩部54を介して、第2部分52と第3部分56とが接続する。第3部分56は、ごくわずかにフレアー状の円筒形状であり、ハウジング26における第2区分42の第1区分40に近くまで延在する。
第6部分64は、第5部分62から後退し、肩部66を有する。肩部66は、第5部分62と90度よりわずかに小さい角度を形成し、開口部36に向けて延びている。よって、第6部分64は、基端部22に向けて凹入する環状の肩部66を有する。
有利には、突条部70は水滴を縦方向に半分にした形状であり、キャップ20の基端部22に向けてその厚みが増す。この水滴形状の端で、もう一つの突出する肩部58と同じ高さの第2区分42が接続される。
加圧滅菌中に加圧水蒸気をハウジング26から排出しやすくするために、また、環状の突条部70の変形性を向上させるために、環状の突条部70には、複数のスロット72、有利には4つのスロット72を有する。このスロットは、規則的に環状配置され、突条部70の縦方向に延びる。
当然ながら突条部70は、図示していないが、他の形状、特に非環状であってもよい。例えば、2つのスロット72の間で、キャップ20の外側に中心を有する、内側輪郭が膨出した切頭円環体(truncated torus)であってもよい。
先端部104は一般的には球状であり、針106を支持するボールからなる。具体的には、先端部104は4つの部分からなる環状の隆起部である。4つの部分とは、針106の自由端に向けて先細る円錐台形状の先端部分104d、円錐台形状の先端部分104dと角度をなす円錐台形状の中間部分104b、円筒状の中央部分104aおよび円錐台形状の接続部分104cである。
図3に示すように、針106がキャップ20の内部を貫通する時、針106の自由端はキャップ20の端壁30に突き刺ささり、注射器本体102の先端部104は、キャップ20のハウジング26の第2区分42を貫通する。
環状の突条部70が円錐台形状の接続部分104cに密着するため、ハウジング26の第2区分42の直径D2が中央部分104aを固定する程度の大きさである必要はない。
ここでいう密着とは、滅菌性を維持する、すなわち、細菌または、細菌性あるいは真菌性の毒性物質を排除する、微生物に対する密封性を意味する。
特に、外径が8.15mmの注射器本体102、外径が4.35mmの中央部分104aおよび外径が3.85mmの円錐台形状の接続部分104cからなる1ミリ注射器100を用いて、試験を行う。この種の注射器には、以下の寸法のキャップ20が用いられる:
ハウジング26の第2区分42の直径(D2):4mm;環状の突条部70におけるハウジング26の直径:3.6mm;ハウジング26の開口部36の直径(D1):4.7mm。
当然ながらキャップの寸法は、注射器の寸法、特に針を支持する先端部に依存する。
加圧滅菌におけるキャップ20のハウジング26の密封は、キャップ20と注射器100の先端部104との間の位置ずれのリスクを制限することにより向上する。具体的には、加圧滅菌では、環状の突条部70が、注射器100の先端部104をハウジング26の第2区分42に機械的にブロック(block)する。
この構成により、注射器100が使用されるまで、具体的には、キャップ20が針106から外されるまで、ハウジング26および針106の滅菌性が維持される。
図4に示すように、溝を設けることにより蒸気滅菌中の通気が可能となる。これにより、図8に示すような突条部70が注射器100から外れてしまう事態を招く可能性のある第2区分42の過剰な膨張を回避できる。
密封性および滅菌性を確保するためには、軸方向溝420は、第2区分42より短く縦方向に延在しなければならない。
有利には、軸方向溝420は以下の特徴を少なくとも1つ有する:0.1mm以上0.5mm以下の幅;0.1mm以上の深さ;第2区分42の長さよりも約0.5mm短い長さ、有利には1.50mm以上1.80mm以下の長さ、好適には約1.65mmの長さ。当然ながらこの寸法もまた、注射器の寸法、特に針を支持する先端部に依存する。
特に、この構成により、キャップ20のハウジング26における吸引時に、とりわけ滅菌中に、キャップ20の注射器100に対する収縮度合を制限できる。
有利には、半径方向に突出する突起部440の半径方向幅は0.1mm以上0.5mm以下である。すなわち、半径方向に突出する突起部440は、この範囲の距離分だけ第3区分44の内表面から半径方向内側に延在する。
特に、図2および3に示すように、本発明はまた、上述のエラストマーキャップ20に加えて、キャップ20を収容する硬質シェル80を含む、注射針保護装置を提供する。
硬質シェル80は、一般的に縦長円筒状であって、キャップ20と同軸状に装着され、開いた基端部82と閉じた先端部84との間に延びる。
硬質シェル80は、基端部82から先端部84まで延在する縦壁88からなる。縦壁88は、キャビティ86を閉塞する端壁92まで延在する。
4つの切欠き部94は、一般的には縦長形状であって、90度おきに放射状に配置される。
よって、キャップ20が肩部表面66と軸方向に当接する凹入縁96からシェル80の外に露出しないように、凹入縁96は、キャップ20の外側輪郭の第6部分64が形成する段部に収容される。
さらに、キャップ20と硬質シェル80との間の縦方向の相対的な位置ずれを封じるために、特に、キャップ20がシェル80の端壁92に向かう動きを封じるために、シェル80の縦壁88の内面に、補助的な保持手段として環状のリブ98が設けられる。環状のリブ98は、キャップ20の肩部58と当接することにより、キャップ20の側壁28の外表面と係合する。
図2からわかるように、シェル80の中間において、縦壁88は、少なくともシェル80の外表面に、かつ好適にはシェル80の縦壁88の厚み全体において(図示するように)、環状の肩部99を有する。環状の肩部99は保護装置の先端部24に向けて凹入する(キャビティ86の内径は、端壁92に近い側において小さい)。
図2からわかるように、凹入する肩部99は、縦壁88に環状の段を設けるために、縦壁88の内表面および外表面の双方に位置していてもよい。
さらに、キャップ20をシェル80のキャビティ86に挿入する時、キャップ20の外側輪郭の第5部分62が、リブ98と縁96との間に位置する縦壁88の内表面に接触する。
さらに、キャップ20の側壁28はキャップ20の外側輪郭の第4部分60に対して十分に薄いため、環状の突条部70が変形すると、側壁28は半径方向外側に移動する。その結果、第4部分60は、シェル80の筒状の縦壁88の内表面に近づくように変形する。これは、環状の突条部70と同じ高さの側壁28の第4部分60の外形が円錐台形状であることと、第4部分60と同じ高さのシェル80の縦壁88の内表面に環状の隙間があることによる。
さらに、第4部分60は、円錐台形状とは異なる形状であってもよい。キャップ20がシェル80に収容されると、その表面と硬質シェル80の縦壁88の対向する領域との間に自由な環状の隙間が生じる。具体的には、この環状の隙間により、注射器100の先端部104の中央部分104aに対して位置するキャップ20の側壁28の領域で、半径方向外側に変形する部分を受け止めることができる。
キャップ20の材料は、気体、特に加圧水蒸気を透過するため、この隙間により加圧水蒸気が加圧滅菌器のチャンバーからハウジング26まで透過する。さらに、隙間の一部がハウジング26の第2区分42を取り囲むため、注射器100の先端部104の中央部分104aを取り囲むキャップ20の側壁28の領域における半径方向の膨張を受け止めることができる。
なお、実施形態に基づき本発明を説明したが、当然ながら本発明はこれに限られるものではなく、請求項によって定義されるように、本発明の範囲を超えることなく、有用な変形例を当業者により適用可能である。
Claims (10)
- 注射針保護装置であって、
縦方向に延び、閉じた先端部(24)と開いた基端部(22)とを有する針用のエラストマーキャップ(20)を備え、
前記エラストマーキャップ(20)は、側壁(28)と端壁(30)とを備え、
前記側壁(28)は、前記基端部(22)から基端部領域(32)に沿って延在して、注射器(100)の本体(102)の先端部分(104)を受け止めるためのハウジング(26)を形成し、
前記端壁(30)は、前記先端部(24)から先端部領域(34)に沿って厚みを有しており、その厚みが前記針(106)の自由端により穿孔され、
前記ハウジング(26)は、前記基端部(22)から順に、
最大直径(D1)を有する開口部(36)と、
円錐台形状または円筒状の第1区分(40)と、
前記最大直径(D1)よりも小さい直径(D2)を有し、前記針(106)を支持する前記本体(102)の先端部分(104)を収容するための円筒状の第2区分(42)と、
前記第2区分(42)から前記ハウジング(26)の端壁(38)に向けて先細る第3区分(44)とを備え、
前記側壁(28)は、前記ハウジング(26)の前記第1区分(40)と前記第2区分(42)との間に環状の突条部(70)を有し、前記突条部(70)の縦方向には少なくとも1つのスロット(72)が形成され、
前記第2区分(42)には、前記第2区分(42)の高さより短くて縦方向に延びる少なくとも1つの溝(420)を有し、当該溝は、前記針の蒸気滅菌中において前記第2区分の通気を可能にして前記第2区分に過剰な膨張を回避させるように、前記第2区分の縦方向に沿って直線的に延びている
ことを特徴とする注射針保護装置。 - 複数の、具体的には4つのスロット(72)が、互いに角度をおいて規則的に環状配置されて、前記突条部(70)の縦方向に延び、
複数の、具体的には4つの溝(420)が、互いに角度をおいて規則的に環状配置され、前記第2区分(42)の縦方向に延びる
ことを特徴とする請求項1に記載の注射針保護装置。 - 前記スロット(72)は、前記溝(420)に対して千鳥状に配列される
ことを特徴とする請求項2に記載の注射針保護装置。 - 前記少なくとも1つの溝(420)は、
0.1mm以上0.5mm以下の幅、および/または、
0.1mm以上の深さ、および/または、
前記第2区分(42)の高さよりも約0.5mm短い長さ、有利には1.50mm以上1.80mm以下の長さ、望ましくは約1.65mmの長さ、
の寸法を有することを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の注射針保護装置。 - 前記第3区分(44)には、半径方向に突出する、好ましくは環状の突起部(440)を有し、
前記突起部(440)は、前記エラストマーキャップ(20)のハウジング(26)における吸引力発生時に、前記注射器(100)の前記円錐台形状の中間部分(104b)と係合して、前記キャップ(20)が前記注射器(100)に対して収縮するのを防ぐ
ことを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の注射針保護装置。 - 前記半径方向に突出する突起部(440)は、0.1mm以上0.5mm以下の半径方向の幅を有する
ことを特徴とする請求項5に記載の注射針保護装置。 - 開いた基端部(82)と少なくとも部分的に閉じた先端部(84)とを有する縦長円筒状の硬質シェル(80)をさらに備え、
前記硬質シェル(80)は、前記基端部(82)から前記先端部(84)まで延在する縦壁(88)とその先端部に位置する端壁(92)とからなって、前記エラストマーキャップ(20)を取り囲んで包含するために設けられていると共に、前記エラストマーキャップ(20)を保持するための保持手段(96、98、99)を備える
ことを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の注射針保護装置。 - 前記保持手段(96、98、99)は、凹入縁(96)を含み、
前記凹入縁(96)は、
前記硬質シェル(80)の自由端部を形成し、前記硬質シェル(80)における前記エラストマーキャップ(20)の側壁(28)の基端部の保持に適した内径を有する
ことを特徴とする請求項7に記載の注射針保護装置。 - 前記エラストマーキャップ(20)の側壁(28)の外表面の基端部は、環状の肩部(66)を含み、
前記環状の肩部(66)は、装置の基端部(22)に向けて凹入し、前記環状の凹入縁(96)と係合する
ことを特徴とする請求項8に記載の注射針保護装置。 - 前記保持手段(96、98、99)は、環状のリブ(98)をさらに含み、
前記環状のリブ(98)は、前記硬質シェル(80)の縦壁(88)の内表面に配置され、第1肩部分(58)と係合し、
前記第1肩部分(58)は、前記保護装置の先端部(24)に向けて凹入し、前記ハウジング(26)の第2区分(42)と同じ高さの前記キャップ(20)の側壁(28)の外表面に位置する
ことを特徴とする請求項7乃至9のいずれかに記載の注射針保護装置。
Applications Claiming Priority (3)
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