JP6480302B2 - 識別体及びid生成方法 - Google Patents

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Description

本発明は、所定の周波数で共振するアンテナを用いてIDを識別可能とする識別体及びID生成方法に関する。
昨今、情報化社会の進展に伴って、商品等に貼付されるラベルやタグに情報を記録し、このラベルやタグを用いて商品等の管理が行われている。このようなラベルやタグを用いた情報管理においては、ラベルやタグに対して非接触状態にて情報の書き込みや読み出しを行うことが可能なICチップが搭載された非接触型ICラベルや非接触型ICタグ等のRFID技術を利用した識別体がその優れた利便性から急速な普及が進みつつある。
このようなRFID技術を利用した識別体としては、上述したようにICチップが搭載されたものに限らず、導電性パターンからなる共振回路を用いたものも実用化されている。このような共振回路を用いたものにおいては、共振回路の共振周波数を変化させることで、その識別体が添付された商品等を管理することができる。
例えば、コイルと複数のコンデンサとが直列に接続された構成において、複数のコンデンサのうち任意のコンデンサを破壊することで、複数の共振周波数で共振可能となる共振タグが特許文献1に開示されている。この技術を用いれば、複数のコンデンサのうち任意のコンデンサを破壊することで共振周波数を変化させ、変化する共振周波数毎にIDを対応づけることにより、複数のIDを識別可能とすることができるようになる。
また、いわゆる万引き防止タグに利用されるものとして、商品等の清算時に加熱により共振回路の機能を停止させ、それにより、共振回路の共振周波数を検知できるか否かによって、商品等が清算済であるかどうかを判断できるようにする共振回路タグが、特許文献2に開示されている。
ところが、複数のコンデンサのうち任意のコンデンサを破壊することで共振周波数を変化させ、変化する共振周波数毎にIDを対応づけることにより、複数のIDを識別可能とするものにおいては、識別可能とするIDの数がコンデンサの数に限定されるため、識別可能とするIDの数を増やす場合、コンデンサの数を増やすこととなって識別体の面積やコストが増大してしまうという問題点がある。
また、加熱により共振回路の機能を停止させることで共振回路の共振周波数を検知できなくするものにおいては、共振周波数が検知できるかできないかの2種類のIDしか識別可能とならないという問題点がある。
そこで、本願出願人は、長手方向を有するアンテナや、長手方向を具備するスリットを有するアンテナに、絶縁層を介して導電性パターンをアンテナやスリットと交差させて重ね合わせることで、アンテナの共振周波数を変化させて多くのIDを識別可能とする技術を考え出した。この技術においては、導電性パターンによってアンテナを覆う領域を変えた場合にアンテナの共振周波数が変化することを利用し、アンテナのうちIDに応じた領域を導電性パターンで覆うことで多くのIDが識別可能となる。
特開2002−245429号公報 特許第3488547号公報
ところで、上述したようにアンテナのうちIDに応じた領域を導電性パターンで覆う場合、アンテナに対して導電性パターンの重ね合わせ位置がずれることが考えられる。ここで、識別可能となるIDは、アンテナのうち導電性パターンで覆われた領域に応じて決められるため、アンテナに対する導電性パターンの重ね合わせ位置がずれた場合、その重ね合わせ位置が再現されることなくずれていくこととなり、IDを正確に識別することができなくなってしまう虞れがある。
そこで、本願出願人は、さらに鋭意研究を行い、アンテナに対して導電性パターンの重ね合わせ位置がずれた場合でも、正しい重ね合わせ位置を再現できる識別体を見出した。
本発明は、アンテナのうちIDに応じた領域を導電性パターンで覆うことで共振周波数を異ならせてIDを識別可能とする識別体において、アンテナに対する導電性パターンの重ね合わせ位置がずれた場合でも正しい重ね合わせ位置を再現できる識別体及びID生成方法を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために本発明は、
手方向を具備し、給電点を有さずに所定の周波数で共振するアンテナと、
IDに応じた幅を具備して一方向に延びた導電性パターンが、前記一方向に交差する方向に一定のピッチで複数並べられてなる導電性パターン群とを有し、
前記複数の導電性パターンがそれぞれ前記アンテナの短手方向を跨ぐように該アンテナと絶縁状態で前記アンテナ上に重ね合わされることで、前記IDを識別可能とする識別体であって、
前記複数の導電性パターンは、該複数の導電性パターンのうち並び方向両端部となる2つの導電性パターンの互いの対向辺どうしの間隔が前記アンテナの長手方向の長さよりも広い。
上記のように構成された本発明においては、長手方向を具備し、給電点を有さずに所定の周波数で共振するアンテナ上に、IDに応じた幅を具備して一方向に延びた導電性パターンが、その一方向に交差する方向に一定のピッチで複数並べられてなる導電性パターン群が、複数の導電性パターンがそれぞれアンテナの短手方向を跨ぐようにアンテナと絶縁状態でアンテナ上に重ね合わされると、導電性パターンの幅に応じてアンテナの導電性パターンによって覆われた領域が変化し、それに応じてアンテナの共振周波数が変化する。そこで、その状態における共振周波数を検出すれば、IDを識別することができるようになる。ここで、導電性パターンは、その導電性パターンが延びる方向に交差する方向に一定のピッチで複数並べられており、かつ、複数の導電性パターンのうち並び方向両端部となる2つの導電性パターンの互いの対向辺どうしの間隔が、アンテナの長手方向の長さよりも広いため、複数の導電性パターンのうち、少なくとも1つの導電性パターンがアンテナに重ね合わされると、少なくとも、複数の導電性パターンの並び方向両端部となる2つの導電性パターンの一方がアンテナに重ね合わされていない状態となる。そのため、アンテナに対する導電性パターンの重ね合わせ位置が、複数の導電性パターンの並び方向にずれた場合でも、そのずれ量が複数の導電性パターンのピッチ分になると、アンテナに重ね合わされていなかった導電性パターンがアンテナに重ね合わされることで、アンテナのうち導電性パターンが重ね合わされた領域が、重ね合わせ位置がずれていない状態と同じものとなる。このようにして、アンテナに対する導電性パターンの重ね合わせ位置がずれた場合でも正しい重ね合わせ位置が再現されることで、IDが正確に識別可能となる。
また、長手方向を具備するスリットを有するアンテナを用いた場合は、複数の導電性パターンがそれぞれスリットの短手方向にアンテナを跨ぐように導電性パターン群がアンテナに重ね合わされることになるが、導電性パターンが、その導電性パターンが延びる方向に交差する方向に一定のピッチで複数並べられており、かつ、複数の導電性パターンのうち並び方向両端部となる2つの導電性パターンの互いの対向辺どうしの間隔が、スリットの長手方向の長さよりも広いことにより、アンテナに対する導電性パターンの重ね合わせ位置が、複数の導電性パターンの並び方向にずれた場合でも、上記同様に、そのずれ量が複数の導電性パターンのピッチ分になると、スリット上に重ね合わされていなかった導電性パターンがスリット上に重ね合わされることで、アンテナのうち導電性パターンが重ね合わされた領域が、重ね合わせ位置がずれていない状態と同じものとなり、アンテナに対する導電性パターンの重ね合わせ位置が再現され、IDが正確に識別可能となる。
本発明によれば、長手方向を具備するアンテナに重ね合わされる導電性パターンが、その導電性パターンが延びる方向に交差する方向に一定のピッチで複数並べられており、かつ、複数の導電性パターンのうち並び方向両端部となる2つの導電性パターンの互いの対向辺どうしの間隔が、アンテナの長手方向の長さよりも広いため、アンテナに対する導電性パターンの重ね合わせ位置が、複数の導電性パターンの並び方向にずれた場合でも、そのずれ量が複数の導電性パターンのピッチ分になると、アンテナに重ね合わされていなかった導電性パターンがアンテナに重ね合わされることで、アンテナのうち導電性パターンが重ね合わされた領域が、重ね合わせ位置がずれていない状態と同じものとなり、アンテナに対する導電性パターンの正しい重ね合わせ位置を再現することができる。
また、長手方向を具備するスリットを有するアンテナを用いたものにおいては、スリットの短手方向にアンテナを跨ぐように重ね合わされる導電性パターンが、その導電性パターンが延びる方向に交差する方向に一定のピッチで複数並べられており、かつ、複数の導電性パターンのうち並び方向両端部となる2つの導電性パターンの互いの対向辺どうしの間隔が、スリットの長手方向の長さよりも広いため、アンテナに対する導電性パターンの重ね合わせ位置が、複数の導電性パターンの並び方向にずれた場合でも、上記同様に、そのずれ量が複数の導電性パターンのピッチ分になると、スリット上に重ね合わされていなかった導電性パターンがスリット上に重ね合わされることで、アンテナのうち導電性パターンが重ね合わされた領域が、重ね合わせ位置がずれていない状態と同じものとなり、アンテナに対する導電性パターンの正しい重ね合わせ位置を再現することができる。
本発明の識別体の実施の一形態における一例を示す図であり、(a)は表面図、(b)は(a)に示したA−A’断面図、(c)は本体部のカバー部との積層面の構成を示す図である。 本発明の識別体の実施の一形態における他の例を示す図であり、(a)は表面図、(b)は(a)に示したA−A’断面図、(c)は本体部のカバー部との積層面の構成を示す図である。 図1及び図2に示したIDタグのIDを判別するID判別システムの一例を示す図である。 図1及び図2に示したIDタグからの反射強度を示す図である。 図1に示したIDタグにおいてアンテナに対する線状パターンの重ね合わせ位置がずれた状態を説明するための図である。 図2に示したIDタグにおいてアンテナに対する線状パターンの重ね合わせ位置がずれた状態を説明するための図である。 図1及び図2に示したIDタグにおいてアンテナと線状パターンとの重ね合わせ位置が図5及び図6に示したようにずれた場合の反射強度を示す図である。 本発明の識別体の他の実施の形態を示す図であり、(a)は表面図、(b)は(a)に示したA−A’断面図、(c)は本体部のカバー部との積層面の構成を示す図である。 本発明の識別体の他の実施の形態を示す図であり、(a)は表面図、(b)は(a)に示したA−A’断面図、(c)は本体部のカバー部との積層面の構成を示す図である。 本発明の識別体の他の実施の形態を示す図であり、(a)は表面図、(b)は(a)に示したA−A’断面図、(c)は本体部のカバー部との積層面の構成を示す図である。 本発明の識別体の他の実施の形態を示す図であり、(a)は表面図、(b)は(a)に示したA−A’断面図、(c)は本体部のカバー部との積層面の構成を示す図である。 図1及び図2に示したIDタグのIDを判別するID判別システムの他の例を示す図である。
以下に、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
図1は、本発明の識別体の実施の一形態における一例を示す図であり、(a)は表面図、(b)は(a)に示したA−A’断面図、(c)は本体部10のカバー部20との積層面の構成を示す図である。
本例の識別体は図1に示すように、本体部10とカバー部20とが重ね合わされてなるIDタグ1である。
本体部10は、フィルムや紙等からなる長方形のベース基材11の表面に、ベース基材11の長手方向に延びた帯状形状のアンテナ12が形成されて構成されている。これにより、アンテナ12は、長手方向を具備する形状となっており、給電点を有さない構成であり、その形状に応じた周波数で共振する。
カバー部20は、フィルムや紙等からなる長方形のベース基材21の表面に、導電性パターンである11個の線状パターン22a〜22kが形成されて構成されている。線状パターン22a〜22kは、互いに同一形状を有し、一定の幅を具備する線状形状であり、ベース基材21の短手方向に延び、ベース基材21の長手方向に一定のピッチでベース基材21に形成されている。これにより、線状パターン22a〜22kは、線状パターン22a〜22kが延びる方向と交差する方向に一定のピッチで形成されている。これら線状パターン22a〜22kから導電性パターン群が構成される。
上記のように構成された本体部10とカバー部20とが、本体部10のアンテナ12が形成された面と、カバー部20の線状パターン22a〜22kが形成されていない面とが対向するように重ね合わされることになる。その際、線状パターン22a〜22kのうち、両端部からそれぞれ2番目となる線状パターン22b,22jの互いの対向辺どうしの間隔が、アンテナ12の長手方向の長さよりも広いため、本体部10とカバー部20とがずれずに重ね合わされた場合に、線状パターン22a〜22kのうち、線状パターン22c〜22iがアンテナ12に重なり合い、線状パターン22a,22b,22j,22kがアンテナ12と重なり合わない状態となる。そして、線状パターン22a〜22kの長さがアンテナ12の短手方向の長さよりも長いことから、線状パターン22c〜22iは、線状パターン22c〜22iが延びる方向にてアンテナ12を跨ぐようにベース基材21を介してアンテナ12上に重ね合わされることとなる。
上記のように構成されたIDタグ1は、アンテナ12がその形状に応じた周波数で共振するものの、上述したように線状パターン22a〜22kがアンテナ12に重ね合わされた状態においては、アンテナ12の線状パターン22a〜22kによって覆われた領域に応じて共振周波数が変化する。そのため、線状パターン22a〜22kは、その幅及びその数がIDタグ1のIDに応じたものとなっている。
図2は、本発明の識別体の実施の一形態における他の例を示す図であり、(a)は表面図、(b)は(a)に示したA−A’断面図、(c)は本体部110のカバー部120との積層面の構成を示す図である。
本例の識別体は図2に示すように、図1に示したIDタグ1と同様に、本体部110とカバー部120とが重ね合わされてなるIDタグ101である。
本体部110は、図1に示したIDタグ1の本体部110と同一の構成を有し、フィルムや紙等からなる長方形のベース基材111の表面に、ベース基材111の長手方向に延びた帯状形状のアンテナ112が形成されて構成されている。
カバー部120は、図1に示したIDタグ1のカバー部20と同様に、フィルムや紙等からなる長方形のベース基材121の表面に導電性パターンである線状パターン122a〜122kが形成されて構成されているが、線状パターン122a〜122kの幅が図1に示したIDタグ1における線状パターン22a〜22kの幅よりも広くなっている。このように構成されたカバー部120においても、図1に示したIDタグ1と同様に、線状パターン122a〜122kは、ベース基材121の短手方向に延び、ベース基材121の長手方向に一定のピッチでベース基材121に形成されていることにより、線状パターン122a〜122kが延びる方向と交差する方向に一定のピッチで形成されている。そして、これら線状パターン122a〜122kから導電性パターン群が構成される。
上記のように構成された本体部110とカバー部120とが、本体部110のアンテナ112が形成された面と、カバー部120の線状パターン122a〜122kが形成されていない面とが対向するように重ね合わされることになる。その際、線状パターン122a〜122kのうち、両端部からそれぞれ2番目となる線状パターン122b,122jの互いの対向辺どうしの間隔が、アンテナ112の長手方向の長さよりも広いため、本体部110とカバー部120とがずれずに重ね合わされた場合に、線状パターン122a〜122kのうち、線状パターン122c〜122iがアンテナ112に重なり合い、線状パターン122a,122b,122j,122kがアンテナ112と重なり合わない状態となる。そして、線状パターン122a〜122kの長さがアンテナ112の短手方向の長さよりも長いことから、線状パターン122c〜122iは、線状パターン122c〜122iが延びる方向にてアンテナ112を跨ぐようにベース基材121によってアンテナ112と絶縁状態で重ね合わされることとなる。
上記のように構成されたIDタグ101は、アンテナ112がその形状に応じた周波数で共振するものの、上述したように線状パターン122a〜122kがアンテナ112に重ね合わされた状態においては、アンテナ112の線状パターン122a〜122kによって覆われた領域に応じて共振周波数が変化する。そのため、線状パターン122a〜122kは、その幅及びその数がIDタグ101のIDに応じたものとなっている。
以下に、上記のように構成されたIDタグ1,101を用いたID判別方法について説明する。
図3は、図1及び図2に示したIDタグ1,101のIDを判別するID判別システムの一例を示す図である。なお、図3においては、IDタグ101の図示を省略しているが、IDタグ1と同様に、読取器40から放射された電磁波がIDタグ101にて反射することとなる。
本例におけるID判別システムは図3に示すように、図1に示したIDタグ1と、IDタグ1のIDを判別する読取器40とから構成され、読取器40は、送受信アンテナ41と、電磁波放射部42と、反射強度検知部43と、ID判別部44とを有している。
電磁波放射部42は、IDタグ1,101のアンテナ12,112の共振周波数を含む周波数帯をスイープしながら当該周波数帯の電磁波を送受信アンテナ41を介して放射する。
反射強度検知部43は、電磁波放射部42から放射された電磁波に対して送受信アンテナ41を介して受信された反射波における反射強度を検知する。
ID判別部44は、反射強度検知部43にて検知された反射強度によってIDタグ1,101におけるアンテナの共振周波数を検出し、この共振周波数の検出結果に基づいて、IDタグ1,101に付与されたIDを判別する。
以下に、図3に示したID判別システムにおいて、図1及び図2に示したIDタグ1,101のIDを判別する方法について具体的に説明する。
図4は、図1及び図2に示したIDタグ1,101からの反射強度を示す図である。
図1に示したIDタグ1に対して、本体部10とカバー部20とが重ね合わされた状態において、電磁波放射部42から、アンテナ12の共振周波数を含む周波数の電磁波が送受信アンテナ41を介して放射されると、図4中実線で示すように、反射強度検知部43において、f1にピーク値を有する反射強度が検知される。この反射強度がピークとなる周波数f1は、アンテナ12に線状パターン22c〜22iが重ね合わされることでアンテナ12の共振周波数が一定量だけシフトしたものである。
一方、図2に示したIDタグ101に対して、本体部110とカバー部120とが重ね合わされた状態において、電磁波放射部42から、アンテナ112の共振周波数を含む周波数の電磁波が送受信アンテナ41を介して放射されると、図4中破線で示すように、反射強度検知部43において、f2にピーク値を有する反射強度が検知される。この反射強度がピークとなる周波数f2は、アンテナ112に線状パターン122c〜122iが重ね合わされることでアンテナ112の共振周波数が一定量だけシフトしたものである。
ここで、図1に示したIDタグ1と図2に示したIDタグ101とは、アンテナ12,112の形状が同一であることからアンテナ12,112単体での共振周波数は同一であるものの、線状パターン22a〜22k,122a〜122kの幅が互いに異なることで、アンテナ12,112の線状パターン22c〜22i,122c〜122iによって覆われる領域が互いに異なることとなり、それにより、図4に示すように、アンテナ12,112の共振周波数が互いに異なるものとなる。
そこで、本体部10,110に重ね合わされるカバー部20,120の線状パターン22a〜22k,122a〜122kの幅を変えることにより、IDタグ1,101毎に異なるIDを生成し、ID判別部44において、反射強度検知部43にて検知された反射強度のピーク値に基づいて、IDタグ1,101に付与されたIDを判別することができる。
ところで、本体部10,110とカバー部20,120とを重ね合わせる場合、アンテナ12,112に対する線状パターン22a〜22k,122a〜122kの重ね合わせ位置がずれることが考えられる。その際、IDタグ1,101によって識別可能とするIDは、アンテナ12,112のうち線状パターン22a〜22k,122a〜122kで覆われた領域に応じて決められるため、そのずれ量によっては、反射強度検知部43において検知される反射強度のピーク値が、IDタグ1,101によって識別可能とするIDとは異なるIDに応じたものとなってしまう虞れがある。
以下に、図1及び図2に示したIDタグ1,101において、アンテナ12,112に対する線状パターン22a〜22k,122a〜122kの重ね合わせ位置がずれた場合の作用について説明する。
図5は、図1に示したIDタグ1においてアンテナ12に対する線状パターン22a〜22kの重ね合わせ位置がずれた状態を説明するための図である。
図1に示したIDタグ1においてアンテナ12に対する線状パターン22a〜22kの重ね合わせ位置がずれることなく本体部10とカバー部20とが重ね合わされると、図5(a)に示すように、線状パターン22a〜22kのうち、線状パターン22c〜22iがアンテナ12に重なり合い、線状パターン22a,22b,22j,22kがアンテナ12と重なり合わない状態となる。
これに対して、本体部10に対してカバー部20が線状パターン22a〜22kの1/2ピッチ分だけ図5中右側にずれて重ね合わされると、図5(b)に示すように、線状パターン22a〜22kのうち、線状パターン22b〜22iがアンテナ12に重なり合い、線状パターン22a,22j,22kがアンテナ12と重なり合わない状態となる。この際、線状パターン22b〜22iがアンテナ12と重なり合う位置が、図5(a)に示した状態に対して線状パターン22a〜22kの1/2ピッチ分だけずれることとなる。
さらに図5(b)に示した状態から、本体部10に対してカバー部20が線状パターン22a〜22kの1/2ピッチ分だけ図5中右側にずれて重ね合わされると、図5(c)に示すように、線状パターン22a〜22kのうち、線状パターン22b〜22hがアンテナ12に重なり合い、線状パターン22a,22i〜22kがアンテナ12と重なり合わない状態となる。この際、線状パターン22b〜22hがアンテナ12と重なり合う位置が、図5(b)に示した状態に対して線状パターン22a〜22kの1/2ピッチ分だけずれることとなる。そのため、アンテナ12に対する線状パターン22a〜22kの重ね合わせ位置がずれることなく本体部10とカバー部20とが重ね合わされた場合にアンテナ12のうち線状パターンが重ね合わされた領域に、線状パターンが重ね合わされた状態となる。具体的には、アンテナ12に対する線状パターン22a〜22kの重ね合わせ位置がずれることなく本体部10とカバー部20とが重ね合わされた場合、すなわち図5(a)に示した状態にてアンテナ12の線状パターン22cが重ね合わされた領域に、図5(a)に示した状態にてアンテナ12に重ね合わされていなかった線状パターン22bが重ね合わされ、また、図5(a)に示した状態にてアンテナ12の線状パターン22dが重ね合わされた領域に線状パターン22cが重ね合わされ、また、図5(a)に示した状態にてアンテナ12の線状パターン22eが重ね合わされた領域に線状パターン22dが重ね合わされ、また、図5(a)に示した状態にてアンテナ12の線状パターン22fが重ね合わされた領域に線状パターン22eが重ね合わされ、また、図5(a)に示した状態にてアンテナ12の線状パターン22gが重ね合わされた領域に線状パターン22fが重ね合わされ、また、図5(a)に示した状態にてアンテナ12の線状パターン22hが重ね合わされた領域に線状パターン22gが重ね合わされ、また、図5(a)に示した状態にてアンテナ12の線状パターン22iが重ね合わされた領域に線状パターン22hが重ね合わされた状態となる。
これは、線状パターン22a〜22kがアンテナ12の長手方向に一定のピッチで並べられており、かつ、線状パターン22a〜22kのうち、両端部からそれぞれ2番目となる線状パターン22b,22jの互いの対向辺どうしの間隔が、アンテナ12の長手方向の長さよりも広いことで、アンテナ12に対する線状パターン22a〜22kの重ね合わせ位置が、線状パターン22a〜22kの並び方向にずれた場合でも、そのずれ量が線状パターン22a〜22kのピッチ分になる度に、アンテナ12上うち線状パターン22a〜22kが重ね合わされた領域が、重ね合わせ位置がずれていない状態と同じものとなり、アンテナ12と線状パターン22a〜22kとの重ね合わせ位置が再現されるためである。すなわち、図1に示したIDタグ1においては、アンテナ12に対する線状パターン22a〜22kの重ね合わせ位置が、線状パターン22a〜22kの並び方向にずれた場合でも、アンテナ12上のうち線状パターン22a〜22kによって覆われる領域のずれ量は、最大でも線状パターン22a〜22kの1/2ピッチ分となる。
図6は、図2に示したIDタグ101においてアンテナ112に対する線状パターン122a〜122kの重ね合わせ位置がずれた状態を説明するための図である。
図2に示したIDタグ101においてアンテナ112に対する線状パターン122a〜122kの重ね合わせ位置がずれることなく本体部110とカバー部120とが重ね合わされると、図6(a)に示すように、線状パターン122a〜122kのうち、線状パターン122c〜122iがアンテナ112に重なり合い、線状パターン122a,122b,122j,122kがアンテナ112と重なり合わない状態となる。
これに対して、本体部110に対してカバー部120が線状パターン122a〜122kの1/2ピッチ分だけ図6中右側にずれて重ね合わされると、図6(b)に示すように、線状パターン122a〜122kのうち、線状パターン122b〜122iがアンテナ112に重なり合い、線状パターン122a,122j,122kがアンテナ112と重なり合わない状態となる。この際、線状パターン122b〜122iがアンテナ112と重なり合う位置が、図6(a)に示した状態に対して線状パターン122a〜122kの1/2ピッチ分だけずれることとなる。
さらに図6(b)に示した状態から、本体部110に対してカバー部120が線状パターン122a〜122kの1/2ピッチ分だけ図6中右側にずれて重ね合わされると、図6(c)に示すように、線状パターン122a〜122kのうち、線状パターン122b〜122hがアンテナ112に重なり合い、線状パターン122a,122i〜122kがアンテナ112と重なり合わない状態となる。この際、線状パターン122b〜122hがアンテナ112と重なり合う位置が、図6(b)に示した状態に対して線状パターン122a〜122kの1/2ピッチ分だけずれることとなる。そのため、アンテナ112に対する線状パターン122a〜122kの重ね合わせ位置がずれることなく本体部110とカバー部120とが重ね合わされた場合にアンテナ112のうち線状パターンが重ね合わされた領域に、線状パターンが重ね合わされた状態となる。具体的には、アンテナ112に対する線状パターン122a〜122kの重ね合わせ位置がずれることなく本体部110とカバー部120とが重ね合わされた場合、すなわち図6(a)に示した状態にてアンテナ112の線状パターン122cが重ね合わされた領域に、図6(a)に示した状態にてアンテナ112に重ね合わされていなかった線状パターン122bが重ね合わされ、また、図6(a)に示した状態にてアンテナ112の線状パターン122dが重ね合わされた領域に線状パターン122cが重ね合わされ、また、図6(a)に示した状態にてアンテナ112の線状パターン122eが重ね合わされた領域に線状パターン122dが重ね合わされ、また、図6(a)に示した状態にてアンテナ112の線状パターン122fが重ね合わされた領域に線状パターン122eが重ね合わされ、また、図6(a)に示した状態にてアンテナ112の線状パターン122gが重ね合わされた領域に線状パターン122fが重ね合わされ、また、図6(a)に示した状態にてアンテナ112の線状パターン122hが重ね合わされた領域に線状パターン122gが重ね合わされ、また、図6(a)に示した状態にてアンテナ112の線状パターン122iが重ね合わされた領域に線状パターン122hが重ね合わされた状態となる。
これは、図1に示したIDタグ1と同様に、線状パターン122a〜122kがアンテナ112の長手方向に一定のピッチで並べられており、かつ、線状パターン122a〜122kのうち、両端部からそれぞれ2番目となる線状パターン122b,122jの互いの対向辺どうしの間隔が、アンテナ112の長手方向の長さよりも広いことで、アンテナ112に対する線状パターン122a〜122kの重ね合わせ位置が、線状パターン122a〜122kの並び方向にずれた場合でも、そのずれ量が線状パターン122a〜122kのピッチ分になる度に、アンテナ112上うち線状パターン122a〜122kが重ね合わされた領域が、重ね合わせ位置がずれていない状態と同じものとなり、アンテナ112と線状パターン122a〜122kとの重ね合わせ位置が再現されるためである。すなわち、図6に示したIDタグ101においては、アンテナ112に対する線状パターン122a〜122kの重ね合わせ位置が、線状パターン122a〜122kの並び方向にずれた場合でも、アンテナ112上のうち線状パターン122a〜122kによって覆われる領域のずれ量は、最大でも線状パターン122a〜122kの1/2ピッチ分となる。
図7は、図1及び図2に示したIDタグ1,101においてアンテナ12,112と線状パターン22a〜22k,122a〜122kとの重ね合わせ位置が図5及び図6に示したようにずれた場合の反射強度を示す図である。
図1に示したIDタグ1に対して、アンテナ12に対する線状パターン22a〜22kの重ね合わせ位置がずれることなく本体部10とカバー部20とが重ね合わされた状態において、アンテナ12の共振周波数を含む周波数の電磁波が放射されると、図7中実線で示すように、f1にピーク値を有する反射強度が検知される。
これに対して、本体部10に対してカバー部20が線線状パターン22a〜22kの並び方向に線状パターン22a〜22kの1/2ピッチ分だけずれて重ね合わされた状態において、アンテナ12の共振周波数を含む周波数の電磁波が放射されると、図7中一点鎖線で示すように、アンテナ12上の線状パターンで覆われる領域のずれによって共振周波数が低周波数側にシフトした場合にf1Lにピーク値を有する反射強度が検知され、また、共振周波数が高周波数側にシフトした場合にf1Hにピーク値を有する反射強度が検知される。
そして、アンテナ12上のうち線状パターン22a〜22kによって覆われる領域の最大のずれ量が、上述したように線状パターン22a〜22kの1/2ピッチ分となることから、反射強度がピークとなる周波数f1に対するずれ量は、最大でもf1L〜f1Hの範囲|となる。そのため、図1に示したIDタグ1においては、アンテナ12に対する線状パターン22a〜22kの重ね合わせ位置が、線状パターン22a〜22kの並び方向にずれた場合でも、検出される反射強度がピークとなる周波数は、f1L〜f1Hの範囲のものとなる。このように、アンテナ12に対して線状パターン22a〜22kの重ね合わせ位置が線状パターン22a〜22kの並び方向にずれた場合でも共振周波数が大きく変化することがある。
一方、図2に示したIDタグ1に対して、アンテナ112に対する線状パターン122a〜122kの重ね合わせ位置がずれることなく本体部110とカバー部120とが重ね合わされた状態において、アンテナ112の共振周波数を含む周波数の電磁波が放射されると、図7中破線で示すように、f2にピーク値を有する反射強度が検知される。
これに対して、本体部110に対してカバー部120が線線状パターン122a〜122kの並び方向に線状パターン122a〜122kの1/2ピッチ分だけずれて重ね合わされた状態において、アンテナ112の共振周波数を含む周波数の電磁波が放射されると、図7中二点鎖線で示すように、アンテナ112上の線状パターンで覆われる領域のずれによって共振周波数が低周波数側にシフトした場合にf2Lにピーク値を有する反射強度が検知され、また、共振周波数が低周波数側にシフトした場合にf2Hにピーク値を有する反射強度が検知される。
そして、アンテナ112上のうち線状パターン122a〜122kによって覆われる領域の最大のずれ量が、上述したように線状パターン122a〜122kの1/2ピッチ分となることから、反射強度がピークとなる周波数f2に対するずれ量は、最大でもf2L〜f2Hの範囲となる。そのため、図2に示したIDタグ101においては、アンテナ112に対する線状パターン122a〜122kの重ね合わせ位置が、線状パターン122a〜122kの並び方向にずれた場合でも、検出される反射強度がピークとなる周波数は、f2L〜f2Hの範囲のものとなる。このように、アンテナ112に対して線状パターン122a〜122kの重ね合わせ位置が線状パターン122a〜122kの並び方向にずれた場合でも共振周波数が大きく変化することがある。
そこで、図3に示したID判別部44において、図1に示したIDタグ1については、アンテナ12に対する線状パターン22a〜22kの重ね合わせ位置がずれることなく本体部10とカバー部20とが重ね合わされた状態において検出される反射強度がピークとなる周波数f1に対してf1L〜f1Hの範囲に固有のIDを対応づけておくことで、アンテナ12に対する線状パターン22a〜22kの重ね合わせ位置が、線状パターン22a〜22kの並び方向にずれた場合でも、IDタグ1のIDを正確に識別可能とすることができる。
また、ID判別部44において、図2に示したIDタグ101については、アンテナ112に対する線状パターン122a〜122kの重ね合わせ位置がずれることなく本体部110とカバー部120とが重ね合わされた状態において検出される反射強度がピークとなる周波数f2に対してf2L〜f2Hの範囲に固有のIDを対応づけておくことで、アンテナ112に対する線状パターン122a〜122kの重ね合わせ位置が、線状パターン122a〜122kの並び方向にずれた場合でも、IDタグ101のIDを正確に識別可能とすることができる。
そして、IDとして識別するための周波数の差を、ピークとなる周波数の範囲よりも大きくすることにより、これらの反射強度がピークとなる周波数f1L〜f1Hの範囲とf2L〜f2Hの範囲とを区別して識別可能としておくことで、IDタグ1に付与されたIDとIDタグ101に付与されたIDとを識別することができる。
なお、図1及び図2に示したIDタグ1,101においては、アンテナ12,112に重ね合わされる線状パターン22a〜22k,122a〜122kの幅を互いに異ならせることで、識別可能となるIDを異ならせているが、線状パターンの数及びそれによるピッチを互いに異ならせることによっても、識別可能となるIDを異ならせてもよい。ただしその場合、線状パターンのピッチが互いに異なることで、上述したようなピーク値の許容範囲が互いに異なることとなる。
また、上述したIDタグ1,101においては、線状パターン22a〜22k,122a〜122kのうち、両端部からそれぞれ2番目となる線状パターン22b,22j,122b,122jの互いの対向辺どうしの間隔が、アンテナ12,112の長手方向の長さよりも広くなっており、また、線状パターン22a〜22k,122a〜122kが、線状パターン22a〜22k,122a〜122kからなる導電性パターン群がアンテナ12,112上に重ね合わされた場合にアンテナ12,112に7つか8つの線状パターンが重なり合うピッチで配置されているが、本発明においては、線状パターン22a〜22k,122a〜122kのうち、少なくとも、両端部となる線状パターン22a,22k,122a,122kの互いの対向辺どうしの間隔がアンテナ12,112の長手方向の長さよりも広ければ、上記同様の効果を得ることができる。
(他の実施の形態)
図8は、本発明の識別体の他の実施の形態を示す図であり、(a)は表面図、(b)は(a)に示したA−A’断面図、(c)は本体部310のカバー部320との積層面の構成を示す図である。
本形態の識別体は図8に示すように、図1に示したものに対して、カバー部320においてベース基材311上に3つの線状パターン322a〜322cしか形成されていない点が異なるIDタグ301である。そして、線状パターン322a〜322cの並び方向両端部となる線状パターン322a,322cの互いの対向辺の間隔が、アンテナ312の長手方向の長さよりも広くなっている。
上記のように構成されたカバー部320が本体部310に重ね合わされると、線状パターン322a〜322cのうち、並び方向中央に位置する線状パターン322bのみがアンテナ312に重なり合い、並び方向両端部となる線状パターン322a,322cは、アンテナ312と重なり合わない状態となる。
この状態から、本体部310に対してカバー部320が図8中右側にずれていくと、線状パターン322bがアンテナ312に重なり合わず、かつ、線状パターン322aがアンテナ312に重なり合うようになる。そして、本体部310に対してカバー部320が図8中右側に線状パターン322a〜322cの1ピッチ分ずれると、アンテナ312の線状パターン322bが重なり合っていた領域に線状パターン322aが重なり合った状態となり、アンテナ312と線状パターン322a〜322cとの重ね合わせ位置が再現されることとなる。
図9は、本発明の識別体の他の実施の形態を示す図であり、(a)は表面図、(b)は(a)に示したA−A’断面図、(c)は本体部410のカバー部420との積層面の構成を示す図である。
本形態の識別体は図9に示すように、図1に示したものに対して、カバー部420においてベース基材411上に3つの線状パターン422a〜422cしか形成されていない点が異なるIDタグ401である。そして、線状パターン422a〜422cの並び方向両端部となる線状パターン422a,422cの互いの対向辺の間隔が、アンテナ412の長手方向の長さよりも広くなっている。
上記のように構成されたカバー部420が本体部410に重ね合わされると、線状パターン422a〜422cのうち、線状パターン422aのみがアンテナ412と重なり合わず、他の2つの線状パターン422b,422cがアンテナ312に重なり合った状態となる。
この状態から、本体部410に対してカバー部420が図9中右側にずれていくと、線状パターン422cがアンテナ412に重なり合わず、かつ、線状パターン422aがアンテナ412に重なり合うようになる。そして、本体部410に対してカバー部420が図9中右側に線状パターン422a〜422cの1ピッチ分ずれると、アンテナ412の線状パターン422cが重なり合っていた領域に線状パターン422bが重なり合うとともに、線状パターン422bが重なり合っていた領域に線状パターン422aが重なり合った状態となり、アンテナ412と線状パターン422a〜422cとの重ね合わせ位置が再現されることとなる。
図10は、本発明の識別体の他の実施の形態を示す図であり、(a)は表面図、(b)は(a)に示したA−A’断面図、(c)は本体部510のカバー部520との積層面の構成を示す図である。
本形態の識別体は図10に示すように、図1に示したものに対して、カバー部520においてベース基材511上に2つの線状パターン522a,522bしか形成されていない点が異なるIDタグ501である。そして、2つの線状パターン522a,522bの互いの対向辺の間隔が、アンテナ512の長手方向の長さよりも広くなっている。
上記のように構成されたカバー部520が本体部510に重ね合わされると、線状パターン522a,522bのうち、線状パターン522bのみがアンテナ512に重なり合い、線状パターン522bがアンテナ512と重なり合わない状態となる。
この状態から、本体部510に対してカバー部520が図10中右側にずれていくと、線状パターン522bがアンテナ512に重なり合わず、かつ、線状パターン522aがアンテナ512に重なり合うようになる。そして、本体部510に対してカバー部520が図10中右側に線状パターン522a,522bの1ピッチ分ずれると、アンテナ512の線状パターン522bが重なり合っていた領域に線状パターン522aが重なり合った状態となり、アンテナ512と線状パターン522a,522bとの重ね合わせ位置が再現されることとなる。
図11は、本発明の識別体の他の実施の形態を示す図であり、(a)は表面図、(b)は(a)に示したA−A’断面図、(c)は本体部210のカバー部220との積層面の構成を示す図である。
本形態の識別体は図11に示すように、図1及び図2に示したものに対して、アンテナ212にスリット213が形成されている点が異なるIDタグ201である。
スリット213は、長方形のアンテナ212の長手方向の端部から形成され、直角に折れ曲がった後、アンテナ21の短手方向に延びている。
線状パターン222a〜222hは、図1及び図2に示したものと同様に、線状パターン222a〜222hが延びる方向に交差する方向に一定のピッチで複数並べられているが、線状パターン222a〜222hのうち、両端部となる線状パターン222a,222hの互いの対向辺どうしの間隔が、アンテナ212ではなくスリット213の長手方向の長さよりも広くなっている。このように構成された線状パターン222a〜222hは、本体部210とカバー部220とが重ね合わされると、スリット213の短手方向にアンテナ212を跨ぐようにベース基材221によってアンテナ212と絶縁状態で重ね合わされた状態となる。
上記のように構成されたIDタグ201においては、アンテナ212のうちスリット213上において、線状パターン222a〜222hによって覆われる領域に応じて共振周波数が変化し、その共振周波数によってIDが識別可能となるが、線状パターン222a〜222hが、線状パターン222a〜222hが延びる方向に交差する方向に一定のピッチで並べられており、かつ、線状パターン222a〜222hのうち、両端部となる線状パターン222a,222hの互いの対向辺どうしの間隔が、スリット213の長手方向の長さよりも広くなっているため、アンテナ212に対する線状パターン222a〜222hの重ね合わせ位置が、線状パターン222a〜222hの並び方向にずれた場合でも、そのずれ量が線状パターン222a〜222hのピッチ分になると、アンテナ212上うち線状パターン222a〜222hが重ね合わされた領域が、重ね合わせ位置がずれていない状態と同じものとなり、アンテナ212と線状パターン222a〜222hとの重ね合わせ位置が再現されることとなり、IDタグ201のIDを正確に識別可能とすることができる。
なお、上述した実施の形態においては、ベース基材上に導電性パターンとして複数の線状パターンが、線状パターンが延びる方向と交差する方向に一定のピッチで並んで配置されたIDタグを例に挙げて説明したが、上述した複数の線状パターンに複数の線状パターンが交差してなるメッシュ状のものや、複数の面状パターンがマトリックス状に互い違いに配置されたモザイク状のものであってもよい。モザイク状のものにおいては、互い違いに隣接する面状パターンどうしが接続されていることから、一方向に延びた導電性パターンがこの一方向に交差する方向に一定のピッチで複数並べられてなるものとみなすことができる。
また、上述した実施の形態においては、アンテナ上にベース基材を介して線状パターンを重ね合わせることで、線状パターンが、アンテナと絶縁状態で重ね合わされているが、例えば、線状パターンが形成された板状部材に、この板状部材よりも厚さが厚い枠部材を取り付け、線状パターンとアンテナとが互いに交差するようにこれらを重ね合わせた場合に、線状パターンとアンテナとが枠部材の厚さによって空気層を介して重なり合うことで、これら線状パターンがアンテナと絶縁状態で重ね合わされた構成としてもよい。
また、上述した実施の形態においては、アンテナまたはスリットの短手方向を跨ぐように一方向に延びた直線状の線状パターンが導電性パターンとしてアンテナ上に重ね合わされているが、線状パターンの形状は、全体的に一方向に延びるものであれば、湾曲していたり、波型やジグザグ型となっていたりしてもよい。
図12は、図1及び図2に示したIDタグ1,101のIDを判別するID判別システムの他の例を示す図である。なお、図12においては、IDタグ101の図示を省略しているが、IDタグ1と同様に、読取器140から放射された電磁波がIDタグ101にて反射することとなる。
本例におけるID判別システムは図12に示すように、図1に示したIDタグ1と、IDタグ1のIDを判別する読取器140とから構成され、読取器140は、送信アンテナ141aと、受信アンテナ141bと、電磁波放射部142と、反射強度検知部143と、制御部144とを有している。
電磁波放射部142は、IDタグ1,101のアンテナ12,112の共振周波数を含む周波数帯をスイープしながら当該周波数帯の電磁波を送信アンテナ141aを介して放射する。
反射強度検知部143は、電磁波放射部142から放射された電磁波に対して受信アンテナ141bを介して受信された反射波における反射強度を検知する。
制御部144は、電磁波放射部142から放射する電磁波の周波数帯を制御するとともに、反射強度検知部143にて検知された反射強度によってIDタグ1,101におけるアンテナの共振周波数を検出し、この共振周波数の検出結果に基づいて、IDタグ1,101に付与されたIDを判別する。
上記のように構成されたID判別システムを用いても、上述した実施の形態にて示したIDタグのIDを判別することができる。
1,101,201,301,401,501 IDタグ
10,110,210,310,410,510 本体部
11,21,111,121,211,221,311,321,411,421,511,521 ベース基材
12,112,212,212,412,512 アンテナ
20,120,220,320,420,520 カバー部
22a〜22k,122a〜122g,222a〜222h,322a〜322c,422a〜422c,522a,522b 線状パターン
40,140 読取器
41 送受信アンテナ
42,142 電磁波放射部
43,143 反射強度検知部
44 ID判別部
141a 送信アンテナ
141b 受信アンテナ
144 制御部
213 スリット

Claims (4)

  1. 手方向を具備し、給電点を有さずに所定の周波数で共振するアンテナと、
    IDに応じた幅を具備して一方向に延びた導電性パターンが、前記一方向に交差する方向に一定のピッチで複数並べられてなる導電性パターン群とを有し、
    前記複数の導電性パターンがそれぞれ前記アンテナの短手方向を跨ぐように該アンテナと絶縁状態で前記アンテナ上に重ね合わされることで、前記IDを識別可能とする識別体であって、
    前記複数の導電性パターンは、該複数の導電性パターンのうち並び方向両端部となる2つの導電性パターンの互いの対向辺どうしの間隔が前記アンテナの長手方向の長さよりも広い、識別体。
  2. 手方向を具備するスリットを有し、給電点を有さずに所定の周波数で共振するアンテナと、
    IDに応じた幅を具備して一方向に延びた導電性パターンが、前記一方向に交差する方向に一定のピッチで複数並べられてなる導電性パターン群とを有し、
    前記複数の導電性パターンがそれぞれ前記スリットの短手方向に前記アンテナを跨ぐように該アンテナと絶縁状態で前記アンテナ上に重ね合わされることで、前記IDを識別可能とする識別体であって、
    前記複数の導電性パターンは、該複数の導電性パターンのうち並び方向両端部となる2つの導電性パターンの互いの対向辺どうしの間隔が前記スリットの長手方向の長さよりも広い、識別体。
  3. 長手方向を具備し、給電点を有さずに所定の周波数で共振するアンテナを用いてIDを生成するID生成方法であって、
    IDに応じた幅を具備して一方向に延びた導電性パターンが、前記一方向に交差する方向に一定のピッチで複数並べられてなり、当該複数の導電性パターンのうち並び方向両端部となる2つの導電性パターンの互いの対向辺どうしの間隔が前記アンテナの長手方向の長さよりも広い導電性パターン群を、前記複数の導電性パターンがそれぞれ前記アンテナの短手方向を跨ぐように絶縁層を介して前記アンテナ上に重ね合わせることで前記IDを生成する、ID生成方法。
  4. 長手方向を具備するスリットを有し、給電点を有さずに所定の周波数で共振するアンテナを用いてIDを生成するID生成方法であって、
    IDに応じた幅を具備して一方向に延びた導電性パターンが、前記一方向に交差する方向に一定のピッチで複数並べられてなり、当該複数の導電性パターンのうち並び方向両端部となる2つの導電性パターンの互いの対向辺どうしの間隔が前記スリットの長手方向の長さよりも広い導電性パターン群を、前記複数の導電性パターンがそれぞれ前記スリットの短手方向に前記アンテナを跨ぐように絶縁層を介して前記アンテナ上に重ね合わせることで前記IDを生成する、ID生成方法。
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