JP6480019B2

JP6480019B2 - ステンレス鋼材料の表面酸化物被膜の酸洗添加剤及び製造、並びに酸洗方法

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Publication number: JP6480019B2
Application number: JP2017561750A
Authority: JP
Inventors: 文娟李
Original assignee: 山西艾尓徳添加剤新技術有限公司
Priority date: 2016-06-22
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Publication date: 2019-03-06
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Description

本発明は金属表面の酸化物被膜処理の技術分野に属し、具体的に、ステンレス鋼材料の表面酸化物被膜の酸洗添加剤及び製造、並びに酸洗方法に関する。

熱間圧延ステンレス鋼の表面酸化物被膜の除去はステンレス鋼の生産過程に必要な工程である。ステンレス鋼には鉄、クロム、ニッケル及び少量のカーボン、シリコンや硫黄を含有する以外、必要に応じてマンガン、チタン、モリブデン、銅、ニオブ、アルミニウム等の元素を添加する必要があり、これらの元素は製錬、熱間圧延、熱処理等の工程において、不可避的に酸化されてＦｅＯ、Ｆｅ_２Ｏ_３、Ｆｅ_３Ｏ_４、Ｃｒ_２Ｏ_３、ＮｉＯ、ＳｉＯ_２、Ｃｒ_２Ｏ_３・ＦｅＯ（クロムスピネル）、ＮｉＯ・Ｆｅ_２Ｏ_３（ニッケルスピネル）などの酸化物を生成することになる。

また、ステンレス鋼の加熱アニール時の温度又はアニール時の保護雰囲気が異なる場合、ステンレス鋼の酸化層の成分と構造にも明らかな影響を与え、そのため、ステンレス鋼の表面酸化物被膜の厚み及び層数は炭素鋼よりも複雑であり、構造が緻密で、基材との付着力が高く、除去しにくい。したがって、高温溶融塩の化学環境において、強酸化剤（硝酸ナトリウム）又は強還元剤（水素化ナトリウム）を用いて４００−５５０℃でスピネルに酸化還元反応を行って、スピネル構造を破壊し、酸化物被膜を緩めて、さらに硝酸−フッ化水素酸と反応し、すなわち酸化還元原理を利用して、ステンレス鋼酸化物被膜を除去することが開発されている。或いは、物理的方法（機械的剥離）によりステンレス鋼表面の大部分の酸化物被膜を除去し、次に硝酸−フッ化水素酸と反応させて酸化物被膜を除去するという目的を達成させる。

上記方法は、プロセスが成熟し、国内外でのステンレス鋼線材の企業に使用されているという利点を有する。塩浴法によりステンレス鋼酸化物被膜を緩める方法には、エネルギー消費量が高いという技術的問題があり、硝酸−フッ化水素酸の混合酸でステンレス鋼酸化物被膜を除去する方法には、環境汚染及び高コストの技術的問題があるという欠点が存在する。

本発明の目的は、ステンレス鋼酸化物被膜を除去する従来方法に存在する、エネルギー消費量が高く、環境を汚染し、コストが高いという技術的問題を解決し、ステンレス鋼材料の表面酸化物被膜の酸洗添加剤及び製造、並びに酸洗方法を提供することにある。該添加剤は、長期間保存が可能であり、複数種の酸溶液に適用できる。

上記技術的問題を解決するために、本発明は以下の技術案を採用する。

ステンレス鋼材料の表面酸化物被膜の酸洗添加剤は、成分として、アルコールアミン類化合物１〜１０重量部、金属錯体リガンド０．１〜５重量部、窒素含有有機環状化合物０〜１０重量部、アルコール類化合物０〜３重量部、植物浸出液０〜３重量部及び水１〜２重量部からなる。

本発明の前記アルコールアミン類化合物は、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン又はトリエタノールアミンのうちの１種又は２種以上を任意の比率で混合した混合物であり、前記金属錯体リガンドは、無機金属リガンド、有機金属リガンドのうちの１種又は２種以上を任意の比率で混合した混合物を含む。

本発明の前記窒素含有有機環状化合物は、イミダゾール、ベンゾイミダゾール、ベンゾトリアゾール、キノリン、イソキノリン、ヘキサメチレンテトラミン、ニュートラルレッド、クリスタルバイオレットのうちの１種又は２種以上を任意の比率で混合した混合物である。

本発明の前記アルコール類化合物は、エチレングリコール、ポリエチレングリコールのうちの１種又は２種以上を任意の比率で混合した混合物である。

本発明の前記植物浸出液は、植物１部と水２０部で構成され、その製造方法は、植物１部に水２０部を加えて８０℃に加熱し、３０分間浸漬して、上澄みを得ることである。

本発明の前記無機金属リガンドはＦ⁻、Ｃｌ⁻、Ｂｒ⁻、Ｉ⁻、ＳＯ_４ ⁻、ＣＮ⁻又はＳＣＮ⁻、前記有機金属リガンドは酢酸根、蓚酸根、スルホサリチル酸根、ニトリロトリ酢酸根又はエチレンジアミン四酢酸根である。

本発明の前記植物はタバコの葉又は茶の葉である。

本発明のステンレス鋼材料の表面酸化物被膜の酸洗添加剤の製造方法は、まず、水と植物浸出液を金属錯体リガンドに加えて均一に撹拌し、次にアルコールアミン類化合物を加えて均一に混合し、次に窒素含有有機環状化合物とアルコール類化合物を順次加えて均一に撹拌することである。

本発明の前記ステンレス鋼材料の表面酸化物被膜の酸洗添加剤の酸洗方法は、
塩酸が５〜３０質量％になるように、水中に濃塩酸を加え、又は、塩酸が５〜３０質量％、Ｆ⁻が０．５〜５質量％になるように、水中に濃塩酸とＦ⁻を含む溶液を加え、又は、硫酸が５〜３０質量％になるように、水中に濃硫酸を加え、又は、硫酸が５〜３０質量％、Ｃｌ⁻が５〜１５質量％になるように、水中に濃硫酸とＣｌ⁻を含む溶液を加え、又は、硫酸が５〜３０質量％、Ｆ⁻が０．５〜１０質量％になるように、水中に濃硫酸とＦ⁻を含む溶液を加え、又は、硫酸が５〜３０質量％、Ｃｌ⁻が５〜１５質量％、Ｆ⁻が０．５〜１０質量％になるように、水中に濃硫酸、Ｃｌ⁻を含む溶液及びＦ⁻を含む溶液を加える、これらの調製方法のうちのいずれかを用いて酸洗液を調製し、酸洗タンクに投入する、酸洗液を調製するステップ（１）と、
ステンレス鋼の種類によって、バッチ式又は一括して１〜８０ｇ／Ｌの比率で添加剤をステップ（１）の酸洗液に添加する、添加剤を添加するステップ（２）と、
まず、酸洗タンクにおける酸洗液を３０〜９４℃に昇温し、次に表面に酸化物被膜が付いたステンレス鋼材料を酸洗タンクに浸漬して１５〜６０ｍｉｎ酸洗し、最後に水洗、高圧水洗浄、不動態化、二次水洗、二次高圧水洗浄、中和及び乾燥を経てステンレス鋼材料の表面酸化物被膜を除去する、酸洗ステップ（３）とを含む。

本発明のステンレス鋼材料の表面酸化物被膜の酸洗添加剤の酸洗方法は、洗浄しにくいステンレス鋼材料の場合は、酸洗前にアルカリ性過マンガン酸カリウム溶液で１５〜６０分間前処理したり、又はブラスト法で前処理することができる。

従来技術に比べ、本発明は高温溶融塩によるアルカリ浸出工程を省略し、酸洗溶液には硝酸及び硝酸塩を含まず、省エネで、環境負荷が低く、プロセスがシンプルで、低コストであるという利点を有する。

該方法は、各種鋼種の熱間圧延ステンレス鋼線材、棒材に適用できるとともに、熱間圧延ステンレス板材及びパイプ材、特にステンレス鋼の自動酸洗ラインに適用できる。

実施例１
１Ｃｒ２１Ｍｎ１６Ｎｉ２Ｎステンレス鋼材料の表面酸化物被膜の酸洗添加剤は、成分として、モノエタノールアミン１重量部、硫酸ナトリウム０．１重量部、水１重量部、及び、市販タバコの葉１部と水２０部からなる植物浸出液１重量部からなり、植物浸出液の製造方法は、市販タバコの葉１部を水２０部に加えて８０℃に加熱し、３０分間浸漬して、上澄みを得ることである。

添加剤の製造方法
まず、水１部、植物浸出液１部をフッ化カリウム０．１部に加えて均一に撹拌し、次にモノエタノールアミンを加えて均一に撹拌した。

酸洗方法
（１）酸洗液の調整：塩酸が５質量％になるように、水中に３８質量％の濃塩酸を加えて、酸洗タンクに投入した。
（２）添加剤の添加：１ｇ／Ｌの比率で添加剤をステップ（１）の酸洗液にバッチ式で添加した。
（３）酸洗：まず、酸洗タンクにおける酸洗液を３０℃に昇温し、次に表面に酸化物被膜が付いたステンレス鋼材料を酸洗タンクに浸漬して６０ｍｉｎ酸洗し、最後に水洗、高圧水洗浄、不動態化、二次水洗、二次高圧水洗浄、中和及び乾燥を経てステンレス鋼材料の表面酸化物被膜を除去した。

実施例２
３０３Ｃｕステンレス鋼材料の表面酸化物被膜の酸洗添加剤は、成分として、ジエタノールアミン３重量部、フッ化カリウム０．５重量部、ベンゾイミダゾール１重量部、エチレングリコール３重量部及び水１．５重量部からなる。

添加剤の製造方法
まず、水１．５部を硫酸ナトリウム０．５部に加えて均一に撹拌し、次にジエタノールアミン３部を加えて均一に混合し、その後、ベンゾイミダゾール１部とエチレングリコール３部を順次加えて均一に撹拌した。

酸洗方法
（１）酸洗液の調製：塩酸が２０質量％、Ｆ⁻が３質量％になるように、水中に３８質量％の濃塩酸とフッ化水素酸溶液を加えて、酸洗タンクに投入した。
（２）添加剤の添加：３５ｇ／Ｌの比率で添加剤をステップ（１）の酸洗液に一括して添加した。
（３）酸洗：まず、酸洗タンクにおける酸洗液を７０℃に昇温し、次に表面に酸化物被膜が付いたステンレス鋼材料を酸洗タンクに浸漬して３０ｍｉｎ酸洗し、最後に水洗、高圧水洗浄、不動態化、二次水洗、二次高圧水洗浄、中和及び乾燥を経てステンレス鋼材料の表面酸化物被膜を除去した。

実施例３
４３０ステンレス鋼材料の表面酸化物被膜の酸洗添加剤は、成分として、トリエタノールアミン５重量部、臭化ナトリウム２重量部、ベンゾトリアゾール２重量部、ポリエチレングリコール３重量部、市販茶の葉１部と水２０部からなる植物浸出液２重量部及び水２重量部からなり、植物浸出液の製造方法は、市販茶の葉１部を水２０部に加えて８０℃に加熱し、３０分間浸漬して、上澄みを得ることである。

添加剤の製造方法
水２部と植物浸出液２部を臭化ナトリウム２部に加えて均一に撹拌し、次にトリエタノールアミン５部を加えて均一に混合し、その後、ベンゾトリアゾール２部とエチレングリコール３部を順次加えて均一に撹拌した。

酸洗方法
（１）酸洗液の調製：塩酸が３０質量％、Ｆ⁻が５質量％になるように、水中に３８質量％の濃塩酸とフッ化ナトリウム溶液を加え、酸洗タンクに投入した。
（２）添加剤の添加：５０ｇ／Ｌの比率で添加剤をステップ（１）の酸洗液に一括して添加した。
（３）酸洗：まず、酸洗タンクにおける酸洗液を８５℃に昇温し、次に表面に酸化物被膜が付いたステンレス鋼材料を酸洗タンクに浸漬して２０ｍｉｎ酸洗し、最後に水洗、高圧水洗浄、不動態化、二次水洗、二次高圧水洗浄、中和及び乾燥を経てステンレス鋼材料の表面酸化物被膜を除去した。

実施例４
３０４ステンレス鋼材料の表面酸化物被膜の酸洗添加剤は、成分として、モノエタノールアミン６重量部、ヨウ化カリウム０．５重量部、キノリン１重量部、エチレングリコール０．５重量部、植物浸出液３重量部及び水１．５重量部からなり、植物浸出液の成分及び製造方法は、実施例３における植物浸出液と同様である。

添加剤の製造方法
まず、水１．５部と植物浸出液３部をヨウ化カリウム０．５部に加えて均一に撹拌し、次にモノエタノールアミン６部を加えて均一に混合し、その後、キノリン１部とエチレングリコール０．５部を順次加えて均一に撹拌した。

酸洗方法
（１）酸洗液の調製：硫酸が３０質量％になるように、濃硫酸９８質量％を水中に加えて、酸洗タンクに投入した。
（２）添加剤の添加：１５ｇ／Ｌの比率で添加剤をステップ（１）の酸洗液に一括して添加した。
（３）酸洗：まず、酸洗タンクにおける酸洗液を８０℃に昇温し、次に表面に酸化物被膜が付いたステンレス鋼材料を酸洗タンクに浸漬して１５ｍｉｎ酸洗し、最後に水洗、高圧水洗浄、不動態化、二次水洗、二次高圧水洗浄、中和及び乾燥を経てステンレス鋼材料の表面酸化物被膜を除去した。

実施例５
３１０ステンレス鋼材料の表面酸化物被膜の酸洗添加剤は、成分として、ジエタノールアミン７重量部、塩化カリウム３重量部、イソキノリン４重量部、エチレングリコール１重量部、植物浸出液０．５重量部及び水１重量部からなり、植物浸出液の成分及び製造方法は実施例３における植物浸出液と同様である。

添加剤の製造方法
まず、水１部と植物浸出液０．５部を塩化カリウム３部に加えて均一に撹拌し、次にジエタノールアミン７部を加えて均一に混合し、その後、イソキノリン４部とエチレングリコール１部を順次加えて均一に撹拌した。

酸洗方法
（１）酸洗液の調製：硫酸が５質量％、Ｃｌ⁻が１５質量％になるように、濃硫酸９８質量％と濃塩酸３７質量％を水中に加えて、酸洗タンクに投入した。
（２）添加剤の添加：２５ｇ／Ｌの比率で添加剤をステップ（１）の酸洗液に一括して添加した。
（３）酸洗：まず、酸洗タンクにおける酸洗液を８５℃に昇温し、次に表面に酸化物被膜が付いたステンレス鋼材料を酸洗タンクに浸漬して４５ｍｉｎ酸洗し、最後に水洗、高圧水洗浄、不動態化、二次水洗、二次高圧水洗浄、中和及び乾燥を経てステンレス鋼材料の表面酸化物被膜を除去した。

実施例６
４１０ステンレス鋼材料の表面酸化物被膜の酸洗添加剤は、成分として、トリエタノールアミン８重量部、シアン化カリウム４重量部、ヘキサメチレンテトラミン５重量部、ポリエチレングリコール１．５重量部、植物浸出液１重量部及び水１．５重量部からなり、植物浸出液の成分及び製造方法は実施例１における植物浸出液と同様である。

添加剤の具体的な製造方法
まず、水１．５部と植物浸出液１部をシアン化カリウム４部に加えて均一に撹拌し、次にトリエタノールアミン８部を加えて均一に混合し、その後、ヘキサメチレンテトラミン５部とポリエチレングリコール１．５部を順次加えて均一に撹拌した。

酸洗方法
（１）酸洗液の調製：硫酸が２０質量％、Ｃｌ⁻が１０質量％になるように、９８質量％の濃硫酸と塩化ナトリウム溶液を水中に加えて、酸洗タンクに投入した。
（２）添加剤の添加：２５ｇ／Ｌの比率で添加剤をステップ（１）の酸洗液に一括して添加した。
（３）酸洗：まず、酸洗タンクにおける酸洗液を８０℃に昇温し、次に表面に酸化物被膜が付いたステンレス鋼材料を酸洗タンクに浸漬して６０ｍｉｎ酸洗し、最後に水洗、高圧水洗浄、不動態化、二次水洗、二次高圧水洗浄、中和及び乾燥を経てステンレス鋼材料の表面酸化物被膜を除去した。

実施例７
３１６ステンレス鋼材料の表面酸化物被膜の酸洗添加剤は、成分として、モノエタノールアミン９重量部、チオシアン酸カリウム５重量部、ニュートラルレッド０．３重量部、ポリエチレングリコール２重量部、植物浸出液１．５重量部及び水２重量部からなり、植物浸出液の成分及び製造方法は実施例１における植物浸出液と同様である。

添加剤の具体的な製造方法
まず、水２部と植物浸出液１．５部をチオシアン酸カリウム５部に加えて均一に撹拌し、次にモノエタノールアミン９部を加えて均一に混合し、その後、ニュートラルレッド０．３部とポリエチレングリコール２部を順次加えて均一に撹拌した。

酸洗方法
（１）酸洗液の調製：硫酸が５質量％、Ｆ⁻が１０質量％になるように、９８質量％の濃硫酸とフッ化水素酸溶液を水中に加えて、酸洗タンクに投入した。
（２）添加剤の添加：３０ｇ／Ｌの比率で添加剤をステップ（１）の酸洗液にバッチ式で添加した。
（３）酸洗：まず、酸洗タンクにおける酸洗液を９４℃に昇温し、次に表面に酸化物被膜が付いたステンレス鋼材料を酸洗タンクに浸漬して４５ｍｉｎ酸洗し、最後に水洗、高圧水洗浄、不動態化、二次水洗、二次高圧水洗浄、中和及び乾燥を経てステンレス鋼材料の表面酸化物被膜を除去した。

実施例８
ＥＲ３０７Ｓｉステンレス鋼材料の表面酸化物被膜の酸洗添加剤は、成分として、ジエタノールアミン１０重量部、酢酸ナトリウム０．５重量部、クリスタルバイオレット１重量部、ポリエチレングリコール３重量部、植物浸出液２重量部及び水２重量部からなり、植物浸出液の成分及び製造方法は実施例１における植物浸出液と同様である。

添加剤の具体的な製造方法
まず、水２部と植物浸出液２部を酢酸ナトリウム０．５部に加えて均一に撹拌し、次にジエタノールアミン１０部を加えて均一に混合し、その後、クリスタルバイオレット１部とポリエチレングリコール３部を順次加えて均一に撹拌した。

酸洗方法
（１）酸洗液の調製：硫酸が１０質量％、Ｆ⁻が５質量％になるように、９８質量％の濃硫酸とフッ化ナトリウム溶液を水中に加えて、酸洗タンクに投入した。
（２）添加剤の添加：１５ｇ／Ｌの比率で添加剤をステップ（１）の酸洗液にバッチ式で添加した。
（３）酸洗：まず、酸洗タンクにおける酸洗液を８０℃に昇温し、次に表面に酸化物被膜が付いたステンレス鋼材料を酸洗タンクに浸漬して２０ｍｉｎ酸洗し、最後に水洗、高圧水洗浄、不動態化、二次水洗、二次高圧水洗浄、中和及び乾燥を経てステンレス鋼材料の表面酸化物被膜を除去した。

実施例９
４２０Ｆステンレス鋼材料の表面酸化物被膜の酸洗添加剤は、成分として、モノエタノールアミン５重量部、蓚酸カリウム０．５重量部、イミダゾール２重量部、ベンゾイミダゾール３重量部、ポリエチレングリコール３重量部、植物浸出液２重量部及び水２重量部からなり、植物浸出液の成分及び製造方法は実施例１における植物浸出液と同様である。

添加剤の具体的な製造方法
まず、水２部と植物浸出液２部を蓚酸カリウム０．５部に加えて均一に撹拌し、次にモノエタノールアミン５部を加えて均一に混合し、その後、イミダゾール２部、ベンゾイミダゾール３部及びポリエチレングリコール３部を順次加えて均一に撹拌した。

酸洗方法
（１）酸洗液の調製：硫酸が０．５質量％、Ｃｌ⁻が１５質量％、Ｆ⁻が１０質量％になるように、９８質量％の濃硫酸、フッ化水素酸溶液及び濃塩酸を水中に加えて、酸洗タンクに投入した。
濃度２５％の硫酸溶液＋１０％塩酸溶液＋８％フッ化水素酸溶液を酸洗タンクに投入した。
（２）添加剤の添加：４０ｇ／Ｌの比率で添加剤をステップ（１）の酸洗液に一括して添加した。
（３）酸洗：まず、酸洗タンクにおける酸洗液を８０℃に昇温し、次に表面に酸化物被膜が付いたステンレス鋼材料を酸洗タンクに浸漬して３０ｍｉｎ酸洗し、最後に水洗、高圧水洗浄、不動態化、二次水洗、二次高圧水洗浄、中和及び乾燥を経てステンレス鋼材料の表面酸化物被膜を除去した。

実施例１０
２０１ステンレス鋼材料の表面酸化物被膜の酸洗添加剤は、成分として、モノエタノールアミン７重量部、スルホサリチル酸０．５重量部、キノリン２重量部、イソキノリン０．５重量部、エチレングリコール３重量部、植物浸出液２重量部及び水２部からなり、植物浸出液の成分及び製造方法は実施例１における植物浸出液と同様である。

添加剤の具体的な製造方法
まず、水２部と植物浸出液２部をスルホサリチル酸０．５部に加えて均一に撹拌し、次にモノエタノールアミン７部を加えて均一に混合し、その後、キノリン２部、イソキノリン０．５部及びエチレングリコール３部を順次加えて均一に撹拌した。

酸洗方法
（１）酸洗液の調製：硫酸が５質量％、Ｃｌ⁻が１０質量％、Ｆ⁻が５質量％になるように、９８質量％の濃硫酸、フッ化ナトリウム溶液及び濃塩酸を水中に加えて、酸洗タンクに投入した。
（２）添加剤の添加：３５ｇ／Ｌの比率で添加剤をステップ（１）の酸洗液に一括して添加した。
（３）酸洗：まず、酸洗タンクにおける酸洗液を６０℃に昇温し、次に表面に酸化物被膜が付いたステンレス鋼材料を酸洗タンクに浸漬して４５ｍｉｎ酸洗し、最後に水洗、高圧水洗浄、不動態化、二次水洗、二次高圧水洗浄、中和及び乾燥を経てステンレス鋼材料の表面酸化物被膜を除去した。

実施例１１
４３０Ｆステンレス鋼材料の表面酸化物被膜の酸洗添加剤は、成分として、モノエタノールアミン７重量部、ニトリロトリ酢酸０．５重量部、キノリン２重量部、イソキノリン５重量部、エチレングリコール３重量部、植物浸出液２重量部及び水２重量部からなり、植物浸出液の成分及び製造方法は実施例１における植物浸出液と同様である。

添加剤の具体的な製造方法
まず、水２部と植物浸出液２部をニトリロトリ酢酸０．５部に加えて均一に撹拌し、次にモノエタノールアミン７部を加えて均一に混合し、その後、キノリン２部、イソキノリン５部及びエチレングリコール３部を順次加えて均一に撹拌した。

酸洗方法
（１）酸洗液の調製：硫酸が３０質量％、Ｃｌ⁻が５質量％、Ｆ⁻が０．５質量％になるように、９８質量％の濃硫酸、フッ化ナトリウム溶液及び塩化カリウムを水中に加えて酸洗タンクに投入した。
（２）添加剤の添加：５０ｇ／Ｌの比率で添加剤をステップ（１）の酸洗液に一括して添加した。
（３）酸洗：まず、酸洗タンクにおける酸洗液を７５℃に昇温し、次に表面に酸化物被膜が付いたステンレス鋼材料を酸洗タンクに浸漬して３５ｍｉｎ酸洗し、最後に水洗、高圧水洗浄、不動態化、二次水洗、二次高圧水洗浄、中和及び乾燥を経てステンレス鋼材料の表面酸化物被膜を除去した。

実施例１２
４２０Ｊ２ステンレス鋼材料の表面酸化物被膜の酸洗添加剤は、成分として、モノエタノールアミン７重量部、エチレンジアミン四酢酸０．５重量部、キノリン１重量部、イソキノリン２重量部、エチレングリコール３重量部、植物浸出液２重量部及び水２重量部からなり、植物浸出液の成分及び製造方法は実施例１における植物浸出液と同様である。

添加剤の具体的な製造方法
まず、水２部と植物浸出液２部をエチレンジアミン四酢酸０．５部に加えて均一に撹拌し、次にモノエタノールアミン７部を加えて均一に混合し、その後、キノリン１部、イソキノリン２部及びエチレングリコール３部を順次加えて均一に撹拌した。

酸洗方法
（１）酸洗液の調製：硫酸が１５質量％、Ｃｌ⁻が８質量％、Ｆ⁻が４質量％になるように、９８質量％の濃硫酸、フッ化水素酸溶液及び塩化ナトリウムを水中に加えて、酸洗タンクに投入した。
（２）添加剤の添加：洗浄の必要に応じて、添加剤の濃度が８０ｇ／Ｌになるまで、２０ｇ／Ｌの比率で添加剤をステップ（１）の酸洗液にバッチ式で添加した。
（３）酸洗：まず、酸洗タンクにおける酸洗液を９０℃に昇温し、次に表面に酸化物被膜が付いたステンレス鋼材料を酸洗タンクに浸漬して３０ｍｉｎ酸洗し、最後に水洗、高圧水洗浄、不動態化、二次水洗、二次高圧水洗浄、中和及び乾燥を経てステンレス鋼材料の表面酸化物被膜を除去した。

洗浄しにくいステンレス鋼材料の場合は、酸洗前にアルカリ性過マンガン酸カリウム溶液で１５〜６０分間前処理したり、又はブラスト法で前処理することができる。

Claims

ステンレス鋼材料の表面酸化物被膜の酸洗添加剤であって、
成分として、アルコールアミン類化合物１〜１０重量部、金属錯体リガンド０．１〜５重量部、窒素含有有機環状化合物０．３〜１０重量部、アルコール類化合物０．５〜３重量部、植物浸出液０．５〜３重量部及び水１〜２重量部からなることを特徴とするステンレス鋼材料の表面酸化物被膜の酸洗添加剤。
前記アルコールアミン類化合物は、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン又はトリエタノールアミンのうちの１種又は２種以上を任意の比率で混合した混合物であり、前記金属錯体リガンドは、無機金属リガンド、有機金属リガンドのうちの１種又は２種以上を任意の比率で混合した混合物を含むことを特徴とする請求項１に記載のステンレス鋼材料の表面酸化物被膜の酸洗添加剤。
前記窒素含有有機環状化合物は、イミダゾール、ベンゾイミダゾール、ベンゾトリアゾール、キノリン、イソキノリン、ヘキサメチレンテトラミン、ニュートラルレッド、クリスタルバイオレットのうちの１種又は２種以上を任意の比率で混合した混合物であることを特徴とする請求項１に記載のステンレス鋼材料の表面酸化物被膜の酸洗添加剤。
前記アルコール類化合物は、エチレングリコール、ポリエチレングリコールのうちの１種又は２種以上を任意の比率で混合した混合物であることを特徴とする請求項１に記載のステンレス鋼材料の表面酸化物被膜の酸洗添加剤。
前記植物浸出液は、植物１部と水２０部から構成され、
その製造方法は、植物１部を水２０部に加えて８０℃に加熱し、３０分間浸漬して、上澄みを得ることであることを特徴とする請求項１に記載のステンレス鋼材料の表面酸化物被膜の酸洗添加剤。
前記無機金属リガンドは、Ｆ⁻、Ｃｌ⁻、Ｂｒ⁻、Ｉ⁻、ＳＯ_４ ⁻、ＣＮ⁻又はＳＣＮ⁻であり、前記有機金属リガンドは、酢酸根、蓚酸根、スルホサリチル酸根、ニトリロトリ酢酸根又はエチレンジアミン四酢酸根であることを特徴とする請求項２に記載のステンレス鋼材料の表面酸化物被膜の酸洗添加剤。
前記植物はタバコの葉又は茶の葉であることを特徴とする請求項５に記載のステンレス鋼材料の表面酸化物被膜の酸洗添加剤。
まず、水と植物浸出液を金属錯体リガンドに加えて均一に撹拌し、次にアルコールアミン類化合物を加えて均一に混合し、
次に窒素含有有機環状化合物とアルコール類化合物を順次加えて均一に撹拌することを特徴とする請求項１〜７のいずれか１項に記載のステンレス鋼材料の表面酸化物被膜の酸洗添加剤の製造方法。
請求項１〜７のいずれか１項に記載のステンレス鋼材料の表面酸化物被膜の酸洗添加剤を用いた酸洗方法であって、
塩酸が５〜３０質量％になるように、水中に濃塩酸を加え、又は、塩酸が５〜３０質量％、Ｆ⁻が０．５〜５質量％になるように、水中に濃塩酸とＦ⁻を含む溶液を加え、又は、硫酸が５〜３０質量％になるように、水中に濃硫酸を加え、又は、硫酸が５〜３０質量％、Ｃｌ⁻が５〜１５質量％になるように、水中に濃硫酸とＣｌ⁻を含む溶液を加え、又は、硫酸が５〜３０質量％、Ｆ⁻が０．５〜１０質量％になるように、水中に濃硫酸とＦ⁻を含む溶液を加え、又は、硫酸が５〜３０質量％、Ｃｌ⁻が５〜１５質量％、Ｆ⁻が０．５〜１０質量％になるように、水中に濃硫酸、Ｃｌ⁻を含む溶液及びＦ⁻を含む溶液を加える調製方法のうちのいずれかを用いて酸洗液を調製し、酸洗タンクに投入する、酸洗液を調製するステップ（１）と、
ステンレス鋼の種類によって、バッチ式又は一括して１〜８０ｇ／Ｌの比率で添加剤をステップ（１）の酸洗液に添加する、添加剤を添加するステップ（２）と、
まず、酸洗タンクにおける酸洗液を３０〜９４℃に昇温し、次に表面に酸化物被膜が付いたステンレス鋼材料を酸洗タンクに浸漬して１５〜６０ｍｉｎ酸洗し、最後に水洗、高圧水洗浄、不動態化、二次水洗、二次高圧水洗浄、中和及び乾燥を経てステンレス鋼材料の表面酸化物被膜を除去する、酸洗ステップ（３）とを含むことを特徴とする酸洗方法。
酸洗前にアルカリ性過マンガン酸カリウム溶液で１５〜６０分間前処理したり、又はブラスト法で前処理することができることを特徴とする請求項９に記載のステンレス鋼材料の表面酸化物被膜の酸洗添加剤の酸洗方法。