JP6479425B2 - 最大電力点追跡装置及び太陽電池モジュールの評価方法 - Google Patents

最大電力点追跡装置及び太陽電池モジュールの評価方法 Download PDF

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Description

本発明は、最大電力点追跡装置及び太陽電池モジュールの評価方法に関する。
太陽電池の電流Iと電圧Vとの関係は、図1に示す特性曲線(I−V Curve)により示される。太陽電池の電力は、電流Iと電圧Vとの乗算である。よって、図1の特性曲線から導かれる太陽電池の電力は、唯一の固定値ではなく、電圧Vの変化に応じて変わる電力Pと電圧Vの曲線(P−V Curve)として描かれる。太陽電池の電力が最も大きくなる点を最大電力点と呼ぶ。太陽電池の発電効率を最適な状態で維持するためには、電力出力点を可能な限り最大電力点(図1のPmax)に近づけるように追跡する必要がある。
太陽電池の電力出力点を最大電力点Pmaxに近づけるために、太陽電池の動作点を変動させ、最大電力点Pmaxを追跡する最大電力点追跡手段としてMPPT(Maximum Power Point Tracking)回路が提案されている(例えば、特許文献1〜5を参照)。図2に示すように、MPPT回路20は、太陽電池モジュール10と、太陽電池モジュール10から出力された電力を消費する負荷15との間に設けられる。MPPT回路は、太陽電池モジュール10から最大電力を出力するために、太陽電池モジュール10の動作電圧を調整する。
特開2012−124991号公報 特開2002−108466号公報 特開2013−191719号公報 特開2013−134619号公報 国際公開第2013/179655号公報
しかし、電子回路設計やソフトウェアプログラムの原因により、上記MPPT回路では最大電力点追跡の効率を100%に近づけることができない。
上記課題に対して、一側面では、本発明は、所定の条件における最大電力点追跡の効率の低下を抑止し、太陽電池の出力電力を向上させることを目的とする。
上記課題を解決するために、一の態様によれば、電圧、電流又は電力に対して最大電力点を追跡し、前記最大電力点に応じた電圧、電流又は電力に制御するMPPT制御部と、太陽電池モジュールの動作又は環境に関する測定値に応じて該MPPT制御部が最大電力点を追跡する際の負荷値を調整する調整部と、を有する最大電力点追跡装置が提供される。
一の側面によれば、所定の条件における最大電力点追跡の効率の低下を抑止し、太陽電池の出力電力を向上させることができる。
太陽電池のI−V特性曲線及びP−V特性曲線を示す図。 太陽電池の最大電力点の追跡をMPPT回路で制御する太陽光発電システムの構成例を示す図。 太陽電池の最大電力点追跡の効率を測定する測定装置の構成例を示す図。 日射変動度と最大電力点追跡の効率の一例を示す図。 日射強度と最大電力点追跡の効率との関係の一例を示す図。 最大電力点追跡の効率が低いときのI−Vの関係の一例を示す図。 太陽光発電システムの構成例を示す図。 太陽光発電システムの構成例を示す図。 第1実施形態にかかる太陽光発電システムの構成例を示す図。 第1実施形態にかかる最大電力点追跡装置の動作(最大電力点追跡処理)を示す図。 第1実施形態にかかる電力計から取得した電力値と負荷の選択を説明するための図。 第1実施形態にかかる日射計から取得した日射強度と負荷の選択を説明するための図。 第1実施形態にかかる調整回路選択テーブルの一例を示す図。 第2実施形態にかかる太陽光発電システムの構成例を示す図。 第2実施形態にかかる最大電力点追跡装置の動作(最大電力点追跡処理)を示す図。 第2実施形態にかかる調整回路選択テーブルの一例を示す図。 第3実施形態にかかる太陽光発電システムの構成例を示す図。 第3実施形態にかかる最大電力点追跡装置の動作(最大電力点追跡処理)を示す図。 第3実施形態にかかる各種のI−V特性テーブルの一例を示す図。 第3実施形態にかかる環境条件下における各社の太陽電池製品毎の最大電力点追跡の効率のマトリクスの一例を示す図。 第4実施形態にかかる太陽光発電システムの構成例を示す図。 図23の比較例(自動負荷調整部を有さない場合)を示す図。 第1実施形態の効果(オートローディング:自動負荷調整)の一例を示す図。 第2実施形態の効果(電圧トリミング:動作電圧バンド調整)の一例を示す図。 最大電力点追跡効率の損失値の一例を示す図。 第3実施形態の効果(MPPTトラッキングアビリティコンペンセーション:最大電力点追跡効率の補償)の一例を示す図。 第4実施形態の効果(非蓄電池式の外部電源)の一例を示す図。
以下、本発明を実施するための形態について図面を参照して説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の構成については、同一の符号を付することにより重複した説明を省く。
まず、図7及び図8を参照しながら、最大電力点追跡装置102の構成について説明する。最大電力点追跡装置102は、MPPT回路120、電源供給部121、制御部122、負荷部123及び蓄電池104を有する。制御部122は、ソフトウェアや制御素子により構成される。制御部122は、CPU(Central Processing Unit),ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、入出力インターフェース(Input / Output Interface)を有し、RAMなどに記憶された最大電力点追跡プログラムに設定された手順に従い、太陽電池の最大電力点の追跡を制御する。
制御部122は、例えば山登り法(Hill Climbing Method)により最大電力点Pmaxに最も近い電圧Vを算出し、算出された電圧Vを太陽電池モジュール10の最適動作点としてMPPT回路120に出力する。MPPT回路120は、制御部122による制御に基づき、電圧の昇圧又は降圧を行い、太陽電池モジュール10から出力される電圧を最大電力点に最も近い電圧Vに調整する。
電源供給部121は、MPPT回路120及び制御部122に必要な電力を供給する。電源供給部121から供給される電力は、図7に示すように蓄電池104から供給してもよいし、図8に示すように太陽電池モジュール10が発電する電力の一部を用いてもよい。
最大電力点追跡では、「日射強度がどのように変動しても、電流−電圧特性曲線(I−V Curve)における最大電力点を追跡できるようにする」ことが理想である。しかし、電子回路設計やソフトウェアプログラムの原因により、図7及び図8に示した最大電力点追跡装置102では最大電力点追跡の効率を100%にすることができない。図3に示すように、太陽電池モジュール10に接続されたMPPT回路20に電力計、電圧計、電流計等の測定装置25を接続し、MPPT回路20から出力される電力を測定したときの最大電力点追跡の効率の一例を図4に示す。図4の横軸は日射変動度(kW/m)を示し、縦軸は最大電力点追跡の効率KPM(%)を示す。図4を見ると、日射変動度が0.10(kW/m)と変動していない時においても、最大電力点追跡の効率KPMは、92.6%〜99.6%で変動し、100%とはなっていない。
さらに、図5に日射強度と最大電力点追跡の効率との関係に関する実験結果の一例を示す。この結果では、日射強度が400(W/m)以上の場合、日射強度と最大電力点追跡の効率とは、図5の直線Fで示す比例関係になる。一方、図5の枠内で示される日射強度が400(W/m)以下の低日射強度の条件下では、日射強度が400(W/m)以上の場合と比べて最大電力点追跡の効率が低下することがわかる。さらに分析した結果、図6の枠内で示されるように、最大電力点追跡の効率が低下するときには電圧Vと電流Iとが一定の比率で維持され、日射強度が400(W/m)以上の場合に見られる最大電力点追跡の効率に関する特性と異なっていることがわかる。言い換えると、MPPT回路は、入力される電圧、電流により得意・不得意な値があると言える。
以上から、上記最大電力点追跡装置102のMPPT制御は、以下の課題(1)〜(4)を有するといえる。
(1)各日射条件下で、最大電力点追跡装置102の負荷が制約されるため、最大電力点追跡の効率が低下する。
(2)最大電力点追跡装置102では、各電圧範囲において最大電力点の追跡に伴う動作電圧バンドが制約されるため、最大電力点追跡の効率が低下する。
(3)最大電力点追跡装置102では、太陽電池モジュール10の電気的条件が異なれば、その最大電力点追跡の効率が異なってくる。加えて、最大電力点追跡装置102に様々な特性の太陽電池を組み合わせると、最大電力点の追跡の特性を把握しにくくなる。
(4)電子回路設計、不安定な電源供給、内部損失といった最大電力点追跡装置102の内部構成が原因となり、最大電力点追跡の効率が低下する。
以上の課題のうち少なくとも1つを解決することにより、以下に説明する各実施形態に係る太陽光発電システムでは、所定の条件における最大電力点追跡の効率の低下を抑止し、太陽電池の出力電力を向上させる。
<第1実施形態>
[太陽光発電システム]
まず、本発明の第1実施形態にかかる太陽光発電システム1の構成の一例について、図9を参照しながら説明する。本実施形態にかかる太陽光発電システム1は、一つの太陽電池モジュール10だけでなく、複数の太陽電池モジュール10からなる大型システムのいずれにも適用可能である。後述される他の実施形態にかかる太陽光発電システム1についても同様である。
第1実施形態にかかる太陽光発電システム1は、最大電力点追跡装置2が用いる負荷が制約されないように、最大電力点追跡装置2の負荷を調整する自動負荷調整部4を有する。これにより、本実施形態にかかる最大電力点追跡装置2では、最大出力電力追跡の効率が向上し、所定の条件下における太陽電池モジュール10の最大出力電力の追跡効率低下の課題を解決する。
第1実施形態にかかる太陽光発電システム1では、太陽電池モジュール10の最大電力点を追跡する最大電力点追跡装置2が太陽電池モジュール10に接続されている。
太陽電池モジュール10は、太陽から受ける放射エネルギーを電気エネルギーに変換する。太陽電池モジュール10は、太陽電池の最小単位(一枚の太陽電池モジュール)であってもよいし、複数枚数の太陽電池モジュールがアレイ状に並べられたソーラーパネルであってもよい。太陽電池モジュール10には、アモルファスシリコン、微結晶シリコン、多結晶シリコン、単結晶シリコン、化合物半導体を用いる太陽電池等が使用される。
最大電力点追跡装置2は、MPPT制御部3、自動負荷調整部4及び負荷部23を有する。MPPT制御部3は、MPPT回路20、電源供給部21及び制御部22を有する。制御部22は、ソフトウェアや制御素子により構成される。制御部22は、CPU(Central Processing Unit),ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)を有し、RAMなどに記憶された最大電力点追跡プログラムに設定された手順に従い、太陽電池モジュール10の最大電力点の追跡を制御する。なお、制御部22の機能は、ソフトウェアを用いて実現されてもよく、ハードウェアを用いて実現されてもよい。
制御部22は、例えば山登り法(Hill Climbing Method)により最大電力点Pmaxに最も近い電圧Vを算出し、算出された電圧Vを太陽電池モジュール10の最適動作点としてMPPT回路20に出力する。MPPT回路20は、制御部22による制御に基づき、例えば、DC−DCコンバータを用いて太陽電池モジュール10から出力される電圧を最大電力点に最も近い電圧Vに調整する。電源供給部21は、MPPT回路20及び制御部22に必要な電力を供給する。
MPPT回路20は、例えば特開2012−124991に示される公知の構成を用いることができるが、これに限定されず、太陽電池モジュール10の最大電力点の追跡処理が可能な構成であればよい。
自動負荷調整部4は、調整部24と切替制御部27とを有する。調整部24は、第1の調整回路241、第2の調整回路242、第3の調整回路243・・・を有する。負荷部23は、第1の調整回路241、第2の調整回路242及び第3の調整回路243に応じて異なるインピーダンスの負荷1、負荷2、負荷3・・・を組み合わせる。切替制御部27は、調整部24の第1の調整回路241、第2の調整回路242、第3の調整回路243の切り替えを制御する。
切替制御部27には、日射計25bが接続される。また、切替制御部27には、太陽電池とMPPT回路20との間に設けられた直流電力計25a(電圧値又は電流値)が接続される。
(動作)
第1実施形態にかかる最大電力点追跡装置2の動作について、図10を参照しながら説明する。図10は、第1実施形態にかかる最大電力点追跡装置2が実行する最大電力点追跡処理の一例を示す。
(ステップS10)最大電力点追跡処理が開始されると、直流電力計(電圧計又は電流計でもよい)25aは、太陽電池モジュール10から出力される電力値(電圧値又は電流値)を検出する。日射計25bは、太陽の日射強度を検出する。日射強度は、単位面積が単位時間に太陽から受ける放射エネルギーの量である。直流電力計(電圧値又は電流値)25a又は日射計25bが検出した結果は、切替制御部27に送られる。
(ステップS12)切替制御部27は、取得した電力値、電圧値、電流値又は日射強度に応じて、適切な負荷に接続される調整回路を判定する。切替制御部27は、判定結果を調整部24に伝送する。
(ステップS14)調整部24は、切替制御部27の判定結果に応じて、調整部24の第1の調整回路241、第2の調整回路242、第3の調整回路243・・・の接続を切り替える。これにより、第1の調整回路241、第2の調整回路242、第3の調整回路243又はその他の調整回路が設定され、それに対応して負荷1、負荷2、負荷3又はその他の負荷がMPPT回路20に接続される。
(ステップS16)制御部22は、直流電力計(電圧計又は電流計)25aが検出した電力値、電圧値又は電流値に応じて、太陽電池モジュール10の電流−電圧特性曲線(I−V Curve、以下、「I−V特性曲線」ともいう。)に基づき、例えば山登り法(Hill Climbing Method)により最大電力点Pmaxに最も近い電圧Vを算出する。制御部22は、算出された電圧Vを太陽電池モジュール10の最適動作点としてMPPT回路20に出力する。なお、I−V特性曲線は、太陽電池モジュール10の発電出力の特性を示す。
MPPT回路20は、制御部22による制御に基づき、太陽電池モジュール10から出力される電圧を最大電力点に最も近いとして算出された電圧Vに調整する。このため、制御部22は、常にMPPT回路20を調整し、太陽電池モジュール10での発電による最大電力点を追跡する。電源供給部21は、制御部22とMPPT回路20の動作に必要な電力を供給する。
第1実施形態にかかる最大電力点追跡装置2によれば、直流電力計(電圧計又は電流計)25a又は日射計25bが検出した測定値に応じて、ステップ10〜ステップ16の各ステップが繰り返し実行される。これにより、太陽電池モジュール10での発電における追跡効率を向上させることができる。
低日射強度では追跡効率が低下する。例えば、図11に示すように、6:00〜時刻t1の日の出の時間帯や、時刻t2〜18:00の日の入りの時間帯には日射強度が低く、MPPT制御部3による太陽電池モジュール10の電圧制御が難しくなる。その結果、太陽電池モジュール10から得られる電力Pが最大電力点の電力Pmaxに追跡できず、最大電力点追跡の効率が低下する。
これに対して、本実施形態では、切替制御部27は、例えば、直流電力計25aが検出した電力値P1,P2が、予め定められた電力の閾値Pthよりも小さい電力値を示す場合、低日射強度の状態であると判定する。そして、切替制御部27は、その判定結果に基づき直流電力計25aが検出した電力値に応じて負荷値の設定を変更するために第1の調整回路241、第2の調整回路242、第3の調整回路243又はその他の調整回路のいずれかを選択し、選択した調整回路に接続を切り替える。
また、例えば、図12に示すように、晴れの日、くもりの日、雨の日によって、日照強度Rが低くなる時間が異なってくるため、MPPT制御部3による太陽電池モジュール10の電圧制御が難しくなる。その結果、太陽電池モジュール10から得られる電力Pが最大電力点の電力Pmaxに追跡できず、最大電力点追跡の効率が低下する。よって、切替制御部27は、日射計25bが検出した日射強度R1,R2が、予め定められた日射強度の閾値Rthよりも小さい日射強度を示す場合、低日射強度の状態であると判定する。そして、切替制御部27は、日射計25bが検出した日射強度に応じて通常の日射強度のときよりも負荷を高くするように第1の調整回路241、第2の調整回路242、第3の調整回路243又はその他の調整回路のいずれかを選択し、選択した調整回路に接続を切り替える。この場合、太陽電池モジュール10からの出力が低電流であっても、電圧制御が可能となる一定の電圧を得ることができる。
このように、本実施形態に係る最大電力点追跡装置1では、日射強度が低いとき(日の出や日の入り)や電圧値や電流値が小さいとき、切替制御部27は、調整部24の第1の調整回路241、第2の調整回路242、第3の調整回路243・・・の切り替えを制御する。これにより、MPPT回路20に接続される負荷を調整することができる。例えば、図12のくもりの日及び雨の日の時刻t3における日照強度Rは、晴れの日の時刻t3における日照強度Rよりも低く、予め定められた日射強度の閾値Rthよりも小さい。このため、切替制御部27は、図12のくもりの日及び雨の日の時刻t3では、負荷の設定を変更するために調整部24の第1の調整回路241、第2の調整回路242、第3の調整回路243の切り替えを制御してもよい。同様に、図12の雨の日の時刻t4では、日照強度Rがくもりの日や晴れの日と比べて低いため、切替制御部27は、負荷の設定を変更するために調整部24の第1の調整回路241、第2の調整回路242、第3の調整回路243の切り替えを制御してもよい。
以上に説明したように、第1実施形態にかかる最大電力点追跡装置2によれば、太陽電池モジュール10に接続された最大電力点追跡装置2の負荷が制約されないため、太陽電池モジュール10における最大電力点追跡の効率を向上させることができる。これにより、低日射条件下においても最大電力点追跡装置2の負荷の調整により、通常の日射条件の場合と同様に最大電力点追跡の効率を向上させることができる。
なお、最大電力点追跡装置2のRAM等の内部メモリ等には、図13に示すように、電力P51、電流I52、電圧V53、日射強度R54、調整回路55とが関連付けて予め負荷選択テーブル50に記憶されてもよい。この場合、切替制御部27は、負荷選択テーブル50に基づき、測定装置から取得した電力P51、電流I52、電圧V53又は日射強度R54に応じて所望の調整回路55を選択することができる。例えば、電力計25aから取得した電力値がP1の場合、切替制御部27は、調整回路1と調整回路2との組み合わせを選択する。この結果、MPPT回路20が使用する負荷値は、負荷1と負荷2とを加算した値となる。同様にして、切替制御部27は、取得した電流I52、電圧V53又は日射強度R54に応じて負荷選択テーブル50から所望の調整回路55を選択することができる。
<第2実施形態>
[太陽光発電システム]
次に、本発明の第2実施形態にかかる太陽光発電システム1の構成の一例について、図14を参照しながら説明する。
第2実施形態にかかる太陽光発電システム1は、各電圧範囲において最大電力点の追跡に伴う動作電圧バンドが制約されないように、最大電力点追跡装置2は動作電圧バンドを調整する動作電圧調整部5を有する。これにより、本実施形態にかかる最大電力点追跡装置2は、最大出力電力の追跡効率を向上させ、所定の条件下における太陽電池モジュール10の最大出力電力追跡の効率低下の課題を解決する。
第2実施形態にかかる太陽光発電システム1においても、太陽電池モジュール10の最大電力点を追跡する最大電力点追跡装置2が太陽電池モジュール10に接続されている。最大電力点追跡装置2は、動作電圧調整部5、MPPT制御部3及び負荷部23を有する。MPPT制御部3は、第1実施形態と同様に、MPPT回路20、電源供給部21及び制御部22を有する。制御部22は、ソフトウェアや制御素子により構成される。制御部22は、太陽電池モジュール10の最大電力点の追跡を制御する。制御部22は、例えば山登り法(Hill Climbing Method)により最大電力点Pmaxに最も近い電圧Vを算出し、算出された電圧Vを太陽電池モジュール10の最適動作点としてMPPT回路20に出力する。MPPT回路20は、制御部22による制御に基づき、太陽電池モジュール10から出力される電圧を最大電力点に最も近い電圧Vに調整する。電源供給部21は、MPPT回路20及び制御部22に必要な電力を供給する。
動作電圧調整部5は、調整部28と切替制御部27とを有する。調整部28は、第1の調整回路281、第2の調整回路282、第3の調整回路283・・・を有する。第1の調整回路281は、MPPT回路20の動作電圧帯域(以下、「動作電圧バンド」ともいう。)を電圧V1分シフトさせる。第2の調整回路282は、MPPT回路20の動作電圧帯域を電圧V2分シフトさせる。第3の調整回路283は、MPPT回路20の動作電圧帯域を電圧V3分シフトさせる。切替制御部27は、調整部28の第1の調整回路281、第2の調整回路282、第3の調整回路283の切り替えを制御する。これにより、切替制御部27が、第1の調整回路281、第2の調整回路282、第3の調整回路283・・・のいずれかの調整回路を選択することで、太陽電池モジュール10の動作電圧バンドを異なる電圧幅(V1>V2>V3)だけシフトさせることができる。
切替制御部27には、電力計(電圧計、電流計)25a、日射計25b及び温度計25cが接続される。なお、太陽電池モジュール10の動作条件及び環境条件を測定可能な測定装置25は、電力計(電圧計、電流計)25a、日射計25b及び温度計25cに限らず、例えば、湿度計等のいかなる測定装置を使用することもできる。
(動作)
第2実施形態にかかる最大電力点追跡装置2の動作について、図15を参照しながら説明する。図15は、第2実施形態にかかる最大電力点追跡装置2が実行する最大電力点追跡処理の一例を示す。
(ステップS20)最大電力点追跡処理が開始されると、電力計(電圧計又は電流計)25aが太陽電池モジュール10から出力される電力値(電圧値又は電流値)を検出する。日射計25bは、太陽の日射強度を検出する。切替制御部27は、電力計(電圧計又は電流計)25a又は日射計25bが検出した結果を取得する。
(ステップS22)次に、切替制御部27は、温度を取得可能かを判定する。
(ステップS24)切替制御部27は、温度を取得不可能と判定した場合、取得した電力値、電圧値、電流値又は日射強度に基づき、調整すべき所定の動作電圧バンドの調整回路を判定する。切替制御部27は、判定結果を調整部28に伝送する。
(ステップS26)切替制御部27は、温度を取得可能と判定した場合、取得した電力値、電圧値、電流値、日射強度又は温度に基づき、調整すべき所定の動作電圧バンドの調整回路を判定する。切替制御部27は、判定結果を調整部28に伝送する。
(ステップS28)調整部28は、切替制御部27の判定結果に応じて、調整部28の第1の調整回路281、第2の調整回路282、第3の調整回路283・・・の接続を切り替える。これにより、第1の調整回路281、第2の調整回路282、第3の調整回路283又はその他の調整回路が設定され、それに対応して太陽電池モジュール10の動作電圧バンドを異なる電圧幅(V1>V2>V3)だけシフトさせることができる。
(ステップS30)制御部22は、電力計(電圧計又は電流計)25aが検出した電力値、電圧値又は電流値に応じて、太陽電池モジュール10のI−V特性曲線に基づき太陽電池モジュール10の最大電力点を追跡する。制御部22は、例えば山登り法(Hill Climbing Method)により最大電力点Pmaxに最も近い電圧Vを算出する。制御部22は、算出された電圧Vを太陽電池モジュール10の最適動作点としてMPPT回路20に出力する。
MPPT回路20は、設定された所定の電圧(V1,V2,V3・・・)だけ太陽電池モジュール10が動作する電圧バンドをシフトさせる。MPPT回路20が調整する最大電力点の追跡により得た電圧Vは、フロントエンド回路(動作電圧調整部5)に応じて変動する。このため、制御部22は、常にMPPT回路20を調整し、太陽電池モジュール10での発電による最大電力点を追跡する。電源供給部21は、制御部22とMPPT回路20との動作に必要な電力を供給する。
以上に説明したように、第2実施形態にかかる最大電力点追跡装置2によれば、日射計25bが検出した日射強度や温度計25cが検出した温度に応じて、ステップ20〜ステップ30の各ステップが繰り返し実行される。これにより、各電圧範囲において最大電力点の追跡に伴う動作電圧バンドが制約されないため、太陽電池モジュール10における最大電力点追跡の効率を向上させることができる。
なお、最大電力点追跡装置2のRAM等の内部メモリ等には、図16に示すように、温度T61、電力P62、日射強度R63、調整回路64とが関連付けて予め電圧バンド選択テーブル60に記憶されてもよい。この場合、切替制御部27は、取得した温度T61、電力P62及び日射強度R63に応じて電圧バンド選択テーブル60から所望の調整回路64を選択することができる。例えば、電力計25aから取得した電力値がP1の場合、切替制御部27は、電力P51が「P1」のときに対応付けられて調整回路64に記憶された調整回路1を選択する。この結果、調整部28は、第1の調整回路281を接続し、MPPT回路20の動作電圧を電圧V1だけシフトさせる。同様にして、切替制御部27は、取得した温度T61、電力P62、日射強度R63のいずれか一つ以上に応じて電圧バンド選択テーブル60から所望の調整回路64を選択することができる。
<変形例>
[太陽光発電システム]
本変形例にかかる電力追跡装置2は、第1実施形態の自動負荷調整部4と第2実施形態の動作電圧調整部5とを含む。これにより、本変形例にかかる電力追跡装置2では、電力追跡装置2の負荷が制約されず、かつ、各電圧範囲において最大電力点の追跡に伴う動作電圧バンドが制約されないため、最大電力点追跡の効率を更に向上させることができる。
<第3実施形態>
[太陽光発電システム]
太陽電池モジュール10の電気的条件や環境条件が異なれば、最大電力点追跡装置2の最大電力点追跡の効率は異なってくる。また、最大電力点追跡装置2に様々な太陽電池を組み合わせると、最大電力点の追跡の特性を把握しにくくなる。
これに対して、第3実施形態にかかる最大電力点追跡装置2は、太陽電池モジュール10の電気的条件や環境条件を考慮してシミュレーションを行い、最大出力電力追跡の効率を向上させる。
図17は、第3実施形態にかかる太陽光発電システム1の構成例を示す。第3実施形態にかかる太陽光発電システム1は、太陽電池モジュール10の評価方法を実行する際、事前に「負荷の抵抗値」と「負荷を切り替える電圧」等を確認するために使用される。
図18は、一実施形態にかかる太陽電池モジュール10の評価方法を示す最大電力点追跡処理のフローチャートである。図18の最大電力点追跡処理に従い太陽光発電システム1を動作させることで、MPPT回路20が正常に動作するかを確認することができる。
具体的には、図18に示すように、次の(1)〜(8)の順にシミュレーションが実行される。
(1)A社太陽電池のデータ(太陽電池のI−V特性のデータ)、日射強度R、温度Tという条件値を太陽電池シミュレータ10a(模擬太陽電池出力装置)に入力する。これにより、太陽電池シミュレータ10aが電力(電圧、電流)を出力する(ステップS40,S42,S44,S46を参照)。また、太陽電池シミュレータ10aは、最大電力の理論値(推定電力)を計算し、取得する。
ここでは、簡略化してA社製品とB社製品の太陽電池を挙げて説明するが、他社製品の様々な特定を有する1又は複数の太陽電池のI−V特性のデータを保存することが好ましい。また、ここでは、簡略化して日射強度Rと温度Tの環境条件のみを考慮した太陽電池に関するI−V特性の情報を各種テーブルに保存する。しかしながら、各種テーブルに保存する情報は、これに限らず、その他の電気的条件や湿度など環境条件を変化させた時の各社のI−V特性曲線を各種テーブルに保存することが好ましい。各種テーブルは、最大電力点追跡装置2の内部メモリ又は最大電力点追跡装置2と接続されている外部メモリに記憶され、データベース化されてもよい。
(2)MPPT回路20は、制御部22の操作により最大電力点追跡を行う。なお、MPPT回路20には、カタログ等から取得したデータに基づく負荷が接続されている。
(3)太陽電池シミュレータ10aは、測定装置25a,25bの両方から電圧、電流値を取得する。
(4)太陽電池シミュレータ10aは、測定装置25aから取得した電力と、最大電力の理論値を比較して、MPPT効率を取得する(図18 S48を参照)。
(5)太陽電池シミュレータ10aは、MPPT効率の良否を判定する(図18 S54を参照)。太陽電池シミュレータ10aは、MPPT効率が悪ければ、負荷を変更する。(図18 S58を参照)。負荷を変更後、再び(2)以降の処理が実行される。
(6)太陽電池シミュレータ10aは、測定装置25bから取得した電流値を確認する。電流値が10[A]を超えていた場合、装置及び回路の耐電流を超えるため、この場合にも、太陽電池シミュレータ10aは、負荷を変更する。負荷を変更後、再び(2)以降の処理が実行される。
(7)電流値が10[A]を越えず、MPPT効率が良好な場合、A社太陽電池は、その時点の日射強度R及び温度Tの条件下で、その時点の負荷値ならばMPPT回路20が正常に動作と判断する。
(8)以上の動作を温度条件、日射強度条件等を変えて繰り返すことにより、例えば、日射強度がR1〜R2の範囲で温度T1〜T2の範囲では、負荷X1〜X2[Ω]ならば、MPPT効率が良好であることや、日射強度がR2〜R3の範囲で温度T2〜T3の範囲では、負荷X2〜X3[Ω]ならば、MPPT効率が良好であることがわかる。これらの内容を収集して、図20に示すようなマトリクス表が得られる。
[最大電力点追跡処理]
図18のフローチャートに基づき、第3実施形態にかかる最大電力点追跡処理について説明する。
(ステップS40)図18に示す最大電力点追跡処理が開始されると、切替制御部27は、所定の会社製品の太陽電池モジュール10のI−V特性曲線を取得する。例えば、各社製品の太陽電池モジュール10のI−V特性曲線は、カタログ等から取得でき、図19の(a)の製品別I−V特性テーブル70に予め記憶されている。本実施形態では、簡略化してA社製品の太陽電池モジュール10のI−V特性曲線とB社製品の太陽電池モジュール10のI−V特性曲線とが製品別I−V特性テーブル70に予め記憶されている例を挙げて説明を続ける。
(ステップS42)次に、切替制御部27は、日射強度Rと太陽電池の温度Tの条件を決定する。
(ステップS44)次に、切替制御部27は、決定した日射強度Rと温度Tの条件における電流、電圧シミュレーション曲線のパラメータ(Isc、Voc、Imp,Vmp)を算出する。I−V特性曲線は、Imp,Isc,Vmp,Vocという4つの数値パラメータによって特定される。Imp,Isc,Vmp,Vocの4つの数値パラメータは、最大動作電流、短絡電流、最大動作電圧、開放電圧を示す。
メーカーより入手できる各メーカの太陽電池モジュール10のカタログには、発電特性の「温度変化率」及び「日照強度変化率」が掲載されている。その数値から、温度が変化した場合、及び日照強度が変化した場合のI−V特性の変化が計算できる。これにより、図19の(b)の温度に応じた製品別I−V特性テーブル80には、A社製品の温度に応じた太陽電池モジュール10のI−V特性曲線とB社製品の温度に応じた太陽電池モジュール10のI−V特性曲線とを記憶することができる。このように太陽電池モジュール10は、温度で発電する電圧と電流が変化することがわかる。
同様に、図19の(c)の日射強度に応じた製品別I−V特性テーブル90には、A社製品の日射強度に応じた太陽電池モジュール10のI−V特性曲線とB社製品の日射強度に応じた太陽電池モジュール10のI−V特性曲線とが記憶される。このように太陽電池モジュール10は、日照強度で発電する電圧と電流が変化することがわかる。
(ステップS46)次に、切替制御部27は、太陽電池モジュールシミュレータに算出されたImp,Isc,Vmp,Vocのパラメータを設定する。これにより、太陽電池モジュール10の製品毎及び環境条件毎のI−V特性曲線を記憶したデータベース(テーブル群)に基づき、太陽電池モジュール10の環境条件を示すパラメータに応じた太陽電池モジュール10の推定電力が算出される。
(ステップS48)次に、切替制御部27は、太陽電池の推定電力と、その推定電力が入力されたMPPT回路20が出力した電力値(追従電力)とを比較し、電力効率を算出する。MPPT回路20が正しく動作していないと、推定電力と追従電力との間の差分が大きくなる。ここでは、MPPT回路20の動作の精度を判断するため、MPPT制御による最大電力点の追従効率が使用される。言い換えると、MPPT制御による最大電力点の追従効率は、MPPT回路20を通過後の電力とMPPT回路20を通過前の電力とにより算出される。
(ステップS50)次に、切替制御部27は、それぞれの日射強度R、太陽電池の温度T及び与えられた負荷に応じたMPPT制御による最大電力点の追従効率マトリクスを作成してRAM等の記憶領域に保存する。最大電力点の追従効率マトリクスの一例としては、図20のA社製品の太陽電池の日射強度R、太陽電池の温度T及び負荷に応じたMPPT制御による最大電力点の追従効率を示すA社製品マトリクスが挙げられる。同様に、B社製品の太陽電池の日射強度R、太陽電池の温度T及び負荷に応じたMPPT制御による最大電力点の追従効率を示すB社製品マトリクスが挙げられる。これらのマトリクスの横軸には温度の変化による最大電力点の追従効率の変化が示され、縦軸には日射強度の変化による最大電力点の追従効率の変化が示されている。また、これらのマトリクスは、温度、日射強度及び負荷によりI−V特性曲線が変化することを示す。
(ステップS52)次に、切替制御部27は、負荷で測定される電流値及び電圧値を確認する。具体的には、切替制御部27は、電圧及び電流を測定し、ハードウェアとして問題が無いかを確認する。また、切替制御部27は、最大電力点の追従効率が良くても、過電流や過電圧になっていないかを確認する。過電流や過電圧の場合、太陽電池モジュール10の破損等の恐れがあるため、過電流や過電圧が生じる恐れがある場合には、次のステップS54にて負荷が最適化されていないと判定する。
(ステップS54)次に、切替制御部27は、負荷は最適化されているかを判定する。ここでは、最大電力点の追従効率が99%以上の場合、切替制御部27は、負荷は最適化されていると判定する。また、最大電力点の追従効率が99%未満の場合、切替制御部27は、負荷は最適化されていないと判定する。
(ステップS56)この場合、切替制御部27は、ある負荷の値とその負荷が接続されたときの太陽電池の温度T及び日照強度RをMPPT回路20による最大電力点の追従効率の最適な条件と判定し、本処理を終了する。この結果、ある負荷の値と、その負荷が接続された時に最適な太陽電池の温度T及び日照強度Eがわかる。また、所定の負荷毎に温度及び日照強度がどの範囲ならば最大電力点の追従効率が99%以上となるかが判る。
(ステップS58)この場合、切替制御部27は、設定される負荷値を変え、ステップS48〜S54の処理を最大電力点の追従効率が99%以上になるまで行う。
例えば、図20に示すA社製品マトリクスにおいて、温度TがT5〜T6の範囲内で、日射強度がR5〜R7の範囲であれば、最大電力点の追従効率が99%以上である負荷3で最適化されていると判定される。一方、温度TがT5〜T6の範囲内で、日射強度がR6〜R7の範囲であれば、負荷1〜3のいずれの場合にも最大電力点の追従効率が99%未満の領域が含まれるため、負荷は最適化されていないと判定される。
図20に示すB社製品マトリクスも同様にして、温度TがT5〜T6の範囲内で、日射強度がR9〜R10の範囲であれば、最大電力点の追従効率が99%以上である負荷1又は負荷2で最適化されていると判定される。
上記のフローでの確認作業の結果から、第1実施形態又は第2実施形態の最大電力点追跡装置2に、上記内容から得た最適な負荷を搭載可能となる。制御部は太陽電力から出力される電圧、或いは気温条件や日射強度等から適切に負荷を切り替え、最大電力点追跡装置2を動作させる様なプログラム(或いは機械的リレー回路等)を搭載し、最大電力点追跡装置2を動作させる。
以上に説明したように、第3実施形態にかかる最大電力点追跡装置2によれば、太陽電池モジュール10の電気的条件や環境条件を考慮して最大出力電力の追跡効率を向上させることができる。
なお、ここでは最大電力点の追従効率の判定基準を99%以上としたが、判定基準は、要求に応じて任意に設定することができる。また、ここでは負荷を変えることで追従効率を最適化したが電圧バンドを変えて最適化してもよく、2つを組み合わせてもよい。また、複数の太陽電池を利用する場合について説明したが、1つの太陽電池に利用してもよい。
<第4実施形態>
[太陽光発電システム]
図21は、第4実施形態にかかる太陽光発電システム1の構成例を示す。第4実施形態にかかる最大電力点追跡装置2は、電子回路設計、不安定な電源供給、内部損失といった最大電力点追跡装置2の内部構成が原因で最大電力点追跡の効率が低下することを回避できる。
第4実施形態にかかる最大電力点追跡装置2には、電源供給部21に外部から安定的に給電する直流電圧電源29が接続されている。直流電圧電源29は、非蓄電池式の外部電源の一例である。直流電圧電源29は、直流の電力の供給とAC/DC変換とを行う。
これによれば、外部に設置された直流電圧電源29から電源供給部21に、制御部22及びMPPT回路20に必要な電力を安定的に提供できる。これにより、第4実施形態にかかる最大電力点追跡装置2は、電子回路設計、不安定な電源供給、内部損失といった最大電力点追跡装置2の内部構成が原因で最大電力点追跡の効率が低下することを回避できる。言い換えると、直流電圧電源29は、日射強度が低く、温度が低い環境において好適に用いることができる。
[実験およびシミュレーション結果]
最後に、第1実施形態〜第4実施形態(及び変形例)において得られた実験およびシミュレーション結果について、図22〜図27を参照しながら説明する。
(オートローディング:自動負荷調整)
まず、第1実施形態に関するオートローディング(自動負荷調整)の一例について説明する。図23は、第1実施形態にかかる最大電力点追跡装置2の自動負荷調整部4による効果の一例を示し、図22は、最大電力点追跡装置2が自動負荷調整部4を有さない場合の比較例を示す。最大電力点追跡装置2が自動負荷調整部4を有さない場合、図22の(a)の矢印及び図22の(b)の破線よりも下側の電力に示されるように、日射強度が低い条件下では、最大電力点追跡の効率が低下する。これに対して、自動負荷調整部4を有する第1実施形態にかかる最大電力点追跡装置2の場合、図23の(a)及び図23の(b)に示すように、低日射強度における最大電力点追跡の効率を向上させることができることがわかる。
(電圧トリミング:動作電圧バンド調整)
次に、第2実施形態に関する電圧トリミング(動作電圧バンド調整)の一例について説明する。図24は、第2実施形態にかかる最大電力点追跡装置2の動作電圧調整部5の効果の一例を示す。図24は、電圧Vmpが78Vの太陽電池モジュール10を例にしたものである。動作電圧調整部5が調整する動作電圧バンドを75〜85Vに設定すると、最大電力点の追跡効率を概ね99%以上に維持できる。一方、動作電圧調整部5が調整する動作電圧バンドを85〜95Vに設定すると、最大電力点の追跡効率が低下する。以上から、太陽電池モジュール10の出力電圧に応じて動作電圧バンドを調整すれば、最大電力点の追跡効率を向上させることができる。
(MPPTトラッキングアビリティコンペンセーション:最大電力点追跡効率の補償)
次に、第3実施形態に関するMPPTトラッキングアビリティコンペンセーション(最大電力点追跡効率の補償)の一例について説明する。図25は、最大電力点追跡効率の損失値の一例を示す。図26は、MPPTトラッキングアビリティコンペンセーション(最大電力点追跡効率の補償)に関する効果の一例を示す。
図25の左側の縦軸は最大電力点追跡効率の損失値を示し、横軸は時間(1目盛が1時間)を示し、右側の縦軸は1目盛、1時間毎の平均日射強度を示す。図25では、破線で示す日射強度が弱くなるほど最大電力点追跡の効率の損失が大きくなり、最大電力点追跡の効率が低下していくことがわかる。この試験は、太陽電池モジュールシミュレータで得られたデータによるものため、最大電力点追跡の効率の損失値を正確に計算できる。
図26の縦軸は最大電力点追跡の補償値を示し、横軸は太陽電池モジュールの出力電力を示す。図26では、太陽電池モジュールの出力電力が低下するほど最大電力点追跡の効率が低下していくことがわかる。この結果から、最大電力点は、太陽電池モジュールの出力電力×(1+補償値%)となることが導き出される。
(非蓄電池式の外部電源)
最後に、第4実施形態に関する非蓄電池式の外部電源の一例について説明する。図27の(b)は、各時間に対する日照強度を示す。図27の(a)は、各時間に対する外部電源の出力と太陽電池モジュールの出力電力を示す。これによれば、外部電源から制御部22及びMPPT回路20に必要な電力を安定的に提供することで、優れた最大電力点追跡の効率が得られていることがわかる。
上記の実施形態によれば、比較的、小型・簡便な方法にて、より正確な最大電力点追跡となる条件を得ることができるため、太陽電池モジュールの評価に好適に用いることができる。また、MPPT回路の特性に左右されずにさまざまな環境条件における太陽電池モジュールの性能を正確に評価することができる。また、太陽光発電所などの複数の太陽電池を用いる環境において、一部の太陽電池モジュールに該最大電力点追跡装置を接続することによって、太陽電池モジュールの監視、発電量の推定等を行うことができる。特に、砂漠地帯、寒冷地、緯度の高い地帯など厳しい環境条件において好適に利用することができる。
以上、例えば、を上記実施形態により説明したが、本発明にかかる例えば、は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲内で種々の変形及び改良が可能である。上記複数の実施形態に記載された事項は、矛盾しない範囲で組み合わせることができる。
1:太陽光発電システム
2:最大電力点追跡装置
3:MPPT制御部
4:自動負荷調整部
5:動作電圧調整部
10:太陽電池モジュール
20:MPPT回路
21:電源供給部
22:制御部
23:負荷部
24:調整部
25a:電力計(電圧計、電流計)
25b:日射計
25c:温度計
25:測定装置
27:切替制御部
28:調整部
29:直流電圧電源
241:第1の調整回路
242:第2の調整回路
243:第3の調整回路
281:第1の調整回路
282:第2の調整回路
283:第3の調整回路

Claims (8)

  1. 電圧、電流又は電力に対して最大電力点を追跡し、前記最大電力点に応じた電圧、電流又は電力に制御するMPPT制御部と、
    太陽電池モジュールの動作又は環境に関する測定値に応じて該MPPT制御部が最大電力点を追跡する際の負荷値を調整する調整部と、
    を有し、
    前記太陽電池モジュールの動作又は環境に関する測定値は、太陽電池モジュールから出力された電圧、電流又は電力の測定値と、日射強度の測定値と、温度の測定値との少なくともいずれかを含み、
    前記調整部は、
    前記少なくともいずれかの測定値を取得し、取得した測定値に応じた負荷値に前記MPPT制御部に接続する負荷値を切り替える切替制御部を有し、
    前記切替制御部は、
    予め記憶されている前記太陽電池モジュールの製品毎及び環境条件毎の電流及び電圧特性を示すデータベースに基づき、前記太陽電池モジュールの環境に関する測定値に応じて前記太陽電池モジュールの推定電力を算出し、
    前記算出した推定電力と前記MPPT制御部が前記最大電力点の追跡により算出した電力とに基づき算出される電力効率によって、前記MPPT制御部に接続される負荷値を切り替える、
    最大電力点追跡装置。
  2. 太陽電池モジュールが出力した電圧、電流又は電力に対して最大電力点を追跡し、前記最大電力点に応じた電圧、電流又は電力に制御するMPPT制御部と、
    前記太陽電池モジュールの動作又は環境に関する測定値に応じて該MPPT制御部が最大電力点を追跡する際の負荷値を調整する調整部と、
    を有し、
    前記太陽電池モジュールの動作又は環境に関する測定値は、太陽電池モジュールから出力された電圧、電流又は電力の測定値と、日射強度の測定値と、温度の測定値との少なくともいずれかを含み、
    前記調整部は、
    前記少なくともいずれかの測定値を取得し、取得した測定値に応じた負荷値に前記MPPT制御部に接続する負荷値を切り替える切替制御部を有し、
    前記切替制御部は、
    予め記憶されている前記太陽電池モジュールの製品毎及び環境条件毎の電流及び電圧特性を示すデータベースに基づき、前記太陽電池モジュールの環境に関する測定値に応じて前記太陽電池モジュールの推定電力を算出し、
    前記算出した推定電力と前記MPPT制御部が前記最大電力点の追跡により算出した電力とに基づき算出される電力効率によって、前記MPPT制御部に接続される負荷値を切り替える、
    最大電力点追跡装置。
  3. 前記太陽電池モジュールの動作又は環境に関する測定値に応じて該MPPT制御部が最大電力点を追跡する際の動作電圧バンドを調整する動作電圧調整部と、
    をさらにを有する、請求項1又は2に記載の最大電力点追跡装置。
  4. 前記MPPT制御部に接続され、該MPPT制御部に電力を供給する外部電源を有する、
    請求項1〜のいずれか一項に記載の最大電力点追跡装置。
  5. 太陽電池モジュールと、該太陽電池モジュールの最大電力点を追跡し、前記最大電力点に応じた電圧、電流又は電力に制御する最大電力点追跡装置とが接続された太陽光発電システムであって、
    前記最大電力点追跡装置は、
    太陽電池モジュールが出力した電圧、電流又は電力に対して最大電力点を追跡し、前記最大電力点に応じた電圧、電流又は電力に制御するMPPT制御部と、
    前記太陽電池モジュールの動作又は環境に関する測定値に応じて該MPPT制御部が最大電力点を追跡する際の負荷値、および、動作電圧バンドのいずれか1つ以上を調整する調整部と、
    を有し、
    前記太陽電池モジュールの動作又は環境に関する測定値は、太陽電池モジュールから出力された電圧、電流又は電力の測定値と、日射強度の測定値と、温度の測定値との少なくともいずれかを含み、
    前記調整部は、
    前記少なくともいずれかの測定値を取得し、取得した測定値に応じた負荷値に前記MPPT制御部に接続する負荷値を切り替える切替制御部を有し、
    前記切替制御部は、
    予め記憶されている前記太陽電池モジュールの製品毎及び環境条件毎の電流及び電圧特性を示すデータベースに基づき、前記太陽電池モジュールの環境に関する測定値に応じて前記太陽電池モジュールの推定電力を算出し、
    前記算出した推定電力と前記MPPT制御部が前記最大電力点の追跡により算出した電力とに基づき算出される電力効率によって、前記MPPT制御部に接続される負荷値を切り替える、太陽光発電システム。
  6. 太陽電池モジュールと、前記太陽電池モジュールに請求項1に記載の最大電力点追跡装置を介して接続された負荷と、を用いた太陽電池モジュールの評価方法であって、
    前記太陽電池モジュールからの出力を最大の電力値となるように制御する最大電力点追跡工程と、
    前記太陽電池モジュールの動作及び環境の少なくともいずれかに関する値を取得する工程と、
    前記太陽電池モジュールの動作及び環境の少なくともいずれかに関する値に応じて前記最大電力点追跡装置に入力、又は、出力する電圧を制御する工程と、
    を備えた太陽電池モジュールの評価方法。
  7. 前記電圧を制御する工程は、
    前記最大電力点追跡装置を介して接続された負荷の値を調整する、
    請求項6に記載の太陽電池モジュールの評価方法。
  8. 前記電圧を制御する工程は、
    前記最大電力点追跡装置に入力する電圧バンドを調整する、
    請求項6又は請求項7に記載の太陽電池モジュールの評価方法。
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