以下、複数の実施形態について説明する。なお、複数の実施形態において共通する構成要素については、同一の符号を付ける。また、複数の実施形態において共通する構成は、初出の実施形態において詳細を説明し、以後の実施形態においては相違点を除き詳細な説明を省略する。
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態に係る発電システム10を示す図である。発電システム10は、複数の太陽電池パネル20と、接続装置22と、パワーコンディショナ24と、1または複数の電力変換装置30とを備える。
太陽電池パネル20は、太陽光を受光して、受光した太陽光を電気エネルギーに変換する。そして、太陽電池パネル20は、直流電力を発電する。
太陽電池パネル20は、複数のクラスタを含む。太陽電池パネル20は、例えば2個または3個のクラスタを含む。クラスタは、直列に接続された複数の太陽電池セル(発電セル)を含む。太陽電池パネル20に含まれる複数のクラスタは、直列に接続されている。太陽電池パネル20は、含まれる全てのクラスタが正常に太陽光を受光して発電をしている場合には、100%の効率で発電をする(通常効率状態)。しかし、太陽電池パネル20は、一部のクラスタに影がかかったり一部のクラスタが故障したりした場合、一部に影がかかったまたは故障したクラスタに並列に接続されたバイパスダイオードがオンとなり、電流がバイパスダイオードにバイパスされる。この結果、一部のクラスタに影がかかったり一部のクラスタが故障したりした場合、太陽電池パネル20は、100%より小さい効率で発電をする(低効率状態)。
発電システム10は、1または複数のストリングを含む。1つのストリングは、複数個の太陽電池パネル20を含む。1つのストリング内に含まれる複数個の太陽電池パネル20は、直列に接続される。
接続装置22は、複数のストリングから出力された直流電力を並列に接続して、パワーコンディショナ24に供給する。接続装置22は、あるストリングから他のストリングへの電流の逆流を防止する。また、逆流防止のために、各ストリングには、正側電圧を発生する末端に順方向接続されたダイオードが接続される。
パワーコンディショナ24は、接続装置22から供給された直流電力を所定の周波数の交流電力に変換する。パワーコンディショナ24は、発生した交流電力を送電線等を介して外部に出力する。また、パワーコンディショナ24は、連系された系統を保護する。
さらに、パワーコンディショナ24は、複数の太陽電池パネル20の全体に対して最大電力点追従(MPPT)制御を実行する。太陽電池パネル20は、発生電圧に対する発生電力を表す特性カーブにピーク点(極大点)を有する。パワーコンディショナ24は、最大電力点追従制御を実行することにより、複数の太陽電池パネル20を最大動作点で動作させることができる。
また、複数の太陽電池パネル20の全てまたは一部には、電力変換装置30が取り付けられている。電力変換装置30は、太陽電池パネル20から出力された直流電力を直流電力に電力変換をする(直流−直流変換)。電力変換装置30が取り付けられた太陽電池パネル20は、電力変換装置30の出力端が他の太陽電池パネル20と直列に接続される。
なお、図1には、複数の太陽電池パネル20の全てに電力変換装置30が取り付けられた例を示している。しかし、発電システム10は、電力変換装置30が取り付けられていない太陽電池パネル20を備えてもよい。
また、本実施形態に係る発電システム10は、複数の太陽電池パネル20に代えて、発生電圧に対する発生電力を表す特性カーブにピーク点を有する他の発電モジュールを用いてもよい。例えば、発電モジュールは、風力発電機また燃料電池等であってもよい。
図2は、電力変換装置30を取り付けない場合と取り付けた場合の発電効率を示す図である。電力変換装置30は、取り付けられた太陽電池パネル20(電力変換対象の太陽電池パネル20)を最大電力点で動作させるように、最大電力点追従制御を実行する。
例えば、何れの太陽電池パネル20にも電力変換装置30を取り付けない場合、1つの太陽電池パネル20の発電効率の低下に応じて、そのストリングに含まれる他の太陽電池パネル20は、発電効率が低下してしまう。
しかしながら、電力変換装置30が取り付けられた太陽電池パネル20の発電効率が低下しても、その電力変換装置30は、対象の太陽電池パネル20が発生する電圧を昇圧または降圧してストリングに供給し、対象の太陽電池パネル20を最大電力点で動作させる。従って、そのストリングに含まれる他の太陽電池パネル20は、最大電力点で動作することができる。このように電力変換装置30は、対象の太陽電池パネル20の発電効率が低下したとしても、そのストリングに含まれる他の太陽電池パネル20の発電効率の低下を最小限に抑えることができる。
図3は、電力変換装置30の構成を示す図である。電力変換装置30は、正側入力端子42と、負側入力端子44と、正側出力端子46と、負側出力端子48と、昇降圧回路50と、電流計52と、入力側電圧計54と、出力側電圧計56と、コントローラ60と、電源62とを有する。
正側入力端子42および負側入力端子44は、対象の太陽電池パネル20から発生された入力電圧が印加される。正側入力端子42は、対象の太陽電池パネル20の正側端子に接続される。負側入力端子44は、対象の太陽電池パネル20の負側端子に接続される。
正側出力端子46は、同一のストリングに含まれるプラス側に隣接する他の太陽電池パネル20の負側端子、または、隣接する他の太陽電池パネル20に取り付けられた電力変換装置30の負側出力端子48に接続される。なお、対象の太陽電池パネル20がストリング内におけるプラス側の端部に配置されている場合には、正側出力端子46は、接続装置22に接続される。
負側出力端子48は、同一のストリングに含まれるマイナス側に隣接する他の太陽電池パネル20の正側端子、または、マイナス側に隣接する他の太陽電池パネル20に取り付けられた電力変換装置30の正側出力端子46に接続される。なお、対象の太陽電池パネル20がストリング内におけるマイナス側の端部に配置されている場合には、負側出力端子48は、接続装置22に接続される。
電流計52は、対象の太陽電池パネル20から出力される電流(入力電流IIN)の電流値を測定する。本実施形態においては、電流計52は、正側入力端子42から正側出力端子46へと流れる電流を測定する。例えば、電流計52は、正側入力端子42と正側出力端子46との間の経路中に挿入された微小抵抗値の電流測定用抵抗と、電流測定用抵抗に発生する電圧を増幅する増幅器とを含む。このような電流計52は、対象の太陽電池パネル20から出力される電流(入力電流IIN)に比例した電圧値の電圧をコントローラ60に出力する。
入力側電圧計54は、対象の太陽電池パネル20から発生する電圧(入力電圧VIN)の電圧値を測定する。本実施形態においては、入力側電圧計54は、正側入力端子42と負側入力端子44との間の電圧を測定する。例えば、入力側電圧計54は、正側入力端子42と負側入力端子44との間に設けられた大きな抵抗値の入力電圧検出用抵抗と、入力電圧検出用抵抗に発生する電圧を増幅する増幅器とを含む。このような入力側電圧計54は、対象の太陽電池パネル20から発生する電圧(入力電圧VIN)に比例した電圧値の電圧をコントローラ60に出力する。
出力側電圧計56は、昇降圧回路50から出力される電圧(出力電圧VOUT)の電圧値を測定する。本実施形態においては、出力側電圧計56は、正側出力端子46と負側出力端子48との間の電圧を測定する。例えば、出力側電圧計56は、正側出力端子46と負側出力端子48との間に設けられた大きな抵抗値の出力電圧検出用抵抗と、出力電圧検出用抵抗に発生する電圧を増幅する増幅器とを含む。このような出力側電圧計56は、昇降圧回路50から出力される電圧(出力電圧VOUT)に比例した電圧値の電圧をコントローラ60に出力する。
昇降圧回路50は、対象の太陽電池パネル20から発生された直流電力の入力電圧VINが印加される。昇降圧回路50は、入力電圧VINを電力変換した直流電力の出力電圧VOUTを出力する。昇降圧回路50は、Hブリッジのチョッパ型である。昇降圧回路50は、入力電圧VINを降圧した出力電圧VOUTを出力することも(VIN>VOUT)、入力電圧VINを昇圧した出力電圧VOUTを出力することも(VIN<VOUT)可能である。さらに、昇降圧回路50は、電力変換せずに、入力電圧VINをそのまま出力電圧VOUTとして出力することも可能である(VIN=VOUT)。
本実施形態において、昇降圧回路50は、インダクタ70と、第1スイッチ72と、第2スイッチ74と、第3スイッチ76と、第4スイッチ78と、キャパシタ80とを含む。
第1スイッチ72は、コントローラ60の制御に応じて、正側入力端子42とインダクタ70の第1端子70−1との間をスイッチング(オンオフ)する。第2スイッチ74は、コントローラ60の制御に応じて、負側入力端子44とインダクタ70の第1端子70−1との間をスイッチング(オンオフ)する。第3スイッチ76は、コントローラ60の制御に応じて、インダクタ70の第2端子70−2と正側出力端子46との間をスイッチング(オンオフ)する。第4スイッチ78は、コントローラ60の制御に応じて、インダクタ70の第2端子70−2と負側出力端子48との間をスイッチング(オンオフ)する。キャパシタ80は、正側出力端子46と負側出力端子48との間に接続される。
第1スイッチ72は、例えば、nチャネルMOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor)である。この場合、第1スイッチ72は、ドレインが正側入力端子42に接続され、ソースがインダクタ70の第1端子70−1に接続され、ゲートにコントローラ60からの第1スイッチング信号S1が与えられる。
第2スイッチ74は、例えば、nチャネルMOSFETである。この場合、第2スイッチ74は、ドレインがインダクタ70の第1端子70−1に接続され、ソースが負側入力端子44に接続され、ゲートにコントローラ60からの第2スイッチング信号S2が与えられる。
第3スイッチ76は、例えば、nチャネルMOSFETである。この場合、第3スイッチ76は、ソースがインダクタ70の第2端子70−2に接続され、ドレインが正側出力端子46に接続され、ゲートにコントローラ60からの第3スイッチング信号S3が与えられる。
第4スイッチ78は、例えば、nチャネルMOSFETである。この場合、第4スイッチ78は、ドレインがインダクタ70の第2端子70−2に接続され、ソースが負側出力端子48に接続され、ゲートにコントローラ60からの第4スイッチング信号S4が与えられる。
コントローラ60は、マイクロコンピュータ等であって、昇降圧回路50の動作を制御する。電源62は、正側入力端子42および負側入力端子44を介して、対象の太陽電池パネル20から直流電力を受け取り、電圧を安定化させて出力する。電源62は、安定化させた直流電圧をコントローラ60に与える。これにより、コントローラ60は、対象の太陽電池パネル20により発電される直流電力により駆動される。
本実施形態において、コントローラ60は、CPU82(Central Processing Unit)、ROM84(Read Only Memory)と、RAM86(Random Access Memory)と、ADC88(Analog to Digital Converter)と、I/F回路90とを含む。各部は、バスにより接続される。
CPU82は、RAM86の所定領域を作業領域としてROM84に予め記憶された各種プログラムとの協働により各種処理を実行し、コントローラ60を構成する各部の動作を統括的に制御する。また、CPU82は、ROM84に予め記憶されたプログラムとの協働によりADC88およびI/F回路90等を動作させる。
ROM84は、コントローラ60の制御に用いられるプログラムおよび各種設定情報等を書き換え不可能に記憶する。RAM86は、DRAM(Dynamic Random Access Memory)等の揮発性の記憶媒体である。RAM86は、CPU82の作業領域として機能する。
ADC88は、電流計52、入力側電圧計54および出力側電圧計56から出力された電圧をデジタル値に変換する。これにより、CPU82は、入力電流IINの電流値、入力電圧VINの電圧値および出力電圧VOUTの電圧値を取得することができる。
I/F回路90は、CPU82の制御に応じて、第1スイッチング信号S1、第2スイッチング信号S2、第3スイッチング信号S3および第4スイッチング信号S4を出力する。これにより、昇降圧回路50は、コントローラ60の制御に応じて動作をすることができる。
図4は、第1実施形態に係るコントローラ60の機能構成を示す図である。コントローラ60は、ROM84に記憶されたプログラムをCPU82が実行することにより、図4に示すような構成で機能する。
すなわち、コントローラ60は、電流値取得部102と、電圧値取得部104と、電力算出部106と、スイッチ駆動部108と、スイッチング制御部110と、モード制御部112とを有する。
電流値取得部102は、電流計52により測定された対象の太陽電池パネル20から出力される入力電流IINの電流値を取得する。電圧値取得部104は、入力側電圧計54により測定された対象の太陽電池パネル20から発生する入力電圧VINの電圧値を取得する。さらに、電圧値取得部104は、出力側電圧計56により測定された昇降圧回路50から出力される出力電圧VOUTの電圧値を取得する。電流値取得部102および電圧値取得部104は、ADC88およびCPU82により実現される。
電力算出部106は、入力電圧VINの電圧値および入力電流IINの電流値に基づき、対象の太陽電池パネル20により発電される直流電力を算出する。電力算出部106は、CPU82により実現される。
スイッチ駆動部108は、第1スイッチング信号S1、第2スイッチング信号S2、第3スイッチング信号S3および第4スイッチング信号S4を出力して、第1スイッチ72、第2スイッチ74、第3スイッチ76および第4スイッチ78を駆動する。スイッチ駆動部108は、I/F回路90およびCPU82により実現される。
さらに、スイッチ駆動部108は、モード制御部112からの動作モードを指定する指示に応じて、第1スイッチ72、第2スイッチ74、第3スイッチ76および第4スイッチ78をオンまたはオフさせる。
スイッチ駆動部108は、動作モードを追従モードとする指示を受けた場合、スイッチング制御部110からの制御に応じて、第1スイッチ72、第2スイッチ74、第3スイッチ76および第4スイッチ78をスイッチングする。これにより、スイッチ駆動部108は、動作モードを追従モードとする指示を受けた場合、昇降圧回路50に入力電圧VINを降圧または昇圧した出力電圧VOUTを出力させることができる。
スイッチ駆動部108は、動作モードを停止モードとする指示を受けた場合、第1スイッチ72、第2スイッチ74、第3スイッチ76および第4スイッチ78をオフにする。これにより、スイッチ駆動部108は、停止モードとする指示を受けた場合、正側出力端子46と負側出力端子48との間をオープン状態にして、昇降圧回路50からの出力電圧VOUTの出力を停止させることができる。
スイッチ駆動部108は、動作モードをパススルーモードとする指示を受けた場合、第1スイッチ72および第3スイッチ76をオンとし、第2スイッチ74および第4スイッチ78をオフとする。これにより、スイッチ駆動部108は、パススルーモードとする指示を受けた場合、正側入力端子42と正側出力端子46との間を直流的に接続し、且つ、負側入力端子44と負側出力端子48との間を直流的に接続し、昇降圧回路50に電力変換をさせずに、昇降圧回路50に入力電圧VINをそのまま出力電圧VOUTとして出力させることができる。
スイッチング制御部110は、対象の太陽電池パネル20により発電される直流電力を最大とするように昇降圧回路50の電力変換を制御する最大電力点追従処理を実行する。スイッチング制御部110は、CPU82により実現される。
最大電力点追従処理において、スイッチング制御部110は、入力電圧VINの電圧値に対する出力電圧VOUTの電圧値の比率の目標を表す目標変換比率を取得する。そして、スイッチング制御部110は、入力電圧VINの電圧値と出力電圧VOUTの電圧値との比率が目標変換比率となるように、第1スイッチ72、第2スイッチ74、第3スイッチ76および第4スイッチ78をスイッチング制御する。
最大電力点追従処理において、スイッチング制御部110は、目標変換比率に応じて、昇降圧回路50に降圧動作をさせるか、昇圧動作をさせるかを切り替える。例えば、目標変換比率が百分率で表されているとする。この場合、スイッチング制御部110は、目標変換比率が100%より小さければ、昇降圧回路50に降圧動作をさせ、目標変換比率が100%より大きければ、昇降圧回路50に昇圧動作をさせる。
例えば、スイッチング制御部110は、最大電力点追従処理として、山登り法を実行する。また、例えば、スイッチング制御部110は、最大電力点追従処理として、スキャン法をしてもよい。
モード制御部112は、入力電圧VINおよび入力電流IINに基づいて、電力変換装置30の動作モードを制御する。モード制御部112は、CPU82により実現される。
より具体的には、モード制御部112は、対象の太陽電池パネル20から出力される入力電流IINが予め設定された電流閾値ITより大きい場合、追従モードとする。追従モードにおいて、モード制御部112は、スイッチング制御部110に最大電力点追従処理を実行させる。
また、モード制御部112は、入力電流IINが電流閾値IT以下の場合、パススルーモードとする。パススルーモードにおいて、モード制御部112は、スイッチング制御部110による最大電力点追従処理を停止させる。そして、パススルーモードにおいて、モード制御部112は、スイッチ駆動部108に指示を与えて、昇降圧回路50に電力変換をさせずに、昇降圧回路50に入力電圧VINをそのまま出力電圧VOUTとして出力させる。
また、モード制御部112は、入力電圧VINが予め設定された電圧閾値VT以下の場合、入力電流IINに関わらず、停止モードとする。停止モードにおいて、モード制御部112は、スイッチング制御部110による最大電力点追従処理を停止させる。そして、停止モードにおいて、モード制御部112は、スイッチ駆動部108に指示を与えて、昇降圧回路50からの出力電圧VOUTの出力を停止させる。
図5は、停止モードにおける昇降圧回路50に含まれるスイッチの状態を示す図である。スイッチ駆動部108は、モード制御部112から停止モードとする指示を受けた場合、第1スイッチ72をオフとし、第2スイッチ74をオフとし、第3スイッチ76をオフとし、第4スイッチ78をオフとする。
これにより、スイッチ駆動部108は、停止モードにおいて、正側出力端子46と負側出力端子48との間をオープン状態にすることができる。また、スイッチ駆動部108は、停止モードにおいて、対象の太陽電池パネル20とインダクタ70との間をオープン状態にすることができる。これにより、スイッチ駆動部108は、昇降圧回路50による電力変換を停止させ、昇降圧回路50に出力電圧VOUTを出力させないようにすることができる。
図6は、パススルーモードにおける昇降圧回路50に含まれるスイッチの状態を示す図である。スイッチ駆動部108は、モード制御部112からパススルーモードとする指示を受けた場合、第1スイッチ72をオンとし、第2スイッチ74をオフとし、第3スイッチ76をオンとし、第4スイッチ78をオフとする。
インダクタ70は、直流的には、抵抗値が0の配線に等しい。従って、パススルーモードにおいて、スイッチ駆動部108は、正側入力端子42と正側出力端子46との間を接続し、負側入力端子44と負側出力端子48との間を接続することができる。これにより、パススルーモードにおいて、スイッチ駆動部108は、昇降圧回路50に電力変換をさせずに、昇降圧回路50に入力電圧VINをそのまま出力電圧VOUTとして出力させることができる。
図7は、追従モードの降圧時における昇降圧回路50に含まれるスイッチの状態を示す図である。
追従モードにおいて、スイッチング制御部110は、降圧時(百分率で表された目標変換比率が100%より小さい場合)と、昇圧時(百分率で表された目標変換比率が100%より大きい場合)とで、昇降圧回路50のスイッチング方法を変える。
追従モードの降圧時において、スイッチング制御部110は、図7に示すようなスイッチングをする。すなわち、スイッチング制御部110は、第3スイッチ76をオンおよび第4スイッチ78をオフとして固定する。さらに、スイッチング制御部110は、第1スイッチ72および第2スイッチ74を所定のスイッチング周期で相補的にスイッチングさせる。第1スイッチ72および第2スイッチ74を相補的にスイッチングさせるとは、第1スイッチ72がオンの場合、第2スイッチ74がオフとなり、第1スイッチ72がオフの場合、第2スイッチ74がオンとなるようにスイッチングさせることである。
図8は、追従モードの降圧時における第1スイッチング信号S1を示す図である。追従モードの降圧時において(目標変換比率が100%より小さい場合において)、スイッチング制御部110は、第1スイッチ72のオン期間を、目標変換比率が大きい程、長くする。
例えば、スイッチング制御部110は、目標変換比率が100%より小さい場合、スイッチング周期に対する第1スイッチ72のオン期間を目標変換比率に応じた割合とするように、第1スイッチ72および第2スイッチ74を相補的にスイッチングさせる。より具体的には、所定のスイッチング周期をTとし、百分率で表された目標変換比率をRとしたとする。この場合、スイッチング制御部110は、第1スイッチ72のオン期間(T1ON)および第1スイッチ72のオフ期間(T1OFF)を下記のような値とする。
T1ON=T×R/100
T1OFF=T−T1ON
これにより、スイッチング制御部110は、降圧時において、昇降圧回路50から、入力電圧VINの電圧値に目標変換比率を乗じた電圧値の出力電圧VOUTを出力させることができる。
図9は、昇圧時における昇降圧回路50に含まれるスイッチの状態を示す図である。追従モードの昇圧時において、スイッチング制御部110は、図9に示すようなスイッチングをする。
すなわち、スイッチング制御部110は、第1スイッチ72をオンおよび第2スイッチ74をオフとして固定する。さらに、スイッチング制御部110は、第3スイッチ76および第4スイッチ78を所定のスイッチング周期で相補的にスイッチングさせる。第3スイッチ76および第4スイッチ78を相補的にスイッチングさせるとは、第3スイッチ76がオンの場合、第4スイッチ78がオフとなり、第3スイッチ76がオフの場合、第4スイッチ78がオンとなるようにスイッチングさせることである。
図10は、昇圧時における第3スイッチング信号S3を示す図である。追従モードの昇圧時において(目標変換比率が100%より大きい場合において)、スイッチング制御部110は、第3スイッチ76のオン期間を、目標変換比率が大きい程、長くする。
例えば、スイッチング制御部110は、目標変換比率が100%より大きい場合、スイッチング周期に対する第3スイッチ76のオン期間を、目標変換比率から100%を減じた値を目標変換比率で除算した値に応じた割合とするように、第3スイッチ76および第4スイッチ78を相補的にスイッチングさせる。より具体的には、例えば、所定のスイッチング周期をTとし、百分率で表された目標変換比率をRとしたとする。この場合、スイッチング制御部110は、第3スイッチ76のオン期間(T3ON)および第3スイッチ76のオフ期間(T3OFF)を下記のような値とする。
T3ON=T×(R−100)/R
T3OFF=T−T3ON
これにより、スイッチング制御部110は、昇圧時において、昇降圧回路50から、入力電圧VINの電圧値に目標変換比率を乗じた電圧値の出力電圧VOUTを出力させることができる。
図11は、山登り法における入力電圧VINの変化を説明するための図である。山登り法は、昇降圧回路50による電力変換を継続させた状態で(電力変換を停止させずに)、最大電力点追従制御を実行する方法の一つである。
山登り法を実行する場合、スイッチング制御部110は、昇降圧回路50により電力変換を継続させながら、目標変換比率を微小量ずつ増加または減少させる。そして、スイッチング制御部110は、太陽電池パネル20により発電される電力の変化を観察し、太陽電池パネル20により発電される電力が大きくなる方向に目標変換比率を変化させる。この結果、スイッチング制御部110は、電力のピーク点を挟んで入力電圧VINの電圧値が往復するように、目標変換比率を増加または減少させることができる。これにより、スイッチング制御部110は、対象の太陽電池パネル20を最大電力点で動作させることができる。
図12は、山登り法の処理内容を示すフローチャートである。例えば、山登り法を実行する場合、スイッチング制御部110は、図12に示す処理を実行する。
スイッチング制御部110は、所定時間毎に、S212からS219までの処理を繰り返す(S211とS220との間のループ処理)。S212において、スイッチング制御部110は、対象の太陽電池パネル20により発電された直流電力の電力値を取得する。
続いて、S213において、スイッチング制御部110は、直前のループ処理において、目標変換比率を増加させたか否かを判断する。増加させた場合(S213のYes)、スイッチング制御部110は、処理をS214に進める。増加させていない場合、つまり、目標変換比率を減少させた場合(S213のNo)、スイッチング制御部110は、処理をS215に進める。
S214において、スイッチング制御部110は、直前のループ処理において算出した直流電力の電力値と、今回のループ処理において算出した直流電力の電力値とを比較する。スイッチング制御部110は、電力が増加した場合には(S214のYes)、処理をS216に進め、電力が増加していない場合には(S214のNo)、処理をS217に進める。
S216において、スイッチング制御部110は、目標変換比率を所定量増加させる。S217において、スイッチング制御部110は、目標変換比率を所定量減少させる。
S215において、スイッチング制御部110は、直前のループ処理において算出した直流電力の電力値と、今回のループ処理において算出した直流電力の電力値とを比較する。スイッチング制御部110は、電力が増加した場合には(S215のYes)、処理をS218に進め、電力が増加していない場合には(S215のNo)、処理をS219に進める。
そして、S218において、スイッチング制御部110は、目標変換比率を所定量減少させる。S219において、スイッチング制御部110は、目標変換比率を所定量増加させる。
スイッチング制御部110は、S216、S217、S218またはS219の処理を終えると、所定時間後、S212から処理を繰り返す(S211とS220との間のループ処理)。
以上のように、スイッチング制御部110は、目標変換比率を増加させたことにより直流電力が増加した場合には、目標変換比率をさらに増加させ、目標変換比率を増加させたことにより直流電力が減少した場合には、目標変換比率を減少させる。また、スイッチング制御部110は、目標変換比率を減少させたことにより直流電力が増加した場合には、目標変換比率をさらに減少させ、目標変換比率を減少させたことにより直流電力が減少した場合には、目標変換比率を増加させる。
そして、スイッチング制御部110は、このような処理を所定時間毎に繰り返す。これにより、スイッチング制御部110は、太陽電池パネル20を最大電力点で動作させることができる。
図13は、第1実施形態に係る電力変換装置30の動作モードを示す図である。第1実施形態に係る電力変換装置30は、停止モード、追従モードおよびパススルーモードの3つの動作モードで動作する。
モード制御部112には、電流閾値ITおよび電圧閾値VTが予め設定されている。モード制御部112は、太陽電池パネル20から出力された入力電流IINおよび入力電圧VINを、電流閾値ITおよび電圧閾値VTと比較して、動作モードを切り替える。
図14は、第1実施形態における動作モードの遷移を示す状態遷移図である。モード制御部112は、対象の太陽電池パネル20により発電が開始された場合、状態を停止モードとする。
停止モードにおいて、モード制御部112は、入力電圧VINと電圧閾値VTとを比較する。停止モードにおいて、入力電圧VINが電圧閾値VT以下である場合、モード制御部112は、状態を停止モードで維持する。
停止モードにおいて、入力電圧VINが電圧閾値VTより大きく、且つ、入力電流IINが電流閾値IT以下である場合、モード制御部112は、状態をパススルーモードに遷移させる。また、停止モードにおいて、入力電圧VINが電圧閾値VTより大きく、且つ、入力電流IINが電流閾値ITより大きい場合、モード制御部112は、状態を追従モードに遷移させる。
パススルーモードにおいて、入力電圧VINが電圧閾値VT以下となった場合、モード制御部112は、状態を停止モードに遷移させる。また、パススルーモードにおいて、入力電圧VINが電圧閾値VTより大きく、且つ、入力電流IINが電流閾値ITより大きくなった場合、モード制御部112は、状態を追従モードに遷移させる。
追従モードにおいて、入力電圧VINが電圧閾値VT以下となった場合、モード制御部112は、状態を停止モードに遷移させる。また、追従モードにおいて、入力電圧VINが電圧閾値VTより大きく、且つ、入力電流IINが電流閾値IT以下となった場合、モード制御部112は、状態をパススルーモードに遷移させる。
太陽電池パネル20により発電可能な電力量は、時刻および天候等により大きく変動する。このため、例えば、朝、夕方または曇天等で太陽電池パネル20により発電可能な電力量が小さい状態においては、最大電力点追従処理によって増加する電力よりも、スイッチ駆動部108によるスイッチング駆動で消費する電力が大きくなる。本実施形態に係る電力変換装置30は、入力電流IINが予め設定された電流閾値IT以下の場合には、昇降圧回路50をパススルーモードとして、昇降圧回路50のスイッチングを停止させる。これにより、本実施形態に係る電力変換装置30によれば、入力電流IINが予め設定された電流閾値IT以下の場合に、スイッチ駆動部108によるスイッチング駆動で消費する電力を無くして、太陽電池パネル20が発電した電力を効率良く出力することができる。
(第2実施形態)
図15は、第2実施形態に係るコントローラ60の機能構成を示す図である。第2実施形態に係るコントローラ60は、効率判定部120をさらに有する。
効率判定部120は、太陽電池パネル20が所定の発電効率を発揮する通常効率状態であるか、太陽電池パネル20が通常効率状態より発電効率が低下した低効率状態の何れかであるかを判定する。
太陽電池パネル20は、複数のクラスタを含む。太陽電池パネル20は、複数のクラスタの全てが太陽光を受光して正常に発電している場合、100%の効率で発電する。しかし、太陽電池パネル20は、複数のクラスタのうちの一部に影等がかかる場合、影等がかかっているクラスタが発電に寄与せず、100%よりも低い効率で発電する。例えば、太陽電池パネル20が100%の効率で発電する場合、効率判定部120は、通常効率状態であると判定する。また、例えば、太陽電池パネル20が100%未満の効率で発電する場合、効率判定部120は、低効率状態であると判定する。
例えば、効率判定部120は、対象の太陽電池パネル20から出力された入力電圧VINの電圧値を取得する。そして、効率判定部120は、入力電圧VINの電圧値に基づき、通常効率状態であるか低効率状態であるかを判定する。
効率判定部120は、入力電圧VINの電圧値が予め定められた電圧値より大きい場合、通常効率状態であると判定し、入力電圧VINの電圧値が予め定められた電圧値以下の場合、低効率状態であると判定してもよい。
第2実施形態に係るモード制御部112は、効率判定部120から通常効率状態であるか、低効率状態であるかの判定結果を取得する。
モード制御部112は、追従モード(入力電圧VINが電圧閾値VTより大きく且つ入力電流IINが電流閾値IT以上の場合)において、通常効率状態であると判定された場合、状態を追従時パススルーモードとする。追従時パススルーモードにおいて、モード制御部112は、スイッチング制御部110による最大電力点追従処理を停止させる。そして、追従時パススルーモードにおいて、モード制御部112は、スイッチ駆動部108に指示を与えて、昇降圧回路50に電力変換をさせずに、昇降圧回路50に入力電圧VINをそのまま出力電圧VOUTとして出力させる。
また、追従時パススルーモードにおいて、低効率状態であると判定された場合、モード制御部112は、追従モードとする。追従モードにおいて、モード制御部112は、スイッチング制御部110に最大電力点追従処理を実行させる。
図16は、第2実施形態における動作モードの遷移を示す状態遷移図である。第2実施形態に係る電力変換装置30は、停止モード、追従モード、パススルーモードおよび追従時パススルーモードの4つの動作モードで動作する。
追従モードにおいて、通常効率状態と判定された場合には、モード制御部112は、状態を追従時パススルーモードに遷移させる。また、追従時パススルーモードにおいて、低効率状態と判定された場合には、モード制御部112は、状態を追従モードに遷移させる。
つまり、入力電圧VINが電圧閾値VTより大きく、且つ、入力電流IINが電流閾値ITより大きい状態において、対象の太陽電池パネル20が通常効率状態(例えば、複数のクラスタの全てが太陽光を受光して正常に発電している状態)の場合、モード制御部112は、追従時パススルーモードとする。また、入力電圧VINが電圧閾値VTより大きく、且つ、入力電流IINが電流閾値ITより大きい状態において、対象の太陽電池パネル20が低効率状態(例えば、一部のクラスタに影等がかかっており、低い効率で発電している状態)の場合、モード制御部112は、追従モードとする。
追従時パススルーモードにおいて、モード制御部112は、パススルーモードと同一の制御を実行する。つまり、モード制御部112は、スイッチ駆動部108に、パススルーモードとする指示を与える。スイッチ駆動部108は、モード制御部112からパススルーモードとする指示を受けた場合、第1スイッチ72をオンとし、第2スイッチ74をオフとし、第3スイッチ76をオンとし、第4スイッチ78をオフとする。これにより、昇降圧回路50は、電力変換せずに、入力電圧VINをそのまま出力電圧VOUTとして出力することができる。
本実施形態において、パワーコンディショナ24は、複数の太陽電池パネル20の全体に対して最大電力点追従制御を実行する。一方、電力変換装置30は、対象の1つの太陽電池パネル20に対して最大電力点追従制御を実行する。太陽電池パネル20は、影等がかかっておらず通常効率状態で動作している場合、パワーコンディショナ24による最大大電力点追従制御により、電力変換装置30による制御が実行されなくても、最大電力点で動作することができる。しかし、太陽電池パネル20は、影等がかかっている場合には、電力変換装置30による制御がされなくては、最大電力点で動作することができない。また、ストリングに含まれる他の太陽電池パネル20も、最大電力点で動作することができなくなってしまう。
本実施形態に係る電力変換装置30は、対象の太陽電池パネル20が通常効率状態で動作している場合には、電力変換せずに、入力電圧VINをそのまま出力電圧VOUTとして出力する。従って、電力変換装置30は、対象の太陽電池パネル20が通常効率状態で動作している場合には、不要な電力を消費せずに、対象の太陽電池パネル20を最大電力点で動作している状態とすることができる。
また、電力変換装置30は、対象の太陽電池パネル20が低効率状態で動作している場合には、最大電力点追従制御を実行することができる。従って、電力変換装置30は、対象の太陽電池パネル20が低効率状態で動作している場合にも、対象の太陽電池パネル20を最大電力点で動作させることができる。このように、本実施形態に係る電力変換装置30は、太陽電池パネル20を少ない消費電力で効率良く動作させることができる。
図17は、第2実施形態の変形例における動作モードの遷移を示す状態遷移図である。本実施形態に係る電力変換装置30は、図17に示すように、入力電流IINが電流閾値IT以下であってもパススルーモードに遷移しない構成であってもよい。
このような構成であっても、電力変換装置30は、対象の太陽電池パネル20が通常効率状態で動作している場合には、電力変換せずに、入力電圧VINをそのまま出力電圧VOUTとして出力することができる。また、このような構成であっても、電力変換装置30は、対象の太陽電池パネル20が低効率状態で動作している場合には、最大電力点追従制御を実行することができる。従って、このような構成であっても、電力変換装置30は、太陽電池パネル20を少ない消費電力で効率良く動作させることができる。
(第3実施形態)
図18は、第3実施形態におけるスキャン時の入力電圧VINの変化を説明するための図である。第3実施形態に係る電力変換装置30は、最大電力点追従処理として、スキャン法を実行する。
スキャン法を実行する場合、スイッチング制御部110は、昇降圧回路50による電力変換を一時的に停止させて、昇降圧回路50の出力端をオープンとする。続いて、スイッチング制御部110は、太陽電池パネル20から出力される入力電圧VINの電圧値を所定の範囲で変化させ、最も発電する電力が大きくなる入力電圧VINの電圧値を特定する。
ここで、本実施形態において、スイッチング制御部110は、入力電圧VINを、予め定められた下限電圧値以上の範囲で変化させる。下限電圧値は、電源62がスイッチ駆動部108を含むコントローラ60を動作させることが可能な電圧である。
続いて、スイッチング制御部110は、太陽電池パネル20から出力される入力電圧VINが、特定した電圧値となるような電力変換の制御量を算出する。本実施形態においては、スイッチング制御部110は、太陽電池パネル20から出力される入力電圧VINが特定した電圧値となるような目標変換比率を算出する。なお、制御量は、目標変換比率に限らず、他の量であってもよい。例えば、制御量は、第1スイッチ72と第2スイッチ74とのスイッチングのデューティ比、または、第3スイッチ76と第4スイッチ78とのスイッチングのデューティ比であってもよい。
そして、スイッチング制御部110は、特定された制御量で電力変換を再開する。本実施形態においては、スイッチング制御部110は、太陽電池パネル20より発電される入力電圧VINが特定した電圧値となるような目標変換比率で、昇降圧回路50をスイッチングする。このような処理を実行することにより、スイッチング制御部110は、以後、状況に変化がなければ、太陽電池パネル20を最大電力点で動作させることができる。
図19は、太陽電池パネル20から出力される入力電圧VINの電圧値を所定の範囲で変動させる場合の昇降圧回路50に含まれるスイッチの状態を示す図である。
太陽電池パネル20から出力される入力電圧VINの電圧値を変化させる場合、スイッチング制御部110は、図19に示すようなスイッチングをする。すなわち、スイッチング制御部110は、昇降圧回路50からの出力電圧VOUTの出力を停止させた状態とする。より具体的には、スイッチング制御部110は、第3スイッチ76をオフとし、第4スイッチ78をオフとして、正側出力端子46と負側出力端子48との間をオープン状態とする。
そして、スイッチング制御部110は、昇降圧回路50の正側入力端子42および負側入力端子44の間をデューティファクタを変化させながらオンおよびオフを繰り返すことにより、入力電圧VINの電圧値を変化させる。
例えば、太陽電池パネル20から出力される入力電圧VINの目的の電圧値とさせる場合には、スイッチング制御部110は、第2スイッチ74をオンに固定して、第1スイッチ72を、目的の電圧値に応じたデューティファクタで、スイッチングさせる(オンオフを所定周期で繰り返させる)。スイッチング制御部110は、入力電圧VINの電圧値を小さくする場合には、デューティファクタを大きくし、つまり、第1スイッチ72のオン期間を長くする。また、スイッチング制御部110は、入力電圧VINの電圧値を大きく場合には、デューティファクタを小さくし、つまり、第1スイッチ72のオン期間を短くする。
なお、スイッチング制御部110は、太陽電池パネル20から出力される入力電圧VINを下限電圧値以上の範囲で変化させる。従って、スイッチング制御部110は、ディーディファクタを予め定められた値以上の範囲で変化させる。
また、本実施形態においては、スイッチング制御部110は、第2スイッチ74をオンに固定した状態で、第1スイッチ72をスイッチングしている。これに代えて、スイッチング制御部110は、第1スイッチ72をオンに固定した状態で、第2スイッチ74をスイッチングしてもよい。
図20は、第3実施形態に係るスイッチング制御部110の処理の流れを示すフローチャートである。
スイッチング制御部110は、追従モードにおいて、図20に示す流れの処理を、定期的に実行する。例えば、スイッチング制御部110は、所定時間毎または所定のイベントが発生したタイミングにおいて、図20に示す流れの処理を実行する。
まず、S241において、スイッチング制御部110は、昇降圧回路50から出力されている出力電圧VOUTの電圧値を取得する。
続いて、S242において、スイッチング制御部110は、昇降圧回路50の電力変換を停止して、昇降圧回路50の出力端をオープンとする。具体的には、スイッチング制御部110は、第1スイッチ72をオフ、第2スイッチ74をオン、第3スイッチ76をオフ、第4スイッチ78をオフとする。これにより、スイッチング制御部110は、入力電圧VINの電圧値を最大値とし、正側出力端子46と負側出力端子48との間をオープン状態とすることができる。
続いて、S243において、スイッチング制御部110は、デューティファクタを0%とする。続いて、S244において、スイッチング制御部110は、第2スイッチ74をオンで固定した状態で、第1スイッチ72のスイッチングを開始する。スイッチング制御部110は、第1スイッチ72を設定されたディーディファクタでスイッチングする。なお、本フローの開始直後は、デューティファクタが0%に設定されているので、第1スイッチ72は、オフの状態となっている。
続いて、S245において、スイッチング制御部110は、入力電圧VINの電圧値を取得する。続いて、S246において、スイッチング制御部110は、電力値を取得する。続いて、S247において、スイッチング制御部110は、入力電圧VINの電圧値と電力値とを対応付けて記憶する。
続いて、S248において、スイッチング制御部110は、入力電圧VINが予め設定された下限電圧値以下となったか否かを判断する。入力電圧VINが下限電圧値以下となっていない場合(S248のNo)、スイッチング制御部110は、処理をS249に進める。S249において、スイッチング制御部110は、デューティファクタを所定量増加させて、処理をS245に戻し、S245から処理を繰り返す。
入力電圧VINが下限電圧値以下となった場合(S248のYes)、スイッチング制御部110は、処理をS250に進める。S250において、スイッチング制御部110は、入力電圧VINの電圧値を取得する。続いて、S251において、スイッチング制御部110は、電力値を取得する。続いて、S252において、スイッチング制御部110は、入力電圧VINの電圧値と電力値とを対応付けて記憶する。
続いて、S253において、スイッチング制御部110は、デューティファクタが0%となったか否かを判断する。デューティファクタが0%となっていない場合(S253のNo)、スイッチング制御部110は、処理をS254に進める。S254において、スイッチング制御部110は、デューティファクタを所定量減少させて、処理をS250に戻し、S250から処理を繰り返す。
デューティファクタが0%となった場合(S253のYes)、スイッチング制御部110は、処理をS255に進める。S255において、スイッチング制御部110は、デューティファクタが0%の状態で第1スイッチ72のスイッチングを停止する。すなわち、スイッチング制御部110は、第1スイッチ72をオフの状態とする。
続いて、S256において、スイッチング制御部110は、記憶された電力値の中から最大の電力値を特定する。続いて、S257において、スイッチング制御部110は、特定した最大の電力値に対応して記憶した入力電圧VINの電圧値を、目標電圧値として特定する。
続いて、S258において、スイッチング制御部110は、目標電圧値に基づき、対象の太陽電池パネル20により発電される直流電力を最大とする目標変換比率を算出する。例えば、スイッチング制御部110は、特定した目標電圧値に対する、S241で取得した出力電圧VOUTの電圧値の比率を算出し、算出した比率を目標変換比率とする。
そして、S259において、スイッチング制御部110は、昇降圧回路50に、算出した目標変換比率で電力変換を開始させる。
図21は、図20の手順で処理をした場合の入力電圧VINおよび入力電流IINの変化を示す図である。
スイッチング制御部110が図20に示す手順で処理を実行した場合、入力電圧VINおよび入力電流IINは、図21に示すように変化する。すなわち、デューティファクタが0%とされた最初の段階において、入力電圧VINは、最大値となり、入力電流IINは、0となる。デューティファクタが0%から徐々に増加するに従って、入力電圧VINは、徐々に減少し、入力電流IINは、徐々に増加する。そして、入力電圧VINは、下限電圧値に達した段階で、減少を停止する。
その後、デューティファクタが徐々に減少するに従って、入力電圧VINは、徐々に増加し、入力電流IINは、徐々に減少する。そして、入力電流IINが0となった段階で、処理が終了される。
なお、スイッチング制御部110は、入力電圧VINが下限電圧値に達した後に、デューティファクタを直ぐに0%にするのではなく、デューティファクタを徐々に減少させて0%に戻している。これにより、スイッチング制御部110は、配線インピーダンスのインダクタンス成分による逆起電力を発生させずに、回路の保護を図ることができる。
本実施形態において電力変換装置30は、対象の太陽電池パネル20により発電された電力により駆動させている。これにより、電力変換装置30は、外部から電力を受け取らずに動作することができる。
しかし、スキャン法による最大電力点追従処理を実行する場合に、対象の太陽電池パネル20から発生される入力電圧VINの電圧値を最小値(例えば、0)としてしまうと、電力変換装置30は、太陽電池パネル20から電力を受け取ることできなくなり、動作が停止してしまう。本実施形態に係る電力変換装置30は、スキャン法により最大電力点追従処理を実行する場合に、太陽電池パネル20から出力される入力電圧VINを、予め設定された下限電圧値より小さくしない。これにより、本実施形態に係る電力変換装置30によれば、スキャン法による最大電力点追従処理を実行する場合に、動作を停止せずに確実に最大電力点を特定することができる。
(第4実施形態)
図22は、第4実施形態に係るコントローラ60の機能構成を示す図である。第4実施形態に係るコントローラ60は、効率変化イベント検出部130をさらに有する。
なお、図22の構成は、図4に示した第1実施形態に係るコントローラ60の機能構成に効率変化イベント検出部130を追加した構成となっている。しかし、効率変化イベント検出部130は、図15に示した第2実施形態に係るコントローラ60の機能構成に追加されてもよい。
効率変化イベント検出部130は、対象の太陽電池パネル20の発電効率が予め定められた値以上変化する効率変化イベントが発生したか否かを検出する。
例えば3個のクラスタを含む太陽電池パネル20は、3個のクラスタの全部が太陽光を受光して正常に発電している場合、100%の効率で発電する。しかし、このような太陽電池パネル20は、3個のクラスタのうち1個のクラスタに影等がかかると、例えば66%の効率で発電する。さらに、このような太陽電池パネル20は、3個のクラスタのうち2個のクラスタに影等がかかると、例えば、33%の効率で発電する。
このような場合、例えば、効率変化イベント検出部130は、対象の太陽電池パネル20が、100%の効率で発電する状態から66%の効率で発電する状態に変化したこと、66%の効率で発電する状態から33%の効率で発電する状態に変化したこと等を検出する。さらに、効率変化イベント検出部130は、対象の太陽電池パネル20が、33%の効率で発電する状態から66%の効率で発電する状態に変化したこと、66%の効率で発電する状態から100%の効率で発電する状態に変化したこと等も検出してもよい。
例えば、効率変化イベント検出部130は、入力電圧VINの電圧値により、発電効率が予め定められた値以上変化したかを判定してもよい。効率変化イベント検出部130は、入力電圧VINの電圧値が予め定められた電圧値以上変化した場合、発電効率が予め定められた値以上変化したと判定してもよい。
スイッチング制御部110は、最大電力点追従処理として、スキャン法による制御、および、山登り法による制御の2種類を実行することができる。スイッチング制御部110は、効率変化イベントによってスキャン法による制御と山登り法による制御を切り替える。
図23は、第4実施形態に係るスイッチング制御部110の状態の遷移を示す状態遷移図である。スイッチング制御部110は、図23に示すようなタイミングで、スキャン法による制御と山登り法による制御を切り替える。
まず、スイッチング制御部110は、効率変化イベントが発生していない状態においては、山登り法による最大電力点追従処理を実行している。続いて、山登り法による最大電力点追従処理の実行中に、効率変化イベントが発生した場合、スイッチング制御部110は、山登り法による最大電力点追従処理を終了して、スキャン法による最大電力点追従処理を実行する。
スキャン法による制御を実行した場合、スイッチング制御部110は、対象の太陽電池パネル20により発電される直流電力を最大とする入力電圧VINの電圧値を特定する。さらに、スイッチング制御部110は、対象の太陽電池パネル20により発電される直流電力を最大とするための電力変換の制御量も特定する。
本実施形態においては、スイッチング制御部110は、制御量として、対象の太陽電池パネル20により発電される直流電力を最大とする目標変換比率を特定する。なお、制御量は、目標変換比率に限らず、他の量であってもよい。例えば、制御量は、第1スイッチ72と第2スイッチ74とのスイッチングのデューティ比、または、第3スイッチ76と第4スイッチ78とのスイッチングのデューティ比であってもよい。
そして、スイッチング制御部110は、スキャン法による最大電力点追従処理を実行後、直流電力を最大とする電力変換の制御量を引き継いで山登り法による最大電力点追従処理を開始する。本実施形態においては、スイッチング制御部110は、スキャン法による最大電力点追従処理を実行後、目標変換比率を引き継いで、山登り法による最大電力点追従処を開始する。
図24は、効率変化イベントが発生した場合の、発生電圧に対する発生電力を表す特性カーブの変化例を示す図である。太陽電池パネル20は、通常効率状態(例えば、発電効率が100%の状態)で動作している場合には、発生電圧に対する発生電力を表す特性が、ピーク点が1つのカーブとなる。しかし、太陽電池パネル20は、例えば、一部に影がかかる等により発電効率が低下した場合、発生電圧に対する発生電力を表す特性が、複数のピーク点を有するカーブとなる場合がある。
このため、電力変換装置30は、効率変化イベントが発生した場合に、山登り法を継続すると、最大電力点ではない方のピーク点の前後で往復するように目標変換比率を増加または減少させてしまう可能性が生じる。
しかし、本実施形態に係る電力変換装置30は、効率変化イベントが発生した場合、スキャン法による最大電力点追従処理を用いて最大電力点を検出する。これにより、電力変換装置30は、発生電圧に対する発生電力を表す特性が、複数のピーク点を有するカーブとなっても、最大電力点を検出することができる。そして、その後、電力変換装置30は、スキャン法による最大電力点追従処理の制御量(例えば、目標変換比率)を引き継いで、山登り法による最大電力点追従処理を実行する。従って、電力変換装置30は、最大電力点ではない方のピーク点の前後で往復するように制御量(例えば目標変換比率)を増加または減少させることを無くすことができる。これにより、電力変換装置30は、発電効率が低下した場合であっても太陽電池パネル20を最大電力点で動作させることができる。
以上、本発明の実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。実施形態は、種々の変更を行うことができる。