以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。なお、本実施形態では、路面検出装置を車両に搭載する構成を例示して説明する。
図1は、本実施形態に係る路面検出装置100の構成を示す図である。図1に示すように、本実施形態に係る路面検出装置100は、アンテナ装置110と、処理装置120とを有している。これら装置は、相互に情報の授受を行うためにCAN(Controller Area Network)その他の車載LANによって接続されている。
アンテナ装置110は、自車両の前方に存在する対象物(路面、路側を含む)から到来するミリ波を受信する。図2に示すように、アンテナ装置110は、ホーンアンテナなどの複数のアンテナ素子が二次元状に配列されたアレイアンテナ113を有している。これらアンテナ素子においてミリ波をそれぞれ受信することで、図4に示すように、対象物から放射される電波の偏波情報を含むイメージング画像を生成することが可能となる(詳細は後述する。)。なお、図2は、本実施形態に係るアンテナ装置110が有するアレイアンテナ113の一例を示す図である。また、アンテナ装置110は、ミリ波以上の周波数帯域の電波、電磁波を受信する構成としてもよい。
アレイアンテナ113は、図2に示すように、垂直偏波成分の受信波を主に受信する第1アンテナ素子111と、水平偏波成分の受信波を主に受信する第2アンテナ素子112とを有する。第1アンテナ素子111と第2アンテナ素子112とは交互に二次元状に配列される。
車両に搭載されたアンテナ装置110において、検出対象物を検出するために、アレイアンテナ113の視野角は、少なくとも縦方向に20°、横方向に40°以上あることが好ましい。また、検出対象物を歩行者とした場合には、約50m前方において20cm幅の歩行者を、縦方向の10画素程度で検出できることが好ましい。そのため、アレイアンテナ113に適した視野角の画像を得るためには、図2に示すように、縦方向に20画素、横方向に40画素の解像度があることが好ましい。また、受信する受信波が150GHz帯のミリ波である場合には、受信アンテナ素子の大きさは4mm程度の大きさが必要となる。そのため、アレイアンテナ113の大きさは、横方向が40画素×4mm=160mm、縦方向が20画素×4mm=80mmに設計することができる。
このように、アレイアンテナ113の受信面の大きさを設定することで、歩行者などの検出対象物を適切に検出することが可能となる。なお、検出対象物は歩行者に限定されず、たとえば、車両や電柱などの立体物、道路の路面、および路側なども含まれる。たとえば、本実施形態に係るアンテナ装置110は、道路の路面に反射した受信波を受信することで、道路面が凹凸であるか、道路がカーブしているかなどの道路面形状を検出対象物として検出することができる。
アンテナ装置110は、各アンテナ素子111,112で受信した受信波をその受信強度に応じた強度の受信信号に変換して処理装置120に出力する。以下においては、垂直偏波成分の受信波を受信する第1アンテナ素子111が出力する受信信号を垂直偏波信号とし、水平偏波成分の受信波を受信する第2アンテナ素子112が出力する受信信号を水平偏波信号として説明する。
処理装置120は、アンテナ装置110から出力された垂直偏波信号と、水平偏波信号とに基づいて、路面を検出するためのプログラムを格納したROM(Read Only Memory)と、このROMに格納されたプログラムを実行するCPU(Central Processing Unit)と、アクセス可能な記憶装置として機能するRAM(Random Access Memory)とから構成される。なお、動作回路としては、CPU(Central Processing Unit)に代えて又はこれとともに、MPU(Micro Processing Unit)、DSP(Digital Signal Processor)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field Programmable Gate Array)などを用いることができる。
処理装置120は、ROMに格納されたプログラムをCPUにより実行することにより、垂直偏波信号および水平偏波信号に基づいて、イメージング画像を生成する画像生成機能と、イメージング画像から路面の境界線候補を検出する境界線候補検出機能と、境界線候補が路面の境界線か否かを判定するための判定線を設定する判定線設定機能と、判定線上における垂直偏波信号の強度と水平偏波信号の強度との比に基づいて、境界線候補が路面の境界線であるか否かを判定する路面判定機能と、を有する。以下において、処理装置120が備える各機能について説明する。
処理装置120の画像生成機能は、アンテナ装置110のアレイアンテナ113から出力された垂直偏波信号および水平偏波信号に基づいて、イメージング画像を生成する。具体的には、画像生成機能は、各第1アンテナ素子111から出力された各垂直偏波信号を、第1アンテナ素子111の配列に合わせて二次元状に配列することで、垂直偏波信号に基づくイメージング画像を、垂直偏波画像として生成することができる。また、画像生成機能は、各第2アンテナ素子112から出力された各水平偏波信号を、第1アンテナ素子111の配列に合わせて二次元状に配列することで、水平偏波信号に基づくイメージング画像を、水平偏波画像として生成することができる。以下においては、垂直偏波画像および水平偏波画像を構成する垂直偏波信号または水平偏波信号を、垂直偏波画像および水平偏波画像の画素として説明する。なお、図2に示すように、第1アンテナ素子111と第2アンテナ素子112とは交互に配列しているため、第1アンテナ素子111と第2アンテナ素子112の撮像範囲は若干異なるが、以下においては、たとえば、図2に示すアレイアンテナ113において一番左上に位置する第1アンテナ素子111と、その右隣の第2アンテナ素子112(またはその下隣りの第2アンテナ素子112)とは、同一の撮像範囲を撮像するものとして説明する。
図3に示すように日陰と日なたとの境界線が路面と交差している場面において、画像生成機能は、図4(A)に示すように、垂直偏波信号に基づく垂直偏波画像を生成する。また、図3に示す場面において、画像生成機能は、図4(B)に示すように、水平偏波信号に基づく水平偏波画像を生成する。なお、図4(A),(B)に示す例では、垂直偏波信号および水平偏波信号の強度が大きいほど、薄い色で表現している。
処理装置120の境界線候補検出機能は、垂直偏波画像および水平偏波画像において、路面の境界線候補を検出する。たとえば、境界線候補検出機能は、垂直偏波画像および水平偏波画像において、水平方向(図4中のX方向)または垂直方向(図4中のY方向)に所定画素数(たとえば2画素)離れた2つの画素の出力値の差が所定値以上となる画素を検出し、検出した画素が所定画素以上連続する画素列を、境界線候補として検出することができる。なお、境界線候補の検出方法は、上記の例に限定されず、公知のエッジ検出方法を用いることができる。
図3に示す例では、自車両が走行する路面と路側との間に境界線が存在し、日陰と日なたとの間にも境界線が存在している。自車両が走行する路面と路側との間の境界線と、日陰と日なたとの間の境界線とは交差しているため、日陰と日なたとの間の境界線は路面と路側を跨ることとなる。路面と路側とは材質や構造が異なり、反射率が異なるため、路面と路側とで、垂直偏波信号や水平偏波信号の強度が異なる場合が多い。たとえば、図4(A)に示す例では、路側に比べて、路面における垂直偏波信号の強度が高くなっている。そのため、図4(A)に示す例において、境界線候補検出機能は、垂直偏波画像に基づいて、路面と路側との境界線を、第1境界線候補および第3境界線候補として検出することができる。また、日陰と日なたとでは温度が異なるため、日陰と日なたとで、垂直偏波信号や水平偏波信号の強度が異なる場合が多い。たとえば、図4(A),(B)に示すように、日陰に比べて、日なたにおける垂直偏波信号および水平偏波信号の強度は高くなる。そのため、図4(A),(B)に示す例において、境界線候補検出機能は、垂直偏波画像および水平偏波画像に基づいて、日陰と日なたとの境界線を、第2境界線候補として検出することができる。よって、第1境界線候補と第2境界線候補は交差して検出され、第2境界線候補と第3境界線候補は交差して検出される。また第1境界線候補および第3境界線候補は路面と路側との境界線であるため、第2境界線候補は路面と路側を跨るように検出される。
処理装置120の判定線設定機能は、境界線候補が、路面の境界線であるか否かを判定するための判定線を、垂直偏波画像および水平偏波画像上に設定する。たとえば、判定線設定機能は、境界線候補をアンテナ装置110の設置位置側に数画素分だけ移動させた位置に、判定線を設定することができる。たとえば、図4(A),(B)に示す例において、判定線設定機能は、第1境界線候補をアンテナ装置110の設置位置側(X軸正方向側)に数画素分だけ移動させた位置に、第1境界線候補の判定線を、第1判定線として設定することができる。また、判定線設定機能は、第2境界線候補をアンテナ装置110の設置位置側(Y軸負方向側)に数画素分だけ移動させた位置に、第2境界線候補の判定線を、第2判定線として設定することができる。同様に、判定線設定機能は、第3境界線候補の判定線を設定することができるが、以下においては、説明の便宜のため、第1判定線および第2判定線のみについて説明を行う。
処理装置120の路面判定機能は、境界線候補が路面の境界線であるか否かを判定することで、垂直偏波画像および水平偏波画像上における道路の路面を判定する。まず、路面判定機能は、判定線上の各画素の垂直偏波信号および水平偏波信号に基づいて、判定線上の各画素の垂直偏波信号の強度と水平偏波信号の強度との比(垂直偏波信号の強度/水平偏波信号の強度)を算出する。また、路面判定機能は、判定線上の各画素の垂直偏波信号および水平偏波信号に基づいて、判定線上の各画素の垂直偏波信号および水平偏波信号の平均強度を算出する。
図5は、図4に示す第1判定線および第2判定線における垂直偏波信号の強度と水平偏波信号の強度との比R、および、垂直偏波信号および水平偏波信号の平均強度Vの一例を示している。なお、図5に示すグラフでは、縦軸を、垂直偏波信号の強度と水平偏波信号の強度との比Rとし、横軸を、垂直偏波信号および水平偏波信号の平均強度Vとして、判定線上の画素をプロットしている。また、図5に示すグラフでは、判定線上において連続する画素間を線で結んでいる。
図5を参照して、垂直偏波信号の強度と水平偏波信号の強度との比Rについて説明する。図4(A),(B)に示す第1判定線のように、同一路面上に判定線がある場合には、至近側(図4中、Y軸負方向側)の対象物から到来した受信波に対応する画素(たとえば図5に示す第1判定線(Aパート)の画素)では、遠方側(図4中、Y軸正方向側)の対象物から到来した受信波に対応する画素(たとえば図5に示す第1判定線(Bパート)の画素)と比べて、水平偏波信号の強度が大きくなり、垂直偏波信号の強度と水平偏波信号の強度との比R(垂直偏波信号の強度/水平偏波信号の強度)が小さくなる傾向にある。このように、同一路面の判定線上において、垂直偏波信号の強度と水平偏波信号の強度との比Vは、自車両(アンテナ装置110)から対象物までの距離に応じて変化する。しかしながら、同一路面の判定線上において、垂直偏波信号の強度と水平偏波信号の強度との比Vは、上述したように、自車両(アンテナ装置110)から対象物までの距離に応じて変化するが、図5に示すように、路面領域内に収まる傾向にある。
一方、図4(A),(B)に示す第2判定線(Aパート、Cパート)のように、路側に対応する判定線では、図5に示すように、垂直偏波信号の強度と水平偏波信号の強度との比Rは1前後となる傾向にある。このように、路側の判定線では、垂直偏波信号の強度と水平偏波信号の強度との比Rが、路面領域よりも、比Rの値が高い路側領域となる傾向にある。そのため、図5に示す例では、路面と路側とに跨る第2判定線のうち、路面の第2判定線(Bパート)については、垂直偏波信号の強度と水平偏波信号の強度との比Rが路面領域内にプロットされ、路側の第2判定線(AパートおよびCパート)については、垂直偏波信号の強度と水平偏波信号の強度との比Rが路側領域内にプロットされている。
このように、路面と路側とでは、垂直偏波信号の強度と水平偏波信号の強度との比Rがプロットされる領域が異なる傾向にある。そのため、垂直偏波信号の強度と水平偏波信号の強度との比Rに基づいて、判定線が、同一路面上にあるか、路面と路側とを跨ぐかを判定し、これにより、判定線に対応する境界線候補が、路面の境界線であるか、日陰と日なたとの境界線であるかを判定することが可能な場合はある。しかしながら、図5に示す第1判定線(Bパート)や第2判定線(Aパート)のように、垂直偏波信号の強度と水平偏波信号の強度との比Rが、路側領域内にあるか、路側領域内にあるかを明確に判定することが困難な場合もあり、垂直偏波信号の強度と水平偏波信号の強度との比Rだけでは、判定線が、同一路面上にあるか、路面と路側とを跨ぐかを判定することが困難な場合がある。そこで、本実施形態では、後述するように、判定線に沿う垂直偏波信号の強度と水平偏波信号の強度との比Rの変化率を求めることで、判定線が、同一路面にあるか、路面と路側とを跨ぐかを判定する。
次に、垂直偏波信号および水平偏波信号の平均強度Vについて説明する。垂直偏波信号および水平偏波信号の平均強度Vは、対象物の放射温度が高いほど大きくなる傾向にある。そのため、図5に示すように、日陰と日なたとを跨ぐ第1判定線では、日陰にある第1判定線(Aパート)において、垂直偏波信号および水平偏波信号の平均強度Vが比較的小さくなり、日なたにある第1判定線(Bパート)において、垂直偏波信号および水平偏波信号の平均強度Vが比較的大きくなる。また、図5に示す第1判定線(Aパート)では、日なたに近づくほど、垂直偏波信号および水平偏波信号の平均強度Vは大きくなる。
一方、図5に示す第2判定線のように、判定線が異なる材質で構成された路面と路側とに跨っている場合には、路面と路側とで、垂直偏波信号および水平偏波信号の平均強度Vが大きく異なる場合がある。特に、路面と路側との境界となる変位点において、垂直偏波信号および水平偏波信号の平均強度Vが大きく変化する場合がある。たとえば、図5に示す例では、路面にある第2判定線(Bパート)と、路側にある第2判定線(Aパート)との変位点である第2判定線のAB変位点において、垂直偏波信号および水平偏波信号の平均強度Vが大きく変化している。
ここで、図5に示すように、第1判定線の変位点(第1判定線(Aパート)と第1判定線(Bパート)との変位点)における、垂直偏波信号および水平偏波信号の平均強度Vの変化率は、日陰と日なたとの温度差(たとえば10K)に応じた変化率未満となることが多い。一方、第2判定線のAB変位点は、第2判定線が路面と路側とに跨ることによるものであるため、第2判定線のAB変位点における垂直偏波信号および水平偏波信号の平均強度Vの変化率は、第1判定線の変位点における垂直偏波信号および水平偏波信号の平均強度Vの変化率、すなわち、日陰と日なたとの温度差に応じた変化率よりも大きくなる場合がある。そこで、本実施形態では、後述するように、垂直偏波信号と水平偏波信号との平均強度Vの変化率に基づいても、各判定線が、同一路面に基づくものか、路面と路側とに跨るものかを判定する。
このように、路面判定機能は、垂直偏波信号の強度と水平偏波信号の強度との比Rの変化率dRと、垂直偏波信号と水平偏波信号との平均強度Vの変化率dVとに基づいて、各判定線が、同一路面におけるものか、路面と路側とを跨ぐものかを判定する。そこで、まず、路面判定機能は、判定線に沿って連続する画素のうち、連続する画素間における垂直偏波信号の強度と水平偏波信号の強度との比Rの差を、垂直偏波信号の強度と水平偏波信号の強度との比Rの変化率dRとして算出する。同様に、路面判定機能は、判定線に沿って連続する画素のうち、連続する画素間における垂直偏波信号および水平偏波信号の平均強度Vの差を、垂直偏波信号および水平偏波信号の平均強度Vの変化率dVとして算出する。
図6は、図4に示す第1判定線に沿った位置における、垂直偏波信号の強度と水平偏波信号の強度との比Rの変化率dR、および、垂直偏波信号と水平偏波信号との平均強度Vの変化率dVの一例を示す図である。また、図7は、図4に示す第2判定線に沿った位置における、垂直偏波信号の強度と水平偏波信号の強度との比Rの変化率dR、および、垂直偏波信号と水平偏波信号との平均強度Vの変化率dVの一例を示す図である。なお、図6および図7に示すグラフにおいて、縦軸は、垂直偏波信号の強度と水平偏波信号の強度との比Rの変化率dRを示しており、横軸は、垂直偏波信号と水平偏波信号との平均強度Vの変化率dVを示している。
図5に示す第1判定線(Aパート)のように、同一路面上の判定線でも、至近の対象物に対応する画素ほど、垂直偏波信号の強度と水平偏波信号の強度との比Rは大きく変化する。そのため、図6に示す第1判定線(Aパート)では、至近の対象物に対応する画素において、垂直偏波信号の強度と水平偏波信号の強度との比Rの変化率dRが大きくなっている。一方、図5に示す第1判定線(Bパート)のように、遠方の対象物に対応する画素では、垂直偏波信号の強度と水平偏波信号の強度との比Rの変化率dRは小さくなっている。
一方、図5に示す第2判定線のように、路面と路側とに跨る判定線では、路面と路側とで、垂直偏波信号の強度と水平偏波信号の強度との比Rが大きく異なり、路面から路側に変化する変位点で、垂直偏波信号の強度と水平偏波信号の強度との比Rが大きく変化する。そのため、図7に示す第2判定線では、路面から路側に変化するAB変位点において、垂直偏波信号の強度と水平偏波信号の強度との比Rの変化率dRが大きくなっている。
図6に示す第1判定線(Aパート)における垂直偏波信号の強度と水平偏波信号の強度との比Rの変化率dRと、図7に示す第2判定線おける垂直偏波信号の強度と水平偏波信号の強度との比Rの変化率dRとを比べると、図6に示す第1判定線(Aパート)に比べて、図7に示す第2判定線においては、路面から路側に変化するAB変位点における垂直偏波信号の強度と水平偏波信号の強度との比Rの変化率dRがより大きくなっている。具体的には、図6に示す第1判定線(Aパート)では、垂直偏波信号の強度と水平偏波信号の強度との比Rの変化率dRが、至近の対象物に対応する画素においても、閾値Sdxから閾値−Sdxまでの第1判定範囲内にある。一方、図7に示す第2判定線では、垂直偏波信号の強度と水平偏波信号の強度との比Rの変化率dRが、閾値Sdxから閾値−Sdxまでの第1判定範囲を超えている。
ここで、閾値Sdx,−Sdxは、同一路面上における判定線上において、垂直偏波信号の強度と水平偏波信号の強度との比Rが、受信ノイズ、受信波の屈折率、アンテナ素子111,112が受信する受信波の俯角、およびアレイアンテナ113の解像度などにより変化する場合の変化率dRの上限値および下限値であり、受信波の屈折率、アンテナ素子111,112が受信する受信波の俯角、およびアレイアンテナ113の解像度のうち少なくとも1つに基づいて、算出することができる。たとえば、アンテナ素子111,112が受信する受信波の俯角が10°である場合には、SdX,−SdXをそれぞれ0.1,−0.1に設定することができる。
これにより、路面判定機能は、図6に示す第1判定線のように、垂直偏波信号の強度と水平偏波信号の強度との比Rの変化率dRが、閾値Sdxから閾値−Sdxまでの第1判定範囲内にある場合には、垂直偏波信号の強度と水平偏波信号の強度との比Rの変化dRは、受信波の屈折率、アンテナ素子111,112が受信する受信波の俯角、およびアレイアンテナ113の解像度などによるものであると判断し、判定線は、同一路面上にあると判定する。一方、図7に示す第2判定線のように、垂直偏波信号の強度と水平偏波信号の強度との比Rの変化率dRが、閾値Sdxから閾値−Sdxまでの第1判定範囲を超える場合には、垂直偏波信号の強度と水平偏波信号の強度との比Rの変化は、受信波の屈折率、アンテナ素子111,112が受信する受信波の俯角、およびアレイアンテナ113の解像度などによるものではなく、路面から路側に変化したことによるものと判断し、判定線は、路面と路側とを跨ぐものと判定する。
また、図6に示すように、同一路面上にある第1判定線においては、日陰における判定線(Aパート)から、日なたにおける判定線(Bパート)に変化する変位点において、垂直偏波信号および水平偏波信号の平均強度Vの変化率dVが大きくなっている。また、図7に示すように、路面と路側とに跨る第2判定線では、路面から路側に変化するAB変位点において、垂直偏波信号および水平偏波信号の平均強度Vの変化率dVが大きくなっている。
図6に示す第1判定線における垂直偏波信号および水平偏波信号の平均強度Vの変化率dVと、図7に示す第2判定線おける垂直偏波信号および水平偏波信号の平均強度Vの変化率dVとを比べると、図6に示す第1判定線に比べて、図7に示す第2判定線において、垂直偏波信号および水平偏波信号の平均強度Vの変化率dVがより大きくなっている。具体的には、図6に示す第1判定線では、垂直偏波信号および水平偏波信号の平均強度Vの変化率dVが、閾値SK以下の第2判定範囲内にある。一方、図7に示す第2判定線では、垂直偏波信号および水平偏波信号の平均強度Vの変化率dVが、閾値SK以下の第2判定範囲を超えている。
ここで、本実施形態では、同一路面上の日陰と日なたとの温度差Kを、閾値SKとして設定している。また、同一路面上の日陰と日なたとの温度差Kは、気温に応じて変化するため、閾値SKも気温に応じて可変に設定することができる。また、同一路面上の日陰と日なたとの温度差K+αを、閾値SKとして設定することもできる。
そのため、路面判定機能は、図6に示す第1判定線のように、垂直偏波信号および水平偏波信号の平均強度Vの変化率dVが、閾値SK以下の第2判定範囲内にある場合には、垂直偏波信号および水平偏波信号の平均強度Vの変化率dVは、日陰から日なたに変化したことによると判断し、判定線は、同一路面上にあると判定する。一方、路面判定機能は、図7に示す第2判定線のように、垂直偏波信号および水平偏波信号の平均強度Vの変化率dVが、閾値SK以下の第2判定範囲を超える場合には、垂直偏波信号および水平偏波信号の平均強度Vの変化は、日陰から日なたに変化したことによるものではなく、路面から路側に変化したことによるものと判断し、判定線は、路面と路側とを跨ぐものと判定することができる。
このように、本実施形態では、各判定線において、垂直偏波信号の強度と水平偏波信号の強度との比Rの変化率dR、または、垂直偏波信号と水平偏波信号との平均強度Vの変化率dVが、図6および図7に示すように、閾値Sdxから−Sdxまでの第1判定範囲、および閾値SK以下の第2判定範囲で形成される判定領域内にあるか否かを判定することで、判定線が、同一路面上にあるか、路面と路側とを跨ぐかを判定する。
しかしながら、図8に示すように、日陰と日なたとの境界線が道路と平行に存在する場合、日陰と日なたとの境界線は、路面と路側とを跨いでいないため、上記方法により、日陰と日なたとの境界線を、路面の境界線ではないと判定することは難しい。そこで、路面判定機能は、図9に示すように、垂直偏波画像および水平偏波画像において、互いに交差しない3以上の境界線候補を検出した場合には、以下に説明する方法により、路面の境界線と、日陰と日なたとの境界線とを判定する。なお、図9(A)は、図8に示す場面における垂直偏波画像の一例を示す図であり、図9(B)は、図8に示す場面における水平偏波画像の一例を示す図である。
すなわち、互いに交差しない境界線候補が3以上ある場合、判定線設定機能は、まず、図10(A),(B)に示すように、各境界線候補を跨ぐ両側に判定線をそれぞれ設定する。たとえば、図10(A),(B)に示す例において、判定線設定機能は、第1境界線候補を跨ぐ両側に第1境界線候補と平行する第1平行判定線1a,1bを設定する。同様に、判定線設定機能は、第2境界線候補を跨ぐ両側に第1境界線候補と平行する第2平行判定線2a,2bを設定する。また図示していないが、判定線設定機能は、第3境界線候補を跨ぐ両側に第1境界線候補と平行する第3平行判定線3a,3bを設定する。
ここで、仮に、第1平行判定線1a,1bおよび第2平行判定線2a,2bについて、図5に示すように、垂直偏波信号の強度と水平偏波信号の強度との比R、垂直偏波信号および水平偏波信号の平均強度Vをプロットした場合、第1平行判定線1aは、路側にあるため、図5に示す路側領域内にプロットされる。一方、第1平行判定線1b、第2平行判定線2a,2bは、路面にあるため、図5に示す路面領域内にプロットされる。そのため、垂直偏波信号の強度と水平偏波信号の強度との比R、および、垂直偏波信号および水平偏波信号の平均強度Vを、第1平行判定線1aと1b、第2平行判定線2aと2bとでそれぞれ比べることで、各判定線に対応する境界線候補が、路面の境界線か、日陰と日なたとの境界線かを判定することが可能な場合がある。しかしながら、アンテナ装置110の設置位置から離れた位置ほど、垂直偏波信号および水平偏波信号の検出精度は低くなり、平行判定線が路面に対応するものか、路側に対応するものかを判定することが困難な場合がある。
そこで、判定線設定機能は、各境界線候補と直交する複数の直交判定線を所定間隔ごとに設定する。たとえば、図10(A),(B)に示すように、判定線設定機能は、第2境界線候補に直交する複数の直交判定線L1〜Lnを設定することができる。また、図示していないが、判定線設定機能は、第1境界線候補および第3境界線候補についても、それぞれの境界線候補に直交する複数の直交判定線を設定することができる。
そして、路面判定機能は、各境界線候補の平行判定線と直交判定線とが交差する画素において、垂直偏波信号の強度と水平偏波信号の強度との比R、および、垂直偏波信号および水平偏波信号の平均強度Vを算出する。たとえば、図10(A),(B)に示す例において、路面判定機能は、第2境界線の第2平行判定線2a、2bと、第2直交判定線L1〜Lnとがそれぞれ交差する画素において、垂直偏波信号の強度と水平偏波信号の強度との比R、および、垂直偏波信号および水平偏波信号の平均強度Vを算出する。
具体的には、路面判定機能は、平行判定線と直交判定線とが交差する画素のうち、同一の直交判定線上の画素における垂直偏波信号の強度と水平偏波信号の強度との比Rの差を、境界線候補を跨ぐ両側の位置における、垂直偏波信号の強度と水平偏波信号の強度との比Rの変化率dRとして算出する。同様に、路面判定機能は、平行判定線と直交判定線とが交差する画素のうち、同一の直交判定線上の画素における垂直偏波信号および水平偏波信号の平均強度Vの差を、境界線候補を跨ぐ両側の位置における、垂直偏波信号および水平偏波信号の平均強度Vの変化率dVとして算出する。
たとえば、図10(A),(B)に示す例において、路面判定機能は、第2平行判定線2aと第2直交判定線L1とが交差する画素における垂直偏波信号の強度と水平偏波信号の強度との比Rと、第2平行判定線2bと第2直交判定線L1とが交差する画素における垂直偏波信号の強度と水平偏波信号の強度との比Rとの差を、第2直交判定線L1における垂直偏波信号の強度と水平偏波信号の強度との比Rの変化率dRとして算出する。また、路面判定機能は、第2平行判定線2aと第2直交判定線L1とが交差する画素における垂直偏波信号および水平偏波信号の平均強度Vと、第2平行判定線2bと直交判定線L1とが交差する画素における垂直偏波信号および水平偏波信号の平均強度Vとの差を、第2直交判定線L1における垂直偏波信号および水平偏波信号の平均強度Vの変化率dVとして算出する。同様に、路面判定機能は、他の直交判定線L2〜Lnについても、垂直偏波信号の強度と水平偏波信号の強度との比Rの変化率dRと、垂直偏波信号および水平偏波信号の平均強度Vの変化率dVとを算出する。
図11は、図10(A)に示す第2境界線候補の直交判定線L1〜Lnにおける、垂直偏波信号の強度と水平偏波信号の強度との比Rの変化率dRと、垂直偏波信号および水平偏波信号の平均強度Vの変化率dVとの一例を示す図である。図8および図10に示すように、第2境界線候補のうち、第2判定線2aは日陰における判定線であり、第2判定線2bは日なたにおける判定線である。図11に示す例では、同一路面上の日陰と日なたとの温度差により、各直交判定線L1〜Lnにおける垂直偏波信号および水平偏波信号の平均強度Vの変化率dVは、ある程度大きくなるが、同一路面上における日陰と日なたとの温度差に基づいて設定された閾値SK以下の第2判定範囲内となる。また、第2判定線2aと第2判定線2bはともに同一路面上にあるため、垂直偏波信号の強度と水平偏波信号の強度との比Rの変化率dRは小さく、ゼロ付近の数値となる。
そのため、路面判定機能は、図11に示す例において、第2境界線候補の直交判定線L1〜Lnにおける、垂直偏波信号の強度と水平偏波信号の強度との比Rの変化率dRと、垂直偏波信号および水平偏波信号の平均強度Vの変化率dVとは、それぞれ第1判定範囲内および第2判定範囲内であり、判定領域の範囲内であると判定する。これにより、路面判定機能は、第2境界線候補は、同一路面上における、日陰と日なたとの境界線であると判定することができる。
そして、路面判定機能は、各境界線候補が路面の境界線であるか、日陰と日なたとの境界線であるかを判定することで、道路の路面を判定することができる。たとえば、図4に示す例において、路面判定機能は、第1境界線候補および第3境界線候補が路面の境界線であり、第2境界線候補が日陰と日なたとの境界線であると判定することで、第1境界線候補と第3境界線候補との間の領域が路面であると判定することができる。また、図10に示す例において、路面判定機能は、第1境界線候補および第3境界線候補が路面の境界線であり、第2境界線候補が日陰と日なたとの境界線であると判定することで、第1境界線候補と第3境界線候補との間の領域が路面であると判定することができる。
続いて、図12および図13を参照して、本実施形態に係る路面検出処理について説明する。図12および図13は、本実施形態に係る路面検出処理を示すフローチャートである。なお、以下に説明する路面検出処理は、処理装置120により実行される。
まず、ステップS101では、画像生成機能により、アンテナ装置110により出力された垂直偏波信号および水平偏波信号の取得が行われる。具体的には、画像生成機能は、アンテナ装置110のアンテナアレイ113が備える第1アンテナ素子111から、垂直偏波成分の強度に応じた垂直偏波信号を取得し、第2アンテナ素子112から水平偏波成分の強度に応じた水平偏波信号を取得する。
ステップS102では、画像生成機能により、ステップS101で取得した垂直偏波信号および水平偏波信号に基づいて、イメージング画像の生成が行われる。画像生成機能は、たとえば図3に示す場面において、第1アンテナ素子111により受信した垂直偏波信号に基づいて、図4(A)に示すように、垂直偏波画像を生成する。また、画像生成機能は、第2アンテナ素子112により受信した水平偏波信号に基づいて、図4(B)に示すように、水平偏波画像を生成する。
ステップS103では、境界線候補検出機能により、ステップS102で生成された垂直偏波画像および水平偏波画像において、路面の境界線候補の検出が行われる。たとえば、境界線候補検出機能は、図4(A),(B)に示す垂直偏波画像および水平偏波画像から、第1境界線、第2境界線、および第3境界線を検出することができる。
ステップS104では、判定線設定機能により、ステップS103で検出された路面の境界線候補が交差しているか否かの判定が行われる。図4(A),(B)に示すように、路面の境界線候補が交差している場合には、ステップS105に進む。一方、図9(A),(B)に示すように、路面の境界線候補が交差していない場合には、図13に示すステップS113に進む。
ステップS105〜S112では、交差している境界線候補のうち、いずれの境界線候補が路面の境界線であるか否かを判定する処理が行われる。まず、ステップS105では、判定線設定機能により、ステップS103で検出された路面の境界線候補と平行する判定線が設定される。たとえば、判定線設定機能は、図4(A),(B)に示す例において、第1境界線候補、第2境界線候補、および第3境界線候補にそれぞれ平行する第1判定線、第2判定線、および第3判定線を設定することができる。
ステップS106では、路面判定機能により、ステップS105で設定された判定線上の各画素において、垂直偏波信号の強度と水平偏波信号の強度との比Rが算出される。また、ステップS107では、路面判定機能により、ステップS105で設定された判定線上の各画素において、垂直偏波信号および水平偏波信号の平均強度Vが算出される。たとえば、路面判定機能は、図4(A),(B)に示す第1判定線および第2判定線について、図5に示すように、垂直偏波信号の強度と水平偏波信号の強度との比R、および、垂直偏波信号および水平偏波信号の平均強度Vを算出することができる。
ステップS108では、路面判定機能により、ステップS106で算出された垂直偏波信号の強度と水平偏波信号の強度との比Rに基づいて、図6に示すように、判定線に沿って連続する画素間における垂直偏波信号の強度と水平偏波信号の強度との比Rの差が、判定線に沿った位置における垂直偏波信号の強度と水平偏波信号の強度との比Rの変化率dRとして算出される。また、ステップS109では、路面判定機能により、ステップS107で算出された垂直偏波信号および水平偏波信号の平均強度Vに基づいて、図7に示すように、判定線に沿って連続する画素間における垂直偏波信号および水平偏波信号の平均強度Vの差が、判定線に沿った位置における垂直偏波信号および水平偏波信号の平均強度Vの変化率dVとして算出される。
ステップS110では、路面判定機能により、ステップS108で算出された垂直偏波信号の強度と水平偏波信号の強度との比Rの変化率dR、および、ステップS109で算出された垂直偏波信号および水平偏波信号の平均強度Vの変化率dVが、それぞれ第1判定範囲内および第2判定範囲内となる判定領域内にあるか否かの判定が行われる。垂直偏波信号の強度と水平偏波信号の強度との比Rの変化率dR、および、垂直偏波信号および水平偏波信号の平均強度Vの変化率dVがそれぞれ第1判定範囲内および第2判定範囲内となる判定領域内である場合には、ステップS111に進み、路面判定機能により、判定線に対応する境界線候補は、路面の境界線であると判定される。一方、第1判定範囲または第2判定範囲を超えることで判定領域を超える場合には、ステップS112に進み、路面判定機能により、判定線に対応する境界線候補は路面の境界線ではないと判定される。
たとえば、図6に示す例において、路面判定機能は、第1判定線において、垂直偏波信号の強度と水平偏波信号の強度との比Rの変化率dR、および、垂直偏波信号および水平偏波信号の平均強度Vの変化率dVが、それぞれ第1判定範囲内および第2判定範囲内となる判定領域内であると判定することができる(ステップS110=Yes)。そのため、路面判定機能は、第1判定線に対応する第1境界線候補は、路面の境界線であると判定することができる(ステップS111)。
また、図7に示す例において、路面判定機能は、第2判定線において、垂直偏波信号の強度と水平偏波信号の強度との比Rの変化率dR、および、垂直偏波信号および水平偏波信号の平均強度Vの変化率dVが、それぞれ第1判定範囲または第2判定範囲を超える場合に判定領域を超えると判定することができる(ステップS110=No)。そのため、路面判定機能は、第2判定線に対応する第2境界線候補は、路面の境界線ではないと判定することができる(ステップS112)。
また、図13に進み、ステップS113では、路面判定機能により、交差しない境界線候補が3以上あるか否かの判定が行われる。図9に示すように、交差していない境界線候補が3以上ある場合には、ステップS114に進む。一方、交差していない境界線候補が3以上ない場合には、ステップS123に進む。
ステップS114〜S121では、互いに交差しない3以上の境界線候補のうち、いずれの境界線候補が路面の境界線であるか否かを判定する処理が行われる。まず、ステップS114では、判定線設定機能により、ステップS103で検出された境界線候補を跨ぐ両側に、境界線候補に平行する平行判定線が設定される。たとえば、判定線設定機能は、図10(A),(B)に示すように、第1境界線候補、第2境界線候補、および第3境界線候補を跨ぐ両側に、各境界線候補に平行する平行判定線1a,1b,2a,2b,3a,3bを設定することができる。
また、ステップS115では、判定線設定機能により、各境界線候補に直交する直交判定線の設定が行われる。たとえば、図10(A),(B)に示す例において、判定線設定機能は、第2境界線候補に直交する直交判定線L1〜Lnを設定することができる。同様に、判定線設定機能は、第1境界線候補および第3境界線候補に直交する直交判定線を設定することができる。
ステップS116では、路面判定機能により、ステップS114で設定された平行判定線とステップS115で設定された直交判定線とが交差する画素において、垂直偏波信号の強度と水平偏波信号の強度との比Rが算出される。また、ステップS117では、路面判定機能により、平行判定線と直交判定線とが交差する画素において、垂直偏波信号および水平偏波信号の平均強度Vが算出される。
ステップS118では、路面判定機能により、直交判定線上における垂直偏波信号の強度と水平偏波信号の強度との比Rの変化率dRの算出が行われる。また、ステップS119では、路面判定機能により、直交判定線における垂直偏波信号および水平偏波信号の平均強度Vの変化率dVの算出が行われる。たとえば、路面判定機能は、図10に示す第2境界線候補について、第2平行判定線2aと第2直交判定線L1とが交差する画素における垂直偏波信号の強度と水平偏波信号の強度との比Rと、第2平行判定線2bと第2直交判定線L1とが交差する画素における垂直偏波信号の強度と水平偏波信号の強度との比Rとの差を、第2直交判定線L1における垂直偏波信号の強度と水平偏波信号の強度との比Rの変化率dRとして算出することができる。また、路面判定機能は、第2平行判定線2aと第2直交判定線L1とが交差する画素における垂直偏波信号および水平偏波信号の平均強度Vと、第2平行判定線2bと直交判定線L1とが交差する画素における垂直偏波信号および水平偏波信号の平均強度Vとの差を、第2直交判定線L1における垂直偏波信号および水平偏波信号の平均強度Vの変化率dVとして算出することができる。
ステップS120では、路面判定機能により、ステップS118で算出された垂直偏波信号の強度と水平偏波信号の強度との比Rの変化率dR、および、ステップS119で算出された垂直偏波信号および水平偏波信号の平均強度Vの変化率dVが、それぞれ第1判定範囲内および第2判定範囲内となる判定領域内であるか否かの判定が行われる。図11に示す第2判定線のように、垂直偏波信号の強度と水平偏波信号の強度との比Rの変化率dR、および、垂直偏波信号および水平偏波信号の平均強度Vの変化率dVがそれぞれ第1判定範囲内および第2判定範囲内となる判定領域内である場合には、ステップS121に進み、路面判定機能により、判定線に対応する境界線候補は路面の境界線であると判定される。一方、それぞれ第1判定範囲または第2判定範囲を超えることで判定領域を超える場合には、ステップS122に進み、路面判定機能により、判定線に対応する境界線候補は路面の境界線ではないと判定される。
そして、ステップS123では、路面判定機能により、路面の判定が行われる。具体的には、路面判定機能は、ステップS111,S112における路面の境界線の判定結果、および、ステップS121,S122における路面の境界線の判定結果に基づいて、路面を判定する。なお、路面判定機能は、直交しない境界線候補が2本だけ検出された場合には、これら境界線候補を路面の境界線として判断し、路面を判定する構成とすることもできる。
以上のように、本実施形態に係る路面検出装置100は、垂直偏波画像および水平偏波画像から検出した境界線候補が交差する場合に、境界線候補に沿う判定線上において垂直偏波信号の強度と水平偏波信号の強度との比Rを算出し、判定線上の位置における垂直偏波信号の強度と水平偏波信号の強度との比Rの変化率dRを算出する。そして、比Rの変化率dRが閾値Sdxから閾値−Sdxまでの第1判定範囲にある場合に、この判定線に対応する境界線候補を、路面の境界線と判定する。これにより、図3および図4に示すように、同一路面における日陰と日なたとの境界線が、路面の境界線候補として検出された場合でも、この境界線候補が、路面の境界線であるか、日陰と日なたとの境界線であるかを適切に判定することができ、これにより、路面を適切に判定することができる。
また、本実施形態においては、画像上において、境界線候補をアンテナ装置110の設置位置側に所定距離だけ移動させた位置に判定線を設定することで、路面の境界線に対応する境界線候補については、判定線を路面において設定することができる。その結果、路面の境界線に対応する境界線候補について、路面の境界線であるか否かを適切に判定することができる。
さらに、本実施形態では、境界線候補が交差する場合に、境界線候補に沿う判定線上において垂直偏波信号および水平偏波信号の平均強度Vを算出し、判定線に沿った位置における垂直偏波信号と水平偏波信号との平均強度Vの変化率dVを算出する。そして、平均強度Vの変化率dVが閾値SK以下の第2判定範囲内にある場合に、この判定線に対応する境界線候補を、路面の境界線と判定する。これにより、図3および図4に示すように、同一路面上における日陰と日なたとの境界線が、路面の境界線候補として検出された場合でも、この境界線候補が、路面の境界線であるか、日陰と日なたとの境界線であるかをより適切に判定することができ、路面をより適切に判定することができる。
加えて、本実施形態では、3以上の境界線候補が互いに交差しない場合に、境界線候補に平行する平行判定線と、境界線候補に直交する直交判定線を設定し、平行判定線と直交判定線とが交差する画素において、垂直偏波信号の強度と水平偏波信号の強度との比R、および、垂直偏波信号および水平偏波信号の平均強度Vを算出する。そして、同一の直交判定線上の画素における垂直偏波信号の強度と水平偏波信号の強度との比Rの差を、この直交判定線を跨ぐ両側の位置における垂直偏波信号の強度と水平偏波信号の強度との比Rの変化率dRとして算出する。また、同一の直交判定線上の画素における垂直偏波信号および水平偏波信号の平均強度Vの差を、この直交判定線を跨ぐ両側の位置における垂直偏波信号および水平偏波信号の平均強度Vの変化率dVとして算出する。これにより、図8に示すように、日陰と日なたとの境界線が、路面と路側とに跨っていない場合でも、日陰と日なたとの境界線に対応する境界線候補が、路面の境界線であるか、日陰と日なたとの境界線であるかを適切に判定することができる。
さらに、本実施形態では、第1アンテナ素子111が垂直偏波成分の受信波を受信して垂直偏波信号を出力し、第2アンテナ素子112が水平偏波成分の受信波を受信して水平偏波信号を出力することで、垂直偏波信号の強度と水平偏波信号の強度との比から、路面の境界線であるか否かを適切に判定することができる。
なお、以上に説明した実施形態は、本発明の理解を容易にするために記載されたものであって、本発明を限定するために記載されたものではない。したがって、上記の実施形態に開示された各要素は、本発明の技術的範囲に属する全ての設計変更や均等物をも含む趣旨である。
たとえば、上述した実施形態では、3以上の境界線候補が交差しない場合に、各境界線候補に直交する直交判定線を設定する構成を例示したが、この構成に限定されず、たとえば、各境界線候補と交差する交差判定線を設定し、境界線候補を跨ぐ交差判定線上の位置において、垂直偏波信号の強度と水平偏波信号の強度との比を算出する構成としてもよい。
また、上述した実施形態では、互いに交差しない境界線候補が3以上ある場合に、図13に示すステップS114〜S122の処理を行う構成を例示したが、この構成に限定されず、たとえば、互いに交差しない境界線候補が1以上ある場合に、図13に示すステップS114〜S122の処理を行う構成としてもよい。
なお、上述した実施形態に係る第1アンテナ素子111は本発明の第1アンテナ素子に、第2アンテナ素子112は本発明の第2アンテナ素子に、アレイアンテナ113は本発明のアレイアンテナに、アンテナ装置110は本発明のアンテナ装置に、処理装置120は本発明の制御部に、それぞれ相当する。