以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書および図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
また、本明細書および図面において、実質的に同一の機能構成を有する複数の構成要素を、同一の符号の後に異なる数字を付して区別する。また、異なる実施形態の類似する構成要素については、同一の符号の後に異なるアルファベットを付して区別する。ただし、実質的に同一の機能構成を有する複数の構成要素等の各々を特に区別する必要がない場合、同一符号のみを付する。
(1.硬貨処理装置の構成)
図1および図2を参照しながら、本発明の実施形態に係る硬貨処理装置10の構成(本発明の各実施形態に係る硬貨処理装置10に共通する構成)の一例について説明する。図1は、本発明の実施形態に係る硬貨処理装置10の内部構成の一例を示す概略正面図である。また、図2は、本発明の実施形態に係る硬貨処理装置10の内部構成の一例を示す概略左側面図である。
硬貨処理装置10は、店舗などに設置されたレジスタで取り扱われる硬貨を管理する。例えば、硬貨処理装置10は、店舗の係員などがレジスタから運んできた硬貨の入金処理や計数処理を行う。また、硬貨処理装置10は、レジスタで使用する釣銭準備金としての硬貨の出金や両替などでの硬貨の出金処理を行う。
図1に示すように、本発明の実施形態に係る硬貨処理装置10は、硬貨投入部20と、リジェクト硬貨返却部50と、金種別硬貨一時貯留部(硬貨収納部)61と、硬貨返却箱62と、金種別出金ホッパ70と、搬送ゲート72と、硬貨出金部80と、硬貨回収庫84と、制御部90とを有する。また、硬貨投入部20は、硬貨投入口21と、硬貨繰り出し部22と、入金搬送路30と、硬貨認識部40と、硬貨選別部56とを有する。以下、これらの各構成について説明する。
硬貨投入口21は、投入される硬貨Cを受ける部分である。硬貨投入口21は、硬貨処理装置10の上方、かつ、前面側に位置してよい。硬貨投入口21は、複数の硬貨が一括して投入され易いように、広く開口している。硬貨投入口21に投入された硬貨Cは、硬貨繰り出し部22に落下する。硬貨繰り出し部22は、硬貨投入口21の下方に位置し、硬貨投入口21から落下した硬貨Cを一枚ずつ入金搬送路30に繰り出す。入金搬送路30は、硬貨繰り出し部22によって繰り出された硬貨Cを硬貨認識部40に搬送する。
硬貨認識部40は、入金搬送路30によって搬送された硬貨Cの真偽および金種などを一枚ずつ判別する。例えば、硬貨認識部40は、硬貨Cを認識するセンサを有し、センサによって検知された硬貨Cの特徴を抽出し、抽出した硬貨Cの特徴に基づいて、硬貨Cの真偽および金種などを判別する。
硬貨選別部56は、判別結果に基づいて硬貨Cを搬送する。例えば、硬貨選別部56は、硬貨認識部40によって正常ではないと判別された硬貨Cを、リジェクト硬貨返却部50に送る。一方、硬貨選別部56は、硬貨認識部40によって正常であると判別された硬貨Cを、保留部61a〜61fに送る。
リジェクト硬貨返却部50は、硬貨認識部40によって正常ではないと判別された硬貨Cを収納する。図2を参照すると、正常ではないと判別された硬貨Cを硬貨選別部56からリジェクト硬貨返却部50へ導くためのリジェクトシュートが配置(図2に示す矢印Rのルートで配置)されている。リジェクト硬貨返却部50は、硬貨処理装置10の前面に開閉可能な扉51を有し、扉51が開いているときに、利用者はリジェクト硬貨返却部50を装置外へ引き出し可能である。
金種別硬貨一時貯留部61は、硬貨認識部40によって正常であると判別された硬貨Cを金種別に一時的に収納する。金種別硬貨一時貯留部61は、金種別の保留部61a〜61fを含む。図2を参照すると、硬貨認識部40によって正常であると判別された硬貨Cを保留部61a〜61fへ導くシュートQが設けられている。金種別硬貨一時貯留部61によって収納された硬貨Cは、利用者の操作に応じて、硬貨返却箱62に返却され、または、金種別出金ホッパ70に収納される。
硬貨返却箱62は、利用者に返却される硬貨Cを収納する。ここで、硬貨返却箱62による硬貨Cの収納は、金種別に行われてもよいし、金種の区別なく一括して行われてもよい。具体的には、硬貨返却箱62は、金種別硬貨一時貯留部61が硬貨処理装置10の背面から正面を見て左方向(紙面上方から図1を見て右方向)に移動する際に、図1に示す矢印Hのルートで金種別硬貨一時貯留部61から落下する硬貨Cを収納する。硬貨返却箱62は、利用者によって硬貨処理装置10の正面から装置外へ引き出し可能になっている。
金種別出金ホッパ70は、入金された硬貨Cを金種別に収納する。金種別出金ホッパ70は、上部に、金種別硬貨一時貯留部61から落下する硬貨Cが通過する開口を有する。このため、金種別出金ホッパ70は、金種別硬貨一時貯留部61が硬貨処理装置10の背面から正面を見て右方向(紙面上方から図1を見て左方向)に移動する際に、金種別硬貨一時貯留部61から図1の矢印Sで示すルートで落下する硬貨Cを収納する。金種別出金ホッパ70によって硬貨Cが収納されると、硬貨処理装置10において保有している現金額が確定する。
金種別出金ホッパ70は、図2に示すように、金種別の保留部61a〜61fに対応するように直線状に並べられた金種別ホッパ71a〜71fによって構成されている。金種別ホッパ71a〜71fは、それぞれ、500円、100円、50円、10円、5円および1円硬貨のいずれかの1種類の硬貨を収納可能であってよい。また、金種別ホッパ71a〜71fは、それぞれ装置本体に対して着脱可能に装着されている。出金処理の際、利用者によって金種別に硬貨の枚数が指定されると、金種別出金ホッパ70は、指定された枚数の硬貨を金種別に一枚ずつ硬貨出金部80に繰り出す。
搬送ゲート72は、金種別ホッパ71a〜71fそれぞれに対して設けられ、金種別ホッパ71a〜71fから繰り出された硬貨Cの搬送ルートを分岐する。具体的には、搬送ゲート72は、金種別ホッパ71a〜71fから繰り出された硬貨Cの搬送ルートを、図1の矢印Tで示すルートと矢印Uで示すルートとに分岐する。
硬貨出金部80は、金種別出金ホッパ70から繰り出された硬貨Cを収納することが可能である。硬貨出金部80は、装置本体に対して着脱可能に設けられていてよい。例えば、硬貨出金部80は、図1の矢印Tで示すルートで金種別出金ホッパ70から落下する硬貨Cを収納する。また、硬貨出金部80は、金種別に硬貨Cを収納する複数の小箱を有してもよい。
硬貨回収庫84は、利用者によって回収される硬貨を収納する。例えば、硬貨回収庫84には、搬送ゲート72により矢印Uのルートで搬送された硬貨が収納される。
制御部90は、硬貨処理装置10の動作全体を制御する。より具体的には、制御部90は、硬貨の入金処理や出金処理を行う際に、硬貨処理装置10の各構成要素の動作を制御する。例えば、硬貨処理装置10は、硬貨処理装置10の動作全体を制御するためのプログラムや各種のデータを記憶する記憶部を備えており、制御部90は、当該記憶部によって記憶されたプログラムを読み出して実行することによって実現され得る。
なお、硬貨処理装置10の硬貨投入部20は、開閉可能なカバーを有している。そのため、硬貨入金中に障害が発生した場合には、利用者が硬貨投入部20のカバーを開き、カバーが開いた箇所からジャム硬貨を取り除くことによって容易に硬貨処理装置10を復旧させることが可能となっている。
(2.第1の実施形態の説明)
続いて、本発明の第1の実施形態について説明する。図3は、金種別硬貨一時貯留部61およびその周辺の拡大図である。図3を参照すると、金種別硬貨一時貯留部61と硬貨返却箱62および金種別出金ホッパ70との間にガイド63が設けられている。そして、金種別硬貨一時貯留部61は、ガイド63の上面に沿って移動することが可能である。
金種別硬貨一時貯留部61は、金種別出金ホッパ70に硬貨を送り出し可能な位置(以下、「収納位置」とも言う。)P1、硬貨の送り出しを一時保留する位置(以下、「待機位置」とも言う。)P0および硬貨返却箱62に硬貨を送り出し可能な位置(以下、「返却位置」とも言う。)P2との間で制御部90の制御に従って移動され得る。
ここで、上記したように、硬貨返却箱62は、装置本体から引き出され得る。このとき、利用者が装置本体から硬貨返却箱62を引き出した場合に、硬貨返却箱62に収納されている硬貨が硬貨返却箱62の外側に飛び出してしまうことがある。図4は、硬貨返却箱62に収納されている硬貨が硬貨返却箱62の外側に飛び出してしまった状況を示す図である。図4に示した例では、硬貨返却箱62の外側に飛び出した硬貨Cが、ガイド63の上に残留してしまっている。
かかる状況に対処するため、硬貨処理装置10の取扱説明書に硬貨返却箱62の引き出しに関する注意事項を記載して、この注意事項を利用者に閲覧させることによって利用者に注意喚起を行うといった策を講じるのが一般的であった。しかし、このような利用者に対する注意換気だけでは、対策としては不十分である。そこで、本発明の第1の実施形態においては、硬貨返却箱62に収納されている硬貨Cが硬貨返却箱62の外側に飛び出す可能性を低減することが可能な技術を主に提案する。
図5は、本発明の第1の実施形態に係る硬貨返却箱62の外観を示す側面図である。また、図6は、本発明の第1の実施形態に係る硬貨返却箱62の外観を示す平面図である。図5および図6に示すように、本発明の第1の実施形態に係る硬貨返却箱62は、利用者によって把持される把持部64と、第1の箱(以下、「外側箱」とも言う。)65と、外側箱65の内側に着脱可能に設けられる第2の箱(以下、「内側箱」とも言う。)66と、を有している。
内側箱66は、金種別硬貨一時貯留部61から送り出される硬貨Cを蓄積する硬貨蓄積部材661を有している。また、内側箱66は、硬貨Cが通過しない程度のサイズの孔部662を底面に有している。外側箱65は、孔部662に差し込まれる突出部622を有している。かかる構成によれば、利用者が装置本体から硬貨返却箱62を引き出し方向D1に引き出した場合に、硬貨Cの移動が突出部622によって妨げられるため、硬貨返却箱62の外側に硬貨Cが飛び出す可能性が低減される。
さらに、外側箱65の内側に内側箱66がずれて重ね合わせられると、内側箱66が外側箱65から外れてしまったり、硬貨返却箱62が装置本体に押し込めなくなったりする可能性がある。しかし、孔部662および突出部622は、外側箱65の内側に内側箱66が重ね合わされるときの位置合わせにも用いられ得るため、内側箱66が外側箱65から外れてしまったり、硬貨返却箱62が装置本体に押し込めなくなったりする可能性も低減される。
図7は、内側箱66から硬貨Cを取り出している状況を示す側面図である。図7に示すように、内側箱66は、利用者によって外側箱65から取り出される。そして、上記したように、内側箱66が、硬貨Cが通過しない程度のサイズの孔部662を底面に有していれば、図7に示すように、利用者は内側箱66を傾けることによって、孔部662から硬貨Cを落下させることなく、硬貨蓄積部材661の端部から落下させ、容易に硬貨Cを回収することが可能である。
なお、孔部662および突出部622それぞれの数は特に限定されない。しかし、内側箱66は、複数の孔部662を有し、外側箱65は、孔部662と同数の突出部622を有しているとよい。そうすれば、利用者が装置本体から硬貨返却箱62を引き出し方向に引き出した場合に、硬貨Cの移動が複数の突出部622によって妨げられるため、硬貨返却箱62の外側に硬貨Cが飛び出す可能性がさらに低減される。
また、孔部662および突出部622それぞれの位置も特に限定されない。しかし、金種別硬貨一時貯留部61から硬貨返却箱62に複数金種の硬貨が送り出され、金種によって硬貨返却箱62における集積位置が異なる場合もある。かかる場合には、複数金種の硬貨のうち、硬貨処理装置10によって取り扱われる枚数が多い所定の硬貨の移動を妨げるため、所定の硬貨の集積位置の近くに、孔部662および突出部622が設けられるとよい。
(3.第2の実施形態の説明)
続いて、本発明の第2の実施形態について説明する。図8は、一般的な金種別出金ホッパ70の拡大図である。硬貨Cは、金種別出金ホッパ70によって繰り出されるときに、金種別出金ホッパ70の外側に飛び出してしまうことがある。かかる状況に対処するため、図8に示すように、金種別出金ホッパ70の内部に、硬貨Cの飛び出しを妨げるためのストッパ73が設けられることがある。しかし、ストッパ73は、金種別硬貨一時貯留部61から送り出される硬貨Cの集積を妨げ、ストッパ73のスペース確保のために、硬貨処理装置10のサイズが大きくなりやすい。
そこで、本発明の第2の実施形態においては、金種別出金ホッパ70によって繰り出されるときに硬貨Cが金種別出金ホッパ70の外側に飛び出してしまう可能性を低減することが可能な技術を提案する。また、本発明の第2の実施形態においては、本発明の第1の実施形態と同様に、硬貨返却箱62に集積されている硬貨Cが硬貨返却箱62の外側に飛び出す可能性を低減することが可能な技術を主に提案する。
図9は、金種別硬貨一時貯留部61の位置制御の例を説明するための図である。上記したように、制御部90は、収納位置P1、待機位置P0および返却位置P2との間で金種別硬貨一時貯留部61の位置を制御することが可能である。まず、一般的な金種別硬貨一時貯留部61の位置制御の例を説明する。
一般的には、制御部90は、硬貨投入口21から投入された硬貨を金種別出金ホッパ70に収納させる場合(以下、「入金収納時」と言う。)、金種別硬貨一時貯留部61を待機位置P0に移動させ、金種別硬貨一時貯留部61を待機位置P0に一時保留させる。そして、制御部90は、金種別硬貨一時貯留部61を収納位置P1に移動させ、金種別硬貨一時貯留部61から金種別出金ホッパ70に送り出し、金種別出金ホッパ70によって硬貨が収納されると、金種別硬貨一時貯留部61を待機位置P0に戻す。
また、一般的に、制御部90は、金種別出金ホッパ70から硬貨を繰り出す場合(以下、「出金時」と言う。)、金種別硬貨一時貯留部61を待機位置P0に配置し続ける。
また、一般的に、制御部90は、金種別硬貨一時貯留部61を待機位置P0に移動させ、金種別硬貨一時貯留部61を待機位置P0に一時保留させる。そして、制御部90は、金種別硬貨一時貯留部61を返却位置P2に移動させ、金種別硬貨一時貯留部61から硬貨返却箱62に送り出し、硬貨返却箱62によって硬貨が集積されると、金種別硬貨一時貯留部61を待機位置P0に戻す。
続いて、本発明の第2の実施形態に係る金種別硬貨一時貯留部61の位置制御の例を説明する。
まず、出金時において、制御部90は、金種別出金ホッパ70から硬貨が繰り出される間、収納位置P1に金種別硬貨一時貯留部61を配置し続けるとよい。そうすれば、金種別出金ホッパ70からの硬貨の飛び出しが金種別硬貨一時貯留部61によって妨げられるため、ストッパ73を設ける必要がなくなることによって、金種別硬貨一時貯留部61から送り出される硬貨Cの集積を妨げてしまう可能性、硬貨処理装置10のサイズが大きくなる可能性も低減される。
より具体的には、出金時において、制御部90は、金種別出金ホッパ70から硬貨が繰り出される前に待機位置P0から収納位置P1に金種別硬貨一時貯留部61を移動させ、金種別出金ホッパ70から硬貨が繰り出されている間は、収納位置P1から金種別硬貨一時貯留部61を移動させないのがよい。そして、制御部90は、金種別出金ホッパ70から硬貨が繰り出された後、金種別硬貨一時貯留部61を待機位置P0に戻すとよい。
また、入金返却時において、制御部90は、金種別硬貨一時貯留部61から硬貨返却箱62に硬貨が送り出される場合に、外側箱65から内側箱66が抜き取られるまで、返却位置P2に金種別硬貨一時貯留部61を配置し続けるとよい。そうすれば、硬貨返却箱62からの硬貨の飛び出しが金種別硬貨一時貯留部61によって妨げられるため、本発明の第1の実施形態と同様に、硬貨返却箱62に集積されている硬貨が硬貨返却箱62の外側に飛び出す可能性を低減することが可能となる。
より具体的には、入金返却時において、制御部90は、待機位置P0において硬貨を一時保留させた後、返却位置P2に金種別硬貨一時貯留部61を移動させ、硬貨返却箱62に硬貨を集積させるとよい。そして、制御部90は、利用者によって外側箱65から内側箱66が抜き取られたことが図示しないセンサによって検出された後に、金種別硬貨一時貯留部61を待機位置P0に戻すとよい。なお、返却位置P2に金種別硬貨一時貯留部61を移動させるためのトリガは限定されず、例えば、制御部90は、利用者による所定の操作(硬貨返却箱62を引き出す旨を示す操作)が検出された場合に、返却位置P2に金種別硬貨一時貯留部61を移動させてもよい。
(4.第2の実施形態の変形例1の説明)
続いて、本発明の第2の実施形態の変形例1について説明する。図10は、本発明の第2の実施形態の変形例1に係る金種別硬貨一時貯留部61およびその周辺の拡大図である。図10に示すように、本発明の第2の実施形態の変形例1においては、硬貨処理装置10が、金種別硬貨一時貯留部61とガイド63との間にシャッタ67を有している。
シャッタ67は、制御部90の制御に従って、金種別硬貨一時貯留部61から硬貨返却箱62への硬貨の送り出しを妨げない位置、かつ、金種別硬貨一時貯留部61に硬貨を一時保留させる位置(以下、「待機・返却位置」と言う。)p1に移動され得る。シャッタ67が待機・返却位置p1に配置されている間は、金種別硬貨一時貯留部61から金種別出金ホッパ70への硬貨の送り出しが妨げられる。
また、シャッタ67は、制御部90の制御に従って、金種別硬貨一時貯留部61から金種別出金ホッパ70への硬貨の送り出しを妨げない位置(以下、「収納位置」と言う。)p2に移動され得る。シャッタ67が収納位置p2に配置されている間は、金種別硬貨一時貯留部61から硬貨返却箱62への硬貨の送り出しが妨げられる。
また、第2の実施形態の変形例1においては、金種別硬貨一時貯留部61が金種別出金出金ホッパ70に硬貨を送り出し可能な収納位置P1が、硬貨の送り出しを一時保留する位置も兼ねている。そこで、以下では、かかる位置を「待機・収納位置P1」と表す。また、第2の実施形態の変形例1においても、金種別硬貨一時貯留部61は、硬貨返却箱62に硬貨を送り出し可能な返却位置P2に移動され得る。
一般的には、入金収納時においては、金種別硬貨一時貯留部61が待機・収納位置P1に配置され、シャッタ67が待機・返却位置p1に配置される。そして、金種別硬貨一時貯留部61によって、硬貨が一時保留された後、制御部90は、シャッタ67を収納位置p2に移動させ、金種別出金ホッパ70に硬貨を収納させる。そして、金種別出金ホッパ70に硬貨が収納されると、制御部90は、シャッタ67を待機・返却位置p1に戻す。
また、一般的には、出金時においては、金種別硬貨一時貯留部61は、待機・収納位置P1に配置されたままであり、シャッタ67は、待機・返却位置p1に配置されたままである。
また、一般的に、入金返却時においては、金種別硬貨一時貯留部61が待機・収納位置P1に配置され、シャッタ67が待機・返却位置p1に配置される。そして、金種別硬貨一時貯留部61によって、硬貨が一時保留された後、制御部90は、金種別硬貨一時貯留部61を返却位置P2に移動させ、硬貨返却箱62に硬貨を集積させる。そして、硬貨返却箱62に硬貨が集積されると、制御部90は、金種別硬貨一時貯留部61を待機・収納位置P1に戻す。
本発明の第2の実施形態の変形例1においても同様に、入金返却時において、金種別硬貨一時貯留部61が待機・収納位置P1に配置され、シャッタ67が待機・返却位置p1に配置される。そして、金種別硬貨一時貯留部61によって、硬貨が一時保留された後、制御部90は、金種別硬貨一時貯留部61を返却位置P2に移動させ、硬貨返却箱62に硬貨を集積させる。
しかし、本発明の第2の実施形態の変形例1においては、硬貨返却箱62に硬貨が集積され、利用者によって外側箱65から内側箱66が抜き取られたことが図示しないセンサによって検出された後に、制御部90は、金種別硬貨一時貯留部61を待機・収納位置P1に戻す。
かかる構成によれば、硬貨返却箱62からの硬貨の飛び出しが金種別硬貨一時貯留部61によって妨げられるため、本発明の第2の実施形態と同様に、硬貨返却箱62に集積されている硬貨が硬貨返却箱62の外側に飛び出す可能性を低減することが可能となる。また、シャッタ67を有することによって、制御部90は、出金時においては、待機・収納位置P1から金種別硬貨一時貯留部61を移動させる必要がないため、出金に要する時間を短くすることが可能となる。
また、シャッタ67を有することによって、制御部90は、待機・収納位置P1と返却位置P2との二箇所の間で金種別硬貨一時貯留部61を移動させればよいため、待機位置P0と収納位置P1と返却位置P2との三箇所の間で金種別硬貨一時貯留部61を移動させる場合と比較して、金種別硬貨一時貯留部61の移動幅を短くすることが可能となる。したがって、硬貨処理装置10のサイズを小さくすることが可能となる。
(5.第2の実施形態の変形例2の説明)
続いて、本発明の第2の実施形態の変形例2について説明する。図11は、本発明の第2の実施形態の変形例2に係る金種別硬貨一時貯留部61およびその周辺の拡大図である。図10に示すように、本発明の第2の実施形態の変形例2においても、本発明の第2の実施形態の変形例1と同様に、硬貨処理装置10が、金種別硬貨一時貯留部61とガイド63との間にシャッタ67を有している。
シャッタ67は、制御部90の制御に従って、金種別硬貨一時貯留部61から金種別出金ホッパ70への硬貨の送り出しを妨げない位置、かつ、金種別硬貨一時貯留部61に硬貨を一時保留させる位置(以下、「待機・収納位置」と言う。)p3に移動され得る。シャッタ67が待機・収納位置p3に配置されている間は、金種別硬貨一時貯留部61から硬貨返却箱62への硬貨の送り出しが妨げられる。
また、シャッタ67は、制御部90の制御に従って、金種別硬貨一時貯留部61から硬貨返却箱62への硬貨の送り出しを妨げない位置(以下、「返却位置」と言う。)p4に移動され得る。シャッタ67が返却位置p4に配置されている間は、金種別硬貨一時貯留部61から金種別出金ホッパ70への硬貨の送り出しが妨げられる。
また、第2の実施形態の変形例2においては、金種別硬貨一時貯留部61が硬貨返却箱62に硬貨を送り出し可能な返却位置が、硬貨の送り出しを一時保留する位置も兼ねている。そこで、以下では、かかる位置を「待機・返却位置P3」と表す。また、第2の実施形態の変形例2においては、金種別硬貨一時貯留部61は、硬貨返却箱62に硬貨を送り出し可能な収納位置P4に移動され得る。
そして、本発明の第2の実施形態の変形例2においては、入金返却時において、金種別硬貨一時貯留部61が待機・返却位置P3に配置され、シャッタ67が待機・収納位置p3に配置される。そして、金種別硬貨一時貯留部61によって、硬貨が一時保留された後、制御部90は、シャッタ67を返却位置p4に移動させ、硬貨返却箱62に硬貨を集積させる。
そして、本発明の第2の実施形態の変形例2においては、硬貨返却箱62に硬貨が収納されると、利用者によって外側箱65から内側箱66が抜き取られたことが図示しないセンサによって検出された後に、制御部90は、シャッタ67を待機・収納位置p3に戻す。
かかる構成によれば、硬貨返却箱62からの硬貨の飛び出しが金種別硬貨一時貯留部61によって妨げられるため、本発明の第2の実施形態と同様に、硬貨返却箱62に集積されている硬貨が硬貨返却箱62の外側に飛び出す可能性を低減することが可能となる。また、シャッタ67を有することによって、制御部90は、出金時においては、待機・返却位置P3から金種別硬貨一時貯留部61を移動させる必要がないため、入金返却に要する時間を短くすることが可能となる。
また、シャッタ67を有することによって、制御部90は、待機・返却位置P3と収納位置P4との二箇所の間で金種別硬貨一時貯留部61を移動させればよいため、待機位置P0と収納位置P1と返却位置P2との三箇所の間で金種別硬貨一時貯留部61を移動させる場合と比較して、金種別硬貨一時貯留部61の移動幅を短くすることが可能となる。したがって、硬貨処理装置10のサイズを小さくすることが可能となる。
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる例に限定されない。本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
上記においては、硬貨処理装置10が有する硬貨返却箱62を例に挙げながら説明したが、本発明の実施形態は、硬貨返却箱62の代わりに、他の箱(例えば、硬貨出金部80など)にも適用され得る。すなわち、本発明の実施形態は、利用者によって引き出し可能であり、外側箱65と、外側箱65の内側に着脱可能に設けられる内側箱66とを有する集積部に対して、広く適用されることが可能である。例えば、本発明の実施形態は、両替機などにも適用され得る。
また、硬貨処理装置10の動作全体を制御するための制御部90は、専用のハードウェアによって構成されてもよいし、硬貨処理装置10に内蔵されたCPU(Central Processing Unit)がROM(Read Only Memory)に記憶されたプログラムをRAM(Random Access Memory)に展開して実行することにより実現されてもよい。かかるプログラムが提供され得る他、かかるプログラムを記憶させた記憶媒体も提供され得る。