JP6475421B2 - 化粧建築板の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、壁材や屋根材などの外装材等に使用される化粧建築板の製造方法に関するものである。
従来より、化粧建築板としては、インクジェットプリンタによる印刷で表面塗装を施して化粧するものが提案されている(特許文献1参照)。この場合、セメント板等の基材の表面に受理層を形成し、この受理層の表面に印刷層を形成するようにしている。前記受理層は、白色等の淡色で形成されており、印刷層のインクの発色性を確保するために設けられている。前記印刷層はシアン、マゼンタ、イエロー、黒の各インクを受理層に印刷して所望のデザインに形成されている。また、受理層は基材の色を隠蔽するために十分な塗膜厚さが必要となるが、受理層は高価である場合が多い。そのため、基材を隠蔽することのみを目的とした安価なベース層を形成し、ベース層の表面に前記受理層を形成している。この場合、高価な受理層を薄く形成して低コスト化を図るようにしている。
前記受理層はその塗膜種によっては、印刷層を形成するインクが伸び広がらず、発色性が乏しい場合がある。そのため、受理層を形成する塗膜には、印刷層のインクの発色性が十分確保できる塗膜種が選定される。受理層の塗膜種の選定にあたっては、インク毎で受理層の塗膜種を検討しなくてはならない。同じ塗膜種であっても、インクの発色性は、その組合せで異なるためである。
上記のように、従来の化粧建築板では、受理層とベース層の二層が必要であり、また受理層の塗膜種の選定に手間を要するという問題があった。
特開2007−154432号公報
本発明は上記の点に鑑みてなされたものであり、受理層を無くしても印刷層の発色を良好にすることができ、しかも受理層を無くすることにより、基材の表面に形成される層構成を簡素化すると共に受理層の塗膜種の選定を不要にし、生産性を向上させることができる化粧建築板の製造方法を提供することを目的とするものである。
本発明に係る化粧建築板の製造方法は、基材の表面に、樹脂を含む塗料を塗布して乾燥させた塗膜であるベース層を形成し、前記ベース層に波長200nm以下の光を照射することにより、前記光の照射後の前記ベース層の表面を前記光の照射前よりも平滑化し、前記ベース層にインクジェット印刷により印刷層を形成することを特徴とするものである。
本発明にあっては、前記ベース層に粒径が150nm〜50μmの顔料が含有され、前記ベース層の厚みが20〜50μmであり、前記顔料の一部又はほぼ全部が前記ベース層の表面から突出して前記ベース層の表面が粗面化されていることが好ましい。
本発明にあっては、前記ベース層を70〜120℃に加温した状態で前記光の照射を行うことが好ましい。
本発明は、ベース層に波長200nm以下の光を照射した後に、ベース層にインクジェット印刷により印刷層を形成することにより、ベース層の表面の粗面化の度合いを調整することができ、この粗面化の度合いの調整によりインクジェット印刷で印刷されるインクが濡れ広がりやすくなり、印刷層の発色を良好にすることができる。また受理層を形成せずに、基材の表面に設けたベース層に直接印刷層を形成するために受理層が不要となり、基材の表面に形成される層構成を簡素化すると共に受理層の塗膜種の選定を不要にし、生産性を向上させることができる。
本発明の実施の形態の一例を示す断面図である。 同上の光の照射の一例を示す概略図である。 同上のインクジェット印刷の一例を示す概略図である。 実施例4と比較例1を示す写真である。
以下、本発明を実施するための形態を説明する。
本発明で製造される化粧建築板は、図1に示すように、基材1にベース層2、印刷層3、クリアー層4をこの順に設けて形成されている。印刷層3は化粧建築板を加飾して化粧するために形成されている。クリアー層4はベース層2や印刷層3を水分等から保護するために印刷層3にオーバーコートされている。
基材1としては、窯業系基材や金属系基材のように無機質のものであっても、プラスチック成形品等の樹脂系基材のように有機質のものであっても、いずれでもよい。窯業系基材の外装材は、瓦や外壁材等の用途に使用されるものである。窯業系基材は、無機質硬化体の原料となる水硬性膠着材に無機充填剤、繊維質材料等を配合し、成形した後に養生硬化させて作製されるものである。水硬性膠着材としては、特に限定されるものではないが、例えば、ポルトランドセメント、高炉セメント、高炉スラグ、ケイ酸カルシウム、石膏等から選ばれたものの一種あるいは複数種を用いることができる。また、無機充填剤としては、フライアッシュ、ミクロシリカ、珪砂等を、繊維質材料としては、パルプ、合成繊維等の無機繊維や、スチールファイバー等の金属繊維を、それぞれ単独であるいは複数種併せて用いることができる。成形は押出成形や注型成形、抄造成形、プレス成形等の方法により行うことができ、成形の後、必要に応じてオートクレーブ養生、蒸気養生、常温養生を行って、外装材として使用される窯業系基材を作製することができる。その他、基材1としては、例えば、フレキシブルボード、珪酸カルシウム板、石膏スラグパーライト板、木片セメント板、プレキャストコンクリート板、ALC板、石膏ボード等の無機質板(サイディング)を用いることができる。基材1の形状は特に限定されず、例えば、平板状に形成することができる。また基材1の化粧面(ベース層2や印刷層3が形成される面)は凹凸などの柄模様を設けても良い。
ベース層2は、基材1の化粧面となる表面に形成されている。ベース層2は塗料を塗布して乾燥させた塗膜で形成することができる。ベース層2を形成する塗料としては、下地の隠蔽力が高く、耐久性に優れ、種類豊富な色揃えを有し、外観意匠性向上に寄与可能な着色塗料を用いることができる。具体的には、水性のエナメル塗料などを用いることができる。この場合、例えば、アクリルエマルション樹脂などに、酸化チタン、酸化鉄系顔料、カーボンブラック、硫酸バリウム等の顔料、ブチルセロソルブ、消泡剤、増粘剤等の添加剤、水等を加えて撹拌分散して調製したものを用いることができる。ベース層2の厚みは20〜50μmとすることができるが、これに限定されるものではない。ベース層2に顔料を含有させる場合は、粒径が150nm〜50μmの顔料を用いるのが好ましい。これにより、顔料の一部又はほぼ全部がベース層2の表面から突出することになり、ベース層2の表面を粗面化することができる。
印刷層3は、ベース層2の表面に形成されている。印刷層3はベース層2の表面にインクをインクジェットプリンタで印刷(インクジェット印刷)することにより形成することができる。印刷層3のインクとしては、水性インク又は油性(溶剤系)インクを用いることができる。水性インクとしては、水に水性顔料などの着色剤を配合し、さらに必要に応じて、浸透剤、乾燥防止剤、pH調整剤、防腐剤などを配合して調製することができる。油性インクとしては、溶剤がアルコール類やエーテル類などの有機溶剤であって、この溶剤に顔料などの着色剤を配合し、さらに必要に応じて、浸透剤、乾燥防止剤、pH調整剤、防腐剤などを配合して調製することができる。
クリアー層4は、印刷層3の表面に形成されている。クリアー層4は塗料を塗布して硬化させた塗膜で形成することができる。クリアー層4を形成するのに用いられるクリアー塗料はアクリルエマルション塗料などを用いることができる。アクリルエマルション塗料としては、環境負荷を低減するために、アクリル系エマルションをベースにしたアクリル樹脂塗料や、アクリルシリコン系エマルションをベースにしたアクリルシリコン樹脂塗料等の水性塗料を用いるのが好ましいが、溶剤系塗料を用いても良い。またアクリルエマルション塗料には、アクリルビーズ、マイカ等の骨材を配合しておくのが好ましい。これにより、意匠性を向上させることができる。
そして、図1に示すような化粧建築板を製造するにあたっては、次のようにして行う。
まず、基材1の表面にベース層2を形成する。このとき、ベース層2を形成するための塗料は、基材1の表面に塗布量100〜200g/mで塗布するのが好ましい。そして、この塗料の乾燥は、例えば、ジェット乾燥機を用いて、100℃以上の温度で約1分間焼き付けるという条件で行うのが好ましい。なお、ベース層2を形成するための塗料の塗布は、スプレーガン、ロールコーター、フローコーター、カーテンコーター等を用いて行うことができる。
次に、図2に示すように、ベース層2にその表面側から波長200nm以下の光(紫外線)を照射する。このとき、低圧水銀灯などの光源14を用いることができる。光の照射条件は、例えば、照度50mW/cm以上で、照射時間を約600秒間、照射距離を約20mmとすることができるが、これに限定されるものではない。このようにベース層2に波長200nm以下の光を照射することにより、ベース層2の表面の粗面化の度合いを調整することができる。具体的には、照射する光のエネルギーにより、ベース層2の塗膜表層の樹脂の分子結合エネルギーを上回り、照射前に比べて、ベース層2の表面が平滑な面に形成される。。照射する光の波長の下限は特に設定されてないが、光源14の入手が容易なことなどを考慮すると、照射する光の波長の下限は172nm以上とすることが好ましい。またベース層2を形成した基材1を搬送装置15で搬送しながら光を照射することもできる。
ベース層2への光照射時において、ベース層2を加温状態にすることが好ましい。すなわち、室温よりも高い温度にベース層2を加熱した状態でベース層2への光の照射を行うことが好ましい。このようにすると、ベース層2が加温により軟化した状態で光の照射を行うことができ、光の照射による粗面化の度合いの調整が行い易くなる。加温状態ではベース層2が軟化する温度に加熱されていればよく、例えば、ベース層2が70〜120℃であればよい。ベース層2を加温状態にするには、ジェット乾燥機やバッジ乾燥機などが用いられる。例えば、バッジ乾燥機で約120℃、約15分間乾燥した後、表面温度が約40℃となるように温風を吹き付けるようにする。
次に、光の照射を行った後のベース層2の表面に印刷層3を形成する。印刷層3はインクジェットプリンタによりインクを印刷することにより形成することができる。インクジェットプリンタとしては、例えば、図3に示すような、インクジェットプリンタを用いることができる。このインクジェットプリンタは、噴射ノズル7を設けた塗装ノズルヘッド8、塗装ノズルヘッド8の噴射ノズル7に水性インクを供給する塗料供給タンク9、塗装ノズルヘッド8の噴射ノズル7からの水性インクの噴射を制御する塗装制御システム10などを設けたインクジェット式塗装機11と、基材1を搬送する搬送コンベア12とを備えて形成されるものである。このインクジェットプリンタで印刷するにあたっては、光照射後の基材1を搬送コンベア12上に導入する。導入された基材1はそのまま送られてインクジェット式塗装機11の塗装ノズルヘッド8y、8c、8m、8kの下を順に通過する。このように、基材1を搬送コンベア12で送りながら、塗装ノズルヘッド8y、8c、8m、8kからインクを噴射させて塗着させることによって、ベース層2の表面に印刷層3を形成することができる。本発明において、インクの吐出量は18〜35ピコリットルにするのが好ましい。
この後、印刷層3の表面にクリアーな塗料を塗布・乾燥してクリアー層4を形成することができる。このときクリアーな塗料は、印刷層3の表面に塗布量30〜100g/mで塗布するのが好ましい。そして、クリアーな塗料の焼付け乾燥及び硬化は、例えば、ジェット乾燥機を用いて、120〜220℃、約1分間の条件で行うのが好ましい。十分に焼付け乾燥を行わないと、温度湿度等環境条件によって、外装材の耐久性が低下しやすくなる場合がある。なお、クリアーな塗料の塗布は、スプレーガン、ロールコーター、フローコーター、カーテンコーター等を用いて行うことができる。
本実施の形態の化粧板の製造方法では、波長200nm以下の光の照射により、ベース層2の表面の粗面化の度合いを調整することができる。従って、この粗面化の度合いの調整によりインクジェット印刷で印刷されるインクが濡れ広がりやすくなり、ベース層2が見えにくくなって印刷層3の発色を良好にすることができる。例えば、光照射前のベース層2の表面粗さが7.8μmの場合、光の照射により、ベース層2の表面粗さが3.3〜6.1μmの範囲で改善された。尚、ベース層2の表面粗さを測定する測定器としては、株式会社キーエンス製のカラー3Dレーザ顕微鏡VK8710などが用いられる。また受理層を形成せずに、基材1の表面に設けたベース層2に直接印刷層を形成するために受理層が不要となる。従って、基材1の表面に形成される層構成を簡素化すると共に受理層の塗膜種の選定を不要にし、生産性を向上させることができる。また、ベース層2に粒径が150nm〜50μmの顔料が含有されている場合は、ベース層2の表面の粗面化の度合いの調整しやすくなり、インクジェット印刷で印刷されるインクの濡れ広がりが損なわれにくくかつ広がりすぎて混じりあってぼけたりしにくくなる。なお、表面粗さは6μm以下とすることが好ましい。
以下、本発明を実施例によって具体的に説明する。
(実施例1)
以下のようにして窯業系基材を作製する。まず、普通ポルトランドセメント40質量部、フライアッシュ40質量部、パルプ6質量部、セメント板の廃材の粉砕物14質量部を混合し、この混合物に水を固形分濃度が20質量%となるように混合することによって、スラリーを調製する。次に、このスラリーを抄造した後、プレス加工して模様成形を行い、凹凸柄が形成された板材を作製する。そして、この板材を60℃で10時間蒸気養生し、さらに170℃で5時間オートクレーブ養生する。このようにして形成した窯業系基材を基材とした。
次に、上記の基材にベース層を形成する。ベース層はエナメル塗料を塗布した後、乾燥させることによって形成する。上記のエナメル塗料はアクリル樹脂塗料であって、顔料として粒径280nm〜20μmのTiO粒子を含有している。ベース層の厚みは50μmである。また、ベース層の乾燥は、バッジ乾燥機を用いて130℃にて1分間焼き付けるようにした。
次に、上記ベース層に発光波長172nmの光を照射する。光の照射時間は10秒間で、ベース層と光源との距離は3mmとする。光の照射時の温度は室温(25℃)とする。
次に、光の照射後から3時間経過した後に、ベース層の表面にインクジェットプリンタによる印刷で印刷層を形成する。印刷直前のベース層の温度は室温とする。またインクは、溶剤系の紫外線硬化型樹脂を含有するインク(株式会社ミマキエンジニアリング製の品番SPC−0371)である。このインクの溶剤はアクリル酸エステルを含み、紫外線硬化型樹脂はアクリル系樹脂である。
このようにして化粧建築板を形成する。
(実施例2)
光の照射時間を30秒間とする以外は、実施例1と同様にして化粧建築板を形成する。
(実施例3)
光の照射時間を60秒間とする以外は、実施例1と同様にして化粧建築板を形成する。
(実施例4)
光の照射時間を150秒間とする以外は、実施例1と同様にして化粧建築板を形成する。
(実施例5)
光の照射後から1時間経過した後に、ベース層の表面にインクジェットプリンタによる印刷で印刷層を形成する以外は、実施例4と同様にして化粧建築板を形成する。
(実施例6)
光の照射後から1分間経過した後に、ベース層の表面にインクジェットプリンタによる印刷で印刷層を形成する以外は、実施例4と同様にして化粧建築板を形成する。
(実施例7)
光の照射時に、ベース層が70〜120℃となるように15分間加温状態にする以外は、実施例4と同様にして化粧建築板を形成する。
(実施例8)
印刷直前のベース層の温度を40℃にする以外は、実施例7と同様にして化粧建築板を形成する。
(実施例9)
実施例1に比べて、ベース層を乾燥不足にする(バッジ乾燥機を用いて130℃にて30秒間焼き付けるようにした)以外は、実施例4と同様にして化粧建築板を形成する。
(実施例10)
実施例1に比べて、ベース層を過剰乾燥にする(バッジ乾燥機を用いて130℃にて15分間焼き付けるようにした)以外は、実施例4と同様にして化粧建築板を形成する。
(実施例11)
ベース層の表面に、ベース層に用いたアクリル樹脂のエナメル塗料から顔料を除いたクリアー塗料を、塗布・乾燥する。この時のクリアー塗料は、塗布量30〜100g/mで塗布する。次に実施例1と同様にして化粧建築板を形成する。
(比較例1)
ベース層への光の照射を行わない以外は実施例1と同様にして化粧建築板を形成する。すなわち、基材にベース層を形成した後、3時間経過した後に、ベース層の表面にインクジェットプリンタによる印刷で印刷層を形成する。
(比較例2)
ベース層への光の照射を行わない以外は実施例5と同様にして化粧建築板を形成する。
すなわち、基材にベース層を形成した後、1時間経過した後に、ベース層の表面にインクジェットプリンタによる印刷で印刷層を形成する。
(比較例3)
ベース層への光の照射を行わない以外は実施例6と同様にして化粧建築板を形成する。すなわち、基材にベース層を形成した後、1分間経過した後に、ベース層の表面にインクジェットプリンタによる印刷で印刷層を形成する。
(比較例4)
ベース層への光の照射を行わない以外は実施例7と同様にして化粧建築板を形成する。すなわち、ベース層への光の照射を行わないで、ベース層が70〜120℃となるように15分間加温状態にする。
(比較例5)
ベース層への光の照射を行わない以外は実施例8と同様にして化粧建築板を形成する。すなわち、基材にベース層を形成した後、3時間経過した後に、ベース層の表面にインクジェットプリンタによる印刷で印刷層を形成する。
(比較例6)
ベース層への光の照射を行わない以外は実施例9と同様にして化粧建築板を形成する。
すなわち、基材にベース層を形成した後、3時間経過した後に、ベース層の表面にインクジェットプリンタによる印刷で印刷層を形成する。
(比較例7)
ベース層への光の照射を行わない以外は実施例10と同様にして化粧建築板を形成する。すなわち、基材にベース層を形成した後、3時間経過した後に、ベース層の表面にインクジェットプリンタによる印刷で印刷層を形成する。
(比較例8)
ベース層への光の照射を行わない以外は実施例11と同様にして化粧建築板を形成する。すなわち、基材にベース層を形成した後、3時間経過した後に、ベース層の表面にインクジェットプリンタによる印刷で印刷層を形成する。
(比較例9)
印刷層の表面に親水塗膜層を形成する以外は、比較例1と同様にして化粧建築板を形成する。親水性塗膜層は、バインダー成分と、表面張力調整材もしくはシリカゾルなどの表面粗さ調整材の少なくとも一方を含有して形成することができる。親水性塗膜層は厚み100〜500nmとする。
(比較例10)
ベース層の表面に受理層を形成し、この受理層の表面に印刷層を形成する以外は、実施例8と同様にして化粧建築板を形成する。受理層塗料としては、アクリル系エマルションをベースにしたアクリル樹脂塗料や、アクリルシリコン系エマルションをベースにしたアクリルシリコン樹脂塗料を用いることができる。また、体質顔料と吸湿性樹脂のうちの少なくとも一方を配合しておくのが好ましい。これにより、インクの定着性を向上させることができると共に、発色性も向上させることができるものである。ここで、体質顔料としては、シリカ、アルミナ、水酸化アルミニウム、硫酸バリウム、多孔質シリカ、珪藻土等を用いることができ、吸湿性樹脂としては、酢酸ビニル、ウレタン系ポリマー、アクリル系ポリマー、ポリビニルアルコール等のインキ吸収性ポリマー等を用いることができる。基材1の表面に水性塗料を塗布量30〜200g/m・wetで塗布するのが好ましい。なお、水性塗料の塗布は、スプレーガン、ロールコーター、フローコーター、カーテンコーター等を用いて行うことができる
(色差計による発色性)
上記の実施例及び比較例について、化粧建築板の表面の発色性を色差計により評価した。この発色性は、エス・ディ・ジー株式会社製の色差計(x−riteSP64)を用いて、L*a*b*表色系におけるL*、a*、b*を測定し、これらを比較して行った。結果を表1、表2、表3に示す。
(表面粗さの測定)
実施例1〜4及び比較例1について、ベース層の表面粗さを測定した。測定器としては、株式会社キーエンス製のカラー3Dレーザ顕微鏡VK8710を用いた。結果を表1、表2、表3に示す。
(目視評価)
実施例1〜4及び比較例1、9、10について、目視評価を行った。発色性が特に優れて感じられるもの(受理層を設けたものと同程度)に◎を、発色性が優れていると感じられるもの(受理層を設けたものからは僅かに劣る)に○を、発色性が使用上問題がない程度に良好に感じられるもの(受理層を設けたものよりは劣るが使用上は問題がない程度)に△を、ベース色が現れて使用上問題があるものに×をそれぞれ付した。結果を表1、表2、表3に示す。
実施例1〜4は、比較例1と対比して、L*が減少しているため、白色のベース層の露出が少ないと言え、a*及びb*が増加あるいは略同程度であるため、彩度が増加していると言える。従って、実施例1〜4は、比較例1と対比して、発色性が向上している。
実施例5は、比較例2と対比して、L*が減少しているため、白色のベース層の露出が少ないと言え、a*及びb*が増加しているため、彩度が増加していると言える。従って、実施例5は、比較例2と対比して、発色性が向上している。
実施例6は、比較例3と対比して、L*が減少しているため、白色のベース層の露出が少ないと言え、a*及びb*が増加しているため、彩度が増加していると言える。従って、実施例6は、比較例3と対比して、発色性が向上している。
実施例7は、比較例4と対比して、L*が減少しているため、白色のベース層の露出が少ないと言え、a*及びb*が増加しているため、彩度が増加していると言える。従って、実施例7は、比較例4と対比して、発色性が向上している。
実施例8は、比較例5と対比して、L*が減少しているため、白色のベース層の露出が少ないと言え、a*及びb*が増加しているため、彩度が増加していると言える。従って、実施例8は、比較例5と対比して、発色性が向上している。
実施例9は、比較例6と対比して、L*が減少しているため、白色のベース層の露出が少ないと言え、a*及びb*が増加しているため、彩度が増加していると言える。従って、実施例9は、比較例6と対比して、発色性が向上している。
実施例10は、比較例7と対比して、L*が減少しているため、白色のベース層の露出が少ないと言え、a*及びb*が増加しているため、彩度が増加していると言える。従って、実施例10は、比較例7と対比して、発色性が向上している。
実施例11は、比較例8と対比して、L*が減少しているため、白色のベース層の露出が少ないと言え、a*及びb*が増加しているため、彩度が増加していると言える。従って、実施例11は、比較例8と対比して、発色性が向上している。
実施例3〜11は、比較例9と対比して、L*が減少しているため、白色のベース層の露出が少ないと言え、a*及びb*が増加しているため、彩度が増加していると言える。従って、実施例3〜11は、比較例9と対比して、発色性が向上している。
比較例10は受理層を設けているため、受理層の塗膜種の選定が必要であり、実施例1〜11に比べて、生産性が低下するおそれがある。
(目視による発色性)
上記の実施例4及び比較例1について、化粧建築板の表面の発色性を目視により評価した。この発色性は、株式会社キーエンス製の光学顕微鏡(KEYENCEデジタルマイクロスコープVHX−900)を用い、表面観察をした。比較例1では、インクが濡れ広がりにくく、白場(ベース層の部分)がはっきりと見えている。実施例4では、インクが濡れ広がっており、白場が見える面積も少ない。図4に、実施例4及び比較例1の表面の写真(100倍に拡大)を示す。このように目視であって、光照射することで発色性が高まることが確認できる。
1 基材
2 ベース層
3 印刷層

Claims (3)

  1. 基材の表面に、樹脂を含む塗料を塗布して乾燥させた塗膜であるベース層を形成し、
    前記ベース層に波長200nm以下の光を照射することにより、前記光の照射後の前記ベース層の表面を前記光の照射前よりも平滑化し、
    前記光の照射後の前記ベース層にインクジェット印刷により印刷層を形成する
    ことを特徴とする化粧建築板の製造方法。
  2. 前記ベース層に粒径が150nm〜50μmの顔料が含有され
    前記ベース層の厚みが20〜50μmであり、
    前記顔料の一部又はほぼ全部が前記ベース層の表面から突出して前記ベース層の表面が粗面化されている
    ことを特徴とする請求項1に記載の化粧建築板の製造方法。
  3. 前記ベース層を70〜120℃に加温した状態で前記光の照射を行う
    ことを特徴とする請求項1又は2に記載の化粧建築板の製造方法。
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