JP6475117B2 - センサ制御方法およびセンサ制御装置 - Google Patents

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Description

本発明は、被測定ガス中の窒素酸化物濃度及びアンモニア濃度を検出するのに適したセンサを制御するセンサ制御方法およびセンサ制御装置に関する。
近年、ガソリンエンジンやディーゼルエンジンなどの内燃機関から排出される排気ガスに含まれる窒素酸化物(NOx)を浄化する技術として、尿素SCR(選択触媒還元)システムが注目されている。尿素SCRシステムは、アンモニア(NH)と窒素酸化物(NOx)とを化学反応させて、窒素酸化物を窒素(N)に還元することにより、排気ガスに含まれる窒素酸化物を浄化するシステムである。
この尿素SCRシステムでは、窒素酸化物に対して供給されるアンモニアの量が過剰になると、未反応のアンモニアが排気ガスに含まれたまま外部に放出されるおそれがあった。このようなアンモニアの放出を抑制するために、排気ガスに含まれるアンモニアの濃度を測定するセンサ素子を含む複数種類のガス濃度を測定可能なセンサが尿素SCRシステムに用いられている。
この尿素SCRシステムでは、上記のセンサで測定されるアンモニアの濃度、つまり排気ガスに含まれるアンモニアの濃度が所定範囲内になるように、窒素酸化物の還元に用いられるアンモニアの量が調節されている。
なお、このセンサとしては、NOxセンサ部とアンモニアセンサ部とを備えたものが挙げられる。また、このセンサとしては、NOxセンサ部とアンモニアセンサ部とが個別に備えられる形態や、NOxセンサ部とアンモニアセンサ部とを一体に備える形態(マルチガスセンサ)が挙げられる。このようなセンサを用いることで、一酸化窒素(NO)、二酸化窒素(NO)およびアンモニア(NH)の検出が可能である。
また、アンモニアセンサ部によるアンモニア濃度の検出においては、酸素濃度の影響によりアンモニア濃度が変動してしまいアンモニア濃度の検出精度が低下する可能性があるため、アンモニアセンサ部の出力信号および酸素濃度に基づき、修正アンモニア濃度を算出する技術が提案されている(例えば、特許文献1参照)。このような修正アンモニア濃度を算出する技術によれば、被測定ガス中の酸素濃度の影響を低減でき、アンモニア濃度の検出精度の低下を抑制できる。
特開2011−075546号公報
しかし、アンモニアセンサ部の出力信号および酸素濃度に基づき修正アンモニア濃度を算出する構成においては、実際のアンモニア濃度が変化していない状況下であっても酸素濃度が急峻に変動した場合には、修正アンモニア濃度が変動してしまい、アンモニア濃度の検出精度が低下する虞がある。
例えば、実際の内燃機関においては、酸素濃度は運転条件により刻々と変化するため、酸素濃度変化に対してアンモニアセンサ部の反応速度と酸素濃度を算出するセンサもしくは予測値が同調するとは限らない。
とりわけ、リッチスパイクのような酸素濃度の瞬間的な変化が起きた場合、アンモニアセンサ部の出力変化に対する酸素濃度値の追従性が悪いと計算に大きな誤差を生じる可能性が高く、アンモニア濃度の検出精度が低下する場合がある。
本発明は、被測定ガス中の窒素酸化物濃度及びアンモニア濃度を検出するセンサを用いるにあたり、アンモニア濃度の検出精度の低下を抑制できるセンサ制御方法およびセンサ制御装置を提供することを目的とする。
本発明の1つの局面におけるセンサ制御方法は、NOxセンサ部とアンモニアセンサ部とを備えるセンサを制御するセンサ制御方法であり、酸素濃度演算ステップと、修正濃度演算ステップと、酸素濃度変化率演算ステップと、アンモニア濃度設定ステップと、を有する。
NOxセンサ部は、第1ポンピングセルと、第2ポンピングセルと、を備える。
第1ポンピングセルは、測定室に導入される被測定ガス中の酸素の汲み出し又は汲み入れを行う。
第2ポンピングセルは、第1ポンピングセルにて酸素濃度が調整された被測定ガス中のNOx濃度に応じて第2ポンピング電流が流れるように構成されている。
アンモニアセンサ部は、NOxセンサ部の外表面に形成されて、被測定ガス中のアンモニア濃度に応じたアンモニア濃度信号を出力する。
酸素濃度演算ステップでは、第1ポンピングセルに流れる第1ポンピング電流に基づいて被測定ガス中の酸素濃度を演算する。
修正濃度演算ステップでは、酸素濃度とアンモニアセンサ部のアンモニア濃度信号とに基づき、修正アンモニア濃度を演算する。
酸素濃度変化率演算ステップでは、時間経過に伴う酸素濃度の変化率である酸素濃度変化率を演算する。
アンモニア濃度設定ステップでは、予め定められた修正許可条件を満たす場合には、修正アンモニア濃度をアンモニア濃度の検出結果に設定する。他方、アンモニア濃度設定ステップでは、修正許可条件を満たさない場合には、過去に演算した修正アンモニア濃度のうち、修正許可条件を満たした際に演算した修正アンモニア濃度をアンモニア濃度の検出結果に設定する。なお、アンモニア濃度設定ステップでは、酸素濃度変化率が予め定められた基準判定値未満である場合に、修正許可条件を満たすと判定し、酸素濃度変化率が基準判定値以上である場合に、修正許可条件を満たさないと判定する。
このセンサ制御方法では、修正許可条件を満たすか否かによって、修正アンモニア濃度をアンモニア濃度の検出結果に設定するか、過去に演算した修正アンモニア濃度(詳細には、修正許可条件を満たした際に演算した修正アンモニア濃度のうちいずれかの値)をアンモニア濃度の検出結果に設定するかを切り替えている。
なお、酸素濃度変化率が予め定められた基準判定値未満である場合に、修正許可条件を満たすと判定している。つまり、酸素濃度の変化が急峻になるに従い、酸素濃度変化率は大きくなるため、酸素濃度変化率が基準判定値以上である場合には、酸素濃度が急峻に変化したと判断でき、修正許可条件を満たさないと判定できる。なお、酸素濃度変化率の修正許可条件は、例えば、修正アンモニア濃度を演算する際にアンモニア濃度の検出誤差が許容範囲(±5%、好ましくは±3%)となる酸素濃度変化率と、アンモニア濃度の検出誤差が許容範囲を逸脱する酸素濃度変化率と、の境界値が予め設定されている。
つまり、酸素濃度変化率が予め定められた基準判定値未満となり、修正許可条件を満たす場合には、修正アンモニア濃度におけるアンモニア濃度の検出誤差が許容範囲となるため、修正アンモニア濃度をアンモニア濃度の検出結果に設定した場合に、アンモニア濃度の検出精度が低下することはない。
他方、酸素濃度変化率が前記基準判定値以上となり、修正許可条件を満たさない場合には、修正アンモニア濃度におけるアンモニア濃度の検出誤差が許容範囲を越えるため、その修正アンモニア濃度をアンモニア濃度の検出結果に設定した場合に、アンモニア濃度の検出精度が低下する。このような修正アンモニア濃度に代えて、修正許可条件を満たした際に演算した過去の修正アンモニア濃度をアンモニア濃度の検出結果に設定することで、アンモニア濃度の検出精度の低下を抑制することができる。
つまり、実際のアンモニア濃度は大きく変化しておらず、かつ酸素濃度が変化した場合においては、修正許可条件を満たした際に演算した過去の修正アンモニア濃度は、実際のアンモニア濃度に近い値であると考えられる。このため、修正許可条件を満たした際に演算した過去の修正アンモニア濃度をアンモニア濃度の検出結果に設定することで、アンモニア濃度の検出精度の低下を抑制することができる。
よって、このセンサ制御方法によれば、被測定ガス中の窒素酸化物濃度及びアンモニア濃度を検出するセンサを用いるにあたり、アンモニア濃度の検出精度の低下を抑制できる。
上述のセンサ制御方法においては、アンモニア濃度設定ステップでは、修正許可条件を満たさない場合には、過去に演算した修正アンモニア濃度のうち、修正許可条件を満たした際に演算した最新の修正アンモニア濃度をアンモニア濃度の検出結果に設定してもよい。
このように、修正許可条件を満たした際に演算した過去の修正アンモニア濃度であって、最新の修正アンモニア濃度をアンモニア濃度の検出結果に設定することで、アンモニア濃度の検出精度の低下を抑制できる。
つまり、実際のアンモニア濃度は大きく変化しておらず、かつ酸素濃度が変化した場合においては、修正許可条件を満たした際に演算した過去の修正アンモニア濃度のうち、最新の修正アンモニア濃度は、実際のアンモニア濃度に近い値であると考えられる。
このため、上述のように、最新の修正アンモニア濃度をアンモニア濃度の検出結果に設定することで、アンモニア濃度の検出精度の低下を抑制することができる。
上述のセンサ制御方法においては、アンモニア濃度設定ステップでは、修正許可条件を満たさない場合には、前回の検出結果に設定したアンモニア濃度を今回のアンモニア濃度の検出結果に設定してもよい。
つまり、アンモニア濃度の検出結果に設定された数値は、修正許可条件を満たした際に演算した修正アンモニア濃度であるため、前回の検出結果に設定されたアンモニア濃度についても、修正許可条件を満たした際に演算した修正アンモニア濃度である。そして、前回の検出結果に設定したアンモニア濃度は、修正許可条件を満たした際に演算した過去の修正アンモニア濃度のうち、最新の修正アンモニア濃度であるため、実際のアンモニア濃度に近い値であると考えられる。
このため、上述のように、前回の検出結果に設定したアンモニア濃度を今回のアンモニア濃度の検出結果に設定することで、アンモニア濃度の検出精度の低下を抑制することができる。
上述のセンサ制御方法においては、アンモニア濃度設定ステップでは、酸素濃度変化率が基準判定値未満であり、かつ、酸素濃度が予め定められた基準濃度を超える場合に、修正許可条件を満たすと判定し、酸素濃度変化率が基準判定値以上であること、および酸素濃度が基準濃度以下であること、のうち少なくとも一方が成立する場合に、修正許可条件を満たさないと判定してもよい。
このセンサ制御方法では、酸素濃度変化率だけでなく酸素濃度をも含めて修正許可条件を満たすか否かを判定し、修正アンモニア濃度をアンモニア濃度の検出結果に設定するか、過去に演算した修正アンモニア濃度(詳細には、修正許可条件を満たした際に演算した修正アンモニア濃度)をアンモニア濃度の検出結果に設定するかを切り替えている。
なお、修正許可条件のうち酸素濃度については、酸素濃度が予め定められた基準濃度を超えるか否かで判定している。つまり、酸素濃度が極めて低くなると、修正アンモニア濃度の誤差が大きくなる傾向があるため、酸素濃度が基準濃度以下である場合には、修正アンモニア濃度の誤差が大きいと判断できる。なお、酸素濃度の基準濃度は、例えば、修正アンモニア濃度を演算する際に、アンモニア濃度の検出誤差が許容範囲となる酸素濃度と、アンモニア濃度の検出誤差が許容範囲を逸脱する酸素濃度と、の境界値が予め設定されている。例えば、基準濃度が4%に設定されている場合には、酸素濃度が4%以下である場合に、少なくとも修正許可条件を満たさないと判定する。
そして、このアンモニア濃度設定ステップでは、「酸素濃度変化率が基準判定値未満であること」および「酸素濃度が基準濃度を超えること」という2つの条件がいずれも成立する場合に、修正許可条件を満たすと判定する。また、このアンモニア濃度設定ステップでは、「酸素濃度変化率が基準判定値以上であること」および「酸素濃度が基準濃度以下であること」という2つの条件のうち少なくとも一方が成立する場合に、修正許可条件を満たさないと判定する。
つまり、酸素濃度および酸素濃度変化率に基づき定められる修正許可条件を満たす場合には、修正アンモニア濃度におけるアンモニア濃度の検出誤差が許容範囲となるため、修正アンモニア濃度をアンモニア濃度の検出結果に設定した場合に、アンモニア濃度の検出精度が低下することを抑制できる。
他方、酸素濃度および酸素濃度変化率に基づき定められる修正許可条件を満たさない場合には、修正アンモニア濃度におけるアンモニア濃度の検出誤差が許容範囲を越えるため、その修正アンモニア濃度をアンモニア濃度の検出結果に設定した場合に、アンモニア濃度の検出精度が低下する。このような修正アンモニア濃度に代えて、修正許可条件を満たした際に演算した過去の修正アンモニア濃度をアンモニア濃度の検出結果に設定することで、アンモニア濃度の検出精度の低下をより抑制することができる。
つまり、実際のアンモニア濃度は大きく変化しておらず、かつ酸素濃度が変化した場合においては、修正許可条件を満たした際に演算した過去の修正アンモニア濃度は、実際のアンモニア濃度に近い値であると考えられる。このため、上述の修正アンモニア濃度をアンモニア濃度の検出結果に設定することで、アンモニア濃度の検出精度の低下をより抑制することができる。
よって、このセンサ制御方法によれば、被測定ガス中の窒素酸化物濃度及びアンモニア濃度を検出するセンサを用いるにあたり、酸素濃度変化率だけでなく酸素濃度をも含めて修正許可条件を満たすか否かを判定することで、アンモニア濃度の検出精度の低下をより抑制できる。
上述のセンサ制御方法においては、アンモニア濃度設定ステップでは、修正許可条件を満たさないと判定されてから、予め定められた停止期間が経過するまでは、修正許可条件を満たさないと判定してもよい。
つまり、修正許可条件を満たさないと判定された場合、その後の一定期間は酸素濃度の影響が残り、修正アンモニア濃度に誤差が生じる可能性が高い。
そこで、修正許可条件を満たさないと判定されてから停止期間が経過するまでは、修正許可条件を満たさないと判定することで、過去に演算した修正アンモニア濃度のうち、修正許可条件を満たした際に演算した修正アンモニア濃度をアンモニア濃度の検出結果に設定する。
これにより、誤差が生じている可能性の高い修正アンモニア濃度をアンモニア濃度の検出結果に設定することを回避できる。よって、このセンサ制御方法によれば、より一層、アンモニア濃度の検出精度の低下を抑制できる。
上述のセンサ制御方法においては、酸素濃度変化率演算ステップでは、前回演算した酸素濃度を今回演算した酸素濃度で除算した値を酸素濃度変化率として演算してもよい。
つまり、酸素濃度変化率を演算するにあたり、前回演算した酸素濃度を今回演算した酸素濃度で除算した値を酸素濃度変化率として演算することで、酸素濃度が低下したときに、酸素濃度変化率が大きな値となる。このため、酸素濃度のわずかな変化に対して酸素濃度変化率が大きく変化するため、酸素濃度変化率が変動したか否かの判定が容易となる。
よって、このセンサ制御方法によれば、酸素濃度変化率に基づく判定精度を向上でき、より一層、アンモニア濃度の検出精度の低下を抑制できる。
上述のセンサ制御方法においては、センサは、NOxセンサ部とアンモニアセンサ部とを一体に備えるマルチガスセンサであってもよい。
このようなマルチガスセンサは、NOxセンサ部およびアンモニアセンサ部を一体に備えるため、同一の被測定ガス中に含まれる窒素酸化物濃度及びアンモニア濃度を検出する用途に利用される。
よって、このセンサ制御方法によれば、被測定ガス中の窒素酸化物濃度及びアンモニア濃度を検出するマルチガスセンサを用いるにあたり、アンモニア濃度の検出精度の低下を抑制できる。
上述のセンサ制御方法においては、センサは、NOxセンサ部とアンモニアセンサ部とが個別に備えられるとともに、内燃機関の排気経路に配置される構成であってもよい。そして、排気経路は、排気ガスが透過可能な仕切部で仕切られた複数の空間を備えて構成されてもよい。NOxセンサ部およびアンモニアセンサ部は、複数の空間のうち同一空間に配置されてもよい。
このようなセンサは、NOxセンサ部およびアンモニアセンサ部が排気経路のうち同一空間に配置されるため、同一の空間における被測定ガス中に含まれる窒素酸化物濃度及びアンモニア濃度を検出することができる。
よって、このセンサ制御方法によれば、同一の空間における被測定ガス中の窒素酸化物濃度及びアンモニア濃度を検出するセンサを用いるにあたり、アンモニア濃度の検出精度の低下を抑制できる。
NOxセンサ部とアンモニアセンサ部とが個別に備えられる上述のセンサ制御方法においては、NOxセンサ部は、排気ガスの進行方向において、アンモニアセンサ部と同一位置か、アンモニアセンサ部よりも上流側に配置されてもよい。
NOxセンサ部とアンモニアセンサ部との相対的な位置関係がこのように定められることで、酸素濃度の検出位置は、アンモニア濃度の検出位置に比べて、排気ガスの進行方向における同一位置または上流側となる。この場合、修正アンモニア濃度を演算するにあたり、アンモニア濃度の検出位置と同一位置または上流側で検出した酸素濃度を用いることができる。これにより、酸素濃度の検出時期がアンモニア濃度の検出時期よりも遅れることがなくなり、修正アンモニア濃度を精度良く演算できる。
よって、このセンサ制御方法によれば、修正アンモニア濃度を精度良く演算できるため、アンモニア濃度の検出精度の低下を抑制できる。
本発明の他の局面におけるセンサ制御装置は、NOxセンサ部とアンモニアセンサ部とを備えるセンサを制御するセンサ制御装置であり、酸素濃度演算部と、修正濃度演算部と、酸素濃度変化率演算部と、アンモニア濃度設定部と、を有する。
NOxセンサ部は、第1ポンピングセルと、第2ポンピングセルと、を備える。
第1ポンピングセルは、測定室に導入される被測定ガス中の酸素の汲み出し又は汲み入れを行う。
第2ポンピングセルは、第1ポンピングセルにて酸素濃度が調整された被測定ガス中のNOx濃度に応じて第2ポンピング電流が流れるように構成されている。
アンモニアセンサ部は、NOxセンサ部の外表面に形成されて、被測定ガス中のアンモニア濃度に応じたアンモニア濃度信号を出力する。
酸素濃度演算部は、第1ポンピングセルに流れる第1ポンピング電流に基づいて被測定ガス中の酸素濃度を演算する。
修正濃度演算部は、酸素濃度とアンモニアセンサ部のアンモニア濃度信号とに基づき、修正アンモニア濃度を演算する。
酸素濃度変化率演算部は、時間経過に伴う酸素濃度の変化率である酸素濃度変化率を演算する。
アンモニア濃度設定部は、予め定められた修正許可条件を満たす場合には、修正アンモニア濃度をアンモニア濃度の検出結果に設定する。他方、アンモニア濃度設定部は、修正許可条件を満たさない場合には、過去に演算した修正アンモニア濃度のうち、修正許可条件を満たした際に演算した修正アンモニア濃度をアンモニア濃度の検出結果に設定する。なお、アンモニア濃度設定部は、酸素濃度変化率が予め定められた基準判定値未満である場合に、修正許可条件を満たすと判定し、酸素濃度変化率が基準判定値以上である場合に、修正許可条件を満たさないと判定する。
このセンサ制御装置は、上述のセンサ制御方法と同様に、被測定ガス中の窒素酸化物濃度及びアンモニア濃度を検出するマルチガスセンサを用いるにあたり、アンモニア濃度の検出精度の低下を抑制できる。
上述のセンサ制御装置においては、アンモニア濃度設定部は、修正許可条件を満たさない場合には、過去に演算した修正アンモニア濃度のうち、修正許可条件を満たした際に演算した最新の修正アンモニア濃度をアンモニア濃度の検出結果に設定してもよい。
このセンサ制御装置は、上述のセンサ制御方法と同様に、最新の修正アンモニア濃度をアンモニア濃度の検出結果に設定することで、アンモニア濃度の検出精度の低下を抑制することができる。
上述のセンサ制御装置においては、アンモニア濃度設定部は、修正許可条件を満たさない場合には、前回の検出結果に設定したアンモニア濃度を今回のアンモニア濃度の検出結果に設定してもよい。
このセンサ制御装置は、上述のセンサ制御方法と同様に、前回の検出結果に設定したアンモニア濃度を今回のアンモニア濃度の検出結果に設定することで、アンモニア濃度の検出精度の低下を抑制することができる。
上述のセンサ制御装置においては、アンモニア濃度設定部は、酸素濃度変化率が基準判定値未満であり、かつ、酸素濃度が予め定められた基準濃度を超える場合に、修正許可条件を満たすと判定し、酸素濃度変化率が基準判定値以上であること、および酸素濃度が基準濃度以下であること、のうち少なくとも一方が成立する場合に、修正許可条件を満たさないと判定してもよい。
このセンサ制御装置は、上述のセンサ制御方法と同様に、被測定ガス中の窒素酸化物濃度及びアンモニア濃度を検出するセンサを用いるにあたり、酸素濃度変化率だけでなく酸素濃度をも含めて修正許可条件を満たすか否かを判定することで、アンモニア濃度の検出精度の低下をより抑制できる。
上述のセンサ制御装置においては、センサは、NOxセンサ部とアンモニアセンサ部とを一体に備えるマルチガスセンサであってもよい。
このようなマルチガスセンサは、NOxセンサ部およびアンモニアセンサ部を一体に備えるため、同一の被測定ガス中に含まれる窒素酸化物濃度及びアンモニア濃度を検出する用途に利用される。
よって、このセンサ制御装置によれば、被測定ガス中の窒素酸化物濃度及びアンモニア濃度を検出するマルチガスセンサを用いるにあたり、アンモニア濃度の検出精度の低下を抑制できる。
上述のセンサ制御装置においては、センサは、NOxセンサ部とアンモニアセンサ部とが個別に備えられるとともに、内燃機関の排気経路に配置される構成であってもよい。そして、排気経路は、排気ガスが透過可能な仕切部で仕切られた複数の空間を備えて構成されてもよい。NOxセンサ部およびアンモニアセンサ部は、複数の空間のうち同一空間に配置されてもよい。
このようなセンサは、NOxセンサ部およびアンモニアセンサ部が排気経路のうち同一空間に配置されるため、同一の空間における被測定ガス中に含まれる窒素酸化物濃度及びアンモニア濃度を検出することができる。
よって、このセンサ制御装置によれば、同一の空間における被測定ガス中の窒素酸化物濃度及びアンモニア濃度を検出するセンサを用いるにあたり、アンモニア濃度の検出精度の低下を抑制できる。
NOxセンサ部とアンモニアセンサ部とが個別に備えられる上述のセンサ制御装置においては、NOxセンサ部は、排気ガスの進行方向において、アンモニアセンサ部と同一位置か、アンモニアセンサ部よりも上流側に配置されてもよい。
NOxセンサ部とアンモニアセンサ部との相対的な位置関係がこのように定められることで、酸素濃度の検出位置は、アンモニア濃度の検出位置に比べて、排気ガスの進行方向における同一位置または上流側となる。この場合、修正アンモニア濃度を演算するにあたり、アンモニア濃度の検出位置と同一位置または上流側で検出した酸素濃度を用いることができる。これにより、酸素濃度の検出時期がアンモニア濃度の検出時期よりも遅れることがなくなり、修正アンモニア濃度を精度良く演算できる。
よって、このセンサ制御装置によれば、修正アンモニア濃度を精度良く演算できるため、アンモニア濃度の検出精度の低下を抑制できる。
本発明のセンサ制御方法およびセンサ制御装置によれば、被測定ガス中の窒素酸化物濃度及びアンモニア濃度を検出するセンサを用いるにあたり、アンモニア濃度の検出精度の低下を抑制できる。
マルチガスセンサ制御装置に備えられるマルチガスセンサの内部構造を示す断面図である。 マルチガスセンサ制御装置の構成を説明するブロック図である。 アンモニアセンサ部の構成を示す展開図である。 マルチガスセンサ制御装置のマイクロコンピュータに格納された各種データの構成を示すブロック図である。 アンモニア濃度出力−アンモニア濃度関係式の一例を示す説明図である。 ガス濃度演算処理の処理内容を示すフローチャートである。 マルチガスセンサ制御装置を用いてアンモニア濃度を測定した測定試験の測定結果を示す説明図である。 変形形態1のマルチガスセンサ制御装置の構成を説明するブロック図である。 センサ素子部における第1アンモニアセンサ部および第2アンモニアセンサ部の構成を表す断面図である。 変形形態2におけるガス濃度演算処理の処理内容を示すフローチャートである。 変形形態3のセンサ制御装置の構成を説明するブロック図である。 変形形態4のセンサ制御装置の構成を説明するブロック図である。
以下、本発明が適用された実施形態について、図面を用いて説明する。
尚、本発明は、以下の実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の技術的範囲に属する限り種々の形態を採り得ることはいうまでもない。
[1.第1実施形態]
[1−1.全体構成]
第1実施形態として、自動車などの内燃機関に備えられるマルチガスセンサ制御装置1について説明する。
マルチガスセンサ制御装置1は、ディーゼルエンジンから排出される排気ガス(被測定ガス)に含まれる窒素酸化物(NOx)を浄化する尿素SCRシステムに用いられるものである。より具体的には、排気ガスに含まれるNOxと、アンモニア(尿素)とを反応させた後の排気ガスに含まれる一酸化窒素(NO)、二酸化窒素(NO)およびアンモニアの濃度を測定するものである。
マルチガスセンサ制御装置1は、図1および図2に示すように、センサ本体であるマルチガスセンサ2と、マルチガスセンサ2を制御すると共にセンサ出力を演算処理することにより、NO、NOおよびアンモニアの濃度を演算する制御部3(演算部3)と、を備えている。
[1−2.マルチガスセンサ]
マルチガスセンサ2は、図1に示すように、センサ素子部10と、主体金具110と、セパレータ134と、接続端子138と、を主に備えている。なお、以下の説明では、マルチガスセンサ2のセンサ素子部10が配置されている側(図1の下側)を先端側、接続端子138が配置されている側(図1の上側)を後端側と表記する。
センサ素子部10は、軸線O方向に延びる板形状を有する。センサ素子部10の後端には電極端子部10A、10Bが配置されている。図1においては、図示を容易にするために、センサ素子部10に形成された電極端子部を、電極端子部10Aおよび電極端子部10Bのみとしているが、実際には、後述するNOxセンサ部11やアンモニアセンサ部21が有する電極等の数に応じて、複数の電極端子部が形成されている。なお、センサ素子部10のより詳細な説明は後述する。
主体金具110は、マルチガスセンサ2をディーゼルエンジンの排気管に固定するネジ部111が外表面に形成された筒状の部材である。主体金具110には、軸線方向に貫通する貫通孔112と、貫通孔112の径方向内側に突出する棚部113と、が主に設けられている。棚部113は、貫通孔112の径方向外側から中心に向かって先端側へ近づく傾きを有する内向きのテ―パ面として形成されている。
また、主体金具110は、センサ素子部10の先端側を、貫通孔112から先端側に突出させ、センサ素子部10の後端側を貫通孔112の後端側に突出させた状態で保持するものである。
主体金具110の貫通孔112の内部には、先端側から後端側に向かって順に、センサ素子部10の径方向周囲を取り囲む筒状の部材であるセラミックホルダ114、粉末充填層である滑石リング115,116、セラミックスリーブ117が積層されている。
セラミックスリーブ117と主体金具110の後端側の端部との間には、加締めパッキン118が配置されている。セラミックホルダ114と主体金具110の棚部113との間には、金属ホルダ119が配置されている。金属ホルダ119は、滑石リング115やセラミックホルダ114を保持するものである。主体金具110の後端側の端部は、加締めパッキン118を介してセラミックスリーブ117を先端側に向かって押し付けるように加締められる部分である。
主体金具110の先端側の端部には、外部プロテクタ121および内部プロテクタ122が設けられている。外部プロテクタ121および内部プロテクタ122は、先端側の端部が閉塞されたステンレス鋼などの金属材料から形成された筒状の部材である。内部プロテクタ122は、センサ素子部10の先端側の端部を覆った状態で主体金具110に溶接され、外部プロテクタ121は、内部プロテクタ122を覆った状態で主体金具110に溶接されている。
主体金具110の後端側の端部には、筒状に形成された外筒131の先端側の端部が固定されている。さらに、外筒131の後端側の端部である開口には、当該開口を閉塞するグロメット132が配置されている。
グロメット132には、リード線141が挿通されるリード線挿通孔133が形成されている。リード線141は、センサ素子部10の電極端子部10Aや、電極端子部10Bに電気的に接続されるものである。
セパレータ134は、センサ素子部10の後端側に配置された筒状に形成された部材である。セパレータ134の内部に形成された空間は、軸線方向に貫通する挿通孔135である。セパレータ134の外表面には、径方向外側に突出する鍔部136が形成されている。
セパレータ134の挿通孔135には、センサ素子部10の後端部が挿入され、電極端子部10A、10Bがセパレータ134の内部に配置される。
セパレータ134と外筒131との間には、筒状に形成された保持部材137が配置されている。保持部材137は、セパレータ134の鍔部136と当接すると共に、外筒131の内面とも当接することにより、セパレータ134を外筒131に対して固定保持するものである。
接続端子138は、セパレータ134の挿通孔135内に配置される部材であり、センサ素子部10の電極端子部10Aや電極端子部10Bと、リード線141と、をそれぞれ独立に電気的に接続する導電部材である。なお、図1では、図示を容易にするために、2つの接続端子138のみが図示されている。
[1−3.センサ素子部]
ここで、センサ素子部10の構成の詳細について、図2を参照しながら説明する。なお、図2では説明の便宜のために、センサ素子部10の長手方向に沿う模式的な断面図のみを表示している。
センサ素子部10には、NOxセンサ部11と、アンモニアセンサ部21と、が主に設けられている。本実施形態におけるNOxセンサ部11、アンモニアセンサ部21は、それぞれ公知のNOxセンサと同様な構成、公知のアンモニアセンサと同様な構成を有している。
NOxセンサ部11は、主に、絶縁層10e、第1固体電解質体12a、絶縁層10d、第3固体電解質体16a、絶縁層10c、第2固体電解質体18a、及び絶縁層10b、絶縁層10aが、この順に積層された構造となっている。上述の各絶縁層10a、10b、10c、10d、10eはアルミナを主体として形成されている。
さらにNOxセンサ部11には、第1測定室S1が第1固体電解質体12aと第3固体電解質体16aとの層間に設けられ、NOx測定室に相当する第2測定室S2が、第1固体電解質体12aと第2固体電解質体18aとの層間に、第3固体電解質体16aを貫通して設けられている。
被測定ガスが導入される第1測定室S1の入口端(図2の左側の端)には、第1拡散抵抗体14が配置されている。第1測定室S1における入口端と反対側の端(図2の右側の端)には、第1測定室S1と第2測定室S2とを区画する第2拡散抵抗体15が配置されている。上述の第1拡散抵抗体14および第2拡散抵抗体15はアルミナ等の多孔質物質から形成され、被測定ガスの透過性を有している。
NOxセンサ部11には、さらに、NOxセンサ部11や、アンモニアセンサ部21を活性温度にまで昇温し、それぞれのセンサを構成する固体電解質体における酸素イオンの導電性を高めるヒータ(ヒータ部)19が設けられている。ヒータ19は、白金または白金を含む合金を、センサ素子部10の長手方向に沿って延びる長尺板状に形成したものであり、絶縁層10bおよび絶縁層10aの間に埋設されるものである。
その他にNOxセンサ部11には、第1ポンピングセル12と、酸素濃度検出セル16と、第2ポンピングセル18と、が設けられている。
第1ポンピングセル12は、酸素イオン導電性を有するジルコニアを主体とする第1固体電解質体12aと、白金を主体とする内側第1ポンピング電極(第1電極)12bおよび外側第1ポンピング電極(第1電極)12cと、から主に構成されている。
内側第1ポンピング電極12bは、第1固体電解質体12aにおける第1測定室S1に露出する面に設けられている。さらに内側第1ポンピング電極12bは、多孔質体からなる保護層12dによって第1測定室S1側の表面が覆われている。
外側第1ポンピング電極12cは、内側第1ポンピング電極12bの対極となる電極であり、内側第1ポンピング電極12bとの間に第1固体電解質体12aを挟んで配置されるものである。絶縁層10eにおける外側第1ポンピング電極12cが配置された領域に相当する部分は、くり抜かれて多孔質体12eが充填されている。多孔質体12eは、外側第1ポンピング電極12cと外部との間でガス(酸素)の出入りを可能とするものである。
酸素濃度検出セル16は、第1ポンピングセル12の下流側で、かつ第2ポンピングセル18の上流側に配置されている。この酸素濃度検出セル16は、ジルコニアを主体とする第3固体電解質体16aと、白金を主体とし、第3固体電解質体16aを間に挟んで配置された検知電極16bおよび基準電極16cと、から主に構成されている。
検知電極16bは、第3固体電解質体16aにおける第1測定室S1に露出する面であって、内側第1ポンピング電極12bよりも下流側、言い換えると、第2拡散抵抗体15側の領域に設けられている。
検知電極16bの対極である基準電極16cは、絶縁層10cを切り抜いて形成した基準酸素室17の内部に配置されている。この基準酸素室17の内部には、多孔質体が充填されている。基準酸素室17には、第1測定室S1から送りこまれた酸素が存在し、基準酸素室17内の酸素が酸素基準とされている。
第2ポンピングセル18は、ジルコニアを主体とする第2固体電解質体18aと、白金を主体とする内側第2ポンピング電極(第2電極)18bおよび第2ポンピング対電極(第2電極)18cと、から主に構成されている。
内側第2ポンピング電極18bは、第2固体電解質体18aにおける第2測定室S2に露出する領域に設けられている。第2ポンピング対電極18cは、第2固体電解質体18aにおける基準酸素室17に露出する領域であって、基準電極16cと対向する部分に設けられている。
さらに、上述の内側第1ポンピング電極12b、検知電極16b、および、内側第2ポンピング電極18bは、それぞれ基準電位に接続されている。
その一方で、アンモニアセンサ部21は、NOxセンサ部11の外表面、より具体的には、絶縁層10eの上に形成されている。アンモニアセンサ部21は、NOxセンサ部11の長手方向(図2の左右方向)における基準電極16cと略同位置に配置されている。
アンモニアセンサ部21は、アンモニアセンサ部用固体電解質体23の上に形成された一対の電極21aと、一対の電極21aを覆う選択反応層21bとを含み、一対の電極21a間の起電力変化によって被測定ガス中のアンモニア濃度を検出するように構成されている。
また、多孔質からなる拡散層24(保護層24)が選択反応層21bを完全に覆うように形成され、外部からアンモニアセンサ部21に流入する被測定ガスの拡散速度を調整可能に構成されている。
図3は、アンモニアセンサ部21の構成を示す展開図である。
一対の電極21aは、アンモニアセンサ部用固体電解質体23の上に配置された一対の電極21a1、21a2で構成されている。
各電極21a1、21a2からアンモニアセンサ部用固体電解質体23の長手方向に沿ってそれぞれリード21ax、21ayが延設されている。リード21ax、21ayは、絶縁層22で被覆されている。但し、リード21ax、21ayの右端(図示省略)は、絶縁層22で被覆されずに露出し、それぞれ所定の電極端子部を形成している。
電極21a1、21a2は、アンモニアセンサ部用固体電解質体23の短手方向に沿って離間して並んでいる。電極21a1は、金を主成分とする材料で構成されて検知電極として作用し、電極21a2は、白金を主成分とする材料で構成されて基準電極として作用する。基準電極21a2に比べ、検知電極21a1の方がアンモニアとの反応性が高いため、検知電極21a1と基準電極21a2との間で起電力が生じる。
また、アンモニアセンサ部用固体電解質体23は、例えばZrO等の酸素イオン伝導性材料で構成され、リード21ax、21ayは、例えば白金を主成分とする材料で構成されている。
選択反応層21bは、被測定ガス中のアンモニア以外の可燃性ガス成分を燃焼させる役割を持っている。選択反応層21bが存在すると、可燃性ガス成分の影響を受けずに被測定ガス中のアンモニアを検出することができる。選択反応層21bは、通常、金属酸化物を主成分とするが、特に酸化バナジウム(V)及び酸化ビスマス(Bi)を所定比で含む材料(例えば、酸化ビスマスバナジウム:BiVO)で形成してもよい。
なお、選択反応層21bが検知電極21a1のみを覆っていても、上記した効果を発揮することができる。また、本実施形態では、検知電極21a1と選択反応層21bとを分けて設けているが、選択反応層21bを設けず、検知電極21a1に選択反応層21bを形成する材料(例えば、金属酸化物)を含有させてもよい。
拡散層24としては、例えばアルミナ、スピネル(MgAl)、シリカアルミナ、及びムライトの群から選ばれる少なくとも1種が例示される。そして、拡散層24の厚み、粒径、粒度分布、気孔率、配合比等を適宜調整することで、選択反応層21b、及び電極21a1、21a2に到達するガス拡散時間が任意に調整可能である。
本実施形態においては、酸素濃度検出セル16の温度が測定されており、この測定された温度をもとに、ヒータ19による加熱が行われる。なお、この実施形態において、NOxセンサ部11の第2固体電解質体18aの制御温度を700℃としたとき、アンモニアセンサ部21の温度が650℃となっている。
[1−4.制御部]
マルチガスセンサ制御装置1の制御部3は、図2に示すように、マルチガスセンサ制御装置1が搭載された車両の車両側制御装置であるECU200と電気的に接続されている。ECU200は、制御部3で演算された排気ガス中のNO濃度、NO濃度およびアンモニア濃度を示すデータを受信し、受信データに基づいてディーゼルエンジンの運転状態の制御処理を実行したり、触媒に蓄積されたNOxの浄化処理を実行したりするものである。
制御部3には、図2に示すように、回路基板上に配置されたアナログ回路である制御回路50と、マイクロコンピュータ60と、が設けられている。
マイクロコンピュータ60は、制御部3の全体を制御するものである。マイクロコンピュータ60には、中央演算処理装置であるCPU61と、記憶手段であるRAM62およびROM63と、信号入出力部64と、A/Dコンバータ65と、クロック(図示せず。)と、が主に設けられている。マイクロコンピュータ60は、ROM63などに予め格納されたプログラムをCPU61が実行することにより、各種の処理を行うものである。
制御回路50は、基準電圧比較回路51と、Ip1ドライブ回路52と、Vs検出回路53と、Icp供給回路54と、Ip2検出回路55と、Vp2印加回路56と、ヒータ駆動回路57と、起電力検出回路58と、を主に備えて構成されている。
Ip1ドライブ回路52は、NOxセンサ部11の外側第1ポンピング電極12cに電気的に接続され、Vs検出回路53およびIcp供給回路54は、基準電極16cに電気的に接続されている。Ip2検出回路55およびVp2印加回路56は、第2ポンピング対電極18cに電気的に接続され、ヒータ駆動回路57は、ヒータ19に電気的に接続されている。
起電力検出回路58は、アンモニアセンサ部21における一対の電極21a(検知電極21a1、基準電極21a2)に電気的に接続されている。起電力検出回路58は、検知電極21a1および基準電極21a2の間の起電力である、アンモニア起電力EMFを検出してマイクロコンピュータ60に出力している。
Ip1ドライブ回路52は、内側第1ポンピング電極12bと外側第1ポンピング電極12cとの間に第1ポンピング電流Ip1を供給するとともに、供給した第1ポンピング電流Ip1を検出するものである。
Vs検出回路53は、検知電極16bと基準電極16cとの間の電圧Vsを検出し、検出した結果を基準電圧比較回路51に出力するものである。基準電圧比較回路51は、基準電圧(例えば、425mV)とVs検出回路53の出力(電圧Vs)とを比較し、比較した結果をIp1ドライブ回路52に出力するものである。
Ip1ドライブ回路52は、電圧Vsが上述の基準電圧と等しくなるようにIp1電流の流れる向きと、大きさとを制御するとともに、第1測定室S1内の酸素濃度をNOxが分解しない程度の所定値に調整するものである。
Icp供給回路54は、検知電極16bと基準電極16cとの間に微弱な電流Icpを流すものであり、電流Icpを供給することで、酸素を第1測定室S1から基準酸素室17内に送り込み、基準電極16cを基準となる所定の酸素濃度に晒させるものである。
Vp2印加回路56は、内側第2ポンピング電極18bと第2ポンピング対電極18cとの間に、一定電圧Vp2(例えば、450mV)を印加し、NOxを窒素と酸素に分解させるものである。一定電圧Vp2は、被測定ガス中のNOxガスが酸素とNガスに分解する程度の電圧である。
Ip2検出回路55は、第2ポンピングセル18に流れる第2ポンピング電流Ip2を検出するものである。第2ポンピング電流Ip2は、NOxの分解により生じた酸素が第2測定室S2から第2固体電解質体18aを介して第2ポンピング対電極18c側に汲み出される際に流れる電流である。
Ip1ドライブ回路52は、検出した第1ポンピング電流Ip1の値をA/Dコンバータ65に出力するものであり、Ip2検出回路55は、検出した第2ポンピング電流Ip2の値をA/Dコンバータ65に出力するものである。A/Dコンバータ65は、第1ポンピング電流Ip1および第2ポンピング電流Ip2の値をデジタル変換し、信号入出力部64を介してCPU61に出力するものである。
[1−5.制御回路]
次に、制御回路50による制御について以下に説明する。
まず、エンジンが始動されて外部から制御回路50に電力が供給されると、ヒータ駆動回路57からヒータ19に電力が供給される。電力が供給されたヒータ19は熱を発生して、第1ポンピングセル12、酸素濃度検出セル16、および、第2ポンピングセル18を活性化温度まで加熱させる。
ヒータ19によってNOxセンサ部11が目標とする温度まで加熱されると、それに伴ってNOxセンサ部11の上に配置されたアンモニアセンサ部21も所望温度に昇温され、活性化される。
さらに、Icp供給回路54から、検知電極16bと基準電極16cとの間に電流Icpが供給される。すると酸素が酸素を第1測定室S1から基準酸素室17内に送り込まれ、送りこまれた酸素は酸素基準となる。
第1ポンピングセル12や、酸素濃度検出セル16や、第2ポンピングセル18が活性化温度に加熱されると、第1ポンピングセル12により、第1測定室S1内の酸素の汲み出しが行われる。つまり、第1測定室S1に流入した被測定ガス(排ガス)中の酸素が、第1ポンピングセル12の内側第1ポンピング電極12bから外側第1ポンピング電極12cに向かって汲み出される。
第1測定室S1内の酸素濃度は、酸素濃度検出セル16の電極間電圧Vsに対応した濃度になる。Ip1ドライブ回路52は、電極間電圧Vsが上述の基準電圧となるように、第1ポンピングセル12に流れる第1ポンピング電流Ip1を制御する。このようにすることで、第1測定室S1内の酸素濃度は、NOxが分解しない程度に調整される。
第1測定室S1において酸素濃度が調整された被測定ガスは、次に、第2測定室S2に流入する。第2測定室S2において被測定ガスに含まれるNOxは、窒素と酸素に分解される。つまり、第2ポンピングセル18の電極間電圧として、Vp2印加回路56から一定電圧Vp2(例えば450mV)が印加されると、NOxは窒素と酸素に分解される。一定電圧Vp2は、被測定ガス中のNOxガスが酸素とN2ガスに分解する程度の電圧であり、酸素濃度検出セル16の制御電圧の値より高い電圧である。
NOxの分解により生じた酸素は、第2ポンピングセル18により第2測定室S2から汲み出される。このとき第2ポンピングセル18には、酸素を汲み出すために第2ポンピング電流Ip2が供給される。第2ポンピング電流Ip2とNOx濃度との間には直線比例関係があるため、Ip2検出回路55によって検知される第2ポンピング電流Ip2は、NOx濃度と直線比例する値となる。
その一方で、アンモニアセンサ部21の検知電極21a1と基準電極21a2との間には、被測定ガスに含まれるアンモニア濃度に応じて起電力が発生する。起電力検出回路58は、検知電極21a1と基準電極21a2との間の起電力をアンモニア起電力として検出する。
なお、第2ポンピング電流Ip2の値には、第2測定室S2における被測定ガスの酸素濃度、NO濃度およびアンモニア濃度の影響も含まれている。また、アンモニアセンサ部21から出力されるアンモニア起電力EMFには、被測定ガスの酸素濃度、NO濃度、NO濃度および各センサ部11、21の温度の影響も含まれている。本実施形態では、第2ポンピング電流Ip2およびアンモニア起電力から酸素濃度の影響を取り除いた後に、NO濃度、NO濃度およびアンモニア濃度を演算処理により求めている。なお、当該演算処理の詳細については後述する。また、酸素濃度は、第1ポンピング電流Ip1から関係式を用いて求められるものを用いている。
[1−6.マイクロコンピュータ]
ここで、マイクロコンピュータ60のROM63には、以下に説明する各種のデータが格納されている。CPU61は、ROM63から当該各種データを読み込み、第2ポンピング電流Ip2の値およびアンモニア起電力から酸素濃度の影響を取り除くなどの種々の演算処理を行う。
図4に模式的に示すように、ROM63には、「第1ポンピング電流(Ip1)−酸素濃度関係式」63a、酸素濃度別に複数設定された「アンモニア濃度出力(起電力EMF)−アンモニア濃度関係式」63b、アンモニア濃度別に複数設定された「第2ポンピング電流(Ip2)−NO濃度関係式」63c、「負のアンモニア濃度出力−NO濃度関係式」63d、「寄与第2ポンピング電流−NO濃度,NO濃度関係式」63e、並びに、酸素濃度及びNO濃度別に複数設定された「アンモニア濃度出力−アンモニア濃度関係式」63fが格納されている。
なお、図4の例では、各種データ63a〜63fは所定の関係式として設定されているが、センサの出力から各種ガス濃度を算出するものであれば、例えばテーブル等であってもよい。又、各種データ63a〜63fは、例えば予めガス濃度が既知のモデルガスを用いて得られた値(関係式やテーブル等)とすることができる。
「第1ポンピング電流−酸素濃度関係式」63aは、第1測定室に導入された被測定ガス中の酸素の汲み出し又は汲み入れに伴って第1ポンピングセル12に流れる第1ポンピング電流(Ip1)と、この被測定ガス中の酸素濃度との関係式である。図示はしないが、通常、Ip1と酸素濃度とはほぼ直線関係にある。「第1ポンピング電流−酸素濃度関係式」63aに基づき、被測定ガス中の酸素濃度を算出することができる。
「アンモニア濃度出力−アンモニア濃度関係式」63bは酸素濃度別に設定されており、アンモニアセンサ部のアンモニア濃度出力と、被測定ガス中のアンモニア濃度との関係式である。
図5に、アンモニア濃度出力−アンモニア濃度関係式の一例を示す。本実施形態において、異なる酸素濃度毎にアンモニア濃度がEMFの3次式で表されている。EMFは酸素濃度によって変化するが、酸素濃度毎の「アンモニア濃度出力−アンモニア濃度関係式」63bに基づくことで、被測定ガス中の酸素濃度の影響を受けない正確なアンモニア濃度(特許請求の範囲の「修正アンモニア濃度」)を演算することができる。
なお、設定されていない酸素濃度におけるアンモニア濃度出力−アンモニア濃度関係式は、例えばその酸素濃度を挟む2つの酸素濃度でのアンモニア濃度出力−アンモニア濃度関係式から、外挿法によって計算することができる。
また、マイクロコンピュータ60は、「第2ポンピング電流(Ip2)−NO濃度関係式」63c、「負のアンモニア濃度出力−NO濃度関係式」63d、「寄与第2ポンピング電流−NO濃度,NO濃度関係式」63e、並びに、「アンモニア濃度出力−アンモニア濃度関係式」63fを用いて、NO濃度、NO濃度を演算する。
なお、NO濃度、NO濃度を演算するための公知の手法は、例えば、特開2011−075546号公報に記載されているため、ここでの詳細説明は省略する。
次に、マイクロコンピュータ60のCPU61において実行されるガス濃度演算処理について説明する。ガス濃度演算処理は、第2ポンピング電流Ip2およびアンモニア起電力EMFを用いて、被測定ガス中の各種ガス成分の濃度(NO濃度、NO濃度およびアンモニア濃度)を演算する処理である。
なお、尿素SCRシステムにおいては、NOxを浄化するため、マルチガスセンサ2の検出結果に応じて尿素水を噴射しているが、NOxが浄化されたと判断された場合には尿素水の噴射を停止している。従って、尿素水の噴射を停止してから一定時間経過した場合、CPU61は「被測定ガス中のアンモニア濃度が0である」とみなしている。
図6は、ガス濃度演算処理の処理内容を表すフローチャートである。
ガス濃度演算処理が起動されると、まず、S110(Sはステップを表す)では、ヒータ駆動回路57を動作させて、ヒータ19を発熱させる。
次のS120では、初期化処理が行われ、本処理で利用される内部変数の値や内部フラグの状態などがリセットされる。
次のS130では、ヒータ19によりマルチガスセンサ2(第1ポンピングセル12、酸素濃度検出セル16、第2ポンピングセル18、およびアンモニアセンサ部21)が活性化温度になったか否かを判定しており、肯定判定するとS140に移行し、否定判定すると同ステップを繰り返し実行することで待機する。
S130で肯定判定されてS140に移行すると、第1ポンピング電流Ip1、第2ポンピング電流Ip2およびアンモニア起電力EMFの測定を行う。
次のS150では、酸素濃度の演算を行う。具体的には、酸素濃度の演算は、S140で測定した第1ポンピング電流Ip1およびROM63に記憶された関係式(第1ポンピング電流Ip1と酸素濃度との関係式(詳細には、「第1ポンピング電流(Ip1)−酸素濃度関係式」63a))を用いて実行される。このとき得られた酸素濃度を、「O濃度(今回)」として記憶する。
次のS160では、CPU61での演算に用いられる内部変数の1つである「O濃度(前回)」に値が記憶されているか否かを判定しており、肯定判定するとS190に移行し、否定判定するとS170に移行する。
なお、「O濃度(前回)」は、後述するS180またはS250で値が記憶される内部変数である。つまり、S160では、S180での「O濃度(前回)」への値の記憶処理が実行されたか否かを判定している。このため、ガス濃度演算処理の起動後、S160の初回実行時は、否定判定され、S160の2回目以降の実行時は、肯定判定される。
S160で否定判定されてS170に移行すると、S170では、「NH濃度(今回)」、「NO濃度(今回)」、「NO濃度(今回)」の演算を行う。
詳細には、上述した「アンモニア濃度出力(起電力EMF)−アンモニア濃度関係式」63bを用いて、被測定ガス中の酸素濃度の影響を受けない正確なアンモニア濃度(特許請求の範囲の「修正アンモニア濃度」)を演算し、この修正アンモニア濃度を「NH濃度(今回)」の値として記憶する。このとき演算される修正アンモニア濃度は、酸素濃度の影響が除去されたアンモニア濃度を表している。
また、S170では、上述した「第2ポンピング電流(Ip2)−NO濃度関係式」63c、「負のアンモニア濃度出力−NO2濃度関係式」63d、「寄与第2ポンピング電流−NO濃度,NO2濃度関係式」63e、「アンモニア濃度出力−アンモニア濃度関係式」63f、S140で測定した第2ポンピング電流Ip2など、を用いて、NO濃度およびNO濃度の演算を行い、それぞれを「NO濃度(今回)」、「NO濃度(今回)」の値として記憶する。なお、NO濃度、NO2濃度を演算するための公知の手法は、例えば、特開2011−075546号公報に記載されているため、ここでの詳細説明は省略する。
次のS180では、「NH濃度(今回)」の値を「NH濃度(基準)」の値として記憶し、「NO濃度(今回)」の値を「NO濃度(基準)」の値として記憶し、「NO濃度(今回)」の値を「NO濃度(基準)」の値として記憶し、「O濃度(今回)」の値を「O濃度(前回)」の値として記憶する処理を実行する。
なお、「NH濃度(基準)」は、過去に演算した修正アンモニア濃度であって、酸素濃度および酸素濃度変化率に基づき定められる修正許可条件を満たした際に演算した修正アンモニア濃度のうち最新の値を記憶するための内部変数である。また、「NO濃度(基準)」は、過去に演算したNO濃度であって、修正許可条件を満たした際に演算したNO濃度のうち最新の値を記憶するための内部変数である。さらに、「NO濃度(基準)」は、過去に演算したNO濃度であって、修正許可条件を満たした際に演算したNO濃度のうち最新の値を記憶するための内部変数である。
他方、S160で肯定判定されてS190に移行すると、S190では、「O濃度(今回)」および「O濃度(前回)」を用いて、酸素濃度変化率RAの演算を行う。具体的には、[数1]を用いて、「O濃度(前回)」を「O濃度(今回)」で除算した値を酸素濃度変化率RAとして演算する。
次のS200では、酸素濃度によりアンモニア濃度を修正する際の修正許可条件が満たされたか否かを判定しており、肯定判定するとS170に移行し、否定判定するとS210に移行する。
具体的には、「O濃度(今回)」が予め定められた基準濃度(本実施形態では、4%)を超え、かつ、酸素濃度変化率が予め定められた基準判定値(本実施形態では、1.5)未満の場合に、修正許可条件が満たされたと判定する(肯定判定)。なお、「O濃度(今回)」が基準濃度(本実施形態では、4%)以下である場合、あるいは、酸素濃度変化率が基準判定値(本実施形態では、1.5)以上である場合に、修正許可条件が満たされていない判定する(否定判定)。
なお、酸素濃度の修正許可条件である基準濃度は、例えば、修正アンモニア濃度を演算する際にアンモニア濃度の検出誤差が許容範囲となる酸素濃度の数値範囲が予め設定されている。また、酸素濃度変化率の修正許可条件である基準判定値は、例えば、修正アンモニア濃度を演算する際にアンモニア濃度の検出誤差が許容範囲となる酸素濃度変化率の数値範囲が予め設定されている。
S200で否定判定されてS210に移行すると、S210では、「NH濃度(今回)」の値として「NH濃度(基準)」の値を演算(代入)し、「NO濃度(今回)」の値として「NO濃度(基準)」の値を演算(代入)し、「NO濃度(今回)」の値として「NO濃度(基準)」の値を演算(代入)する処理を実行する。
次のS220では、タイマー処理を起動して、タイマーカウントをスタートする。
次のS230では、S220でのタイマーカウントのスタートを基点として、予め定められた停止期間が経過したか否かを判定しており、肯定判定するとS240に移行し、否定判定すると同ステップを繰り返し実行することで待機する。なお、本実施形態では、停止期間として5.0[sec]が設定されている。
S230で肯定判定されてS240に移行すると、S240では、タイマー処理を停止して、タイマーカウントをリセットする。
次のS250では、「O濃度(今回)」の値を「O濃度(前回)」の値として記憶する処理を実行する。
S180またはS250の処理が完了すると、再びS140に移行する。
このようにしてガス濃度演算処理を実行するCPU61は、「NH濃度(今回)」、「NH濃度(基準)」、「NO濃度(今回)」、「NO濃度(基準)」、「NO濃度(今回)」、「NO濃度(基準)」、「O濃度(今回)」、「O濃度(前回)」の各値を更新する。なお、ガス濃度演算処理は、内燃機関が停止されることで処理を終了する。
また、CPU61において別途実行される濃度出力処理では、「NH濃度(今回)」の値をアンモニア濃度として、「NO濃度(今回)」の値をNO濃度として、「NO濃度(今回)」の値をNO濃度として、それぞれECU200に出力する処理を実行する。なお、濃度出力処理は、所定周期毎に繰り返し実行される。
[1−7.測定試験]
次に、マルチガスセンサ制御装置1を用いて、アンモニア濃度を測定した測定試験の測定結果について説明する。
本測定試験では、被測定ガスとして、アンモニア濃度を一定濃度に制御しつつ、酸素濃度を変化させた試料ガスを用いた。また、比較例として、修正許可条件を用いた修正を行わない場合に演算されるアンモニア濃度についても測定した。
図7に、試験結果を示す。なお、図7では、5つの波形を示しており、上側から順に、試料ガスにおける酸素濃度を示す波形(O2濃度[%])、酸素濃度変化率を示す波形(O2濃度変化率)、NH3センサ出力(アンモニア起電力EMF)を示す波形(NH3センサ出力EMF[mV])、修正許可条件を用いた修正を行わない場合に演算されるアンモニア濃度(NH3濃度(修正なし))を示す波形(NH3濃度[ppm])、本実施形態のマルチガスセンサ制御装置1を用いて演算されるアンモニア濃度(NH3濃度(修正あり))を示す波形(修正ありNH3濃度[ppm])、を示している。
また、NH3濃度(修正なし)およびNH3濃度(修正あり)を示す波形では、アンモニア分析計により測定したアンモニア濃度も併記している。
この測定結果によれば、本実施形態のアンモニア濃度(NH3濃度(修正あり))は、比較例のアンモニア濃度(NH3濃度(修正なし))に比べて、アンモニア分析計により測定したアンモニア濃度に近い波形を示している。
とりわけ、経過時間が350secから550secの期間においては、酸素濃度が急峻に変化している回数が多く、酸素濃度変化率が大きく変動している回数も多いため、比較例のアンモニア濃度(NH3濃度(修正なし))では、この酸素濃度の急峻な変化の影響を受けて、瞬時的に値が変化している箇所が多く見られる。これに対して、本実施形態のアンモニア濃度(NH3濃度(修正あり))は、経過時間が350secから550secの期間において、瞬時的に値が変化している箇所は、比較例のアンモニア濃度(NH3濃度(修正なし))に比べて、少なくなっている。
つまり、本実施形態のマルチガスセンサ制御装置1を用いることで、酸素濃度の急峻な変化の影響を抑制しつつ、アンモニア濃度の測定が可能となり、アンモニア濃度の検出精度の低下を抑制できる。
[1−8.効果]
以上説明したように、本実施形態のマルチガスセンサ制御装置1は、NOxセンサ部11とアンモニアセンサ部21とを備えるマルチガスセンサ2を制御する制御装置であり、マイクロコンピュータ60のCPU61がガス濃度演算処理を実行することで、被測定ガスにおけるアンモニア濃度、NO濃度、NO濃度の演算を行う。
このうち、アンモニア濃度に関しては、「アンモニア濃度出力(起電力EMF)−アンモニア濃度関係式」63bを用いて、被測定ガス中の酸素濃度の影響を受けない正確なアンモニア濃度(修正アンモニア濃度)を演算している。
また、ガス濃度演算処理では、修正許可条件を満たすか否か(S200)によって、最新の修正アンモニア濃度を「NH濃度(今回)」の値として演算するか(S170)、「NH濃度(基準)」の値を「NH濃度(今回)」の値として演算(代入)するか(S210)、を切り替えている。
なお、酸素濃度の修正許可条件は、例えば、修正アンモニア濃度を演算する際にアンモニア濃度の検出誤差が許容範囲となる酸素濃度の数値範囲が予め設定されている。また、酸素濃度変化率の修正許可条件は、例えば、修正アンモニア濃度を演算する際にアンモニア濃度の検出誤差が許容範囲となる酸素濃度変化率の数値範囲が予め設定されている。
つまり、酸素濃度および酸素濃度変化率に基づき定められる修正許可条件を満たす場合には、修正アンモニア濃度におけるアンモニア濃度の検出誤差が許容範囲となるため、修正アンモニア濃度を「NH濃度(今回)」(アンモニア濃度の検出結果)に設定した場合に、アンモニア濃度の検出精度が低下することはない。
他方、酸素濃度および酸素濃度変化率のうち少なくとも一方が、修正許可条件を満たさない場合には、修正アンモニア濃度におけるアンモニア濃度の検出誤差が許容範囲を越えるため、その修正アンモニア濃度を「NH濃度(今回)」に設定した場合に、アンモニア濃度の検出精度が低下する。このような修正アンモニア濃度に代えて、「NH濃度(基準)」(酸素濃度および酸素濃度変化率の両者が修正許可条件を満たした際に演算した過去の修正アンモニア濃度のうち最新の値)を「NH濃度(今回)」に設定することで、アンモニア濃度の検出精度の低下を抑制することができる。
つまり、実際のアンモニア濃度は大きく変化しておらず、かつ酸素濃度が変化した場合には、「NH濃度(基準)」は、実際のアンモニア濃度に近い値であると考えられる。このため、「NH濃度(基準)」を「NH濃度(今回)」に設定することで、アンモニア濃度の検出精度の低下を抑制することができる。
よって、このマルチガスセンサ制御装置1によれば、被測定ガス中の窒素酸化物濃度及びアンモニア濃度を検出するマルチガスセンサ2を用いるにあたり、アンモニア濃度の検出精度の低下を抑制できる。
次に、マルチガスセンサ制御装置1においては、ガス濃度演算処理のS200において、酸素濃度(「O濃度(今回)」)が基準濃度を超え、かつ、酸素濃度変化率が基準判定値(本実施形態では、1.5)未満の場合に、修正許可条件が満たされたと判定(S200で肯定判定)する。他方、ガス濃度演算処理のS200において、酸素濃度変化率が基準判定値以上である場合、または、酸素濃度が予め定められた基準濃度以下である場合に、修正許可条件を満たさないと判定(S200で否定判定)している。
つまり、酸素濃度の変化が急峻になるに従い、酸素濃度変化率は大きくなるため、酸素濃度変化率が基準判定値以上である場合には、酸素濃度が急峻に変化したと判断でき、修正許可条件を満たさないと判定できる。なお、酸素濃度変化率の基準判定値は、例えば、修正アンモニア濃度を演算する際に、アンモニア濃度の検出誤差が許容範囲(±5%、好ましくは±3%)となる酸素濃度変化率と、アンモニア濃度の検出誤差が許容範囲を逸脱する酸素濃度変化率と、の境界値が予め設定されている。
また、酸素濃度が極めて低くなると、修正アンモニア濃度の誤差が大きくなる傾向があるため、酸素濃度が基準濃度以下である場合には、修正アンモニア濃度の誤差が大きいと判断でき、修正許可条件を満たさないと判定できる。なお、酸素濃度の基準濃度は、例えば、修正アンモニア濃度を演算する際に、アンモニア濃度の検出誤差が許容範囲となる酸素濃度と、アンモニア濃度の検出誤差が許容範囲を逸脱する酸素濃度と、の境界値が予め設定されている。
つまり、このマルチガスセンサ制御装置1では、酸素濃度変化率が基準判定値以上である場合、または、酸素濃度が基準濃度以下である場合に、修正許可条件を満たさないと判定して、「NH濃度(基準)」を「NH濃度(今回)」に設定する。
よって、マルチガスセンサ制御装置1によれば、酸素濃度変化率が基準判定値以上である場合、または、酸素濃度が基準濃度以下である場合に、修正許可条件を満たさないと判定することで、アンモニア濃度の検出精度の低下を抑制できる。
次に、マルチガスセンサ制御装置1においては、ガス濃度演算処理のS200において、修正許可条件を満たさないと判定されてから(S200で否定判定)、予め定められた停止期間が経過するまでは、修正許可条件を満たさないと判定している。詳細には、S200で否定判定されてから、停止期間が経過するまでは、「NH濃度(今回)」の更新を停止することで、「NH濃度(基準)」が「NH濃度(今回)」に設定された状態を維持する。
つまり、酸素濃度および酸素濃度変化率のうち少なくとも一方が修正許可条件を満たさないと判定された場合、その後の一定期間は酸素濃度の影響が残り、修正アンモニア濃度に誤差が生じる可能性が高い。
そこで、酸素濃度および酸素濃度変化率のうち少なくとも一方が修正許可条件を満たさないと判定されてから停止期間が経過するまでは、修正許可条件を満たさないと判定して、「NH濃度(基準)」が「NH濃度(今回)」に設定された状態を維持する。
これにより、誤差が生じている可能性の高い修正アンモニア濃度を「NH濃度(今回)」に設定することを回避できる。よって、このマルチガスセンサ制御装置1によれば、より一層、アンモニア濃度の検出精度の低下を抑制できる。
次に、マルチガスセンサ制御装置1においては、ガス濃度演算処理のS190において、前回演算した酸素濃度を今回演算した酸素濃度で除算した値を酸素濃度変化率として演算している。
つまり、酸素濃度変化率を演算するにあたり、「O濃度(前回)」(前回演算した酸素濃度)を「O濃度(今回)」(今回演算した酸素濃度)で除算した値を酸素濃度変化率として演算することで、酸素濃度が低下したときに、酸素濃度変化率が大きな値となる。このため、酸素濃度のわずかな変化に対して酸素濃度変化率が大きく変化するため、酸素濃度変化率が変動したか否かの判定が容易となる。
よって、マルチガスセンサ制御装置1によれば、酸素濃度変化率に基づく判定精度を向上でき、より一層、アンモニア濃度の検出精度の低下を抑制できる。
[1−9.特許請求の範囲との対応関係]
ここで、特許請求の範囲と本実施形態とにおける文言の対応関係について説明する。
第1ポンピングセル12が第1ポンピングセルの一例に相当し、第2ポンピングセル18が第2ポンピングセルの一例に相当し、NOxセンサ部11がNOxセンサ部の一例に相当し、アンモニアセンサ部21がアンモニアセンサ部の一例に相当し、マルチガスセンサ2がマルチガスセンサの一例に相当し、マルチガスセンサ制御装置1がセンサ制御装置の一例に相当する。
ガス濃度演算処理のS150が酸素濃度演算ステップの一例に相当し、ガス濃度演算処理のS170が修正濃度演算ステップの一例に相当し、ガス濃度演算処理のS190が酸素濃度変化率演算ステップの一例に相当し、ガス濃度演算処理のS200、S180,S210,S220,S230,S240がアンモニア濃度設定ステップの一例に相当する。
ガス濃度演算処理のS150を実行するマイクロコンピュータ60が酸素濃度演算部の一例に相当し、ガス濃度演算処理のS170を実行するマイクロコンピュータ60が修正濃度演算部の一例に相当し、ガス濃度演算処理のS190を実行するマイクロコンピュータ60が酸素濃度変化率演算部の一例に相当する。ガス濃度演算処理のS200、S180,S210,S220,S230,S240を実行するマイクロコンピュータ60がアンモニア濃度設定部の一例に相当する。
[2.変形形態1]
次に、本発明の変形形態1について説明する。なお、変形形態1のマルチガスセンサ制御装置201は、第1実施形態のマルチガスセンサ制御装置1のうち、センサ素子部10の構成(特に、アンモニアセンサ部21の構成)が異なり、さらに、アンモニアセンサ部21の構成の違いに起因する制御部3、及びマイクロコンピュータ60のROM63に格納されるデータが異なるものである。
以下の、変形形態1のマルチガスセンサ制御装置201の説明では、第1実施形態のマルチガスセンサ制御装置1と異なる点について説明し、第1実施形態のマルチガスセンサ制御装置1と同じ点については、第1実施形態と同符号を用いて説明するか、説明を省略する。
[2−1.センサ素子部]
図8は、変形形態1のマルチガスセンサ制御装置201のセンサ素子部10の長手方向に沿う模式的な断面図のみを表示している。
センサ素子部10には、NOxセンサ部11と、第1アンモニアセンサ部221、第2アンモニアセンサ部222と、が主に設けられている。変形形態1のNOxセンサ部11は、第1実施形態と同様の構成であるため、説明を省略する。
第1アンモニアセンサ部221および第2アンモニアセンサ部222は、NOxセンサ部11の長手方向(図8の左右方向)における基準電極16cと略同位置において、NOxセンサ部11の幅方向(図8の奥行き方向)の位置が互いに異なるように並列に配置されている。
図9は、第1アンモニアセンサ部221および第2アンモニアセンサ部222の構成を表す断面図である。なお、図9における左右方向が、NOxセンサ部11の幅方向に相当する。
第1アンモニアセンサ部221および第2アンモニアセンサ部222は、図8、図9に示すように、NOxセンサ部11の外表面、より具体的には、絶縁層10eの上に形成されている。第1アンモニアセンサ部221は、絶縁層10eの上に第1基準電極221aが形成され、第1基準電極221aの上面及び側面を覆って第1固体電解質体221bが形成されている。さらに、第1固体電解質体221bの表面に第1検知電極221cが形成されている。そして、第1基準電極221aおよび第1検知電極221cの間の起電力変化によって被測定ガス中のアンモニア濃度を検出するようになっている。
同様に、第2アンモニアセンサ部222は、絶縁層10eの上に第2基準電極222aが形成され、第2基準電極222aの上面及び側面を覆って第2固体電解質体222bが形成されている。さらに、第2固体電解質体222bの表面に第2検知電極222cが形成されている。
第1検知電極221cおよび第2検知電極222cとしては、Auを主成分(例えば70質量%以上)含有する材料から形成することができる。第1基準電極221aおよび第2基準電極222aとしては、Pt単体であるか、Ptを主成分(例えば70質量%以上)含有する材料から形成することができる。第1固体電解質体221b、第2固体電解質体222bは、例えば部分安定化ジルコニア(YSZ)で構成されている。
また、多孔質からなる拡散層24(保護層24)が第1検知電極221c、第1固体電解質体221b、第2検知電極222c、及び第2固体電解質体222bを完全に覆うように形成され、外部から第1アンモニアセンサ部221および第2アンモニアセンサ部222に流入する被測定ガスの拡散速度を調整可能に構成されている。
拡散層24としては、第1実施形態と同様に、例えばアルミナ、スピネル(MgAl)、シリカアルミナ、及びムライトの群から選ばれる少なくとも1種が例示される。
[2−2.制御部]
マルチガスセンサ制御装置201の制御部3の制御回路50は、基準電圧比較回路51と、Ip1ドライブ回路52と、Vs検出回路53と、Icp供給回路54と、Ip2検出回路55と、Vp2印加回路56と、ヒータ駆動回路57と、第1起電力検出回路58aと、第2起電力検出回路58bを主に備えて構成されている。変形形態の制御回路50のうち、基準電圧比較回路51と、Ip1ドライブ回路52と、Vs検出回路53と、Icp供給回路54と、Ip2検出回路55と、Vp2印加回路56と、ヒータ駆動回路57は、第1実施形態と同様の構成であるため、説明を省略する。
第1起電力検出回路58aは、第1アンモニアセンサ部221における第1検知電極221c、第1基準電極221aに電気的に接続されている。第2起電力検出回路58bは、第2アンモニアセンサ部222における第2検知電極222c、第2基準電極222aに電気的に接続されている。第1起電力検出回路58aは、第1検知電極221cおよび第1基準電極221aの間の起電力である、第1アンモニア起電力EMFを検出してマイクロコンピュータ60に出力している。また、第2起電力検出回路58bは、第2検知電極222cおよび第2基準電極222aの間の起電力である、第2アンモニア起電力EMFを検出してマイクロコンピュータ60に出力している。
[2−3.マイクロコンピュータ]
マイクロコンピュータ60のROM63には、以下に説明する各種のデータ(関係式)が格納されている。CPU61は、ROM63から当該各種データを読み込み、第1ポンピング電流Ip1の値、第2ポンピング電流Ip2の値、第1アンモニア起電力および第2アンモニア起電力から種々の演算処理を行う。
ROM63には、「第1アンモニア濃度出力(起電力EMF)−第1アンモニア濃度関係式」、「第2アンモニア濃度出力(起電力EMF)−第2アンモニア濃度関係式」、「第1ポンピング電流(Ip1)−酸素濃度関係式」、「第2ポンピング電流(Ip2)−NOx濃度関係式」、「第1アンモニア濃度&第2アンモニア濃度&酸素濃度−修正アンモニア濃度関係式」(補正式(1):下記参照)、「第1アンモニア濃度&第2アンモニア濃度&酸素濃度出カ−修正NO濃度関係式」(補正式(2))、「NOx濃度&修正アンモニア濃度&修正NO濃度−修正NO濃度関係式」(補正式(3))が格納されている。
なお、各種データは、上述のように所定の関係式として設定されていてもよいし、センサの出力から各種ガス濃度を算出するものであればよく、例えばテーブルとして設定されていてもよい。その他にも、予めガス濃度が既知のガスモデルを用いて得られた値(関係式やテーブルなど)とされていてもよい。
「第1アンモニア濃度出カ−第1アンモニア濃度関係式」及び「第2アンモニア濃度出カ−第2アンモニア濃度関係式」は、第1アンモニアセンサ部221および第2アンモニアセンサ部222から出力されたアンモニア濃度出力と、被測定ガス中のアンモニア濃度との関係を表す式である。
「第1ポンピング電流−酸素濃度関係式」は、第1ポンピング電流と、被測定ガス中の酸素濃度との関係を表す式である。また、「第2ポンピング電流−NOx濃度関係式」は、第2ポンピング電流と、被測定ガス中のNOx濃度との関係を表す式である。
「第1アンモニア濃度&第2アンモニア濃度&酸素濃度−修正アンモニア濃度関係式」は、酸素濃度及びNO濃度の影響を受けたアンモニア濃度(第1、第2)と、酸素濃度及びNO濃度の影響を除去した修正アンモニア濃度出力の関係を表す式である。また、「第1アンモニア濃度&第2アンモニア濃度&酸素濃度−修正NO濃度関係式」は、酸素濃度及びアンモニア濃度の影響を受けたNO濃度と、酸素濃度及びアンモニア濃度の影響を除去した修正NO濃度出力の関係を表す式である。さらに、「NOx濃度&修正アンモニア濃度&修正NO濃度−修正NO濃度関係式」は、アンモニア濃度及びNO濃度の影響を受けたNOx濃度と、アンモニア濃度及びNO濃度の影響を除去、修正した正確な修正NO濃度の関係を表す式である。
次に、マイクロコンピュータ60のCPU61において実行される、第1ポンピング電流Ip1、第2ポンピング電流Ip2、第1アンモニア濃度出力および第2アンモニア濃度出力から、修正NO濃度、修正NO濃度および修正アンモニア濃度を求める演算処理について説明する。
CPU61は、第1ポンピング電流Ip1、第2ポンピング電流Ip2、第1アンモニア濃度出力および第2アンモニア濃度出力が入力されると、酸素濃度、NOx濃度、第1アンモニア濃度および第2アンモニア濃度、を求める演算処理を行う。具体的には、ROM63から「第1アンモニア濃度出カ−第1アンモニア濃度関係式」、「第2アンモニア濃度出カ−第2アンモニア濃度関係式」、「第1ポンピング電流Ip1−酸素濃度関係式」、「第2ポンピング電流Ip2−NOx濃度関係式」を呼び出し、当該関係式を用いて各濃度出力を算出する処理を行う。そして、酸素濃度、NOx濃度、第1アンモニア濃度および第2アンモニア濃度が求められると、CPU61は、以下に説明する補正式を用いた演算を行うことで、修正アンモニア濃度、修正NO濃度、及び修正NO濃度を求める。
補正式(1):x=F(A、B、D)
=(eA−c)*(jB−h−fA+d)/(eA−c−iB+g)+fA−d
補正式(2):y=F’(A、B、D)
=(jB−h−fA+d)/(eA−c−iB+g)
補正式(3):z=C−ax+by
ここで、xは修正アンモニア濃度であり、は修正NO濃度であり、zは修正NO濃度である。また、Aは第1アンモニア濃度であり、Bは第2アンモニア濃度であり、CはNOx濃度であり、Dは酸素濃度である。そして、補正式(1)、(2)のF及びF’は、xが(A,B、D)の関数であることを表す。さらに、a、bは補正係数、c、d、e、f、g、h、i、jは酸素濃度Dを用いて計算される係数である(Dによって決まる係数)。
上述の補正式(1)〜(3)に、第1アンモニア濃度、第2アンモニア濃度、NOx濃度および酸素濃度を各代入して演算することによって、被測定ガスの修正アンモニア濃度、修正NO濃度、及び修正NO濃度を求める。
なお、補正式(1)及び(2)は、第1アンモニアセンサ部221、第2アンモニアセンサ部222の特性に基づいて定まる式であり、補正式(3)はNOxセンサ部11の特性に基づいて定まる式である。そして、補正式(1)〜(3)は、あくまでも補正式の一例を示したものであり、ガス検知特性に応じて、他の補正式や、係数等を適宜変更しても良い。
[2−4.効果]
変形形態1のマルチガスセンサ制御装置201によれば、マルチガスセンサ制御装置1と同様に、被測定ガス中の窒素酸化物濃度及びアンモニア濃度を検出するマルチガスセンサを用いるにあたり、アンモニア濃度の検出精度の低下を抑制できる。
[3.変形形態2]
次に、本発明の変形形態2について説明する。なお、変形形態2のマルチガスセンサ制御装置は、第1実施形態のマルチガスセンサ制御装置1のうち、ガス濃度演算処理が異なるものである。以下の、変形形態2のマルチガスセンサ制御装置の説明では、第1実施形態のマルチガスセンサ制御装置1と異なる点について説明し、第1実施形態のマルチガスセンサ制御装置1と同じ点については、第1実施形態と同符号を用いて説明するか、説明を省略する。
図10は、ガス濃度演算処理の処理内容を表すフローチャートである。なお、S110からS170、S190からS200、及びS220からS240までは、第1実施形態と同様の構成であるため、説明を省略する。
変形形態2のガス濃度演算処理は、S180では、「NH濃度(今回)」の値を「NH濃度(前回)」の値として記憶し、「NO濃度(今回)」の値を「NO濃度(前回)」の値として記憶し、「NO濃度(今回)」の値を「NO濃度(前回)」の値として記憶し、「0濃度(今回)」の値を「0濃度(前回)」の値として記憶する処理を実行する。
また、変形形態2のガス濃度演算処理は、S200で否定判定されてS210に移行すると、S210では、「NH濃度(今回)」の値として「NH濃度(前回)」の値を演算(代入)し、「NO濃度(今回)」の値として「NO濃度(前回)」の値を演算(代入)し、「NO濃度(今回)」の値として「NO濃度(前回)」の値を演算(代入)する処理を実行する。
また、変形形態2のガス濃度演算処理は、S240では、タイマー処理を停止して、タイマーカウントをリセットしたら、S180に移行する。
このように構成された変形形態2のマルチガスセンサ制御装置は、修正許可条件を満たす場合(S200で肯定判定)には、今回の修正アンモニア濃度を今回のアンモニア濃度の検出結果(NH濃度(今回))に設定する(S170)。また、マルチガスセンサ制御装置は、修正許可条件を満たさない場合(S200で否定判定)には、前回の検出結果に設定したアンモニア濃度(NH濃度(前回))を今回のアンモニア濃度の検出結果(NH濃度(今回))に設定する(S210)。
つまり、アンモニア濃度の検出結果(NH濃度(今回))に設定された数値は、修正許可条件を満たした際に演算した修正アンモニア濃度であるため、前回の検出結果に設定されたアンモニア濃度(NH濃度(前回))についても、修正許可条件を満たした際に演算した修正アンモニア濃度である。そして、前回の検出結果に設定したアンモニア濃度(NH濃度(前回))は、修正許可条件を満たした際に演算した過去の修正アンモニア濃度のうち、最新の修正アンモニア濃度であるため、実際のアンモニア濃度に近い値である。
このため、上述のように、前回の検出結果に設定したアンモニア濃度(NH濃度(前回))を今回のアンモニア濃度の検出結果(NH濃度(今回))に設定することで、アンモニア濃度の検出精度の低下を抑制することができる。
よって、変形形態2のマルチガスセンサ制御装置によれば、マルチガスセンサ制御装置1と同様に、被測定ガス中の窒素酸化物濃度及びアンモニア濃度を検出するマルチガスセンサを用いるにあたり、アンモニア濃度の検出精度の低下を抑制できる。
[4.変形形態3]
次に、本発明の変形形態3について説明する。なお、変形形態3のセンサ制御装置301は、第1実施形態のマルチガスセンサ制御装置1と比べて、マルチガスセンサ2に代えて、分離型センサ540を備えている点が異なっている。分離型センサ540は、NOxセンサ541およびアンモニアセンサ542が個別に備えられており、NOxセンサ541およびアンモニアセンサ542のそれぞれを分離して個別に配置することができる。
以下の、変形形態3のセンサ制御装置301の説明では、第1実施形態のマルチガスセンサ制御装置1と異なる点について説明し、第1実施形態のマルチガスセンサ制御装置1と同じ点については、第1実施形態と同符号を用いて説明するか、説明を省略する。
[4−1.センサ制御装置]
図11は、変形形態3のセンサ制御装置301の構成を説明するブロック図である。
センサ制御装置301は、分離型センサ540(NOxセンサ541、アンモニアセンサ542)と、センサを制御すると共にセンサ出力を演算処理することにより、NO、NOおよびアンモニアの濃度を演算する制御部3(演算部3)と、を備えている。
分離型センサ540(NOxセンサ541およびアンモニアセンサ542)は、車両の内燃機関であるエンジン500(ディーゼルエンジン500)の排気管502(排気経路502)に設けられている。
制御部3は、第1実施形態の制御部3と同様であるため、説明を省略する。
[4−2.排気浄化装置]
エンジン500の排気管502の途中には、エンジン500から排出される排気ガスを浄化するための排気浄化装置550が取付けられている。排気浄化装置550は、上流側排気浄化装置510(「DPF装置510」ともいう)と、下流側排気浄化装置520(「SCR装置520」ともいう)と、尿素水添加ノズル531と、を有している。上流側排気浄化装置510は、排気管502において、下流側排気浄化装置520の上流側に配置されている。尿素水添加ノズル531は、上流側排気浄化装置510と下流側排気浄化装置520との間に設けられている。
DPF装置510は、上流側から順に、酸化触媒512(Diesel Oxidation Catalyst、以下、「DOC512」)と、パティキュレートフィルタ514(Diesel Particulate Filter、以下、「DPF514」)とを、排気管502の筒状のケーシング内に配置して構成されている。DPF514は、粒子状物質(PM)を捕集する例えば多孔質のフィルタ(例えば、セラミックフィルタ)を備えている。DOC512は、金属,セラミックス等からなるハニカム状の担体に、NOをNOに酸化する触媒物質を担持してなる。そして、DOC512が排気ガス中のNOをNOに酸化し、このNOを利用してDPF514で捕集したPMを酸化して燃焼除去することで、DPF514を連続再生することができる。なお、DPF514の再生制御は、ECU200によって行われる。
SCR装置520は、上流側から順に、選択還元型触媒522(Selective Catalytic Reduction、以下、「SCR522」)と、後段酸化触媒524(Clean Up Catalyst、以下、「CUC524」と略称する)とを、排気管502の筒状のケーシング内に配置して構成されている。SCR装置520は、上流側から供給されるアンモニアを還元剤として排気ガス中のNOxをNへ還元する触媒であり、例えばゼオライト系,バナジウム系等の触媒を用いることができる。CUC524は、SCR522で反応しなかったアンモニアを除去する酸化触媒である。
尿素水添加ノズル531は、尿素水タンク535内の尿素水を添加装置533により、SCR522の上流側で排気ガス中に噴射する。SCR522の上流で排気ガス中に噴射された尿素水は、加水分解されてアンモニアとなり、SCR522で還元剤として作用する。尿素水の添加の制御は、ECU200によって行われる。
ECU200は、SCR522を通過した後の排気ガス中のNO、NOおよびアンモニアの濃度を制御部3から受信すると共に、エンジンの各種制御や、DOC512の劣化判定や、DPF514の再生制御や、尿素水の添加制御などを行う。なお、ECU200は、CPU(中央制御装置)、RAM,ROM等を備えたマイクロコンピュータと、所定のアナログ回路とから構成された電子制御ユニット(ECU)とを備えており、ROMに格納されたコンピュータプログラムをCPUが実行することで、各種処理を行う。
排気経路502は、DOC512、DPF514、SCR522、CUC524で仕切られた複数の空間を備えて構成されている。DOC512、DPF514、SCR522、CUC524は、それぞれ排気ガスを透過可能に構成されている。
[4−3.NOxセンサおよびアンモニアセンサ]
排気経路502に備えられる複数の空間のうち、SCR522とCUC524との間の空間に、NOxセンサ541およびアンモニアセンサ542が配置されている。NOxセンサ541は、排気ガスの進行方向において、アンモニアセンサ542よりも上流側に配置されている。
分離型センサ540は、NOxセンサ541およびアンモニアセンサ542が排気経路502のうち同一空間に配置される構成であるため、同一の空間における被測定ガス中に含まれる窒素酸化物濃度(NO濃度、NO濃度)及びアンモニア濃度を検出することができる。
NOxセンサ541は、図示は省略するが、センサ素子部と、主体金具と、セパレータと、接続端子と、を主に備えている。NOxセンサ541のセンサ素子部は、第1実施形態におけるNOxセンサ部11と同等のセンサ部を有する板型状のセンサ素子部として形成されている。NOxセンサ541は、公知のNOxセンサを用いて構成することができ、公知のNOxセンサは、例えば、特開2011−164086号公報に記載されているため、ここでの詳細説明は省略する。
アンモニアセンサ542は、図示は省略するが、センサ素子部と、主体金具と、セパレータと、接続端子と、を主に備えている。アンモニアセンサ542のセンサ素子部は、第1実施形態におけるアンモニアセンサ部21と同等のセンサ部を有する板型状のセンサ素子部として形成されている。例えば、図3に示す各構成要素を用いることでアンモニアセンサ部を形成できる。アンモニアセンサ542は、公知のアンモニアセンサを用いて構成することができ、公知のアンモニアセンサは、例えば、特開2013−068607号公報に記載されているため、ここでの詳細説明は省略する。
NOxセンサ541のセンサ素子部およびアンモニアセンサ542のセンサ素子部は、第1実施形態のNOxセンサ部11およびアンモニアセンサ部21と同様に、それぞれ制御部3に接続されている。
センサ制御装置301の制御部3は、第1実施形態の制御部3と同様に、制御回路50と、マイクロコンピュータ60と、が設けられている。そして、制御部3は、NOxセンサ541およびアンモニアセンサ542を制御するとともに各センサの出力を演算処理することで、NO、NOおよびアンモニアの各濃度を演算する。
[4−4.効果]
以上説明したように、センサ制御装置301は、第1実施形態のマルチガスセンサ制御装置1と比べて、マルチガスセンサ2に代えて、分離型センサ540を備えている点で相違しているが、ガス濃度演算処理を実行することで、被測定ガスにおけるアンモニア濃度、NO濃度、NO濃度の演算を行う点で共通している。
分離型センサ540のうちNOxセンサ541およびアンモニアセンサ542は、排気経路502における複数の空間のうち同一空間に配置されており、NOxセンサ541は、排気ガスの進行方向において、アンモニアセンサ542よりも上流側に配置されている。このような分離型センサ540は、NOxセンサ541およびアンモニアセンサ542が排気経路502のうち同一空間に配置されるため、同一の空間における被測定ガス中(排気ガス中)に含まれる窒素酸化物濃度及びアンモニア濃度を検出することができる。
よって、センサ制御装置301は、NOxセンサ541およびアンモニアセンサ542を有する分離型センサ540を用いることで、第1実施形態のマルチガスセンサ制御装置1と同様に、同一の空間における被測定ガス中の窒素酸化物濃度及びアンモニア濃度を検出するにあたり、アンモニア濃度の検出精度の低下を抑制できる。
また、NOxセンサ541は、排気ガスの進行方向において、アンモニアセンサ542よりも上流側に配置されている。NOxセンサ541とアンモニアセンサ542との相対的な位置関係がこのように定められることで、酸素濃度の検出位置は、アンモニア濃度の検出位置に比べて、排気ガスの進行方向における上流側となる。この場合、修正アンモニア濃度を演算するにあたり、アンモニア濃度の検出位置よりも上流側で検出した酸素濃度を用いることができる。これにより、酸素濃度の検出時期がアンモニア濃度の検出時期よりも遅れることがなくなり、修正アンモニア濃度を精度良く演算できる。
よって、センサ制御装置301によれば、修正アンモニア濃度を精度良く演算できるため、アンモニア濃度の検出精度の低下を抑制できる。
また、ECU200は、SCR522を通過した後の排気ガス中のNO、NOおよびアンモニアの濃度を制御部3から受信すると共に、エンジンの各種制御や、DOC512の劣化判定や、DPF514の再生制御や、尿素水の添加制御などを行う。これにより、ECU200は、制御部3での検出結果(NO、NOおよびアンモニアの濃度)に基づいて排気ガスの状態を適切に判断できるとともに、エンジンの各種制御、DOC512の劣化判定、DPF514の再生制御、尿素水の添加制御などを適切に実行できる。
[4−5.特許請求の範囲との対応関係]
ここで、特許請求の範囲と本実施形態とにおける文言の対応関係について説明する。
分離型センサ540がセンサの一例に相当し、NOxセンサ541がNOxセンサ部の一例に相当し、アンモニアセンサ542がアンモニアセンサ部の一例に相当し、センサ制御装置301がセンサ制御装置の一例に相当する。排気管502(排気経路502)が排気経路の一例に相当し、酸化触媒512,パティキュレートフィルタ514,選択還元型触媒522,後段酸化触媒524が仕切部の一例に相当する。
[5.他の実施形態]
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、様々な態様にて実施することが可能である。
例えば、上記第1実施形態および変形形態2では、ガス濃度演算処理においてS220,S230,S240を実行することで、予め定められた停止期間が経過したか否かを判定する構成であるが、ガス濃度演算処理でのステップとしてS220,S230,S240を省略した構成であっても良い。
つまり、S200で否定判定されてから停止期間が経過するまで、修正アンモニア濃度の演算および「NH濃度(今回)」の更新を停止するのではなく、修正アンモニア濃度の演算および「NH濃度(今回)」の更新を継続して実行しても良い。これにより、修正アンモニア濃度の演算が繰り返し実行されるとともに、S200での判定結果に応じて「NH濃度(今回)」の更新が継続されることになり、アンモニア濃度の検出精度の低下を抑制できる。
また、上記第1実施形態及び変形形態2では、ガス濃度演算処理においてS160を実行し、S160で否定判定された場合にS170を実行していたが、ガス濃度演算処理でのステップとしてS150を実行した後、S170を実行し、その後S160を実行する構成であっても良い。
つまり、S150にて酸素濃度の演算を行った後、S170に移行し、まず「NH濃度(今回)」、「NO濃度(今回)」、「NO濃度(今回)」の演算を行う。その後、S160に移行し、CPU61での演算に用いられる内部変数の1つである「0濃度(前回)」に値が記憶されているか否かを判定してもよい。なお、このガス濃度演算処理では、S160で否定判定された場合、又はS200で肯定判定された場合には、S180に移行する。
また、上記第1実施形態及び変形形態2では、ガス濃度演算処理のS200における修正許可条件が、酸素濃度および酸素濃度変化率に基づき定められる構成であったが、このような構成に限られることはない。例えば、修正許可条件が酸素濃度変化率のみに基づいて定められていてもよい。具体的には、S200において、酸素濃度変化率が予め定められた基準判定値未満の場合に、修正許可条件が満たされたと判定し(肯定判定)、酸素濃度変化率が基準判定値以上である場合に、修正許可条件を満たさないと判定(否定判定)してもよい。
つまり、酸素濃度の変化が急峻になるに従い、酸素濃度変化率は大きくなるため、酸素濃度変化率が基準判定値以上である場合には、酸素濃度が急峻に変化したと判断でき、修正許可条件を満たさないと判定できる。よって、酸素濃度変化率のみに基づいて修正許可条件を定めても、修正アンモニア濃度を演算する際にアンモニア濃度の検出誤差が許容範囲であるか否かを判定することができる。
また、本発明のマルチガスセンサ制御装置が適用されるエンジンは、上述のディーゼルエンジンに限られることはなく、ガソリンエンジンにも適用することができ、特にエンジンの形式を限定するものではない。
次に、上記の変形形態3では、NOxセンサ541およびアンモニアセンサ542が個別に備えられる分離型センサ540を備える構成として、NOxセンサ541が、排気ガスの進行方向において、アンモニアセンサ542よりも上流側に配置されている構成について説明したが、このような構成に限られることはない。
例えば、図12に示す変形形態4のように、NOxセンサ541が、排気ガスの進行方向において、アンモニアセンサ542と同一位置に配置される構成であってもよい。なお、この場合でも、NOxセンサ541およびアンモニアセンサ542は、排気経路502のうち同一空間に配置されている。
NOxセンサ541とアンモニアセンサ542との相対的な位置関係がこのように定められることで、酸素濃度の検出位置は、アンモニア濃度の検出位置に比べて、排気ガスの進行方向における同一位置となる。この場合、修正アンモニア濃度を演算するにあたり、アンモニア濃度の検出位置と同一位置で検出した酸素濃度を用いることができる。これにより、酸素濃度の検出時期がアンモニア濃度の検出時期よりも遅れることがなくなり、修正アンモニア濃度を精度良く演算できる。
よって、このセンサ制御装置によれば、修正アンモニア濃度を精度良く演算できるため、アンモニア濃度の検出精度の低下を抑制できる。
1…マルチガスセンサ制御装置、2…マルチガスセンサ、3…制御部(演算部)、10…センサ素子部、11…NOxセンサ部、12…第1ポンピングセル、12a…第1固体電解質体、12b…内側第1ポンピング電極、12c…外側第1ポンピング電極、16…酸素濃度検出セル、16a…第3固体電解質体、16b…検知電極、16c…基準電極、18…第2ポンピングセル、18a…第2固体電解質体、18b…内側第2ポンピング電極、18c…第2ポンピング対電極、19…ヒータ、21…アンモニアセンサ部、21a…電極、21a1…検知電極、21a2…基準電極、60…マイクロコンピュータ、61…CPU、62…RAM、63…ROM、64…信号入出力部、301…センサ制御装置、540…分離型センサ、541…NOxセンサ、542…アンモニアセンサ。

Claims (16)

  1. 測定室に導入される被測定ガス中の酸素の汲み出し又は汲み入れを行う第1ポンピングセルと、該第1ポンピングセルにて酸素濃度が調整された被測定ガス中のNOx濃度に応じて第2ポンピング電流が流れる第2ポンピングセルと、を備えたNOxセンサ部と、
    前記NOxセンサ部の外表面に形成されて、前記被測定ガス中のアンモニア濃度に応じたアンモニア濃度信号を出力するアンモニアセンサ部と、
    を備えるセンサを制御するセンサ制御方法であって、
    前記第1ポンピングセルに流れる第1ポンピング電流に基づいて前記被測定ガス中の酸素濃度を演算する酸素濃度演算ステップと、
    前記酸素濃度と前記アンモニアセンサ部の前記アンモニア濃度信号とに基づき、修正アンモニア濃度を演算する修正濃度演算ステップと、
    時間経過に伴う前記酸素濃度の変化率である酸素濃度変化率を演算する酸素濃度変化率演算ステップと、
    予め定められた修正許可条件を満たす場合には、前記修正アンモニア濃度をアンモニア濃度の検出結果に設定し、前記修正許可条件を満たさない場合には、過去に演算した前記修正アンモニア濃度のうち、前記修正許可条件を満たした際に演算した前記修正アンモニア濃度をアンモニア濃度の検出結果に設定するアンモニア濃度設定ステップと、
    を有し、
    前記アンモニア濃度設定ステップでは、前記酸素濃度変化率が予め定められた基準判定値未満である場合に、前記修正許可条件を満たすと判定し、前記酸素濃度変化率が前記基準判定値以上である場合に、前記修正許可条件を満たさないと判定すること、
    を特徴とするセンサ制御方法。
  2. 前記アンモニア濃度設定ステップでは、前記修正許可条件を満たさない場合には、過去に演算した前記修正アンモニア濃度のうち、前記修正許可条件を満たした際に演算した最新の前記修正アンモニア濃度をアンモニア濃度の検出結果に設定すること、
    を特徴とする請求項1に記載のセンサ制御方法。
  3. 前記アンモニア濃度設定ステップでは、前記修正許可条件を満たさない場合には、前回の検出結果に設定したアンモニア濃度を今回のアンモニア濃度の検出結果に設定すること、
    を特徴とする請求項1に記載のセンサ制御方法。
  4. 前記アンモニア濃度設定ステップでは、前記酸素濃度変化率が前記基準判定値未満であり、かつ、前記酸素濃度が予め定められた基準濃度を超える場合に、前記修正許可条件を満たすと判定し、前記酸素濃度変化率が前記基準判定値以上であること、および前記酸素濃度が予め定められた基準濃度以下であること、のうち少なくとも一方が成立する場合に、前記修正許可条件を満たさないと判定すること、
    を特徴とする請求項1から請求項3のうちいずれか一項に記載のセンサ制御方法。
  5. 前記アンモニア濃度設定ステップでは、前記修正許可条件を満たさないと判定されてから、予め定められた停止期間が経過するまでは、前記修正許可条件を満たさないと判定すること、
    を特徴とする請求項1から請求項4のうちいずれか一項に記載のセンサ制御方法。
  6. 前記酸素濃度変化率演算ステップでは、前回演算した前記酸素濃度を今回演算した前記酸素濃度で除算した値を前記酸素濃度変化率として演算すること、
    を特徴とする請求項1から請求項5のうちいずれか一項に記載のセンサ制御方法。
  7. 前記センサは、前記NOxセンサ部と前記アンモニアセンサ部とを一体に備えるマルチガスセンサであること、
    を特徴とする請求項1から請求項6のうちいずれか一項に記載のセンサ制御方法。
  8. 前記センサは、前記NOxセンサ部と前記アンモニアセンサ部とが個別に備えられるとともに、内燃機関の排気経路に配置されており、
    前記排気経路は、排気ガスが透過可能な仕切部で仕切られた複数の空間を備えて構成されており、
    前記NOxセンサ部および前記アンモニアセンサ部は、前記複数の空間のうち同一空間に配置されること、
    を特徴とする請求項1から請求項6のうちいずれか一項に記載のセンサ制御方法。
  9. 前記NOxセンサ部は、前記排気ガスの進行方向において、前記アンモニアセンサ部と同一位置か、前記アンモニアセンサ部よりも上流側に配置されること、
    を特徴とする請求項8に記載のセンサ制御方法。
  10. 測定室に導入される被測定ガス中の酸素の汲み出し又は汲み入れを行う第1ポンピングセルと、該第1ポンピングセルにて酸素濃度が調整された被測定ガス中のNOx濃度に応じて第2ポンピング電流が流れる第2ポンピングセルと、を備えたNOxセンサ部と、
    前記NOxセンサ部の外表面に形成されて、前記被測定ガス中のアンモニア濃度に応じたアンモニア濃度信号を出力するアンモニアセンサ部と、
    を備えるセンサを制御するセンサ制御装置であって、
    前記第1ポンピングセルに流れる第1ポンピング電流に基づいて前記被測定ガス中の酸素濃度を演算する酸素濃度演算部と、
    前記酸素濃度と前記アンモニアセンサ部の前記アンモニア濃度信号とに基づき、修正アンモニア濃度を演算する修正濃度演算部と、
    時間経過に伴う前記酸素濃度の変化率である酸素濃度変化率を演算する酸素濃度変化率演算部と、
    予め定められた修正許可条件を満たす場合には、前記修正アンモニア濃度をアンモニア濃度の検出結果に設定し、前記修正許可条件を満たさない場合には、過去に演算した前記修正アンモニア濃度のうち、前記修正許可条件を満たした際に演算した前記修正アンモニア濃度をアンモニア濃度の検出結果に設定するアンモニア濃度設定部と、
    を有し、
    前記アンモニア濃度設定部は、前記酸素濃度変化率が予め定められた基準判定値未満である場合に、前記修正許可条件を満たすと判定し、前記酸素濃度変化率が前記基準判定値以上である場合に、前記修正許可条件を満たさないと判定すること、
    を特徴とするセンサ制御装置。
  11. 前記アンモニア濃度設定部は、前記修正許可条件を満たさない場合には、過去に演算した前記修正アンモニア濃度のうち、前記酸素濃度変化率が前記修正許可条件を満たした際に演算した最新の前記修正アンモニア濃度をアンモニア濃度の検出結果に設定すること、
    を特徴とする請求項10に記載のセンサ制御装置。
  12. 前記アンモニア濃度設定部は、前記修正許可条件を満たさない場合には、前回の検出結果に設定したアンモニア濃度を今回のアンモニア濃度の検出結果に設定すること、
    を特徴とする請求項10に記載のセンサ制御装置。
  13. 前記アンモニア濃度設定部は、前記酸素濃度変化率が前記基準判定値未満であり、かつ、前記酸素濃度が予め定められた基準濃度を超える場合に、前記修正許可条件を満たすと判定し、前記酸素濃度変化率が前記基準判定値以上であること、および前記酸素濃度が予め定められた基準濃度以下であること、のうち少なくとも一方が成立する場合に、前記修正許可条件を満たさないと判定すること、
    を特徴とする請求項10から請求項12のうちいずれか一項に記載のセンサ制御装置。
  14. 前記センサは、前記NOxセンサ部と前記アンモニアセンサ部とを一体に備えるマルチガスセンサであること、
    を特徴とする請求項10から請求項13のうちいずれか一項に記載のセンサ制御装置。
  15. 前記センサは、前記NOxセンサ部と前記アンモニアセンサ部とが個別に備えられるとともに、内燃機関の排気経路に配置されており、
    前記排気経路は、排気ガスが透過可能な仕切部で仕切られた複数の空間を備えて構成されており、
    前記NOxセンサ部および前記アンモニアセンサ部は、前記複数の空間のうち同一空間に配置されること、
    を特徴とする請求項10から請求項13のうちいずれか一項に記載のセンサ制御装置。
  16. 前記NOxセンサ部は、前記排気ガスの進行方向において、前記アンモニアセンサ部と同一位置か、前記アンモニアセンサ部よりも上流側に配置されること、
    を特徴とする請求項15に記載のセンサ制御装置。
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