JP6475109B2 - 平板状粒子とそれを含むハードコート層形成用組成物、フィルム、偏光板保護フィルム、偏光板及び液晶表示装置 - Google Patents

平板状粒子とそれを含むハードコート層形成用組成物、フィルム、偏光板保護フィルム、偏光板及び液晶表示装置 Download PDF

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Description

本発明は、偏光板保護フィルム等の光学フィルム用途に好適なフィルム、及びそれを与える平板状粒子とハードコート層形成用組成物、偏光板保護フィルム、偏光板及び液晶表示装置に関する。
液晶表示装置は、液晶テレビやパソコンの液晶ディスプレイ等の用途で、需要が拡大している。通常、液晶表示装置は、透明電極、液晶層、カラーフィルター等をガラス板で挟み込んだ液晶セルと、その両側に設けられた2枚の偏光板で構成されており、偏光板は偏光子と少なくとも1枚の偏光板保護フィルムを有する構成となっている。
近年の技術の進歩により、液晶表示装置の大型化が加速するとともに、液晶表示装置の用途が多様化し、様々な環境下での使用が想定されており、環境に応じた問題に対する対応が求められている。例えば、屋外で液晶表示装置を使用する場合、偏光子の吸湿による劣化が問題になっている。従って、偏光子表面を被覆する偏光板保護フィルムには、低透湿性化が重要な課題となっている。
低透湿性フィルムとしては、ポリメチルメタクリレート(PMMA)等のアクリル系樹脂から形成されたフィルム(アクリル系樹脂フィルム)が知られている。しかしながら、屋外使用を想定した場合の偏光板保護フィルムとしては、アクリル系樹脂フィルムの透湿性であっても充分ではなく、更なる低透湿化が求められている。
一方、樹脂に対して機能を付与する方法として、樹脂中に低分子物質や無機フィラ−等の添加剤を混合する方法がある。例えば、特許文献1及び2には、セルロースアシレートやポリカーボネートに9,9−ビス(モノ乃至トリヒドロキシフェニル)フルオレン類を添加することで、重合性組成物の屈折率を高くすることや、樹脂を可塑化することが記載されている。
また特許文献3,特許文献4には、多官能アクリレート中に、スメクタイトやマイカ等の無機層状化合物の平板状粒子を添加してなる重合性組成物が開示されている。かかる硬化性組成物を硬化して得られた光学フィルムにおいて、特許文献3には、低透湿性と高硬度、高い寸法安定性を実現することが記載されている。
特許第4410540号公報 特開2011−144344号公報 特開2003−313429号公報 特開2009−298977号公報
しかしながら、特許文献3で鉛筆硬度3H以上を実現しているフィルムの膜厚は、塗膜の膜厚から20ミクロン程度であると推測される。通常、フィルム硬度は膜厚が厚いほど高く、特許文献3に記載されている硬化性組成物を用いて得られる光学フィルムにおいて、フィルムの膜厚を薄くした場合、フィルム硬度は高硬度を維持することが難しい。
後記する比較例に記載されているように、膜厚10μm以下では、鉛筆硬度はBであり、耐擦傷性の観点において充分な硬度であるとは言えない。偏光板保護フィルムとしての用途では、膜厚10μm以下において、透湿度が100g/m/day以下、鉛筆硬度H以上が求められている。
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、膜厚10μm以下において、透湿度が100g/m/day以下、鉛筆硬度がH以上であるフィルム、及びそれを与える平板状粒子とそれを含むハードコート層形成用組成物を提供することを目的とするものである。
本発明はまた、膜厚10μm以下において、透湿度が100g/m/day以下、鉛筆硬度がH以上である偏光板保護フィルムを提供することを目的とするものである。
本発明はまた、吸湿による劣化の少ない偏光板及び液晶表示装置を提供することを目的とするものである。
本発明の平板状粒子は、
3つ以上の重合性基を有するモノマーを基礎とする繰り返し単位が1〜4単位連結してなるグラフト部が、平板状無機層状化合物粒子の少なくとも1つの主面に結合されてなるものである。
本明細書において、「平板状粒子」とは、略平坦な面(X−Y平面)を有し、かつ、厚み(Z)が略均一である粒子をいう。ここで、平板状粒子の平面上の最も長い径(以下長径とする)をX、長径と直交する径(以下短径とする)をY、厚みをZと定義する。平板状粒子の略平坦な面を主面と定義する。
平板状粒子の平面上の長径をX、短径をY、厚みをZとした場合、R50は平板状粒子のX−Y平面の面積より求めた円相当径の50%平均粒子径である。
円相当径は、平板状粒子の略平坦な面(X−Y平面)を、平板状粒子の投影面積と同じ投影面積を有する円と想定したときの、円の直径である。
また、本明細書において、「モノマーを基礎とする繰り返し単位」とは、モノマーが重合することにより形成される繰り返し単位を意味するものとする。また、「繰り返し単位が連結する」とは、繰り返し単位に含まれる少なくとも1つの重合性基が重合してグラフト鎖を伸ばし、繰り返し単位中の残りの重合性基が重合性を残していることを否定しない。グラフト部の繰り返し単位の連結数(モノマーの重合度)は、質量分析装置によりペアレントピークを検出することにより判断するものとする。
本発明の平板状粒子は、グラフト部の端部にラジカル性反応基を有することが好ましい。
平板状無機層状化合物粒子の主面の円相当径は、100nm以上5μm以下であることが好ましい。
また、平板状無機層状化合物粒子のアスペクト比は100以上であることが好ましい。本明細書において、平板状無機層上化合物粒子のアスペクト比は、平板状無機層上化合物粒子の厚みZに対する円相当径の比を意味するものとする。
本発明の平板状粒子において、モノマーの重合性基は、アクリロイル基またはメタクリロイル基であることが好ましい。
グラフト部は、3つ以上の重合性基を有するモノマーをリビングラジカル重合して形成されてなることが好ましい。リビングラジカル重合は、原子移動リビングラジカル重合またはニトロキシドを介したリビングラジカル重合であることが好ましい。
本発明のハードコート層形成用組成物は、上記本発明の複数の平板状粒子と、多官能モノマーと、多官能モノマーと平板状粒子との重合反応を開始する重合開始剤とを含むものである。
本発明のフィルムは、上記本発明のハードコート層形成用組成物を重合させてなるものである。
本発明のフィルムにおいて、無機層状化合物粒子の主面がフィルムの表面に対して45°以下の角度で配向していることが好ましい。
本明細書において、「無機層状化合物の主面がフィルムの表面に対して45°以下の角度で配向している」とは、フィルム断面を走査型電子顕微鏡(Scanning Electron Microscope、SEM)にて、1万倍の倍率で観察し、その撮影エリア(10×15μm)内の平板状無機層状化合物粒子の主面(扁平面)が表面に対し何度傾いているかを画像より算出した結果、平板状無機層状化合物粒子の90%以上が45°以下であることを意味するものとする。
本発明のフィルムは、支持体上に積層されてなることが好ましい。支持体は、セルロースエステルを主成分とするものが好ましい。本明細書において、「主成分」とは、含量90質量%以上の成分を意味するものとする。
本発明の偏光板保護フィルムは、上記支持体上に積層されてなる本発明のフィルムを少なくとも1層備えてなるものである。
本発明の偏光板は、偏光子と、偏光子の少なくとも一表面に上記本発明の偏光板保護フィルムを備えてなるものである。
本発明の液晶表示装置は、一対の偏光板と、一対の偏光板に挟持されてなる液晶セルを有する液晶表示装置であって、一対の偏光板の少なくとも1つが上記本発明の偏光板であるものである。
本明細書において、透湿度は、JIS Z 0208における測定温度40℃、相対湿度90%RHの条件下での透湿度である。本明細書において、透湿度の単位は、[g/(m・day]を使用している。透湿度が100g/(m・day)以下であるとは、SI単位系では透湿度が0.00116g/(m・s)以下であることを意味する。
本発明の平板状粒子は、3つ以上の重合性基を有するモノマーを基礎とする繰り返し単位が1〜4単位連結してなるグラフト部が、平板状無機層状化合物粒子の少なくとも1つの主面に結合されてなるものである。かかる構成の平板状粒子は、グラフト部に重合性基を有しているため、モノマーと結合を形成して架橋構造を形成することができるので、本発明の平板状粒子が添加されてなる多官能モノマーを含むハードコート層形成用組成物を硬化して得られるフィルムにおいて、高度を低下させることなく低透湿性を付与することができる。従って、本発明によれば、膜厚10μm以下において、透湿度が100g/m/day以下、鉛筆硬度がH以上であるフィルムを形成することができる。
本発明に係る一実施形態の平板状粒子の構成を示す断面概略図である。 本発明に係る一実施形態のフィルムを備えた偏光板保護フィルムの構成を示す断面概略図及びその一部拡大図である。 本発明に係る一実施形態の偏光板の構成を示す断面概略図である。 本発明に係る一実施形態の液晶表示装置の構成を示す概略斜視図である。
以下、本発明について詳述する。
以下に記載する構成要件の説明は、代表的な実施形態や具体例に基づいてなされることがあるが、本発明はそのような実施形態に限定されるものではない。
<平板状粒子>
「発明が解決しようとする課題」の項目においても述べたが、現在偏光板保護フィルム等の光学用途の低透湿性フィルムでは、膜厚10μm以下において、透湿度が100g/m/day以下、鉛筆硬度H以上が求められている。上記特許文献3や4に記載されている、多官能アクリレート中に、スメクタイトやマイカ等の無機層状化合物の平板状粒子を添加してなるハードコート層形成用組成物を硬化して得られたフィルムでは、膜厚20μm前後においては上記低透湿性と鉛筆硬度を満足するものが得られているが、膜厚が10μm程度と薄くなると、低透湿性は満足することができるが、鉛筆硬度は後記比較例に示されるようにB未満と示されるように、鉛筆硬度H以上を満足することが難しい。
ハードコート層形成用組成物中に含まれる平板状無機層状化合物粒子は、通常、表面に4級アンモニウム塩などの表面修飾基を備えたものを使用しており、モノマー中での分散性に寄与している。本発明者は、平板状無機層状化合物が、フィルムのマトリックス中において分散して存在するだけであることが、フィルム硬度低下の原因であると考えた。そこで、平板状無機層状化合物の表面の表面修飾基として、硬化前(重合前)の組成物中における分散性を高めるだけなく、硬化時にフィルムのマトリックスと結合を形成可能なグラフト部を設けて、フィルム中においてマトリックスと平板状無機層状化合物粒子との間に架橋構造を形成する、具体的には、平板状無機層状化合物粒子の表面(主面)に、3つ以上の重合性基を有するモノマーを基礎とする繰り返し単位が1〜4単位連結されてなるグラフト部を導入することにより、低透湿性と高い鉛筆硬度を両立できることを見出した。
すなわち、図1に示されるように、
平板状粒子1は、
3つ以上の重合性基を有するモノマーを基礎とする繰り返し単位Uが1〜4単位連結してなるグラフト部20が、平板状無機層状化合物粒子10の少なくとも1つの主面(10s,10r)に結合されてなるものである。
平板状無機層状化合物粒子10を構成する無機層状化合物とは、原子が共有結合等によって強く結合して密に配列したシートが、ファンデルワールス力、静電気力などの弱い力によってほぼ平行に積み重なった構造を持ち、層間に溶媒を配位又は吸収することにより膨潤、又はへき開する性質を示す無機化合物をいう。
このような無機化合物としては、膨潤性の含水ケイ酸塩、例えば、スメクタイト群粘土鉱物(モンモリロナイト、バイデライト、ノントロナイト、サポナイト、ヘクトライト、ソーコナイト、スチブンサイトなど)、バーミキュライト群粘土鉱物(バーミキュライトなど)、カオリン型鉱物(ハロイサイト、カオリナイト、エンデライト、ディッカイトなど)、フィロケイ酸塩(タルク、パイロフィライト、マイカ、マーガライト、白雲母、金雲母、テトラシリリックマイカ、テニオライトなど)、ジャモン石群鉱物(アンチゴライトなど)、緑泥石群鉱物(クロライト、クックアイト、ナンタイトなど)などが例示できる。これらの膨潤性層状無機化合物は、天然物でも合成物でもよい。
平板状無機層状化合物粒子10は、上記無機層状化合物の平板状粒子に有機化処理を施したものであってもよい。有機化処理にはオニウムイオンを持つ化合物を層状無機化合物に含有させることで有機化させ、インターカレーションにより単層毎に取り出しつつ、凝集を抑えることで分散性を上げることができる。具体的には、有機オニウムイオンからなる有機化剤を層状無機化合物に添加し処理することにより行われるのである。
上記有機オニウムイオンについては特に限定されるものではないが、モノアルキルの1級〜4級のアンモニウムイオン、ジアルキルの2級〜3級のアンモニウムイオン、トリアルキルの3級〜4級のアンモニウムイオン、テトラアルキルアンモニウムイオン等を挙げることができ、アルキル鎖長としては炭素数が4〜30のものが好ましく、6〜20のものがより好ましく、8〜18のものが特に好ましい。
アルキル鎖以外にも、エチレンオキサイドを構成単位とする、ポリエチレングリコール鎖を持つ1級〜4級のアンモニウムイオン(モノエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコールのアンモニウムイオンでもよい。)でもよく、或いは高級脂肪酸の1〜4級のアンモニウムイオン、高級脂肪酸エステルの1〜4級のアンモニウムイオン、高級アルコールの1〜4級のアンモニウムイオンでもよい。又、これらの複数種の分子鎖を持つものでもよい。更には、脂肪酸アシドにこれらの分子鎖を付加させた2〜4級のアンモニウムイオンでもよい。
また、これらの層状無機化合物は、単独で又は二種以上組み合わせても使用できる。
平板状無機層状化合物粒子は、無機層状化合物を微粒子化処理することにより作製することができる。微粒子化処理された膨潤性層状無機化合物は、通常、板状又は扁平状である。平面形状は特に制限されず、無定形状などであってもよいが、微粒子化処理された層状無機化合物の平面形状の平均粒子径は、主面(10s,10r)の円相当径は、10μm以下であることが好ましく、100nm以上5μm以下であることがより好ましい。円相当径が10μmより大きいと、ヘイズ値の増加、表面粗さの増加などが生じ、好ましくない。
また、平板状無機層状化合物粒子10のアスペクト比は100以上であることが好ましい。平板無機層状化合物粒子10のアスペクト比を100以上であると、平板状無機層状化合物粒子10が配向した際に、より透湿経路長が長くなるため、透湿性がより低くなる。
本発明におけるアスペクト比は、100個の平板無機層状化合物粒子を測定した値の平均値である。なお、粒子の投影面積は電子顕微鏡写真上での面積を測定し、撮影倍率を補正することにより得られる。
グラフト部20は3つ以上の重合性基を有するモノマーMを基礎とする繰り返し単位Uが1〜4単位連結されてなるものである。モノマーMの重合性基は、アクリロイル基またはメタクリロイル基であることが好ましい。従って、モノマーMは、分子中に少なくとも3つ以上の(メタ)アクリロイル基を有する化合物が好ましい。
分子中に少なくとも3つ以上の(メタ)アクリロイル基を有する化合物としては、例えば、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、EO変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、PO変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリス(アクリロキシエチル)イソシアヌレート、カプロラクトン変性トリス(アクリロキシエチル)イソシアヌレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、アルキル変性ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、アルキル変性ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、アルキル変性ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、1,2,3−シクロヘキサンテトラ(メタ)アクリレート等の、多価アルコールと(メタ)アクリル酸とのエステル化合物;
上記化合物のうち分子中に水酸基を1つ以上有するものと、1分子中に2つ以上のイソシアネート基を有する化合物と、必要に応じ上記以外の1分子中に2つ以上の水酸基を有する化合物とを反応させることにより得られる多官能ウレタン(メタ)アクリレート類; スチレン−無水マレイン酸共重合体を、分子中に水酸基を一つ以上有する水酸基含有(メタ)アクリル系化合物で変性してなる多官能(メタ)アクリレート類;
二塩基酸と多価アルコールとを脱水縮合してなるポリエステル中のアルコール残基に、(メタ)アクリル酸をエステル結合してなる多官能ポリエステル(メタ)アクリレート類;
エポキシ基含有(メタ)アクリレート化合物のアクリル系共重合体に(メタ)アクリル
酸を付加させてなる多官能(メタ)アクリレート類等が挙げられる。化合物(A)は、1
種を単独で、又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
平板状粒子1は、グラフト部20の端部20pにラジカル性反応基Rを有することが好ましい。
無機層状化合物粒子の主面にグラフト部20を結合させる方法としては特に制限されないが、リビングラジカル開始剤を、平板状無機層状化合物粒子10の表面10s及び/または10rに直接イオン交換により導入し(結合を形成)、開始剤が表面に導入された平板状無機層状化合物粒子の開始剤を開始点として多官能モノマーを重合させることにより、形成することが好ましい。リビングラジカル重合によりグラフト部20を形成することにより、グラフト部20の無機層状化合物粒子主面と結合していない端部20pにラジカル性反応基Rを有する平板状粒子1を得ることができる。
後記実施例で使用している化合物1、化合物2はリビングラジカル重合を開始可能な開始剤である。従って、かかる開始剤を無機層状化合物粒子10の表面に導入した後に、3つ以上の重合性基を有するモノマーMを反応させることにより、3つ以上の重合性基を有するモノマーMをリビングラジカル重合して形成されてなるグラフト部20を形成することができる。
リビングラジカル重合法としては、特に制限されないが、重合速度の調整には重合温度や重合固形分の制御の観点から、原子移動リビングラジカル重合法(ATPR法)またはニトロキシドを介したリビングラジカル重合(NMP法)であることが好ましい。これらのリビングラジカル重合法については、特開2010−126563号公報に記載の好ましい態様を、本発明においても適用することができる。
リビングラジカル重合を実施する開始剤としては、後記実施例にて使用した化合物1や化合物2が特に好ましく例示される。
(ハードコート層形成用組成物)
本発明のハードコート層形成用組成物は、上記実施形態の平板状粒子1と、多官能モノマーMと、多官能モノマーMと平板状粒子1のグラフト部20に残っている重合性基との重合反応を開始する重合開始剤Iとを含むものである。
平板状粒子1は、重合性基を有するグラフト部20を有しているため、多官能モノマーと結合を形成して架橋構造を形成することができる。従って、本発明のハードコート層形成用組成物を基材上に塗布成膜して得られるフィルム32において、硬度を低下させることなく低透湿性を付与することができる。
多官能モノマーMとしては、多官能モノマーであれば特に制限されないが、上記平板状粒子1のグラフト部20を構成するモノマーMと同様のモノマーが好ましく例示される。
重合開始剤Iは、多官能モノマーMと平板状粒子1との重合反応を開始する重合開始剤Iであれば特に制限されないが、光重合開始剤であることが好ましい。光重合開始剤としては、光励起によってラジカル重合を開始できる機能を有するものであれば特に限定はなく、例えばモノカルボニル化合物、ジカルボニル化合物、アセトフェノン化合物、ベンゾインもしくはそのエーテル化合物、アシルフォスフィンオキシド化合物、アミノカルボニル化合物等が使用できる。これらは上記化合物に限定されず、光励起により重合を開始させる能力があればどのようなものでも構わない。これらは単独使用又は併用することができる。
モノカルボニル化合物としては、ベンゾフェノン、4−メチル−ベンゾフェノン、2,4,6−トリメチルベンゾフェノン、メチル−o−ベンゾイルベンゾエート、4−フェニルベンゾフェノン、4−(4−メチルフェニルチオ)フェニル−エネタノン、3,3’−ジメチル−4−メトキシベンゾフェノン、4−(1,3−アクリロイル−1,4,7,10,13−ペンタオキソトリデシル)ベンゾフェノン、3,3’4,4’−テトラ(t−ブチルペルオキシカルボニル)ベンゾフェノン、4−ベンゾイル−N,N,N−トリメチルベンゼンメタアンモニウムクロリド、2−ヒドロキシ−3−(4−ベンゾイル−フェノキシ)−N,N,N−トリメチル−1−プロパンアミン塩酸塩、4−ベンゾイル−N,N−ジメチル−n−[2−(1−オキソ−2−プロペニルオキシエチル)]メタアンモニウム臭酸塩、2−/4−iso−プロピルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2,4−ジクロロチオキサントン、1−クロロ−4−プロポキシチオキサントン、2−ヒドロキシ−3−(3,4−ジメチル−9−オキソ−9Hチオキサントン−2−イロキシ)−N,N,N−トリメチル−1−プロパンアミン塩酸塩、ベンゾイルメチレン−3−メチルナフト(1,2−d)チアゾリン等が挙げられる。
ジカルボニル化合物としては、1,7,7−トリメチル−ビシクロ[2.1.1]ヘプタン−2,3−ジオン、ベンザイル、2−エチルアントラキノン、9,10−フェナントレンキノン、メチル−α−オキソベンゼンアセテート、4−フェニルベンザイル等が挙げられる。
アセトフェノン化合物としては、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、1−(4−イソプロピルフェニル)2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、1−(4−イソプロピルフェニル)2−ヒドロキシ−ジ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−スチリルプロパン−1−オン重合物、ジエトキシアセトフェノン、ジブトキシアセトフェノン、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、2,2−ジエトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノプロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノ−フェニル)ブタン−1−オン、1−フェニル−1,2−プロパンジオン−2−(o−エトキシカルボニル)オキシム、3,6−ビス(2−メチル−2−モルホリノ−プロパノニル)−9−ブチルカルバゾール等が挙げられる。
ベンゾインもしくはそのエーテル化合物としては、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンゾインノルマルブチルエーテル等が挙げられる。
アシルフォスフィンオキシド化合物としては、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド、4−n−プロピルフェニル−ジ(2,6−ジクロロベンゾイル)ホスフィンオキシド等が挙げられる。
アミノカルボニル化合物としては、メチル−4−(ジメチルアミノ)ベンゾエート、エチル−4−(ジメチルアミノ)ベンゾエート、2−n−ブトキシエチル−4−(ジメチルアミノ)ベンゾエート、イソアミル−4−(ジメチルアミノ)ベンゾエート、2−(ジメチルアミノ)エチルベンゾエート、4,4’−ビス−4−ジメチルアミノベンゾフェノン、4,4’−ビス−4−ジエチルアミノベンゾフェノン、2,5’−ビス−(4−ジエチルアミノベンザル)シクロペンタノン等が挙げられる。
重合開始剤Iの含有量は、平板状粒子の重合性基と多官能モノマーMとが重合し、かつ開始点が増えすぎないように設定するという理由から、ハードコート層形成用組成物中の全固形分に対して、0.5〜15質量%が好ましく、1〜5質量%がより好ましい。
これらに加え、増感剤として公知の有機アミン又は硫黄化合物を加えることもできる。
(溶剤)
本発明のハードコート層形成用組成物は、フィルムを形成する原料組成物として好適であり、特に、溶液製膜法において、支持体上に塗布する原料組成物(ドープ組成物)として好適である。ドープ組成物とする場合は、本発明のハードコート層形成用組成物は、更に溶剤を含んでいてもよい。
溶剤としては、モノマーの溶解性、塗工時の乾燥性、透光性粒子の分散性等を考慮し、各種溶剤を用いることができる。このような有機溶剤としては、例えばジブチルエーテル、ジメトキシエタン、ジエトキシエタン、プロピレンオキシド、1,4−ジオキサン、1,3−ジオキソラン、1,3,5−トリオキサン、テトラヒドロフラン、アニソール、フェネトール、炭酸ジメチル、炭酸メチルエチル、炭酸ジエチル、アセトン、メチルエチルケトン(MEK)、ジエチルケトン、ジプロピルケトン、ジイソブチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、メチルシクロヘキサノン、蟻酸エチル、蟻酸プロピル、蟻酸ペンチル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、γ−プチロラクトン、2−メトキシ酢酸メチル、2−エトキシ酢酸メチル、2−エトキシ酢酸エチル、2−エトキシプロピオン酸エチル、2−メトキシエタノール、2−プロポキシエタノール、2−ブトキシエタノール、1,2−ジアセトキシアセトン、アセチルアセトン、ジアセトンアルコール、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル等メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール、シクロヘキシルアルコール、酢酸イソブチル、メチルイソブチルケトン(MiBK)、2−オクタノン、2−ペンタノン、2−ヘキサノン、エチレングリコールエチルエーテル、エチレングリコールイソプロピルエーテル、エチレングリコールブチルエーテル、プロピレングリコールメチルエーテル、エチルカルビトール、ブチルカルビトール、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサン、ベンゼン、トルエン、キシレン等が挙げられ、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
上記の溶剤のうち、酢酸メチル、酢酸エチル、メチルエチルケトン、アセチルアセトン、アセトン、シクロヘキサノン、トルエン、キシレンのうち少なくとも1種類を用いることが好ましい。
基材31とハードコート層32との密着性の観点では、光学フィルム30は、また、基材31とハードコート層32との間には、基材31にハードコート層32の硬化前の成分が硬化完了までに浸み込み、浸み込んだ状態で硬化されて形成された層(混合層)を有することが好ましい。酢酸メチル、メチルエチルケトン(Methyl Ethyl Keton, MEK)、アセトン、シクロヘキサノンは、基材31、特に、セルロースエステルフィルム基材への浸透性を有し、基材表面を溶解または膨潤させてハードコート層と基材との密着性を高くすることができる。混合層を有することで、基材31とハードコート層32との密着性が良好になる。混合層の厚みは、0.1μm以上3μm以下であることが好ましい。混合層の有無及びその厚みは、偏光板保護フィルム30断面の電子顕微鏡観察により確認でき、例えば、走査型電子顕微鏡S−5200(日立製作所製)を用いて観察することにより確認及び測長できる。
なお、溶剤は、ハードコート層形成用組成物中の固形分の濃度が、5〜90質量%の範囲となるように、用いることが好ましい。
かかるハードコート層形成用組成物を硬化させて得られたハードコート層32は、硬度が高く、透湿性が低いため、高硬度、低透湿性が要求されるフィルム部材として好適である。
本発明のハードコート層形成用組成物には、必要に応じて更に、溶剤、無機フィラー、紫外線吸収剤、界面活性剤を添加することができる。以下、各成分について説明する。
〔無機フィラー〕
無機フィラーは、要求される屈折率、膜強度、膜厚、塗布性、透湿度などに応じて、種類、添加量を調節して、ハードコート層形成用組成物中に添加することができる。
無機フィラー形状は特に制限されるものではなく、例えば、球状、板状、繊維状、棒状、不定形、中空等のいずれも好ましく用いられる。
また、無機フィラーの種類についても特に制限されるものではないが、非晶質のものが好ましく用いられ、金属の酸化物、窒化物、硫化物またはハロゲン化物からなることが好ましく、金属酸化物が特に好ましく、シリカが最も好ましい。金属原子としては、Na、K、Mg、Ca、Ba、Al、Zn、Fe、Cu、Ti、Sn、In、W、Y、Sb、Mn、Ga、V、Nb、Ta、Ag、Si、B、Bi、Mo、Ce、BeおよびNi等が挙げられる。無機フィラーと有機成分との親和性を増すため、有機セグメントを含む表面修飾剤で無機フィラーの表面を処理することもできる。
無機フィラーの平均粒子径は、透明な硬化膜を得るためには、0.001〜0.2μmの範囲内の値とするのが好ましく、より好ましくは0.001〜0.1μm、さらに好ましくは0.001〜0.06μmである。ここで、粒子の平均粒径はコールターカウンターにより測定される。
また、無機フィラーは、乾燥状態で使用することができるし、あるいは水もしくは有機溶媒に分散した状態で使用することもできる。
〔紫外線吸収剤〕
本発明の偏光板保護フィルムは、偏光板または画像表示装置部材に使用することができるが、偏光板または液晶セル等の劣化防止の観点から、ハードコート層形成用組成物中に紫外線吸収剤を含有することで、偏光板保護フィルムに紫外線吸収性を付与することもできる。
紫外線吸収剤としては、公知のものを用いることができる。例えば、特開2001−72782号公報や特表2002−543265号公報に記載の紫外線吸収剤が挙げられる。
紫外線吸収剤としては、波長370nm以下の紫外線の吸収能に優れ、かつ良好な液晶表示性の観点から、波長400nm以上の可視光の吸収が少ないものが好ましく用いられる。紫外線吸収剤は1種のみ用いても良いし、2種以上を併用しても良い。例えば、特開2001−72782号公報や特表2002−543265号公報に記載の紫外線吸収剤が挙げられる。紫外線吸収剤の具体例としては、例えばオキシベンゾフェノン系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物、サリチル酸エステル系化合物、ベンゾフェノン系化合物、シアノアクリレート系化合物、ニッケル錯塩系化合物、トリアジン系化合物などが挙げられる。
〔透光性樹脂粒子〕
本実施形態のハードコート層形成用組成物中には、透光性樹脂粒子(光拡散粒子ともいう)を含有してもよい。ハードコート層形成用組成物中に透光性粒子を含有させることで、ハードコート層32の表面に凹凸形状を付与したり、内部ヘイズを付与することもできる。
透光性樹脂粒子の平均粒径は1.0μm以上3.0μm以下であり、好ましくは1.2μm以上2.8μm以下であり、更に好ましくは1.4μm以上2.6μm以下である。本明細書においては、平均粒径は一次粒径を示す。平均粒径1.0μm以上であれば、粒子の凝集を制御することで、ハードコート層32の表面凹凸を適度に大きくすることができ、防眩性が発現する。また、平均粒径3.0μm以下の粒子であれば所望の表面形状を形成しようとする場合、ハードコート層32の厚みを厚くしすぎる必要がなく、カールや脆性の低下を抑制できる。
表面凹凸形状を、特定の範囲に調整する手段として、平均粒径が互いに異なる2種以上の粒子を使用することも好ましい。
透光性樹脂粒子の粒子径の測定方法は、粒子の粒子径を測る測定方法であれば、任意の測定方法が適用できるが、粒子の粒度分布をコールターカウンター法により測定し、測定された分布を粒子数分布に換算して得られた粒子分布から算出する方法や、透過型電子顕微鏡(倍率50万〜200万倍)で粒子の観察を行い、粒子100個を観察し、その平均値をもって平均粒子径とする方法がある。
なお、本明細書において平均粒子径はコールターカウンター法によって得られた値を用いる。
ハードコート層32における表面凹凸形状を作るためには、透光性樹脂粒子の平均粒径に対するハードコート層の膜厚の比(ハードコート層の膜厚/透光性樹脂粒子の平均粒径)を1.0〜2.0に設計することが好ましく、より好ましくは1.1〜1.9、更に好ましくは1.2〜1.8である。この比率が1.0以上であると、膜表面の凹凸が大きくなりすぎず、黒締りや点欠陥の観点で優れる。一方、2.0以下であると、所望の防眩性を達成するために多量の粒子を添加する必要がなく、膜の硬度の観点で優れる。
ハードコート層32における表面凹凸形状は算術平均粗さRaを0.01〜0.25μmに設計することが好ましく、より好ましくは、0.01〜0.20μm、更に好ましくは0.01〜0.15μmである。Raの値が0.01μm以上であると、明確な防眩性が得られ、一方、Raの値が0.25μm以下であると、高い黒締まりを示す。
ハードコート層32におけるヘイズ値は0.3〜5.0%に設計されることが好ましく、0.5〜3.0%にすることがより好ましく、0.5〜2.0%にすることが更に好ましい。この範囲にヘイズを設計することで、優れた防眩性と黒締り性を両立する事ができる。
透光性樹脂粒子の屈折率は、ヨウ化メチレン、1,2−ジブロモプロパン、n−ヘキサンから選ばれる任意の屈折率の異なる2種類の溶媒の混合比を変化させて屈折率を変化させた溶媒中に透光性粒子を等量分散して濁度を測定し、濁度が極小になった時の溶媒の屈折率をアッベ屈折計で測定することで測定される。
透光性樹脂粒子は、バインダーとの屈折率差を制御することで内部散乱性を付与することができるが、内部散乱性が大きいとコントラストが低下してしまうため、透光性樹脂粒子を除く防眩層の屈折率との差を0.010以下に設計することが好ましく、透光性樹脂粒子とバインダーとの屈折率差は0.01以下であり、好ましくは0.005以下であり、より好ましくは0である。屈折率差をこの範囲にすることで、内部散乱に起因するコントラスト低下をほぼなくすことができる。
透光性樹脂粒子の具体例としては、例えば架橋ポリメチルメタアクリレート粒子、架橋メチルメタアクリレート−スチレン共重合粒子、架橋ポリスチレン粒子、架橋メチルメタアクリレート−メチルアクリレート共重合粒子、架橋アクリレート−スチレン共重合粒子、メラミン・ホルムアルデヒド樹脂粒子、ベンゾグアナミン・ホルムアルデヒド樹脂粒子等の樹脂粒子が挙げられる。なかでも架橋スチレン粒子、架橋ポリメチルメタアクリレート粒子、架橋メチルメタアクリレート−スチレン共重合粒子等が好ましい。さらにはこれらの樹脂粒子の表面にフッ素原子、シリコン原子、カルボキシル基、水酸基、アミノ基、スルホン酸基、燐酸基等を含む化合物を化学結合させた表面修飾粒子やシリカやジルコニアなどのナノサイズの無機微粒子を表面に結合した粒子も例に挙げられる。
本実施形態において用いられる透光性樹脂粒子は1種でも2種以上でもよい。透光性樹脂粒子の含有量は、防眩性付与と高い黒締まりの観点から、ハードコート層形成用ハードコート層形成用組成物中の全固形分に対して0.5〜12質量%であり、1〜10質量%が好ましく、2〜8質量%がより好ましい。
〔界面活性剤〕
本実施形態のハードコート層形成用組成物には、特に塗布ムラ、乾燥ムラ、点欠陥等の面状均一性を確保するために、フッ素系、シリコーン系の何れかの界面活性剤、あるいはその両者を含有することが好ましい。特にフッ素系の界面活性剤は、より少ない添加量において、塗布ムラ、乾燥ムラ、点欠陥等の面状故障を改良する効果が現れるため、好ましく用いることができる。面状均一性を高めつつ、高速塗布適性を持たせることにより生産性を高めることができる。
フッ素系の界面活性剤の好ましい例としては、フルオロ脂肪族基含有共重合体(以下、
「フッ素系ポリマー」と略記することもある)が挙げられる。フッ素系ポリマーの具体例は、特開2005−115359公報の[0037]〜[0045]、特開2006−117915公報の[0063]〜[0071]等に記載されている。
界面活性剤として添加するフッ素系ポリマーの好ましい添加量は、塗布液100質量部に対して0.001〜5質量部の範囲であり、更に好ましくは0.005〜3質量部の範囲であり、より好ましくは0.01〜1質量部の範囲である。フッ素系ポリマーの添加量が0.001質量部以上であればフッ素系ポリマーを添加した効果が充分得られ、また5質量部以下であれば、塗膜の乾燥が十分に行われなくなったり、塗膜としての性能(例えば反射率、耐擦傷性)に悪影響を及ぼしたり、といった問題が生じない。
本実施形態のハードコート層形成用組成物は、以上のように構成されている。
以上述べたように、平板状粒子1は、3つ以上の重合性基を有するモノマーを基礎とする繰り返し単位Uが1〜4単位連結してなるグラフト部20が、平板状無機層状化合物粒子10の少なくとも1つの主面(10s、10r)に結合されてなるものである。かかる構成の平板状粒子1は、グラフト部20に重合性基を有しているため、モノマーMと結合を形成して架橋構造を形成することができるので、平板状粒子1が添加されてなる多官能モノマーを含むハードコート層形成用組成物を硬化して得られるフィルム32において、高度を低下させることなく低透湿性を付与することができる。従って、本発明によれば、膜厚10μm以下において、透湿度が100g/m/day以下、鉛筆硬度がH以上であるフィルム32を形成することができる。
「光学フィルム」
図2は、本発明に係る一実施形態のハードコート層(フィルム)32を基材31上に備えた光学フィルム30の構成を示す概略図である。なお、視認しやすくするために、本明細書の図面では、各部の縮尺は適宜変更して示してある。また、本明細書において数値が物性値、特性値等を表す場合に、「(数値1)〜(数値2)」という記載は「(数値1)以上(数値2)以下」の意味を表す。
図2に示されるように、光学フィルム30は、基材31上にハードコート層(フィルム)32を備えてなる。ハードコート層32は、上記本発明のハードコート層形成用組成物の塗膜を硬化(重合)させて形成されてなるものである。
図2には、ハードコート層32内の構造を模式的に示した部分拡大図を併せて示してある。拡大図に示されるように、ハードコート層32内には、平板状粒子1が、平板状無機層状化合物粒子10の主面(10s、10r)が、ハードコート層(フィルム)32の表面に対して45°以下の角度で配向して分散されている。主面(10s、10r)の、ハードコート層(フィルム)32の表面に対する配向角度は、できるだけ小さいことが好ましく、図示されるように、主面(10s、10r)とハードコート層(フィルム)32の表面とが略平行となっていることがより好ましい。
平板状粒子1がハードコート層(フィルム)32内において上記のような配向性を有することにより、外部より侵入した水分が、膜厚方向に直進できず、平板状粒子1を迂回するようにしてハードコート層32内を進むため、透湿経路長が長くなり、透湿度を減少させることができる。
上記本発明のハードコート層形成用組成物を塗布液として基材31上に塗膜を形成すると、平板状粒子1は塗膜中において最も安定な態様、すなわち、主面(10s、10r)とハードコート層(フィルム)32の表面とが略平行となって分散配置される傾向がある。従って、本発明のハードコート層形成用組成物を塗布液として基材31上に形成された塗膜を重合(光硬化)させることにより、平板状粒子1が、その主面(10s、10r)とハードコート層(フィルム)32の表面とが略平行に分散配置されてなるハードコート層(フィルム)32を形成することができる。
また、塗膜の重合反応が開始されると、平板状粒子1の表面のグラフト部20の重合性基と、多官能モノマーMとに架橋構造が形成される。従って、ハードコート層(フィルム)32は、平板状粒子1が、その主面(10s、10r)とハードコート層(フィルム)32の表面とが略平行に分散配置されてなり、且つ、ハードコート層32のマトリックス材P2と架橋構造を形成することができるので、低透湿性と高硬度とを両立することができる。
後記実施例に示されるように、ハードコート層(フィルム)32は、平均膜厚が10μm以下であり、且つ、透湿度が100g/m/day以下、鉛筆硬度がH以上を達成することができる。
以下に、光学フィルム30の各構成要素について説明する。なお、光学フィルム30について、基材31とハードコート層32との間に何も層を有していない態様を代表例として説明するが、後記する偏光板保護フィルムや光学補償フィルムのように、基材31とハードコート層32との間には、本発明の効果が得られる範囲内でその他の層を有してもよい。
<ハードコート層(フィルム)>
光学フィルム30において、ハードコート層(フィルム)32は、上記したように、基材31上に塗布成膜されてなる上記本発明のハードコート層形成用組成物の塗膜を硬化(重合)させて形成されてなるものである。ハードコート層形成用組成物の硬化方法としては特に制限されないが、ハードコート層形成用組成物を光重合性組成物として、成膜された塗膜に光を照射することにより硬化することが好ましい。かかる態様の場合、照射する光としては、紫外線が好ましく、紫外線の照度は、10〜5000mW/cm、照射量は10〜10000mJ/cmであることが好ましい。
また、硬化の際、基材31の温度が10〜90℃の温度範囲となるように光を照射することが好ましく、30〜90℃の温度範囲となるように光を照射することがより好ましい。なお、この温度範囲内にするために、必要に応じて加温してもよい。このときの基材31の温度はOPTEX社製PT-2LDなどで測定することができる。
更に、ハードコート層32は、紫外線を照射した後に加温して形成することもできるが、光照射後に所望の性能を得ることができれば、プロセスの煩雑さ、及び支持体や他層へのダメージ抑制の観点から、光を照射した後には加温しないことが好ましい。
上記のようにして形成されたハードコート層32の膜厚は特に制限されないが、3μm以上30μm以下であることが好ましく、4μm以上20μm以下であることがより好ましく、5μm以上15μm以下であることが更に好ましい。ハードコート層の膜厚を3μm以上にすることで、十分なハードコート性を得ることができると共に、透湿性を低くすることができ、30μm以下にすることで、支持体への塗布・乾燥工程において乾燥が容易であり、また、優れた脆性を得ることができる。
なお、ハードコート層32の膜厚は、ハードコート層の積層前後の膜厚を測定し、その差から求めることができる。
<基材>
基材31としては、特に制限されないが、セルロースエステルフィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリエチレンテレフタラートやポリエチレンナフタレート等のポリエステル系フィルム、ポリメチルメタクリレート等の(メタ)アクリル系フィルム、ポリスチレンやアクリロニトリル・スチレン共重合体等のスチレン共重合体フィルム、環状ポリオレフィン系フィルム等が挙げられる。ハードコート層形成用組成物が浸透しやすく、基材と偏光板樹脂フィルムとの密着性が高いことから、基材31は、セルロースエステルフィルム基材であることが好ましい。
セルロースエステルフィルム基材としては、セルロースエステルからなる公知のフィルム、板、シートなどを用いることができ、特に限定は無い。セルロースエステルフィルムとしては、セルロースアシレートフィルム(例えば、セルローストリアセテートフィルム(屈折率1.48)、セルロースジアセテートフィルム、セルロースアセテートブチレートフィルム、セルロースアセテートプロピオネートフィルム)等が使用できる。
中でも、透明性が高く、光学的に複屈折が少なく、製造が容易であり、偏光板の保護フィルムとして一般に用いられているセルロースアシレートフィルムが好ましく、セルローストリアセテートフィルムが更に好ましい。基材31の透明性は、可視光の透過率が80%以上であることが好ましい。
セルロースアシレートフィルムとしては、酢化度が59.0〜61.5%であるセルロースアセテートを使用することが好ましい。
酢化度とは、セルロース単位質量当たりの結合酢酸量を意味する。酢化度は、ASTM:D−817−91(セルロースアセテート等の試験法)におけるアセチル化度の測定及び計算に従う。セルロースアシレートの粘度平均重合度(DP)は、250以上であることが好ましく、290以上であることが更に好ましい。
また、セルロースアシレートフィルム基材は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーによるMw/Mn(Mwは重量平均分子量、Mnは数平均分子量)の値が1.0に近いこと、換言すれば分子量分布が狭いことが好ましい。具体的なMw/Mnの値としては、1.0〜1.7であることが好ましく、1.3〜1.65であることが更に好ましく、1.4〜1.6であることが最も好ましい。
一般に、セルロースアシレートの2,3,6の水酸基は全体の置換度の1/3ずつに均等に分配されるわけではなく、6位水酸基の置換度が小さくなる傾向がある。本発明ではセルロースアシレートの6位水酸基の置換度が、2,3位に比べて多いほうが好ましい。全体の置換度に対して6位水酸基が32%以上アシル基で置換されていることが好ましく、更には33%以上、特に34%以上であることが好ましい。更にセルロースアシレートの6位アシル基の置換度が0.88以上であることが好ましい。6位水酸基は、アセチル基以外に炭素数3以上のアシル基であるプロピオニル基、ブチロイル基、バレロイル基、ベンゾイル基、アクリロイル基などで置換されていてもよい。各位置の置換度の測定は、核磁気共鳴(Nuclear Magnetic Resonance, NMR)によって求めることができる。
基材31として好適なセルロースアシレートとしては、特開平11−5851号公報の段落「0043」〜「0044」[実施例][合成例1]、段落「0048」〜「0049」[合成例2]、段落「0051」〜「0052」[合成例3]に記載の方法で得られたセルロースアセテートを例示することができる。
基材31の厚みは通常20μm〜1000μm程度とする。基材31がセルロースエステルフィルム基材である場合、膜厚が20μm以上70μm以下であることが好ましい。
<偏光板保護フィルム>
上記光学フィルム30は、高硬度、且つ、低透湿性を有するフィルム32を表面に備えており、偏光板保護フィルムとして好適である。偏光板保護フィルムは、後記する偏光板100において、偏光子を保護するためのフィルム部材である。従って、偏光板100において、偏光子の外側に配される側の面にハードコート層32がくるように配置されることが好ましい。
光学フィルム30を偏光板保護フィルムとして用いる場合には、必要に応じて、表面処理が施されていてもよいし、基材31のハードコート層32の形成されている側と反対側の面(裏面)等や、基材31とハードコート層32との間に他の機能層等が設けられていてもよい。
光学フィルム30を偏光板保護フィルムとして用いる場合の機能層としては、特に限定されないが、反射防止層(低屈折率層、中屈折率層、高屈折率層など屈折率を調整した層)、防眩層、帯電防止層、紫外線吸収層、密着層(基材とハードコート層の密着性を向上させる層)などが挙げられる。
上記機能層は、1層であってもよいし、複数層設けてもよい。上記機能層の積層方法は特に限定されない。
ハードコート層32の表面に反射防止層を設けてもよい。反射防止層としては公知のものを好ましく用いることができる。中でもUV硬化型の反射防止層が好ましい。反射防止層は1層構成の膜厚λ/4の低反射率層でも多層構成でも良いが、1層構成の膜厚λ/4の低反射率層が特に好ましい。
偏光板保護フィルム30の好ましい層構成の例を下記に示すが、特にこれらの層構成のみに限定されるわけではない。
・基材/ハードコート層
・基材/ハードコート層/反射防止層
・基材/密着層/ハードコート層
・基材/密着層/ハードコート層/反射防止層
・基材/紫外線吸収層/ハードコート層
・基材/紫外線吸収層/ハードコート層/反射防止層
・基材/密着層/紫外線吸収層/ハードコート層
・基材/密着層/紫外線吸収層/ハードコート層/反射防止層
・基材/ハードコート層/防眩層
・基材/ハードコート層/防眩層/反射防止層
また、偏光板保護フィルム30は、更に光学異方性層を有していてもよい。光学異方性層としては、一定の位相差を有する膜が面内均一に形成された光学異方性層であっても良いし、遅相軸の方向や位相差の大きさが互いに異なる、位相差領域が規則的に面内に配置されたパターンを形成した光学異方性層であってもよい。
光学異方性層は、基材31の裏面側に形成されることが好ましいが、光学異方性層がハードコート層32と同じ側に形成されていてもかまわない。
本実施形態の偏光板保護フィルムに好適な、面内均一に形成された光学異方性層を備えた態様については、特開2012−098721号公報、特開2012−127982号公報に記載されており、パターン状に形成された光学異方性層を備えた態様については、特許4825934号公報、特許4887463号公報に記載されており、特表2012−517024号公報(WO2010/090429号公報)に記載された光配向膜とパターン露光を組み合わせた態様として記載されている。
<光学補償フィルム>
光学フィルム30は、上記偏光板保護フィルムの他にも様々な用途で用いることができる。例えば、液晶表示装置における、光学補償フィルムとしても好ましく用いることができる。光学補償フィルムとは、一般に液晶表示装置に用いられる、位相差を補償する光学部材であり、位相差板、光学補償シートなどと同義である。光学補償フィルムは複屈折性を有し、液晶表示装置の表示画面の着色を取り除いたり、視野角特性を改善したりする目的で用いられる。
光学フィルム30は、それ自体を光学補償フィルムとしてもよいし、光学補償フィルムの支持体として用いて、その上に必要に応じて光学異方性層を設けてもよい。併用される光学異方性層は、液晶性化合物を含有する組成物から形成してもよいし、複屈折を持つ熱可塑性フィルムから形成してもよい。
「偏光板、液晶表示装置」
既に述べたように、光学フィルム30は、高硬度、低透湿性が要求される偏光板保護フィルムとして好適である。光学フィルム30からなる偏光板保護フィルムで少なくとも一表面が保護されている偏光板、及びその偏光板を、少なくとも視認側の偏光板として備える液晶表示装置とすることにより、耐久性に優れ、且つ、吸湿による劣化が少ない偏光板及び液晶表示装置とすることができる。
光学フィルム30は、2枚の偏光板のいずれの保護フィルムとしても用いることができる。一方、液晶表示装置300において、視認側の表面が環境変化による影響を最も受けるため、本実施形態では、視認側(フロント側)の偏光板100において、最も視認側に本実施形態の偏光板保護フィルム30を備えた構成としている(図3を参照)。
また、2枚の偏光板のうち、視認側偏光板の、視認側の保護フィルムとして光学フィルム30を配置した上で、更にバックライト側偏光板のバックライト側保護フィルムにも光学フィルム30を配置した態様は、2枚の偏光板に含まれる偏光子の伸縮を抑止し、パネルの反りを防止することができる点で好ましいが、2枚の偏光板のうち、少なくとも視認側偏光板の、視認側の保護フィルムとして、光学フィルム30が用いられることが好ましい。
図4は、本発明に係る一実施形態の液晶表示装置300の構成を示す概略図である。図示されるように、液晶表示装置300は、一対の偏光板(上側偏光板100,下側偏光板180)と、これらに挟持されてなる液晶セル200を有しており、液晶セル200は、液晶層150とその上下に配置されてなる、液晶セル上電極付き基板130と液晶セル下電極付き基板160とを有している。
上下電極付き基板130,160は、一般に、基板上に透明導電膜が形成されてなるものであり、液晶表示装置300において、液晶層150に対して、基板を介して電圧が印加されるように配置されている。本実施形態では、基板上に透明導電膜が形成されてなる130,160で液晶層150が挟持されてなる態様を例に示してあるが、基板上には、ガスバリア層、ハードコート層、基板と透明導電膜との密着性を強くするためのアンダーコート層(下塗り層)等を設けてもよい。液晶層150を挟持する基板は、一般に50μm〜2mmの厚さを有する。
また、液晶表示装置300を透過型として使用する場合、上側偏光板100をフロント側(視認側)偏光板、下側偏光板18をリア側(バックライト側)偏光板とし、図示していないが、リア側偏光板180の下側にバックライトユニット、液晶層150とフロント側偏光板100との間にカラーフィルターを備える態様となる。図4において、120と190は互いに略直交した各偏光板の吸収軸の方向を示しており、140と170は各電極基板の配向制御方向を示している。
本実施形態では、2枚の偏光板100,180のうち、視認側偏光板100の、視認側の保護フィルムとして、光学フィルム30を用いた態様について説明するが、本発明は、上記したように、かかる態様に限定されるものではない。
図3は、表面に本実施形態の偏光板保護フィルム(光学フィルム)110を備えた偏光板100の構成を示す厚み方向断面図である。図示されるように、偏光板100は、偏光子40の上面に光学フィルム30からなる偏光板保護フィルム30を備えている。図3において、偏光子40の上面が、外気により近い側に配される構成となっている。
また、本実施形態では、液晶セル側の偏光板保護フィルム50は、液晶セル側に光学異方性層130を備えている。下側偏光板180は、上側偏光板100と各層の積層方向が上下反対の構成を有している。
偏光板100の作製方法は特に限定されず、一般的な方法で作製することができる。得られた偏光板保護フィルムをアルカリ処理し、ポリビニルアルコールフィルムをヨウ素溶液中に浸漬延伸して作製した偏光子の両面に完全ケン化ポリビニルアルコール水溶液を用いて貼り合わせる方法がある。アルカリ処理の代わりに特開平6−94915号、特開平6−118232号に記載されているような易接着加工を施してもよい。偏光板保護フィルム30と偏光子40との貼合面はハードコート層32を積層した面でもよいし、その反対側の面であっても構わない。
偏光板保護フィルム処理面と偏光子を貼り合わせるのに使用される接着剤としては、例えば、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール等のポリビニルアルコール系接着剤や、ブチルアクリレート等のビニル系ラテックス等が挙げられる。偏光板保護フィルム30,50と偏光子40とは、その他の接着剤や粘着剤で貼り合わされていてもよいし、接着剤や粘着剤を介さずに直接積層されていてもよい。
偏光板保護フィルムは、上記本発明の、硬度が高く、低透湿性を有する光学フィルム30であり、液晶表示装置300において、フロント側(視認側)偏光板100は、かかる偏光板保護フィルム30を視認側の面に備えている。従って、本実施形態によれば、吸湿による劣化の少ない偏光板100及び液晶表示装置300を提供することができる。
上記実施形態では、透過型液晶表示装置を例に説明したが、液晶表示装置としては、透過型に限定されるものではなく、反射型及び半透過型のいずれの液晶表示装置においても本発明は有効である。
上記液晶表示装置の一実施形態について説明したが、本発明の適用可能な液晶セルの表示モードは特に限定されない。本発明が有効な表示モードとしては、現在、TN(Twisted Nematic)、IPS(In−Plane Switching)、FLC(Ferroelectric Liquid Crystal)、AFLC(Anti−ferroelectric Liquid Crystal)、OCB(Optically Compensatory Bend)、STN(Super Twisted Nematic)、VA(Vertically Aligned)、ECB(Electrically Controlled Birefringence)、及びHAN(Hybrid Aligned Nematic)などの様々な表示モード、また、上記表示モードを配向分割した表示モードにおいても有効である。
以下、実施例に基づいて本発明を具体的に説明する。以下の実施例に示す材料、試薬、物質量とその割合、操作等は本発明の趣旨から逸脱しない限り適宜変更することができる。従って、本発明は以下の実施例に限定され制限されるものではない。
<平板状粒子の合成>
(開始剤の合成)
Macromolecules 7050 30(1997)に記載されたとおりの合成法により、下記化合物1を合成した。また、Macromolecules 5052 39(2006)に記載されたとおりの合成法により、下記化合物2を合成した。
(開始剤の導入)
表1に記載の平板状無機層状化合物粒子14グラムを2Lの純水中に分散させた無機層状化合物粒子分散液中に、表1に記載の開始剤5グラムを2Lのエタノール中に溶解させた開始剤溶液を滴下して混合溶液とした。
混合溶液を24時間室温で撹拌し続けたあと濾過し、得られたフィルターケーキを50mLのエタノールで3回洗浄し、その後、60℃の真空下において24時間乾燥させて乾燥して、開始剤が表面に導入された平板状無機層状化合物粒子を得た。
次に、使用前に微粉末に粉砕した。
平板状無機層状化合物粒子としては、ME−100:ナトリウムテトラシリシックマイカ(コープケミカル製)及び、有機処理合成マイカソマシフMPE(有機化処理量120meq/100g、コープケミカル(株)製)を使用した。
(グラフト部の形成)
前記重合開始剤で固定化された平板状無機層状化合物粒子6gと表1に記載の多官能アクリレート68gとをアルゴン置換した密閉反応容器中に仕込み、125℃で表1に記載の反応時間にて反応させた。精製した後、室温で12時間以上真空乾燥し、本発明の平板状粒子を得た。
得られた各例の平板状粒子の重合度を、質量分析装置(島津製作所製 質量分析装置AXIMA)を用いて調べたところ、表1に記載の重合度(分子数)となった。
使用した多官能モノマーは以下のとおりである。
・DPHA:ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート〔東亞合成株式会社製アロニックスM400〕
・PETA:ペンタエリスリトールトリアクリレート〔東亞合成株式会社製アロニックスM305〕
<フィルムの作製>
まず、表1に記載の組成にて各成分を混合しドープ組成物を得た。ドープ組成物の各処方において固形分比率が30質量%である。固形分は溶剤(表1においてはMEK)以外の成分をいう。固形分のうち平板状粒子と重合開始剤を除いたものがマトリックスである。これらのドープ組成物を、孔径5μmのポリプロピレン製フィルターでろ過して本発明のハードコート層形成用組成物(ドープ)を調製した。開始剤としてはIRGACURE184(Irg184)を使用した。
基材としてフジタックTG40(富士フイルム(株)製、幅1340mm、厚さ40μm)をロール形態から巻き出して、各例のドープ組成物を使用し、特開2006−122889号公報実施例1に記載のスロットダイを用いたダイコート法で、搬送速度30m/分の条件で塗布した。その後、更に窒素パージ下酸素濃度約0.1体積%、基材の温度を温度25℃として160W/cmの空冷メタルハライドランプ(アイグラフィックス(株)製)を用いて、照度400mW/cm、照射量300mJ/cmの紫外線を照射して塗布層を硬化させた後に巻き取り、基材上にハードコート層を有する各例のフィルムを得た。なお、ハードコート層の膜厚は10μmとした。膜厚は、Mitsutoyo製高精度デジマチックマイクロメータMDH-25Mを用い、支持体の膜厚と塗布後の全体膜厚を測定することで確認した。
<フィルムの評価>
得られたフィルムのヘイズ、透湿度、及び鉛筆硬度について下記の方法で測定し、得られた結果を表1に記載した。
(1)ヘイズ
ヘイズの測定は、偏光板保護フィルムから切り出したフィルム試料40mm×80mmを、25℃、相対湿度60%にて、スガ試験機(株)製ヘイズメーター“HGM−2DP”を用いJIS K−6714に従って測定した。
OK:ヘイズが3.0%未満。
NG:ヘイズが3.0%以上。
(2)鉛筆硬度評価
耐傷性の指標としてJIS K 5400に記載の鉛筆硬度評価を行った。偏光板保護フィルムを温度25℃、湿度60%RHで2時間調湿した後、JIS S 6006に規定する2B〜3Hの試験用鉛筆を用いて、4.9Nの荷重にて、以下のとおりの判定で評価し、OKとなる最も高い硬度を評価値とした。
OK:n=5の評価において傷なしが4つ以上
NG:n=5の評価において傷なしが3つ以下
(3)透湿度(40℃90%相対湿度での透湿度)
70mmφに切り出した各実施例及び比較例の偏光板保護フィルム試料を40℃、相対湿度90%でそれぞれ24時間調湿し、JIS Z−0208記載の方法によりフィルムの透湿度(40μm換算の透湿度)を算出した。
OK:100g/m/day以下
NG:100g/m/day超
上記表1より、各実施例のフィルムは、ヘイズ値が小さく、膜厚10μm以下において、透湿度が100g/m/day以下、鉛筆硬度H以上であることが確認された。
本発明は、液晶表示装置(LCD)、プラズマディスプレイパネル(PDP)、エレクトロルミネッセンスディスプレイ(ELD)、陰極管表示装置(CRT)などの画像表示装置に利用可能である。
1 平板状粒子
10 平板状無機層状化合物粒子
10s,10r 主面(表面)
20 グラフト部
20p グラフト部の端部
30、50 偏光板保護フィルム(光学フィルム)
31 基材
32 ハードコート層(フィルム)
40 偏光子
60 光学異方性層
100 偏光板(フロント側)
130,160 液晶セル上電極付き基板
180 偏光板(リア側)
200 液晶セル
300 液晶表示装置
,I 開始剤
繰り返し単位
多官能モノマー
R ラジカル性反応基

Claims (11)

  1. 3つ以上の重合性基を有するモノマーを基礎とする繰り返し単位が1〜4単位連結してなるグラフト部が、平板状無機層状化合物粒子の少なくとも1つの主面に結合されてなる平板状粒子と、
    多官能モノマーと、
    該多官能モノマーと前記平板状粒子との重合反応を開始する重合開始剤と、
    を含むハードコート層形成用組成物を重合させてなるフィルムの少なくとも1層が基材上に積層されてなる偏光板保護フィルム。
  2. 前記平板状粒子の前記グラフト部の端部にラジカル性反応基を有する請求項1記載の偏光板保護フィルム
  3. 前記平板状無機層状化合物粒子の前記主面の円相当径が100nm以上5μm以下である請求項1または請求項記載の偏光板保護フィルム
  4. 前記平板状無機層状化合物粒子のアスペクト比が100以上である請求項1〜請求項いずれか1項記載の偏光板保護フィルム
  5. 前記重合性基がアクリロイル基またはメタクリロイル基である請求項1〜請求項いずれか1項記載の偏光板保護フィルム
  6. 前記グラフト部が前記3つ以上の重合性基を有するモノマーをリビングラジカル重合して形成されてなる請求項1〜請求項いずれか1項記載の偏光板保護フィルム
  7. 前記リビングラジカル重合が原子移動リビングラジカル重合またはニトロキシドを介したリビングラジカル重合である請求項6記載の偏光板保護フィルム
  8. 前記平板状無機層状化合物粒子の前記主面が前記フィルムの表面に対して45°以下の角度で配向してなる請求項1〜請求項7のいずれか1項に記載の偏光板保護フィルム
  9. 前記基材がセルロースエステルを主成分とする請求項1〜請求項8のいずれか1項に記載の偏光板保護フィルム
  10. 偏光子と、該偏光子の少なくとも一表面に請求項1〜請求項9のいずれか1項に記載の偏光板保護フィルムを備えてなる偏光板。
  11. 一対の偏光板と、該一対の偏光板に挟持されてなる液晶セルを有する液晶表示装置であって、前記一対の偏光板の少なくとも1つが請求項10に記載の偏光板である液晶表示装置。
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