JP6474751B2 - セルインバータユニット - Google Patents

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Description

本発明の実施形態は、セルインバータユニットに関する。
近年、省エネルギーやCO2排出量削減を目的としてインバータなどの電力変換装置によるモータなどの機器制御が一般となっている。その中でも高電圧機器向け三相電力変換装置においては、特開平11−122943に示されるようなダイオードなどの整流素子、コンデンサ、IGBTなどのスイッチング素子から成る、単相のセルインバータユニットを相ごとに直列多段接続することにより、高電圧出力を可能にした電力変換装置が実用化されている。電力変換装置には省スペース、適用範囲の拡大、低コスト化といった市場要求に応じるための小型化、大容量化、かつ、安価に構成することが求められており、このためにはインバータユニットの小型化、大容量化が不可欠であるが、これに伴う熱密度の増加といった課題を安価にかつ効率的に解決する必要があった。
図9は、従来のセルインバータユニット1bを構成するIGBT20c・20d、コンデンサ40e(40e1〜40e12の総称)及びダイオード30d〜30fなどの素子の配置図の一例である。セルインバータユニット1bは、仕切板50dによって上部及び下部に区分される。上部には、熱損失が小さい素子30d〜30f及び熱損失が大きい素子20c・20dが配置され、下部には、複数のコンデンサ40eが配置される。
上記素子を冷却するための風向きの方向(通風方向)が、図示した前(正面側、上流)から後(背面側、下流)の場合、ヒートシンク10c上に、通風方向上流から下流に向かって熱損失が小さい素子30d〜30f及び熱損失が大きい素子20c・20dが順に配置される。この配置方法によれば、熱損失が大きい素子20c・20dの発熱量に比べて発熱量の少ない熱損失が小さい素子30d〜30fが通風方向上流に配置されるため、熱損失が大きい素子20c・20dを冷却する風の温度上昇を抑えることができ、熱損失が大きい素子20c・20dを冷却する上で好適である。
図示した例では、上部に、上述した熱損失が小さい素子30d及び熱損失が大きい素子20dが配置され、下部に複数のコンデンサが上下に整列した状態で配置されており、上部に配置された熱損失が大きい素子20dの発熱量及び下部に配置されたコンデンサ40dの発熱量は、仕切板50dにより互いに影響しないように工夫されている(例えば、特許文献1参照。)。
特開2005−45935号公報
しかしながら、上述した従来のセルインバータユニットでは、以下の課題がある。
(1)大容量のセルインバータユニットでは、大きくかつ熱抵抗の低いヒートシンクが必要となるが、市場での流通量が少ないため、高価になる。
(2)ヒートシンク内の同一流路上に複数の素子が配置されるため、上流の素子で温められた冷却風で下流の素子を冷却することになり、素子及び冷却風の温度のアンバランスが生じる。
(3)セルインバータユニットは上部のヒートシンクと素子で構成される部分と、下部のコンデンサで構成される部分とで、冷却風の流路がそれぞれ別々になっている(図9参照)。上部の流路1と下部の流路2とでは構造が大きく異なることに依り、それぞれの冷却風量のアンバランスが生じる。このアンバランスを改善して素子を効率的に冷却するためには、素子冷却から必然的に定まる上部の冷却風量に対応して、下部のコンデンサ部分の通風量を調整することが必要になり、高度な技術が必要になる。
本発明は、上述した課題を解決するためになされたもので、以下の特徴を有する。
(1)より小型かつ汎用的で流通量の多いヒートシンクが採用でき、低価格化が可能になる。
(2)冷却風の流路における上流側の素子の発熱の影響を分散することを可能とし、冷却風の温度のアンバランスが小さくなる。
(3)セルインバータユニット内の機器配置を機能単位に直列に構成し、上下に分かれていた冷却風の流路を統合することでインバータユニット内風量のアンバランスを軽減し、全ての素子をバランスよく冷却することが可能となる。
従って、本発明は、上記(1)〜(3)の特徴を有するセルインバータユニットを提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明の請求項記載のセルインバータユニットは、流路に沿って風が流れる通風方向上流側に、発熱量の小さい素子を配置した第1のヒートシンクと、前記第1のヒートシンクの下流に、流路に沿って整列配置した複数のコンデンサと、前記複数のコンデンサの下流に、発熱量の大きい素子を配置した第2のヒートシンクと、を備え、これらをインバータユニットとして一体に構成するとともに、第一のヒートシンクと複数のコンデンサ部と第2のヒートシンクを同一の風洞を介して冷却することを特徴とするセルインバータユニット。
この発明によれば、セルインバータユニットを構成するヒートシンクを2つに分け、一方のヒートシンクを通風方向上流側に設け、当該ヒートシンクに熱損失が小さい素子を配置し、他方のヒートシンクを通風方向下流側に設け、当該ヒートシンクに熱損失が大きい素子を配置し、その間にコンデンサを配置することにより、上流側ヒートシンクを通過して温度アンバランスが生じた冷却風がコンデンサ周囲を通りぬける間に混ざり合い、冷却風の温度アンバランスが小さくなるため、素子冷却の効率を改善することができる。
本実施例に係るセルインバータユニットの構成図。 実施例1に係るコンデンサを整列配置した場合の風の流路及び風速分布を示す図。 実施例2に係るコンデンサを千鳥配置した場合の風の流路及び風速分布を示す図。 実施例3に係るコンデンサを千鳥配置し、かつ、整風板を組み合わせた場合の風の流路及び風速分布。 コンデンサ配置方法による、風速分布、圧力損失・風速標準偏差を示す図。 コンデンサピッチに対する風速、風速分布標準偏差図。 実施例4に係る熱損失が小さい素子用ヒートシンクのフィンの高さを抑えることによる効果を説明する図。 実施例2に係るユニット全面への用品配置自由度を向上したセルインバータユニットの構成図。 従来のセルインバータユニットの構成図。
以下、図面を参照して本発明の実施例について説明する。図1は、本実施例に係るセルインバータユニット1の構成図である。図1(1)はセルインバータユニット1の平面図であり、図1(2)は、図1(1)の側面図である。図示した前はセルインバータユニット1の正面側で風が流れる方向(通風方向)の上流側であり、図示した後は背面側で、風は、図示しない送風手段により正面側から背面側に向かって図示矢印方向に流れるものとして以下説明する。また、インバータユニットはダイオード、コンデンサ、及びIGBTなどの素子によって構成される。
インバータユニット1は、正面側から背面側に向かって、ヒートシンク10a(第1のヒートシンク)、ヒートシンク10aの上部に圧接された素子30a〜30c、コンデンサ40a(40a1〜40a3のグループ総称)〜40d(40d1〜40d3のグループ総称)、整風板50a〜50c及びヒートシンク10b(第2のヒートシンク)の上部に圧接された素子20a・20b(スイッチング用半導体素子)を有して構成される。
コンデンサ40a(40a1〜40a3のグループ総称)、40b(40b1〜40b3のグループ総称)、40c(40c1〜40c3のグループ総称)及び40d(40d1〜40d3のグループ総称)は、当該グループごとに通風方向の上流から下流に向かって整列配置される。
整風板50a〜50cは、平面板状態で構成され、上記通風方向最下流に配置されたコンデンサ40d1と壁面及びヒートシンク10bの間に50aを、コンデンサ40d2とコンデンサ40d1及びヒートシンク10bの間に50bを、コンデンサ40d3とコンデンサ40d2及びヒートシンク10bの間に50cを、回動可能に配置される。整風板50a〜50cをこのように配置することにより、通風方向上流から下流に向かって流れる風の一部を、コンデンサ40d1〜40d3の通風方向下流側に流すことが可能になる。
整風板50a〜50cの回動角度は、上述した要件の下で、セルインバータユニット1を構成する構成部品が配置された態様で、通風分布を計測又はシミュレーションした結果に基づいて冷却効率のよい回動角度が設定される。以下、コンデンサ40a〜40dの配置位置に基づく実施例を説明する。
図2は、実施例1に係るコンデンサ40a〜40dを整列配置した場合の風の流路及び風速分布を示す図である。図2(1)はコンデンサ40a〜40dを整列配置した場合の風の流路を示す図である。本実施例では、風向きが前(正面側、上流側)から後(背面側、下流側)であり、正面側から背面側に向かってコンデンサ40a(40a1〜40a3の総称)、40b(40b1〜40b3)、40c(40c1〜40c3)及び40d(40d1〜40d3)が整列配置される。
この場合、コンデンサ40a1と40a2の間、及びコンデンサ40a2と40a3の間に風の流路が形成される。
図2(2)は、コンデンサ40a〜40cを整列配置した場合の風速分布を示す図である。ここで示したコンデンサ40a(40a1〜40a4)、40b(40b1〜40b4)及び40c(40c1〜40c4)は、図2(1)に示すコンデンサの整列配置形態(3行4列)と異なるが(図2(2)ではコンデンサの配置が4行3列になっている。)、本発明に係る本質的な違いはない。
図示した解析結果は風速を表しており、色が明るい箇所(明)は風速が大きく、色が暗い箇所(暗)は風速が小さい。風速が大きい(明)部分の周囲は冷却風が奪う熱量が大きいため、よく冷えるが、風速が小さい(暗い)部分の周囲は冷却風が奪う熱量が小さいため、冷えにくい。
以下、図示した測定点P1、P2についての風速は以下のようになる。
(1)測定点P1:暗(風速小、風通り難い)
(2)測定点P2:明(風速大、風通り易)
(2)測定点P3 暗(風速小、風通り難い)
上述したように、コンデンサ整列配置での結果を見ると、前(正面側)から見てコンデンサ40a〜40dの左右付近は風速が大きく、よく冷却されるが、コンデンサ40a〜40dの背面側は風速が小さく、冷却されにくい。このことから、効果的な冷却ができていない事がわかる。
また、最後のコンデンサ列を通り抜けた冷却風は、回りこむことなくヒートシンクのフィン部(図2(2)参照)を通り抜けるため、コンデンサ背面(上記測定点P3)の冷却ができないだけでなく、ヒートシンクフィン部の風量及び温度の差が生じてしまい、ヒートシンクに圧接した素子の冷却に影響をおよぼす。本実施例に係るコンデンサ整列配置の場合には、後述する実施例2又は実施例3に比べて風量及び温度差が顕著に表れる。この結果、コンデンサ冷却効率が十分とはいい難い。
以上の説明であきらかなように、風の通りやすさにとって、風の流路幅の安定は重要なファクターである。流路が直線的であっても、流路幅が増減を繰り返す場合、流路幅が広い部分で左右に広がった風が、流路幅が狭い部分で狭められるため、その箇所で風の渋滞が発生し、風が通りにくく(=圧力損失が高く)なる。流路幅が一定の場合、多少流路が狭くても風の渋滞は発生せず、風は通りやすい(=圧力損失は低い)。風が通りにくい(=圧力損失が高い)ユニットで、風が通りやすい(=圧力損失が低い)ユニットと同じ風量を得ようとすると、より大きなファンが必要となってしまう。
コンデンサを整列配置した場合、風上から風下に向かって流路幅が増減を繰り返すため、風が通りにくい(=圧力損失が高い)ことが分かる。
図3は、実施例2に係るコンデンサ40a〜40dを千鳥配置した場合の風の流路及び風速分布を示す図である。図3(1)はコンデンサ40a〜40dを千鳥配置した場合の風の流路を示す図である。本実施例では、風向きが前(正面側、上流側)から後(背面側、下流側)であり、正面側から背面側に向かってコンデンサ40a(40a1〜40a3の総称,40aグループ)、40b(40b1〜40b3、40bグループ)、40c(40c1〜40c3、40cグループ)及び40d(40d1〜40d3、40dグループ)が千鳥配置される。
この場合、例えば、コンデンサ40a1と40a2の間に形成された流路a及びコンデンサ40a2と40a3の間に形成された流路bに付いて説明する。
流路aを通り流れる風(冷却風)は、コンデンサ40a1・40a2の背面、40b1・40b2の背面及び40c1・40c2の背面にも流れる。
同様に流路bを通り流れる風は、コンデンサ40a2・40a3の背面、40b2・40b3の背面及び40c2・40c3の背面にも流れる。
図3(2)は、コンデンサ40a〜40cを千鳥配置した場合の風速分布を示す図である。ここで示したコンデンサ40a(40a1〜40a3)、40b(40b1〜40b3)40c(40c1〜40c3)及び40d(40d1〜40d3)は、図3(1)に示すコンデンサの千鳥配置における風速分布を示す。
図2(2)に示す整列配置の場合の風速分布図では、コンデンサの風向きに対して背面部分に該当する測定点P1、P3の風速は小さく、風は通り難かったが、図3(2)に示す千鳥配置にすることにより、コンデンサの風向きに対して背面部分に該当する測定点P4、P5で示す部分の風速は大きく、風は通り易い。
コンデンサ千鳥配置での結果を見ると、コンデンサの周囲全体の風速が大きく、効果的に冷却されていることが分かる。これは、コンデンサを千鳥状に配することで、前列のコンデンサ間を抜けた冷却風が、後列のコンデンサにぶつかり、左右に分かれながら進むようになる。左右に分かれた冷却風は、前列のコンデンサの背後を通過する。このことからコンデンサの側面だけでなく正面・背面でも大きな風速を得ることができるため、効果的な冷却が可能である。また、このような流路で冷却風が通過することにより冷却風が混ざり合い、温度を均一化することが可能である。
この結果、図2(2)に示す整列配置におけるコンデンサの風向きに対する背面部分の冷却不足を改善することができ、ヒートシンク10aを通る間に生じた冷却風の温度アンバランスを軽減することが可能である。
しかしながら、最後のコンデンサ列を通り抜けた冷却風は、回りこむこと無くヒートシンク10bへ入ってしまうため、通風方向最下流に配置されたコンデンサ40d背面の冷却ができないだけでなく、ヒートシンク10bのフィン部に入る風量及び温度の差が生じてしまい、ヒートシンク10bに圧接した素子の冷却に影響を及ぼす。
実施例1で示したように、コンデンサを整列配置した場合、風上から風下に向かって流路幅が増減を繰り返すため、風が通りにくい(=圧力損失が高い)ことが分かる。それに対し、本実施例2で示したように、コンデンサを千鳥状に配置した場合、整列配置と比べて流路幅は安定しているため、風が通りやすい(=圧力損失が低い)ことが分かる。これにより、コンデンサ千鳥配置は冷却風が通りやすく、冷却効率が高いユニット構造であると言える。
しかしながら、風向きに対して最下流に配置されたコンデンサ40d(40d1〜40d3)の、風向きに対して背面部分に該当する測定点P6で示す部分の風速は小さく、風は通り難いという課題があった。
図4は、実施例3に係るコンデンサ40a〜40dを千鳥配置し、かつ、整風板50a〜50cを組み合わせた場合の風の流路及び風速分布を示す図である。図4(1)は、コンデンサ40a〜40dを千鳥配置し、かつ、整風板50a〜50cを組み合わせた場合の風の流路を示す図である。図4(2)は、コンデンサ40a〜40dを千鳥配置し、かつ、整風板50a〜50cを組み合わせた場合の風速分布を示す図である。
図4に示すコンデンサの千鳥配置に関しては図3に示す千鳥配置と同一配置である。図3の千鳥配置では、風向きに対して最下流に配置されたコンデンサ40d(40d1〜40d3)の、風向きに対して背面部分に該当する測定点P6で示す部分の風速は小さく、風は通り難いという課題があった。この課題を解決するために、本実施例3では、上述した位置に整風板50a〜50cを回動可能に配置した。
この整風板50a〜50cによって冷却風はコンデンサ40dの背面へ流れ込みコンデンサ40dを冷却しつつ、ヒートシンク10bのフィン部に均等に冷却風が入るようになる。これによってユニット全体を均等に冷却することが可能となることから、冷却効率が高いユニット構造であるといえる。
以下、本実施例に係る整風板50a〜50cの設置要件及びその効果を説明する。
(1)整風板の配置要件
通風方向最後尾に配置されたコンデンサ40d1〜40d3とIGBT20a・20bとの間に生じたスペースの大きさに応じたサイズの整風板50a〜50cを床面から30°〜45°の角度で設置する。
(2)整風板の効果
a.風が流れにくい最後尾のコンデンサ40d1〜40d3背後に風を送り込むことで、全てのコンデンサ40dを効果的に冷却することができる。
b.風が流れにくい最後尾のコンデンサ40d1〜40d3背後に風を送り込むことで、ヒートシンク10bに流れる風速を均等化することができる。
c.上記スペースに応じた整風板の大きさにすることで、ヒートシンク10bに流れる風速を均等化することができる。
d.整風板50a〜50cの角度を鋭角にすることで、ヒートシンク10bに流れる風速を均等化することができる。
図5は、コンデンサ配置方法による、風速分布、圧力損失・風速標準偏差を示す図である。図5(1)は、コンデンサ配置方法による風速分布の比較を示す図である。図中a、b、c、は以下の配置位置を示す。
a コンデンサ千鳥配置+整風板
b コンデンサ千鳥配置
c コンデンサ整列配置
図中横軸は、図2(2)、図3(2)及び図4(2)に示すX軸、Y軸の原点(高さ方向の中心点)からY軸方向の距離(mm)を示す。縦軸は、風速(mm/s)を示す。
この図から以下のことがわかる。
(1)コンデンサ整列配置(c)の場合
この場合は、正面側通風口の上下端は風速が大きく、コンデンサ整列配置されている内側の風速は小さく、コンデンサの配置位置による風速の変化が最も大きい。
(2)コンデンサ千鳥配置(b)の場合
この場合は、上記コンデンサ整列配置(c)に比べて風速の変化は大きくない。コンデンサを千鳥配置しているため、正面側通風口の下端にはコンデンサがあり、圧力損失を生ずるため、風速が抑えられるが、正面側通風口の上端にはコンデンサがないため、風速は大きくなる。
(3)コンデンサ千鳥配置+整風板(a)の場合
この場合は、上記c及びbの何れの場合に比べても風速の変化は小さい。これは、コンデンサの千鳥配置によって、コンデンサの周辺の風速が均一化され、風速変動が少なくなったのに加え、通風方向最下流のコンデンサ40dの背面部分の風密度が風圧板を配置することにより風密度の密状態が緩和され、結果として正面側通風口の風速分布が均一化されると考えられる。
図5(2)は、圧力損失及び風速標準偏差を示す図である。上記a、b、cの場合の圧力損失(風圧損失)及び風速標準偏差は以下の通りである。
圧力損失 :c>b>a
風速標準偏差:c>b>a
図6は、コンデンサピッチに対する流量、風速分布標準偏差図である。図6(1)は、コンデンサピッチ(第1の距離)を説明する図である。コンデンサピッチとは、一方のコンデンサと隣接配置される他方のコンデンサとの間の距離A及び距離Bを確保するための距離D(ピッチDと称する。)(第1の距離)をいう。
図6(2)は、図6(1)で定義されたコンデンサピッチを変えた場合の風速分布比較図である。図中横軸は、図2(2)、図3(2)及び図4(2)に示すX軸、Y軸の原点(高さ方向の中心点)からY軸方向の距離(mm)を示す。縦軸は、風速(mm/s)を示す。この図から以下のことがわかる。
(1)正面側通風口の上下端は風速が大きい。
(2)コンデンサピッチが大きくなると、例えば85mm(=a)の場合、75mm(=e)の場合に比べて正面側通風口の上下端の風速変化が少ない。
図6(3)は、コンデンサピッチに対する風速分布標準偏差を示す図である。図中aは標準偏差であり、図中b.は、図6(1)における距離Aと距離Bとの差を示す。この図から以下のことがわかる。
(1)コンデンサピッチは81mm以上になると風速分布標準偏差が小さくなりコンデンサの配置位置による風速の変動が少ないことを示す。
(2)しかしながら、距離Aと距離Bとの差が3mmのとき風速分布標準偏差が最小値を示す。
(3)上記(1)及び(2)から、コンデンサピッチは、距離Aと距離Bとの差が3mm以上10mm程度以下で、コンデンサピッチが78mm〜84mm程度の時が風速の変化が少なくコンデンサの配置に最も適していることがわかる(図6(3)参照)。
図7は、本実施例に係るヒートシンクを2分割したことによる効果を示す図である。図9に示す従来のセルインバータユニット1bでは、1個のヒートシンク10cにダイオード30d〜30f及びIGBT20c、20dが配置されている。
本実施例では、すでに説明したように、通風方向上流側に、熱損失が小さい素子30a〜30cをヒートシンク10aに配置し、通風方向下流側に、熱損失が大きい素子20a・20bをヒートシンク10bに配置し、その間にコンデンサ40a〜40dを千鳥配置することにより、冷却風のアンバランスを軽減し、冷却効率を改善することができるセルインバータユニット1aを提供する。
以下、本実施例に係るヒートシンクの分割配置要件及びその効果を示す。
(1)ヒートシンクの分割配置要件
熱損失が小さい素子用ヒートシンク10aと熱損失が大きい素子用ヒートシンク10bの2個のヒートシンクを設け、その間にコンデンサ40a〜40dを配置する。
(2)ヒートシンクの分割配置の効果
a.熱損失が小さい素子用ヒートシンク10aと熱損失が大きい素子用ヒートシンク10bを分離配置することができるため、熱損失が大きい素子20a・20bと熱損失が小さい素子30a〜30cの発熱が直接影響することを抑制することができる(ヒートシンク分割による効果)。
b.コンデンサ40a〜40dを千鳥配置することにより、熱損失が小さい素子用ヒートシンク10aを通る間に温度アンバランスが生じた冷却風が混ざり合い、熱損失が大きい素子用ヒートシンク10bに入る冷却風の温度が均等化されるため(温度均等化効果)、熱損失が大きい素子20a・20b及び熱損失が小さい素子30a〜30cの配置自由度が向上する(コンデンサを間に配置する効果)。
c.また、正面側からインバータユニット1aに流入する通風がアンバランスであっても、上記コンデンサの千鳥配置による均等化効果により、コンデンサから熱損失が大きい素子用ヒートシンク10bに流出する通風は均等化され、熱損失が大きい素子の冷却の好適である。
図8は、実施例4に係る熱損失が小さい素子用ヒートシンクのフィンの高さを抑えることによる効果を示す図である。
図8に示す熱損失が小さい素子用ヒートシンク11aは、図1(1)に示すセルインバータユニット1を構成する熱損失が小さい素子用ヒートシンク10aの形状に比べて小さい。
熱損失が小さい素子は熱損失が大きい素子に比べて必要な冷却能力は小さいため、ヒートシンクのフィン高さを抑えることが可能になる。実施例4に係る図8に示す熱損失が小さい素子用ヒートシンク11aの形状は、図1に示す熱損失が小さい素子用ヒートシンク10aの形状に比べて50%程度の大きさにすることが可能になる。すなわち、熱損失が小さい素子用ヒートシンク11aの形状を小さくすることにより、当該熱損失が小さい素子用ヒートシンク11aの風圧による損失(圧力損失)を小さくすることができる。その結果、正面側から背面側に流れる風量が多くなり、冷却効率が改善される。
以上説明したように、本実施例によれば、熱損失が小さい素子用ヒートシンク11aの形状を小さくすることにより、当該熱損失が小さい素子用ヒートシンク11aの圧力損失を小さくすることができる。その結果、正面側から背面側に流れる風量が多くなり、冷却効率が改善される。
1、1a、1b セルインバータユニット
10a、10b、10c ヒートシンク
20a、20b 熱損失が大きい素子
30a〜30c 熱損失が小さい素子
40a1〜40a3 コンデンサ
40b1〜40b3 コンデンサ
40c1〜40c3 コンデンサ
40d1〜40d3 コンデンサ
50a〜50c 整風板

Claims (6)

  1. 流路に沿って風が流れる通風方向上流側に、熱損失の小さい素子を配置した第1のヒートシンクと、
    前記第1のヒートシンクの下流に、流路に沿って整列配置した複数のコンデンサと、
    前記複数のコンデンサの下流に、熱損失の大きい素子を配置した第2のヒートシンクと、を備え、これらをインバータユニットとして一体に構成するとともに、第一のヒートシンクと複数のコンデンサ部と第2のヒートシンクを同一の風洞を介して冷却することを特徴とするセルインバータユニット。
  2. 通風方向に対して垂直方向に複数のコンデンサを配置してグループを形成し、当該グループを通風方向上流から下流に向かって複数グループ千鳥配置したことを特徴とする請求項1記載のセルインバータユニット。
  3. 前記千鳥配置は、
    一方のグループの1つのコンデンサの中心から直近に配置された他方のグループの対応する1つのコンデンサの中心までの第1の距離と、
    前記一方のグループの1つのコンデンサの表面から直近に配置された他方のグループの対応する1つのコンデンサの表面までの第2の距離と、
    前記第1の距離及び前記第2の距離で、当該千鳥配置の流路が設定されるとき、当該流路を流れる風の風速分布の標準偏差が小さい値になるように前記第1の距離及び前記第2の距離を設定することを特徴とする請求項2記載のセルインバータユニット。
  4. 前記コンデンサを通風方向に対して垂直方向に複数のコンデンサを配置してグループを形成し、当該グループを通風方向上流から下流に向かって複数グループ千鳥配置し、
    さらに、通風方向最後尾に配置されたグループを構成するコンデンサと、当該コンデンサの通風方向下流に配置された前記第2のヒートシンクとの間に、整風板を設置したことを特徴とする請求項1乃至請求項3記載のセルインバータユニット。
  5. 前記整風板は、床面から30°〜45°の角度で設置したことを特徴とする請求項4記載のセルインバータユニット。
  6. 前記第1のヒートシンクの形状を前記第2のヒートシンクの形状より小さくし、前記第1のヒートシンクによる風圧損失を軽減したことを特徴とする請求項1又は請求項4記載のセルインバータユニット。
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