JP6474254B2 - 浸水防止構造 - Google Patents
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Description
請求項8に記載の浸水防止構造は、請求項1から7のいずれか一項に記載の浸水防止構造において、複数の前記下方差込部材を、前記開閉体の幅方向に沿って並設した。
まず、実施の形態の基本的概念について説明する。実施の形態は、概略的に、建物の床面と、建物の壁の開口部を開閉する開閉体(例えば後述するシャッターカーテン)の下端部との相互間の下方隙間から水が浸入することを防止する、浸水防止構造に関するものである。
次に、各実施の形態の具体的内容について説明する。
まず、実施の形態1に係る浸水防止構造について説明する。この実施の形態1は、下方差込部材全体の縦断面形状をくさび状とした形態である。
最初に、実施の形態1に係る浸水防止構造が適用されるシャッターの構成について説明する。図1は、本発明の実施の形態1に係るシャッターを示す図であり、(a)は正面図、(b)は(a)のA−Aの矢視断面図である。図2は、図1の扉のB−B矢視断面図である。なお、以下の説明では、図1のX方向をシャッターの左右方向(−X方向をシャッターの左方向、+X方向をシャッターの右方向)、図1のY方向をシャッターの前後方向(+Y方向をシャッターの前方向(建物の外側の方向)、−Y方向をシャッターの後方向(建物の内側の方向))、図1のZ方向をシャッターの上下方向(+Z方向をシャッターの上方向、−Z方向をシャッターの下方向)と称する。
ガイドレール14は、シャッターカーテン30を開口部3の開閉方向(すなわち、上下方向)に沿って移動するように案内するものである。このガイドレール14は、横断面形状が略コ字状となるように形成された長尺体であり、シャッター1の左右の各端部において、上下方向に略沿う方向で配置されており、建物の左壁11(又は右壁12)に対して直接的に固定されたり、又は下地材(図示省略)を介して間接的に固定されている(すなわち、躯体2に対して直接的又は間接的に固定されている)。
シャッター収納部20は、シャッター1の各部を収納するための中空体であり、建物の上壁13の近傍位置に取り付けられている。このシャッター収納部20の内部には、開閉機と、巻き取り軸50とが収容されている。また、巻き取り軸50にてシャッターカーテン30が巻き取られた状態では、シャッターカーテン30の少なくとも一部も、シャッター収納部20の内部に収容される。このシャッター収納部20の下側部において、シャッターカーテン30を中心とする建物の外側及び内側には、まぐさ(図示省略)が固定されている。これらまぐさの相互間には、開口部3の左右方向全長にわたるまぐさ開口(図示省略)が形成されており、このまぐさ開口を介してシャッターカーテン30の出し入れが行われる。
シャッターカーテン30は、巻き取り軸50によって巻き取り又は巻き出しされることで、開口部3を全開した状態、開口部3を全閉した状態、あるいは半開状態とする遮蔽手段である。図2に示すように、このシャッターカーテン30は、複数のスラット30aを備えて構成されており、各スラット30aの上下の両端部には嵌合部30bが設けられている。この嵌合部30bは、複数のスラット30aを相互に嵌合接続するために各スラット30aの上下の両端部に設けられたもので、これら両端部を屈曲させることによって形成されている。また、このシャッターカーテン30の左右方向の両端部の各々は、ガイドレール14のコ字状の開放端部を介してガイドレール14の内部に挿入されており、上下方向においてはガイドレール14の内部をスライド移動可能であり、かつ、前後方向においてはガイドレール14の外部に脱落しないように規制されている。
開閉機は、巻き取り軸50を回転駆動することによって電動でシャッターカーテン30を昇降させる昇降手段であり、操作スイッチやリモコン(いずれも図示せず)を介して操作される。
次に、シャッター1の構成の詳細について説明する。図3は、図2の下方領域の拡大図である。図2、図3に示すように、このシャッター1は、開口部全閉状態において、建物の床面と座板31の下端部との相互間の隙間32(以下、「下方隙間32」と称する)、左側のガイドレール14とシャッターカーテン30の左側端部との相互間の隙間33(以下、「左側方隙間33(側方隙間)」と称する)、及び右側のガイドレール14とシャッターカーテン30の右側端部との相互間の隙間34(以下、「右側方隙間34(側方隙間)」と称する)から、水が浸入することを防止するための浸水防止構造を備えている。この浸水防止構造は、防水シート60と、下方差込部材70と、側方差込部材80と、押圧部材90とを備えて構成されている。以下では、この浸水防止構造について説明する。
最初に、防水シート60について説明する。この防水シート60は、開口部全閉状態において、下方隙間32を覆うことにより、この下方隙間32から水が浸入することを防止するための防水手段である。この防水シート60は、略矩形状のシート状体であり、例えば公知の防水シート(具体的には、表側はナイロンで構成され、裏側はポリウレタンで構成された防水シート等)を用いて構成されている。
次に、下方差込部材70について説明する。図4は、下方差込部材70を示す図であり、(a)は平面図、(b)は背面図、(c)は底面図、(d)は(b)の下方差込部材70のC−C矢視断面図である。下方差込部材70は、開口部全閉状態において、下方隙間32に差し込むためのものである。この下方差込部材70が設けられた理由は、以下の通りである。すなわち、押圧部材90のみで防水シート60を建物の床面に対して押圧することにより、流水によって防水シート60がめくり上がることを防止することも考えられる。しかしながら、この場合には、流水の流れが強くなるに伴って、押圧部材90の重量を増やす必要があることから、浸水防止構造の設置性を低下させる可能性があった。そこで、この問題を解消するために、下方差込部材70が設けられている。この下方差込部材70は、図1、図2に示すように、開口部全閉状態において、下方隙間32に左右方向に沿って複数個差し込まれている。より具体的には、一部を除いて、複数の下方差込部材70が相互に隙間なく差し込まれている。これら複数の下方差込部材70は相互に同一に構成することができるので、以下では、一つの下方差込部材70について代表的に説明する。この下方差込部材70は、図3、図4に示すように、本体部71と、密着部75とを備えている。
本体部71は、下方差込部材70の基本構造体である。この本体部71は、中実体(又は中空体)にて形成されており、開口部全閉状態において、本体部71の少なくとも一部が下方隙間32に差し込まれる。なお、以下では、本体部71の端部のうち、下方隙間32に差し込まれる側の端部72を、「下方差込端部72(差込端部)」と称する。
密着部75は、防水シート60の一部を建物の床面に対して密着させるものである。この密着部75が設けられた理由は、以下の通りである。すなわち、下方差込部材70が本体部71のみを備えた場合には、建物の床面の形状が凹凸状である場合に、建物の床面の形状が平坦状である場合に比べて、本体部71と建物の床面とを密着させづらくなるので、建物の床面と防水シート60との相互間の隙間から水が浸入する可能性があった。そこで、この問題を解消するために、密着部75が設けられている。この密着部75は、中空管状体であり(又は、中実体であってもよい)、本体部71の左右方向全長にわたって形成されている。また、この密着部75は、本体部71の収容空間74aに収容されており、具体的には、密着部75を防水シート60を介して建物の床面に確実に接触させることができるように、密着部75の一部が収容空間74aから下方に向けて突出するように収容されている。この場合において、密着部75と第2切欠部74との形状の関係については任意であるが、実施の形態1においては、開口部全閉状態において、下方隙間32に下方差込部材70が差し込まれることにより、密着部75が本体部71によって押圧されることで押圧変形した場合に、この押圧変形した密着部75が収容空間74aからはみ出さないように、これら密着部75及び第2切欠部74の形状が設定されている。これにより、密着部75が押圧変形した場合でも、この押圧変形した密着部75が収容空間74aからはみ出すことを抑制できるため、本体部71を建物の床面に対して安定して支持することが可能となる。
側方差込部材80は、開口部全閉状態において、左側方隙間33及び右側方隙間34の各々に差し込むものである。この側方差込部材80が設けられた理由は、以下の通りである。すなわち、防水シート60を固定する方法として、例えば、防水シート60の横方向の端部の各々に固定部材を取り付けると共に、建物の左壁11及び右壁12の各々に取付ネジによって保持部材を取り付けて、防水シート60を固定部材を介して保持部材に対して固定する方法が考えられる。しかしながら、この方法では、保持部材を取り付けるための取付穴を左壁11及び右壁12の各々に設けておく必要があり、この取付穴を左壁11及び右壁12の各々に設けるための準備工事を行わなければならないことから、設置に手間がかかる可能性があった。そこで、この問題を解消するために、側方差込部材80が設けられている。この側方差込部材80は、例えばゴム等の樹脂製のブロック状体にて形成されており、図1、図2に示すように、開口部全閉状態において、左側方隙間33及び右側方隙間34の各々に差し込まれている。
押圧部材90は、防水シート60を押圧するためのものである。この押圧部材90が設けられた理由は、以下に示す通りである。すなわち、シャッター1としては様々な幅のものがあるため、各幅に応じて異なる下方差込部材70を形成することも考えられるが、製造コスト低減等のためには、各幅に共通に使用することができるように下方差込部材70を形成することがより好ましい。そこで、実施の形態1においては、左右方向の長さ(幅)が異なる2種類の下方差込部材70(例えば、幅=300mm程度の下方差込部材70、及び幅=600mm程度の下方差込部材70等)とを、シャッター1の幅に応じた数だけ組み合わせることで、これら複数の下方差込部材70を下方隙間32に隙間なく差し込むこととしている。この際、上記2種類の幅の下方差込部材70のうち、いずれを優先的に差し込んでもよい。しかしながら、この場合において、シャッター1の幅が、複数組み合わせた下方差込部材70の合計幅と同一でない限り、下方隙間32のうち、複数の下方差込部材70で埋めることができない余剰部分(具体的には、上記幅が短い下方差込部材70の左右方向の長さ(幅)よりも左右方向の長さ(幅)が短い余剰部分)が生じる場合が考えられる。そこで、この問題を解消するために、押圧部材90が設けられている。
次に、浸水防止構造の取付方法について説明する。まず、開口部全閉状態になるように、シャッターカーテン30を移動させる。次に、防水シート60と接続された側方差込部材80及び防水シート60の一部を、開口部3の幅方向(すなわち、左右方向)の中央側から左側のガイドレール14側に向けて左側方隙間33に差し込む。この際、この側方差込部材80の下端部を建物の床面に当接させる(なお、後述する防水シート60と接続されていない側方差込部材80についても同様とする)。
このように実施の形態1によれば、本体部71全体の縦断面形状をくさび状とし、開口部全閉状態において、防水シート60が、座板31の下端部と下方差込端部72とによって挟持され、且つ、下方差込端部72と建物の床面とによって挟持されるように、これら下方差込端部72及び防水シート60の一部を下方隙間32に差し込むので、防水シート60及び下方差込部材70によって、この下方隙間32から水が浸入することを防止できる。特に、部材の重量によって防水シート60を建物の床面に押圧するのではなく、部材の差し込み圧力によって防水シート60を建物の床面に圧接することができるので、流水の強さに応じて部材(下方差込部材70)の重量を増加させる必要がなく、同じ部材(下方差込部材70)を用いることができる。よって、従来技術に比べて、浸水防止のために使用される部材(下方差込部材70)の軽量化を図ることができ、浸水防止構造の設置性を高めることが可能となる。
次に、実施の形態2に係る浸水防止構造について説明する。この実施の形態2は、下方差込部材の一部の縦断面形状をくさび状とした形態である。ただし、この実施の形態2の構成は、特記する場合を除いて、実施の形態1の構成と略同一であり、実施の形態1の構成と略同一の構成についてはこの実施の形態1で用いたものと同一の符号及び/又は名称を必要に応じて付して、その説明を省略する。
まず、実施の形態2に係るシャッター1の構成のうち、浸水防止構造の構成を説明する。図5は、実施の形態2に係る浸水防止構造を示す図であって、図2の下方領域の拡大図である。図5に示すように、実施の形態2に係る浸水防止構造は、実施の形態1に係る浸水防止構造とほぼ同様に構成されている。ただし、下方差込部材70の構成については、下記に示す工夫が施されている。
次に、下方差込部材70について説明する。図6は、下方差込部材70を示す図であり、(a)は平面図、(b)は背面図、(c)は底面図、(d)は(b)の下方差込部材70のD−D矢視断面図である。図5、図6に示すように、実施の形態2に係る下方差込部材70は、本体部71と、密着部75とを備えている。
本体部71は、当該本体部71の一部のみの縦断面形状がくさび状になるように形成されており、実施の形態2においては、図5、図6(d)に示すように、本体部71における下方差込端部72から略中央部に至る部分の縦断面形状がくさび状になるように形成されている。
密着部75は、縦断面形状が略円弧状である板状体であり、本体部71の左右方向全長にわたって形成されている。また、この密着部75は、本体部71の下方差込端部72とは反対側の端部において、この密着部75の一部が本体部71から下方に向けて突出するように配置されている。また、この密着部75は、任意の材質で製造することができるが、実施の形態2においては、耐水性を有し、且つ、自己の曲げ変形により生じる復元力を防水シート60の一部に作用させることによって、この防水シート60の一部を建物の床面に対して密着させることができる材質で製造されており、具体的には、密着部75の硬度が本体部71の硬度よりも低い材質で製造されている。このような密着部75により、開口部全閉状態において、下方隙間32に下方差込部材70を差し込んだ場合に、密着部75を建物の外側に向けて曲げ変形させたときに生じる復元力を防水シート60の一部に作用させることによって、この防水シート60の一部を建物の床面に対して密着させることができるので、建物の床面と防水シート60との相互間の隙間から水が浸入することを一層抑制することが可能となる。
次に、浸水防止構造の取付方法について説明する。実施の形態2に係る取付方法は、実施の形態1に係る取付方法と同様に、まず、開口部全閉状態になるように、このシャッターカーテン30を移動させる。次に、防水シート60が接続されている側方差込部材80及び防水シート60の一部を、開口部3の幅方向(すなわち、左右方向)の中央側から左側のガイドレール14側に向けて左側方隙間33に差し込んだ後、防水シート60を所定の位置に配置する。次に、防水シート60が接続されていない側方差込部材80及び防水シート60の一部を、開口部3の幅方向の中央側から右側のガイドレール14側に向けて右側方隙間34に差し込む。次いで、複数の下方差込部材70及び防水シート60の一部を、建物の外側から内側に向けて下方隙間32に差し込む。この場合において、各下方差込部材70の密着部75によって、防水シート60における建物の床面に対向する部分のうち下方差込部材70よりも建物の外側の部分が押圧されるように、この密着部75を建物の外側に向けて曲げ変形させた状態で防水シート60に接触させる。そして、押圧部材90を防水シート60に載置する。これにて、浸水防止構造の取り付けは終了する。
このように実施の形態2によれば、下方差込部材70のうち、本体部71の一部の縦断面形状を、くさび状とし、開口部全閉状態において、防水シート60が、座板31の下端部と下方差込端部72とによって挟持され、且つ、下方差込端部72と建物の床面とによって挟持されるように、これら下方差込端部72及び防水シート60の一部を下方隙間32に差し込むので、これら防水シート60及び下方差込部材70によって、建物の床面と防水シート60との相互間の隙間から水が浸入することを防止できる。
次に、実施の形態3に係る浸水防止構造について説明する。この実施の形態3は、実施の形態2とは異なる形態であって、差込部材の一部の縦断面形状をくさび状とした形態である。ただし、この実施の形態3の構成は、特記する場合を除いて、実施の形態1の構成と略同一であり、実施の形態3の構成と略同一の構成についてはこの実施の形態1で用いたものと同一の符号及び/又は名称を必要に応じて付して、その説明を省略する。
まず、実施の形態3に係るシャッター1の構成のうち、浸水防止構造の構成を説明する。図7は、実施の形態3に係る浸水防止構造を示す図であって、図2の下方領域の拡大図である。図7に示すように、実施の形態3に係る浸水防止構造は、実施の形態1に係る浸水防止構造とほぼ同様に構成されている。ただし、下方差込部材70の構成については、下記に示す工夫が施されている。
次に、下方差込部材70について説明する。図8は、下方差込部材70を示す図であり、(a)は平面図、(b)は背面図、(c)は底面図、(d)は(b)の下方差込部材70のE−E矢視断面図である。図7、図8に示すように、実施の形態3に係る下方差込部材70は、本体部71と、密着部75とを備えている。
本体部71は、当該本体部71の一部のみの縦断面形状がくさび状になるように形成されており、実施の形態3においては、図7、図8(d)に示すように、本体部71における下方差込端部72から略中央部に至る部分の縦断面形状がくさび状になるように形成されている。また、この本体部71には、第2切欠部74が形成されている。この第2切欠部74の大きさについては任意であるが、実施の形態3においては、密着部75の一部を収容空間74aに収容可能な大きさに設定されている。
密着部75は、直方体であり、本体部71の左右方向全長にわたって形成されており、本体部71の収容空間74aにおいて、隙間なく収容されていると共に、この密着部75の一部が収容空間74aから下方に向けて突出するように収容されている。また、この密着部75は、任意の材質で製造することができるが、実施の形態3においては、耐水性を有し、自己の押圧変形により生じる復元力を防水シート60の一部に作用させることによって、この防水シート60の一部を建物の床面に対して密着させることができ、且つ、建物の床面の表面形状に応じて変形できる材質で製造されており、具体的には、密着部75の硬度が本体部71の硬度よりも低い材質(例えば、比較的硬度が低いエプトシーラ等)で製造されている。このような密着部75により、実施の形態1と同様に、開口部全閉状態において、下方隙間32に下方差込部材70を差し込んだ場合に、防水シート60の一部を建物の床面によって密着させることができるので、建物の床面と防水シート60との相互間の隙間から水が浸入することを一層抑制することが可能となる。
このように実施の形態3によれば、下方差込部材70は、自己の押圧変形により生じる復元力を防水シート60の一部に作用させることによって、この防水シート60の一部を建物の床面に対して密着させる密着部75を備えるので、実施の形態1と同様に、開口部全閉状態において、下方隙間32に下方差込部材70を差し込んだ場合に、密着部75によって防水シート60の一部を建物の床面によって密着させることができ、建物の床面と防水シート60との相互間の隙間から水が浸入することを一層抑制することが可能となる。
以上、本発明の各実施の形態について説明したが、本発明の具体的な構成及び手段は、特許請求の範囲に記載した各発明の技術的思想の範囲内において、任意に改変及び改良することができる。以下、このような変形例について説明する。
まず、発明が解決しようとする課題や発明の効果は、前記した内容に限定されるものではなく、本発明によって、前記に記載されていない課題を解決したり、前記に記載されていない効果を奏することもでき、また、記載されている課題の一部のみを解決したり、記載されている効果の一部のみを奏することがある。例えば、本発明に係る浸水防止構造の設置性が従来と同程度であっても、従来と異なる構造により従来と同程度の設置性を確保できている場合には、本願の課題は解決している。
上記実施の形態1から3では、浸水防止構造が、防水シート60と、下方差込部材70と、側方差込部材80と、押圧部材90とを備えていると説明したが、これに限られず、例えば、これらの構成要素に加えて、吸水膨張材を備えてもよい。吸水膨張材は、開口部全閉状態において、水により膨張することで下方隙間32を塞ぐためのものである。この吸水膨張材は、公知の吸水性ポリマー等を用いて構成されており、下方差込部材70の上面や下面に設置される。このような吸水膨張材により、開口部全閉状態において、下方隙間32を塞ぐことができるので、この下方隙間32から水が浸入することを一層防止することが可能となる。
上記実施の形態1から3では、開口部全閉状態において、防水シート60によってシャッターカーテン30の外側面の一部が覆われるように、当該防水シート60が配置されていると説明したが、これに限られず、例えば、防水シート60によってシャッターカーテン30の外側面の全体が覆われるように、当該防水シート60が配置されてもよい。また、上記実施の形態1から3では、開口部全閉状態において、防水シート60が下方隙間32に差し込まれた下方差込部材70よりも建物の外側に延出されていると説明したが、これに限られず、少なくとも、防水シート60が密着部75よりも建物の外側に延出されていればよい。
上記実施の形態1から3では、左右方向の長さ(幅)が異なる2種類の下方差込部材70が、下方隙間32に隙間なく複数差し込まれると説明したが、これに限られず、例えば、1種類の下方差込部材70が、下方隙間32に隙間なく複数差し込まれてもよい。
上記実施の形態1から3では、下方差込部材70の本体部71の下面のうち、建物の床面との接触部分が、平坦状に形成されていると説明したが、これに限られない。例えば、この接触部分の少なくとも一部に、凸部を設けてもよい。この凸部は、本体部71の左右方向全長にわたって形成される。また、この凸部は、任意の材質で製造することができるが、例えば、この凸部が建物の床面に密着できるように、本体部71によって押圧されることで変形できる材質にて形成されてもよく、具体的には、凸部の硬度が本体部71の硬度よりも低い材質にて形成される。このような構成により、防水シート60を介して本体部71と建物の床面とを線接触させることができるので、凸部を設けない場合に比べて、防水シート60と建物の床面との相互間の隙間から水が浸入することを抑制することが可能となる。
上記実施の形態1から3では、本体部71の下面に密着部75が設けられていると説明したが、例えば、密着部75を省略してもよい。
上記実施の形態1、3では、開口部全閉状態において、防水シート60が、座板31の下端部と本体部71の下方差込端部72とによって挟持され、且つ、この下方差込端部72と建物の床面とによって挟持されるように、これら下方差込端部72及び防水シート60の一部が下方隙間32に差し込まれていると説明したが、これに限られない。例えば、図9に示すように、防水シート60が、下方差込端部72と建物の床面とによってのみ挟持されるように、これら下方差込端部72及び防水シート60の一部が下方隙間32に差し込まれてもよい(この場合には、下方差込部材70のうち、下方隙間32に差し込まれていない部分は、防水シート60によって覆われることになる)。
上記実施の形態1から3では、押圧部材90の幅については、2種類の下方差込部材70のうち、幅が短い下方差込部材70の幅よりも若干長くなるように設定されていると説明したが、これに限られず、例えば、余剰部分の幅と略同一に設定されてもよい。
上記実施の形態1から3では、側方差込部材80及び防水シート60の一部を左側方隙間33及び右側方隙間34の各々に差し込んでから、複数の下方差込部材70及び防水シート60の一部を下方差込部材70に差し込むと説明したが、これに限られない。例えば、防水シート60と接続された側方差込部材80及び当該防水シート60の一部を左側方隙間33に差し込んでから、複数の下方差込部材70及び防水シート60の一部を下方隙間32に差し込んだ後、防水シート60と接続されていない側方差込部材80及び防水シート60の一部を右側方隙間34に差し込んでもよい。
付記1の浸水防止構造は、建物の床面と、前記建物の壁の開口部を開閉する開閉体の下端部との相互間の下方隙間から水が浸入することを防止するための浸水防止構造であって、前記開閉体によって前記開口部を全閉した状態において、少なくとも当該開閉体の外側面から前記建物の床面に至るように設けられた防水シートと、前記下方隙間に、前記建物の外側から当該建物の内側に向けて差し込むための下方差込部材と、を備え、前記下方差込部材のうち、少なくとも前記下方隙間に差し込まれる側の端部である差込端部の縦断面形状を、くさび状とし、前記開閉体によって前記開口部を全閉した状態において、前記防水シートが、前記差込端部と前記建物の床面とによって挟持されるように、当該差込端部及び当該防水シートの一部を前記下方隙間に差し込んだ。
付記1に記載の浸水防止構造によれば、請求項1に記載の浸水防止構造によれば、下方差込部材のうち、少なくとも差込端部の縦断面形状を、くさび状とし、開閉体によって開口部を全閉した状態において、防水シートが、差込端部と建物の床面とによって挟持されるように、当該差込端部及び当該防水シートの一部を下方隙間に差し込むので、防水シート及び下方差込部材によって、この下方隙間から水が浸入することを防止できる。特に、部材の重量によって防水シートを建物の床面に押圧するのではなく、部材の差し込み圧力によって防水シートを建物の床面に圧接することができるので、流水の強さに応じて部材(下方差込部材)の重量を増加させる必要がなく、同じ部材(下方差込部材)を用いることができる。よって、従来技術に比べて、浸水防止のために使用される部材(下方差込部材)の軽量化を図ることができ、浸水防止構造の設置性を高めることが可能となる。
2 躯体
3 開口部
11 左壁
12 右壁
13 上壁
14 ガイドレール
20 シャッター収納部
30 シャッターカーテン
30a スラット
30b 嵌合部
31 座板
31a 嵌合部
32 下方隙間
33 左側方隙間
34 右側方隙間
50 巻き取り軸
60 防水シート
70 下方差込部材
71 本体部
72 下方差込端部
73 第1切欠部
74 第2切欠部
74a 収容空間
75 密着部
80 側方差込部材
90 押圧部材
L1、L2 距離
Claims (8)
- 建物の床面と、前記建物の壁の開口部を開閉する開閉体の下端部との相互間の下方隙間から水が浸入することを防止するための浸水防止構造であって、
前記開閉体によって前記開口部を全閉した状態において、少なくとも当該開閉体の外側面から前記建物の床面に至るように設けられた防水シートと、
前記下方隙間に、前記建物の外側から当該建物の内側に向けて差し込むための下方差込部材と、を備え、
前記下方差込部材のうち、少なくとも前記下方隙間に差し込まれる側の端部である差込端部の縦断面形状を、くさび状とし、
前記開閉体によって前記開口部を全閉した状態において、前記防水シートが、前記開閉体の下端部に設けられた座板と前記下方差込部材との相互間を通って前記建物の外側から内側に向かう方向に至り、前記下方差込部材の前記差込端部において前記建物の内側から外側に向かう方向に折り返され、前記下方差込部材と前記建物の床面とによって挟持されるように、当該差込端部及び当該防水シートの一部を前記下方隙間に差し込んだ、
浸水防止構造。 - 前記下方差込部材は、
自己の変形により生じる復元力を前記防水シートの一部に作用させることによって、当該防水シートの一部を前記建物の床面に対して密着させる密着部を備える、
請求項1に記載の浸水防止構造。 - 前記密着部を、前記下方差込部材の下面において、前記建物の床面の表面形状に応じて変形可能となるように形成した、
請求項2に記載の浸水防止構造。 - 前記下方差込部材における前記差込端部とは反対側の端部に、切欠部を形成した、
請求項1から3のいずれか一項に記載の浸水防止構造。 - 前記下方差込部材における少なくとも前記差込端部の下面に、凸部を設けた、
請求項1から4のいずれか一項に記載の浸水防止構造。 - 前記開閉体によって前記開口部を全閉した状態において、前記防水シートを、前記下方隙間に差し込まれた前記下方差込部材よりも前記建物の外側に延出させた、
請求項1から5のいずれか一項に記載の浸水防止構造。 - 前記建物の壁における前記開口部の側方に設けられた縦枠と、前記開閉体の外側面との相互間の側方隙間に、前記開口部の幅方向の中央側から前記縦枠側に向けて差し込むための側方差込部材を備え、
前記開閉体によって前記開口部を全閉した状態において、前記防水シートが、前記側方差込部材と前記縦枠とによって挟持されるように、当該側方差込部材及び当該防水シートの一部を前記側方隙間に差し込んだ、
請求項1から6のいずれか一項に記載の浸水防止構造。 - 複数の前記下方差込部材を、前記開閉体の幅方向に沿って並設した、
請求項1から7のいずれか一項に記載の浸水防止構造。
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