JP6474254B2 - 浸水防止構造 - Google Patents

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Description

本発明は、浸水防止構造に関する。
従来、建物の壁に設けられた開口部を開閉するシャッターカーテンの周囲からの浸水を防止する浸水防止構造が提案されている。例えば、このような浸水防止構造は、開口部の周縁に設けられた縦枠とシャッターカーテンの側部との相互間の隙間から水が浸入することを防止できるように、このシャッターカーテンの屋外側の側面に、防水シートを設けると共に、開口部の側方に設置されたガイドレールに、防水シートと対向するようにシール部材を設けて構成されていた。この浸水防止構造によれば、水圧がシャッターカーテンに加えられると、防水シートがシール材に圧接されるので、シャッターカーテンの側部からの浸水を防止できる。
しかしながら、このような浸水防止構造では、縦枠とシャッターカーテンの側部との相互間の隙間から水が浸入することを防止できるものの、建物の床面とシャッターカーテンの下端部との相互間の隙間からは依然として水が浸入するおそれがあった。そこで、このような問題を解消するため、建物の床面とシャッターカーテンの下端部との相互間の隙間を塞ぐ浸水防止構造も提案されている(例えば、特許文献1参照)。この浸水防止構造は、シャッターカーテンよりも屋外側に位置するように設けられた防水シートであって、シャッターカーテンの下側部分から建物の床面に至る範囲を覆い、且つ、防水シートの端部が建物の床面に沿って屋外側に向けて延在するように配置された防水シートを設けて構成されている。また、流水によって防水シートがめくり上がることを防止するために、防水シートの端部に押圧部材が載置されている。このような構成により、押圧部材によって防水シートが建物の床面に対して押圧されることで、流水によって防水シートがめくり上がることを防止できる。よって、建物の床面とシャッターカーテンの下端部との相互間の隙間を塞ぐことができるため、この隙間から水が浸入することを防止できる。
特開2014−136897号公報
ここで、特許文献1のような技術において、比較的流れが強い流水であっても防水シートがめくり上がらないようにするためには、押圧部材の重量を増やす必要が生じる。しかし、このように押圧部材の重量を増やすと、当該押圧部材を持ち運ぶことが困難になることから、浸水防止構造の設置性が低下するという問題が生じていた。
本発明は、上記従来技術における課題を解決するためのものであって、建物の床面とシャッターカーテン如き開閉体の下端部との相互間の隙間から水が浸入することを防止する際の設置性を向上させることが可能になる、浸水防止構造を提供することを目的とする。
上述した課題を解決し、目的を達成するために、請求項1に記載の浸水防止構造は、建物の床面と、前記建物の壁の開口部を開閉する開閉体の下端部との相互間の下方隙間から水が浸入することを防止するための浸水防止構造であって、前記開閉体によって前記開口部を全閉した状態において、少なくとも当該開閉体の外側面から前記建物の床面に至るように設けられた防水シートと、前記下方隙間に、前記建物の外側から当該建物の内側に向けて差し込むための下方差込部材と、を備え、前記下方差込部材のうち、少なくとも前記下方隙間に差し込まれる側の端部である差込端部の縦断面形状を、くさび状とし、前記開閉体によって前記開口部を全閉した状態において、前記防水シートが、前記開閉体の下端部に設けられた座板と前記下方差込部材との相互間を通って前記建物の外側から内側に向かう方向に至り、前記下方差込部材の前記差込端部において前記建物の内側から外側に向かう方向に折り返され、前記下方差込部材と前記建物の床面とによって挟持されるように、当該差込端部及び当該防水シートの一部を前記下方隙間に差し込んだ。
請求項2に記載の浸水防止構造は、請求項1に記載の浸水防止構造において、前記下方差込部材は、自己の変形により生じる復元力を前記防水シートの一部に作用させることによって、当該防水シートの一部を前記建物の床面に対して密着させる密着部を備える。
請求項3に記載の浸水防止構造は、請求項2に記載の浸水防止構造において、前記密着部を、前記下方差込部材の下面において、前記建物の床面の表面形状に応じて変形可能となるように形成した。
請求項4に記載の浸水防止構造は、請求項1から3のいずれか一項に記載の浸水防止構造において、前記下方差込部材における前記差込端部とは反対側の端部に、切欠部を形成した。
請求項5に記載の浸水防止構造は、請求項1から4のいずれか一項に記載の浸水防止構造において、前記下方差込部材における少なくとも前記差込端部の下面に、凸部を設けた。
請求項6に記載の浸水防止構造は、請求項1から5のいずれか一項に記載の浸水防止構造において、前記開閉体によって前記開口部を全閉した状態において、前記防水シートを、前記下方隙間に差し込まれた前記下方差込部材よりも前記建物の外側に延出させた。
請求項7に記載の浸水防止構造は、請求項1から6のいずれか一項に記載の浸水防止構造において、前記建物の壁における前記開口部の側方に設けられた縦枠と、前記開閉体の外側面との相互間の側方隙間に、前記開口部の幅方向の中央側から前記縦枠側に向けて差し込むための側方差込部材を備え、前記開閉体によって前記開口部を全閉した状態において、前記防水シートが、前記側方差込部材と前記縦枠とによって挟持されるように、当該側方差込部材及び当該防水シートの一部を前記側方隙間に差し込んだ。
請求項8に記載の浸水防止構造は、請求項1から7のいずれか一項に記載の浸水防止構造において、複数の前記下方差込部材を、前記開閉体の幅方向に沿って並設した。
請求項1に記載の浸水防止構造によれば、下方差込部材のうち、少なくとも差込端部の縦断面形状を、くさび状とし、開閉体によって開口部を全閉した状態において、防水シートが、差込端部と建物の床面とによって挟持されるように、当該差込端部及び当該防水シートの一部を下方隙間に差し込むので、防水シート及び下方差込部材によって、この下方隙間から水が浸入することを防止できる。また、防水シートが、座板と下方差込部材とによって挟持され、且つ、この下方差込部材と建物の床面とによって挟持されるように、これら下方差込部材及び防水シートの一部が下方隙間に差し込まれているので、開口部全閉状態において、防水シートを強固に保持できることから、下方隙間から水が浸入することを防止することが可能となる。特に、部材の重量によって防水シートを建物の床面に押圧するのではなく、部材の差し込み圧力によって防水シートを建物の床面に圧接することができるので、流水の強さに応じて部材(下方差込部材)の重量を増加させる必要がなく、同じ部材(下方差込部材)を用いることができる。よって、従来技術に比べて、浸水防止のために使用される部材(下方差込部材)の軽量化を図ることができ、浸水防止構造の設置性を高めることが可能となる。
請求項2に記載の浸水防止構造によれば、下方差込部材は、自己の変形により生じる復元力を防水シートの一部に作用させることによって、当該防水シートの一部を建物の床面に対して密着させる密着部を備えるので、開閉体によって開口部を全閉した状態において、下方隙間に下方差込部材を差し込んだ場合に、密着部によって防水シートの一部を建物の床面によって密着させることができ、建物の床面と防水シートとの相互間の隙間から水が浸入することを一層抑制することが可能となる。
請求項3に記載の浸水防止構造によれば、密着部を、下方差込部材の下面において、建物の床面の表面形状に応じて変形可能となるように形成したので、建物の床面の表面形状に関わらず、密着部によって防水シートの一部と建物の床面とを所定の領域で密着させることができ、建物の床面と防水シートとの相互間の隙間から水が浸入することを一層抑制することが可能となる。
請求項4に記載の浸水防止構造によれば、下方差込部材における差込端部とは反対側の端部に、切欠部を形成したので、切欠部に指を掛けることができ、下方差込部材を所定位置に容易に差し込むことが可能となる。また、切欠部が設けられていない場合に比べて、下方差込部材の軽量化を図ることができ、下方差込部材の製造コストを低減することが可能となる。
請求項5に記載の浸水防止構造によれば、下方差込部材における少なくとも差込端部の下面に、凸部を設けたので、下方差込部材と建物の床面とを線接触させることができ、建物の床面と防水シートとの相互間の隙間から水が浸入することをさらに一層抑制することが可能となる。
請求項6に記載の浸水防止構造によれば、開閉体によって開口部を全閉した状態において、防水シートを、下方隙間に差し込まれた下方差込部材よりも建物の外側に延出させたので、水によって防水シートの延出部分が押圧されることが可能となることから、建物の床面と防水シートとの相互間の隙間から水が浸入することをさらに一層抑制することが可能となる。
請求項7に記載の浸水防止構造によれば、側方隙間に、開口部の幅方向の中央側から縦枠側に向けて差し込むための側方差込部材を備えたので、側方差込部材と縦枠とによって防水シートにおける上端部から下方隙間に至る部分が挟持されることにより、流水によって防水シートがめくり上がることを一層抑制でき、建物の床面と防水シートとの相互間の隙間から水が浸入することも一層抑制することが可能となる。
本発明の実施の形態1に係るシャッターを示す図であり、(a)は正面図、(b)は(a)のA−Aの矢視断面図である。 図1の扉のB−B矢視断面図である。 図2の下方領域の拡大図である。 下方差込部材を示す図であり、(a)は平面図、(b)は背面図、(c)は底面図、(d)は(b)の下方差込部材のC−C矢視断面図である。 実施の形態2に係る浸水防止構造を示す図であって、図2の下方領域の拡大図である。 下方差込部材を示す図であり、(a)は平面図、(b)は背面図、(c)は底面図、(d)は(b)の下方差込部材のD−D矢視断面図である。 実施の形態3に係る浸水防止構造を示す図であって、図2の下方領域の拡大図である。 下方差込部材を示す図であり、(a)は平面図、(b)は背面図、(c)は底面図、(d)は(b)の下方差込部材のE−E矢視断面図である。 下方差込部材における差込状態の変形例を示す図であって、図2の下方領域の拡大図である。
以下に添付図面を参照して、この発明に係る浸水防止構造の実施の形態を詳細に説明する。まず、〔I〕実施の形態の基本的概念について説明した後、〔II〕実施の形態の具体的内容について説明し、最後に、〔III〕実施の形態に対する変形例について説明する。ただし、実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
〔I〕実施の形態の基本的概念
まず、実施の形態の基本的概念について説明する。実施の形態は、概略的に、建物の床面と、建物の壁の開口部を開閉する開閉体(例えば後述するシャッターカーテン)の下端部との相互間の下方隙間から水が浸入することを防止する、浸水防止構造に関するものである。
ここで、「建物」とは、その具体的な構造や種類は任意であるが、例えば、戸建て住宅、アパートやマンションの如き集合住宅、オフィスビル、商業施設、及び公共施設等を含む概念である。また、「建物の壁の開口部」とは、建物の壁(建物の躯体を構成する壁や、外壁を含む)において窓や入り口を設置するために形成された開口である。また、「開閉体」は、開口部の出入り又は視界を抑制又は制限するための構造体を意味し、例えば、シャッター、扉等を含む概念である。このうち、「シャッター」とは、防犯や防火のために、建物の開口部に取り付けられる巻上げ戸であり、例えば、窓シャッター、軽量シャッター、重量シャッター等を含む概念である。また、シャッターの駆動方式は任意であり、例えば、「手動式のシャッター」や「電動式のシャッター」として構成することができる。また、シャッターの開閉構造は任意であり、例えば、「上下開閉式のシャッター」や「左右開閉式のシャッター」として構成することができる。また、「扉」の取り付け位置や用途は任意であるが、例えば玄関に設置される「玄関扉」、勝手口や通用口に設置される「勝手口扉」、あるいは建物内部に設置されるための「室内扉」を含む。また、扉の開閉構造は任意であり、例えば、「開き戸」や「引き戸」として構成することができる。また、「水が浸入する」とは、開閉体よりも建物の外側にある水が、開閉体よりも建物の内側に入りこむことを意味する。以下、実施の形態では、開閉体が、戸建て住宅の如き建物の壁に設けられた上下開閉式且つ電動式の軽量シャッターである場合について説明する。
〔II〕実施の形態の具体的内容
次に、各実施の形態の具体的内容について説明する。
〔実施の形態1〕
まず、実施の形態1に係る浸水防止構造について説明する。この実施の形態1は、下方差込部材全体の縦断面形状をくさび状とした形態である。
(構成)
最初に、実施の形態1に係る浸水防止構造が適用されるシャッターの構成について説明する。図1は、本発明の実施の形態1に係るシャッターを示す図であり、(a)は正面図、(b)は(a)のA−Aの矢視断面図である。図2は、図1の扉のB−B矢視断面図である。なお、以下の説明では、図1のX方向をシャッターの左右方向(−X方向をシャッターの左方向、+X方向をシャッターの右方向)、図1のY方向をシャッターの前後方向(+Y方向をシャッターの前方向(建物の外側の方向)、−Y方向をシャッターの後方向(建物の内側の方向))、図1のZ方向をシャッターの上下方向(+Z方向をシャッターの上方向、−Z方向をシャッターの下方向)と称する。
これら図1、図2に示すように、シャッター1は、概略的に、ガイドレール14(縦枠)と、シャッター収納部20と、シャッターカーテン30と、開閉機(図示省略)とを備えて構成されている。ただし、シャッター1に関する特記しない構成については、従来と同様であるものとして説明を省略する。
(構成−ガイドレール)
ガイドレール14は、シャッターカーテン30を開口部3の開閉方向(すなわち、上下方向)に沿って移動するように案内するものである。このガイドレール14は、横断面形状が略コ字状となるように形成された長尺体であり、シャッター1の左右の各端部において、上下方向に略沿う方向で配置されており、建物の左壁11(又は右壁12)に対して直接的に固定されたり、又は下地材(図示省略)を介して間接的に固定されている(すなわち、躯体2に対して直接的又は間接的に固定されている)。
(構成−シャッター収納部)
シャッター収納部20は、シャッター1の各部を収納するための中空体であり、建物の上壁13の近傍位置に取り付けられている。このシャッター収納部20の内部には、開閉機と、巻き取り軸50とが収容されている。また、巻き取り軸50にてシャッターカーテン30が巻き取られた状態では、シャッターカーテン30の少なくとも一部も、シャッター収納部20の内部に収容される。このシャッター収納部20の下側部において、シャッターカーテン30を中心とする建物の外側及び内側には、まぐさ(図示省略)が固定されている。これらまぐさの相互間には、開口部3の左右方向全長にわたるまぐさ開口(図示省略)が形成されており、このまぐさ開口を介してシャッターカーテン30の出し入れが行われる。
(構成−シャッターカーテン)
シャッターカーテン30は、巻き取り軸50によって巻き取り又は巻き出しされることで、開口部3を全開した状態、開口部3を全閉した状態、あるいは半開状態とする遮蔽手段である。図2に示すように、このシャッターカーテン30は、複数のスラット30aを備えて構成されており、各スラット30aの上下の両端部には嵌合部30bが設けられている。この嵌合部30bは、複数のスラット30aを相互に嵌合接続するために各スラット30aの上下の両端部に設けられたもので、これら両端部を屈曲させることによって形成されている。また、このシャッターカーテン30の左右方向の両端部の各々は、ガイドレール14のコ字状の開放端部を介してガイドレール14の内部に挿入されており、上下方向においてはガイドレール14の内部をスライド移動可能であり、かつ、前後方向においてはガイドレール14の外部に脱落しないように規制されている。
また、シャッターカーテン30の下端部には、座板31が設けられている。この座板31は、シャッターカーテン30によって開口部3を全閉した状態(以下、「開口部全閉状態」と称する)において建物の床面と近接し、又は接触するように配置されたものであり、シャッターカーテン30の下端部の左右方向全長にわたって形成されている。この座板31の上端部には嵌合部31aが設けられており、この嵌合部31aをシャッターカーテン30の最下方側のスラット30aにおける下端部の嵌合部30bに嵌合させることで、座板31がシャッターカーテン30に取付けられている。また、この座板31には、座板カバー(図示省略)が設けられている。座板カバーは、座板31が左右方向に振動等してガイドレール14の見込面と接触した場合に、当該ガイドレール14の見込面が損傷することを防止するためのものである。この座板カバーは、座板31の左右方向の両端部の各々において、左右方向の外向きに向けて張り出すように配置されており、座板31に対して固定されている。
(構成−開閉機)
開閉機は、巻き取り軸50を回転駆動することによって電動でシャッターカーテン30を昇降させる昇降手段であり、操作スイッチやリモコン(いずれも図示せず)を介して操作される。
(構成−浸水防止構造)
次に、シャッター1の構成の詳細について説明する。図3は、図2の下方領域の拡大図である。図2、図3に示すように、このシャッター1は、開口部全閉状態において、建物の床面と座板31の下端部との相互間の隙間32(以下、「下方隙間32」と称する)、左側のガイドレール14とシャッターカーテン30の左側端部との相互間の隙間33(以下、「左側方隙間33(側方隙間)」と称する)、及び右側のガイドレール14とシャッターカーテン30の右側端部との相互間の隙間34(以下、「右側方隙間34(側方隙間)」と称する)から、水が浸入することを防止するための浸水防止構造を備えている。この浸水防止構造は、防水シート60と、下方差込部材70と、側方差込部材80と、押圧部材90とを備えて構成されている。以下では、この浸水防止構造について説明する。
(構成−浸水防止構造−防水シート)
最初に、防水シート60について説明する。この防水シート60は、開口部全閉状態において、下方隙間32を覆うことにより、この下方隙間32から水が浸入することを防止するための防水手段である。この防水シート60は、略矩形状のシート状体であり、例えば公知の防水シート(具体的には、表側はナイロンで構成され、裏側はポリウレタンで構成された防水シート等)を用いて構成されている。
ここで、防水シート60の大きさ及び配置位置は任意であるが、開口部全閉状態において、防水シート60によって下方隙間32が覆われるように、少なくともシャッターカーテン30の外側面(すなわち、シャッターカーテン30における建物の外側の側面)から建物の床面に至るように配置されている。この防水シート60によって覆われる領域については、以下に示す通りに設定されている。具体的には、図1から図3に示すように、縦方向の領域において、当該領域の一方の端部については、当該領域の一方の端部が建物の床面から想定される水面までの高さ(例えば、300mm等)と同じ又はそれよりも高くなるように、建物の床面から上方に向けて所定距離L1(例えば、400mm等)に至る位置に設定されている。また、上記領域の他方の端部については、後述するように、防水シート60を下方隙間32に差し込まれる下方差込部材70よりも建物の外側に延出させることにより、防水シート60の延出部分が当該延出部分の上に流入した水によって下方に押圧されるように、開口部3から建物の外側に向けて所定距離L2(例えば、100mm等)に至る位置に設定されている。また、横方向の領域においては、後述するように、左側方隙間33及び右側方隙間34の各々に、側方差込部材80と共に、防水シート60の一部を差し込むことが可能となるように、左側のガイドレール14の外側面から右側のガイドレール14の外側面に至る領域となるように設定されている。このような配置により、開口部全閉状態において、防水シート60によって下方隙間32を覆うことが可能となる。
(構成−浸水防止構造−下方差込部材)
次に、下方差込部材70について説明する。図4は、下方差込部材70を示す図であり、(a)は平面図、(b)は背面図、(c)は底面図、(d)は(b)の下方差込部材70のC−C矢視断面図である。下方差込部材70は、開口部全閉状態において、下方隙間32に差し込むためのものである。この下方差込部材70が設けられた理由は、以下の通りである。すなわち、押圧部材90のみで防水シート60を建物の床面に対して押圧することにより、流水によって防水シート60がめくり上がることを防止することも考えられる。しかしながら、この場合には、流水の流れが強くなるに伴って、押圧部材90の重量を増やす必要があることから、浸水防止構造の設置性を低下させる可能性があった。そこで、この問題を解消するために、下方差込部材70が設けられている。この下方差込部材70は、図1、図2に示すように、開口部全閉状態において、下方隙間32に左右方向に沿って複数個差し込まれている。より具体的には、一部を除いて、複数の下方差込部材70が相互に隙間なく差し込まれている。これら複数の下方差込部材70は相互に同一に構成することができるので、以下では、一つの下方差込部材70について代表的に説明する。この下方差込部材70は、図3、図4に示すように、本体部71と、密着部75とを備えている。
(構成−浸水防止構造−下方差込部材−本体部)
本体部71は、下方差込部材70の基本構造体である。この本体部71は、中実体(又は中空体)にて形成されており、開口部全閉状態において、本体部71の少なくとも一部が下方隙間32に差し込まれる。なお、以下では、本体部71の端部のうち、下方隙間32に差し込まれる側の端部72を、「下方差込端部72(差込端部)」と称する。
ここで、この本体部71の形状については任意であるが、実施の形態1においては、開口部全閉状態における下方隙間32の上下方向の長さ(隙間の高さ)が、シャッター1の設置状況等に応じて一律ではないことに対応すべく、本体部71の差込量を調整できる形状にて形成されている。なお、この下方隙間32の上下方向の長さ(隙間の高さ)については、通常、0mm程度であるが、ここでは、座板31が上方に持ち上げられることにより、下方隙間32が形成されたときの長さとして説明する。
具体的には、図3、図4(d)に示すように、本体部71全体の縦断面形状がくさび状に形成されている。より具体的には、開口部全閉状態における下方隙間32の上下方向の長さ(隙間の高さ)が1mmから10mm程度である場合に、この下方隙間32に下方差込部材70を好適に差し込むことができるように、本体部71の左右方向の長さ(幅)が300mmから600mm程度、本体部71の前後方向の長さ(奥行き)が70mmから80mm程度、及び本体部71の上下方向の長さ(厚さ)が10mmから20mm程度となるように形成されている。この形状の場合には、本体部71の上面と本体部71の下面とがなす内角が10度から15度程度となる。このような形状により、開口部全閉状態における下方隙間32の上下方向の長さ(隙間の高さ)が長くなる程、本体部71の差込量を多くすることにより、下方隙間32を常に塞ぐことができるので、下方隙間32の上下方向の長さ(隙間の高さ)に応じて、本体部71の差込量を調整できることなり、下方差込部材70の設置性を向上させることが可能となる。
また、本体部71の上面と本体部71の下面とがなす内角の設定については任意であり、例えば、下方隙間32の上下方向の長さ(隙間の高さ)が1mmから10mmを上回る場合には、本体部71の上面と本体部71の下面とがなす内角を、図4(d)に示す当該内角よりも大きく設定してもよく、あるいは、図4(d)に示す当該内角と略同一に設定しながら、本体部71の上下方向の長さ(厚さ)及び前後の方向の長さ(奥行き)を、図4(d)に示す当該長さよりも長くしてもよい。また、下方隙間32の上下方向の長さ(隙間の高さ)が1mmから10mmを下回る場合には、本体部71の上面と本体部71の下面とがなす内角を、図4(d)に示す当該内角よりも小さく設定してもよく、あるいは、当該内角と略同一に設定しながら、本体部71の上下方向の長さ(厚さ)及び前後方向の長さ(奥行き)を、図4(d)に示す当該長さよりも短くしてもよい。
また、本体部71の前後方向の長さ(奥行き)を、上記所定距離L2よりも短くすることで、開口部全閉状態において、下方差込部材70が下方隙間32に差し込まれた場合に、防水シート60を、下方隙間32に差し込まれた下方差込部材70よりも建物の外側に延出させることができる。この状態においては、防水シート60の延出部分が、当該延出部分の上に流入した水によって下方に押圧されるため、建物の床面と防水シート60との相互間の隙間から水が浸入することを一層抑制することが可能となる。
また、本体部71と防水シート60との設置関係については、開口部全閉状態において、下方隙間32から水が浸入することを防止できるように、本体部71と防水シート60とが設置されている。実施の形態1においては、図2、図3に示すように、防水シート60が、座板31の下端部と本体部71の下方差込端部72とによって挟持され、且つ、この下方差込端部72と建物の床面とによって挟持されるように、これら下方差込端部72及び防水シート60の一部が下方隙間32に差し込まれている。このような設置関係により、開口部全閉状態において、防水シート60を強固に保持できることから、下方隙間32から水が浸入することを防止することが可能となる。特に、下方差込端部72と建物の床面とによって、防水シート60を強固に保持できるので、建物の床面と防水シート60との相互間の隙間から水が浸入することを抑制することが可能となる。
また、この本体部71には、第1切欠部73(切欠部)と、第2切欠部74とが形成されている。このうち、第1切欠部73は、ユーザが下方差込部材70を把持する場合に、ユーザの指を掛けたり、下方差込部材70の軽量化を図るためのものである。この第1切欠部73は、本体部71における下方差込端部72とは反対側の端部において、本体部71の左右方向全長にわたって形成されている。また、この第1切欠部73の縦断面形状については任意であるが、実施の形態1においては、ユーザの指が第1切欠部73にかかりやすくなるように、半円形状にて形成されている(あるいは、これに限られず、矩形状や三角形状にて形成されてもよい)。このような第1切欠部73によって、第1切欠部73に指を掛けることができ、下方差込部材70を所定位置に容易に差し込むことが可能となると共に、第1切欠部73が設けられていない場合に比べて、下方差込部材70の軽量化を図ることができ、製造コストを低減することが可能となる。
また、第2切欠部74は、密着部75を収容する空間74a(以下、「収容空間74a」と称する)を形成するために形成されたものである。この第2切欠部74は、本体部71の下面において、本体部71の左右方向全長にわたって形成されている。また、この第2切欠部74の縦断面形状については任意であるが、実施の形態1においては、台形にて形成されている(あるいは、これに限られず、三角形状や半円形状、矩形にて形成されてもよい)。また、この第2切欠部74の配置については任意であるが、実施の形態1では、第2切欠部74又は収容空間74aに収容された密着部75によって下方差込部材70が差し込みづらくなることを抑制できるように、本体部71の下面における下方差込端部72とは反対側の端部側に配置されている。このような第2切欠部74によって、収容空間74aを形成できることから、この収容空間74aに密着部75を収容することが可能となる。
また、この本体部71は、任意の材質で製造することができるが、実施の形態1においては、耐水性に優れ、且つ、変形しにくい材質(例えば、ゴム等の樹脂材等)で製造されている。
(構成−浸水防止構造−下方差込部材−密着部)
密着部75は、防水シート60の一部を建物の床面に対して密着させるものである。この密着部75が設けられた理由は、以下の通りである。すなわち、下方差込部材70が本体部71のみを備えた場合には、建物の床面の形状が凹凸状である場合に、建物の床面の形状が平坦状である場合に比べて、本体部71と建物の床面とを密着させづらくなるので、建物の床面と防水シート60との相互間の隙間から水が浸入する可能性があった。そこで、この問題を解消するために、密着部75が設けられている。この密着部75は、中空管状体であり(又は、中実体であってもよい)、本体部71の左右方向全長にわたって形成されている。また、この密着部75は、本体部71の収容空間74aに収容されており、具体的には、密着部75を防水シート60を介して建物の床面に確実に接触させることができるように、密着部75の一部が収容空間74aから下方に向けて突出するように収容されている。この場合において、密着部75と第2切欠部74との形状の関係については任意であるが、実施の形態1においては、開口部全閉状態において、下方隙間32に下方差込部材70が差し込まれることにより、密着部75が本体部71によって押圧されることで押圧変形した場合に、この押圧変形した密着部75が収容空間74aからはみ出さないように、これら密着部75及び第2切欠部74の形状が設定されている。これにより、密着部75が押圧変形した場合でも、この押圧変形した密着部75が収容空間74aからはみ出すことを抑制できるため、本体部71を建物の床面に対して安定して支持することが可能となる。
また、この密着部75は、任意の材質で製造することができるが、実施の形態1においては、耐水性を有し、自己の押圧変形により生じる復元力を防水シート60の一部に作用させることによって、この防水シート60の一部を建物の床面に対して密着させることができ、且つ、建物の床面の表面形状に応じて変形できる材質で製造されており、具体的には、密着部75の硬度が本体部71の硬度よりも低い材質で製造されている。
このような密着部75により、開口部全閉状態において、下方隙間32に下方差込部材70を差し込んだ場合に、密着部75によって防水シート60の一部を建物の床面によって密着させることができるので、建物の床面と防水シート60との相互間の隙間から水が浸入することを抑制することが可能となる。特に、建物の床面の表面形状に関わらず、密着部75によって防水シート60の一部と建物の床面とを所定の領域で密着させることができるため、建物の床面と防水シート60との相互間の隙間から水が浸入することを一層抑制することが可能となる。
(構成−浸水防止構造−側方差込部材)
側方差込部材80は、開口部全閉状態において、左側方隙間33及び右側方隙間34の各々に差し込むものである。この側方差込部材80が設けられた理由は、以下の通りである。すなわち、防水シート60を固定する方法として、例えば、防水シート60の横方向の端部の各々に固定部材を取り付けると共に、建物の左壁11及び右壁12の各々に取付ネジによって保持部材を取り付けて、防水シート60を固定部材を介して保持部材に対して固定する方法が考えられる。しかしながら、この方法では、保持部材を取り付けるための取付穴を左壁11及び右壁12の各々に設けておく必要があり、この取付穴を左壁11及び右壁12の各々に設けるための準備工事を行わなければならないことから、設置に手間がかかる可能性があった。そこで、この問題を解消するために、側方差込部材80が設けられている。この側方差込部材80は、例えばゴム等の樹脂製のブロック状体にて形成されており、図1、図2に示すように、開口部全閉状態において、左側方隙間33及び右側方隙間34の各々に差し込まれている。
また、この側方差込部材80の形状については任意であるが、開口部全閉状態において、側方差込部材80の差し込まれる部分(以下、「側方差込端部」と称する)が左側方隙間33(又は右側方隙間34)に隙間なく差し込むことができる形状にて形成されている。具体的には、側方差込端部の前後方向の長さ(厚さ)は、左側方隙間33(又は右側方隙間34)の前後方向の長さ(隙間の幅)に対して、その先端部においては短くなると共にその後端部においては略同一又は長くなるように形成されている。また、側方差込端部の上下方向の長さ(高さ)は、防水シート60の上端部から建物の床面に至る長さに対して、略同一となるように形成されている。
また、この側方差込部材80と防水シート60との設置関係については、開口部全閉状態において、左側方隙間33(又は右側方隙間34)から水が浸入することを防止できるように、側方差込部材80と防水シート60とが設置されている。実施の形態1においては、防水シート60が、左側のガイドレール14と側方差込端部とによって挟持されるように、これら側方差込端部及び防水シート60の一部が左側方隙間33に差し込まれている。また、防水シート60が、右側のガイドレール14と側方差込端部とによって挟持されるように、これら側方差込端部及び防水シート60の一部が右側方隙間34に差し込まれている。また、これら側方差込端部のいずれか一方(実施の形態では、左側方隙間33に差し込まれる側方差込端部)においては、例えば、設置性を高めるために、当該側方差込端部の後面(前後方向の建物内側面)に対して、防水シート60が糸によって接続されている。この糸は、例えば、耐久性や耐候性を有する公知の糸(ナイロン糸やポリエステル糸等の化学繊維糸や、綿たこ糸等の天然繊維糸等)を用いて構成されており、側方差込端部の後面において、当該側方差込端部の上下方向全長にわたって接続されている。また、この糸による接続部分は、所定間隔を隔てて左右方向に沿って複数並設されている。
このような側方差込部材80により、開口部全閉状態において、防水シート60を強固に保持できることから、左側方隙間33及び右側方隙間34から水が浸入することを防止することが可能となる。
(構成−浸水防止構造−押圧部材)
押圧部材90は、防水シート60を押圧するためのものである。この押圧部材90が設けられた理由は、以下に示す通りである。すなわち、シャッター1としては様々な幅のものがあるため、各幅に応じて異なる下方差込部材70を形成することも考えられるが、製造コスト低減等のためには、各幅に共通に使用することができるように下方差込部材70を形成することがより好ましい。そこで、実施の形態1においては、左右方向の長さ(幅)が異なる2種類の下方差込部材70(例えば、幅=300mm程度の下方差込部材70、及び幅=600mm程度の下方差込部材70等)とを、シャッター1の幅に応じた数だけ組み合わせることで、これら複数の下方差込部材70を下方隙間32に隙間なく差し込むこととしている。この際、上記2種類の幅の下方差込部材70のうち、いずれを優先的に差し込んでもよい。しかしながら、この場合において、シャッター1の幅が、複数組み合わせた下方差込部材70の合計幅と同一でない限り、下方隙間32のうち、複数の下方差込部材70で埋めることができない余剰部分(具体的には、上記幅が短い下方差込部材70の左右方向の長さ(幅)よりも左右方向の長さ(幅)が短い余剰部分)が生じる場合が考えられる。そこで、この問題を解消するために、押圧部材90が設けられている。
この押圧部材90は、例えば、ステンレス等の金属製(又は樹脂コーティングされた金属製)の肉厚な板状体(又は棒状体)にて形成されている。また、この押圧部材90の幅については、様々な余剰部分の左右方向の長さ(幅)に対応できるように、2種類の下方差込部材70のうち、幅が短い下方差込部材70の幅よりも若干長くなるように設定されており、具体的には、幅が短い方の下方差込部材70の幅=300mm程度である場合に、350mm程度に設定される。そして、図1(a)、図1(b)に示すように、この押圧部材90は、開口部全閉状態において、防水シート60における建物の床面に対向する部分のうち、上記余剰部分の近傍部分(例えば、下方差込部材70よりも建物の外側の位置)に載置されている。例えば、シャッター1の幅=2900mm、幅が長い下方差込部材70の幅=600mm、幅が短い下方差込部材70の幅=300mmの場合には、4つの上記幅が長い下方差込部材70と、1つの上記幅が短い下方差込部材70とを、それぞれ相互に隙間なく配置した上で、この余剰部分の近傍部分に、押圧部材90を載置する。この際、押圧部材90は下方隙間32の左端部又は右端部には配置しないことが好ましいため、余剰部分(幅=200mm)が下方隙間32の左端部又は右端部に生じないように、下方差込部材70を配置する。この押圧部材90によって、開口部全閉状態において、下方隙間32に上記余剰部分が生じた場合でも、防水シート60における余剰部分に対応する部分を押圧できるので、防水シート60と建物の床面との相互間の隙間から水が浸入することを一層抑制することが可能となる。
以上のような浸水防止構造により、開口部全閉状態において、下方隙間32から水が浸入することを防止できる。特に、部材の重量によって防水シート60を建物の床面に押圧するのではなく、下方差込部材70の差し込みによって防水シート60を建物の床面に圧接するので、従来技術に比べて、流水の強さに関わらず同じ下方差込部材70を用いることができる。よって、当該構造で使用される部材の軽量化を図ることができ、設置性を高めることが可能となる。また、図1(a)、図1(b)に示すように、側方差込部材80と左側(又は右側)のガイドレール14とによって防水シート60の一部が挟持されていることに加えて、下方差込部材70と建物の床面とによって、防水シート60における建物の床面に対向する部分のうち、左側(又は右側)のガイドレール14の下端部近傍部分が挟持されているので、防水シート60を一層強固に保持できることから、当該ガイドレール14と防水シート60との相互間の隙間から水が浸入することも一層抑制することが可能となる。
(構成−浸水防止構造の取付方法)
次に、浸水防止構造の取付方法について説明する。まず、開口部全閉状態になるように、シャッターカーテン30を移動させる。次に、防水シート60と接続された側方差込部材80及び防水シート60の一部を、開口部3の幅方向(すなわち、左右方向)の中央側から左側のガイドレール14側に向けて左側方隙間33に差し込む。この際、この側方差込部材80の下端部を建物の床面に当接させる(なお、後述する防水シート60と接続されていない側方差込部材80についても同様とする)。
次に、防水シート60によって下方隙間32が覆われるように、この防水シート60を、少なくともシャッターカーテン30の外側面から建物の床面に至るように配置すると共に、下方隙間32に差し込まれる下方差込部材70よりも建物の外側に延出させた状態となるように配置する。
次いで、防水シート60と接続されていない側方差込部材80及び防水シート60の一部を、開口部3の幅方向の中央側から右側のガイドレール14側に向けて右側方隙間34に差し込む。この際、この側方差込部材80の下端部を建物の床面に当接させる。
次に、座板31を上方に持ち上げることにより、この最下方側のスラット30a及び隣接するスラット30aの嵌合部30bの噛み合わせをずらすことで下方隙間32を形成する。そして、この下方隙間32に、複数の下方差込部材70及び防水シート60の一部を、建物の外側から内側に向けて下方隙間32に差し込むことにより、防水シート60を、座板31の下端部と下方差込部材70における本体部71の下方差込端部72とによって挟持させ、且つ、この下方差込端部72と建物の床面とによって挟持させる。この場合において、下方差込部材70がぐらつかない程度に、この下方差込部材70を下方隙間32に差し込む。また、複数の下方差込部材70のうち、最左方側の下方差込部材70を、防水シート60と接続された側方差込部材80に当接させると共に、最右方側の下方差込部材70を、防水シート60と接続されていない側方差込部材80に当接させる。
続いて、押圧部材90を、防水シート60における建物の床面に対向する部分のうち上記余剰部分の近傍部分に載置する。これにて、浸水防止構造の取り付けは終了する。
なお、浸水防止構造を取り外す場合には、まず、押圧部材90を防水シート60から取り外す。次に、防水シート60が接続されていない側方差込部材80を右側方隙間34から取り外す。次いで、複数の下方差込部材70を防水シート60から取り外す。この場合において、下方差込部材70が比較的強固に差し込まれている場合には、シャッターカーテン30を上方に向けて移動させた後で、複数の下方差込部材70を取り外してもよい。そして、防水シート60が接続された側方差込部材80を左側方隙間33から取り外す。
(効果)
このように実施の形態1によれば、本体部71全体の縦断面形状をくさび状とし、開口部全閉状態において、防水シート60が、座板31の下端部と下方差込端部72とによって挟持され、且つ、下方差込端部72と建物の床面とによって挟持されるように、これら下方差込端部72及び防水シート60の一部を下方隙間32に差し込むので、防水シート60及び下方差込部材70によって、この下方隙間32から水が浸入することを防止できる。特に、部材の重量によって防水シート60を建物の床面に押圧するのではなく、部材の差し込み圧力によって防水シート60を建物の床面に圧接することができるので、流水の強さに応じて部材(下方差込部材70)の重量を増加させる必要がなく、同じ部材(下方差込部材70)を用いることができる。よって、従来技術に比べて、浸水防止のために使用される部材(下方差込部材70)の軽量化を図ることができ、浸水防止構造の設置性を高めることが可能となる。
また、下方差込部材70は、自己の押圧変形により生じる復元力を防水シート60の一部に作用させることによって、この防水シート60の一部を建物の床面に対して密着させる密着部75を備えるので、開口部全閉状態において、下方隙間32に下方差込部材70を差し込んだ場合に、密着部75によって防水シート60の一部を建物の床面によって密着させることができ、建物の床面と防水シート60との相互間の隙間から水が浸入することを一層抑制することが可能となる。
また、密着部75を、下方差込部材70の下面において、建物の床面の表面形状に応じて変形可能となるように形成したので、建物の床面の表面形状に関わらず、密着部75によって防水シート60の一部と建物の床面とを所定の領域で密着させることができ、建物の床面と防水シート60との相互間の隙間から水が浸入することを一層抑制することが可能となる。
また、下方差込部材70における下方差込端部72とは反対側の端部に、第1切欠部73を形成したので、第1切欠部73に指を掛けることができ、下方差込部材70を所定位置に容易に差し込むことが可能となる。また、第1切欠部73が設けられていない場合に比べて、下方差込部材70の軽量化を図ることができ、下方差込部材70の製造コストを低減することが可能となる。
また、開口部全閉状態において、防水シート60を、下方隙間32に差し込まれた下方差込部材70よりも建物の外側に延出させたので、水によって防水シート60の延出部分が押圧されることが可能となることから、建物の床面と防水シート60との相互間の隙間から水が浸入することをさらに一層抑制することが可能となる。
また、左側方隙間33(又は右側方隙間34)に、開口部3の幅方向(左右方向)の中央側から左側(又は右側)のガイドレール14側に向けて差し込むための側方差込部材80を備えたので、側方差込部材80とガイドレール14とによって防水シート60における上端部から下方隙間32に至る部分が挟持されることにより、流水によって防水シート60がめくり上がることを一層抑制でき、建物の床面と防水シート60との相互間の隙間から水が浸入することも一層抑制することが可能となる。
〔実施の形態2〕
次に、実施の形態2に係る浸水防止構造について説明する。この実施の形態2は、下方差込部材の一部の縦断面形状をくさび状とした形態である。ただし、この実施の形態2の構成は、特記する場合を除いて、実施の形態1の構成と略同一であり、実施の形態1の構成と略同一の構成についてはこの実施の形態1で用いたものと同一の符号及び/又は名称を必要に応じて付して、その説明を省略する。
(構成−浸水防止構造)
まず、実施の形態2に係るシャッター1の構成のうち、浸水防止構造の構成を説明する。図5は、実施の形態2に係る浸水防止構造を示す図であって、図2の下方領域の拡大図である。図5に示すように、実施の形態2に係る浸水防止構造は、実施の形態1に係る浸水防止構造とほぼ同様に構成されている。ただし、下方差込部材70の構成については、下記に示す工夫が施されている。
(構成−浸水防止構造−下方差込部材)
次に、下方差込部材70について説明する。図6は、下方差込部材70を示す図であり、(a)は平面図、(b)は背面図、(c)は底面図、(d)は(b)の下方差込部材70のD−D矢視断面図である。図5、図6に示すように、実施の形態2に係る下方差込部材70は、本体部71と、密着部75とを備えている。
(構成−浸水防止構造−下方差込部材−本体部)
本体部71は、当該本体部71の一部のみの縦断面形状がくさび状になるように形成されており、実施の形態2においては、図5、図6(d)に示すように、本体部71における下方差込端部72から略中央部に至る部分の縦断面形状がくさび状になるように形成されている。
(構成−浸水防止構造−下方差込部材−密着部)
密着部75は、縦断面形状が略円弧状である板状体であり、本体部71の左右方向全長にわたって形成されている。また、この密着部75は、本体部71の下方差込端部72とは反対側の端部において、この密着部75の一部が本体部71から下方に向けて突出するように配置されている。また、この密着部75は、任意の材質で製造することができるが、実施の形態2においては、耐水性を有し、且つ、自己の曲げ変形により生じる復元力を防水シート60の一部に作用させることによって、この防水シート60の一部を建物の床面に対して密着させることができる材質で製造されており、具体的には、密着部75の硬度が本体部71の硬度よりも低い材質で製造されている。このような密着部75により、開口部全閉状態において、下方隙間32に下方差込部材70を差し込んだ場合に、密着部75を建物の外側に向けて曲げ変形させたときに生じる復元力を防水シート60の一部に作用させることによって、この防水シート60の一部を建物の床面に対して密着させることができるので、建物の床面と防水シート60との相互間の隙間から水が浸入することを一層抑制することが可能となる。
(構成−浸水防止構造の取付方法)
次に、浸水防止構造の取付方法について説明する。実施の形態2に係る取付方法は、実施の形態1に係る取付方法と同様に、まず、開口部全閉状態になるように、このシャッターカーテン30を移動させる。次に、防水シート60が接続されている側方差込部材80及び防水シート60の一部を、開口部3の幅方向(すなわち、左右方向)の中央側から左側のガイドレール14側に向けて左側方隙間33に差し込んだ後、防水シート60を所定の位置に配置する。次に、防水シート60が接続されていない側方差込部材80及び防水シート60の一部を、開口部3の幅方向の中央側から右側のガイドレール14側に向けて右側方隙間34に差し込む。次いで、複数の下方差込部材70及び防水シート60の一部を、建物の外側から内側に向けて下方隙間32に差し込む。この場合において、各下方差込部材70の密着部75によって、防水シート60における建物の床面に対向する部分のうち下方差込部材70よりも建物の外側の部分が押圧されるように、この密着部75を建物の外側に向けて曲げ変形させた状態で防水シート60に接触させる。そして、押圧部材90を防水シート60に載置する。これにて、浸水防止構造の取り付けは終了する。
(効果)
このように実施の形態2によれば、下方差込部材70のうち、本体部71の一部の縦断面形状を、くさび状とし、開口部全閉状態において、防水シート60が、座板31の下端部と下方差込端部72とによって挟持され、且つ、下方差込端部72と建物の床面とによって挟持されるように、これら下方差込端部72及び防水シート60の一部を下方隙間32に差し込むので、これら防水シート60及び下方差込部材70によって、建物の床面と防水シート60との相互間の隙間から水が浸入することを防止できる。
また、下方差込部材70は、自己の曲げ変形により生じる復元力を防水シート60の一部に作用させることによって、この防水シート60の一部を建物の床面に対して密着させる密着部75を備えるので、開口部全閉状態において、下方隙間32に下方差込部材70を差し込んだ場合に、密着部75によって防水シート60の一部を建物の床面によって密着させることができ、建物の床面と防水シート60との相互間の隙間から水が浸入することを一層抑制することが可能となる。
〔実施の形態3〕
次に、実施の形態3に係る浸水防止構造について説明する。この実施の形態3は、実施の形態2とは異なる形態であって、差込部材の一部の縦断面形状をくさび状とした形態である。ただし、この実施の形態3の構成は、特記する場合を除いて、実施の形態1の構成と略同一であり、実施の形態3の構成と略同一の構成についてはこの実施の形態1で用いたものと同一の符号及び/又は名称を必要に応じて付して、その説明を省略する。
(構成−浸水防止構造)
まず、実施の形態3に係るシャッター1の構成のうち、浸水防止構造の構成を説明する。図7は、実施の形態3に係る浸水防止構造を示す図であって、図2の下方領域の拡大図である。図7に示すように、実施の形態3に係る浸水防止構造は、実施の形態1に係る浸水防止構造とほぼ同様に構成されている。ただし、下方差込部材70の構成については、下記に示す工夫が施されている。
(構成−浸水防止構造−下方差込部材)
次に、下方差込部材70について説明する。図8は、下方差込部材70を示す図であり、(a)は平面図、(b)は背面図、(c)は底面図、(d)は(b)の下方差込部材70のE−E矢視断面図である。図7、図8に示すように、実施の形態3に係る下方差込部材70は、本体部71と、密着部75とを備えている。
(構成−浸水防止構造−下方差込部材−本体部)
本体部71は、当該本体部71の一部のみの縦断面形状がくさび状になるように形成されており、実施の形態3においては、図7、図8(d)に示すように、本体部71における下方差込端部72から略中央部に至る部分の縦断面形状がくさび状になるように形成されている。また、この本体部71には、第2切欠部74が形成されている。この第2切欠部74の大きさについては任意であるが、実施の形態3においては、密着部75の一部を収容空間74aに収容可能な大きさに設定されている。
(構成−浸水防止構造−下方差込部材−密着部)
密着部75は、直方体であり、本体部71の左右方向全長にわたって形成されており、本体部71の収容空間74aにおいて、隙間なく収容されていると共に、この密着部75の一部が収容空間74aから下方に向けて突出するように収容されている。また、この密着部75は、任意の材質で製造することができるが、実施の形態3においては、耐水性を有し、自己の押圧変形により生じる復元力を防水シート60の一部に作用させることによって、この防水シート60の一部を建物の床面に対して密着させることができ、且つ、建物の床面の表面形状に応じて変形できる材質で製造されており、具体的には、密着部75の硬度が本体部71の硬度よりも低い材質(例えば、比較的硬度が低いエプトシーラ等)で製造されている。このような密着部75により、実施の形態1と同様に、開口部全閉状態において、下方隙間32に下方差込部材70を差し込んだ場合に、防水シート60の一部を建物の床面によって密着させることができるので、建物の床面と防水シート60との相互間の隙間から水が浸入することを一層抑制することが可能となる。
(効果)
このように実施の形態3によれば、下方差込部材70は、自己の押圧変形により生じる復元力を防水シート60の一部に作用させることによって、この防水シート60の一部を建物の床面に対して密着させる密着部75を備えるので、実施の形態1と同様に、開口部全閉状態において、下方隙間32に下方差込部材70を差し込んだ場合に、密着部75によって防水シート60の一部を建物の床面によって密着させることができ、建物の床面と防水シート60との相互間の隙間から水が浸入することを一層抑制することが可能となる。
〔III〕実施の形態に対する変形例
以上、本発明の各実施の形態について説明したが、本発明の具体的な構成及び手段は、特許請求の範囲に記載した各発明の技術的思想の範囲内において、任意に改変及び改良することができる。以下、このような変形例について説明する。
(解決しようとする課題や発明の効果について)
まず、発明が解決しようとする課題や発明の効果は、前記した内容に限定されるものではなく、本発明によって、前記に記載されていない課題を解決したり、前記に記載されていない効果を奏することもでき、また、記載されている課題の一部のみを解決したり、記載されている効果の一部のみを奏することがある。例えば、本発明に係る浸水防止構造の設置性が従来と同程度であっても、従来と異なる構造により従来と同程度の設置性を確保できている場合には、本願の課題は解決している。
(浸水防止構造の構成について)
上記実施の形態1から3では、浸水防止構造が、防水シート60と、下方差込部材70と、側方差込部材80と、押圧部材90とを備えていると説明したが、これに限られず、例えば、これらの構成要素に加えて、吸水膨張材を備えてもよい。吸水膨張材は、開口部全閉状態において、水により膨張することで下方隙間32を塞ぐためのものである。この吸水膨張材は、公知の吸水性ポリマー等を用いて構成されており、下方差込部材70の上面や下面に設置される。このような吸水膨張材により、開口部全閉状態において、下方隙間32を塞ぐことができるので、この下方隙間32から水が浸入することを一層防止することが可能となる。
(防水シートについて)
上記実施の形態1から3では、開口部全閉状態において、防水シート60によってシャッターカーテン30の外側面の一部が覆われるように、当該防水シート60が配置されていると説明したが、これに限られず、例えば、防水シート60によってシャッターカーテン30の外側面の全体が覆われるように、当該防水シート60が配置されてもよい。また、上記実施の形態1から3では、開口部全閉状態において、防水シート60が下方隙間32に差し込まれた下方差込部材70よりも建物の外側に延出されていると説明したが、これに限られず、少なくとも、防水シート60が密着部75よりも建物の外側に延出されていればよい。
(下方差込部材について)
上記実施の形態1から3では、左右方向の長さ(幅)が異なる2種類の下方差込部材70が、下方隙間32に隙間なく複数差し込まれると説明したが、これに限られず、例えば、1種類の下方差込部材70が、下方隙間32に隙間なく複数差し込まれてもよい。
(下方差込部材の本体部について)
上記実施の形態1から3では、下方差込部材70の本体部71の下面のうち、建物の床面との接触部分が、平坦状に形成されていると説明したが、これに限られない。例えば、この接触部分の少なくとも一部に、凸部を設けてもよい。この凸部は、本体部71の左右方向全長にわたって形成される。また、この凸部は、任意の材質で製造することができるが、例えば、この凸部が建物の床面に密着できるように、本体部71によって押圧されることで変形できる材質にて形成されてもよく、具体的には、凸部の硬度が本体部71の硬度よりも低い材質にて形成される。このような構成により、防水シート60を介して本体部71と建物の床面とを線接触させることができるので、凸部を設けない場合に比べて、防水シート60と建物の床面との相互間の隙間から水が浸入することを抑制することが可能となる。
また、上記実施の形態1では、本体部71に第1切欠部73が設けられていると説明したが、例えば、第1切欠部73を省略してもよい。また、上記実施の形態3では、本体部71に第2切欠部74が設けられていると説明したが、例えば、第2切欠部74を省略してもよい。この場合において、例えば本体部71の下面の一部に密着部75が設けられてもよく、あるいは、本体部71の下面全体に密着部75が設けられてもよい。
(下方差込部材の密着部について)
上記実施の形態1から3では、本体部71の下面に密着部75が設けられていると説明したが、例えば、密着部75を省略してもよい。
また、上記実施の形態1では、本体部71の下面に密着部75が1つのみ設けられていると説明したが、これに限られず、例えば、複数の密着部75が前後方向に沿って並設されてもよい。また、上記実施の形態1では、本体部71の下面のみに密着部75が設けられていると説明したが、これに限られず、例えば、本体部71の下方差込端部72とは反対側の端部にも、実施の形態2に係る密着部75が設けられてもよい。
(下方差込部材及び防水シートの差し込みについて)
上記実施の形態1、3では、開口部全閉状態において、防水シート60が、座板31の下端部と本体部71の下方差込端部72とによって挟持され、且つ、この下方差込端部72と建物の床面とによって挟持されるように、これら下方差込端部72及び防水シート60の一部が下方隙間32に差し込まれていると説明したが、これに限られない。例えば、図9に示すように、防水シート60が、下方差込端部72と建物の床面とによってのみ挟持されるように、これら下方差込端部72及び防水シート60の一部が下方隙間32に差し込まれてもよい(この場合には、下方差込部材70のうち、下方隙間32に差し込まれていない部分は、防水シート60によって覆われることになる)。
(押圧部材について)
上記実施の形態1から3では、押圧部材90の幅については、2種類の下方差込部材70のうち、幅が短い下方差込部材70の幅よりも若干長くなるように設定されていると説明したが、これに限られず、例えば、余剰部分の幅と略同一に設定されてもよい。
また、上記実施の形態1から3では、押圧部材90を設けると説明したが、これに限られず、例えば、押圧部材90を省略してもよい。この場合には、余剰部分の幅と略同一となるように形成された下方差込部材70を、当該余剰部分に差し込んでもよい。
(浸水防止構造の取付方法について)
上記実施の形態1から3では、側方差込部材80及び防水シート60の一部を左側方隙間33及び右側方隙間34の各々に差し込んでから、複数の下方差込部材70及び防水シート60の一部を下方差込部材70に差し込むと説明したが、これに限られない。例えば、防水シート60と接続された側方差込部材80及び当該防水シート60の一部を左側方隙間33に差し込んでから、複数の下方差込部材70及び防水シート60の一部を下方隙間32に差し込んだ後、防水シート60と接続されていない側方差込部材80及び防水シート60の一部を右側方隙間34に差し込んでもよい。
また、上記実施の形態1から3では、側方差込部材80を取り外した後に、複数の下方差込部材70を取り外すと説明したが、これに限られず、任意に順番を入れ替えてもよい。例えば、複数の下方差込部材70を取り外して、防水シート60が接続されていない側方差込部材80を取り外した後に、防水シート60が接続された側方差込部材80を取り外してもよい。
(付記)
付記1の浸水防止構造は、建物の床面と、前記建物の壁の開口部を開閉する開閉体の下端部との相互間の下方隙間から水が浸入することを防止するための浸水防止構造であって、前記開閉体によって前記開口部を全閉した状態において、少なくとも当該開閉体の外側面から前記建物の床面に至るように設けられた防水シートと、前記下方隙間に、前記建物の外側から当該建物の内側に向けて差し込むための下方差込部材と、を備え、前記下方差込部材のうち、少なくとも前記下方隙間に差し込まれる側の端部である差込端部の縦断面形状を、くさび状とし、前記開閉体によって前記開口部を全閉した状態において、前記防水シートが、前記差込端部と前記建物の床面とによって挟持されるように、当該差込端部及び当該防水シートの一部を前記下方隙間に差し込んだ。
付記2の浸水防止構造は、付記1に記載の浸水防止構造において、前記下方差込部材は、自己の変形により生じる復元力を前記防水シートの一部に作用させることによって、当該防水シートの一部を前記建物の床面に対して密着させる密着部を備える。
付記3の浸水防止構造は、付記2に記載の浸水防止構造において、前記密着部を、前記下方差込部材の下面において、前記建物の床面の表面形状に応じて変形可能となるように形成した。
付記4の浸水防止構造は、付記1から3のいずれか一項に記載の浸水防止構造において、前記下方差込部材における前記差込端部とは反対側の端部に、切欠部を形成した。
付記5の浸水防止構造は、付記1から4のいずれか一項に記載の浸水防止構造において、前記下方差込部材における少なくとも前記差込端部の下面に、凸部を設けた。
付記6の浸水防止構造は、付記1から5のいずれか一項に記載の浸水防止構造において、前記開閉体によって前記開口部を全閉した状態において、前記防水シートを、前記下方隙間に差し込まれた前記下方差込部材よりも前記建物の外側に延出させた。
付記7の浸水防止構造は、付記1から6のいずれか一項に記載の浸水防止構造において、前記建物の壁における前記開口部の側方に設けられた縦枠と、前記開閉体の外側面との相互間の側方隙間に、前記開口部の幅方向の中央側から前記縦枠側に向けて差し込むための側方差込部材を備え、前記開閉体によって前記開口部を全閉した状態において、前記防水シートが、前記側方差込部材と前記縦枠とによって挟持されるように、当該側方差込部材及び当該防水シートの一部を前記側方隙間に差し込んだ。
(付記の効果)
付記1に記載の浸水防止構造によれば、請求項1に記載の浸水防止構造によれば、下方差込部材のうち、少なくとも差込端部の縦断面形状を、くさび状とし、開閉体によって開口部を全閉した状態において、防水シートが、差込端部と建物の床面とによって挟持されるように、当該差込端部及び当該防水シートの一部を下方隙間に差し込むので、防水シート及び下方差込部材によって、この下方隙間から水が浸入することを防止できる。特に、部材の重量によって防水シートを建物の床面に押圧するのではなく、部材の差し込み圧力によって防水シートを建物の床面に圧接することができるので、流水の強さに応じて部材(下方差込部材)の重量を増加させる必要がなく、同じ部材(下方差込部材)を用いることができる。よって、従来技術に比べて、浸水防止のために使用される部材(下方差込部材)の軽量化を図ることができ、浸水防止構造の設置性を高めることが可能となる。
付記2に記載の浸水防止構造によれば、下方差込部材は、自己の変形により生じる復元力を防水シートの一部に作用させることによって、当該防水シートの一部を建物の床面に対して密着させる密着部を備えるので、開閉体によって開口部を全閉した状態において、下方隙間に下方差込部材を差し込んだ場合に、密着部によって防水シートの一部を建物の床面によって密着させることができ、建物の床面と防水シートとの相互間の隙間から水が浸入することを一層抑制することが可能となる。
付記3に記載の浸水防止構造によれば、密着部を、下方差込部材の下面において、建物の床面の表面形状に応じて変形可能となるように形成したので、建物の床面の表面形状に関わらず、密着部によって防水シートの一部と建物の床面とを所定の領域で密着させることができ、建物の床面と防水シートとの相互間の隙間から水が浸入することを一層抑制することが可能となる。
付記4に記載の浸水防止構造によれば、下方差込部材における差込端部とは反対側の端部に、切欠部を形成したので、切欠部に指を掛けることができ、下方差込部材を所定位置に容易に差し込むことが可能となる。また、切欠部が設けられていない場合に比べて、下方差込部材の軽量化を図ることができ、下方差込部材の製造コストを低減することが可能となる。
付記5に記載の浸水防止構造によれば、下方差込部材における少なくとも差込端部の下面に、凸部を設けたので、下方差込部材と建物の床面とを線接触させることができ、建物の床面と防水シートとの相互間の隙間から水が浸入することをさらに一層抑制することが可能となる。
付記6に記載の浸水防止構造によれば、開閉体によって開口部を全閉した状態において、防水シートを、下方隙間に差し込まれた下方差込部材よりも建物の外側に延出させたので、水によって防水シートの延出部分が押圧されることが可能となることから、建物の床面と防水シートとの相互間の隙間から水が浸入することをさらに一層抑制することが可能となる。
付記7に記載の浸水防止構造によれば、側方隙間に、開口部の幅方向の中央側から縦枠側に向けて差し込むための側方差込部材を備えたので、側方差込部材と縦枠とによって防水シートにおける上端部から下方隙間に至る部分が挟持されることにより、流水によって防水シートがめくり上がることを一層抑制でき、建物の床面と防水シートとの相互間の隙間から水が浸入することも一層抑制することが可能となる。
1 シャッター
2 躯体
3 開口部
11 左壁
12 右壁
13 上壁
14 ガイドレール
20 シャッター収納部
30 シャッターカーテン
30a スラット
30b 嵌合部
31 座板
31a 嵌合部
32 下方隙間
33 左側方隙間
34 右側方隙間
50 巻き取り軸
60 防水シート
70 下方差込部材
71 本体部
72 下方差込端部
73 第1切欠部
74 第2切欠部
74a 収容空間
75 密着部
80 側方差込部材
90 押圧部材
L1、L2 距離

Claims (8)

  1. 建物の床面と、前記建物の壁の開口部を開閉する開閉体の下端部との相互間の下方隙間から水が浸入することを防止するための浸水防止構造であって、
    前記開閉体によって前記開口部を全閉した状態において、少なくとも当該開閉体の外側面から前記建物の床面に至るように設けられた防水シートと、
    前記下方隙間に、前記建物の外側から当該建物の内側に向けて差し込むための下方差込部材と、を備え、
    前記下方差込部材のうち、少なくとも前記下方隙間に差し込まれる側の端部である差込端部の縦断面形状を、くさび状とし、
    前記開閉体によって前記開口部を全閉した状態において、前記防水シートが、前記開閉体の下端部に設けられた座板と前記下方差込部材との相互間を通って前記建物の外側から内側に向かう方向に至り、前記下方差込部材の前記差込端部において前記建物の内側から外側に向かう方向に折り返され、前記下方差込部材と前記建物の床面とによって挟持されるように、当該差込端部及び当該防水シートの一部を前記下方隙間に差し込んだ、
    浸水防止構造。
  2. 前記下方差込部材は、
    自己の変形により生じる復元力を前記防水シートの一部に作用させることによって、当該防水シートの一部を前記建物の床面に対して密着させる密着部を備える、
    請求項1に記載の浸水防止構造。
  3. 前記密着部を、前記下方差込部材の下面において、前記建物の床面の表面形状に応じて変形可能となるように形成した、
    請求項2に記載の浸水防止構造。
  4. 前記下方差込部材における前記差込端部とは反対側の端部に、切欠部を形成した、
    請求項1から3のいずれか一項に記載の浸水防止構造。
  5. 前記下方差込部材における少なくとも前記差込端部の下面に、凸部を設けた、
    請求項1から4のいずれか一項に記載の浸水防止構造。
  6. 前記開閉体によって前記開口部を全閉した状態において、前記防水シートを、前記下方隙間に差し込まれた前記下方差込部材よりも前記建物の外側に延出させた、
    請求項1から5のいずれか一項に記載の浸水防止構造。
  7. 前記建物の壁における前記開口部の側方に設けられた縦枠と、前記開閉体の外側面との相互間の側方隙間に、前記開口部の幅方向の中央側から前記縦枠側に向けて差し込むための側方差込部材を備え、
    前記開閉体によって前記開口部を全閉した状態において、前記防水シートが、前記側方差込部材と前記縦枠とによって挟持されるように、当該側方差込部材及び当該防水シートの一部を前記側方隙間に差し込んだ、
    請求項1から6のいずれか一項に記載の浸水防止構造。
  8. 複数の前記下方差込部材を、前記開閉体の幅方向に沿って並設した、
    請求項1から7のいずれか一項に記載の浸水防止構造。
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