以下、図面を用いて、本願発明の実施の形態について説明する。
まず、本願発明の第1実施形態について説明する。
図1は、本実施形態に係る車両用灯具10を示す正面図である。また、図2は図1のII−II線断面図であり、図3は図1のIII
部詳細図である。
これらの図に示すように、本実施形態に係る車両用灯具10は、車両の左前端部に配置されるヘッドランプであって、ロービーム照射とハイビーム照射とを選択的に行い得るように構成されている。
なお、車両用灯具10としては、図2において、Xで示す方向が「前方」(車両としても「前方」)であり、Yで示す方向が「前方」と直交する「左方向」(車両としても「左方向」であるが灯具正面視では「右方向」)である。
この車両用灯具10は、ランプボディ12とその前端開口部に取り付けられた素通し状の透光カバー14とで形成される灯室内に、第1および第2発光素子22、24と、これら第1および第2発光素子22、24からの出射光を前方へ向けて反射させるリフレクタ30とが組み込まれた構成となっている。
そして、この車両用灯具10においては、第1発光素子22の点灯によって水平および斜めカットオフラインを有するロービーム用配光パターンを形成するとともに、第2発光素子24の点灯によってハイビーム用配光パターンを形成するように構成されている。
図2に示すように、透光カバー14は、車幅方向内側(すなわち右側)から車幅方向外側へ向けて後方側に回り込むように形成されている。
第1および第2発光素子22、24は、いずれも白色発光ダイオードであって、細長い矩形状の発光面22a、24aを有している。これら各発光面22a、24aは、その長辺が短辺に対して2倍以上の値(例えば4倍程度)の値に設定されている。
これら第1および第2発光素子22、24は、灯室内の左後端部に配置されており、共通のヒートシンク26に支持されている。
第1発光素子22は、その発光面22aが鉛直上向き方向に対して右側(灯具正面視では「左側」)に傾斜した状態でヒートシンク26の上面26aに配置されている。その際、この発光面22aの法線方向の鉛直上向き方向に対する傾斜角度θ1は、15°≦θ1≦30°の値(例えば20°程度の値)に設定されている。また、この第1発光素子22は、その発光面22aが左右方向に細長く延びた状態で配置されている。したがって、この発光面22aにおける車幅方向外側の短辺を構成する側端縁22a1は、前後方向に延びる水平線で構成されている。
第2発光素子24は、第1発光素子22の右斜め下方の位置において、その発光面24aの法線方向を第1発光素子22の発光面22aの法線方向よりも水平方向に近い方向に向けた状態でヒートシンク26の右側面26bに配置されている、その際、この発光面24aの鉛直上向き方向に対する傾斜角度θ2は、45°≦θ2≦90°の値(例えば80°程度の値)に設定されている。また、この第2発光素子24は、その発光面24aが前後方向と直交する方向に細長く延びた状態で配置されている。
リフレクタ30は、第1および第2発光素子22、24の後方から灯室内の右前端部へ向けて延びるように形成されている。
このリフレクタ30の反射面30aは、第1発光素子22からの出射光が入射する第1反射領域30Aaと、第1発光素子22からの出射光が入射せずに第2発光素子24からの出射光が入射する第2反射領域30Baとを備えている。その際、これら第1反射領域30Aaと第2反射領域30Baとの境界線Bは、図1、3において1点鎖線で示すように、第1発光素子22の発光面22aの延長面が反射面30aと交差する位置に設定されている。
第1反射領域30Aaは、上記水平カットオフラインを形成するための第1サブ反射領域30Aa1と、上記斜めカットオフラインを形成するための第2サブ反射領域30Aa2とを備えている。
これら第1および第2サブ反射領域30Aa1、30Aa2は、第1および第2発光素子22、24に対して車幅方向内側(すなわち右側)の位置に配置されており、その際、第1サブ反射領域30Aa1を上にした状態で上下方向に互いに隣接している。そして、これら第1および第2サブ反射領域30Aa1、30Aa2は、第1発光素子22に対して車幅方向内側に多少離れた位置から反射面30aの車幅方向内側の端縁位置までの幅広い範囲にわたって形成されている。
第1サブ反射領域30Aa1は、第1発光素子22の発光面22aの側端縁22a1を含む水平面P1(図1、3において2点鎖線で示す)と交差する位置に配置されている。その際、この第1サブ反射領域30Aa1は、その上端縁が側端縁22a1よりも上方において車幅方向内側へ向けて水平方向に対してやや上向きに延びるとともに、その下端縁が側端縁22a1よりも下方において車幅方向内側へ向けて水平方向に対してやや下向きに延びるように形成されている。
この第1サブ反射領域30Aa1は、縦縞状に区分けされた複数の反射素子30As1で構成されている。そして、これら各反射素子30As1において第1発光素子22からの出射光を、下方側へ僅かに偏向しかつ水平方向に拡散および/または偏向する光として前方へ向けて反射させるようになっている。
第2サブ反射領域30Aa2は、第1発光素子22の発光面22aの側端縁22a1を含みかつ水平面に対して15°下向きに傾斜した傾斜面P2(図1、3において2点鎖線で示す)と交差する位置に配置されている。その際、この第2サブ反射領域30Aa2は、その上端縁が第1サブ反射領域30Aa1の下端縁と一致しており、その下端縁がヒートシンク26の上面26aの延長面と交差する位置(すなわち境界線Bよりも僅かに下方の位置)に設定されている。
この第2サブ反射領域30Aa2は、傾斜面P2と直交する方向に斜め縦縞状に区分けされた複数の反射素子30As2で構成されている。そして、これら各反射素子30As2において第1発光素子22からの出射光を、下方側へ僅かに偏向しかつ傾斜面P2に沿った方向に拡散および/または偏向する光として前方へ向けて反射させるようになっている。
第1反射領域30Aaは、第1および第2サブ反射領域30Aa1、30Aa2以外に、第1サブ反射領域30Aa1の上方に隣接する第3サブ反射領域30Aa3と、これらの左側に隣接する第4サブ反射領域30Aa4とを備えている。その際、第4サブ反射領域30Aa4の下端縁は、ヒートシンク26の上面26aの延長面と交差する位置に設定されている。
第3サブ反射領域30Aa3は、第1発光素子22からの出射光を、下方側へ多少偏向しかつ左右方向に比較的大きく拡散する光として前方へ向けて反射させるようになっている。また、第4サブ反射領域30Aa4は、第1発光素子22からの出射光を、下方側へ多少偏向しかつ左右方向に大きく拡散する光として前方へ向けて反射させるようになっている。
一方、第2反射領域30Baは、その大半がヒートシンク26の右側面26bよりも右側において第2および第4サブ反射領域30Aa2、30Aa4の下側に隣接する位置に配置されている。
この第2反射領域30Baは、第2発光素子24からの出射光を左右方向に僅かに拡散する光として前方へ向けて反射させるようになっている。
図4は、車両用灯具10から前方へ照射される光により、灯具前方25mの位置に配置された仮想鉛直スクリーン上に形成される配光パターンを透視的に示す図である。その際、同図(a)に示す配光パターンはロービーム用配光パターンであり、同図(b)に示す配光パターンはハイビーム用配光パターンである。
同図(a)に示すロービーム用配光パターンPL1は、左配光のロービーム用配光パターンであって、その上端縁にカットオフラインCL1、CL2を有している。このカットオフラインCL1、CL2は、灯具正面方向の消点であるH−Vを鉛直方向に通るV−V線よりも右側の対向車線側部分が水平カットオフラインCL1として形成されており、V−V線よりも左側の自車線側部分が斜めカットオフラインCL2として形成されている。
このロービーム用配光パターンPL1において、水平カットオフラインCL1と斜めカットオフラインCL2との交点であるエルボ点Eは、H−Vの0.5〜0.6°程度下方に位置している。
このロービーム用配光パターンPL1は、第1発光素子22の点灯によって形成される4つの配光パターンPL1a、PL1b、PL1c、PL1dの合成配光パターンとして形成されている。
配光パターンPL1aは、第1サブ反射領域30Aa1からの反射光によって形成される配光パターンである。
この配光パターンPL1aは、V−V線のやや左側の位置からV−V線の右側へ向けて水平に延びる横長の配光パターンであって、上下幅の狭い明るい配光パターンとして形成されており、その上端縁において明瞭な水平カットオフラインCL1を形成している。
この配光パターンPL1aが上端縁に明瞭な水平カットオフラインCL1を有する上下幅の狭い配光パターンとして形成されるのは、第1サブ反射領域30Aa1が、斜め上向きの発光面22aの側端縁22a1(すなわち第1サブ反射領域30Aa1とは左右反対側に位置する第1側端縁)を含む水平面P1と交差する位置に配置されていることによるものである。また、この配光パターンPL1aが明るい配光パターンとして形成されるのは、第1発光素子22の発光面22aが前後方向よりも左右方向に長い外形形状を有しており、これにより第1サブ反射領域30Aa1から発光面22aを見込む上下方向の角度が大きくなることによるものである。
配光パターンPL1bは、第2サブ反射領域30Aa2からの反射光によって形成される配光パターンである。
この配光パターンPL1bは、V−V線のやや右側の位置からV−V線の左側へ向けて15°の傾斜角度で斜め上向きに延びる横長の配光パターンであって、上下幅の狭い明るい配光パターンとして形成されており、その上端縁において明瞭な斜めカットオフラインCL2を形成している。
この配光パターンPL1bが上端縁に明瞭な斜めカットオフラインCL2を有する上下幅の狭い配光パターンとして形成されるのは、第2サブ反射領域30Aa2が、斜め上向きの発光面22aの側端縁22a1(すなわち第2サブ反射領域30Aa2とは左右反対側に位置する第2側端縁)を含む傾斜面P2と交差する位置に配置されていることによるものである。また、この配光パターンPL1bが明るい配光パターンとして形成されるのは、第1発光素子22の発光面22aが前後方向よりも左右方向に長い外形形状を有しており、これにより第2サブ反射領域30Aa2から発光面22aを見込む上下方向の角度が大きくなることによるものである。
配光パターンPL1cは、第3サブ反射領域30Aa3からの反射光によって形成される配光パターンであって、水平カットオフラインCL1の下方においてV−V線を中心にして左右両側に比較的大きく拡がる横長の配光パターンとして形成されている。
配光パターンPL1dは、第4サブ反射領域30Aa4からの反射光によって形成される配光パターンであって、水平カットオフラインCL1の下方においてV−V線を中心にして左右両側に大きく拡がる横長の配光パターンとして形成されている。
同図(b)に示すハイビーム用配光パターンPH1は、H−Vを中心にして左右両側に拡がる横長の配光パターンとして形成されている。
このハイビーム用配光パターンPH1は、第2発光素子24の点灯によって形成される5つの配光パターンPH1a、PH1b、PH1c、PH1d、PH1eの合成配光パターンとして形成されている。
4つの配光パターンPH1a〜PH1dは、第1〜第4サブ反射領域30Aa1〜30Aa4からの反射光によって形成される配光パターンである。
これら各配光パターンPH1a〜PH1dは、第1発光素子22の点灯によって形成される各配光パターンPL1a〜PL1dをやや上方側に変位させた上で、その上下幅をやや広くするとともにその左右拡散角を小さくしたような配光パターンとして形成されている。
その際、各配光パターンPH1a〜PH1dがやや上方側に変位するのは、第2発光素子24が第1発光素子22よりも下方に位置していることによるものである。また、各配光パターンPH1a〜PH1dの上下幅がやや広くなるとともにその左右拡散角が小さくなるのは、第2発光素子24の発光面24aの法線方向が第1発光素子22の発光面22aの法線方向よりも水平方向に近い方向を向いていることによるものである。
残り1つの配光パターンPH1eは、第2反射領域30Baからの反射光によって形成される配光パターンである。
この配光パターンPH1eは、H−Vを中心とするやや横長の配光パターンとして形成されている。その際、この配光パターンPH1eは、スポット状の明るい配光パターンとして形成されている。
この配光パターンPH1eが4つの配光パターンPH1a〜PH1dに対してH−Vの位置に重畳されることにより、4つの配光パターンPH1a〜PH1dの光度分布の偏りが矯正され、これによりハイビーム用配光パターンPH1をH−V付近の光度が最も高くその周辺領域へ向けて徐々に光度が低くなる適切な光度分布を有する配光パターンとして形成するようになっている。
次に本実施形態の作用効果について説明する。
本実施形態に係る車両用灯具10においては、第1反射領域30Aaにおいて水平カットオフラインCL1を形成するための第1サブ反射領域30Aa1および斜めカットオフラインCL2を形成するための第2サブ反射領域30Aa2が、いずれも第1発光素子22に対して車幅方向内側(すなわち右側)に変位した位置に配置されるとともに、第1発光素子22の発光面22aの側端縁22a1が前後方向に延びるように形成されており、その上で、第1および第2サブ反射領域30Aa1、30Aa2が、側端縁22a1を含む水平面P1および下向きの傾斜面P2と交差する位置にそれぞれ配置されているので、次のような作用効果を得ることができる。
すなわち、第1サブ反射領域30Aa1は、第1発光素子22の発光面22aにおいて該第1サブ反射領域30Aa1とは左右反対側に位置する第1側端縁である側端縁22a1を含む水平面P1と交差する位置に配置されているので、この第1サブ反射領域30Aa1において第1発光素子22からの出射光を反射制御することにより、明瞭な水平カットオフラインCL1を有する配光パターンPH1aを上下幅が小さい配光パターンとして形成することができる。
その際、このような明瞭な水平カットオフラインCL1を形成することができる具体的な理由は以下のとおりである。
すなわち、第1サブ反射領域30Aa1から第1発光素子22の発光面22aを見たとき、その外周縁のうち反対側に位置する側端縁22a1は鮮明な明暗境界線として見える。また、第1発光素子22における発光面22aの周辺領域から迷光となって漏れ出す光は、その大半が発光面22aの法線方向に近い方向へ向かう光となり、法線方向から大きく傾斜した方向へ向かう光は極僅かである。したがって、発光面22aの法線方向から大きく傾斜した方向に位置する第1サブ反射領域30Aa1を用いて水平カットオフラインCL1を形成することにより、これを明瞭なカットオフラインとすることができる。
同様に、第2サブ反射領域30Aa2は、第1発光素子22の発光面において該第2サブ反射領域30Aa2とは左右反対側に位置する第2側端縁である側端縁22a1を含む傾斜面P2と交差する位置に配置されているので、この第2サブ反射領域30Aa2において第1発光素子22からの出射光を反射制御することにより、明瞭な斜めカットオフラインCL2を有する配光パターンPH1bを上下幅が小さい配光パターンとして形成することができる。
そして、このように明瞭な水平カットオフラインCL1を有する配光パターンおよび明瞭な斜めカットオフラインCL2を有する配光パターンPH1a、PH1bを上下幅が小さい配光パターンとして形成することにより、次のような作用効果を得ることができる。
すなわち、これら各配光パターンにおいて必要な明るさを確保するためには、水平カットオフラインCL1に沿った方向あるいは斜めカットオフラインCL2に沿った方向の拡散角度を比較的小さい値に設定することが必要となる。その際、これら各配光パターンを上下幅が小さい配光パターンとして形成しておくことにより、ロービーム用配光パターンPL1において手前側領域が過度に明るくなってしまうのを未然に防止することができる。そしてこれにより前方視認性を向上させることができる。
このように本実施形態によれば、第1発光素子22からの出射光をリフレクタ30によって前方へ向けて反射させることにより、水平および斜めカットオフラインCL1、CL2を有するロービーム用配光パターンPL1を形成するように構成された車両用灯具10において、前方視認性を向上させることができる。
しかも本実施形態によれば、このような作用効果を単一の第1発光素子22を用いた構成によって実現することができる。
また本実施形態においては、第1および第2サブ反射領域30Aa1、30Aa2が第1発光素子22に対して車幅方向内側(すなわち左右同じ側)に配置されているので、限られた反射面30aのスペースにおいて第1および第2サブ反射領域30Aa1、30Aa2を第1発光素子22からできるだけ離れた位置まで延びるように配置することができる。そして、これら第1および第2サブ反射領域30Aa1、30Aa2における第1発光素子22から離れた位置からの反射光によって、水平および斜めカットオフラインCL1、CL2を上下幅がより小さい配光パターンとして形成することができる。
その際、本実施形態においては、第1および第2サブ反射領域30Aa1、30Aa2が上下方向に互いに隣接して配置された構成となっているので、その各々の形成領域をできるだけ細長い領域として確保することができる。
また本実施形態においては、第1発光素子22の発光面22aが前後方向よりも左右方向に長い外形形状を有しているので、次のような作用効果を得ることができる。
すなわち、第1および第2サブ反射領域30Aa1、30Aa2の各々から第1発光素子22の発光面22aを見込む上下方向の角度が大きくなるので、水平カットオフラインCL1を有する配光パターンPL1aおよび斜めカットオフラインCL2を有する配光パターンPL1bの明るさを増大させることができる。また、第1反射領域30Aaにおける第1および第2サブ反射領域30Aa1、30Aa2以外のサブ反射領域である第3および第4サブ反射領域30Aa3、30Aa4は、第1発光素子22の発光面22aからその法線方向に近い方向へ出射する光を反射させることとなるが、その際の反射光は横長の配光パターンPL1c、PL1dとなるので、ロービーム用配光パターンPL1において手前側領域が過度に明るくなってしまわないようにすることができる。
本実施形態のように、第1発光素子22の発光面22aを鉛直上向き方向に対して車幅方向内側に斜めカットオフラインCL2の立ち上がり角度よりも大きい角度で傾斜させた上で、第2サブ反射領域30Aa2を下向きの傾斜面P2と交差する位置に配置することにより、車両用灯具10を左配光のロービーム用配光パターンPL1を形成する際の左側の灯具として適したものとすることができる。
上記実施形態においては、車両用灯具10として左配光のロービーム用配光パターンPL1を形成するように構成されているものとして説明したが、上記実施形態に係る車両用灯具10を左右反転させた構成を採用することにより、右配光のロービーム用配光パターンを形成する構成とすることも可能である。
次に、上記実施形態の変形例について説明する。
図5は、本変形例に係る車両用灯具110を示す、図1と同様の図である。
同図に示すように、この車両用灯具110は、車両の右前端部に配置されるヘッドランプであって、ロービーム照射とハイビーム照射とを選択的に行い得るように構成されている。
この車両用灯具110の基本的な構成は上記実施形態に係る車両用灯具10を左右反転させた構成と同様であるが、第1および第2発光素子122、124の配置およびリフレクタ130の構成が上記実施形態の場合と一部異なっている。なお、第1および第2発光素子122、124の構成自体は上記実施形態の第1および第2発光素子22、24と同様である。
本変形例においては、第1および第2発光素子122、124が灯室内の左後端部に配置された状態で共通のヒートシンク126に支持されている。
その際、第1発光素子122は、上記実施形態の場合よりもやや下方の位置において、その発光面122aが鉛直上向き方向に対して左側に傾斜した状態で配置されている。その際、この発光面122aの法線方向の鉛直上向き方向に対する傾斜角度θ1は、0°≦θ1≦15°の値(例えば5°程度の値)に設定されている。
一方、第2発光素子124は、第1発光素子122の左斜め下方の位置において、その発光面124aの法線方向を第1発光素子122の発光面122aの法線方向よりも水平方向に近い方向に向けた状態で配置されている、その際、この発光面124aの傾斜角度は上記実施形態の場合と同じ値に設定されている。
リフレクタ130は、灯具正面視において上記実施形態のリフレクタ30と左右対称の外形形状を有している。
このリフレクタ130の反射面130aも、第1発光素子122の発光面122aの延長面が反射面130aと交差する境界線Bを境にして、第1発光素子122からの出射光が入射する第1反射領域130Aaと、第1発光素子122からの出射光が入射せずに第2発光素子124からの出射光が入射する第2反射領域130Baとを備えている。
第1反射領域130Aaは、上記実施形態の場合と同様、第1、第2、第3および第4サブ反射領域130Aa1、130Aa2、130Aa3、130Aa4で構成されているが、水平カットオフラインを形成するための第1サブ反射領域130Aa1に対して斜めカットオフラインを形成するための第2サブ反射領域130Aa2が上側に隣接して配置されている。
第1サブ反射領域130Aa1は、第1発光素子122の発光面122aの右側の側端縁122a1を含む水平面P1と交差する位置に配置されている。その際、この第1サブ反射領域130Aa1は、その上端縁が側端縁122a1よりも上方において車幅方向内側へ向けて水平方向に対してやや上向きに延びるとともに、その下端縁が境界線Bよりも僅かに下方において境界線Bと平行に延びている。この第1サブ反射領域130Aa1は、縦縞状に区分けされた複数の反射素子130As1で構成されている。
第2サブ反射領域130Aa2は、第1発光素子122の発光面122aの右側の側端縁122a1を含みかつ水平面に対して15°上向きに傾斜した傾斜面P2と交差する位置に配置されている。その際、この第2サブ反射領域130Aa2は、その下端縁が第1サブ反射領域130Aa1の上端縁と一致しており、その上端縁が車幅方向内側へ向けて傾斜面P2よりもやや大きい傾斜角度で延びている。この第2サブ反射領域130Aa2は、傾斜面P2と直交する方向に斜め縦縞状に区分けされた複数の反射素子130As2で構成されている。
第3および第4サブ反射領域130Aa3、130Aa4は、上記実施形態の第3および第4サブ反射領域30Aa3、30Aa4と略同様の構成を有している。
本変形例の構成を採用した場合においても、上記第1実施形態と略同様の作用効果を得ることができる。
本変形例のように、第1発光素子122の発光面122aを鉛直上向き方向に対して車幅方向内側に斜めカットオフラインCL2の立ち上がり角度よりも小さい角度で傾斜させた上で、第2サブ反射領域130Aa2を上向きの傾斜面P2と交差する位置に配置することにより、車両用灯具110を左配光のロービーム用配光パターンPL1を形成する際の右側の灯具として適したものとすることができる。
次に、本願発明の第2実施形態について説明する。
図6は、本実施形態に係る車両用灯具210を示す正面図である。また、図7は図6のVII−VII線断面図であり、図8は図6のVIII−VIII線断面図である。さらに、図9は図6のIX部詳細図である。
これらの図に示すように、本実施形態に係る車両用灯具210は、車両の左前端部に配置されるヘッドランプであって、ロービーム照射とハイビーム照射とを選択的に行い得るように構成されている。
この車両用灯具210は、ランプボディ212とその前端開口部に取り付けられた素通し状の透光カバー214とで形成される灯室内に、第1および第2発光素子222、224と、これら第1および第2発光素子222、224からの出射光を前方へ向けて反射させるリフレクタ230とが組み込まれた構成となっている。その際、本実施形態においては、第2発光素子224が2つ配置されている。
そして、この車両用灯具210においては、第1発光素子222の点灯によって水平および斜めカットオフラインを有するロービーム用配光パターンを形成するとともに、2つの第2発光素子224の点灯によってハイビーム用配光パターンを形成するように構成されている。
図7に示すように、透光カバー214は、車幅方向内側(すなわち右側)から車幅方向外側へ向けて後方側に僅かに傾斜して延びるように形成されている。
第1発光素子222は、白色発光ダイオードであって、上記第1実施形態の第1発光素子22と同様の構成を有している。
各第2発光素子224は、白色発光ダイオードであって、細長い矩形状の発光面224aを有しているが、その長辺と短辺との比が上記第1実施形態の第2発光素子224の場合よりも小さい値に設定されている。
第1発光素子222および2つの第2発光素子224は、灯室内の中央後部に配置されており、共通のヒートシンク226に支持されている。
第1発光素子222は、その発光面222aが鉛直上向き方向に対して右側(灯具正面視では「左側」)に傾斜した状態でヒートシンク226の上面226aに配置されている。その際、この発光面222aの法線方向の鉛直上向き方向に対する傾斜角度θ1は、0°≦θ1≦15°の値(例えば7.5°程度の値)に設定されている。また、この第1発光素子222は、その発光面222aが左右方向に細長く延びた状態で配置されている。したがって、この発光面222aにおける車幅方向外側の短辺を構成する側端縁222a1および車幅方向内側の短辺を構成する側端縁222a2は、前後方向に延びる水平線で構成されている。
2つの第2発光素子224は、第1発光素子222の右斜め下方および左斜め下方の位置において、その発光面224aの法線方向を第1発光素子222の発光面222aの法線方向よりも水平方向に近い方向に向けた状態でヒートシンク226の右側面226bおよび左側面226cに配置されている。その際、これら2つの第2発光素子224は、左右対称の位置関係で配置されており、その発光面224aの鉛直上向き方向に対する傾斜角度θ2は、45°≦θ2≦90°の値(例えば80°程度の値)に設定されている。また、これら各第2発光素子224は、その発光面224aが前後方向と直交する方向に細長く延びた状態で配置されている。
リフレクタ230は、第1および第2発光素子222、224の後方から灯室内の前端部へ向けて左右両側に延びるように形成されている。
このリフレクタ230の反射面230aは、第1発光素子222からの出射光が入射する第1反射領域230Aaと、第1発光素子222からの出射光が入射せずに2つの第2発光素子224からの出射光が入射する第2反射領域230Baとを備えている。その際、これら第1反射領域230Aaと第2反射領域230Baとの境界線Bは、図6、9において1点鎖線で示すように、第1発光素子222の発光面222aの延長面が反射面230aと交差する位置に設定されている。
第1反射領域230Aaは、上記水平カットオフラインを形成するための第1サブ反射領域230Aa1と、上記斜めカットオフラインを形成するための第2サブ反射領域230Aa2とを備えている。
これら第1および第2サブ反射領域230Aa1、230Aa2は、第1発光素子222に対して左右両側の位置に配置されている。そして、これら第1および第2サブ反射領域230Aa1、230Aa2は、第1発光素子222から左右両側に多少離れた位置から反射面230aの左右両側の各端縁位置までの範囲にわたって形成されている。
第1サブ反射領域230Aa1は、第1発光素子222の右側において、その発光面222aの側端縁222a1を含む水平面P1(図6、9において2点鎖線で示す)と交差する位置に配置されている。その際、この第1サブ反射領域230Aa1は、その上端縁が側端縁222a1よりも上方において車幅方向内側へ向けて水平方向に対してやや上向きに延びるとともに、その下端縁がヒートシンク226の上面226aの延長面と交差する位置(すなわち境界線Bよりも僅かに下方の位置)に設定されている。
この第1サブ反射領域230Aa1は、縦縞状に区分けされた複数の反射素子230As1で構成されている。そして、これら各反射素子230As1において第1発光素子222からの出射光を、下方側へ僅かに偏向しかつ水平方向に拡散および/または偏向する光として前方へ向けて反射させるようになっている。
第2サブ反射領域230Aa2は、第1発光素子222の左側において、その発光面222aの側端縁222a2を含みかつ水平面に対して15°上向きに傾斜した傾斜面P2(図6、9において2点鎖線で示す)と交差する位置に配置されている。その際、この第2サブ反射領域230Aa2は、その上端縁が傾斜面P2よりもやや大きい傾斜角度で車幅方向外側へ向けて上向きに延びており、その下端縁がヒートシンク226の上面226aの延長面と交差する位置に設定されている。
この第2サブ反射領域230Aa2は、傾斜面P2と直交する方向に斜め縦縞状に区分けされた複数の反射素子230As2で構成されている。そして、これら各反射素子230As2において第1発光素子222からの出射光を、下方側へ僅かに偏向しかつ傾斜面P2に沿った方向に拡散および/または偏向する光として前方へ向けて反射させるようになっている。
第1反射領域230Aaは、第1および第2サブ反射領域230Aa1、230Aa2以外に、第1サブ反射領域230Aa1の上方に隣接する第3サブ反射領域230Aa3と、第2サブ反射領域230Aa2の上方に隣接する第4サブ反射領域230Aa4と、これら第3および第4サブ反射領域230Aa3、230Aa4の間に位置する第5サブ反射領域230Aa5とを備えている。その際、第5サブ反射領域230Aa5の下端縁は、ヒートシンク226の上面226aの延長面と交差する位置に設定されている。
第3および第4サブ反射領域230Aa3、230Aa4は、第1発光素子222からの出射光を、下方側へ多少偏向しかつ左右方向に比較的大きく拡散する光として前方へ向けて反射させるようになっている。また、第5サブ反射領域230Aa5は、第1発光素子222からの出射光を、下方側へ多少偏向しかつ左右方向に大きく拡散する光として前方へ向けて反射させるようになっている。
一方、第2反射領域230Baは、ヒートシンク226の右側面226bよりも右側において第1サブ反射領域230Aa1の下側に隣接する位置に配置された第1サブ反射領域230Ba1と、ヒートシンク226の左側面226cよりも左側において第2サブ反射領域230Aa2の下側に隣接する位置に配置された第2サブ反射領域230Ba2とを備えている。
第1サブ反射領域230Ba1は、右側の第2発光素子224からの出射光を左右方向に僅かに拡散する光として前方へ向けて反射させるようになっており、第2サブ反射領域230Ba2は、左側の第2発光素子224からの出射光を左右方向に僅かに拡散する光として前方へ向けて反射させるようになっている。
図10は、車両用灯具210から前方へ照射される光により上記仮想鉛直スクリーン上に形成される配光パターンを透視的に示す図である。
同図(a)に示すロービーム用配光パターンPL2は、左配光のロービーム用配光パターンであって、第1発光素子222の点灯によって形成される4つの配光パターンPL2a、PL2b、PL2c、PL2dの合成配光パターンとして形成されている。
配光パターンPL2aは、第1サブ反射領域230Aa1からの反射光によって形成される配光パターンであって、上記第1実施形態の配光パターンPL1aと略同様の形状を有している。
配光パターンPL2bは、第2サブ反射領域230Aa2からの反射光によって形成される配光パターンであって、上記第1実施形態の配光パターンPL1bと略同様の形状を有している。
配光パターンPL2cは、第3および第4サブ反射領域230Aa3、230Aa4からの反射光によって形成される配光パターンであって、上記第1実施形態の配光パターンPL1cと略同様の形状を有している。
配光パターンPL2dは、第5サブ反射領域230Aa5からの反射光によって形成される配光パターンであって、上記第1実施形態の配光パターンPL1dと略同様の形状を有している。
同図(b)に示すハイビーム用配光パターンPH2は、H−Vを中心にして左右両側に拡がる横長の配光パターンとして形成されている。
このハイビーム用配光パターンPH2は、第2発光素子24の点灯によって形成される5つの配光パターンPH2a、PH2b、PH2c、PH2d、PH2eの合成配光パターンとして形成されている。
4つの配光パターンPH2a〜PH2dは、第1〜第5サブ反射領域230Aa1〜230Aa5からの反射光によって形成される配光パターンである。
これら各配光パターンPH2a〜PH2dは、第1発光素子22の点灯によって形成される各配光パターンPL2a〜PL2dをやや上方側に変位させた上で、その上下幅をやや広くするとともにその左右拡散角を小さくしたような配光パターンとして形成されている。
残り1つの配光パターンPH2eは、第2反射領域30Baの第1および第2サブ反射領域230Ba1、230Ba2からの反射光によって形成される配光パターンである。
この配光パターンPH2eは、H−Vを中心とするやや横長の配光パターンとして形成されている。その際、この配光パターンPH2eは、スポット状の明るい配光パターンとして形成されている。
この配光パターンPH2eが4つの配光パターンPH2a〜PH2dに対してH−Vの位置に重畳されることにより、4つの配光パターンPH2a〜PH2dの光度分布の偏りを矯正して、ハイビーム用配光パターンPH2を、H−V付近の光度が最も高く、その周辺領域へ向けて徐々に光度が低くなる適切な光度分布を有する配光パターンとして形成するようになっている。
次に本実施形態の作用効果について説明する。
本実施形態に係る車両用灯具210は、第1サブ反射領域230Aa1が、第1発光素子222の発光面222aにおいて該第1サブ反射領域230Aa1とは左右反対側に位置する第1側端縁である側端縁222a1を含む水平面P1と交差する位置に配置されているので、この第1サブ反射領域230Aa1において第1発光素子222からの出射光を反射制御することにより、明瞭な水平カットオフラインCL1を有する配光パターンPL2aを上下幅の小さい配光パターンとして形成することができる。
同様に、第2サブ反射領域230Aa2は、第1発光素子222の発光面222aにおいて該第2サブ反射領域230Aa2とは左右反対側に位置する第2側端縁である側端縁222a2を含む傾斜面P2と交差する位置に配置されているので、この第2サブ反射領域230Aa2において第1発光素子222からの出射光を反射制御することにより、明瞭な斜めカットオフラインCL2を有する配光パターンPL2bを上下幅の小さい配光パターンとして形成することができる。
そして、このように明瞭な水平カットオフラインCL1を有する配光パターンPL2aおよび明瞭な斜めカットオフラインCL2を有する配光パターンPL2bを上下幅の小さい配光パターンとして形成することにより、ロービーム用配光パターンPL2において手前側領域が過度に明るくなってしまうのを未然に防止して、前方視認性を向上させることができる。
また本実施形態においても、第1発光素子222の発光面222aが前後方向よりも左右方向に長い外形形状を有しているので、上記第1実施形態の場合と同様、配光パターンPL2a、PL2bの明るさを増大させた上で、ロービーム用配光パターンPL2において手前側領域が過度に明るくなってしまわないようにすることができる。
本実施形態のように、第1および第2サブ反射領域222、224が第1発光素子222に対して左右反対側に配置された構成とすることにより、リフレクタ230の形状を左右対称形状に近い形状に形成することが容易に可能となる。したがって、車両の右前端部に配置される車両用灯具の構成として、リフレクタ230の外形形状のみを左右反転させた上で車両用灯具210の構成をそのまま平行移動させた構成とすることができる。
なお本実施形態において、図8において2点鎖線で示すように、ヒートシンク226の上面226aにおける第1発光素子222の前方部位にシェード228が配置された構成とし、このシェード228によって第1発光素子222から前方斜め上方へ向けて出射する直射光を遮光する構成とすることも可能である。
次に、本願発明の第3実施形態について説明する。
図11は、本実施形態に係る車両用灯具310を示す正面図である。また、図12は図11のXII−XII線断面図であり、図13は図11のXIII−XIII線断面図である。さらに、図14は図11のXIV 部詳細図である。
これらの図に示すように、本実施形態に係る車両用灯具310は、車両の左前端部に配置されるヘッドランプであって、ロービーム照射とハイビーム照射とを選択的に行い得るように構成されている。
この車両用灯具310は、ランプボディ312とその前端開口部に取り付けられた素通し状の透光カバー314とで形成される灯室内に、第1および第2発光素子322、324と、これら第1および第2発光素子322、324からの出射光を前方へ向けて反射させるリフレクタ330とが組み込まれた構成となっている。
そして、この車両用灯具310においては、第1発光素子322の点灯によって水平および斜めカットオフラインを有するロービーム用配光パターンを形成するとともに、第2発光素子324の点灯によってハイビーム用配光パターンを形成するように構成されている。
図12に示すように、透光カバー314は、車幅方向内側(すなわち右側)から車幅方向外側へ向けて後方側に僅かに傾斜して延びるように形成されている。
第1および第2発光素子322、324は、いずれも白色発光ダイオードであって、上記第1実施形態の第1および第2発光素子22、24と同様の構成を有している。
第1発光素子322および2つの第2発光素子324は、灯室内の中央後部に配置されており、共通のヒートシンク326に支持されている。
第1発光素子322は、その発光面322aが鉛直下向き方向に対して左側(灯具正面視では「右側」)に傾斜した状態でヒートシンク326の下面326aに配置されている。その際、この発光面322aの法線方向の鉛直下向き方向に対する傾斜角度θ1は、0°≦θ1≦15°の値(例えば7.5°程度の値)に設定されている。また、この第1発光素子322は、その発光面322aが左右方向に細長く延びた状態で配置されている。したがって、この発光面332aにおける車幅方向内側の短辺を構成する側端縁322a1および車幅方向外側の短辺を構成する側端縁322a2は、前後方向に延びる水平線で構成されている。
第2発光素子324は、第1発光素子322の斜め上前方の位置において、その発光面324aの法線方向を第1発光素子322の発光面322aの法線方向よりも水平方向に近い方向に向けた状態でヒートシンク326の前部傾斜面326dに配置されている。その際、この発光面324aの鉛直下向き方向に対する傾斜角度θ2は、30°≦θ2≦60°の値(例えば45°程度の値)に設定されている。また、これら各第2発光素子324は、その発光面324aが左右方向に細長く延びた状態で配置されている。
リフレクタ330は、第1および第2発光素子322、324の後方から灯室内の前端部へ向けて左右両側に延びるように形成されている。
このリフレクタ330の反射面330aは、第1発光素子322からの出射光が入射する第1反射領域330Aaと、第1発光素子322からの出射光が入射せずに2つの第2発光素子324からの出射光が入射する第2反射領域330Baとを備えている。その際、これら第1反射領域330Aaと第2反射領域330Baとの境界線Bは、図11、14において1点鎖線で示すように、第1発光素子322の発光面322aの延長面が反射面330aと交差する位置に設定されている。
第1反射領域330Aaは、上記水平カットオフラインを形成するための第1サブ反射領域330Aa1と、上記斜めカットオフラインを形成するための第2サブ反射領域330Aa2とを備えている。
これら第1および第2サブ反射領域330Aa1、330Aa2は、第1および第2発光素子322、324に対して左右両側の位置に配置されている。そして、これら第1および第2サブ反射領域330Aa1、330Aa2は、第1発光素子322から左右両側に多少離れた位置から反射面330aの左右両側の各端縁位置までの範囲にわたって形成されている。
第1サブ反射領域330Aa1は、第1発光素子322の左側において、その発光面322aの側端縁322a1を含む水平面P1(図11、14において2点鎖線で示す)と交差する位置に配置されている。その際、この第1サブ反射領域330Aa1は、その上端縁がヒートシンク326の下面326aの延長面と交差する位置(すなわち境界線Bよりも僅かに上方の位置)に設定されており、その下端縁が側端縁322a1よりも下方において車幅方向外側へ向けて水平方向に対してやや下向きに延びている。
この第1サブ反射領域330Aa1は、縦縞状に区分けされた複数の反射素子330As1で構成されている。そして、これら各反射素子330As1において第1発光素子322からの出射光を、下方側へ僅かに偏向しかつ水平方向に拡散および/または偏向する光として前方へ向けて反射させるようになっている。
第2サブ反射領域330Aa2は、第1発光素子322の右側において、その発光面322aの側端縁322a2を含みかつ水平面に対して15°下向きに傾斜した傾斜面P2(図11、14において2点鎖線で示す)と交差する位置に配置されている。その際、この第2サブ反射領域330Aa2は、その上端縁がヒートシンク326の下面326aの延長面と交差する位置に設定されており、その下端縁が車幅方向内側へ向けて傾斜面P2よりもやや大きい傾斜角度で下向きに延びている。
この第2サブ反射領域330Aa2は、傾斜面P2と直交する方向に斜め縦縞状に区分けされた複数の反射素子330As2で構成されている。そして、これら各反射素子330As2において第1発光素子322からの出射光を、下方側へ僅かに偏向しかつ傾斜面P2に沿った方向に拡散および/または偏向する光として前方へ向けて反射させるようになっている。
第1反射領域330Aaは、第1および第2サブ反射領域330Aa1、330Aa2以外に、第1サブ反射領域330Aa1の下方に隣接する第3サブ反射領域330Aa3と、第2サブ反射領域330Aa2の下方に隣接する第4サブ反射領域330Aa4と、これら第3および第4サブ反射領域330Aa3、330Aa4の間において上下2段で配置された第5および第6サブ反射領域330Aa5、330Aa6とを備えている。その際、上側に位置する第5サブ反射領域330Aa5の上端縁は、ヒートシンク326の下面326aの延長面と交差する位置に設定されており、第6サブ反射領域330Aa6の下端縁は反射面330aの前端縁位置まで延びている。
第3および第4サブ反射領域330Aa3、330Aa4は、第1発光素子322からの出射光を、下方側へ多少偏向しかつ左右方向に比較的大きく拡散する光として前方へ向けて反射させるようになっている。また、第5サブ反射領域330Aa5は、第1発光素子322からの出射光を、下方側へ多少拡散するとともに左右方向に大きく拡散する光として前方へ向けて反射させるようになっている。そして、第6サブ反射領域330Aa6は、第1発光素子322からの出射光を、下方側へ多少偏向する光として前方へ向けて反射させるようになっている。
一方、第2反射領域330Baは、ヒートシンク326の左側面326bよりも左側において第1サブ反射領域330Aa1の上側に隣接する位置に配置された第1サブ反射領域330Ba1と、ヒートシンク326の右側面326cよりも右側において第2サブ反射領域330Aa2の上側に隣接する位置に配置された第2サブ反射領域330Ba2とを備えている。
これら第1および第2サブ反射領域330Ba1、330Ba2は、第2発光素子324からの出射光を左右方向に僅かに拡散する光として前方へ向けて反射させるようになっている。
図15は、車両用灯具310から前方へ照射される光により上記仮想鉛直スクリーン上に形成される配光パターンを透視的に示す図である。
同図(a)に示すロービーム用配光パターンPL3は、左配光のロービーム用配光パターンであって、第1発光素子322の点灯によって形成される5つの配光パターンPL3a、PL3b、PL3c、PL3d、PL3eの合成配光パターンとして形成されている。
配光パターンPL3aは、第1サブ反射領域330Aa1からの反射光によって形成される配光パターンであって、上記第1実施形態の配光パターンPL1aと略同様の形状を有している。
配光パターンPL3bは、第2サブ反射領域330Aa2からの反射光によって形成される配光パターンであって、上記第1実施形態の配光パターンPL1bと略同様の形状を有している。
配光パターンPL3cは、第3および第4サブ反射領域330Aa3、330Aa4からの反射光によって形成される配光パターンであって、上記第1実施形態の配光パターンPL1cと略同様の形状を有している。
配光パターンPL3dは、第5サブ反射領域330Aa5からの反射光によって形成される配光パターンであって、上記第1実施形態の配光パターンPL1dと略同様の形状を有している。
配光パターンPL3eは、第6サブ反射領域330Aa6からの反射光によって形成される配光パターンであって、エルボ点Eの下方近傍に形成されている。その際、この配光パターンPL3eは、上下幅の小さいスポット状の比較的明るい配光パターンとして、配光パターンPL3bよりも小さい傾斜角度で形成されている。
同図(b)に示すハイビーム用配光パターンPH3は、H−Vを中心にして左右両側に拡がる横長の配光パターンとして形成されている。
このハイビーム用配光パターンPH3は、第2発光素子24の点灯によって形成される6つの配光パターンPH3a、PH3b、PH3c、PH3d、PH3e、PH3fの合成配光パターンとして形成されている。
4つの配光パターンPH3a〜PH3dは、第1〜第5サブ反射領域30Aa1〜30Aa5からの反射光によって形成される配光パターンである。
これら各配光パターンPH3a〜PH3dは、第1発光素子22の点灯によって形成される各配光パターンPL3a〜PL3dをやや上方側に変位させた上で、その上下幅をやや広くするとともにその左右拡散角を小さくしたような配光パターンとして形成されている。
一方、第6サブ反射領域30Aa6からの反射光によって形成される配光パターンPH3eは、H−Vを中心とする上下幅の狭いスポット状の明るい配光パターンとして形成されている。
残り1つの配光パターンPH3fは、第2反射領域330Baの第1および第2サブ反射領域330Ba1、330Ba2からの反射光によって形成される配光パターンである。
この配光パターンPH3fは、H−Vを中心とするやや横長の配光パターンとして形成されている。その際、この配光パターンPH3fは、スポット状の明るい配光パターンとして形成されている。
これら2つの配光パターンPH3e、PH3fが4つの配光パターンPH3a〜PH3dに対してH−Vの位置に重畳されることにより、4つの配光パターンPH3a〜PH3dの光度分布の偏りを矯正して、ハイビーム用配光パターンPH3を、H−V付近の光度が最も高く、その周辺領域へ向けて徐々に光度が低くなる適切な光度分布を有する配光パターンとして形成するようになっている。
次に本実施形態の作用効果について説明する。
本実施形態に係る車両用灯具310は、第1サブ反射領域330Aa1が、第1発光素子322の発光面322aにおいて該第1サブ反射領域330Aa1とは左右反対側に位置する第1側端縁である側端縁322a1を含む水平面P1と交差する位置に配置されているので、この第1サブ反射領域330Aa1において第1発光素子322からの出射光を反射制御することにより、明瞭な水平カットオフラインCL1を有する配光パターンPL3aを上下幅の小さい配光パターンとして形成することができる。
同様に、第2サブ反射領域330Aa2は、第1発光素子322の発光面322aにおいて該第2サブ反射領域330Aa2とは左右反対側に位置する第2側端縁である側端縁322a2を含む傾斜面P2と交差する位置に配置されているので、この第2サブ反射領域330Aa2において第1発光素子322からの出射光を反射制御することにより、明瞭な斜めカットオフラインCL2を有する配光パターンPL3bを上下幅の小さい配光パターンとして形成することができる。
そして、このように明瞭な水平カットオフラインCL1を有する配光パターンPL3aおよび明瞭な斜めカットオフラインCL2を有する配光パターンPL3bを上下幅の小さい配光パターンとして形成することにより、ロービーム用配光パターンPL3において手前側領域が過度に明るくなってしまうのを未然に防止して、前方視認性を向上させることができる。
また本実施形態においても、第1および第2サブ反射領域322、324が第1発光素子322に対して左右反対側に配置されているので、リフレクタ230の形状を左右対称形状に近い形状に形成することが容易に可能となる。したがって、車両の右前端部に配置される車両用灯具の構成として、リフレクタ330の外形形状のみを左右反転させた上で車両用灯具310の構成をそのまま平行移動させた構成とすることができる。
さらに本実施形態においても、第1発光素子322の発光面322aが前後方向よりも左右方向に長い外形形状を有しているので、上記第1実施形態の場合と同様、配光パターンPL3a、PL3bの明るさを増大させた上で、ロービーム用配光パターンPL3において手前側領域が過度に明るくなってしまわないようにすることができる。
なお、上記各実施形態およびその変形例において諸元として示した数値は一例にすぎず、これらを適宜異なる値に設定してもよいことはもちろんである。
また、本願発明は、上記各実施形態およびその変形例に記載された構成に限定されるものではなく、これ以外の種々の変更を加えた構成が採用可能である。