JP6473128B2 - 同期回転電機および界磁巻線端部保持構造 - Google Patents

同期回転電機および界磁巻線端部保持構造 Download PDF

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Description

本発明は、同期回転電機およびその界磁巻線端部保持構造に関する。
同期回転電機においては、回転子側に回転磁界を発生させるため、回転子に界磁巻線が設けられている。回転子はロータシャフトとその中央部の径方向の周囲に取り付けられた回転子鉄心を有する。回転子鉄心の表面には、周方向に互いに間隔をあけて軸方向に延びる複数の回転子スロットが形成されている。
また、回転子は、回転子鉄心とロータシャフトとが一体で製作される場合も多い。この場合、ロータシャフトの回転子鉄心に相当する部分を鉄心部と呼ぶとすると、鉄心部の表面には、周方向に互いに間隔をあけて軸方向に延びる複数のシャフトスロットが形成されている。以下、シャフトスロットを含めて、回転子スロットと呼ぶこととする。
界磁巻線用の導体は、それぞれの回転子スロット内に配されている。また、回転子スロットを貫通した導体の軸方向外側に出た部分は、互いに接続されるか、あるいは、回転励磁型の場合は、軸方向端部の整流器側に延びている。
ロータシャフトは、たとえば、60Hz地域で4極の場合は、毎秒30回転の高速で回転する。また、2極の場合は、毎秒60回転の高速で回転する。このため、界磁巻線の導体には、大きな遠心力が働くため、この遠心力に抗して界磁巻線を保持する構造となっている。
具体的には、回転子スロット内の界磁巻線の導体については、その径方向外側の回転子スロット内に嵌め込まれた帯状のクサビが遠心力に抗して界磁巻線の導体を保持する(特許文献1参照)。また、界磁巻線の導体のうち、回転子鉄心の軸方向の外側の部分については、リテイニングリングと呼ばれる円筒状の部材が界磁巻線の導体の径方向外側を覆っており、リテイニングリングが、界磁巻線の導体に働く遠心力に抗して界磁巻線の導体を保持する(特許文献2参照)。
特開2000−341893号公報 特開2012−100523号公報
リテイニングリングは、第1の端部で、ロータシャフトの鉄心部と結合し、第2の端部で、リテイニングリング支持部および支持ブラケットを介して、ロータシャフトにより支持されている。リテイニングリング支持部は、環状の部材であり、通常、リテイニングリングの第2の端部の径方向内側に配されて、リテイニングリングと焼嵌めにより結合されている。焼嵌めによりリテイニングリングと結合しているリテイニングリング支持部は、リテイニングリングによりタガ締め力を受けることから、座屈しない十分な剛性を有する構造となっている。支持ブラケットは、リテイニングリング支持部とロータシャフト間を接続し、リテイニングリングをロータシャフトと同心に固定する。
回転電機の小型化を図ろうとする場合、ロータシャフトに取り付けられた内扇と、リテイニングリングの支持部との距離が短くなってくる。リテイニングリング支持部は、円環状であり、内扇により圧送される冷却用気体の吹き出し先の領域に含まれている。円環状のリテイニングリング支持部の内扇に対向する面は通常平面状に形成されている。このため、内扇により駆動され内扇から圧送されフレーム内を循環する空気などの冷却用気体は、まず、リテイニングリング支持部のこの平面状の表面に衝突することになる。
このため内扇とリテイニングリング支持部とが近接する結果、冷却用気体の流量が一定の場合にはこの部分での圧力損失が増大し、冷却用気体の回転電機内の一巡圧損が増加する。このことは、回転電機内の循環流量の低下をもたらし、その結果、冷却能力が低下する。しかしながら、冷却能力を確保するために内扇を大きくすることは、小型化の目的に反することになる。
そこで、本発明は、回転電機の小型化に伴う冷却能力の低下を防止することを目的とする。
上述の目的を達成するため、本発明は、軸方向に延びて回転可能に支持されて、互いに間隔をあけて周方向に配され軸方向に延びた複数の回転子スロットが表面に形成された鉄心部と、前記鉄心部の軸方向の両外側にあって前記鉄心部より径が小さく配された径縮小部とを有するロータシャフトと、前記複数の回転子スロット内を貫通する界磁巻線導体と、前記鉄心部の軸方向の両外側の前記界磁巻線導体のそれぞれを保持する2つの界磁巻線端部保持構造と、を有する回転子と、前記鉄心部の径方向外側に設けられた円筒状の固定子鉄心と、前記固定子鉄心内を軸方向に貫通する固定子巻線とを有する固定子と、前記固定子の径方向の外側に配されて前記回転子鉄心と前記固定子を収納するフレームと、前記フレームに支持されて、前記鉄心部を軸方向に挟んでその鉄心部の両側に配置されて前記ロータシャフトを支持する2つの軸受と、前記径縮小部に取り付けられて前記界磁巻線保持構造とその軸方向の外側の前記軸受との間に配されて冷却用気体を駆動する2つの内扇と、を備えた同期回転電機であって、前記界磁巻線端部保持構造のそれぞれは、前記鉄心部の軸方向外側部分の前記界磁巻線導体の径方向外側に設けられて第1の端部が前記鉄心部の軸方向の端部に接続する円筒状のリテイニングリングと、前記リテイニングリングの第2の端部と接続し前記内扇側の面の径方向の中央部が前記内扇側に凸状に形成された環状のリテイニングリング支持部と、前記リテイニングリング支持部の周方向の一部を前記径縮小部から支持する複数の支持ブラケットと、を有することを特徴とする。
また、本発明は、軸方向に延びて回転可能に支持されて、互いに間隔をあけて周方向に配され軸方向に延びた複数の回転子スロットが表面に形成された鉄心部および前記鉄心部の軸方向の両外側にあって前記鉄心部より径が小さく配された径縮小部を有するロータシャフトと前記複数の回転子スロット内を貫通する界磁巻線導体とを有する回転子と、固定子と、前記固定子の径方向の外側に配されて前記回転子鉄心と前記固定子を収納するフレームと、前記ロータシャフトを支持する2つの軸受と、前記径縮小部に取り付けられた2つの内扇とを備えた同期回転電機において、前記鉄心部の軸方向の両外側の界磁巻線導体のそれぞれを保持する界磁巻線端部保持構造であって、前記鉄心部の軸方向外側部分の前記界磁巻線導体の径方向外側に設けられて第1の端部が前記鉄心部の軸方向の端部に接続する円筒状のリテイニングリングと、前記リテイニングリングの第2の端部と接続し前記内扇側の面の径方向の中央部が前記内扇側に凸状に形成された環状のリテイニングリング支持部と、前記リテイニングリング支持部の周方向の一部を前記径縮小部から支持する複数の支持ブラケットと、を有することを特徴とする。
本発明によれば、回転電機の小型化に伴う冷却能力の低下を防止することができる。
第1の実施形態に係る同期回転電機の構成例を示す長手方向に沿った縦断面図である。 第1の実施形態に係る同期回転電機の界磁巻線導体の端部の斜視図である。 第1の実施形態に係る同期回転電機の界磁巻線導体の曲げ方向を説明する斜視図である。 第1の実施形態に係る同期回転電機の鉄心部の端部まわりおよび界磁巻線端部保持構造を示す長手方向に沿った部分断面図である。 第1の実施形態に係る界磁巻線端部保持構造を示す図4のV−V矢視部分断面図である。 第2の実施形態に係る同期回転電機の鉄心部の端部まわりおよび界磁巻線端部保持構造を示す長手方向に沿った部分断面図である。 第3の実施形態に係る同期回転電機の鉄心部の端部まわりおよび界磁巻線端部保持構造を示す長手方向に沿った部分断面図である。
以下、図面を参照して、本発明の実施形態に係る同期回転電機およびその界磁巻線端部保持構造について説明する。ここで、互いに同一または類似の部分には、共通の符号を付して、重複説明は省略する。
[第1の実施形態]
図1は、第1の実施形態に係る同期回転電機の構成例を示す長手方向に沿った縦断面図である。以下、回転子鉄心とロータシャフトが一体となった一体型ロータシャフトの場合を例にとって説明するが、回転子鉄心とロータシャフトが別体の場合にも適用できる。この場合、以下の説明中の鉄心部は、回転子鉄心を意味する。
同期回転電機100は、回転子10、固定子20、2つの軸受30、軸受ブラケット35およびフレーム40を有する。また、図1は、同期回転電機100が冷却器50も有する例を示している。
回転子10は、軸方向に水平に延びたロータシャフト11、界磁巻線12、および界磁巻線端部保持構造13を有する。
ロータシャフト11は、軸方向の中央部に鉄心部11a、鉄心部11aを挟んで軸方向の両側に鉄心部11aより径の小さな径縮小部11bが形成されている。ロータシャフト11は、両側の径縮小部11bにおいて軸受30により回転可能に支持されている。鉄心部11aの径方向の表面には、周方向に互いに間隔をあけて軸方向に延びた複数の回転子スロット11c(図2)が形成されている。ロータシャフト11の一方の端部には、結合部19が形成され、同期回転電機100が電動機の場合は駆動対象と、また同期回転電機100が発電機の場合は原動機と、結合部19において結合する。
界磁巻線12は、それぞれの回転子スロット11c内を貫通する界磁巻線導体12aを有する。界磁巻線導体12aについては、後に図2、3を用いて説明する。
図1において破線で示した界磁巻線端部保持構造13は、鉄心部11aの軸方向の両外側に配された界磁巻線12をそれぞれ保持する。界磁巻線端部保持構造13については、後に図4等を用いて説明する。
ロータシャフト11のそれぞれの径縮小部11bの、鉄心部11aと軸受30との間には、内扇18が取り付けられている。
固定子20は、回転子10の鉄心部11aの径方向の外側に配された円筒状の固定子鉄心21、固定子鉄心21の内面に周方向に互いに間隔をあけて形成され軸方向に延びた固定子スロット(図示せず)内を貫通する固定子巻線22を有する。
フレーム40は、回転子10の鉄心部11aおよび界磁巻線12、ならびに固定子20の径方向外側を覆っている。フレーム40の軸方向の両端には軸受ブラケット35がそれぞれ取り付けられている。それぞれの軸受ブラケット35は、軸受30を固定支持している。
冷却器50は、たとえば、鉄心部11aの上方に設けられている。冷却器50は、冷却器カバー51内に収納されている。冷却器カバー51は、フレーム40とともに閉空間40cを形成する。冷却器カバー51内の空間は、内扇18の上方にそれぞれ形成された2つの冷却器出口開口40aと、固定子20の上方に形成された冷却器入口開口40bとで、フレーム40内の空間と連通している。
図1中の白抜きの矢印は、閉空間40c内に収納されたたとえば空気などの冷却用気体の概略の流れの方向を示している。それぞれの内扇18により駆動されて内扇18から流出した冷却用気体は、軸方向の両側から鉄心部11aおよび固定子20の方向に流れ、これらを通過しながら冷却した後、固定子鉄心21の径方向外側に流出し、冷却器入口開口40bを経由して冷却器50に流入する。冷却器50で冷却された冷却用気体は、2つの冷却器出口開口40aのそれぞれを経由して再び内扇18に流入する。
図2は、同期回転電機の界磁巻線導体の端部の斜視図である。
ロータシャフト11の鉄心部11aの径方向の表面には、周方向に互いに間隔をあけて軸方向に鉄心部11aを貫通する複数の回転子スロット11cが形成されている。
界磁巻線導体12aは、絶縁材で被覆された複数の導体を有しており、この全体が絶縁材で被覆されている。界磁巻線導体12aは、回転子スロット11cを貫通し、鉄心部11aの軸方向の両側の外側部分のそれぞれは、ロータシャフト11aの径縮小部11bの径方向外側で、直角に方向を変えた後に、ロータシャフト11と同軸の円周上に沿うように緩やかに曲げられている。
図3は、界磁巻線導体の曲げ方向を説明する斜視図である。界磁巻線12のコイルを形成するために、界磁巻線導体12aの鉄心部11aの外側部分は、互いに同じ方向に曲げられる。このように形成された2つの界磁巻線導体12aが互いに対向した状態で結合することによりコイルが形成される。
図4は、第1の実施形態に係る同期回転電機の鉄心部の端部まわりおよび界磁巻線端部保持構造を示す長手方向に沿った部分断面図である。また、図5は、図4のV−V矢視部分断面図である。
鉄心部11aに形成された回転子スロット11c内を界磁巻線導体12aが貫通している。回転子スロット11cの断面は、図示していないが、径方向の内側部分は幅が狭くなっており、この幅が狭くなっている部分には界磁巻線導体12aは収納されず、回転子スロット11cが界磁巻線導体12aを収納した状態でも、図3、4に示すように軸方向に延びた空間が残り、冷却用気体が通過可能な回転子スロット内通風部11dを形成している。
また、界磁巻線導体12aの回転子スロット11c内の部分には、長手方向すなわち軸方向に互いに間隔をおいて、複数の冷却孔12bが形成されている。また、図示しないが回転子スロット11cにおいて界磁巻線導体12aの径方向外側に配されて界磁巻線導体12aを保持する帯状のクサビにも、同じ位置に孔が形成されており、冷却孔12bとクサビに形成された孔とで、回転子スロット内通風部11dとギャップ25とを連通する冷却用気体の流路となる。
固定子鉄心21は、ギャップ25を介して、鉄心部11aの径方向外側に配されている。固定子鉄心21においては、軸方向に互いに間隔をおいて、ダクト21aが形成されている。ダクト21aは、固定子鉄心21内で周方向に拡がっており、ギャップ25と固定子鉄心21の径方向外側とを連通する冷却用気体の流路となる。
界磁巻線導体12aの鉄心部11aの軸方向の外側部分は、前述のように、直角方向に向きを変えた後に、ロータシャフト11と同心に径縮小部11bの周囲を周方向に延びている。界磁巻線端部保持構造13は、この部分を保持するものであり、リテイニングリング15、リテイニングリング支持部16、および支持ブラケット17を有する。
リテイニングリング15は円筒状であって、鉄心部11aの外側部分の界磁巻線導体12aの、径方向外側に設けられている。リテイニングリング15の第1の端部15aは、ロータシャフト11の鉄心部11aに結合している。リテイニングリング15は、同期回転電機100の運転状態において、鉄心部11aの外側部分の界磁巻線導体12aにかかる遠心力に抗して、この部分の界磁巻線導体12aを保持する。
リテイニングリング支持部16および支持ブラケット17は、リテイニングリング15の鉄心部11aとの結合部である第1の端部15aの軸方向の反対端である第2の端部15bを支持している。リテイニングリング支持部16は、環状であり、リテイニングリング15と焼嵌めによって結合している。このため、リテイニングリング支持部16には大きなたが締め力がかかるため、リテイニングリング支持部16はこれに耐えうる剛性を有している。この結果、同期回転電機100の回転状態においても、リテイニングリング15の真円度が維持され、界磁巻線導体12aのねじり等の変形の発生を防止している。
リテイニングリング支持部16の断面は、半円形または半楕円形あるいはこれらに近い形状である。リテイニングリング支持部16の内扇18に対向する側の面は、径方向の中央付近が最も軸方向外側に張り出すようにして、滑らかな曲面状に形成されている。具体的には、対向する内扇18から流出する冷却用気体の流れの圧力損失を低く抑える流線型の形状となっている。
支持ブラケット17は、リテイニングリング支持部16とロータシャフト11の径縮小部11b間で荷重を伝達し、リテイニングリング15の径縮小部11bとの同心状態を維持する。支持ブラケット17は、図5に示すように扇状であって、2つの支持ブラケット17が周方向に互いに間隔をあけて配されている。
支持ブラケット17は、リテイニングリング支持部16とはボルト17aにより結合されている。また、支持ブラケット17の径方向内側の面は、ロータシャフト11の径縮小部11bとは機械的には結合せず、径縮小部11bの外側の面と密着し、互いに移動可能に形成されている。
なお、支持ブラケット17の周方向の個数は3つ以上であってもよい。支持ブラケット17が配されていない周方向の角度領域は、冷却用気体が、回転子スロット内通風部11dに進入するための通路となる。
以上のように構成された本実施形態における同期回転電機100の鉄心部端部近傍での冷却用気体の流れを以下に説明する。
内扇18により駆動され内扇18から流出した冷却用気体は、リテイニングリング支持部16に到達する。リテイニングリング支持部16に到達した冷却用気体は、径方向内側向きと径方向外側向きに分かれて流れる。
径方向内側に流れた冷却用気体は、リテイニングリング支持部16の径方向内側の支持ブラケット17が設けられていない周方向領域を通過して、鉄心部11aより軸方向外側の部分の界磁巻線導体12aが配されている領域に流入する。この領域で外側部分の界磁巻線導体12aを冷却した冷却用気体は、それぞれの回転子スロット内通風部11dに鉄心部11aの軸方向の両側から流入する。
回転子スロット内通風部11dを流れる冷却用気体は、順次、界磁巻線導体12aに形成され軸方向に並んでいる冷却孔12b側に分流し、両側から流入した冷却用気体が中央でぶつかるまでに、全てが冷却孔12bに流入する。冷却孔12bに流入した冷却用気体は、界磁巻線導体12aを冷却した後、ギャップ25に流出する。
一方、リテイニングリング支持部16に到達して径方向外側向きに分かれた冷却用気体は、軸方向の両側からギャップ25内に流入する。ここで、径方向内側向きに分かれ界磁巻線導体12aを冷却した後にギャップ25に流出した冷却用気体と合流し、ギャップ25内を通過する。ギャップ25内を通過する冷却用気体は、軸方向に配されたダクト21aに順次分流する。ダクト21aに流入した冷却用気体は、固定子巻線22および固定子鉄心21を冷却しながら、ダクト21a内を径方向外側に流れ、固定子鉄心21の径方向外側に流出する。
固定子鉄心21aから流出した冷却用気体は、前述のように、冷却器入口開口40bを経由して冷却器50内に流入し、冷却された後に、軸方向の前後に分かれ、2つの冷却器出口開口40aを介してフレーム40内に流入し、2つの内扇18のそれぞれに流入する。
今、同期回転電機について、特に軸方向のコンパクト化を図ろうとすると、リテイニングリング支持部と内扇との間の間隔も短くする必要が生ずる。このような場合に、リテイニングリング支持部の内扇に対向する面がたとえば回転軸に垂直な平面状であれば、内扇から流出する冷却用気体がリテイニング支持部に衝突して、径方向の内側および外側に分流する際の圧力損失が増加し、同期回転電機内を流れる冷却用気体の一巡の圧力損失の増加をもたらすことになる。この結果、冷却用気体の流量が低下し、冷却能力の低下を招くことになる。
一方、本実施形態に係る同期回転電機100の界磁巻線端部保持構造13においては、リテイニングリング支持部16の内扇18に対向する面は流線型であり、内扇18から流出した冷却用気体は、この表面をスムーズに流れ、圧力損失の増加を小さく抑えることができる。
以上のように、本実施形態に係る同期回転電機100の界磁巻線端部保持構造13は、回転電機の小型化に伴う冷却能力の低下を防止することができる。
[第2の実施形態]
図6は、第2の実施形態に係る同期回転電機の鉄心部の端部まわりおよび界磁巻線端部保持構造を示す長手方向に沿った部分断面図である。
本実施形態は、第1の実施形態の変形である。本実施形態においては、界磁巻線端部保持構造13のリテイニングリング支持部16aの形状が、第1の実施形態のリテイニングリング支持部16の形状と異なる。その他の点においては、第1の実施形態と同様である。
具体的には、リテイニングリング支持部16aの、ロータシャフト11の回転軸を含む平面に沿った断面の形状は、内扇18に対向する側が、径方向のほぼ中央を頂点とした2つの辺を有する形状である。
このような形状も、内扇18から流出した冷却用気体は、この表面をスムーズに流れ、圧力損失の増加を小さく抑えることができる。
また、たとえば、断面が四角形の円環の一方の面を、単純に径方向外側および径方向内側のそれぞれについて、単純に旋盤加工で面を形成することができるため、リテイニングリング支持部16aの製造加工が容易となる。
[第3の実施形態]
図7は、第3の実施形態に係る同期回転電機の鉄心部の端部まわりおよび界磁巻線端部保持構造を示す長手方向に沿った部分断面図である。
本実施形態も、第1の実施形態の変形である。本実施形態においては、界磁巻線端部保持構造13のリテイニングリング支持部16bの部分が、第1の実施形態のリテイニングリング支持部16と異なる。その他の点においては第1の実施形態と同様である。
具体的には、リテイニングリング支持部16bは、たとえば、長く延びた長方形の板を、幅方向にU字形に折り曲げた後に、板の面が裏表となるような方向に環状に曲げて、端部同士を例えば溶接により結合することにより形成された形状である。すなわち、リテイニングリング支持部16bは、断面がU字形で凸部を内扇側に向けた環状の板材である。
板材の厚みを調節することにより、リテイニングリング支持部16bの剛性を調節することができる。
このように形成された本実施形態におけるリテイニングリング支持部16bは、内扇18に対向する面が、曲面状に形成されており、流線型に近い面を有するとともに、鍛造や削り出しなどの工程を経ることなく製作可能であり、コストの増大を抑制することができる。
[その他の実施形態]
以上、本発明の実施形態を説明したが、実施形態は例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。さらに、実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
10…回転子、11…ロータシャフト、11a…鉄心部、11b…径縮小部、11c…回転子スロット、11d…回転子スロット内通風部、12…界磁巻線、12a…界磁巻線導体、12b…冷却孔、13、13a…界磁巻線端部保持構造、15…リテイニングリング、15a…第1の端部、15b…第2の端部、16、16a、16b…リテイニングリング支持部、17…支持ブラケット、17a…ボルト、18…内扇、19…結合部、20…固定子、21…固定子鉄心、21a…ダクト、22…固定子巻線、25…ギャップ、30…軸受、35…軸受ブラケット、40…フレーム、40a…冷却器出口開口、40b…冷却器入口開口、40c…閉空間、50…冷却器、51…冷却器カバー、100…同期回転電機

Claims (5)

  1. 軸方向に延びて回転可能に支持されて、互いに間隔をあけて周方向に配され軸方向に延びた複数の回転子スロットが表面に形成された鉄心部と、前記鉄心部の軸方向の両外側にあって前記鉄心部より径が小さく配された径縮小部とを有するロータシャフトと、前記複数の回転子スロット内を貫通する界磁巻線導体と、前記鉄心部の軸方向の両外側の前記界磁巻線導体のそれぞれを保持する2つの界磁巻線端部保持構造と、を有する回転子と、
    前記鉄心部の径方向外側に設けられた円筒状の固定子鉄心と、前記固定子鉄心内を軸方向に貫通する固定子巻線とを有する固定子と、
    前記固定子の径方向の外側に配されて前記回転子鉄心と前記固定子を収納するフレームと、
    前記フレームに支持されて、前記鉄心部を軸方向に挟んでその鉄心部の両側に配置されて前記ロータシャフトを支持する2つの軸受と、
    前記径縮小部に取り付けられて前記界磁巻線保持構造とその軸方向の外側の前記軸受との間に配されて冷却用気体を駆動する2つの内扇と、
    を備えた同期回転電機であって、
    前記界磁巻線端部保持構造のそれぞれは、
    前記鉄心部の軸方向外側部分の前記界磁巻線導体の径方向外側に設けられて第1の端部が前記鉄心部の軸方向の端部に接続する円筒状のリテイニングリングと、
    前記リテイニングリングの第2の端部と接続し前記内扇側の面の径方向の中央部が前記内扇側に凸状に形成された環状のリテイニングリング支持部と、
    前記リテイニングリング支持部の周方向の一部を前記径縮小部から支持する複数の支持ブラケットと、
    を有することを特徴とする同期回転電機。
  2. 前記リテイニングリングの中心軸を含む断面における前記リテイニングリング支持部の断面形状は、凸な半円形または半楕円形であることを特徴とする請求項1に記載の同期回転電機。
  3. 前記リテイニングリングの中心軸を含む断面における前記リテイニングリング支持部の断面形状は、前記内扇側に突出した2辺を有する形状であることを特徴とする請求項1に記載の同期回転電機。
  4. 前記リテイニングリングは、断面がU字形で凸部を前記内扇側に向けた環状の板材であることを特徴とする請求項1に記載の同期回転電機。
  5. 軸方向に延びて回転可能に支持されて、互いに間隔をあけて周方向に配され軸方向に延びた複数の回転子スロットが表面に形成された鉄心部および前記鉄心部の軸方向の両外側にあって前記鉄心部より径が小さく配された径縮小部を有するロータシャフトと前記複数の回転子スロット内を貫通する界磁巻線導体とを有する回転子と、固定子と、前記固定子の径方向の外側に配されて前記回転子鉄心と前記固定子を収納するフレームと、前記ロータシャフトを支持する2つの軸受と、前記径縮小部に取り付けられた2つの内扇とを備えた同期回転電機において、前記鉄心部の軸方向の両外側の界磁巻線導体のそれぞれを保持する界磁巻線端部保持構造であって、
    前記鉄心部の軸方向外側部分の前記界磁巻線導体の径方向外側に設けられて第1の端部が前記鉄心部の軸方向の端部に接続する円筒状のリテイニングリングと、
    前記リテイニングリングの第2の端部と接続し前記内扇側の面の径方向の中央部が前記内扇側に凸状に形成された環状のリテイニングリング支持部と、
    前記リテイニングリング支持部の周方向の一部を前記径縮小部から支持する複数の支持ブラケットと、
    を有することを特徴とする界磁巻線端部保持構造。
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