JP6471348B2 - 冷蔵庫 - Google Patents

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Description

本発明は冷蔵庫に関し、特に、観音開き式扉の位置ずれ防止構成に関するものである。
近年、家庭用冷蔵庫は大型化が進んでおり、しかも両開き扉タイプの大型冷蔵庫の需要が拡大している。そして上記両開き扉タイプの大型冷蔵庫の需要拡大とともに前記両開き扉の左右の扉段差が目立つようになってきている。そのため、このような左右の扉の段差を矯正する構成が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
図24は上記特許文献1に記載された冷蔵庫を示し、この冷蔵庫は左右の扉101,102の相対向する突合せ端面の一方に突出ピン103、他方にガイド受け部104を設け、前記扉101,102を閉じたときに前記突出ピン103がガイド受け部104に嵌り込んで左右扉101,102の高さ位置を合致させ左右の扉101,102の段差を矯正するようになっている。
特開2010−107067号公報
上記従来の構成によれば、突出ピン103とガイド受け部104との嵌り合いにより扉段差を矯正できるとはいうものの、この突出ピン103とガイド受け部104とは扉端面を覆う扉キャップ101,102に一体成型するため扉キャップ105,106の成型金型が複雑化しコストアップ要因となる。しかも、上記突出ピン103およびガイド受け部104は共に扉キャップ105,106端面の前後幅内(扉101,102端面の厚み寸法内)に形成しなければならないため小さなものとなり、しかもこれが樹脂製あることも加わって、十分な強度が確保できず長期間使用するには強度面で問題が残ることになる。
特に最近需要が拡大し始めているガラス扉タイプの高品位冷蔵庫の場合、扉の荷重はガラス板の荷重も加わってかなり増加し大重量化している。しかも扉は冷蔵庫本体に片持ち支持されているため、その突合せ端部側には扉支持部を中心とした下向き荷重、換言すると扉の大きな下向き回転モーメント荷重が加わっている。そのため、このようなガラス扉の大重量及び回転モーメント荷重に耐えてその段差を矯正するためには前記突出ピン103およびガイド受け部104の強度は十分なものとする必要がある。
したがってガラス扉のように扉自体が大重量化している冷蔵庫で実際に商品化する際には、当該特許文献1の段落0023に記載されているように、左右扉101,102の突き合わせ下端部分と対応する部分の冷蔵庫本体107前面に扉支持部を突設し、この扉支持部で左右扉101,102の下端面を受けるようにして扉段差を矯正することになる。
これによれば、扉段差を矯正する扉支持部は扉端面幅内の寸法に限定されることなく大きくて強度も十分なものとすることができ、長期間使用していても問題なく使用できるものとなる。
しかしながらこの場合、扉101,102を支持している冷蔵庫本体107の外箱が前記大重量化した扉の片持ち支持による回転モーメント荷重や床面に設置した際の冷蔵庫本
体脚の一部設置不足等によって生じる偏荷重により傾斜変形すると、左右の扉101,102の突合せ端部に段差が生じてしまう。すなわち、冷蔵庫本体107の外箱が正面から見て菱形に傾斜変形すると、扉101,102の下面を受ける扉支持部も傾いて当該扉支持部により受け止めている一方の扉101が他方の扉102に対して浮き上がった状態となり、左右扉101,102の突合せ端部に段差が生じてしまうのである。換言すると、冷蔵庫本体107の外箱変形に起因して左右の扉に段差が生じるという課題が残ってしまうのであった。
本発明はこのような点に鑑みてなしたもので、ガラス扉等のように扉が大重量化していてなおかつ冷蔵庫本体に外箱変形が生じるような場合であっても左右扉の段差発生を防止して品位の高い冷蔵庫を提供できるようにすることを目的としたものである。
本発明は上記目的を達成するため、冷蔵庫であって、少なくとも一つの貯蔵室と、前記貯蔵室を開閉するための、第1の扉と第2の扉とで構成される観音開き式の扉と、前記第1の扉と前記第2の扉の一方に設けられている、前記観音開き式の扉が閉じられている際の気密を保持するための仕切板と、前記貯蔵室の開口下端部分に設けられている、前記第1の扉と前記第2扉の扉を支持するための扉支持部と、前記冷蔵庫の上部に設けられている、前記第1の扉と前記第2扉の浮き上がりを規制する扉浮き規制部と、前記冷蔵庫の上部に設けられている、前記観音開き式の扉が閉じられる際に前記仕切板を回転駆動させるためのガイド部材とを備え、前記扉浮き規制部と前記ガイド部材は、前記冷蔵庫の天井を挟んで取り付けられていることを特徴とする
本発明は、上記した構成により、ガラス扉等のように大重量化した扉を装備した状態で使用したり冷蔵庫本体の外箱に傾斜変形が生じたりしたとしても長期間に亘って観音開き式扉に段差が生じるのを確実に防止することができる高品位な冷蔵庫を提供できる。
本発明の実施の形態1における冷蔵庫の外観斜視図 同冷蔵庫の概略縦断面図 同冷蔵庫の観音開き式扉を開いた状態を示す斜視図 同冷蔵庫の扉段差防止のための扉支持構成を示す拡大断面図 (a)同冷蔵庫の扉支持部を示す上視斜視図、(b)同下視斜視図 (a)(b)同冷蔵庫の扉下端面に装着する左右の平板を示す上視斜視図 同冷蔵庫の扉段差是正用のための扉浮規制構成を示す拡大断面図 同冷蔵庫の位置規制用突起部を装着した扉を示す斜視図 (a)同冷蔵庫の扉浮き規制部を示す上視斜視図、(b)同下視斜視図 同冷蔵庫の扉浮規制装着時の補強部材を示す下視斜視図 (a)(b)同冷蔵庫の扉に装着する左右の位置規制用突起部を示す上視斜視図 同冷蔵庫の扉浮規制装着時の補強部材の他の例を示す下視斜視図 同冷蔵庫の外箱補強構成を示す斜視図 同冷蔵庫の正面側コーナ部分の斜視図 同冷蔵庫の正面側コーナ部分の裏面図 同冷蔵庫の正面側コーナ部分を運搬用把手部分で切断したときの斜視図 同冷蔵庫の正面側コーナ部分を冷蔵庫本体脚部分で切断したときの斜視図 (a)(b)(c)同冷蔵庫の正面側コーナ部分における側板、枠補強部材、前板部材の連結構成を示す一部欠裁拡大斜視図 同冷蔵庫の外箱を構成する外箱、枠補強部材、前板部材の分解斜視図 同冷蔵庫の外箱を構成する外箱、枠補強部材、前板部材の連結部分を示す分解斜視図 (a)同冷蔵庫の前板部材を内部側から見た斜視図、(b)同前板部材を正面側から見た斜視図 (a)同冷蔵庫の枠補強部材を内部後方側から見た斜視図、(b)同枠補強部材を正面側から見た斜視図 同冷蔵庫の外箱背面下方部分を後方から見た斜視図 従来の冷蔵庫における扉段差是正構成を示す斜視図
第1の発明は、貯蔵室を有する冷蔵庫本体と、前記冷蔵庫本体の貯蔵室を開閉する観音開き式の扉と、前記観音開き式扉となる第1、第2扉の下部の突合せ端面側部分もしくはこれと対向する冷蔵庫本体側部分に前記第1、第2扉を支持して位置合わせする扉支持部を設けるとともに、前記第1、第2扉の上部の突合せ端面側部分もしくはこれと対向する冷蔵庫本体側部分に前記第1、第2扉の浮き上がりを規制する扉浮き規制部を設けた構成としてある。
これにより、冷蔵庫扉の大型化やガラス扉化等により扉が大重量化していても、観音開き式第1、第2扉の下部突合せ端面側部分もしくはこれと対向する冷蔵庫本体側部分に設けた扉支持部が扉下端面を支持して位置合わせし扉段差を確実に矯正することができる。しかも大重量化した扉の回転モーメント荷重等によって冷蔵庫本体の外箱が傾斜変形して一方の扉が他方の扉に対して浮き上がろうとしても、前記第1、第2扉の上部の突合せ端面側部分もしくはこれと対向する冷蔵庫本体側部分に設けた扉浮き規制部がこれを規制するので、外箱変形に起因する扉段差も抑制することができる。そして上記扉支持部及び扉浮き規制部は扉端面の幅内に限定されることなく設けることができるのでその強度も十分なものとすることができ、長期間使用していても扉重量に屈することなく扉段差を解消することができる。
第2の発明は、第1の発明において、前記扉支持部と扉との接触部分及び扉浮き規制部と扉との接触部分は点接触とした構成としてある。
これにより、扉開閉時における扉支持部及び扉浮き規制部と扉との接触抵抗を軽減でき、扉の開閉を扉支持部及び扉浮き規制部がない場合と同様軽く行うことができる。
第3の発明は、第1または第2の発明において、前記第1、第2扉のいずれか一方の突合せ端面部に設けた気密保持用の仕切体と、前記仕切体を前記扉の閉成によって回転駆動させるガイド部材とを更に備え、前記ガイド部材と扉浮き規制部とは冷蔵庫本体の天井を挟んで取り付けた構成としてある。
これにより、従来から冷蔵庫本体の上部に備わっているガイド部材の取り付けと同時に扉浮き規制部の取り付けもでき、取付け用ビス等の共用化と作業工数の削減によるコストダウンが可能となる。
第4の発明は、第1〜第3の発明において、前記冷蔵庫本体は天板と側板を有する外箱を備え、上記外箱はその正面側下コーナ部の位置において、前記両側板のそれぞれの下辺に沿って設けた外箱補強用の枠補強部材と前記両側板の正面側の下端に位置する前板部材と前記両側板とを連結固定するとともに、前記枠補強部材には前記両側板同士の間に向かって延びる支持板枠部を設け、この支持板枠部を前記両側板に連結した前板部材の底板部分に当接させた構成としてある。
これにより、冷蔵庫本体の外箱はその両側板と前板部材と枠補強部材との連結によってその剛性が高められるとともに、ガラス扉等のように大重量化している扉であって、しかも両開き扉の大きい方の扉の回転モーメントを受けて前記外箱が左右方向に傾斜もしくは屈曲するような形となっても、前記扉の回転モーメント荷重を外箱両側板同士の間に延びている支持板枠部の先端部が前板部材底板部分に当接して支えるようになるので、当該大きな扉の回転モーメント荷重による外箱の傾斜変形も確実に防止することができ、この外箱剛性の向上と前記扉支持部及び扉浮き規制部による扉段差是正効果によって左右扉の段差をより確実に抑制することができる。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、この実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
(実施の形態1)
図1は本発明の実施の形態1における冷蔵庫の外観斜視図、図2は同冷蔵庫の概略縦断面図、図3は同冷蔵庫の観音開き式扉を開いた状態を示す斜視図、図4〜図12は同冷蔵庫の観音開き式扉の段差矯正構成を説明するための図、図13〜図22は同冷蔵庫の外箱剛性向上構成を説明するための図である。
図1〜図3において、この冷蔵庫の冷蔵庫本体1は、前方に開口する金属製の外箱2と、硬質樹脂製(例えばABS)の内箱3と、これら外箱2と内箱3との間に発泡充填した硬質ウレタン等の発泡断熱材4からなる。上記冷蔵庫本体1はその内部に、冷蔵室5と、冷蔵室5の下に位置する切替室6及び切替室6に並設した製氷室7と、切替室6及び製氷室7の下部に位置する冷凍室8と、冷凍室8の下部に位置する野菜室9とを有する。また、前記冷蔵室5の前面は、観音開き式の扉10a,10bにより開閉自由に閉塞し、切替室6及び製氷室7と冷凍室8と野菜室9の前面部は引き出し式の扉11,12,13,14によって開閉自由に閉塞してある。
上記各扉10a〜14は冷蔵庫本体1と同様硬質のウレタンを発泡充填して断熱性を持たせてあり、更に意匠性を向上させるべくその前面はガラス板等の透明前板を装着して構成してある。また、冷蔵室5の前面の観音開き式の扉10a,10bはその一側端上下部分を冷蔵庫本体1の外箱2に装着したヒンジ部材15によって軸支してあり、その一方の扉は他方の扉よりも大きく構成されている。
一方、冷蔵庫本体1の背面には冷却室16があり、冷気を生成する冷却器17と、冷気を各室に供給する送風ファン18とが設けてある。また、上記冷蔵庫本体1の本体天面奥部には圧縮機19が設けてあり、コンデンサ(図示せず)と、放熱用の放熱パイプ20と、キャピラリーチューブ21と、前記した冷却器17とを順次環状に接続してなる冷凍サイクルに冷媒を封入し、冷却運転を行うように構成してある。
上記冷蔵庫本体1は、図3、図4に示すように、冷蔵室5の開口下端部分、すなわち、前記観音開き式扉10a,10bの突合せ端面下部と対向する部分に当該左右の扉10a,10b下端面に当接してこれを受け止める扉支持部22が設けてある。この扉支持部22はジュラコン等のすべり性の良い樹脂を断面略L字状に成形して構成し、前記左右の扉
10a,10bの下端面に跨って位置する長さに形成してある。そして、L字状の一方の片となる垂直壁部22aを冷蔵庫本体1の冷蔵室下端部分前面にビス止め固定し、他方の片である扉支持壁部22bを前方に突出させ、閉成状態にある扉10a,10bの双方の下端面に対向位置するように配置してある。そして更に、前記扉10a,10bの下端面には前記扉支持部22と同様ジュラコン等のすべり性の良い樹脂で形成した平板23が接着剤等によって固着してあり、この平板23の前記扉支持壁部22bと対向する部分には突起24が隆起形成してある。
また、前記観音開き式扉10a,10bの双方の突合せ端面上部の内面には、図7、図8に示すように、扉浮き防止のための位置規制用突起部25がビス26止め固定してある。そしてこの位置規制用突起部25と対応する冷蔵庫本体1の天板2aには当該位置規制用突起部25が嵌り込む凹部27を備えた扉浮き規制部28が補強部材29を介してビス30止め固定してある。上記扉浮き規制部28は図9に示すようにその凹部27の天井面に下向きに突出する突起31が一体形成してある。なお、この位置規制用突起部25および扉浮き規制部28もジュラコン等のすべり性のよい樹脂で形成してある。
一方、この実施の形態における冷蔵庫では、前記扉の浮き上がり原因となる冷蔵庫本体の外箱変形を防止すべくその剛性を高めてある。すなわち、前記冷蔵庫本体1を構成する外箱2は、図13〜図23、特に外箱2を背面側から見た図19に示すように、天板2a左右の両側板2bの下辺に沿ってそれぞれ枠補強部材32を装着するとともに、当該両側板2bの正面側下端部を前板部材33で連結してその剛性を向上させてある。以下、その構成を説明する。
まず外箱2は一枚の鋼板を略コ字状にプレス成形して構成してあり、天板2aの両側に連なる左右の側板2bの背面側に背面板2eを装着して前面及び下面を開口した箱状に形成してある。そして、上記左右の両側板2bの前後端縁の長辺には、内側に向かって略直角に折曲したフランジ部2cを設け、このフランジ部2cの下端部には上下二つのネジ孔34が設けてある。更に、両側板2bの下辺にもフランジ部2dとネジ孔35(図20参照)が設けてある。
次に前板部材33は、図21に示すように、前板部33aと底板部33bとを備えていて、図20に示すように前板部33aの両端部分に前記外箱2の両側板フランジ部2cのネジ孔34に螺子37−1(図18参照)で固定する上下二つの螺子用孔38と水平方向に位置する螺子用孔39が形成してある。そして、底板部33bの両端部分には冷蔵庫本体1の運搬用把手40(図14〜図16参照)をねじ止めするネジ孔41が形成してある。なお、前板部材33は厚さ0.8mmの鋼板で形成してあり、その前板部33aは強度を向上させるために底板部33bの前端部分を二重に折り返して形成してある。
一方、枠補強部材32は、例えば、厚さ1.2mmの堅牢な鋼板で形成してあり、図22に示すように、外箱2の両側板2b下辺に沿って位置する断面略L字状の側板枠部32aの正面側端部に前記外箱2の両側板2bの正面側フランジ部2c内面に沿って立ち上がる縦枠部32bを設けるとともに、同側板枠部32aの背面側の後端部には外箱2の両側板2bの背面側フランジ部内面に沿って立ち上がる第二縦枠部32cを設けて構成してある。
そして、この枠補強部材32は、その側板枠部32aの正面側端部に、側板枠部32aの底面片32aa内縁よりも中央寄り部分に向かって突出、換言すると前記外箱2の両側板2b同士の間に向かって横方向に延びる支持板枠部32dを更に設けて構成してある。
上記枠補強部材32の支持板枠部32dは、縦枠部32bの側面から適宜寸法、例えば
この実施の形態では100mm以上の長さに形成して前記前板部材33の底板部33bの上面に当接するように形成し、かつ、縦枠部32bと同様断面略L字状に形成してその剛性を高めてある。そして、支持板枠部32dの断面略L字状の底板側となる底面片32ddには前記運搬用把手40をねじ止めする前板部材33のネジ孔41と対応するネジ孔43が形成してある。
さらに、前記枠補強部材32は、上記支持板枠部32dおよび縦枠部32bの断面略L字状の一方の片となる正面片32ddd、32bbを重ね結合してその部分に前記外箱2の両側板フランジ部2cのネジ孔34および前板部材33の前板部33aの螺子用孔38に対応するネジ孔42(図20参照)が形成してある。また、同正面片32ddd、32bbの結合部分には前板部材33の前板部33aに設けた螺子用孔39に対応するネジ孔42aが形成してある。更に側板枠部32aの底面片32aaには外箱両側板2b下辺のフランジ部2dにネジ止めするためのネジ孔44が形成してある。
また、枠補強部材32はその後端部に設けた第二縦枠部32cに外箱2の両側板2bの後端長辺に設けたフランジ部2c(図23参照)にビス止めするネジ孔45が形成してあり、このネジ孔45を利用して図23に示すように外箱2の両側板2bの後端部を樹脂製の背面補強板46によって連結補強してある。
なお、図13等において示している図番47は外箱2の両側板2b間の底面開口を覆う底板で、前板部材33の後端縁及び外箱両側板の下面フランジ2dにビス止め固定してある。48は上記底板上面に配管した冷媒管で、外箱2となる底板47と内箱3との間に充填発泡した発砲断熱材中に埋設される形となる。49(図16等参照)は側板枠部32aの底面片32aaにビス止めした冷蔵庫本体脚、50(図17等参照)は本体移動用コロである。
次に、上記枠補強部材32及び前板部材33の外箱2への組み付け作業について説明しておく。
まず、外箱両側板2bのフランジ部2c内面に前板部材33の前板部33aが位置する様に外箱2の両側板2b下辺と前板部材33とを重ね合わせる。次に、上記外箱2の両側板2bの内面に枠補強部材32をあてがってその側板枠部32aが外箱両側板2bの下辺に沿うように前記前板部材33の両側部に重ね合わせる。
これにより枠補強部材32の縦枠部32bは外箱両側板2bのフランジ部2c内面に沿うとともに、第二縦枠部32cは外箱両側板2bの背面側のフランジ部内面に沿い、かつ、支持板枠部32dが前板部材33の底板部33bに当接する。
この状態で、外箱両側板2bのフランジ部2c下端のネジ孔34と前板部材33の前両側部の螺子用孔38と枠補強部材32の正面片32dddのネジ孔42とを合致させて螺子37−1(図18参照)をねじ込み、前記外箱両側板2bのフランジ部2cと前板部材33と枠補強部材32の縦枠部32bの正面片32bbとを連結固定する。
また、前板部材33の前両側部に設けた他方の螺子用孔39と枠補強部材32の支持板枠部32dの正面片32dddに設けたネジ孔42aに螺子37−2(同図18参照)をねじ込み、前記前板部材33と枠補強部材32の支持板枠部32dとを連結固定する。
なお、枠補強部材32の縦枠部32bと前板部材33の前板部材部33aの間には図示していないが、内箱3の下方角部のフランジ部分が挟持される。
さらに、枠補強部材32に設けた支持板枠部32dの底面片32ddのネジ孔43を前板部材33の底板部33bに設けたネジ孔41に合致させてこれらを底面側からねじ込んだ螺子37−3(図13参照)で締結固定する。
この時、上記前板部材33の底板部33bには運搬用把手40をあてがって前記支持板枠部32dとともに共締め固定する。
また、枠補強部材32の側板枠部32aに設けたネジ孔44と両側板2b下面フランジ部2dに設けたネジ孔35とを合致させてこれらを底面側からねじ込んだ螺子37−4(図13参照)で締結固定する。
そして、枠補強部材32の後端部に設けた第二縦枠部32cを外箱2の両側板2bの後端長辺に設けたフランジ部(図示せず)にビス止め固定する。この時、外箱2の両側板2bの後端部に樹脂製の背面補強板46を連結固定する。
以上のように構成された冷蔵庫について、以下その動作、作用を説明すると、この冷蔵庫は、観音開き式扉を構成する扉10a,10bを閉じると、当該扉10a,10bはその下端面の平板23が前記扉10a,10bの突合せ端面下部と対向する冷蔵庫本体1の前面に設けた扉支持部22の上面と対向する。そして、前記扉10a,10b下端の平板23はその突起24が扉支持部22の扉支持壁部22bの上面に乗り上げて支持される。したがって、前記扉10a,10bのいずれか一方の扉がその重量等によって他方の扉よりも下方にずれていても、この扉は扉支持部22による支持によってその位置が矯正され、扉10a,10bの各下端面は同じ高さに位置合わせされる。すなわち、左右の扉10a,10bに扉段差が生じるような形となっていてもこの扉段差が矯正され、扉段差のない良好な外観とすることができる。
また、上記扉支持部22による扉支持は、扉10a,10b下端に設けた平板23の突起24によって点接触支持するようにしてあるから、これら両者の接触抵抗はきわめて少ないものとなる。したがって、扉10a,10bの開閉は扉支持部22を備えていない場合と同様軽く行うことができる。特にこの実施の形態では前記扉支持部22および平板23はすべり性の良いジュラコン樹脂で形成してあるからその接触抵抗は一段と軽減でき、より軽い力で扉10a,10bの開閉が可能となって、従前どおりの使い勝手を維持することができる。
さらに、前記扉支持部22は冷蔵庫本体1の前面に設けて扉10a,10bの下端面と対向するように設けているから、扉10a,10bの端面に設ける場合のような扉端面幅内という制約を受けることがない。したがって、扉支持部22は十分な強度を持ったものとすることができ、冷蔵庫の大型化に伴って扉が大型化したり、ガラス扉化したりして大重量化していても、長期間に亘って問題なく使用することができる。
一方、前記のようにして扉10a,10bを閉じたとき、この冷蔵庫は更に前記扉10a,10bの突合せ端面上部に設けた位置規制用突起部25がこれと対応する冷蔵庫本体1の上部に設けた扉浮き規制部28の凹部27に嵌り込む。
通常、位置規制用突起部25は、左右の扉10a,10bに扉段差が生じていないときには、前記扉浮き規制部28の凹部27に嵌り込んでも凹部27の天井面に接することなく隙間を有したフリーな状態で位置している。
しかしながら、例えば冷蔵庫本体1の扉10a,10bを片持ち支持している外箱2が変形等を起こして、扉支持部22も傾斜し、これに支持されている左右の扉10a,10
bに段差が生じるような事態になると、上方に浮き上がる形となる方の扉の前記位置規制用突起部25上面が扉浮き規制部28に設けた凹部27の天井面に当接し、それ以上の浮き上がりを防止される。これにより、冷蔵庫本体1の外箱2に菱形変形等が生じても、左右の扉10a,10bに段差が生じるようなことが抑制される。すなわち、外箱変形に伴う扉10a,10bの段差発生も抑制することができる。
また、上記扉浮き規制部28はこれにも突起31を設けて当該突起31が扉10a,10bの位置規制用突起部25と点接触するようにしてあるから、外箱2が変形していて扉10a,10bの開閉のたびに前記位置規制用突起部25が扉浮き規制部28の突起31と接するようなことがあっても、前記扉支持部22の場合と同様その接触抵抗は少なく、扉10a,10bの開閉は軽いものに維持できる。そしてこの場合も前記位置規制用突起部25及び扉浮き規制部28はジュラコン等のすべり性の良い樹脂で形成してあるから、扉10a,10bの開閉はより軽い力で行うことが可能となって、従前どおりの使い勝手を維持することができる。
また、上記扉浮き規制部28には扉10a,10bの浮き上がりを防止、すなわち扉段差矯正時には上向きに大きな力が加わるが、この実施の形態では補強部材29を介して扉浮き規制部28をビス26止め固定してあるから、前記上向きの力はビス26部分に集中することなく補強部材29の面で分散受け止めされるようになり、長期間使用していても問題なく使用することができる。
なお、上記補強部材29は、例えば図12に示すように、扉閉成時の気密を保持するべく扉10a,10bの一方に設けられる仕切板(図示せず)を扉閉成によって回転駆動させるガイド部材29aを一体形成し、この補強部材29と前記扉浮き規制部28とを冷蔵庫本体1の天井を挟んで取り付ける構成とすることも考えられる。
このような構成とすることにより、従来から冷蔵庫本体1の上部に備わっているガイド部材の取り付けと同時に扉浮き規制部28の取り付けもでき、取付け用ビス等の共用化と作業工数の削減によるコストダウンを図ることができる。
一方、この実施の形態では、上記に加えて、前記冷蔵庫本体1の外箱2はその剛性を向上させて有、ガラス扉等のように大重量化している扉であって、しかも両開き扉の大きい方の扉の重量を受けても、外箱の菱形変形等を確実に防止することができ、この外箱剛性の向上と前記扉支持部22及び扉浮き規制部28による扉段差是正効果によって左右扉10a,10bの段差をより確実に抑制することができる。
すなわち、まず上記のように構成した冷蔵庫の外箱2は、前記外箱2の両側板2bと枠補強部材32と前板部材33とを連結したことにより従来と同レベルまでその剛性が高まっている。
そして、この外箱2は、前記両側板2bを補強する枠補強部材32に当該両側板2bの間に延びる支持板枠部32dを設けているので、この支持板枠部32dの先端部が前記両側板2bと前板部材33との連結固定部を中心に図13の矢印Aで示す左右方向に傾斜もしくは屈曲させようとする扉10a,10bの回転モーメント荷重を支え、これに抗することができる程度までその剛性が向上する。したがって、扉がガラス扉化していて、なおかつその大型化して、大重量化している扉であっても、当該大重量化している扉回転モーメント荷重による両側板2b傾斜変形も確実に防止することができ、左右扉の段差を効果的に抑制できる。
特に、外箱2の正面側は背面側とは異なり開口状態となっていてその剛性が背面側に比
べ弱いが、この実施の形態のように枠補強部材32に外箱両側板2bの間に向かって延びる支持板枠部32dを設けることによってその正面側の剛性を背面側と同等かそれ以上にまで高めることができ、扉が大重量化する冷蔵庫に特に効果的である。
また、この実施の形態では、前記枠補強部材32は、側板2bの下辺に沿って位置する側板枠部32aと、側板2bの正面側の端縁に沿って立ち上がる縦枠部32bと、外箱2の両側板2b同士の間に向かって延びる支持板枠部32dとの三軸枠部構成とし、前記側板枠部32aを側板2bの下端部に、縦枠部32bを側板2bの正面側端部に、支持板枠部32dを前板部材33の底板部33bにそれぞれ螺子固定してあるから、外箱2の正面側コーナ部はこれに三軸によって補強される形となる。したがって、開口状態となっていて、なおかつ、扉荷重が加わって変形しやすい外箱2の正面側の剛性はより高まり、外箱2の変形をより確実に防止できて長期間使用していても扉段差を効果的に抑制することができる。
また、上記枠補強部材32の支持板枠部32dは、冷蔵を運搬するときに用いる運搬用把手40とともにこれに重合させて前板部材33の底板部33bにビス止めしてあるから、枠補強部材32の支持板枠部32dを重合固定した部分の前板部材強度を運搬用把手40によって高めて支持板枠部32dによる補強効果を向上させることができる。したがって、支持板枠部32dを支える前板部材33の強度を略L字状にしたことによる強度向上に加えて更に前記運搬用把手40によっても向上させることができ、前板部材33自体の変形をも防止して外箱2の確実な変形防止を可能とすることができる。しかも、上記枠補強部材32の支持板枠部32dは逆に運搬用把手40に加わる荷重受け部としても作用するので、前板部材33を薄板化して材料費を削減することができる。すなわち、コストダウンを図りつつ当該前板部材33自体の変形をも防止して外箱2の確実な変形防止を実現することができる。
更に、外箱2の背面側は枠補強部材32の後端部の第二縦枠部32cを両側板の後面側端部に固定してあるから、背面側の剛性も従来と同レベルまで高めることができ、外箱2の変形防止をより確実なものとすることができる。
なお、外箱2の背面側にも大きな荷重が加わるような構成となる場合には、前記枠補強部材32の後端部側も正面側と同じ三軸構成とし、背面側の剛性を高めればよく、これにより更に強力に外箱変形を防止でき扉段差発生を確実に予防することができる。
また、枠補強部材32の支持板枠部32dは、側板枠部32a、縦枠部32b、第二縦枠部32cとともに一枚の鋼板で一体形成したものを例示したが、この支持板枠部32dは別鋼板で形成して側板枠部32aの底面片32ddにビス止め或いは溶接固定等によって一体化してもよく、これにより枠補強部材32の材料取を無駄なく行えるようになって効果的である。
以上、本発明に係る冷蔵庫について、上記実施の形態を用いて説明したが、本発明は、これに限定されるものではない。すなわち、今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。
例えば、扉支持部22は上記実施の形態で例示した構成のものに限定されるものではなく、扉10a,10b側に設けてこれと対向する冷蔵庫本体1側に扉支持部22の突出部分が嵌り込む凹所を形成してもよく、また、扉浮き規制部28と位置規制用突起部25も冷蔵庫本体1側に位置規制用突起部25を、扉10a,10b側に扉浮き規制部28を設ける形としてもよく、更に上記扉支持部22、扉浮き規制部28、位置規制用突起部25等は冷蔵庫本体1、扉10a,10bに一体形成した形で設けるようにしてもよいもので
ある。
つまり、本発明の範囲は上記実施の形態で例示した構成ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
以上のように本発明は、扉がガラス扉化等して大重量化していたり、冷蔵庫本体の外箱に傾斜変形が生じたりしたとしても長期間に亘って左右扉に段差が生じるのを確実に防止できる高品位な冷蔵庫を提供することができる。よって、一般用はもちろん業務用の冷蔵庫やワインクーラーにも幅広く適用できる。
1 冷蔵庫本体
2 外箱
5 冷蔵室
10a,10b,11,12,13,14 扉
22 扉支持部
22a 垂直壁部
22b 扉支持壁部
23 平板
24 突起
25 位置規制用突起部
27 凹部
28 扉浮き規制部
29 補強部材
31 突起
32 枠補強部材
32a 側板枠部
32b 縦枠部
32c 第二縦枠部
32d 支持板枠部
33 前板部材
40 運搬用把手

Claims (5)

  1. 冷蔵庫であって、少なくとも一つの貯蔵室と、前記貯蔵室を開閉するための、第1の扉と第2の扉とで構成される観音開き式の扉と、前記第1の扉と前記第2の扉の一方に設けられている、前記観音開き式の扉が閉じられている際の気密を保持するための仕切板と、前記貯蔵室の開口下端部分に設けられている、前記第1の扉と前記第2扉の扉を支持するための扉支持部前記冷蔵庫の上部に設けられている、前記第1の扉と前記第2扉の浮き上がりを規制する扉浮き規制部と、前記冷蔵庫の上部に設けられている、前記観音開き式の扉が閉じられる際に前記仕切板を回転駆動させるためのガイド部材とを備え、前記扉浮き規制部と前記ガイド部材は、前記冷蔵庫の天井を挟んで取り付けられていることを特徴とする冷蔵庫。
  2. 前記扉支持部と前記観音開き式の扉との接触部分は、点接触としたことを特徴とする請求項1記載の冷蔵庫。
  3. 前記扉浮き規制部と前記観音開き式の扉との接触部分は、点接触としたことを特徴とする請求項1又は2に記載の冷蔵庫。
  4. 前記第1の扉と前記第2の扉のそれぞれの上部に突起部が設けられていて、当該突起部が、前記観音開き式の扉が閉じられている際に前記扉浮き規制部と前記冷蔵庫の天井との間の空間に嵌り込むことを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の冷蔵庫。
  5. 前記貯蔵室は冷蔵室であることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の冷蔵庫。
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