JP6468570B2 - 散乱トモグラフィ方法および散乱トモグラフィ装置 - Google Patents

散乱トモグラフィ方法および散乱トモグラフィ装置 Download PDF

Info

Publication number
JP6468570B2
JP6468570B2 JP2016507364A JP2016507364A JP6468570B2 JP 6468570 B2 JP6468570 B2 JP 6468570B2 JP 2016507364 A JP2016507364 A JP 2016507364A JP 2016507364 A JP2016507364 A JP 2016507364A JP 6468570 B2 JP6468570 B2 JP 6468570B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
antenna element
case
function
wave
coordinate
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2016507364A
Other languages
English (en)
Other versions
JPWO2015136936A1 (ja
Inventor
建次郎 木村
建次郎 木村
木村 憲明
憲明 木村
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Integral Geometry Science Inc
Original Assignee
Integral Geometry Science Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Integral Geometry Science Inc filed Critical Integral Geometry Science Inc
Publication of JPWO2015136936A1 publication Critical patent/JPWO2015136936A1/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6468570B2 publication Critical patent/JP6468570B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Classifications

    • GPHYSICS
    • G01MEASURING; TESTING
    • G01NINVESTIGATING OR ANALYSING MATERIALS BY DETERMINING THEIR CHEMICAL OR PHYSICAL PROPERTIES
    • G01N22/00Investigating or analysing materials by the use of microwaves or radio waves, i.e. electromagnetic waves with a wavelength of one millimetre or more
    • GPHYSICS
    • G01MEASURING; TESTING
    • G01NINVESTIGATING OR ANALYSING MATERIALS BY DETERMINING THEIR CHEMICAL OR PHYSICAL PROPERTIES
    • G01N22/00Investigating or analysing materials by the use of microwaves or radio waves, i.e. electromagnetic waves with a wavelength of one millimetre or more
    • G01N22/02Investigating the presence of flaws
    • GPHYSICS
    • G06COMPUTING; CALCULATING OR COUNTING
    • G06TIMAGE DATA PROCESSING OR GENERATION, IN GENERAL
    • G06T11/002D [Two Dimensional] image generation
    • G06T11/003Reconstruction from projections, e.g. tomography

Landscapes

  • Physics & Mathematics (AREA)
  • General Physics & Mathematics (AREA)
  • Biochemistry (AREA)
  • Life Sciences & Earth Sciences (AREA)
  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Analytical Chemistry (AREA)
  • Health & Medical Sciences (AREA)
  • General Health & Medical Sciences (AREA)
  • Electromagnetism (AREA)
  • Immunology (AREA)
  • Pathology (AREA)
  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Theoretical Computer Science (AREA)
  • Radar Systems Or Details Thereof (AREA)

Description

本発明は、波動を利用して対象物の内部情報を取得し映像化(画像化)する技術に関し、特に、波動の散乱現象を利用した散乱トモグラフィ方法および散乱トモグラフィ装置に関する。
従来、生体や建築物等の物体内部の情報を映像化する方法として、X線CT(X線トモグラフィ)、MRI(Magnetic Resonance Imaging:核磁気共鳴画像法)、PET(Positron Emission Tomography:ポジトロン断層法)などの方法が用いられている。具体的には、光、テラヘルツ、ミリ波、マイクロ波のような電磁波あるいは超音波、音波、弾性波などの波動を観測対象物である生体や物体、あるいは、プラズマに照射し、その散乱波(反射波)を観測し解析することで、生体内部や固体内部、あるいは、プラズマの内部の情報を映像化している。また、最近では、波動に代えて磁場を用いて、生体や物体内部の情報の映像化も行われている。
一般的に、これらの方法では、物体Oに電磁波や超音波のような波動uを照射し、物体Oの回りの多数の場所で物体Oから散乱される散乱波pを観測し、得られたデータを映像化するという技術が採用されている(例えば、特許文献1、非特許文献1参照)。
特許文献1に記載の技術は、電波を用いて物体内部の情報の映像化を行うものである。円周上に配置されたセンサ素子で観測される散乱波のデータを、導電率や誘電率等のパラメータで修正しながら、データの取得を繰り返し、映像化するものである。
非特許文献1に記載の技術は、マルチパスリニアアレイレーダに関する技術であり、コンクリート内部の欠陥等の情報の映像化を行うものである。対象物の表面に直線状に配置されたセンサ素子(直線状のマルチアレイアンテナ)を配置し、照射された波動の散乱波をセンサで観測し、観測データを解析し映像化するものである。
特開2003−177656号公報
トンネル覆工コンクリート検査用3次元映像化レーダを開発、三井造船技報、No.184(2005−2)、p24
特許文献1および非特許文献1に開示された技術では、例えば、物体の曲面形状等の条件が変わるたびに、理論や装置内部の構造等を変えてデータを再取得したり、取得したデータを補正したりする必要があるため、汎用的な使用が難しい。特に、生体等のフレキシブルな形状を有する対象物については、対象物の形状や外形の曲面の曲率が一定でない場合が多いため、従来の直線状マルチアレイアンテナを汎用的に用いることは困難である。また、データを再取得したり補正したりする必要があるため、計算速度の遅延やメモリの大量使用という問題がある。
そこで、本発明は、汎用的で、物体内部の情報を簡便かつ高速に映像化することができる散乱トモグラフィ方法および散乱トモグラフィ装置を提供することを目的とする。
上記の課題を解決するため、本発明に係る散乱トモグラフィ方法は、ケース内に収容された物体に対して放射した波動の散乱波を解析する散乱トモグラフィ方法であって、前記ケースの側面上に、平面視したときに前記ケースの回転対称の軸と同一方向にライン状となるように配置された複数の送信アンテナ素子から、前記波動を前記物体に放射するステップと、前記ケースの側面上に、平面視したときに前記ケースの回転対称の軸と同一方向にライン状となるように配置された複数の受信アンテナ素子によって、前記散乱波を受信するステップと、前記受信アンテナ素子により受信した散乱波を示す散乱波データから、前記物体の内部情報に関する画像を再構成するステップとを含み、前記画像を再構成するステップにおいて、前記物体の内部情報に関する画像を再構成するための再構成関数を、前記ケースと同一の形状を有する3次元空間を対象としてあらかじめ設定し、映像化関数を時間変数と空間変数の極限値とする散乱場関数を定義し、前記物体内の任意の2点における送信アンテナ素子および受信アンテナ素子の位置を示す独立変数によって定義され、前記送信アンテナ素子および前記受信アンテナ素子の位置を示す独立変数の数と同一の次元を持つ空間における各点において、前記散乱波が生じている場の関数である散乱場関数が解となる線形偏微分方程式を構築し、前記散乱波データから、前記線形偏微分方程式を解くことにより得られる関数の時間変数と空間変数の極限値であって、前記ケースにおける前記送信アンテナおよび前記受信アンテナの位置での接平面を前記ケースの回転対称の軸を中心として回転させるときの回転角度θにより前記映像化関数を導出し、前記映像化関数を回転角度θで積分することにより得られる関数により、前記物体の内部情報に関する画像を再構成する。
これにより、ケースの側面上にセンサ素子を配置した解析モデルにおいて逆問題用の偏微分方程式を設定し、これを解くことで、ケース内に収容された対象物の内部情報を汎用的かつ高速に映像化することができる。また、画像を再構成するステップにおいて、再構成関数φの設定は、3次元空間を対象に行われるので、対象物の内部情報を3次元で精度よく高速に映像化することができる。
また、前記ケースは、円錐状の形状を有し、前記複数の送信アンテナ素子および前記複数の受信アンテナ素子は、前記ケースの円錐の母線に沿って配置されていてもよい。
これにより、ケース側面の円錐の母線上にセンサ素子を配置した解析モデルにおいて逆問題用の偏微分方程式を設定し、これを解くことで、対象物の内部情報を汎用的かつ高速に映像化することができる。特に、円錐状の形状を有する対象物に対して、内部情報をより精度よく高速に映像化することができる。
また、前記ケースは、曲線状の母線を有する略円錐状の形状を有し、前記複数の送信アンテナ素子および前記複数の受信アンテナ素子は、前記曲線状の母線に沿って配置されていてもよい。
これにより、ケース側面の曲線状の母線上にセンサ素子を配置した解析モデルにおいて逆問題用の偏微分方程式を設定し、これを解くことで、対象物の内部情報を汎用的かつ高速に映像化することができる。特に、略円錐状、例えば、半球またはドーム状の形状を有する対象物に対して、内部情報をより精度よく高速に映像化することができる。
また、前記波動は、マイクロ波であってもよい。
これにより、水分の多い対象物であっても、汎用的かつ簡便な方法で、対象物の内部情報を映像化することができる。
また、前記波動は、パルス波または所定の周波数を有する周期波であってもよい。
これにより、汎用的かつ簡便な方法で、フレキシブルな形状を有する対象物の内部情報を映像化することができる。
上記の課題を解決するため、本発明に係る散乱トモグラフィ装置は、ケース内に収容された物体に対して放射した波動の散乱波を解析する散乱トモグラフィ装置であって、前記ケースの側面上に、平面視したときに前記ケースの回転対称の軸と同一方向にライン状となるように配置され、前記波動を前記物体に放射する複数の送信アンテナ素子と、前記ケースの側面上に、平面視したときに前記ケースの回転対称の軸と同一方向にライン状となるように配置され、前記放射された波動が前記物体において散乱した散乱波を受信する複数の受信アンテナ素子と、前記受信した散乱波を示す散乱波データから、前記物体の内部情報に関する画像を再構成する画像再構成部とを備え、前記画像再構成部は、前記物体の内部情報に関する画像を再構成するための再構成関数を、前記ケースと同一の形状を有する3次元空間を対象としてあらかじめ設定し、映像化関数を時間変数と空間変数の極限値とする散乱場関数を定義し、前記物体内の任意の2点における送信アンテナ素子および受信アンテナ素子の位置を示す独立変数によって定義され、前記送信アンテナ素子および前記受信アンテナ素子の位置を示す独立変数の数と同一の次元を持つ空間における各点において、前記散乱波が生じている場の関数である散乱場関数が解となる線形偏微分方程式を構築し、前記散乱波データから、前記線形偏微分方程式を解くことにより得られる関数の時間変数と空間変数の極限値であって、前記ケースにおける前記送信アンテナおよび前記受信アンテナの位置での接平面を前記ケースの回転対称の軸を中心として回転させるときの回転角度θにより前記映像化関数を導出し、前記映像化関数を回転角度θで積分することにより得られる関数により、前記物体の内部情報に関する画像を再構成する。
これにより、ケースの側面上にセンサ素子を配置した解析モデルにおいて逆問題用の偏微分方程式を設定し、これを解くことで、ケース内に収容された対象物の内部情報を汎用的かつ高速に映像化することができる。また、画像を再構成するステップにおいて、再構成関数φの設定は、3次元空間を対象に行われるので、対象物の内部情報を3次元で精度よく高速に映像化することができる。
また、前記送信アンテナ素子は、2つの入力端子と2つの出力端子とを有し、半導体素子によって構成された第1のアクティブ型平衡回路と、前記2つの出力端子のうちの一方に接続された第1のアンテナ素子と、前記2つの出力端子のうちの他方に接続された第2のアンテナ素子と、前記第1のアンテナ素子および前記第2のアンテナ素子をそれぞれ接地する第1の抵抗素子とを備える第1の広帯域用アンテナで構成され、前記受信アンテナ素子は、2つの入力端子と2つの出力端子とを有し、半導体素子によって構成された第2のアクティブ型平衡回路と、前記2つの入力端子のうちの一方に接続された第3のアンテナ素子と、前記2つの入力端子のうちの他方に接続された第4のアンテナ素子と、前記第3のアンテナ素子および前記第4のアンテナ素子をそれぞれ接地する第2の抵抗素子とを備える第2の広帯域用アンテナと、受信された周波数信号を周波数変換するミキサとにより構成されていてもよい。
これにより、超広帯域用アンテナにおいて、コイル型トランスで構成されるバランを用いることがないので、高速で、かつ、精度のよいマンモグラフィ装置を実現することができる。
また、前記ケースは、円錐状の形状を有し、前記複数の送信アンテナ素子および前記複数の受信アンテナ素子は、前記ケースの円錐の母線に沿って配置されていてもよい。
これにより、ケース側面の円錐の母線上にセンサ素子を配置した解析モデルにおいて逆問題用の偏微分方程式を設定し、これを解くことで、対象物の内部情報を汎用的かつ高速に映像化することができる。特に、円錐状の形状を有する対象物に対して、内部情報をより精度よく高速に映像化することができる。
また、前記ケースは、曲線状の母線を有する略円錐状の形状を有し、前記複数の送信アンテナ素子および前記複数の受信アンテナ素子は、前記曲線状の母線に沿って配置されていてもよい。
これにより、ケース側面の曲線状の母線上にセンサ素子を配置した解析モデルにおいて逆問題用の偏微分方程式を設定し、これを解くことで、対象物の内部情報を汎用的かつ高速に映像化することができる。特に、略円錐状、例えば、半球またはドーム状の形状を有する対象物に対して、内部情報をより精度よく高速に映像化することができる。
また、前記波動は、マイクロ波であってもよい。
これにより、水分の多い対象物であっても、汎用的かつ簡便な方法で、対象物の内部情報を映像化することができる。
また、前記波動は、パルス波または所定の周波数を有する周期波であってもよい。
これにより、汎用的かつ簡便な方法で、フレキシブルな形状を有する対象物の内部情報を映像化することができる。
本発明により、逆問題の解析を汎用的かつ高速に行い、フレキシブルな形状を有する物体内部の情報を簡便に映像化することができる。フレキシブルな形状を有する対象物の内部情報をより精度よく高速に映像化することができる。
図1は、実施の形態1に係るマルチパスアレイレーダの構成を示す概略図である。 図2は、実施の形態1に係るマルチパスアレイレーダの動作を示すフローチャートである。 図3は、実施の形態1に係る散乱トモグラフィ方法の原理を説明するための解析モデルである。 図4は、実施の形態1に係る散乱トモグラフィ方法の原理を説明するための解析モデルである。 図5は、実施の形態1に係る散乱トモグラフィ方法の原理を説明するための解析モデルである。 図6は、実施の形態2に係る散乱トモグラフィ方法の原理を説明するための解析モデルである。 図7は、実施の形態2に係る散乱トモグラフィ方法の原理を説明するための解析モデルである。 図8は、実施の形態3に係るアンテナシステムの構成を示す概略図である。 図9は、実施の形態3に係る送信用アレイアンテナの構成を示す概略図である。 図10は、実施の形態3に係る受信用アレイアンテナの構成を示す概略図である。 図11は、実施の形態3に係る送信アンテナ素子の構成を示す概略図である。 図12は、実施の形態3に係る送信用UWBアンテナの構成を示す概略図である。 図13は、実施の形態3に係る受信アンテナ素子の構成を示す概略図である。 図14は、実施の形態3に係る受信用UWBアンテナの構成を示す概略図である。 図15は、実施の形態3に係る被検査体表面の解析モデルを示す図である。 図16Aは、アンテナ素子の構成の一例を示す概略図である。 図16Bは、アンテナ素子の構成の他の例を示す概略図である。
(本発明の基礎となった知見)
本発明に係る実施の形態について説明する前に、本発明の基礎となった技術について説明する。
物体に波動を照射した際に生じる散乱現象は、演算子を用いて表すことができる。例えば、物体O、照射波u、観測データpで表される物理方程式を、演算子Aを用いてp=A[O]と表すことができる。ここで、物体O、照射波u、演算子(システム関数)Aが既知である場合に、観測データpを求める問題は、順方向問題と呼ばれている。順方向問題は数学的基盤が確かな方法であり、その解を求めることは普通の物理の教科書に書いてある方法で可能である。
これに対して、医療や産業上で重要な課題は、照射波u、システム関数A、観測データpが既知である場合に物体Oが何であるかを求める問題である。この問題は、物理現象の因果関係を逆方向に辿るという意味で、逆方向問題と呼ばれ、O=A −1[p]と表すことができる。波動を物体に照射したときの散乱波を観測し解析して物体内部の情報を映像化するという方法(散乱トモグラフィ)は、この逆方向問題を利用するものである。
逆方向問題は、順方向問題のように数学的基盤が確かな方法ではなく、確立した理論というものがないため、容易に解く事ができないという問題がある。
また、生体等のフレキシブルな形状の物体内部の情報を映像化するには、例えば、物体の曲面形状等の条件が変わるたびに、理論や装置内部の構造等を変えてデータを再取得したり、取得したデータを補正したりする必要がある。そのため、逆方向問題を利用して物体内部の情報を映像化する方法は、汎用的な使用が難しい。また、データを再取得したり補正したりする必要があるため、計算速度の遅延やメモリの大量使用という問題がある。
上記した、波動の散乱波を用いて非破壊で対象物の欠陥等を検出する方法(散乱トモグラフィ)として、Multi−Path Linear Array Radar(MPLA Radar)がある。この方法は、例えば、センサとして対象物にアンテナ素子を取り付け、曲率のある対象物であっても平面として近似して、アンテナ素子から放射した電磁波と対象物において反射した反射波(散乱波)との関係から、非破壊で対象物の欠陥等を検出するものである。
MPLA Radarは、対象物に放射した放射波と対象物で反射した反射波(散乱波)との関係から、非破壊で対象物の欠陥等を検出するものである。MPLA Radarでは、対象物である生体等の形状によっては、電磁波の位相に影響を及ぼす誤差が増加し、計算により得られた像が焦点を結ばなくなるといった問題がある。
そこで、以下、MPLA Radarを改良し、生体等フレキシブルな形状を有する対象物であっても汎用的に使用できる散乱トモグラフィについて説明する。
以下、図面を用いて、本発明に係る実施の形態について説明する。なお、図面において、同一の符号が付された構成要素は、同一または同種の構成要素を示す。
また、以下で説明する実施の形態は、本発明の好ましい一具体例を示す。以下の実施の形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置および接続形態、ステップ、ステップの順序等は、一例であり、本発明を限定する主旨ではない。また、以下の実施の形態における構成要素のうち、本発明の最上位概念を示す独立請求項に記載されていない構成要素については、より望ましい形態を構成する任意の構成要素として説明される。
なお、一般的に、散乱トモグラフィとは、波動の散乱波を用いて非破壊で対象物の欠陥等を検出する方法のことをいうが、本件では、散乱トモグラフィが方法であることを明確にするために、以下、この方法を散乱トモグラフィ方法と呼ぶこととする。また、散乱トモグラフィ方法を行うための装置を散乱トモグラフィ装置と呼ぶこととする。
(実施の形態1)
<センサアレイの構成>
実施の形態1では、散乱トモグラフィ方法を行うためのセンサとして、一次元センサアレイを用いる場合について説明する。一次元センサアレイは、一次元的に配置された送信アンテナ素子および受信アンテナ素子(リニアアレイアンテナ)で構成されるセンサアレイである。
本実施の形態では、生体の内部情報、特に、欠陥細胞の位置情報を映像化する例として、直線状の母線を持つ円錐体をモデルとする散乱トモグラフィ装置を挙げる。具体的には、略円錐状の形状を有する対象物として乳房を、欠陥細胞として乳房における癌細胞を例として説明する。
この装置において、リニアアレイアンテナを構成する送信アンテナ素子および受信アンテナ素子は、円錐体の母線に沿って一列(一次元的)に配置されている。リニアアンテナは、円錐の底面である円の周方向に回転スキャンされる。
はじめに、本実施の形態に係る散乱トモグラフィ装置であるマルチパスアレイレーダ20の構成について説明する。マルチパスアレイレーダ20は、送信用の複数のアンテナ素子と受信用の複数のアンテナ素子がそれぞれ一列に配置されたリニアアレイアンテナである。このリニアアレイアンテナにおいて、送信アンテナ素子列上の任意の素子で波動を送信し、受信アンテナ素子列上の任意の素子で反射波を受信する。例えば、送信アンテナ素子及び受信アンテナ素子がそれぞれy方向にn個配置された場合、n 組の時系列データを得ることができる。
図1は、実施の形態1に係るマルチパスアレイレーダ20の構成を示す概略図である。図1に示すように、マルチパスアレイレーダ20は、センサ部30と、画像再構成部40とを備えている。
センサ部30は、送信部31と、受信部32と、ケース33と、リニアアレイアンテナ37とを備えている。リニアアレイアンテナ37は、送信アンテナ素子36aと、受信アンテナ素子36bとで構成されるアンテナ素子36を、ライン状に複数個有している。
送信アンテナ素子36aは、対象物である生体に向かって波動を送信し、受信アンテナ素子36bは、生体から反射(散乱)した反射波(散乱波)を受信する。ここでは、波動としてマイクロ波を例として説明するが、波動はマイクロ波に限らず他の帯域の電磁波または超音波であってもよい。したがって、送信アンテナ素子36aおよび受信アンテナ素子36bは、マイクロ波用のアンテナ素子であってもよいし、マイクロ波に限らず他の帯域の電磁波または超音波用のアンテナ素子であってもよい。また、近年の移動体通信技術の広帯域化に合わせて広帯域または超広帯域用のアンテナ素子であってもよい。なお、超広帯域用アンテナについては、後に詳述する。
送信部31は、送信アンテナ素子36aから放射されるマイクロ波の送信タイミングや回数、送信ゲインを調整する。
受信部32は、受信アンテナ素子36bで受信したマイクロ波の散乱波のデータを、画像再構成部40に搬送する。このとき、受信した散乱波のデータは、受信部32により増幅されたりAD変換等の信号処理をされてもよい。
ケース33は、円錐状の形状を有し、内部に例えば観測対象物(被検査体)である乳房が収容される。底面の円の直径は、一例として10cmである。ケース33には、ケース33の頂点から底面に向かう母線に沿って、ライン状にリニアアレイアンテナ37が配置されている。すなわち、送信アンテナ素子および受信アンテナ素子は、少なくとも一方向から平面視したときにケース33の回転対象の軸と同一方向にライン状となるように配置されている。ここで、ケース33の回転対象の軸は、円錐の頂点と円錐の底面の中心とを結ぶ直線を指す。
画像再構成部40は、受信部32から搬送された散乱波のデータを解析し、後に説明する画像再構成アルゴリズムにより、散乱波のデータを映像化する。これにより、対象物の内部情報に応じた映像がモニタ画面である画像表示部50に再生される。
なお、マルチパスアレイレーダ20において、上記したリニアアレイアンテナ37が円錐の底面の円周の方向へ移動することにより、n 組の時系列データが得られる。時系列がn個の場合、得られるデータは総じてn 個となる。こうして得られたn 個のデータは、3次元の映像化に必要な量のデータn個に比べn倍の冗長度の情報量を持っている。したがって、このデータを、後に説明する画像再構成アルゴリズムにおける映像化関数に対応させることにより、対象物の内部情報に応じた3次元の画像を再生することができる。
また、送信アンテナ素子36aと受信アンテナ素子36bとの間隔が自由に選択できるので、送信アンテナ素子36aおよび受信アンテナ素子36bの対に応じて波動のゲインを変える(経路依存可変ゲイン増幅機能)ことにより、対象物において検査可能な深さを変えることができる。送信アンテナ素子36aおよび受信アンテナ素子36bの配置については、後に詳述する。
以下、散乱トモグラフィ方法による生体の内部情報、すなわち、乳房における癌細胞の位置情報の映像化の手順について、説明する。
<散乱トモグラフィ方法の手順>
図2は、図1に係るマルチパスアレイレーダ20の動作を示すフローチャート図である。
図2に示すように、散乱トモグラフィ方法による生体の内部情報を映像化(画像化)する方法は、以下のとおりである。
はじめに、送信アンテナ素子36aからケース33の内部に配置された対象物である乳房に向けて波動を放射する(S11)。波動としては、例えば、マイクロ波を用いる。送信部31においてマイクロ波の波長、振幅等の調整を行い、送信アンテナ素子36aから乳房に放射する。
次に、乳房内部の正常細胞および癌細胞で反射した反射波(散乱波)を受信アンテナ素子36bにより受信する(S12)。正常細胞と癌細胞とでは、誘電率が異なるため、散乱波の強度が異なる。受信した散乱波は、受信部32において、増幅されたりAD変換等、画像再構成部40における解析に適した形式に変換されてもよい。
次に、受信部32から画像再構成部40に、受信した散乱波を示す散乱波データが搬送される。画像再構成部40では、搬送された散乱波データの解析が行われる(S13)。ここでは、以下に説明する画像再構成アルゴリズムにより散乱波データの解析が行われる。具体的には、映像化関数が導出される。これにより、乳房内の正常細胞と癌細胞とに対応した映像(画像)が再構成される(S14)。
さらに、再構成された映像のデータは、画像再構成部40から画像表示部50に搬送され、画像表示部50に表示される。これにより、乳房内の癌細胞の存在およびその位置、形状および大きさが確認できる。
以下、画像再構成部40で行われる画像再構成アルゴリズムについて説明する。この画像再構成アルゴリズムは、直線状の母線を持つ錐体をモデルとする、本実施の形態に係る散乱トモグラフィ方法の原理である。
<画像再構成アルゴリズム>
図3〜図5は、本実施の形態に係る散乱トモグラフィ方法の原理を説明するための解析モデルである。以下、図3〜図5に示すモデルを解析モデルとして、センサ部30が一次元のセンサアレイである場合の映像化関数の導出について説明する。
以下に説明する画像再構成アルゴリズム(理論)では、映像化対象が直線状の母線を持つ円錐体であると仮定する。この円錐体を解析モデルとして、当該母線上に波動の放射点(送信アンテナ素子36a)と受信点(受信アンテナ素子36b)とを任意に設置する。そして、放射点から放射された放射波を示す送信データと受信点で受信された散乱波を示す散乱波データとを用いて、映像化対象物の内部の情報を映像化する。
画像再構成アルゴリズムについて数学的に簡単に説明すると、映像化に必要な解(関数)をはじめに設定し、その解から方程式を構築し、送信データおよび受信データから、より厳密な解を求めるという、逆問題を解くものである。
すなわち、はじめに映像化に必要なグリーン関数を設定する。そして、この関数が解(関数)となる5次元空間(t,x,y,y,z)に関する偏微分方程式を構築する。そして、曲線状に配置された送信アンテナ素子36aから放射された送信データと曲線状に配置された受信アンテナ素子36bで受信された散乱データとを境界条件としてこの偏微分方程式を解き、この解において、t→0、x→x、y→y(=y)、z→zとおくことにより厳密な映像化関数を求める。これにより物体内部の情報を高品質かつ高速に映像化することができる。
具体的には、以下のとおりである。
1.散乱の逆問題とグリーン関数
図3により、rから出た波動が点ξで反射して点rへ戻ってくる状況を考える。周波数ωが一定という条件で、波動の送信点rと受信点rがある拘束条件を満たしながらx断面D(円錐体60aの側面)の内部を自由に動く。このとき得られるデータをG(r,r,ω)と書くと、この関数は領域内の反射点の分布に関係したものとなる。ここで、ωは角周波数であり、ω=2πfである。G(r,r,ω)は、全ての点ξからの反射信号の和であり、領域内には多くの反射点があるので、G(r,r,ω)は次の(式1)のように書くことができる。
Figure 0006468570
....(式1)
ここで、
Figure 0006468570
は、rから出て点ξで反射して点rへ戻る波動の信号強度を示す。
波動の送信点rと受信点rに課せられた拘束条件とは、rとrのx座標が常に等しいという条件である。
この関数G(r,r,ω)を用いて散乱の逆問題の理論的構造を説明する。
3次元空間の部分領域をDとし、その境界を∂Dとする。このとき、関数G(r,r,ω)は、領域Dの内部で次の(式2)のような微分方程式の解となっている。
Figure 0006468570
....(式2)
さらに、G(r,r,ω)の境界∂Dでの値は、センサ部30における測定値(送信データおよび受信データ)とする。上記方程式をこの境界条件のもとに解き、その結果からρ(r)を次の(式3)のように定義する。
Figure 0006468570
....(式3)
ここで、ρ(r)とは、求めようとする領域D内の誘電率の勾配に関係した関数である。実際には、ここに現れる微分作用素L(∂/∂t,∂/∂r,∂/∂r)を求める必要がある。
2.円錐体を解析モデルとする、回転対称曲面上のマルチパス逆散乱理論
次に、上記した微分作用素を求める方法について説明する。図4および図5は、微分作用素を求める方法について説明するための解析モデルである。
本実施の形態にかかる解析モデルは、図4に示すように、映像化対象が直線状の母線を持つ円錐体60aであると仮定する。アンテナ素子36は、円錐体60aの母線に沿ってライン状に複数個配置され、複数個のアンテナ素子36によりリニアアレイアンテナ37aが構成されている。図4に示すリニアアレイアンテナ37aにおいて、リニアアレイアンテナ37aは、円錐体60aの頂点と円錐体60aの底面の中心とを通る軸を中心として回転移動する。すなわち、送信アンテナ素子36aおよび受信アンテナ素子36bは、少なくとも一方向から平面視したときにケース33の回転対象の軸と同一方向にライン状となるように配置されている。ここで、ケース33の回転対象の軸は、円錐の頂点と円錐の底面の中心とを結ぶ直線を指す。
詳細には、リニアアレイアンテナ37aの位置での円錐体60aの接平面80aを想定し、仮想的な接平面80aが回転し、全ての回転角度θに対して散乱波データが得られるものとする。このような円錐体60aの表面におけるマルチスタティックな時系列データから、円錐体60aの内部の3次元的な構造を再構成する。その理論を以下に説明する。
なお、本解析モデルでは、図4に示すように、円錐体60aの頂点を点O、円錐体60aの底面の円の中心を点O’とする。点Oから点O’に向かう方向をZ方向(Z軸方向)とする。また、点Oを通り円錐体60aの底面と平行な面を基準平面70aとする。基準平面70aにおける任意の一方向をX方向(X軸方向)、基準平面70aにおけるX方向と垂直な方向をY方向(Y軸方向)とする。
また、円錐体60aの底面において、X方向と平行な方向をX’方向(X’軸方向)、Y方向と平行な方向をY’方向(Y’軸方向)とする。
また、円錐体60aの側面において、リニアアレイアンテナ37aの位置で円錐体60aに接する平面を、接平面80aとする。この接平面80aと基準平面70aとが交差する交差線の一方向をx方向(x軸方向)とする。接平面80aにおいて、点Oから円錐体60aの底面に向かう方向をy方向(y軸方向)とする。また、x方向およびy方向に垂直な方向をz方向(z軸方向)とする。
また、基準平面70aにおいて、x軸はZ軸を中心に回転しているものとし、X軸とx軸との間の角をθとする。また、Z軸とz軸との間の角をαとする。
図5は、図4に示すリニアアレイアンテナ37aを部分的に拡大した模式図である。
図5において、y軸上にマルチスタティック座標yおよびyを定義すると、以下のような再構成理論が成立する。なお、以下の理論では、接平面80a上において、x座標に関しては1点(x=0,y,y)のデータが得られる。
図5に示すように、リニアアレイアンテナ37aの点P(x,y,z)における送信アンテナ素子36aから放射した波動は、点Pで反射して、リニアアレイアンテナ37aの点P(x,y,z)における受信アンテナ素子36bで受信される。また、計測点Pは、リニアアレイアンテナ37が配置された任意直線上を動くと仮定する。
任意直線上ではr、rのyz座標は、r=(x,y,z)、r=(x,y,z)と表される。このとき、関数Gは次の(式4)のように定義される。
Figure 0006468570
................(式4)
次に、関数G(r,r,ω)を満たす方程式として、次の(式5)のような関数φを導入する。すなわち、点Pが領域全体を動くときP2で受信される信号は、次の(式5)ように表すことができる。ここで、cは伝播速度、kは波数であり、波長をλとすると、ω=ck、k=2π/λの関係がある。なお、(式5)に示すφは、本発明における物体の内部情報に関する画像を再構成するための再構成関数(解)に相当する。ξ、η、ζは、図4および図5に示す点P(ξ,η,ζ)のx座標、y座標およびz座標である。なお、点P(ξ,η,ζ)は、領域中の任意の散乱点である。
Figure 0006468570
...........(式5)
ここで、時間の因子をexp(−iωt)に比例すると仮定する。上式の被積分項にあるカーネル関数をΦと置く。
Figure 0006468570
この式、及び、この式をξ、η、ζなどで微分および積分したものが解となる偏微分方程式を求める。そのためには、微分した結果生ずる1/ρに関して高次の項を無視して計算すればよい。
ここで、微分の略記法を、以下の(式6)ように定義する。
Figure 0006468570
............(式6)
この(式6)を用いてΦの各次数の微分を求めると、以下の(式7)のようになる。
Figure 0006468570
........(式7)
以下の式では、繁雑なo(*)の項は省略する。なお、*は任意の変数を意味する。2階微分に関する4つの式の和をとると、以下の(式8)のようになる。
Figure 0006468570
............(式8)
(式8)の両辺をまとめると、(式9)のようになる。
Figure 0006468570
............(式9)
この(式9)の左辺の演算子を2回作用させると、次の(式10)のようになる。
Figure 0006468570
............(式10)
これを整理して、次の(式11)を得る。
Figure 0006468570
............(式11)
この(式11)は定常状態を仮定して導かれたが、非定常の場合へ拡張することは容易である。(式11)を非定常の場合へ拡張するために、(式11)について次の(式12)のような変数の置換えをする。
Figure 0006468570
..........(式12)
こうして、最終的に次の(式13)に示す方程式を得る。なお、(式13)は、本発明における線形偏微分方程式に相当する。
Figure 0006468570
...................(式13)
(式13)において微分を積分核へ適用することにより、φもまた上記偏微分方程式を満たす。この方程式は、変数がt、x、y、y、zの5個からなる4次元の擬似波動方程式である。
この(式13)を、フーリエ変換を用いて解く。まず最初に、φをt、x、y、yについて多重フーリエ変換すると、以下の(式14)が得られる。
Figure 0006468570
..................(式14)
(式14)において、zに関する微分をDと書くと、以下の(式15)を得る。
Figure 0006468570
.........(式15)
ここで、ω=ckの関係を用いると、この方程式(式15)の4つの基本解は次のようになる。
Figure 0006468570
................(式16)
(式16)において、時間のファクターがe−iωtであること、および放射電波のパスで位相が加算されること、また、物体で反射した電波が測定面へ向かって跳ね返っていくことを考慮すると、Eが唯一の意味のある解となる。従って、次の(式17)が得られる。
Figure 0006468570
.......(式17)
これをフーリエ変換して、波動方程式(式13)の解φが次のように求まる。
Figure 0006468570
.............(式18)
計測されるデータは、x=0の場合しかないから、次の(式19)が成り立つ。
Figure 0006468570
...............(式19)
これを、上式でz=0とおいたものへ適用すると、次の(式20)のようになる。
Figure 0006468570
.............(式20)
この(式20)の両辺を(x,y,y)でフーリエ変換すると、a(k,ky1,ky2,k)が次のように求まる。
Figure 0006468570
............(式21)
こうして、偏微分方程式の解φ(x,y,y,z,k)が得られる。
関数φ(x,y,y,z,k)のy、yのTraceをとる。具体的には、映像関数はまず、k,z=固定、の条件下でy→y、y→yとする。
Figure 0006468570
..........(式22)
kに関する積分を遂行するために、次の(式23)のような変数変換を行う。
Figure 0006468570
........(式23)
次に、(式23)をkに関してフーリエ変換し、t=0を適用すると、(式24)に示すように、角度θにおける局所座標系での映像化関数ρ(r,θ)が求まる。
ここで、
Figure 0006468570
はθに依存するため、θ依存性を明示するために、
Figure 0006468570
のように書くことにする。
Figure 0006468570
..............(式24)
さらに、各θで得られた結果を積分することにより、(式25)に示す3次元再構成画像が得られる。
Figure 0006468570
...........(式25)
次に、接空間で計算された結果を全体座標(X,Y,Z)へ変換する。y軸の(X,Y)平面への射影をy’とすると、次の(式26)が成立する。
Figure 0006468570
............(式26)
さらに(x,y’)から(X,Y)へ変換する式は、次の(式27)のようになる。
Figure 0006468570
.............(式27)
以上をまとめると、x、y、zは、次の(式28)のようになる。
Figure 0006468570
.............(式28)
この変換公式を、次の(式29)へ適用していく。
Figure 0006468570
............(式29)
さらに、次の(式30)に示す変数を導入する。
Figure 0006468570
.............(式30)
(式30)の導入により、(式29)は、次の(式31)のようになる。
Figure 0006468570
............(式31)
さらに、スペクトラム領域で、次の(式32)に示す変数変換を行う。
なお、以下の(式32)および(式33)で使用する変数ξ、η、ζは、図5および(式5)等で使用したP点の座標(ξ,η,ζ)ではなく、変数変換のために新たに用いた変数である。
Figure 0006468570
.............(式32)
この逆変換は、次の(式33)で与えられる。
Figure 0006468570
.............(式33)
角度θにおける再構成関数は、次の(式34)のようになる。
Figure 0006468570
.............(式34)
ここで、k、ky1、ky2、kなどは、(式30)、(式33)のようにξ、η、ζ、kyoの関数であるから、フーリエ変換だけを用いて、角度θの局所座標におけるデータを全体座標へ変換できる。
最後に角度θで積分して、(式35)に示すような再構成画像、すなわち、映像化関数が得られる。
Figure 0006468570
.............(式35)
この映像化関数により、物体の内部情報に関する画像を再構成することができる。
<散乱トモグラフィ方法により得られる再構成画像>
上記した散乱トモグラフィ方法により再構成画像を得ることの効果について、説明する。
本実施の形態にかかる散乱トモグラフィ方法は、特に、乳房中の欠陥細胞の観測に有効である。
乳房における欠陥細胞を観測する手段としては、従来から、X線、超音波またはMRIによる観測方法があるが、X線による観測では、X線は、水分の多い組織を透過するため構成画像の生成がむずかしく、乳房中の欠陥細胞の観測には適していないという問題がある。また、超音波による観測では、超音波は水分の多い組織を伝わり易いという利点はあるが、領域の大分部を占める脂質中での減衰が大きいため構成画像の精度の向上が難しく、乳房中の欠陥細胞の観測には適していないという問題がある。また、MRIによる観測では、造影剤が必要であること、鮮明な構成画像が得られるが、構成画像のうちのどれが欠陥細胞であるかの判断が難しいという点から、乳房中の欠陥細胞の観測には適していないという問題がある。加えて、強磁場の発生は、超伝導コイルとその冷却システムとが必要であり、高コストである。
これに対し、本実施の形態にかかる散乱トモグラフィ方法による観測では1〜10GHzのUWB(ウルトラワイドバンド)マイクロ波を用いる。マイクロ波は、生体、特に、脂質等に対してマイクロ波の減衰が極めて小さいため、乳房中の欠陥細胞の観測に有効である。また、装置構成がMRIに比べると簡単であり、造影剤など他の物質も必要ないため、汎用的に用いることができる。さらに、本実施の形態にかかる散乱トモグラフィ方法では、上記した逆散乱理論を用い、マイクロ波の多重経路(マルチスタティック)散乱波データを基にして、乳房などの生体内部の3次元的構成要素を映像化するため、生体の内部情報(構成)を汎用的かつ高速に映像化することができる。
なお、上記した散乱トモグラフィ装置の確認実験の例としては、これまでのところ、上記ケースにマーガリンを充填した生体モデルにおける観測、および、動物の乳房の観測を行った。
測定条件の一例として、送信アンテナから送信するマイクロ波には、10GHzのマイクロ波を用いた。この場合、受信アンテナの大きさは、4cm角程度の大きさとした。ケースの大きさは、底面の直径が30cm、高さが10cm程度とした。この条件の下で、豚の乳房の観測を行ったところ、上記したX線、超音波およびMRIによる観測で得られた画像よりも精度のよい再構成画像が得られることが確認できた。
以上より、本実施の形態にかかる散乱トモグラフィ方法は、特に、乳房中の欠陥細胞の観測に有効である。
以上、本実施の形態に係る散乱トモグラフィ方法は、円錐体60aの母線に沿ってライン状にアンテナ素子36を複数個配置した解析モデルにおいて、逆問題用の偏微分方程式を設定し、これを解くことで映像化関数を得ている。これにより、物体に放射した波動の散乱波を解析する散乱トモグラフィ方法において、対象物の内部情報を汎用的かつ高速に映像化することができる。
なお、マルチパスアレイレーダ20において、円錐体60aの母線に沿って配置されたリニアアレイアンテナ37aが円錐体60aのZ軸を中心に回転移動することにより、n 組の時系列データが得られる。時系列がn個の場合、得られるデータは総じてn 個となる。こうして得られたn 個のデータは、3次元の映像化に必要な量のデータn個に比べn倍の冗長度の情報量を持っている。このように、計測データが大きな冗長性を持っているため、マルチパスアレイレーダ20の出力はノイズに強い性質がある。
なお、上記の演算式、および、演算式の導出手順は、一例であって、別の演算式、および、別の導出手順が用いられてもよい。
また、本実施の形態では、波動としてマイクロ波を用いたが、マイクロ波に限らず、他の周波数帯域の電磁波であってもよいし、超音波であってもよい。また、本実施の形態では、マイクロ波を用いているため、所定の周波数を有する周期波を用いているが、波動として周期波に限らずパルス波を用いてもよい。
また、本実施の形態では、対象物として乳房を例に説明しているが、対象物は乳房に限らず、例えば、円錐状のコンクリート支柱など他の物体であってもよい。
(実施の形態2)
次に、本発明の実施の形態2について説明する。
本実施の形態では、散乱トモグラフィ方法を行うためのセンサとして、二次元センサアレイを用いる場合について説明する。二次元センサアレイは、曲線状に一次元的に配置された送信アンテナ素子および受信アンテナ素子(マルチアレイアンテナ)で構成されるセンサアレイである。
本実施の形態に係る散乱トモグラフィ装置であるマルチパスアレイレーダ20の構成は、実施の形態1にかかるマルチパスアレイレーダ20とほぼ同様であるが、送信アンテナ素子および受信アンテナ素子が曲線状に一次元的に配置される点が実施の形態1にかかるマルチパスアレイレーダ20と異なっている。具体的には、実施の形態1における円錐体の解析モデルにおける円錐体の母線が曲線状であり、この曲線状の母線に沿って、送信アンテナおよび受信アンテナが配置されている。したがって、本実施の形態に係るマルチパスアレイレーダの画像再構成部で行われる画像再構成アルゴリズムが、実施の形態1にかかるマルチパスアレイレーダ20と異なっている。
以下、本実施の形態に係る散乱トモグラフィ方法の画像再構成アルゴリズムについて説明する。
<画像再構成アルゴリズム>
図6および図7は、本実施の形態に係る散乱トモグラフィ方法の原理を説明するための解析モデルである。以下、図6および図7に示すモデルを解析モデルとして、マルチパスアレイレーダのセンサ部が一次元のセンサアレイである場合の映像化関数の導出について説明する。
以下に説明する画像再構成アルゴリズム(理論)では、映像化対象が曲線状の母線を持つ円錐体、すなわち半球状またはドーム状の円錐体であると仮定する。この円錐体を解析モデルとして、当該母線上に波動の放射点(一の送信アンテナ素子36a)と受信点(一の受信アンテナ素子36b)を任意に設置する。そして、放射点から放射された放射波を示す送信データと受信点で受信された散乱波を示す散乱波データとを用いて、映像化対象物の内部の情報を映像化する。
具体的には、本実施の形態にかかる解析モデルは、図6に示すように、映像化対象が曲線状の母線を持つ円錐体(略円錐体)60bであると仮定する。アンテナ素子36は、円錐体60bの母線に沿って複数個配置され、複数個のアンテナ素子36によりリニアアレイアンテナ37bが構成されている。図6に示すリニアアレイアンテナ37bにおいて、リニアアレイアンテナ37bは、円錐体60bの頂点と円錐体60bの底面の中心とを通る軸を中心として回転移動する。すなわち、複数の送信アンテナ素子36aと複数の受信アンテナ素子36bとで構成されるリニアアレイアンテナ37は、少なくとも一方向から平面視したときにケースの回転対象の軸と同一方向にライン状となるように配置されている。ここで、ケースの回転対象の軸は、円錐体の頂点と円錐体の底面の中心とを結ぶ直線を指す。
詳細には、リニアアレイアンテナ37bの位置での円錐体60bの接平面80bを想定し、仮想的な接平面80bが円錐体60bの頂点と円錐体60bの底面の中心とを通る軸を中心として回転し、全ての回転角度θに対して散乱波データが得られるものとする。このような円錐体60bの表面におけるマルチスタティックな時系列データから、円錐体60bの内部の3次元的な構造を再構成する。その理論を以下に説明する。
なお、本解析モデルでは、図6に示すように、円錐体60bの頂点を点O、円錐体60bの底面の円の中心を点O’とする。点Oから点O’に向かう方向をZ方向(Z軸方向)とする。また、円錐体60bの側面において、一のリニアアレイアンテナ37bの位置で円錐体60bに接する平面を、接平面80bとする。この接平面80bがZ軸と交差する点を含み、円錐体60bの底面と平行な平面を基準面70bとする。基準平面70bにおける任意の一方向をX方向(X軸方向)、基準平面70bにおけるX方向と垂直な方向をY方向(Y軸方向)とする。
また、円錐体60bの底面において、X方向と平行な方向をX’方向(X’軸方向)、Y方向と平行な方向をY’方向(Y’軸方向)とする。
この接平面80bと基準平面70bとが交差する交差線の一方向をx方向(x軸方向)とする。接平面80bにおいて、点Oから円錐体60bの底面に向かう方向をy方向(y軸方向)とする。また、x方向およびy方向に垂直な方向をz方向(z軸方向)とする。
また、基準平面70bにおいて、x軸はZ軸を中心に回転しているものとし、X軸とx軸との間の角をθとする。また、Z軸とz軸との間の角をαとする。
図7は、図6に示すリニアアレイアンテナ37bを部分的に拡大した模式図である。図7に示すように、x、y座標は対象物の表面に置き、z座標は対象物の表面の法線方向にとる。この解析モデルでは、xyz空間に、曲面状に送信アンテナ素子36aおよび受信アンテナ素子36bが設けられている。
本実施の形態にかかる画像再構成アルゴリズムにおいては、実施の形態1に係る散乱トモグラフィ方法と同様、はじめに映像化に必要なグリーン関数(再構成関数)を設定する。次に、この関数が解となる6次元空間(t,x,y,y,z,z)における偏微分方程式を構築する。そして、曲線状に配置された送信アンテナ素子36aから放射された送信データと曲線状に配置された受信アンテナ素子36bで受信された散乱データとを境界条件としてこの偏微分方程式を解き、この解において、t→0、x→x、y→y(=y)、z→z(=z)とおくことにより厳密な映像化関数を求める。これにより物体内部の情報を高品質かつ高速に映像化することができる。
具体的には、以下のとおりである。
1.散乱の逆問題とグリーン関数
図6により、rから出た波動が点ξで反射して点rへ戻ってくる状況を考える。周波数ωが一定という条件で、波動の送信点rと受信点rがある拘束条件を満たしながら曲面(円錐体60bの側面)上を自由に動く。このとき得られるデータをG(r,r,ω)と書くと、この関数は領域内の反射点の分布に関係したものとなる。このとき、ωは角周波数=2πfである。G(r,r,ω)は、全ての点ξからの反射信号の和であり、領域内に多くの反射点があるので、G(r,r,ω)は、実施の形態1に示した(式1)と同様に考えることができる。
ただし、本実施の形態では、波動の送信点rと受信点rに課せられた拘束条件とは、rとrの局所x座標が等しい(xは一定)という条件である。
この関数G(r,r,ω)を用いて散乱の逆問題の理論的構造を説明する。
2.曲線状の母線を持つ円錐体を解析モデルとする、回転対称曲面上のマルチパス逆散乱理論
以下、この微分作用素を求める方法について述べる。本実施の形態に係る解析モデルでは、図6および図7に示したように、実施の形態1の解析モデルにおける円錐体の母線が曲線状であり、この曲線状の母線に沿って、送信アンテナおよび受信アンテナが配置されている。そして、この曲線状の母線に沿って配置されたアンテナアレイが、Z軸を中心に回転するものである。曲線状の母線の上ではr、rのy、z座標が必ずしも等しくない。具体的にはr=(x,y,z)、r=(x,y,z)である。
ここで、関数Gは、実施の形態1に示した(式4)と同様に定義され、r=(x,y,z)、r=(x,y,z)から関数G(r,r,ω)の満たす方程式を求める。関数G(r,r,ω)を満たす方程式として、次の(式36)のような関数φを導入する。なお、(式36)に示すφは、本発明における物体の内部情報に関する画像を再構成するための再構成関数(解)、に相当する。
図7において、断面曲線S上の点P1で放射され、点Pで反射した後、点P2で受信される波動を考えると、関数φは、次の(式36)ように書くことができる。
Figure 0006468570
...............(式36)
ここで、時間の因子をexp(−iωt)に比例すると仮定し、波数をkとおく。また、上式の被積分項にあるカーネル関数をφ置く。
Figure 0006468570
.................(式37)
この式、及び、この式をξ、η、ζなどで微分および積分したものが解となる偏微分方程式を求める。そのためには、微分した結果生ずる1/ρに関して高次の項を無視して計算すればよい。
ここで、微分の略記法を、以下の(式38)のように定義する。
Figure 0006468570
.............(式38)
この(式38)を用いてΦの各次数の微分を求めると、以下の(式39)のようになる。
Figure 0006468570
...........(式39)
以下の式では、繁雑なo(*)の項は省略する。なお、*は任意の変数を意味する。2階微分に関する4つの式の和をとると、以下の(式40)のようになる。
Figure 0006468570
..............(式40)
従って、
Figure 0006468570
..............(式41)
この(式41)の左辺の演算子を2回作用させると、次の(式42)のようになる。
Figure 0006468570
..............(式42)
したがって、φは、次の(式43)に示す方程式を満たす。
Figure 0006468570
..............(式43)
これを整理すると、次の(式44)のような方程式が得られる。
Figure 0006468570
..............(式44)
この(式44)は定常状態を仮定して導かれたが、非定常の場合へ拡張することは容易である。(式44)を非定常の場合へ拡張するために、(式44)について次の(式45)のような変数の置換えをする。
Figure 0006468570
..............(式45)
こうして、最終的に次の(式46)が得られる。なお、(式46)は、本発明における線形偏微分方程式に相当する。
Figure 0006468570
.............(式46)
φの時間の因子をexp(−iωt)に比例すると仮定して、(式46)の解を求めることにする。まず最初に、φをt、x、y、yについて多重フーリエ変換すると、以下の(式47)が得られる。
Figure 0006468570
..............(式47)
、zに関する偏微分をそれぞれDz1、Dz2と書くと以下の式を得る。
Figure 0006468570
.............(式48)
この方程式を解くのであるがz、zの2変数がある。そのため固定された(x,y,y)あるいは(k,ky1,ky2)に関して境界条件が(z,z)空間の中の1次元の自由度を持った領域で与えられないと境界値問題が成立しない。ところが、レーダの計測により得られる境界条件は、(z,z)空間の中の1点(f(y),f(y))で与えられるのみである。
この重要な問題を解決するために、次の要請をすることにする。前節に述べた局所接平面における理論と本節における理論との整合性を要求する。z、zを独立とする本節の理論がz=z、z=zである特別の場合の解を含む。
(式48)の解を、次の(式49)のように仮定する。
Figure 0006468570
..........(式49)
これは、z=z=zのとき、次の(式50)のようになる。
Figure 0006468570
..............(式50)
(式49)を(式48)へ代入すると次式を得る。
Figure 0006468570
............(式51)
さらにもう一つの方程式が必要である。ここで、上記の整合性の要請は次のようになる。
Figure 0006468570
......(式52)
(式51)と(式52)から、s(k,ky1,ky2)、s(k,ky1,ky2)が次の(式53)のように決定できる。
Figure 0006468570
.........(式53)
具体的な計算は後に行うことにし、このようなs(k,ky1,ky2)、s(k,ky1,ky2)を用いて、(式46)の解を次の(式54)のように書くことができる。
Figure 0006468570
.........(式54)
xを固定した断面曲線Sの方程式を、次の(式55)のように仮定する。
Figure 0006468570
.........(式55)
断面曲線S上で与えられる境界条件は、次の(式56)のようになる。
Figure 0006468570
.........(式56)
この方程式は、a(k,ky1,ky2)を決定するために用いられる。次のような簡略記法を用いる。
Figure 0006468570
.........(式57)
(式54)は、次のようなa(k,ky1,ky2)に関する積分方程式となる。
Figure 0006468570
.............(式58)
この(式58)からa(k)を求めることができれば、映像化関数は、次式
Figure 0006468570
においてz=z=zとおき、さらに、kに関してフーリエ変換することにより求まる。局所座標系における映像化関数は、次の(式60)のように求まる。
Figure 0006468570
..............(式60)
ここで、積分方程式(式58)の解を求める。曲面上の点PI、PJで測定された時系列データφ(x,y,y,z,z,t)をフーリエ変換したΦ(x,y,y,k)を次のように書くことができる。
Figure 0006468570
..............(式61)
ここでz、zは次の式を満たす。
Figure 0006468570
..............(式62)
さらに、x=0以外ではデータが無いので、φは次のように書ける。
Figure 0006468570
..............(式63)
すると、(式61)は次のようになる。
Figure 0006468570
..............(式64)
この(式64)の右辺には、kxが含まれていない。しかし、ある角度θでのデータであることを考慮して、右辺を次の(式65)のような関数で表す。
Figure 0006468570
..............(式65)
この記号を用いると、(式58)から次の(式66)が得られる。
Figure 0006468570
.............(式66)
(式66)を次の(式67)のように書き直す。
Figure 0006468570
..............(式67)
両辺のフーリエ変換をとると、次の(式68)が得られる。
Figure 0006468570
.......(式68)
積分すると、
Figure 0006468570
..........(式69)
積分すると、次の(式70)が得られる。
Figure 0006468570
..............(式70)
ここで、
Figure 0006468570
は、次の(式71)のように得られる。
Figure 0006468570
............(式71)
さらに、全てのI、Jに関して和を求めると、次の(式72)が得られる。
Figure 0006468570
......(式72)
偏微分方程式(式46)の解は、次の(式73)のようになる。
Figure 0006468570
.........(式73)
この(式73)においてy→y、y→y及びz=z=zとおくと、映像化関数は、次の(式74)のようになる。
Figure 0006468570
.........(式74)
さらに変形して、次の(式75)が得られる。
Figure 0006468570
..(式75)
各θで得られた結果を積分することにより、次の(式76)で示される3次元再構成画像が得られる。
Figure 0006468570
....(式76)
ここで、接空間で計算された結果を全体座標(X,Y,Z)へ変換する。y軸の(X,Y)平面への射影をy’とすると、次の(式77)が成立する。
Figure 0006468570
.........(式77)
さらに、(x,y’)から(X,Y)へ変換する式は、次の(式78)のようになる。
Figure 0006468570
.............(式78)
この変換公式を、次の(式79)へ適用していく。
Figure 0006468570
...........(式79)
さらに、次の(式80)に示す変数を導入する。
Figure 0006468570
..............(式80)
上の(式79)は、次の(式81)のようになる。
Figure 0006468570
..............(式81)
さらに、スペクトラム領域で次の(式82)に示す変数変換(逆変換)を行う。
なお、以下の(式82)および(式83)で使用する変数ξ、η、ζは、図7および(式36)等で使用したP点の座標(ξ,η,ζ)ではなく、変数変換のために新たに用いた変数である。
Figure 0006468570
..............(式82)
この逆変換は、次の(式83)で与えられる。
Figure 0006468570
..............(式83)
角度θにおける再構成関数は、次の(式84)のようになる。
Figure 0006468570
..............(式84)
ここで、被積分項に現れる関数は次の(式85)のようになる。
Figure 0006468570
..............(式85)
ここで、k、ky1、ky2、kは(式30)、(式33)のようにξ、η、ζ、kyoの関数であるから、フーリエ変換だけを用いて、角度θの局所座標におけるデータを全体座標へ変換できる。全体座標へ変換するには次の(式86)を用いる。つまり、最後に角度θで積分して、映像化関数が得られる。
Figure 0006468570
.............(式86)
この映像化関数により、物体の内部情報に関する画像を再構成する。したがって、物体内部の欠陥等、物体の内部情報に関する画像を汎用的かつ高速に映像化することができる。また、画像を再構成するステップにおいて、関数φの設定は、3次元空間を対象に行われるので、曲率の大きい曲面を有する対象物の内部情報をより精度よく高速に映像化することができる。
以上、本実施の形態に係る散乱トモグラフィ方法は、曲面上に任意にセンサ素子を配置した解析モデルにおいて逆問題用の偏微分方程式を設定し、これを解くことで、映像化関数を得ている。これにより、物体に放射した波動の散乱波を解析する散乱トモグラフィ方法において、曲率の大きい曲面を有する対象物の内部情報を、汎用的かつ高速に映像化することができる。
特に、本実施の形態では、マルチパスアレイレーダのセンサ部が曲線状の一次元センサアレイである場合の散乱トモグラフィ方法における映像化関数を導出している。したがって、この映像化関数により、実施の形態1に示した、マルチパスアレイレーダのセンサ部が一次元センサアレイである場合よりもより広い回転対称面で計測し、再構成画像を得ることができる。
(実施の形態3)
次に、本発明の実施の形態3について説明する。本実施の形態では、実施の形態1および2に示したマルチパスアレイレーダ20におけるセンサ部30として、超広帯域用アンテナを使用したアンテナシステム100を用いた散乱トモグラフィ装置の一例として、マンモグラフィ装置について説明する。
一般に、広帯域アンテナにおいては、誘電体基板の表裏面に形成された導体パターンによりアンテナが構成されている。詳細には、誘電体基板の表面には、銅箔の導体パターンによる一対のアンテナ素子が、対称に配置されている。これらの一対のアンテナ素子は、誘電体基板に配置された積層バラン等のバランを介して、同軸線路に接続されている。
ここで、バランとは、平衡−不平衡変換器のことであり、平衡と不平衡の状態にある電気信号を変換するための素子である。例えば、ダイポールアンテナなど完全に平衡(電気的に対称)な状態にあるアンテナを、不平衡な状態にある同軸ケーブルに接続するために用いられる。
5GHz以下の周波数帯域で使用されるバランは、通常、コイル型トランスを用いて構成される。しかし、より高い周波数帯域、例えば10GHz以上の高周波帯域に対応するコイル型トランスを製作することは、コイルの巻数や大きさ等の点から困難であるため、高周波帯域に対応するバランを実現することは難しい。そのため、バランを用いてUWB(ウルトラワイドバンド)等の広帯域に対応するアンテナを実現することは難しい。
以下に説明するアンテナシステム100は、バランを用いることなくアンテナ素子に信号を伝送することができるので、UWB等の広帯域に対応するアンテナを実現することができる。したがって、超広帯域の周波数を利用して、高速で、かつ、周波数帯域がコイルの巻数および大きさによって制限されない精度のよいマンモグラフィ装置を実現することができる。
はじめに、本実施の形態に係るアンテナシステム100の構成について説明する。上述したマンモグラフィ装置は、生体の乳房を被検査体とし、当該被検査体に高周波であるマイクロ波信号を送信し、反射した散乱波データを受信する。
図8は、アンテナシステム100の構成を示す概略図である。
図8に示すように、本実施の形態に係るアンテナシステム100は、ケース33に収容された被検査体にマイクロ波等の波動を送信するアレイアンテナ37と、符号発生器31aと、受信回路32aと、制御装置136と、アンテナ回転信号生成器138と、画像再構成部40と、画像表示部50とを備えている。
アレイアンテナ37は、図8に示すように、送信アンテナ素子36aと受信アンテナ素子36bとをそれぞれ複数個備えている。送信アンテナ素子36aと受信アンテナ素子36bとは、一直線状に交互に配置されている。なお、送信アンテナ素子36aと受信アンテナ素子36bとは一直線状に交互に配置される構成に限らず、送信アンテナ素子36aのみが一直線状に配置された送信用アレイアンテナと受信アンテナ素子36bのみが一直線状に配置された受信用アレイアンテナとを並列に配置した構成であってもよい。
また、図8に示すように、アレイアンテナ37は、例えば被検査体である乳房が内部に収容される、略円錐状の形状を有するケース33に対して、ケース33の略円錐状の母線に沿って配置される。アレイアンテナ37は、ケース33の略円錐状の頂点を中心に、ケース33のまわりを回転する。このとき、定められた回転角ごとに、アレイアンテナ37を構成する送信アンテナ素子36aから、ケース33へ収容された被検査体へ波動が送信される。
また、受信アンテナ素子36bは、後に説明するケース33の内部に収容された被検査体の生体情報に対応した散乱波データとなる受信信号を受信する。受信アンテナ素子36bは、例えば、マルチスタティック散乱データと呼ばれる散乱波データを得る。
また、送信アンテナ素子36aは、同軸ケーブル130aを介して、符号発生器31aに接続されている。受信アンテナ素子36bは、同軸ケーブル130bを介して、受信回路32aに接続されている。
符号発生器31aは、Nチャンネルの符号発生器であり、FPGA(Field−Programmable Gate Array)で構成される。符号発生器31aは、後に詳述する制御装置136から送信アンテナ素子36aへ、符号化された送信信号(RF信号)を送信する。送信アンテナ素子36aへ入力される信号(RF信号)は、デジタル符号化系列である。FPGAで構成される符号発生器31aの内蔵スイッチにより、複数の送信アンテナ素子36aが1つずつ(1チャンネルずつ)順に選択され、送信信号が送信される。なお、符号発生器31aは、実施の形態1に示した送信部31に含まれる。送信部31は、符号発生器31aのみ備えてもよいし、符号発生器31aと共に他の構成を備えてもよい。
受信回路32aは、Nチャンネルの受信回路である。受信回路32aは、アレイアンテナ37の定められた回転角ごとに、アレイアンテナ37を構成する受信アンテナ素子36bからマルチスタティック散乱データと呼ばれる散乱波データとなる波動信号を得る。なお、受信回路32aは、実施の形態1に示した受信部32に含まれる。
なお、符号発生器31aおよび受信回路32aは、それぞれ、本発明における信号生成部および受信部に相当する。
制御装置136は、符号発生器31aに送信する送信信号の制御、および、受信回路32aで受信された受信信号の、散乱波データへの変換を行う。制御装置136は、例えばコンピュータで構成される。なお、制御装置136は、コンピュータ以外の計算機、A/D変換器、メモリ等を備えていてもよい。
アンテナ回転信号生成器138は、アレイアンテナ37を定められた回転角ごとに回転するためのアンテナ回転信号を生成する。アンテナ回転信号生成器138は、生成したアンテナ回路信号を制御装置136に伝送する。制御装置136は、アレイアンテナ37にアンテナ回転信号を与える。これにより、アレイアンテナ37は、ケース33の周囲を回転する。
画像再構成部40は、散乱トモグラフィという演算方法を行うための回路である。散乱トモグラフィとは、いわゆる逆方向問題を利用して、波動を物体に照射したときの散乱波を観測し解析して物体内部の情報を映像化するという方法(散乱トモグラフィ)である。画像再構成部40は、制御装置136から送信された散乱波データから、ケース33に収容された被検査体の内部情報を映像化するための映像化信号を生成する。
生体等のフレキシブルな形状の物体内部の情報を映像化するには、例えば、物体の曲面形状等の条件が変わるたびに、理論や装置内部の構造等を変えてデータを再取得したり、取得したデータを補正したりする必要がある。そのため、逆方向問題を利用して物体内部の情報を映像化する方法は、汎用的な使用が難しいが、散乱トモグラフィは、汎用的に使用できる方法である。画像再構成部40は、本発明における画像再構成部に相当する。
画像表示部50は、モニタ画面であり、画像再構成部40で演算されたデータを、映像として出力するものである。
図9は、送信用アレイアンテナの構成を示す概略図である。
図9に示すように、送信用アレイアンテナは、複数の送信アンテナ素子36aが一直線状に配置された構成である。各送信アンテナ素子36aは、それぞれ、差動アンプ150と、同軸ケーブル152aおよび152bと、アンテナ素子154aおよび154bと、抵抗56(図11参照)とを備えている。各送信アンテナ素子36aにおいて、差動アンプ150の一の入力端子には、同軸ケーブル130aが共通に接続されている。
これにより、符号発生器31aで生成された符号が、同軸ケーブル130aを介して、各送信アンテナ素子36aに順に伝送される。したがって、各送信アンテナ素子36aは、順に、アンテナ素子154aおよび154bから信号を送信する。
図10は、受信用アレイアンテナの構成を示す概略図である。
図10に示すように、受信用アレイアンテナは、複数の受信アンテナ素子36bが一直線状に配置された構成である。各受信アンテナ素子36bは、それぞれ、差動アンプ160と、ミキサ161と、同軸ケーブル162aおよび162bと、アンテナ素子164aおよび164bと、抵抗166(図13参照)とを備えている。各受信アンテナ素子36bにおいて、差動アンプ160の出力端子には、ミキサ161を介して同軸ケーブル130bが共通に接続されている。
これにより、アンテナ素子164aおよび164bで受信された信号が、同軸ケーブル130bを介して、受信回路32aに順に伝送される。これにより、各受信アンテナ素子36bは、順に、受信回路32aにより受信信号を検波する。
次に、送信アンテナ素子36aの構成について、より詳細に説明する。
図11は、送信アンテナ素子36aの構成を示す概略図である。
図11に示すように、送信アンテナ素子36aは、上記したように、差動アンプ150と、同軸ケーブル152aおよび152bと、アンテナ素子154aおよび154bと、抵抗56(図11参照)とを備えている。
差動アンプ150は、複数の半導体素子、例えば、複数のトランジスタで構成される完全差動型アンプである。完全差動型アンプとは、入力端子2つと出力端子2つの計4つの端子を有することにより、入出力のいずれにおいても差動動作するアンプである。送信アンテナ素子36aにおいて、差動アンプ150の一の入力端子は、同軸ケーブル130aに接続されている。差動アンプ150の他の入力端子は、接地されている。
また、差動アンプ150の一の出力端子は、同軸ケーブル152aの内部導体(芯線)に接続され、他の出力端子は、同軸ケーブル152bの内部導体(芯線)に接続されている。同軸ケーブル152aの内部導体は、アンテナ素子154aに接続され、同軸ケーブル152bの内部導体はアンテナ素子154bに接続されている。また、同軸ケーブル152aおよび152bの外部導体は、いずれも接地されている。
また、アンテナ素子154aおよび154bは、例えば、ボウタイアンテナを構成するものである。アンテナ素子154aおよび154bには、それぞれ、抵抗156が設けられている。抵抗156は、アンテナ素子154aおよび154bの終端抵抗である。抵抗156の一端は、アンテナ素子154aおよび154bに接続され、抵抗156の他端は接地されている。
この送信アンテナ素子36aにおいて、同軸ケーブル130aのような不平衡伝送路を通して差動アンプ150に波動信号が入ってくるとする。この信号は、完全差動増幅器である差動アンプ150の1つの入力端子へ入力される。なお、差動アンプ150の他の入力端子は接地している。このとき、この差動アンプ150の2つの出力端子からは、それぞれ互いに180度位相の異なる信号が増幅されて、差動アンプ150から出力される。差動アンプ150から出力された信号は、同軸ケーブル152aおよび152bを介して、アンテナ素子154aおよび154bから出力される。
なお、差動アンプ150は、本実施の形態における第1のアクティブ型平衡回路に相当する。アンテナ素子154aおよび154bは、それぞれ本実施の形態における第1のアンテナ素子および第2のアンテナ素子に相当する。抵抗156は、本発明における第1の抵抗素子に相当する。送信アンテナ素子36aは、本発明における第1の広帯域用アンテナに相当する。
また、同軸ケーブル152aおよび152bは、必ずしも必要ではなく、同軸ケーブル152aおよび152bの代わりに、他の種類のケーブルを用いてもよい。この場合、他の種類のケーブルは、直接アンテナ素子154aおよび154bへ接続されてもよい。
次に、上記した送信アンテナ素子36aをUWB用の送信アンテナとして用いるための構成について説明する。上記した送信アンテナ素子36aをUWB用の送信アンテナとして用いるには、例えば、アンテナ素子の終端抵抗、電波吸収体、導体カバー等、UWBに適した構成とする必要がある。よって、以下、実用的なUWB用の送信アンテナの構成について説明する。
図12は、送信用UWBアンテナの構成を示す概略図である。
図12に示すように、送信用UWBアンテナは、基板153上に、図11に示したアンテナ素子154aおよび154bと、抵抗56とが形成されている
アンテナ素子154aおよび154bは、入力端子が互いに向かい合うように形成されている。アンテナ素子154aの出力端子側の端からアンテナ素子154bの出力端子側の端までの距離は、1/2波長程度である。
また、抵抗56は、基板153のアースに接続されている。アンテナ素子154aおよび154bの終端抵抗である抵抗56の抵抗値は、一例として100〜200Ωである。
また、アンテナ素子154aおよび154bが形成された基板153の上には、アンテナ素子154aおよびアンテナ素子154bのそれぞれを覆うように、電波吸収体157が配置されている。電波吸収体157は、例えば、フェライトで構成されている。
さらに、アンテナ素子154aを覆う電波吸収体157とアンテナ素子154bを覆う電波吸収体157との間には、基板153に対して垂直に基板155が設けられている。基板155には、差動アンプ150が形成されている。
差動アンプ150の2つの出力端子は、それぞれアンテナ素子154aおよび154bの入力端子に接続されている。また、差動アンプ150の入力端子は、同軸ケーブル159に接続されている。
さらに、基板153、基板153の上に構成されたアンテナ素子154aおよび154b、基板155、差動アンプ150および電波吸収体157を覆うように、金属ケース158が配置されている。基板153と基板155とは、金属ケース158と接続されるため、接地される構成となっている。この構成により、外部からのノイズの影響を低減しつつ、UWB用の送信アンテナを実現することができる。
次に、受信アンテナ素子36bについて、より詳細に説明する。
図13は、受信アンテナ素子36bの構成を示す概略図である。
図13に示すように、受信アンテナ素子36bは、差動アンプ160と、ミキサ161と、同軸ケーブル162aおよび162bと、アンテナ素子164aおよび164bと、抵抗166(図13参照)とを備えている。
差動アンプ160は、複数の半導体素子で構成される差動アンプである。差動アンプ160は、入力端子2つと出力端子1つの端子を有する。受信アンテナ素子36bにおいて、差動アンプ160の出力端子は、ミキサ161を介して同軸ケーブル130bに接続されている。
また、差動アンプ160の一の入力端子は、同軸ケーブル162aの内部導体(芯線)に接続され、他の入力端子は、同軸ケーブル162bの内部導体(芯線)に接続されている。同軸ケーブル162aの内部導体は、アンテナ素子164aに接続され、同軸ケーブル162bの内部導体はアンテナ素子164bに接続されている。
さらに、同軸ケーブル162aおよび162bの外部導体は、いずれも接地されている。さらに、アンテナ素子164aおよび164bには、それぞれ、抵抗166の一端が接続されている。また、抵抗166の他端は接地されている。
このような構成により、アンテナ素子164aおよび164bにより受信された信号は、同軸ケーブル162aおよび162bを介して、差動アンプ160の入力端子に入力される。アンテナ素子164aおよび164bにより受信された信号(RF信号)は、デジタル符号化系列であり、Nチャンネル同時に検波されるか、外部スイッチにより1つの検波回路へ誘導されて検波される。
また、差動アンプ160の出力端子には、ミキサ161が接続されている。ミキサ161は、差動アンプ160の出力に送信周波数の基準ローカル信号(LO信号)を混合して中間周波数帯(IF)に変換した、IF信号を出力する。すなわち、ミキサ161は、受信された周波数信号を周波数変換して出力する。ミキサ161では、送信用符号と同じ符号を遅延させ、遅延ビット数を制御された検波用符号がミキサ161のLO信号として用いられる。ミキサ161から出力された信号(検波された信号)は、IFフィルター及びIF増幅器(図示せず)を通して、IF信号として制御装置136のA/D変換器(図示せず)へ入力され、メモリ(図示せず)に記録される。
なお、差動アンプ160は、本実施の形態における第2のアクティブ型平衡回路に相当する。アンテナ素子164aおよび164bは、それぞれ本実施の形態における第3のアンテナ素子および第4のアンテナ素子に相当する。抵抗166は、本発明における第2の抵抗素子に相当する。受信アンテナ素子36bは、本発明における第2の広帯域用アンテナに相当する。
以上は、受信アンテナ素子36bで受信した信号と送信アンテナ素子36aから送信された送信信号の相互相関をとるプロセスである。相互相関の最終プロセスは、計算機(図示せず)で行われ、数学的にはパルス応答と同じ結果が得られる。
なお、差動アンプ150および差動アンプ160には、同一の構成の完全差動アンプを用いてもよい。この場合、送信アンテナ素子36aに用いられる差動アンプ150としては、入力端子として、当該完全差動アンプの2本の入力端子のうちの1本を使用し、他の1本を接地すればよい。また、受信アンテナ素子36bに用いられる差動アンプ160としては、出力端子として、当該完全差動アンプの2本の出力端子のうちの1本を使用し、他の1本を終端すればよい。
次に、上記した受信アンテナ素子36bをUWB用の受信アンテナとして用いるための構成について説明する。
図14は、受信用UWBアンテナの構成を示す概略図である。
受信用UWBアンテナの構成は、上記した送信用UWBアンテナの構成とほぼ同様である。図14に示すように、受信用UWBアンテナは、基板163上に、図13に示したアンテナ素子164aおよび164bと、抵抗166とが形成されている。
アンテナ素子164aおよび164bは、出力端子が互いに向かい合うように形成されている。アンテナ素子164aの入力端子側の端からアンテナ素子164bの入力端子側の端までの距離は、1/2波長程度である。
抵抗166は、基板163のアースに接続されている。アンテナ素子164aおよび164bの終端抵抗である抵抗166の抵抗値は、一例として100〜200Ωである。
また、アンテナ素子164aおよび164bが形成された基板163の上には、アンテナ素子164aおよびアンテナ素子164bのそれぞれを覆うように、電波吸収体167が配置されている。電波吸収体167は、例えば、フェライトで構成されている。
さらに、アンテナ素子164aを覆う電波吸収体167とアンテナ素子164bを覆う電波吸収体167との間には、基板163に対して垂直に基板165が設けられている。基板165には、差動アンプ160が形成されている。
差動アンプ160の2つの入力端子は、それぞれアンテナ素子164aおよび164bの出力端子に接続されている。また、差動アンプ160の出力端子は、同軸ケーブル169に接続されている。さらに、同軸ケーブル169には、ミキサ161(図示せず)が接続される。
さらに、基板163、基板163の上に構成されたアンテナ素子164aおよび164b、基板165、差動アンプ160および電波吸収体167を覆うように、金属ケース168が配置されている。基板163と基板165とは、金属ケース168と接続されるため、接地される構成となっている。この構成により、外部からのノイズの影響を低減しつつ、UWB用の受信アンテナを実現することができる。
次に、上記したアンテナシステム100をマンモグラフィ装置として用いる場合の、画像再構成部40における解析モデルについて簡単に説明する。
図15は、本実施の形態に係るケース33表面の解析モデルを示す図である。
ケース33は、上述したように、略円錐状の形状を有し、略円錐状の母線に沿って本実施の形態にかかるアレイアンテナ37が配置される。アレイアンテナ37を構成する送信アンテナ素子36aおよび受信アンテナ素子36bの大きさは、一例として、5mm〜10mm程度である。
検査時には、送信アンテナ素子36aからケース33に収容された被検査体に対してマイクロ波が送信される。マイクロ波の周波数は、一例として、0.4〜12.0GHzである。そして、ケース33に収容された被検査体で反射されたマイクロ波は、受信アンテナ素子36bで受信される。ケース33に収容された被検査体に欠陥(例えば、癌細胞など)がある場合には、対応した受信信号が得られる。この動作を、全ての送信アンテナ素子36aおよび受信アンテナ素子36bにより順に行う。さらに、アレイアンテナ37を、所定の角度回転させて同様に検査することにより、ケース33に収容された被検査体内の欠陥について、立体的な位置情報を得ることができる。
なお、マンモグラフィの空間分解能は、送信アンテナ素子36aおよび受信アンテナ素子36bの大きさを、上記した5mm〜10mm程度とし、マイクロ波を10GHzとした場合、1.97mm程度である。したがって、本実施の形態にかかるアンテナシステムをマンモグラフィ装置として使用すると、高速かつ高分解能な検査を行うことができる。
以上、上述したアンテナシステム100によると、超広帯域用アンテナにおいて、コイル型トランスで構成されるバランを用いることがないので、送受信信号の周波数帯域がコイルの巻数および大きさによって制限されることがない。また、バランの代替として、半導体素子で構成され、2つの入力端子と2つの出力端子とを有する完全差動型アンプを使用するので、信号の送受信を高速に行うことができる。したがって、高速で、かつ、周波数帯域がコイルの巻数および大きさによって制限されない、超広帯域用アンテナを提供することができる。本実施の形態にかかる超広帯域用アンテナによると、例えば、直流から10GHz以上の超高周波にまで対応可能である。これにより、高速で、かつ、精度のよいマンモグラフィ装置を実現することができる。
なお、本実施の形態にかかる送信アンテナ素子36aに使用した差動アンプ150は、上記したアンテナシステムおよびマンモグラフィに限らず、例えば、図8に示した符号発生器31aを構成するFPGA内に使用してもよい。
すなわち、差動アンプ150として使用した完全差動アンプをFPGAの出力端子に取り付けることにより、FPGAにおいて180度位相の異なる一対の信号を出力することができる。
例えば、1GHz以下の動作クロックで動くFPGAを基礎として、スペクトラム領域で最高12GHzの信号を生成できるデジタル符号生成器を実現しようとする場合、10bitの並列信号として符号を生成しParallel−Series変換して10倍の速度10Gbps(ギガビット/秒)の信号を生成する。このとき、出力端に完全差動増幅器を取り付けることにより、FPGAのメモリから並列で符号を読み出し、最終的にはシリアルの高速信号を生成することができる。よって、本実施の形態にかかる差動アンプ150は送信アンテナ素子36aに使用する以外にも、高速符号生成器の構成としても使用することができる。
(変形例)
次に、本発明の実施の形態の変形例について、図16Aおよび図16Bを用いて説明する。
本発明に係るアレイアンテナは、上述した配置に限らず、図16Aのような配置であってもよい。すなわち、図16Aに示すように、アレイアンテナ237において、アンテナ素子236を構成する送信アンテナ236aと受信アンテナ236bとが、母線を挟んでそれぞれライン状に配置され、かつ、送信アンテナ236aと受信アンテナ236bとが、半個分ずつずれた位置に配置されてもよい。
また、アレイアンテナは、図16Bに示すような構成であってもよい。すなわち、図16Bに示すように、アレイアンテナ337において、アンテナ素子336を構成する送信アンテナ336aと受信アンテナ336bとが、一母線上にライン状に交互に配置されてもよい。
また、送信アンテナと受信アンテナとの配置は、これに限らず、送信アンテナと受信アンテナとで構成されるアレイアンテナが一の線上に構成されるのであれば、どのような配置であってもよい。
なお、上述した演算式、および、演算式の導出手順は、一例であって、別の演算式、および、別の導出手順が用いられてもよい。
また、上述した実施の形態では、波動としてマイクロ波を用いたが、マイクロ波に限らず、他の周波数帯域の電磁波または超音波であってもよいし、広帯域または超広帯域の電磁波または超音波であってもよい。また、本実施の形態では、マイクロ波を用いているため、所定の周波数を有する周期波を用いているが、波動として周期波に限らずパルス波を用いてもよい。
また、上述した実施の形態では、対象物として生体、具体的には乳房を例に説明しているが、対象物は乳房に限らず、他の生体の構造、または、生体以外の物体構造であってもよい。例えば、円錐状のコンクリート支柱などの構造物であってもよい。
以上、本発明に係る散乱トモグラフィ方法、散乱トモグラフィ装置および散乱トモグラフィ装置に含まれるアレイアンテナシステムについて、複数の実施の形態に基づいて説明したが、本発明は実施の形態に限定されるものではない。実施の形態に対して当業者が思いつく変形を施して得られる形態、および、複数の実施の形態における構成要素を任意に組み合わせて実現される別の形態も本発明に含まれる。
例えば、散乱トモグラフィ装置において、特定の処理部が実行する処理を別の処理部が実行してもよい。例えば、散乱トモグラフィ装置に含まれるアレイアンテナシステムのみ、別の処理部が実行してもよい。また、散乱トモグラフィ方法において処理を実行する順番が変更されてもよいし、複数の処理が並行して実行されてもよい。
また、上述した実施の形態に示したアレイアンテナシステムにおいて、送信アンテナ素子と受信アンテナ素子とは一直線状に交互に配置されている構成としたが、送信アンテナ素子と受信アンテナ素子とは一直線状に交互に配置される構成に限らず、送信アンテナ素子のみが一直線状に配置された送信用アレイアンテナと受信アンテナ素子のみが一直線状に配置された受信用アレイアンテナとを並列に配置した構成であってもよい。
また、本発明の散乱トモグラフィ方法におけるステップは、コンピュータによって実行されることとしてもよい。そして、本発明は、散乱トモグラフィ方法に含まれるステップを、コンピュータに実行させるためのプログラムとして実現できる。さらに、本発明は、そのプログラムを記録したCD−ROM等の非一時的なコンピュータ読み取り可能な記録媒体として実現できる。
また、散乱トモグラフィ装置に含まれる複数の構成要素は、集積回路であるLSIとして実現されてもよい。これらの構成要素は、個別に1チップ化されてもよいし、一部または全てを含むように1チップ化されてもよい。ここでは、LSIとしたが、集積度の違いにより、IC(Integrated Circuit)、システムLSI、スーパーLSIまたはウルトラLSIと呼称されることもある。
また、集積回路化の手法はLSIに限るものではなく、専用回路または汎用プロセッサで実現してもよい。プログラムすることが可能なFPGA(Field Programmable Gate Array)、または、LSI内部の回路セルの接続および設定を再構成可能なリコンフィギュラブル・プロセッサを利用してもよい。
さらには、半導体技術の進歩または派生する別技術によりLSIに置き換わる集積回路化の技術が登場すれば、当然、その技術を用いて、散乱トモグラフィ装置に含まれる構成要素の集積回路化を行ってもよい。
本発明に係る散乱トモグラフィ方法および散乱トモグラフィ装置は、曲率の大きい対象物に対する検査に有用であり、例えば、医療装置、コンクリート内部の鉄筋腐食の検査、および、被災地における鉄筋構造物の耐震検査等に適用可能である。
20 マルチパスアレイレーダ(散乱トモグラフィ装置)
30 センサ部
31 送信部
31a 符号発生器(送信部)
32 受信部
32a 受信回路(受信部)
33 ケース
36 アンテナ素子
36a 送信アンテナ素子(送信アンテナ素子、第1の広帯域用アンテナ)
36b 受信アンテナ素子(受信アンテナ素子、第2の広帯域用アンテナ)
37 リニアアレイアンテナ
40 画像再構成部
50 画像表示部
60a、60b 円錐体
70a、70b 基準平面
80a、80b 接平面
100 アンテナシステム
130a、130b、152a、152b、159、162a、162b、169 同軸ケーブル
136 制御装置
138 アンテナ回転信号生成器
150 差動アンプ(第1のアクティブ型平衡回路)
154a アンテナ素子(第1のアンテナ素子)
154b アンテナ素子(第2のアンテナ素子)
153、155、163、165 基板
156 抵抗(第1の抵抗素子)
157、167 電波吸収体
158、168 金属ケース
160 差動アンプ(第2のアクティブ型平衡回路)
161 ミキサ
164a アンテナ素子(第3のアンテナ素子)
164b アンテナ素子(第4のアンテナ素子)
166 抵抗(第2の抵抗素子)
236a、336a 送信アンテナ素子
236b、336b 受信アンテナ素子
237、337 アレイアンテナ

Claims (15)

  1. ケース内に収容された物体に対して放射した波動の散乱波を解析する散乱トモグラフィ方法であって、
    前記ケースの側面上に、少なくとも一方向から平面視したときに前記ケースの回転対称の軸と同一方向にライン状となるように配置された複数の送信アンテナ素子から、前記波動を前記物体に放射するステップと、
    前記ケースの側面上に、少なくとも一方向から平面視したときに前記ケースの回転対称の軸と同一方向にライン状となるように配置された複数の受信アンテナ素子によって、前記散乱波を受信するステップと、
    前記受信アンテナ素子により受信した散乱波を示す散乱波データから、前記物体の内部情報に関する画像を再構成するステップとを含み、
    前記画像を再構成するステップでは、関数ρを回転角度θで積分することにより得られる関数により、前記物体の内部情報に関する画像を再構成し、
    前記関数ρは、関数φが解となる線形偏微分方程式を、前記散乱波データを用いて解くことにより得られる関数の、時間変数と空間変数の極限値であって、回転角度θの関数であり、
    回転角度θは、前記ケースにおける前記送信アンテナ素子および前記受信アンテナ素子のうち少なくともいずれかの位置での接平面を前記ケースの回転対称の軸を中心として回転させるときの回転角度であり、
    前記関数φは、
    前記ケースと同一の形状を有する3次元空間を対象として設定される関数であって、
    前記物体内の任意の2点における送信アンテナ素子および受信アンテナ素子の位置を示す独立変数によって定義され、前記送信アンテナ素子および前記受信アンテナ素子の位置を示す独立変数の数と同一の次元を持つ空間における各点において、前記散乱波が生じている場の関数である散乱トモグラフィ方法。
  2. 記関ρは、(式A)により表され、
    記関ρを回転角度θで積分することにより得られる関数は、(式B)により表される
    請求項1に記載の散乱トモグラフィ方法。
    Figure 0006468570
    Figure 0006468570
    ここで、xは前記送信アンテナ素子および前記受信アンテナ素子の位置のx座標、yは前記送信アンテナ素子の位置のy座標、yは前記受信アンテナ素子の位置のy座標、zは前記送信アンテナ素子および前記受信アンテナ素子の位置のz座標、Zは前記ケースの回転対称の軸方向の座標、Xは前記ケースの回転対称の軸方向と直交する平面における任意の一方向の座標、Yは前記ケースの回転対称の軸方向と直交する平面においてX方向と直交する方向の座標、ρは誘電率の関数である前記関数ρ、φは前記関数φ、aは係数、k、ky1、ky2、kは波数のx、y、y、z成分である。
  3. 記関ρは、(式C)により表され、
    記関ρを回転角度θで積分することにより得られる関数は、(式D)により表される
    請求項1に記載の散乱トモグラフィ方法。
    Figure 0006468570
    Figure 0006468570
    ここで、xは前記送信アンテナ素子および前記受信アンテナ素子の位置のx座標、yは前記送信アンテナ素子の位置のy座標、yは前記受信アンテナ素子の位置のy座標、zは前記送信アンテナ素子および前記受信アンテナ素子の位置のz座標、Zは前記ケースの回転対称の軸方向の座標、Xは前記ケースの回転対称の軸方向と直交する平面における任意の一方向の座標、Yは前記ケースの回転対称の軸方向と直交する平面においてX方向と直交する方向の座標、ρは誘電率の関数である前記関数ρ、φは前記関φ、aθ、s、sは係数、k、ky1、ky2、kは波数のx、y、y、z成分である。
  4. 前記ケースは、円錐状の形状を有し、
    前記複数の送信アンテナ素子および前記複数の受信アンテナ素子は、前記ケースの円錐の母線に沿って配置されている
    請求項2に記載の散乱トモグラフィ方法。
  5. 前記ケースは、曲線状の母線を有する略円錐状の形状を有し、
    前記複数の送信アンテナ素子および前記複数の受信アンテナ素子は、前記曲線状の母線に沿って配置されている
    請求項3に記載の散乱トモグラフィ方法。
  6. 前記波動は、マイクロ波である
    請求項1〜5のいずれか1項に記載の散乱トモグラフィ方法。
  7. 前記波動は、パルス波または所定の周波数を有する周期波である
    請求項1〜5のいずれか1項に記載の散乱トモグラフィ方法。
  8. ケース内に収容された物体に対して放射した波動の散乱波を解析する散乱トモグラフィ装置であって、
    前記ケースの側面上に、少なくとも一方向から平面視したときに前記ケースの回転対称の軸と同一方向にライン状となるように配置され、前記波動を前記物体に放射する複数の送信アンテナ素子と、
    前記ケースの側面上に、少なくとも一方向から平面視したときに前記ケースの回転対称の軸と同一方向にライン状となるように配置され、前記放射された波動が前記物体において散乱した散乱波を受信する複数の受信アンテナ素子と、
    前記受信した散乱波を示す散乱波データから、前記物体の内部情報に関する画像を再構成する画像再構成部とを備え、
    前記画像再構成部は、関ρを回転角度θで積分することにより得られる関数により、前記物体の内部情報に関する画像を再構成し、
    前記関数ρは、関数φが解となる線形偏微分方程式を、前記散乱波データを用いて解くことにより得られる関数の、時間変数と空間変数の極限値であって、回転角度θの関数であり、
    回転角度θは、前記ケースにおける前記送信アンテナ素子および前記受信アンテナ素子のうち少なくともいずれかの位置での接平面を前記ケースの回転対称の軸を中心として回転させるときの回転角度であり、
    前記関数φは、
    前記ケースと同一の形状を有する3次元空間を対象として設定される関数であって、
    前記物体内の任意の2点における送信アンテナ素子および受信アンテナ素子の位置を示す独立変数によって定義され、前記送信アンテナ素子および前記受信アンテナ素子の位置を示す独立変数の数と同一の次元を持つ空間における各点において、前記散乱波が生じている場の関数である散乱トモグラフィ装置。
  9. 記関ρは、(式A)により表され、
    記関ρを回転角度θで積分することにより得られる関数は、(式B)により表される
    請求項8に記載の散乱トモグラフィ装置。
    Figure 0006468570
    Figure 0006468570
    ここで、xは前記送信アンテナ素子および前記受信アンテナ素子の位置のx座標、yは前記送信アンテナ素子の位置のy座標、yは前記受信アンテナ素子の位置のy座標、zは前記送信アンテナ素子および前記受信アンテナ素子の位置のz座標、Zは前記ケースの回転対称の軸方向の座標、Xは前記ケースの回転対称の軸方向と直交する平面における任意の一方向の座標、Yは前記ケースの回転対称の軸方向と直交する平面においてX方向と直交する方向の座標、ρは誘電率の関数である前記関数ρ、φは前記関数φ、aは係数、k、ky1、ky2、kは波数のx、y、y、z成分である。
  10. 記関ρは、(式C)により表され、
    記関ρを回転角度θで積分することにより得られる関数は、(式D)により表される
    請求項8に記載の散乱トモグラフィ装置。
    Figure 0006468570
    Figure 0006468570
    ここで、xは前記送信アンテナ素子および前記受信アンテナ素子の位置のx座標、yは前記送信アンテナ素子の位置のy座標、yは前記受信アンテナ素子の位置のy座標、zは前記送信アンテナ素子および前記受信アンテナ素子の位置のz座標、Zは前記ケースの回転対称の軸方向の座標、Xは前記ケースの回転対称の軸方向と直交する平面における任意の一方向の座標、Yは前記ケースの回転対称の軸方向と直交する平面においてX方向と直交する方向の座標、ρは誘電率の関数である前記関数ρ、φは前記関φ、aθ、s、sは係数、k、ky1、ky2、kは波数のx、y、y、z成分である。
  11. 前記送信アンテナ素子は、
    2つの入力端子と2つの出力端子とを有し、半導体素子によって構成された第1のアクティブ型平衡回路と、前記2つの出力端子のうちの一方に接続された第1のアンテナ素子と、前記2つの出力端子のうちの他方に接続された第2のアンテナ素子と、前記第1のアンテナ素子および前記第2のアンテナ素子をそれぞれ接地する第1の抵抗素子とを備える第1の広帯域用アンテナで構成され、
    前記受信アンテナ素子は、
    2つの入力端子と2つの出力端子とを有し、半導体素子によって構成された第2のアクティブ型平衡回路と、前記2つの入力端子のうちの一方に接続された第3のアンテナ素子と、前記2つの入力端子のうちの他方に接続された第4のアンテナ素子と、前記第3のアンテナ素子および前記第4のアンテナ素子をそれぞれ接地する第2の抵抗素子とを備える第2の広帯域用アンテナと、
    受信された周波数信号を周波数変換するミキサとにより構成されている
    請求項8〜10のいずれか1項に記載の散乱トモグラフィ装置。
  12. 前記ケースは、円錐状の形状を有し、
    前記複数の送信アンテナ素子および前記複数の受信アンテナ素子は、前記ケースの円錐の母線に沿って配置されている
    請求項9に記載の散乱トモグラフィ装置。
  13. 前記ケースは、曲線状の母線を有する略円錐状の形状を有し、
    前記複数の送信アンテナ素子および前記複数の受信アンテナ素子は、前記曲線状の母線に沿って配置されている
    請求項10に記載の散乱トモグラフィ装置。
  14. 前記波動は、マイクロ波である
    請求項8〜13のいずれか1項に記載の散乱トモグラフィ装置。
  15. 前記波動は、パルス波または所定の周波数を有する周期波である
    請求項8〜13のいずれか1項に記載の散乱トモグラフィ装置。
JP2016507364A 2014-03-12 2015-03-11 散乱トモグラフィ方法および散乱トモグラフィ装置 Active JP6468570B2 (ja)

Applications Claiming Priority (5)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2014049551 2014-03-12
JP2014049551 2014-03-12
JP2014049536 2014-03-12
JP2014049536 2014-03-12
PCT/JP2015/001353 WO2015136936A1 (ja) 2014-03-12 2015-03-11 散乱トモグラフィ方法および散乱トモグラフィ装置

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPWO2015136936A1 JPWO2015136936A1 (ja) 2017-04-06
JP6468570B2 true JP6468570B2 (ja) 2019-02-13

Family

ID=54071393

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2016507364A Active JP6468570B2 (ja) 2014-03-12 2015-03-11 散乱トモグラフィ方法および散乱トモグラフィ装置

Country Status (11)

Country Link
US (1) US10101282B2 (ja)
EP (1) EP3117777B1 (ja)
JP (1) JP6468570B2 (ja)
KR (1) KR102264965B1 (ja)
CN (1) CN106456137B (ja)
DK (1) DK3117777T3 (ja)
ES (1) ES2796098T3 (ja)
HU (1) HUE050753T2 (ja)
PL (1) PL3117777T3 (ja)
PT (1) PT3117777T (ja)
WO (1) WO2015136936A1 (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP7092671B2 (ja) 2015-12-22 2022-06-28 サイテック インダストリーズ インコーポレイテッド 気相表面処理のための方法

Families Citing this family (12)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2017057524A1 (ja) * 2015-09-29 2017-04-06 国立大学法人神戸大学 画像化方法および画像化装置
JP6938812B2 (ja) * 2017-02-24 2021-09-22 株式会社三井E&Sマシナリー データ処理方法及び計測装置
WO2019059632A1 (ko) * 2017-09-25 2019-03-28 한국과학기술원 프리즘을 이용한 초분광 영상 재구성 방법 및 시스템
EP3531156B1 (de) * 2018-02-21 2024-03-27 Siemens Healthineers AG Einstellen einer feldverteilung einer antennenanordnung einer magnetresonanzanlage
US11300558B2 (en) * 2018-06-14 2022-04-12 Nokomis, Inc. Apparatus and system for spectroscopy and tomography of fragile biologic materials
US11287390B1 (en) * 2019-01-30 2022-03-29 Reservoir Labs, Inc. System and method for electromagnetic beamforming and imaging at low frequency
WO2021020387A1 (ja) * 2019-08-01 2021-02-04 株式会社 Integral Geometry Science 散乱トモグラフィ装置及び散乱トモグラフィ方法
EP4033228A4 (en) 2019-09-17 2023-10-18 Integral Geometry Science Inc. DIFFUSION TOMOGRAPHY DEVICE AND DIFFUSION TOMOGRAPHY METHOD
EP4136758A1 (en) * 2020-04-17 2023-02-22 Telefonaktiebolaget LM ERICSSON (PUBL) Transmitter arrangement, transceiver, radio communication system and method
KR20240019106A (ko) 2021-06-11 2024-02-14 가부시키가이샤 인테그랄 지오메트리 사이언스 영상화 장치 및 영상화 방법
JPWO2022265017A1 (ja) 2021-06-17 2022-12-22
CN114636704B (zh) * 2022-03-10 2023-05-26 电子科技大学 一种基于深度学习的太赫兹连续波三维层析成像方法

Family Cites Families (46)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
DE3531893A1 (de) * 1985-09-06 1987-03-19 Siemens Ag Verfahren zur bestimmung der verteilung der dielektrizitaetskonstanten in einem untersuchungskoerper sowie messanordnung zur durchfuehrung des verfahrens
US4917285A (en) * 1989-07-03 1990-04-17 Rockford Manufacturing Group, Inc. Dual capstan in-line wire drawing machine
US5363050A (en) * 1990-08-31 1994-11-08 Guo Wendy W Quantitative dielectric imaging system
US5859609A (en) * 1991-08-30 1999-01-12 Battelle Memorial Institute Real-time wideband cylindrical holographic surveillance system
US5588032A (en) * 1992-10-14 1996-12-24 Johnson; Steven A. Apparatus and method for imaging with wavefields using inverse scattering techniques
US6587540B1 (en) * 1992-10-14 2003-07-01 Techniscan, Inc. Apparatus and method for imaging objects with wavefields
US5715819A (en) 1994-05-26 1998-02-10 The Carolinas Heart Institute Microwave tomographic spectroscopy system and method
JP2901048B2 (ja) 1994-08-12 1999-06-02 幸雄 加川 画像信号処理方法及び装置
US5999843A (en) 1995-01-03 1999-12-07 Omnicorder Technologies, Inc. Detection of cancerous lesions by their effect on the spatial homogeneity of skin temperature
US5810010A (en) 1995-01-03 1998-09-22 Anbar; Michael Detection of cancerous lesions by their effect on the periodic modulation of perfusion in the surrounding tissues
US6035225A (en) 1995-01-03 2000-03-07 Omnicorder Technologies Detection of cancerous lesions by measuring nitric oxide concentrations in tissue
US5961466A (en) 1995-01-03 1999-10-05 Omnicorder Technologies, Inc. Method of detection of cancerous lesions by their effect on the spatial distribution of modulation of temperature and homogeneity of tissue
JPH08304538A (ja) 1995-05-12 1996-11-22 Oki Electric Ind Co Ltd 音波伝搬時間測定値の補正方法
DE69726869T2 (de) 1996-06-26 2004-10-28 The University Of Utah Research Foundation, Salt Lake City Verfahren und apparat zur bilderzeugung mittels breitbandiger elektromagnetischer holographie
US6876878B2 (en) 1996-06-26 2005-04-05 University Of Utah Research Foundation Medical broad band electromagnetic holographic imaging
US7550969B2 (en) 1997-06-26 2009-06-23 University Of Utah Research Foundation Security screening and inspection based on broadband electromagnetic holographic imaging
FR2815723B1 (fr) 2000-10-24 2004-04-30 Thomson Csf Procede systeme et sonde pour l'obtention d'images par l'intermediaire d'ondes emises par une antenne apres reflexion de ces ondes au niveau d'un ensemble servant de cible
US8116845B2 (en) 2005-08-04 2012-02-14 Dune Medical Devices Ltd. Tissue-characterization probe with effective sensor-to-tissue contact
US8721565B2 (en) 2005-08-04 2014-05-13 Dune Medical Devices Ltd. Device for forming an effective sensor-to-tissue contact
US6984210B2 (en) * 2002-12-18 2006-01-10 Barbara Ann Karmanos Cancer Institute Diagnostic analysis of ultrasound data
JP2004141447A (ja) 2002-10-25 2004-05-20 Japan Science & Technology Agency 反射透過型超音波逆散乱ct装置
EP1573495B1 (en) * 2002-11-04 2009-11-04 Spectrum Dynamics LLC Apparatus and methods for imaging and attenuation correction
JP4176613B2 (ja) 2003-10-24 2008-11-05 株式会社ワイケーシー 超広帯域アンテナ及び超広帯域高周波回路モジュール
JP2008505684A (ja) 2004-07-07 2008-02-28 リアル イメージング リミテッド 3dサーマル乳癌検出
RU2007104931A (ru) 2004-07-09 2008-08-20 Интиллектчуал Проперти Бэнк Корп. (Jp) Способ отображения биологической информации с использованием электромагнитных волн диапазона миллиметровых волн, устройство для сбора и отображения биологической информации
US20090012391A9 (en) 2004-09-10 2009-01-08 Simpkin Ray A Imaging system
WO2006028396A1 (en) 2004-09-10 2006-03-16 Industrial Research Limited Imaging system
EP1788940A4 (en) 2004-09-10 2009-09-09 Ind Res Ltd SYNTHETIC FOCUSING PROCESS
GB0502651D0 (en) 2005-02-09 2005-03-16 Univ Bristol Methods and apparatus for measuring the internal structure of an object
JP4558553B2 (ja) 2005-03-29 2010-10-06 三菱電機株式会社 高周波通信機
JP4803529B2 (ja) 2005-08-31 2011-10-26 国立大学法人 長崎大学 マイクロ波を用いたマンモグラフィの方法、およびマンモグラフィ装置
US20070093708A1 (en) 2005-10-20 2007-04-26 Benaron David A Ultra-high-specificity device and methods for the screening of in-vivo tumors
US8738124B2 (en) 2007-12-11 2014-05-27 Epi-Sci, Llc Electrical bioimpedance analysis as a biomarker of breast density and/or breast cancer risk
JP2009276319A (ja) 2008-05-19 2009-11-26 Choonpa Zairyo Shindan Kenkyusho:Kk 空気超音波診断装置
JP4839338B2 (ja) 2008-05-30 2011-12-21 株式会社日立製作所 超音波探傷装置及び方法
DE102009007255A1 (de) * 2008-06-02 2009-12-03 Rohde & Schwarz Gmbh & Co. Kg Brustkrebserkennung mit Fixierungstrichter
JP5224454B2 (ja) 2008-09-19 2013-07-03 国立大学法人広島大学 異常組織検出装置
GB0818775D0 (en) 2008-10-13 2008-11-19 Isis Innovation Investigation of physical properties of an object
US8870772B2 (en) 2008-12-29 2014-10-28 Perseus-Biomed Inc. Method and system for tissue recognition
US8882672B2 (en) 2008-12-29 2014-11-11 Perseus-Biomed Inc. Method and system for tissue imaging and analysis
US8864669B2 (en) 2008-12-29 2014-10-21 Perseus-Biomed Inc. Method and system for tissue imaging and analysis
JP5197461B2 (ja) * 2009-03-27 2013-05-15 三井造船株式会社 対象物中の誘電率算出装置及び誘電率算出方法
US8400166B2 (en) * 2009-04-29 2013-03-19 The Boeing Company Non-destructive determination of electromagnetic properties
JP5605783B2 (ja) 2009-06-10 2014-10-15 国立大学法人静岡大学 診断装置
JP5848590B2 (ja) 2011-12-02 2016-01-27 浜松ホトニクス株式会社 乳房撮像装置
EP2957925B1 (en) 2013-02-12 2016-11-23 National University Corporation Kobe University Scattering tomography method and scattering tomography device

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP7092671B2 (ja) 2015-12-22 2022-06-28 サイテック インダストリーズ インコーポレイテッド 気相表面処理のための方法

Also Published As

Publication number Publication date
EP3117777A4 (en) 2017-10-25
EP3117777A1 (en) 2017-01-18
PL3117777T3 (pl) 2020-12-14
PT3117777T (pt) 2020-06-17
US10101282B2 (en) 2018-10-16
CN106456137A (zh) 2017-02-22
KR20160132920A (ko) 2016-11-21
JPWO2015136936A1 (ja) 2017-04-06
EP3117777B1 (en) 2020-05-06
US20160377557A1 (en) 2016-12-29
WO2015136936A1 (ja) 2015-09-17
CN106456137B (zh) 2019-06-14
DK3117777T3 (da) 2020-07-20
HUE050753T2 (hu) 2021-01-28
ES2796098T3 (es) 2020-11-25
KR102264965B1 (ko) 2021-06-14

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP6468570B2 (ja) 散乱トモグラフィ方法および散乱トモグラフィ装置
WO2017057524A1 (ja) 画像化方法および画像化装置
JP6557747B2 (ja) 散乱トモグラフィ方法および散乱トモグラフィ装置
JP7464293B2 (ja) 散乱トモグラフィ装置及び散乱トモグラフィ方法
CN104473617B (zh) 生物体组织探测装置、系统及方法
Opieliński et al. Imaging results of multi-modal ultrasound computerized tomography system designed for breast diagnosis
Song et al. A two-stage rotational surface clutter suppression method for microwave breast imaging with multistatic impulse-radar detector
EP4009861A1 (en) Apparatus and process for electromagnetic imaging
EP3239706A1 (en) Apparatus and method for inspecting an object using ultrasonic waves in the field of material testing
Maffongelli et al. Design and experimental test of a microwave system for quantitative biomedical imaging
JP6651012B2 (ja) 対象体の内部構造を探査するシステムにおいてフィット状態を評価するための方法、装置、およびコンピュータ可読媒体
Zhang et al. A feasibility study of a rotary planar electrode array for electrical impedance mammography using a digital breast phantom
RU2662079C1 (ru) Способ микроволновой томографии сверхвысокого разрешения
Lasaygues et al. Circular antenna for breast ultrasonic diffraction tomography
Caorsi et al. Skin artifact removal technique for breast cancer radar detection
Amineh et al. Computational 3D Imaging of Tissues Using Single Frequency Microwave Data
Estatico et al. Feasibility assessment of a Banach-space inversion procedure for biomedical applications
CN115919360A (zh) 超音波三维全身造影系统

Legal Events

Date Code Title Description
RD02 Notification of acceptance of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7422

Effective date: 20170208

RD04 Notification of resignation of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7424

Effective date: 20170220

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A821

Effective date: 20170208

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20170829

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A821

Effective date: 20170829

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20180821

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20181016

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20181218

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20190109

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6468570

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250