JP6467576B2 - 医療用病臭吸収シート - Google Patents
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しかし、ペーストの作成の労力負担が大きく、デオドラント粉末からの着色対策が必要となる等の問題を有しており、医療現場での負担が大きく、更には患者が自宅で継続的に病臭対策を行うことは困難であるのが現状であった。
また、特許文献1のポリフェノール系の医療用病臭抑制シートによれば、一部の病臭に対して、発生量の割合を減少させることはできても、臭気として人が感知するレベル以下にはできず、また、酸臭が残存するなど消臭能力が十分ではなかった。
本発明は、患者からの体液等の色が観察しやすく、病臭の除去性能に優れた、医療用病臭吸収シートに関する。
すなわち、本発明は、以下の[1]〜[10]に関する。
[2] 前記ゼオライトの細孔径が0.5〜0.9nmである、上記[1]に記載の医療用病臭吸収シート。
[3] 前記ゼオライトが、ZSM−5型ゼオライト、及びY型ゼオライトから選ばれる少なくとも1種である、上記[1]又は[2]に記載の医療用病臭吸収シート。
[4] 前記ゼオライトのシリカ/アルミナ比が5〜900である、上記[1]〜[3]のいずれかに記載の医療用病臭吸収シート。
[5] 緩衝材層(4)を更に有する、上記[1]〜[4]のいずれかに記載の医療用病臭吸収シート。
[6] 吸水性ポリマー層(5)を更に有する、上記[1]〜[5]のいずれかに記載の医療用病臭吸収シート。
[7] 前記消臭シート(3)、前記緩衝材層(4)及び前記吸水性ポリマー層(5)を包む通気性包装材(6)を有し、前記通気性包装材(6)が、難水溶性の白色紙である、上記[1]〜[6]のいずれかに記載の医療用病臭吸収シート。
[8] 前記通気性シート(1)がメッシュ材である、上記[1]〜[7]のいずれかに記載の医療用病臭吸収シート。
[9] 前記支持シート(2)が、樹脂フィルム、又は不織布である、上記[1]〜[8]のいずれかに記載の医療用病臭吸収シート。
吸着材として白色の疎水性ゼオライトを使用することで、従来のポリフェノール系の植物抽出物の消臭成分や活性炭繊維とは異なり、目視にて体液等の色を容易に観察できるため、患者の状態を医師や看護師が把握できるようになる。更に、疎水性ゼオライトの有する特異的な細孔と吸着特性から、従来では吸着できなかった臭気にも対応できるようになる。
臭気の原因となる有機物の吸着を効率よく機能させる観点から、疎水性ゼオライトが用いられる。本発明に使用する疎水性ゼオライトは、例えば、シリカ比を高めたゼオライトや疎水化処理したゼオライトが用いられる。
シリカ比を高めたゼオライトのシリカ/アルミナ比は、好ましくは5〜1000、より好ましくは5〜900である。
疎水化処理としては、例えば、ゼオライトとテトラアルコキシシラン等のシラン化合物を接触させる方法が挙げられる。
これらのゼオライトの中でも、シリカ比を高めた疎水性ゼオライトが好ましく、より好ましくは、ZSM−5型ゼオライト、及びY型ゼオライトから選ばれる少なくとも1種である。
ゼオライトの比表面積は、特に制限されないが、好ましくは200m2/g以上、より好ましくは250m2/g以上、更に好ましくは300m2/g以上、更に好ましくは400m2/g以上である。なお、比表面積の上限は特に制限されないが、例えば、1000m2/g以下である。なお、比表面積は窒素吸着BET法(なお、細孔径0.3nm以下のゼオライトはヘリウム吸着BET法)により求められる。
疎水性ゼオライトとしては、例えば、市販品として、ユニオン昭和社製ABSCENTS−1000、ABSCENTS−2000、ABSCENTS−3000、Smellrite、HiSiv−1000、HiSiv−3000、HiSiv−6000等が挙げられる。
本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
本発明の医療用病臭吸収シートは、例えば、通気性シート(1)と、支持シート(2)と、該通気性シート(1)及び該支持シート(2)の間に設けられた、疎水性ゼオライトを含む消臭シート(3)と、を有する。医療用病臭吸収シートは、更に緩衝材層(4)と、吸水性ポリマー層(5)を有することが好ましい。製造の容易の観点から、医療用病臭吸収シートは、前記消臭シート(3)、前記緩衝材層(4)及び前記吸水性ポリマー層(5)を包む通気性包装材(6)を有することが好ましい。
通気性シート(1)の材料は、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン等のオレフィン系ポリマー、ポリエステルなどの合成樹脂が挙げられる。
通気性シート(1)の色は、好ましくは白色である。
支持シート(2)の色は、好ましくは白色である。
ゼオライトとしては、前述の疎水性ゼオライトを用いることが好ましい。消臭シート(3)へのゼオライトの添着量は、好ましくは10〜500g/m2、より好ましくは30〜300g/m2、更に好ましくは40〜100g/m2である。
消臭剤含浸不織布に用いる不織布の材料としては、特に限定されず一般的に使用されるものを用いることができるが、レーヨンやポリエステルを用いると、耐久性のあるものとなる。
吸水性ポリマーとしては、特に限定されないが、ポリアクリル酸ナトリウムを顆粒状にしたものが用いられる。例えば、アクアキープ(住友精化株式会社製)やアクアリック(株式会社日本触媒製)のものが用いられる。
消臭シート(3)の色は、好ましくは白色である。
吸水性ポリマー層(5)は、上記の吸水性ポリマーから形成される。消臭シートに吸水性ポリマーが含まれている場合、吸水性ポリマー層(5)は設けなくてもよい。
通気性包装材(6)は、例えば、難水溶性の白色紙(例えば、白色ティッシュペーパー)などの材料が用いられる。
この時の当て方としては、例えば、先ず患部にガーゼを当て、ガーゼの上から通気性シート(1)を当て、支持シート(2)の上から胸帯などで皮膚に本発明のシートを固定する。
このように本発明の医療用病臭吸収シートを患部に貼り付けると、消臭剤として疎水性ゼオライトを用いているため、臭気の原因となる多種の物質を吸着除去することができ、臭気レベルを人が感知できないレベルまで低減することができるので、優れた病臭の吸収効果を発現することができる。
ここで、病臭としては、乳がん、皮膚がん、頭頸部がんなどの細胞の壊死による臭気、及び皮膚の細菌感染による膿などから発する悪臭が挙げられる。本発明の医療用病臭吸収シートは、これらの病臭の吸収のために使用される。
したがって、本発明の医療用病臭吸収シートは、所定の密封された袋から出し、袋を密閉した後、上記方法で本発明品を患部に当て、それを固定するだけの簡単な作業となるので、看護師、患者自身、及び患者の家族の誰であっても簡単に実施出来る。
加えて本発明の医療用病臭吸収シートは、消臭剤として白色のゼオライトを使用するため、当該シートに付着した患部の体液等の色を医師や看護師が観察できる。
本発明の医療用病臭吸収シートは、消臭シート(3)及び支持シート(2)が不織布であり、通気性シート(1)がメッシュ材であることで、吸湿性が良く、柔軟性に優れているので、局所を被覆しても違和感なく使用出来るものとなる。
臭気指数は、下記の式(I)で表される指数であり、島津製作所社製、品番FF‐2020におい識別装置を用いた。
N=10log(D/T) (I)
〔式中、Nは臭気指数、D/Tは臭気濃度である。〕
におい識別装置は、複数のにおいセンサーを用い、臭いの強さや質を嗅覚に近いイメージで数値化し、測定ができる装置であり、最近では賞味期限設定のための保存試験などに用いられている。本測定結果は、臭気指数として得られる。
上記臭気指数を用いて臭気濃度を計算した。臭気濃度は、無臭になるまでの希釈倍率であり、上記式(I)中の臭気濃度であり、臭気指数を10で割り、対数を自然数に直して算出した。
本実施例では、イソ酪酸、酪酸、イソ吉草酸、吉草酸、2−メチル酪酸、4−メチルペンタン酸、及びインドールなどの成分を主成分とする0.1ppmの混合気体1を調製し、複合病臭モデルとした。
疎水性ゼオライト(ユニオン昭和株式会社製 ZSM−5型、細孔径0.6nm、比表面積400m2/g、平均粒径(d50)3.0μmとバインダーを水中に溶解させて、不織布に含浸させた。当該不織布を乾燥させて、ゼオライトの添着量が50g/m2の消臭剤含浸不織布1―3を得た。
ポリエチレンフィルム1−2、白色ティッシュペーパー製の通気性包装材1−6の中に、吸水性ポリマー(住友精化株式会社製、アクアキープ)を積層した吸水性ポリマー層1−5、粉砕パルプを積層して緩衝層1−4、上記の消臭剤含浸不織布1―3を、この順に積層し、更に、不織布からなる通気性シート1−1を積層し、本発明の医療用病臭吸収シート1を得た。
次に、20Lフレックスサンプラーバッグ(近江オドエア―サービス社製)に300cm2の本発明の医療用病臭吸収シート1を入れ、混合気体1を20L充填した。室温にて静置し、15分後と60分後にそれぞれ2Lフレックスサンプラーバッグに移し入れ、モノトラップ(ジーエルサイエンス製)に2時間捕集して、GCMS(島津製作所 GCMS−QP2010 Ultra)にて分析し、同時に官能試験も実施した。
分析条件としては、気化室のスプリット(1:10)260℃にてキャリアガスをヘリウムとし、分析カラムはInertCap Pure WAX 長さ60m、内径0.32mm(ジーエルサイエンス製)を用い、分析温度を40℃から250℃まで昇温した。
また、臭気指数の算出として、15分後と60分後にそれぞれ2Lフレックスサンプラーバッグに移し入れたものを、におい識別装置(島津製作所社製、FF‐2020S)にて絶対値表現解析ASmellスタンダードモードにて分析した。
実施例1において、医療用病臭吸収シート1の代わりにデオドラントケアシート(トライ・カンパニー社製、ポリフェノールを多く含む植物抽出物から作られた天然素材である消臭成分を含浸し乾燥させた消臭剤含浸不織布を含むシート)を用いる以外は同様にして消臭試験を実施した。
60分後の結果では、医療用病臭吸収シートは無臭レベルであったのに対し、デオドラントケアシートは臭いが残存していた。また、GCMSでは、医療用病臭吸収シートはデオドラントケアシートに比べ、化合物数、検出量がともに著しく減少し、不検出であった。
2:支持シート
3:消臭シート
4:緩衝材層
5:吸水性ポリマー層
6:通気性包装材
Claims (9)
- 消臭剤として白色の疎水性ゼオライトを含有する、医療用病臭吸収シートであって、
白色の通気性シート(1)と、白色の支持シート(2)と、該通気性シート(1)及び該支持シート(2)の間に設けられた、疎水性ゼオライトを含む白色の消臭シート(3)と、を有し、
前記消臭シート(3)が、ゼオライト及びバインダーを含浸させた不織布からなる消臭剤含浸不織布であり、
前記バインダーが、シリコン系バインダー、アクリル系バインダー、及びでんぷんのりから選ばれる少なくとも一種である、医療用病臭吸収シート。 - 前記ゼオライトの細孔径が0.5〜0.9nmである、請求項1に記載の医療用病臭吸収シート。
- 前記ゼオライトが、ZSM−5型ゼオライト、及びY型ゼオライトから選ばれる少なくとも1種である、請求項1又は2に記載の医療用病臭吸収シート。
- 前記ゼオライトのシリカ/アルミナ比が5〜900である、請求項1〜3のいずれかに記載の医療用病臭吸収シート。
- 緩衝材層(4)を更に有する、請求項1〜4のいずれかに記載の医療用病臭吸収シート。
- 吸水性ポリマー層(5)を更に有する、請求項1〜5のいずれかに記載の医療用病臭吸収シート。
- 前記消臭シート(3)、緩衝材層(4)及び吸水性ポリマー層(5)を包む通気性包装材(6)を有し、
前記通気性包装材(6)が、難水溶性の白色紙である、請求項1〜6のいずれかに記載の医療用病臭吸収シート。 - 前記通気性シート(1)がメッシュ材である、請求項1〜7のいずれかに記載の医療用病臭吸収シート。
- 前記支持シート(2)が、樹脂フィルム、又は不織布である、請求項1〜8のいずれかに記載の医療用病臭吸収シート。
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