JP6465383B2 - 翼損傷判定用装置と翼損傷判定方法 - Google Patents

翼損傷判定用装置と翼損傷判定方法 Download PDF

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本発明は、回転機械における翼の損傷を非接触で検出する翼損傷判定用装置と翼損傷判定方法に関する。
本願において、回転機械は、車両用過給機、舶用過給機、航空機用ジェットエンジン、ガスタービン、産業用圧縮機などである。このような回転機械は、回転駆動される回転体と、回転体の中心軸まわりの周方向に間隔をおいて回転体に配置された複数の翼(例えば、タービン翼またはコンプレッサ翼)とを備える。
回転機械の回転体に設けられた翼の損傷を検査する方法として、例えば、次の(1)(2)が考えられる。
(1)計測対象の翼に歪みゲージを取り付ける。回転体の回転中に歪みゲージから出力された値に基づいて、翼の振動特性を求める。求めた振動特性に基づいて、翼が損傷しているかどうかを判断する。
(2)静止させた回転体の翼に超音波発振器と超音波受信器を取り付ける。回転体が静止した状態で、超音波発振器から翼に超音波を伝播させ、この超音波の反射波を超音波受信器で受ける。受けた反射波に基づいて、翼に損傷箇所があるかどうかを判断する。
なお、下記の特許文献1には、後述する本発明の実施形態に関連する技術(翼振動の各周波数における振幅と位相を求める方法)が記載されている。
特開2002−98584号公報
しかし、上記(1)の検査方法では、損傷の検査対象となる全ての翼に、歪みゲージを取り付ける必要がある。
上記(2)の検査方法では、損傷の検査対象となる全ての翼に、超音波発振器と超音波受信器を取り付ける必要がある。
また、上記(1)(2)の検査方法では、センサ(歪みゲージや超音波発振器および超音波受信器)に対する配線のため、センサを翼に取り付けたまま、回転体を回転させるのは困難であるため、回転体を回転させた状態で翼の損傷検査に用いるデータ(センサによる計測データ)を取得するのが困難である。
さらに、翼にセンサを取り付けると、翼の振動特性が変化してしまう可能性がある。
そこで、本発明の目的は、損傷の検査対象となる翼にセンサ(例えば歪みゲージ)を取り付けることなく、回転体を回転させた状態で、翼損傷の判定に用いるデータを取得して翼の損傷有無を判定できるようにすることにある。
上述の目的を達成するため、本発明によると、回転駆動される回転体と、回転体の中心軸まわりの周方向に間隔をおいて回転体に配置された複数の翼と、を備える回転機械における翼の損傷を非接触で判定するための翼損傷判定用装置であって、
判定対象の回転体が回転している回転状態で、この回転により翼が、前記周方向において予め定めた翼検出静止位置を繰り返し通過する場合に、翼検出静止位置に来た翼を繰り返し非接触で検出する翼検出部と、
翼検出部が繰り返し翼を検出する期間において、経過時間を計測する時間計測部と、
翼検出部が繰り返し行った翼の検出と、時間計測部により計測された経過時間とに基づいて、翼検出部が翼を繰り返し検出した各時点を特定した翼検出時点データを生成する翼検出時点データ生成部と、
翼検出時点データに基づいて、判定対象となる翼について判定用の振動特性データを生成する特性データ生成部と、
判定基準となる翼について予め求めた基準の振動特性データを記憶する記憶部と、
判定用の振動特性データと基準の振動特性データとを比較することにより、判定対象の回転体における翼が損傷しているかどうかを判定する損傷判定部と、を備える、ことを特徴とする翼損傷判定用装置が提供される。
また、本発明によると、回転駆動される回転体と、回転体の中心軸まわりの周方向に間隔をおいて回転体に配置された複数の翼と、を備える回転機械における翼の損傷を非接触で判定するための翼損傷判定用装置であって、
判定対象の回転体が回転している回転状態で、この回転により翼が、前記周方向において予め定めた翼検出静止位置を繰り返し通過する場合に、翼検出静止位置に来た翼を繰り返し非接触で検出する翼検出部と、
翼検出部が繰り返し翼を検出する期間において、経過時間を計測する時間計測部と、
翼検出部が繰り返し行った翼の検出と、時間計測部により計測された経過時間とに基づいて、翼検出部が翼を繰り返し検出した各時点を特定した翼検出時点データを生成する翼検出時点データ生成部と、
翼検出時点データに基づいて、判定対象となる翼について判定用の振動特性データを生成する特性データ生成部と、
判定基準となる翼について予め求めた基準の振動特性データを記憶する記憶部と、
判定用の振動特性データと基準の振動特性データとを視覚的に比較可能な形態で提示するデータ提示部と、を備える、ことを特徴とする翼損傷判定用装置が提供される。
本発明の翼損傷判定用装置は、例えば以下のように構成される。
判定基準となる翼は、損傷が生じていない正常な翼である。
これにより、判定基準となる翼について予め求めた基準の振動特性データと、判定対象の翼について求めた判定用の振動特性データとの相違度が第1基準以上である場合には、判定対象の翼が損傷していると判定できる。
この場合、損傷判定部が設けられるときには、損傷判定部は、判定用の振動特性データと基準の振動特性データとの相違度が、第1基準以上であるかを判断し、この判断結果が肯定である場合には、翼が損傷していると判定する。
判定基準となる翼は、特定箇所で損傷している翼であってもよい。
これにより、判定基準となる翼について予め求めた基準の振動特性データと、判定対象の翼について求めた判定用の振動特性データとの相違度が第2基準以下である場合には、判定対象の翼が、前記特定箇所で損傷していると判定できる。
この場合、損傷判定部が設けられるときには、損傷判定部は、判定用の振動特性データと基準の振動特性データとの相違度が第2基準以下であるかを判断し、この判断結果が肯定である場合には、翼が特定箇所で損傷していると判定する。
翼検出時点データ生成部は、回転体に配置された全ての翼の各々について、翼検出時点データを生成し、
特性データ生成部は、前記全ての翼の各々について、判定用の振動特性データを生成する。
これにより、どの翼にもセンサを取り付けることなく、全ての翼について損傷の有無を判定できる。しかも、回転体を回転させて翼検出部による翼検出と時間計測部による時間計測とを行い、得られたこれらのデータに基づいて判定用の振動特性データを生成するという処理を一回行うだけで、全ての翼について損傷の有無を判定できる。
これに対して、センサ(歪みゲージや超音波発振器および超音波受信器)を翼に取り付けて翼の損傷を検査する上述の方法では、センサを取り付けた翼についてしか、翼の損傷を検査できない。
回転体の回転速度を検出する速度検出部を備え、
回転体の各回転速度について、翼検出部による翼の検出と、時間計測部による経過時間の計測とに基づいて、翼検出時点データ生成部は、翼検出時点データを生成し、
回転体が一回転するのに要する時間を基準回転周期とし、翼が、翼検出静止位置に来た時点から、再び同じ翼検出静止位置に来るまでの時間を翼通過周期とし、
判定用の振動特性データと基準の振動特性データとの各々は、速度検出部が検出した回転速度と、基準回転周期に対する翼通過周期の変動量ΔTOAとの関係である。
代わりに、回転体の回転速度を計測する速度検出部を備え、
回転体の各回転速度について、翼検出部による翼の検出と、時間計測部による経過時間の計測とに基づいて、翼検出時点データ生成部は、翼検出時点データを生成し、
判定用の振動特性データと基準の振動特性データとの各々は、速度検出部が検出した各回転速度における翼振動の周波数と振幅であってもよい。
また、判定用の振動特性データと基準の振動特性データとの各々は、翼振動の各周波数における振動振幅と位相の一方または両方であってもよい。
さらに、上述の目的を達成するため、本発明によると、回転駆動される回転体と、回転体の中心軸まわりの周方向に間隔をおいて回転体に配置された複数の翼と、を備える回転機械における翼の損傷を非接触で判定するための翼損傷判定方法であって、
(A)判定対象の回転体が回転している回転状態で、この回転により翼が、前記周方向において予め定めた翼検出静止位置を繰り返し通過する場合に、翼検出部により、翼検出静止位置に来た翼を繰り返し非接触で検出し、
(B)前記(A)において、翼検出部が繰り返し翼を検出する期間において、時間計測部により、経過時間を計測し、
(C)翼検出部が繰り返し行った翼の検出と、時間計測部により計測された経過時間とに基づいて、翼検出部が翼を繰り返し検出した各時点を特定した翼検出時点データを、翼検出時点データ生成部により生成し、
(D)翼検出時点データに基づいて、判定用の振動特性データを特性データ生成部により生成し、
(E)判定基準となる翼について予め求めた基準の振動特性データと、前記(D)で生成した判定用の振動特性データとを比較することにより、判定対象の回転体における翼が損傷しているかどうかを判定する、ことを特徴とする翼損傷判定方法が提供される。
上述した本発明では、判定対象の回転体が回転している回転状態で、翼検出部が、翼検出静止位置に来た翼を繰り返し検出し、時間計測部が、経過時間を計測し、このような翼の検出と計測時間とに基づいて、判定用の振動特性データを生成する。
その上で、損傷判定部が、判定用の振動特性データと基準の振動特性データとを比較して、翼の損傷の有無を判定する。
または、データ提示部が、判定用の振動特性データと基準の振動特性データとを視覚的に比較可能な形態で提示するので、人が、両データを見て、両データを比較して、翼の損傷の有無を判定できる。
このように、本発明では、回転体を回転させた状態で翼の通過を非接触で検出し、この検出に基づいて翼の損傷判定に用いる判定用の振動特性データを生成するので、翼にセンサ(例えば歪みゲージ)を取り付けることなく、回転体を回転させた状態でも翼の損傷有無を判定することが可能となる。
本発明の第1実施形態による翼損傷判定用装置が適用可能な回転機械の回転体を示す。 本発明の第1実施形態による翼損傷判定用装置の構成を示すブロック図である。 翼検出時点データ生成部が生成する翼検出時点データの具体例を示す。 回転体の回転速度とΔTOAとの関係を示す。 回転体の各回転速度における翼振動の各周波数と振幅を示すキャンベル図である。 実験により得られた翼振動の各周波数での振幅を示す。 FEM解析により得られた翼振動の各周波数での振幅を示す。 第1実施形態による翼損傷判定方法を示すフローチャートである。 第2実施形態による翼損傷判定用装置の構成を示すブロック図である。 第2実施形態による翼損傷判定方法を示すフローチャートである。
本発明の好ましい実施形態を図面に基づいて説明する。なお、各図において共通する部分には同一の符号を付し、重複した説明を省略する。
[第1実施形態]
図1(A)は、本発明の第1実施形態による翼損傷判定用装置が適用可能な回転機械の回転体1を示す。図1(B)は、図1(A)のB−B線矢視図である。
回転機械は、複数の翼3a,3b,3c,3d,3e,3fを備える。複数の翼3a〜3fは、回転体1の中心軸Cまわりの周方向(以下、単に周方向という)に間隔(好ましくは等間隔)をおいて配置されている。また、複数の翼3a〜3fは、回転体1の中心軸Cと平行な方向(以下、単に軸方向という)においては同じ位置に配置されている。
回転機械は、車両用過給機、舶用過給機、航空機用ジェットエンジン、ガスタービン、産業用圧縮機などである。回転機械がジェットエンジンまたはガスタービンである場合、翼3a〜3fは、タービン翼、ファン動翼、または、コンプレッサの動翼である。回転機械が過給機である場合、翼3a〜3fは、タービン翼またはコンプレッサ翼である。回転機械が、産業用圧縮機である場合、翼3a〜3fは、コンプレッサ翼である。なお、本発明が適用可能な回転機械は、複数の翼3a〜3fが、同じ軸方向位置にて周方向に間隔をおいて配置されている回転機械であればよく、上記のものに限定されない。
図2は、本発明の第1実施形態による翼損傷判定用装置10の構成を示すブロック図である。翼損傷判定用装置10は、図1の回転機械の回転体1に設けられた翼3a〜3fの損傷(き裂や欠けなど)の有無を非接触で判定するためのものである。
翼損傷判定用装置10は、翼検出部5a〜5d、時間計測部7、翼検出時点データ生成部9、特性データ生成部11、記憶部13、損傷判定部15、および、データ提示部17を備える。
翼検出部5a〜5dは、第1実施形態では、図1(B)と図2に示すように、複数(図1の例では、4つ)設けられる。複数の翼検出部5a〜5dは、それぞれ、予め定めた複数の翼検出静止位置P1〜P4に対応して配置される。各翼検出静止位置は、回転する翼3a〜3fが繰り返し通過する周方向の固定位置である。各翼検出部5a〜5dは、対応する翼検出静止位置に来た翼3a〜3fを検出する。すなわち、回転体1が回転している回転状態で、回転体1と一体的に回転する翼3a〜3fが翼検出静止位置P1を繰り返し通過する場合に、各翼検出部5a〜5dは、対応する翼検出静止位置P1に来た翼3a〜3fを繰り返し検出し、その旨の翼検出信号を生成して出力する。
各翼検出部5a〜5dは、例えば、複数の翼3a〜3fを囲むハウジング(図示せず)に取り付けられた光学式センサである。この場合、各翼検出部5a〜5dは、対応する翼検出静止位置に、半径方向(回転体1の半径方向。以下、同様)外側から半径方向内側へ光を照射する。この光は、対応する翼検出静止位置にある回転体1の一部分(すなわち、翼3a〜3fまたは翼でない部分)に反射される。各翼検出部5a〜5dは、対応する翼検出静止位置からの反射光を受ける。この反射光の強度は、対応する翼検出静止位置に翼3a〜3fがある時には大きくなり、対応する翼検出静止位置に翼3a〜3fがない時には小さくなる。各翼検出部5a〜5dは、受けた反射光の強度に応じて、対応する翼検出静止位置を翼3a〜3fが通過する時に生じる反射光の強度変化を示す翼検出信号を生成して出力する。各翼検出部5a〜5dからの翼検出信号は、翼検出時点データ生成部9に入力される。
なお、本発明によると、各翼検出部5a〜5dは、対応する翼検出静止位置に来た翼3a〜3fを検出できるものであれば、渦電流センサ、静電容量センサ、マイクロ波センサ、または他のセンサであってもよい。
また、本発明によると、翼検出部の数は、図1(B)に示す4つに限定されず、1つであってもよいし、他の数(複数)であってもよい。
時間計測部7は、翼検出部5a〜5dが繰り返し翼3a〜3fを検出している期間において、基準時点からの経過時間を計測する。時間計測部7が計測した経過時間は、翼検出時点データ生成部9に入力される。
翼検出時点データ生成部9は、翼検出部5a〜5dが繰り返し行った翼3a〜3fの検出と、時間計測部7により計測された経過時間とに基づいて、翼検出部5a〜5dが翼3a〜3fを検出した各時点を特定した翼検出時点データを生成する。第1実施形態では、翼検出時点データ生成部9は、各翼3a〜3fが、各翼検出静止位置を通過する時点を特定する。
特性データ生成部11は、翼検出時点データに基づいて、判定対象となる翼について判定用の振動特性データを生成する。振動特性データの具体例については、後述する。
記憶部13は、判定基準となる翼について予め求めた基準の振動特性データを記憶している。第1実施形態では、判定基準となる翼は、損傷が生じていない正常な翼である。
基準の振動特性データは、翼損傷判定用装置10により翼の損傷の有無を判定する対象となる回転機械と同じ機種の回転機械に関するものであってよい。ここで、機種が同じとは、形状や寸法や材質を含む構造が同じであることを意味する。
代わりに、基準の振動特性データは、翼損傷判定用装置10により翼の損傷の有無を判定する対象となる回転機械に関するデータであるが、翼の損傷が無い初期時点(例えば、この回転機械が製造された時点)に取得されたデータである。
基準の振動特性データは、上述した判定用の振動特性データと同じ方法で予め求められる。
損傷判定部15は、判定用の振動特性データと基準の振動特性データとを比較することにより、判定対象の回転体1における翼が損傷しているかどうかを判定する。翼に損傷が生じると、この翼の振動特性データが変化するので、判定用の振動特性データと、損傷が生じていない翼について予め求めた基準の振動特性データとの差に基づいて、翼の損傷の有無を判定できる。第1実施形態では、損傷判定部15は、判定用の振動特性データと基準の振動特性データとの相違度が第1基準以上であるかを判断し、この判断結果が肯定である場合には、判定対象の翼が損傷していると判定する。
データ提示部17は、損傷判定部15が、翼に損傷があると判定した場合、この損傷が存在する翼がいずれの翼であるかを示す損傷データを提示する。ここで、提示とは、損傷データを人が認識できるように、損傷データをディスプレイ装置の画面に表示または用紙に印刷することを意味する。
以下、翼損傷判定用装置10について、より詳しく説明する。
翼検出時点データの具体例を説明する。
翼検出時点データ生成部9は、翼検出部5a〜5d毎に、上述した翼検出時点データを生成する。説明の便宜上、以下において、1つの特定の翼検出部からの翼検出信号に基づく翼検出時点データについて説明する。ただし、他の翼検出部からの翼検出信号に基づく翼検出時点データについても以下と同様である。
図3は、翼検出時点データ生成部9が生成する翼検出時点データの具体例を示す。図3は、1つの特定の翼検出部(ここでは、翼検出部5aとする)により出力された翼検出信号と、時間計測部7により計測された経過時間との関係を示す。図3において、横軸は、経過時間を示し、縦軸は、翼検出部5aが出力した翼検出信号(電気信号)の強度を示す。
図3の例では、翼検出部5aにより出力された翼検出信号は、電気信号(電圧値または電流値)のパルスである。図3において、各パルスには、図1(B)における対応する翼の符号を付している。すなわち、図3において、各パルスは、このパルスに付された符号と同じ符号の翼が翼検出静止位置P1に来たことにより生成されたものである。図3の翼検出時点データにおいて、翼検出時点データ生成部9は、パルスが生成された時点(例えば、パルスの信号レベルが設定レベルを超えた時点)が、翼が翼検出静止位置P1を通過する時点として特定される。
次に、翼損傷判定用装置10にさらに設けられる位置基準検出部18と速度検出部19について説明する。
位置基準検出部18は、回転体1の外周面に設けられた位置基準21(例えば、キー溝)を検出する。位置基準検出部18は、予め定めた基準検出静止位置Psに対応して配置される。位置基準21は、回転体1の回転により、基準検出静止位置Psを繰り返し通過する。位置基準検出部18は、基準検出静止位置Psに来た位置基準21を検出する。この検出により、位置基準検出部18は、基準検出信号を出力する。
この基準検出信号は、次のように、翼検出信号がどの翼3a〜3fを示しているかの識別に利用できる。
翼検出時点データ生成部9は、各翼検出部5a〜5dからの翼検出信号がどの翼3a〜3fの検出を示しているかを、例えば、この翼検出信号が、位置基準検出部18からの基準検出信号の出力時点から同じ翼検出部が何番目に出力した翼検出信号であるかにより判断する。この判断は、予め求められた各翼5a〜5dと位置基準21との位置関係に基づいて行われる。
速度検出部19は、位置基準検出部18から繰り返し出力される基準検出信号に基づいて、回転体1の回転速度を検出する。例えば、速度検出部19は、単位時間(例えば1秒間)に、位置基準検出部18から基準信号が出力される回数を検出し、この回数に基づいて回転体1の回転速度を求める。ただし、他の手段により、回転体1の回転速度を検出する速度検出部19が構成されてもよい。以下において、回転体1の回転速度を、単に回転速度ともいう。
次に、判定用の振動特性データと基準の振動特性データの具体例を説明する。以下、判定用の振動特性データと基準の振動特性データを、まとめて単に振動特性データともいう。
(回転速度とΔTOAとの関係の場合)
振動特性データは、一例では、速度検出部19により検出された回転体1の回転速度と、以下のように定義されるΔTOA(Time of Arrival)との関係(以下、ΔTOAデータともいう)である。
ΔTOAは、回転体1の基準回転周期Tに対する翼通過周期TOA(図3を参照)の変動量(TOA−T)である。基準回転周期Tは、回転体1が一回転するのに要する時間である。翼通過周期TOAは、1つの特定の翼が、特定の周方向位置(例えば、1つの翼検出静止位置)に来た時点から、この翼が、再び同じ周方向位置に来るまでの時間である。
特性データ生成部11は、翼検出時点データに基づいて、各翼について、振動特性データとしてΔTOAデータを求める。
説明の便宜上、以下において、特性データ生成部11が、1つの特定の翼に関するΔTOAデータを生成する場合について説明する。
ΔTOAは、翼検出時点データに基づいて特性データ生成部11により求められる。
一方、基準回転周期Tは、位置基準検出部18から繰り返し出力される基準信号に基づいて特性データ生成部11により求められる。例えば、特性データ生成部11は、位置基準検出部18が基準信号を出力した時点から、位置基準検出部18が基準信号を再び出力した次の時点までの時間を基準回転周期Tとして特定する。
ΔTOAは、回転体1の各回転速度毎に生成される。すなわち、回転体1を回転させる速度を、回転体1を回転駆動する駆動装置により変化させる。これにより、回転体1が各速度で回転している時に、1つの特定の翼検出部が翼検出信号を繰り返し出力し、時間計測部7が経過時間を計測し、位置基準検出部18が基準信号を繰り返し出力する。回転体1の各回転速度毎に、1つの特定の翼検出部が繰り返し出力した翼検出信号と、時間計測部7が計測した時間と、位置基準検出部18が繰り返し出力した基準信号とに基づいて、翼検出時点データ生成部9は、1つの特定の翼に関する翼検出時点データを生成する。特性データ生成部11は、回転体1の各回転速度毎に生成された翼検出時点データと位置基準検出部18が繰り返し出力した基準信号とに基づいて、回転体の各回転速度毎に、1つの特定の翼に関するΔTOAを生成する。すなわち、特性データ生成部11は、回転速度とΔTOAとの関係(図4のΔTOAデータ)を生成する。
ΔTOAデータは、他の方法で求められてもよい。例えば、次のように、1つ特定の翼に関するΔTOAデータは、複数(図1(B)では4つ)の翼検出部からの翼検出信号に基づいて生成されてもよい。回転体1を回転させる速度を、回転体1を回転駆動する駆動装置により変化させる。これにより、回転体1が各速度で回転している時に、複数の翼検出部が翼検出信号を繰り返し出力し、時間計測部7が経過時間を計測し、位置基準検出部18が基準信号を繰り返し出力する。回転体1の各回転速度毎に、複数の翼検出部が繰り返し出力した翼検出信号と、時間計測部7が計測した時間と、位置基準検出部18が繰り返し出力した基準信号とに基づいて、翼検出時点データ生成部9は、翼検出部毎に、1つの特定の翼に関する翼検出時点データを生成する。特性データ生成部11は、回転体の各回転速度毎に、翼検出部毎に生成された翼検出時点データや、複数の翼検出静止位置間の既知の位置関係などに基づいて、1つの特定の翼の振動の周波数(例えば、振幅が最大となる周波数)と、この周波数での振動の振幅および位相とを適宜の公知の方法で求め、求めた振動の周波数、振幅、および位相と、速度検出部19が検出した回転体1の回転速度や、翼の構造(例えば中心軸Cから翼の半径方向先端までの距離)や、上述の基準回転周期Tなどに基づいて、1つの特定の翼に関してΔTOAデータを生成する。
図4は、1つの特定の翼のΔTOAと回転体の回転速度との関係(ΔTOAデータ)を示す。図4は、実際に得られたΔTOAデータである。図4(A)は、翼に損傷が生じていない正常な時に得られたこの翼の基準のΔTOAデータであり、図4(B)は、この翼に損傷が生じた時に得られたこの翼の判定用のΔTOAデータである。
損傷判定部15は、基準のΔTOAデータと判定用のΔTOAデータとの差に基づいて、翼3a〜3fの損傷の有無を判定する。この判定は、例えば、以下のように行われてよい。
損傷判定部15は、基準のΔTOAデータと判定用のΔTOAデータとの間で、ΔTOAの大きさが、第1設定値よりも大きくなっている回転速度が、第1設定量以上ずれているかどうかを判断する。この判断結果が肯定である場合には、損傷判定部15は、基準のΔTOAデータと判定用のΔTOAデータとの相違度が第1基準以上であるとして、翼が損傷していると判定する。この判断結果が否定である場合には、損傷判定部15は、翼が損傷していないと判定する。
図4の例では、判定用のΔTOAデータにおいて、ΔTOAの大きさが第1設定値以上となっている部分AとB(図4(A)の破線で囲んだ部分)の回転速度は、いずれも、基準のΔTOAデータにおいて、ΔTOAの大きさが第1設定値以上となっている部分C、D(図4(B)の破線で囲んだ部分)の回転速度から第1設定量以上ずれている。したがって、図4の場合には、損傷判定部15は、翼が損傷していると判定する。
上述では、便宜上、1つの翼に関するΔTOAデータについて説明した。しかし、特性データ生成部11は、他の各翼についても、上述と同様に、判定用のΔTOAデータを生成し、損傷判定部15は、上述と同様に、翼毎に、基準のΔTOAデータと判定用のΔTOAデータとの差に基づいて、この翼の損傷を検出する。
なお、ΔTOAは、1つの翼について、翼検出静止位置の数だけ生成されてよい。この場合、好ましくは、損傷判定部15の判定で用いられる基準のΔTOAデータと判定用のΔTOAデータとは、同じ翼検出部からの信号に基づいて生成されたものである。
(各回転速度における翼振動の周波数と振幅の場合)
振動特性データは、別の例では、速度検出部19が検出した各回転速度における翼振動の各周波数とこの周波数での振幅である。
この場合、翼検出時点データ生成部9は、回転体1の各回転速度について、翼検出部5a〜5dによる翼の検出と時間計測部7による経過時間の計測とに基づいて、各翼3a〜3fの翼検出時点データを取得する。
このように生成された翼検出時点データに基づいて、特性データ生成部11は、各翼3a〜3fの翼検出時点データとして、回転体1の各回転速度について各翼3a〜3fの各周波数成における翼振動の振幅を求める。ここで、各翼3a〜3fの各周波数における翼振動の振幅を求める方法は、上述の特許文献1に記載された方法、または、他の公知の方法であってよい。
以下において、説明の便宜上、特性データ生成部11が、1つの特定の翼について、速度検出部19が検出した各回転速度における翼振動の周波数と振幅を振動特性データとして求める場合について説明する。ただし、他の翼についての振動特性データも以下と同様である。
図5は、回転体1の各回転速度について、特性データ生成部11が算出した翼振動の周波数と振幅を示すキャンベル図である。図5(A)は、翼に損傷が生じていない正常な時に得られた基準の振動特性データを示し、図5(B)は、この翼に損傷が生じた時に得られた判定用の振動特性データを示す。図5(A)(B)において、横軸は、回転体1の回転速度を示し、縦軸は、翼振動の周波数を示す。また、図5(A)(B)において、各回転速度における各周波数の翼振動の振幅は、該当する座標位置に描かれた円の大きさにより表されている。図5において、縦方向の各破線で描かれた直線は、(A)(B)で同じ回転速度の位置を示している。図5(A)(B)において、縦軸の目盛の値は、相対的な値であるが、各目盛の値は、(A)(B)に共通する。
図5(A)において、振幅(すなわち、円の大きさ)が第2設定値以上となっている部分AとBの回転速度は、図5(B)において、振幅(すなわち、円の大きさ)が同じ第2設定値以上となっている部分CとDの回転速度からずれている。このようなずれから、翼が損傷していると判定できる。
(各周波数での振動振幅と位相の場合)
振動特性データは、さらに別の例では、翼振動の各周波数における翼振動の振幅と位相の一方または両方である、
この場合、回転体1が特定の回転速度で回転している時に、翼検出部5a〜5dによる翼の検出と時間計測部7による経過時間の計測が行われる。このようになされた翼検出部5a〜5dによる翼の検出と時間計測部7に基づいて、翼検出時点データ生成部9は、翼3a〜3fの翼検出時点データを取得する。
このように生成された翼検出時点データに基づいて、特性データ生成部11は、各翼3a〜3fの振動特性データとして、各翼3a〜3fの翼振動の各周波数における翼3a〜3fの振動の振幅と位相の一方または両方を求める。ここで、各翼3a〜3fの各周波数における翼の振動の振幅を求める方法は、上述の特許文献1に記載された方法、または、他の公知の方法であってよい。
以下において、説明の便宜上、特性データ生成部11が、1つの特定の翼について、翼振動の周波数と振幅を振動特性データとして求める場合について説明する。ただし、他の翼についての振動特性データも以下と同様である。
図6は、1つの翼について、特性データ生成部11が算出した翼振動の各周波数での振幅を示す。図6に示すデータは、1つの回転速度について得られたものである。
図6(A)(B)(C)において、横軸は、翼振動の周波数を示し、縦軸は、翼振動の振幅を示す。なお、図6(A)(B)(C)のデータは、上述した翼損傷判定用装置10により、実際に取得したものである。
図6(A)において、実線で示すデータは、翼に損傷が生じていない正常な時に得られたものであり、破線で示すデータは、この翼に損傷(ここでは、小さなクラック)が生じた時に得られたこの翼のデータである。
図6(A)から分かるように、小さなクラックが生じた翼について、振幅がピークとなっている部分CとD(この図の破線で囲んだ部分)の周波数は、いずれも、損傷が生じていない時の同じ翼について、ピークとなっている部分AとB(この図の破線で囲んだ部分)の周波数からずれている。
または、図6(A)から分かるように、小さなクラックが生じた翼について、翼振動の振幅が最大となる周波数での振幅(部分Cの振幅)は、損傷が生じていない時の同じ翼について、翼振動の振幅が最大となる周波数での振幅(部分Aの振幅)からずれている(大きくなっている)。
したがって、このような場合、損傷判定部15は、翼が損傷していると判定する。
図6(B)において、破線で示すデータは、図6(A)の破線で示すデータと同じであり、一点鎖線で示すデータは、破線で示すデータの場合から、上述のクラックが大きくなった時に得られた翼のデータである。
図6(B)から分かるように、クラックが大きくなった翼について、翼振動の振幅が最大となる周波数での振幅(部分Eの振幅)は、クラックが小さい時の同じ翼について、翼振動の振幅が最大となる周波数での振幅(部分Cの振幅)からずれている(小さくなっている)。
図6(C)において、一点鎖線で示すデータは、図6(B)の一点鎖線で示すデータと同じであり、二点鎖線で示すデータは、一点鎖線で示すデータの場合から、同じ翼において損傷がさらに大きくなった時(クラックの箇所が欠けた時)に得られた翼のデータである。
図6(C)から分かるように、欠けが生じた翼について、振幅がピークとなっている部分GとH(この図の破線で囲んだ部分)の周波数は、いずれも、大きなクラックが生じているが欠けが生じていない時の同じ翼について、振幅がピークとなっている部分EとF(この図の破線で囲んだ部分)の周波数からずれている。
また、図6(C)から分かるように、欠けが生じた翼について、翼振動の振幅が最大となる周波数での振幅(部分Hの振幅)は、大きなクラックが生じているが欠けが生じていない時の同じ翼について、翼振動の振幅が最大となる周波数での振幅(部分Eの振幅)からずれている(小さくなっている)。
なお、図6は、回転体1について実際に計測して得られたデータであるが、FEM(有限要素法)解析によっても、図6と同様の傾向が得られることを確認した。
図7は、1つの翼について、FEM解析によって求めた翼振動の各周波数成分を示す。図7に示すデータは、1つの回転速度について得られたものである。
図7(A)(B)(C)において、横軸は、翼振動の周波数を示し、縦軸は、翼振動の振幅を示す。
図7(A)において、実線で示すデータは、翼に損傷が生じていない正常な場合を示し、破線で示すデータは、この翼に損傷(ここでは、小さなクラック)が生じた場合を示す。
図7(B)において、破線で示すデータは、図7(A)の破線で示すデータと同じであり、一点鎖線で示すデータは、破線で示すデータの場合から、上述のクラックが大きくなった場合を示す。
図7(C)において、一点鎖線で示すデータは、図7(B)の一点鎖線で示すデータと同じであり、二点鎖線で示すデータは、一点鎖線で示すデータの場合から、上述のクラックの箇所に欠けが生じた場合を示す。
図6(A)(B)(C)と図7(A)(B)(C)から分かるように、翼に損傷(クラックや欠け)が生じると、翼振動の各周波数成分(各周波数での振幅)のうち、最大の周波数成分(最大振幅)が変化することが分かる。
また、図6(A)(B)(C)と図7(A)(B)(C)から分かるように、翼に損傷(クラックや欠け)が生じると、損傷の大きさによって、翼振動の振幅がピークとなる翼振動の周波数が変化する。言い換えると、翼振動の振幅がピークとなる翼振動の周波数が変化していることは、翼に損傷が生じたことを示している。
図8は、上述の翼損傷判定用装置10を用いた第1実施形態による翼損傷判定方法を示すフローチャートである。
ステップS1において、翼3a〜3fが損傷していない回転体1について基準の振動特性データを取得する。ステップS1は、ステップS11〜S14を有する。
ステップS11で、全ての翼3a〜3fに損傷が生じていない状態の回転体1を回転駆動する。ここで、ステップS11で回転駆動される回転体1は、好ましくは、製造された直後の回転機械の回転体1であるのがよい。
ステップS12で、回転体1が特定の回転速度で回転している時に、翼検出部5a〜5dが各翼3a〜3fを繰り返し検出し、時間計測部7が経過時間を計測し、位置基準検出部18が位置基準21を繰り返し検出する。
ステップS13で、ステップS12において翼検出部5a〜5dが繰り返し行った翼の検出と、ステップS12において時間計測部7により計測された経過時間と、ステップS12において位置基準検出部18が繰り返し行った位置基準21の検出とに基づいて、翼検出時点データ生成部9は、各翼3a〜3fについて翼検出時点データを生成する。
第1実施形態では、回転体1の回転速度を変えて、ステップS12、S13を繰り返し行うことにより、回転体1の各回転速度について翼検出時点データを生成する。この場合、回転体1の各回転速度は、速度検出部19により検出される。
ステップS14で、ステップS13において生成された翼検出時点データ(第1実施形態では、回転体1の各回転速度での翼検出時点データ)に基づいて、特性データ生成部11は、基準の振動特性データを生成する。生成された基準の振動特性データは記憶部13に記憶される。
ステップS2では、回転機械が実際に使用される。この使用が設定期間(例えば、設定月数、設定年数など)だけ行われたら、ステップS3へ進む。好ましくは、ステップS2で使用される回転機械は、ステップS1の対象となった回転機械である。
ステップS3では、ステップS2で使用された回転機械の回転体1について判定用の振動特性データを取得する。ステップS3は、ステップS31〜S34を有する。
ステップS31で、ステップS2で使用された判定対象の回転機械の回転体1を回転駆動する。
ステップS32で、回転体1が特定の回転速度で回転している時に、翼検出部5a〜5dが各翼3a〜3fを繰り返し検出し、時間計測部7が経過時間を計測し、位置基準検出部18が位置基準21を繰り返し検出する。
ステップS33で、ステップS32において翼検出部5a〜5dが繰り返し行った翼の検出と、ステップS32において時間計測部7により計測された経過時間と、ステップS32において翼検出部5a〜5dが繰り返し行った位置基準21の検出とに基づいて、翼検出時点データ生成部9は、各翼3a〜3fについて翼検出時点データを生成する。
第1実施形態では、回転体1の回転速度を変えて、ステップS32、S33を繰り返し行うことにより、回転体1の各回転速度について翼検出時点データを生成する。この場合、回転体1の各回転速度は、速度検出部19により検出される。
ステップS34で、ステップS33において生成された翼検出時点データ(第1実施形態では、回転体1の各回転速度での翼検出時点データ)に基づいて、特性データ生成部11は、判定用の振動特性データを生成する。生成された判定用の振動特性データは記憶部13に記憶されてよい。
ステップS4において、損傷判定部15は、ステップS1で生成された基準の振動特性データと、ステップS3で生成された判定用の振動特性データとの差に基づいて、翼の損傷の有無を判定する。
ステップS4は、ステップS3の対象となった回転体1の全ての翼について行われる。
ステップS4において、損傷判定部15により、いずれの翼についても、損傷があると判定されなかった場合には、ステップS2へ戻り、上述の処理を繰り返す。すなわち、戻ったステップS2では、ステップS4が行われた回転機械の各翼3a〜3fが正常であるとして、この回転機械が再び実際に使用される。この使用が上述の設定期間だけ行われたら、ステップS3へ進み、上述の処理を繰り返す。
一方、ステップS4において、損傷判定部15により、少なくともいずれかの翼に損傷があると判定された場合には、ステップS5へ進む。
ステップS5において、損傷判定部15は、翼の損傷に関する損傷データを出力する。損傷データは、回転体1において、ステップS4で損傷していると判断された翼が、いずれの翼であるかを示す。ここで、損傷データは、損傷が生じている翼を、位置基準21に対して特定するものであってよい。例えば、損傷データは、損傷が生じている翼が、位置基準21から周方向(例えば、図1(B)の時計回りの方向)に何番目に存在する翼であるかを示す。
一例では、ステップS5で、損傷判定部15は、損傷データをデータ提示部17に出力することにより、データ提示部17は、損傷データを提示する。データ提示部17がディスプレイ装置である場合には、ディスプレイ装置17は損傷データを表示する。データ提示部17がプリンタである場合には、プリンタ17は損傷データを用紙に印刷する。
なお、ステップS5において、損傷判定部15は、損傷データを出力する代わりに、単に、翼に損傷がある旨の信号を出力してもよい。この信号に反応して、適宜の通知装置が、翼に損傷がある旨を人に伝える。例えば、通知装置がディスプレイ装置である場合には、その画面に、翼に損傷がある旨を表示し、通知装置がプリンタである場合には、用紙に、翼に損傷がある旨を印刷する。
次に、振動特性データの種類とステップS4の判定方法をより詳しく説明する。すなわち、判定用の振動特性データと基準の振動特性データとの相違度が第1基準以上であるかどうかの判断の具体例を説明する。
(振動特性データがΔTOAデータである場合)
基準の振動特性データと判定用の振動特性データとが、回転速度とΔTOAとの関係(ΔTOAデータ)であってもよい。この場合には、次のように、上述のステップS4が行われる。
ステップS4において、損傷判定部15は、基準のΔTOAデータにおいてΔTOAの大きさが第1設定値以上でピークとなっている(例えば、少なくともいずれかの)回転速度(基準回転速度という)が、判定用のΔTOAデータにおいてΔTOAの大きさが同じ第1設定値以上でピークとなっているいずれの回転速度(判定用回転速度という)からも、第1設定量以上ずれているかどうかを判断する。この判断結果が肯定である場合には、損傷判定部15は、判定用のΔTOAデータと基準のΔTOAデータの相違度が第1基準以下であると判断して、翼が損傷していると判定し、この判断結果が否定である場合には、損傷判定部15は、翼が損傷していないと判定する。
ここで、第1設定値は、対象とする機種の回転機械の回転体について実験的に予め設定されてよい。例えば、対象とする機種の回転機械の回転体について、翼が損傷していない場合のΔTOAデータ、および、翼が損傷している場合のΔTOAデータを実験により求め、両ΔTOAデータを比較して、第1設定値を設定することができる。
また、第1設定量は、一例では、比較対象となる上述の基準回転速度×0.003である。この場合、基準回転速度が500rpmであれば、第1設定量は、500×0.003=1.5rpmである。したがって、判定用回転速度が、498.5rpm以下、または、501.5rpm以上であれば、翼が損傷していると判定される。
(振動特性データが各回転速度の翼振動の周波数と振幅である場合)
基準の振動特性データと判定用の振動特性データとが、各回転速度における翼振動の各周波数とこの周波数での振幅であってもよい。この場合には、次のように、上述のステップS4が行われる。
ステップS4において、損傷判定部15は、判定用の振動特性データにおいて、振幅が第2設定値以上となる周波数が存在する(例えば、少なくともいずれかの)回転速度が、基準の振動特性データにおいて、振幅がこの第2設定値以上となる周波数が存在するいずれの回転速度(基準回転速度という)からも第2設定量以上ずれているかどうかを判断する。この判断が肯定の場合には、損傷判定部15は、判定用の振動特性データと基準の振動特性データとの相違度が第1基準以下であると判断して、翼に損傷が生じていると判定する。一方、この判断が否定である場合には、損傷判定部15は、翼に損傷が生じていないと判定する。
ここで、第2設定値は、第1設定値の場合と同様に、対象とする機種の回転機械の回転体について実験的に予め設定されてよい。
また、第2設定量は、一例では、第1設定量の場合と同様に、比較対象となる上述の基準回転速度×0.003である。
(振動特性データが各周波数での振幅と位相である場合)
基準の振動特性データと判定用の振動特性データとが、各周波数における翼振動の振幅と位相の一方または両方であってもよい。ここで、基準の振動特性データと判定用の振動特性データとは、好ましくは、1つの回転速度について得られたものである。
この場合、次の(1)〜(3)のいずれかにより、ステップS4が行われてよい。
(1)損傷判定部15は、判定用の振動特性データにおいて、振幅が第3設定値以上のピークとなっている(例えば、少なくともいずれかの)周波数が、基準の振動特性データにおいて、振幅がこの第3設定値以上のピークとなっているいずれの周波数(基準周波数という)からも第3設定量以上ずれているかどうかを判断する。
ここで、第3設定値は、第1設定値の場合と同様に、対象とする機種の回転機械の回転体について実験的に予め設定されてよい。
また、第3設定量は、一例では、第1設定量の場合と同様に、比較対象となる上述の基準周波数×0.003である。
(2)損傷判定部15は、判定用の振動特性データにおいて、第4設定値以上となっている(例えば、少なくともいずれかの)振幅のピーク値(判定用ピーク値という)が、基準の振動特性データにおいて、この第4設定値以上となっているいずれの振幅のピーク値(基準ピーク値という)からも第4設定量以上ずれているかどうかを判断する。判定用ピーク値は、例えば、最大の周波数成分(最大振幅)である。
ここで、第4設定値は、第1設定値の場合と同様に、対象とする機種の回転機械の回転体について実験的に予め設定されてよい。
また、第4設定量は、一例では、比較対象となる上述の基準ピーク値の10%以上または20%以下の範囲内の値である。例えば、第4設定量が、上述の基準ピーク値の15%である場合には、判定用ピーク値と基準ピーク値との差の大きさが、基準ピーク値の15%の大きさ以上であれば、翼が損傷していると判定される。
(3)損傷判定部15は、判定用の振動特性データにおいて、振幅が第5設定値以上のピークとなっている(例えば、少なくともいずれかの)周波数での振動の位相が、基準の振動特性データにおいて、振幅がこの第5設定値以上のピークとなっているいずれの周波数での振動の位相からも第5設定量以上ずれているかどうかを判断する。
ここで、第5設定値と第5設定量は、第1設定値の場合と同様に、対象とする機種の回転機械の回転体について実験的に予め設定されてよい。
上記(1)(2)または(3)の判断結果が肯定の場合には、損傷判定部15は、判定用の振動特性データと基準の振動特性データとの相違度が第1基準以下であると判断して、翼に損傷が生じていると判定する。一方、この判断が否定である場合には、損傷判定部15は、翼に損傷が生じていないと判定する。
なお、上述の第1〜第5設定値と第1〜第5設定量は、上述でその数値や数値範囲の例が示されている場合であっても、その数値や数値範囲に限定されない。すなわち、第1〜第5設定値と第1〜第5設定量は、回転機械の機種や、回転機械の使用条件や、検出したい翼の損傷の大きさや位置などに応じて適切に設定されていればよい。この場合でも、好ましくは、対象とする機種の回転機械の回転体について、いずれの翼も損傷していない回転体の振動特性データと、検出したい位置で検出したい大きさの損傷がある翼を有する回転体の振動特性データとを実験により求め、両振動特性データを比較して、上述の第1〜第5設定値と第1〜第5設定量を設定する。ここで、検出したい翼の損傷の大きさと位置の組み合わせが複数ある場合には、これらの組み合わせの各々について、該当する位置で該当する大きさの損傷がある翼を有する回転体の振動特性データを実験により求め、これらの振動特性データと、翼に損傷が無い場合の振動特性データとを比較して、第1〜第5設定値と第1〜第5設定量を設定してもよい。
[第2実施形態]
次に、本発明の第2実施形態による翼損傷判定用装置と翼損傷判定方法について説明する。第2実施形態において、以下で説明しない点は、上述の第1実施形態と同じである。
図9は、第2実施形態による翼損傷判定用装置10の構成を示すブロック図である。
第2実施形態による翼損傷判定用装置10は、損傷判定部15が省略される。
また、第2実施形態では、データ提示部17は、特性データ生成部11により生成された判定用の振動特性データと、記憶部13に記憶されている基準の振動特性データとを視覚的に比較可能な形態で提示する。
ここで、提示とは表示または印刷を意味する。データ提示部17がディスプレイ装置である場合には、ディスプレイ装置17は、判定用の振動特性データと基準の振動特性データとを、視覚的に互いに比較可能な形態で、その画面に表示する。データ提示部17がプリンタである場合には、プリンタ17は、判定用の振動特性データと基準の振動特性データとを、視覚的に互いに比較可能な形態で用紙に印刷する。
このように提示された判定用の振動特性データと基準の振動特性データとを人が見て、人が、判定用の振動特性データと基準の振動特性データとの差に基づいて、翼が損傷しているかどうかを判定する。この判定は、第1実施形態で損傷判定部15が行った判定と同じ方法で行われてよい。
図10は、第2実施形態による翼損傷判定方法を示すフローチャートである。第2実施形態による翼損傷判定方法は、第2実施形態による翼損傷判定用装置10を用いて行われる。
第2実施形態による翼損傷判定方法において、ステップS1〜S3は、第1実施形態の場合と同じである。第2実施形態による翼損傷判定方法では、ステップS3の後、上述のステップS4を行う代わりに、ステップS6を行う。
ステップS6では、データ提示部17により、ステップS1で生成された基準の振動特性データと、ステップS3で生成された判定用の振動特性データとを視覚的に比較可能な形態で提示する。
データ提示部17がディスプレイ装置である場合には、例えば、1つのディスプレイ装置17が、基準の振動特性データと判定用の振動特性データの両方を、その同じ画面に表示する。データ提示部17がプリンタである場合には、例えば、プリンタ17が、基準の振動特性データと判定用の振動特性データの両方を1枚の用紙に印刷する。
ステップS7では、人が、ステップS6で提示された基準の振動特性データと判定用の振動特性データを見て、基準の振動特性データと判定用の振動特性データとの差に基づいて、翼に損傷が生じているかどうかを判定する。
ステップS7において、翼が損傷していないと判定された場合には、ステップS2へ戻り、上述の処理を繰り返す。すなわち、戻ったステップS2では、ステップS4が行われた回転機械の各翼が正常であるとして、回転機械が再び実際に使用される。この使用が上述の設定期間だけ行われたら、ステップS3へ進み、上述の処理を繰り返す。
一方、ステップS7において、翼が損傷していると判定された場合には、翼損傷判定方法の処理を終了する。この場合、基準の振動特性データと判定用の振動特性データに基づいて、人が、損傷が生じている翼を特定し、この翼の修理や交換などを行う。
振動特性データとその提示方法の具体例を説明する。
(振動特性データがΔTOAデータである場合)
基準の振動特性データと判定用の振動特性データとの各々は、回転速度とΔTOAとの関係(ΔTOAデータ)であってよい。
この場合、ステップS7で提示されるデータは、基準の振動特性データとしての、回転速度に対するΔTOAのグラフ(例えば、図5(A)のグラフ)と、判定用の振動特性データとしての、回転速度に対するΔTOAのグラフ(例えば、図5(B)のグラフ)とを、並べたデータであってもよいし、同じ座標軸で両グラフを表わしたデータであってもよい。ここで、同じ座標軸は、回転速度を示す軸(横軸)と、ΔTOAを示す軸(縦軸)である。
(振動特性データが各回転速度の翼振動の周波数と振幅である場合)
基準の振動特性データと判定用の振動特性データとが、各回転速度における翼振動の各周波数とこの周波数での振幅であってもよい。
この場合、ステップS6で提示されるデータは、キャンベル図であってよい。すなわち、提示されるデータは、基準の振動特性データのキャンベル図と判定用の振動特性データのキャンベル図とを並べたデータであってもよい。ここで、基準の振動特性データのキャンベル図と判定用の振動特性データのキャンベル図の各々において、横軸と縦軸の一方が回転速度を示し、横軸と縦軸の他方が翼振動の周波数を示し、横軸と縦軸による2次元座標空間内の各座標において、翼振動の振幅に応じた大きさの図形(例えば円)が描かれる。
(振動特性データが各周波数での振幅と位相である場合)
基準の振動特性データと判定用の振動特性データとが、1つの回転速度に関する翼振動の各周波数における振幅と位相の一方または両方であってもよい。
この場合、ステップS6で提示されるデータは、基準の振動特性データとしての、周波数に対する振幅と位相の一方または両方のグラフ(例えば、図6(A)の実線のグラフ)と、判定用の振動特性データとしての、周波数に対する振幅と位相の一方または両方のグラフ(例えば、図6(A)の破線のグラフ)とを、並べたデータであってもよいし、同じ座標軸で両グラフを表わしたデータであってもよい。ここで、同じ座標軸は、周波数を示す軸(横軸)と、振幅と位相の一方または両方を示す軸(縦軸)である。
[第3実施形態]
次に、本発明の第3実施形態による翼損傷判定用装置と翼損傷判定方法について説明する。第3実施形態において、以下で説明しない点は、上述の第1実施形態と同じである。
第3実施形態では、基準の翼は、特定箇所が損傷している翼である。好ましくは、翼に損傷が生じやすい特定箇所がある場合、基準の翼は、この特定箇所が損傷している翼である。
第3実施形態では、上述のステップS1は、上述のステップS3の対象となる回転機械と同じ機種の回転機械の翼(基準の翼)に対して行われる。ただし、この基準の翼における上述の特定箇所は損傷している。すなわち、上述のステップS1は、上述のステップS3の対象となる回転機械とは別の回転機械の翼(基準の翼)に対して行われる。
第3実施形態において、上述のステップS4では、損傷判定部15は、ステップS1で基準の翼について生成された基準の振動特性データと、ステップS3で判定対象の回転体1の各翼3a〜3fについて生成された判定用の振動特性データとに基づいて、翼が、上述の特定箇所で損傷しているかどうかを判定する。このステップS4では、損傷判定部15は、ステップS1で生成された基準の振動特性データと、ステップS3で生成された判定用の振動特性データとの相違度が第2基準以下であるかどうかを判断する。この判断結果が肯定である場合には、損傷判定部15は、翼が上述の特定箇所で損傷していると判定してステップS5へ進む。判定対象の回転体1における全ての翼について、この判断結果が否定である場合には、損傷判定部15は、いずれの翼3a〜3fも上述の特定箇所で損傷していないと判定し、第1実施形態と同様にステップS2へ戻り、図8のフローチャートに従って処理を繰り返す。
ステップS5において、損傷判定部15は、翼の損傷に関する損傷データを出力する。損傷データは、ステップS4において特定箇所で損傷していると判定された翼が、いずれの翼であるかを示す。ここで、損傷データは、この翼を、位置基準21に対して特定するものであってよい。
一例では、ステップS5で、損傷判定部15は、損傷データをデータ提示部17に出力ことにより、データ出力部19は、損傷データを提示する。データ出力部19がディスプレイ装置である場合には、ディスプレイ装置17は損傷データをその画面に表示する。データ出力部がプリンタ17である場合には、プリンタ17は損傷データを用紙に印刷する。
なお、ステップS5において、損傷判定部15は、損傷データを出力する代わりに、単に、翼が特定箇所で損傷している旨の信号を出力してもよい。この信号に反応して、適宜の通知装置が、翼が特定箇所で損傷している旨を人に伝える。例えば、通知装置がディスプレイ装置である場合には、翼が特定箇所で損傷している旨を、その画面に表示し、通知装置がプリンタである場合には、翼が特定箇所で損傷している旨を用紙に印刷する。
次に、振動特性データの種類とステップS4の判定方法をより詳しく説明する。すなわち、判定用の振動特性データと基準の振動特性データとの相違度が第2基準以下であるかどうかの判断の具体例を説明する。
(振動特性データがΔTOAデータである場合)
基準の振動特性データと判定用の振動特性データとが、回転速度とΔTOAとの関係(ΔTOAデータ)である場合には、次のように、上述のステップS4が行われる。
ステップS4において、損傷判定部15は、基準のΔTOAデータにおいてΔTOAの大きさが第6設定値以上でピークとなっている(例えば、少なくともいずれかの)回転速度(基準回転速度という)と、判定用のΔTOAデータにおいてΔTOAの大きさが同じ第6設定値以上でピークとなっているいずれかの回転速度との差が、第6設定量以下であるかどうかを判断する。この判断結果が肯定である場合には、損傷判定部15は、判定用のΔTOAデータと基準のΔTOAデータとの相違度が第2基準以下であると判断して、翼が特定箇所で損傷していると判定し、この判断結果が否定である場合には、損傷判定部15は、翼が特定箇所で損傷していないと判定する。
ここで、第6設定値は、対象とする機種の回転機械の回転体について実験的に予め設定されてよい。例えば、対象とする機種の回転機械の回転体について、1つまたは複数の翼が特定箇所で損傷している回転体のΔTOAデータ、および、いずれの翼も損傷していない回転体のΔTOAデータを実験により求め、両ΔTOAデータを比較して、第6設定値を設定することができる。
また、第6設定量は、一例では、第1設定量と同様に、比較対象となる上述の基準回転速度×0.003である。
(振動特性データが各回転速度の翼振動の周波数と振幅である場合)
基準の振動特性データと判定用の振動特性データとが、各回転速度における翼振動の各周波数とこの周波数での振幅であってもよい。この場合には、次のように、上述のステップS4が行われる。
ステップS4において、損傷判定部15は、判定用の振動特性データにおいて、振幅が第7設定値以上となる周波数が存在する(例えば、少なくともいずれかの)回転速度と、基準の振動特性データにおいて、振幅がこの第7設定値以上となる周波数が存在するいずれかの回転速度(基準回転速度という)との差が第7設定量以下であるかどうかを判断する。この判断結果が肯定である場合には、損傷判定部15は、判定用の振動特性データと基準の振動特性データとの相違度が第2基準以下であると判断して、翼が特定箇所で損傷していると判定し、この判断結果が否定である場合には、損傷判定部15は、翼が特定箇所で損傷していないと判定する。
ここで、第7設定値は、第6設定値の場合と同様に、対象とする機種の回転機械の回転体について実験的に予め設定されてよい。
また、第7設定量は、一例では、第6設定量の場合と同様に、比較対象となる上述の基準回転速度×0.003である。
(振動特性データが各周波数での振幅と位相である場合)
基準の振動特性データと判定用の振動特性データとが、各周波数における翼振動の振幅と位相の一方または両方であってもよい。ここで、基準の振動特性データと判定用の振動特性データとは、好ましくは、1つの回転速度について得られたものである。
この場合、次の(1)〜(3)のいずれかにより、ステップS4が行われてよい。
(1)損傷判定部15は、判定用の振動特性データにおいて、振幅が第8設定値以上のピークとなっている(例えば、少なくともいずれかの)周波数と、基準の振動特性データにおいて、振幅がこの第8設定値以上のピークとなっているいずれかの周波数(基準周波数という)との差が第8設定量以下であるかどうかを判断する。
ここで、第8設定値は、第6設定値の場合と同様に、対象とする機種の回転機械の回転体について実験的に予め設定されてよい。
また、第8設定量は、一例では、第6設定量の場合と同様に、比較対象となる上述の基準周波数×0.003である。
(2)損傷判定部15は、判定用の振動特性データにおいて、第9設定値以上となっている(例えば、少なくともいずれかの)振幅のピーク値(判定用ピーク値という)と、基準の振動特性データにおいて、この第9設定値以上となっているいずれかの振幅のピーク値(基準)との差が第9設定量以下であるかどうかを判断する。判定用ピーク値は、例えば、最大の周波数成分(最大振幅)である。
ここで、第9設定値と第9設定量は、第6設定値の場合と同様に、対象とする機種の回転機械の回転体について実験的に予め設定されてよい。
(3)損傷判定部15は、判定用の振動特性データにおいて、振幅が第10設定値以上のピーク(例えば、最大)となっている(例えば、少なくともいずれかの)周波数での振動の位相と、基準の振動特性データにおいて、振幅がこの第10設定値以上のピークとなっているいずれかの周波数での振動の位相との差が第10設定量以下であるかどうかを判断する。
ここで、第10設定値と第10設定量は、第6設定値の場合と同様に、対象とする機種の回転機械の回転体について実験的に予め設定されてよい。
上記(1)(2)または(3)の判断結果が肯定の場合には、損傷判定部15は、判定用の振動特性データと基準の振動特性データとの相違度が第2基準以下であると判断して、翼が特定箇所で損傷していると判断する。一方、この判断が否定である場合には、損傷判定部15は、翼が特定箇所で損傷していないと判定する。
なお、上述の第6〜第10設定値と第6〜第10設定量は、上述でその数値や数値範囲の例が示されている場合であっても、その数値や数値範囲に限定されない。すなわち、第6〜第10設定値と第6〜第10設定量は、回転機械の機種や、回転機械の使用条件や、検出したい上述の特定箇所での損傷の大きさなどに応じて適切に設定されていればよい。この場合でも、好ましくは、対象とする機種の回転機械の回転体について、1つまたは複数の翼が特定箇所で損傷している回転体の振動特性データ、および、いずれの翼も損傷していない回転体の振動特性データを実験により求め、両振動特性データを比較して、上述の第6〜第10設定値と第6〜第10設定量を設定する。
[第4実施形態]
次に、本発明の第4実施形態による翼損傷判定用装置と翼損傷判定方法について説明する。第4実施形態において、以下で説明しない点は、上述の第2実施形態と同じである。
第4実施形態では、基準の翼は、特定箇所が損傷している翼である。好ましくは、翼に損傷が生じやすい特定箇所がある場合、基準の翼は、この特定箇所が損傷している翼である。
第4実施形態では、上述のステップS1は、上述のステップS3の対象となる回転機械と同じ機種の回転機械の翼(基準の翼)に対して行われる。ただし、この基準の翼における上述の特定箇所は損傷している。
したがって、第4実施形態では、データ提示部17により提示された基準の振動特性データと判定用の振動特性データを人が見て、人が、判定用の振動特性データと基準の振動特性データと差に基づいて、翼が特定箇所で損傷しているかどうかを判断する。この判断は、第3実施形態で損傷判定部15が行った判断と同じ方法で行われてよい。
基準の振動特性データと判定用の振動特性データとその提示方法の具体例は、第2実施形態の場合と同じである。
[第5実施形態]
次に、本発明の第5実施形態による翼損傷判定用装置と翼損傷判定方法について説明する。第5実施形態は、第1実施形態と第3実施形態を組み合わせたものである。第5実施形態において、以下で説明しない点は、上述の第1実施形態と第3実施形態と同じである。
第5実施形態では、損傷していない正常な基準の翼に対してステップS1を行うことにより、正常な基準の翼についての基準の振動特性データを生成する。これとは別に、特定箇所で損傷している基準の翼に対してステップS1を行うことにより、特定箇所で損傷している基準の翼についての基準の振動特性データも生成する。
この場合、上述のステップS4では、次の判定1、2の両方を行う。
(判定1)
損傷判定部15は、正常な基準の翼についての基準の振動特性データと、ステップS3で生成した判定用の振動特性データとの差に基づいて、翼の損傷の有無を判定する。
(判定2)
損傷判定部15は、特定箇所で損傷している基準の翼についての基準の振動特性データと、ステップS3で生成した判定用の振動特性データとの差に基づいて、翼の損傷の有無を判定する。
損傷判定部15が、上記の判定1において、判定対象の回転体1における全ての翼について、損傷が生じていないと判定し、かつ、上記の判定2において、判定対象の回転体1における全ての翼について、特定箇所に損傷が生じていないと判定した場合には、ステップS2へ戻る。
一方、上記の判定2の結果にかかわらず、損傷判定部15が、上記の判定1において、少なくともいずれかの翼について、損傷が生じていると判定した場合には、第1実施形態に従った上述のステップS5を行う。
この場合、損傷判定部15が、上記の判定2において、少なくともいずれかの翼について、特定箇所に損傷が生じていると判定した場合には、第3実施形態に従った上述のステップS5も行う。
[第6実施形態]
次に、本発明の第6実施形態による翼損傷判定用装置と翼損傷判定方法について説明する。第6実施形態は、第2実施形態と第4実施形態を組み合わせたものである。第6実施形態において、以下で説明しない点は、上述の第2実施形態と第4実施形態と同じである。
第6実施形態では、損傷していない正常な基準の翼に対してステップS1を行うことにより、正常な基準の翼についての基準の振動特性データを生成する。これとは別に、特定箇所で損傷している基準の翼に対してステップS1を行うことにより、特定箇所で損傷している基準の翼についての基準の振動特性データも生成する。
この場合、上述のステップS6では、次のデータ提示1、2の両方を行う。
(データ提示1)
データ提示部17は、正常な基準の翼についての基準の振動特性データと、ステップS3で生成した判定用の振動特性データとを、互いに比較可能な形態で提示する。
(データ提示2)
損傷判定部15は、特定箇所で損傷している基準の翼についての基準の振動特性データと、ステップS3で生成した判定用の振動特性データとを、互いに比較可能な形態で提示する。
第6実施形態では、データ提示1に基づいて、第2実施形態に従ったステップS7を行うとともに、データ提示2に基づいて、第4実施形態に従ったステップS7を行う。
第2実施形態に従ったステップS7の判定において、判定対象の回転体1における全ての翼について、損傷が生じていないと判定され、かつ、第4実施形態に従ったステップS7の判定において、判定対象の回転体1における全ての翼について、特定箇所に損傷が生じていないと判定した場合には、ステップS2へ戻る。
上述した第1〜第6実施形態によると、以下の効果が得られる。
判定対象の回転体1が回転している回転状態で、翼検出部5a〜5dが、対応する翼検出静止位置P1〜P4に来た翼3a〜3fを繰り返し検出し、時間計測部7が、経過時間を計測し、このような翼の検出と計測時間とに基づいて、判定用の振動特性データを生成する。その上で、損傷判定部15が、判定用の振動特性データと基準の振動特性データとを比較して、翼の損傷の有無を判定する。または、データ提示部17が、判定用の振動特性データと基準の振動特性データとを視覚的に比較可能な形態で提示するので、人が、両データを見て、両データを比較して、翼の損傷の有無を判定できる。
このように、第1〜第6実施形態では、回転する翼の通過を非接触で検出し、この検出に基づいて翼の損傷判定に用いる判定用の振動特性データを生成するので、翼にセンサ(例えば歪みゲージ)を取り付けることなく、回転体1を回転させたまま翼の損傷有無を判定することが可能となる。
また、翼にセンサを取り付けることが不要になるので、回転体1の回転中に、翼に取り付けたセンサが遠心力で翼から飛散してしまうことが無い。
さらに、従来では、センサを取り付けた翼についてしか、損傷の有無を検出できなかった。これに対し、第1〜第6実施形態では、翼にセンサを取り付けることなく、翼の損傷有無を判定できる。すなわち、どの翼にもセンサを取り付けることなく、全ての翼3a〜3fについて損傷の有無を判定できる。しかも、回転体1を回転させて翼検出部5a〜5dによる翼検出と時間計測部7による時間計測とを行い、得られたこれらのデータに基づいて判定用の振動特性データを生成するという処理を一回行うだけで、全ての翼3a〜3fについて損傷の有無を判定できる。
本発明は上述した実施の形態に限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変更を加え得ることは勿論である。
1 回転体、
3a,3b,3c,3d,3e,3f 翼、5a,5b,5c,5d 翼検出部、7 時間計測部、9 翼検出時点データ生成部、10 翼損傷判定用装置、11 特性データ生成部、13 記憶部、15 損傷判定部、17 データ提示部、18 位置基準検出部、19 速度検出部、21 位置基準

Claims (10)

  1. 回転駆動される回転体と、回転体の中心軸まわりの周方向に間隔をおいて回転体に配置された複数の翼と、を備える回転機械における翼の損傷を非接触で判定するための翼損傷判定用装置であって、
    判定対象の回転体が回転している回転状態で、この回転により翼が、前記周方向において予め定めた翼検出静止位置を繰り返し通過する場合に、翼検出静止位置に来た翼を繰り返し非接触で検出する翼検出部と、
    翼検出部が繰り返し翼を検出する期間において、経過時間を計測する時間計測部と、
    翼検出部が繰り返し行った翼の検出と、時間計測部により計測された経過時間とに基づいて、翼検出部が翼を繰り返し検出した各時点を特定した翼検出時点データを生成する翼検出時点データ生成部と、
    翼検出時点データに基づいて、判定対象となる翼について判定用の振動特性データを生成する特性データ生成部と、
    判定基準となる翼について予め求めた基準の振動特性データを記憶する記憶部と、
    判定用の振動特性データと基準の振動特性データとを比較することにより、判定対象の回転体における翼が損傷しているかどうかを判定する損傷判定部と、
    回転体の回転速度を検出する速度検出部と、を備え、
    回転体の各回転速度について、翼検出部による翼の検出と、時間計測部による経過時間の計測とに基づいて、翼検出時点データ生成部は、翼検出時点データを生成し、
    回転体が一回転するのに要する時間を基準回転周期とし、翼が、翼検出静止位置に来た時点から、再び同じ翼検出静止位置に来るまでの時間を翼通過周期とし、
    判定用の振動特性データと基準の振動特性データとの各々は、速度検出部が検出した回転速度と、基準回転周期に対する翼通過周期の変動量ΔTOAとの関係である、翼損傷判定用装置。
  2. 回転駆動される回転体と、回転体の中心軸まわりの周方向に間隔をおいて回転体に配置された複数の翼と、を備える回転機械における翼の損傷を非接触で判定するための翼損傷判定用装置であって、
    判定対象の回転体が回転している回転状態で、この回転により翼が、前記周方向において予め定めた翼検出静止位置を繰り返し通過する場合に、翼検出静止位置に来た翼を繰り返し非接触で検出する翼検出部と、
    翼検出部が繰り返し翼を検出する期間において、経過時間を計測する時間計測部と、
    翼検出部が繰り返し行った翼の検出と、時間計測部により計測された経過時間とに基づいて、翼検出部が翼を繰り返し検出した各時点を特定した翼検出時点データを生成する翼検出時点データ生成部と、
    翼検出時点データに基づいて、判定対象となる翼について判定用の振動特性データを生成する特性データ生成部と、
    判定基準となる翼について予め求めた基準の振動特性データを記憶する記憶部と、
    判定用の振動特性データと基準の振動特性データとを比較することにより、判定対象の回転体における翼が損傷しているかどうかを判定する損傷判定部と、
    回転体の回転速度を計測する速度検出部を備え、
    回転体の各回転速度について、翼検出部による翼の検出と、時間計測部による経過時間の計測とに基づいて、翼検出時点データ生成部は、翼検出時点データを生成し、
    判定用の振動特性データと基準の振動特性データとの各々は、速度検出部が検出した各回転速度における翼振動の周波数と振幅である、翼損傷判定用装置。
  3. 回転駆動される回転体と、回転体の中心軸まわりの周方向に間隔をおいて回転体に配置された複数の翼と、を備える回転機械における翼の損傷を非接触で判定するための翼損傷判定用装置であって、
    判定対象の回転体が回転している回転状態で、この回転により翼が、前記周方向において予め定めた翼検出静止位置を繰り返し通過する場合に、翼検出静止位置に来た翼を繰り返し非接触で検出する翼検出部と、
    翼検出部が繰り返し翼を検出する期間において、経過時間を計測する時間計測部と、
    翼検出部が繰り返し行った翼の検出と、時間計測部により計測された経過時間とに基づいて、翼検出部が翼を繰り返し検出した各時点を特定した翼検出時点データを生成する翼検出時点データ生成部と、
    翼検出時点データに基づいて、判定対象となる翼について判定用の振動特性データを生成する特性データ生成部と、
    判定基準となる翼について予め求めた基準の振動特性データを記憶する記憶部と、
    判定用の振動特性データと基準の振動特性データとを視覚的に比較可能な形態で提示するデータ提示部と、
    回転体の回転速度を検出する速度検出部と、を備え、
    回転体の各回転速度について、翼検出部による翼の検出と、時間計測部による経過時間の計測とに基づいて、翼検出時点データ生成部は、翼検出時点データを生成し、
    回転体が一回転するのに要する時間を基準回転周期とし、翼が、翼検出静止位置に来た時点から、再び同じ翼検出静止位置に来るまでの時間を翼通過周期とし、
    判定用の振動特性データと基準の振動特性データとの各々は、速度検出部が検出した回転速度と、基準回転周期に対する翼通過周期の変動量ΔTOAとの関係である、ことを特徴とする翼損傷判定用装置。
  4. 回転駆動される回転体と、回転体の中心軸まわりの周方向に間隔をおいて回転体に配置された複数の翼と、を備える回転機械における翼の損傷を非接触で判定するための翼損傷判定用装置であって、
    判定対象の回転体が回転している回転状態で、この回転により翼が、前記周方向において予め定めた翼検出静止位置を繰り返し通過する場合に、翼検出静止位置に来た翼を繰り返し非接触で検出する翼検出部と、
    翼検出部が繰り返し翼を検出する期間において、経過時間を計測する時間計測部と、
    翼検出部が繰り返し行った翼の検出と、時間計測部により計測された経過時間とに基づいて、翼検出部が翼を繰り返し検出した各時点を特定した翼検出時点データを生成する翼検出時点データ生成部と、
    翼検出時点データに基づいて、判定対象となる翼について判定用の振動特性データを生成する特性データ生成部と、
    判定基準となる翼について予め求めた基準の振動特性データを記憶する記憶部と、
    判定用の振動特性データと基準の振動特性データとを視覚的に比較可能な形態で提示するデータ提示部と、
    回転体の回転速度を計測する速度検出部を備え、
    回転体の各回転速度について、翼検出部による翼の検出と、時間計測部による経過時間の計測とに基づいて、翼検出時点データ生成部は、翼検出時点データを生成し、
    判定用の振動特性データと基準の振動特性データとの各々は、速度検出部が検出した各回転速度における翼振動の周波数と振幅である、翼損傷判定用装置。
  5. 判定基準となる翼は、損傷が生じていない正常な翼であるか、または、特定箇所で損傷している翼である、請求項1〜4のいずれか一項に記載の翼損傷判定用装置。
  6. 判定基準となる翼は、損傷が生じていない正常な翼であり、
    損傷判定部は、判定用の振動特性データと基準の振動特性データとの相違度が、第1基準以上であるかを判断し、この判断結果が肯定である場合には、翼が損傷していると判定する、請求項1又は2に記載の翼損傷判定用装置。
  7. 判定基準となる翼は、特定箇所で損傷している翼であり、
    損傷判定部は、判定用の振動特性データと基準の振動特性データとの相違度が第2基準以下であるかを判断し、この判断結果が肯定である場合には、翼が特定箇所で損傷していると判定する、請求項1又は2に記載の翼損傷判定用装置。
  8. 翼検出時点データ生成部は、回転体に配置された全ての翼の各々について、翼検出時点データを生成し、特性データ生成部は、前記全ての翼の各々について、判定用の振動特性データを生成する、ことを特徴とする請求項1〜のいずれか一項に記載の翼損傷判定用装置。
  9. 回転駆動される回転体と、回転体の中心軸まわりの周方向に間隔をおいて回転体に配置された複数の翼と、を備える回転機械における翼の損傷を非接触で判定するための翼損傷判定方法であって、
    (A)判定対象の回転体が回転している回転状態で、この回転により翼が、前記周方向において予め定めた翼検出静止位置を繰り返し通過する場合に、翼検出部により、翼検出静止位置に来た翼を繰り返し非接触で検出し、
    (B)前記(A)において、翼検出部が繰り返し翼を検出する期間において、時間計測部により、経過時間を計測し、
    (C)翼検出部が繰り返し行った翼の検出と、時間計測部により計測された経過時間とに基づいて、翼検出部が翼を繰り返し検出した各時点を特定した翼検出時点データを、翼検出時点データ生成部により生成し、
    (D)翼検出時点データに基づいて、判定用の振動特性データを特性データ生成部により生成し、
    (E)判定基準となる翼について予め求めた基準の振動特性データと、前記(D)で生成した判定用の振動特性データとを比較することにより、判定対象の回転体における翼が損傷しているかどうかを判定し、
    判定対象の回転体の回転速度を変えて、前記(A)〜(C)を繰り返し行うことにより、前記(C)において当該回転体の各回転速度について翼検出時点データを生成し、
    回転体が一回転するのに要する時間を基準回転周期とし、翼が、翼検出静止位置に来た時点から、再び同じ翼検出静止位置に来るまでの時間を翼通過周期とし、
    判定用の振動特性データと基準の振動特性データとの各々は、前記回転速度と、基準回転周期に対する翼通過周期の変動量ΔTOAとの関係である、翼損傷判定方法。
  10. 回転駆動される回転体と、回転体の中心軸まわりの周方向に間隔をおいて回転体に配置された複数の翼と、を備える回転機械における翼の損傷を非接触で判定するための翼損傷判定方法であって、
    (A)判定対象の回転体が回転している回転状態で、この回転により翼が、前記周方向において予め定めた翼検出静止位置を繰り返し通過する場合に、翼検出部により、翼検出静止位置に来た翼を繰り返し非接触で検出し、
    (B)前記(A)において、翼検出部が繰り返し翼を検出する期間において、時間計測部により、経過時間を計測し、
    (C)翼検出部が繰り返し行った翼の検出と、時間計測部により計測された経過時間とに基づいて、翼検出部が翼を繰り返し検出した各時点を特定した翼検出時点データを、翼検出時点データ生成部により生成し、
    (D)翼検出時点データに基づいて、判定用の振動特性データを特性データ生成部により生成し、
    (E)判定基準となる翼について予め求めた基準の振動特性データと、前記(D)で生成した判定用の振動特性データとを比較することにより、判定対象の回転体における翼が損傷しているかどうかを判定し、
    判定対象の回転体の回転速度を変えて、前記(A)〜(C)を繰り返し行うことにより、前記(C)において当該回転体の各回転速度について翼検出時点データを生成し、
    判定用の振動特性データと基準の振動特性データとの各々は、各前記回転速度における翼振動の周波数と振幅である、翼損傷判定方法。
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