JP6464904B2 - 改質土の強度予測方法及び改質土の製造方法 - Google Patents

改質土の強度予測方法及び改質土の製造方法 Download PDF

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この発明は、改質土の強度予測方法及び改質土の製造方法に関し、詳しくは、カルシウム化合物を含んだ改質材を浚渫土に添加して混合し、養生して強度の改善された改質土を得る際に、得られる改質土の強度を予測する方法、及びこれを用いた改質土の製造方法に関する。
航路、泊地、河川等の浚渫により生ずる浚渫土の強度を改良して、改質土として再利用することが行われている。浚渫土は、主に水と土粒子とからなり、水と土粒子との質量比率(水/土粒子)で表される含水比が70〜250%程度と極めて高いことから、ダンプトラック等に山積みして搬送するのは困難である。そのため、これまでに浚渫土の処理が問題とされてきた。
近年では、浚渫土の強度を向上させる改質材を加えて混合し、干潟や浅場の造成工事に使用したり、海底の深堀れ窪地を処理するための埋め戻し工事に使用するなど、改質土としての利用が進みつつある。そのひとつに、改質材として製鋼スラグのほか、高炉水砕スラグや高炉スラグ微粉末を用いて改質土を得る方法が知られている(例えば特許文献1参照)。
これは、改質材に含まれる遊離石灰等(フリーライム(f-CaO):遊離CaO及びCa(OH))のカルシウム成分と、浚渫土に含まれる珪素成分やアルミニウム成分とが水和反応を起こし、カルシウムシリケート系水和物(CaO-SiO-HO系水和物:C-S-H)やカルシウムアルミネート系水和物(CaO-AlO-HO系水和物:AFm)等が形成されることによって、強度が改良されると考えられる。そして、上記特許文献1には、改質土の一軸圧縮強度とフリーライム量との間に強い相関関係があることや、改質土の強度を発現させるためには少なくとも0.5質量%のフリーライム含有率が必要であることが記載されており、改質土の強度設計をする上で、改質材に含まれるフリーライム量がひとつの指標になり得る。
ところが、フリーライム量に基づき浚渫土と改質材との配合設計を行っても、得られる改質土の一軸圧縮強度はばらついてしまう。そのため、実際には、改質土を製造する現場で事前に供試体を作製して所定の期間養生し(通常は28日程度)、一軸圧縮強度を測定しながら、このような強度試験を繰り返し行って配合設計を行わなければならない。
そこで、例えば、2種以上の試験用改質材を用意して、それぞれを蒸留水に入れて溶出するカルシウムイオン溶出量を測定し、添加対象の浚渫土に対して試験用改質材を配合して得られる各試験用改質土の一軸圧縮強度と上記カルシウムイオン溶出量との関係から相関式を求めた上で、実際に浚渫土に添加する改質材のカルシウムイオン溶出量から、得られる改質土の一軸圧縮強度を予測する方法(特許文献2参照)等が提案されている。この方法においては、フリーライム量を測定するにあたって一般に採用されているエチレングリコール法(JCAS I-01:1997)に比べて、改質材に含まれるカルシウムイオンの溶出をより正確に把握することができることから、改質土の一軸圧縮強度を予測することができる。
特開2009−121167号公報 特開2014−12930号公報
上述したように、カルシウム化合物を含んだ改質材を浚渫土に混ぜて得られる改質土は、浚渫土のシリカ分等と改質材のカルシウム分とが水和反応し、カルシウムシリケート系水和物(C-S-H)やカルシウムアルミネート系水和物(AFm)等を形成して、固化すると考えられる。そこで、コンクリートにおけるセメントと水の質量比のような強度指数を用いて、改質土の強度を整理してみると、例えば図8のようになる。すなわち、この図8は、改質材として製鋼スラグを用いた例を示すが、製鋼スラグのフリーライム量と浚渫土の水との質量比(f-CaO/水)だけでは、改質土の一軸圧縮強度を把握するのは難しいことが分かる。
製鋼スラグや高炉スラグ微粉末のような鉄鋼スラグは、例えば、セメント用、道路用、土工用、コンクリート骨材等の各種用途で幅広く使われているのに対して、浚渫土は浚渫作業により発生するものであり、鉄鋼スラグのようないわば工業製品と呼べるようなものではない。そこで、本発明者らは、このような浚渫土の固化影響因子に着目し、実験を重ねて検討したところ、浚渫土が保有する水の成分が改質土の強度発現に寄与することを見出した。そして、浚渫土に含まれる水の電気伝導度を測定することで、改質土の強度を予測することが可能になることから、本発明を完成するに至った。
したがって、本発明の目的は、改質材を添加する対象の浚渫土が変わった場合にも、得られる改質土の強度を予測することができる方法を提供することにある。また、本発明の別の目的は、例えば施工中に搬入される浚渫土が変わった場合でも、事前に強度を予測して改質土を製造することができる方法を提供することにある。
すなわち、本発明の要旨は次のとおりである。
(1)カルシウム化合物を含んだ改質材を浚渫土に添加して混合し、養生して強度の改善された改質土を得る際に、得られる改質土の強度を予測する方法であって、
2以上の試験用浚渫土を用意して、各試験用浚渫土が保有する水の電気伝導度を測定すると共に、それぞれの試験用浚渫土に改質材を添加して得られる試験改質土の一軸圧縮強度を測定して、前記試験用浚渫土が保有する水の電気伝導度と前記試験改質土の一軸圧縮強度との相関式を求めた上で、その相関式に基づいて、実製造で使用する浚渫土が保有する水の電気伝導度から、得られる改質土の一軸圧縮強度を予測することを特徴とする改質土の強度予測方法。
(2)浚渫作業で発生した浚渫土にカルシウム化合物を含んだ改質材を添加して混合し、養生して強度の改善された改質土を製造する方法であって、
予め、浚渫作業域内の異なる場所から2以上の試験用浚渫土を採取し、各試験用浚渫土が保有する水の電気伝導度を測定すると共に、それぞれの試験用浚渫土に改質材を添加して得られる試験改質土の一軸圧縮強度を測定して、前記試験用浚渫土が保有する水の電気伝導度と前記試験改質土の一軸圧縮強度との相関式を求めておき、実製造で使用する浚渫土を浚渫作業域内で採取し、該浚渫土が保有する水の電気伝導度を測定して、予め求めた相関式に基づいて、得られる改質土の一軸圧縮強度を予測した上で、実際に改質土を製造することを特徴とする改質土の製造方法。
(3)前記浚渫作業が海域又は汽水域で行われる(2)に記載の改質土の製造方法。
(4)前記相関式に基づく改質土の一軸圧縮強度の予測値が所定の基準値に達しない場合、改質材の添加量を増やすか、若しくは、塩化物イオン又は硫酸イオンのいずれかを含んだ水溶性の化合物を強度促進剤として添加して実際の改質土を製造する(2)又は(3)に記載の改質土の製造方法。
(5)前記改質材が、製鋼スラグ又は高炉スラグ微粉末のいずれか一方又は両方である(2)〜(4)のいずれかに記載の改質土の製造方法。
本発明によれば、改質材を添加する対象の浚渫土が変わった場合にも、得られる改質土の強度を予測することができる。そのため、実際に改質土を製造するにあたり、従来のように供試体を作製して所定の期間養生し、一軸圧縮強度を調べる強度試験を繰り返すのに比べて、短時間でかつ簡便に改質土の強度を予測することができ、配合設計を容易にするなど、製造現場での作業性や汎用性に優れたものであると言える。
図1は、2種類の浚渫土a、bを用いた場合のそれぞれの改質土について、その養生中の間隙水を抽出して間隙水に含まれる成分(CaとSi)の反応(消費)状況を経時的に分析したものである。 図2は、図1と同様に間隙水に含まれる成分(ClとSO)の反応(消費)状況を経時的に分析したものである。 図3は、焼成粘土に対して塩分濃度の異なる水を添加して製鋼スラグを配合した<強度試験1>の結果を示すグラフである。 図4は、焼成粘土に蒸留水を加えてCaO試薬を添加した<強度試験2-1>の供試体のSEM画像と、同じく焼成粘土に蒸留水を加えてCaO試薬及びCaSO試薬を添加した<強度試験2-2>の供試体のSEM画像を示すものである。 図5は、焼成粘土に実海水(又は実汽水)とCaO試薬とを加えて行った<強度試験3>での供試体の一軸圧縮強度と実海水(又は実汽水)の電気伝導度(EC)との関係を示すグラフである。 図6は、試験例1で得られた改質土の一軸圧縮強度と浚渫土が保有する水の電気伝導度との関係を示すグラフである。 図7は、実施例1において浚渫土Xを用いた改質土の一軸圧縮強度を予測するのに使用した相関式である。 図8は、改質土の強度指数(f-CaO/水)と一軸圧縮強度との関係を示したグラフである。
以下、本発明を得るにあたり、浚渫土が保有する水の成分に着目することになった経緯とその詳細について以下で説明する。
先ず、表1には、名古屋で採取された浚渫土aと大阪で採取された浚渫土bとに対して、それぞれ改質材として転炉スラグSを添加して混合し、28日間養生して得られた改質土の一軸圧縮強度を比較した例が示されている。これらの例では改質材は共通であり(転炉スラグS)、また、浚渫土aとbについても同程度の含水比と強熱減量値を有しているにもかかわらず、得られる改質土の一軸圧縮強度には5倍強の差がある。
この原因を探るべく、ポーラスカップを用いて養生中の間隙水を抽出して、間隙水に含まれる各種成分の反応(消費)状況を経時的に分析した。ここで、分析対象は、Ca、Mg、K、Al、NH、Si、Cl、SOであり、なかでも顕著な傾向が読み取れるものを代表して図1及び図2にまとめて示した。これら図中のグラフから分かるように、一軸圧縮強度に優れる浚渫土b×転炉スラグSの改質土では、浚渫土a×転炉スラグSの改質土に比べてCaやSiの溶出量が多い。なかでもCaについては専ら改質材から溶出するものと考えられるが、同じ改質材であるにもかかわらず、浚渫土b×転炉スラグSの方がはるかに多い。また、浚渫土b×転炉スラグSでは、ClやSOの消費量が多いことも読み取れる。
そこで、浚渫土側の固化影響因子を固定した上で評価するために、陶芸用粘土等に用いられる市販の粘土を模擬浚渫土として用いて、これに改質材を配合すると共に塩分濃度が異なる海水を添加して<強度試験1>を行った。すなわち、この粘土は表2に示した成分を有し、この粘土を予め電気炉で500℃、2時間の焼成を行い、強熱減量(Ig.loss)を12.6%から約6.5%に低下させた。そして、この焼成後の粘土を25.7質量%、f−CaO含有率が3質量%の製鋼スラグを48.6質量%、及び海水が25.7質量%となるように加えて混練し、φ100mm×高さ200mmのモールドに充填して、室温20℃、湿度60%の条件で養生して、材齢7日及び14日での供試体の一軸圧縮強度を測定した。その際、海水の塩分濃度を変えることで(淡水、汽水、海水)、得られる一軸圧縮強度の違いを評価した。
結果は図3に示したとおりであり、浚渫土に見立てた粘土から供給されるシリカ分と製鋼スラグから供給されるカルシウム分とが一定の場合でも、海水の塩分濃度が増すにつれて供試体の一軸圧縮強度が高くなる。これは、海水に含まれた塩化物イオン(Cl-)によって、製鋼スラグからのCaの溶出が促進された効果や、フリーデル氏塩の生成(Ca4Al2O6Cl2・10H2O)によるものと推測される。
次に、上記<強度試験1>で使用した製鋼スラグの代わりにCaOの試薬を用い、また、海水の代わりに蒸留水を用いて、焼成後の粘土を51質量%、CaO試薬を4質量%、及び蒸留水を45質量%となるように加えて混合し、φ50mm×高さ100mmのモールドに充填して、室温20℃、湿度60%の条件で養生して、材齢4日での供試体の一軸圧縮強度を測定する<強度試験2-1>を行った。また、焼成後の粘土を49.6質量%と、上記<強度試験2-1>とCaイオンの量が等しくなるように、CaO試薬3質量%と共にCaSO試薬2.4質量%と、蒸留水45質量%とを添加して混練した以外は<強度試験2-1>同様にして、材齢4日での供試体の一軸圧縮強度を測定する<強度試験2-2>を行った。その結果、<強度試験2-1>の一軸圧縮強度(200kN/m2)に比べて、<強度試験2-2>では約5倍(1100kN/m2)の強度が発現することが確認された。すなわち、これらの試験によれば、SO 2−の有無が一軸圧縮強度に大きく影響を及ぼすことが分かる。ちなみに、<強度試験2-1>で得られた供試体の様子をSEMで観察したSEM画像(倍率2000倍)、及び<強度試験2-2>の供試体のSEM画像(倍率5000倍)を図4にまとめて示す。これからも分かるように、<強度試験2-2>の場合にはエトリンガイト(3CaO・Al2O3・3CaSO4・32H2O))からなる針状水和物が多く生成していることが確認できる。
更には、上記<強度試験1>で使用した製鋼スラグの代わりにCaOの試薬を用い、また、塩分濃度が異なる海水の代わりに、表3に示した分析値を有する地域p、q、rで採取された実海水及び実汽水を用いて、表4に示した配合で混合して、φ50mm×高さ100mmのモールドに充填し、乾燥を防ぐために上面を覆って、室温20℃、湿度60%に設定した恒温恒湿室で養生した。4日養生後、モールドから供試体を取り出して一軸圧縮強度を測定する<強度試験3>を行った。そして、得られた供試体の一軸圧縮強度と実海水(又は実汽水)の電気伝導度(EC)との関係をグラフにしたものが図5である。このグラフから分かるように、イオンの存在量を表す電気伝導度と供試体の一軸圧縮強度とが相関性を示した。上記<強度試験1>及び<強度試験2>の結果を踏まえれば、ClやSO 2−の影響による供試体の一軸圧縮強度の発現の程度について、電気伝導度を指標にして評価できることが分かる。
これら強度試験1〜3の結果から分かるように、浚渫土が保有する水の成分により改質土の強度発現の程度に差が生じ、なかでも、ClやSO 2−といった化学成分により、得られる改質土の一軸圧縮強度が影響されることが確認できる。また、このような成分による影響は、浚渫土が保有する水の電気伝導度を指標にして評価できることを併せて見出した。
以上のような知見に基づき、本発明では、カルシウム化合物を含んだ改質材を浚渫土に添加して混合し、養生して強度の改善された改質土を得るにあたり、予め2以上の試験用浚渫土を用意して、各試験用浚渫土が保有する水の電気伝導度を例えば市販の電気伝導率計(電気伝導度計)等を用いて測定すると共に、それぞれの試験用浚渫土に改質材を添加して得られる試験改質土の一軸圧縮強度を測定して、前記試験用浚渫土が保有する水の電気伝導度と前記試験改質土の一軸圧縮強度との相関式を求めた上で、その相関式に基づいて、実製造で使用する浚渫土が保有する水の電気伝導度から、得られる改質土の一軸圧縮強度を予測するようにする。ここで、試験改質土を得るにあたっては、実際に目的の改質土を得る場合と同様の割合で試験用浚渫土と改質材とを配合し、所定の期間養生すればよい。なお、一軸圧縮強度の測定は、JIS A 1216(土の一軸圧縮試験方法)に従うことができる。
また、得られた改質土は、例えば、港湾・空港建設における土工用材料や海域環境再生用途である覆砂材、浅場・干潟造成用材、浚渫窪地等の深堀れ窪地の埋戻し材、埋立材をはじめ、各種用途に使用することができる。これらの改質土は、その用途等にもよるが、改質土を用いて施工する建設現場や改質土を投入する環境再生現場に隣接した(又は近場の)浚渫作業で発生した浚渫土をその場で又は一旦仮置きしてから、改質材を添加して改質土を製造することがある。そのような場合、浚渫作業の領域が指定されるなど、浚渫作業域が定められていることが多いことから、浚渫作業域内の異なる場所から2以上の試験用浚渫土を採取して、上記のような相関式を得るようにすればよい。例えば、港湾の維持浚渫工事のような建設であれば、浚渫作業域は港湾区域である。このように定められた浚渫作業域であれば、浚渫土が有する土粒子の性質(土質や土粒子の大きさなど)が比較的揃っており、水の電気伝導度を用いて改質土の強度を予測する上で都合がよく、なかでも河口付近や潮の流れが変わり易いような浚渫作業域では、浚渫土が保有する水の成分が変化するため、本発明を好適に用いることができる。
また、本発明の強度予測方法を用いて改質土を製造するには、上述したように、例えば、浚渫作業域内の異なる場所から2以上の試験用浚渫土を採取して、事前に試験用浚渫土が保有する水の電気伝導度と試験改質土の一軸圧縮強度との相関式を求めておき、実製造で使用する浚渫土を浚渫作業域内で採取したところで、該浚渫土が保有する水の電気伝導度を測定して、予め求めた相関式から、得られる改質土の一軸圧縮強度を予測する。その際、予測した一軸圧縮強度が目標強度に達していれば、そのまま改質土を製造することができるが、仮に目標強度に達していなければ、例えば改質材の添加量を増やしたり、或いは、塩化物イオン又は硫酸イオンのいずれか一方又は両方を含んだ水溶性の化合物を強度促進剤として添加するようにしてもよい。また、実製造で改質土を製造している際に、例えば浚渫土の性状が見た目での変化が明らかであったり、予測した強度の値とのずれが顕著になったりしたら、再度試験用浚渫土を採取して相関式を作り直すようにすればよい。なお、一軸圧縮強度の所定の基準値について、一例を挙げれば、例えば、深掘れ窪地の埋戻しの場合には、覆砂に対する地耐力確保の観点から改質土として10kN/m程度の強度が要求される。また、同様に、浅場・干潟の造成では、藻礁石材に対する地耐力確保の観点から20kN/m程度の強度が要求され、更に、埋め立てでは、用途地耐力確保や沈降対策強度確保の観点から40〜50kN/m程度の強度が要求される。
本発明で用いる浚渫土は、高い含水比(一般には含水比70〜250%程度)を有して、主に水と土粒子とからなるものであり、総じて浚渫により生じたものを用いることができる。例えば、港湾の航路や泊地を拡げる目的や、海底の汚泥・底質汚染を除去する目的等で発生した海底浚渫土を挙げることができるが、なかでも好適には、海域又は汽水域から浚渫された浚渫土であるのがよい。
一方の改質材としては、カルシウム化合物を含み、浚渫土と混合して養生する際にカルシウムイオンを溶出するものであればよく、例えば、製鋼スラグ、高炉スラグ微粉末、消石灰、生石灰、セメント等を挙げることができ、これらの1種又は2種以上を用いることができる。
ここで、製鋼スラグとは、鉄鋼製造プロセスで副産物として産出されるものであり、転炉や電気炉等の製鋼炉において、銑鉄やスクラップから不要な成分を除去して、靭性・加工性のある鋼にする製鋼工程で生じる石灰分を主体としたものである。具体的には、転炉スラグ、予備処理スラグ、脱炭スラグ、脱燐スラグ、脱硫スラグ、脱珪スラグ、電気炉還元スラグ、電気炉酸化スラグ、二次精錬スラグ、造塊スラグ等を挙げることができる。また、高炉スラグ微粉末とは、銑鉄を製造する製銑過程で生成する溶融状態の高炉スラグに加圧水を噴射するなどして水砕し、急激に冷却した高炉水砕スラグを微粉砕したものである。
また、改質材と浚渫土とを混合する手段については特に制限されず、公知の方法を採用することができる。更に、混合した後の養生方法については、気中養生、水中養生等の一般的な改質土を得るための方法を用いることができ、用途等に応じて養生日数を適宜選択すればよい。
本発明によって得られた改質土は、上述したように、例えば、港湾・空港建設のような海域における潜堤を構築したり、干潟や浅場の造成工事に使用することができるほか、藻場の造成、深堀れ窪地を処理する埋め戻し工事、海面埋め立て工事等に利用することができ、なかでも、海域環境の修復・再生に好適に用いることができる。
以下、実施例に基づき本発明を説明するが、本発明はこれらの内容に制限されるものではない。
(試験例1)
浚渫土として、表5に示したように名古屋と大阪の各海域で採取した浚渫土1〜4と、カルシウム化合物を含んだ改質材として、表6に示したスラグA〜Bとを用いて、改質土を得る試験を行った。このうち、浚渫土については、名古屋の港湾区域の浚渫作業域から2種類の浚渫土を採取して浚渫土1及び2とし、また、大阪の港湾区域の浚渫作業域から2種類の浚渫土を採取して浚渫土3及び4とした。ここで、表5における細粒分含有率は、0.075mm未満の粒子の含有率を表し、JIS A 1223の土の細粒分含有率試験方法から得られた値である。また、強熱減量はJIS A 1226に準拠する強熱減量試験から得られた値であり、液性限界、塑性限界、及び塑性指数は、それぞれJIS A 1205の土の液性限界・塑性限界試験方法より求めたものである。更に、水の電気伝導度は各浚渫土から遠心分離により水を回収し、市販の電気伝導度計で電気伝導度を測定したものである。一方、改質材については、スラグA、スラグB、スラグCのいずれも製鋼スラグを用いた。また、表6に示したf−CaO含有率(%)は、エチレングリコール法(JCAS I-01:1997)に基づき測定した値である。
先ず、上記で準備した浚渫土1とスラグAとを容積比70:30にして(浚渫土1を容積比率70%、スラグAを容積比率30%)、電動式ハンドミキサーを用いて撹拌混合した後、φ100mm×高さ200mmのモールドに詰めて成型し、20℃、湿度60%の恒温室で28日間気中養生して改質土1−Aを得た。このようにして得られた改質土1−Aについて、JIS A 1216に基づき一軸圧縮強度を測定し、サンプル数3(n=3)としてその平均を求めたところ、241kN/mであった。同様にして、浚渫土1〜3とスラグA〜Cとを表7に示したように組み合わせて配合し、養生して得た改質土の一軸圧縮強度を測定した。サンプル数3での平均値を表7にまとめて示す。また、これら改質土の一軸圧縮強度と浚渫土が保有する水の電気伝導度との関係について、グラフにしたものを図6に示す。
図6のグラフによれば、i)名古屋の海域で採取した浚渫土1及び2に対して改質材としてスラグAを添加した場合、ii)名古屋の海域で採取した浚渫土1及び2に対して改質材としてスラグBを添加した場合、及び、iii)大阪の海域で採取した浚渫土3及び4に対して改質材としてスラグCを添加した場合について、いずれも浚渫土が保有する水の電気伝導度の上昇に伴い、改質土の一軸圧縮強度が増大する傾向を示すことが確認された。
(実施例1)
上記の試験例1において、ii)名古屋の海域で採取した浚渫土1及び2に対して改質材としてスラグBを添加した場合に得られた浚渫土の水の電気伝導度(x)と改質土の一軸圧縮強度(y)との相関式を利用して、すなわち図7に示したy=5.2258x−155.23を利用して、浚渫土1及び2と同じ名古屋の港湾区域の浚渫作業域内の別の場所から採取された浚渫土XにスラグBを添加した場合に得られる改質土の一軸圧縮強度を予測した。ここで使用した浚渫土Xは下記表8に示した性状を有し、浚渫土Xが保有する水の電気伝導度は47mS/cmであった。そのため、容積比70%の浚渫土Xに対して容積比30%でスラグBを添加して養生したとすれば、上記相関式よりy=5.2258×47-155.23=90.3826(kN/m2)の一軸圧縮強度を有する改質土が得られると予測できる。
そこで、先の試験例1での手順と同様にして、実際に、浚渫土Xに対してスラグBを上記容積比で添加して撹拌混合した後、モールドに詰めて成型して、20℃、湿度60%の恒温室で28日間気中養生して改質土を得た。そして、実際に得られた改質土の一軸圧縮強度をサンプル数3(n=3)で測定したところ、一軸圧縮強度の平均値は107kN/mであり、先の強度予測値に近い値であることが確認された。
以上の結果から分かるように、本発明によれば、得られる改質土の強度を予測することが可能になる。そのため、実際に改質土を製造するにあたり、従来のように供試体を作製して所定の期間養生し、一軸圧縮強度を調べる強度試験を繰り返すのに比べて、短時間でかつ簡便に改質土の強度を予測できることから、配合設計を容易にすることができる。また、本発明によって得られた改質土は、例えば、港湾・空港建設等の土工用材料や海域環境再生用途での埋戻し材料をはじめとした各種用途に使用でき、実用性に優れたものである。

Claims (5)

  1. カルシウム化合物を含んだ改質材を浚渫土に添加して混合し、養生して強度の改善された改質土を得る際に、得られる改質土の強度を予測する方法であって、
    2以上の試験用浚渫土を用意して、各試験用浚渫土が保有する水の電気伝導度を測定すると共に、それぞれの試験用浚渫土に改質材を添加して得られる試験改質土の一軸圧縮強度を測定して、前記試験用浚渫土が保有する水の電気伝導度と前記試験改質土の一軸圧縮強度との相関式を求めた上で、その相関式に基づいて、実製造で使用する浚渫土が保有する水の電気伝導度から、得られる改質土の一軸圧縮強度を予測することを特徴とする改質土の強度予測方法。
  2. 浚渫作業で発生した浚渫土にカルシウム化合物を含んだ改質材を添加して混合し、養生して強度の改善された改質土を製造する方法であって、
    予め、浚渫作業域内の異なる場所から2以上の試験用浚渫土を採取し、各試験用浚渫土が保有する水の電気伝導度を測定すると共に、それぞれの試験用浚渫土に改質材を添加して得られる試験改質土の一軸圧縮強度を測定して、前記試験用浚渫土が保有する水の電気伝導度と前記試験改質土の一軸圧縮強度との相関式を求めておき、実製造で使用する浚渫土を浚渫作業域内で採取し、該浚渫土が保有する水の電気伝導度を測定して、予め求めた相関式に基づいて、得られる改質土の一軸圧縮強度を予測した上で、実際に改質土を製造することを特徴とする改質土の製造方法。
  3. 前記浚渫作業が海域又は汽水域で行われる請求項2に記載の改質土の製造方法。
  4. 前記相関式に基づく改質土の一軸圧縮強度の予測値が所定の基準値に達しない場合、改質材の添加量を増やすか、若しくは、塩化物イオン又は硫酸イオンのいずれかを含んだ水溶性の化合物を強度促進剤として添加して実際の改質土を製造する請求項2又は3に記載の改質土の製造方法。
  5. 前記改質材が、製鋼スラグ又は高炉スラグ微粉末のいずれか一方又は両方である請求項2〜4のいずれかに記載の改質土の製造方法。
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