以下、添付図面に従って本発明の好ましい実施の形態について詳説する。本明細書では、既に説明した構成には同一の符号を付して、説明を適宜省略することとする。
[画像形成システムの全体構成]
まず、画像形成システムの全体構成について説明する。本実施形態では画像形成システムとして、インクジェット記録装置を例示する。図1はインクジェット記録装置の全体構成図である。
図1に示したインクジェット記録装置10は、枚葉の用紙Sにインクを用いてインクジェット方式で画像を描画するインクジェット記録装置である。
用紙Sは媒体の一態様である。インクジェット記録装置10は画像形成システムの一態様である。本明細書では、インクの用語、適宜液体の用語に置き替えることが可能である。
インクジェット記録装置10は、主として、給紙部12、処理液付与部14、処理液乾燥処理部16、描画部18、インク乾燥処理部20、及び排紙部24を備えている。以下、各部を詳細に説明する。
<給紙部>
給紙部12は、給紙台30、サッカー装置32、給紙ローラ対34、フィーダボード36、前当て38、及び給紙胴40を備えている。フィーダボード36はリテーナ36A、及びガイドローラ36Bを備えている。
リテーナ36A、及びガイドローラ36Bは、フィーダボード36の用紙Sが搬送される搬送面に配置される。前当て38はフィーダボード36と給紙胴40との間に配置される。
給紙胴40は、回転軸40Bと平行方向を長手方向とする円筒形状を有している。給紙胴40は長手方向について、用紙Sの全長を超える長さを有している。給紙胴40の回転軸40Bの方向は図1の紙面を貫く方向である。
ここで、本明細書における平行の用語は、二方向が交差するものの、平行と同一の作用効果を奏する実質的な平行が含まれる。
本明細書における直交の用語は、90度を超える角度で交差する場合、又は90度未満の角度で交差する場合のうち、90度で交差する場合と同一の作用効果を奏する実質的な直交が含まれる。
本明細書における同一の用語は、対象となる構成に相違点が存在しているものの、同一と同様の作用効果を得ることができる実質的な同一が含まれる。
給紙胴40はグリッパー40Aを備えている。グリッパー40Aは、複数の爪、爪台、及びグリッパー軸を備えている。複数の爪、爪台、及びグリッパー軸の図示は省略する。
グリッパー40Aの複数の爪は、給紙胴40の回転軸40Bと平行方向に沿って配置される。複数の爪の基端部はグリッパー軸に揺動可能に支持される。複数の爪の配置間隔、及び複数の爪が配置される領域の長さは、用紙Sのサイズに応じて決められている。
爪台は給紙胴40の回転軸と平行方向を長手方向とする部材である。給紙胴40の長手方向について、爪台の長さは複数の爪が配置される長さ以上とされる。爪台は複数の爪の先端部と対向する位置に配置される。
給紙部12は、給紙台30に積載された用紙Sを一枚ずつ処理液付与部14へ給紙する。給紙台30の上に積載された用紙Sは、サッカー装置32によって上から順に一枚ずつ引き上げられて、給紙ローラ対34に給紙される。
給紙ローラ対34に給紙される用紙Sは、フィーダボード36に載置され、フィーダボード36によって搬送される。フィーダボード36によって搬送される用紙Sは、リテーナ36A、及びガイドローラ36Bによってフィーダボード36の搬送面に押し付けられ、凹凸が矯正される。
フィーダボード36によって搬送される用紙Sは、先端が前当て38に当接されることにより傾きが矯正される。フィーダボード36によって搬送される用紙Sは、給紙胴40に受け渡される。
給紙胴40に受け渡された用紙Sは、給紙胴40のグリッパー40Aにより先端部を把持される。給紙胴40を回転させると用紙Sは給紙胴40の外周面に沿って搬送される。給紙胴40によって搬送される用紙Sは処理液付与部14へ受け渡される。
<処理液付与部>
処理液付与部14は、処理液胴42、及び処理液付与装置44を備えている。処理液胴42はグリッパー42Aを備えている。グリッパー42Aは給紙胴40のグリッパー40Aと同様の構成を適用することができる。
図1に示した処理液胴42は、給紙胴40の直径の二倍の直径を有している。処理液胴42は用紙Sが支持される外周面42Cに用紙Sを固定させる構成を有している。処理液胴42の外周面42Cに用紙Sを固定させる構成の例として、処理液胴42の外周面42Cに複数の吸着穴が設けられ、複数の吸着穴に負圧を作用させる構成が挙げられる。
処理液胴42は、上記以外は給紙胴40と同様の構成を適用することができる。符号42Bは処理液胴42の回転軸である。
処理液付与装置44はローラ塗布方式を適用することができる。ローラ塗布方式の処理液付与装置44として、処理液槽、計量ローラ、及び塗布ローラを備える構成を採用しうる。
処理液槽は処理液供給系を介して処理液タンクから供給された処理液が貯留される。計量ローラは処理液槽に貯留された処理液を計量する。計量ローラは計量された処理液を塗布ローラへ転写する。塗布ローラは用紙Sへ処理液を塗布する。
なお、ここで説明した処理液付与装置44の構成はあくまでも一例であり、処理液付与装置44は他の方式を適用してもよい。また、処理液付与装置44は他の構成を適用してもよい。
処理液付与装置44の他の方式の例として、ブレードを用いた塗布、インクジェット方式による吐出、又はスプレー方式による噴霧などが挙げられる。
グリッパー42Aによって用紙Sの先端が把持された状態で処理液胴42を回転させると、用紙Sは処理液胴42の外周面に沿って搬送される。処理液胴42の外周面に沿って搬送される用紙Sは処理液付与装置44によって処理液が付与される。処理液が付与された用紙Sは処理液乾燥処理部16へ送られる。
用紙Sに付与される処理液は、後段の描画部18で用紙Sに吐出させるインク中の色材を凝集させる機能、又はインクの色材を不溶化させる機能を有している。用紙Sに処理液を付与してインクを吐出させることにより、汎用の用紙を用いても着弾干渉等を起こすことなく、高品位な画像形成を行うことができる。
本明細書における吐出の用語は、打滴、又は画像形成と、適宜読み替えることが可能である。
処理液付与部14によって処理液が付与された用紙Sは、処理液乾燥処理部16へ受け渡される。
<処理液乾燥処理部>
処理液乾燥処理部16は、処理液乾燥処理胴46、用紙搬送ガイド48、及び処理液乾燥処理ユニット50を備えている。処理液乾燥処理胴46はグリッパー46Aを備えている。グリッパー46Aは給紙胴40のグリッパー40Aと同様の構成を適用することができる。
図1に示した処理液乾燥処理胴46は給紙胴40の直径の二倍の直径を有している。処理液乾燥処理胴46はグリッパー46Aが二か所に配置されている。二か所のグリッパー46Aの配置位置は、処理液乾燥処理胴46の外周面46Cにおいて半周分ずらされた位置である。
処理液乾燥処理胴46は、上記以外の構成は、給紙胴40と同様の構成を適用することができる。符号46Bは処理液乾燥処理胴46の回転軸である。
用紙搬送ガイド48は処理液乾燥処理胴46の外周面46Cと対向する位置に配置される。用紙搬送ガイド48は処理液乾燥処理胴46の下側に配置される。
本明細書における下側は重力方向の成分を有する方向の側である。上側は重力方向と反対方向の成分を有する方向の側である。
処理液乾燥処理ユニット50は処理液乾燥処理胴46の内部に配置される。処理液乾燥処理ユニット50は処理液乾燥処理胴46の外部に向けて風を送風する送風部、及び風を加熱する加熱部を備えている。図示の都合上、送風部、及び加熱部の符号は省略する。
処理液付与部14から処理液乾燥処理部16へ受け渡された用紙Sは、処理液乾燥処理胴46のグリッパー46Aによって先端を把持される。
用紙Sは、処理液が塗布された面を、処理液乾燥処理胴46の外周面46Cに向けた状態で、処理液が塗布された面の反対側の面を用紙搬送ガイド48によって支持される。処理液乾燥処理胴46を回転させることにより、用紙Sは処理液乾燥処理胴46の外周面46Cに沿って搬送される。
処理液乾燥処理胴46によって搬送される用紙Sであり、用紙搬送ガイド48によって支持される用紙Sは、処理液乾燥処理ユニット50から加熱された風が吹き当てられて乾燥処理が施される。
用紙Sに乾燥処理が施されると、用紙Sに付与された処理液中の溶媒成分が除去され、用紙Sの処理液が付与された面に処理液層が形成される。処理液乾燥処理部16によって乾燥処理が施された用紙Sは描画部18へ受け渡される。
<描画部>
描画部18は、描画胴52、用紙押さえローラ54、液体吐出ヘッド56C、液体吐出ヘッド56M、液体吐出ヘッド56Y、液体吐出ヘッド56K、及びインラインセンサ58を備えている。描画胴52はグリッパー52Aを備えている。
グリッパー52Aは描画胴52の外周面52Cに設けられた凹部52Dの内部に配置される。グリッパー52Aは、配置以外の構成は給紙胴40のグリッパー40Aと同様の構成を適用することができる。
描画胴52は処理液乾燥処理胴46と同様にグリッパー52Aが二か所に配置されている。二か所のグリッパー52Aの配置は処理液乾燥処理胴46と同様の配置を適用することができる。
描画胴52は処理液胴42と同様に、用紙Sが支持される外周面52Cに用紙Sを固定させる構成を有している。描画胴52の用紙Sを固定させる構成は、処理液胴42の用紙Sを固定させる構成と同様の構成を適用することができる。
描画胴52は、上記以外の構成は、給紙胴40と同様の構成を適用することができる。符号52Bは描画胴52の回転軸である。
用紙押さえローラ54は円筒形状を有している。用紙押さえローラ54の長手方向は描画胴52の回転軸52Bと平行方向である。用紙押さえローラ54は長手方向について用紙Sの全長を超える長さを有している。
用紙押さえローラ54は、描画胴52における用紙Sの搬送方向について、用紙Sの受け渡し位置の下流側であり、液体吐出ヘッド56Cの上流側に配置される。以下の説明において、用紙Sの搬送方向は、用紙搬送方向と記載することがある。
液体吐出ヘッド56C、液体吐出ヘッド56M、液体吐出ヘッド56Y、及び液体吐出ヘッド56Kは、インクジェット方式によって液体を吐出させる吐出素子を備えている。インクジェット方式の液体吐出ヘッドはインクジェットヘッドと呼ばれるものが含まれる。
ここで、液体吐出ヘッドの符号に付したアルファベットは色を表している。Cはシアンを表している。Mはマゼンタを表している。Yはイエローを表している。Kはブラックを表している。
液体吐出ヘッド56C、液体吐出ヘッド56M、液体吐出ヘッド56Y、及び液体吐出ヘッド56Kは、描画胴52の上側に配置される。液体吐出ヘッド56C、液体吐出ヘッド56M、液体吐出ヘッド56Y、及び液体吐出ヘッド56Kは、用紙Sの搬送方向に沿って、液体吐出ヘッド56C、液体吐出ヘッド56M、液体吐出ヘッド56Y、及び液体吐出ヘッド56Kの順に配置される。
液体吐出ヘッド56C、液体吐出ヘッド56M、液体吐出ヘッド56Y、及び液体吐出ヘッド56Kの詳細は後述する。液体吐出ヘッドはヘッドの一態様である。吐出素子は記録素子の一態様である。
インラインセンサ58は撮像素子、撮像素子の周辺回路、及び光源を備えている。撮像素子はCCDイメージセンサやCMOSイメージセンサなどの固体撮像素子を適用することができる。撮像素子、撮像素子の周辺回路、及び光源の図示は省略する。
CCDはCharge Coupled Deviceの省略語である。CMOSはComplementary Metal-Oxide Semiconductorの省略語である。インラインセンサ58は用紙搬送方向について液体吐出ヘッド56Kの下流側に配置される。
撮像素子の周辺回路は、撮像素子の出力信号の処理回路を備えている。処理回路として、撮像素子の出力信号からノイズ成分を除去するフィルタ回路、増幅回路、又は波形整形回路などが挙げられる。フィルタ回路、増幅回路、又は波形整形回路の図示は省略する。
光源はインラインセンサの読取対象物に照明光を照射可能な位置に配置される。光源はLEDやランプなどを適用することができる。LEDはlight emitting diodeの省略語である。
処理液乾燥処理部16から描画部18へ受け渡された用紙Sは、描画胴52のグリッパー52Aによって先端が把持される。描画胴52のグリッパー52Aによって先端が把持された用紙Sは描画胴52の回転によって、描画胴52の外周面52Cに沿って搬送される。
用紙Sは用紙押さえローラ54の下を通過する際に、描画胴52の外周面52Cに押し当てられる。用紙押さえローラ54の下を通過した用紙Sは、液体吐出ヘッド56C、液体吐出ヘッド56M、液体吐出ヘッド56Y、及び液体吐出ヘッド56Kの直下において、液体吐出ヘッド56C、液体吐出ヘッド56M、液体吐出ヘッド56Y、及び液体吐出ヘッド56Kのそれぞれから吐出させたカラーインクによって画像が形成される。
液体吐出ヘッド56C、液体吐出ヘッド56M、液体吐出ヘッド56Y、及び液体吐出ヘッド56Kによって画像が形成された用紙Sは、インラインセンサ58の読取領域において、インラインセンサ58によって画像が読み取られる。インラインセンサ58による画像の読み取りの詳細は後述する。
インラインセンサ58によって画像が読み取られた用紙Sは描画部18からインク乾燥処理部20へ受け渡される。
描画部18は、媒体に二以上の色を用いて画像を形成する画像形成部の一態様である。描画部18による描画は、媒体に二以上の色を用いて画像を形成する画像形成工程の一態様である。描画部18による描画は、ノズルチェックパターンの描画を含んでいてもよい。ノズルチェックパターンの詳細は後述する。
インラインセンサ58は画像の読取結果から画像情報を取得する読取部の一態様である。インラインセンサ58による画像情報の取得には、ノズルチェックパターンの読取結果からノズルチェックパターンの情報を取得する態様を含んでいてもよい。インラインセンサ58によるノズルチェックパターンの読取、及びノズルチェックパターンの読取結果からの画像情報の取得は読取工程の一態様である。
<インク乾燥処理部>
インク乾燥処理部20は、チェーングリッパー64、インク乾燥処理ユニット68、及びガイドプレート72を備えている。チェーングリッパー64は第1スプロケット64A、第2スプロケット64B、チェーン64C、及び複数グリッパー64Dを備えている。
チェーングリッパー64は、一対の第1スプロケット64A、及び第2スプロケット64Bに、一対の無端状のチェーン64Cが巻き掛けられた構造を有している。図1には、一対の第1スプロケット64A、及び第2スプロケット64B、並びに一対のチェーン64Cのうち、一方のみが図示されている。
チェーングリッパー64は、一対のチェーン64Cの間に複数のグリッパー64Dが配置される構造を有している。また、チェーングリッパー64は媒体搬送方向における複数の位置に複数のグリッパー64Dが配置される構造を有している。図1には、一対のチェーン64Cの間に配置される複数のグリッパー64Dのうち、一つのグリッパー64Dのみが図示されている。
図1に示したチェーングリッパー64は、用紙Sを水平方向に沿って搬送する水平搬送領域、及び用紙Sを斜め上方向に搬送する傾斜搬送領域が含まれる。
インク乾燥処理ユニット68はチェーングリッパー64における用紙Sの搬送経路の上に配置される。インク乾燥処理ユニット68の構成例として、ハロゲンヒータ、赤外線ヒータ等の熱源を含む構成が挙げられる。インク乾燥処理ユニット68の他の構成例として、熱源によって熱せられた空気を用紙Sへ吹き付けるファンを含む構成が挙げられる。インク乾燥処理ユニット68は熱源、及びファンを含む構成とすることが可能である。
ガイドプレート72の詳細な図示は省略するが、ガイドプレート72は板状の部材を適用することができる。ガイドプレート72は用紙搬送方向と直交する方向について、用紙Sの全長を超える長さを有している。
ガイドプレート72は、チェーングリッパー64による用紙Sの水平搬送領域における搬送経路に沿って配置される。ガイドプレート72は、チェーングリッパー64による用紙Sの搬送経路の下側に配置される。ガイドプレート72は用紙搬送方向について、インク乾燥処理ユニット68の処理領域の長さに対応する長さを有している。
インク乾燥処理ユニット68の処理領域の長さに対応する長さとは、インク乾燥処理ユニット68の処理の際に、ガイドプレート72による用紙Sの支持が可能なガイドプレート72の長さである。
例えば、用紙搬送方向について、インク乾燥処理ユニット68の処理領域の長さとガイドプレート72の長さを同一にする態様が挙げられる。ガイドプレート72は、用紙Sを吸着支持する機能を具備していてもよい。
描画部18からインク乾燥処理部20に受け渡された用紙Sは、グリッパー64Dによって先端が把持される。第1スプロケット64A、及び第2スプロケット64Bの少なくともいずれか一方を、図1における時計回りに回転させてチェーン64Cを走行させると、用紙Sはチェーン64Cの走行経路に沿って搬送される。
用紙Sがインク乾燥処理ユニット68の処理領域を通過する際に、用紙Sに対してインク乾燥処理ユニット68によってインク乾燥処理が施される。
インク乾燥処理ユニット68によってインク乾燥処理が施された用紙Sは、チェーングリッパー64によって搬送され、排紙部24へ送られる。
図1に示したチェーングリッパー64は、用紙搬送方向におけるインク乾燥処理ユニット68の下流側において、用紙Sを図1における左斜め上方向へ搬送させる。用紙Sを図1における左斜め上方向へ搬送させる傾斜搬送領域の搬送経路には、ガイドプレート73が配置される。
ガイドプレート73は、ガイドプレート72と同様の部材を適用することができる。ガイドプレート73の構造、及び機能の説明は省略する。
<排紙部>
排紙部24は、排紙切替部74、やれ紙収容部75、及び排紙台76を備えている。排紙部24における用紙Sの搬送はチェーングリッパー64が適用される。
排紙切替部74は、セレクトレバー74A、及びセレクトレバー揺動支持部74Bを備えている。セレクトレバー揺動支持部74Bは、図示しないモータが連結される。
排紙切替部74は、用紙搬送方向おける用紙Sを図1における左斜め上方向へ搬送させる用紙Sの搬送経路の下流側に配置される。排紙切替部74は、用紙搬送方向おける排紙台76の上流側に配置される。排紙切替部74は搬送経路切替部の一態様である。
やれ紙収容部75はやれ紙を収容する。やれ紙収容部75は排紙切替部74の下側に配置される。やれ紙収容部75はトレイ状の部材を適用することができる。
排紙台76はチェーングリッパー64による用紙Sの搬送経路の下側に配置される。排紙台76は図示しない昇降機構を含む構成が可能である。排紙台76は、積載される用紙Sの増減に応じて昇降させて、最上位に位置する用紙Sの高さを一定に保つことができる。
排紙部24は画像形成の一連の処理がされた用紙Sを回収する。排紙部24はやれ紙と判別された用紙SAと、正常の画像形成がされたと判別された用紙Sとを仕分けする機能を有している。やれ紙と判別された用紙SAは二点破線を用いて図示する。
やれ紙と判別された用紙SAが搬送される場合は、排紙切替部74によって、用紙SAをやれ紙収容部75へ搬送する経路に用紙SAの搬送経路が切り替えられる。図1に二点破線を用いて図示したセレクトレバー74Aは、用紙SAをやれ紙収容部75へ搬送する経路を構成する際の状態である。
用紙SAが排紙切替部74の位置に到達すると、グリッパー64Dは用紙SAの把持を開放する。用紙SAは、二点破線を用いて図示したセレクトレバー74Aに沿ってチェーングリッパー64による用紙搬送経路から離脱して、やれ紙収容部75へ送られる。
一方、正常の画像形成がされたと判別された用紙Sが搬送される場合は、排紙切替部74によって、用紙Sを排紙台76へ搬送する経路に用紙Sの搬送経路が切り替えられる。図1に実線を用いて図示したセレクトレバー74Aは、用紙Sを排紙台76へ搬送する経路を構成する際の状態である。
用紙Sが排紙切替部74の位置に到達しても、グリッパー64Dは用紙Sの把持を維持する。用紙Sは実線を用いて図示したセレクトレバー74Aに沿ってチェーングリッパー64による用紙Sの搬送経路に沿って搬送され、排紙台76へ送られる。
用紙Sが排紙台76の位置に到達すると、グリッパー64Dは用紙Sの把持を開放する。用紙Sは排紙台76に積載される。このようにして、正常の画像形成がされたと判別された用紙Sと、やれ紙と判別された用紙SAとは仕分けされる。
図1には、処理液付与部14、及び処理液乾燥処理部16を備えたインクジェット記録装置10を示したが、処理液付与部14、及び処理液乾燥処理部16を省略する態様も可能である。
また、図1には、描画後の用紙Sを搬送する構成としてチェーングリッパー64を例示したが、描画後の用紙Sを搬送する構成は、ベルト搬送、又は圧胴搬送など他の構成を適用することも可能である。
[制御系の説明]
図2はインクジェット記録装置10の制御系の概略構成を示すブロック図である。図2に示すように、インクジェット記録装置10は、システムコントローラ100を備えている。システムコントローラ100は、CPU100A、ROM100B、及びRAM100Cを備えている。
図2に示したROM100B、及びRAM100Cは、CPUの外部に設けられていてもよい。CPUはCentral Processing Unitの省略語である。ROMはRead Only Memoryの省略語である。RAMはRandom Access Memoryの省略語である。
システムコントローラ100は、インクジェット記録装置10の各部を統括的に制御する全体制御部として機能する。また、システムコントローラ100は、各種演算処理を行う演算部として機能する。
更に、システムコントローラ100は、ROM100B、及びRAM100Cなどのメモリにおけるデータの読み出し、及びデータの書き込みを制御するメモリーコントローラとして機能する。
インクジェット記録装置10は、通信部102、画像メモリ104、搬送制御部110、給紙制御部112、処理液付与制御部114、処理液乾燥制御部116、描画制御部118、ノズルチェックパターンデータ記憶部119、インク乾燥制御部120、及び排紙制御部124を備えている。
通信部102は、図示しない通信インターフェースを備えている。通信部102は通信インターフェースと接続されたホストコンピュータ103との間でデータの送受信を行う。
画像メモリ104は、画像データを含む各種データの一時記憶部として機能する。画像メモリ104は、システムコントローラ100を通じてデータの読み書きが行われる。通信部102を介してホストコンピュータ103から取り込まれた画像データは、一旦画像メモリ104に格納される。
搬送制御部110は、インクジェット記録装置10における用紙Sの搬送系11の動作を制御する。図2に示した搬送系11には、図1に示した処理液胴42、処理液乾燥処理胴46、描画胴52、及びチェーングリッパー64が含まれる。
搬送系11は媒体搬送部の一態様である。少なくとも、描画胴52、及びチェーングリッパー64は媒体搬送部の構成要素である。
図2に示した給紙制御部112は、システムコントローラ100からの指令に応じて給紙部12を動作させる。給紙制御部112は、用紙Sの供給開始動作、及び用紙Sの供給停止動作などを制御する。
処理液付与制御部114は、システムコントローラ100からの指令に応じて処理液付与部14を動作させる。処理液付与制御部114は、処理液の付与量、及び付与タイミングなどを制御する。
処理液乾燥制御部116は、システムコントローラ100からの指令に応じて処理液乾燥処理部16を動作させる。処理液乾燥制御部116は、乾燥温度、乾燥気体の流量、及び乾燥気体の噴射タイミングなどを制御する。
描画制御部118は、システムコントローラ100からの指令に応じて、描画部18の動作を制御する。
描画制御部118は、画像処理部、波形生成部、波形記憶部、及び駆動回路を備えている。図2では、画像処理部、波形生成部、波形記憶部、及び駆動回路の図示は省略する。
画像処理部は入力画像データからドットデータを形成する。波形生成部は駆動電圧の波形を生成する。波形記憶部は駆動電圧の波形が記憶される。駆動回路はドットデータに応じた駆動波形を有する駆動電圧を生成する。駆動回路は駆動電圧を液体吐出ヘッドに供給する。
画像処理部において、入力画像データに対してRGBの各色に分解する色分解処理、RGBをCMYKに変換する色変換処理、ガンマ補正、又はムラ補正等の補正処理、及び各色の画素ごとの階調値を元の階調値未満の階調値に変換するハーフトーン処理が施される。
入力画像データの一例として、0から255のデジタル値で表されるラスターデータが挙げられる。ハーフトーン処理の結果として得られるドットデータは、二値でもよいし、三値以上ハーフトーン処理前の階調値未満の多値でもよい。
画像処理部による処理を経て生成されたドットデータに基づいて、各画素位置の吐出タイミング、及びインク吐出量が決められ、各画素位置の吐出タイミング、及びインク吐出量に応じた駆動電圧、及び各画素の吐出タイミングを決める制御信号が生成され、この駆動電圧が液体吐出ヘッドへ供給され、液体吐出ヘッドから吐出させたインクによってドットが記録される。
描画制御部118は、ノズルチェックパターンを用紙Sに形成する際の描画部18の動作を制御する。具体的には、描画制御部118はノズルチェックパターンデータ記憶部119に記憶されているノズルチェックパターンのデータを読み出す。描画制御部118はノズルチェックパターン形成用の駆動電圧を生成する。描画制御部118はノズルチェックパターン形成用の駆動電圧を液体吐出ヘッドへ供給する。ノズルチェックパターン形成の詳細は後述する。
描画制御部118は、図示しない補正処理部を備えている。補正処理部は異常ノズルに対する補正処理を実行する。補正処理が施されると、異常ノズルの発生に起因する画像品質の低下が抑制される。
インク乾燥制御部120は、システムコントローラ100からの指令に応じてインク乾燥処理部20を動作させる。インク乾燥制御部120は、乾燥気体温度、乾燥気体の流量、又は乾燥気体の噴射タイミングなどを制御する。
排紙制御部124は、システムコントローラ100からの指令に応じて排紙部24を動作させる。排紙制御部124は、正常の画像形成がされたと判別された用紙Sと、やれ紙と判別された用紙SAとの搬送経路の切り替えを制御する。搬送経路の切替制御の詳細は後述する。
排紙制御部124は、排紙台76が昇降機構を含む場合に、用紙Sの増減に応じて昇降機構の動作を制御する。
インクジェット記録装置10はシーケンス設定部126を備えている。シーケンス設定部126は、ノズルチェックパターン形成シーケンスを設定する。ノズルチェックパターン形成シーケンスは、画像形成条件に応じて設定される態様、又は外部からの入力情報に対応して設定される態様などを採用しうる。
装置立ち上げの際にノズルチェックパターン形成シーケンスの初期設定をしておき、画像形成条件、又は外部からの入力情報によって、ノズルチェックパターン形成シーケンスを変更する態様も可能である。
また、装置立ち上げの際に設定されたノズルチェックパターン形成シーケンスを固定としてもよい。ノズルチェックパターン形成シーケンスが設定されると、ノズルチェックパターン形成シーケンスに従って、各用紙Sにノズルチェックパターンが形成される。
インクジェット記録装置10は、操作部130、表示部132、パラメータ記憶部134、及びプログラム格納部136を備えている。
操作部130は、操作ボタン、キーボード、又はタッチパネル等の操作部材を備えている。操作部130は複数の種類の操作部材が含まれていてもよい。操作部材の図示は省略する。操作部130を介して入力された情報は、システムコントローラ100に送られる。システムコントローラ100は、操作部130から送出された情報に応じて各種処理を実行する。
表示部132は、液晶パネル等の表示装置、及びディスプレイドライバーを備えている。表示装置、及びディスプレイドライバーの図示は省略する。表示部132はシステムコントローラ100からの指令に応じて、装置の各種設定情報、又は異常情報などの各種情報を表示装置に表示させる。
パラメータ記憶部134は、インクジェット記録装置10に使用される各種パラメータが記憶される。パラメータ記憶部134に記憶されている各種パラメータは、システムコントローラ100を介して読み出され、装置各部に設定される。
プログラム格納部136は、インクジェット記録装置10の各部に使用されるプログラムが格納される。プログラム格納部136に格納されている各種プログラムは、システムコントローラ100を介して読み出され、装置各部において実行される。
図示は省略するが、インクジェット記録装置10は、描画部18のメンテナンス処理を実行するメンテナンス処理部を備えている。描画部18のメンテナンス処理は、図1に示した液体吐出ヘッド56C、液体吐出ヘッド56M、液体吐出ヘッド56Y、及び液体吐出ヘッド56Kの回復処理が含まれる。
液体吐出ヘッドの回復処理は、吐出異常ノズルの回復処理が含まれる。吐出異常ノズルの数が予め決められた基準値以上となった場合に、吐出異常ノズルの回復処理が実行される。
インクジェット記録装置10は、読取情報記憶部140、読取情報解析部142、異常ノズル数記憶部144、画像欠陥判別部146、及びやれ紙設定部148を備えている。
読取情報記憶部140は、インラインセンサ58によって取得されたノズルチェックパターンの読取情報を含む画像情報が記憶される。インラインセンサ58によって取得された画像情報は、複数枚の媒体から取得される二以上の色分の画像情報の一態様である。
読取情報解析部142は、読取情報記憶部140に記憶された読取情報を解析する。読取情報解析部142は、読取情報を解析して異常ノズルの有無を判断し、異常ノズル数を計測する。
読取情報解析部142によって計測された異常ノズル数は、ノズルチェックパターンが形成された用紙S、及び液体吐出ヘッドと関連付けされて異常ノズル数記憶部144に記憶される。
画像欠陥判別部146は、異常ノズル数記憶部144に記憶されている異常ノズル数から、用紙Sごとに画像欠陥の有無を判別する。本実施形態では、異常ノズル数が予め決められた閾値以上の場合に画像欠陥があると判別される。
やれ紙設定部148は、画像欠陥があると判別された用紙Sが発生すると、やれ紙を設定する。排紙制御部124はやれ紙設定部148によって設定されたやれ紙の情報を用いて、図1に示した排紙切替部74の動作を制御する。やれ紙設定の詳細は後述する。
図2では機能ごとに各部を列挙した。図2に示した各部は適宜、統合、分離、兼用、又は省略が可能である。また、図2に示した各部はハードウエアとソフトウエアとを適宜組み合わせて構成することができる。
[液体吐出ヘッドの構造]
次に、液体吐出ヘッドの構造について詳細に説明する。
<全体構造>
図3は液体吐出ヘッドの構造例を示す透視平面図である。シアンのインクを吐出させる液体吐出ヘッド56C、マゼンタのインクを吐出させる液体吐出ヘッド56M、イエローのインクを吐出させる液体吐出ヘッド56Y、及びブラックのインクを吐出させる液体吐出ヘッド56Kには同一の構造を適用することができる。
液体吐出ヘッド56C、液体吐出ヘッド56M、液体吐出ヘッド56Y、及び液体吐出ヘッド56Kを区別する必要がない場合は、符号56を用いて液体吐出ヘッドを表すこととする。
図3に示すように、液体吐出ヘッド56はライン型ヘッドである。ライン型ヘッドは、用紙搬送方向と直交する方向について、用紙Sの全幅Lmaxを超える長さに渡って複数のノズル部が配置される構造を有している。図3ではノズル部の図示を省略する。ノズル部は図6に符号281を用いて図示する。ノズル部は吐出素子の構成要素である。
図3に符号Xを用いて示した方向は、用紙搬送方向と直交する方向である。図3符号Yを用いて示した方向は、用紙搬送方向である。以下、用紙搬送方向と直交する方向はX方向と記載することがある。また、用紙搬送方向はY方向と記載することがある。
図3に示した液体吐出ヘッド56は、複数のヘッドモジュール200を備えている。複数のヘッドモジュール200は用紙搬送方向と直交する方向に沿って一列に配置される。
複数のヘッドモジュール200は、同一の構成を適用することができる。また、ヘッドモジュール200は単体で液体吐出ヘッドとして機能させることができる構造を有している。
図3には用紙搬送方向と直交する方向に沿って、複数のヘッドモジュール200を一例に配置させた液体吐出ヘッド56を示したが、複数のヘッドモジュール200は、用紙搬送方向について位相をずらして二列に配置させてもよい。
液体吐出ヘッド56を構成するヘッドモジュール200の吐出面277には、複数のノズル開口が配置されている。図3ではノズル開口の図示を省略する。ノズル開口は図5に符号280を付して図示する。
本実施形態では、フルライン型の液体吐出ヘッド56を例示したが、用紙Sの全幅Lmaxに満たない短尺のシリアル型液体吐出ヘッドを、用紙搬送方向と直交する方向に走査させて、用紙搬送方向と直交する方向の一回分の画像形成を行い、用紙搬送方向と直交する方向の一回分の画像形成が終わると、用紙搬送方向に用紙Sを一定量搬送させ、次の領域について用紙搬送方向と直交する方向への画像形成を行い、この動作を繰り返して用紙の全面に画像形成を行うシリアル方式を適用可能である。
<ヘッドモジュールの構造例>
次に、ヘッドモジュールについて詳細に説明する。
図4はヘッドモジュールの斜視図であり部分断面図を含む図である。図5はヘッドモジュールにおける液体吐出面の透視平面図である。
図4に示すように、ヘッドモジュール200は、インク供給ユニットを備えている。インク供給ユニットはインク供給室232、及びインク循環室236を備えている。
インク供給室232、及びインク循環室236は、ノズル板275の吐出面277と反対側に配置される。インク供給室232は、供給管路252を介して、図示しないインクタンクに接続される。インク循環室236は、循環管路256を介して、図示しない回収タンクに接続される。
図5ではノズル開口280の数を省略して描いているが、一個のヘッドモジュール200のノズル板275の吐出面277には、二次元配置によって複数のノズル開口280が配置されている。
すなわち、ヘッドモジュール200は、X方向に対して角度βの傾きを有するV方向に沿った長辺側の端面と、Y方向に対して角度αの傾きを持つW方向に沿った短辺側の端面とを有する平行四辺形の平面形状となっており、V方向に沿う行方向、及びW方向に沿う列方向について、複数のノズル開口280がマトリクス配置されている。
なお、ノズル開口280の配置は、図5に図示した態様に限定されず、X方向に沿う行方向、及びX方向に対して斜めに交差する列方向に沿って複数のノズル開口280を配置してもよい。
ここで、ノズル開口280のマトリクス配置とは、複数のノズル開口280をX方向に投影させて、複数のノズル開口280をX方向に沿って配置させたX方向の投影ノズル列において、ノズル開口280の配置距離間隔が均一となるノズル開口280の配置である。
本実施形態に示した液体吐出ヘッド56は、X方向の投影ノズル列において、隣接するヘッドモジュール200同士のつなぎ部分では、一方のヘッドモジュール200に属するノズル開口280と、他方のヘッドモジュール200に属するノズル開口280が混在している。
各ヘッドモジュール200に取り付け位置の誤差が存在しない場合、つなぎ領域における一方のヘッドモジュール200に属するノズル開口280と他方のヘッドモジュール200に属するノズル開口280とは同じ位置に配置されるので、つなぎ領域においてもノズル開口280の配置は均一である。
以下の説明では、液体吐出ヘッド56を構成するヘッドモジュール200は取り付け位置の誤差がなく取り付けられていることとする。
<ヘッドモジュールの内部構造>
図6はヘッドモジュールの内部構造を示す断面図である。ヘッドモジュール200は、インク供給路214、個別供給路216、圧力室218、ノズル連通路220、循環個別流路226、循環共通流路228、圧電素子230、及び振動板266を備えている。
インク供給路214、個別供給路216、圧力室218、ノズル連通路220、循環個別流路226、及び循環共通流路228は、流路構造体210に形成される。ノズル部281は、ノズル開口280、及びノズル連通路220を備えている。
個別供給路216は圧力室218とインク供給路214とを繋ぐ流路である。ノズル連通路220は圧力室218とノズル開口280とを繋ぐ流路である。循環個別流路226はノズル連通路220と循環共通流路228とを繋ぐ流路である。
流路構造体210の上には振動板266が設けられる。振動板266の上には接着層267を介して圧電素子230が配置される。圧電素子230は下部電極265、圧電体層231及び上部電極264の積層構造を有している。なお、下部電極265は共通電極と呼ばれることがあり、上部電極264は個別電極と呼ばれることがある。
上部電極264は、各圧力室218の形状に対応してパターニングされた個別電極となっており、圧力室218ごとに、それぞれ圧電素子230が設けられている。
インク供給路214は、図4で説明したインク供給室232につながっており、インク供給路214から個別供給路216を介して圧力室218にインクが供給される。画像データに応じて、対応する圧力室218に設けられた圧電素子230の上部電極264に駆動電圧を印加することによって、圧電素子230、及び振動板266が変形して圧力室218の容積が変化し、これに伴う圧力変化によりノズル連通路220を介してノズル開口280からインクを吐出させる。
画像データから生成されるドットデータに応じて各ノズル開口280に対応した圧電素子230の駆動を制御することにより、ノズル開口280からインク液滴を吐出させることができる。インク液滴は液体の一態様である。圧力室218、及び圧電素子230は吐出素子の構成要素である。
用紙Sを一定の速度で用紙搬送方向に搬送しながら、用紙Sの搬送速度に合わせて各ノズル開口280からのインク液滴の吐出タイミングを制御することによって、用紙Sの上に所望の画像が形成される。
図示を省略するが、各ノズル開口280に対応して設けられている圧力室218は、その平面形状が概略正方形となっており、対角線上の両隅部の一方にノズル開口280への流出口が設けられ、他方に供給インクの流入口である個別供給路216が設けられている。
なお、圧力室の形状は、正方形に限定されない。圧力室の平面形状は、菱形、長方形などの四角形、五角形、六角形その他の多角形、円形、楕円形など、多様な形態があり得る。
ノズル開口280、及びノズル連通路220を含むノズル部281には、図示しない循環出口が形成される。ノズル部281は循環出口を介して循環個別流路226と連通される。ノズル部281のインクのうち、吐出に使用されないインクは循環個別流路226を介して循環共通流路228へ回収される。
循環共通流路228は、図4で説明したインク循環室236につながっている。循環個別流路226を通って常時インクが循環共通流路228へ回収されることにより、非吐出時におけるノズル部のインクの増粘が防止される。
なお、ヘッドモジュール200の内部構造は、図3から図6に示した構造に限定されない。ノズル開口280、ノズル部281の配置は、用紙Sの幅方向について一列に配置してもよいし、二列以上の配置でもよい。
図6には、圧電素子の例として、各ノズル部281に対応して個別に分離した構造を有する圧電素子230を例示した。もちろん、複数のノズル部281に対して一体に圧電体層231が形成され、各ノズル部281に対応して個別電極が形成され、ノズル部281ごとに活性領域が形成される構造を適用してもよい。
圧電素子に代わり圧力発生素子として圧力室218の内部にヒータを備え、当該ヒータに駆動電圧を供給して発熱させ、膜沸騰現象を利用して圧力室218内のインクをノズル開口280から吐出させるサーマル方式を適用してもよい。
[第一実施形態に係る媒体仕分けの説明]
次に、第一実施形態に係る媒体仕分けについて説明する。本実施形態に係る媒体仕分けは、ノズルチェックパターン形成、画像欠陥判別、及びやれ紙設定の処理を含んで構成される。以下に、上記した各構成について詳細に説明する。
<チェックパターンの説明>
図7はノズルチェックパターンを模式的に示した説明図である。図7に示すように、用紙Sの先端側余白領域201にノズルチェックパターン202が形成される。一枚の用紙Sには一色分のノズルチェックパターン202が形成される。ノズルチェックパターン202はチェックパターンの一態様である。
図7ではノズルチェックパターン202の一部を拡大して示す。図7に示したノズルチェックパターン202は、1オンNオフパターンを適用することができる。1オンNオフパターンは、用紙搬送方向に沿うドット列204が、用紙搬送方向と直交する方向についてN+1ノズル間隔の距離を離して複数形成され、用紙搬送方向と直交する方向に沿うドット列204の段が、用紙搬送方向について、用紙搬送方向と直交する方向の位相をずらして、N+1段配置されたものである。
1オンNオフパターンを構成するドット列204は、用紙搬送方向に一定の長さを有する線分である。
1オンNオフパターンの形成では、用紙搬送方向と直交する方向について、N+1ノズルおきにノズル部281からインクを吐出させて、用紙搬送方向に沿う一段分の複数のドット列204が形成され、インクを吐出させるノズル部を順に切り替えて、全てのノズル部を用いて用紙搬送方向に沿うドット列204の段が、N+1段形成される。
図7に示したノズルチェックパターン202は、用紙搬送方向と直交する方向におけるドット列204の間隔が四ノズル間隔であり、用紙搬送方向と直交する方向に沿うドット列群が四段形成されている。ノズルチェックパターン202は1オン3オフパターンである。
一色分のノズルチェックパターンの用紙搬送方向における全長は、図1に示したインラインセンサ58の読取解像度に応じて決められる。インラインセンサ58の読取解像度が相対的に高解像度であれば、用紙搬送方向と直交する方向におけるドット列204の間隔を相対的に狭くすることが可能であり、ノズルチェックパターンの用紙搬送方向における全長を相対的に短くすることが可能である。
用紙搬送方向と直交する方向におけるドット列204の間隔は相対的に広くし、ノズルチェックパターン202の用紙搬送方向における全長は相対的に長くすると、インラインセンサ58の読取解像度を相対的に低解像度とすることができる。
ノズルチェックパターン202は、用紙Sの後端側余白領域に形成してもよい。ノズルチェックパターン202が用紙Sの余白領域に形成されることで、ノズルチェックパターン202を形成するための専用の媒体が不要となる。
図7には、一枚の用紙Sに一色分のノズルチェックパターン202が形成される態様を例示したが、先端側余白領域201、又は後端側余白領域の用紙搬送方向の長さに余裕がある場合は、一枚の用紙Sに二以上の色のノズルチェックパターン202が形成されてもよい。
図8はノズルチェックパターン形成の手順の一部を示したフローチャートである。以下の説明では、図1から図7を適宜参照する。
図8に示したノズルチェックパターン形成は、シーケンス設定工程S10、Kインクノズルチェックパターン形成工程S12、用紙有無判別工程S14、Cインクノズルチェックパターン形成工程S16、用紙有無判別工程S18、Kインクノズルチェックパターン形成工程S20、用紙有無判別工程S22、Mインクノズルチェックパターン形成工程S24、及び用紙有無判別工程S26を含んで構成される。
図8のKインクはブラックインクである。図8のCインクはシアンインクである。図8のMインクはマゼンタインクである。
ノズルチェックパターン形成では、まず、シーケンス設定工程S10において、ノズルチェックパターン形成シーケンスが設定される。本実施形態では、ノズルチェックパターン形成シーケンスは、ブラック、シアン、ブラック、及びマゼンタの順にノズルチェックパターン202が形成されるシーケンスであり、以降、この色順が繰り返されるシーケンスが適用される。
シーケンス設定工程S10は、図2に示したシーケンス設定部126によって実行される。
図8のシーケンス設定工程S10において、ノズルチェックパターン形成シーケンスが設定されると、まず、Kインクノズルチェックパターン形成工程S12に進む。
Kインクノズルチェックパターン形成工程S12では、ブラックインクを吐出させる液体吐出ヘッド56Kを用いて、ブラックインクによるノズルチェックパターン202が形成される。
液体吐出ヘッド56Kを用いたノズルチェックパターン202が形成されると、用紙有無判別工程S14において、次の用紙Sの有無が判別される。用紙有無判別工程S14におけるNO判定である、次の用紙Sがない場合は、ノズルチェックパターン形成は終了される。
用紙有無判別工程S14におけるYES判定である、次の用紙Sがある場合は、Cインクノズルチェックパターン形成工程S16に進む。用紙有無判別工程S14は図示しない用紙有無判別部によって実行される。用紙有無の判別は図示しない用紙センサによる用紙検出情報が用いられる。用紙有無判別工程S18、用紙有無判別工程S22、用紙有無判別工程S26も同様である。
Cインクノズルチェックパターン形成工程S16では、シアンインクを吐出させる液体吐出ヘッド56Cを用いて、シアンインクによるノズルチェックパターン202が形成される。
液体吐出ヘッド56Cを用いたノズルチェックパターン202が形成されると、用紙有無判別工程S18において、次の用紙Sの有無が判別される。用紙有無判別工程S18におけるNO判定である、次の用紙Sがない場合は、ノズルチェックパターン形成は終了される。
用紙有無判別工程S18におけるYES判定である、次の用紙Sがある場合は、Kインクノズルチェックパターン形成工程S20に進む。Kインクノズルチェックパターン形成工程S20では、ブラックインクを吐出させる液体吐出ヘッド56Kを用いて、ブラックインクによるノズルチェックパターン202が形成される。
液体吐出ヘッド56Kを用いたノズルチェックパターン202が形成されると、用紙有無判別工程S22において、次の用紙Sの有無が判別される。用紙有無判別工程S22におけるNO判定である、次の用紙Sがない場合は、ノズルチェックパターン形成は終了される。
用紙有無判別工程S22におけるYES判定である、次の用紙Sがある場合は、Mインクノズルチェックパターン形成工程S24に進む。Mインクノズルチェックパターン形成工程S24では、マゼンタインクを吐出させる液体吐出ヘッド56Mを用いて、マゼンタインクによるノズルチェックパターン202が形成される。
液体吐出ヘッド56Mを用いたノズルチェックパターン202が形成されると、用紙有無判別工程S26において、次の用紙Sの有無が判別される。用紙有無判別工程S26におけるNO判定である、次の用紙Sがない場合は、ノズルチェックパターン形成は終了される。
用紙有無判別工程S26におけるYES判定である、次の用紙Sがある場合は、Kインクノズルチェックパターン形成工程S12へ戻る。以降、このシーケンスが繰り返し実行される。
図8に示したノズルチェックパターン形成は、一枚目の用紙Sに液体吐出ヘッド56Kを用いて、ブラックインクによるノズルチェックパターン202が形成される。二枚目の用紙Sに液体吐出ヘッド56Cを用いて、シアンインクによるノズルチェックパターン202が形成される。
三枚目の用紙Sに液体吐出ヘッド56Kを用いて、ブラックインクによるノズルチェックパターン202が形成される。四枚目の用紙Sに液体吐出ヘッド56Mを用いて、マゼンタインクによるノズルチェックパターン202が形成される。なお、ここでいう用紙Sの枚目は相対的な数である。
換言すると、図8に示したノズルチェックパターン形成では、ブラックインクによるノズルチェックパターン202は用紙S二枚に一回形成される。また、シアンインクによるノズルチェックパターン202、及びマゼンタインクによるノズルチェックパターン202は用紙四枚に一回形成される。
ブラックインクによるノズルチェックパターン202は、シアンインクによるノズルチェックパターン202、及びマゼンタインクによるノズルチェックパターン202よりも形成頻度が高い。
その理由は、ブラックインクは、シアンインク、及びマゼンタインクと比べて視認性が高く、視認性が高いインクほど画像欠陥が発見される可能性が高いからである。
ブラックは第一色の一態様である。シアンは第二色の一態様である。マゼンタは第二色の一態様である。
図10から図12に示したシーケンスにより形成されたノズルチェックパターンは、第一色を用いたチェックパターンの形成頻度を、第二色を用いたチェックパターンの形成頻度よりも高くしたチェックパターンの一態様である。
一方、液体吐出ヘッド56Yを用いた、イエローインクによるノズルチェックパターン202は形成されない。その理由は、イエローインクは他の色と比較して視認性が低く、他の色と比較して画像欠陥が発見される可能性が低いためである。
イエローインクのノズルチェックパターン202を用いる代わりに、イエローインクよりも視認性が高い他の色を用いたノズルチェックパターン202を用いることで、画像欠陥をより高い確率で発見しうる。
イエローは第三色の一態様である。図10から図12に示したシーケンスにより形成されたノズルチェックパターンは、第三色を用いたチェックパターンを非形成としたチェックパターンの一態様である。
図8に示したノズルチェックパターン形成シーケンスは一例であり、後述するように、ノズルチェックパターン形成シーケンスは多くのバリエーションが存在する。そして、ノズルチェックパターン形成シーケンスは、画像欠陥判別の条件等の諸条件に応じて、様々なシーケンスを適用しうる。
<画像欠陥判別の説明>
図9は画像欠陥判別の手順の流れを示したフローチャートである。以下の説明では、図1から図8を適宜参照する。
図9に示した画像欠陥判別は、ノズルチェックパターン読取工程S30、異常ノズル数計測工程S32、異常ノズル数比較工程S34、及びやれ紙設定工程S36を含んで構成される。
画像欠陥判別が開始されると、ノズルチェックパターン読取工程S30において、図1、及び図2に示したインラインセンサ58を用いて、用紙Sごとにノズルチェックパターン202の読み取りが実行される。
一枚の用紙Sに二以上の色のノズルチェックパターン202が形成されている場合は、少なくとも一色分のノズルチェックパターン202の読取情報を取得すればよい。
先に説明したように、ノズルチェックパターン202の読取情報は、図2に示した読取情報記憶部140に記憶される。ノズルチェックパターン読取工程S30において、ノズルチェックパターン202の読取情報が取得されると、異常ノズル数計測工程S32に進む。
異常ノズル数計測工程S32は、ノズルチェックパターン202の読取データを解析して、画像情報として異常ノズル数を計測する。異常ノズル数計測工程S32は、図2に示した読取情報解析部142によって実行される。
二以上の色分のノズルチェックパターン202の読取情報を取得した場合は、少なくとも一色分のノズルチェックパターン202について、異常ノズル数の計測がされればよい。
本実施形態における異常ノズルとは、図7に示したノズルチェックパターン202のドット列204を形成することができないノズル部281、ドット列204の位置ずれが発生するノズル部281、ドット列204の濃度が正常範囲外となるノズル部281、又はドット列204の形状が正常範囲外となるノズル部281のいずれかの条件を満たすノズル部281とすることができる。
図9の異常ノズル数計測工程S32において計測された異常ノズル数は、図2に示した異常ノズル数記憶部144に記憶される。図9の異常ノズル数計測工程S32において異常ノズル数が計測されると、比較工程S34に進む。
比較工程S34では、異常ノズル数計測工程S32において計測された異常ノズル数が、予め設定された以上であるか否かが判別される。比較工程S34におけるYES判定である、異常ノズル数が閾値以上の場合は、画像欠陥ありと判別される。比較工程S34において画像欠陥ありと判別されると、やれ紙設定工程S36に進む。
比較工程S34におけるNO判定である、異常ノズル数が閾値未満の場合は、画像欠陥判別は終了される。
やれ紙設定工程S36では、画像欠陥があると判別された用紙Sの情報、画像欠陥があると判別された用紙Sにノズルチェックパターン202を形成した液体吐出ヘッドの情報、及びノズルチェックパターン形成シーケンスの情報を用いてやれ紙が設定される。やれ紙設定工程S36においてやれ紙が設定されると、画像欠陥判別は終了される。
比較工程S34は、図2に示した画像欠陥判別部146によって実行される。図9のやれ紙設定工程S36は、図2のやれ紙設定部148によって実行される。
<第一実施形態に係るやれ紙設定の説明>
次に、図10から図12を用いて、第一実施形態に係るやれ紙設定について詳細に説明する。
図10はブラックインクを用いたノズルチェックパターンにより画像欠陥があると判別された場合のやれ紙設定を模式的に示した説明図である。図10において、用紙Sの下側に付したアルファベットはその用紙Sに形成されたノズルチェックパターン202の色を示している。
また、用紙を表す符号Sの添え字は、枚目の数を示している。例えば、Siはi枚目の用紙Sを表している。図11、及び図12についても同様である。
図10に示したノズルチェックパターン形成シーケンスは、図8を用いて説明した、ブラック、シアン、ブラック、及びマゼンタの順に、各用紙Sに一ヘッド分のノズルチェックパターンが形成され、これが繰り返されるシーケンスが適用される。図11、及び図12についても同様である。
図10に示すように、i枚目の用紙Siは図1に示した液体吐出ヘッド56Kによってブラックインクのノズルチェックパターン202が形成されている。i枚目の用紙Siに形成された画像に画像欠陥があると判別されると、用紙Siはやれ紙として設定される。
また、i枚目の用紙Siと同じ色のブラックインクによるノズルチェックパターン202が形成されたi−2枚目の用紙Si−2とi枚目の用紙Siとの間には、i−1枚目の用紙Si−1がある。
同様に、ブラックインクによるノズルチェックパターン202が形成されたi枚目の用紙Siとi+2枚目の用紙Si+2との間には、i+1枚目の用紙Si+1がある。ブラックインクによるノズルチェックパターン202が形成された用紙Sの間の用紙Si−1、及び用紙Si+1はやれ紙として設定される。
すなわち、画像欠陥があると判別されたi枚目の用紙Si、i枚目の用紙Siのプラス1枚目の用紙Si+1、及びi枚目の用紙Siのマイナス1枚目の用紙Si−1の三枚の用紙Sがやれ紙として設定される。
用紙Si−1、及び用紙Si+1は、画像欠陥がないと判別されている用紙である。しかし、用紙Si−1はシアンインクによるノズルチェックパターン202を用いた画像欠陥の有無が判別された用紙である。
また、用紙Si+1はマゼンタインクによるノズルチェックパターン202を用いた画像欠陥の有無が判別された用紙である。用紙Si−1、及び用紙Si+1はブラックインクによるノズルチェックパターン202を用いた画像欠陥の有無が判別されていない。
そうすると、用紙Si−1、及び用紙Si+1は、ブラックインクの画像欠陥が発生しているか否かが判別されていないので、ブラックインクの画像欠陥が発生している可能性がある。
つまり、ブラックインクによるノズルチェックパターン202によって正常画像が形成されたと判別された最後の用紙Si−2の次の用紙Si−1から、画像欠陥があると判別された用紙Si以降にブラックインクによるノズルチェックパターン202によって正常画像が形成されたと判別された最初の用紙Si+2の一つ前の用紙Si+1までは、ブラックインクの画像欠陥が発生している可能性がある。
そこで、ブラックインクによるノズルチェックパターン202によって正常画像が形成されたと判別された最後の用紙Si−2の一つ後の用紙Si−1から、画像欠陥があると判別された用紙Si以降にブラックインクによるノズルチェックパターン202によって正常画像が形成されたと判別された最初の用紙Si+2の一つ前の用紙Si+1までは、やれ紙として設定される。
図10に示したi−2枚目の用紙Si−2以前の用紙Sは、正常画像が形成された用紙Sとして図1に示した排紙台76へ送られる。一方、図10に示したi−1枚目の用紙Si−1からi+1枚目の用紙Si+1までの三枚の用紙は、やれ紙として図1に示したやれ紙収容部75へ送られる。図10に示したi+2枚目の用紙Si+2以降の用紙Sは、正常画像が形成された用紙Sとして図1に示した排紙台76へ送られる。
画像形成が再開されると、やれ紙として設定された用紙Si−1、用紙Si、及び用紙Si+1のうち、先頭の用紙Sである用紙Si−1に形成される画像から順に画像形成が再開される。また、画像形成再開後に画像形成がされる用紙Sの枚数に、やれ紙として設定された用紙Sの枚数が加算される。
図11はシアンインクによるノズルチェックパターンが形成された用紙が、画像欠陥があると判別された場合のやれ紙設定を模式的に示した説明図である。
図11に示すように、画像欠陥があると判別されたi枚目の用紙Siに、シアンインクによるノズルチェックパターン202が形成されている場合、i枚目の用紙Siの一回前にシアンインクによるノズルチェックパターン202が形成された用紙Sはi−4枚目の用紙Si−4である。
シアンインクによるノズルチェックパターン202が形成されたi−4枚目の用紙Si−4から、シアンインクによるノズルチェックパターン202が形成されたi枚目の用紙Siまでの間には、i−3枚目の用紙Si−3、i−2枚目の用紙Si−2、及びi−1枚目の用紙Si−1の三枚の用紙Sがある。
これら三枚の用紙Si−3、用紙Si−2、及び用紙Si−1は、シアンインク以外の色のインクによるノズルチェックパターン202が形成されているので、シアンインクによるノズルチェックパターン202を用いた画像欠陥の有無が判別されていない。
また、i枚目の用紙Siの一回後にシアンインクによるノズルチェックパターン202が形成された用紙Sはi+4枚目の用紙Si+4である。
シアンインクによるノズルチェックパターン202が形成されたi枚目の用紙Siから、シアンインクによるノズルチェックパターン202が形成されたi+4枚目の用紙Si+4までの間には、i+1枚目の用紙Si+1、i+2枚目の用紙Si+2、及びi+3枚目の用紙Si+3の三枚の用紙Sがある。
これら三枚の用紙Si+1、用紙Si+2、及び用紙Si+3は、シアンインク以外の色のインクによりノズルチェックパターン202が形成されているので、シアンインクによるノズルチェックパターン202を用いた画像欠陥の有無が判別されていない。
そこで、画像欠陥があると判別されたi枚目の用紙Siにシアンインクによるノズルチェックパターン202が形成されている場合は、シアンインクによるノズルチェックパターン202が形成された用紙Sの間のi−3枚目の用紙Si−3、i−2枚目の用紙Si−2、i−1枚目の用紙Si−1、i+1枚目の用紙Si+1、i+2枚目の用紙Si+2、及びi+3枚目の用紙Si+3、並びにi枚目の用紙Siの七枚の用紙Sがやれ紙として設定される。
つまり、画像欠陥があると判別された用紙Si、並びに画像欠陥があると判別された用紙Siに形成されたノズルチェックパターン202と同じ色のインクによりノズルチェックパターン202が形成された用紙Si−4から用紙Si+4の間の用紙であり、画像欠陥があると判別された用紙Siに形成されたノズルチェックパターン202と異なる色のインクによりノズルチェックパターン202が形成された用紙Si−3、用紙Si−2、用紙Si−1、用紙Si+1、用紙Si+2、及び用紙Si+3は、やれ紙として設定される。
ここで、画像欠陥があると判別された用紙Siに形成されたノズルチェックパターン202と同じ色のインクによりノズルチェックパターン202が形成された用紙Si−4、及び用紙Si+4は、画像欠陥がないと判別された用紙である。
画像形成が再開されると、やれ紙として設定された用紙Si−3から用紙Si+3のうち、先頭の用紙Sである用紙Si−3に形成された画像から順に画像形成が再開される。
図12はマゼンタインクによるノズルチェックパターンにより画像欠陥があると判別された場合のやれ紙設定を模式的に示した説明図である。
画像欠陥があると判別されたi枚目の用紙Siが液体吐出ヘッド56Mを用いてマゼンタインクによるノズルチェックパターン202が形成されている場合は、図11を用いて説明した、画像欠陥があると判別されたi枚目の用紙Siが液体吐出ヘッド56Cを用いてシアンインクによるノズルチェックパターン202が形成されている場合と同様に、i−3枚目からi+3枚目までの七枚の用紙Sがやれ紙として設定される。
画像形成が再開された場合も、画像欠陥があると判別されたi枚目の用紙Siが液体吐出ヘッド56Cを用いてシアンインクによるノズルチェックパターン202が形成されている場合と同様に、やれ紙の先頭の用紙Si−3に形成された画像から画像形成が再開される。
換言すると、画像欠陥があると判別されたi枚目の用紙Siと同じ色のノズルチェックパターン202が形成された用紙S間の用紙数をAとすると、i枚目の用紙SiのマイナスA枚目の用紙Si−Aから、i枚目の用紙SiのプラスA枚目の用紙Si+Aまでの2×A+1枚の用紙Sがやれ紙として設定される。
そして、やれ紙として設定された用紙Si−Aから用紙Si+Aまでの用紙Sのうち、先頭の用紙Si−Aに形成された画像から画像形成が再開される。
このようにしてやれ紙が設定されると、正常の画像形成がされた用紙と、やれ紙として設定された用紙とは仕分けされる。本実施形態では、正常画像が形成された用紙と、やれ紙とは別々に集積される。
画像欠陥の原因として、ノズル部281への気泡の混入、ノズル開口280近傍への微小なごみ等の付着、又は画像形成中に用紙Sの搬送系が発生させる振動などが挙げられる。
ノズル部281への気泡の混入は、吐出により気泡が排出されることで解消しうる。また、ノズル開口280近傍への微小なごみ等の付着は、吐出によりごみ等が除去されれば解消しうる。更に、画像形成中に用紙Sの搬送系が発生させる振動は、画像形成中の条件の変動によって解消しうる。
すなわち、上記に例示した画像欠陥の原因は、偶発的に発生しうるものである。そうすると、任意の用紙Sにおいて画像欠陥が発生しても、後続する用紙Sにおいて画像欠陥が発生しないことがありうる。
本実施形態に示した用紙Sの仕分け方法は、このような偶発的に発生しうる原因に起因する画像欠陥が発生した場合、画像欠陥が発生している可能性がある用紙Sをやれ紙とし、かつ、やれ紙の数を最小限に抑えることが可能となる。
<画像形成の手順の説明>
図13は画像形成の手順を示したフローチャートである。以下の説明では、図1から図12を適宜参照する。
図13に示すように、画像形成は、画像欠陥判別工程S100、やれ紙設定工程S102、再開画像設定工程S104、画像形成再開工程S106、次画像有無判断工程S108、及び画像形成継続開始工程S110を含んで構成される。
画像欠陥判別工程S100は、図9を用いて既に説明したとおりであり、ここでの説明は省略する。画像欠陥判別工程S100におけるYES判定である、画像欠陥があると判別されると、やれ紙設定工程S102に進む。一方、画像欠陥判別工程S100におけるNO判定である、画像欠陥がないと判別されると、次画像有無判断工程S108に進む。
やれ紙設定工程S102は、図10から図12を用いて既に説明したとおりであり、ここでの説明は省略する。やれ紙設定工程S102によってやれ紙が設定されると、再開画像設定工程S104に進む。
再開画像設定工程S104では、やれ紙の仕分けがされた後に、画像形成が再開される際の最初の画像が設定される。画像形成が再開される際の最初の画像設定は、図10から図12を用いて既に説明したとおりであり、ここでの説明は省略する。
再開画像設定工程S104において、画像形成が再開される際の最初の画像が設定されると、画像形成再開工程S106へ進む。画像形成再開工程S106では、再開画像設定工程S104において設定された最初の画像の画像形成が開始される。
画像形成再開工程S106において画像形成が再開されると、画像欠陥判別工程S100へ進む。
次画像有無判断工程S108は、次の画像の有無が判断される。次画像有無判断工程S108におけるYES判定である、次の画像がある場合は、画像形成継続開始工程S110に進む。画像形成継続開始工程S110では、次の画像形成が開始される。
画像形成継続開始工程S110によって、次の画像形成が開始されると、画像欠陥判別工程S100へ進む。以降、画像欠陥判別工程S100から順に画像形成の各工程が実行される。次画像有無判断工程S108におけるNO判定である、次の画像がない場合は、画像形成は終了される。
このようにして、画像形成中に画像欠陥があると判別された用紙Sが発生すると、やれ紙が設定され、正常な画像形成がされた用紙と、やれ紙として設定された用紙が仕分けをされる。やれ紙が設定されると、やれ紙として設定された用紙の最初の画像から画像形成が再開される。
<作用効果の説明>
上記の如く構成された画像形成システム、及び用紙仕分け方法によれば、画像欠陥が発生している用紙、及び画像欠陥が発生している可能性がある用紙をやれ紙として判別することが可能であり、やれ紙の数が適正化され、やれ紙の発生による生産性の低下を抑制しうる。
やれ紙を自動的に専用のやれ紙収容部へ集積させることで、手作業によるやれ紙の除去と比較してやれ紙の除去が効率化される。
やれ紙とされた用紙のうち、先頭の用紙に形成された画像から画像形成が再開されるので、やれ紙が発生したとしても画像形成のシーケンスを変更せずにすむ。また、やれ紙とされた用紙Sの再度の画像形成、ソート等の工程が不要である。
[第二実施形態に係る媒体仕分けの説明]
次に、第二実施形態に係る媒体仕分けついて説明する。以下に説明する媒体仕分けは、バリアブル印刷に対応した媒体仕分けである。
バリアブル印刷とは、予め決められた順序に従って、内容が異なる画像を印刷する印刷形態である。バリアブル印刷の例として、カタログ、又はパンフレット等の冊子のページ順の印刷が挙げられる。他のバリアブル印刷の例として、宛名印刷、並びに名刺、及び名札等のカード印刷、若しくはチケット等のナンバリング印刷などが挙げられる。他のバリアブル印刷の適用例として、両面印刷が挙げられる。
バリアブル印刷では、やれ紙が発生すると、印刷順序が変わってしまう。また、やれ紙の再印刷、及び印刷物のソート等の工程が発生してしまう。そうすると、生産性が低下してしまう。そこで、以下に説明する媒体仕分けを適用することで、やれ紙の発生による生産性の低下を抑制される。
<バリアブル印刷の手順の説明>
図14は第二実施形態に係るやれ紙設定が適用される画像形成手順を模式的に示した説明図である。図14はバリアブル印刷の印刷手順を示している。図14に示す例は、1ページから12ページによって構成される印刷物を12ページから1ページへ降順に印刷する例である。用紙を示す符号Sの添え字はページ数を示している。
図14に示すように、用紙S一枚について一ヘッド分のノズルチェックパターン202が形成される。12ページには、液体吐出ヘッド56Kを用いてブラックインクによるノズルチェックパターン202が形成される。
11ページには、液体吐出ヘッド56Mを用いてマゼンタインクによるノズルチェックパターン202が形成される。10ページには、液体吐出ヘッド56Kを用いてブラックインクによるノズルチェックパターン202が形成される。
9ページには、液体吐出ヘッド56Cを用いてシアンインクによるノズルチェックパターン202が形成される。このようにして、1ページまで順にノズルチェックパターンが202形成される。
図15は第二実施形態に係るやれ紙設定を模式的に示した説明図である。図15には、jページの用紙Sが画像欠陥は発見されたと判別された場合である。jページの用紙Sjは液体吐出ヘッド56Kを用いてブラックインクによるノズルチェックパターン202が形成されている。
jページの一回前に液体吐出ヘッド56Kを用いてブラックインクによるノズルチェックパターン202が形成された用紙Sj+2はj+2ページである。jページの一回後に液体吐出ヘッド56Kを用いてブラックインクによるノズルチェックパターン202が形成された用紙Sj−2はj−2ページである。
ブラックインクによるノズルチェックパターン202が形成される用紙S間の用紙数Aは1である。
jページの用紙Sj、並びにjページのプラス1ページの用紙Sj+1、及びjページのマイナス1ページの用紙Sj−1の三枚の用紙Sがやれ紙として設定される。やれ紙が仕分けされた後は、やれ紙の先頭ページであるj+1ページから画像形成が再開される。
<作用効果の説明>
上記の如く構成された画像形成システム、及び用紙仕分け方法によれば、第一実施形態と同様の作用効果を得ることができる。また、やれ紙とされた用紙の先頭のページから画像形成が再開されるので、やれ紙が発生したとしても、ページ順の画像形成が維持される。
[画像形成シーケンスの変形例の説明]
次に、画像形成シーケンスの変形例について説明する。以下の説明では、第二実施形態の変形例として説明するが、以下の変形例は第一実施形態にも適用することができる。
<第一変形例の説明>
図16は第一変形例に画像形成手順を模式的に示した説明図である。以下の説明では、適宜図7、及び図15を参照する。
図16に示した画像形成手順では、図15に示した画像形成手順と、ノズルチェックパターン形成シーケンスが相違している。図16に示すように12ページから、ブラック、シアン、及びマゼンタの順に各用紙Sにノズルチェックパターン202が形成される。
図16に示した画像形成手順では、各色のノズルチェックパターン202が形成される用紙S間の用紙数Aは2なので、いずれのページに画像欠陥が発生したとしても、画像欠陥が発生したページからプラス2ページ、及び画像欠陥が発生したページからマイナス2ページの五枚の用紙Sがやれ紙として設定される。
第一変形例に係る媒体仕分けは、ブラックインクが用いられる頻度が、シアンインクが用いられる頻度、又はマゼンタインクが用いられる頻度よりも低い場合に有効である。
<第二変形例の説明>
図17は第二変形例に係る画像形成手順を模式的に示した説明図である。以下の説明では、適宜図7、及び図16を参照する。
図17に示した画像形成手順は、図16に示した画像形成手順と、イエローインクを用いたノズルチェックパターン202が形成される点で相違している。図17に示すように、12ページから、ブラック、シアン、マゼンタ、イエローの順に各用紙Sにノズルチェックパターン202が形成される。
図17に示した画像形成手順では、各色のノズルチェックパターン202が形成される用紙S間の用紙数Aは3なので、いずれのページに画像欠陥が発生したとしても、画像欠陥が発生したページからプラス3ページ、及び画像欠陥が発生したページからマイナス3ページの7ページ分の用紙Sがやれ紙として設定される。
第二変形例に係る媒体仕分けは、第一変形例と同様の作用効果を得ることができる。また、第二変形例に係る媒体仕分けはイエローインクの画像欠陥が画像全体の品質に影響する画像を形成する際に有効である。
<第三変形例の説明>
図18は第三変形例に係る画像形成手順を模式的に示した説明図である。以下の説明では、適宜図7、及び図16を参照する。
図18に示した画像形成手順は、図16に示した画像形成手順と、オレンジインク、レッドインク、及びグリーンインクを用いたノズルチェックパターン202が形成される点で相違している。
図18における符号Oはオレンジインクを用いたノズルチェックパターン202が形成される用紙Sであることを示している。図18における符号Rはレッドインクを用いたノズルチェックパターン202が形成される用紙Sであることを示している。図18における符号Gはグリーンインクを用いたノズルチェックパターン202が形成される用紙Sであることを示している。
図18に示した画像形成手順は、オレンジインクが用いられる液体吐出ヘッド、レッドインクが用いられる液体吐出ヘッド、及びグリーンインクが用いられる液体吐出ヘッドを備えている液体吐出装置に適用することができる。
すなわち、図18に示した画像形成手順は、オレンジ、レッド、又はグリーンなどの特色インクが用いられる液体吐出ヘッドを備えている液体吐出装置に適用することができる。特色インクの他の例として、ホワイトインク、透明インクなどが挙げられる。
図18に示した画像形成手順におけるやれ紙の設定は、先に説明した実施形態、及び変形例と同様に設定することができるので、ここでの説明は省略する。
図18に示した画像形成手順では、各色のノズルチェックパターン202が形成される用紙S間の用紙数Aは5なので、いずれのページに画像欠陥が発生したとしても、画像欠陥が発生したページからプラス5ページ、及び画像欠陥が発生したページからマイナス5ページの11ページ分の用紙Sがやれ紙として設定される。
図16から図18に示した印刷手順において、ブラックインクのノズルチェックパターンの形成頻度を、他の色のノズルチェックパターンの形成頻度よりも多くしてもよい。
本明細書では、画像形成システムの一例としてインクジェット記録装置を例示したが、画像形成システムはインク等の液体を用いた画像形成システムに限定されない。例えば、トナーを用いた電子写真方式の画像形成システムにも、上述した媒体仕分けを適用可能である。なお、本明細書における画像形成システムは、画像形成装置と読み替えることが可能である。
本明細書では、画像形成システムの一例として処理液を用いた画像形成システムを例示したが、処理液を用いずに画像形成を行う画像形成システムにも、上述した媒体仕分けを適用可能である。
以上説明した本発明の実施形態は、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、適宜構成要件を変更、追加、削除することが可能である。本発明は以上説明した実施形態に限定されるものではなく、本発明の技術的思想内で当該分野の通常の知識を有するものにより、多くの変形が可能である。