JP6462755B2 - 脳の機能改善剤および脳の機能改善用飲食品 - Google Patents

脳の機能改善剤および脳の機能改善用飲食品 Download PDF

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本発明は、脳の機能改善剤および脳の機能改善用飲食品に関するものである。
高齢化社会となりつつある近年においては、心身ともに健康でありたいという願望がますます高まっている。ヒトは、高齢になるにつれ記憶力や学習能力が徐々に衰えていく。また、アルツハイマー病やパーキンソン病等においては、神経の変性による認知機能の障害が大きな問題となっている。一方、仕事環境、家庭的事情、人間関係などの様々なストレスによるうつ病等の気分障害をはじめ、高齢でなくとも脳の機能に問題を抱えている患者数は年々増加している。
従来から研究されている脳の機能の改善方法としては、脳における神経細胞への栄養や酸素の供給の改善(例えば、脳内グルコースの上昇、血流の改善等);シナプス間隙で行われる神経伝達の改善(神経伝達物質の前駆体の供給、神経伝達物質の放出の増加、受容体の活性化、放出された神経伝達物質の変換阻害等);などが挙げられる。
また、アストロサイトやマイクログリア等の活性化が、様々な脳の機能の障害に関連することが明らかになりつつある。例えば、老化した脳においては、マイクログリアが活性化した状態となって、神経障害因子であるIL−1β(interleukin-1β)や一酸化窒素(NO)等の産生亢進が起こっており、神経障害の原因となる。ここで、神経障害の亢進または慢性化は、認知障害、抑うつ等のほか、アルツハイマー病やパーキンソン病等の神経変性疾患と関連があることが分かっている(非特許文献1)。そのため、神経障害を抑制することができれば、老化等による神経障害に起因して低下した認知機能(記憶能力や学習能力等)を改善させることができ、また認知機能障害、気分障害、さらにはアルツハイマー病やパーキンソン病等の神経変性疾患の予防、治療または改善につながるものと考えられている(非特許文献2)。一方で、脳において、TGF−β(tumor necrosis factor-β)が、神経障害を抑制する神経保護因子として作用することも知られている(非特許文献3)。
一方、食品成分が脳の機能に影響を及ぼすことが近年の研究で明らかになりつつあり、脳の機能改善、抗うつ、抗認知症などに関する効果を有する食品成分が注目されている。例えば、イチョウ葉エキスについては、脳の細胞の活性化作用等が知られている(特許文献1)。
特開2007−277183号公報
臨床神経学,2014年,54巻,12号,pp.1119-1121 精神神経学雑誌,2012年,114巻,2号,pp.124-133 Int. J. Mol. Sci.,2012年,vol.13,issue 7,pp.8219-8258.
本発明は、安全性の高い天然物の中から脳の機能を改善する作用を有するものを見出し、それを有効成分とする脳の機能改善剤、ならびに当該成分を配合した脳の機能改善用飲食品を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明に係る脳の機能改善剤は、ブラックジンジャー抽出物を有効成分として含有することを特徴とする。また、本発明に係る脳の機能改善用飲食品は、ブラックジンジャー抽出物を配合したことを特徴とする。
本発明によれば、天然物に由来するブラックジンジャー抽出物を有効成分として含有させることにより、作用効果に優れ、かつ安全性の高い脳の機能改善剤を提供することができる。さらに、ブラックジンジャー抽出物を配合することにより、上記作用に優れた脳の機能改善用飲食品を提供することができる。
以下、本発明の実施の形態について説明する。
本実施形態に係る脳の機能改善剤は、ブラックジンジャー抽出物を有効成分として含有するものである。また、本実施形態に係る脳の機能改善用飲食品は、ブラックジンジャー抽出物が配合されるものである。
前記ブラックジンジャー(黒ショウガ)は、ショウガ科バンウコン属の植物であり、学名はKaempferia parvifloraである。
前記ブラックジンジャーは、東南アジアのタイ等に分布しており、この地域から容易に入手可能である。
前記ブラックジンジャーの抽出物は、植物の抽出に一般に用いられている方法により容易に得ることができる。なお、前記ブラックジンジャーの抽出物には、ブラックジンジャーの抽出液、該抽出液の希釈液を乾燥して得られる乾燥物、又はこれらの粗精製物もしくは精製物のいずれもが含まれる。
前記ブラックジンジャーの抽出原料としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ブラックジンジャーの根茎部などを用いることができる。
前記抽出原料であるブラックジンジャーの根茎部は、乾燥した後、そのまま又は粗砕機を用い粉砕して溶媒抽出に供することにより得ることができる。乾燥は天日で行ってもよいし、通常使用されている乾燥機を用いて行ってもよい。前記ブラックジンジャーは、ヘキサン、ベンゼン等の非極性溶媒によって脱脂等の前処理を施してから抽出原料として使用してもよい。なお、脱脂等の前処理を行うことにより、ブラックジンジャーの極性溶媒による抽出処理を効率よく行うことができる。
前記抽出に用いる溶媒としては、水、親水性有機溶媒、又はこれらの混合溶媒を室温乃至溶媒の沸点以下の温度で用いることが好ましい。
前記抽出溶媒として使用し得る水としては、例えば、純水、水道水、井戸水、鉱泉水、鉱水、温泉水、湧水、淡水等の他、これらに各種処理を施したものが含まれる。水に施す処理としては、例えば、精製、加熱、殺菌、濾過、イオン交換、浸透圧の調整、緩衝化等が含まれる。なお、前記抽出溶媒として使用し得る水には、精製水、熱水、イオン交換水、生理食塩水、リン酸緩衝液、リン酸緩衝生理食塩水等も含まれる。
前記親水性有機溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、プロピルアルコール、イソプロピルアルコール等の炭素数1〜5の低級アルコール;アセトン、メチルエチルケトン等の低級脂肪族ケトン;1,3−ブチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン等の炭素数2〜5の多価アルコールなどが挙げられ、これら親水性有機溶媒と水との混合溶媒などを用いることができる。
なお、前記水と親水性有機溶媒との混合溶媒を使用する場合には、低級アルコールの場合は水10質量部に対して1質量部〜90質量部、低級脂肪族ケトンの場合は水10質量部に対して1質量部〜40質量部添加することが好ましい。多価アルコールの場合は水10質量部に対して1質量部〜90質量部添加することが好ましい。
本発明において、抽出原料であるブラックジンジャーから、脳の機能改善作用を有する物質を抽出するにあたって特殊な抽出方法を採用する必要はなく、室温又は還流加熱下で、任意の抽出装置を用いて抽出することができる。
具体的には、抽出溶媒を満たした処理槽内に、抽出原料としてのブラックジンジャーの根茎部を投入し、更に必要に応じて時々攪拌しながら、30分間〜2時間静置して可溶性成分を溶出した後、濾過して固形物を除去し、得られた抽出液から抽出溶媒を留去し、乾燥することにより抽出物が得られる。抽出溶媒量は通常、抽出原料の5〜15倍量(質量比)である。抽出条件は、抽出溶媒として水を用いた場合には、通常50℃〜95℃にて1〜4時間程度である。また、抽出溶媒として水とエタノールとの混合溶媒を用いた場合には、通常40℃〜80℃にて30分間〜4時間程度である。なお、溶媒で抽出することにより得られる抽出液は、抽出溶媒が安全性の高いものであれば、そのまま本発明の脳の機能改善作用剤として用いることができる。
得られるブラックジンジャーの抽出液は、該抽出液の希釈液若しくは濃縮液、該抽出液の乾燥物、又はこれらの粗精製物若しくは精製物を得るため、常法に従って希釈、濃縮、乾燥、精製等の処理を施してもよい。
〔脳の機能改善剤〕
以上のようにして得られるブラックジンジャーの抽出物は、優れた脳の機能改善作用を有しているため、脳の機能改善剤の有効成分として用いることができる。本実施形態に係る脳の機能改善剤は、医薬品、医薬部外品、化粧品等の幅広い用途に使用することができる。
ブラックジンジャーの抽出物が有する脳の機能改善作用は、例えば、アストロサイトにおける神経障害因子の産生抑制作用および/またはアストロサイトにおける神経保護因子の産生促進作用に基づいて発揮される。ここで、前記神経障害因子としては、IL−1β(interleukin-1β)、TNF−α(tumor necrosis factor-α)、IL−6(interleukin-6)等の神経障害性サイトカインの他、一酸化窒素(NO)等の低分子化合物も含まれる。また、NOを産生するiNOS(inducible nitric oxide synthase)も、神経障害因子に含まれる。本実施形態において、前記アストロサイト神経障害因子産生抑制作用は、アストロサイト一酸化窒素産生抑制作用、アストロサイトiNOS発現上昇抑制作用、アストロサイトIL−1β発現上昇抑制作用、アストロサイトTNF−α発現上昇抑制作用、およびアストロサイトIL−6発現上昇抑制作用からなる群より選択される1種または2種以上の作用であることが好ましい。
一方、前記神経保護因子としては、TGF−β(tumor necrosis factor-β)、グリア細胞由来神経栄養因子(glial cell line-derived neurotrophic factor:GDNF)等が挙げられる。本実施形態において、前記アストロサイト神経保護因子産生促進作用は、アストロサイトTGF−β産生促進作用であることが好ましい。
ただし、ブラックジンジャーの抽出物が有する脳の機能改善作用は、上記作用に基づいて発揮される脳の機能改善作用に限定されるものではない。
また、ブラックジンジャーの抽出物は、そのアストロサイト神経障害因子産生抑制作用および/またはアストロサイト神経保護因子産生促進作用を利用して、アストロサイト神経障害因子産生抑制作用剤またはアストロサイト神経保護因子産生促進剤の有効成分として使用してもよく、さらに具体的には、アストロサイト一酸化窒素産生抑制剤、アストロサイトiNOS発現上昇抑制剤、アストロサイトIL−1β発現上昇抑制剤、アストロサイトTNF−α発現上昇抑制剤、アストロサイトIL−6発現上昇抑制剤、またはアストロサイトTGF−β産生促進剤の有効成分として使用してもよい。
本実施形態に係る脳の機能改善剤は、ブラックジンジャーの抽出物のみからなるものでもよいし、ブラックジンジャーの抽出物を含有する組成物を製剤化したものでもよい。
本実施形態に係る脳の機能改善剤は、デキストリン、シクロデキストリン等の薬学的に許容し得るキャリアーその他任意の助剤を用いて、常法に従い、粉末状、顆粒状、錠剤状、液状等の任意の剤形に製剤化することができる。この際、助剤としては、例えば、賦形剤、結合剤、崩壊剤、滑沢剤、安定剤、矯味・矯臭剤等を用いることができる。脳の機能改善剤は、他の組成物(例えば、脳の機能改善用飲食品等)に配合して使用することができるほか、錠剤、カプセル剤等として使用することができる。
本実施形態に係る脳の機能改善剤を製剤化した場合、ブラックジンジャーの抽出物を含有する組成物の含有量は、特に限定されるものではなく、目的に応じて適宜設定することができる。
なお、本実施形態に係る脳の機能改善剤は、必要に応じて、脳の機能改善作用を有する他の天然抽出物等を、ブラックジンジャーの抽出物を含有する組成物とともに配合して有効成分として用いることができる。
本実施形態に係る脳の機能改善剤の患者に対する投与方法としては、経口投与、静脈内投与等が挙げられるが、疾患の種類に応じて、その予防または治療等に好適な方法を適宜選択すればよい。また、本実施形態に係る脳の機能改善剤の投与量も、疾患の種類、重症度、患者の個人差、投与方法、投与期間等によって適宜増減すればよい。
本実施形態に係る脳の機能改善剤は、有効成分であるブラックジンジャーの抽出物が有するアストロサイト神経障害因子産生抑制作用および/またはアストロサイト神経保護因子産生促進作用を通じて、神経障害を抑制するとともに神経細胞を保護し、記憶能力や学習能力の向上;健忘症や老年性認知機能障害の予防、治療または改善;アルツハイマー病やパーキンソン病等の神経変性疾患の予防、治療または改善;うつ病等の気分障害の予防、治療または改善;に用いることができる。ただし、本実施形態に係る脳の機能改善剤は、これらの用途以外にもアストロサイト神経障害因子産生抑制作用および/またはアストロサイト神経保護因子産生促進作用を発揮することに意義のあるすべての用途に用いることができる。
また、本実施形態に係る脳の機能改善剤は、優れた脳の機能改善作用を有するので、これらの作用機構に関する研究のための試薬としても好適に利用することができる。
〔脳の機能改善用飲食品〕
ブラックジンジャーの抽出物は、優れた脳の機能改善作用を有しているため、脳の機能改善用の飲食品に配合するのに好適である。この場合、ブラックジンジャーの抽出物をそのまま配合してもよいし、ブラックジンジャーの抽出物から製剤化した脳の機能改善剤を配合してもよい。
ここで、飲食品とは、人の健康に危害を加えるおそれが少なく、通常の社会生活において、経口または消化管投与により摂取されるものをいい、行政区分上の食品、医薬品、医薬部外品等の区分に制限されるものではない。したがって、本実施形態における「飲食品」は、経口的に摂取される一般食品、健康食品(機能性飲食品)、保健機能食品(特定保健用食品,栄養機能食品)、医薬部外品、医薬品等を幅広く含むものである。
ブラックジンジャーの抽出物または上記脳の機能改善剤を飲食品に配合することにより、脳の機能改善作用、アストロサイト神経障害因子産生抑制作用またはアストロサイト神経保護因子産生促進作用を飲食品に付与することができる。
ブラックジンジャーの抽出物、またはブラックジンジャーの抽出物から製剤化した脳の機能改善剤を飲食品に配合して脳の機能改善用飲食品とする場合、それらにおける有効成分の配合量は、使用目的、症状、性別等を考慮して適宜変更することができるが、添加対象となる飲食品の一般的な摂取量を考慮して、成人1日あたりの抽出物摂取量が約1〜1000mgになるようにするのが好ましい。なお、添加対象飲食品が顆粒状、錠剤状またはカプセル状の飲食品の場合、ブラックジンジャーの抽出物、またはブラックジンジャーの抽出物から製剤化した脳の機能改善剤の添加量は、添加対象飲食品に対して通常0.1〜100質量%であり、好ましくは5〜100質量%である。
本実施形態に係る脳の機能改善用飲食品は、ブラックジンジャーの抽出物をその活性を妨げないような任意の飲食品に配合したものであってもよいし、ブラックジンジャーの抽出物を主成分とする栄養補助食品であってもよい。
本実施形態に係る脳の機能改善用飲食品を製造する際には、例えば、デキストリン、デンプン等の糖類;ゼラチン、大豆タンパク、トウモロコシタンパク等のタンパク質;アラニン、グルタミン、イソロイシン等のアミノ酸類;セルロース、アラビアゴム等の多糖類;大豆油、中鎖脂肪酸トリグリセリド等の油脂類などの任意の助剤を添加して任意の形状の飲食品にすることができる。
ブラックジンジャーの抽出物を配合し得る飲食品は特に限定されないが、その具体例としては、清涼飲料、炭酸飲料、栄養飲料、果実飲料、乳酸飲料等の飲料(これらの飲料の濃縮原液および調整用粉末を含む);アイスクリーム、アイスシャーベット、かき氷等の冷菓;そば、うどん、はるさめ、ぎょうざの皮、しゅうまいの皮、中華麺、即席麺等の麺類;飴、チューインガム、キャンディー、ガム、チョコレート、錠菓、スナック菓子、ビスケット、ゼリー、ジャム、クリーム、焼き菓子等の菓子類;かまぼこ、ハム、ソーセージ等の水産・畜産加工食品;加工乳、発酵乳等の乳製品;サラダ油、てんぷら油、マーガリン、マヨネーズ、ショートニング、ホイップクリーム、ドレッシング等の油脂および油脂加工食品;ソース、たれ等の調味料;スープ、シチュー、サラダ、惣菜、漬物;その他種々の形態の健康・栄養補助食品;錠剤、カプセル剤、ドリンク剤などが挙げられ、これらの飲食品にブラックジンジャーの抽出物を配合するときに、通常用いられる補助的な原料や添加物を併用することができる。
なお、本実施形態に係る脳の機能改善剤および脳の機能改善用飲食品は、ヒトに対して好適に適用されるものであるが、それぞれの作用効果が奏される限り、ヒト以外の動物(例えば,マウス,ラット,ハムスター,イヌ,ネコ,ウシ,ブタ,サル等)に対して適用することもできる。
以下、製造例及び試験例を示し、本発明を具体的に説明するが、本発明は下記の各例に何ら制限されるものではない。
〔製造例1〕
−ブラックジンジャーの抽出物の製造−
抽出原料としてブラックジンジャーの根茎部の粉砕物100gを、60質量%エタノール1,000mLに投入し、穏やかに攪拌しながら2時間、80℃に保った後、濾過した。濾液を40℃で減圧下に濃縮し、更に減圧乾燥機で乾燥して、抽出物(粉末状)を23.9g得た(試料1)。
〔試験例1〕アストロサイト一酸化窒素産生抑制作用試験
製造例1で得られたブラックジンジャー抽出物(試料1)について、アストロサイトにおける一酸化窒素産生抑制作用を以下のように試験した。
正常マウス由来アストロサイト(ASTC57)を、アストロサイト用培養メディウム(ASTM)を用いて前培養した後、トリプシン処理により細胞を回収した。回収した細胞を5×104 cells/mLの細胞密度になるようにASTMで希釈した後、96ウェルプレートに100μLずつ播種し、37℃・5%CO2 下でコンフルエントになるまで培養した。
培養終了後、培地を除去し、終濃度0.5%DMSOを含むフェノールレッド不含有ASTMに溶解した被験試料(試料1,試料濃度は下記表1を参照)を各ウェルに100μL添加し、続けてフェノールレッド不含有ASTMに溶解した終濃度0.5μg/mLのリポポリサッカライド(LPS)(E.coli 0111;B4,SIGMA社製)および5ng/mLのインターフェロン−ガンマ(IFN−γ)(from mouse,R&D systems社製)を100μL加え、24時間培養した。なお、対照として、試料無添加の0.5%DMSOを含むフェノールレッド不含有ASTM 100μLおよびフェノールレッド不含有・LPS・IFN−γ含有ASTM 100μLを加え、同様に培養した。
一酸化窒素(NO)産生量は、亜硝酸イオン(NO2 )量を指標に測定した。培養終了後、各ウェルの培養液100μLに、同量のグリス試薬(1質量%スルファニルアミド,0.1質量% N-1-naphthyl ethylenediamine dihydrochlorideを含む5質量%リン酸溶液)を添加し、10分間室温にて反応させた。反応後、波長540nmにおける吸光度を測定した。NO産生抑制率(%)は、試料無添加時(コントロール)のNO産生量をもとに、下記式により算出した。
NO産生抑制率(%)={(B−A)/B}×100
式中の各項はそれぞれ以下を表す。
A:被験試料添加時のNO量
B:被験試料無添加時のNO量
結果を表1に示す。
Figure 0006462755
表1に示すように、ブラックジンジャー抽出物(試料1)は、アストロサイトに対し、優れた一酸化窒素産生抑制作用を示すことが確認された。また、ブラックジンジャー抽出物の一酸化窒素産生抑制作用の強さは、抽出物の濃度によって調節できることが確認された。
〔試験例2〕アストロサイトにおける神経障害遺伝子発現上昇抑制作用試験
製造例1で得られたブラックジンジャー抽出物(試料1)について、アストロサイトにおける神経障害遺伝子発現上昇抑制作用を以下のように試験した。
正常マウス由来アストロサイト(ASTC57)を、アストロサイト用培養メディウム(ASTM)を用いて前培養した後、トリプシン処理により細胞を回収した。回収した細胞を5×104 cells/mLの細胞密度になるようにASTMで希釈した後、35mmシャーレに2mLずつ播種し、37℃・5%CO2 下でサブコンフルエントになるまで培養した。
培養終了後、培地を除去し、終濃度0.5%DMSOを含むASTMに溶解した被験試料(試料1,試料濃度は下記表2を参照)を各シャーレに1mL添加し、続けてASTMに溶解した終濃度0.5μg/mLのリポポリサッカライド(LPS)(E.coli 0111;B4,SIGMA社製)および5ng/mLのインターフェロン−ガンマ(IFN−γ)(from mouse,R&D systems社製)を1mL加え、24時間培養した。なお、陰性対照として試料無添加のASTM 1mLおよびLPS・IFN−γ無添加のASTM 1mLを加え、また比較対照として試料無添加のASTM 1mLおよびLPS・IFN−γ含有ASTM 1mLを加え、同様に培養した。培養後、培養液を除去し、RNAqueous phenol free total RNA isolation kit(invitrogen社製,Cat. No. AM1912)にて総RNAを抽出し、それぞれのRNA量を分光光度計にて測定し、100ng/μLになるように総RNAを調製した。
この総RNAを鋳型とし、iNOS、IL−1β、TNF−α、IL−6、および内部標準であるβ-actinについて、mRNAの発現量を測定した。ここで、iNOS、IL−1β、TNF−αおよびIL−6は、いずれも神経障害遺伝子であり、LPSおよびIFN−γの刺激により発現が上昇することが知られている。mRNAの検出は、リアルタイムPCR装置Smart Cycler(Cepheid社製)を用いて、TaKaRa SYBR PrimeScript RT-PCR Kit(Perfect Real Time)(タカラバイオ社製,code No. RR063A)によるリアルタイム2Step RT−PCR反応により行った。各遺伝子mRNAの発現量はβ-actinの発現量で補正し算出した。得られた値から、下記式により各遺伝子のmRNA発現上昇抑制率(%)を算出した。
mRNA発現上昇抑制率(%)={(A−B)−(A−C)}/(A−B)×100
式中の各項はそれぞれ以下を表す。
A:LPS・IFN−γ未刺激・試料無添加(陰性対照)での補正値
B:LPS・IFN−γ刺激・試料無添加(比較対照)での補正値
C:LPS・IFN−γ刺激・被験試料添加での補正値
結果を表2に示す。
Figure 0006462755
表2に示すように、ブラックジンジャー抽出物(試料1)は、アストロサイトにおいて、LPSおよびIFN−γの刺激によるiNOS、IL−1β、TNF−αおよびIL−6の各遺伝子mRNAの発現上昇を抑制した。そのため、ブラックジンジャー抽出物は、神経障害の予防、治療または改善に有効であると考えられる。
〔試験例3〕アストロサイトにおけるTGF−β mRNA発現促進作用試験
製造例1で得られたブラックジンジャー抽出物(試料1)について、アストロサイトにおけるTGF−β mRNA発現促進作用を以下のように試験した。
正常マウス由来アストロサイト(ASTC57)を、アストロサイト用培養メディウム(ASTM)を用いて前培養した後、トリプシン処理により細胞を回収した。回収した細胞を5×104 cells/mLの細胞密度になるようにASTMで希釈した後、35mmシャーレに2mLずつ播種し、37℃・5%CO2 下でサブコンフルエントになるまで培養した。
培養終了後、培地を除去し、終濃度0.5%DMSOを含むASTMに溶解した被験試料(試料1,試料濃度は下記表3を参照)を各シャーレに1mL添加し、続けてASTMに溶解した終濃度0.5μg/mLのリポポリサッカライド(LPS)(E.coli 0111;B4,SIGMA社製)および5ng/mLのインターフェロン−ガンマ(IFN−γ)(from mouse,R&D systems社製)を1mL加え、24時間培養した。なお、対照として、試料無添加のASTM 1mLおよびLPS・IFN−γ含有ASTM 1mLを加え、同様に培養した。培養後、培養液を除去し、RNAqueous phenol free total RNA isolation kit(invitrogen社製,Cat. No. AM1912)にて総RNAを抽出し、それぞれのRNA量を分光光度計にて測定し、100ng/μLになるように総RNAを調製した。
この総RNAを鋳型とし、TGF−β、および内部標準であるβ-actinについて、mRNAの発現量を測定した。mRNAの検出は、リアルタイムPCR装置Smart Cycler(Cepheid社製)を用いて、TaKaRa SYBR PrimeScript RT-PCR Kit(Perfect Real Time)(タカラバイオ社製,code No. RR063A)によるリアルタイム2Step RT−PCR反応により行った。TGF−β mRNAの発現量はβ-actinの発現量で補正し算出した。得られた値から、下記式によりTGF−β mRNA発現促進率(%)を算出した。
TGF−β mRNA発現促進率(%)=A/B×100
式中の各項はそれぞれ以下を表す。
A:被験試料添加での補正値
B:試料無添加での補正値
結果を表3に示す。
Figure 0006462755
表3に示すように、ブラックジンジャー抽出物(試料1)は、アストロサイトにおいて、優れたTGF−β mRNA発現促進作用を有することが確認された。そのため、ブラックジンジャー抽出物は、神経保護にも寄与するものと考えられる。
〔配合例1〕
常法により、以下の組成を有する脳の機能改善用錠剤を製造した。
ブラックジンジャー抽出物 5.0mg
ドロマイト(カルシウム20%、マグネシウム10%含有) 83.4mg
カゼインホスホペプチド 16.7mg
ビタミンC 33.4mg
マルチトール 136.8mg
コラーゲン 12.7mg
ショ糖脂肪酸エステル 12.0mg
〔配合例2〕
常法により、以下の組成を有する脳の機能改善用経口液状製剤を製造した。
<1アンプル(1本100mL)中の組成>
ブラックジンジャー抽出物 0.3質量%
ソルビット 12.0質量%
安息香酸ナトリウム 0.1質量%
香料 1.0質量%
硫酸カルシウム 0.5質量%
精製水 残部(100質量%)
〔配合例3〕
常法により、下記の組成を有するコーヒー飲料を製造した。
ブラックジンジャー抽出物 0.1質量部
コーヒー抽出液(L(明度)=20、Brix=3) 40質量部
マルチトール 2質量部
香料 適量
水 残部(100質量部)
本発明に係る脳の機能改善剤および脳の機能改善用飲食品は、記憶能力や学習能力の向上;健忘症や老年性認知機能障害の予防、治療または改善;アルツハイマー病やパーキンソン病等の神経変性疾患の予防、治療または改善;うつ病等の気分障害の予防、治療または改善;などに大きく貢献できる。

Claims (2)

  1. ブラックジンジャーの抽出物を有効成分とし、アストロサイトTGF−β産生促進用途用いられることを特徴とする脳の機能改善剤(バルプロ酸と併用するものを除く)。
  2. ブラックジンジャーの抽出物が配合され、アストロサイトTGF−β産生促進用途用いられることを特徴とする脳の機能改善用飲食品(バルプロ酸が配合されたものを除く)。
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