JP6462497B2 - ポリカーボネート用およびポリアリレート用添加剤、ポリカーボネート樹脂組成物、ポリアリレート樹脂組成物、並びにその成形品 - Google Patents

ポリカーボネート用およびポリアリレート用添加剤、ポリカーボネート樹脂組成物、ポリアリレート樹脂組成物、並びにその成形品 Download PDF

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本発明は、ポリカーボネート樹脂およびポリアリレート樹脂本来の特性(透明性、耐衝撃性、高剛性、機械強度、耐表層剥離性、耐熱性、耐薬品性等)を損なうことなく、成形加工時の流動性を向上させるための添加剤、それを含有する高流動性であって、色調及び耐加水分解性が良好なポリカーボネート樹脂組成物およびポリアリレート樹脂組成物、並びにその成形品に関する。
ポリカーボネート樹脂やポリアリレート樹脂は優れた機械特性、熱的性質を有しているため、OA(オフィスオートメーション)機器、情報・通信機器、電子・電気機器、家庭電化機器、自動車用部材、建築材料等、工業的に広く利用されている。しかしながらこれらの樹脂は、溶融粘度が高いため、流動性が悪く成形性に劣る欠点がある。
近年、これら樹脂組成物の成形品の大型化、薄肉化、形状複雑化、高性能化の進展や、環境問題への関心の高まりも伴って、ポリカーボネート樹脂やポリアリレート樹脂からなる成形品の優れた特性を損なうことなく、その溶融流動性を向上させ、成形加工性を高める技術が求められている。
例えば、芳香族ポリカーボネート系樹脂組成物の溶融流動性を向上させる方法としては、芳香族ポリカーボネート系樹脂自体を低分子量化する方法がよく知られている(特許文献1)。しかし、低分子量のポリカーボネート樹脂は、低分子量化により延性破壊から脆性破壊に変わる温度領域が高くなるため、室温でさえも耐衝撃強度が大幅に低下し、耐加水分解性も低下する等の問題がある。
特許文献2には、ペンタエリスリトール系エステル化合物を添加し、エステル交換によりポリカーボネート樹脂を低分子量化することで流動性を向上させることが記載されている。この方法では諸特性を大きく損なうことなく、流動性を向上させることができるが、衝撃強度の維持が不十分であり、エステル交換による黄変も懸念される。さらに、可塑剤として他の樹脂に常用されるジオクチルフタレートやジブチルフタレート等のフタル酸の脂肪族エステル類、あるいはトリクレジルホスフェートやジフェニルクレジルホスフェート等のリン酸エステル類等に関しても、芳香族ポリカーボネート樹脂との親和性に欠け、
また機械的・熱的特性を著しく低下させる。
これらの特性を損なうことなく流動性を向上させる方法として、特許文献3には特定のビスフェノール系化合物を添加することが記載されている。しかしながらこの方法は、低分子化合物を添加するために、成形時に添加物がブリードアウトすることが懸念される。
高分子の流動性向上剤の例としては、ポリカーボネート樹脂に、数種の(メタ)アクリル酸エステル単量体と芳香族アルケニル化合物とを重合して得られる共重合体を配合する方法や(特許文献4および5)、液晶性樹脂を配合する方法(特許文献6)が挙げられる。しかしながら、これらの方法では、成形加工時の溶融流動性は向上するものの、ポリカーボネート樹脂と配合物との相溶性が悪いために、得られる成形品の透明性を維持することができないという問題がある。
特許文献7には、コポリエステルカーボネート樹脂をポリカーボネート系樹脂の流動性向上剤として使用することで、透明性や機械強度を維持することが記載されている。しかしながら、流動性を向上させるためには、ポリカーボネート系樹脂とコポリエステルカーボネート樹脂とを組み合わせた樹脂組成物全体を100重量部とした場合に、コポリエステルカーボネート樹脂の配合量を20重量部以上にする必要があり、更なる機能発現効率の向上が求められている。
また、特許文献8や特許文献9にも、これらに開示された樹脂の添加によって、ポリカーボネート樹脂やポリアリレート樹脂の流動性が向上するかどうかに関する言及はない。
特開昭62−297319号公報 国際公開番号WO2012/068075号公報 特開平1−271456号公報 特開2013−213153号公報 特開2011−26593号公報 特開2002−249656号公報 特開平4−275360号公報 国際公開番号WO2011/033815号公報 特開昭61−69861号公報
本発明は、ポリカーボネート樹脂やポリアリレート樹脂本来の特性(透明性、耐衝撃性、高剛性、機械強度、耐表層剥離性、耐熱性、耐薬品性等)を損なうことなく、成形加工時の流動性を向上させるための添加剤を提供することを目的とする。さらに、それを含有する高流動性であって、色調および耐加水分解性が良好なポリカーボネート脂組成物、ポリアリレート樹脂組成物、並びにその成形品を提供することを目的とする。
本発明者らは、鋭意検討を重ねた結果、ポリカーボネート樹脂およびポリアリレート樹脂の流動性を向上させる成分として、ビスフェノール成分および脂肪族ジカルボン酸成分、並びに、任意でビフェノール成分を特定の比率で重縮合したポリエステルを含む添加剤を用い、この添加剤とポリカーボネート樹脂およびポリアリレート樹脂とを溶融混練することにより、ポリカーボネート樹脂やポリアリレート樹脂本来の有用な特性(特に透明性や衝撃強度)を損なうことなく、成形加工時の流動性を向上させることができることを見出した。
さらに、添加剤中に含まれる特定の不純物の量を特定量以下にすることにより、色調および耐加水分解性が良好なポリカーボネート樹脂組成物およびポリアリレート樹脂組成物が得られることを見出し、本発明を完成させるに至った。即ち、本発明は、下記1)〜11)で示される発明である。
1)下記一般式(2)
Figure 0006462497
(式中、X5〜X8は各々同一であっても異なっていてもよい、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜4のアルキル基を示す。Yはメチレン基、イソプロピリデン基、環状のアルキリデン基、アリール置換アルキリデン基、アリーレンジアルキリデン基、−S−、−O−、カルボニル基または−SO2−を示す。)
で表されるビスフェノール成分(B)、および、
下記一般式(3)
HOOC−R1−COOH ・・・(3)
(式中、R1は主鎖原子数2〜18で分岐を含んでいてもよい2価の直鎖状置換基を示す。)
で表されるジカルボン酸成分(C)を含むモノマーを重縮合してなるポリエステルを含み、(B)成分と(C)成分とのモル比率が、(B):(C)=45:55〜55:45であり、上記ポリエステルにおける、上記(B)成分および上記(C)成分に由来する部分の含有率が合計50モル%以上であって、1族金属、2族金族、4族金属、14族金属、および15族金属からなる群より選択される1種以上の金属元素の量が、合計60ppm以下であるポリカーボネート用およびポリアリレート用添加剤。
2)下記一般式(1)
Figure 0006462497
(式中、X1〜X4は各々同一であっても異なっていてもよい、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜4のアルキル基を示す。)
で表されるビフェノール成分(A)、
下記一般式(2)
Figure 0006462497
(式中、X5〜X8は各々同一であっても異なっていてもよい、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜4のアルキル基を示す。Yはメチレン基、イソプロピリデン基、環状のアルキリデン基、アリール置換アルキリデン基、アリーレンジアルキリデン基、−S−、−O−、カルボニル基または−SO2−を示す。)
で表されるビスフェノール成分(B)、および、
下記一般式(3)
HOOC−R1−COOH ・・・(3)
(式中、R1は主鎖原子数2〜18で分岐を含んでいてもよい2価の直鎖状置換基を示す。)
で表されるジカルボン酸成分(C)を含むモノマーを重縮合してなるポリエステルを含み、
(A)成分および(B)成分と、(C)成分とのモル比率が、{(A)+(B)}:(C)=45:55〜55:45であり、
上記ポリエステルにおける、上記(A)成分、上記(B)成分および上記(C)成分に由来する部分の含有率が、合計50モル%以上であって、1族金属、2族金族、4族金属、14族金属、および15族金属からなる群より選択される1種以上の金属元素の量が、合計60ppm以下であるポリカーボネート用およびポリアリレート用添加剤。
3)ポリエステルの数平均分子量が1000〜30000である1)〜2)のいずれか1項に記載のポリカーボネート用およびポリアリレート用添加剤。
4)ホスファイト系酸化防止剤をさらに含む添加剤であって、上記添加剤中に含まれる上記ホスファイト系酸化防止剤の含有量が、添加剤に含まれるポリエステルの重量に対して0.005〜5重量%である、1)〜3)のいずれか1項に記載のポリカーボネート用およびポリアリレート用添加剤。
5)ヒンダードフェノール系酸化防止剤をさらに含む添加剤であって、上記添加剤中に含まれる上記ヒンダードフェノール系酸化防止剤の含有量が、添加剤に含まれるポリエステルの重量に対して0.005〜5重量%である、4)に記載のポリカーボネート用およびポリアリレート用添加剤。
6)上記ポリエステル中の(C)成分からなる部分のR1に相当する部分が、直鎖の飽和脂肪族炭化水素鎖である、1)〜5)のいずれか1項に記載のポリカーボネート用およびポリアリレート用添加剤。
7)上記ポリエステル中の(C)成分からなる部分のR1に相当する部分は、主鎖原子数が偶数である、1)〜6)のいずれか1項に記載のポリカーボネート用およびポリアリレート用添加剤。
8)上記ポリエステルの末端が一官能性の低分子化合物で封止され、その封止率が60%以上である、1)〜7)のいずれか1項に記載のポリカーボネート用およびポリアリレート用添加剤。
9)ポリカーボネート樹脂またはポリアリレート樹脂80.0〜99.9質量%と、1)〜8)のいずれか1項に記載の添加剤0.1〜20質量%とを含有する樹脂組成物。
10)上記9)に記載の樹脂組成物を成形して得られる成形品。
本発明の添加剤によれば、ポリカーボネート樹脂やポリアリレート樹脂本来の特性(透明性、耐衝撃性、高剛性、機械強度、耐表層剥離性、耐熱性、耐薬品性等)を損なうことなく、これら樹脂の成形加工時の流動性を向上させることができる。
本発明の添加剤をポリカーボネート樹脂およびポリアリレート樹脂に添加して得られる樹脂組成物によれば、成形加工時の流動性がよく、色調および耐加水分解性が良好な成形品を得ることができ、例えば、ハードコート品、グレージング材、光拡散板、光ディスク基板、導光板等として優れた性能を有する。
本発明の成形品は、ポリカーボネート樹脂やポリアリレート樹脂本来の特性を有し、例えば、ハードコート品、グレージング材、光拡散板、光ディスク基板、導光板等として有用である。
本発明の一実施形態について以下に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。本発明は、以下に説明する各構成に限定されるものではなく、特許請求の範囲に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態や実施例にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態や実施例についても本発明の技術的範囲に含まれる。また、本明細書中に記載された学術文献及び特許文献の全てが、本明細書中において参考文献として援用される。なお、本明細書において特記しない限り、数値範囲を表す「A〜B」は、「A以上、B以下」を意味する。
本発明の添加剤は、ビスフェノール成分および脂肪族ジカルボン酸成分、並びに、任意でビフェノール成分を、特定の比率で重縮合したポリエステルを含んでいる。また、上記ポリエステルは、ポリカーボネート樹脂およびポリアリレート樹脂の流動性を向上させるために添加剤全体に対して90質量%以上含まれていることが好ましい。
本発明の1形態である、添加剤に含まれるポリエステルの主鎖の構造には、下記一般式(2)
Figure 0006462497
(式中、X5〜X8は各々同一であっても異なっていてもよい、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜4のアルキル基を示す。Yはメチレン基、イソプロピリデン基、環状のアルキリデン基、アリール置換アルキリデン基、アリーレンジアルキリデン基、−S−、−O−、カルボニル基または−SO2−を示す。)
で表されるビスフェノール成分(B)、および、
下記一般式(3)
HOOC−R1−COOH ・・・(3)
(式中、R1は主鎖原子数2〜18で分岐を含んでいてもよい2価の直鎖状置換基を示す。)
で表されるジカルボン酸成分(C)に由来する部分を含むことを特徴とし、さらに、(B)成分と(C)成分とのモル比率が、(B):(C)=45:55〜55:45であり、上記ポリエステルにおける、上記(B)成分および上記(C)成分に由来する部分の含有率が合計50モル%以上であることを特徴とする。
また、本発明の別の形態である、添加剤に含まれるポリエステルの主鎖の構造には、下記一般式(1)
Figure 0006462497
(式中、X1〜X4は各々同一であっても異なっていてもよい、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜4のアルキル基を示す。)
で表されるビフェノール成分(A)に由来する部分、
下記一般式(2)
Figure 0006462497
(式中、X5〜X8は各々同一であっても異なっていてもよい、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜4のアルキル基を示す。Yはメチレン基、イソプロピリデン基、環状のアルキリデン基、アリール置換アルキリデン基、アリーレンジアルキリデン基、−S−、−O−、カルボニル基または−SO2−を示す。)
で表されるビスフェノール成分(B)に由来する部分、および、
下記一般式(3)
HOOC−R1−COOH ・・・(3)
(式中、R1は主鎖原子数2〜18で分岐を含んでいてもよい2価の直鎖状置換基を示す。)
で表されるジカルボン酸成分(C)に由来する部分が、(A)成分および(B)成分と、
(C)成分とのモル比率が、{(A)+(B)}:(C)=45:55〜55:45となるように含まれ、かつ、上記(A)成分、上記(B)成分および上記(C)成分に由来する部分の含有率が、合計50モル%以上であることを特徴とする。
本発明の添加剤に含まれるポリエステルは、ビスフェノール成分(B)および任意のビフェノール成分(A)からなるジオール成分と、(C)成分からなるジカルボン酸成分とを重縮合することで製造されるポリエステルである。
上記ポリエステルは低分子化合物ではないことから、上記添加剤を添加して、ポリカーボネート樹脂やポリアリレート樹脂から形成される樹脂組成物を成形するときに、ブリードアウトが発生することを抑制することができる。
また、上記分子構造を有するポリエステルは、ポリカーボネート樹脂やポリアリレート樹脂との相溶性が高いために、上記ポリエステルを少量添加することにより、ポリカーボネート樹脂やポリアリレート樹脂に上記添加剤を添加して得られる樹脂組成物の流動性を効率的に向上させることができ、かつ、ポリカーボネート樹脂やポリアリレート樹脂が本来有している透明性や衝撃強度等の種々の特性を損なわない。
ジオール成分として(A)成分および(B)成分を用いる場合において、(A)成分と(B)成分とのモル比((A)/(B))は、好ましくは1/9〜9/1であり、より好ましくは1/7〜7/1であり、さらに好ましくは1/5〜5/1であり、最も好ましくは1/3〜1/1である。(A)/(B)が1/9よりもさらに(A)成分が少ない場合は、上記ポリエステル自体が完全に非晶性となり、ガラス転移温度が低くなることから、貯蔵時における添加剤のペレット同士の融着を引き起こす場合がある。(A)/(B)が9/1よりもさらに(B)成分が少ない場合には、ポリカーボネート樹脂やポリアリレート樹脂との相溶性が不十分となり、ポリカーボネート樹脂やポリアリレート樹脂に添加剤を添加して得られる樹脂組成物を4mm以上の厚肉の成形品に成形したときに、徐冷される途中に厚みの中心部分で相分離を起こす場合がある。
(A)成分、(B)成分および(C)成分のモル比率({(A)+(B)}:(C))は、45:55〜55:45である。また、上記モル比率は、得られるポリエステルの分子量を効率的に向上させるために、48:52〜52:48であることが好ましく、50:50であることがより好ましい。ただし、本発明におけるポリエステルにおいて、(A)成分は、0モルでもよい。
一般式(1)中のX1〜X4は各々同一であっても異なっていてもよく、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜4のアルキル基を示す。添加剤自体の結晶性を高め、ペレット貯蔵時の融着を防ぐ等の取り扱い性を良くするために、X1〜X4は全て水素原子であることがより好ましい。
一般式(2)中のX5〜X8は各々同一であっても異なっていてもよく、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜4のアルキル基を示す。ポリカーボネート樹脂やポリアリレート樹脂との相溶性を高めるために、X5〜X8は全て水素原子であることがより好ましい。Yはメチレン基、イソプロピリデン基、環状のアルキリデン基、アリール置換アルキリデン基、アリーレンジアルキリデン基、−S−、−O−、カルボニル基または−SO2−を示す。
一般式(2)で表されるビスフェノール成分としては、特に、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン〔通称:ビスフェノールA〕がポリカーボネート樹脂やポリアリレート樹脂との相溶性が高まる点で好適である。ビスフェノールA以外の二価フェノールとしては、例えば、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)オクタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−1−メチルフェニル)プロパン、1,1−ビス(4−ヒドロキシ−t−ブチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−ブロモフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−クロロフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジクロロフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジブロモフェニル)プロパン等のビス(ヒドロキシアリール)アルカン類;2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フェニルメタン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)ナフチルメタン等のビス(ヒドロキシアリール)アリールアルカン類;1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロペンタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,5,5−トリメチルシクロヘキサン等のビス(ヒドロキシアリール)シクロアルカン類;4,4’−ジヒドロキシフェニルエーテル、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジメチルフェニルエーテル等のジヒドロキシアリールエーテル類;4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルフィド、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジメチルジフェニルスルフィド等のジヒドロキシジアリールスルフィド類;4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホキシド、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジメチルジフェニルスルホキシド等のジヒドロキシジアリールスルホキシド類;4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジメチルジフェニルスルホン等のジヒドロキシジアリールスルホン類;4,4’−ジヒドロキシジフェニル等のジヒドロキシジフェニル類等が挙げられる。これらのビスフェノール成分は、それぞれ単独で用いてもよいし、本発明の効果を失わない範囲で二種以上を混合して用いてもよい。
本発明の添加剤の末端構造は特に限定されないが、特にポリカーボネート樹脂やポリアリレート樹脂に上記添加剤を添加して得られる樹脂組成物の黄変を抑制することができる点で、一官能性の低分子化合物で封止されていることが好ましい。
また、分子鎖の全末端に対する封止率は、好ましくは60%以上であり、より好ましくは70%以上であり、さらに好ましくは80%以上であり、最も好ましくは90%以上である。
添加剤の末端封止率は、封止された末端官能基および封止されていない末端官能基の数をそれぞれ測定し、下記式(5)により求めることができる。上記末端封止率の具体的な算出方法としては、1H−NMRを用いて、各末端基に対応する特性シグナルの積分値から各末端基の数を求め、その結果に基づいて、下記式(5)を用いて上記末端封止率を算出する方法が、精度、簡便さの点で好ましい。
末端封止率(%)={[封止された末端官能基数]/([封止された末端官能基数]+[封止されていない末端官能基数])}×100 ・・・(5)
封止に用いる一官能性の低分子化合物としては、一価のフェノール、炭素数1〜20のモノアミン、または脂肪族モノカルボン酸が挙げられる。一価のフェノールの具体例としては、フェノール、p−クレゾール、p−t−ブチルフェノール、p−t−オクチルフェノール、p−クミルフェノール、p−ノニルフェノール、p−t−アミルフェノール、4−ヒドロキシビフェニル、およびこれらの任意の混合物等が挙げられる。脂肪族モノカルボン酸の具体例としては、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、カプロン酸、カプリル酸、ラウリン酸、トリデカン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ピバリン酸、イソ酪酸等の脂肪族モノカルボン酸、およびこれらの任意の混合物等が挙げられる。これらのなかでも、高沸点で重合が容易である点から、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸が好ましい。モノアミンの具体例としては、メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、ブチルアミン、ヘキシルアミン、オクチルアミン、デシルアミン、ステアリルアミン、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジプロピルアミン、ジブチルアミン等の脂肪族モノアミン、およびこれらの任意の混合物等が挙げられる。
成分(C)において、下記一般式(3)
HOOC−R1−COOH ・・・(3)
中のR1は、主鎖原子数2〜18で分岐を含んでいてもよい2価の直鎖状置換基を表す。ここで主鎖原子数とは主鎖骨格の原子の数であり、例えば−R1−が−(CH28−である場合には、主鎖原子数は炭素原子の数であり「8」となる。添加剤自体の溶融粘度が低くなることから、R1は、分岐を含まない直鎖状置換基であることが好ましく、さらには分岐を含まない直鎖の脂肪族炭化水素鎖であることが好ましい。また、R1は飽和でも不飽和でもよいが、飽和脂肪族炭化水素鎖であることが好ましい。不飽和結合を含む場合には、上記ポリエステルが屈曲性を十分に得られないことがあり、添加剤自体の溶融粘度の増加を招く場合がある。上記ポリエステルの重合の容易さ、およびガラス転移点の向上を両立することができる点で、R1は炭素数2〜18の直鎖の飽和脂肪族炭化水素鎖であることが好ましく、炭素数4〜16の直鎖の飽和脂肪族炭化水素鎖であることがより好ましく、炭素数8〜14の直鎖の飽和脂肪族炭化水素鎖であることがさらに好ましく、炭素数8の直鎖の飽和脂肪族炭化水素鎖であることが最も好ましい。上記ポリエステルのガラス転移点の向上は、ポリカーボネート樹脂やポリアリレート樹脂に上記添加剤を添加して得られる樹脂組成物の耐熱性の向上につながる。添加剤自体の溶融粘度が低下する点で、R1の主鎖原子数は偶数であることが好ましい。以上の点から、R1は特に−(CH28−、−(CH210−、−(CH212−から選ばれる1種であることが好ましい。
本発明の添加剤に含まれる上記ポリエステルは、その効果を失わない程度に他のモノマーを共重合しても構わない。他のモノマーとしては、例えば、芳香族ヒドロキシカルボン酸、芳香族ジカルボン酸、芳香族ジオール、芳香族ヒドロキシアミン、芳香族ジアミン、芳香族アミノカルボン酸またはカプロラクタム類、カプロラクトン類、脂肪族ジカルボン酸、脂肪族ジオール、脂肪族ジアミン、脂環族ジカルボン酸、および脂環族ジオール、芳香族メルカプトカルボン酸、芳香族ジチオールおよび芳香族メルカプトフェノールが挙げられる。
ただし、上記ポリエステルを構成する上記他のモノマーの含有率は、上記ポリエステル全体のモル数に対して、50モル%未満であり、好ましくは、30モル%未満、より好ましくは、10モル%未満、最も好ましくは、5モル%未満である。上記他のモノマーの含有率が、上記ポリエステル全体のモル数に対して、50モル%以上である場合には、上記ポリエステルのポリカーボネート樹脂やポリアリレート樹脂に対する相溶性が低下し、上記ポリエステルがポリカーボネート樹脂やポリアリレート樹脂と相溶することが困難になる。
芳香族ヒドロキシカルボン酸の具体例としては、4−ヒドロキシ安息香酸、3−ヒドロキシ安息香酸、2−ヒドロキシ安息香酸、2−ヒドロキシ−6−ナフトエ酸、2−ヒドロキシ−5−ナフトエ酸、2−ヒドロキシ−7−ナフトエ酸、2−ヒドロキシ−3−ナフトエ酸、4’−ヒドロキシフェニル−4−安息香酸、3’−ヒドロキシフェニル−4−安息香酸、4’−ヒドロキシフェニル−3−安息香酸、およびそれらのアルキル、アルコキシまたはハロゲン置換体等が挙げられる。
芳香族ジカルボン酸の具体例としては、テレフタル酸、イソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、1,6−ナフタレンジカルボン酸、2,7−ナフタレンジカルボン酸、4,4’−ジカルボキシビフェニル、3,4’−ジカルボキシビフェニル、4,4”−ジカルボキシターフェニル、ビス(4−カルボキシフェニル)エーテル、ビス(4−カルボキシフェノキシ)ブタン、ビス(4−カルボキシフェニル)エタン、ビス(3−カルボキシフェニル)エーテル、ビス(3−カルボキシフェニル)エタン、およびそれらのアルキル、アルコキシまたはハロゲン置換体等が挙げられる。
芳香族ジオールの具体例としては、ピロカテコール、ハイドロキノン、レゾルシン、2,6−ジヒドロキシナフタレン、2,7−ジヒドロキシナフタレン、1,6−ジヒドロキシナフタレン、3,3’−ジヒドロキシビフェニル、3,4’−ジヒドロキシビフェニル、4,4’−ジヒドロキシビフェニル、4,4’−ジヒドロキシビフェノールエーテル、ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、2,2’−ジヒドロキシビナフチル、およびそれらのアルキル、アルコキシまたはハロゲン置換体等が挙げられる。
芳香族ヒドロキシアミンの具体例としては、4−アミノフェノール、N−メチル−4−アミノフェノール、3−アミノフェノール、3−メチル−4−アミノフェノール、4−アミノ−1−ナフトール、4−アミノ−4’−ヒドロキシビフェニル、4−アミノ−4’−ヒドロキシビフェニルエーテル、4−アミノ−4’−ヒドロキシビフェニルメタン、4−アミノ−4’−ヒドロキシビフェニルスルフィド、2,2’−ジアミノビナフチル、およびそれらのアルキル、アルコキシまたはハロゲン置換体等が挙げられる。
芳香族ジアミンおよび芳香族アミノカルボン酸の具体例としては、1,4−フェニレンジアミン、1,3−フェニレンジアミン、N−メチル−1,4−フェニレンジアミン、N,N’−ジメチル−1,4−フェニレンジアミン、4,4’−ジアミノフェニルスルフィド(チオジアニリン)、4,4’−ジアミノビフェニルスルホン、2,5−ジアミノトルエン、4,4’−エチレンジアニリン、4,4’−ジアミノビフェノキシエタン、4,4’−ジアミノビフェニルメタン(メチレンジアニリン)、4,4’−ジアミノビフェニルエーテル(オキシジアニリン)、4−アミノ安息香酸、3−アミノ安息香酸、6−アミノ−2−ナフトエ酸、7−アミノ−2−ナフトエ酸、およびそれらのアルキル、アルコキシまたはハロゲン置換体等が挙げられる。
脂肪族ジカルボン酸の具体例としては、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカン二酸、テトラデカン二酸、フマル酸、マレイン酸等が挙げられる。
脂肪族ジアミンの具体例としては、1,2−エチレンジアミン、1,3−トリメチレンジアミン、1,4−テトラメチレンジアミン、1,6−ヘキサメチレンジアミン、1,8−オクタンジアミン、1,9−ノナンジアミン、1,10−デカンジアミン、および1,12−ドデカンジアミン等が挙げられる。
脂環族ジカルボン酸、脂肪族ジオールおよび脂環族ジオールの具体例としては、ヘキサヒドロテレフタル酸、トランス−1,4−シクロヘキサンジオール、シス−1,4−シクロヘキサンジオール、トランス−1,4−シクロヘキサンジメタノール、シス−1,4−シクロヘキサンジメタノール、トランス−1,3−シクロヘキサンジオール、シス−1,2−シクロヘキサンジオール、トランス−1,3−シクロヘキサンジメタノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,2−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,8−オクタンジオール、1,10−デカンジオール、1,12−ドデカンジオール、ネオペンチルグリコール等の直鎖状または分鎖状脂肪族ジオール、およびそれらの反応性誘導体等が挙げられる。
芳香族メルカプトカルボン酸、芳香族ジチオールおよび芳香族メルカプトフェノールの具体例としては、4−メルカプト安息香酸、2−メルカプト−6−ナフトエ酸、2−メルカプト−7−ナフトエ酸、ベンゼン−1,4−ジチオール、ベンゼン−1,3−ジチオール、2,6−ナフタレン−ジチオール、2,7−ナフタレン−ジチオール、4−メルカプトフェノール、3−メルカプトフェノール、6−メルカプト−2−ヒドロキシナフタレン、7−メルカプト−2−ヒドロキシナフタレン、およびそれらの反応性誘導体等が挙げられる。
本発明の添加剤の製造には重合触媒を使用してもよい。重合触媒としては、従来からポリエステルの重合触媒として公知の触媒を使用することができ、例えば1族金属、2族金属、4族金属、14族金属および15族金属元素を含む金属塩触媒が挙げられる。1族金属、2族金属、4族金属、14族金属および15族金属元素を含む金属塩触媒の例としては酢酸マグネシウム、酢酸第一錫、テトラブチルチタネート、酢酸鉛、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、三酸化アンチモン等が挙げられる。なかでも、添加剤自体の変色を防止することができること、ポリカーボネート樹脂組成物やポリアリレート樹脂組成物の変色を防止することができることから、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、酢酸マグネシウムがより好ましい。
上記重合触媒由来の金属元素の含有量は少ないほど、ポリカーボネート樹脂やポリアリレート樹脂の加水分解による分子量低下や黄変を抑制することができる。従って、上記重合触媒の添加量は、ポリエステル樹脂の総重量に対し、通常、0.1×10-3〜1重量%、好ましくは0.5×10-3〜0.5重量%が好適である。
本発明において、添加剤中に含まれる1族金属、2族金属、4族金属、14族金属および15族金属からなる群より選択される1種以上の金属元素の量は合計60ppm以下であり、50ppm以下であることが好ましく、30ppm以下であることがより好ましく、10ppm以下であることがさらに好ましい。
また本発明においては、添加剤中に含まれる1族金属、2族金属および4族金属からなる群より選択される1種以上の金属元素の量が合計60ppm以下であることが好ましく、50ppm以下であることがより好ましく、30ppm以下であることがさらに好ましく、10ppm以下であることが最も好ましい。
また本発明においては、添加剤中に含まれる1族金属および2族金属からなる群より選択される1種以上の金属元素の量が合計60ppm以下であることが好ましく、50ppm以下であることがより好ましく、30ppm以下であることがさらに好ましく、10ppm以下であることが最も好ましい。
また本発明においては、添加剤中に含まれる1族金属の量が合計60ppm以下であることが好ましく、50ppm以下であることがより好ましく、30ppm以下であることがさらに好ましく、10ppm以下であることが最も好ましい。
また本発明においては、添加剤中に含まれるナトリウム金属の量が合計60ppm以下であることが好ましく、50ppm以下であることがより好ましく、30ppm以下であることがさらに好ましく、10ppm以下であることが最も好ましい。
上記金属塩触媒の他にも重合触媒として、N,N−ジメチルアミノピリジン、N−メチルイミダゾール等の有機化合物触媒も使用できる。
本発明の添加剤は、良好な色調の樹脂組成物が得られる点で、ホスファイト系酸化防止剤を予め含有していることが好ましい。その理由は、添加剤自体の変色を防止するため、および、添加剤に含まれる上記ポリエステルの重合に使用される重合触媒を失活させ、添加剤とポリカーボネート樹脂やポリアリレート樹脂とを混合するときに発生するおそれのある、添加剤に含まれる上記ポリエステルとポリカーボネート樹脂やポリアリレート樹脂とのエステル交換や加水分解反応による変色を防止することができるためであると考えられる。これによりポリカーボネート樹脂やポリアリレート樹脂の分子量の減少をより効果的に抑制することができるため、添加剤を含有する樹脂組成物は、ポリカーボネート樹脂やポリアリレート樹脂本来の特性を損なうことなく、流動性のみを向上させることができる。添加剤中のホスファイト系酸化防止剤の含有量は、添加剤に含まれる上記ポリエステルの重量に対して0.005〜5質量%であることが好ましく、0.01〜2質量%であることがより好ましく、0.01〜1質量%であることがさらに好ましく、0.02〜0.05質量%であることが最も好ましい。ホスファイト系酸化防止剤の含有量が0.005質量%未満の場合には、ホスファイト系酸化防止剤の含有量が少なく、ポリカーボネート樹脂やポリアリレート樹脂に上記添加剤を配合したときに着色が生じる場合がある。また、ホスファイト系酸化防止剤の含有量が5質量%よりも多い場合には、ポリカーボネート樹脂やポリアリレート樹脂に上記添加剤を添加して得られる樹脂組成物の衝撃強度を低下させる場合がある。
ホスファイト系酸化防止剤は各種の化合物が知られており、例えば大成社発行の「酸化防止剤ハンドブック」、シーエムシー出版発行の「高分子材料の劣化と安定化」(235〜242頁)等に記載された種々の化合物が挙げられるが、これらに限定されるわけではない。ホスファイト系酸化防止剤として、例えば、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト、ビス[2,4−ビス(1,1−ジメチルエチル)−6−メチルフェニル]エチルエステル亜リン酸、ビス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジフォスファイト、ビス(2,4―ジクミルフェニル)ペンタエリスリトールジフォスファイト、ビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトール−ジ−ホスファイト等が挙げられる。商品名では、アデカスタブPEP−36、アデカスタブPEP−4C、アデカスタブPEP−8、アデカスタブPEP−8F、アデカスタブPEP−8W、アデカスタブPEP−11C、アデカスタブPEP−24G、アデカスタブHP−10、アデカスタブ2112、アデカスタブ260、アデカスタブP、アデカスタブQL、アデカスタブ522A、アデカスタブ329K、アデカスタブ1178、アデカスタブ1500、アデカスタブC、アデカスタブ135A、アデカスタブ301
0、アデカスタブTPP(以上、いずれも株式会社アデカ製)、Irgafos38、Irgafos126、Irgafos168、IrgafosP−EPQ(以上、いずれもBASF JAPAN Ltd.製)等を例示することができる。これらのなかでも、特にエステル交換反応や加水分解反応を抑制する効果を顕著に示し得ること、酸化防止剤自体の融点が高く樹脂から揮発し難いこと等から、アデカスタブPEP−36、アデカスタブHP−10、アデカスタブ2112、アデカスタブPEP−24G、Irgafos126等がより好ましい。
本発明の添加剤は、良好な色調のポリカーボネート樹脂組成物およびポリアリレート樹脂組成物が得られる点で、ホスファイト系酸化防止剤に加えてヒンダードフェノール系酸化防止剤を予め含有していることが好ましい。添加剤中のヒンダードフェノール系酸化防止剤の含有量は、添加剤に含まれる上記ポリエステルの重量に対して0.005〜5質量%であることが好ましく、0.01〜2質量%であることがより好ましく、0.01〜1質量%であることがさらに好ましく、0.02〜0.05質量%であることが最も好ましい。ヒンダードフェノール系酸化防止剤の含有量が0.005質量%未満の場合には、ヒンダードフェノール系酸化防止剤の含有量が少なく、ポリカーボネート樹脂やポリアリレート樹脂に上記添加剤を配合したときに着色が生じる場合がある。ヒンダードフェノール系酸化防止剤の含有量が5質量%よりも多い場合には、ポリカーボネート樹脂やポリアリレート樹脂に上記添加剤を添加して得られる樹脂組成物の衝撃強度を低下させる場合がある。
ヒンダードフェノール系酸化防止剤としては、例えば、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール、2,6−ジ−t−ブチル−4−エチルフェノール、モノ(またはジ、またはトリ)(α−メチルベンジル)フェノール、2,2'−メチレンビス(4−エチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2'−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4'−ブチリデンビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4'−チオビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,5−ジ−t−ブチルハイドロキノン、2,5−ジ−t−アミルハイドロキノン、トリエチレングリコール−ビス−[3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、1,6−ヘキサンジオール−ビス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、2,4−ビス−(n−オクチルチオ)−6−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルアニリノ)−1,3,5−トリアジン、ペンタエリスリトール−テトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、2,2−チオ−ジエチレンビス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、N,N'−ヘキサメチレンビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ−ヒドロシンナマミド)、3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ−ベンジルホスフォネート−ジエチルエステル、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、ビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホン酸エチル)カルシウム、トリス−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート、2,4−ビス[(オクチルチオ)メチル]o−クレゾール、N,N'−ビス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニル]ヒドラジン、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト、2−(5−メチル−2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−[2−ヒドロキシ−3,5−ビス(α,α−ジメチルベンジル)フェニル]−2H−ベンゾトリアゾール、2−(3,5−ジ−t−ブチル−2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(3−t−ブチル−5−メチル−2−ヒドロキシフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(3,5−ジ−t−ブチル−2−ヒドロキシフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(3,5−ジ−t−アミル−2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2'−ヒドロキシ−5'−t−オクチルフェニル)−ベンゾトリアゾール、メチル−3−[3−t−ブチル−5−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−ヒドロキシフェニル]プロピオネートとポリエチレングリコール(分子量約300)との縮合物、ヒドロキシフェニルベンゾトリアゾール誘導体、2−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−2−n−ブチルマロン酸ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)、2,4−ジ−t−ブチルフェニル−3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンゾエート等が挙げられる。
商品名では、ノクラック200、ノクラックM−17、ノクラックSP、ノクラックSP−N、ノクラックNS−5、ノクラックNS−6、ノクラックNS−30、ノクラック300、ノクラックNS−7、ノクラックDAH(以上、いずれも大内新興化学工業株式会社製)、アデカスタブAO−30、アデカスタブAO−40、アデカスタブAO−50、アデカスタブAO−60、アデカスタブAO−616、アデカスタブAO−635、アデカスタブAO−658、アデカスタブAO−80、アデカスタブAO−15、アデカスタブAO−18、アデカスタブ328、アデカスタブAO−37(以上、いずれも株式会社アデカ製)、IRGANOX−245、IRGANOX−259、IRGANOX−565、IRGANOX−1010、IRGANOX−1024、IRGANOX−1035、IRGANOX−1076、IRGANOX−1081、IRGANOX−1098、IRGANOX−1222、IRGANOX−1330、IRGANOX−1425WL(以上、いずれもBASF JAPAN Ltd.製)、SumilizerGA−80(以上、住友化学株式会社製)等が挙げられる。これらのなかでも、酸化防止剤自体が特に変色し難い点、およびホスファイト系酸化防止剤との併用によって樹脂の着色を効率よく抑制することができる点から、アデカスタブAO−60、IRGANOX−1010等がより好ましい。
さらにフェノール系酸化防止剤として、アクリレート基とフェノール基とを併せもつモノアクリレートフェノール系安定剤を用いることもできる。モノアクリレートフェノール系安定剤としては、例えば、2−t−ブチル−6−(3−t−ブチル−2−ヒドロキシ−5−メチルベンジル)−4−メチルフェニルアクリレート(商品名:スミライザーGM)、2,4−ジ−t−アミル−6−[1−(3,5−ジ−t−アミル−2−ヒドロキシフェニル)エチル]フェニルアクリレート(商品名:スミライザーGS)等が挙げられる。
ホスファイト系酸化防止剤とヒンダードフェノール系酸化防止剤の組み合わせとしては、アデカスタブPEP−36やIrgafos126と、アデカスタブAO−60やIRGANOX−1010との組み合わせが、樹脂の着色を特に抑制することができる点で好ましい。
本発明における添加剤に含まれる上記ポリエステルの数平均分子量とは、ポリスチレンを標準物質とし、p−クロロフェノールとトルエンとの体積比が3:8の混合溶媒に、本発明における樹脂を濃度が0.25重量%となるように溶解して調製した溶液を用いて、GPCにて80℃で測定した値である。本発明における上記ポリエステルの数平均分子量は、好ましくは1000〜30000であり、より好ましくは5000〜20000であり、さらに好ましくは10000〜13000である。上記ポリエステルの数平均分子量が1000未満の場合には、ポリカーボネート樹脂やポリアリレート樹脂に添加剤を添加して得られる樹脂組成物を成形するとき等に、添加剤がブリードアウトする場合がある。また、上記ポリエステルの数平均分子量が30000を超える場合には、添加剤自体の溶融粘度が高くなり、ポリカーボネート樹脂やポリアリレート樹脂に添加剤を添加して得られる樹脂組成物の成形加工時の流動性を効果的に向上させることができない場合がある。
本発明の添加剤に含まれる上記ポリエステルは、公知のいかなる方法で製造されていても構わない。製造方法の一例としては、モノマーの水酸基を無水酢酸等の低級脂肪酸を用いてそれぞれ個別に、または一括して低級脂肪酸エステルとした後、別の反応槽または同一の反応槽で、カルボン酸と脱低級脂肪酸重縮合反応させる方法が挙げられる。重縮合反応は、実質的に溶媒の存在しない状態で、通常、220〜330℃、好ましくは240〜310℃の温度で、窒素ガス等の不活性ガスの存在下、常圧または減圧下に、0.5〜5時間行われる。反応温度が220℃よりも低い場合は反応の進行が遅く、330℃よりも高い場合は分解等の副反応が起こり易い。減圧下で反応させる場合は、段階的に減圧度を高くすることが好ましい。急激に高真空度まで減圧した場合には、ジカルボン酸モノマーや末端封止に用いる低分子化合物が揮発し、望む組成、または分子量の樹脂が得られない場合がある。到達真空度は、40Torr以下が好ましく、30Torr以下がより好ましく、20Torr以下がさらに好ましく、10Torr以下が特に好ましい。到達真空度が40Torrよりも高い場合には、脱酸が十分に進まず、重合時間が長くなることがある。重縮合反応は、多段階の反応温度を採用しても構わないし、場合により昇温中あるいは最高温度に達したら直ちに反応生成物を溶融状態で抜き出し、回収することもできる。得られたポリエステル樹脂はそのままで使用してもよいし、未反応原料を除去する、または、物性を向上させる意図でさらに固相重合を行なうこともできる。固相重合を行なう場合には、得られたポリエステル樹脂を粒径3mm以下、好ましくは1mm以下の粒子に機械的に粉砕し、固相状態のまま100〜350℃で窒素ガス等の不活性ガス雰囲気下、または減圧下に1〜30時間処理することが好ましい。ポリエステル樹脂の粒子の粒径が3mmより大きくなると、処理が十分でなく、物性上の問題を生じるため好ましくない。固相重合時の処理温度や昇温速度は、ポリエステル樹脂粒子同士が融着を起こさないように選ぶことが好ましい。
本発明の添加剤に含まれるポリエステルの製造に用いられる低級脂肪酸の酸無水物としては、炭素数2〜5の低級脂肪酸の酸無水物、例えば無水酢酸、無水プロピオン酸、無水モノクロル酢酸、無水ジクロル酢酸、無水トリクロル酢酸、無水モノブロム酢酸、無水ジブロム酢酸、無水トリブロム酢酸、無水モノフルオロ酢酸、無水ジフルオロ酢酸、無水トリフルオロ酢酸、無水酪酸、無水イソ酪酸、無水吉草酸、無水ピバル酸等が挙げられる。このうち、無水酢酸、無水プロピオン酸、無水トリクロル酢酸が特に好適に用いられる。低級脂肪酸の酸無水物の使用量は、用いるモノマーが有する水酸基等の官能基の合計に対し1.01〜1.5倍当量、好ましくは1.02〜1.2倍当量である。低級脂肪酸の酸無水物の使用量が1.01倍当量未満である場合には、低級脂肪酸の酸無水物が揮発することによって、水酸基等の官能基が低級脂肪酸の無水物と反応しきらないことがあり、低分子量の樹脂が得られることがある。
本発明の添加剤の形状に関しては特に制限はなく、例えば、ペレット状、フレーク状、パウダー状等が挙げられる。その粒子径は、ポリカーボネート樹脂やポリアリレート樹脂と溶融混練する押出機に投入することができる程度に小さければよく、6mm以下であることが好ましい。
本発明の添加剤をポリカーボネート樹脂やポリアリレート樹脂に添加して得られる樹脂組成物は、ポリカーボネート樹脂またはポリアリレート樹脂80〜99.9質量%と、本発明の添加剤0.1〜20質量%とを含有する。樹脂組成物(100質量%)中の添加剤の含有率は、0.5質量%以上がより好ましく、1質量%以上がさらに好ましく、3質量%以上が特に好ましい。樹脂組成物(100質量%)中の添加剤の含有率は、15質量%以下がより好ましく、10質量%以下がさらに好ましく、5質量%以下が特に好ましい。樹脂組成物(100質量%)中の添加剤の含有率が0.1質量%以上であれば、成形加工時の流動性が向上する。樹脂組成物(100質量%)中の添加剤の含有率が20質量%以下であれば、ポリカーボネート樹脂やポリアリレート樹脂の耐熱性や機械物性が大きく損なわれない。本発明の添加剤は、ガラス転移温度がポリカーボネート樹脂やポリアリレート樹脂よりも低いために、ポリカーボネート樹脂やポリアリレート樹脂に相溶させて得られる樹脂組成物のガラス転移点を低下させる。従って、20質量%よりも過剰に本発明の添加剤を含有させると、得られる樹脂組成物の耐熱性が低下する場合がある。
上記添加剤には、ホスファイト系酸化防止剤が予め含まれていてもよい。本発明の添加剤をポリカーボネート樹脂やポリアリレート樹脂に添加して得られる樹脂組成物は、上記添加剤にホスファイト系酸化防止剤が予め含まれているかどうかにかかわらず、さらにホスファイト系酸化防止剤を別途含んでいてもよい。上記添加剤にホスファイト系酸化防止剤が予め含まれていない場合には、上記ホスファイト系酸化防止剤の含有量は、ポリカーボネート樹脂やポリアリレート樹脂と添加剤との合計質量に対して、0.005〜5質量%であることが好ましく、0.01〜2質量%であることがより好ましく、0.01〜1質量%であることがさらに好ましく、0.02〜0.05質量%であることが最も好ましい。
上記添加剤には、さらに、ヒンダードフェノール系酸化防止剤が予め含まれていてもよい。本発明の添加剤をポリカーボネート樹脂やポリアリレート樹脂に添加して得られる樹脂組成物にホスファイト系酸化防止剤が含まれる場合(添加剤にホスファイト系酸化防止剤が予め含まれているか、あるいは、樹脂組成物にホスファイト系酸化防止剤が別途含まれている場合)において、上記樹脂組成物は、上記添加剤にヒンダードフェノール系酸化防止剤が予め含まれているかどうかにかかわらず、さらにヒンダードフェノール系酸化防止剤を別途含んでいてもよい。上記添加剤にヒンダードフェノール系酸化防止剤が予め含まれていない場合には、上記ヒンダードフェノール系酸化防止剤の含有量は、ポリカーボネート樹脂やポリアリレート樹脂と添加剤との合計質量に対して、0.005〜5質量%であることが好ましく、0.01〜2質量%であることがより好ましく、0.01〜1質量%であることがさらに好ましく、0.02〜0.05質量%であることが最も好ましい。
上記ポリカーボネート樹脂としては、特に制限はなく、種々の構造単位を有するポリカーボネート樹脂を用いることができる。例えば、2価のフェノールとハロゲン化カルボニルとを界面重縮合させる方法や、2価のフェノールと炭酸ジエステルとを溶融重合させる方法(エステル交換法)等によって製造したポリカーボネート樹脂を用いることができる。
上記ポリカーボネート樹脂の原料である2価のフェノールとしては、例えば、4,4’−ジヒドロキシビフェニル、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)エーテル、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルフィド、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホキシド、ビス(4−ヒドロキシフェニル)ケトン、ハイドロキノン、レゾルシン、カテコール等が挙げられる。これら2価のフェノールのなかでも、ビス(ヒドロキシフェニル)アルカン類が好ましく、さらに、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンを主原料とした2価のフェノールが特に好ましい。また、カーボネート前駆体としては、カルボニルハライド、カルボニルエステル、ハロホルメート等が挙げられる。具体的には、ホスゲン;2価のフェノールのジハロホルメート、ジフェニルカーボネート、ジトリールカーボネート、ビス(クロロフェニル)カーボネート、m−クレジルカーボネート等のジアリールカーボネート;ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジイソプロピルカーボネート、ジブチルカーボネート、ジアミルカーボネート、ジオクチルカーボネート等の脂肪族カーボネート化合物等が挙げられる。
また、上記ポリカーボネート樹脂は、そのポリマー鎖の分子構造が直鎖構造である樹脂の他、これに分岐構造を有している樹脂でもよい。このような分岐構造を導入するための分岐剤としては、1,1,1−トリス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、α,α’,α”−トリス(4−ヒドロキシフェニル)−1,3,5−トリイソプロピルベンゼン、フロログルシン、トリメリット酸、イサチンビス(o−クレゾール)等が挙げられる。また、分子量調節剤として、フェノール、p−t−ブチルフェノール、p−t−オクチルフェノール、p−クミルフェノール等を用いることができる。
さらに、本発明に用いる上記ポリカーボネート樹脂は、上記2価のフェノールのみを用いて製造された単独重合体の他、ポリカーボネート構造単位とポリオルガノシロキサン構造単位とを有する共重合体、またはこれら単独重合体と共重合体とからなる樹脂組成物であってもよい。また、テレフタル酸等の二官能性カルボン酸やそのエステル形成誘導体等のエステル前駆体の存在下で2価のフェノール等の重合反応を行うことによって得られるポリエステル−ポリカーボネート樹脂であってもよい。さらに、種々の構造単位を有するポリカーボネート樹脂を溶融混練して得られる樹脂組成物を用いることもできる。
上記ポリアリレート樹脂は、芳香族ジカルボン酸残基と、ビスフェノール類残基とで構成されるポリエステルである。ポリアリレート樹脂は、溶融重合法や界面重合法等の公知の方法により製造することができる。
ポリアリレート樹脂における芳香族ジカルボン酸残基を構成する芳香族ジカルボン酸としては、例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、2,5−ナフタレンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、2,7−ナフタレンジカルボン酸、1,5−ナフタレンジカルボン酸、メチルテレフタル酸、4,4’−ビフェニルジカルボン酸、2,2’−ビフェニルジカルボン酸、4,4’−ビフェニルエーテルジカルボン酸、4,4’−ジフェニルメタンジカルボン酸、4,4’−ジフェニルスルフォンジカルボン酸、4,4’−ジフェニルイソプロピリデンジカルボン酸、1,2−ビス(4−カルボキシフェノキシ)エタン、5−ナトリウムスルホイソフタル酸が挙げられる。なかでも、テレフタル酸やイソフタル酸が好ましく、溶融加工性および機械的特性の点から、両者を混合して用いることがより好ましい。
上記ポリアリレート樹脂におけるビスフェノール類残基を構成するビスフェノールとしては、例えば、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン〔ビスフェノールA〕、2−フェニル−3,3−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フタルイミジン、4,4’−(3,3,5−トリメチルシクロヘキシリデン)ジフェノール、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジブロモフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジクロロフェニル)プロパン、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン、4,4’−ジヒドロキシジフェニルエーテル、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルフィド、4,4’−ジヒドロキシジフェニルケトン、4,4’−ジヒドロキシジフェニルメタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン等が挙げられる。これらのビスフェノールは、単独で使用してもよく、2種類以上を混合して使用してもよい。なかでも、重合性および経済性の観点から、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンを使用することが好ましい。また、なかでも、耐熱性の観点から、2−フェニル−3,3−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フタルイミジン、4,4’−(3,3,5−トリメチルシクロヘキシリデン)ジフェノールを使用することが好ましい。
本発明の樹脂組成物には、ポリカーボネート樹脂やポリアリレート樹脂、添加剤、および酸化防止剤(ホスファイト系酸化防止剤、ヒンダードフェノール系酸化防止剤)以外の成分として、さらに目的に応じて他のいかなる成分、例えば、補強剤、増粘剤、離型剤、カップリング剤、難燃剤、耐炎剤、顔料、着色剤、光拡散剤その他の助剤等の添加剤、あるいは充填剤を、本発明の効果を失わない範囲で、添加することができる。これらの添加剤の使用量は、ポリカーボネート樹脂またはポリアリレート樹脂に添加剤を添加して得られる樹脂組成物100重量部に対し、合計で0〜100重量部の範囲であることが好ましい。
難燃剤の使用量は、ポリカーボネート樹脂またはポリアリレート樹脂に上記添加剤を添加して得られる樹脂組成物100重量部に対して、7〜80重量部であることがより好ましく、10〜60重量部であることがさらに好ましく、12〜40重量部であることが特に好ましい。難燃剤は各種の化合物が知られており、例えばシーエムシー出版発行の「高分子難燃化の技術と応用」(149〜221頁)等に記載された種々の化合物が挙げられるが、これらに限定されるわけではない。これら難燃剤のなかでも、リン系難燃剤、ハロゲン系難燃剤、無機系難燃剤を好ましく用いることができる。
リン系難燃剤としては、具体的には、リン酸エステル、含ハロゲンリン酸エステル、縮合リン酸エステル、ポリリン酸塩、赤リン等が挙げられる。これらのリン系難燃剤は、単独で使用してもよく、2種類以上を混合して使用してもよい。
ハロゲン系難燃剤としては、具体的には、臭素化ポリスチレン、臭素化ポリフェニレンエーテル、臭素化ビスフェノール型エポキシ系重合体、臭素化スチレン無水マレイン酸重合体、臭素化エポキシ樹脂、臭素化フェノキシ樹脂、デカブロモジフェニルエーテル、デカブロモビフェニル、臭素化ポリカーボネート、パークロロシクロペンタデカン、臭素化架橋芳香族重合体等が挙げられる。なかでも、臭素化ポリスチレン、臭素化ポリフェニレンエーテルが特に好ましい。これらのハロゲン系難燃剤は、単独で使用してもよく、2種類以上を混合して使用してもよい。また、これらのハロゲン系難燃剤のハロゲン元素含量は、15〜87%であることが好ましい。
本発明の樹脂組成物に対して、機械的強度、寸法安定性等を向上させるために、あるいは、増量を目的として、無機充填剤をさらに添加してもよい。
上記無機充填剤としては、例えば、硫酸亜鉛、硫酸水素カリウム、硫酸アルミニウム、硫酸アンチモン、硫酸エステル、硫酸カリウム、硫酸コバルト、硫酸水素ナトリウム、硫酸鉄、硫酸銅、硫酸ナトリウム、硫酸ニッケル、硫酸バリウム、硫酸マグネシウム、硫酸アンモニウム等の硫酸金属化合物;酸化チタン等のチタン化合物;炭酸カリウム等の炭酸塩化合物;水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム等の水酸化金属化合物;合成シリカ、天然シリカ等のシリカ系化合物;アルミン酸カルシウム、2水和石膏、ホウ酸亜鉛、メタホウ酸バリウム、ホウ砂;硝酸ナトリウム等の硝酸化合物、モリブデン化合物、ジルコニウム化合物、アンチモン化合物およびその変性物;二酸化珪素および酸化アルミニウムニウムの複合体微粒子等が挙げられる。
また、上記以外の無機充填剤として、例えば、チタン酸カリウムウイスカー、鉱物繊維(ロックウール等)、ガラス繊維、炭素繊維、金属繊維(ステンレス繊維等)、ホウ酸アルミニウムウイスカー、窒化ケイ素ウイスカー、ボロン繊維、テトラポット状酸化亜鉛ウイスカー、タルク、クレー、カオリンクレー、天然マイカ、合成マイカ、パールマイカ、アルミニウム箔、アルミナ、ガラスフレーク、ガラスビーズ、ガラスバルーン、カーボンブラック、黒鉛、炭酸カルシウム、硫酸カルシウム、ケイ酸カルシウム、酸化チタン、酸化亜鉛、シリカ、アスベスト、石英粉等も挙げられる。
これらの無機充填剤は、無処理であってもよく、化学的または物理的な表面処理を予め施しておいてもよい。その表面処理に用いる表面処理剤としては、例えば、シランカップリング剤系、高級脂肪酸系、脂肪酸金属塩系、不飽和有機酸系、有機チタネート系、樹脂酸系、ポリエチレングリコール系等の化合物が挙げられる。
本発明の樹脂組成物の製造方法は、特に限定されない。樹脂組成物は、例えば、ヘンシェルミキサー、バンバリーミキサー、単純スクリュー押出機、二軸スクリュー押出機、2本ロール、ニーダー、ブラベンダー等の装置を用いて、添加剤、ポリカーボネート樹脂またはポリアリレート樹脂、および必要に応じて光拡散剤等の添加剤を配合し、溶融混練する公知の方法によって製造される。添加剤に含まれるポリエステルとポリカーボネート樹脂やポリアリレート樹脂とのエステル交換反応、およびポリカーボネート樹脂やポリアリレート樹脂の熱劣化等による樹脂組成物の黄変を抑制する目的で、溶融混練の温度はできるだけ低温であることが好ましい。
本発明の樹脂組成物を各種押出成形することにより、本発明の成形品として、例えば、各種異形押出成形品、押出成形によるシート、フィルム等の形状に成形することができる。上記各種押出成形としては、コールドランナー方式、ホットランナー方式の成形法はもとより、さらには射出圧縮成形、射出プレス成形、ガスアシスト射出成形、発泡成形(超臨界流体の注入による場合を含む)、インサート成形、インモールドコーティング成形、断熱金型成形、急速加熱冷却金型成形、二色成形、サンドイッチ成形、および超高速射出成形等の射出成形法が挙げられる。また、シート、フィルムの成形には、インフレーション法や、カレンダー法、キャスティング法等も用いることができる。さらに、特定の延伸操作をかけることにより、熱収縮チューブとして成形することも可能である。また、本発明の樹脂組成物を回転成形やブロー成形等で成形することにより、中空成形品とすることも可能である。
本発明の成形品は、各種筐体、ハードコート品、グレージング材、光拡散板、光ディスク基板、導光板、医療材料、雑貨等の幅広い用途に使用することができる。本発明の成形品は、具体的には、例えば、OA機器や家電製品の外装材、各種容器、雑貨、例えば、パソコン、ノートパソコン、ゲーム機、ディスプレイ装置(CRT、液晶、プラズマ、プロジェクタ、および有機EL等)、マウス、並びにプリンター、コピー機、スキャナーおよびファックス(これらの複合機を含む)等の外装材、キーボードのキー、スイッチ成形品、携帯情報端末(いわゆるPDA)、携帯電話、携帯書籍(辞書類等)、携帯テレビ、記録媒体(CD、MD、DVD、ブルーレイディスク、ハードディスク等)のドライブ、記録媒体(ICカード、スマートメディア、メモリースティック等)の読取装置、光学カメラ、デジタルカメラ、パラボラアンテナ、電動工具、VTR、アイロン、ヘアードライヤー、炊飯器、電子レンジ、音響機器、照明機器、冷蔵庫、エアコン、空気清浄機、マイナスイオン発生器、およびタイプライター等に形成された樹脂製品として用いることができる。また、トレー、カップ、皿、シャンプー瓶、OA筐体、化粧品瓶、飲料瓶、オイル容器、射出成形品(ゴルフティー、綿棒の芯、キャンディーの棒、ブラシ、歯ブラシ、ヘルメット、注射筒、皿、カップ、櫛、剃刀の柄、テープのカセットおよびケース、使い捨てのスプーンやフォーク、ボールペン等の文房具等)等にも有用である。
また、本発明の成形品は、結束テープ(結束バンド)、プリペイドカード、風船、パンティーストッキング、ヘアーキャップ、スポンジ、セロハンテープ、傘、合羽、プラ手袋、ヘアーキャップ、ロープ、チューブ、発泡トレー、発泡緩衝材、緩衝材、梱包材、煙草のフィルター等の多分野にわたる用途に用いることが可能である。
さらに、本発明の成形品は、ランプソケット、ランプリフレクター、ランプハウジング、インストルメンタルパネル、センターコンソールパネル、ディフレクター部品、カーナビゲーション部品、カーオーディオビジュアル部品、オートモバイルコンピュータ部品等の車両用部品にも用いることができる。
また、本発明には、上述した添加剤を用いて、ポリカーボネート樹脂またはポリアリレート樹脂の流動性を向上させる方法も含まれ得る。換言すれば、本発明には、上述した添加剤と、ポリカーボネート樹脂またはポリアリレート樹脂と、を混合する工程を含む、ポリカーボネート樹脂またはポリアリレート樹脂の流動性を向上させる方法が含まれていてもよい。他の態様では、上述した添加剤の使用であって、ポリカーボネート樹脂またはポリアリレート樹脂の流動性を向上させるための使用とも表現できる。
次に、本発明の添加剤および樹脂組成物について、製造例、実施例および比較例を挙げてさらに詳細に説明するが、本発明はかかる実施例のみに制限されるものではない。なお、以下に挙げる各試薬は、特記しない限り、和光純薬工業株式会社製の試薬を精製せずに用いた。
<評価方法>
[数平均分子量の測定方法]
本発明の流動性向上剤に含まれるポリエステルを、p−クロロフェノール(東京化成工業株式会社製)とトルエンとの体積比が3:8の混合溶媒に、濃度が0.25重量%となるように溶解して試料溶液を調製した。標準物質はポリスチレンとし、同様の試料溶液を調製した。そして、高温GPC(Viscotek社製:350 HT−GPC System)を用いて、カラム温度80℃、流速1.00mL/分の条件で測定した。検出器は、示差屈折計(RI)を使用した。
[流動性の測定方法]
樹脂組成物のスパイラルフロー(mm)を、射出成形機(IS−100、東芝機械株式会社製)を用いて評価した。ポリカーボネート樹脂組成物は成形温度310℃、金型温度80℃、射出圧力100MPaとし、ポリアリレート樹脂組成物は成形温度320℃、金型温度100℃、射出圧力120MPaとした。そして、成形品の肉厚は1mm、幅は10mmとした。
[アイゾット衝撃強度の測定方法]
ASTM D256に従い、樹脂組成物のノッチ付きの試験片を作製し、この試験片のアイゾット衝撃強度(J/m)を測定した。
[シャルピー衝撃強度の測定方法]
ISO 179に従い、樹脂組成物のノッチ付きの試験片を作製し、この試験片のシャルピー衝撃強度(kJ/m)を測定した。
[全光線透過率、ヘイズの測定方法]
射出成形により縦4cm×横4cm×厚さ2mmの試験片を作製し、ヘイズメーター(日本電色工業株式会社製「ND−1001DP」)を用いて、樹脂組成物の全光線透過率(%)およびヘイズ(%)を測定した。
[初期黄変度(YI)の測定方法]
射出成形により縦4cm×横4cm×厚さ2mmの試験片を作製し、分光式色彩計SE−2000(日本電色工業株式会社製)を用いて、樹脂組成物の初期黄変度(YI)を測定した。
[曲げ弾性率および曲げ強度の測定方法]
機械的特性を評価するため、AUTOGRAPH AG−I(株式会社島津製作所製)を用いて、JIS K7171に準拠して(測定温度23℃、曲げ試験片の寸法:長さ80mm×幅10mm×厚さ4mm)、樹脂組成物の曲げ弾性率(MPa)および曲げ強度(MPa)を測定した。
[荷重たわみ温度の測定方法]
耐熱性を評価するため、HOT.TESTER S−3(株式会社東洋精機製作所製)を用いて、JIS K7191に準拠して(試験条件:荷重1.8MPa、昇温速度120℃/時間)、樹脂組成物の荷重たわみ温度(℃)を測定した。
[金属イオン濃度の測定方法]
マイクロウェーブ分解装置ETHOS One(マイルストーンゼネラル株式会社製)を用いて加圧酸分解した試料をAgilent 7500CX(アジレント・テクノロジー株式会社製)を用いて、IPC質量分析法で含有金属イオン濃度(ppm)を測定した。
なお、以下の実施例でのポリエステルの原料(触媒を含む)中における、ナトリウム以外の金属の量は極めて微量であり、ナトリウム量に比べて無視できるぐらいの量である。
<使用材料>
[樹脂]
(A−1)ポリカーボネート、タフロンA2200(出光興産株式会社製)
(A−2)ポリカーボネート、タフロンA1900(出光興産株式会社製)
[酸化防止剤]
(B−1)ホスファイト系酸化防止剤:PEP36(株式会社アデカ製)
(B−2)ホスファイト系酸化防止剤:2112(株式会社アデカ製)
(B−3)ヒンダードフェノール系酸化防止剤:AO60(株式会社アデカ製)
[添加剤]
〔実施例1〕
還流冷却器、温度計、窒素ガス導入管および攪拌棒を備え付けた密閉型反応器に、4,4’−ジヒドロキシビフェニル、ビスフェノールA、セバシン酸を、モル比率にて15:35:50の割合で仕込み、モノマー中のフェノール性水酸基に対して1.05当量の無水酢酸を加えるとともに、セバシン酸に対して0.00075当量の酢酸ナトリウムを重合触媒として加えた。常圧、窒素ガス雰囲気下で145℃にてモノマーを反応させて均一な溶液を得た後、生じた酢酸を留去しながら2℃/分で255℃まで昇温し、255℃で1時間撹拌した。引き続きその温度を保ったまま、約60分間かけて5Torrまで減圧した後、その減圧状態を維持した。減圧開始から1.25時間後、密閉型反応器内を窒素ガスで常圧に戻し、生成したポリエステルの質量に対し、酸化防止剤(B−1)および(B−3)をそれぞれ0.2質量%ずつ添加し、5分間撹拌して添加剤を得た。
その後、反応器から添加剤を取り出した。得られたポリエステルの数平均分子量は14,000であった。また、ポリエステル中に含まれるナトリウムイオン濃度は50ppmであった。得られたポリエステルを(C−1)とする。
添加剤の性能を評価すべく、樹脂、酸化防止剤、実施例1にて得られたポリエステルを表1に示す割合(重量部)で配合して二軸押出機に供給し、表1に示す押出温度で溶融混練して樹脂組成物を得た。そして、樹脂組成物の物性を測定することによって、添加剤の性能を評価した。上記樹脂組成物の各種物性を表3に示す。
〔実施例2〕
重合触媒として酢酸ナトリウムを用いず仕込んだ以外は、実施例1と同様にしてポリエステルを得た。得られたポリエステルの数平均分子量は13,000であった。また、ポリエステル中に含まれるナトリウムイオン濃度は5ppmであった。得られたポリエステルを(C−2)とする。また、実施例1と同様にして、表1に示す割合(重量部)で樹脂、酸化防止剤および得られたポリエステルを配合して二軸押出機に供給し、表1に示す押出温度で溶融混練して樹脂組成物を得た。そして、樹脂組成物の物性を測定することによって、添加剤の性能を評価した。上記樹脂組成物の各種物性を表3に示す。
〔実施例3〕
減圧開始から添加剤を取り出すまでの時間を1.3時間にした以外は、実施例1と同様にしてポリエステルを得た。得られたポリエステルの数平均分子量はそれぞれ16,000であった。また、ポリエステル中に含まれるナトリウムイオン濃度は50ppmであった。得られたポリエステルを(C−3)とする。また、実施例1と同様にして、表1に示す割合(重量部)で樹脂、酸化防止剤および得られたポリエステルを配合して二軸押出機に供給し、表1に示す押出温度で溶融混練して樹脂組成物を得た。そして、樹脂組成物の物性を測定することによって、添加剤の性能を評価した。上記樹脂組成物の各種物性を表3に示す。
〔実施例4〕
還流冷却器、温度計、窒素ガス導入管および攪拌棒を備え付けた密閉型反応器に、4,4’−ジヒドロキシビフェニル、ビスフェノールA、セバシン酸を、モル比率にて14.4:33.6:52の割合で仕込み、さらにモノマー全量に対して7モル%の末端封止剤としての4−t−ブチルフェノールを加え、モノマー中のフェノール性水酸基に対して1.05当量の無水酢酸を加えるとともに、セバシン酸に対して0.00075当量の酢酸ナトリウムを重合触媒として加えた。常圧、窒素ガス雰囲気下で145℃にてモノマーを反応させて均一な溶液を得た後、生じた酢酸を留去しながら2℃/分で260℃まで昇温し、260℃で1時間撹拌した。引き続きその温度を保ったまま、約60分間かけて5Torrまで減圧した後、その減圧状態を維持した。減圧開始から3時間後、密閉型反応器内を窒素ガスで常圧に戻し、生成したポリエステルの質量に対し、酸化防止剤(B−1)および(B−3)をそれぞれ0.2質量%ずつ添加し、5分間撹拌して添加剤を得た。その後、反応器から添加剤を取り出した。得られたポリエステルの数平均分子量は12,000であり、末端の封止率は60%であった。また、ポリエステル中に含まれるナトリウムイオン濃度は50ppmであった。得られたポリエステルを(C−4)とする。また、実施例1と同様にして、表1に示す割合(重量部)で樹脂、酸化防止剤および得られたポリエステルを配合して二軸押出機に供給し、表1に示す押出温度で溶融混練して樹脂組成物を得た。そして、樹脂組成物の物性を測定することによって、添加剤の性能を評価した。上記樹脂組成物の各種物性を表3に示す。
〔実施例5〜7、比較例1〜2〕
樹脂、酸化防止剤およびポリエステルを表1、2に示す割合(重量部)で配合して二軸押出機に供給し、表1、2に示す押出温度で溶融混練して樹脂組成物を得た。そして、樹脂組成物の物性を測定することによって、添加剤の性能を評価した。上記樹脂組成物の各種物性を表3、4に示す。
〔比較例3〕
モノマーとして4,4’−ジヒドロキシビフェニル、セバシン酸、テトラデカン二酸を、モル比率にて50:37.5:12.5の割合で仕込み、さらに重合触媒として酢酸ナトリウムをセバシン酸に対して0.001当量で仕込んだ以外は、実施例1と同様にしてポリエステルを得た。得られたポリエステルの数平均分子量は17,000であった。また、ポリエステル中に含まれるナトリウムイオン濃度は63ppmであった。得られたポリエステルを(C−5)とする。また、実施例1と同様にして、表2に示す割合(重量部)で樹脂、酸化防止剤および得られたポリエステルを配合して二軸押出機に供給し、表2に示す押出温度で溶融混練して樹脂組成物を得た。そして、樹脂組成物の物性を測定することによって、添加剤の性能を評価した。上記樹脂組成物の各種物性を表4に示す。
Figure 0006462497
Figure 0006462497
Figure 0006462497
Figure 0006462497
実施例1〜5と比較例1との対比、および、実施例6〜7と比較例2との対比から、本発明の添加剤の添加により、曲げ強度、曲げ弾性率、衝撃強度、透明性を損なうことなく、樹脂の流動性(スパイラルフロー)を向上させることができることが分かる。比較例3では、添加剤がビスフェノールA成分を含まない場合には、樹脂組成物のヘイズが高くなる傾向にあることが分かる。これは、ポリカーボネート樹脂に対する添加剤の相溶性が低く、相分離することが原因である。また、実施例1および2と比較例3の対比では、添加剤に含まれるナトリウムイオン濃度が小さいほど樹脂組成物のYIが小さくなった。このことからナトリウムイオンが樹脂組成物の黄変に影響していることが分かる。
本発明の添加剤によれば、ポリカーボネート樹脂およびポリアリレート樹脂本来の特性(透明性、耐衝撃性、高剛性、機械強度、耐表層剥離性、耐熱性、耐薬品性等)を損なうことなく、成形加工時の流動性を向上させることができる。そのため、本発明のポリカーボネート樹脂組成物およびポリアリレート樹脂組成物は、大型化、薄肉化、形状複雑化した成形品の成形を実現することができ、ハードコート品、グレージング材、光拡散板、光ディスク基板、導光板、医療材料、雑貨等の幅広い用途に好適に用いられる。

Claims (9)

  1. 下記一般式(1)
    Figure 0006462497
    (式中、X1〜X4は各々同一であっても異なっていてもよい、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜4のアルキル基を示す。)で表されるビフェノール成分(A)、
    下記一般式(2)
    Figure 0006462497
    (式中、X5〜X8は各々同一であっても異なっていてもよい、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜4のアルキル基を示す。Yはメチレン基、イソプロピリデン基、環状のアルキリデン基、アリール置換アルキリデン基、アリーレンジアルキリデン基、−S−、−O−、カルボニル基または−SO2−を示す。)で表されるビスフェノール成分(B)、および、
    下記一般式(3)
    HOOC−R1−COOH ・・・(3)
    (式中、R1は主鎖原子数2〜18で分岐を含んでいてもよい2価の直鎖状置換基を示す。)で表されるジカルボン酸成分(C)を含むモノマーを重縮合してなるポリエステルを含み、
    (A)成分および(B)成分と、(C)成分とのモル比率が、{(A)+(B)}:(C)=45:55〜55:45であり、
    上記ポリエステルにおける、上記(A)成分、上記(B)成分および上記(C)成分に由来する部分の含有率が、合計50モル%以上であって、1族金属、2族金族、4族金属、14族金属、および15族金属からなる群より選択される1種以上の金属元素の量が、
    合計60ppm以下である、ポリカーボネート用およびポリアリレート用添加剤。
  2. 上記ポリエステルの数平均分子量が1000〜30000である請求項1に記載のポリカーボネート用およびポリアリレート用添加剤。
  3. ホスファイト系酸化防止剤をさらに含むポリカーボネート用およびポリアリレート用添加剤であって、
    上記ポリカーボネート用およびポリアリレート用添加剤中に含まれる上記ホスファイト系酸化防止剤の含有量が、ポリカーボネート用およびポリアリレート用添加剤に含まれるポリエステルの重量に対して0.005〜5重量%である、請求項1に記載のポリカーボネート用およびポリアリレート用添加剤。
  4. ヒンダードフェノール系酸化防止剤をさらに含むポリカーボネート用およびポリアリレート用添加剤であって、
    上記ポリカーボネート用およびポリアリレート用添加剤中に含まれる上記ヒンダードフェノール系酸化防止剤の含有量が、ポリカーボネート用およびポリアリレート用添加剤に含まれるポリエステルの重量に対して0.005〜5重量%である、請求項に記載のポリカーボネート用およびポリアリレート用添加剤。
  5. 上記ポリエステル中の(C)成分からなる部分のR1に相当する部分が、直鎖の飽和脂肪族炭化水素鎖である、請求項1〜のいずれか1項に記載のポリカーボネート用およびポリアリレート用添加剤。
  6. 上記ポリエステル中の(C)成分からなる部分のR1に相当する部分は、主鎖原子数が偶数である、請求項1〜のいずれか1項に記載のポリカーボネート用およびポリアリレート用添加剤。
  7. 上記ポリエステルの末端が一官能性の低分子化合物で封止され、その封止率が60%以上である、請求項1〜のいずれか1項に記載のポリカーボネート用およびポリアリレー
    ト用添加剤。
  8. ポリカーボネート樹脂またはポリアリレート樹脂80.0〜99.9質量%と、請求項1〜のいずれか1項に記載の添加剤0.1〜20質量%とを含有する樹脂組成物。
  9. 請求項に記載の樹脂組成物を成形して得られる成形品。
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