JP6462220B2 - 鉄道用設備監視システム - Google Patents
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Description
また、断線による通信不能を考慮して、所定のルートに沿って設置された複数個の固定局間を複数の有線ネットワークで接続する技術(特許文献1)が提案されているが、ネットワークの構築コストが高くなるとともに、有線ネットワークの場合、多重化したとしても、延線で火災が発生したような場合には、複数の回線が同時に通信不能になることが多いと予想される。
なお、特許文献2のような無線通信ネットワークシステムにおいては、互いに隣合う沿線無線機同士で順次無線通信しながら情報を中継して行く伝播型ネットワークを構成しているので、この無線通信ネットワークを例えばトンネル内で用いる場合には、列車本体とトンネルとの間隙が小さくなり、その間隙を電波が伝播したときに減衰して沿線無線機間に通信障害が発生し、無線通信ネットワークは列車が存在する地点で切断されてしまうおそれがある。
しかしながら、上記特許文献2に開示されている無線通信にあっては、いずれかの固定無線機に故障が発生した場合には、通信が行なえなくなってしまうという課題がある。
しかし、特許文献3の発明は、いずれかの装置に故障が発生した場合には有効であるが、電波干渉や電波障害によって通信が不能になった場合には、対応することができないという課題がある。また、すべての設置箇所の装置に対応して代替通信経路を用意しておくことで通信不能を回避することも考えられるが、そのようにするとシステムが冗長になり、多大なコストアップを招いてしまう。
なお、2.4GHz帯と955MHz帯の2つの周波数帯による無線通信が可能な無線デバイスを用いてデータを送信するようにした無線通信システムに関する発明(特許文献4)が提案されていることが、本発明の開発後における本発明者らの調査によって明らかになった。しかし、特許文献4に記載されている発明は、普段はいずれか一方の周数波帯で通信を行うとともに、一方の周波数帯の通信品質が低下した場合に他の周波数帯に切り替えるという技術です。しかも、周波数帯の切替えに際しては一方のデバイスから他方のデバイスへ切替え要求を行い、許可応答を受けてから周波数帯を切り替えるという方式であるため、使用中の周波数帯による通信が完全に遮断されてしまうと切り替えが行えないという課題がある。
鉄道沿線に沿って配置されている1または2以上の信号制御機器と、これらの信号制御機器の動作状態を遠隔地で監視する監視装置とを備えた鉄道用設備監視システムであって、
前記監視装置に直接または間接的に接続され、異なる複数の周波数帯を使用した無線通信が可能な主たる無線通信手段と、
前記信号制御機器に直接または間接的に接続され、前記複数の周波数帯を使用した無線通信が可能な従たる無線通信手段と、
前記複数の周波数帯を使用した無線通信によって受信したデータを転送する機能を有する中継手段と、を備え、
前記主たる無線通信手段と、前記従たる無線通信手段と、前記中継手段とが、前記無線通信による通信可能距離の2分の1以下の距離をおいて鉄道沿線に沿って配置されているようにした。
鉄道沿線に沿って配置されている1または2以上の信号制御機器と、これらの信号制御機器の動作状態を遠隔地で監視する監視装置とを備えた鉄道用設備監視システムにおいて、前記信号制御機器または前記監視装置に直接または間接的に接続されて通信を行なうデータ通信装置において、
異なる複数の周波数帯のすべてまたはいずれか1つを使用した無線通信が可能に構成されているようにした。
また、第1の発明や第2の発明によれば、監視装置および信号制御機器にそれぞれ接続されている無線通信手段が各々複数の周波数帯を使用した無線通信を行うことができるため、沿線の途中で電波干渉や電波障害が発生した場合にも複数の周波数帯のすべてで電波干渉や電波障害が発生するのは稀であるので、かなり高い確率で通信を行なうことができる。
複数の周波数帯のすべての無線通信が可能な場合にはすべての周波数帯の無線通信を実行してデータを送信することにより、監視装置によって多くの信号制御機器の動作状態を、短い周期で収集することができるため、精度の高い監視が可能になる。
これにより、いずれかの周波数帯を使用した無線通信が不能な場合には、縮退処理をしたデータを送信するので、監視に必要な情報量は減少するが全く信号制御機器の動作状態を把握できなくなる事態が発生するのを回避することができる。
このように構成することにより、いずれかの周波数帯を使用した無線通信が不能な場合には、優先度が低いデータを送信対象としないので、詳細な監視に必要な情報量は減少するものの最小限の監視に必要な情報は得ることができ、信号制御機器の動作状態をリアルタイムで把握できなくなる事態が発生するのを回避することができる。
本実施形態の鉄道用設備監視システムは、例えば図1に示すように、鉄道沿線に沿って配置されている複数の踏切遮断機の信号制御機10を監視するもので、信号制御機10には、IEEE.802.15.4規格(ZigBee通信規格)に従った無線通信(以下、ジグビー通信と称する)の機能を有するジグビー子機11がそれぞれ設けられている。
信号制御機10は、踏切遮断機や警報装置(スピーカ,警報灯)等の信号機器を制御する機能を有するとともに、信号機器に設けられているセンサ(遮断用バーの位置検出器等)や障害物検知装置、非常ボタンスイッチからの信号が入力されており、これらの信号の動作状態を記録する記録装置を備えている。
ジグビー子機11の電源は、もともと信号制御機10が自己の制御下のモータやランプなどを駆動させるために設置されている電源装置から電源を分岐して利用することができる。中継器31の電源は、新たにソーラーパネルおよび蓄電池を設置して太陽光発電で得たものを供給しても良い。
ここで、送信データの縮退とは、収集したデータを間引いて送信する形態の他、重要なデータすなわち予め決定された優先度に従い、優先度の高いデータから順次送信する形態や、データを圧縮して送信する形態を含むようにすることができる。また、列車運行時間帯に信号制御機10から収集したデータのうち送信できなかったデータを記憶しておいて、夜間の列車が運行しない時間帯に送信するようにしても良い。
また、トンネルの出入口に配置されるジグビー中継器31は、ジグビー通信機能の他に、既存のアナログ回線を介した有線通信機能も持たせて、トンネル内事故、故障発生時に予備的な通信として使用可能に構成しても良い。
このうち信号制御機器監視サーバ20は、図2に示すように、サーバコンピュータ201とデータベースを構成するファイルを記憶する記憶装置202とを備え、サーバコンピュータ201には、記憶装置202内のファイルへIDやデータを登録する機能を実現する登録部201Aや、ジグビー親機21との間でLANを介して通信を行う機能を実現するLAN通信部201Bが設けられている。記憶装置202は、サーバコンピュータ201の内蔵メモリであっても良いし、外部の記憶装置であっても良い。
通信モジュール311A,311Bは、ZigBee通信規格に従ったレイヤ構造および通信プロトコルを備える。また、受信したデータをそのまま送信する中継機能(ホッピング機能)を備える。
マイクロコンピュータ213には、通信モジュール211Aと211Bを介して他のジグビー機器との間でジグビー通信を行う機能を実現するジグビー通信部213Aや、信号制御機器監視サーバ20との間でLANを介して通信を行う機能を実現するLAN通信部213Bが設けられている。
図6(A),(B)に示されているように、2.4GHz帯用の通信ウィンドウバッファと920MHz帯用の通信ウィンドウバッファは、それぞれ複数のウィンドウバッファWB1,WB2,WB3……により構成されており、信号制御機器から取得されたデータは、図6(C)に示すように、各ウィンドウバッファWB1,WB2,WB3……に順次格納される。そして、通信に異常がない場合には、格納された順にデータが送信され、最後のバッファが一杯になると、最初の送信済みバッファに戻ってデータ格納されて行く。
先ず、図7に示すデータ送信処理の手順について説明する。このデータ送信処理は、所定のサンプリング周期ごとに実行される。
データ送信処理が開始されると、先ず信号制御機器からデータを取得する(ステップS1)。続いて、後述の通信異常フラグを参照して通信異常(電波干渉、電波障害)が発生しているか否か判定する(ステップS2)。ここで、通信異常が発生していない(No)と判定すると、ステップS3へ進み、ルール構成ファイル202C内のデフォルトの通信帯域を参照して、ステップS1で取得したデータの送信経路(通信周波数帯)が2.4GHzであるか920MHzであるかを判定する。
一方、ステップS4,S6で、空いているバッファがない(No)と判定すると、ステップS8へ進み、取得データを破棄してから、ステップS1へ戻る。
また、ステップS12で“ACK”(受信確認通知)が帰って来ていない(No)と判定すると、ステップS14へ進み、リトライ回数を更新(+1)した後、リトライ回数が最大値に達したか否か判定する(ステップS15)。そして、リトライ回数が最大値に達していない(No)と判定すると、ステップS11へ戻り、バッファ内のデータを再度送信する。
次に、ステップS17へ進み、そのときの送信処理側のバッファをロックしてデータを格納できないように設定した後、ステップS2へ戻る。
ステップS16で通信異常フラグに“1”を立ててから、ステップS2へ戻ると、通信異常が発生している(Yes)と判定され、ステップS18へ移行する。そして、ステップS18では、通信異常が発生しているのは2.4GHzと920MHzの両方であるか否かを判定する。ここで、両方の周波数帯でない(No)と判定すると、ステップS19へ進み、既に取得しているデータの優先度が高いか否か判定する。
一方、ステップS20で通信異常が発生しているのは2.4GHzでない(No)つまり920MHzであると判定すると、ステップS4へ移行して、2.4GHz側のウィンドウバッファに空きバッファがあるか否か判定して空きがあればデータを格納する(ステップS5)。
一方、上記ステップS19で、既に取得しているデータの優先度が高くない(No)と判定すると、ステップS8へジャンプして、データを破棄してステップS1へ戻る。
通信回復処理では、先ず前述の通信異常フラグを参照して通信異常(電波干渉または電波障害)が発生しているか否か判定する(ステップS31)。ここで、通信異常が発生していない(No)と判定すると、何もせずに通信回復処理を終了する。一方、ステップS31で、通信異常が発生している(Yes)と判定すると、ステップS32へ進み、タイマを更新(+1)する。それから、タイマを参照して所定時間(ルール構成ファイル202Cに格納されている電波障害検出のための待ち時間)を経過したか否か判定する(ステップS33)。
また、ステップS38で、ACK(受信確認通知)を受信した(Yes)と判定すると、通信異常が正常に復帰(電波干渉や電波障害が解消)したと判断してステップS39へ進み、対応する周波数帯の通信異常フラグをクリアし、ウィンドウバッファのロックを解除して当該通信回復処理を終了する。
この制御情報送信処理においては、先ず、監視サーバ20が、ジグビー機器の構成ファイル202Aと信号制御機器ファイル202Bを参照して、制御対象の信号制御機器に連携しているジグビー子機を特定(子機のIDを取得)する(ステップS41)。次に、ルール構成ファイル202C内のデフォルトの通信帯域を参照して、ステップS41で特定したジグビー子機への制御情報の送信経路(通信周波数帯)を取得する(ステップS42)。続いて、監視サーバ20は、送信先のジグビー子機のIDと送信経路情報を制御情報と共にジグビー親機21へ渡し(ステップS43)、結果が来るまで待機する。
その後、ジグビー子機11は制御結果をジグビー親機21へ返信し(ステップS48)、ジグビー親機21はジグビー子機11から制御結果を受信すると(ステップS49)、受信した制御結果情報を監視サーバ20へ送信する(ステップS50)。
すると、監視サーバ20が制御結果を受信し(ステップS51)、受信した制御結果情報を表示装置へ表示して(ステップS52)、制御情報送信処理を終了する。
アナログ回線を使用して信号制御機器からデータを収集する現行システムにおいては、図10に示すように、鉄道沿線に設置されている各信号制御機器10に、アナログ入力信号や接点入力を収集して信号変換を行う駅装置50を設け、駅装置50からアナログ回線51を介して機器室に配置されている集約装置61へデータを送り、さらにアナログ回線52を介して保守担当部署の集約装置62や指令室の集約装置63へデータを送り、表示制御盤(監視用コンピュータ)20’で収集するように構成されている。なお、機器室の集約装置61には、駅装置50を介して信号制御機器に設けられているセンサからの信号が入力されることが可能である。
図11や図12に示すように、アナログ回線52と集約装置61〜63とを有するシステムにあっては、ジグビー親機21は監視装置としてのコンピュータ20’に、有線通信網を構成する通信装置を介して間接的に接続されることとなる。
また、前記実施形態においては、中継器31は受信したデータをそのまま送信する機能のみを有するとしたが、中継器31にも通信異常(電波干渉や電波障害)を検出する機能や通信異常のない方の周波数帯を使用したデータ送信機能およびデータを縮退する機能を設けても良い。
11 ジグビー子機
20 信号制御機器監視サーバ(監視装置)
21 ジグビー親機
22 LAN
31 中継器
Claims (5)
- 鉄道沿線に沿って配置されている2以上の信号制御機器と、これらの信号制御機器の動作状態を遠隔地で監視する監視装置とを備えた鉄道用設備監視システムであって、
前記監視装置に直接または間接的に接続され、異なる複数の周波数帯を使用した無線通信が可能な主たる無線通信手段と、
前記信号制御機器に直接または間接的に接続され、前記複数の周波数帯を使用した無線通信が可能な従たる無線通信手段と、
前記複数の周波数帯を使用した無線通信によって受信したデータを転送する機能を有する中継手段と、を備え、
前記主たる無線通信手段と前記従たる無線通信手段との間および前記従たる無線通信手段同士の間に、互いの距離が前記無線通信による通信可能距離の2分の1以下となるように1または2以上の前記中継手段が鉄道沿線に配置されていることを特徴とする鉄道用設備監視システム。 - 前記従たる無線通信手段は、通信状態を判定する機能を備え、前記複数の周波数帯のすべての無線通信が可能な場合にはすべての周波数帯の無線通信を実行してデータを送信し、前記複数の周波数帯のうちいずれかの周波数帯を使用した無線通信が不能な場合には、無線通信が可能な他の周波数帯を使用した無線通信によってデータを送信することを特徴とする請求項1に記載の鉄道用設備監視システム。
- 前記従たる無線通信手段は、前記いずれかの周波数帯を使用した無線通信が不能な場合には、間引き処理をしたデータを送信することを特徴とする請求項2に記載の鉄道用設備監視システム。
- 前記従たる無線通信手段は、記憶装置を備え、前記いずれかの周波数帯を使用した無線通信が不能な場合に前記間引き処理で送信できなかったデータについては、前記記憶装置に記憶しておいて夜間の列車が運行しない時間帯に送信することを特徴とする請求項3に記載の鉄道用設備監視システム。
- 前記従たる無線通信手段は、他の無線通信手段から受信したデータに、当該従たる無線通信手段に接続されている信号制御機器において取得されたデータを付加して他の無線通信手段へ送信することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の鉄道用設備監視システム。
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