JP6460535B2 - プラスチックコンテナの矯正装置及び矯正方法 - Google Patents
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Description
変形したコンテナを複数段積み上げると、沈み込んだ底部が下段のコンテナの収容物に接触してしまい、安定した積み上げができなくなる。したがって、従来は変形したコンテナを廃棄処分することが多かった。
そこで、例えば特許文献1には、コンテナの開口部を上向きにした状態で、その底部を加熱押圧板と加熱台板とで上下から挟み込む加熱部と、冷却押圧板と冷却台板とで冷却する冷却部を備える矯正装置が開示されている。この矯正装置は、沈み込んだ状態のコンテナの底部を加熱部で加熱することによって熱変形により平面に戻し、その後冷却部で冷却し、固化させる仕組みになっている。
すなわち、加熱台板上にコンテナの開口部を上向きにした状態で載せて、上方から加熱押圧板を下降させるので、加熱台板上のコンテナの位置決めのために、コンテナの前後左右の側面を押さえる枠板が必要になり、コストが嵩むという問題がある。
また、コンテナ底部を平面に戻した状態で冷却作業を行なっているが、底部には沈み込んだ状態の変形癖が残っているため、冷却作業終了後に底部が再び僅かに沈み込んだ状態に戻ってしまうという問題もある。
また、本願発明者は、コンテナ底部を平面状態にしたまま冷却作業を行なった場合に、コンテナ底部には沈み込んだ状態の変形癖が残っているため、冷却作業終了後、時間の経過と共に当該変形癖によってコンテナ底部が再び下方(沈み込む方向)に変形した状態に戻ってしまう現象について、コンテナ底部の屈曲箇所の冷却が不十分であることが理由の一つであることを突き止めた。
そこで、本発明ではコンテナ底部だけを板体(従来技術の「冷却押圧板」及び「冷却台板」)で冷却するのではなく、コンテナ底部と屈曲部を板体(本発明の「冷却用押圧板」及び「冷却用台板」)と冷却材とで冷却し、更に、コンテナの側面を上下から挟んで保持しながら、コンテナ底部を上方に湾曲した状態で冷却して固化させることにした。これにより、冷却後に底部が再び沈み込んでしまう現象が発生せず、底部を平面状態で正確に矯正することができる。
図1〜図6に示すように、プラスチックコンテナの矯正装置1は加熱部10と冷却部20を備えており、底部31が変形したプラスチックコンテナ30に対して、当該底部31を熱変形させて平面に矯正するものである。
加熱用台板11はコンテナ30の開口部を下向きにした状態で、コンテナ底部31の内面に接触するものである。具体的には、加熱用台板11は脚部11aの上に、水平面内にのびる矩形状のヒートプレート11bを備えている。ヒートプレート11bの前後左右の寸法は、コンテナ底部31の内面と同一又は少し小さい寸法であれば特に限定されるものではない。本装置で矯正するコンテナのサイズが複数種類存在する場合には、最も小さいコンテナの底部31と同一又は少し小さい寸法にしておけばよい。ヒートプレート11aの温度は適宜調節可能であるが、周知技術のため説明は省略する。
保持板の上面にはシリンダ13が取り付けられており、シリンダ13の駆動により加熱用押圧板12全体が上下動する仕組みになっている。
凸部21は、コンテナ30の開口部を上向きにした状態で、コンテナ底部31の外面に接触して当該底部31を平面よりも上方に湾曲した状態に変形させるために設けられる。
凸部21の形状としては、コンテナ底部31の内面よりも少し小さい寸法であれば特に限定されるものではなく、本実施の形態では矩形状にしているが、例えば複数個の突起であってもよい。
冷却用台板22は凸部21を支持するために設けられる。具体的には、冷却用台板22は水平面内にのびる板状の部材であり、その上面に凸部21が取り付けられる。
上記加熱部10で加熱することにより底部31に柔軟性を持たせた状態のコンテナを、その開口部が上向きの状態で冷却用台板22に載せると、凸部21がコンテナ底部31の外面に接触し、当該底部31を上方に持ち上げることで、上方に湾曲した状態に変形する仕組みになっている(図3参照)。
上述のとおり上記加熱部10で加熱された状態のコンテナ底部31は柔軟性を持っているので、冷却部20ではコンテナ底部31に高い圧力を掛ける必要がなく、本実施の形態では冷却用押圧板23自身の重量を利用してコンテナ30の内面を押圧することにしている。これ以外に例えば冷却用押圧板23の上面にシリンダを取り付け、シリンダの駆動により冷却用押圧板23を上下動させてもよい。
本実施の形態では凸部21、冷却用台板22及び冷却用押圧板23として単なる金属部材を使用しているが、例えばペルチェ素子等を使用してコンテナ底部31を機械的に冷却する仕組みにしてもよい。
なお、詳しい説明は省略するが、接触部材24cの上下方向の位置を調節できる構造になっており、これにより側面の高さが異なる複数種類のコンテナに対応できる。
なお、コンテナの底部31に孔が空いている場合には、冷却材25aが孔から外部に漏れ出すため、冷却部20全体を上部が開放されたケース26の中に格納する必要がある(図8参照)。このようにすることで、冷却材25aによってコンテナ30をその内面側と外面側の両方から冷却することができる。
コンテナ内部に冷却材25aを投入することで、冷却材25aによってコンテナ底部31だけでなく、コンテナ底部31から上方に立ち上がる前後左右の4つの側面の下部、すなわちコンテナ底部31の屈曲箇所も冷却することができる。
まず作業者は、底部31が変形したプラスチックコンテナ30の開口部を下向きにした状態で、当該底部31を加熱して柔軟性を持たせた状態にする。
具体的には、図1に示すように作業者はコンテナ30の開口部を下向きにした状態で加熱用台板11に載せる。コンテナの開口部を下向きにすることで、加熱用台板11上のコンテナ30の位置決めが不要になり、従来のようにコンテナ30の前後左右の側面を押さえる枠板が不要になるというメリットがある。
次に、作業者はコンテナ30の開口部を上向きにした状態で、コンテナ底部31を上方に湾曲した状態に変形させる。
具体的には、図3に示すように作業者はコンテナ30を、その開口部が上向きの状態で冷却用台板22に載せる。加熱後のコンテナ底部31は柔軟性を有しているので、コンテナ底部31の外面に接触した凸部21によって当該底部31が上方に持ち上げられ、湾曲した状態に変形する。
具体的には、まず、図4に示すように作業者は冷却用押圧板23を下降させてコンテナ底部31の内面に接触させる。
次に、図5に示すように作業者はレバー24bの操作により接触部材24cをコンテナ30の側面に接触させ、押圧した状態で固定することにより、コンテナ30の両側面を上下から挟んで保持する。
そして、図6に示すように作業者はコンテナ30の内部に冷却材25aを投入し、底部31を冷却する。
これによりコンテナ底部31は上方に湾曲した状態で冷却され、最終的には図7に示すように平面状態に矯正される。
10 加熱部
11 加熱用台板
11a 脚部
11b ヒートプレート
12 加熱用押圧板
12a ヒートプレート
12b 保持板
13 シリンダ
20 冷却部
21 凸部
22 冷却用台板
23 冷却用押圧板
24 保持機構
24a 基台
24b レバー
24c 接触部材
25 冷却材投入機構
25a 冷却材
26 ケース
30 プラスチックコンテナ
31 底部
Claims (2)
- 底部が変形したプラスチックコンテナに対して、当該底部を加熱する加熱部と、当該底部を冷却する冷却部とで熱変形させて矯正するプラスチックコンテナの矯正装置において、
前記加熱部が、前記コンテナの開口部を下向きにした状態で、前記底部の内面に接触する加熱用台板と、前記底部の外面に接触する加熱用押圧板とを備えており、
前記冷却部が、前記コンテナの開口部を上向きにした状態で、前記底部の外面に接触して当該底部を平面よりも上方に湾曲した状態に変形させる凸部と、当該凸部を支持する冷却用台板と、前記底部の内面に接触する冷却用押圧板と、前記コンテナの前後左右の側面のうち、少なくとも対向する2つの側面を上下から挟んで保持する保持機構と、前記コンテナの内部に冷却材を投入する冷却材投入機構とを備えることを特徴とするプラスチックコンテナの矯正装置。
- 底部が変形したプラスチックコンテナに対して、当該底部を加熱した後、当該底部を冷却することで熱変形させて矯正するプラスチックコンテナの矯正方法において、
前記コンテナの開口部を下向きにした状態で、前記底部を加熱して柔軟性を持たせるステップと、
前記コンテナの開口部を上向きにした状態で、前記底部を上方に湾曲した状態に変形させるステップと、
前記コンテナの前後左右の側面のうち、少なくとも対向する2つの側面を上下から挟んで保持するステップと、
前記コンテナの内部に冷却材を投入するステップと、
前記底部を冷却するステップとを備えることを特徴とするプラスチックコンテナの矯正方法。
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