以下、本発明の一実施形態に係る光走査装置及び画像形成装置について図面に基づいて説明する。図1は、本発明の一実施形態に係る光走査装置11を含む画像形成装置1の構成を概略的に示した断面図である。画像形成装置1は、光走査装置11、現像器12、帯電器13、感光体ドラム14、転写ローラー15、定着器16及び給紙カセット17を備えている。
感光体ドラム14は、円筒状の部材であり、その周面に静電潜像及びトナー像が形成される。感光体ドラム14は、図略のモーターからの駆動力を受けて、図1における時計回りの方向に、所定のプロセス線速に応じた回転速度で軸回りに回転される。帯電器13は、感光体ドラム14の表面を略一様に帯電する。
光走査装置11は、帯電器13によって略一様に帯電された感光体ドラム14の周面に対して、画像データに応じたレーザー光線を照射して、画像データの静電潜像を形成する。この光走査装置11については、後記で詳述する。
現像器12は、静電潜像が形成された感光体ドラム14の周面にトナーを供給してトナー像を形成する。現像器12は、トナーを担持する現像ローラー、及びトナーを攪拌しつつ搬送するスクリューを含む。感光体ドラム14に形成されたトナー像は、給紙カセット17から繰り出されて搬送路170を搬送される記録紙に転写される。この現像器12には、図略のトナーコンテナからトナーが補給される。
感光体ドラム14の下方には転写ローラー15が対向して配設され、両者によって転写ニップ部が形成されている。転写ローラー15は、導電性を有するゴム材料等で構成されるとともに転写バイアスが与えられ、感光体ドラム14に形成されたトナー像を前記記録紙に転写させる。
定着器16は、ヒーターを内蔵する定着ローラー160と、該定着ローラー160と定着ニップ部を形成する加圧ローラー161とを備える。前記定着ニップ部を、トナー像が形成された記録紙が通過することにより、トナー像が記録紙に定着される。
次に、画像形成装置1の画像形成動作について簡単に説明する。先ず、帯電器13により感光体ドラム14の表面が略均一に帯電される。帯電された感光体ドラム14の周面が、光走査装置11により露光され、記録紙に形成する画像の静電潜像が感光体ドラム14の表面に形成される。この静電潜像が、現像器12から感光体ドラム14の周面にトナーが供給されることにより、トナー像として顕在化される。一方、給紙カセット17からは記録紙が搬送路170に繰り出される。前記トナー像は、前記転写ニップ部を記録紙が通過することにより、当該記録紙に転写される。この転写動作が行われた後、記録紙は定着器16(前記定着ニップ部)に搬送され、記録紙にトナー像が固着される。
以下、光走査装置11について詳述する。図2は、光走査装置11の内部構造を示す図、図3は、光走査装置11の主走査断面の構成を示す光路図であり、図4は、光走査装置11に備えられるLDモジュール111の例を示す斜視図である。光走査装置11は、樹脂にて一体成形されたハウジング121内に収納された光走査部110と、制御部119とを備える。光走査装置11は、制御部119によって動作が制御される。
光走査装置11において、光走査部110は、光線を発する第1発光部であるレーザーダイオードLD1と第2発光部であるレーザーダイオードLD2とを有するLDモジュール111、コリメータレンズ112、シリンドリカルレンズ113、ポリゴンミラー114、第1結像レンズ115、第2結像レンズ116、同期検知器117及び同期検知用ミラー118を含む。この光走査部110は、レーザーダイオードLD1,LD2からそれぞれ発せられるレーザー光線(光線)で、感光体ドラム14の周面14S(以下、「ドラム周面14S」という)を主走査方向に、副走査方向に異なる位置で繰り返し走査(露光)する。なお、「主走査方向」は感光体ドラム14の軸方向に一致し、「副走査方向」は主走査方向に垂直な方向である。
LDモジュール111は、図4に示すように、筒状のホルダーの先端面Y(出射面)にレーザーダイオードLD1及びレーザーダイオードLD2を備え、各レーザーダイオードLD1,LD2から所定の波長(例えば、670nm)のレーザー光線を発する。本実施形態では、LDモジュール111は、2個のレーザーダイオードLD1,LD2を備えたマルチビーム型の光源である。このようなマルチビーム型のLDモジュール111では、先端面Yに対する法線のうち中央を通る法線Gを回転軸として矢印Xの方向にLDモジュール111を回転させることで、各レーザーダイオードLD1,LD2から発せられる2本のレーザー光線の主走査ピッチを調整することができるとともに、副走査ピッチ(解像度)を調整することができる。
各レーザーダイオードLD1,LD2は、駆動回路部品を備えたドライバ120によって駆動される。ドライバ120が各レーザーダイオードLD1,LD2に与える駆動電流によって、各レーザーダイオードLD1,LD2が発するレーザー光線の光量が定められる。
コリメータレンズ112は、レーザーダイオードLD1,LD2から発せられ拡散するレーザー光線を平行光に変換する。シリンドリカルレンズ113は、コリメータレンズ112から出射されたレーザー光線を、主走査方向に長い線状光に変換してポリゴンミラー114に結像させる。
ポリゴンミラー114は、レーザーダイオードLD1,LD2から発せられたレーザー光線を偏向(反射)するとともに、偏向したレーザー光線によって感光体ドラム14のドラム周面14S上を主走査方向に走査させる。ポリゴンミラー114は、正多角形(例えば、正五角形)の各辺に沿って反射面が形成された多面鏡であり、図略のポリゴンモーターによって回転軸回りに回転駆動される。なお、ポリゴンミラー114に代えて、MEMS(Micro Electro Mechanical System)ミラーを用いるようにしても良い。本実施形態の光走査装置11では、このポリゴンミラー114と被走査面であるドラム周面14Sとの間に、2枚の走査レンズとして第1結像レンズ115及び第2結像レンズ116が配置されている。
第1結像レンズ115及び第2結像レンズ116は、ポリゴンミラー114によって偏向されたレーザー光線を集光し、感光体ドラム14のドラム周面14Sに結像させる。第1結像レンズ115及び第2結像レンズ116は、fθ特性(焦点距離fは例えば180mmである)を有する走査レンズであって、主走査方向に長尺のレンズである。
本実施形態の光走査装置11では、レーザーダイオードLD1,LD2から発せられるレーザー光線による感光体ドラム14の有効走査範囲外に、同期検知器117及び同期検知用ミラー118が配置されている。レーザーダイオードLD1,LD2から発せられるレーザー光線による感光体ドラム14のドラム周面14S上への走査開始タイミングは、同期検知用ミラー118によって反射された同期検知用の光ビームを同期検知器117が検知することによって決定される。
レーザーダイオードLD1,LD2から発せられたレーザー光線は、コリメータレンズ112、図略の絞り、及びシリンドリカルレンズ113を経て、ポリゴンミラー114に入射する。その後、レーザー光線は、軸回りに揺動するポリゴンミラー114で偏向され、第1結像レンズ115及び第2結像レンズ116に入射する。そして、レーザー光線は第1結像レンズ115及び第2結像レンズ116から出射し、感光体ドラム14のドラム周面14Sに向かう。ポリゴンミラー114の回転に伴い、レーザー光線は、走査領域におけるマイナス方向の軸外から、プラス方向の軸外に向けて、ドラム周面14S上を走査する。
制御部119は、光走査装置11を含む画像形成装置1全体の動作を制御する。制御部119は、例えば制御プログラムを記憶するROM(Read Only Memory)や一時的にデータを記憶するフラッシュメモリ等の記憶部が内蔵されたマイクロコンピュータからなり、前記制御プログラムが読み出されることにより、機能的に画像形成制御部119a及び発光制御部119bを有するように動作する。
画像形成制御部119aは、画像形成装置1の各部の動作を制御することで、上述の画像形成動作を実行させる。上記の制御には、光走査装置11のLDモジュール111やポリゴンミラー114の回転動作、帯電器13のオンオフ動作、感光体ドラム14の軸回りの回転動作、現像バイアスや転写バイアス等の印加動作の制御が含まれる。
本実施形態においては、画像形成制御部119aは、画像形成装置1のプロセス線速を設定し、このプロセス線速に合わせて感光体ドラム14の回転速度を設定する。画像形成制御部119aは、感光体ドラム14が所定の第1速度で全速回転される全速モードと、全速モード時の前記第1速度よりも遅い所定の第2速度で感光体ドラム14が回転される低速モードとに設定することができる。
ここで、全速モード時に感光体ドラム14の回転速度として設定される第1速度は、画像形成装置1が通常のプロセス線速で画像形成動作を行う場合のドラム回転速度である。低速モード時に感光体ドラム14の回転速度として設定される第2速度は、全速モード時の感光体ドラム14の回転速度(第1速度)をmとするとき、m×1/n(但し、nは2以上の整数)とされる。
また、画像形成制御部119aは、回転速度制御部としての機能を有し、画像データで表される画像の解像度に基づいて感光体ドラム14の回転速度を制御する。画像形成制御部119aは、画像データで表される画像の解像度が所定の第1解像度である場合に、感光体ドラム14が第1速度で全速回転される全速モードに設定する。また、画像形成制御部119aは、画像データで表される画像の解像度が第1解像度よりも高い所定の第2解像度である場合に、感光体ドラム14が第2速度で回転される低速モードに設定する。すなわち、画像形成装置1においては、画像形成制御部119aによって感光体ドラム14の回転速度が第1速度の全速モードに設定された場合には、第1解像度(以下、「低解像度」という)の画像を形成するための画像形成動作が行われ、感光体ドラム14の回転速度が第2速度の低速モードに設定された場合には、第2解像度(以下、「高解像度」という)の画像を形成するための画像形成動作が行われる。
本実施形態においては、画像形成制御部119aによって全速モードに設定された場合には、感光体ドラム14が回転速度(第1速度)mで全速回転されて、例えば600dpiの低解像度の画像を形成するための画像形成動作が行われる。画像形成制御部119aによって低速モードに設定された場合には、感光体ドラム14が回転速度(第2速度)m/2(半速)で回転されて、例えば1200dpiの高解像度の画像を形成するための画像形成動作が行われる。
発光制御部119bは、感光体ドラム14のドラム周面14Sに対する静電潜像形成用として与えられた、複数の画素から成る画像データに応じて、光走査部110の光走査動作を制御する。この発光制御部119bにおける制御動作について、図5に基づき説明する。図5(A)は感光体ドラム14の回転速度が第1速度の全速モード時における光走査を説明するための模式図である。
発光制御部119bは、感光体ドラム14が回転軸AX回りに第1速度mで回転される全速モードに設定された、低解像度の画像形成時には、LDモジュール111が有するレーザーダイオードLD1,LD2を、画像データを構成する各画素に応じた主発光動作を実行する第1主発光部として設定する。そして、発光制御部119bは、第1主発光部として設定したレーザーダイオードLD1,LD2から発せられる2本のレーザー光線で、副走査方向に異なる位置で感光体ドラム14のドラム周面14Sを主走査方向に走査させる。すなわち、全速モードでは、発光制御部119bは、レーザーダイオードLD1,LD2の双方に主発光動作を実行させ、1回の走査で2本の走査ラインを描画させる。これら走査ラインの副走査ピッチは、所定の解像度(ここでは、600dpi)に沿ったものである。
なお、LDモジュール111に備えられるレーザーダイオードの数は、2つに限定されるものではなく、レーザーダイオードLD1,LD2を含む3つ以上の複数のレーザーダイオードを備える構成とすることができる。この場合、全速モードにおいて発光制御部119bは、複数のレーザーダイオードのそれぞれに主発光動作を実行させても良いし、複数のレーザーダイオードのうちのレーザーダイオードLD1,LD2のみに主発光動作を実行させても良い。
図5(B)は感光体ドラム14の回転速度が第2速度の低速モード時における光走査を説明するための模式図である。発光制御部119bは、感光体ドラム14が回転軸AX回りに第2速度m/2で回転される低速モードに設定された、高解像度の画像形成時には、LDモジュール111が有するレーザーダイオードLD1を、画像データを構成する各画素に応じた主発光動作を実行する第2主発光部として設定する。また、発光制御部119bは、LDモジュール111が有するレーザーダイオードLD2を、画像データを構成する各画素に応じてレーザーダイオードLD1(第2主発光部)によるレーザー光線の光量を補う補助発光動作を実行する補助発光部として設定する。そして、発光制御部119bは、第2主発光部として設定したレーザーダイオードLD1から発せられるレーザー光線で感光体ドラム14のドラム周面14Sを主走査方向に走査させ、補助発光部として設定したレーザーダイオードLD2から発せられるレーザー光線で、レーザーダイオードLD1によるレーザー光線と副走査方向に同じ位置でドラム周面14Sを主走査方向に走査させる。
なお、LDモジュール111が、レーザーダイオードLD1,LD2を含む3つ以上の複数のレーザーダイオードを備える構成である場合、低速モードにおいて発光制御部119bは、例えば、レーザーダイオードLD1に主発光動作を実行させるとともに、レーザーダイオードLD2を含む、レーザーダイオードLD1以外のレーザーダイオードに補助発光動作を実行させても良い。
また、発光制御部119bは、制御信号生成部としての機能を有し、低速モードにおいて、レーザーダイオードLD1(第2主発光部)の主発光動作を制御するときに用いる主発光制御信号と、レーザーダイオードLD2(補助発光部)の補助発光動作を制御するときに用いる補助発光制御信号とを生成する。低速モードにおいて発光制御部119bは、主発光制御信号を用いて、画像データを構成する各画素に応じた主発光動作をレーザーダイオードLD1(第2主発光部)に実行させることができ、補助発光制御信号を用いて、画像データを構成する各画素に応じた補助発光動作をレーザーダイオードLD2(補助発光部)に実行させることができる。
以上説明した本実施形態に係る光走査装置11によれば、感光体ドラム14の回転速度が第2速度の低速モードに設定された高解像度の画像形成時に、発光制御部119bが、画像データを構成する各画素に応じた主発光動作をレーザーダイオードLD1(第2主発光部)に実行させ、補助発光動作をレーザーダイオードLD2(補助発光部)に実行させるので、画像データを構成する各画素に対するレーザーダイオードLD1の主発光動作による光線の光量を、レーザーダイオードLD2の補助発光動作による光線で補うことができる。従って、感光体ドラム14の回転速度が第2速度の低速モードに設定された高解像度の画像形成時に、画像データを構成する各画素に対するレーザー光線の光量が十分に確保され、濃度ムラの無い高品質の画像を形成することができる。
次に、本実施形態の光走査装置11による光走査動作について、図6〜図11に基づき、より具体的に説明する。
図6は、感光体ドラム14の回転速度が第1速度の全速モード時における光走査を説明するための図であって、図6(A)は画像データを構成する各画素に対するレーザーダイオードLD1及びレーザーダイオードLD2の主発光動作を説明するための図であり、図6(B)はレーザーダイオードLD1及びレーザーダイオードLD2の主発光動作を制御するときに用いる主発光制御信号の波形図である。
本実施形態の光走査装置11においては、感光体ドラム14が第1速度で回転される全速モードに設定された低解像度の画像形成時には、前述のように、発光制御部119bは、レーザーダイオードLD1,LD2を、画像データを構成する各画素に応じた主発光動作を実行する第1主発光部として設定し、1回の走査で2本の走査ラインを描画させる。LDモジュール111においてレーザーダイオードLD1とレーザーダイオードLD2とは、副走査方向に600dpiの低解像度の画像の1画素分離間して走査するように調整されている。
図6に示す例では、画素D1〜D8によって構成される画像データに対して、ポリゴンミラー114の第1反射面で偏向されたレーザーダイオードLD1の主発光動作(以下、「主発光動作LD1−1」という)によるレーザー光線で、主走査方向に沿って並んで配置される画素D1及び画素D2が走査され、ポリゴンミラー114の第1反射面で偏向されたレーザーダイオードLD2の主発光動作(以下、「主発光動作LD2−1」という)によるレーザー光線で、画素D1及び画素D2に対して副走査方向下流側に1画素分ずれた位置に主走査方向に沿って並んで配置される画素D3及び画素D4が走査される。
次に、ポリゴンミラー114が回転されることでポリゴンミラー114の次の第2反射面(第1反射面に隣接する回転方向上流側の反射面)で偏向されたレーザーダイオードLD1の主発光動作(以下、「主発光動作LD1−2」という)によるレーザー光線で、画素D3及び画素D4に対して副走査方向下流側に1画素分ずれた位置に主走査方向に沿って並んで配置される画素D5及び画素D6が走査され、ポリゴンミラー114の第2反射面で偏向されたレーザーダイオードLD2の主発光動作(以下、「主発光動作LD2−2」という)によるレーザー光線で、画素D5及び画素D6に対して副走査方向下流側に1画素分ずれた位置に主走査方向に沿って並んで配置される画素D7及び画素D8が走査される。
なお、レーザーダイオードLD1の主発光動作によるレーザー光線の走査ライン間のラインピッチL1は、2画素分に相当する。
また、図6(B)に示すように、レーザーダイオードLD1の主発光動作LD1−1を実行させるときに用いられる主発光制御信号は、画素D1に応じてレーザーダイオードLD1の主発光動作期間A1が設定され、画素D2に応じてレーザーダイオードLD1の主発光動作期間A2が設定され、主発光動作期間A1,A2以外の期間は主発光動作を実行させないように設定されたものである。レーザーダイオードLD2の主発光動作LD2−1を実行させるときに用いられる主発光制御信号は、画素D3に応じてレーザーダイオードLD2の主発光動作期間A3が設定され、画素D4に応じてレーザーダイオードLD2の主発光動作期間A4が設定され、主発光動作期間A3,A4以外の期間は主発光動作を実行させないように設定されたものである。
レーザーダイオードLD1の主発光動作LD1−2を実行させるときに用いられる主発光制御信号は、画素D5に応じてレーザーダイオードLD1の主発光動作期間A5が設定され、画素D6に応じてレーザーダイオードLD1の主発光動作期間A6が設定され、主発光動作期間A5,A6以外の期間は主発光動作を実行させないように設定されたものである。レーザーダイオードLD2の主発光動作LD2−2を実行させるときに用いられる主発光制御信号は、画素D7に応じてレーザーダイオードLD2の主発光動作期間A7が設定され、画素D8に応じてレーザーダイオードLD2の主発光動作期間A8が設定され、主発光動作期間A7,A8以外の期間は主発光動作を実行させないように設定されたものである。
本実施形態の光走査装置11は、感光体ドラム14が第2速度で回転される低速モードに設定された高解像度の画像形成時に、発光制御部119bが、画像データを構成する各画素に応じたレーザーダイオードLD2(補助発光部)の補助発光動作の動作期間を、レーザーダイオードLD1(第2主発光部)の主発光動作の動作期間と異なるように設定する構成とすることができる。このような構成の光走査装置11による光走査動作について、図7に基づき説明する。
図7は、感光体ドラム14の回転速度が低速モード時における光走査の第1例を説明するための図であって、図7(A)は画像データを構成する各画素に対するレーザーダイオードLD1の主発光動作及びレーザーダイオードLD2の補助発光動作を説明するための図であり、図7(B)はレーザーダイオードLD1の主発光動作及びレーザーダイオードLD2の補助発光動作を制御するときに用いる発光制御信号の波形図である。
図7に示す例では、複数の画素D1〜画素D32によって構成される画像データに対して、レーザーダイオードLD1,LD2の発光動作によるレーザー光線で走査される。この画像データは、複数の画素D1〜画素D32が、角部が接するようにマトリクス状に配列されて成る。
主走査方向に沿って並んで配置される画素D1〜画素D4について、ポリゴンミラー114の第3反射面(第1反射面よりも回転方向に2面分上流側の反射面)で偏向されたレーザーダイオードLD1の主発光動作(以下、「主発光動作LD1−3」という)によるレーザー光線で画素D1〜画素D4が走査される。レーザーダイオードLD1の主発光動作LD1−3を実行させるときに用いられる主発光制御信号は、画素D1に応じてレーザーダイオードLD1の主発光動作期間A1が設定され、画素D2に応じてレーザーダイオードLD1の主発光動作期間A2が設定され、画素D3に応じてレーザーダイオードLD1の主発光動作期間A3が設定され、画素D4に応じてレーザーダイオードLD1の主発光動作期間A4が設定され、主発光動作期間A1〜A4以外の期間は主発光動作を実行させないように設定されたものである。
さらに、画素D1〜画素D4について、ポリゴンミラー114の第1反射面で偏向されたレーザーダイオードLD2の補助発光動作(以下、「補助発光動作LD2−1」という)によるレーザー光線で画素D1〜画素D4が走査される。レーザーダイオードLD2の補助発光動作LD2−1を実行させるときに用いられる補助発光制御信号は、画素D1に対して、レーザーダイオードLD1の主発光動作期間A1よりも短いレーザーダイオードLD2の補助発光動作期間A1aが設定され、画素D2に対して、レーザーダイオードLD1の主発光動作期間A2よりも短いレーザーダイオードLD2の補助発光動作期間A2aが設定され、画素D3に対して、レーザーダイオードLD1の主発光動作期間A3よりも短いレーザーダイオードLD2の補助発光動作期間A3aが設定され、画素D4に対して、レーザーダイオードLD1の主発光動作期間A4よりも短いレーザーダイオードLD2の補助発光動作期間A4aが設定され、補助発光動作期間A1a〜A4a以外の期間は補助発光動作を実行させないように設定されたものである。
次に、画素D1〜画素D4に対して副走査方向下流側に1画素分ずれた位置に主走査方向に沿って並んで配置される画素D5〜画素D8について、ポリゴンミラー114が回転されることでポリゴンミラー114の第4反射面(第3反射面に隣接する回転方向上流側の反射面)で偏向されたレーザーダイオードLD1の主発光動作(以下、「主発光動作LD1−4」という)によるレーザー光線で画素D5〜画素D8が走査される。レーザーダイオードLD1の主発光動作LD1−4を実行させるときに用いられる主発光制御信号は、画素D5に応じてレーザーダイオードLD1の主発光動作期間A5が設定され、画素D6に応じてレーザーダイオードLD1の主発光動作期間A6が設定され、画素D7に応じてレーザーダイオードLD1の主発光動作期間A7が設定され、画素D8に応じてレーザーダイオードLD1の主発光動作期間A8が設定され、主発光動作期間A5〜A8以外の期間は主発光動作を実行させないように設定されたものである。
さらに、画素D5〜画素D8について、ポリゴンミラー114の第2反射面(第1反射面に隣接する回転方向上流側の反射面)で偏向されたレーザーダイオードLD2の補助発光動作(以下、「補助発光動作LD2−2」という)によるレーザー光線で画素D5〜画素D8が走査される。レーザーダイオードLD2の補助発光動作LD2−2を実行させるときに用いられる補助発光制御信号は、画素D5に対して、レーザーダイオードLD1の主発光動作期間A5よりも短いレーザーダイオードLD2の補助発光動作期間A5aが設定され、画素D6に対して、レーザーダイオードLD1の主発光動作期間A6よりも短いレーザーダイオードLD2の補助発光動作期間A6aが設定され、画素D7に対して、レーザーダイオードLD1の主発光動作期間A7よりも短いレーザーダイオードLD2の補助発光動作期間A7aが設定され、画素D8に対して、レーザーダイオードLD1の主発光動作期間A8よりも短いレーザーダイオードLD2の補助発光動作期間A8aが設定され、補助発光動作期間A5a〜A8a以外の期間は補助発光動作を実行させないように設定されたものである。
上記のようなレーザーダイオードLD1の主発光動作及びレーザーダイオードLD2の補助発光動作が、副走査方向に異なる位置で繰り返し行われる。具体的には、レーザーダイオードLD1の主発光動作LD1−5によるレーザー光線とレーザーダイオードLD2の補助発光動作LD2−3によるレーザー光線とで、画素D5〜画素D8に対して副走査方向下流側に1画素分ずれた位置に主走査方向に沿って並んで配置される画素D9〜画素D12が走査され、レーザーダイオードLD1の主発光動作LD1−6によるレーザー光線とレーザーダイオードLD2の補助発光動作LD2−4によるレーザー光線とで、画素D9〜画素D12に対して副走査方向下流側に1画素分ずれた位置に主走査方向に沿って並んで配置される画素D13〜画素D16が走査され、レーザーダイオードLD1の主発光動作LD1−7によるレーザー光線とレーザーダイオードLD2の補助発光動作LD2−5によるレーザー光線とで、画素D13〜画素D16に対して副走査方向下流側に1画素分ずれた位置に主走査方向に沿って並んで配置される画素D17〜画素D20が走査され、レーザーダイオードLD1の主発光動作LD1−8によるレーザー光線とレーザーダイオードLD2の補助発光動作LD2−6によるレーザー光線とで、画素D17〜画素D20に対して副走査方向下流側に1画素分ずれた位置に主走査方向に沿って並んで配置される画素D21〜画素D24が走査され、レーザーダイオードLD1の主発光動作LD1−9によるレーザー光線とレーザーダイオードLD2の補助発光動作LD2−7によるレーザー光線とで、画素D21〜画素D24に対して副走査方向下流側に1画素分ずれた位置に主走査方向に沿って並んで配置される画素D25〜画素D28が走査され、レーザーダイオードLD1の主発光動作LD1−10によるレーザー光線とレーザーダイオードLD2の補助発光動作LD2−8によるレーザー光線とで、画素D25〜画素D28に対して副走査方向下流側に1画素分ずれた位置に主走査方向に沿って並んで配置される画素D29〜画素D32が走査される。
なお、画素D5〜画素D32に対するレーザーダイオードLD2の補助発光動作期間は、レーザーダイオードLD1の主発光動作期間よりも短く設定されている。また、レーザーダイオードLD1の主発光動作によるレーザー光線の走査ライン間のラインピッチL2は、1200dpiの高解像度の画像の1画素分に相当する。
上記のように構成される本実施形態に係る光走査装置11によれば、感光体ドラム14の回転速度が第2速度の低速モードに設定された高解像度の画像形成時において、複数の画素D1〜画素D32が、角部が接するようにマトリクス状に配列されて成る画像データに対して、画像データを構成する画素D1〜画素D32に応じたレーザーダイオードLD2の補助発光動作の動作期間を、レーザーダイオードLD1の主発光動作の動作期間よりも短く設定することによって、画素D1〜画素D32に対するレーザーダイオードLD1の主発光動作によるレーザー光線の光量を、レーザーダイオードLD2の補助発光動作期間内における補助発光動作によるレーザー光線で補うことができる。従って、画像データを構成する各画素に対するレーザー光線の光量が十分に確保され、濃度ムラの無い高品質の画像を形成することができる。
本実施形態の光走査装置11は、感光体ドラム14が第2速度で回転される低速モードに設定された高解像度の画像形成時に、発光制御部119bが、画像データを構成する各画素に応じたレーザーダイオードLD2(補助発光部)の補助発光動作の動作期間を、画像データの階調に基づいて設定する構成とすることができる。このような構成の光走査装置11による光走査動作について、図8に基づき説明する。
図8は、感光体ドラム14の回転速度が低速モード時における光走査の第2例を説明するための図であって、図8(A)は画像データを構成する各画素に対するレーザーダイオードLD1の主発光動作及びレーザーダイオードLD2の補助発光動作を説明するための図であり、図8(B)はレーザーダイオードLD1の主発光動作及びレーザーダイオードLD2の補助発光動作を制御するときに用いる発光制御信号の波形図である。
前述した図7に示す例では、角部が接するように複数の画素がマトリクス状に配列されて成る画像データに対してレーザーダイオードLD1の主発光動作及びレーザーダイオードLD2の補助発光動作を実行させていたが、図8に示す例では、画素同士が接する部分を有しておらず、複数の画素D1〜画素D16が互いに離間してマトリクス状に配列されて成る画像データに対して、レーザーダイオードLD1の主発光動作及びレーザーダイオードLD2の補助発光動作を実行させる。図8に示す例において、画像データは、主走査方向に沿って並んで配置される画素D1〜画素D4と、画素D1〜画素D4に対して副走査方向下流側に1画素分離間した位置に主走査方向に沿って並んで配置される画素D5〜画素D8と、画素D5〜画素D8に対して副走査方向下流側に1画素分離間した位置に主走査方向に沿って並んで配置される画素D9〜画素D12と、画素D9〜画素D12に対して副走査方向下流側に1画素分離間した位置に主走査方向に沿って並んで配置される画素D13〜画素D16と、によって構成される。すなわち、図8に示す例では、画素同士が接する部分を有していない低階調の画像データに対してレーザーダイオードLD1の主発光動作及びレーザーダイオードLD2の補助発光動作を実行させる。
主走査方向に沿って並んで配置される画素D1〜画素D4について、ポリゴンミラー114の第3反射面(第1反射面よりも回転方向に2面分上流側の反射面)で偏向されたレーザーダイオードLD1の主発光動作(以下、「主発光動作LD1−3」という)によるレーザー光線で画素D1〜画素D4が走査される。レーザーダイオードLD1の主発光動作LD1−3を実行させるときに用いられる主発光制御信号は、画素D1に応じてレーザーダイオードLD1の主発光動作期間A1が設定され、画素D2に応じてレーザーダイオードLD1の主発光動作期間A2が設定され、画素D3に応じてレーザーダイオードLD1の主発光動作期間A3が設定され、画素D4に応じてレーザーダイオードLD1の主発光動作期間A4が設定され、主発光動作期間A1〜A4以外の期間は主発光動作を実行させないように設定されたものである。
さらに、画素D1〜画素D4について、ポリゴンミラー114の第1反射面で偏向されたレーザーダイオードLD2の補助発光動作(以下、「補助発光動作LD2−1」という)によるレーザー光線で画素D1〜画素D4が走査される。レーザーダイオードLD2の補助発光動作LD2−1を実行させるときに用いられる補助発光制御信号は、画素D1に対して、レーザーダイオードLD1の主発光動作期間A1と同じレーザーダイオードLD2の補助発光動作期間A1aが設定され、画素D2に対して、レーザーダイオードLD1の主発光動作期間A2と同じレーザーダイオードLD2の補助発光動作期間A2aが設定され、画素D3に対して、レーザーダイオードLD1の主発光動作期間A3と同じレーザーダイオードLD2の補助発光動作期間A3aが設定され、画素D4に対して、レーザーダイオードLD1の主発光動作期間A4と同じレーザーダイオードLD2の補助発光動作期間A4aが設定され、補助発光動作期間A1a〜A4a以外の期間は補助発光動作を実行させないように設定されたものである。
次に、ポリゴンミラー114が回転されることでポリゴンミラー114の第4反射面(第3反射面に隣接する回転方向上流側の反射面)に対応するレーザーダイオードLD1の主発光動作LD1−4は、実行されない。レーザーダイオードLD1の主発光動作LD1−4を実行させないための主発光制御信号は、レーザーダイオードLD1の主発光動作期間が設定されていない、直線状の波形を有したものである。
さらに、ポリゴンミラー114が回転されることでポリゴンミラー114の第2反射面(第1反射面に隣接する回転方向上流側の反射面)に対応するレーザーダイオードLD2の補助発光動作LD2−2も、実行されない。レーザーダイオードLD2の補助発光動作LD2−2を実行させないための補助発光制御信号は、レーザーダイオードLD2の補助発光動作期間が設定されていない、直線状の波形を有したものである。
上記のようなレーザーダイオードLD1の主発光動作及びレーザーダイオードLD2の補助発光動作が、副走査方向に異なる位置で繰り返し行われる。具体的には、レーザーダイオードLD1の主発光動作LD1−5によるレーザー光線とレーザーダイオードLD2の補助発光動作LD2−3によるレーザー光線とで、画素D1〜画素D4に対して副走査方向下流側に1画素分離間した位置に主走査方向に沿って並んで配置される画素D5〜画素D8が走査され、レーザーダイオードLD1の主発光動作LD1−6及びレーザーダイオードLD2の補助発光動作LD2−4は実行されず、レーザーダイオードLD1の主発光動作LD1−7によるレーザー光線とレーザーダイオードLD2の補助発光動作LD2−5によるレーザー光線とで、画素D5〜画素D8に対して副走査方向下流側に1画素分離間した位置に主走査方向に沿って並んで配置される画素D9〜画素D12が走査され、レーザーダイオードLD1の主発光動作LD1−8及びレーザーダイオードLD2の補助発光動作LD2−6は実行されず、レーザーダイオードLD1の主発光動作LD1−9によるレーザー光線とレーザーダイオードLD2の補助発光動作LD2−7によるレーザー光線とで、画素D9〜画素D12に対して副走査方向下流側に1画素分離間した位置に主走査方向に沿って並んで配置される画素D13〜画素D16が走査され、レーザーダイオードLD1の主発光動作LD1−10及びレーザーダイオードLD2の補助発光動作LD2−8は実行されない。
なお、画素D5〜画素D16に対するレーザーダイオードLD2の補助発光動作期間は、レーザーダイオードLD1の主発光動作期間と同じに設定されている。また、レーザーダイオードLD1の主発光動作によるレーザー光線の走査ライン間のラインピッチL2は、1200dpiの高解像度の画像の1画素分に相当する。
上記のように構成される本実施形態に係る光走査装置11によれば、感光体ドラム14の回転速度が第2速度の低速モードに設定された高解像度の画像形成時において、複数の画素D1〜画素D16が互いに離間してマトリクス状に配列されて成る、画素同士が接する部分を有していない低階調の画像データに対して、画像データを構成する画素D1〜画素D16に応じたレーザーダイオードLD2の補助発光動作の動作期間を、図7に示す例の、角部が接するようにマトリクス状に配列されて成る画像データに対するレーザーダイオードLD2の補助発光動作の動作期間よりも長くなるように、レーザーダイオードLD1の主発光動作の動作期間と同じに設定する。このように、画像データを構成する各画素に応じたレーザーダイオードLD2の補助発光動作の動作期間を、画像データの階調が低くなるにつれて長くなるように、画像データの階調に基づいて設定することによって、画素D1〜画素D16に対するレーザーダイオードLD1の主発光動作によるレーザー光線の光量を、レーザーダイオードLD2の補助発光動作期間内における補助発光動作によるレーザー光線で補うことができる。従って、画像データを構成する各画素に対するレーザー光線の光量が十分に確保され、濃度ムラの無い高品質の画像を形成することができる。
本実施形態の光走査装置11は、感光体ドラム14が第2速度で回転される低速モードに設定された高解像度の画像形成時に、発光制御部119bが、画像データを構成する各画素に応じたレーザーダイオードLD2(補助発光部)の補助発光動作の動作期間を、レーザーダイオードLD1(第2主発光部)の主発光動作によるレーザー光線の、感光体ドラム14のドラム周面14S上における主走査方向の中央での光量を基準とした光量比に基づいて設定する構成とすることができる。具体的には、レーザーダイオードLD2の補助発光動作の動作期間に関して、ドラム周面14S上における光量比が所定の第1光量比である場合の動作期間を第1補助発光動作期間とし、前記光量比が第1光量比よりも小さい所定の第2光量比である場合の動作期間を第2補助発光動作期間としたとき、発光制御部119bは、第1補助発光動作期間及び第2補助発光動作期間が、レーザーダイオードLD1の主発光動作の動作期間よりも短く、且つ、第1補助発光動作期間が第2補助発光動作期間よりも短くなるように、第1補助発光動作期間及び第2補助発光動作期間を設定する。このような構成の光走査装置11による光走査動作について、図9、図10及び図11に基づき説明する。
図9は、感光体ドラム14のドラム周面14S上における像高と光量比との関係を示すグラフである。レーザーダイオードLD1及びレーザーダイオードLD2を有するマルチビーム型のLDモジュール111を備えた光走査装置11では、ポリゴンミラー114に入射するレーザー光線の大部分がP偏光となるため、感光体ドラム14のドラム周面14S上における、入射角が狭い主走査方向下流側端部と入射角が広い主走査方向上流側端部とでは、レーザー光線の光量が大きく異なる傾向にある。
図9のグラフにおいて横軸は、感光体ドラム14のドラム周面14S上における主走査方向の中央である、ドラム周面14Sと第1結像レンズ115及び第2結像レンズ116の光軸との交点を「0」としたときの、ドラム周面14S上での像位置を光軸からの距離で表した像高を示す。なお、像高は、ドラム周面14S上における主走査方向中央よりも下流側に正の符号を付し、ドラム周面14S上における主走査方向中央よりも上流側に負の符号を付すものとする。また、図9のグラフにおいて縦軸は、感光体ドラム14のドラム周面14S上における主走査方向中央での光量を基準(光量比=1.00)とした、ドラム周面14S上の主走査方向における光量比を示す。
感光体ドラム14のドラム周面14S上において、像高が異なる位置で光量ムラが生じる場合、走査中にレーザー光線の光量を変化させることで光量ムラの影響を低下させる技術を用いることが考えられるが、対応するLDドライバは高価なものとなりコストアップとなる。また、このような光量ムラは、高解像度の画像形成時に顕著なものとなるため、低解像度の画像形成時には高品質の画像を形成することができたとしても、高解像度の画像形成時に高品質の画像を形成することができない場合がある。
そこで、本実施形態の光走査装置11では、感光体ドラム14が第2速度で回転される低速モードに設定された高解像度の画像形成時に、発光制御部119bが、画像データを構成する各画素に応じたレーザーダイオードLD2の補助発光動作の動作期間を、レーザーダイオードLD1の主発光動作によるレーザー光線の、感光体ドラム14のドラム周面14S上における主走査方向中央での光量を基準とした光量比に基づいて設定する構成とする。
図10は、感光体ドラム14の回転速度が低速モード時における光走査の第3例として、感光体ドラム14のドラム周面14S上の像高150mm部での光走査を説明するための図であって、図10(A)は画像データを構成する各画素に対するレーザーダイオードLD1の主発光動作及びレーザーダイオードLD2の補助発光動作を説明するための図であり、図10(B)はレーザーダイオードLD1の主発光動作及びレーザーダイオードLD2の補助発光動作を制御するときに用いる発光制御信号の波形図である。
図10に示す例では、感光体ドラム14のドラム周面14S上における光量比が最大(第1光量比)となる像高150mm部に対応した、複数の画素D1〜画素D32によって構成される画像データに対して、レーザーダイオードLD1,LD2の発光動作によるレーザー光線で走査される。この画像データは、複数の画素D1〜画素D32が、角部が接するようにマトリクス状に配列されて成る。
主走査方向に沿って並んで配置される画素D1〜画素D4について、ポリゴンミラー114の第3反射面(第1反射面よりも回転方向に2面分上流側の反射面)で偏向されたレーザーダイオードLD1の主発光動作(以下、「主発光動作LD1−3」という)によるレーザー光線で画素D1〜画素D4が走査される。レーザーダイオードLD1の主発光動作LD1−3を実行させるときに用いられる主発光制御信号は、画素D1に応じてレーザーダイオードLD1の主発光動作期間A1が設定され、画素D2に応じてレーザーダイオードLD1の主発光動作期間A2が設定され、画素D3に応じてレーザーダイオードLD1の主発光動作期間A3が設定され、画素D4に応じてレーザーダイオードLD1の主発光動作期間A4が設定され、主発光動作期間A1〜A4以外の期間は主発光動作を実行させないように設定されたものである。
さらに、画素D1〜画素D4について、ポリゴンミラー114の第1反射面で偏向されたレーザーダイオードLD2の補助発光動作(以下、「補助発光動作LD2−1」という)によるレーザー光線で画素D1〜画素D4が走査される。レーザーダイオードLD2の補助発光動作LD2−1を実行させるときに用いられる補助発光制御信号は、画素D1に対して、レーザーダイオードLD1の主発光動作期間A1よりも短いレーザーダイオードLD2の補助発光動作期間A1aが設定され、画素D2に対して、レーザーダイオードLD1の主発光動作期間A2よりも短いレーザーダイオードLD2の補助発光動作期間A2aが設定され、画素D3に対して、レーザーダイオードLD1の主発光動作期間A3よりも短いレーザーダイオードLD2の補助発光動作期間A3aが設定され、画素D4に対して、レーザーダイオードLD1の主発光動作期間A4よりも短いレーザーダイオードLD2の補助発光動作期間A4aが設定され、補助発光動作期間A1a〜A4a以外の期間は補助発光動作を実行させないように設定されたものである。なお、レーザーダイオードLD2の補助発光動作期間A1a〜A4aは、感光体ドラム14のドラム周面14S上における光量比が最大(第1光量比)となる像高150mm部に対応して、像高150mm部以外の像高部において設定されるレーザーダイオードLD2の補助発光動作期間と比較して最短(第1補助発光動作期間)となる(レーザーダイオードLD2の補助発光動作を実行させないようにしてもよい)。
次に、画素D1〜画素D4に対して副走査方向下流側に1画素分ずれた位置に主走査方向に沿って並んで配置される画素D5〜画素D8について、ポリゴンミラー114が回転されることでポリゴンミラー114の第4反射面(第3反射面に隣接する回転方向上流側の反射面)で偏向されたレーザーダイオードLD1の主発光動作(以下、「主発光動作LD1−4」という)によるレーザー光線で画素D5〜画素D8が走査される。レーザーダイオードLD1の主発光動作LD1−4を実行させるときに用いられる主発光制御信号は、画素D5に応じてレーザーダイオードLD1の主発光動作期間A5が設定され、画素D6に応じてレーザーダイオードLD1の主発光動作期間A6が設定され、画素D7に応じてレーザーダイオードLD1の主発光動作期間A7が設定され、画素D8に応じてレーザーダイオードLD1の主発光動作期間A8が設定され、主発光動作期間A5〜A8以外の期間は主発光動作を実行させないように設定されたものである。
さらに、画素D5〜画素D8について、ポリゴンミラー114の第2反射面(第1反射面に隣接する回転方向上流側の反射面)で偏向されたレーザーダイオードLD2の補助発光動作(以下、「補助発光動作LD2−2」という)によるレーザー光線で画素D5〜画素D8が走査される。レーザーダイオードLD2の補助発光動作LD2−2を実行させるときに用いられる補助発光制御信号は、画素D5に対して、レーザーダイオードLD1の主発光動作期間A5よりも短いレーザーダイオードLD2の補助発光動作期間A5aが設定され、画素D6に対して、レーザーダイオードLD1の主発光動作期間A6よりも短いレーザーダイオードLD2の補助発光動作期間A6aが設定され、画素D7に対して、レーザーダイオードLD1の主発光動作期間A7よりも短いレーザーダイオードLD2の補助発光動作期間A7aが設定され、画素D8に対して、レーザーダイオードLD1の主発光動作期間A8よりも短いレーザーダイオードLD2の補助発光動作期間A8aが設定され、補助発光動作期間A5a〜A8a以外の期間は補助発光動作を実行させないように設定されたものである。なお、レーザーダイオードLD2の補助発光動作期間A5a〜A8aは、感光体ドラム14のドラム周面14S上における光量比が最大(第1光量比)となる像高150mm部に対応して、像高150mm部以外の像高部において設定されるレーザーダイオードLD2の補助発光動作期間と比較して最短(第1補助発光動作期間)となる(レーザーダイオードLD2の補助発光動作を実行させないようにしてもよい)。
上記のようなレーザーダイオードLD1の主発光動作及びレーザーダイオードLD2の補助発光動作が、副走査方向に異なる位置で繰り返し行われる。具体的には、レーザーダイオードLD1の主発光動作LD1−5によるレーザー光線とレーザーダイオードLD2の補助発光動作LD2−3によるレーザー光線とで、画素D5〜画素D8に対して副走査方向下流側に1画素分ずれた位置に主走査方向に沿って並んで配置される画素D9〜画素D12が走査され、レーザーダイオードLD1の主発光動作LD1−6によるレーザー光線とレーザーダイオードLD2の補助発光動作LD2−4によるレーザー光線とで、画素D9〜画素D12に対して副走査方向下流側に1画素分ずれた位置に主走査方向に沿って並んで配置される画素D13〜画素D16が走査され、レーザーダイオードLD1の主発光動作LD1−7によるレーザー光線とレーザーダイオードLD2の補助発光動作LD2−5によるレーザー光線とで、画素D13〜画素D16に対して副走査方向下流側に1画素分ずれた位置に主走査方向に沿って並んで配置される画素D17〜画素D20が走査され、レーザーダイオードLD1の主発光動作LD1−8によるレーザー光線とレーザーダイオードLD2の補助発光動作LD2−6によるレーザー光線とで、画素D17〜画素D20に対して副走査方向下流側に1画素分ずれた位置に主走査方向に沿って並んで配置される画素D21〜画素D24が走査され、レーザーダイオードLD1の主発光動作LD1−9によるレーザー光線とレーザーダイオードLD2の補助発光動作LD2−7によるレーザー光線とで、画素D21〜画素D24に対して副走査方向下流側に1画素分ずれた位置に主走査方向に沿って並んで配置される画素D25〜画素D28が走査され、レーザーダイオードLD1の主発光動作LD1−10によるレーザー光線とレーザーダイオードLD2の補助発光動作LD2−8によるレーザー光線とで、画素D25〜画素D28に対して副走査方向下流側に1画素分ずれた位置に主走査方向に沿って並んで配置される画素D29〜画素D32が走査される。
なお、画素D5〜画素D32に対するレーザーダイオードLD2の補助発光動作期間は、レーザーダイオードLD1の主発光動作期間よりも短く設定され、感光体ドラム14のドラム周面14S上における光量比が最大(第1光量比)となる像高150mm部に対応して、像高150mm部以外の像高部において設定されるレーザーダイオードLD2の補助発光動作期間と比較して最短(第1補助発光動作期間)となる(レーザーダイオードLD2の補助発光動作を実行させないようにしてもよい)。また、レーザーダイオードLD1の主発光動作によるレーザー光線の走査ライン間のラインピッチL2は、1200dpiの高解像度の画像の1画素分に相当する。
図11は、感光体ドラム14の回転速度が低速モード時における光走査の第4例として、感光体ドラム14のドラム周面14S上の像高−50mm部での光走査を説明するための図であって、図11(A)は画像データを構成する各画素に対するレーザーダイオードLD1の主発光動作及びレーザーダイオードLD2の補助発光動作を説明するための図であり、図11(B)はレーザーダイオードLD1の主発光動作及びレーザーダイオードLD2の補助発光動作を制御するときに用いる発光制御信号の波形図である。
図11に示す例では、感光体ドラム14のドラム周面14S上における光量比が最小(第2光量比)となる像高−50mm部に対応した、複数の画素D1〜画素D32によって構成される画像データに対して、レーザーダイオードLD1,LD2の発光動作によるレーザー光線で走査される。この画像データは、複数の画素D1〜画素D32が、角部が接するようにマトリクス状に配列されて成る。
主走査方向に沿って並んで配置される画素D1〜画素D4について、ポリゴンミラー114の第3反射面(第1反射面よりも回転方向に2面分上流側の反射面)で偏向されたレーザーダイオードLD1の主発光動作(以下、「主発光動作LD1−3」という)によるレーザー光線で画素D1〜画素D4が走査される。レーザーダイオードLD1の主発光動作LD1−3を実行させるときに用いられる主発光制御信号は、画素D1に応じてレーザーダイオードLD1の主発光動作期間A1が設定され、画素D2に応じてレーザーダイオードLD1の主発光動作期間A2が設定され、画素D3に応じてレーザーダイオードLD1の主発光動作期間A3が設定され、画素D4に応じてレーザーダイオードLD1の主発光動作期間A4が設定され、主発光動作期間A1〜A4以外の期間は主発光動作を実行させないように設定されたものである。
さらに、画素D1〜画素D4について、ポリゴンミラー114の第1反射面で偏向されたレーザーダイオードLD2の補助発光動作(以下、「補助発光動作LD2−1」という)によるレーザー光線で画素D1〜画素D4が走査される。レーザーダイオードLD2の補助発光動作LD2−1を実行させるときに用いられる補助発光制御信号は、画素D1に対して、レーザーダイオードLD1の主発光動作期間A1よりも短いレーザーダイオードLD2の補助発光動作期間A1aが設定され、画素D2に対して、レーザーダイオードLD1の主発光動作期間A2よりも短いレーザーダイオードLD2の補助発光動作期間A2aが設定され、画素D3に対して、レーザーダイオードLD1の主発光動作期間A3よりも短いレーザーダイオードLD2の補助発光動作期間A3aが設定され、画素D4に対して、レーザーダイオードLD1の主発光動作期間A4よりも短いレーザーダイオードLD2の補助発光動作期間A4aが設定され、補助発光動作期間A1a〜A4a以外の期間は補助発光動作を実行させないように設定されたものである。なお、レーザーダイオードLD2の補助発光動作期間A1a〜A4aは、感光体ドラム14のドラム周面14S上における光量比が最小(第2光量比)となる像高−50mm部に対応して、像高−50mm部以外の像高部において設定されるレーザーダイオードLD2の補助発光動作期間と比較して最長(第2補助発光動作期間)となる。
次に、画素D1〜画素D4に対して副走査方向下流側に1画素分ずれた位置に主走査方向に沿って並んで配置される画素D5〜画素D8について、ポリゴンミラー114が回転されることでポリゴンミラー114の第4反射面(第3反射面に隣接する回転方向上流側の反射面)で偏向されたレーザーダイオードLD1の主発光動作(以下、「主発光動作LD1−4」という)によるレーザー光線で画素D5〜画素D8が走査される。レーザーダイオードLD1の主発光動作LD1−4を実行させるときに用いられる主発光制御信号は、画素D5に応じてレーザーダイオードLD1の主発光動作期間A5が設定され、画素D6に応じてレーザーダイオードLD1の主発光動作期間A6が設定され、画素D7に応じてレーザーダイオードLD1の主発光動作期間A7が設定され、画素D8に応じてレーザーダイオードLD1の主発光動作期間A8が設定され、主発光動作期間A5〜A8以外の期間は主発光動作を実行させないように設定されたものである。
さらに、画素D5〜画素D8について、ポリゴンミラー114の第2反射面(第1反射面に隣接する回転方向上流側の反射面)で偏向されたレーザーダイオードLD2の補助発光動作(以下、「補助発光動作LD2−2」という)によるレーザー光線で画素D5〜画素D8が走査される。レーザーダイオードLD2の補助発光動作LD2−2を実行させるときに用いられる補助発光制御信号は、画素D5に対して、レーザーダイオードLD1の主発光動作期間A5よりも短いレーザーダイオードLD2の補助発光動作期間A5aが設定され、画素D6に対して、レーザーダイオードLD1の主発光動作期間A6よりも短いレーザーダイオードLD2の補助発光動作期間A6aが設定され、画素D7に対して、レーザーダイオードLD1の主発光動作期間A7よりも短いレーザーダイオードLD2の補助発光動作期間A7aが設定され、画素D8に対して、レーザーダイオードLD1の主発光動作期間A8よりも短いレーザーダイオードLD2の補助発光動作期間A8aが設定され、補助発光動作期間A5a〜A8a以外の期間は補助発光動作を実行させないように設定されたものである。なお、レーザーダイオードLD2の補助発光動作期間A5a〜A8aは、感光体ドラム14のドラム周面14S上における光量比が最小(第2光量比)となる像高−50mm部に対応して、像高−50mm部以外の像高部において設定されるレーザーダイオードLD2の補助発光動作期間と比較して最長(第2補助発光動作期間)となる。
上記のようなレーザーダイオードLD1の主発光動作及びレーザーダイオードLD2の補助発光動作が、副走査方向に異なる位置で繰り返し行われる。具体的には、レーザーダイオードLD1の主発光動作LD1−5によるレーザー光線とレーザーダイオードLD2の補助発光動作LD2−3によるレーザー光線とで、画素D5〜画素D8に対して副走査方向下流側に1画素分ずれた位置に主走査方向に沿って並んで配置される画素D9〜画素D12が走査され、レーザーダイオードLD1の主発光動作LD1−6によるレーザー光線とレーザーダイオードLD2の補助発光動作LD2−4によるレーザー光線とで、画素D9〜画素D12に対して副走査方向下流側に1画素分ずれた位置に主走査方向に沿って並んで配置される画素D13〜画素D16が走査され、レーザーダイオードLD1の主発光動作LD1−7によるレーザー光線とレーザーダイオードLD2の補助発光動作LD2−5によるレーザー光線とで、画素D13〜画素D16に対して副走査方向下流側に1画素分ずれた位置に主走査方向に沿って並んで配置される画素D17〜画素D20が走査され、レーザーダイオードLD1の主発光動作LD1−8によるレーザー光線とレーザーダイオードLD2の補助発光動作LD2−6によるレーザー光線とで、画素D17〜画素D20に対して副走査方向下流側に1画素分ずれた位置に主走査方向に沿って並んで配置される画素D21〜画素D24が走査され、レーザーダイオードLD1の主発光動作LD1−9によるレーザー光線とレーザーダイオードLD2の補助発光動作LD2−7によるレーザー光線とで、画素D21〜画素D24に対して副走査方向下流側に1画素分ずれた位置に主走査方向に沿って並んで配置される画素D25〜画素D28が走査され、レーザーダイオードLD1の主発光動作LD1−10によるレーザー光線とレーザーダイオードLD2の補助発光動作LD2−8によるレーザー光線とで、画素D25〜画素D28に対して副走査方向下流側に1画素分ずれた位置に主走査方向に沿って並んで配置される画素D29〜画素D32が走査される。
なお、画素D5〜画素D32に対するレーザーダイオードLD2の補助発光動作期間は、レーザーダイオードLD1の主発光動作期間よりも短く設定され、感光体ドラム14のドラム周面14S上における光量比が最小(第2光量比)となる像高−50mm部に対応して、像高−50mm部以外の像高部において設定されるレーザーダイオードLD2の補助発光動作期間と比較して最長(第2補助発光動作期間)となる。また、レーザーダイオードLD1の主発光動作によるレーザー光線の走査ライン間のラインピッチL2は、1200dpiの高解像度の画像の1画素分に相当する。
上記のように構成される本実施形態に係る光走査装置11によれば、感光体ドラム14の回転速度が第2速度の低速モードに設定された高解像度の画像形成時において、感光体ドラム14のドラム周面14S上における光量比が第2光量比(最小値)よりも大きい第1光量比(最大値)である場合に、第2光量比に対応して設定された第2補助発光動作期間(最長値)よりも短い第1補助発光動作期間(最短値)内で、画像データを構成する各画素に対するレーザーダイオードLD1の主発光動作による光線の光量を、レーザーダイオードLD2の補助発光動作による光線で補うことができる。より詳細には、画像データを構成する画素D1〜画素D32に応じたレーザーダイオードLD2の補助発光動作の動作期間を、感光体ドラム14のドラム周面14S上におけるレーザーダイオードLD1の主発光動作によるレーザー光線の光量比が大きくなるにつれて短くなるように、光量比に基づいて設定することによって、画像データを構成する各画素に対して均一な光量で走査を行わせることができる。従って、高解像度の画像形成時に、濃度ムラの無い高品質の画像を形成することができる。