JP6459940B2 - 特定欠陥の検出方法、特定欠陥の検出システムおよびプログラム - Google Patents

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Description

本発明は、ウェーハ表面に生じうる特定欠陥の検出方法、検出システムおよび検出プログラムに関する。
半導体デバイスの製造工程において歩留まりや信頼性を向上させるために、半導体デバイスの基板となるウェーハの表面の欠陥検査技術が極めて重要になりつつある。ウェーハ表面に存在する種々の欠陥を検出する表面検査装置として、ウェーハ表面を光学的手法により測定し、ウェーハ表面上の欠陥の位置に対応した輝点として、欠陥を検出する装置が知られている。
このような表面検査装置の一例として、レーザー散乱の原理を用いた表面検査装置が知られている。このレーザー散乱型表面検査装置は、レーザーをウェーハ表面に対して照射する。照射位置に欠陥があれば、ウェーハ表面から散乱光が生じるため、これを受光素子や光電子増倍管などの光検出器で検出し、光電変換素子で電気信号に変換して欠陥を輝点として検出する。ウェーハをステージに載置して、ウェーハを回転させながらウェーハの半径方向に移動させることにより、ウェーハ表面全体をレーザーで走査する。ステージにはエンコーダを取り付けているため、検出した輝点とそのウェーハ面内位置とを対応させることができ、輝点の面内位置情報として「輝点マップ」を作成することができる。
ここで、本明細書において、光学的手法でウェーハ表面を測定する場合に、輝点として検出しうるウェーハ表面上の欠陥、傷、異物などを総称して「欠陥」と称する。欠陥としては、例えば以下のようなものがある。まず、COP(Crystal Originated Particle)、FPD(Flow Pattern Defects)、LSTD(Laser Scattering Tomography Defects)など、ウェーハを構成する結晶の引上げ工程で導入されるGrow-in欠陥である。次に、スライス工程以後にウェーハ表面に形成される加工起因の欠陥(傷、スクラッチなど)である。また、ウェーハ表面に残存する異物(不純物、パーティクル、研磨液残渣など)も挙げられる。
ここで、輝点マップの中では、多くの輝点は1つの点または短い線に過ぎず、それぞれの輝点がどの種類の欠陥に由来するかを判別することは難しい。実際、例えば上記のレーザー散乱型の表面検査装置において輝点となる欠陥は、その種類に関わらずLPD(Light Point Defect)と総称されている。
ところで、欠陥には、製品として存在してもよい(問題がない)欠陥または当初から存在が予定されている欠陥がある一方で、デバイスの特性、デバイス製造の歩留まりや信頼性に悪影響を及ぼす欠陥も存在する。例えば、デバイス製造段階ではなくウェーハ製造段階での表面検査の場合、ゲッタリングシンクとなりえるCOPを積極的に導入したウェーハは、輝点マップに多数のCOPに由来する輝点が検出されるが、これはウェーハ品質上問題がない。しかし例えば、ウェーハ製造段階で生じうる異物付着に起因する欠陥は、デバイス製造の歩留まりに悪影響を及ぼす。このため、このように好ましくない欠陥に由来する輝点が輝点マップ中に存在するか否かを判定する手法が望まれている。
ここで、特許文献1には、ウェーハの表面に対して少なくとも2つのレーザーを互いに異なる入射角度で照射して、ウェーハ表面に存在する欠陥の種別が表面に付着した粒子およびピットのいずれであるかを弁別する外観検査方法が開示されている。
特開2000−216208号公報
本発明者らは、ウェーハ製造に悪影響を及ぼす欠陥が輝点マップ中にどのように表れているか、また、どのような原因でウェーハ製造に悪影響を及ぼす欠陥が発生するかを詳細に検討した。その結果、欠陥の中には、特定の原因でウェーハ表面に発生し、「輝点マップ」において特定の形状の領域内に局所的に輝点群を生じさせるものの、輝点マップ中での該輝点群の出現位置は予測不可能な欠陥が存在することが明らかになった。また、欠陥の中には、特定の原因で例えば同一ロットのような複数枚のウェーハ表面にわたって発生し、複数枚のウェーハの輝点マップを重ね合わせた「重複輝点マップ」において特定の形状の領域内に局所的に輝点群を生じさせるものの、重複輝点マップ中での該輝点群の出現位置は予測不可能な欠陥が存在することも明らかになった。本明細書において、これらの欠陥を「特定欠陥」と称する。
ここで、特定欠陥の種類ごとに輝点群の形状を覚えた上で目視判定に熟練した者であれば、輝点マップまたは重複輝点マップを目視する官能検査で特定欠陥の発生の有無を判定できると思われる。しかしながら、目視による官能検査では、特定欠陥の発生の有無の判定が検査者の熟練度に左右されるため好ましくない。また、特定欠陥以外の欠陥に起因する輝点が多くなると、目視では特定欠陥に起因する輝点群の形状を認識しにくくなり、判定の精度が落ちるため、その点でも好ましくない。
また、特許文献1に記載された発明では、輝点マップ中の輝点のそれぞれが、ウェーハ表面に付着した粒子起因の輝点であるか、またはピット起因の輝点であるかを判別できるに留まり、特定欠陥の有無を検出することはできない。
そこで本発明は、上記課題に鑑み、特定の原因で輝点マップ中の未知の位置に既知の形状の輝点群を生じさせる、ウェーハ中の特定欠陥の有無を検出することが可能な特定欠陥の検出方法、検出システムおよび検出プログラムを提供することを目的とする。
また本発明は、特定の原因で重複輝点マップ中の未知の位置に既知の形状の輝点群を生じさせる、複数枚のウェーハ中の特定欠陥の有無を検出することが可能な特定欠陥の検出方法検出システムおよび検出プログラムを提供することを目的とする。
上記の目的を達成するべく、本発明者らは鋭意検討した。本発明が検出したい特定欠陥に由来する輝点群は、輝点マップまたは重複輝点マップ中のどこに位置するか正確には予測できないが、輝点群の形状は特定欠陥の種類ごとに一定である。したがって、輝点群の形状と同じ形状の目標領域を輝点マップまたは重複輝点マップ内に設定し、この目標領域を輝点マップまたは重複輝点マップに対して相対的に移動させながら、この目標領域内の輝点密度を測定し、輝点密度の分布を得ることにより、目視判定に依らず特定欠陥を検出できることを知見した。これは、ウェーハ中に特定欠陥が存在する場合、輝点マップまたは重複輝点マップ中での目標領域の位置が輝点群の位置に合致したときに、目標領域内の輝点密度が極大化する傾向があるためである。本発明は、上記の知見および検討に基づくものであり、その要旨構成は以下のとおりである。
本発明の特定欠陥の検出方法は、ウェーハの表面に光を照射することで該ウェーハの表面上の欠陥の位置に対応して検出される輝点の面内位置情報である輝点マップを用いて、特定の原因で前記輝点マップ中の未知の位置に既知の形状の輝点群を生じさせる、前記ウェーハ中の特定欠陥の有無を検出する特定欠陥の検出方法であって、
前記輝点マップを取得する第1工程と、
前記既知の形状と同じ形状の目標領域を前記輝点マップ内に設定し、前記目標領域を前記輝点マップに対して相対的に移動させながら、前記目標領域内の輝点密度を測定して、輝点密度分布を得る第2工程と、
該輝点密度分布に基づいて、前記特定欠陥の有無を判定する第3工程と、
を有することを特徴とする。
本発明の他の特定欠陥の検出方法は、ウェーハの表面に光を照射することで該ウェーハの表面上の欠陥の位置に対応して検出される輝点の面内位置情報である輝点マップを複数枚のウェーハについて重ね合わせた重複輝点マップを用いて、特定の原因で前記重複輝点マップ中の未知の位置に既知の形状の輝点群を生じさせる、前記複数枚のウェーハ中の特定欠陥の有無を検出する特定欠陥の検出方法であって、
前記重複輝点マップを取得する第1工程と、
前記既知の形状と同じ形状の目標領域を前記重複輝点マップ内に設定し、前記目標領域を前記重複輝点マップに対して相対的に移動させながら、前記目標領域内の輝点密度を測定して、輝点密度分布を得る第2工程と、
該輝点密度分布に基づいて、前記特定欠陥の有無を判定する第3工程と、
を有することを特徴とする。
前記第3工程では、前記輝点密度分布の輝点密度の最大値が所定閾値以上であれば、前記特定欠陥があると判定することが好ましい。
前記第2工程では、前記目標領域内の輝点密度の測定とともに、前記輝点マップまたは前記重複輝点マップ内の前記目標領域以外の所定領域である参照領域内の輝点密度を測定して、前記輝点密度分布に替えて、前記目標領域の輝点密度を前記参照領域の輝点密度で除した輝点密度比の分布を得て、
前記第3工程では、前記輝点密度分布に替えて、前記輝点密度比の分布に基づいて、前記特定欠陥の有無を判定することもできる。
その場合、前記第3工程では、前記輝点密度比の分布における輝点密度比の最大値が所定閾値以上であれば、前記特定欠陥があると判定することが好ましい。
前記第2工程では、前記目標領域を、前記輝点マップまたは前記重複輝点マップに対して周方向、径方向、直交座標系のx軸方向、y軸方向のいずれか一つの方向に相対的に移動させることが好ましい。
本発明の特定欠陥の検出システムは、ウェーハの表面に光を照射することで該ウェーハの表面上の欠陥の位置に対応して検出される輝点の面内位置情報である輝点マップを用いて、特定の原因で前記輝点マップ中の未知の位置に既知の形状の輝点群を生じさせる、前記ウェーハ中の特定欠陥の有無を検出する特定欠陥の検出システムであって、
前記輝点マップを取得する取得部と、
前記輝点マップに設定する、前記既知の形状と同じ形状の目標領域の情報を記憶する記憶部と、
前記記憶部から読み出した前記情報に基づき前記目標領域を、前記取得部が得た前記輝点マップ内に設定し、前記目標領域を前記輝点マップに対して相対的に移動させながら、前記目標領域内の輝点密度を測定して、輝点密度分布を得る演算部と、
該演算部が得た前記輝点密度分布に基づいて、前記特定欠陥の有無を判定する判定部と、
を有することを特徴とする。
本発明の他の特定欠陥の検出システムは、ウェーハの表面に光を照射することで該ウェーハの表面上の欠陥の位置に対応して検出される輝点の面内位置情報である輝点マップを複数枚のウェーハについて重ね合わせた重複輝点マップを用いて、特定の原因で前記重複輝点マップ中の未知の位置に既知の形状の輝点群を生じさせる、前記複数枚のウェーハ中の特定欠陥の有無を検出する特定欠陥の検出システムであって、
前記重複輝点マップを取得する取得部と、
前記重複輝点マップに設定する、前記既知の形状と同じ形状の目標領域の情報を記憶する記憶部と、
前記記憶部から読み出した前記情報に基づき前記目標領域を、前記取得部が得た前記重複輝点マップ内に設定し、前記目標領域を前記重複輝点マップに対して相対的に移動させながら、前記目標領域内の輝点密度を測定して、輝点密度分布を得る演算部と、
該演算部が得た前記輝点密度分布に基づいて、前記特定欠陥の有無を判定する判定部と、
を有することを特徴とする。
前記記憶部は、前記輝点マップまたは前記重複輝点マップ内の前記目標領域以外の所定領域に設定する参照領域の情報を記憶し、
前記演算部は、前記目標領域内の輝点密度の測定とともに、前記記憶部から読み出した情報に基づき設定した前記参照領域内の輝点密度を測定して、前記輝点密度分布に替えて、前記目標領域の輝点密度を前記参照領域の輝点密度で除した輝点密度比の分布を作成し、
前記判定部は、前記輝点密度分布に替えて、前記輝点密度比の分布に基づいて、前記特定欠陥の有無を判定してもよい。
また、本発明のプログラムは、コンピュータに、上記の特定欠陥の検出方法における各工程を実行させるためのプログラムである。
本発明によれば、特定の原因で輝点マップ中の未知の位置に既知の形状の輝点群を生じさせる、ウェーハ中の特定欠陥の有無を検出することができる。また、本発明によれば、特定の原因で重複輝点マップ中の未知の位置に既知の形状の輝点群を生じさせる、複数枚のウェーハ中の特定欠陥の有無を検出することができる。
本発明の第1実施形態による特定欠陥の検出方法を示すフローチャートである。 本発明の第2実施形態による特定欠陥の検出方法を示すフローチャートである。 本発明の第3実施形態による特定欠陥の検出方法を示すフローチャートである。 本発明の第4実施形態による特定欠陥の検出方法を示すフローチャートである。 本発明の一実施形態による特定欠陥の検出システムを示すブロック図である。 特定欠陥に由来する輝点群を含む輝点マップの一例を示す図であり、(A)および(B)はそれぞれ別のロットのウェーハから得られた輝点マップを示す。 図6(A)に示す輝点マップにおける、特定欠陥に由来する輝点群の形状を破線で示した図であり、(A)はその形状を扇形と捉える場合、(B)はその形状を2つの扇形の組み合わせと捉える場合を示す。 図6(A)に示す輝点マップに目標領域Tを設定して特定欠陥を検出する一例を示す図であり、(A)は輝点マップに目標領域Tを設定した図、(B)は、(A)の目標領域Tを反時計回りに45°回転させた図である。 図6(A)の輝点マップを用いて得られる、横軸を目標領域Tの回転角θ、縦軸を目標領域T内の輝点密度とする輝点密度分布のグラフである。 図6(A)の輝点マップを用いて得られる、横軸を目標領域Tの回転角θ、縦軸を輝点密度比(目標領域T/参照領域R)とする輝点密度比分布のグラフである。 特定欠陥に由来する輝点群を含む重複輝点マップの一例を示す図であり、(A)および(B)はそれぞれ異なる同一ロットの複数枚のウェーハから作成した重複輝点マップを示す。
以下、図面を参照しつつ本発明の実施形態を説明する。図1〜4は、本発明の第1〜第4実施形態にかかる特定欠陥の検出方法のフローチャートであり、図5は、これらの検出方法を実行する特定欠陥検出システムを含むシステム全体のブロック図である。
(ウェーハ検査システム)
まず、図5に示すレーザー散乱型表面検査装置などの公知のウェーハ検査システム600は、欠陥検出部601と解析部602とを含む。
欠陥検出部601は、ウェーハの表面に光を照射して該ウェーハの表面上の欠陥を輝点として検出するものであれば特に限定されない。例えば、既述のように、ウェーハ表面にレーザーを照射し、ウェーハ表面からの散乱光を検出して欠陥を輝点として検出するものとすることができる。また、ウェーハ表面に光を照射し、ウェーハからの正反射光をCCDなどの撮像素子で検出して、各ピクセルでの輝度の違いを処理することで、ウェーハの欠陥とその面内分布を輝点として検出してもよい。
解析部602は、欠陥検出部601からの検出情報の出力に基づき、輝点マップおよび重複輝点マップを作成する。本明細書において「輝点マップ」とは、1枚のウェーハについて、欠陥検出部601にて得た欠陥由来の輝点のウェーハ面内位置情報であり、例えば輝点の有無と面内座標とが対になったテキストデータとしての情報を含み、後述の図6(A)などに示すように、実際に輝点の面内位置情報をディスプレイなどに出力した状態のみを意味するものではない。
このウェーハ検査システム600では、1枚のウェーハについて検査を行い、輝点マップを作成することもできるが、通常は同一のウェーハ製造装置で製造された1ロットのウェーハを全て検査して、ウェーハごとに輝点マップを作成する。
またこの場合、解析部602は、複数枚のウェーハの輝点マップを、面内座標をそろえた状態で重ね合わせて、「重複輝点マップ」を作成することができる。ウェーハ製造工程中にウェーハの向きを合わせるために、通常ウェーハにはノッチまたはオリフラと呼ばれる切り欠きが設けられている。ウェーハごとにウェーハ中心の位置およびこの切り欠きの位置をそろえて輝点マップを重ね合わせればよい。なお、重複輝点マップは、図11(A)などに示すように、実際に複数枚の輝点マップを重ね合わせてディスプレイなどに表示した状態のみを意味するものではなく、輝点の面内位置情報としてのデジタルデータをも含むものであることは輝点マップと同様である。
(特定欠陥の検出システム)
次に、図5に示す本実施形態の特定欠陥検出システム100は、輝点マップおよび/または重複輝点マップを用いて、これらマップに対応する1枚または複数枚のウェーハ中の特定欠陥の有無を検出する。特定欠陥検出システム100は、制御部110、記憶部120、取得部130、演算部141および判定部142を含む。
制御部110は、CPU(中央演算処理装置)やMPUなどの好適なプロセッサにより実現され、記憶部120、取得部130、演算部141および判定部142間の情報および指令の伝達ならびに各部位の動作を、あらかじめ記憶部120に記憶された特定欠陥検出システム100を動作させるためのプログラムを実行することにより制御する。
取得部130は、制御部110の命令により、ウェーハ検査システム600の解析部602から輝点マップまたは重複輝点マップを取得する。取得した輝点マップまたは重複輝点マップの情報は、制御部110により演算部141へ送られ、後述の輝点密度分布の算出または輝点密度比分布の算出に用いられる。また、取得した輝点マップまたは重複輝点マップは、制御部110により記憶部120に格納してもよい。取得部130は、具体的にはユニバーサル・シリアル・バス(USB)などのシリアルインタフェースや、LANインタフェースなどのネットワーク・インタフェース、光学ディスクドライブなどの記憶媒体を読み取り可能なデバイスなど、ウェーハ検査システム600で作成された輝点マップまたは重複輝点マップの情報を特定欠陥検出システム100に入力することが可能なハードウェア・インタフェースによって実現することができる。
記憶部120は、ハードディスクやROMまたはRAMなどを用いて実現することができる。記憶部120には、特定欠陥の種類ごとに、例えば(1)特定欠陥が発生する原因に関する情報、(2)輝点マップおよび重複輝点マップのいずれを用いて判定を行うか、(3)輝点群の形状、(4)目標領域の情報(例えば形状、初期設定位置、移動方法)、(5)参照領域の情報(例えば形状、初期設定位置、移動方法)などの情報が予め記憶されるが、これらの情報の詳細は後述する。また、記憶部120は、取得部130が取得する輝点マップおよび/または重複輝点マップ、後述する演算部141により得られる輝点密度およびその分布、あるいは、輝点密度比とその分布、後述する判定部142により得られる特定欠陥の有無の判定結果などを制御部110により記憶させることもできる。
演算部141は、記憶部120から読み出した目標領域の情報に基づき、取得部130が得た輝点マップまたは重複輝点マップ内に目標領域を設定し、この目標領域を輝点マップまたは重複輝点マップに対して相対的に移動させながら、目標領域内の輝点密度を測定して、輝点密度分布を得る。また演算部141は、記憶部120から読み出した参照領域の情報に基づき、輝点マップまたは重複輝点マップ内に目標領域に加えて参照領域を設定し、目標領域内の輝点密度の測定とともに、設定した参照領域内の輝点密度も測定して、前記目標領域の輝点密度を前記参照領域内の輝点密度で除した輝点密度比の分布を作成することもできる。これらの処理の詳細は、後述する。演算部141の演算結果は、記憶部120に記憶される。また、輝点密度分布または輝点密度比分布は、記憶部120を経由しまたは経由せず、判定部142に送られる。
判定部142は、演算部141が得た輝点密度分布または輝点密度比分布に基づいて、特定欠陥の有無を判定する。判定結果は、記憶部120に記憶される。判定の詳細は後述する。
演算部141および判定部142はCPUなどにより実現できる。制御部110、演算部141および判定部142は、互いに同一のハードウェアであってもよい。
(第1実施形態の特定欠陥の検出方法)
次に、本実施形態の特定欠陥の検出方法について、具体例を含めて説明する。本実施形態では、輝点マップを用いて、この輝点マップに対応するウェーハ中の特定欠陥の有無を検出する。
はじめに、輝点マップを取得する第1工程(ステップS100)を説明する。まず、ウェーハ検査システム600の欠陥検出部601が、ウェーハの表面に光を照射して該ウェーハの表面上の欠陥を輝点として検出する(ステップS101)。次に、解析部602が輝点マップを作成する(ステップS102)。このウェーハ検査工程では、1枚または複数枚のウェーハについて、上記工程を行う。引き続き、特定欠陥検出システム100の取得部130が、解析部602から輝点マップを取得する(ステップS103)。
ここで、輝点マップの一例を示す。まず、公知の方法によりポリッシュト・ウェーハを製造した。すなわち、CZ法(チョクラルスキー法)によりシリコン単結晶引上げ工程を行い、その後スライス、粗研磨(ラッピング)、エッチング、研磨、洗浄といった加工工程を行い、ポリッシュト・ウェーハとした。かかるウェーハ製造工程において、複数の同一製造装置により製造された多数のウェーハのうち、任意のロットを抽出し、そのうち1枚のウェーハについて表面検査を行って得られた輝点マップの一例として図6(A)を挙げる。図7(A)は、この輝点マップに破線を加えたものである。このように、この輝点マップでは、中心角が45°程度の扇形の領域内に局所的に輝点群が発生していた。また、このウェーハとは別のロットから得られたウェーハから得られた輝点マップを図6(B)に示す。図6(A),(B)とも輝点マップ下部の三角がノッチ位置を示す。図6(B)の輝点マップでも、図6(A)と同様に、中心角が45°程度の扇形の領域内に局所的に輝点群が発生していたが、輝点群の出現位置は図6(A)と異なっていた。本発明者らの検討によると、この輝点群は、加工装置の固定位置にゴミが集中する不具合によるものだと考えられる。ウェーハへの異物の付着位置、すなわち扇形の輝点群の出現位置は、ロット内ではノッチ位置が固定されているため、ロット内で一定である。しかし、スループット向上等の目的で、ノッチ位置合わせ(ノッチアライメント)が行われない場合には、ロットが異なるとノッチ位置も異なるために、扇形の輝点群の出現位置が定まらず、周方向に回転する(図6(A),(B))。一方、この不具合のない加工装置で製造されたロットのウェーハについては、この扇形の輝点群は確認されなかった。そこで、上記不具合に起因してウェーハ表面に発生し、輝点マップ中の不定の位置に「扇形」という既知の形状の輝点群を生じさせる欠陥を「特定欠陥」と認定した。
なお、図6(A)に示した輝点群の形状は、図6(A)に図7(A)とは異なる破線を加えた図7(B)を参照すると、隣接する2つの扇形の組み合わせとして捉えることもできる。つまり、本発明における「既知の形状」とは、本発明の実施者が適宜定めることができるものであり、必ずしも1通りに限定されるものではない。本実施形態では、輝点群の形状は図7(A)の扇形と捉えて説明する。
次に輝点密度分布を得る第2工程(ステップS200)を説明する。記憶部120には、図6(A)に示した特定欠陥について、(1)発生原因、(2)輝点マップを用いて判定を行うこと、(3)輝点群の形状が扇形であること、(4)目標領域の情報(目標領域の形状を輝点群の形状と同じ扇形とすること、初期設定位置をノッチと反対側のウェーハ端部付近とすること、目標領域をそこから左回りに3°刻みで1回転させること)などの情報が予め記憶されている。
そこで、この特定欠陥の有無を判定するべく、演算部141は制御部110により記憶部120から上記(2)の情報を読み出し、輝点マップを用いた判定のモードに入る。さらに、演算部141は制御部110により取得部130または記憶部120から輝点マップを受信し、また、記憶部120から上記(4)の情報を読み出し(ステップS201)、この輝点マップの上記初期設定位置に目標領域Tを設定する(ステップS202)。図6(A)と同様の輝点マップに目標領域Tを設定した例を、図8(A)に示す。
次に、演算部141は、目標領域T内の輝点密度を測定する(ステップS203)。本明細書において「輝点密度」とは、単位面積当たりの輝点の個数を意味する。次に、演算部141は、目標領域Tを左回りに3°移動する(ステップS204)。この段階では上記情報(4)の移動条件を満たしていないので(ステップS205のN)、再度ステップS203に戻り、当該位置での目標領域T内の輝点密度を測定する。これをくり返し、目標領域Tを1回転させたら移動条件を満たしたので(ステップS205のY)、ステップS206へと移行する。なお、図8(B)は、図8(A)から45°左回りに移動した位置に目標領域Tを設定し、目標領域Tの位置が実際の輝点群の位置と一致した状態を示す。
演算部141は、これまでの測定結果から輝点密度分布を作成する(ステップS206)。本明細書において「輝点密度分布」とは、目標領域Tの位置とその位置での輝点密度とを対応付けた情報を意味し、例えば図9に示す態様で得ることができる。図9の横軸は目標領域Tの回転角θ、縦軸は目標領域T内の輝点密度を示す。θ=0°が図8(A)の初期設定位置に目標領域Tがある場合を示し、θ=45°が図8(B)の位置に目標領域Tがある場合を示す。
最後に、第3工程(ステップS300)を説明する。判定部142が、演算部141により作成された輝点密度分布に基づいて特定欠陥の有無を判定する(ステップS301)。
判定方法は、輝点密度分布の輝点密度の最大値が所定閾値以上であれば、特定欠陥があると判定することが好ましい。閾値は、特定欠陥の種類や設定した目標領域Tの形状などを考慮して適切に決めればよい。例えば図9では、閾値を0.1個/cmとすれば、輝点密度の最大値が約0.5個/cmであるので、この輝点マップの元となったウェーハには特定欠陥があると判定することができる。図9からわかるように、目標領域Tの位置が輝点群の位置と一致した場合に、輝点密度の値が極大化するため、この判定手法は有効である。
以上のとおり本実施形態は、特定欠陥の輝点群の形状と同じ形状の仮想領域としての目標領域を輝点マップ内に設定し、この目標領域を輝点マップに対して相対的に移動させながら、目標領域内の輝点密度を測定し、これにより得た輝点密度分布に基づいて、特定欠陥の有無を判定する。そのため、特定欠陥を目視による官能検査によらず、確実に検出することができる。特定欠陥があると判定された場合には、その原因を除去したり、場合によってはウェーハ上の特定欠陥を除去する処理を行うなどして対処することができる。図6(A),(B)の例では、加工装置のゴミを除去すれば、扇形の輝点群の発生を防止することができる。
そして本実施形態が特に好ましいのは、記憶部120に予め記憶する目標領域Tの位置情報が1つであることである。すなわち、上記の例では目標領域Tは120箇所の異なる位置にくり返し設定されるが、記憶部120にある情報は初期位置に扇形の目標領域Tを設定することと、その移動方法の2点である。演算部141は、この移動方法に従って目標領域Tを輝点マップ内で移動させていくのみであり、輝点密度分布の作成が短時間で可能である。仮に、記憶部120にそれぞれ位置の異なる120個の目標領域Tの情報(形状と位置情報のセット)を記憶しておき、演算部141が毎回記憶部120から異なる目標領域Tの情報を読み出して、輝点マップに目標領域Tを設定する処理を行うと、輝点密度分布を得るのに時間がかかる。
図6(A),(B)の例では、扇形の輝点群は、出現位置が不定ではあるものの、中心は輝点マップの中心付近に位置し、円弧の部分は輝点マップの外周に沿うように位置することまでは既知である。このため、目標領域Tの移動方法は、上記のように輝点マップに対して周方向に移動させる方法が有効である。回転方向は、図8に示した左回りに限定されず、右回りでもよく、測定間隔は3°には限定されず、適宜決めることができる。
(第2実施形態の特定欠陥の検出方法)
図2を参照して、第2の実施形態による特定欠陥の検出方法を説明する。本実施形態でも、輝点マップを用いて、この輝点マップに対応するウェーハ中の特定欠陥の有無を検出する。第1実施形態との異なる点を中心に説明し、特に言及のない事項は第1実施形態と同様とする。
第1工程(ステップS100)のステップS111〜113は、図1に示すステップS101〜103と同じである。以下、第1実施形態と同様、図6(A)に示す輝点マップを例に説明する。
次に輝点密度分布を得る第2工程(ステップS200)を説明する。本実施形態では、記憶部120に第1実施形態で示した(1)〜(4)の情報に加えて、(5)輝点マップの目標領域以外の所定領域に設定される参照領域の情報が予め記憶されている。ここで本実施形態では、図8(A),(B)に示すように、輝点マップの目標領域T以外の全領域を参照領域Rとする情報が、記憶部120に記憶されている。
演算部141は制御部110により取得部130または記憶部120から輝点マップを受信し、また、記憶部120から上記(4)および(5)の情報を読み出し(ステップS211)、この輝点マップの上記初期設定位置に目標領域Tを設定し、目標領域T以外の全領域を参照領域Rとして設定する(ステップS212)。図8(A)は、図6(A)と同様の輝点マップに目標領域Tおよび参照領域Rを設定した例である。
次に、演算部141は、目標領域T内および参照領域R内の輝点密度をそれぞれ測定し、輝点密度比を算出する(ステップS213)。本明細書において「輝点密度比」とは、目標領域Tの輝点密度を参照領域Rの輝点密度で除した値を意味する。次に、演算部141は、目標領域Tを左回りに3°移動し、参照領域Rを再設定する(ステップS214)。この段階では上記情報(4)の移動条件を満たしていないので(ステップS215のN)、再度ステップS213に戻り、当該位置での目標領域T内および参照領域R内の輝点密度を測定する。これをくり返し、目標領域Tを1回転させたら移動条件を満たしたので(ステップS215のY)、ステップS216へと移行する。なお、図8(B)は、図8(A)から45°左回りに移動した位置に目標領域Tを設定し、それ以外の領域を参照領域Rと設定し、目標領域Tの位置が実際の輝点群の位置と一致した状態を示す。
演算部141は、これまでの測定結果から輝点密度比分布を作成する(ステップS216)。本明細書において「輝点密度比分布」とは、目標領域Tの位置とその位置での輝点密度比とを対応付けた情報を意味し、例えば図10に示す態様で得ることができる。図10の横軸は目標領域Tの回転角θ、縦軸は輝点密度比を示す。θ=0°が図8(A)の初期設定位置に目標領域Tがある場合を示し、θ=45°が図8(B)の位置に目標領域Tがある場合を示す。
第3工程(ステップS300)では、判定部142が、演算部141により作成された輝点密度比分布に基づいて特定欠陥の有無を判定する(ステップS311)。
判定方法は、輝点密度比の分布における輝点密度比の最大値が所定閾値以上であれば、特定欠陥があると判定することが好ましい。閾値は、特定欠陥の種類や設定した目標領域Tの形状などを考慮して適切に決めればよい。例えば図10では、閾値を5とすれば、輝点密度比の最大値が約23であるので、この輝点マップの元となったウェーハには特定欠陥があると判定することができる。図10からわかるように、目標領域Tの位置が輝点群の位置と一致した場合に、輝点密度比の値が極大化するため、この判定手法も有効である。
また、この判定手法は、既述のCOPのように特定欠陥以外の欠陥(以下、本明細書において「非特定欠陥」という。)に由来し、輝点マップ中にランダムに発生しうる輝点が多数存在する場合にも、確実に特定欠陥の有無を判定できる点で好適である。第1実施形態の図9で示した輝点密度分布に基づく判定の場合、非特定欠陥に由来する輝点が多数存在すると、それにより輝点密度が閾値を超えてしまい、実際には特定欠陥が発生していないにも関わらず特定欠陥ありと判定してしまう可能性がある。しかし、輝点密度比は、特定欠陥に起因する輝点の有無の影響をよく受ける指標、換言すれば非特定欠陥に起因する輝点の影響を最小限にする指標である。そのため、本実施形態の方法により、特定欠陥をより確実に検出することができる。
閾値の設定の仕方としては例えば、有意差検定を行い、有意差があると判定されるときの輝点密度比を閾値とすることができる。具体的には、目標領域Tと参照領域Rとで輝点密度に有意差があると言えるかどうかをカイ二乗(χ)検定により確認する。本発明者らが、非特定欠陥に由来する輝点の面内分布のバラつきを考慮して、有意な輝点密度比を検討したところ、当該比の値が1.05〜50の範囲内に閾値を設定することが好ましいことを見出した。輝点密度比が1.05未満の場合、非特定欠陥に由来する輝点の面内分布のバラつきによって、特定欠陥が存在しない場合にも特定欠陥ありと判定されるおそれがあり、輝点密度比が50を超えると、閾値が高すぎて、特定欠陥が存在する場合にも特定欠陥なしと判定されるおそれがあるためである。
本実施形態において、参照領域Rの位置は、輝点密度の測定ごとに目標領域T以外の領域とすれば特に限定されない。本実施形態のように、目標領域T以外の全領域を参照領域Rとすれば、非特定欠陥の面内分布のばらつきが偶然に大きくても、確実に特定欠陥の有無を判定することができる。また、ウェーハ中心部のように特定欠陥が発生しにくい位置であれば、参照領域Rの位置を固定してもよい。その場合、ステップS214で参照領域Rの再設定は不要となり、簡易な判定ができる。
(第3実施形態の特定欠陥の検出方法)
図3を参照して、第3の実施形態による特定欠陥の検出方法を説明する。本実施形態では、重複輝点マップを用いて、この重複輝点マップに対応する複数枚のウェーハ中の特定欠陥の有無を検出する。
はじめに、重複輝点マップを取得する第1工程(ステップS100)を説明する。まず、ウェーハ検査システム600の欠陥検出部601が、複数枚のウェーハの表面に光を照射して該ウェーハの表面上の欠陥を輝点として検出する(ステップS121)。次に、解析部602が各ウェーハ輝点マップを作成し、さらにこれらの輝点マップを重ね合わせて重複輝点マップを作成する(ステップS122)。引き続き、特定欠陥検出システム100の取得部130が、解析部602から重複輝点マップを取得する(ステップS123)。
ここで、重複輝点マップの一例を示す。図6(A)のウェーハと同様の方法でポリッシュト・ウェーハを製造した。かかるウェーハ製造工程において、ある超音波洗浄装置で洗浄を行ったロットのウェーハ計100枚について、ノッチの位置を揃えて作成した重複輝点マップを図11(A)に示す。破線に示すように、この重複輝点マップでは、外周部にほぼ等間隔に位置する4箇所の略楕円形の領域内に局所的に輝点群が発生していた。また、これらのウェーハとは別のロットのウェーハ計100枚について、ノッチの位置を揃えて作成した重複輝点マップを図11(B)に示す。この重複輝点マップでも、図11(A)と同様に、外周部にほぼ等間隔に位置する4箇所の略楕円形の領域内に局所的に輝点群が発生していたが、輝点群の出現位置は図11(A)と異なっていた。本発明者らの調査によると、この輝点群は、超音波洗浄装置内で治具に支持される4箇所では、治具の支持部材が劣化し、ウェーハに微小な傷をつけていたことが判明した。この支持部材劣化に由来する輝点は、輝点マップ上では局所的に集合するには至らないものの、ロット内ではノッチ位置が固定されているため、重複輝点マップ上では上記の輝点群を形成する。しかし、スループット向上等の目的で、ノッチ位置合わせ(ノッチアライメント)が行われない場合には、ロットが異なるとノッチ位置も異なるために、上記輝点群の出現位置が定まらない(図11(A),(B))。一方、この超音波装置を用いずに製造されたロットのウェーハについては、この4箇所の輝点群は確認されなかった。そこで、上記特定の超音波洗浄装置を用いることに起因して複数枚のウェーハ表面にわたって発生し、重複輝点マップ中の不定の位置に「ほぼ等間隔に位置する4箇所の略楕円形」という既知の形状の輝点群を生じさせる欠陥を「特定欠陥」と認定した。
第2工程(ステップS200)のステップS221〜226は、輝点マップではなく重複輝点マップに対して処理を行う点を除いて、図1に示すステップS201〜206と同じである。図11(A)に示す重複輝点マップに対して、ステップS221〜226を行えば、図9に示すものと同様の輝点密度分布を得ることができる。
第3工程(ステップS300)のステップS321では、判定部142が、ステップS226で演算部141により作成された輝点密度分布に基づいて特定欠陥の有無を判定する。判定手法は図1のステップS301と同様である。
以上のとおり本実施形態は、特定欠陥の輝点群の形状と同じ形状の仮想領域としての目標領域を重複輝点マップ内に設定し、この目標領域を重複輝点マップに対して相対的に移動させながら、目標領域内の輝点密度を測定し、これにより得た輝点密度分布に基づいて、特定欠陥の有無を判定する。そのため、特定欠陥を目視による官能検査によらず、確実に検出することができる。特定欠陥があると判定された場合には、その原因を除去したり、場合によってはウェーハ上の特定欠陥を除去する処理を行うなどして対処することができる。図11(A),(B)の例では、超音波洗浄装置内の劣化した支持部材を交換することで対処することができる。
(第4実施形態の特定欠陥の検出方法)
図4を参照して、第4の実施形態による特定欠陥の検出方法を説明する。本実施形態でも、重複輝点マップを用いて、この重複輝点マップに対応する複数枚のウェーハ中の特定欠陥の有無を検出する。第3実施形態との異なる点を中心に説明し、特に言及のない事項は第3実施形態と同様とする。
第1工程(ステップS100)のステップS131〜133は、図3に示すステップS121〜123と同じである。
第2工程(ステップS200)のステップS231〜236は、輝点マップではなく重複輝点マップに対して処理を行う点を除いて、図2に示すステップS211〜216と同じである。図11(A)に示す重複輝点マップに対して、ステップS231〜236を行えば、図10に示すものと同様の輝点密度比分布を得ることができる。
第3工程(ステップS300)のステップS331では、判定部142が、ステップS236で演算部141により作成された輝点密度比分布に基づいて特定欠陥の有無を判定する。判定手法は図2のステップS311と同様である。
(他の実施形態)
第1〜第4実施形態では、目標領域Tを輝点マップまたは重複輝点マップに対して径方向位置は固定したまま周方向に回転させる例を示したが、本発明はこれには限定されない。特定欠陥の種類によって、適切な方法で相対移動させればよい。例えば、輝点マップまたは重複輝点マップに、その中心を原点とする直交座標系のxy座標を設定し、原点からの距離をrとし、原点を中心としてx軸(x≧0)となす角をθ(回転角)としたrθ座標を設定した場合について説明する。輝点群の位置について、特定のθ位置で発生するもののr位置が不明である特定欠陥の判定を行う場合には、目標領域Tを輝点マップまたは重複輝点マップに対してθ位置は固定したまま径方向(r方向)に移動させればよい。また、特定のx位置で発生するもののy位置が不明である特定欠陥の判定を行う場合には、目標領域Tを輝点マップまたは重複輝点マップに対してx位置は固定したままy軸方向に移動させればよく、その逆も同様である。どの位置に発生するか全く予測できない特定欠陥の判定を行う場合には、上記周方向、径方向、直交座標系のx軸方向、y軸方向の移動を組合せて、輝点マップまたは重複輝点マップ内をくまなく測定する。
また、第1〜第4実施形態では、輝点マップまたは重複輝点マップを固定し、目標領域Tを移動させる例を示したが、演算部141の処理としては、目標領域Tを固定し、輝点マップまたは重複輝点マップを移動させることにより、同様の輝点密度または輝点密度比の測定を行うこともできる。
上記のとおり、輝点密度または輝点密度比の算出に輝点マップを用いるか重複輝点マップを用いるかは、特定欠陥の種類に依存する。よって、輝点マップで判定可能な特定欠陥と重複輝点マップで判定可能な特定欠陥は、予め分類されて記憶部120に記憶されていることが好ましい。判定したい種類の特定欠陥を入力部(図5において図示せず)から入力することで、制御部110は記憶部120から輝点マップまたは重複輝点マップの適切な方を演算部141に送る。
また本発明において、特定欠陥の判定に輝点密度分布を用いるか輝点密度比分布を用いるかは、入力・選択可能とすることができる。あるいは、両方の分布を用いた判定を行い、両方の判定結果が「特定欠陥あり」と判定した場合のみ、最終的に「特定欠陥あり」と判定することもできる。
第3および第4実施形態において、重複輝点マップはウェーハ検査システム600の解析部601が作成したが、本発明はこれに限定されず、複数の輝点マップを取得した特定欠陥検出システム100内の所定の演算部(図5において図示せず)が重複輝点マップを作成してもよい。その場合、当該演算部が「重複輝点マップの取得部」となり、図5の取得部130は「輝点マップの取得部」である。
第1〜第4実施形態では、ウェーハ検査システム600とは別の特定欠陥検出システム100を例として説明したが、特定欠陥検出システムを、ウェーハ検査システムを含めた1つのシステムとしてもよい。この場合、図5における取得部130は不要であり、輝点マップまたは重複輝点マップを作成する解析部602が「輝点マップまたは重複輝点マップの取得部」となる。
(プログラム)
本発明の目的は、前述した実施形態の工程を実現するソフトウェアのプログラムコードを記録した記憶媒体を、システムあるいは装置に供給し、そのシステムあるいは装置のコンピュータ(またはCPUやMPU)が記憶媒体に格納されたプログラムコードを読み出し実行することによっても、達成される。この場合、記憶媒体から読み出されたプログラムコード自体が前述した実施形態の機能を実現することになり、そのプログラムおよびプログラムコードを記憶した記憶媒体は、本発明を構成することになる。
ここでプログラムコードを記憶する記憶媒体としては、例えば、フレキシブルディスク、ハードディスク、ROM、RAM、磁気テープ、不揮発性のメモリカード、CD−ROM、CD−R、DVD、光ディスク、光磁気ディスク、MOなどが考えられる。また、LAN(ローカル・エリア・ネットワーク)やWAN(ワイド・エリア・ネットワーク)などのコンピュータネットワークを、プログラムコードを供給するために用いることができる。
以上、本発明を説明したが、これらは代表的な実施形態の例を示したものであって、本発明はこれらの実施形態に限定されるものではなく、発明の要旨の範囲内で種々の変更が可能である。
また、本発明によれば、特定欠陥の有無の判定結果から、特定の加工装置、検査装置等の不具合を読み取ることもできるため、本発明は各種ウェーハ製造装置の品質管理にも有用である。
本発明は、ウェーハ表面に生じうる特定欠陥の検出方法、検出システムおよび検出プログラムに関する。
100 特定欠陥検出システム
110 制御部
120 記憶部
130 取得部
141 演算部
142 判定部
600 ウェーハ検査システム
601 欠陥検出部
602 解析部
T 目標領域
R 参照領域

Claims (8)

  1. ウェーハの表面に光を照射することで該ウェーハの表面上の欠陥の位置に対応して検出される輝点の面内位置情報である輝点マップを複数枚のウェーハについて重ね合わせた重複輝点マップを用いて、特定の原因で前記重複輝点マップ中の未知の位置に既知の形状の輝点群を生じさせる、前記複数枚のウェーハ中の特定欠陥の有無を検出する特定欠陥の検出方法であって、
    前記重複輝点マップを取得する第1工程と、
    前記既知の形状と同じ形状の目標領域を前記重複輝点マップ内に設定し、前記目標領域を前記重複輝点マップに対して相対的に移動させながら、前記目標領域内の輝点密度を測定して、輝点密度分布を得る第2工程と、
    該輝点密度分布に基づいて、前記特定欠陥の有無を判定する第3工程と、
    を有することを特徴とする特定欠陥の検出方法。
  2. 前記第3工程では、前記輝点密度分布の輝点密度の最大値が所定閾値以上であれば、前記特定欠陥があると判定する請求項に記載の特定欠陥の検出方法。
  3. 前記第2工程では、前記目標領域内の輝点密度の測定とともに、前記輝点マップまたは前記重複輝点マップ内の前記目標領域以外の所定領域である参照領域内の輝点密度を測定して、前記輝点密度分布に替えて、前記目標領域の輝点密度を前記参照領域の輝点密度で除した輝点密度比の分布を得て、
    前記第3工程では、前記輝点密度分布に替えて、前記輝点密度比の分布に基づいて、前記特定欠陥の有無を判定する請求項に記載の特定欠陥の検出方法。
  4. 前記第3工程では、前記輝点密度比の分布における輝点密度比の最大値が所定閾値以上であれば、前記特定欠陥があると判定する請求項に記載の特定欠陥の検出方法。
  5. 前記第2工程では、前記目標領域を、前記輝点マップまたは前記重複輝点マップに対して周方向、径方向、直交座標系のx軸方向、y軸方向のいずれか一つの方向に相対的に移動させる請求項1〜のいずれか1項に記載の特定欠陥の検出方法。
  6. ウェーハの表面に光を照射することで該ウェーハの表面上の欠陥の位置に対応して検出される輝点の面内位置情報である輝点マップを複数枚のウェーハについて重ね合わせた重複輝点マップを用いて、特定の原因で前記重複輝点マップ中の未知の位置に既知の形状の輝点群を生じさせる、前記複数枚のウェーハ中の特定欠陥の有無を検出する特定欠陥の検出システムであって、
    前記重複輝点マップを取得する取得部と、
    前記重複輝点マップに設定する、前記既知の形状と同じ形状の目標領域の情報を記憶する記憶部と、
    前記記憶部から読み出した前記情報に基づき前記目標領域を、前記取得部が得た前記重複輝点マップ内に設定し、前記目標領域を前記重複輝点マップに対して相対的に移動させながら、前記目標領域内の輝点密度を測定して、輝点密度分布を得る演算部と、
    該演算部が得た前記輝点密度分布に基づいて、前記特定欠陥の有無を判定する判定部と、
    を有することを特徴とする特定欠陥の検出システム。
  7. 前記記憶部は、前記輝点マップまたは前記重複輝点マップ内の前記目標領域以外の所定領域に設定する参照領域の情報を記憶し、
    前記演算部は、前記目標領域内の輝点密度の測定とともに、前記記憶部から読み出した情報に基づき設定した前記参照領域内の輝点密度を測定して、前記輝点密度分布に替えて、前記目標領域の輝点密度を前記参照領域の輝点密度で除した輝点密度比の分布を作成し、
    前記判定部は、前記輝点密度分布に替えて、前記輝点密度比の分布に基づいて、前記特定欠陥の有無を判定する請求項に記載の特定欠陥の検出システム。
  8. コンピュータに、請求項1〜のいずれか1項に記載の特定欠陥の検出方法の各工程を実行させるためのプログラム。
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