JP6459563B2 - Pzt系強誘電体薄膜及びその形成方法 - Google Patents

Pzt系強誘電体薄膜及びその形成方法 Download PDF

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Description

本発明は、薄膜キャパシタの誘電体層等に用いられるPZT系強誘電体薄膜及びこの薄膜をゾルゲル法により形成する方法に関する。
強誘電体薄膜をゾルゲル法で形成する際、プロセス中の膜収縮のため、この薄膜形成用液組成物の1回のコーティング量を多くしてより厚い膜を得ようとすると、焼成等の際に膜中に発生する引張応力が増大し、形成後の膜にクラックが発生するという問題が生じる。
形成後の膜にクラックが発生すると強誘電体薄膜の電気特性等を低下させるため、従来、ゾルゲル法では、この薄膜形成用液組成物の1回のコーティングで形成できる膜の厚さは100nm程度が限界とされており、厚みのある強誘電体薄膜を形成する場合には、組成物のコーティングや焼成等を複数回繰り返すといった方法が採用されていた。しかし、この方法では生産効率を低下させ、製造コストを向上させることになる。このため、材料面からの改良、即ちクラックを発生させずに、1回のコーティングで形成される膜厚をより厚くすることができるような原料溶液の研究や開発も盛んに行われている。
従来、この原料溶液にプロピレングリコールを含有させることにより、1回のコーティングで200nm以上の厚膜成膜が可能であって、薄膜にクラックやポアを生じさせずに薄膜を十分に緻密化する等の効果を奏するTiを含有する金属酸化物薄膜形成用原料溶液及び金属酸化物薄膜の形成方法が開示されている(例えば、特許文献1参照)。この金属酸化物薄膜の形成方法では、原料溶液を用いて、ゾルゲル法により金属酸化物薄膜を形成する際に、原料溶液をコーティングした基板を空気又は含水蒸気雰囲気中(例えば、水蒸気を含む窒素雰囲気中)、150〜550℃の温度で1分ないし2時間程度仮焼し、その後、金属酸化物の結晶化温度以上の500〜1000℃の温度で1分ないし2時間程度焼成している。
特開2001−261338号公報(請求項1、請求項11、段落[0015]、[0053]〜[0056]、[0062]、[0065])
上記従来の特許文献1に示された原料溶液を初めとして、同種の原料溶液を用いて1回のコーティング工程で膜厚150nm以上のPZT系強誘電体薄膜を形成する際に、焼成前のPZT系前駆体層の仮焼工程では、その雰囲気と温度と時間を主たる仮焼条件としていた。しかしながら、1回のコーティングで、焼成後のPZT系強誘電体薄膜の膜厚が150〜400nmになるようにPZT系前駆体を含有するPZT系強誘電体薄膜形成用液組成物を基板上にコーティングした場合、仮焼装置であるホットプレート装置内のキャリアガスの風速が高いと、膜質がポーラスになって膜質が劣化する不具合があった。
本発明の目的は、PZT系強誘電体薄膜形成用液組成物を基板上にコーティングしたときに、薄膜表面で欠陥となる粗大な粒成長を抑制し、これにより膜質に優れ緻密であって薄膜の配向度が高いPZT系強誘電体薄膜及びその薄膜を形成する方法を提供することにある。
本発明者らは、基板上にコーティングするPZT系強誘電体薄膜形成用液組成物を温度を上昇させながら熱分解させたときに発生するガス量を測定したところ、図2に示すように、250℃付近で前駆物質が激しく分解しガス量が急上昇することを知見し、更にこれに伴ってガス量が急上昇するときに膜表面に強く風が当たると、表面が硬化し、膜内部での前駆物質の分解がうまく進行せず、膜質がポーラスになることを知見し、本発明に到達した。なお、本明細書で、「膜厚」とは、PZT系強誘電体薄膜形成用液組成物をコーティングした直後の膜厚を意味せず、コーティングして焼成した後の膜厚を意味する。
本発明の第1の観点は、図1及び図3に示すように、PZT系前駆体を含有するPZT系強誘電体薄膜形成用液組成物を基板12上にスピンコーティングすることにより形成したPZT系前駆体層10aをキャリアガスCを流しながら仮焼する間、前駆体層10a上面に流れる基板上面から10mmの高さhにおけるP点のキャリアガスGの風速を1.0m/秒以下に設定するすることによりPZT系前駆体層10aを仮焼し、この仮焼されたPZT系前駆体層を焼成して結晶化させるPZT系強誘電体薄膜10を形成する方法であって、PZT系前駆体層10aの仮焼が、150〜450℃の温度範囲内で、前記溶媒の除去のための低温加熱と前記有機金属化合物の分解のための高温加熱とを2段階又は3段階以上で実施して行われ、前記キャリアガスが前記基板上方に設けられたキャリアガス供給口から前記基板の中心に向かって導入され続いて前記基板の上面に沿って流れて前記基板を支持するサセプタの両側に設けられたキャリアガス排出口から排出されるように構成されたることを特徴とする。
本発明の第2の観点は、第1の観点に基づく発明であって、前記コーティングが1回のコーティングで焼成後のPZT系強誘電体薄膜の膜厚が150〜400nmになるように行うPZT系強誘電体薄膜の形成方法である。
本発明の第3の観点は、第1又は第2の観点に基づく発明であって、前記仮焼が前記基板を水平に支持するホットプレート装置のサセプタ上に載せて行うPZT系強誘電体薄膜の形成方法である。
本発明の第4の観点は、第1ないし第3の観点のいずれかの観点に基づく発明であって、風速を0.1〜0.5m/秒の範囲に設定するPZT系強誘電体薄膜の形成方法である。
本発明の第5の観点は、第1ないし第4の観点のいずれかの観点に基づく発明であって、前記PZT系強誘電体薄膜の総厚が150〜400nmの範囲にあるPZT系強誘電体薄膜を形成する方法である。
本発明の第6の観点は、前記仮焼されたPZT系前駆体層を複数回繰り返し積層した後、一括して焼成して結晶化させることにより総厚が300〜5000nmの範囲にあるPZT系強誘電体薄膜を形成する方法である。
本発明の第1の観点の形成方法では、前駆体層上面に流れる基板上面から10mmの高さhにおけるホットプレート装置内に流れるキャリアガスの風速を1.0m/秒以下に設定することにより、比較的多いコーティング量により形成された層厚の大きな前駆体層において、前駆体層中の表面付近での反応が抑制される。その結果、仮焼後の焼成により得られたPZT系強誘電体薄膜では、薄膜中のポアを抑制し膜特性を高めることができる。
本発明の第2の観点の形成方法では、1回のコーティングで焼成後のPZT系強誘電体薄膜の膜厚が150〜400nmになるように、前駆体層を形成した場合でも、前駆体層中の表面付近での反応が抑制される。
本発明の第3の観点の形成方法では、仮焼を基板を水平に支持するホットプレート装置のサセプタ上に載せて行うと、より確実に前駆体層中の表面付近での反応が抑制される。
本発明の第4の観点の形成方法では、風速を0.1〜0.5m/秒の範囲に設定することにより、より一層薄膜中の欠陥となる粗大な粒成長を抑制し、これにより膜の配向度をより高くすることができる。
本発明の第5の観点の方法で形成されたPZT系強誘電体薄膜の総厚は150〜400nmの範囲にある。この薄膜は、従来のゾルゲル法によって得られたPZT系強誘電体薄膜に比べて、1回のコーティングで粗大な粒成長を抑制した比較的厚い膜を形成でき量産性に優れる。
本発明の第6の観点の方法で形成されたPZT系強誘電体薄膜の総厚は300〜5000nmの範囲にある。この薄膜は、従来のゾルゲル法によって得られたPZT系強誘電体薄膜に比べて、複数回のコーティングで粗大な粒成長を抑制した比較的厚い膜を形成でき、第5の観点の形成方法よりも、更に量産性に優れる。
本発明実施形態の仮焼装置であるホットプレート装置の要部断面図である。 本発明実施形態の前駆体であるゲルを熱分解させたときには発生するガス量を示す熱分解ガスクロマトグラフである。 本発明実施形態のPZT系前駆体層を仮焼した後、焼成して得られるPZT系強誘電体薄膜の断面模式図である。
次に本発明を実施するための形態を図面に基づいて説明する。
図3に示すように、本発明のPZT系前駆体層を仮焼した後、焼成して得られるPZT系強誘電体薄膜10は、下部電極11を有する基板12のこの下部電極11上にPZT系強誘電体薄膜形成用液組成物を1回又は2回以上コーティングし仮焼した後、焼成して結晶化させることにより形成される。図3のPZT系強誘電体薄膜10における破線は、1回のコーティングで形成されるPZT系前駆体層の仮想的な界面を示す。この実施形態では5回コーティングした場合を示す。なお、焼成後のPZT系強誘電体薄膜には前駆体層が一体化しこれらの仮想界面(破線)は消失する。
本発明のPZT系強誘電体薄膜には、PZTの他、PZTにLa元素を添加したPLZTが含まれ、Pb、Zr、Ti等の金属が所望の金属原子比で含まれる。この薄膜の総厚は150〜5000nmの範囲にあることが好ましい。総厚が150nm未満では生産性の悪い膜になり、また、リーク電流密度が高くなる等の特性面での不具合が発生する場合がある。一方、上限値を超えるとクラックが発生しやすい傾向がある。このうち、総厚は300〜3000nmの範囲にあることが特に好ましい。
次に、本発明のPZT系強誘電体薄膜の形成方法について説明する。先ず、下部電極を有する基板のこの下部電極上にPZT系強誘電体薄膜形成用液組成物を1回又は2回以上コーティングし、前駆体層(ゲル膜)を形成する。この時の液組成物の1回当りのコーティング量は、上述したように、焼成後のPZT系強誘電体薄膜の膜厚が150〜400nmになるように設定される。コーティング法については、特に限定されないが、スピンコート、ディップコート、LSMCD(Liquid Source Misted Chemical Deposition)法又はスピンスプレー法等が挙げられる。
PZT系強誘電体薄膜を形成する基板は、その用途等によっても異なるが、例えば薄膜キャパシタ等の誘電体層を形成する場合、下部電極が形成されたシリコン基板やサファイア基板等の耐熱性基板が用いられる。基板上に形成する下部電極としては、PtやIr、Ru等の導電性を有し、強誘電体薄膜と反応しない材料が用いられる。また、基板上に密着層や絶縁体膜等を介して下部電極を形成した基板等を使用することもできる。具体的には、Pt/Ti/SiO/Si、Pt/TiO/SiO/Si、Pt/IrO/Ir/SiO/Si、Pt/TiN/SiO/Si、Pt/Ta/SiO/Si、Pt/Ir/SiO/Siの積層構造(下部電極/密着層/絶縁体膜/基板)を有する基板等が挙げられる。また、圧電素子や焦電型赤外線検出素子等では、シリコン基板、SiO/Si基板、サファイア基板等の耐熱性基板を使用することができる。
PZT系強誘電体薄膜形成用液組成物は、PZT系強誘電体薄膜を形成するための原料溶液であり、形成後の強誘電体薄膜において上述の複合金属酸化物等を構成するための原料(PZT系前駆体)を所望の比率で適当な溶媒に溶解し、コーティングに適した濃度に調整した有機金属化合物溶液からなる。
PZT系前駆体は、Pb、La、Zr又はTi等の各金属元素に、有機基がその酸素又は窒素原子を介して結合している化合物が好適である。例えば、金属アルコキシド、金属ジオール錯体、金属トリオール錯体、金属カルボン酸塩、金属β−ジケトネート錯体、金属β−ジケトエステル錯体、金属β−イミノケト錯体、及び金属アミノ錯体からなる群より選ばれた1種又は2種以上が例示される。特に好適な化合物は、金属アルコキシド、その部分加水分解物、有機酸塩である。
具体的には、Pb化合物、La化合物としては、酢酸鉛:Pb(OAc)、酢酸ランタン:La(OAc)等の酢酸塩や、鉛ジイソプロポキシド:Pb(OiPr)、ランタントリイソプロポキシド:La(OiPr)等のアルコキシドが挙げられる。Ti化合物としては、チタンテトラエトキシド:Ti(OEt)、チタンテトライソプロポキシド:Ti(OiPr)、チタンテトラn−ブトキシド:Ti(OnBu)、チタンテトライソブトキシド:Ti(OiBu)、チタンテトラt−ブトキシド:Ti(OtBu)、チタンジメトキシジイソプロポキシド:Ti(OMe)(OiPr)等のアルコキシドが挙げられる。Zr化合物としては、上記Ti化合物と同様のアルコキシド類が好ましい。金属アルコキシドはそのまま使用しても良いが、分解を促進させるためにその部分加水分解物を使用しても良い。また、Mn化合物としては、2−エチルヘキサン酸マンガン、ナフテン酸マンガン又は酢酸マンガン等が挙げられる。また、Nb化合物としては、2−エチルヘキサン酸ニオブ又はニオブペンタエトキシド等が挙げられる。
PZT系強誘電体薄膜形成用液組成物には、液組成物を調製する際にこれらの比率を調整することによって、上述の所望の金属原子比を与えるような割合で、即ちTi及びZrの合計100molに対してPbが105〜115mol、好ましくは107〜110mol含まれる。液組成物中のPbの割合が上記範囲から外れると、形成後の薄膜中におけるPbの割合も上記範囲から外れ、上述した不具合が生じるからである。
液組成物100質量%中に占める上記PZT前駆体の割合は酸化物換算で15〜35質量%とするのが好ましい。PZT前駆体の濃度を上記範囲としたのは、下限値未満では1回のコーティングで十分な膜厚が得られにくく、一方、上限値を超えるとクラックが発生しやすい傾向があるからである。なお、酸化物換算での割合とは、液組成物に含まれる金属元素が全て酸化物になったと仮定した時に、液組成物100質量%に占める金属酸化物の割合のことをいう。
液組成物の調製に用いられる溶媒は、使用する原料に応じて適宜決定されるが、一般的には、カルボン酸、アルコール(例えば、エタノールや1−ブタノール、多価アルコールであるプロピレングリコール、エチレングリコール等)、エステル、ケトン類(例えば、アセトン、メチルエチルケトン)、エーテル類(例えば、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル)、シクロアルカン類(例えば、シクロヘキサン、シクロヘキサノール)、芳香族系(例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン)、その他テトラヒドロフラン等、或いはこれらの2種以上の混合溶媒を用いることができる。
カルボン酸としては、具体的には、n−酪酸、α−メチル酪酸、i−吉草酸、2−エチル酪酸、2,2−ジメチル酪酸、3,3−ジメチル酪酸、2,3−ジメチル酪酸、3−メチルペンタン酸、4−メチルペンタン酸、2−エチルペンタン酸、3−エチルペンタン酸、2,2−ジメチルペンタン酸、3,3−ジメチルペンタン酸、2,3−ジメチルペンタン酸、2−エチルヘキサン酸、3−エチルヘキサン酸を用いるのが好ましい。
また、エステルとしては、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸n−ブチル、酢酸sec−ブチル、酢酸tert−ブチル、酢酸イソブチル、酢酸n−アミル、酢酸sec−アミル、酢酸tert−アミル、酢酸イソアミルを用いるのが好ましく、アルコールとしては、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、イソ−ブチルアルコール、1−ペンタノール、2−ペンタノール、2−メチル−2−ペンタノール、2−メトキシエタノールを用いるのが好適である。
また、上記液組成物には、ポリビニルピロリドン(PVP)又はポリエチレングリコール等の高分子化合物を含ませる。ポリビニルピロリドン及びポリエチレングリコールは、例えば液組成物中の液粘度を調整するために含まれる。ポリビニルピロリドンは、k値によって相対粘度を決定し調製することができる。ここでk値とは、分子量と相関する粘性特性値であり、毛細管粘度計により測定される相対粘度値(25℃)を下記のFikentscherの式に適用して算出される値である。
k値=(1.5 logηrel −1)/(0.15+0.003c)
+(300clogηrel +(c+1.5clogηrel)1/2/(0.15c+0.003c
上記式中、「ηrel」は、ポリビニルピロリドン水溶液の水に対する相対粘度を示し、「c」は、ポリビニルピロリドン水溶液中のポリビニルピロリドン濃度(%)を示す。
液組成物に含まれるポリビニルピロリドンのk値は、15〜90であることが好ましい。厚みのある強誘電体薄膜を形成するには、液組成物を基板等へコーティングする際、コーティングされた前駆体層(ゲル膜)がその厚さを維持するために十分な粘度が必要となるが、k値が下限値未満では、それが得られにくい。一方、上限値を超えると粘度が高くなりすぎて、液組成物を均一にコーティングすることが困難になる。また、ポリエチレングリコールを使用する場合は、重合度が200〜1000のものを使用するのが好ましい。重合度が下限値未満では上記粘度が十分に得られにくく、一方、重合度が上限値を超えると粘度が高くなりすぎて、液組成物を均一にコーティングすることが困難になるからである。また、ポリビニルピロリドンは、クラック抑制効果が大きいため、特に好ましい。
ポリビニルピロリドン又はポリエチレングリコール等の高分子化合物の割合は、上記PZT前駆体1モルに対してモノマー換算で0.15〜0.50モルの範囲とする。下限値未満では、クラックが発生しやすい傾向があり、一方、上限値を超えるとポアが生じやすい傾向がある。また、高分子化合物の割合がこの範囲から外れると、PZT系粒子の平均粒径が上記所望の範囲から外れることで、上述した不具合が生じる傾向がみられる。
また、上記成分以外に、必要に応じて安定化剤として、β−ジケトン類(例えば、アセチルアセトン、ヘプタフルオロブタノイルピバロイルメタン、ジピバロイルメタン、トリフルオロアセチルアセトン、ベンゾイルアセトン等)、β−ケトン酸類(例えば、アセト酢酸、プロピオニル酢酸、ベンゾイル酢酸等)、β−ケトエステル類(例えば、上記ケトン酸のメチル、プロピル、ブチル等の低級アルキルエステル類)、オキシ酸類(例えば、乳酸、グリコール酸、α−オキシ酪酸、サリチル酸等)、上記オキシ酸の低級アルキルエステル類、オキシケトン類(例えば、ジアセトンアルコール、アセトイン等)、ジオール、トリオール、高級カルボン酸、アルカノールアミン類(例えば、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、モノエタノールアミン)、多価アミン等を、(安定化剤分子数)/(金属原子数)で0.2〜3程度添加しても良い。
上記液組成物はβ−ジケトン類及び多価アルコール類を含んでいることが好適である。このうち、β−ジケトン類としてはアセチルアセトンが、多価アルコール類としてはプロピレングリコールが特に好ましい。
上記液組成物を調製するには、先ず、上述したPb化合物等のPZT前駆体をそれぞれ用意し、これらを上記所望の金属原子比を与える割合になるように秤量する。秤量した上記PZT前駆体とプロピレングリコール等の溶媒とを反応容器内に投入して混合し、好ましくは窒素雰囲気中、150〜160℃の温度で0.5〜3時間還流し反応させることで合成液を調製する。還流後は、蒸留やエバポレーション等の方法により、脱溶媒させておくのが好ましい。また、アセチルアセトン等の安定化剤を添加する場合は、脱溶媒後の合成液にこれらを添加し、窒素雰囲気中、150〜160℃の温度で0.5〜3時間還流を行うのが好ましい。
その後、更に溶媒を添加、混合することで濃度調整を行った後、ホルムアミド系溶剤を含む有機ドーパントを添加し、更にアルコール等の他の溶媒を添加、撹拌して希釈することで、液組成物中に占める各成分濃度を上述した所望の濃度に調整する。ここに、ポリビニルピロリドン等の高分子化合物を所望の割合になるよう添加し、好ましくは室温で0.5〜3時間撹拌することで均一に分散させる。これにより、本発明のPZT系強誘電体薄膜形成用液組成物が得られる。
なお、液組成物の調製後、濾過処理等によってパーティクルを除去して、粒径0.5μm以上(特に0.3μm以上とりわけ0.2μm以上)のパーティクルの個数が液組成物1.0mL当り50個/mL以下とするのが好ましい。液組成物中の粒径0.5μm以上のパーティクルの個数が50個/mLを超えると、長期保存安定性が劣るものとなる。この液組成物中の粒径0.5μm以上のパーティクルの個数は少ない程好ましく、特に30個/mL以下であることが好ましい。
上記パーティクル個数となるように、調製後の液組成物を処理する方法は特に限定されるものではないが、例えば、次のような方法が挙げられる。第1の方法としては、市販の0.2μm孔径のメンブランフィルターを使用し、シリンジで圧送する濾過法である。第2の方法としては、市販の0.05μm孔径のメンブランフィルターと加圧タンクを組み合せた加圧濾過法である。第3の方法としては、上記第2の方法で使用したフィルターと溶液循環槽を組み合せた循環濾過法である。
いずれの方法においても、液組成物の圧送圧力によって、フィルターによるパーティクル捕捉率が異なる。圧力が低いほど捕捉率が高くなることは一般的に知られており、特に、第1の方法、第2の方法について、粒径0.5μm以上のパーティクルの個数を50個以下とする条件を実現するためには、液組成物を低圧で非常にゆっくりとフィルターに通すのが好ましい。
このようにして得られた液組成物を下部電極上にコーティングし、前駆体層を形成した後は、この前駆体層中の低沸点溶媒や吸着した水分子を除去するために乾燥する。この乾燥温度は、溶媒の種類によっても異なるが、通常は50〜200℃程度であり、65〜75℃の範囲が好ましい。但し、原料溶液中の金属化合物を金属酸化物に転化させるための次の仮焼工程における加熱時の昇温中に低沸点溶媒や吸着した水分子は除去されるので前駆体層の乾燥は必ずしも必要とされない。この乾燥はホットプレート装置を用いて行われる。乾燥後は前駆体層は仮焼し、更に焼成することにより結晶化させる。
この仮焼は、図1に示す本発明実施形態の仮焼装置であるホットプレート装置15により行う。このホットプレート装置15は、チャンバ16と、上面が水平なサセプタ17と、このサセプタに埋め込まれたヒータ18を備える。チャンバ16の上部中央にはホットプレート装置内にキャリアガスGを供給するための供給口16aが設けられ、その下部のサセプタ17の両側にはキャリアガスGを排出するための排出口16bが設けられる。ヒータ18には図示しない温度制御機構付きのヒータ電源装置が接続される。サセプタ17の上面にはPZT系前駆体層10aを有する基板12が載せられる。このホットプレート装置15ではチャンバ16の供給口16aから導入されたキャリアガスGが基板11の中心に向かった後、基板11の上面に沿って流れてチャンバ16の下部の排出口16bから排出されるようになっている。
このホットプレート装置15を用いた仮焼は、上述したように基板12の下部電極11上に形成したPZT系前駆体層10aを、サセプタ17上に載せて、ホットプレート装置内にキャリアガスGを流しながら行う。キャリアガスGとしては空気、水蒸気又は水蒸気を含む窒素ガスが例示される。
本発明の特徴ある点は、キャリアガスGを流しながら仮焼する間、前駆体層上面に流れる基板12上面から10mmの高さhにおけるP点のキャリアガスGの風速を1.0m/秒以下に設定することにある。風速の観測点を基板上面から10mmの高さhとするのは、前駆体層上面からのその液成分の蒸発に与える影響を正確に把握するためである。またこの風速を1.0m/秒以下、好ましくは0.1〜0.5m/秒の範囲に設定するのは、比較的多いコーティング量により形成された層厚の大きな前駆体層において、前駆体層表面部分での反応を制御するためである。これにより前駆体であるゲルの熱分解により前駆体層の表面から蒸発するガス量が高まる温度領域でも、膜表面が変質し膜内部での熱分解反応が阻害されることはない。その結果、仮焼後の焼成により得られたPZT系強誘電体薄膜内部でのポアの発生と、表面で欠陥となる粗大な粒成長が抑制され、これにより膜を緻密にし、更に配向度を高くすることができる。この風速を0.1〜0.5m/秒の範囲に設定すると、より一層薄膜表面で欠陥となる粗大な粒成長を抑制して膜の配向度をより高くすることができる。風速が1.0m/秒を超えると、膜表面が変質し、膜内部で好ましくない分解反応がおこるため、膜内部でポアが生成し、薄膜表面で粗大な粒成長、即ち結晶成長を生じ、これにより膜の配向度を高くすることができない。風速はホットプレート装置の排気機構を調整することにより、制御される。また風速はカスタム社製の型式CW-60を用いて測定される。
仮焼は、溶媒を除去するとともに金属化合物を熱分解又は加水分解して複合酸化物に転化させるために行うことから、空気中、酸化雰囲気中、又は含水蒸気雰囲気中で行うのが望ましい。空気中での加熱でも、加水分解に必要な水分は空気中の湿気により十分に確保される。しかし、1回のコーティングにより焼成した後の膜厚を150nm以上に増大させるときには、供給される水分量が多すぎると膜表面で加水分解反応が進行し、膜内部まで十分に反応が進行しなくなるため、ガス流量の制御により供給される水分量を調整することが重要である。ガス流量が多すぎる場合、この加熱(仮焼)は、溶媒の除去のための低温加熱と、有機金属化合物の分解のための高温加熱の2段階又は3段階以上で実施することが前駆体層(ゲル膜)のクラックの発生を防止し、かつ緻密な薄膜を形成する観点から好ましい。本発明の仮焼時の風速を1,0m/秒以下に設定することは、上記2段階の加熱の場合、前駆体を熱分解させたときに発生するガス量の多い低温加熱時の仮焼のときに行うことが必要である。またこの加熱(仮焼)は単一のホットプレート装置で温度と時間を制御して複数段階で行うことができる他、複数のホットプレート装置の温度を各別に設定しておき、被加熱体である前駆体層付きの基板を順次温度の異なるホットプレート装置に移して所定の時間熱処理してもよい。
その他のホットプレート装置における仮焼条件は、大気雰囲気中、150〜450℃、1〜10分間行うのが好ましい。なお、コーティングから仮焼までの工程は、それぞれ1回で行っても良いが、所望の膜厚になるように、仮焼までの工程を複数回繰り返して、最後に一括して焼成を行うのが望ましい。
焼成は、仮焼後の前駆体層を結晶化温度以上の温度で結晶化させるために行われる。この焼成により強誘電体薄膜が得られる。この結晶化工程の焼成雰囲気はO、N等或いはこれらの混合ガス等が好適である。焼成は、600〜700℃で1〜5分間程度行われる。焼成は、RTA(Rapid Thermal Annealing)装置を用いた赤外線のランプ加熱による急速昇降温熱処理(RTA処理)で行っても良い。RTA処理で焼成する場合、その昇温速度を2.5〜100℃/秒とすることが好ましい。
以上の工程により、PZT系強誘電体薄膜が得られる。この形成方法では、コーティング等の成膜時の工程数が少なく、比較的簡便に厚い膜を形成できるにも拘わらず、得られた膜はクラックが極めて少ない。また、緻密な膜構造を有するため、電気特性に非常に優れ、しかも大幅な長寿命化が図れる。
このため、本発明の方法によって得られたPZT系強誘電体薄膜は、薄膜コンデンサ、キャパシタ、IPD、DRAMメモリ用コンデンサ、積層コンデンサ、トランジスタのゲート絶縁体、不揮発性メモリ、焦電型赤外線検出素子、圧電素子、電気光学素子、アクチュエータ、共振子、超音波モータ、電気スイッチ、光学スイッチ又はLCノイズフィルタ素子の複合電子部品等の電子部品の構成材料として好適に使用することができる。
次に本発明の実施例を比較例とともに詳しく説明する。
<実施例1>
先ず、金属原子比が115/52/48(Pb/Zr/Ti)となるように、PZT前駆体として酢酸鉛三水和物(Pb源)、テトラチタニウムイソプロポキシド(Ti源)、テトラジルコニウムブトキシド(Zr源)をそれぞれ秤量し、これらを反応容器内のプロピレングリコールに添加して合成液を調製した。この合成液を、窒素雰囲気中、150℃の温度で60分間還流した後、蒸留により脱溶媒した。その後、安定化剤としてアセチルアセトンを添加した。
次に、上記合成液にプロピレングリコールを添加することにより、PZT前駆体の濃度が酸化物換算で35質量%になるまで希釈した。更に、エタノールを加え、PZT前駆体の濃度が酸化物換算で25質量%まで希釈した。次いで、ポリビニルピロリドン(k値=30)をPZT前駆体1モルに対して0.025モルとなるように添加し、室温で24時間撹拌させることにより、PZT強誘電体薄膜形成用の液組成物を得た。この液組成物は、市販の0.2μm孔径のメンブランフィルターを使用し、シリンジで圧送して濾過することにより粒径0.5μm以上のパーティクル個数がそれぞれ溶液1.0mL当たり3個であった。
一方、Pt/TiO/SiO/Si基板を用意した。この基板のPt(下部電極)上には100)面に優先的に結晶配向した配向制御層が形成されていた。
続いて、スピンコーター上にセットした基板の(100)面に優先的に結晶配向した配向制御層の上に上記PZT強誘電体薄膜形成用の液組成物を滴下し、2100rpmの回転速度で60秒間スピンコートを行うことにより、上記基板上に前駆体層(ゲル膜)を形成した。上記スピンコーターでは、回転速度と時間により、1回のスピンコートでゲル膜が焼成後でどの程度の膜厚の薄膜になるのか予め分かっている。上記回転速度と時間により、実施例1では、1回のスピンコートで焼成後の薄膜の膜厚は200nmになるように決められる。
次に、上記基板上に形成された前駆体層(ゲル膜)を乾燥した。具体的には、上記前駆体層を有する基板を、図1に示すホットプレート装置とは別のホットプレート装置のサセプタの上に載せて、基板上面から10mmの高さhにおける水蒸気を含む窒素ガスからなるキャリアガスの風速を0.1m/秒に設定して、70℃の温度で2分間保持することにより、前駆体層中の低沸点溶媒や吸着した水分子を除去した。
続いて、低沸点溶媒等を除去した前駆体層を仮焼した。具体的には、図1に示すホットプレート装置15のサセプタ17の上に低沸点溶媒等を除去した前駆体層を有する基板を載せて、基板上面から10mmの高さhにおける上記と同一のキャリアガスGの風速を0.1m/秒に設定して、300℃の温度で5分間保持することにより、前駆体層(ゲル膜)中の金属酸化物を加水分解及び熱分解させた。更に、図1に示すホットプレート装置とは別のホットプレート装置のサセプタの上に金属酸化物を加水分解及び熱分解させた前駆体層(ゲル膜)を有する基板を載せて、基板上面から10mmの高さhにおける上記と同一のキャリアガスの風速を0.1m/秒に設定して、450℃の温度で5分間保持することにより、前駆体層(ゲル膜)中に残存する有機物や吸着水を除去した。上記スピンコーターによる前駆体層の形成と、3台のホットプレート装置による乾燥と仮焼をもう1回行い、非晶質の薄膜を得た。
更に続いて、RTA装置を用い、酸素ガスを1分当たり2リットル流す雰囲気中で、昇温速度30℃/秒にて700℃まで昇温し、1分間保持することにより焼成を行った。これにより、上記基板の下部電極上に、膜厚が400nmのPZT強誘電体薄膜を形成した。上記スピンコーターによる前駆体層の形成から400nmの膜厚を形成する焼成までのプロセスを5回繰り返すことにより、総厚が2000nmのPZT強誘電体薄膜を得た。
<実施例2>
基板上面から10mmの高さhにおける3台のホットプレート装置のキャリアガスの風速を0.3m/秒に設定した以外実施例1と同様にして、総厚が2000nmのPZT強誘電体薄膜を得た。
<実施例3>
基板上面から10mmの高さhにおける3台のホットプレート装置のキャリアガスの風速を0.5m/秒に設定した以外実施例1と同様にして、総厚が2000nmのPZT強誘電体薄膜を得た。
<実施例4>
基板上面から10mmの高さhにおける3台のホットプレート装置のキャリアガスの風速を0.8m/秒に設定した以外実施例1と同様にして、総厚が2000nmのPZT強誘電体薄膜を得た。
<実施例5>
基板上面から10mmの高さhにおける3台のホットプレート装置のキャリアガスの風速を1.0m/秒に設定した以外実施例1と同様にして、総厚が2000nmのPZT強誘電体薄膜を得た。
<比較例1>
基板上面から10mmの高さhにおける3台のホットプレート装置のキャリアガスの風速を1.2m/秒に設定した以外実施例1と同様にして、総厚が2000nmのPZT強誘電体薄膜を得た。
<比較例2>
基板上面から10mmの高さhにおける3台のホットプレート装置のキャリアガスの風速を2.0m/秒に設定した以外実施例1と同様にして、総厚が2000nmのPZT強誘電体薄膜を得た。
<比較試験及び評価>
実施例1〜5及び比較例1〜2で形成したPZT強誘電体薄膜について、膜厚、薄膜表面における粗大粒の数、薄膜断面におけるポア密度及び薄膜の(100)面配向度を評価した。これらの結果を以下の表1に示す。
(1) 膜厚:走査型電子顕微鏡(HITACHI s4300)により測定した。
(2) 風速:熱線式風速計(カスタム社製、型式CW-60)により測定した。
(3) 薄膜表面における粗大粒の数:上記膜厚測定に用いた走査型電子顕微鏡により薄膜表面の1mm当たりの粒径が1000nm以上の粗大粒の数をSEM画像により観察した。
(4) 薄膜断面におけるポア密度:薄膜断面をSEM(Scanning Electron Microscope)ににより観察し、薄膜断面積とこの断面に占めるポア面積を算出した。薄膜断面積とポア面積から以下の式により、ポア密度を算出し、薄膜の緻密さを評価した。
ポア密度=(ポア面積/薄膜断面積)×100
(5) 薄膜の(100)面配向度:X線回折装置(PANalytical社製、型式Empyrean)による測定で得られた解析結果から(100)面配向度を以下の式により求めた。
(100)面配向度(%)=[(100)面の強度/{(100)面の強度+(110)面の強度+(111)面の強度}]×100
Figure 0006459563
表1から明らかなように、ホットプレート装置のキャリアガスの風速を1.2m/秒及び2.0m/秒に設定して仮焼した後、焼成した比較例1及び2のPZT系強誘電体薄膜では、その表面に78個/mm及び256個/mmの粗大粒が観察され、ポア密度はそれぞれ0.16と1.8であり、(100)面配向度は85及び80であった。これに対してホットプレート装置のキャリアガスの風速を1.0m/秒以下に設定して仮焼した後、焼成した実施例1〜5のPZT系強誘電体薄膜では、その表面の粗大粒の数は、12個/mm以下に激減した。またポア密度は0.07以下と非常に小さく、(100)面配向度は90〜97に向上した。特に、風速を0.1〜0.5m/秒の範囲に設定して仮焼した後、焼成した実施例1〜3のPZT系強誘電体薄膜では、その表面の粗大粒の数は、ゼロであり、ポア密度は0.02以下であり、(100)面配向度は93以上で高かった。
本発明の方法により仮焼されたPZT系前駆体層を焼成して形成された強誘電体薄膜は、薄膜コンデンサ、キャパシタ、IPD、DRAMメモリ用コンデンサ、積層コンデンサ、トランジスタのゲート絶縁体、不揮発性メモリ、焦電型赤外線検出素子、圧電素子、電気光学素子、アクチュエータ、共振子、超音波モータ、電気スイッチ、光学スイッチ又はLCノイズフィルタ素子の複合電子部品等の電子部品に利用できる。

Claims (6)

  1. 有機金属化合物のPZT系前駆体と溶媒とを含有するPZT系強誘電体薄膜形成用液組成物を基板上にスピンコーティングすることにより形成したPZT系前駆体層をキャリアガスを流しながら仮焼する間、前記前駆体層上面に流れる前記基板上面から10mmの高さにおける前記キャリアガスの風速を1.0m/秒以下に設定することによりPZT系前駆体層を仮焼し、前記仮焼されたPZT系前駆体層を焼成して結晶化させるPZT系強誘電体薄膜を形成する方法であって、
    前記PZT系前駆体層の仮焼が、150〜450℃の温度範囲内で、前記溶媒の除去のための低温加熱と前記有機金属化合物の分解のための高温加熱とを2段階又は3段階以上で実施して行われ
    前記キャリアガスが前記基板上方に設けられたキャリアガス供給口から前記基板の中心に向かって導入され続いて前記基板の上面に沿って流れて前記基板を支持するサセプタの両側に設けられたキャリアガス排出口から排出されるように構成されたことを特徴とするPZT系強誘電体薄膜の形成方法。
  2. 前記コーティングが1回のコーティングで焼成後のPZT系強誘電体薄膜の膜厚が150〜400nmになるように行う請求項1記載のPZT系強誘電体薄膜の形成方法。
  3. 前記仮焼が前記基板を水平に支持するホットプレート装置のサセプタ上に載せて行う請求項1又は2記載のPZT系強誘電体薄膜の形成方法。
  4. 前記風速を0.1〜0.5m/秒の範囲に設定する請求項1ないし3いずれか1項に記載のPZT系強誘電体薄膜の形成方法。
  5. 前記PZT系強誘電体薄膜の総厚が150〜400nmの範囲にある請求項1ないし4いずれか1項に記載のPZT系強誘電体薄膜の形成方法。
  6. 前記仮焼されたPZT系前駆体層を複数回繰り返し積層した後、一括して焼成して結晶化させることにより総厚が300〜5000nmの範囲にある請求項1ないし4いずれか1項に記載のPZT系強誘電体薄膜の形成方法。
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