JP6459387B2 - 車両診断システム及び車両診断方法 - Google Patents

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Description

本発明は、エンジンを搭載した車両(特に、所定条件が成立した場合に前記エンジンを一時停止させる機能である「エンジン一時停止機能」を備えた車両)の診断を行なうように構成された、車両診断システムに関する。また、本発明は、かかる車両診断システムにて実行される車両診断方法に関する。なお、以下の説明において、エンジンの一時停止を、単に「一時停止」と略称することがある。同様に、エンジン一時停止機能を、単に「一時停止機能」と略称することがある。
この種の車両(例えば、アイドリングストップ機能搭載車やハイブリッド車等)においては、所定条件が成立した場合に、エンジンが一時停止される。上述の所定条件には、例えば、エンジン冷却水温が所定温度以上、ブレーキON、等が含まれる。
ところで、従来、上述の一時停止機能を実現するための各種車載コンポーネント(例えばバッテリ等)や、上述の所定条件の成立の有無を検知するためのセンサ等に、異常(故障)が発生した場合に、エンジンの一時停止を禁止する技術が、種々提案されている(例えば、特開2005−248796号公報、特開2009−138647号公報、等参照。)
特開2005−248796号公報
上述のように、何らかの異常(故障)により一時停止機能が実現できなくなった場合、温室効果ガス(二酸化炭素等)の排出量を低減するという当該機能の効果が減殺される(良好には奏されなくなる)。この状態で車両の運転が長期間継続されることは、環境負荷の観点から問題となる。よって、一時停止機能が実現できなくなることで温室効果ガス排出量低減効果が減殺されるような異常(故障)が発生した場合には、可及的速やかに運転者等に修理を促す必要がある。本発明は、上記に例示した事情等に鑑みてなされたものである。
本発明の車両診断システムは、車両の診断を行なうように構成されている。この車両は、エンジンを搭載している。また、この車両は、エンジン一時停止機能(所定条件が成立した場合に前記エンジンを一時停止させる機能:例えばアイドリングストップ機能)を備えている。
前記車両診断システムには、異常判定部が備えられている。この異常判定部は、前記車両の異常の発生を判定するように設けられている。本発明の特徴は、前記異常判定部が、特定異常(前記エンジン一時停止機能による温室効果ガス排出量低減効果が減殺される態様での前記車両の異常)の発生を判定するように設けられたことにある。
また、本発明の車両診断方法は、前記車両の異常の発生を判定する異常判定ステップを含んでいる。本発明の車両診断方法の特徴は、前記異常判定ステップが、前記特定異常の発生を判定することにある。
上記の構成においては、前記異常判定部(異常判定ステップ)は、前記車両の異常の発生を判定する。特に、本発明においては、前記異常判定部(異常判定ステップ)は、前記特定異常の発生を判定する。この特定異常は、前記エンジン一時停止機能による温室効果ガス排出量低減効果が減殺される態様での、前記車両の異常である。かかる特定異常の発生が判定されると、これを運転者等に通知することで、当該異常が可及的速やかに復元され得る。したがって、本発明によれば、前記エンジンを搭載した前記車両による環境負荷を、可及的に抑制することが可能となる。
本発明の一実施形態が適用された車両の概略図。 図1に示されている車両にて構成される、本発明に係る車両診断システムの一実施形態の機能ブロック構成を示す概略図。 図2に示されている車両診断システムの動作の一具体例を説明するためのフローチャート。 図2に示されている車両診断システムの構成の一変形例の機能ブロック構成を示す概略図。 図4に示されている変形例の構成による動作の一具体例を説明するためのフローチャート。 図3に示されている動作例の一変形例を示すフローチャート。 図3に示されている動作例の他の一変形例を示すフローチャート。 図3に示されている動作例のさらに他の一変形例を示すフローチャート。 図3に示されている動作例のさらに他の一変形例を示すフローチャート。 図3に示されている動作例のさらに他の一変形例を示すフローチャート。 図3に示されている動作例のさらに他の一変形例を示すフローチャート。 図3に示されている動作例のさらに他の一変形例を示すフローチャート。 図3に示されている動作例のさらに他の一変形例を示すフローチャート。 図3に示されている動作例のさらに他の一変形例を示すフローチャート。
以下、本発明を具体化した一実施形態を、図面を適宜参照しつつ説明する。なお、変形例は、当該実施形態の説明中に挿入されると首尾一貫した一実施形態の説明の理解が妨げられるので、末尾にまとめて記載されている。
<車両の全体構成>
図1に示されている外部機器Cは、いわゆるハイブリッド自動車である車両Vと通信回線(有線又は無線)を介してデータ通信可能に設けられている。
車両Vには、エンジン10(火花点火式の多気筒ガソリンエンジン)が搭載されている。エンジン10の吸気管11には、電気駆動式のスロットルバルブ12が設けられている。吸気管11と気筒との接続部分である吸気ポートの近傍には、ガソリン燃料を噴射する手段としてのインジェクタ13が設けられている。また、エンジン10の点火手段として、各気筒には、点火プラグ15と、この点火プラグ15に点火用高電圧を印加するイグナイタ16とが設けられている。さらに、吸気ポート及び排気ポートには、吸気バルブ17及び排気バルブ18がそれぞれ設けられている。
エンジン10の排気管21には、排気浄化装置としての触媒コンバータ23が設けられている。触媒コンバータ23は、例えば三元触媒を有するものであり、排気が通過する際に排気中の有害成分(HC、CO,NOx)を浄化するように構成されている。
エンジン10のクランク軸25には、遊星ギア機構を備えた動力分配装置を含むトランスミッション26が接続されている。トランスミッション26には、ギア軸27を介して、電動機及び発電機として動作可能なモータ28が接続されている。また、トランスミッション26には、出力軸29、ディファレンシャルギア31、及び駆動軸32を介して、車輪(駆動輪)33が接続されている。すなわち、トランスミッション26は、エンジン10及び/又はモータ28の出力動力を、同一の駆動軸32に出力可能に構成されている。
モータ28は、インバータ34を介して高圧バッテリ35に接続されている。インバータ34は、モータ28が発電機として動作する場合、モータ28で発電した電力を、交流から直流に変換して高圧バッテリ35に出力することで、高圧バッテリ35を充電するように設けられている。一方、インバータ34は、モータ28が電動機として動作する場合、高圧バッテリ35から出力された電力を、直流から交流に変換してモータ28に出力するように設けられている。
車両Vには、以下に一部を例示する、複数のセンサ類が設けられている。具体的には、吸気管11には、エアフローメータ41aと、吸気温センサ41bと、スロットル開度センサ41cと、が装着されている。エアフローメータ41aは、吸気管11を通流する吸入空気の質量流量(Ga)に対応する出力を生じるように設けられている。吸気温センサ41bは、上述の吸入空気の温度(Tin)に対応する出力を生じるように設けられている。スロットル開度センサ41cは、スロットルバルブ12の開度(回転角度)であるスロットル開度TAに対応する出力を生じるように、スロットルバルブ12に対応する位置に配置されている。
排気管21には、A/Fセンサ41dと、触媒温度センサ41eと、排気温センサ41fと、が設けられている。A/Fセンサ41dは、排気中の酸素濃度に対応した出力を生じる酸素濃度センサであって、排気管21における触媒コンバータ23の上流側に装着されている。触媒温度センサ41eは、触媒コンバータ23の温度(Tc)に対応する出力を生じるように、触媒コンバータ23に装着されている。排気温センサ41fは、排気管21を通流する排気の温度(Tex)に対応する出力を生じるように設けられている。
トランスミッション26には、ミッション油温センサ41gが装着されている。ミッション油温センサ41gは、トランスミッション26の内部の作動油温(Tm)に対応する出力を生じるように設けられている。また、エンジン10には、冷却水温センサ41hと、クランク角センサ41kと、が装着されている。冷却水温センサ41hは、エンジン10の冷却水温(Tw)に対応する出力を生じるように設けられている。クランク角センサ41kは、クランク軸25が10度回転する毎の幅狭のパルスと360度回転する毎の幅広のパルスとを有する信号(この信号は主としてエンジン回転数Neの検出に用いられる)を出力するように、エンジン10のクランクケースに装着されている。
車両Vには、車速センサ41mと、ブレーキ圧センサ41nと、が装着されている。車速センサ41mは、車両Vの走行速度(ve)に対応する出力を生じるように設けられている。ブレーキ圧センサ41nは、ブレーキアクチュエータ(図示略)からブレーキキャリパ(図示略)に供給される作動油の圧力であるブレーキ油圧(Pbr)に対応する出力を生じるように設けられている。
車両Vには、シフトポジションセンサ41pと、ブレーキセンサ41rと、アクセル開度センサ41sと、開閉センサ41tと、が装着されている。シフトポジションセンサ41pは、車両Vの運転席近傍に配置されたシフトレバー(図示略)の操作状態に対応する出力を生じるように設けられている。ブレーキセンサ41rは、ブレーキペダル(図示略)の操作量(Ab)に対応する出力を生じるように設けられている。アクセル開度センサ41sは、アクセルペダル(図示略)の操作量であるアクセル開度Accに対応する出力を生じるように設けられている。開閉センサ41tは、車両Vのドアやボンネット(図示略)の開閉状態に対応する出力を生じるように設けられている。
高圧バッテリ35には、電圧センサ41vと、電流センサ41xと、が電気的に接続されている。電圧センサ41vは、高圧バッテリ35の端子間電圧Vbに対応する出力を生じるように設けられている。電流センサ41xは、高圧バッテリ35の充放電電流Ibに対応する出力を生じるように設けられている。
車両Vには、始動スイッチ42(イグニッションスイッチとも称される)が設けられている。始動スイッチ42は、車両V(ハイブリッドシステム)の起動と遮断との切り換え等の際に操作されるスイッチであって、運転席近傍に配置されている。
車両Vには、エンジンECU51及びハイブリッドECU52が搭載されている。エンジンECU51及びハイブリッドECU52は、周知の通りの、CPU、ROM、RAM等を備えたマイクロコンピュータを主体として構成されていて、ROMに記憶された各種の制御プログラムを実行することで、車両Vの運転に関する各種制御を実行するようになっている。
具体的には、エンジンECU51は、上述の複数のセンサ類(但し電圧センサ41v及び電流センサ41xを除く)と電気的に接続されている。ハイブリッドECU52は、電圧センサ41v、電流センサ41x、及び始動スイッチ42と電気的に接続されている。また、エンジンECU51とハイブリッドECU52とは、互いに信号授受可能に、電気的に接続されている。
エンジンECU51は、電気的に接続された上述の複数のセンサ類やハイブリッドECU52から出力された信号を入力信号として受領し、この入力信号に基づいてエンジン10の各部(インジェクタ13やイグナイタ16等)の駆動を制御するようになっている。ハイブリッドECU52は、エンジンECU51を介して上述の複数のセンサ類(但し電圧センサ41v及び電流センサ41xを除く)の出力信号を受領するとともに、電圧センサ41v及び電流センサ41xのから出力された信号を受領し、これらの受領した信号(入力信号)に基づいて、モータ28の動作制御、インバータ34の動作制御、高圧バッテリ35の充放電制御、等を行うようになっている。
また、エンジンECU51及びハイブリッドECU52は、互いに協調する(制御信号やデータ等の授受を行う)ことで、車両V(ハイブリッドシステム)における走行モード制御やエンジン10の一時停止/再始動制御等の各種制御を実行するようになっている。すなわち、車両Vは、ハイブリッドシステムにおけるエンジン10の一時停止機能(所定条件が成立した場合にエンジン10を一時停止させる機能)を備えている。
<実施形態の車両診断システムの構成>
図2を参照すると、本発明の第1実施形態である車両診断システム100は、車両V(図1参照)の診断を行うように構成されている。具体的には、この車両診断システム100は、前提条件判定手段101と、実施条件判定手段102と、一時停止要求手段103と、一時停止/再始動手段104と、特定故障判定手段105と、一般故障判定手段106と、を備えている。以下の説明から明らかなように、本実施形態においては、前提条件判定手段101、実施条件判定手段102、一時停止要求手段103、特定故障判定手段105、及び一般故障判定手段106は、ハイブリッドECU52に設けられている。また、一時停止/再始動手段104は、エンジンECU51に設けられている。
前提条件判定手段101は、一時停止を実施するための前提条件の成立を判定するように設けられている。この「前提条件」は、通常であれば(すなわち異常や故障がなければ)エンジン10の始動から所定時間経過後に成立すべき条件(車両Vの状態)であって、例えば、以下に列挙するものから少なくとも1つを用いることが可能である。(1)Tw≧Tw0(所定値)、(2)触媒コンバータ23の暖機完了:すなわちTc≧Tc0(所定値)、(3)A/Fセンサ41dが活性状態、(4)Tm≧Tm0(所定値)、(5)高圧バッテリ35の充電状態(SOC:State Of Charge)が推定可能な状態となったこと、(6)SOC≧SOC0(所定値)、(7)Vb≧Vb0(所定値)、(8)特定のコンポーネント(高圧バッテリ35、オルタネータ、スタータモータ、等。)が故障していないこと。具体的には、本実施形態においては、前提条件判定手段101は、上記の(1)〜(8)のすべての条件が成立したことをもって、「前提条件成立」を判定するようになっている。
実施条件判定手段102は、実施条件(一時停止を実施すべき条件であって上述の前提条件とは異なる条件)の成立を判定するように設けられている。この「実施条件」は、上述の「前提条件」の成立を前提として、一時停止を実施すべき、車両Vの運転操作状況等であって、例えば、以下に列挙するものから少なくとも1つを用いることが可能である。(i)ブレーキON(ブレーキペダル操作量が所定量以上)、(ii)アクセルOFF(Acc<Acc0(所定値))、(iii)ve<ve0(所定値)、(iv)ドア及びボンネット閉、(v)Pbr≧Pbr0(所定値)。具体的には、本実施形態においては、実施条件判定手段102は、上記の(i)〜(v)のすべての条件が成立したことをもって、「実施条件成立」を判定するようになっている。
一時停止要求手段103は、前提条件判定手段101により前提条件の成立が判定され且つ実施条件判定手段102により実施条件の成立が判定された場合に、一時停止要求(エンジン10の一時停止処理を実施するための信号)を発生させるように設けられている。一時停止/再始動手段104は、一時停止要求手段103からの一時停止要求の受領状態に基づいて、エンジン10を一時停止させたり再始動させたりするように設けられている。
本発明の「異常判定部」及び「特定異常判定部」に相当する特定故障判定手段105は、上述の複数のセンサ類のうちの少なくとも1つからの出力に基づいて、特定異常の発生を判定するように設けられている。本発明の「異常判定部」及び「一般異常判定部」に相当する一般故障判定手段106は、この特定異常とは異なる異常である一般異常の発生を、上述の複数のセンサ類の出力に基づいて判定するように設けられている。
ここで、「特定異常」とは、一時停止機能による温室効果ガス排出量低減効果が減殺される態様での、車両Vの異常である。すなわち、この特定異常は、上述の前提条件の成立又は成立判定を阻害する又は遅延させる(前提条件の成立を阻害する若しくは遅延させる又は前提条件が成立してもその成立判定を阻害する若しくは遅延させる)ような異常である。具体的には、本実施形態においては、特定故障判定手段105は、冷却水温Twの基準温度への到達が検知されることを阻害する異常(冷却水温Twの基準温度への到達そのものを阻害する若しくは遅延させるような異常、又は冷却水温Twが基準温度に到達してもその検知を阻害する若しくは遅延させるような異常)の発生を判定するようになっている。
<実施形態の車両診断システムの動作>
以下、本実施形態の構成における動作及び作用・効果について説明する。なお、以下に参照する図3等にて図示されたフローチャートにおいては、「ステップ」は「S」と略記されている。
エンジンECU51及びハイブリッドECU52は、上述の複数のセンサ類の出力信号によって把握される車両Vの各種状態等に基づいて、互いに各種信号を授受しつつ車両V(ハイブリッドシステム)の各部の動作を制御する。具体的には、例えば、ハイブリッドECU52は、電圧センサ41vや電流センサ41xや始動スイッチ42等からの入力信号や、エンジンECU51との間での信号授受により入力された信号等に基づいて、車両Vの各種状態等を取得する。そして、ハイブリッドECU52は、取得した車両Vの各種状態等に基づいて、エンジン10の燃費効率を考慮しつつ、車両Vの走行モード(エンジン10の一時停止/再始動を含む)を設定する。
エンジンECU51は、ハイブリッドECU52によって設定(決定)された走行モードに従って、エンジン10の運転制御を行う。すなわち、例えば、エンジンECU51は、エンジン10の運転期間中に、車両Vの運転状態等に基づいて、エンジン10における各種制御(燃料噴射制御(いわゆるフューエルカットを含む)、点火制御、等。)を行う。ハイブリッドECU52は、高圧バッテリ35の充電残量(SOC)を、電流センサ41xにより検出される充放電電流に基づいて算出する。また、ハイブリッドECU52は、車両Vの運転状態や高圧バッテリ35の充電残量等に基づいて、モータ28やインバータ34等の駆動を制御する。
以下、エンジン10の一時停止/再始動制御(特に一時停止制御)について、より詳細に説明する。上述のように、本制御においては、前提条件判定手段101により、一時停止を実施するための前提条件の成立の有無が判定される。また、実施条件判定手段102により、上述の実施条件の成立の有無が判定される。
前提条件判定手段101により前提条件の成立が判定され、且つ実施条件判定手段102により実施条件の成立が判定されると、一時停止要求手段103により、一時停止要求が発生させられる。この一時停止要求が発生させられると、一時停止/再始動手段104は、エンジン10を一時停止させる。なお、上述の前提条件には、冷却水温Twが所定の基準温度Tw0以上であることが含まれている(Tw≧Tw0)。この理由は、主に以下(a)〜(c)である。(a)低温での始動が繰り返されることによるエミッション悪化を抑制するため、(b)VVTやEGR等、温度がある程度上昇しないと動作が保証されない、もしくは、パフォーマンスが低下するデバイスが用いられている場合、その動作に十分な温度になるまで一時停止を禁止するため、(c)外気温が低い場合、車内を暖房するのに十分な水温になるまで、一時停止を禁止するためである。
特定故障判定手段105及び一般故障判定手段106は、上述の各種センサ類の出力信号に基づいて、車両Vの各部の状態を診断する。この診断結果は、車両Vに設けられた計器類を介して運転者等に報知されるとともに、外部機器Cとの間でのデータ送受信が可能な状況下にて外部機器Cに送信される。
ところで、上述の通り、前提条件判定手段101による、上述の前提条件の成立判定は、通常であれば(すなわち異常や故障がなければ)、エンジン10の始動から所定時間経過後に成立する。よって、エンジン10の始動から所定時間(但しこの「所定時間」は一時停止後の再始動の場合とそれ以外の場合とでは異なる)経過後に上述の実施条件が成立すれば、エンジン10の一時停止が行われることで、温室効果ガス排出量低減効果が奏されるはずである。
しかしながら、本来は前提条件が成立しているはずであるにもかかわらず、何らかの異常(故障)により、上述の実施条件が成立したにもかかわらずエンジン10の一時停止が行えなくなることがあり得る。具体的には、例えば、冷却水温Twが所定の基準温度に到達しているにもかかわらず、冷却水温センサ41hの出力が低温側から高温側に推移しなくなるような態様の異常が発生することがあり得る。また、車両Vにおける特定の故障(例えばエンジン10の冷却水循環系に設けられた図示しないサーモスタット弁が開状態で固定される故障)が生じると、上述の前提条件がそもそも成立しなくなってしまう。
これらのような状態で車両Vの運転が長期間継続されると、当該車両Vによる温室効果ガス排出量低減効果が減殺され(良好には奏されなくなり)、環境負荷の観点から問題となる。よって、これらのような異常(故障)が発生した場合には、可及的速やかに運転者等に修理を促す必要がある。
そこで、本実施形態の構成においては、特定故障判定手段105は、一般故障判定手段106とは異なり、一時停止機能による温室効果ガス排出量低減効果が減殺される態様での車両Vの異常である、「特定異常」の発生を判定する。具体的には、本実施形態においては、特定故障判定手段105は、上述のような、冷却水温Twの基準温度への到達が検知されることを阻害する異常(冷却水温Twがそもそも基準温度に到達できなくなる若しくはその到達を遅延させるような異常、又は、冷却水温Twが基準温度に到達したとしてもこれを検知できなくなる若しくはその検知を遅延させるような異常)の発生を判定する。
このように、特定故障判定手段105が上述の特定異常の発生を判定すると、かかる判定が運転者等に通知されることで、当該異常が可及的速やかに復元され得る。したがって、かかる構成によれば、エンジン10を搭載した車両Vによる環境負荷を、可及的に抑制することが可能となる。
以下、上述の動作の一具体例について、図3に示されているフローチャートを用いて説明する。図3に示されている手順は、始動スイッチ42によるハイブリッドシステム起動後に、所定時間毎に実行される。この手順が開始されると、まず、ステップ310にて、冷却水温センサ41hの検出値Twが正常域内であるか(例えば130℃以下であるか)否かが判定される。
冷却水温センサ41hの検出値Twが正常域外である場合(ステップ310=NO)、処理がステップ320に進行し、この状態が所定時間継続しているか否かが判定される。冷却水温センサ41hの検出値Twが正常域外である状態が所定時間継続している場合(ステップ320=YES)、処理がステップ325に進行し、水温制御系(冷却水温センサ41h又は上述のサーモスタット弁)についての一般故障の発生が判定された後、処理がステップ330に進行する。
一方、冷却水温センサ41hの検出値Twが正常域外であっても、この状態が所定時間継続していない場合(ステップ320=NO)、ステップ325の処理がスキップされ、処理がステップ330に進行する。また、冷却水温センサ41hの検出値Twが正常域内である場合(ステップ310=YES)、ステップ320及び325の処理はスキップされ、処理がステップ330に進行する。
上述のような、水温制御系についての一般故障としては、例えば、冷却水温センサ41hの、いわゆる「オープンショート故障」が考えられる。この場合、上述のように、冷却水温センサ41hによる冷却水温の検出値Twは、異常な高温に対応する値に張り付く。あるいは、かかる一般故障としては、例えば、上述のサーモスタット弁が閉状態で固定される、いわゆる「閉故障」が考えられる。これらの一般故障の場合、冷却水温センサ41hの検出値Twに関し、エンジン10の一時停止のための前提条件の成立あるいは成立判定は、阻害あるいは遅延されない。よって、これらの一般故障は、一時停止機能による温室効果ガス排出量低減効果が減殺される態様での故障としての「特定故障」ではない。
ステップ330においては、エンジン10の始動後所定時間経過しているか否かが判定される。なお、かかる判定においては、「所定時間」は、一時停止後の再始動の場合とそれ以外の場合とで切換えられる。一時停止後の再始動の場合は、「所定時間」に対応する閾値として所定値が用いられる。一方、一時停止後の再始動ではない場合、かかる閾値は、上述の所定値よりも大きな値が用いられる。この後者の場合の閾値は、具体的には、エンジン10の冷却水温(Tw)や吸入空気の温度(Tin)等をパラメータとするマップ(ルックアップテーブル)により取得することが可能である。
エンジン10の始動後所定時間経過していない場合(ステップ330=NO)、ステップ380以降の処理がスキップされ、本手順が一旦終了する。一方、エンジン10の始動後所定時間経過している場合(ステップ330=YES)、処理がステップ380に進行する。
ステップ380においては、冷却水温センサ41hの検出値Twが所定の基準温度(一時停止許可温度)Tw0以上であるか否かが判定される。冷却水温センサ41hの検出値Twが基準温度Tw0以上である場合(ステップ380=YES)、本手順が一旦終了する。一方、冷却水温センサ41hの検出値Twが基準温度Tw0に到達していない場合(ステップ380=NO)、処理がステップ390に進行する。
ステップ390においては、エンジン10の始動後所定時間経過している(ステップ330=YES)にもかかわらず冷却水温センサ41hの検出値Twが基準温度Tw0に到達していない(ステップ380=NO)、という状態が、所定時間継続しているか否かが判定される。この状態が所定時間継続している場合(ステップ390=YES)、処理がステップ395に進行し、水温制御系についての特定故障の発生が判定された後、本手順が一旦終了する。上述の状態が未だ所定時間継続してはいない場合(ステップ390=NO)、ステップ395の処理がスキップされ、本手順が一旦終了する。
上述のように、水温制御系についての特定故障としては、例えば、冷却水温センサ41hの出力が低温側から高温側に推移しなくなるような態様の故障が考えられる。この場合、実際の冷却水温Twが基準温度Tw0以上となっていてエンジン10の一時停止が可能であっても、一時停止ができなくなる。あるいは、かかる特定故障としては、例えば、上述のサーモスタット弁が開状態で固定される、いわゆる「開故障」が考えられる。この場合、実際の冷却水温Twは、そもそも基準温度Tw0以上とはならない。
<変形例>
以下、代表的な変形例について、幾つか例示する。以下の変形例の説明において、上述の実施形態にて説明されているものと同様の構成及び機能を有する部分に対しては、上述の実施形態と同様の符号が用いられ得るものとする。そして、かかる部分の説明については、技術的に矛盾しない範囲内において、上述の実施形態における説明が適宜援用され得るものとする。もっとも、言うまでもなく、変形例とて、以下に列挙されたものに限定されるものではない。また、上述の実施形態の一部、及び、複数の変形例の全部又は一部が、技術的に矛盾しない範囲内において、適宜、複合的に適用され得る。
本発明は、上述した実施形態の構成に限定されない。例えば、本発明は、上述したようなハイブリッド自動車に限定されない。すなわち、本発明は、推進用の動力源として内燃機関(ガソリンエンジンに限定されない)を備える車両に対して、広く適用可能である。具体的には、例えば、本発明が、推進用の動力源として内燃機関のみを備える車両に対して適用された場合、一時停止機能は「アイドリングストップ機能」と称される。もっとも、ハイブリッド自動車におけるエンジン10の一時停止も、状況等に応じて、「アイドリングストップ」と称されることがある。
本実施形態において、通常であればエンジン10の始動から所定時間経過後に成立すべき条件である「前提条件」として、8つの条件を挙げ、少なくともそのうちの一つを用いることとしていた。このことについて、更に3つの条件を加えてもよい。具体的には、(9)VVT(Variable Valve Timing)が作動可能状態であること、(10)EGR(Exhaust Gas Recirculation)が作動可能状態であること、(11)ブレーキマスターバック内負圧センサ値が所定量以上(マスターバック内圧力と大気圧の差が所定量以上)。これら3つの条件を加えて、(1)〜(11)のすべての条件が成立したことをもって、「前提条件成立」を判定するようにしてもよい。
エンジンECU51とハイブリッドECU52とは、一体的に構成されていてもよい。また、それぞれの手段は複数のECUに分散して配置しても良い。例えば、前提条件判定手段101を、エンジンECU51とハイブリッドECU52に分散配置し、エンジンECU51では、エンジン10に関わる前提条件の判定を行い、ハイブリッドECU52では、モータ28や高圧バッテリ35に関わる前提条件の判定を行うようにしてもよい。この場合は、両判定が成立したときに、前提条件成立と判定される。また、上述した各実施形態の構成において、或るセンサを用いて取得されたパラメータは、他のセンサの出力を用いて取得された他のパラメータや、他のセンサの出力を用いたオンボード推定値に置き換えられ得る。具体的には、例えば、冷却水温に代えて、エンジン油温が用いられてもよいし、ブレーキペダル操作量(Ab)に代えて、ブレーキ油圧Pbrが用いられてもよい。
特定故障判定手段105と一般故障判定手段106とのうちの少なくともいずれか一方(特に特定故障判定手段105)は、外部機器C側に設けられていてもよい。これにより、車両Vの製造者、販売者、保守業者等が、市場における車両Vの異常(特に温室効果ガス増加に至る異常)の発生態様を、迅速且つ的確に取得することが可能となる。
上記実施形態において、図2に記載の特定故障判定手段105は、冷却水温センサ41hにより冷却水温Twが基準温度Tw0へ到達することを検知できない異常の発生を判定していた。この事に代えて、特定故障判定手段105は、冷却水温センサ41hにより冷却水温Twが所定温度Twthへの到達が検知されることを阻害する異常(冷却水温Twがそもそも所定温度Twthに到達できなくなる若しくはその到達を遅延させるような異常、又は、冷却水温Twが所定温度Twthに到達したとしてもこれを検知できなくなる若しくはその検知を遅延させるような異常)の発生を判定してもよい。
ここで、所定温度Twthは、基本的には、一時停止が実質的に許可される水温であるが、必ずしも、前述の基準温度Tw0と一致するとは、限らない。例えば、前提条件(9)「VVTが作動可能状態であること」の判定条件の中に「VVTを作動可能な水温に達していること」という条件が含まれている場合は、基準温度Tw0を決める際に、VVTの作動可能温度を考慮する必要がなくなる。この結果、TwthとTw0は、異なる値となりうる。また、所定温度Twthは、前述の「一時停止が実質的に許可される水温」以外の値に設定することもありうる。一時停止の許可に関連するデバイスのうち一部を特定異常判定の対象外とできる場合(例えば、他の診断で異常検出可能で、かつ、一般異常と特定異常の判別が不要なデバイスが含まれている場合)は、そのデバイスを考慮に入れず、Twthを定めることがあるため、結果、「一時停止が実質的に許可される水温」と異なる値になる場合もある。
図3に記載のステップ330について、エンジン10の始動後所定時間経過しているか否かが判定されることとしていた。これに代えて、冷却水温推定値が所定値(前記基準温度Tw0+推定誤差分のマージン)以上か否かを判定するようにしてもよい。
図4は、車両診断システム100の一変形例の概略構成を示す機能ブロック図である。かかる変形例の車両診断システム100は、前提条件判定手段101と、実施条件判定手段102と、一時停止要求手段103と、一時停止/再始動手段104と、故障判定手段107と、特定故障モード判定手段108と、を備えている。
故障判定手段107は、上述の一般故障と特定故障とを含む全種類の故障(異常)の発生を判定するようになっている。特定故障モード判定手段108は、故障判定手段107によって何らかの故障判定がなされた場合に、当該故障が特定故障であるか否かを判定するようになっている。かかる構成によっても、上述の実施形態と同様の作用・効果が奏される。
図5は、図4に示されている本変形例の構成による動作の一具体例を示すフローチャートである。図5に示されている手順は、始動スイッチ42によるハイブリッドシステム起動後に、所定時間毎に実行される。この手順が開始されると、まず、ステップ501にて、冷却水温センサ41hの検出値TwがTminよりも低いか否かが判定される。ここで、この「Tmin」は、冷却水温センサ41hの検出値Twにおける最低値であって、エンジンECU51又はハイブリッドECU52に設けられた書き換え可能な記憶エリア(例えばEEPROM(登録商標)等)に最新値が順次記憶(格納)されるものとする。
冷却水温センサ41hの検出値TwがTminよりも低い場合(ステップ501=YES)、処理がステップ502に進行し、Tminの値が、今回の冷却水温センサ41hの検出値Twによって書き換えられる。その後、処理がステップ503に進行する。一方、冷却水温センサ41hの検出値TwがTmin以上である場合(ステップ501=NO)、ステップ502の処理がスキップされ、処理がステップ503に進行する。
ステップ503においては、冷却水温センサ41hの検出値TwがTmaxよりも高いか否かが判定される。ここで、この「Tmax」は、冷却水温センサ41hの検出値Twにおける最高値であって、Tminと同様に、上述の書き換え可能な記憶エリアに最新値が順次記憶(格納)されるものとする。
冷却水温センサ41hの検出値TwがTmaxよりも高い場合(ステップ503=YES)、処理がステップ504に進行し、Tmaxの値が、今回の冷却水温センサ41hの検出値Twによって書き換えられる。その後、処理がステップ505に進行する。一方、冷却水温センサ41hの検出値TwがTmax以下である場合(ステップ503=NO)、ステップ504の処理がスキップされ、処理がステップ505に進行する。
ステップ505においては、エンジン10の始動後所定時間経過しているか否かが判定される。エンジン10の始動後所定時間経過していない場合(ステップ505=NO)、ステップ506以降の処理がスキップされ、本手順が一旦終了する。一方、エンジン10の始動後所定時間経過している場合(ステップ505=YES)、処理がステップ506に進行する。
ステップ506においては、TmaxとTminとの差が所定値ΔT0よりも小さいか否かが判定される。TmaxとTminとの差が所定値ΔT0以上である場合(ステップ506=NO)、水温制御系が正常に機能していることが想定されるため、ステップ507以降の処理がスキップされ、本手順が一旦終了する。一方、TmaxとTminとの差が所定値ΔT0よりも小さい場合(ステップ506=YES)、水温制御系に何らかの異常(故障)が生じていることが想定されるため、処理がステップ507以降に進行する。具体的には、ステップ507においては、水温制御系における何らかの故障(上述の一般故障と特定故障とを含む)の発生が判定される。
上述のステップ507の処理の後、処理がステップ508に進行する。ステップ508においては、現在のTmaxの値が所定の基準温度(一時停止許可温度)Tw0よりも低いか否かが判定される。TmaxがTw0よりも低い場合(ステップ508=YES)、処理がステップ509に進行し、上述のステップ395(図3参照)と同様に、水温制御系についての特定故障の発生が判定される。その後、本手順が一旦終了する。一方、TmaxがTw0以上である場合(ステップ508=NO)、ステップ509の処理がスキップされ、本手順が一旦終了する。
本発明は、上述した実施形態の具体的な動作例に限定されない。例えば、上述の各条件において、不等号が“≧”であるものは、“>”に変更され得る(その逆も同様である)。同様に、“≦”は“<”に変更され得る(その逆も同様である)。また、冷却水温Twを用いた処理は、トランスミッション26の内部の作動油温(Tm)を用いた処理にほとんどそのまま置き換えられ得る。すなわち、上述のTw及びTw0を用いた処理は、ほとんどそのまま、Tm及びTm0を用いた処理に置き換えられ得る。これにより、トランスミッション26の作動油温Tmの基準温度Tm0への到達が検知されることを阻害する異常(作動油温Tmの基準温度Tm0への到達そのものを阻害する若しくは遅延させるような異常、又は作動油温Tmが基準温度Tm0に到達してもその検知を阻害する若しくは遅延させるような異常)としての特定異常が判定可能となる。
前提条件判定手段101における前提条件の判定に用いられるパラメータは、上記のものから適宜選択され得るし、上記以外のものも適宜追加され得る。また、上記の実施条件のうちの任意のものは、実施条件に代えて、前提条件として用いられ得る。実施条件判定手段102における実施条件の判定についても同様である。例えば、ブレーキ油圧Pbrに関する上記(v)の条件を、実施条件に代えて前提条件として用いた場合、上記の(i)〜(iv)の実施条件は、運転者や乗員による車両Vの操作状態(人為的操作状態)に対応するものとなる。これに対し、上記の(1)〜(8)及び(v)の前提条件は、運転者や乗員による車両Vの操作状態に起因して発生する、車両Vの運転状態(動作状態)に対応するものとなる。
上述のように、特定異常の判定は、冷却水温Tw以外のパラメータを用いて行うことも可能である。例えば、特定異常の判定は、排気管21に介装された各種センサ(例えばA/Fセンサ41d)の温度を用いて行うことが可能である。すなわち、上述の前提条件には、A/Fセンサ41dが活性状態であること、すなわち、A/Fセンサ41dの素子温度Ts(以下単に「素子温度Ts」と称する)が所定の基準温度Ts0以上であること、が含まれている(Ts≧Ts0)。この理由は、エンジン10の一時停止により素子温度Tsが上昇できず未だセンサ活性に達しないという状態が、長時間継続することによる、エミッション悪化を抑制するためである。
周知のように、冷却水温Twと同様に、素子温度Tsもまた、始動後所定時間経過すれば所定の基準温度Ts0に達するはずである。しかしながら、何らかの異常(故障)により、始動後所定時間経過しても、素子温度Tsの基準温度Ts0への到達が検知されず、これによりA/Fセンサ41dの素子活性が判定されない場合、他の前提条件及び全ての実施条件が成立したにもかかわらずエンジン10の一時停止が行えなくなることがあり得る。そこで、A/Fセンサ41dについても、上述のような特定故障(素子温度Tsの基準温度Ts0への到達そのものを阻害する若しくは遅延させるような異常、又は素子温度Tsが基準温度Ts0に到達してもその検知を阻害する若しくは遅延させるような異常)の発生を判定する必要がある。
図6は、かかる変形例の動作に対応するフローチャートである。図6に示されている手順は、始動スイッチ42によるハイブリッドシステム起動後に、所定時間毎に実行される。この手順が開始されると、まず、ステップ610にて、A/Fセンサ41dの出力値が正常域内であるか否かが判定される。
A/Fセンサ41dの出力値が正常域外である場合(ステップ610=NO)、処理がステップ620に進行し、この状態が所定時間継続しているか否かが判定される。A/Fセンサ41dの出力値が正常域外である状態が所定時間継続している場合(ステップ620=YES)、処理がステップ625に進行し、A/Fセンサ41dについての一般故障の発生が判定された後、処理がステップ630に進行する。
一方、A/Fセンサ41dの出力値が正常域外であっても、この状態が所定時間継続していない場合(ステップ620=NO)、ステップ625の処理がスキップされ、処理がステップ630に進行する。また、A/Fセンサ41dの出力値が正常域内である場合(ステップ610=YES)、ステップ620及び625の処理はスキップされ、処理がステップ630に進行する。
ステップ630においては、A/Fセンサ41dに設けられているヒータ(図示せず)への供給電力の積算値Phが所定値Ph0を超えているか否かが判定される。Ph≦Ph0である場合(ステップ630=NO)、ステップ680以降の処理がスキップされ、本手順が一旦終了する。一方、Ph>Ph0である場合(ステップ630=YES)、処理がステップ680に進行する。
ステップ680においては、素子温度Tsが所定の基準温度Ts0以上であるか否かが判定される。ここで、本具体例においては、素子温度Tsは、検出値(測定値)である。すなわち、上述のヒータの抵抗値(これはヒータの端子間電圧及びヒータへの供給電流の検出値から算出される)と素子温度Tsとの間の略線形の関係から、素子温度Tsの検出値が取得される。このような素子温度Tsの検出手法については周知であるので、その詳細な内容説明は省略する(必要であれば米国特許第6,332,459号明細書等を参考のこと)。
素子温度Tsが基準温度Ts0以上である場合(ステップ680=YES)、本手順が一旦終了する。一方、素子温度Tsが基準温度Ts0に到達していない場合(ステップ680=NO)、処理がステップ690に進行する。
ステップ690においては、ヒータ供給電力積算値Phが所定値Ph0を超えている(ステップ630=YES)にもかかわらず素子温度Tsが基準温度Ts0に到達していない(ステップ680=NO)、という状態が、所定時間継続しているか否かが判定される。この状態が所定時間継続している場合(ステップ690=YES)、処理がステップ695に進行し、A/Fセンサ41dについての特定故障の発生が判定された後、本手順が一旦終了する。上述の状態が未だ所定時間継続してはいない場合(ステップ690=NO)、ステップ695の処理がスキップされ、本手順が一旦終了する。
なお、素子温度Tsの検出(測定)手法は、上述のような態様に限定されない。すなわち、例えば、素子温度Tsは、周知のように、素子の電気特性(アドミッタンス、インピーダンス等)の温度特性を用いて検出され得る。あるいは、素子温度Tsは、周知のように、排気温度Tex、触媒コンバータ23の温度Tc、吸気温度Tin、等の他のパラメータと、所定の計算式等と、を用いてオンボード推定され得る。
図7は、図6の手順の一部を変容したものである。具体的には、図7の手順は、素子温度Tsの検出値とオンボード推定値とを用いて、特定故障の判定を行うものである。図7の手順において、ステップ710、720及び725の処理は、それぞれ、図6の手順におけるステップ610、620及び625の処理と同一である。よって、以下、ステップ730以降の処理について説明する。
ステップ730においては、素子温度Tsのオンボード推定値が基準温度Ts0以上であるか否かが判定される。素子温度Tsのオンボード推定値が基準温度Ts0未満である場合(ステップ730=NO)、ステップ780以降の処理がスキップされ、本手順が一旦終了する。一方、素子温度Tsのオンボード推定値が基準温度Ts0以上である場合(ステップ730=YES)、処理がステップ780に進行する。
ステップ780においては、素子温度Tsの検出値が所定の基準温度Ts0以上であるか否かが判定される。素子温度Tsの検出が基準温度Ts0以上である場合(ステップ780=YES)、本手順が一旦終了する。一方、素子温度Tsの検出値が基準温度Ts0に到達していない場合(ステップ780=NO)、処理がステップ790に進行する。ステップ790及びステップ795の処理は、それぞれ、図6の手順におけるステップ690及びステップ695の処理と同様である。
なお、A/Fセンサ41dの素子温度に代えて、図示しない他の排気センサ(NOxセンサ、PMセンサ、等)の素子温度が用いられてもよい。また、A/Fセンサ41dに加えて、排気管21における触媒コンバータ23よりも下流側にも、別の酸素濃度センサ(これは「O2センサ」と称される)が設けられることがある。この場合、当該別のセンサにおける素子温度が用いられてもよい。
エンジン10の再始動電源系(高圧バッテリ35及びこれに接続された各種センサ)が正常であることは、上述の一時停止機能を良好に実施するためには重要である。具体的には、上述の車両Vの構成においては、高圧バッテリ35の充電残量(SOC)が少ないと、エンジン10を一時停止しても再始動ができなくなる可能性がある。このため、上述の前提条件には、充電残量が所定の基準残量以上であることが含まれている(SOC≧SOC0)。
しかしながら、上述の再始動電源系における何らかの異常(故障)により、充電残量が所定の基準残量以上に達することが阻害あるいは遅延されたり、充電残量が所定の基準残量以上に達したとしてもこれを検知することが阻害あるいは遅延されたりした場合、エンジン10の一時停止ができなくなったり、一時停止が可能となるタイミングが遅延したりする可能性がある。そこで、上述の再始動電源系における特定故障の判定に関する具体例を、以下に示す(図8〜図13参照)。
図8に示されている手順は、始動スイッチ42によるハイブリッドシステム起動後に、所定時間毎に実行される。この手順が開始されると、まず、ステップ810にて、電圧センサ41vの検出値Vbが正常域内であるか否かが判定される。
電圧センサ41vの検出値Vbが正常域外である場合(ステップ810=NO)、処理がステップ820に進行し、この状態が所定時間継続しているか否かが判定される。電圧センサ41vの検出値Vbが正常域外である状態が所定時間継続している場合(ステップ820=YES)、処理がステップ825に進行し、再始動電源系についての一般故障の発生が判定された後、処理がステップ830に進行する。
一方、電圧センサ41vの検出値Vbが正常域外であっても、この状態が所定時間継続していない場合(ステップ820=NO)、ステップ825の処理がスキップされ、処理がステップ830に進行する。また、電圧センサ41vの検出値Vbが正常域内である場合(ステップ810=YES)、ステップ820及び825の処理はスキップされ、処理がステップ830に進行する。
ステップ830においては、エンジン10の始動後の(すなわち今回の「トリップ」での)高圧バッテリ35への入力電力の積算値Pinが、所定値Pin0よりも大きいか否かが判定される。Pin≦Pin0である場合(ステップ830=NO)、ステップ880以降の処理がスキップされ、本手順が一旦終了する。一方、Pin>Pin0である場合(ステップ830=YES)、処理がステップ880に進行する。
ステップ880においては、高圧バッテリ35の充電残量の検出値SOCが基準残量SOC0以上であるか否かが判定される。充電残量の検出値SOCがSOC0以上である場合(ステップ880=YES)、本手順が一旦終了する。一方、充電残量の検出値SOCがSOC0に到達していない場合(ステップ880=NO)、処理がステップ890に進行する。
ステップ890においては、今トリップにおける高圧バッテリ35への入力電力の積算値Pinが所定値Pin0よりも大きい(ステップ830=YES)にもかかわらず充電残量の検出値SOCが基準残量SOC0に到達していない(ステップ880=NO)、という状態が、所定時間継続しているか否かが判定される。この状態が所定時間継続している場合(ステップ890=YES)、処理がステップ895に進行し、再始動電源系についての特定故障(充電残量の検出値SOCの基準残量SOC0への到達そのものを阻害する若しくは遅延させるような異常、又は充電残量の検出値SOCが基準残量SOC0に到達してもその検知を阻害する若しくは遅延させるような異常)の発生が判定された後、本手順が一旦終了する。上述の状態が未だ所定時間継続してはいない場合(ステップ890=NO)、ステップ895の処理がスキップされ、本手順が一旦終了する。
図9は、図8の手順の一部を変容したものである。すなわち、図8における電力積算値Pinと所定値Pin0との比較判定(ステップ830)に代えて、高圧バッテリ35の充電がエンジン10の始動後所定時間以上行われたか否かの判定が行われる(ステップ930)。それ以外は、図9の各ステップ910,920,925,980,990,及び995の処理は、それぞれ、図8の各ステップ810,820,825,880,890,及び895の処理と同一である。かかる図9の手順によっても、図8の手順と同様の効果が得られる。
図10も、図8の手順の一部を変容したものである。すなわち、図8における電力積算値Pinと所定値Pin0との比較判定(ステップ830)に代えて、エンジン10の始動後所定時間経過したか(すなわち始動後所定時間以上クランク軸25が回転したか)否かの判定が行われる(ステップ1030)。それ以外は、図1の各ステップ1010,1020,1025,1080,1090,及び1095の処理は、それぞれ、図8の各ステップ810,820,825,880,890,及び895の処理と同一である。かかる図10の手順によっても、図8及び図9の手順と同様の効果が得られる。
図11〜図13は、図8〜図10の手順の一部を変容したものである。図11〜図13の手順によっても、図8〜図10の手順と同様の効果が得られる。まず、図11に示されている手順は、始動スイッチ42によるハイブリッドシステム起動後に、所定時間毎に実行される。この手順が開始されると、まず、ステップ1110にて、電圧センサ41vの検出値Vbが正常域内であるか否かが判定される。
電圧センサ41vの検出値Vbが正常域外である場合(ステップ1110=NO)、処理がステップ1120に進行し、この状態が所定時間継続しているか否かが判定される。電圧センサ41vの検出値Vbが正常域外である状態が所定時間継続している場合(ステップ1120=YES)、処理がステップ1125に進行し、再始動電源系についての一般故障の発生が判定された後、処理がステップ1150に進行する。
一方、電圧センサ41vの検出値Vbが正常域外であっても、この状態が所定時間継続していない場合(ステップ1120=NO)、ステップ1125の処理がスキップされ、処理がステップ1150に進行する。また、電圧センサ41vの検出値Vbが正常域内である場合(ステップ1110=YES)、ステップ1120及び1125の処理はスキップされ、処理がステップ1150に進行する。
ステップ1150においては、エンジン10が現在クランキング中であるか否かが判定される。エンジン10が現在クランキング中ではない場合(ステップ1150=NO)、ステップ1160以降の処理がスキップされ、本手順が一旦終了する。一方、エンジン10が現在クランキング中である場合(ステップ1150=YES)、処理がステップ1160に進行する。
ステップ1160においては、電圧センサ41vの検出値Vbが、特定故障判定パラメータVb1として設定される。その後、処理がステップ1170に進行する。
ステップ1170においては、直前のエンジン10の停止までの高圧バッテリ35への入力電力の積算値Pinが、所定値Pin0よりも大きいか否かが判定される。Pin≦Pin0である場合(ステップ1170=NO)、ステップ1180以降の処理がスキップされ、本手順が一旦終了する。一方、Pin>Pin0である場合(ステップ1170=YES)、処理がステップ1180に進行する。
ステップ1180においては、特定故障判定パラメータVb1(実際の高圧バッテリ35の端子間電圧と推定される値)が所定の基準電圧Vb0以上であるか否かが判定される。ここで、基準電圧Vb0は、上述のように、エンジン10の一時停止の前提条件をなすものであり、再始動のために要求される高圧バッテリ35の端子間電圧の最低値に対応するものである。
Vb1≧Vb0である場合(ステップ1180=YES)、本手順が一旦終了する。一方、Vb1がVb0に到達していない場合(ステップ1180=NO)、処理がステップ1190に進行する。
ステップ1190においては、クランキング中であって(ステップ1150=YES)、直前のエンジン10の停止までの入力電力積算値Pinが所定値Pin0よりも大きい(ステップ1170=YES)にもかかわらず特定故障判定パラメータVb1が所定の基準電圧Vb0に到達していない(ステップ1180=NO)、という状態が、所定時間継続しているか否かが判定される。この状態が所定時間継続している場合(ステップ1190=YES)、処理がステップ1195に進行し、再始動電源系についての特定故障(高圧バッテリ35の端子間電圧Vbの基準電圧Vb0への到達そのものを阻害する若しくは遅延させるような異常、又は端子間電圧Vbが基準電圧Vb0に到達してもその検知を阻害する若しくは遅延させるような異常)の発生が判定された後、本手順が一旦終了する。上述の状態が未だ所定時間継続してはいない場合(ステップ1190=NO)、ステップ1195の処理がスキップされ、本手順が一旦終了する。
図12は、図11の手順の一部を変容したものである。すなわち、図11における、直前のエンジン10の停止までの高圧バッテリ35への入力電力の積算値Pinが所定値Pin0よりも大きいか否かの判定(ステップ1170)に代えて、直前のエンジン10の停止までに所定時間以上高圧バッテリ35の充電が行われたか否かの判定が行われる(ステップ1270)。それ以外は、図12の各ステップ1210,1220,1225,1250,1260,1280,1290,及び1295の処理は、それぞれ、図11の各ステップ1110,1120,1125,1150,1160,1180,1190,及び1195の処理と同一である。
図13も、図11の手順の一部を変容したものである。すなわち、図11における、直前のエンジン10の停止までの高圧バッテリ35への入力電力の積算値Pinが所定値Pin0よりも大きいか否かの判定(ステップ1170)に代えて、直前のエンジン10の停止までに所定時間以上所定時間以上エンジン10(クランク軸25)が回転したか否かの判定が行われる(ステップ1370)。それ以外は、図13の各ステップ1310,1320,1325,1350,1360,1380,1390,及び1395の処理は、それぞれ、図11の各ステップ1110,1120,1125,1150,1160,1180,1190,及び1195の処理と同一である。
ブレーキマスターバック内に、制動に十分な負圧が確保されていない場合は、エンジン10を運転し、吸気管内を負圧状態にすることにより、マスターバック内から空気を吸出し、内部に負圧を確保する必要がある。そのため、上述の前提条件の中には、ブレーキ負圧センサ値が基準量以上(マスターバック内圧力と大気圧との差が基準量以上)であることが含まれる。
しかしながら、マスターバック等の異常により、ブレーキ負圧Vbrが基準量に達することが阻害あるいは遅延されたり、ブレーキ負圧Vbrが基準値Vbr0に達したとしても、ブレーキ負圧センサの異常により、これを検知することが阻害あるいは遅延されたりした場合、エンジン10の一時停止ができなくなったり、一時停止が可能となるタイミングが遅延したりする可能性がある。
ブレーキ負圧センサの特定故障は、上述の図10と同様の手順で判定ことができる。この場合、S1010に該当するステップでは、ブレーキ負圧センサ値が正常範囲内であるか否かが判定される。また、ステップ1080に相当するステップでは、ブレーキ負圧Vbrが基準値Vbr0以上であるか否かが判定される。それ以外の処理は、図10の各ステップ、S1020、S1025、S1030、S1090、及びS1095の処理に準じて実行する。
以上、エンジン10の一時停止を実施する条件のうち、前提条件の成立又は成立判定を阻害する又は遅延させるような異常を検出するための実施例について述べたが、実施条件に対して、同様の検出を行ってもよい。
図14は、実施条件の1つである「ブレーキペダル操作量が所定量以上」が、ブレーキセンサ41rの異常により成立しなくなったのを検出するようにした実施例である。
図14に示されている手順は、始動スイッチ42によるハイブリッドシステム起動後に、所定時間毎に実行される。ここでは、シフトレバーがD(ドライブ)レンジに操作されている状態を想定している。この手順が開始されると、ステップ1410によりブレーキセンサ41rによりブレーキペダル踏み量Abの出力値が正常域内であるか否かが判定される。
ブレーキセンサ41rの出力値が正常域外である場合(ステップ1410=NO)、処理がステップ1420に進行し、この状態が所定時間継続しているか否かが判定される。ブレーキセンサ41rの出力値が正常域外である状態が所定時間継続している場合(ステップ1420=YES)、処理がステップ1425に進行し、ブレーキセンサ41rについての一般故障の発生が判定された後、処理がステップ1450に進行する。
一方、ブレーキセンサ41rの出力値が正常域外であっても、この状態が所定時間継続していない場合(ステップ1420=NO)、ステップ1425の処理がスキップされ、処理がステップ1450に進行する。また、ブレーキセンサ41rの出力値が正常域内である場合(ステップ1410=YES)、ステップ1420及び1425の処理はスキップされ、処理がステップ1450に進行する。
ステップ1450においては、車両Vの走行速度veが所定値ve0よりも小さいか否かが判定される。ve≧ve0である場合には(ステップ1450=NO)、ステップ1460以降の処理がスキップされ、本手順が一旦終了する。所定値ve0は、車両Vが停止していることを判定することのできる走行速度である。一方、ve<ve0である場合には(ステップ1450=YES)、処理がステップ1460に進行する。
ステップ1460においては、ブレーキペダル踏み量Abが所定値Ab0以上であるか否かが判定される。ブレーキペダル踏み量AbがAb0以上である場合(ステップ1460=YES)、ステップ1470以降の処理がスキップされ、本手順が一旦終了する。一方、ブレーキペダル踏み量AbがAb0に到達していない場合(ステップ1460=NO)、処理がステップ1470に進行する。
ステップ1470においては、車両Vの走行速度veが所定値ve0よりも小さいにもかかわらず(ステップ1450=YES)、すなわち車両Vが停止しているにもかかわらず、ブレーキペダル踏み量Abが所定値Ab0よりも小さい(ステップ1460=NO)という状態が、所定時間継続しているか否かが判定される。この状態が所定時間継続している場合(ステップ1470=YES)、処理がステップ1475に進行し、ブレーキセンサ41rについての特定故障の発生が判定された後、本手順が一旦終了する。上述の状態が未だ所定時間継続してはいない場合(ステップ1470=NO)、ステップ1475の処理がスキップされ、本手順が一旦終了する。
この変形例によれば、ブレーキペダル踏み量Abが所定値Ab0に到達できない故障でも、ブレーキセンサ41rが所定値Ab0未満で固着してしまうという故障でも、ブレーキセンサ41rの特定故障を判定することが可能となる。すなわち、何らかの異常により実施条件の成立又は成立判定の阻害や、実施条件の成立又は成立判定の遅延が生じる場合には、特定故障と判定することが可能となる。
図14の手順の一部を変容した別例として、ブレーキペダル踏み量Abと所定値Ab0との比較判定に代えて、ブレーキ油圧Pbrと所定値Pbr0との比較判定を実施するようにしてもよい。このとき、S1410に該当するステップはブレーキ圧センサ41nによりブレーキ油圧Pbrの出力値が正常域内であるか否かが判定される。また、ステップ1460に該当するステップは、ブレーキ油圧Pbrが所定値Pbr0以上であるか否かが判定される。それ以外の処理は、それぞれ、図14の各ステップ1420,1425,1450,1470,及び1475の処理に準じて実行する。このような手順によっても、特定故障の判定を実施することが可能となる。
図14の手順の一部を変容した別例として、ブレーキペダル踏み量Abと所定値Ab0との比較判定に代えて、走行速度veと所定値ve0との比較判定を実施するようにしてもよい。この場合、図14のS1410に該当するステップは車速センサ41mによる出力値が正常域内であるか否かが判定される。また、ステップ1450に該当するステップは、シフトポジションセンサ41pの出力値に基づきシフトレバーがP(パーキング)レンジに操作されているか否か、ブレーキセンサ41rの出力値に基づきブレーキペダル踏み込み量Abが所定値Ab0以上であるか否か等を判定する。ステップ1460に該当するステップは、走行速度veが所定値ve0以下であるか否かが判定される。それ以外の処理は、それぞれ、図14の各ステップ1420,1425,1470,及び1475の処理に準じて実行する。このような手順によっても、正常に特定故障の判定を実施することが可能となる。
図1の構成の別例として、アクセル開度センサ41s、ブレーキセンサ41r及びスロットル開度センサ41cがそれぞれ制御用と診断用とで同種のセンサを二つ備えている場合に、図14の手順の一部を変容した別例を挙げる。例えば、ブレーキペダル踏み量Abと所定値Ab0との比較判定に代えて、ブレーキセンサ41rの制御用センサと診断用センサとの出力の比較判定を実施するようにしてもよい。この場合、図14のS1410に該当するステップは、二つあるブレーキセンサ41rによる出力値がどちらも正常域内であるか否かが判定される。また、ステップ1450に該当するステップは本変形例では必要ない為削除される。ステップ1460に該当するステップは、診断用センサが所定値AB1以上を示しているにも関わらず、制御用センサが所定値AB0未満を示している状態であるかが判定される。(ここで、AB1とAB0は、基本的には等しい値であるが、センサの公差等による検出値のばらつき分だけ離れた値としてもよい。)それ以外の処理は、それぞれ、図14の各ステップ1420,1425,1470,及び1475の処理に準じて実行する。ブレーキセンサ41r以外のセンサでも、アクセル開度センサ41s及びスロットル開度センサ41cについて、同様の判定を行うことで特定故障と判定する。
上記各実施形態のように、一時停止要求手段103と一時停止/再始動手段104とが別々のユニットに設けられており、一時停止/再始動要求をCAN(Controller Area Network)によって伝える構成となっている場合、CAN通信の異常(一時停止要求の入ったフレームを受信できない場合や、フレームのチェックサムに異常がある場合等)が生じると、一時停止要求が一時停止/再始動手段104に伝わらず、正常にエンジン10を一時停止することができない。よって、このような状態が所定時間続いた場合に、一時停止要求手段103の特定故障と判定する。
一時停止に影響するこの他のCAN信号(前提条件判定手段や、実施条件判定手段に入力される信号等)についても、同様の判定を行ってもよい。例えば、実施条件判定手段に入力される車速信号を、TCM(Transmission Control Module)や、BCM(Brake Control Module)からCAN経由で受信する構成になっている場合は、車速信号に対して同様の判定を行う。
その他、特段に言及されていない変形例についても、本発明の本質的部分を変更しない範囲内において、本発明の技術的範囲に含まれることは当然である。また、本発明の課題を解決するための手段を構成する各要素における、作用・機能的に表現されている要素は、上述の実施形態や変形例にて開示されている具体的構成及びその均等物の他、当該作用・機能を実現可能ないかなる構成をも含む。
10…エンジン、28…モータ、35…高圧バッテリ、51…エンジンECU、52…ハイブリッドECU、100…車両診断システム、101…前提条件判定手段、102…実施条件判定手段、103…一時停止要求手段、104…再始動手段、105…特定故障判定手段、106…一般故障判定手段、107…故障判定手段、108…特定故障モード判定手段、C…外部機器、V…車両。

Claims (11)

  1. エンジン(10)を搭載しており所定条件が成立した場合に前記エンジンを一時停止させるエンジン一時停止機能を備えた車両(V)の、診断を行なうように構成された、車両診断システム(100)であって、
    前記車両の異常の発生を判定するように設けられた、異常判定部(105,106;107,108)を備え、
    前記異常判定部は、
    前記エンジン一時停止機能による温室効果ガス排出量低減効果が減殺される態様での前記車両の異常である特定異常の発生を判定するように設けられ、
    前記特定異常の発生を判定するように設けられた、特定異常判定部(105;108)と、
    前記特定異常の条件を満たさない前記車両の異常である一般異常の発生を判定するように設けられた、一般異常判定部(106;107)と、を備え、
    前記特定異常判定部により特定異常が発生したと判定された場合に、前記特定異常の発生を通知することを特徴とする、車両診断システム。
  2. 請求項に記載の、車両診断システムであって、
    前記特定異常は、前記エンジンの一時停止を実施するための前提条件の成立又は成立判定を阻害する又は遅延させるような異常であることを特徴とする、車両診断システム。
  3. 請求項に記載の、車両診断システムであって、
    前記特定異常は、前記エンジンの一時停止を実施すべき条件である実施条件の成立又は成立判定を阻害する又は遅延させるような異常であることを特徴とする、車両診断システム。
  4. 請求項2又は3に記載の、車両診断システムであって、
    前記特定異常は、前記エンジンの冷却水温の基準温度への到達を阻害する若しくは遅延させるような異常又は到達検知を阻害する若しくは遅延させるような異常であることを特徴とする、車両診断システム。
  5. 請求項2又は3に記載の、車両診断システムであって、
    前記特定異常は、前記エンジンの排気通路(21)に介装されたセンサの温度の基準温度への到達を阻害する若しくは遅延させるような異常又は到達検知を阻害する若しくは遅延させるような異常であることを特徴とする、車両診断システム。
  6. 請求項2又は3に記載の、車両診断システムであって、
    前記特定異常は、前記車両に搭載されたバッテリ(35)の充電残量の基準残量への到達を阻害する若しくは遅延させるような異常又は到達検知を阻害する若しくは遅延させるような異常であることを特徴とする、車両診断システム。
  7. 請求項2又は3に記載の、車両診断システムであって、
    前記特定異常は、前記車両に搭載されたバッテリ(35)の端子間電圧の基準電圧への到達を阻害する若しくは遅延させるような異常又は到達検知を阻害する若しくは遅延させるような異常であることを特徴とする、車両診断システム。
  8. 請求項2又は3に記載の、車両診断システムであって、
    前記特定異常は、前記車両に搭載されたトランスミッション(26)の油温の基準温度への到達を阻害する若しくは遅延させるような異常又は到達検知を阻害する若しくは遅延させるような異常であることを特徴とする、車両診断システム。
  9. エンジン(10)を搭載しており所定条件が成立した場合に前記エンジンを一時停止させるエンジン一時停止機能を備えた車両(V)の、診断を行なう、車両診断方法であって、
    前記車両の異常の発生を判定する、異常判定ステップ(S325,S395)を含み、
    前記異常判定ステップは、前記エンジン一時停止機能による温室効果ガス排出量低減効果が減殺される態様での前記車両の異常である特定異常の発生を判定し、
    前記特定異常の発生を判定するように設けられた、特定異常判定ステップ(S395)と、
    前記特定異常とは異なる前記車両の異常である一般異常の発生を判定するように設けられた、一般異常判定ステップ(S325)と、を含み、
    前記特定異常判定ステップにより特定異常が発生したと判定された場合に、前記特定異常の発生を通知することを特徴とする、車両診断方法。
  10. 請求項に記載の、車両診断方法であって、
    前記特定異常は、前記エンジンの一時停止を実施するための前提条件の成立又は成立判定を阻害する又は遅延させるような異常であることを特徴とする、車両診断方法。
  11. 請求項に記載の、車両診断システムであって、
    前記特定異常は、前記エンジンの一時停止を実施すべき条件である実施条件の成立又は成立判定を阻害する又は遅延させるような異常であることを特徴とする、車両診断方法。
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