以下、添付図面を参照しつつ、本発明の実施形態について説明する。
(第1実施形態)
図1は、本発明の第1実施形態における燃料電池用の電力調整システム100(以下、単に「電力調整システム100」という)の全体構成を示す図である。本発明の電力調整システム100は、強電バッテリを備え、燃料電池を駆動源とする車両に用いられるものである。この電力調整システム100は、図1に示すように、例えば、駆動モータ5で車両を駆動する電気自動車(以下、単に「車両」という)に搭載される。なお、この電力調整システム100は、燃料電池を駆動源とするものであれば、燃料電池車両(燃料電池を利用した電気自動車)以外の装置等の負荷にも適用することができる。
本実施形態の電力調整システム100は、図1に示すように、燃料電池スタック1と、強電バッテリ3(以下、単に「バッテリ3」という)と、DC/DCコンバータ(バッテリ用コンバータ)2とを備える。また、電力調整システム100は、燃料電池スタック1を含む電力調整システム100全体を制御するコントローラ8と、負荷としての駆動モータ5と、燃料電池スタック1及びバッテリ3から入力される直流電力を駆動モータ5への交流電力にスイッチング制御するインバータ4とを備える。
さらに、本実施形態の電力調整システム100は、燃料電池スタック1を構成する燃料電池の内部インピーダンスを測定するためのインピーダンス測定装置200と、本発明の交流電圧シャント装置を構成する電圧シャント部10とを備える。
電圧シャント部10は、インピーダンス測定装置200及び燃料電池スタック1の正極1Bを結ぶ正極側強電ライン10Bと、インピーダンス測定装置200及び燃料電池スタック1の負極1Aを結ぶ負極側強電ライン10Aとの間に設けられる。電圧シャント部10の具体的な構成については後述する。
燃料電池スタック1の正極1B側の電力線には、燃料電池スタック1の出力電流を検出する電流センサ6が設けられる。また、燃料電池スタック1の出力端子間には、燃料電池スタック1の出力電圧を検出する電圧センサ7が設けられる。
燃料電池スタック1は、インバータ4を介して駆動モータ5に接続される。燃料電池スタック1は、図示しないカソードガス給排装置及びアノードガス給排装置からカソードガス(酸化剤ガス)及びアノードガス(燃料ガス)の供給を受けて、駆動モータ5などの電気負荷に応じて発電する積層電池である。燃料電池スタック1には、例えば数百枚の燃料電池が積層されている。
燃料電池スタック1には、アノードガスの給排気通路やカソードガスの給排気通路、各通路に設けられる調圧弁、冷却水循環通路や冷却水ポンプ、ラジエータ、燃料電池スタック1の冷却装置などの多くの装置が接続されている。しかしながら、これらは本発明の技術的特徴とは関係性が低いので、それらの図示を省略している。
駆動モータ5は、本実施形態の電力調整システム100が搭載される車両を駆動するものである。インバータ4は、燃料電池スタック1やバッテリ3から供給される直流電力を交流電力に変換し、変換した交流電力を駆動モータ5に供給するものである。駆動モータ5は、インバータ4により供給される交流電力により回転駆動し、その回転エネルギーを後段に供給する。なお、図示しないが、駆動モータ5は、ディファレンシャル及びシャフトを介して車両の駆動輪に連結されている。
車両の降坂時や減速時には、バッテリ3の充電状態に応じて、インバータ4及びDC/DCコンバータ2を介して、駆動モータ5の回生電力がバッテリ3に供給され、バッテリ3が充電される。また、車両の力行時には、燃料電池スタック1の発電電力やバッテリ3からの蓄電電力により、駆動モータ5が回転し、その回転エネルギーが図示しない車両の駆動輪に伝達される。
バッテリ3は、充放電可能な二次電池であり、例えば、300V(ボルト)のリチウムイオンバッテリである。バッテリ3は、図示しない補機類に接続され、補機類の電源を構成する。また、バッテリ3は、DC/DCコンバータ2を介して、インバータ4及び燃料電池スタック1に接続される。すなわち、バッテリ3は、電力調整システム100の負荷である駆動モータ5に対して、燃料電池スタック1と並列に接続される。
バッテリ3の出力端子間には、バッテリ3の出力電圧を検出するための図示しない電圧センサと、バッテリ3の出力電圧を平滑化するための図示しないコンデンサとが接続される。この電圧センサにより検出したバッテリ3の出力電圧データは、コントローラ8に出力される。
DC/DCコンバータ2は、バッテリ3とインバータ4(駆動モータ5)との間に設けられる。このDC/DCコンバータ2は、コントローラ8の制御により、バッテリ3の出力電圧を所定の要求電圧比でインバータ4の入力電圧に変換するものである。なお、DC/DCコンバータ2の出力電圧は、燃料電池スタック1の出力電圧とリンク(同期)させるように制御される。
DC/DCコンバータ2の出力端子間には、DC/DCコンバータ2の出力電圧を平滑化するための図示しないコンデンサと、DC/DCコンバータ2の出力電圧(インバータ4の入力電圧)を検出するための図示しない電圧センサとが接続される。この電圧センサにより検出したDC/DCコンバータ2の出力電圧データは、コントローラ8に出力される。
補機類は、主に燃料電池スタック1に付属される部品であり、上述のようなカソードガス給排装置及びアノードガス給排装置や、図示しない空気コンプレッサ、冷却ポンプなどを含む。なお、補機類の各種部品が弱電機器である場合、バッテリ3と対象となる補機類との間に図示しない降圧DC/DCコンバータを設ければよい。その代わりに、弱電機器用の図示しない弱電バッテリを設けてもよい。
コントローラ8は、図示しないが、中央演算装置(CPU)、読み出し専用メモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)及び入出力インタフェース(I/Oインタフェース)を備えたマイクロコンピュータで構成される。コントローラ8には、電流センサ6及び電圧センサ7により検出された燃料電池スタック1の出力電流値及び出力電圧値が入力される。
また、コントローラ8は、各センサ6、7から入力された燃料電池スタック1の出力電流値及び出力電圧値と、図示しない検出部から入力された駆動モータ5のモータ回転数及びモータトルクとに基づいて、DC/DCコンバータ2を作動させる。
さらに、コントローラ8は、インピーダンス測定装置200に対して、燃料電池スタック1のインピーダンス測定要求を出力する。それに応じて、インピーダンス測定装置200は、燃料電池スタック1の内部インピーダンスを測定し、その測定結果をコントローラ8に出力する。なお、本実施形態では、インピーダンス測定装置200は、燃料電池スタック1の内部インピーダンスを常時測定している。
コントローラ8は、DC/DCコンバータ2を制御するものである。コントローラ8は、インバータ4への入力電圧が駆動モータ5の要求電圧(DCリンク電圧)になるように、DC/DCコンバータ2による電圧比を制御する。
コントローラ8には、上述した電圧センサにより検出されたバッテリ3及びDC/DCコンバータ2の出力電圧値が入力される。コントローラ8は、DC/DCコンバータ2の電圧比(出力電圧/入力電圧)が要求電圧になるように、DC/DCコンバータ2の図示しないスイッチング素子をスイッチング制御する。
インピーダンス測定装置200は、燃料電池スタック1の内部インピーダンスを測定するための装置である。インピーダンス測定装置200は、燃料電池スタック1の正極1Bと中間点1Cの間と、燃料電池スタック1の中間点1Cと負極1Aの間とに交流電流を出力することにより、燃料電池スタック1の内部インピーダンスを測定する。インピーダンス測定装置200の構成については、図4を用いて後述する。
電流センサ6は、燃料電池スタック1の出力電流Icを検出する。検出した燃料電池スタック1の出力電流データは、コントローラ8に出力される。本実施形態では、コントローラ8は、この燃料電池スタック1の出力電流Icの値に基づいて、後述する電圧シャント処理を実行する。
電圧センサ7は、燃料電池スタック1の正極1B及び負極1Aの間の電圧、すなわち出力端子間の端子間電圧Vpnを検出する。検出した燃料電池スタック1の出力電圧データは、コントローラ8に出力される。本実施形態では、コントローラ8は、この端子間電圧Vpnの値に基づいても、後述する電圧シャント処理を実行することができる。
次に、インピーダンス測定装置200による燃料電池スタック1の内部インピーダンスの測定が不良となり得る状況について説明する。図2は、燃料電池スタックの端子間電圧と出力電流との関係を示すグラフである。
上述のように、燃料電池スタック1の出力端子間の端子間電圧及び出力電流をVpn及びIcとし、燃料電池スタック1により発生する発生電圧をVcとし、燃料電池スタック1の内部抵抗をRcとすると、以下の式が成立する。
Vpn=Vc−Ic×Rc (1)
本実施形態の電力調整システム100を搭載した車両は、インバータ4を介して、燃料電池スタック1により発電した電力と、バッテリ3に蓄電されている電力とを駆動モータ5に供給することにより走行する。加速時には、燃料電池スタック1内で反応させるアノードガス及びカソードガスを多く供給することにより、大きい出力電流Icを駆動モータ5に供給する。
一方、車両の減速時には、駆動モータ5に供給すべき電流が減るため、図2に示すように、端子間電圧Vpnは、発生電圧Vcに近づいていく。さらに、車両の制動時には、駆動モータ5の回生エネルギーにより発生した回生電流Irが燃料電池スタック1側に逆流することとなる。
回生電流Irにより燃料電池スタック1を充電するようになると、燃料電池スタック1の出力電流がマイナス極性となる。そのため、端子間電圧Vpnが燃料電池スタック1の発生電圧Vcを上回ってしまい、インバータ4や図示しない補機類を破損させるおそれがある。一般的に、インバータ4には、印加電圧が所定電圧以上にならないようにするための保護回路が内蔵されている。
しかしながら、インピーダンス測定装置200を有する場合には、減速あるいは制動時の負荷変動による燃料電池スタック1の端子間電圧Vpnの電圧変動の影響(交流ノイズ)により、インピーダンス測定装置200の測定不良が発生する場合がある。このような現象は、電圧変動の大きさがトリガとなっており、その電圧変動の大きさVe(交流電圧の振幅)は、以下に示すように、端子間電圧Vpnに比例する。
Ve=RL×(Vpn−Vr)/Rinv (2)
Ie=(Vpn−Vr)/Rinv (3)
ここで、RLは、燃料電池スタック1の出力端子間に接続された負荷、すなわち、駆動モータ5の合成抵抗であり、Rinvは、インバータ4の内部抵抗であり、Vrは、駆動モータ5の定格電圧である。これらの値は、概略一定とみなすことができる。また、Ieは、負荷変動によりシステム内に流れる電流である。
したがって、電圧変動を抑制するためには、直流電圧分を含む燃料電池スタック1の端子間電圧Vpnが所定の電圧変動抑制レベル以下であればよい。図2に示すように、電圧変動抑制レベルが設定されると、燃料電池スタック1の出力電流Icの電流閾値も決定される。そして、図2の斜線部で示す領域が、インピーダンス測定装置200のインピーダンス測定に影響を与える領域となる。すなわち、インピーダンス測定装置200が測定不良を引き起こす状況は、燃料電池スタック1からの出力電流Icが電流閾値(所定値)よりも少ない範囲となる。なお、電流閾値としては、本実施形態の電力調整システム100においては、10〜20A程度である。
そのため、少なくとも燃料電池スタック1の出力電流Icが電流閾値以下の場合には、本実施形態の電圧シャント部10の機能を有効にする(後述するシャントスイッチをONする)。これにより、負荷変動電流Ieが電圧シャント部10を流れることにより、正負極間の合成抵抗(すなわち、燃料電池スタックの内部抵抗Rcと、駆動モータ5の合成抵抗RLと、電圧シャント部10の内部抵抗とが並列に接続されている場合の合成抵抗)が引き下げられ、端子間電圧Vpnが低下する。したがって、従来問題となっていたインピーダンス測定装置200の測定不良を軽減あるいは回避することができる。
次に、本実施形態の電圧シャント部10の回路構成を説明する。図3は、第1実施形態における交流電圧シャント装置を構成する電圧シャント部10の回路図である。図3に示すように、本実施形態の電圧シャント部10は、シャントスイッチ11と、シャント抵抗12とを含む。
シャントスイッチ11は、コントローラ8によりその開閉動作を制御される。燃料電池スタック1の出力電流Icが図2に示す電流閾値以下になると、コントローラ8は、シャントスイッチ11を閉じる。これにより、電圧シャント部10に電流が流れることにより、上述のように、インピーダンス測定装置200の測定不良を軽減あるいは回避することができる。
このシャントスイッチ11としては、機械接点のリレー又はIGBTなどの電子スイッチングデバイスを用いた開閉スイッチを用いればよい。このような構成とすることにより、電圧シャント部10を容易に構成することができるとともに、交流電圧シャント装置の製造コストを低く抑えることができる。
シャント抵抗12は、抵抗素子から構成される。シャント抵抗12の抵抗値は、上述の電圧変動の大きさVeを所望の大きさ以下に抑えるために必要な大きさ(またはそれ以下)の値とすればよい。本実施形態では、シャント抵抗12の抵抗値は、例えば、1Ωである。
シャント抵抗12には、空冷又は液冷式の抵抗器を適用することもできる。また、本実施形態では、シャント抵抗12は、車室内の暖房用ヒータや、窓ガラスの曇り防止ヒータに通電させることにより、代用することも可能である。
本実施形態では、シャントスイッチ11とシャント抵抗12により電圧シャント部10を構成している。電流センサ6により検出した燃料電池スタック1の出力電流Icが所定の電流閾値以下になると、電圧シャント部10の機能を発揮するようにしたので、このような簡単な構成で電圧シャント部10を製造することができる。
次に、インピーダンス測定装置200の構成を説明する。図4は、図1に示す燃料電池スタック1の内部インピーダンスを測定するためのインピーダンス測定装置200の回路図である。実線により示される接続は、電気的な接続を示し、破線(ダッシュ線)で示される接続は、電気信号の接続を示す。
このインピーダンス測定装置200は、燃料電池スタック1の正極端子(カソード極側端子)1Bと、負極端子(アノード極側端子)1Aと、中途端子1Cとに接続されている。なお、中途端子1Cに接続された部分は図に示すようにアースされている。
図4に示すように、インピーダンス測定装置200は、正極側電圧センサ210と、負極側電圧センサ212と、正極側電源部214と、負極側電源部216と、交流調整部218と、インピーダンス演算部220と、を備えている。
正極側電圧センサ210は、正極端子1Bと中途端子1Cとに接続され、中途端子1Cに対する正極端子1Bの正極側交流電位差V1を測定し、交流調整部218及びインピーダンス演算部220にその測定結果を出力する。負極側電圧センサ212は、中途端子1Cと負極端子1Aとに接続され、中途端子1Cに対する負極端子1Aの負極側交流電位差V2を測定し、交流調整部218及びインピーダンス演算部220にその測定結果を出力する。
正極側電源部214は、例えば、図示しないオペアンプによる電圧電流変換回路によって実現され、正極端子1Bと中途端子1Cからなる閉回路に交流電流I1が流れるように、交流調整部218により制御される。また、負極側電源部216は、例えば、オペアンプ(OPアンプ)による電圧電流変換回路によって実現され、負極端子1Aと中途端子1Cからなる閉回路に交流電流I2が流れるように、交流調整部218により制御される。
交流調整部218は、例えば、図示しないPI制御回路によって実現され、上述のような交流電流I1、I2が各閉回路に流れるように、正極側電源部214及び負極側電源部216への指令信号を生成する。このように生成された指令信号に応じて正極側電源部214及び負極側電源部216の出力が増減されることにより、各端子間の交流電位差V1及びV2が共に所定のレベル(所定値)に制御される。これにより、交流電位差V1及びV2は等電位になる。
インピーダンス演算部220は、図示しないAD変換器やマイコンチップ等のハードウェア、及びインピーダンスを算出するプログラム等のソフトウェア構成を含む。インピーダンス演算部220は、各部210、212、214、216から入力された交流電流(I1、I2)及び交流電圧(V1、V2)をAD変換器によりデジタル数値信号に変換し、インピーダンス測定のための処理を行う。
具体的には、インピーダンス演算部220は、正極側交流電位差V1を交流電流I1で除算することにより、中途端子1Cから正極端子1Bまでの第1インピーダンスZ1を算出する。また、インピーダンス演算部220は、負極側交流電位差V2を交流電流I2で除算することにより、中途端子1Cから負極端子1Aまでの第2インピーダンスZ2を演算する。さらに、インピーダンス演算部220は、第1インピーダンスZ1と第2インピーダンスZ2を加算することにより、燃料電池スタック1の内部インピーダンスZを演算する。
なお、本実施形態では、電力調整システム100は、燃料電池スタック1の出力側にDC/DCコンバータを備え、燃料電池スタック1の出力電圧を昇圧可能に構成してもよい。この場合において、燃料電池スタック1の内部インピーダンスを測定する際には、コントローラ8は、まず、そのDC/DCコンバータに燃料電池スタック1の出力電圧を昇圧させる。これにより、インバータ4から燃料電池スタック1側を見た場合のインピーダンスが上昇し、負荷変動があってもインピーダンス測定に悪影響を与えないという効果を奏する。本実施形態の交流電圧シャント装置とともに用いることにより、燃料電池スタック1の内部インピーダンスをより正確に測定することができる。
図4では、図示の都合上、正極端子1B及び負極端子1Aを燃料電池スタック1の各出力端子に直接的に接続するように示している。しかしながら、本実施形態の電力調整システム100では、このような結線に限らず、正極端子1B及び負極端子1Aは、燃料電池スタック1内に積層される複数の燃料電池の最も正極側の燃料電池の正極端子と、最も負極側の燃料電池の負極端子とに接続されてもよい。
また、本実施形態では、インピーダンス演算部220は、マイコンチップ等のハードウェアが図示しないメモリに予め記憶されているプログラムを実行することにより、燃料電池スタック1の内部インピーダンスを演算する構成としている。しかしながら、インピーダンス演算部220は、このような構成に限らない。例えば、インピーダンス演算部220は、アナログ演算ICを用いたアナログ演算回路で実現されてもよい。アナログ演算回路を用いることにより、時間的に連続したインピーダンスの変化を出力することができる。
ここで、本実施形態では、インピーダンス測定装置200は、交流電流及び交流電圧として、正弦波信号からなる交流信号を用いている。しかしながら、これらの交流信号は、正弦波信号に限らず、矩形波信号や三角波信号、鋸波信号などであってもよい。
次に、本実施形態の電力調整システム100を搭載した車両(電気自動車)の走行パターンの一例に基づいて、交流電圧シャント装置の動作を説明する。図5は、本実施形態の電圧シャント処理を示すタイムチャートである。図5(a)は、端子間電圧Vpnを示し、図5(b)は、燃料電池スタック1の出力電流Icを示し、図5(c)は、電圧シャント部10のシャントスイッチ11のON/OFF動作を示す。なお、図5(a)において、点線は、電圧シャント部10の機能を発揮させなかった場合の端子間電圧Vpnを示し、実線は、電圧シャント部10の機能を発揮させたことにより、電圧変動抑制レベルまで下がった端子間電圧Vpnを示す。
図5に示すように、本例では、車両は、電力調整システム100を起動すると、加速して車速を上げていき、あるタイミングでアクセルペダルの踏込みを止める。その後、車両は、追い越し車線に入り、他の車両を追い越すために再度加速をする。最終的に、車両を停車させ、電力調整システム100を停止させる。
システム起動時には、駆動モータ5などの負荷が軽いため、燃料電池スタック1の出力電流Icは起動時に一瞬だけ大きくなり、その後少なくなる。また、端子間電圧Vpnは高くなるため、インピーダンス測定装置200の測定不良が発生する可能性がある。そのため、システム起動直後(出力電流Icがシャント実行閾値未満になった後)には、電圧シャント部10のシャントスイッチ11をONにしてシャント抵抗12に電流を流すことにより、端子間電圧Vpnは、点線から実線で示す所定電圧まで低減・維持される。
なお、この場合におけるシャントスイッチ11のON/OFFタイミングの判定は、端子間電圧Vpnが電圧変動抑制レベルよりも高いか否かに基づいて、あるいは、燃料電池スタック1の出力電流Icがシャント実行閾値(電圧閾値)よりも小さいか否かに基づいて、コントローラ8により実行される。
次いで、車両が発進加速をしたり、追い越し加速をしたりするときには、燃料電池スタック1の出力電流Icが増加する。端子間電圧Vpnが電圧変動抑制レベルよりも下がるか、燃料電池スタック1の出力電流Icがシャント実行閾値よりも大きくなったことに基づいて、コントローラ8は、電圧シャント部10のシャントスイッチ11をOFFさせる。これにより、電圧シャント部10のシャント抵抗12に電流が流れることを停止させるので、シャント抵抗12の無用な発熱を抑えることができる。
また、車両が走行状態からアクセルをOFFにして減速したり、ブレーキをかけたりするときには、駆動モータ5からの回生電流Irが燃料電池スタック1側に逆流することとなる。そのため、コントローラ8は、電圧シャント部10のシャントスイッチ11をONにして、端子間電圧Vpnの上昇をより強く抑制する。この場合、電圧シャント部10は、複数のシャント抵抗12を直列又は並列に接続しておき(図示せず)、回生電流Irの大きさに応じて、複数のシャント抵抗12のいずれか又はいくつかを選択するようにしても構成してもよい。シャント抵抗12を複数に分けることにより、1つのシャント抵抗12の抵抗値(定格電力)を少なくすることができるので、電圧シャント部10全体の小型化・低コスト化を図ることができる。
次に、図6に示すフローチャートを用いて、本実施形態の電圧シャント部10の動作を説明する。図6は、本実施形態のコントローラ8により実行される電圧シャント処理を示すフローチャートである。この電圧シャント処理は、電力調整システム100が起動している間、所定の時間間隔(例えば、0.1秒毎)で実行される。
この電圧シャント処理では、コントローラ8は、まず、電圧センサ7を用いて、燃料電池スタック1の出力端子間の端子間電圧Vpnを検出する(ステップS101)。そして、コントローラ8は、検出した端子間電圧Vpnが上述の電圧変動抑制レベルの電圧値(以下、「所定の電圧値」ともいう)よりも大きいか否かを判定する(ステップS102)。
端子間電圧Vpnが所定の電圧値よりも大きいと判定した場合には、コントローラ8は、電圧シャント部10内のシャントスイッチ11をONにする(ステップS104)。一方、端子間電圧Vpnが所定の電圧値以下であると判定した場合には、コントローラ8は、電圧シャント部10内のシャントスイッチ11をOFFにする(ステップS103)。
次いで、コントローラ8は、電力調整システム100の停止シーケンスが開始されたか否かを判定する(ステップS105)。なお、この判定では、例えば、電力調整システム100を搭載する車両のユーザがイグニッションキーをOFFしたか否かを監視することにより実行されればよい。
ステップS105において、電力調整システム100の停止シーケンスが開始されていないと判定した場合には、コントローラ8は、この電圧シャント処理を終了する。一方、電力調整システム100の停止シーケンスが開始されたと判定した場合には、コントローラ8は、電圧シャント部10内のシャントスイッチ11をOFFにする(ステップS106)。
ここで、電力調整システム100の停止時に、シャントスイッチ11をOFFするのは、電力調整システム100全体の安全性に加えて、システム停止中の無駄なバッテリ3の充電電力の消費を防止するためである。
そして、コントローラ8は、所定のシステム停止シーケンスを実行して(ステップS107)、この電圧シャント処理を終了する。なお、システム停止シーケンスについては、電力調整システム100のシステム構成に応じて、公知の方法で行えばよいので、ここではその詳細な説明を省略する。
本実施形態の電圧シャント処理は、上述のように電力調整システム100が起動しているときであって、燃料電池スタック1が起動中に実行されるものである。しかしながら、電力調整システム100を搭載した車両の一時停止中などのアイドルストップや、車両が下り坂等を走行中であって、駆動モータ5が回生動作を行っているときなど、燃料電池スタック1が発電を停止しているときには、たとえ車両の図示しない制動装置が作動していたとしても、この電圧シャント処理が実行されることはない。これにより、燃料電池スタック1の発電停止中におけるバッテリ3の充電電力や駆動モータ5による回生エネルギーの無駄な消費を防止することができる。
次に、図7に示すフローチャートを用いて、本実施形態の電圧シャント部10の別の動作を説明する。図7は、本実施形態のコントローラ8により実行される別の電圧シャント処理を示すフローチャートである。図6のフローチャートと同様のステップには、同じステップ番号を付してある。この電圧シャント処理は、電力調整システム100が起動している間、所定の時間間隔(例えば、0.1秒毎)で実行される。
この電圧シャント処理では、コントローラ8は、まず、電流センサ6を用いて、燃料電池スタック1の出力電流Icを検出する(ステップS201)。そして、コントローラ8は、検出した出力電流Icが上述の電流閾値よりも小さいか否かを判定する(ステップS202)。
出力電流Icが電流閾値よりも小さいと判定した場合には、コントローラ8は、電圧シャント部10内のシャントスイッチ11をONにする(ステップS104)。一方、出力電流Icが電流閾値以上であると判定した場合には、コントローラ8は、電圧シャント部10内のシャントスイッチ11をOFFにする(ステップS103)。
次いで、コントローラ8は、電力調整システム100の停止シーケンスが開始されたか否かを判定する(ステップS105)。なお、この判定では、例えば、電力調整システム100を搭載する車両のユーザがイグニッションキーをOFFしたか否かを監視することにより実行されればよい。
ステップS105において、電力調整システム100の停止シーケンスが開始されていないと判定した場合には、コントローラ8は、この電圧シャント処理を終了する。一方、電力調整システム100の停止シーケンスが開始されたと判定した場合には、コントローラ8は、電力調整システム100全体の安全性のために、電圧シャント部10内のシャントスイッチ11をOFFにする(ステップS106)。
そして、コントローラ8は、所定のシステム停止シーケンスを実行して(ステップS107)、この電圧シャント処理を終了する。なお、システム停止シーケンスについては、電力調整システム100のシステム構成に応じて、公知の方法で行えばよいので、ここではその詳細な説明を省略する。
以上説明したように、本実施形態の交流電圧シャント装置は、アノードガス及びカソードガスを供給することにより発電を行う燃料電池スタック1(燃料電池)と、燃料電池スタック1の発電電力により駆動される負荷としての駆動モータ5と、燃料電池スタック1に連結され、燃料電池スタック1の内部インピーダンスを測定するインピーダンス測定装置200と、を備える電力調整システム100に用いられる交流電圧シャント装置である。交流電圧シャント装置(電圧シャント部10)は、インピーダンス測定装置200及び燃料電池スタック1の正極1Bを結ぶ正極側強電ライン10Bと、インピーダンス測定装置200及び燃料電池スタック1の負極1Aを結ぶ負極側強電ライン10Aとの間に設けられ、燃料電池スタック1の出力電流Ic又は端子間電圧Vpn(出力電圧)に基づいて、負荷の変動により生ずる駆動電圧脈動がインピーダンス測定装置200によるインピーダンス測定に与える影響を除去する電圧シャント部10(シャント部)を備えている。本実施形態の交流電圧シャント装置はこのように構成されているので、電圧シャント部10により、負荷の変動、特に、電圧変動(電圧上昇)により、インピーダンス測定装置200のインピーダンス測定に用いられる周波数の交流電圧がインピーダンス測定装置200側に流入することを防止することができる。これにより、インピーダンス測定装置200が測定不良になる状況を確実に防止することができる。
このように、本実施形態の交流電圧シャント装置は、インピーダンス測定装置200のインピーダンス測定に影響を与える場面のみ、その影響を除去するように構成したため、インピーダンス測定装置200が測定不良に至るような場面で確実に対策することができる。また、本実施形態の交流電圧シャント装置では、電圧シャント部10による機能をこのような場合のみに限定しているので、電圧シャント部10内部のシャント抵抗12による発熱(放熱)を最小限にすることができる。したがって、交流電圧シャント装置を小型・安価な構成で実現することができる。
本実施形態では、電圧シャント部10は、リレー又はスイッチングデバイスを用いたシャントスイッチ11(開閉スイッチ)を含むように構成される。交流電圧シャント装置をこのように構成することにより、インピーダンス測定装置200が測定不良になる状況を確実に防止することができるとともに、交流電圧シャント装置を小型・安価に構成することができる。
本実施形態では、電圧シャント部10は、燃料電池スタック1の出力電流Icが所定の電流閾値(所定値)未満のとき、シャントスイッチ11を閉じるように構成されればよい。あるいは、電圧シャント部10は、燃料電池スタック1の出力端子間の端子間電圧Vpnが所定の電圧値(電圧変動抑制レベルに相当する電圧値)より大きいとき、シャントスイッチ11を閉じるように構成してもよい。交流電圧シャント装置をこのように構成することにより、インピーダンス測定装置200が測定不良になる状況を確実に防止することができる。
なお、本実施形態では、電圧シャント部10を別体として設ける場合を説明した。しかしながら、本発明は、このような構成に限らない。電圧シャント部10(交流電圧シャント装置)は、例えば、インピーダンス測定装置200に内蔵されていてもよい。これにより、燃料電池スタック1の内部インピーダンスの測定不良が発生するという問題をインピーダンス測定装置200の内部で解決することができるので、インピーダンス測定装置200以外の構成部品は、交流電圧シャント装置を設けていない電力調整システム100と共通部品化することができる。したがって、種々のシステム構成を備えることが可能な電力調整システム100全体の製造コストを削減することができる。
(第2実施形態)
以下、本発明の第2実施形態について、第1実施形態との相違点を主として説明する。なお、電力調整システム100の全体構成は、第1実施形態と実質的に同様であるので、ここでは、システム全体構成の説明を省略する。また、本実施形態では、前述した第1実施形態と同様の機能を果たす部分には、同一の符号を用いて重複する説明を適宜省略する。
上記第1実施形態では、図3に示すように、電圧シャント部10がシャントスイッチ11と、シャント抵抗12とから構成された交流電圧シャント装置を用いた場合を説明した。本実施形態では、シャントスイッチ11の代わりに、電圧シャント部10が共振回路を備える点で第1実施形態とは相違する。
まず、電圧シャント部10の構成を説明する。図8は、第2実施形態における交流電圧シャント装置の回路図である。本実施形態の交流電圧シャント装置は、図8に示すような電圧シャント部10を備える。この電圧シャント部10は、シャントスイッチ11の代わりに、コンデンサ13及びコイル14からなる共振回路を備えている。
コンデンサ13とコイル14は、所定の周波数において共振することにより、選択的なスイッチング効果を有するものである。ここで、「所定の周波数」は、インピーダンス測定装置200のインピーダンス測定に用いられる周波数に設定される。その所定の周波数が1kHzの場合、例えば、コイル14のインダクタンスを2.5mHに設定すると、その周波数で直列共振するためのコンデンサ13の静電容量は、以下の式を用いて、約10μFとなる。
ωL=1/ωC (4)
ω=1/2πf (5)
ここで、ωは、直列共振回路(RLC回路)の角波数を示し、fは、この直列共振回路に供給される交流電源の周波数を示す。
図9は、本実施形態の交流電圧シャント装置のインピーダンスの複素平面を示す図である。図9に示すように、コンデンサ13のインピーダンス(1/ωC)の虚軸成分の絶対値と、コイル14のインピーダンス(ωL)の虚軸成分の絶対値とを等しくするように設定することにより、電圧シャント部10全体のインピーダンスは、実軸成分のみとなり、対応する周波数の交流電流のみが流れやすくなる。
すなわち、このRLC回路が直列共振しているとき、コイル14のインピーダンスの虚軸成分の絶対値とコンデンサ13のインピーダンスの虚軸成分の絶対値が等しくなるため、電圧シャント部10の両端間のインピーダンス(交流抵抗)は、ほぼシャント抵抗12の抵抗値となる。
したがって、インピーダンス測定装置200のインピーダンス測定に用いられる周波数である1kHz近傍においては、第1実施例と同様に、図1に示す電圧シャント部10の両端子間において、シャント抵抗12を接続した場合(第1実施形態におけるシャントスイッチ11のON)と同様の効果を得られる。
また、この所定の周波数(共振周波数)以外の周波数の交流電圧に対しては、シャントスイッチ11をOFFしたときと等価に作用するため、シャント抵抗12に流れる実際の電流を小さくすることができる。これにより、第1実施形態の場合と比べて、シャント抵抗12には定格電力のより小さい安価な抵抗器を用いることができる。
さらに、本実施形態の電圧シャント部10は、所定の周波数帯の電流のみを通電することにより、インピーダンス測定装置200のインピーダンス測定への影響を除去しているので、交流電圧シャント装置全体の発熱量を低く抑えることができる。そのため、交流電圧シャント装置を更に小型・安価に実現することができる。
以上説明したように、本実施形態の交流電圧シャント装置は、電圧シャント部10(シャント部)が、シャント抵抗12に加え、コイル14及びコンデンサ13から構成される共振回路となるように構成される。この電圧シャント部10は、上述の共振周波数以外の交流電流を流すことがなく、インピーダンス測定装置200のインピーダンス測定に影響を与える負荷変動を効果的に除去することができる。したがって、安価なコンデンサ13とコイル14とを用いることにより、電圧シャント部10を構成するシャント抵抗12及び共振回路のコストを低減することができるので、インピーダンス測定装置200を備える電力調整システム100全体の製造コストを低減することができる。
以上、本発明の実施形態について説明したが、上記実施形態は本発明の適用例の一部を示したに過ぎず、本発明の技術的範囲を上記実施形態の具体的構成に限定する趣旨ではない。
上述の実施形態では、交流電圧シャント装置を構成する電圧シャント部10が、燃料電池スタック1に対して、インピーダンス測定装置200と並列に接続されるように、別部材として構成した例を説明した。しかしながら、本発明はこのような構成に限らない。例えば、電力調整システム100は、電圧シャント部10(交流電圧シャント装置)がインピーダンス測定装置200に内蔵されているように構成してもよい。このように構成することにより、複数の部材によって構成される電力調整システム100を製造する際に、部品の共有化(同じインピーダンス測定装置200の使用)を図ることができる。これにより、電力調整システム100全体の製造コストを低減することができる。
特に、インピーダンス測定装置200により燃料電池スタック1の内部インピーダンスを測定する場合、インピーダンス測定装置200から燃料電池スタック1に出力する交流電圧の周波数は一定に設定される。そのため、上述の第2実施形態のように、電圧シャント部10を共振回路から構成する場合には、コイル14のインダクタンスやコンデンサ13の静電容量を固定値にすることができるので、部品の共有化に貢献することができる。
上述の実施形態では、電力調整システム100は、燃料電池スタック1の内部インピーダンスを測定するためのインピーダンス測定装置200を別装置として備えるように構成していたが、本発明はこのような構成に限らない。インピーダンス測定装置200の代わりに、例えば、DC/DCコンバータ2を用いて重畳した電圧信号を利用する電力変調式インピーダンス測定装置を構成してもよい。この電力変調式インピーダンス測定装置は、DC/DCコンバータ2の図示しないスイッチング素子のスイッチング動作により、所定の周波数の交流電圧を重畳して生成し、生成した交流電圧を燃料電池スタック1に印加したときのこの所定周波数における出力電流及び出力電圧の振幅を検出する。そして、コントローラ8は、検出した出力電圧の交流成分を検出した出力電流の交流成分で除算することにより、燃料電池スタック1の内部インピーダンスを測定(演算)するように構成される。
上述の実施形態の交流電圧シャント装置(電圧シャント部10)は、インピーダンスを測定するための交流電圧の周波数を考慮することにより、このような電力変調式インピーダンス測定装置に対しても適用することができる。
上述の第1実施形態では、電圧シャント部10が、1つのシャントスイッチ11と1つのシャント抵抗12から構成される場合を説明し、上述の第2実施形態では、電圧シャント部10が、シャント抵抗12、コンデンサ13及びコイル14をそれぞれ1つ備える場合を説明した。しかしながら、本発明はこのような構成に限らず、各素子を複数備え、それらが並列に接続されるような構成を有してもよい。
一例として、各素子を3つずつ備える場合を示す。図10は、第1及び第2実施形態の変形例における交流電圧シャント装置の回路図である。図10(a)は、第1実施形態の電圧シャント部10の変形例である電圧シャント部10’を示す。図10(b)は、第2実施形態の電圧シャント部10の変形例である電圧シャント部10”を示す。
交流電圧シャント装置をこれらの変形例のように構成することにより、並列接続されるシャント抵抗12を流れる電流量を低減することができる。これにより、シャント抵抗12の発熱を効果的に低減することができ、各シャント抵抗12の抵抗値を下げることもできる。また、第1実施形態の変形例である電圧シャント部10’によれば、燃料電池スタック1の出力電流Icや端子間電圧Vpnの大きさに基づいて、シャントスイッチ11をONする数を調整することができる。
なお、これらの変形例では、各素子が3つの場合について図示したが、本発明は、このような構成に限らない。本発明の交流電圧シャント装置では、電力調整システム100のシステム構成に基づいて、各素子の数を適宜決定すればよい。
上述の実施形態では、交流電圧シャント装置を用いた電圧シャント処理が、電力調整システム100が起動しているときであって、燃料電池スタック1が起動中に実行されるとして説明した(例えば、図6及び図7のフローチャート参照)。しかしながら、電力調整システム100を搭載した車両の一時停止中などのアイドルストップや、車両が下り坂等を走行中であって、駆動モータ5が回生動作を行っているときなど、燃料電池スタック1が発電を停止しているときには、たとえ車両の図示しない制動装置が作動していたとしても、この電圧シャント処理が実行されることはない。これにより、燃料電池スタック1の発電停止中におけるバッテリ3の充電電力や駆動モータ5による回生エネルギーの無駄な消費を防止することができる。