以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて説明する。なお、この実施の形態によって、本発明が限定されるものではない。
<1.構成>
1−1.冷蔵庫の構成
1−1−1.フレンチドアタイプの冷蔵庫の構成
まず、図1〜図9Cを用いて、フレンチドアタイプの冷蔵庫100の構成について説明する。
図1は、本発明の実施の形態における冷蔵庫100の正面図であり、図2は、同冷蔵庫100の概略の構成を示す横から見た断面図であり、図3は、同冷蔵庫100の貯蔵庫の扉10を開いたときの内部構造を示す斜視図である。
図1〜図3に示したように、冷蔵庫100は、冷蔵庫本体1を備えている。冷蔵庫本体1は、前方に開口する金属(例えば鉄板)製の外箱2と、硬質樹脂(例えばABS)製の内箱3と、外箱2と内箱3との間に発泡充填された硬質発泡ウレタン等の断熱材4とを有している。
冷蔵庫本体1の内部には、複数の貯蔵庫(収納室)が仕切形成されている。複数の貯蔵庫は、冷蔵庫本体1の上部から、冷蔵室5、冷蔵室5の下に位置する、切替室6、および切替室6に並設された製氷室7、切替室6および製氷室7の下部に位置する冷凍室8、ならびに、冷凍室8の下部に位置する野菜室9を含んでいる。冷蔵室5の前面は、観音開き式の断熱扉である扉10により開閉自由に閉塞されている。切替室6、製氷室7、冷凍室8、および野菜室9の前面部は、それぞれ、引き出し式の扉11,12,13,14によって、開閉自由に閉塞されている。
冷蔵庫本体1の背面側には、冷却室16が配置されている。冷却室16には、冷気を生成する冷却器17と、冷気を各室に供給する送風ファン18と、冷蔵室への風量を調整するための、風量調整手段であるダンパ22とが設けられている。また、冷蔵庫本体1の天面奥部には、コンプレッサ19が設けられている。コンデンサ(図示せず)と、放熱用の放熱パイプ20と、キャピラリーチューブ21と、冷却器17とが順次環状に接続されて、冷凍サイクルが構成されている。冷凍サイクルには、冷媒が封入されて、冷却運転が行われるように構成されている。
ここで、上述した扉10〜14それぞれには、冷蔵庫本体1と同様に硬質発泡ウレタンが充填されて、断熱性を有している。本実施の形態における冷蔵庫100では、扉10〜14のうち、冷蔵室5となる貯蔵庫の扉10の一方(本実施の形態においては、図1の向かって右側)の前面に、表示装置である画像表示部15が装備されている。
図4は、本発明の実施の形態における冷蔵庫100に画像表示部15が一体的に装備された状態を示す斜視図である。また、図5Aおよび図5Bは、同冷蔵庫100における、扉10に対する画像表示部15の概略構成を示す、横から見た断面図である。
図5Aに示したように、扉10は、その下部に支持部である凸部10a−2を有する、ベース樹脂10aを備えている。ベース樹脂10aは、下部の凸部10a−2が、ディスプレイ10a−3を支持するように構成されている。
また、画像表示部15は、ディスプレイ10a−3よりも外側(使用者側)に、透明板材10a−1(板状のガラス、または、アクリル板等)を備えている。透明板材10a−1は、さらに、その外側表面に、周辺部に配線部10a−6を有する静電容量式の薄膜10a−5を備えている。さらに、薄膜10a−5よりも外側には、保護部材10a−4が設けられている。
ここで、透明板材10a−1は、その上端部に、保護部材10a−4よりも相対的に高さの低い部分を有するようにして、この部分に、配線部10a−6を配置している。そして、配線部10a−6の先に接続されている基板10a−7は、透明板材10a−1の上端部を回りこむようにして、透明板材10a−1の裏側に配置されている。
基板10a−7は、ディスプレイ10a−3よりも上方で、ベース樹脂10aに設けられたリブ10a−9に載置されるようにして収納されている。このとき、基板10a−7の幅は、ディスプレイ10a−3の幅よりも薄く構成されているので、基板10a−7の庫内側において十分断熱材を確保した(隙間を有する)状態で、断熱性能を損なうことなく、基板10a−7を収納することができる。また、ディスプレイ10a−3は、その下端を凸部10a−2によって支持され、その上方にはリブ10a−9が配置されている。この構成により、衝撃にも強く、また水にも強い構成とすることができる。
ここで、透明板材10a−1は、上端部に、保護部材10a−4よりも相対的に小さい(高さの低い)部分を有するように構成され、この部分に配線部10a−6が配置されている。これにより、保護部材10a−4が配線部10a−6を隠すように配置されるので、使用者の目につきにくくなり、デザイン性に優れた構成を実現することができる。また、配線部10a−6は、相対的に高い位置に配置されるので、使用者が触れにくくなり、安全性にも優れた構成を実現することができる。さらに、配線部10a−6が透明板材10a−1の上端部を回り込むように配置されることにより、基板10a−7と薄膜10a−5とが透明板材10a−1を介して両側に位置することになり、透明板材10a−1の上側において、透明板材10a−1の表裏で一体固定されることになる。これにより、開閉動作が頻繁に行われるような扉10においても、長期使用にも耐えうる構造を実現できる。
さらに、透明板材10a−1は、その下端部や側面部は、扉10の把持部として活用される場合も多いので、配線部10a−6を透明板材10a−1の上端部に配置することによって、使用者が触れる位置から一定の距離を確保することができ、安全性を高めることができる。さらに、把持部の形状に合わせて配線部10a−6の変更を行う必要がないので、機種展開を容易にすることができる。
さらに、透明板材10a−1を回り込むようにして周辺部に配置された配線部10a−6は、さらにその上方が、カバー部材10a−8で覆われるように構成されている。ここで、カバー部材10a−8は、薄膜10a−5と透明板材10a−1とを幅方向に含むように構成されている。これにより、カバー部材10a−8の庫外側は、保護部材10a−4よりも庫内側に位置し、固定されることになり、庫内側はベース樹脂10aに固定されることになる。
この構成により、配線部10a−6を塵埃等から適切に保護することができる。また、カバー部材10a−8自体は、保護部材10a−4よりも庫内側で、正面からは見えにくくなるので、デザイン的にも優れた構成を実現できる。このように、透明板材10a−1の上端部においてカバー部材10a−8を用いることにより、安全性、デザイン性、および長期使用可能な耐久性等を同時に実現することができる。
なお、基板10a−7と透明板材10a−1との間に加飾部10a−10を設けることにより、さらにデザイン性を向上させることができる。特に、ディスプレイ10a−3の、電源がオフの状態と類似したデザインを用いることにより、リブ10a−9の上下でデザインの連続性が保たれるので、使用者に基板10a−7や配線部10a−6の存在が認識されにくくなり、デザイン性を向上させることができる。その一方で、基板10a−7の交換等のメンテナンスはし易いという利点もある。
また、上述の構成によれば、透明板材10a−1の全面に静電容量式の薄膜10a−5を備えることが可能である。従来の構成では、基板を扉10の筐体で隠すようにして構成するので、タッチセンサを、限定された空間に配置せざるをえなかった。これに対して、本実施の形態では、ディスプレイ10a−3と薄膜10a−5とを別の配置構成にすることによって、透明板材10a−1の大部分において、静電容量式のタッチセンサを駆動させることが可能となる。これによって、仮に、ディスプレイ10a−3の電源がオフの状態であっても、扉10のいずれかの部分に触れば、ディスプレイ10a−3の電源をオン状態とすることができる。よって、夜のような暗い状態であっても、使い勝手を良くし、商品価値を飛躍的に向上させることができる。
また、本実施の形態において、透明板材10a−1は、一例として、少なくとも2mm以上の厚みを有する構成としている。静電容量式の薄膜10a−5は、ディスプレイ10a−3からのノイズの影響を受けてしまう可能性がある。そこで、ディスプレイ10a−3と薄膜10a−5との間に透明板材10a−1を配置するようにし、かつ、透明板材10a−1の厚みを2mm以上とすることによって、ノイズの影響を飛躍的に軽減することができる。
また、ディスプレイ10a−3の表示内容や駆動時間に応じて、ディスプレイ10a−3の庫内側背面が発熱し、扉10の内部に熱がこもる可能性がある。そもそも冷蔵庫100は、庫内を冷却することを目的としているものであるので、これらの熱影響を庫内に及ぼすことなく、如何にして庫外に排熱するかという点で工夫が必要である。そこで、ある一定の構造を有する放熱部材10a−11を設けることにより、省エネルギー性の向上に貢献することができる。
放熱部材10a−11は、その下部において、ディスプレイ10a−3の背面側でディスプレイ10a−3からの熱を吸収するように構成され、その上部の接続部10a−12において、扉10の外周部を構成している金属部に接続するように構成されている。これにより、たとえディスプレイ10a−3の背面側で発熱したとしても、この熱を、扉10の外周方向に拡散させることができ、庫内の冷却に与える影響を最小限に抑えることが可能となる。なお、本実施の形態では、熱を上方に逃がす構成としているが、側面や下方に逃がすように構成してもよい。
さらに、放熱部材10a−11よりも庫内側の扉10には、必須ではないが、真空断熱材を設けることが望ましい。この場合、大きさがディスプレイ10a−3よりも大きな真空断熱材を配置することによって、より適切に放熱と断熱とを組み合わせて、省エネルギー性効果の高く、使い勝手のよい構成を実現できる。
なお、扉10に操作パネルを設ける場合には、ディスプレイ10a−3と静電容量式の薄膜10a−5とが重ならない位置に設けるとよい。これにより、扉10をフラットなデザインとすることができ、デザイン性に優れた冷蔵庫100を実現することができる。また、透明板材10a−1においては、操作パネルに対応する部分に印刷表示をすると良い。ディスプレイ10a−3は、それ自体が強く発光するために浮き出るように見えるのに対して、操作パネル部分は、ディスプレイ10a−3に比べて目立ちにくくなる。よって、透明板材10a−1に印刷を施すことによって、使用者は、より近い側で認識できるようになるので、全体的にバランスの取れたデザインとすることができる。
また、図5Bに示したように、透明板材10a−1は、その内側表面に保護部材10a−4を備え、さらにその内側に、周辺部に配線部10a−6を有する静電容量式の薄膜10a−5を備える構成としてもよい。
ここで、カバー部材10a−8は、薄膜10a−5と透明板材10a−1とを幅方向に含むように構成されている。これにより、カバー部材10a−8の庫外側が透明板材10a−1を挟み込むように固定され、庫内側はベース樹脂10aに固定されることになる。
この構成により、配線部10a−6を塵埃等から適切に保護することができるとともに、透明板材10a−1を開閉動作が頻繁に行われるような扉10に適用しても、長期使用に耐えうる構造とすることができる。
図6A,図6Bおよび図6Cは、本発明の実施の形態における、扉10および画像表示部15についての、図5Aの線分6−6での断面構造を示す図である。
図6Aにおいては、扉10に埋設されたディスプレイ10a−3と透明板材10a−1との間に、透過率が均一なスモークシート29が設けられている。この構成により、ディスプレイ10a−3がオフ状態で黒っぽく見えるときには、ディスプレイ10a−3領域以外の透明板材10a−1の部分も、スモークシート29によって黒っぽく見えるので、ディスプレイ10a−3との境界が目立つことがなくなる。よって、外観を良好に維持することができる。
なお、スモークシート29の透過率を、例えば5〜15%とすることにより、ディスプレイ10a−3がオフ状態の時の外観と、オン状態の時の視認性とを両立させることができる。
また、スモークシート29の代わりにハーフミラーシートを用いてもよい。このとき、ディスプレイ10a−3がオフ状態の時には、ハーフミラーシートでの反射が支配的になり、ディスプレイ10a−3との境界が目立つことがなくなる。一方、オン状態の時には、ディスプレイ10a−3からの光を透過させ、高い視認性を得ることができる。
また、図6Bにおいては、扉10に埋設したディスプレイ10a−3と透明板材10a−1との間に、ディスプレイ10a−3と対向する部分のみを透明としたスモークシート29aが設けられている。この構成により、ディスプレイ10a−3がオフ状態で黒っぽく見える時には、ディスプレイ10a−3以外の透明板材10a−1の部分もスモークシート29aによって黒っぽく見えるのでディスプレイ10a−3との境界が目立つことがなくなる。よって、外観を良好に維持することができるとともに、ディスプレイ10a−3がオン状態のときの明るさを維持し、高い視認性を得ることができる。
また、図6Cにおいては、ディスプレイ10a−3の表示部として透明液晶表示部を用いて、加飾シート29bを透明液晶表示部の裏面に沿うように敷設した構成を示している。この構成によって、単色のみならず、様々なデザインの加飾シート29bを用いることが可能となり、外観を良好なものとすることができる。
次に、図7、図8A、および図8Bを用いて、本実施の形態の冷蔵庫100におけるカメラ、および庫内照明灯の取り付け例について説明する。
図7は、本発明の実施の形態に係る冷蔵庫100において、扉10を閉じた状態を示す横から見た断面図であり、図8Aは、同冷蔵庫100において、扉10を閉じた状態における扉10の内面部を示す上から見た断面図であり、図8Bは、同冷蔵庫100における扉10の内面部の正面図である。
図7、図8A、および図8Bに示したように、冷蔵庫100の貯蔵庫には、上下方向に、仕切棚である複数の棚板30−1〜30−4が設けられている。棚板30−1〜30−4は、それぞれ、周囲の枠を除いて、透明な合成樹脂材料、またはガラス等の光透過性を有する材料で形成されている。
最下段の棚板30−4の下方には、引き出し自在に設けられた収納容器31が配置されている。最下段の棚板30−4は、収納容器31の上面を構成しているので、固定されている。しかしながら、棚板30−1〜30−3は、それぞれ、貯蔵庫の両側壁部に設けられた側壁凸部32−1〜32−3に載せられており、脱着自在となっている。棚板30−4は、収納容器31に載せられている。また、最下段の棚板30−4を除いた棚板30−1〜30−3のうち、中央の棚板30−2に対応する側壁凸部32−2は、異なる高さに複数設けられており、棚板30−2の高さが調節できるように構成されている。
貯蔵庫の開口を開閉する扉10の内面側には、扉ポケット33−1〜33−3が、上下方向に複数段設けられている。扉ポケット33−1〜33−3も光透過性を有する材料で形成されている。
照明装置である庫内照明灯34−1,34−2は、各棚板30−1〜30−4の前端よりも前方の、貯蔵庫の前面開口両側の壁部と、前面開口上面の壁面部とに設けられている。なお、庫内照明灯34−1,34−2は、省エネルギー性を考慮して、複数のLEDを配置された基板を、例えば、庫内照明灯34−1であれば、上下方向に亘って設けて、透光性を有するカバーで覆って構成されている。
撮像装置であるカメラ35−1,35−2は、庫内照明灯34−1,34−2と同様に、貯蔵庫の前面側に位置するように設けられている。カメラ35−1,35−2は、例えば、CCDカメラまたはCMOSカメラ等で構成されており、その種類は特にこれらの例に限定されるものではないが、結露等に強いものを用いることが望ましい。
本実施の形態において、カメラは二つ設けられている。一方のカメラ35−1は、上段の扉ポケット33−1の前後方向の実質的な中央の下面付近に取り付けられている。もう一つのカメラ35−2は、扉ポケット33−3の、上部付近に取り付けられている。なお、扉ポケット33−1の前後方向とは、扉10の内側板10b−1が構成する面に対して垂直な方向であり、扉10を閉じた際には、貯蔵庫の前後方向と同一となる方向である。
また、上方のカメラ35−1は、最上段の棚板30−1の実質的な前方位置に設けられている。また、下方のカメラ35−2は、図中の上から三段目の棚板30−3の前方位置に設けられている。いずれのカメラも、高さ調節を前提にして設けられている。カメラ35−1,35−2は、複数の側壁凸部32−2に載せられた棚板30−2ではなく、脱着可能ではあるが高さ調整を前提としていない棚板30−1、または棚板30−3の実質的な前方位置に設けられている。
いずれのカメラ35−1,35−2も、図7から明らかなように、各棚板30−1〜30−4の前端よりも前方位置であって、かつ、図8Bに示したように、扉10の軸支部Xとは反対の開放端側端部Y付近、すなわち冷蔵庫100の左右方向の実質的な中央部に位置するように設けられている。この二つのカメラ35−1,35−2により、庫内のほぼ全域が撮影できるように配置されている。このフレンチドアの例の場合、カメラ35−1,35−2は、比較的大きい面積の扉10側に設けられ、冷蔵庫100の実質的な中央部に位置するように配置されている。また、この例では、カメラ35−1,35−2は、センターピラー36(図3参照)が設けられていない扉10側に、冷蔵庫100の実質的な中央部に位置するように配置されている。なお、センターピラー36とは、フレンチドアの場合に、二枚の扉10のいずれか一方の側面に、二枚の扉10の間に生じる隙間から貯蔵庫内の冷気が漏れるのを防止するために設けられた部材のことである。
図9A〜図9Cは、本発明の実施の形態における冷蔵庫100のカメラの取り付けの、他の例を示す横から見た断面図である。
カメラ35−1,35−2に加えて、図9Aに示したように、収納容器31内を専用に撮影するカメラ35−3を追加設置することもできる。また、図9Bに示したように、下方のカメラ35−2を上下方向に移動自在に設けたり、図9Cに示したように、下方のカメラ35−2を上下方向に回動自在に設けたりと、設置する冷蔵庫100の形態に応じて設定することができる。
また、庫内照明灯34−1,34−2は、図7に示したように、カメラ35−1,35−2よりも貯蔵庫の奥側の位置に設けられている。庫内照明灯34−1,34−2は、光が直接カメラ35−1,35−2の撮影部に入り込まないように設けられている。
具体的には、図8Aに示したように、カメラ35−1,35−2の撮影部は、庫内照明灯34−1,34−2の照射方向の照射量(最大照射量)に対して、照射量が1/2以上となる範囲、この例では、照射角60度の範囲の外に設けられている。
また、庫内照明灯34−1,34−2のカメラ側に遮光部を設けたり、庫内照明灯34−1,34−2を構成するLED等の光源を、斜め後方向きに傾斜配置させたりすることによっても、庫内照明灯34−1,34−2の光が直接カメラ35−1,35−2の撮影部に入り込まないようにすることができる。これらの方法は、カメラの設置条件等に応じて適切に選択することができる。これは、以降説明するシングルドアタイプの冷蔵庫200の場合でも同様である。
1−1−2.シングルドアタイプの冷蔵庫の構成
次に、扉10が一枚扉の冷蔵庫200(シングルドアタイプの冷蔵庫)における、カメラ、および庫内照明灯の取り付け例を説明する。なお、このシングルドアタイプの冷蔵庫200では、上述したフレンチドアタイプの冷蔵庫100と同じ構成要素については同一の番号を付記してその説明を省略し、異なる部分を中心に説明する。
図10は、本発明の実施の形態における冷蔵庫200の、一枚扉構成の場合のカメラ取り付け例を示す横から見た断面図であり、図11Aは、同冷蔵庫200のカメラ取り付け例を示す、扉10を閉じた状態の扉10部分の上から見た断面図であり、図11Bは、冷蔵庫200のカメラ取り付け例を示す、扉10を開いた状態の扉10の内面側の正面図である。
図10、図11A、および図11Bに示したように、この一枚扉の冷蔵庫200の場合、上方のカメラ35−1は、一枚扉構成において一般的な配置例となっている、左右方向に分割して設けられた、扉ポケット33−4,33−6と扉ポケット33−5との間に存在する隆起壁部10b−2に設けられている。また、下方のカメラ35−2は、上下方向に並列する、扉ポケット33−7と扉ポケット33−8との間の扉内面部に設けられている。
上述した各カメラ35−1,35−2は、フレンチドアタイプの冷蔵庫100と同様に、脱着可能ではあるが高さ調整を前提としていない、棚板30−1および棚板30−3それぞれの、実質的な前方位置に設けられている。そして、図10に示したように、カメラ35−1,35−2は、各棚板30−1〜30−4の前端よりも前方位置に設けられている。また、図11A、および図11Bに示したように、カメラ35−1,35−2は、扉10の中央部分付近、すなわち冷蔵庫200の左右方向の実質的な中央部に設けられ、この二つのカメラ35−1,35−2によって、庫内のほぼ全域が撮影できるように構成されている。
また、庫内照明灯34−1,34−2は、フレンチドアタイプの冷蔵庫100と同様に設けられている。すなわち、庫内照明灯34−1,34−2は、各棚板30−1〜30−4の前端よりも前方であって、貯蔵庫の前面開口の両側壁部と、前面開口の上面壁面部とに設けられている。庫内照明灯34−1,34−2は、光が、直接カメラ35−1,35−2の撮影部に入り込まない位置に設けられている。具体的には、カメラ35−1,35−2の撮影部が、庫内照明灯34−1,34−2の照射方向の照射量(最大照射量)に対して、照射量が1/2以上となる範囲、この例では、照射角60度の範囲の外に設けられている。
図12Aは、本発明の実施の形態における一枚扉構成の冷蔵庫200についての、カメラ取り付けの他の例を示す上から見た断面図であり、図12Bは、同冷蔵庫200についての、カメラ取り付けの他の例を示す、扉10内面側の正面図である。また、図13は、図12Aおよび図12Bのカメラ取り付け例における撮影状態を説明するための下方から見た図である。
この例の場合、カメラ35−1,35−2は、図12A、および図12Bに示したように、扉10の軸支部Xとは反対側の、扉開放端部側のY付近に設けられている。カメラ35−1,35−2の高さ位置は、上述した一枚扉の場合(図11Aおよび図11Bを参照)と同じ位置である。扉開放端部側のY付近に、カメラ35−1,35−2を設ける場合には、扉10を所定角度、例えば30度開いたときに撮影する構成とする。これにより、その撮影は、図13の破線で示したように、貯蔵庫の開口部付近までの広い範囲を撮影することができ、しかも、その画像は、使用者が、時おりわずかに扉を開いて中の状態を確認するときに見る状態と実質的に同一となる。よって、画像表示部15もしくは後述する携帯端末55aで画像を視認したときに、使用者は、違和感がなく自然な形で画像を見ることができる。
1−1−3.カメラ構成
次に、庫内撮影に用いるカメラの構成の一例について説明する。
図14は、本発明の実施の形態における冷蔵庫100,200において取り付けられるカメラの一例を示す、横から見た断面構成を示す断面図である。
前述したように、庫内撮影を行うに際し、カメラは、上下方向に離れた位置に複数設けることが好ましい。しかしながら、図14に示したように、上下のカメラ35−1,35−2を近接設置することによっても、庫内の全域を撮影できる。
このような場合、カメラ35−1,35−2を一体化して、カメラモジュール41を構成することが考えられる。このようにモジュール化することによって、設置の容易化とコストダウンを可能にすることができる。また、魚眼レンズ等、広角なレンズを用いることによっても、モジュール化を促進することができる。
1−2.冷蔵庫システムの全体構成
次にこれまでに述べてきたような冷蔵庫100,200を用いた冷蔵庫システム50全体について説明する。
図15は、本発明の実施の形態における冷蔵庫システム50のシステム構成を示す図である。
図15に示したように、冷蔵庫システム50は、使用者が、携帯端末55aによって、冷蔵庫100,200内の食品状況を確認することのできるシステムである。
この冷蔵庫システム50は、冷蔵庫100,200と、携帯端末55aとを備えている。さらに、冷蔵庫システム50は、通信部である無線アダプタ53と、中継装置であるゲートウェイ装置54と、ルータ装置55と、サーバ装置57とを含んでいる。
冷蔵庫100,200は、使用者の住居A内、例えば、キッチンルームに配置されている。
無線アダプタ53は、冷蔵庫100,200の制御部(後述)に電気的に接続するとともに、ゲートウェイ装置54を介してルータ装置55と通信するように構成されている。無線アダプタ53は、ルータ装置55から送信される信号を受信し、受信した信号を冷蔵庫100,200の制御部に出力する。この信号に基づいて、冷蔵庫100,200は、対応する動作を実行するように構成されている。
無線アダプタ53は、また、冷蔵庫100,200の識別情報(例えば、製造番号や型番等)、および、後述する庫内画像データのうち、少なくともいずれかの情報等を冷蔵庫100,200の記憶部から取得して、ゲートウェイ装置54を介してルータ装置55に送信するように構成されている。なお、無線アダプタ53は、冷蔵庫100,200に一体的に設けられていてもよいし、着脱可能に構成されていてもよい。
無線アダプタ53は、「接続」ボタン53aを備えている。「接続」ボタン53aは、ゲートウェイ装置54と新規に接続するためのボタンである。「接続」ボタン53a(図16)が使用者によって操作されると、無線アダプタ53は、冷蔵庫100,200の記憶部60から冷蔵庫100,200の識別情報(例えば製造番号や型番)を取得するように構成されている。
携帯端末55aとしては、上述したように、例えば、スマートフォン、またはタブレットPC(パーソナルコンピュータ)等の汎用の携帯型の端末を用いることができる。以下の例においては、携帯端末55aは、インターネット56に接続する機能(手段)と、後述するゲートウェイ装置54と通信する機能(手段)とを備えているものとする。
携帯端末55a(例えばスマートフォン)は、電話回線網(例えば3G回線網)を介して、インターネット56に接続できるように構成されている。それに加えて、またはその代わりに、携帯端末55aは、例えばWi−Fi通信機能によって公衆無線LANを介してインターネット56に接続できるように構成されてもよい。
インターネット56に接続することにより、携帯端末55aは、例えば、冷蔵庫100,200内の食品の画像データ、および省エネ運転をさせるためのデータ(例えば扉の開閉回数等のデータ)の少なくとも一方を取得するプログラムを、インターネット56を介して冷蔵庫100,200の製造メーカのホームページから取得することができる。携帯端末55aは、取得したプログラムをインストールし、インストールされたプログラムを起動する。これにより、携帯端末55aは、冷蔵庫100,200内の食品の画像データ等を取得することが可能になる。すなわち、携帯端末55aは、その操作画面を操作することによって、冷蔵庫100,200の画像データを取得するための操作信号を生成し、送信することが可能になる。詳細については、後述する。
また、携帯端末55aは、例えば、Wi−Fi通信、Bluetooth(登録商標)通信、赤外線通信等の、インターネット56を介さない汎用の通信によってルータ装置55と接続している。携帯端末55aは、ルータ装置55を介してゲートウェイ装置54と通信接続するように構成されている。そのために必要なデバイス(例えばWi−Fiアンテナ等)は、携帯端末55aに組み込まれている。
ゲートウェイ装置54は、無線アダプタ53と携帯端末55aとの通信を中継する装置であって、例えば、無線アダプタ53と、特定小電力無線特別小型周波数帯(924.0〜928.0MHz)の信号を用いて通信できるように構成されている。ゲートウェイ装置54と無線アダプタ53間の通信の周波数帯は、遠距離まで届く低周波数帯を用いることが好ましく、ゲートウェイ装置54は、ルータ装置55とともに、冷蔵庫100,200が設置された使用者の住居A内に設置されている。
また、ゲートウェイ装置54は、携帯端末55aと、ルータ装置55を介して通信接続するように構成されている。すなわち、ゲートウェイ装置54は、携帯端末55aと、インターネット56を介さず、ルータ装置55のみを介して通信(第1の通信)が実行できるように構成されている。
さらに、ゲートウェイ装置54は、ルータ装置55を介してインターネット56に接続可能に構成されている。これにより、ゲートウェイ装置54は、インターネット56、およびルータ装置55を介しても、携帯端末55aと通信(第2の通信)することができる。また、ゲートウェイ装置54は、サーバ装置57とも通信することができる。
したがって、ゲートウェイ装置54は、携帯端末55aとの間で、インターネット56を介さない通信(すなわちルータ装置55のみを介する第1の通信)と、インターネット56を介する通信(すなわちインターネット56およびルータ装置55を介する第2の通信)とが実行できるように構成されている。このように構成する理由については後述する。
サーバ装置57は、例えば、冷蔵庫100,200の製造メーカによって用意される。サーバ装置57は、携帯端末55a、冷蔵庫100,200、および無線アダプタ53に関して、アクセスや認証に必要な情報等を管理している。例えば、サーバ装置57は、通信要求信号に含まれる携帯端末55aの識別情報と、無線アダプタ53に対応付けされて記憶(登録)されている携帯端末の識別情報とが一致するか否かを認証(判別)する。そして、サーバ装置57は、これらが一致する場合には、アクセスしている携帯端末55aを、正規の携帯端末として認証し、住居A内の冷蔵庫100,200との通信を許可する。
また、サーバ装置57は、上述した、冷蔵庫100,200から送信された、冷蔵庫100,200内の食品の画像データ、および省エネ運転をさせるためのデータのうち少なくともいずれかの情報等を保存する。これらのデータは、携帯端末55aからのデータ呼び出し信号に基づき、サーバ装置57から携帯端末55aに送信される。すなわち、使用者は、携帯端末55aを操作することによって、冷蔵庫100,200内の食品画像データを表示させて確認することができる。
1−3.冷蔵庫のシステム部構成
図16は、本発明の実施の形態における冷蔵庫システム50に用いられる冷蔵庫100,200のシステム構成を示す図である。
図16に示したように、冷蔵庫100,200は、インターフェイス58(I/F)、制御部であるコントローラ59、記憶部60、扉開閉検出部61、庫内照明灯34−1,34−2、カメラ35−1,35−2、ファン駆動回路62、コンプレッサ駆動回路63、送風ファン18、およびコンプレッサ19を備えている。冷蔵庫100,200は、例えば住居A内の商用電源等の交流電源64から電力の供給を受けている。
インターフェイス58は、無線アダプタ53と、冷蔵庫100,200のコントローラ59との間のデータ等のやり取りを行う。
コントローラ59は、冷蔵庫100,200の動作を制御する。また、コントローラ59は、カメラ35−1,35−2、および庫内照明灯34−1,34−2を制御して、冷蔵庫100,200内の食品を撮影するとともに、撮影された画像データを記憶部60に一旦記憶する。コントローラ59は、さらに、画像データをインターネット56上のサーバ装置57に送信する。
また、コントローラ59は、携帯端末55aからサーバ装置57を介して画像データの事前送信の要求信号の送信があれば、食品撮影後、画像データを直ちにサーバ装置57を介して携帯端末55aに送信実行するように指示する。この動作の詳細については、後述する。
記憶部60は、識別記号、および制御プログラムの他に、カメラ35−1,35−2で撮影された庫内食品の画像データ、および省エネ運転をさせるためのデータを書き換えて記憶する。
庫内照明灯34−1,34−2は、扉開閉検出部61からの信号に基づいて、コントローラ59によって点灯および消灯が制御される。具体的には、例えば、扉10が開かれると庫内照明灯34−1,34−2が点灯し、扉10が閉じられると数秒の遅延時間をおいて消灯する制御が行われる。
カメラ35−1,35−2は、扉開閉検出部61からの信号に基づいて、コントローラ59によって制御される。例えば、扉10が閉じられると、カメラ35−1,35−2が冷蔵庫100,200内の食品を撮影する制御が行われる。詳細は後述する。
ファン駆動回路62は、コントローラ59からの制御信号を受けて、送風ファン18の回転駆動を制御する。
コンプレッサ駆動回路63は、コントローラ59からの制御信号を受けて、コンプレッサ19の回転数等の駆動を制御する。
送風ファン18は、ファン駆動回路62の制御に従って動作し、冷気を循環させるための気流を発生する。
コンプレッサ19は、コンプレッサ駆動回路63の制御に従って、冷蔵庫100,200内を循環する冷媒を圧縮する。
1−4.サーバ装置の構成
次に、本実施の形態における冷蔵庫システム50のサーバ装置57の構成例について説明する。ここでは、図15中のサーバ装置57の構成を一例として挙げる。
図17は、本発明の実施の形態における冷蔵庫システム50のサーバ装置57の構成例を示す図である。
図17に示したように、サーバ装置57は、サーバ用インターフェイス65(図面にはI/Fと記載する)、サーバ制御部66、およびデータ記憶部67を備えている。
サーバ用インターフェイス65は、サーバ制御部66の制御に従って、インターネット56を介して、携帯端末55aおよびルータ装置55のうちの少なくともいずれかと、サーバ装置57との間のデータ等のやり取りを行う通信部である。
サーバ制御部66は、サーバ装置57の全体の動作を制御する。サーバ制御部66は、冷蔵庫100,200から送信された食品の画像データを結合処理し、データ記憶部67に記憶させる。サーバ制御部66は、携帯端末55aから画像データの事前送信要求の信号が送信されると、データ記憶部67に記憶されている最新画像データを、その画像データが冷蔵庫100,200から送信されてくる都度、携帯端末55aに送信して、携帯端末55aに書き換え更新させる。画像データの事前送信要求の信号がない状態で携帯端末55aからデータ呼び出し信号が送信されると、サーバ制御部66は、データ記憶部67に記憶されている最新の画像データを携帯端末55aに送信する。
データ記憶部67は、冷蔵庫システム50の制御を実行するための管理プログラム、およびアプリケーションプログラム等の必要なデータを記憶している。さらに、データ記憶部67は、サーバ制御部66の制御に従って、冷蔵庫100,200から送信される食品画像データの最新データを書き換えて記憶する。データ記憶部67は、例えば、HDD(Hard Disc Drive)やSSD(Solid State Drive)等により構成されている。
なお、サーバ装置57は、単一の大型コンピュータによって構成されるサーバ装置、および、多数のコンピュータ群で構成されるクラウド型サーバ装置のうちのいずれによっても構築することができる。
<2.動作>
次に、上述した構成を有する冷蔵庫100,200、および冷蔵庫システム50の動作について説明する。なお、以下の各説明において、同じ動作については同一のステップ番号を付記して説明する。
2−1.食品の撮影動作
2−1−1.扉閉時の撮影
図18は、本発明の実施の形態に係る冷蔵庫100,200において、扉10を閉じたときに貯蔵庫内の食品の撮影を行う場合の動作を示すフローチャートである。
使用者によって、食品を出し入れすべく扉10が開かれると、扉10が開かれたことが検知され(S1,YES)、庫内照明灯34−1,34−2が点灯される(S2)。
次に、使用者によって扉10が閉じられると、扉10が閉じられたことが検知されて(S3,YES)、庫内照明灯34−1,34−2の照度が落とされて(S4)、しばらくの後、例えば数秒経過後に、カメラ35−1,35−2が起動されて、庫内の食品が撮影される(S5)。
その後、撮影された画像データが冷蔵庫100,200の記憶部60に記憶され(S6)、庫内照明灯34−1,34−2が消灯される(S7)。
このように、本実施の形態において、庫内の撮影時には、庫内照明灯34−1,34−2の照度を、扉10が開いているときの照度よりも落として撮影する。これにより、食品を鮮明に撮影することができ、好適である。庫内照明灯34−1,34−2を、扉10が開いているときの照度のままで点灯させて食品を撮影すると、貯蔵庫内面が白色系であるために、貯蔵庫開口部分を除く全周面から反射光が食品に強く反射する(照度が低下することなく高い照度のままで食品にはね返る)。そうすると、食品が白っぽくなって、鮮明な撮影が困難となる。そこで、上述した例のように、庫内照明灯34−1,34−2の照度を落とすと、貯蔵庫内面からの反射光の影響を大幅に低減することができるので、鮮明な画像の撮影が可能となる。
2−1−2.冷蔵室冷却時の撮影
図19は、本発明の実施の形態に係る冷蔵庫100,200において、庫内の食品を出し入れした後、冷却時に貯蔵室の食品の撮影を行う場合の動作を示すフローチャートである。
使用者によって、食品を出し入れするために扉10が開かれると、扉10が開かれたことが検知され(S1,YES)、庫内照明灯34−1、34−2が点灯される(S2)。そして、使用者によって、扉10が閉じられて、扉10が閉じられたことが検知されると(S3,YES)、冷蔵室5が冷却運転状態か否かが判断される(S8)。もし、送風ファン18がON状態で、かつ、ダンパ22が開状態であれば、冷蔵室5の冷却運転中であると判定され(S8,YES)、前述した扉閉時(図18、S3,YES)と同様に、庫内照明灯34−1,34−2の照度が落とされて(S4)、カメラ35−1,35−2が起動され、庫内の食品が撮影される(S5)。その後、撮影された画像データが冷蔵庫100,200の記憶部60に記憶されて(S6)、庫内照明灯34−1,34−2が消灯される(S7)。
例えば、新しく貯蔵庫内に入れた食品の表面に貯蔵庫内外の温度差による結露が生じた場合でも、結露は冷却動作によって解消され、なくなる。したがって、冷蔵室5の冷却運転中に撮影を行うことによって、カメラ35−1,35−2による撮影は、食品包装容器に記載されている文字が読み取れるほど鮮明に行われるので、好適である。
なお、上述した図18,図19における動作の中で、扉10が閉じられたときには(S3,YES)、一度、庫内照明灯34−1,34−2を消灯させて、撮影前に再度、庫内照明灯34−1,34−2を点灯させ、その照度を低下させるようにしてもよい。これにより、庫内照明灯34−1,34−2が点灯し続けることによる無駄な電力の消費を抑制させることができる。
2−1−3.扉開時の撮影
図20は、本発明の実施の形態に係る冷蔵庫200が一枚扉の場合において、扉10が所定角度開いた時点で貯蔵庫内の食品の撮影が行われるようにした場合の動作を示すフローチャートである。
使用者によって、食品を出し入れするために扉10が開かれると、扉10が開かれたことが検知され(S1,YES)、庫内照明灯34−1,34−2が点灯され(S2)、扉10の開き角度が所定角度、例えば図13に示した30度の開き角度となっているか否かが判定される(S10)。扉10の開き角度が所定角度以上であると判定されると(S10,YES)、庫内照明灯34−1,34−2の照度が落とされて(S4)、カメラ35−1,35−2を起動させて、庫内の食品が撮影される(S5)。その後、撮影された画像データが冷蔵庫200の記憶部60に記憶され(S6)、扉10が閉じられると、扉10が閉じられたことが検知され(S11,YES)、庫内照明灯34−1,34−2が消灯される(S7)。
図20に示した例のように、扉10を所定角度開いた時点で庫内を撮影するようにすると、すでに述べたように、貯蔵庫内を広範囲に撮影でき、しかも、その画像は、違和感のない自然なものとなるので、好適である。
なお、扉10が所定角度開いた時に撮影する場合には、扉10が開く動作時と扉10が閉じる動作時の少なくとも二回以上撮影が行われることになる。このとき、一回の扉10の開状態から閉状態までの動作時間の中で、最後に撮影された画像データ(通常は、扉閉動作時)を記憶部60に記憶することにより、食品の出し入れを終えた、最新の貯蔵庫の食品状態を撮影することができる。
なお、ステップS10において、扉10の開き角度が所定角度に達するか否かを検出するとき、扉10が所定角度に達する前に扉10が閉じられると、庫内照明灯34−1,34−2は消灯され、再び扉10が開かれるまで、冷蔵庫200は待機する。
以上、撮影動作について代表的なものを例示して説明したが、これらの撮影動作以外にも、例えば、定刻になると、または、前回の撮影後所定時間が経過すると、撮影を行うことも可能である。また、携帯端末55aから撮影指示があると撮影する、等の撮影動作も可能である。
2−1−4.撮影時の照明
本実施の形態における撮影時には、図18〜図20を用いて説明したように、庫内照明灯34−1,34−2を点灯させた上で、その照度を低下させた状態で庫内を照射して撮影する。このとき、貯蔵庫両側面の庫内照明灯34−1、または、貯蔵庫上面の庫内照明灯34−2のみを点灯させ、照度を低下させて照射し、撮影することも可能である。
また、撮影時の食品照射の他の例として、次のように制御することも考えられる。
図21は、本実施の形態の冷蔵庫100,200における、カメラ35−1,35−2による撮影時の庫内照明灯34−1,34−2の点灯、および消灯の制御の他の例を示すフローチャートである。なお、図21は、図18〜図20における、破線部分(S4、およびS5)の動作に相当する。
上述した図18〜図20による撮影は、庫内照明灯34−1,34−2を点灯させた上で、その照度を低下させて撮影する例である。図21の例では、貯蔵庫両側面の庫内照明灯34−1の片方ずつを消灯させ、換言すると、貯蔵庫両側面の庫内照明灯34−1の片方のみが点灯している状態にして、食品を照射し、撮影する。このとき、貯蔵庫上面の庫内照明灯34−2は、点灯、消灯いずれの状態であってもよいが、庫内の照度が撮影に最適になるように、いずれかの状態を適宜選択すればよい。
図21に示したように、カメラ35−1,35−2による撮影を始める前に、すでに点灯している、貯蔵庫両側面の庫内照明灯34−1のうちいずれか一方、例えば右庫内照明灯が消灯され(S12)、左庫内照明灯により照射されている状態の食品が撮影(S13)され、記憶される(S14)。その後、右庫内照明灯が点灯され(S15)、次に、左庫内照明灯が消灯されて(S16)、右庫内照明灯で照射されている状態の食品が撮影される(S17)。撮影された画像データは記憶され(S18)、右庫内照明灯が消灯される(S19)。なお、ステップS12〜S19の例は、左右逆としても実行可能である。
食品を片方側から照射して記憶された画像データは、合成されて一つの画像として記憶されることも可能である。庫内照明灯34−1,34−2を片方ずつ点灯させて食品を撮影し、一つの画像データに合成する理由は以下の通りである。
すでに述べたとおり、撮影時には庫内照明灯34−1,34−2の照度を低下させて撮影するが、その照度低下をあまり大きくすると、写りが暗くなって鮮明さに欠けるようになるので、照度を低下させるのにも限度がある。このため、ある程度の照度を維持する必要があるが、その照度であっても、貯蔵庫内容積が小さい場合等には、反射光による影響が残る場合がある。しかしながら、上述したように、庫内照明灯34−1の左右の片方ずつを点灯させて食品を撮影すると、反射光の影響を低減でき、庫内照明灯34−1が点灯している側の面を適度な明るさで撮影することができる。よって、この適度な明るさで撮影された食品の左右の画像を結合する合成処理を行えば、全体を鮮明な画像とすることができ、好適である。
2−2.画像の保存と合成
次に、上述した各動作において撮影された画像データの保存処理、および合成処理について説明する。
2−2−1.サーバ装置で保存と合成とを行う場合
図22は、本発明の実施の形態の冷蔵庫システム50において、サーバ装置57で画像データの保存処理と合成処理を行う場合のフローチャートである。
上述した図18〜図20(図21に示した工程を含む)に示した動作によって庫内が撮影されると、冷蔵庫100,200は、無線アダプタ53から、ゲートウェイ装置54、およびルータ装置55を介してインターネット56に接続する(S20)。そして、冷蔵庫100,200は、各カメラで撮影され、記憶された個別の画像データを、インターネット56に接続されたサーバ装置57に送信する(S21)。
インターネット56を経由して送信された画像データは、サーバ装置57のサーバ制御部66によって、個別の画像データを結合する合成処理(S22)が行われる。合成処理された画像データは、サーバ装置57のデータ記憶部67に、保存される(S23)。
このように、サーバ装置57で画像を合成し、かつ、記憶保存することにより、冷蔵庫100,200側のコントローラ59、および記憶部60等の負荷を低減することができ、インターネット対応型の冷蔵庫100,200を安価に提供することができる。
2−2−2.冷蔵庫側で保存処理と合成処理とを行う場合
図23は、本発明の実施の形態に係る冷蔵庫システム50において、冷蔵庫100,200側で画像データの保存処理と合成処理を行う場合のフローチャートである。
上述した図18〜図20(図21に示した工程を含む)に示した動作によって庫内が撮影されると、冷蔵庫100,200の制御部であるコントローラ59は、記憶部60に記憶された各カメラからの個別の画像データを取り出して、結合し、合成する(S24)。そして、コントローラ59は、合成された画像データを記憶部60に記憶させる(S25)。
冷蔵庫100,200は、無線アダプタ53から、ゲートウェイ装置54、およびルータ装置55を介してインターネット56に接続する(S20)。そして、冷蔵庫100,200は、記憶された画像データを、インターネット56に接続されたサーバ装置57に送信する(S21)。インターネット56を経由して送信された合成画像データは、サーバ装置57のデータ記憶部67に、保存される(S23)。
この例においては、冷蔵庫100,200側のコントローラ59、および記憶部60の負荷は大きくなるが、サーバ装置57のデータ記憶部67を介することなく、携帯端末55aと画像データを送受信することができるので、システム運営費を安価にすることができる。
2−2−3.携帯端末側で保存と合成
図24は、本発明の実施の形態に係る冷蔵庫システム50において、携帯端末55a側で画像データの保存処理と合成処理とを行う場合のフローチャートである。
上述した図18〜図20(図21に示した工程を含む)に示した動作によって庫内が撮影されると、冷蔵庫100,200は、無線アダプタ53からゲートウェイ装置54、およびルータ装置55を介して、インターネット56に接続する(S20)。冷蔵庫100,200は、サーバ装置57ではなく、携帯端末55aに画像データを送信する(S26)。インターネット56を経由して送信された画像データには、携帯端末55aによって画像データを結合する合成処理(S27)が行われる。合成処理された画像データは、携帯端末55aのデータ記憶部に保存される(S28)。
この例の場合には、携帯端末55aの負荷は増大するものの、冷蔵庫100,200側のコントローラ59、および記憶部60の負荷を低減することができ、インターネット対応型の冷蔵庫100,200を安価に提供することができる。
以上、画像データの送信と合成動作について、代表的なものを例示して説明した。しかしながら、保存を行う装置と合成を行う装置とは必ずしも同一の装置、例えばサーバ装置57で行わなければならないというものではなく、例えば、冷蔵庫100,200で画像データを合成し、サーバ装置57で画像データを保存する等、冷蔵庫システム50の構成に応じて任意に設定すればよい。
2−3.画像データの通常の送受信
2−3−1.サーバ、冷蔵庫に保存の画像データの送受信
図25は、本発明の実施の形態に係る冷蔵庫システム50におけるサーバ装置57または冷蔵庫100,200と、携帯端末55aとの送受信を示すフローチャートである。図25は、サーバ装置57または冷蔵庫100,200に記憶されている画像データの送受信処理を示している。
まず、使用者は、例えば買い物先等において、携帯端末55aに表示されるサーバ接続ボタン(図示せず)を押して、サーバ装置57のデータ記憶部67に記憶された画像データの読み込み要求を行う(S31)。携帯端末55aは、サーバ装置57から画像データが取り込まれたか否かを検出する(S32)。ステップS32において、画像データが転送されていなければ(S32,NO)、携帯端末55aからインターネット56に接続を行う(S33)。
次に、サーバ装置57のデータ記憶部67、または冷蔵庫100,200の記憶部60に記憶された画像データが取り出され(S34)、画像データは、インターネット56を経由し、データ呼び出し元であるスマートフォン等の携帯端末55aに転送される(S35)。携帯端末55aは、サーバ装置57等から画像データが取り込まれたか否かを検出し(S32)、画像データが取り込まれたら(S32,YES)、携帯端末55aのディスプレイに画像データを出力する(S36)。
その後、携帯端末55aは、ディスプレイに表示される拡大ボタン(図示せず)が押されたか否かを検知し(S37)、拡大ボタンが押されたことを検知すると(S37,YES)、ディスプレイに出力された貯蔵庫内の画像データを、デジタル変換で1.1倍以上に拡大して画像データを作成する。そして、携帯端末55aは、拡大変換された画像データを、携帯端末55aのディスプレイに出力する(S36)。
その後、携帯端末55aは、ディスプレイに表示されるテンキーボタン(図示せず)が押されたかを検知し(S38)、テンキーボタンが押されたことを検知すると(S38,YES)、ディスプレイに出力された貯蔵庫内の拡大画像データを、テンキーボタンで指定された箇所に対応する画像データとして、ディスプレイに出力する(S36)。携帯端末55aは、拡大ボタンが押されなかった場合(S37,NO)、かつ、テンキーボタンが押されなかった場合(S38,NO)には、次のステップに進む。
なお、上述した拡大ボタン、および所定箇所の画像データを表示させるテンキーボタンは、ディスプレイの表面を指でタップする方式、または、スライドすることによって入力する方式とすればよい。このような構成とすることによって、使い勝手を向上させることができる。
以上述べたように、本実施の形態の冷蔵庫システム50によれば、買い物先で冷蔵庫100,200の中身を一目で確認することができる。よって、使用者は、買い忘れを予防することができるとともに、余分な食材を購入してしまう無駄をなくすことができる。また、夫婦が共働きで働く家庭においては、帰る間際に冷蔵庫100,200の貯蔵庫内を確認して、帰宅途中で食材等を購入することができるので、使用者にとって時間の有効活用ができる。
また、拡大表示や所定箇所表示をさせることによって、携帯端末55aのように小型化が進んだ端末においても、拡大させて画像を表示させることで、食材を確実に見せることができる。
2−3−2.携帯端末に保存の画像データの送受信
図26は、本発明の実施の形態における冷蔵庫システム50において、すでに携帯端末55aに画像データが記憶、保存されている場合の動作を示すフローチャートである。
図26に示した場合においては、図24で述べた様に、冷蔵庫100,200から携帯端末55aに、画像データが送信されて保存されている。使用者が、携帯端末55aにおいて、この画像データの読み込み要求を行う(S31)と、携帯端末55aの記憶部から画像データが取り込まれて、携帯端末55aのディスプレイに画像データが出力される(S36)。その後の、拡大表示操作(S37)や局所表示(S38)については、図25を用いて説明した通りである。
2−3−3.画像データの切換受信
ここでは、例えば、カメラ35−1,35−2で撮影された画像として、各カメラ35−1,35−2それぞれの個別画像(例として、貯蔵庫内の上半分の画像および下半分の画像)と、これらの各個別画像を結合して合成された合成画像(貯蔵庫内を上から下まで一枚に合成した画像)とが記憶保存されているものとする。これらの画像を切換えて送受信し、携帯端末55aに表示する例について説明する。
図27は、本発明の実施の形態における冷蔵庫システム50において、カメラ35−1,35−2それぞれによって撮影された個別画像と、合成画像とを切り替えて送受信する場合の動作を示すフローチャートである。
使用者は、携帯端末55aのディスプレイに表示される個別画像/合成画像呼び込みボタン(図示せず)を押す。携帯端末55aは、個別画像/合成画像呼び込みボタンが押されたか否かを判定し(S41)、押された場合には(S41,YES)、個別画像および合成画像のうち、いずれかの画像の呼び出しを行う(S42,S42’)。個別画像が呼び出されるか、合成画像が呼び出されるかについては、例えば、ボタンが押される都度、または、ボタンが押される回数によって切り替えることができる。以降は、図25または図26に示したフローにしたがって、個別画像または合成画像のいずれかの画像データが取り込まれ、携帯端末55aのディスプレイに表示される。
この例では、携帯端末55aに表示させる画像を、個別画像および合成画像のうちのいずれかに切り換えることができるようにしている。これにより、通常は合成画像を呼び込んで表示させることにより、貯蔵庫内の食品状況を一目で確認し、食品が貯蔵庫の隅にある等の理由によって、判別しにくいとき等は、個別画像に切り換えて表示させることができる。これにより、使用者は、食品を確実に判別することができ、使い勝手を向上させることができる。
2−4.画像データ等の事前送信要求があったときの送受信
図28は、本発明の実施の形態に係る冷蔵庫システム50において、携帯端末55aから画像の事前送信要求があった場合の処理のフローチャートである。
まず、使用者が携帯端末55aを操作して、事前要求信号を送信する、要求操作を行う(S51)。サーバ装置57、または冷蔵庫100,200は、この要求信号を受信し(S52)、データ記憶部67、または記憶部60に記憶された画像データ(要求に対応した個別画像データ、または合成画像データ、以下同じ)を読み込んで送信する(S53)。
携帯端末55aは、サーバ装置57、または冷蔵庫100,200から送信された画像データが取り込まれたか否かを検出する(S54)。画像データが送信されていないと判定された場合には(S54,NO)、携帯端末55aからインターネット56に接続を行う(S55)。そうすると、サーバ装置57、または冷蔵庫100,200に記憶された画像データが取り込まれて(S56)、画像データがインターネット56を経由して、携帯端末55aに送信される(S57)。携帯端末55aは、サーバ装置57等から画像データが取り込まれたか否かを検出し(S54)、画像データが検出されたら(S54,YES)、画像データの呼び出し操作があるまで待機する(S58,NO)。画像データの呼び出し操作があれば(S58,YES)、携帯端末55aは、ディスプレイに画像データを出力する(S59)。
ここで、携帯端末55aから画像データが要求されたとき、サーバ装置57等へのアクセスが集中していて、サーバ装置57等からの画像データの送信が遅くなる場合を想定する。このような場合でも、上述した処理を行うことにより、画像データの要求と同時に、リアルタイムに画像データをディスプレイに表示させて、使用者が画像を確認することができる。したがって、買い物先で画像データが表示されるまで、長時間待つような事態を避けることができ、買い物時間を短縮することができる。
また、携帯端末55aから画像の事前送信要求があれば、サーバ装置57等は、冷蔵庫100,200の扉10が閉じられる度に、画像データを都度、携帯端末55aに送信する設定としておくこともできる。さらに、携帯端末55aを持っている使用者に対して、画像データが送信されたことを報知するように設定しておくことにより、使用者は、扉開閉が行われたことを、その都度知ることができる。よって、使用者は、例えば扉開閉回数が多くなって電力消費量が多くなりそうな場合には、自宅に電話して子供等に冷蔵庫100,200の使用を控えるように話をすることができ、省エネルギー性に関する利便性を向上させることもできる。
2−5.画像データ等の送受信経路の切換
図29は、本発明の実施の形態に係る冷蔵庫システム50における、携帯端末55aの通信経路選択時のディスプレイ表示を示す図である。
画像データの送受信の流れは、すでに述べたとおりであるが、ここでは、通信の経路を変更して画像データの取得を迅速化する例について説明する。
具体的には、使用者が、携帯端末55aの通信を、ルータ装置55を介してゲートウェイ装置54と直接行うか、または、インターネット56を介してサーバ装置57と行うか、選択可能としている。
図29に示したように、選択ボタン70,71は、携帯端末55aのディスプレイに表示される、通信経路の選択ボタンである。選択ボタン70は、携帯端末55aを、ルータ装置55、およびゲートウェイ装置54を介して冷蔵庫100,200に直接接続する「ダイレクト」選択ボタンである。選択ボタン71は、携帯端末55aを、インターネット56を介してサーバ装置57、または冷蔵庫100,200と接続する「サーバ」選択ボタンである。データ選択ボタン72,73は、呼び出すデータを選択するためのデータ選択ボタンである。データ選択ボタン72は、食品の画像データを選択するための画像データボタンであり、データ選択ボタン73は、扉開閉回数等の省エネルギー性に関連するデータを選択するための他データボタンである。携帯端末55aは、送信ボタン74も有している。
「ダイレクト」選択ボタン70が選択されると、携帯端末55aには「ダイレクト」通信が設定される。「ダイレクト」通信が設定されている状態で、使用者が送信ボタン74に触れると、携帯端末55aの画像データ要求信号が、携帯端末55aからルータ装置55を介して、直接、ゲートウェイ装置54に送信される。ゲートウェイ装置54は、受信したデータ要求信号を、冷蔵庫100,200の無線アダプタ53に送信する。無線アダプタ53は、画像データ要求信号を受信すると、冷蔵庫100,200のコントローラ59にこれを送信する。冷蔵庫100,200のコントローラ59は、画像データ要求信号を受信すると、記憶部60に保存された画像データを読み込み、無線アダプタ53、ルータ装置55を介して携帯端末55aに画像データを送信する。
ここで、使用者の有する携帯端末55aが、図15の二点鎖線で示したように、住居A内に位置する場合、広義には、携帯端末55aがルータ装置55と直接通信できる位置に存在する場合を想定する。この場合、携帯端末55aは、ルータ装置55を介してゲートウェイ装置54と通信し、冷蔵庫100,200の記憶部60から画像データを直接取得することができる。
これによって、インターネット56へのアクセス集中による回線の混雑等により、携帯端末55aへの使用者の操作に対して、画像データの送信レスポンスに遅延が発生するような場合には、使用者は、携帯端末55aを「ダイレクト」通信に切り替えることができる。これにより、インターネット56の回線の混雑等を受けずに画像データの取得を行うことができる。よって、使用者は待ち時間なしにリアルタイムに携帯端末55aのディスプレイに画像を表示させ、貯蔵庫内の食品状況を確認することができる。
一方で、使用者が、図15の実線に示したように、住居A外に位置する場合、広義には、携帯端末55aがルータ装置55と直接通信できない位置に存在する場合を想定する。この場合、使用者が「サーバ」選択ボタン71に触れることによって、携帯端末55aは、インターネット56を介してサーバ装置57と通信を行い、冷蔵庫100,200の画像データを読み込む。すなわち、使用者は、住居A外にいる場合、「サーバ」選択ボタン71に触れて「サーバ」通信を設定することにより、遠隔地に居ても携帯端末55aによって冷蔵庫100,200の画像データを取得し、食品の収納状況を知ることができる。
以上述べたように、本実施の形態における冷蔵庫システム50は、使用者が、「ダイレクト」通信、および「サーバ」通信のうち、いずれか一方を選択することができる。使用者は、住居A内に居るような場合には「ダイレクト」通信を選択することにより、インターネット回線の混雑に影響されることなく快適な状態で画像を見ることができる。
以上、具体的な構成を例示して、本実施の形態の冷蔵庫100,200、および冷蔵庫システム50を説明したが、本発明は上記構成に限定されるものではない。
例えば、上述の例においては、携帯端末55aと、冷蔵庫100,200の無線アダプタ53、およびインターネット56との通信経路にゲートウェイ装置54を介在させる例を示したが、このゲートウェイ装置54は必ずしも必要ではない。例えば、ルータ装置55を介して、直接、携帯端末55aと、冷蔵庫100,200の無線アダプタ53とが、インターネット56と通じて通信するように構成することもできる。これによって、システム構成の簡素化を図ることができる。
また、上述の例では、使用者が住居A外に居るときには、サーバ装置57から画像データを取得するようにしたが、サーバ装置57を介さずに、携帯端末55aから、インターネット56を介して、ルータ装置55、およびゲートウェイ装置54と通信し、冷蔵庫100,200の記憶部60に記憶されている画像データを冷蔵庫100,200から直接取り込むように構成してもよい。この場合、および、「ダイレクト」通信を行う場合には、冷蔵庫100,200の記憶部60で画像の結合処理を行って、結合処理後の画像データを送信することが好ましい。
さらに、上述の例では、携帯端末55aのディスプレイに、「ダイレクト」選択ボタン70と「サーバ」選択ボタン71とを表示させて、使用者が「ダイレクト」通信と「サーバ」通信との選択を行う場合を例示した。しかしながら、これを、携帯端末55aに、ルータ装置55からの電波をキャッチすると自動的に「ダイレクト」通信に切り替わる機能を持たせ、「ダイレクト」通信が自動的に選択されるように構成してもよい。これにより、使い勝手を向上させることができる。
2−6.画像データ等の表示
また、冷蔵庫100,200の画像表示部15に画像データを表示する場合には、静電容量式の薄膜10a−5によるセンシングの結果に基づいた表示を行うとよい。本実施の形態の場合には、従来のセンサと比べて、大型のセンサを用いることができる。このため、庫内の画像の全体を、ディスプレイ10a−3に表示させる動作はもちろんのこと、静電容量式の薄膜10a−5がセンシングした位置に対応した部分のみを表示するようにしてもよい。このようにすることで、使用者が庫内の一部分を確認したいような場合であって、全体を表示する必要がない場合であっても、適切な表示対応をすることができ、使い勝手を損なうことなく省エネルギー性の実現も可能となる。
また、静電容量式の薄膜10a−5がセンシングした内容に応じて、画像表示部15に表示する内容を変更してもよい。例えば、静電容量式の薄膜10a−5がセンシングした面積が一定の面積よりも小さい場合には、子供が触ったと判断して、親の画像を表示して携帯端末55a側とやり取りさせるか、または、親の伝言メモを伝えることができるように構成することができる。一方、静電容量式の薄膜10a−5がセンシングした面積が一定の面積よりも大きい場合に、大人が触ったと判断して、庫内の画像データを表示するようにしてもよい。このようにすることで、静電容量式の薄膜10a−5がセンシングした内容に応じて、使用者の特性を判断し、表示内容を変更することによって、楽しく使い勝手のよい冷蔵庫100,200を実現することが可能となる。
さらに、お年寄りが一人暮らしをしている場合等には、冷蔵庫100,200に触れた状態(静電容量式の薄膜10a−5の反応状態)に応じて、携帯端末55aに対する通信が行われるように構成してもよい。このようにすることで、冷蔵庫100,200が見守り機能を発揮することになり、冷蔵庫100,200を介して、安心安全なシステムを提供することが可能となる。
以上、説明してきたように、本発明の実施の形態における、冷蔵庫100,200および冷蔵庫システム50は、種々の作用効果を奏する。本実施の形態の、静電タッチ式の薄膜10a−5を備えた透明板材10a−1、カメラ35−1,35−2、および庫内照明灯34−1,34−2を用いた構成によれば、使い勝手が良く、デザイン性に優れ、貯蔵庫内の食品を良好に撮影でき、食品の判別を容易に行える、安価な冷蔵庫100,200、および冷蔵庫システム50を提供することができる。
すなわち、本実施の形態の冷蔵庫100,200において、カメラ35−1,35−2は、貯蔵庫の前面側から貯蔵庫内の食品を撮影する。このとき、庫内照明灯34−1,34−2も貯蔵庫の前面側に設けられており、貯蔵庫内の食品を、カメラ35−1,35−2による撮影方向と同じ前面側から照射している。したがって、その撮影画像は、庫内照明灯34−1,34−2が貯蔵庫の奥壁に設けられている場合のような暗さや見にくさはなく、鮮明な画像となる。また、撮影した画像を明るくし、鮮明にする画像処理をサーバ装置57にて行う必要もなくなる。
また、カメラ35−1,35−2と庫内照明灯34−1,34−2とは、棚板30−1〜30−4の前端よりも前方側に位置するように設けられている。これにより、カメラ35−1,35−2で撮影された貯蔵庫内の画像は、使用者が冷蔵庫100,200の扉10を開いて実際に見る状態と同じとなる。したがって、使用者は、画像表示部15または携帯端末55aに画像データを表示させたとき、何ら違和感を持つことなく貯蔵庫内の食品状況を確認することができる。しかも、庫内照明灯34−1,34−2は、棚板30−1〜30−4の前端前方から棚板上の食品を照らすので、棚板30−1〜30−4の前端部に載置されている食品も、明るく、かつ、鮮明に撮影することができる。
また、カメラ35−1,35−2は、冷蔵庫100,200の扉10内面部に設けられるとともに、貯蔵庫の左右方向の実質的な中央部に位置するように設けられている。したがって、カメラ35−1,35−2で撮影された画像を、使用者が冷蔵庫100,200の扉10を開いて実際に見る状態に、より近い形とすることができる。加えて、カメラ35−1,35−2と棚板上の食品との間の距離を大きくとることにより、貯蔵庫内の広い範囲を撮影することができ、より広範囲の食品の収納状況を画像表示部15または携帯端末55aで確認することが可能となる。
さらに、扉内面部にカメラ35−1,35−2を設けた場合に比較的写りにくくなる貯蔵庫の最上奥部には、コンプレッサ19を設けてその最上奥部を前方にせり出させている。これにより、この部分も確実に撮影することができ、コンプレッサ19を本体上部に設けて本体下部の収納容積の向上を図りつつ、カメラ35−1,35−2による撮影を良好なものとすることができる。
また、カメラ35−1,35−2は、扉内面の扉ポケット33−1,33−2の前後方向の実質的な中央部分に位置するように設けられている。よって、貯蔵庫内の食品のみならず、扉ポケット33−1,33−2に収納されている食品、例えば牛乳パック等もその一部を撮影することができる。使用者は、自分で収納したものについては、その一部が写っているだけでもそれが何であるかを認識することができる。よって、貯蔵庫内のほぼ全ての食品を撮影することが可能となる。
また、カメラとして、図9Aに示したように、収納容器専用のカメラ35−3を設けることにより、収納容器31内の食品を鮮明に撮影することができる。さらに、図9Bで示したように、カメラ35−2を上下動可能にしたり、図9Cに示したように上下回動自在にしたりすることによって、収納容器31内の食品も二つのカメラ、すなわち、比較的少ないカメラ数で効率よく撮影することができる。
一方、庫内照明灯34−1,34−2は、図7、および図10から明らかなように、カメラ35−1,35−2より奥側の位置に設けられ、庫内照明灯34−1,34−2の光が、直接カメラ35−1,35−2の撮影部に入り込まないように設けられている。これにより、庫内照明灯34−1,34−2の光がカメラ35−1,35−2に入ってカメラ35−1,35−2の写りが悪くなることを防止でき、常に良好な画像を得ることができる。これは、庫内照明灯35−1,35−2のカメラ側に遮光部を設けたり、または、庫内照明灯34−1,34−2を構成するLED等の光源を斜め後方向きに傾斜配置する等の構成を採用したりすることによっても同様の効果を得ることができる。
また、庫内照明灯34−1,34−2は、貯蔵庫内の照度が150ルックス〜200ルックスであり、このままの照度で撮影すると、図18の撮影動作において説明したように、食品が白っぽく写り、判別がしにくいものとなる。そのため、本実施の形態では、照度を低下させて撮影を行う構成としている。これにより、CCDカメラやCMOSカメラを用いても、適度な明るさで鮮明な撮影が可能となる。この庫内照明灯34−1,34−2の照度は、扉10を閉じて、または、扉10を開いて撮影するときだけ、通常時よりも低い照度となるように制御部によって制御するようにしてもよい。
このような制御をすることによって、撮影しない通常時は、これまで通りの照度を保って庫内を見やすくしつつ、鮮明な撮影を可能とすることができる。この照度の低下は、例えば庫内照明灯34−1,34−2のいずれか一方、またはその両方の庫内照明灯34−1,34−2の一部を消灯させたり、両方の庫内照明灯34−1,34−2の照度を低下させたりする等、種々考えられ、適宜選択することができる。
また、カメラ35−1,35−2で撮影された貯蔵庫内の画像は、それぞれのカメラ35−1,35−2の画像をサーバ装置57に送信してサーバ装置57、冷蔵庫100,200、または、携帯端末55a内で結合処理し合成する。これにより、画像の合成処理が容易になる。
すなわち、カメラ35−1,35−2は、棚板30−1〜30−4の前端と対応する扉内面部、この例では、上段の棚板30−1と三段目の棚板30−3の前端と対応する扉内面部に設けられている。これにより、それぞれのカメラ35−1,35−2の撮影は、図30における、線Zが境界線となるように、棚板30−1,30−3を中心として撮影が行われることとなる。
図30は、本発明の実施の形態に係る冷蔵庫システム50において、画像が合成される例を示す図である。
二つのカメラ35−1,35−2で撮影された貯蔵庫内の画像データは、境界線Zとなる二段目の棚板30−2部分で結合処理することができる。すなわち、図30の「撮影生画像」に示すように、上下それぞれの画像には棚板30−2が共通して写っているが、この「撮影生画像」の湾曲を修正し、「湾曲修正処理後画像」にした後、上下の画像に写っている共通の棚板30−2を合致させれば貯蔵庫全体の撮影画像を合成することができる。
この結果、画像の結合処理時に棚板の上に置かれている各食品を食品ごとに位置合わせして結合させる、きわめて困難な補正処理をする必要がなくなるので、画像の結合処理は容易となる。よって、画像結合のための処理プログラムも簡素なものとすることができ、画像結合処理のためのサーバ装置57、冷蔵庫100,200、または携帯端末55aの制御部分の容量も大容量のものを用いる必要がなくなり、処理速度のスピーディ化に貢献できる。
さらに、二つのカメラ35−1,35−2は、高さ調整ができない棚板30−1、棚板30−3の実質的な前方位置に設けられている。これにより、高さ調節可能な棚板30−2の高さが変更された場合でも、画像の結合処理時に、棚板30−2の高さに応じて結合処理する範囲を調整することで、容易に画像の結合処理を行うことが可能となる。
以上述べたように、本実施の形態の冷蔵庫100,200は、収納物を収納する収納室と、収納室を冷却するための冷却器17と、収納室を覆う断熱扉である扉10と、断熱扉に配置され、画像を表示するディスプレイ10a−3とを備えている。また、ディスプレイ10a−3よりも内側に配置される放熱部材10a−11と、ディスプレイ10a−3よりも外側に配置される板状の透明板材10a−1とを備えている。さらに、透明板材10a−1の外側表面、または内側表面に配置されるとともに、周辺部に配線部10a−6を有する静電容量式の薄膜10a−5と、透明板材10a−1よりも収納室側に配置され、配線部10a−6と接続される基板10a−7と、断熱扉の周辺部に設けられるカバー部材10a−8とを備えている。また、放熱部材10a−11の少なくとも一部は、ディスプレイ10a−3の裏面側に配置されるともに、断熱扉の周辺部に接続される接続部10a−12を有している。
このような構成により、ディスプレイ10a−3よりも大きな静電容量式の薄膜10a−5を用いることができるとともに、ディスプレイ10a−3と扉10部分との境界部分が面一(同じ高さ)の透明板材10a−1によって覆われる。これにより、ディスプレイ10a−3と扉10部分との境界が、扉10の前面に出ずに連続性を保つことによって、使い勝手とデザインとを両立させた冷蔵庫100,200を実現することができる。
また、接続部10a−12を設けたことにより、たとえディスプレイ10a−3の背面側で発熱したとしても、この熱を、扉10の外周方向に拡散することができ、庫内の冷却に与える影響を最小限に抑えることが可能となる。
また、接続部10a−12を、断熱扉の上端部に接続されている構成とすることにより、たとえディスプレイ10a−3の背面側で発熱したとしても、この熱を、上方に逃がす構成を実現できる。
さらに、透明板材10a−1を、ガラス板とすることにより、強度の高い透明板材10a−1を実現することができる。