以下、実施形態によるシリンダ装置について、4輪自動車等の車両に設けられる緩衝器に適用した場合を例に挙げ、添付図面に従って説明する。
図1ないし図3は、第1の実施形態を示している。図1において、シリンダ装置としての緩衝器1は、内部に封入する作動油等の作動流体20として機能性流体(即ち、電気粘性流体)を用いた減衰力調整式の油圧緩衝器(セミアクティブダンパ)として構成されている。緩衝器1は、例えば、コイルばねからなる懸架ばね(図示せず)と共に、車両用のサスペンション装置を構成する。なお、以下の説明では、緩衝器1の軸方向の一端側を「上端」側とし、軸方向の他端側を「下端」側として記載するものとする。
緩衝器1は、内筒2、外筒3、ピストン5、ピストンロッド8、中間筒17等を含んで構成されている。内筒2は、軸方向に延びる円筒状の筒体として形成され、後述の作動流体20(即ち、機能性流体)が内部に封入されている。内筒2の内部には、後述のピストンロッド8が挿入され、内筒2の外側には、外筒3が同軸となるように設けられている。
外筒3は、緩衝器1の外殻をなすもので、円筒体として形成されている。外筒3は、その下端側がボトムキャップ4により溶接手段等を用いて閉塞された閉塞端となっている。ボトムキャップ4は、後述するボトムバルブ12のバルブボディ13と共にベース部材を構成している。外筒3の上端側は、開口端となり、この開口端側には、かしめ部3Aが径方向内側に屈曲して形成されている。かしめ部3Aは、シール部材11の環状板体11Aの外周側を抜け止め状態で保持している。さらに、外筒3には、後述の電極接続装置21の中間電極部材22が取付けられる取付孔3Bが径方向の横孔(貫通孔)として形成されている。
一方、内筒2は、外筒3内に該外筒3と同軸に設けられている。内筒2は、下端側がボトムバルブ12のバルブボディ13に嵌合して取付けられ、上端側はロッドガイド9に嵌合して取付けられている。内筒2には、後述の通路18に常時連通する油穴2Aが、径方向の横孔として周方向に離間して複数(例えば、4個)形成されている。内筒2内のロッド側油室Bは、油穴2Aによって通路18と連通している。
内筒2は、外筒3と共にシリンダを構成し、該シリンダ内には、作動流体20が封入されている。ここで、実施形態では、シリンダ内に充填(封入)される流体、即ち、作動油となる作動流体20として、電気粘性流体(ERF:Electro Rheological Fluid)を用いている。なお、各図では、封入されている作動流体20を無色透明としている。
電気粘性流体は、外部刺激により流体の性状が変化する機能性流体の一種であり、電気粘性流体は、電界(電圧)により性状が変化する流体である。即ち、電気粘性流体は、印加される電圧に応じて流通抵抗(減衰力)が変化するものである。電気粘性流体は、例えば、シリコンオイル等からなる基油(ベースオイル)と、該基油に混ぜ込まれ(分散され)電界の変化に応じて粘性を可変にする粒子(微粒子)とにより構成されている。緩衝器1は、後述の通路18内に電位差を発生させ、該通路18を通過する電気粘性流体の粘度を制御することで、発生減衰力を制御(調整)する構成となっている。なお、実施形態では機能性流体として電気粘性流体(ER流体)を例に挙げて説明するが、例えば、機能性流体として磁性流体(MR流体)を用いてもよい。
内筒2と外筒3との間には、環状のリザーバ室Aが形成されている。リザーバ室A内には、作動流体20と共に作動気体となるガスが封入されている。このガスは、大気圧状態の空気であってもよく、また圧縮された窒素ガス等の気体を用いてもよい。リザーバ室A内のガスは、ピストンロッド8の縮小(縮み行程)時に、当該ピストンロッド8の進入体積分を補償すべく圧縮される。
ピストン5は、内筒2内に摺動可能に嵌装(挿嵌)されている。ピストン5は、内筒2内をロッド側油室Bとボトム側油室Cとに画成している。ピストン5には、ロッド側油室Bとボトム側油室Cとを連通可能とする油路5A,5Bがそれぞれ複数個、周方向に離間して形成されている。ここで、実施形態による緩衝器1は、ユニフロー構造となっている。このため、内筒2内の作動流体20は、ピストンロッド8の縮み行程と伸び行程との両行程で、ロッド側油室B(即ち、内筒2の油穴2A)から通路18に向けて常に一方向(即ち、図1中に二点鎖線で示す矢印Fの方向)に流通する。
このようなユニフロー構造を実現するため、ピストン5の上端面には、例えば、ピストンロッド8の縮小行程(縮み行程)でピストン5が内筒2内を下向きに摺動変位するときに開弁し、これ以外のときには閉弁する縮み側逆止弁6が設けられている。縮み側逆止弁6は、ボトム側油室C内の油液(作動流体20)がロッド側油室Bに向けて各油路5A内を流通するのを許し、これとは逆向きに油液が流れるのを阻止する。
ピストン5の下端面には、例えば、伸長側のディスクバルブ7が設けられている。伸長側のディスクバルブ7は、ピストンロッド8の伸長行程(伸び行程)でピストン5が内筒2内を上向きに摺動変位するときに、ロッド側油室B内の圧力がリリーフ設定圧を越えると開弁し、このときの圧力を、各油路5Bを介してボトム側油室C側にリリーフする。
ロッドとしてのピストンロッド8は、内筒2内を軸方向(内筒2および外筒3、延いては、緩衝器1の中心軸線と同方向であり、図1の上下方向)に延びている。即ち、ピストンロッド8は、その下端側が内筒2内でピストン5に連結(固定)され、上端側は、シリンダとなる内筒2および外筒3の外部へ延出している。この場合、ピストンロッド8の下端側には、ナット8A等を用いてピストン5が固定(固着)されている。一方、ピストンロッド8の上端側は、ロッドガイド9を介して外部に突出している。なお、ピストンロッド8の下端をさらに延ばしてボトム部(例えば、ボトムキャップ4)側から外向きに突出させ、所謂、両ロッドとしてもよい。
内筒2と外筒3の上端側(一端側)には、これら内筒2と外筒3の上端側を閉塞するように段付円筒状のロッドガイド9が嵌合して設けられている。ロッドガイド9は、ピストンロッド8を支持するもので、例えば金属材料、硬質な樹脂材料等に成形加工、切削加工等を施すことにより所定形状の筒体として形成されている。ロッドガイド9は、内筒2の上側部分および後述の中間筒17の上側部分を、外筒3の中央に位置決めする。これと共に、ロッドガイド9は、その内周側でピストンロッド8を軸方向に摺動可能に案内(ガイド)する。
ここで、ロッドガイド9は、上側に位置して外筒3の内周側に挿嵌される環状の大径部9Aと、該大径部9Aの下側に位置して内筒2の内周側に挿嵌される短尺筒状の小径部9Bとにより段付円筒状に形成されている。ロッドガイド9の小径部9Bの内周側には、ピストンロッド8を軸方向に摺動可能にガイドするガイド部9Cが設けられている。ガイド部9Cは、例えば金属筒の内周面に4フッ化エチレンコーティングを施すことにより形成されている。
一方、ロッドガイド9の外周側で大径部9Aと小径部9Bとの間には、環状の保持部材10が嵌合して取付けられている。保持部材10は、後述する中間筒17の上端側を軸方向に位置決めした状態で保持している。保持部材10は、例えば電気絶縁性材料(アイソレータ)により形成され、内筒2およびロッドガイド9と中間筒17との間を電気的に絶縁した状態に保っている。
ロッドガイド9の大径部9Aと外筒3のかしめ部3Aとの間には、環状のシール部材11が設けられている。シール部材11は、中心にピストンロッド8が挿通される孔が設けられた金属性の環状板体11Aと、該環状板体11Aに焼き付等の手段で固着されたゴム等の弾性材料からなる弾性体11Bとを含んで構成されている。シール部材11は、弾性体11Bの内周がピストンロッド8の外周側に摺接することにより、ピストンロッド8との間を液密、気密に封止(シール)する。
内筒2の下端側(他端側)には、該内筒2とボトムキャップ4との間に位置してボトムバルブ12が設けられている。ボトムバルブ12は、バルブボディ13と、伸び側逆止弁15と、ディスクバルブ16とを含んで構成されている。バルブボディ13は、ボトムキャップ4と内筒2との間でリザーバ室Aとボトム側油室Cとを画成する。バルブボディ13には、リザーバ室Aとボトム側油室Cとを連通可能とする油路13A,13Bがそれぞれ周方向に間隔をあけて形成されている。
バルブボディ13の外周側には、段差部13Cが形成され、該段差部13Cには、内筒2の下端内周側が嵌合して固定されている。また、段差部13Cには、環状の保持部材14が内筒2の外周側に嵌合して取付けられている。保持部材14は、後述する中間筒17の下端側を軸方向に位置決めした状態で保持している。保持部材14は、例えば電気絶縁性材料(アイソレータ)により形成され、内筒2およびバルブボディ13と中間筒17との間を電気的に絶縁した状態に保っている。また、保持部材14には、後述の通路18をリザーバ室Aに対して連通させる複数の油路14Aが形成されている。
伸び側逆止弁15は、例えば、バルブボディ13の上面側に設けられている。伸び側逆止弁15は、ピストンロッド8の伸長行程でピストン5が上向きに摺動変位するときに開弁し、これ以外のときには閉弁する。伸び側逆止弁15は、リザーバ室A内の油液(作動流体20)がボトム側油室Cに向けて各油路13A内を流通するのを許し、これとは逆向きに油液が流れるのを阻止する。
縮小側のディスクバルブ16は、例えば、バルブボディ13の下面側に設けられている。縮小側のディスクバルブ16は、ピストンロッド8の縮小行程でピストン5が下向きに摺動変位するときに、ボトム側油室C内の圧力がリリーフ設定圧を越えると開弁し、このときの圧力を、各油路13Bを介してリザーバ室A側にリリーフする。
外筒3と内筒2との間には、軸方向に延びる圧力管からなる中間筒17が設けられている。中間筒17は、導電性材料を用いて形成され、筒状の電極を構成するものである。中間筒17は、内筒2との間に、軸方向の上端側から下端側に向けてピストンロッド8の進退動により作動流体20が流動する通路(流路、油路)18を形成している。
即ち、中間筒17は、内筒2の外周側に軸方向(上下方向)に離間して設けられた保持部材10,14を介して取付けられている。この場合に、中間筒17は、その上端側が、保持部材10およびロッドガイド9を介して、外筒3に対して相対回転が不能になっており、その下端側が、保持部材14、バルブボディ13およびボトムキャップ4を介して、外筒3に対して相対回転が不能になっている。そして、中間筒17は、内筒2の外周側を全周にわたって取囲むことにより、中間筒17の内部、即ち、中間筒17の内周側と内筒2の外周側との間に環状の通路(流路)、即ち、作動流体20が流通する通路18を形成している。また、中間筒17の外径側には、外筒3の取付孔3Bと対面する位置に、後述する電極接続装置21のリング部材30が取付けられている。
通路18は、内筒2に径方向の横孔として形成した油穴2Aによりロッド側油室Bと常時連通している。即ち、図1で作動流体20の流れの方向を矢印Fで示すように、緩衝器1は、ピストン5の圧縮行程および伸び行程の両方で、ロッド側油室Bから油穴2Aを通じて通路18に作動流体20が流入する。通路18内に流入した作動流体20は、ピストンロッド8が内筒2内を進退動するとき(即ち、縮み行程と伸び行程を繰返す間)に、この進退動により通路18の軸方向の上端側から下端側に向けて流動する。
通路18内に流入した作動流体20は、中間筒17の下端側から保持部材14の油路14Aを介してリザーバ室Aへと流出する。このとき、作動流体20の圧力は、通路18の上流側(即ち、油穴2A側)で最も高く、通路18内を流通する間に流路(通路)抵抗を受けるため漸次低下する。このため、通路18内の作動流体20は、通路18の下流側(即ち、保持部材14の油路14A)を流通するときに最も低い圧力となっている。
なお、図示は省略するが、中間筒17の内周側と内筒2の外周側との間に、作動流体20が流通する通路18を仕切る(作動流体20の流れを案内する)隔壁部材を設けることができる。即ち、中間筒17の内周面または内筒2の外周面には、これら中間筒17または内筒2に対して相対回転不能に隔壁部材を設け、該隔壁部材により、作動流体20を軸方向だけでなく周方向にも案内する構成とすることができる。これにより、作動流体20が流通する通路を、周方向に延びる部分を有する螺旋状または蛇行する1または複数の通路(流路)とすることができる。この場合には、軸方向に直線的に延びる通路と比較して、通路の全長(油穴2Aから油路14Aまでの流路の長さ)を長くすることができる。
通路18は、外筒3および内筒2内でピストン5の摺動によって流通する流体、即ち、作動流体20となる電気粘性流体に抵抗を付与する。このために、中間筒17は、電源となるバッテリ19の正極に、例えば、高電圧を発生する高電圧ドライバ(図示せず)と後述の電極接続装置21とを介して接続されている。バッテリ19は、高電圧ドライバと共に電圧供給部(電界供給部)を構成し、中間筒17は、通路18内の流体である作動流体20、即ち、機能性流体としての電気粘性流体に電界(電圧)をかける電極(エレクトロード)となる。この場合、中間筒17の両端側は、電気絶縁性の保持部材10,14によって電気的に絶縁されている。一方、内筒2は、ロッドガイド9、ボトムバルブ12、ボトムキャップ4、外筒3、高電圧ドライバ等を介して負極(グランド)に接続されている。
高電圧ドライバは、緩衝器1の減衰力を可変に調整するためのコントローラ(図示せず)から出力される指令(高電圧指令)に基づいて、バッテリ19から出力される直流電圧を昇圧して中間筒17に供給(出力)する。これにより、中間筒17と内筒2との間、換言すれば、通路18内には、中間筒17に印加される電圧に応じた電位差が発生し、電気粘性流体である作動流体20の粘度が変化する。この場合、緩衝器1は、中間筒17に印加される電圧に応じて、発生減衰力の特性(減衰力特性)をハード(Hard)な特性(硬特性)からソフト(soft)な特性(軟特性)に連続的に調整することができる。なお、緩衝器1は、減衰力特性を連続的でなくとも、2段階または複数段階に調整可能なものであってもよい。また、本実施の形態では、高電圧ドライバが昇圧する電圧は直流電圧としたが、交流電圧であってもよい。
ところで、特許文献1には、電気粘性流体を用いたダンパ(緩衝器)において、電圧の付与部となる圧縮スプリングのみを、緩衝器のリザーバ室内で中間筒となる電極(エレクトロード)に向けて突出させた構成が開示されている。この構成の場合、リザーバ室を流通する流体の流体力が圧縮スプリングのみに直接的に加わり、また、車両走行事の路面や車体から加わる振動により、圧縮スプリングを介して電極(エレクトロード)に電圧を良好に伝えることが難しいと考えられる。
これに対して、第1の実施形態では、電極接続装置21を介して緩衝器1の外部から中間筒17に電圧を供給(印加)する構成としている。以下、第1の実施形態の電極接続装置21について、図1に加え、図2および図3も参照しつつ説明する。なお、図2では、内筒2内に設けられる部材(ピストンロッド8等)を省略している。
電極接続装置21は、外筒3に取付けられた中間電極部材22と、中間筒17に取付けられたリング部材30とを含んで構成されている。中間電極部材22は、取付筒23と、カバー部材25と、電極ピン29とを含んで構成されている。
取付筒23は、外筒3の取付孔3Bに固定されている。取付筒23は、取付孔3Bに挿入される筒部23Aと、該筒部23Aの基端側(中間筒17側となる先端側に対して反対側)に設けられ筒部23Aから径方向外側に向けて全周にわたって突出する鍔部23Bとを含んで構成されている。筒部23Aの内周側は、カバー部材25の雄ねじ部26Cと螺合する雌ねじ部23Cとなっている。取付筒23は、取付孔3Bに筒部23Aを挿入し、かつ、鍔部23Bの一側面(内側面:中間筒17側の側面)を外筒3の取付孔3Bの周囲に当接させた状態で、外筒3の外周面と鍔部23Bの外周面とを(全周にわたって)溶接することにより、外筒3に対して液密、気密に取付けられている。
また、鍔部23Bの他側面(外側面:中間筒17側とは反対側の側面)には、円環状のシール溝23Dが設けられている。シール溝23Dには、高分子材料(合成ゴムを含むゴム材料、合成樹脂を含む樹脂材料)により作られたシールリング(Oリング)24が取付けられている。シールリング24は、取付筒23の雌ねじ部23Cとカバー部材25の雄ねじ部26Cとの螺合に基づいて、取付筒23の鍔部23Bとカバー部材25の鍔部26Bとの間で挟持される(より具体的には、押し潰される)。これにより、取付筒23の内径側とカバー部材25の外径側とが液密、気密に封止される。
カバー部材25は、電極ピン29を覆う部材であり、取付筒23に対して螺合により取付けられている(ねじ締結によって固定されている)。カバー部材25は、第1のカバー部となる鍔付円筒状の金属カバー部26と、該金属カバー部26の内側にモールド成形された第2のカバー部となる鍔付円筒状の樹脂カバー部27とを含んで構成されている。
金属カバー部26は、金属材料により形成され、例えば、カバー部材25の強度を確保するための強度部材(枠部材)となっている。金属カバー部26は、取付筒23に挿入される筒部26Aと、該筒部26Aの基端側(中間筒17側となる先端側に対して反対側)に設けられ筒部26Aから径方向外側に向けて全周にわたって突出する鍔部26Bとを含んで構成されている。筒部26Aの外周側は、取付筒23の雌ねじ部23Cと螺合する雄ねじ部26Cとなっている。この場合、カバー部材25には、取付筒23の雌ねじ部23Cとカバー部材25の雄ねじ部26Cとの螺合に基づいて、軸力、即ち、カバー部材25(および電極ピン29)を中間筒17側に押し付ける力が加わるようにしている。
一方、樹脂カバー部27は、非導電性の樹脂材料(合成樹脂を含む)により形成され、電極ピン29が挿通される。樹脂カバー部27は、電極ピン29と金属カバー部26(および取付筒23)との間を電気的に絶縁する絶縁部材となっている。樹脂カバー部27は、金属カバー部26の筒部26Aの内側に挿通される中間筒部27Aと、該中間筒部27Aの軸方向両側にそれぞれ設けられ金属カバー部26を軸方向に挟む先端側鍔部27Bおよび基端側筒部27Cとを含んで構成されている。
また、樹脂カバー部27には、軸方向に貫通する貫通孔27Dが設けられている。貫通孔27Dには、電極ピン29が挿入されている。貫通孔27Dは、先端側(中間筒17側)に、基端側(中間筒17とは反対側)に進む程内径寸法が小さくなる円錐状凹部27Eと、電極ピン29の大径部29Aが嵌合される大径部27Fと、電極ピン29のうち大径部29Aよりも基端側が嵌合される小径部27Gとを有している。
貫通孔27Dのうち大径部27Fと小径部27Gとを接続する段差部27Hには、円環状のシール溝27Jが設けられている。シール溝27Jには、高分子材料(合成ゴムを含むゴム材料、合成樹脂を含む樹脂材料)により作られたシールリング(Oリング)28が取付けられている。シールリング28は、取付筒23の雌ねじ部23Cとカバー部材25の雄ねじ部26Cとの螺合に基づいて、貫通孔27Dの段差部27Hと電極ピン29の大径部29Aとの間で挟持される(より具体的には、押し潰される)。これにより、樹脂カバー部27の内径側と電極ピン29の外径側とを液密、気密に封止される。即ち、中間電極部材22は、外筒3と取付筒23との溶接、取付筒23とカバー部材25との間のシールリング24、および、カバー部材25と電極ピン29との間のシールリング28によって、外筒3の外部とリザーバ室Aとを液密、気密に画成している。
なお、第1の実施形態では、カバー部材25の金属カバー部26と取付筒23との螺合によって、カバー部材25(および電極ピン29)を中間筒17側に押し付ける力(推力、軸力、予圧)を付与する構成とした。しかし、これに限らず、例えば、カバー部材の金属カバー部を圧入またはかしめにより取付筒に固定することにより、カバー部材(および電極ピン)を中間筒側に押し付ける力を付与する構成としてもよい。
付与部としての電極ピン29は、電圧供給部(電界供給部)となる高電圧ドライバおよびバッテリ19からの電圧(電界)を中間筒17に付与するものである。電極ピン29は、導電性材料を用いて形成され、横断面形状が円形で軸方向に延びるピン状部材となっている。電極ピン29は、先端側(中間筒17側)が中間筒17(およびリング部材30の延出部32)と接触(当接)しており、基端側が高電圧ドライバ(図示せず)を介してバッテリ19の正極に接続されている。電極ピン29の中間ないし先端寄りには、他の部分よりも径方向寸法が大きい大径部29Aが設けられている。大径部29Aは、樹脂カバー部27の貫通孔27Dの大径部27Fに嵌合している。大径部29Aには、取付筒23の雌ねじ部23Cとカバー部材25の雄ねじ部26Cとの螺合に基づいて、電極ピン29(の先端)を中間筒17に押付ける方向の力がカバー部材25から加わっている。これにより、電極ピン29の先端を中間筒17に押付けることができ、電極ピン29の先端と中間筒17との接触の安定性を向上できる。
リング部材30は、例えば、細長い板状部材を湾曲させて円環状に形成した導電性の部材である。リング部材30は、中間筒17の外周側に軸方向部分的に設けられており、リング部材30には、延出部32が形成されている。即ち、リング部材30は、リング部31と、延出部32とを含んで構成されている。リング部31は、中間筒17の外径寸法以下の内径寸法を有する略円環状(即ち、中間電極部材22の電極ピン29と対面する部分が欠けた欠円環状)に形成されている。リング部31の軸方向寸法は、中間筒17の軸方向寸法に対して十分に小さい。例えば、リング部31の軸方向寸法は、電極ピン29の外径寸法と同じ、または、外径寸法よりも大きい(例えば、リング部31の軸方向寸法=1.0〜1.5×電極ピン29の先端側の外径寸法)。リング部31は、中間筒17の外径側に、例えば、圧入(軽圧入)により嵌合され、これによりリング部材30が中間筒17に対して固定されている。
一方、延出部32は、中間筒17の外周側に設けられており、中間筒17の外周側から外筒3に向けて延出している。延出部32内には、中間電極部材22の電極ピン29の先端側が電気接触されるように挿入されている。即ち、図3に拡大して示すように、延出部32は、リング部31の周方向両側の端部からそれぞれリング部31の外径側に向けて折り返された一対の挟持片32A,32Aにより構成されている。挟持片32A,32Aは、例えば、電極ピン29の先端側の外周面を包むように(外周面に沿うように)略半円弧状に湾曲させることができる。なお、挟持片32A,32Aは、平坦(平板)状としてもよい。いずれの場合も、挟持片32A,32Aの間には、電極ピン29の先端側が挿入され、電極ピン29の先端側は、延出部32内に接触している。
即ち、電極ピン29の先端側は、中心軸線を挟んで径方向両側から挟持片32A,32Aによって包まれるように挟持される。これにより、電極ピン29は、その先端部が中間筒17の外周側に接触した状態で、延出部32である一対の挟持片32A,32Aによって支持される。このため、電極ピン29の先端側の周囲を作動流体20が流通しても、電極ピン29と中間筒17との接触状態を良好に維持することができる。しかも、導電性の延出部32に電極ピン29の先端側を挿入することで、これら延出部32と電極ピン29の先端側との接触面積を大きく確保できる。これにより、延出部32と電極ピン29の先端側との接触抵抗を低減することもできる。
なお、第1の実施形態では、リング部材30のリング部31を、中間筒17に対して圧入により固定しているが、溶接またはかしめによりリング部材を中間筒に固定してもよい。また、例えば、溶接またはかしめによりリング部を中間筒に固定する場合は、リング部を、中間筒の周方向に部分的に延びる円弧状の湾曲片(例えば、中間筒の外周面に沿うように湾曲させた板状の部材)により構成し、該湾曲片を中間筒に溶接またはかしめにより固定してもよい。この場合は、例えば、リング部材は、湾曲片により構成される部分円弧状部材となり、湾曲片の周方向の中間部には、例えば、外筒に向けて延出する円筒状の延出部を設けることができる。さらに、第1の実施形態では、リング部材30のリング部31を欠円環状としたが、例えば、リング部を円環状としてもよい。この場合は、円環状のリング部の外周面に、外筒に向けて延出する(例えば、円筒状の)延出部を設けることができる。
第1の実施形態による緩衝器1は、上述の如き構成を有するもので、次にその作動について説明する。
緩衝器1を自動車等の車両に実装するときは、例えば、ピストンロッド8の上端側を車両の車体側に取付け、外筒3の下端側(ボトムキャップ4側)を車輪側(車軸側)に取付ける。車両の走行時には、路面の凹凸等により、上,下方向の振動が発生すると、ピストンロッド8が外筒3から伸長、縮小するように変位する。このとき、コントローラからの指令に基づいて通路18内に電位差を発生させ、通路18を通過する作動流体20、即ち、電気粘性流体の粘度を制御することにより、緩衝器1の発生減衰力を可変に調整する。
例えば、ピストンロッド8の伸び行程時には、内筒2内のピストン5の移動によってピストン5の縮み側逆止弁6が閉じる。ピストン5のディスクバルブ7の開弁前には、ロッド側油室Bの油液(作動流体20)が加圧され、内筒2の油穴2Aを通じて通路18内に流入する。このとき、ピストン5が移動した分の油液は、リザーバ室Aからボトムバルブ12の伸び側逆止弁15を開いてボトム側油室Cに流入する。
一方、ピストンロッド8の縮み行程時には、内筒2内のピストン5の移動によってピストン5の縮み側逆止弁6が開き、ボトムバルブ12の伸び側逆止弁15が閉じる。ボトムバルブ12(ディスクバルブ16)の開弁前には、ボトム側油室Cの油液がロッド側油室Bに流入する。これと共に、ピストンロッド8が内筒2内に浸入した分に相当する油液が、ロッド側油室Bから内筒2の油穴2Aを通じて通路18内に流入する。
いずれの場合も(伸び行程時も縮み行程時も)、通路18内に流入した油液は、通路18の電位差(中間筒17と内筒2との間の電位差)に応じた粘度で通路18内を出口側(下側)に向けて通過し、通路18から保持部材14の油路14Aを介してリザーバ室Aに流れる。このとき、緩衝器1は、通路18内を通過する油液の粘度に応じた減衰力が発生し、車両の上下振動を緩衝(減衰)することができる。
ここで、中間筒17には、電極接続装置21を介して緩衝器1の外部(バッテリ19)から電圧が供給(印加)される。第1の実施形態によれば、中間筒17の外周側に、外筒3に向けて延出する延出部32が設けられており、この延出部32には、付与部となる電極ピン29の先端側が延出部32と接触した状態で挿入されている。このため、延出部32によって電極ピン29の先端側を支持することができる。即ち、リザーバ室Aを流通する作動流体20は、延出部32によって支持された電極ピン29の先端側の周囲を流通することになる。
これにより、特許文献1のようなリザーバ室を流通する流体の流体力が付与部(圧縮スプリング)のみに直接的に加わる構成と比較して、付与部となる電極ピン29から中間筒17に安定して電圧を付与できる。また、電極ピン29の先端と中間筒17の外周面とを直接接触させる構成の場合は、電極ピン29の先端と中間筒17の外周面との接触の安定性も向上できる。しかも、延出部32に電極ピン29の先端側を挿入することで、これら延出部32と電極ピン29の先端側との接触面積を大きくすることもできる。これにより、接触抵抗を低減することができ、電気的接点となる接触部位での発熱の低減と消費電力の低減とを図ることができる。なお、延出部32の内周側に付与部となる電極ピン29の外周側が接触するように挿入されているので、電極ピン29の先端は中間筒17に接触しなくても、付与部から中間筒17に延出部32を介して電圧を付与することができる。即ち、第1の実施形態では、電極ピン29の先端側は、延出部32内で、該延出部32および中間筒17の外周側(外周面)との両方に直接的に接触することにより、これら延出部32および中間筒17と電気的に接続されている。一方、電極ピン29の先端側を、中間筒17の外周側に直接的に接触させず、延出部32のみに直接的に接触させることにより、延出部32を介して中間筒17と電気的に接続させることもできる。
実施形態によれば、中間筒17の外周側には、軸方向部分的に設けられるリング部材30が設けられ、該リング部材30は、延出部32が形成される構成としている。このため、延出部32が形成されたリング部材30を中間筒17に取付けることで、中間筒17の外周側に延出部32を容易に設けることができる。
実施形態によれば、取付筒23の雌ねじ部23Cとカバー部材25の雄ねじ部26Cとの螺合に基づいて、電極ピン29に、該電極ピン29の先端を中間筒17の外周面に押付ける方向の力が加わる。このため、この面からも、電極ピン29の先端と中間筒17の外周面との接触の安定性を向上できる。
次に、図4は、第2の実施形態を示している。第2の実施形態の特徴は、付与部の先端側を略球形状とし、該略球形状の付与部を延出部に挿入する構成としたことにある。なお、第2の実施形態では、第1の実施形態と同一の構成要素に同一の符号を付し、その説明を省略する。
付与部としての電極ピン41は、第1の実施形態の電極ピン29に代えて、第2の実施形態で用いるものである。第2の実施形態の電極ピン41は、先端側が略球形状となっている。一方、延出部42は、第1の実施形態の延出部32に代えて、第2の実施形態で用いるものである。第2の実施形態の延出部42は、第1の実施形態の延出部32と同様に、リング部31の周方向両側の端部からそれぞれリング部31の外径側に向けて折り返された一対の挟持片42A,42Aにより構成されている。挟持片42A,42Aは、電極ピン29の先端側の球状面を包むように(球状面に沿うように)球形状に湾曲している。
第2の実施形態は、上述の如き電極ピン41の先端側を延出部42に挿入するもので、その基本的作用については、第1の実施形態によるものと格別差異はない。特に、第2の実施形態では、電極ピン41の先端側と延出部42となる挟持片42A,42Aとを球形状としているため、電極ピン41の延出部42に対する挿入角度の許容範囲を大きくできる。
即ち、電極ピン41が挿入されたカバー部材25を取付筒23に取付けたときに、例えば、電極ピン41の先端側が延出部42となる挟持片42A,42Aの間に斜めに挿入された場合を考える。この場合、電極ピン41の先端側と延出部42(の挟持片42A,42A)とが球形状でない場合は、例えば、電極ピン41の先端側と延出部42とに横力(例えば、周方向の力、軸方向の力、または、これらの合力)が加わる可能性がある。このような横力は、小さいことが好ましい。これに対し、第2の実施形態では、電極ピン41の先端側と延出部42とを球形状としているため、電極ピン41の先端側が延出部42に対して斜めに挿入された場合でも、横力が加わることを抑制できる(横力が加わりにくくなる)。
次に、図5は、第3の実施形態を示している。第3の実施形態の特徴は、中間筒の外周側の延出部に付与部を収納する隔離部材を挿入する構成としたことにある。なお、第3の実施形態では、第1の実施形態と同一の構成要素に同一の符号を付し、その説明を省略する。なお、図5では、図2と同様に、内筒2内に設けられる部材(ピストンロッド8等)を省略している。
電極接続装置51は、第1の実施形態の電極接続装置21に代えて、第3の実施形態で用いるものである。電極接続装置51は、外筒3に取付けられた中間電極部材52と、中間筒17に取付けられた円筒部材61とを含んで構成されている。中間電極部材52は、取付筒53と、圧入リング54と、隔離部材としてのジョイント部材55と、電極組立体56とを含んで構成されている。
取付筒53は、外筒3の取付孔3Bに固定されている。取付筒53は、取付孔3Bに挿入される小径筒部53Aと、小径筒部53Aよりも大径の大径筒部53Bと、これら小径筒部53Aと大径筒部53Bとの間を接続し全周にわたって径方向に延びる段差部(鍔部)の如き接続部53Cとを含んで構成されている。図5に示す第3の実施形態では、外筒3の取付孔3Bの周囲を、外筒3の外周面に対して平坦(内径側に向けて平ら)にし、その平坦な部位に、取付筒53の接続部53Cの一側面(内側面:中間筒17側の側面)を当接させている。
小径筒部53Aの内径側には、該小径筒部53Aの内周面と離間して(間隔をもって)円筒部材61およびジョイント部材55の筒部55Aが挿入されている。接続部53Cの内径側には、該接続部53Cの内周面と離間して(間隔をもって)ジョイント部材55の筒部55Aが挿入されている。大径筒部53Bの内径側には、該大径筒部53Bの内周面と離間して(間隔をもって)ジョイント部材55の鍔部55Bが挿入されている。さらに、大径筒部53Bの内径側には、ジョイント部材55の鍔部55Bと隣接して圧入リング54が圧入により嵌合固定されている。
この場合、大径筒部53Bと圧入リング54との圧入に基づいて、ジョイント部材55の鍔部55Bには、該鍔部55Bを接続部53Cの他側面(外側面:中間筒17側とは反対側の側面)に押し付ける力が加わる。取付筒53は、取付孔3Bに小径筒部53Aを挿入し、かつ、接続部53Cの一側面を外筒3の取付孔3Bの周囲に当接させた状態で、外筒3の外周面と接続部53Cないし大径筒部53Bの外周面とを(全周にわたって)溶接することにより、外筒3に対して液密、気密に取付けられている。
圧入リング54は、円環状に形成されており、例えば、その外径寸法を取付筒53の大径筒部53Bの内径寸法以上とすることにより、取付筒53(の大径筒部53B)に圧入により固定されている。この場合、圧入リング54は、ジョイント部材55の鍔部55Bを、取付筒53の接続部53Cに押し付ける力が加わった状態で、取付筒53(の大径筒部53B)に固定されている。これにより、ジョイント部材55の鍔部55Bの一側面(内側面:中間筒17側の側面)の弾性体55Cを、圧入リング54と接続部53Cとの間で軸方向に圧縮し(押しつぶし、弾性変形させ)、ジョイント部材55の鍔部55Bと取付筒53(の接続部53C)との間を液密、気密に封止している。なお、第3の実施形態では、圧入リング54を取付筒53に圧入により嵌合する構成としたが、例えば、取付筒53の大径筒部53Bの端部(中間筒17側とは反対側の端部)を内径側に折り曲げる(かしめる)構成としてもよい。即ち、大径筒部53Bの端部の周方向の一部(または全部)を内径側に向けて折り曲げる(かしめる)ことにより、ジョイント部材55の鍔部55Bを取付筒53の接続部53Cに押し付ける構成としてもよい。また、圧入リング54と大径筒部53Bとを螺合させてもよい。
ジョイント部材55は、円筒部材61と共に付与部となる電極ピン60を収納するものである。この場合、ジョイント部材55は、電極ピン60とリザーバ室Aとを液密、気密に画成(隔離)する。ジョイント部材55は、縦断面形状が略L字状の鍔付円筒部材として形成されている。即ち、ジョイント部材55は、円筒状の筒部55Aと、筒部55Aの端部(中間筒17側とは反対側の端部)から径方向外側に向けて全周にわたって突出する鍔部55Bとを含んで構成されている。そして、ジョイント部材55は、その表面(の大部分)が、高分子材料(合成ゴムを含むゴム材料、合成樹脂を含む樹脂材料)製の弾性体(シール部材)55Cにより覆われている。即ち、ジョイント部材55は、鍔部55Bの他側面(外側面:中間筒17側とは反対側の側面)を除いて、例えばゴムの焼き付けにより形成された弾性体55Cにより覆われている。なお、本実施の形態では、ジョイント部材55の端を中間筒17近傍まで延ばす構成としたが、ジョイント部材55と円筒部材61とで電極ピン60をリザーバ室Aと液密、気密に画成すればよい。
ジョイント部材55の筒部55Aは、円筒部材61(の内周側)に嵌合している。この場合、筒部55Aの弾性体55Cの自由状態での外径寸法は、円筒部材61の内径寸法よりも大きくなっている。即ち、ジョイント部材55の筒部55Aを円筒部材61に嵌合させた状態で、筒部55Aの弾性体55Cは、円筒部材61の内周面との間で径方向に圧縮される(押しつぶされる、弾性変形する)。これにより、ジョイント部材55の筒部55Aの外周面と円筒部材61の内周面との間は、液密、気密に封止される。なお、本実施の形態では、ジョイント部材55の筒部55Aを円筒部材61の内周側に嵌合させる構成としたが、外周側に嵌合させる構成としてもよい。
電極組立体56は、ジョイント部材55に挿入されている。電極組立体56は、位置決め筒部材57と、電極支持筒部材58と、弾性部材59と、電極ピン60とを含んで構成されている。位置決め筒部材57は、鍔付円筒状に形成され、円筒状の筒部57Aと、筒部57Aの端部(中間筒17側の端部)から径方向外側に向けて全周にわたって突出する鍔部57Bとを含んで構成されている。筒部57Aには、電極支持筒部材58が挿入されている(例えば、圧入により嵌合されている)。鍔部57Bは、ジョイント部材55の鍔部55Bの他側面に当接しており、この当接により、電極支持筒部材58の中間筒17に対する位置(中間筒17との離間寸法)が規制されている。この場合、電極支持筒部材58の中間筒17に対する位置は、弾性部材59が弾性変形(圧縮)した状態で電極ピン60の先端側が中間筒17の外周面に接触(当接)するように規制されている。
電極支持筒部材58は、位置決め筒部材57の内側に固定されている。電極支持筒部材58は、例えば、導電性材料を用いて筒状に形成されている。電極支持筒部材58は、円筒状の筒部58Aと、筒部58Aの一端側(外端側:中間筒17側とは反対側)を閉塞する底部58Bとを含んで構成されている。電極支持筒部材58内には、弾性部材59と電極ピン60が挿入されている。この場合、筒部58Aの他端側(内端側:中間筒17側)の開口は、縮径している。これにより、電極支持筒部材58内から電極ピン60が抜け出ることが阻止される。一方、底部58Bは、高電圧ドライバ(図示せず)を介してバッテリ19の正極に接続されている。
付勢手段としての弾性部材59は、電極支持筒部材58内に挿入され、電極ピン60の背面側(中間筒17側とは反対側)に位置している。弾性部材59は、例えば、圧縮コイルばねにより構成され、電極ピン60を中間筒17側に向けて押圧する。即ち、弾性部材59は、電極ピン60の背面に設けられ、電極ピン60を中間筒17に向けて付勢する。この場合に、位置決め筒部材57の鍔部57Bがジョイント部材55の鍔部55Bに当接した状態で、電極ピン60の先端側が中間筒17の外周面に当接するとともに、弾性部材59が圧縮される(弾性変形する)。
付与部としての電極ピン60は、電圧供給部(電界供給部)となるバッテリ19からの電圧(電界)を中間筒17に付与するものである。電極ピン60は、導電性材料を用いて形成され、横断面形状が円形で軸方向に延びるピン状部材となっている。電極ピン60は、先端側(中間筒17側)が中間筒17の外周面に接触(当接)している。この場合、電極ピン60は、弾性部材59によって、中間筒17の外周面に押し付けられている。
電極ピン60は、段付円柱状に形成されている。即ち、電極ピン60は、先端側が小径部60Aとなり、基端側が大径部60Bとなっている。この場合、小径部60Aの外径寸法は、電極支持筒部材58の筒部58Aの他端側の開口の内径寸法よりも小さい。これに対して、大径部60Bの外径寸法は、電極支持筒部材58の筒部58Aの他端側の開口の内径寸法よりも大きい。これにより、電極支持筒部材58内から電極ピン60が抜け出ることが阻止される。
延出部としての円筒部材61は、中間筒17の外周側に設けられており、中間筒17の外周側から外筒3に向けて延出している。円筒部材61は、中間筒17外周面で、外筒3の取付孔3Bと対面する位置に取付けられている。この場合、円筒部材61は、中間筒17の外周面に溶接により固定(固着)されている。円筒部材61は、円筒状に形成され、円筒部材61内には、付与部となる電極ピン60が電気接触されるように挿入されている。この場合、電極ピン60の先端側は、延出部となる円筒部材61内で該円筒部材61とは直接的に接触せず、中間筒17の外周側(外周面)のみに直接的に接触することにより、該中間筒17と電気的に接続されている。これに加えて、円筒部材61には、電極ピン60の外周側に位置して電極ピン60を収納するジョイント部材55も挿入されている。即ち、円筒部材61の内径側には、ジョイント部材55の筒部55Aが嵌合している。この場合、筒部55Aの弾性体55Cは、円筒部材61の内周面との間で径方向に圧縮される(押しつぶされる、弾性変形する)。これにより、円筒部材61の内周面とジョイント部材55の筒部55Aの外周面との間は、液密、気密に封止される。
なお、第3の実施形態では、付与部となる円筒部材61は、中間筒17外周面に直接的に取付けられている。しかし、これに限定されず、例えば、中間筒の外周側に、軸方向部分的に設けられるリング部材を設け、該リング部材に延出部(となる円筒部材)を形成する構成としてもよい。この場合、リング部材は、中間筒に対して、圧入、溶接、または、かしめにより固定することができる。
第3の実施形態は、上述の如き電極接続装置51を介して中間筒17に電圧を供給(印加)するもので、その基本的作用については、第1の実施形態によるものと格別差異はない。
即ち、第3の実施形態では、中間筒17の外周側に外筒3に向けて延出する延出部としての円筒部材61が設けられており、この円筒部材61には、電極ピン60とジョイント部材55が挿入される。このため、電極ピン60の周囲を円筒部材61とジョイント部材55とによって覆うことができる。これにより、リザーバ室Aを流通する作動流体20の流体力を円筒部材61とジョイント部材55とで受けることができ、電極ピン60から中間筒17に安定して電圧を付与できる。また、電極ピン60と中間筒17との接触の安定性も向上できる。
第3の実施形態によれば、隔離部材となるジョイント部材55は、電極ピン60とリザーバ室Aとを液密に画成している。このため、リザーバ室Aを流通する作動流体20から電極ピン60を隔離することができ、リザーバ室Aを流通する作動流体20の流体力が電極ピン60に加わることを抑制できる。これにより、この面からも、電圧付与の安定性、電極ピン60と中間筒17との接触の安定性を向上できる。
第3の実施形態によれば、ピン状部材である電極ピン60の背面に、該電極ピン60を中間筒17に向けて付勢する付勢手段としての弾性部材59が設けられている。このため、電極ピン60を、弾性部材59によって中間筒17に押付けることができる。これにより、この面からも、電極ピン60と中間筒17との接触の安定性を向上できる。なお、第3の実施形態では、円筒部材61の内周に、ジョイント部材55が挿入される構成を示したが、それに限らず円筒部材61の外周に、ジョイント部材55を嵌合させる構成としてもよい。また、第3の実施形態では、付与部として電極ピン60を示したが、先行技術文献に示す圧縮スプリングを用いた場合であっても同様の効果を奏することができる。
次に、図6は、第4の実施形態を示している。第4の実施形態の特徴は、延出部と付与部とを隙間を介して対向させると共に、延出部と付与部との間に導通手段を設ける構成としたことにある。なお、第4の実施形態では、第1の実施形態と同一の構成要素に同一の符号を付し、その説明を省略する。
電極接続装置71は、第1の実施形態の電極接続装置21に代えて、第4の実施形態で用いるものである。電極接続装置71は、外筒3側に設けられる中間電極部材72と、中間筒17側に設けられる延出部としての円筒部76とを含んで構成されている。中間電極部材72は、取付筒73と、隔離部材としてのジョイント部材74と、付与部としての電極ピン75とを含んで構成されている。
取付筒73は、外筒3の外周側に該外周側から径方向の外側に突出するように、外筒3と一体に設けられている。取付筒73は、円筒状に形成され、その内側は、ジョイント部材74および電極ピン75が挿通される電極穴73Aとなっている。取付筒73の端部(中間筒17側とは反対側の端部、即ち、図6の右側の端部)は、周方向の一部(または全部)を内径側に向けて折り曲げたかしめ部73Bとなっている。かしめ部73Bは、ジョイント部材74が取付筒73から抜け出ないように、ジョイント部材74の鍔部74Bを中間筒17側に向けて押さえ付けている。
ジョイント部材74は、円筒部76と共に付与部となる電極ピン75を収納するものである。この場合、ジョイント部材74は、円筒部76の外周側に設けられており、電極ピン75とリザーバ室Aとを液密、気密に画成(隔離)する。ジョイント部材74は、縦断面形状が略L字状の鍔付円筒部材として形成されている。即ち、ジョイント部材74は、円筒状の筒部74Aと、筒部74Aの端部(中間筒17側とは反対側の端部)から径方向外側に向けて全周にわたって突出する鍔部74Bとを含んで構成されている。そして、ジョイント部材74は、その表面の2個所位置が、高分子材料(合成ゴムを含むゴム材料、合成樹脂を含む樹脂材料)製の弾性体(シール部材)74C,74Dにより覆われている。具体的には、筒部74Aの内周面には、例えばゴムの焼き付けにより円筒状弾性体74Cが設けられている。鍔部74Bの一側面(内側面:中間筒17側の側面)には、例えばゴムの焼き付けによりに円環状弾性体74Dが設けられている。
ジョイント部材74の筒部74Aは、円筒部76(の外周側)に嵌合している。この場合、筒部74Aの円筒状弾性体74Cの自由状態での内径寸法は、円筒部76の外径寸法よりも小さくなっている。即ち、ジョイント部材74の筒部74Aを円筒部76に嵌合させた状態で、筒部74Aの円筒状弾性体74Cは、円筒部76の外周面との間で径方向に圧縮される(押しつぶされる、弾性変形する)。これにより、ジョイント部材74の筒部74Aの内周面と円筒部76の外周面との間は、液密、気密に封止される。これと共に、ジョイント部材74の鍔部74Bの円環状弾性体74Dは、取付筒73のかしめ部73Bによって押さえ付けられることにより圧縮される。これにより、ジョイント部材74の鍔部74Bの一側面と取付筒73の電極穴73Aとの間も、液密、気密に封止される。なお、弾性体74C,74Dは、リザーバ室A内の作動流体20および作動気体(ガス)を液密、気密に封止できる材質であればよく、例えば、シリコン等のゴム以外の樹脂を用いてもよい。また、本実施の形態では、かしめ部73Bによってジョイント部材74の鍔部74Bを中間筒17側に向けて押さえ付けたが、第3の実施形態同様にリングの圧入または螺合によって押さえつけてもよい。
付与部としての電極ピン75は、高電圧ドライバを介してバッテリ19に接続されている。電極ピン75は、中間筒17に電圧(電界)を付与するものである。電極ピン75は、導電性材料を用いて形成され、横断面形状が円形で軸方向に延びるピン状部材となっている。電極ピン75の先端側(中間筒17側)には、全周にわたって径方向内側に凹んだ凹溝75Aが設けられている。凹溝75Aには、導通手段としての環状ばね77が装着されている。なお、ばね77は環状ではなく、例えば複数箇所で離間するようになっていてもよい。
延出部としての円筒部76は、中間筒17の外周側に設けられており、該中間筒17の外周側から外筒3に向けて延出している。円筒部76は、中間筒17外周面で、外筒3の取付筒73と対面する位置に設けられている。この場合、円筒部76は、中間筒17と一体に有底円筒状に形成されている。即ち、円筒部76は、円筒状の筒部76Aと、中間筒17の肉厚よりも厚くなって筒部76Aを閉塞する底部76Bとを含んで構成されている。そして、円筒部76の外径側には、ジョイント部材74の筒部74Aが嵌合している。この場合、筒部74Aの円筒状弾性体74Cは、円筒部76の外周面との間で径方向に圧縮されており、これにより、円筒部76の外周面と筒部74Aの内周面との間が液密、気密に封止されている。
一方、円筒部76内には、付与部となる電極ピン75が電気接触されるように挿入されている。この場合、円筒部76と電極ピン75との間には隙間78がある。即ち、電極ピン75は、円筒部76内で該円筒部76を含む中間筒17とは直接的に接触せず、円筒部76を含む中間筒17に対して隙間78を持って対向している。この場合、電極ピン75は、円筒部76に対して、軸方向にも径方向にも離間している。そして、円筒部76と電極ピン75との間には、隙間78を埋めるように(隙間78に架け渡すように)、導通手段としての環状ばね77が設けられている。なお、本実施の形態では、隙間78を埋めるように、環状ばね77を設ける構成を示したが、多点で接触することを目的としており、全周に亘って埋まるように構成されていなくてもよい。
環状ばね77は、電極ピン75と円筒部76とを電気的に繋ぐものである。環状ばね77は、例えば、欠円環状(略C字状)で導電性の金属ばね部材により構成され、電極ピン75の凹溝75Aに嵌着されている。電極ピン75は、環状ばね77を凹溝75Aに嵌着した状態で、円筒部76内に挿入する。このとき、環状ばね77を円筒部76内に潰し入れる(縮径させる)ことにより、電極ピン75と円筒部76とが電気的に接続(導通)される。これにより、凹溝75A内で環状ばね77の位置が拘束され、振動による導通不良を抑制することができる。また、環状ばね77が周方向にわたって電極ピン75と円筒部76とに接触することにより、接触面積を確保することができる。このため、接触信頼性を向上できると共に、接触抵抗を低減することができる。さらに、環状ばね77を、複数の巻数(巻線)の環状ばね(コイルばね)とした場合には、環状ばねが潰される巻数分の接点ができる。これにより、この面からも、接触信頼性の向上、接触抵抗の低減を図ることができる。なお、環状ばね77をコイルばねとする場合には、コイルばねの軸中心線が凹溝75Aに沿って延びるように(軸中心線が円環状となるように)、環状ばね77(コイルばね)を凹溝75A内に配置することができる。
第4の実施形態は、上述の如き電極接続装置71を介して中間筒17に電圧を供給(印加)するもので、その基本的作用については、第3の実施形態によるものと格別差異はない。
特に、第4の実施形態では、電極ピン75と円筒部76との間には隙間78があり、該隙間78を埋めるように、電極ピン75と円筒部76とを電気的に繋ぐ環状ばね77が設けられている。このため、環状ばね77によって電極ピン75と円筒部76との間の電気的な接触(通電状態)の安定性を向上できる。しかも、円筒部76と電極ピン75との間で環状ばね77が弾性変形することにより、環状ばね77の位置が拘束され、振動による導通不良を抑制することができる。これにより、接触信頼性の向上、接触抵抗の低減を図ることができる。
さらに、第4の実施形態では、電極ピン75の接点(環状ばね77と電極ピン75との接点、環状ばね77と円筒部76との接点)が、円筒部76とジョイント部材74とによってリザーバ室Aから隔離されている。このため、仮に、電極ピン75の接点で導通不良が生じたとしても、リザーバ室Aの作動流体や作動気体(ガス)にその影響を与えにくくできる。
なお、第4の実施形態では、電極ピン75の凹溝75Aに、導通手段として金属製の環状ばね77を装着する構成とした場合を例に挙げて説明した。しかし、これに限らず、例えば、図7に示す第1の変形例のように、電極ピン75の凹溝75Aに、導通手段として環状の導電性ゴム81を装着する構成としてもよい。この場合、導電性ゴム81を凹溝75Aに嵌着した状態で電極ピン75を円筒部76内に挿入したときに、導電性ゴム81が径方向に圧縮されるようにする。
また、例えば、図8に示す第2の変形例のように、電極ピン75の凹溝75Aに、先端側(外径側)が凹溝75Aから円筒部76の内周面側に向けて突出する断面略J字状の板ばね82を、導通手段として装着してもよい。この場合も、板ばね82を凹溝75Aに嵌着した状態で電極ピン75を円筒部76内に挿入したときに、板ばね82の先端側が縮径されるようにする。
第4の実施形態では、電極ピン75の外周面に、環状ばね77を装着するための凹溝75Aを設ける構成とした場合を例に挙げて説明した。しかし、例えば、電極ピンが細い場合や加工が困難な場合は、電極ピン側に凹溝を形成することが面倒になる。そこで、例えば、図9に示す第3の変形例のように、円筒部76の筒部の内面に凹溝83を設け、該凹溝83に環状ばね77を装着する構成としてもよい。この場合は、円筒部76の凹溝83に環状ばね77を嵌着した状態で、電極ピン75を円筒部76内に挿入する。このとき、環状ばね77が電極ピン75によって拡径することにより、電極ピン75と円筒部76とが電気的に接続(導通)される。このような第3の変形例では、電極ピン75に環状ばね77を装着することなく、第4の実施形態と同様の導通状態を実現することができる。
次に、図10は、第5の実施形態を示している。第5の実施形態の特徴は、付与部と中間筒との間の軸方向の隙間に導通手段を設ける構成としたことにある。なお、第5の実施形態では、第1の実施形態および第4の実施形態と同一の構成要素に同一の符号を付し、その説明を省略する。
付与部としての電極ピン91は、導電性材料を用いて形成され、横断面形状が円形で軸方向に延びるピン状部材となっている。電極ピン91の先端面(中間筒17側の端面)には、環状の凹溝91Aが設けられている。凹溝91Aには、導通手段としての環状ばね94が装着されている。
延出部としての円柱部92は、中間筒17の外周側に設けられており、中間筒17の外周側から外筒3に向けて延出している。円柱部92は、中間筒17外周面で、外筒3の取付筒73と対面する位置に設けられている。この場合、円柱部92は、中間筒17と一体に形成されている。ここで、円柱部92の先端部(中間筒17側とは反対側の端部)には、中間筒17側に向けて円弧状に凹む凹部92Aが設けられている。円柱部92の凹部92A内には、付与部となる電極ピン91が電気接触されるように挿入されている。この場合、円柱部92の凹部92Aと電極ピン91との間には隙間93がある。この隙間93は、電極ピン91と中間筒17の軸方向間に設けられている。そして、円柱部92と電極ピン91との間には、隙間93を埋めるように(隙間93に架け渡すように)、導通手段としての環状ばね94が設けられている。
環状ばね94は、電極ピン91と円柱部92とを電気的に繋ぐものである。環状ばね94は、例えば、欠円環状(略C字状)で導電性の金属ばね部材により構成され、電極ピン91の凹溝91Aに嵌着されている。電極ピン91は、環状ばね94を凹溝91Aに嵌着した状態で、円柱部92の凹部92Aの凹面に押し当てられる。このとき、環状ばね94が凹部92Aの凹面との当接により軸方向に弾性変形した状態で、電極ピン75と円筒部76とが電気的に接続(導通)される。
第5の実施形態は、上述の如き電極ピン91と円柱部92と環状ばね94とを介して中間筒17に電圧を供給(印加)するもので、その基本的作用については、第4の実施形態によるものと格別差異はない。
特に、第5の実施形態では、電極ピン91と円柱部92との隙間93は、電極ピン91と中間筒17の軸方向間に設けられている。このため、軸方向間の隙間93により、円柱部92を含む中間筒17と電極ピン91との公差を吸収することができる。即ち、電極ピン91が円柱部92の中心軸に対して斜めに配置された場合でも、環状ばね94を介して電極ピン91と円柱部92とを導通させることができる。これにより、電極ピン91の角度(挿入角度)に拘わらず、環状ばね94を介して導通を可能にできる。この結果、組立性を向上できる。
次に、図11は、第6の実施形態を示している。第6の実施形態の特徴は、導通手段を導電性の液体(ゲル状、クリーム状も含む)としたことにある。なお、第6の実施形態では、第1の実施形態および第4の実施形態と同一の構成要素に同一の符号を付し、その説明を省略する。
付与部としての電極ピン101は、導電性材料を用いて形成され、横断面形状が円形で軸方向に延びるピン状部材となっている。ここで、第6の実施形態では、電極ピン101は、軸方向に延びるピン部102と、該ピン部102の軸方向の中間部から径方向外側に向けて全周にわたって突出した傘状のカバー部103とを含んで構成されている。カバー部103は、ピン部102の中間部から全周にわたって径方向外側に延びる円環状鍔部104と、該円環状鍔部104の外径側から全周にわたって中間筒17側に向けて延びる円筒部105とを備えている。
円環状鍔部104の側面(中間筒17側とは反対側の側面)は、抑え板106と当接している。抑え板106の一側面(内側面:中間筒17側の側面)には、例えばゴムの焼き付けによりに円環状弾性体107が設けられている。円環状弾性体107は、外筒3の取付筒73のかしめ部73Bによって抑え板106が固定された状態で、抑え板106と円環状鍔部104との間を封止する。
一方、円筒部105の内周側には、例えばゴムの焼き付けにより円筒状弾性体108が設けられている。円筒状弾性体108は、電極ピン101の円筒部105の内周側と中間筒17の円筒部76の外周側との間を、液密、気密に封止するものである。これにより、電極ピン101の先端側(中間筒17側)は、電極ピン101のカバー部103と中間筒17の円筒部76とによりリザーバ室Aから隔離されている。即ち、電極ピン101の先端側は、電極ピン101のカバー部103と中間筒17の円筒部76とにより形成される隔離室109となっている。
電極ピン101の先端側は、中間筒17の円筒部76内に電気接触されるように挿入されている。この場合、円筒部76と電極ピン101との間には隙間110がある。即ち、電極ピン101の先端側は、円筒部76内で該円筒部76を含む中間筒17とは直接的に接触せず、円筒部76を含む中間筒17に対して隙間110を持って対向している。この場合、電極ピン101の先端側は、円筒部76に対して、軸方向にも径方向にも離間している。そして、円筒部76と電極ピン101との間には、隙間110を埋めるように(隙間110を満たすように)、導通手段としての導電性の液体、即ち、導電性グリース111が設けられている。即ち、隔離室109内には、導電性グリース111が充填されている。導電性グリース111は、電極ピン101の先端側と円筒部76との両方に直接的に接触(付着)することにより、電極ピン101と中間筒17とを電気的に接続している。導電性グリース111は、円筒状弾性体108が中間筒17の円筒部76の外周側に密着することにより隔離室109内に封止されている。
第6の実施形態は、上述の如き導電性グリース111を介して中間筒17に電圧を供給(印加)するもので、その基本的作用については、第4の実施形態によるものと格別差異はない。
特に、第6の実施形態では、導通手段として導電性グリース111を用いている。このため、電極ピン101の先端側と円筒部76との隙間110に、流動性のある導電性グリース111が入り込む。これにより、電極ピン101と円筒部76との間の電気的な接触の安定性を向上できる。
なお、第6の実施形態では、導電性の液体として導電性グリース111を例に挙げて説明した。しかし、これに限らず、例えば、水銀や導電性エポキシ等、少なくとも組み付けるときに液状(ゲル状、クリーム状も含む)の導電物質、即ち、流動性を有する各種の導電物質を用いることができる。なお、導電物質は、組み付け後に固化してもよい。また、弾性体107,108についても、例えば、シリコン等のゴム以外の樹脂を用いてもよい。
第6の実施形態では、電極ピン101の先端側の隔離室109を、電極ピン101のカバー部103と中間筒17の円筒部76とにより形成した場合を例に挙げて説明した。しかし、これに限らず、例えば、図12に示す第4の変形例のように、第4の実施形態のジョイント部材74とこれに当接する抑え板121とにより隔離室122を形成してもよい。この場合は、円柱状の電極ピン123を用いることができる。
次に、図13および図14は、第7の実施形態を示している。第7の実施形態の特徴は、外筒に高電圧ドライバを取付ける(固定する)と共に、高電圧ドライバと電極ピンおよび外筒との間をドライバ接続部材(基板電極部材)で接続する構成としたことにある。なお、第7の実施形態では、第4の実施形態と同一の構成要素に同一の符号を付し、その説明を省略する。
電極接続装置131は、第4の実施形態の電極接続装置71に代えて、第7の実施形態で用いるものである。電極接続装置131は、外筒3側に設けられる中間電極部材132と、中間筒17側に設けられる延出部としての円筒部76と、後述のドライバ接続部材(基板電極部材)138とを含んで構成されている。中間電極部材132は、取付部133と、隔離部材としてのジョイント部材74と、付与部としての電極ピン135とを含んで構成されている。
外筒3の外周側には、該外周側から径方向の外側に突出するように取付部133が設けられている。取付部133は、外筒3と一体に形成されている。取付部133は、ドライバ取付部133Aと、取付筒133Bとを含んで構成されている。ドライバ取付部133Aには、高電圧を発生する高電圧ドライバ137が取付けられる(固定される)。即ち、ドライバ取付部133Aは、外筒3に対して高電圧ドライバ137を取付けるための受座となっている。高電圧ドライバ137は、ドライバ取付部133Aの受座面133Cに当接した状態で外筒3に取付けられる。また、ドライバ取付部133Aには、電極ピン135、円筒部76およびジョイント部材74が挿通される電極穴133Dが設けられている。
取付筒133Bは、ドライバ取付部133Aの受座面133Cから高電圧ドライバ137側(中間筒17とは反対側)に突出して設けられている。取付筒133Bは、円筒状に形成され、その内側は、ドライバ取付部133Aの電極穴133Dと同心の電極穴133Eとなっている。電極穴133E内には、ジョイント部材74、電極ピン135およびドライバ接続部材138が挿入される。取付筒133Bの基端側、即ち、該取付筒133Bとドライバ取付部133Aとの接続部位には、取付筒133Bの内周側に位置して環状溝133Fが設けられている。
環状溝133Fは、取付筒133Bの内周側に全周にわたって径方向外側に凹む凹溝として形成されている。環状溝133Fに内には、止め輪134が係合(嵌着)される。止め輪134は、環状溝133F内に縮径した状態で挿通され、環状溝133F内で拡径することにより係合される。この状態で、止め輪134は、ジョイント部材74の鍔部74Bを中間筒17側に向けて押さえ付けることができる。
ジョイント部材74は、第4の実施形態のジョイント部材74と同様のもので、筒部74Aと、鍔部74Bと、円筒状弾性体74Cと、円環状弾性体74Dとを含んで構成されている。円筒状弾性体74Cは、筒部74Aの内周面と円筒部76の外周面との間を液密、気密に封止する。円環状弾性体74Dは、鍔部74Bの一側面とドライバ取付部133A(の受座面133C)との間を液密、気密に封止する。
電極ピン135は、高電圧ドライバ137を介してバッテリ19に接続される。電極ピン135は、第4の実施形態の電極ピン75と同様に、中間筒17に電圧(電界)を付与するものである。電極ピン135は、中間筒17(の円筒部76)に対して間接的に電気接触されるように、円筒部76内に挿入される。なお、電極ピン135は、中間筒17(の円筒部76)に対して直接的に電気接触されるように円筒部76内に挿入してもよい。電極ピン135は、導電性材料を用いて形成され、横断面形状が円形で軸方向に延びるピン状部材となっている。電極ピン135の先端側(中間筒17側)には、全周にわたって径方向内側に凹んだ凹溝135Aが設けられている。凹溝135Aには、導通手段としての環状ばね77が装着される。
また、電極ピン135の先端側で円筒部76から露出する部位(即ち、円筒部76よりも基端側となる部位)には、全周にわたって径方向内側に凹んだ取付溝135Bが設けられている。取付溝135Bには、絶縁材136の爪部136Cが係合される。一方、電極ピン135の基端には、電極ピン135の軸方向に延びる連結穴135Cが設けられている。連結穴135Cには、ドライバ接続部材138の高電圧ピン139が挿入される。
絶縁材136は、電極ピン135のうち円筒部76から露出する部分を覆うものである。絶縁材136は、電極ピン135の周囲を覆う円筒部136Aと、該円筒部136Aの外周面から径方向外側に突出する鍔部136Bとを含んで構成されている。円筒部136Aのうち鍔部136Bよりも先端側(中間筒17側)は、ジョイント部材74の筒部74A内に挿入される。円筒部136Aのうち鍔部136Bよりも基端側(高電圧ドライバ137側)は、ドライバ接続部材138のハウジング140(の大径穴140B)に挿入される。
鍔部136Bは、ジョイント部材74とハウジング140とに挟持される。円筒部136Aの先端の開口には、径方向内方に突出する爪部136Cが設けられている。爪部136Cは、電極ピン135の取付溝135B内に抜け止め状態で係合される。これにより、絶縁材136は、電極ピン135の中間部の周囲および基端部の周囲を覆うように取付けられる。絶縁材136は、電気絶縁性材料により形成されており、電極ピン135とジョイント部材74との間を電気的に絶縁した状態に保っている。また、絶縁材136は、電極ピン135とドライバ接続部材138のハウジング140との間を電気的に絶縁した状態に保っている。
中間筒17の円筒部76は、第4の実施形態の円筒部76と同様に、筒部76Aと、底部76Bとを含んで構成されている。そして、円筒部76内には、電極ピン135の先願側が挿入され、円筒部76と電極ピン135とは環状ばね77を介して電気接触されている。環状ばね77は、第4の実施形態の環状ばね77と同様のもので、電極ピン135の凹溝135Aに嵌着されている。
高電圧ドライバ137は、バッテリ19から出力される直流電圧を昇圧して中間筒17に供給(出力)するものである。このために、高電圧ドライバ137は、バッテリ19から出力される直流電圧を昇圧する昇圧回路、昇圧回路を制御する制御回路(いずれも図示せず)等を含んで構成されている。高電圧ドライバ137は、緩衝器1の外筒3(ドライバ取付部133A)に取付けられる(固定される)。高電圧ドライバ137には、取付筒133Bを覆うように凹部137Aが設けられている。高電圧ドライバ137の凹部137A内には、ドライバ接続部材138が設けられている。この場合、ドライバ接続部材138は、凹部137Aの底部137Bから取付筒133B内を中間筒17側に向けて突出して設けられている。
ドライバ接続部材138は、高電圧ドライバ137の正極側と電極ピン135との間を電気的に接続し、かつ、高電圧ドライバ137のグランド側と外筒3(の取付筒133B)との間を電気的に接続するものである。ドライバ接続部材138は、付与部としての高電圧ピン(HVピン)139と、ハウジング140と、接地部材としてのグランドピン141と、スペーサ142と、グランドばね145とを含んで構成されている。
高電圧ピン139は、高電圧ドライバ137に支持(固定)されており、凹部137Aの底部137Bから中間筒17側に向けて突出している。高電圧ピン139は、電極ピン135と同様に、導電性材料を用いて形成され、横断面形状が円形で軸方向に延びるピン状部材となっている。高電圧ピン139の先端側(中間筒17側)は、電極ピン135の連結穴135C内に挿通されている。これにより、高電圧ピン139と電極ピン135とが電気的に接続されている。一方、高電圧ピン139の基端側(中間筒17とは反対側)は、高電圧ドライバ137の基板(昇圧回路)に接続されている。これにより、電極ピン135は、高電圧ピン139を介して高電圧ドライバ137(の正極側)に接続されている。
ハウジング140は、高電圧ドライバ137に支持(固定)されており、凹部137Aの底部137Bから中間筒17側に向けて突出している。ハウジング140は、筒状に形成されている。ハウジング140は、高電圧ピン139が挿通される小径穴140Aと、電極ピン135が絶縁材136と共に挿通される大径穴140Bと、該大径穴140Bの開口側に設けられ径方向外側に向けて突出する鍔部140Cとを含んで構成されている。高電圧ドライバ137が外筒3に取付けられた状態で、鍔部140Cは、止め輪134および絶縁材136の鍔部136Bを中間筒17側に向けて押付ける。ハウジング140は、電気絶縁性材料により形成され、電極ピン135および高電圧ピン139とグランドピン141との間を電気的に絶縁した状態に保っている。
グランドピン141は、高電圧ドライバ137に支持(固定)されており、凹部137Aの底部137Bから中間筒17側に向けて突出している。グランドピン141は、導電性材料を用いて円筒状に形成されており、ハウジング140に嵌合している。グランドピン141は、高電圧ドライバ137を介してグランドと接続されている。また、グランドピン141は、グランドばね145を介して外筒3(の取付筒133B)に電気的に接続されている。これにより、外筒3(の取付筒133B)は、グランドばね145、グランドピン141、高電圧ドライバ137を介してグランドと接続されている。なお、内筒2は、ロッドガイド9、ボトムバルブ12、ボトムキャップ4等を介して外筒3と電気的に接続されている(即ち、内筒2も外筒3と共にグランドと接続されている)。
スペーサ142は、高電圧ドライバ137に支持(固定)されており、凹部137Aの底部137Bから中間筒17側に向けて突出している。スペーサ142は、電気絶縁性材料により円筒状に形成されている。スペーサ142は、グランドピン141よりも軸方向寸法が短くなっている。これにより、グランドピン141の外周面とスペーサ142の端面とハウジング140の鍔部140Cとにより凹溝143を形成している。凹溝143には、導通手段としてのグランドばね145が装着されている。
即ち、外筒3の取付筒133B内には、グランドと接続されるグランドピン141が、外筒3に対して間接的に電気接触されるように挿入されている。この場合、グランドピン141は、取付筒133B内で該取付筒133Bを含む外筒3とは直接的に接触せず、取付筒133Bを含む外筒3に対して隙間144を持って対向している。この場合、グランドピン141は、外筒3の取付筒133Bに対して径方向に離間している。そして、グランドピン141と取付筒133Bとの間には、隙間144を埋めるように(隙間144に架け渡すように)、導通手段としてのグランドばね145が設けられている。なお、本実施の形態では、隙間144を埋めるように、グランドばね145を設ける構成を示したが、多点で接触することを目的としており、全周に亘って埋まるように構成されていなくてもよい。また、グランドピン141を、外筒3に対して直接的に電気接触されるように、取付筒133B内に挿入してもよい。
グランドばね145は、グランドピン141と取付筒133Bとを電気的に繋ぐものである。グランドばね145は、例えば、欠円環状(略C字状)で導電性の金属ばね部材(環状ばね)により構成され、凹溝143に嵌着されている。グランドばね145は、例えば、複数の巻数(巻線)のコイルばねとすることができる。この場合には、コイルばねの軸中心線が凹溝143に沿って延びるように(軸中心線が円環状となるように)、グランドばね145(コイルばね)を凹溝143内に配置することができる。
グランドピン141は、グランドばね145を凹溝143に嵌着した状態で、取付筒133B内に挿入される。このとき、グランドばね145を取付筒133B内に潰し入れる(縮径させる)ことにより、グランドピン141と取付筒133Bとが電気的に接続(導通)される。図13および図14では、自由状態のグランドばね145を二点鎖線で示し、凹溝143内で取付筒133B(の内周面)と接触することにより弾性変形した状態のグランドばね145を実線で示している。
これにより、凹溝143内でグランドばね145の位置が拘束され、振動による導通不良を抑制することができる。また、グランドばね145が周方向にわたってグランドピン141(の外周面)と取付筒133B(の内周面)とに接触することにより、接触面積を確保することができる。このため、接触信頼性を向上できると共に、接触抵抗を低減することができる。さらに、グランドばね145を、コイルばねとした場合には、コイルばねが潰される巻数分の接点ができる。これにより、この面からも、接触信頼性の向上、接触抵抗の低減を図ることができる。
第7の実施形態は、上述の如きドライバ接続部材138を介して高電圧ドライバ137と電極ピン135および外筒3との間を接続するもので、その基本的作用については、第4の実施形態によるものと格別差異はない。
特に、第7の実施形態では、グランドピン141と取付筒133Bとの間には隙間144があり、該隙間144を埋めるように、グランドピン141と取付筒133Bとを電気的に繋ぐグランドばね145が設けられている。このため、グランドばね145によってグランドピン141と取付筒133Bとの間の電気的な接触(通電状態)の安定性を向上できる。しかも、グランドピン141と取付筒133Bとの間でグランドばね145が弾性変形することにより、グランドばね145の位置が拘束され、振動による導通不良を抑制することができる。これにより、接触信頼性の向上、接触抵抗の低減を図ることができる。
なお、第7の実施形態では、凹溝143に金属製のグランドばね145を装着する構成とした場合を例に挙げて説明した。しかし、これに限らず、例えば、図7の導電性ゴム81のようなグランドばねを凹溝143に装着する構成としてもよい。また、例えば、図8の断面略J字状の板ばね82のようなグランドばねを凹溝143に装着してもよい。さらに、取付筒133B側に凹溝を設け、取付筒133B側の凹溝にグランドばねを装着する構成としてもよい。
なお、各実施形態では、作動流体20は、軸方向の上端側から下端側に向けて流動する構成とした場合を例に挙げて説明した。しかし、これに限らず、例えば、軸方向の下端側から上端側に向けて流動する構成、軸方向の左端側(または右端側)から右端側(または左端側)に向けて流動する構成、軸方向の前端側(または後端側)から後端側(または前端側)に向けて流動する構成等、軸方向の一端側から他端側に向けて流動する構成とすることができる。
各実施形態では、緩衝器1を上下方向に配置する構成とした場合を例に挙げて説明した。しかし、これに限らず、例えば、エアレーションを起こさない範囲で傾けて配置する等、取付対象に応じて所望の方向に配置することができる。
各実施形態では、機能性流体としての作動流体20を、電気粘性流体(ER流体)により構成する場合を例に挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限るものではなく、例えば磁界により流体の性状が変化する磁性流体(MR流体)を用いて機能性流体としての作動流体を構成してもよい。磁性流体を用いる場合には、中間筒17を電極に代えて磁極とする(即ち、磁界供給部からの磁界を中間筒に付与する)構成とすることができる。この場合は、例えば、磁界供給部により、内筒2と中間筒17との間に磁界を発生させ、発生減衰力を可変に調整するときには、磁界を可変に制御する。また、絶縁用の保持部材10,14等は、例えば、非磁性材料により形成することができる。さらに、延出部と付与部との間の隙間には、隙間内で多点接触させるように、付与部と延出部とを磁気的に繋ぐ導通手段を設けることができる。
各実施形態では、シリンダ装置としての緩衝器1を4輪自動車に用いる場合を例に挙げて説明した。しかし、これに限らず、例えば、2輪車に用いる緩衝器、鉄道車両に用いる緩衝器、一般産業機器を含む各種の機械機器に用いる緩衝器、建築物に用いる緩衝器等、緩衝すべき対象を緩衝する各種の緩衝器(シリンダ装置)として広く用いることができる。さらに、各実施形態は例示であり、異なる実施形態で示した構成の部分的な置換または組み合せが可能であることは言うまでもない。
以上の実施形態によれば、付与部から中間筒に電界(電圧)または磁界を付与する際の安定性を向上することができる。
即ち、実施形態によれば、中間筒の外周側に外筒に向けて延出する延出部が設けられており、この延出部内には、付与部が電気接触されるように挿入される。このため、リザーバ室を流通する流体は、延出部の周囲を流通することになる。これにより、特許文献1のようなリザーバ室を流通する流体の流体力が付与部(圧縮スプリング)のみに直接的に加わる構成と比較して、付与部から中間筒に電界(電圧)または磁界を付与する際の安定性を向上できる。
一方、延出部の内周または外周にジョイント部材が挿入される構成の場合は、付与部の周囲を延出部とジョイント部材とによって覆うことができる。これにより、リザーバ室を流通する流体の流体力を延出部とジョイント部材とで受けることができ、付与部から中間筒に電界(電圧)または磁界を付与する際の安定性を向上できる。
実施形態によれば、延出部の内周または外周には、付与部とリザーバ室とを液密に画成する隔離部材が設けられる構成としている。このため、リザーバ室を流通する流体から付与部を隔離することができ、リザーバ室を流通する流体の流体力が付与部に加わることを抑制できる。これにより、付与部から中間筒に電界(電圧)または磁界を付与する際の安定性をより向上できる。
実施形態によれば、延出部と付与部との間には隙間があり、該隙間内で多点接触させるように、付与部と延出部とを電気的または磁気的に繋ぐ導通手段が設けられている。このため、導通手段によって、付与部と延出部との間の電気的または磁気的な接触の安定性を向上できる。これにより、接触信頼性の向上、接触抵抗の低減を図ることができる。
実施形態によれば、隙間は、付与部と中間筒の軸方向間に設けられている。このため、軸方向間の隙間により、延出部を含む中間筒と付与部との公差を吸収することができる。この結果、組立性を向上できる。
実施形態によれば、導通手段は、環状のばね部材である。このため、延出部と付与部との間で環状のばね部材が弾性変形することにより、環状ばねの位置が拘束され、振動による導通不良を抑制することができる。しかも、環状ばねを複数の巻数(巻線)の環状ばね(コイルばね)とした場合には、環状ばねが潰される巻数分の接点ができる。これにより、この面からも、接触信頼性の向上、接触抵抗の低減を図ることができる。
実施形態によれば、導通手段は、導電性の液体である。このため、付与部と延出部との隙間に、流動性のある導電性の液体が入り込む。これにより、付与部と延出部との間の電気的な接触の安定性を向上できる。
実施形態によれば、中間筒の外周側には、延出部を形成するリング部材が軸方向に部分的に設けられ、付与部は延出部内に接触して設けられる構成としている。このため、延出部が形成されたリング部材を中間筒に取付けることで、中間筒の外周側に延出部を容易に設けることができる。しかも、延出部内に付与部を接触することで、これら延出部と付与部との接触面積を大きくすることができる。これにより、接触抵抗を低減することができ、電気的接点となる接触部位での発熱の低減と消費電力の低減とを図ることができる。
実施形態によれば、付与部は、ピン状部材であって、ピン状部材の背面には、該ピン状部材を中間筒に向けて付勢する付勢手段が設けられる構成としている。このため、付与部となるピン状部材を、付勢手段によって中間筒に押付けることができる。これにより、この面からも、付与部と中間筒との接触の安定性を向上できる。
以上説明した実施形態に基づくシリンダ装置として、例えば以下に述べる態様のものが考えられる。
シリンダ装置の第1の態様としては、電界または磁界により流体の性状が変化する機能性流体が封入され、内部にロッドが挿入される内筒と、該内筒の外側に設けられる外筒と、前記内筒と前記外筒との間に設けられ、軸方向の一端側から他端側に向けて前記ロッドの進退動により前記機能性流体が流動する通路を前記内筒との間に形成し、電極または磁極となる中間筒と、前記中間筒と前記外筒との間に形成され、前記機能性流体および作動気体が封入されるリザーバ室と、前記内筒と前記外筒の一端を閉塞するように設けられ、前記ロッドを支持するロッドガイドと、電界供給部または磁界供給部からの電界または磁界を前記中間筒に付与する付与部と、を有し、前記中間筒の外周側には、前記外筒に向けて延出する延出部が設けられ、前記延出部内には、前記付与部が電気接触されるように挿入される。
第2の態様としては、第1の態様において、前記延出部の内周または外周には、前記付与部と前記リザーバ室とを液密に画成する隔離部材が設けられる。
第3の態様としては、第1、第2の態様において、前記延出部と前記付与部との間には隙間があり、該隙間内で多点接触させるように、前記付与部と前記延出部とを電気的または磁気的に繋ぐ導通手段が設けられる。
第4の態様としては、第3の態様において、前記隙間は、前記付与部と前記中間筒の軸方向間に設けられる。
第5の態様としては、第3の態様において、前記導通手段は、環状のばね部材である。
第6の態様としては、第3の態様において、前記導通手段は、導電性の液体である。
第7の態様としては、第1の態様において、前記中間筒の外周側には、前記延出部を形成するリング部材が軸方向に部分的に設けられ、前記付与部は前記延出部内に接触して設けられる。
第8の態様としては、第1ないし7の態様において、前記付与部は、ピン状部材であって、前記ピン状部材の背面には、該ピン状部材を前記中間筒に向けて付勢する付勢手段が設けられる。