以下、本発明の好ましい実施の形態につき、図面を参照して具体的に説明する。
図1〜図3は、本発明の第1実施形態に基づくパウチ容器用包材を示している。本実施形態のパウチ容器用包材A1は、一対の外装フィルム1、底ガセットフィルム2、一対の内袋フィルム3およびスパウト7を備えている。
図1は、パウチ容器用包材A1を示す正面図である。図2は、図1のII−II線に沿う断面図であり、図3は、図1のIII−III線に沿う断面図である。これらの図においては、理解の便宜上、後述するヒートシール等によってフィルム同士が接合されたシール部に複数の離散点からなるハッチングを付しており、以降の図においても同様である。また、図中のx方向は、本発明における一対の外装フィルムの幅方向であり、y方向は、本発明における前後方向であり、z方向は、本発明における天地方向である。また、本発明においては、天地方向における一方を天側、他方を底側と、便宜上呼称し、幅方向において一方側および他方側の呼称を適宜用いる。
一対の外装フィルム1は、y方向において互いに対面している。外装フィルム1は、天辺11、底辺12、第1側辺13、第2側辺14および斜辺15を有している。底辺12は、本実施形態においては、x方向に直線状に延びており、パウチ容器用包材A1を用いて製造されたパウチ容器が店頭等において陳列される際に陳列棚等に接することが意図された辺である。天辺11は、z方向において底辺12とは反対側に位置しており、本実施形態においては、x方向に直線状に延びている。第1側辺13は、x方向左方に位置しており、本実施形態においては天辺11および底辺12に対して垂直である。第2側辺14は、x方向において第1側辺13とは反対側に位置しており、本実施形態においては天辺11および底辺12に対して垂直である。斜辺15は、天辺11の左端と第1側辺13の天側端とを繋いでおり、x方向およびz方向のいずれに対しても傾斜している。
底ガセットフィルム2は、折り目21において底辺12と平行に折り畳まれた状態で一対の外装フィルム1の間に位置している。底ガセットフィルム2のz方向底側端は、本実施形態においては、外装フィルム1の底辺12と各々が一致している。また、底ガセットフィルム2には、切欠き22が形成されている。切欠き22は、底ガセットフィルム2の一部が切り欠かれた部位であり、厚さ方向に貫通している。
一対の外装フィルム1および底ガセットフィルム2は、通常、樹脂フィルムから構成される。該樹脂フィルムには、耐衝撃性、耐磨耗性、及び耐熱性等、包装体としての基本的な性能を備えることが要求される。また、上記各シール部は、通常、ヒートシールにより形成されるので、シートにはヒートシール性も要求される。シートとしては、ベースフィルム層と、ヒートシール性を付与するシーラント層とを有する複層シートが好適であり、高いガスバリア性や遮光性が要求される場合には、ベースフィルム層とシーラント層との間にバリア層を設けることが好適である。なお、ベースフィルム層そのものにバリア性を付与してもよい。この場合は、バリア層をベースフィルム層として用い、バリア層とシーラント層とを有する複層シートとなる。
ここで、ベースフィルム層、シーラント層、及びガスバリア層の構成材料を例示する。なお、これら各層の積層は、慣用のラミネート法、例えば、共押出しラミネーション、接着剤によるドライラミネーション、熱接着性層を挟んで熱により接着させる熱ラミネーション等により行うことができる。
ベースフィルム層を構成するフィルムとしては、ポリエステル(ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレ−ト(PEN)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリカーボネート(PC)等)、ポリオレフィン(ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)等)、ポリアミド(ナイロン−6、ナイロン−66等)、ポリアクリロニトリル(PAN)、ポリイミド(PI)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリ塩化ビニリデン(PVDC)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリエーテルスルフォン(PES)等から構成される一層または二層以上の延伸または未延伸フィルムが例示できる。
シーラント層を構成するフィルムとしては、低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、エチレン−プロピレン共重合体(EP)、未延伸ポリプロピレン(CPP)、二軸延伸ナイロン(ON)、エチレン−オレフィン共重合体、エチレン−アクリル酸共重合体(EAA)、エチレン−メタクリル酸共重合体(EMAA)及びエチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)等から構成される一層または二層以上の延伸または未延伸フィルムが例示できる。
ガスバリア層としては、アルミニウム等の金属薄膜、又は塩化ビニリデン(PVDC)、エチレン−ビニルアルコール共重合体(EVOH)等の樹脂フィルム、或いは任意の合成樹脂フィルム(例えば、ベースフィルム層であってもよい)に、アルミニウム、酸化アルミニウムやシリカ等の無機酸化物等を蒸着(又はスパッタリング)したフィルムが例示できる。
一対の外装フィルム1または底ガセットフィルム2には、内容物の商品名や原材料・使用上の注意事項等の商品説明、その他各種デザイン等を表示するための印刷層(図示せず)を設けることができる。例えば、印刷層は、グラビア印刷等の公知の方法により、ベースフィルム層の内側の面に形成できる。
パウチ容器用包材A1は、底辺シール部42、第1側辺シール部43、第2側辺シール部44および斜辺シール部45を有している。底辺シール部42は、一対の外装フィルム1と底ガセットフィルム2とが底辺12に沿ってヒートシールによって接合された部分である。なお、本実施形態においては、底辺シール部42は、底辺12に沿う主要部分と、この主要部分の両端において第1側辺13および第2側辺14に沿うように天側へと延びる部分とを有している。また、底ガセットフィルム2に切欠き22が形成されていることにより、切欠き22においては、一対の外装フィルム1同士が部分的に接合されている。この部位は、内容物を充填した後などにおいて底ガセットフィルム2のx方向両端が開いてしまうことを防止する機能を果たす。
第1側辺シール部43は、一対の外装フィルム1同士が第1側辺13に沿ってヒートシールによって接合された部分である。第1側辺シール部43は、内袋固定領域431および底側領域432を有する。内袋固定領域431は、一対の内袋フィルム3の後述する袋部31が固定された領域である。底側領域432は、底側領域432のz方向底側に隣接する領域であり、底辺シール部42に繋がっている。
本実施形態においては、第1側辺シール部43の内袋固定領域431のx方向における第2側辺14側端縁は、z方向において天側へと向かうほどx方向において第1側辺13に近接するように、すなわち第1側方シール部43のシール幅が狭くなるように、傾斜している。また、第1側辺シール部43の底側領域432のx方向における第2側辺14側端縁は、z方向において底側へと向かうほどx方向において第1側辺13に近接するように、すなわち第1側方シール部43のシール幅が狭くなるように、傾斜している。
第2側辺シール部44は、一対の外装フィルム1同士が第2側辺14に沿ってヒートシールによって接合された部分である。本実施形態においては、第2側辺シール部44は、z方向に沿った直線帯状である。
斜辺シール部45は、一対の外装フィルム1同士が斜辺15に沿ってヒートシールによって接合された部分である。斜辺シール部45は、第1側辺シール部43の内袋固定領域431に繋がっており、x方向およびz方向のいずれに対しても傾斜している。
一対の外装フィルム1に挟まれ、且つ底辺シール部42、第1側辺シール部43、第2側辺シール部44および斜辺シール部45に囲まれた空間が、収容空間5とされている。収容空間5は、パウチ容器用包材A1を用いて製造されたパウチ容器において、内容物を収容するための空間である。
図4は、拡開された状態の一対の内袋フィルム3を示す斜視図である。図1〜図4に示すように、一対の内袋フィルム3は、y方向において一対の外装フィルム1の間に位置しており、互いに対面している。本実施形態においては、一対の内袋フィルム3は、袋部31および一対の延長部32を有している。内袋フィルム3の材料および構成は、上述した外装フィルム1と類似する。ただし、本実施形態においては、後述するパウチ容器用包材A1の製造の便宜のため、内袋フィルム3の両面にシーラント層が設けられたフィルム材料が用いられている。
本実施形態においては、一対の内袋フィルム3のx方向における第1側辺13側(一端側)部分が、一対の外装フィルム1に挟まれた状態でヒートシールされることにより、第1側辺シール部43の内袋固定領域431の一部となっている。すなわち一対の内袋フィルム3は、x方向一端が第1側方シール部43に繋がっている。これにより、内袋固定領域431には、内袋フィルム3の袋部31が固定されている。また、一対の内袋フィルム3のx方向における第2側辺14側(他端側)部分が、一対の外装フィルム1に挟まれた状態でヒートシールされることにより、第2側辺シール部44の一部となっている。すなわち、一対の内袋フィルム3のx方向他端は、第2側方シール部44に繋がっている。
袋部31は、x方向において第1側辺13側において第1側辺シール部43の内袋固定領域431に隣接して配置されており、所定量の内容物を一時的に収容するためのものである。一対の内袋フィルム3は、開口部311および折り返し部312を有している。開口部311は、z方向において天側に開口している。折り返し部312は、一対の内袋フィルム3のz方向底側端縁同士が、第1側辺シール部43から後述する内第2側方シール部463にわたって連結された部位であり、本発明で言う内底側連結部の一例である。折り返し部312は、袋部31の底を構成する部位であり、一対の内袋フィルム3を構成するフィルム材料が折られた部位である。なお、図4に示すように、開口部311は、一対の内袋フィルム3のz方向天側端全長を指すものではない。開口部311は、袋部31の開口部分として内容物を通過させる部分を指す。すなわち、開口部311は、延長部32には及んでいない。
また、一対の内袋フィルム3には、内第1側方シール部462および内第2側方シール部463が形成されている。内第1側方シール部462は、一対の内袋フィルム3の一部同士が、x方向における第1側辺13側においてヒートシールによって接合された部位であり、袋部31のx方向第1側辺13側境界を規定している。内天側シール部461のz方向天側端は、内袋フィルム3のz方向天側端に到達している。内天側シール部461のz方向底側端は、折り返し部312に到達している。また、本実施形態においては、内天側シール部461は、内袋固定領域431のx方向における第2側辺14側端縁に沿うように位置している。すなわち、内袋固定領域431は、z方向において天側へと向かうほどx方向において第1側辺13に近接するように傾斜している。
内第2側方シール部463は、一対の内袋フィルム3の一部ずつがx方向他端側においてヒートシールによって接合された部位であり、第1側辺シール部43および第2側辺シール部44から離間し、且つx方向と交差する方向に延びている。内第2側方シール部463は、袋部31のx方向第2側辺14側境界を規定している。本実施形態においては、内第2側方シール部463のz方向天側端は、内袋フィルム3のz方向天側端からz方向底側に離間している。内第2側方シール部463のz方向底側端は、折り返し部312に到達している。また、本実施形態においては、内第2側方シール部463は、z方向において底側へと向かうほどx方向において第1側辺13に近接するように傾斜している。
一対の延長部32は、袋部31および第2側辺シール部44に繋がっており、y方向において互いに対面している。一対の延長部32には、挿通部321が形成されている。挿通部321は、z方向全域にわたって互いに接合されていない部位である。本実施形態においては、一対の内袋フィルム3を構成するフィルム材料がx方向全長にわたって折られた後に、この折り目を含む一部を切り欠くことによって挿通部321が形成されている。なお、本実施形態においては、前記切り欠きは、後述する延長シール部464とx方向において一部が重なっている。
パウチ容器用包材A1は、一対の内天側シール部461および一対の延長シール部464を備えている。一対の内天側シール部461は、一対の内袋フィルム3のうちz方向天側端縁に沿う部分と、一対の外装フィルム1のうちz方向においてスパウト7と底辺12との間に位置する部分とが、x方向における第1側辺シール部43と内第2側方シール部463との間においてそれぞれ接合された部位である。言い換えると、一対の内天側シール部461は、一対の内袋フィルム3のうち開口部311に沿う部分と、一対の外装フィルム1のうちz方向においてスパウト7と底辺12との間に位置する部分とが、それぞれ接合された部位である。一対の内天側シール部461が設けられることにより、袋部31の開口部311付近の部位が一対の外装フィルム1に固定された格好となっている。本実施形態においては、内天側シール部461のx方向第1側辺13側端(一端)は、第1側辺シール部43の内袋固定領域431に到達している。さらに、内天側シール部461のx方向第1側辺13側端は、第1側辺シール部43の内袋固定領域431と斜辺シール部45との交差部分に繋がっている。また、内天側シール部461のx方向第2側辺14側端(他端)は、内第2側方シール部463のx方向天側端よりもx方向第1側辺13側端(一端)側に位置している。すなわち、本実施形態においては、内第2側方シール部463のx方向天側端は、x方向において一対の内天側シール部461の第2側辺14側端よりも第2側辺14側に位置している。
なお、一対の内袋フィルム3の袋部31は、一対の内天側シール部461において一対の外装フィルム1に固定されているものの、z方向における底側部分およびx方向における第2側辺14側部分は、いずれも一対の外装フィルム1に対して固定されていない。
一対の延長シール部464は、一対の内袋フィルム3と一対の外装フィルム1との一部とが内第2側方シール部463と第2側辺シール部44との間において接合された部位である。言い換えると、一対の延長シール部464は、一対の延長部32と一対の外装フィルム1との一部ずつが接合された部位である。本実施形態においては、一対の延長シール部464は、一対の内袋フィルム3のz方向天側端に沿って形成されている。延長シール部464のx方向第2側辺14側端は、第2側辺シール部44に到達している。延長シール部464のx方向第1側辺13側端は、延長部32のx方向中央付近に位置している。
スパウト7は、パウチ容器用包材A1を用いて製造されたパウチ容器から内容物を注出するためのものである。スパウト7は、斜辺シール部45において一対の外装フィルム1に挟まれた状態で、一対の外装フィルム1に対して気密性を保持するように接合されている。スパウト7は、たとえば本体部と蓋部とからなる。内容物の注出においては、前記蓋部が前記本体部から取り外される。内容物を保管する際には、前記蓋部は前記本体部に取り付けられる。
次に、パウチ容器用包材A1の製造方法の一例について、図5を参照しつつ以下に説明する。
図示された製造方法においては、一対の外装フィルム材料1A、底ガセットフィルム材料2Aおよび内袋フィルム材料3Aを用いる。一対の外装フィルム材料1Aは、各々がx方向を長手方向とする長尺帯状のフィルム材料であり、各々が複数の外装フィルム1を形成するための材料である。底ガセットフィルム材料2Aは、x方向を長手方向とする長尺帯状のフィルム材料であり、複数の底ガセットフィルム2を形成するための材料である。内袋フィルム材料3Aは、x方向を長手方向とする長尺帯状のフィルム材料であり、複数対の内袋フィルム3を形成するための材料である。
x方向右方から左方に向けて送り出される底ガセットフィルム材料2Aに対して、x方向に沿って延びる中心線に沿った山折り加工を施す。また、この折曲げの後に、x方向における所定ピッチをおいて切欠き22を形成する。
また、x方向右方から左方に向けて送り出される内袋フィルム材料3Aに対して、x方向に沿って延びる中心線に沿って谷折り加工を施す。また、この折曲げの後に、切断加工によって切り欠きを形成することにより、挿通部321を設ける。また、折り畳んだ内袋フィルム材料3Aの一部同士をヒートシールすることにより、内第1側方シール部462および内第2側方シール部463を形成する。これにより、開口部311を有し、内第1側方シール部462、内第2側方シール部463および折り返し部312によって規定された袋部31が形成される。なお、パウチ容器用包材A1が完成した後は、内第1側方シール部462が無いとしても第1側方シール部43の存在により袋部31が袋状の形態を維持しうる。しかし、図5に示す製造工程において、内袋フィルム材料3Aに内第1側方シール部462を形成しておけば、折り畳まれた内袋フィルム材料3Aを搬送する際に、内袋フィルム材料3Aが不当にねじれたり歪んだりすることを抑制する効果が期待できる。また、一対の外装フィルム材料1Aの間に内袋フィルム材料3Aを送り込む際には、例えば第1側方シール部43を形成するためのシール金型に対して、内袋フィルム材料3Aを位置決めするための基準として、内第1側方シール部462を用いることができるという利点がある。
次いで、底ガセットフィルム材料2Aおよび内袋フィルム材料3Aを挟むようにして、底ガセットフィルム材料2Aおよび内袋フィルム材料3Aとともに、一対の外装フィルム材料1Aをx方向右方から左方に向けて搬送する。そして、底ガセットフィルム材料2Aおよび内袋フィルム材料3Aを挟んだ状態で、一対の外装フィルム材料1Aの所定箇所同士をヒートシールすることにより、底辺シール部42、第1側辺シール部43および第2側辺シール部44と、内天側シール部461および延長シール部464とを形成する。なお、本実施形態においては、内袋フィルム材料3Aは、両面に上述したシーラント層が設けられている。このため、内天側シール部461および延長シール部464の形成においては、内袋フィルム材料3Aのうち互いに重なり合う部分同士が接合されてしまわないように、折り畳まれた内袋フィルム材料3Aの間にヒートシールを阻止するプレート等(図示略)を挿入しておく。
この後に、たとえば一対の外装フィルム材料1Aを、パウチ容器用包材A1に相当する部分に分割するように切断する。この切断により、一対の外装フィルム1、底ガセットフィルム2および一対の内袋フィルム3が得られる。そして、この切断の際に、あるいはスパウト7をヒートシールする直前で、斜辺15を形成し、次いで、一対の外装フィルム1のうち斜辺15に沿う部分の間にスパウト7を配置した状態で、ヒートシールを行う。これにより、斜辺シール部45が形成され、図1〜図3に示したパウチ容器用包材A1が得られる。
次に、パウチ容器用包材A1を用いたパウチ容器の製造方法について、図6および図7を参照しつつ、以下に説明する。
図6および図7に示すように、一対の外装フィルム1の天辺11同士の間からノズル81を収容空間5に進入させる。この際、天辺11を把持するなどによって一対の外装フィルム1を拡開すると、図4から理解されるように、一対の延長シール部464を介して一対の内袋フィルム3の一対の延長部32が拡開される。これにより、一対の延長部32の間にノズル81を当該延長部32に形成された挿通部321に挿通させることができる。ノズル81からは、内容物8を収容空間5に供給する。なお、ノズル81による内容物8の充填は、ノズル81のz方向底側端が、少なくとも開口部311よりも底側に位置する状態、より好ましくは延長部32よりも底側に位置する状態において行う。内容物8の充填が終了した後は、一対の外装フィルム1を天辺11に沿ってヒートシールすることにより、収容空間5を密閉する。これにより、図8〜図9に示すB1が得られる。
図8は、パウチ容器B1を示す正面図である。図9は、図8のIX−IX線に沿う断面図であり、図10は、図8のX−X線に沿う断面図である。パウチ容器B1の構成要素のうちパウチ容器用包材A1が備えていた構成要素は、パウチ容器用包材A1における説明をもって省略する。
パウチ容器B1では、収容空間5のうち一対の延長部32よりもz方向底側の部分に内容物8が充填されている。内容物8は、液体あるいは粉粒体等であり、特に限定されない。内容物8は、袋部31によって所定量の計量しうるものであれば様々なものが採用可能であり、例として日用品、薬品、飲食料品等が挙げられる。
パウチ容器B1は、天辺シール部41を備えている。天辺シール部41は、一対の外装フィルム1の一部ずつが天辺11に沿ってヒートシールにより接合された部位である。天辺シール部41は、斜辺シール部45および第2側辺シール部44に到達している。天辺シール部41が形成されることにより、内容物8は、収容空間5内において密閉状態で収容される。
図9および図10に示すように、内容物8が充填されると、内容物8の重みによって底ガセットフィルム2の折り目21が開かれ、底ガセットフィルム2が平坦に近い状態となり、一対の外装フィルム1の底辺12の中央部がy方向に離間する。これにより、パウチ容器B1は、一対の外装フィルム1の底辺12を重力方向下方に位置させた姿勢で自立可能である、いわゆるスタンディングタイプのパウチ容器の形態となっている。
次に、パウチ容器B1からの内容物8の注出を図8、図11および図12を参照しつつ、以下に説明する。まず、図8に示す状態からパウチ容器B1をz方向において天地逆の倒立姿勢とする。これにより、内容物8が一対の延長部32の挿通部321を通過して天辺11側に移動する。そして、再び天地を入れ替えて正立させると、図11に示すように内容物8の一部が袋部31に収容され、残りの内容物8が底辺12側の収容空間5に収容される。この状態は、所定量の内容物8が袋部31によって計量された状態である。
続いて、スパウト7の前記蓋部を取り除いた後に、パウチ容器B1を図11における反時計回りに傾けると、図12に示すように袋部31に収容された所定量の内容物8がスパウト7から外部へと注出される。なお、パウチ容器B1を傾ける際には、図12においてハッチングが施された挟持領域Fを指などによって挟持することが好ましい。挟持領域Fを挟持することにより、パウチ容器B1の収容空間5は、袋部31および挟持領域Fによって天側と地側とに区画される。このため、パウチ容器B1を傾けても、底側に収容されていた内容物8が袋部31の開口部311やスパウト7付近に流入することを阻止することができる。なお、使用者にこのような使用方法等を誤解無く伝えるべく、使用方法等の注意書表示や、挟持領域Fを示す表示を設けることが好ましい。
次に、パウチ容器用包材A1およびパウチ容器B1の作用について説明する。
本実施形態によれば、内底側連結部としての折り返し部312および内第2側方シール部463が設けられていることにより、一対の内袋フィルム3の袋部31が備えられているものの、一対の外装フィルム1のうち袋部31を挟む部分は、第1側辺シール部43を除いて互いに接合されていない。このため、内容物8の計量を目的として袋部31に内容物8の一部を収容する際には、一対の外装フィルム1のうち袋部31を挟む部分を、互いに拘束することなくすスムーズに拡開することが可能である。そして、一対の外装フィルム1の拡開によって、一対の内天側シール部461を介して袋部31が拡開される。これにより、袋部31の開口部311を適切に開口させた状態で、内容物8をスムーズに収容させることができる。しかも、袋部31を十分に拡開することにより、所定量の内容物8をより正確に袋部31に収容することが可能である。したがって、所定量の内容物8をよりスムーズ且つ正確に注出することができる。さらに、袋部31のz方向底側部分およびx方向における第2側辺14側部分が一対の外装フィルム1に接合されていないことにより、一対の外装フィルム1の拡開が袋部31によって拘束されることを抑制することができる。これにより、一対の外装フィルム1をより大きく膨らませることが可能であり、収容空間5に十分な量の内容物8を収容することができる。
本実施形態においては、一対の内袋フィルム3は、一対の延長部32を有している。図5に示した製造方法から理解されるように、一対の内袋フィルム3が袋部31と延長部32とを有する構成とすることにより、パウチ容器用包材A1の製造において、x方向に長く延びる内袋フィルム材料3Aを用いてパウチ容器用包材A1を連続的に製造することができる。また、一対の延長シール部464を設けることにより、一対の外装フィルム1を拡開することで、一対の延長部32をy方向に離間させることができる。これは、図6および図7に示したパウチ容器B1の製造における内容物8の充填において、ノズル81をスムーズに挿入するのに都合が良い。また、一対の延長シール部464は、一対の延長部32のうちx方向他端側部分のみに形成されている。このため、一対の延長部32のうち一対の延長シール部464を除く部分は、一対の外装フィルム1に接合されていない。図8に示した状態から図11に示す状態に移行させる際には、パウチ容器B1は、倒立させられる。このとき、内容物8の一部がy方向において同じ側に位置する延長部32と外装フィルム1との間に入り込む可能性がある。しかし、上述した通り、互いに対向する延長部32と外装フィルム1とが接合されていない部位が存在することにより、延長部32と外装フィルム1との間に入り込んだ内容物8を天辺11側へと通過させることが可能である。したがって、延長部32と外装フィルム1との間に内容物8が意図せず溜まってしまうことを回避することができる。
第1側辺シール部43の底側領域432のx方向における第2側辺14側端縁が、上述した傾斜とされている。これにより、図8に示した状態から図11に示す状態に移行させるべく、パウチ容器B1を倒立させた際に、袋部31と底側領域432と一対の外装フィルム1とに囲まれた空間に溜まりうる内容物8の量を減少させることができる。また、内袋固定領域431のx方向における第2側辺14側端縁が、上述した傾斜とされている。これにより、図12に示す内容物8の注出において、袋部31に収容された内容物8をスパウト7に向けてスムーズに移動させることができる。さらに、内天側シール部461が、内袋固定領域431と斜辺シール部45との交差部分に到達していることにより、図12に示す注出において、開口部311から出された内容物8は、斜辺シール部45の内端縁に沿ってスパウト7へとスムーズに導かれる。これは、内容物8をスムーズに抽出するのに好ましい。
内第2側方シール部463のz方向天側端は、内袋フィルム3のz方向天側端縁から底側に離間している。このため、内袋フィルム3のz方向天側端縁が内第2側方シール部463によって拘束される度合いを緩和することができる。これにより、一対の外装フィルム1を拡開させることにより袋部31を拡開させる際に、図4に示すように開口部311をより大きく開口させることができる。また、一対の内天側シール部461のx方向における第2側辺14側端と、内第2側方シール部463のz方向天側端とは、x方向において互いに離間している。これにより、袋部31を拡開させる際に、一対の内天側シール部461が内第2側方シール部463によって過度に拘束されることを回避することができる。
図13〜図19は、本発明の変形例および他の実施形態を示している。なお、これらの図において、上記実施形態と同一または類似の要素には、上記実施形態と同一の符号を付している。
図13は、パウチ容器用包材A1およびパウチ容器B1の内袋フィルム3についての変形例を示している。本変形例においては、内袋フィルム3の袋部31に目盛線38が設けられている。目盛線38は、たとえばx方向に沿って延びる複数の直線がz方向に間隔を置いて袋部31に印刷されたものである。また、本例の内袋フィルム3が採用されたパウチ容器用包材A1においては、一対の外装フィルム1のうち、少なくとも目盛線38に重なる部分は、透明としておく。
図14は、パウチ容器用包材A1の他の変形例を示している。本変形例においては、y方向前方に位置する外装フィルム1のうち袋部31と重なる部分に、目盛線18が設けられている。目盛線18は、目盛線38と同様に、たとえばx方向に沿って延びる複数の直線がz方向に間隔を置いて一方の外装フィルム1に印刷されたものである。図13および図14に示す変形例によれば、袋部31によって複数種類の量の内容物8を計量することができる。
図15は、パウチ容器用包材A1およびパウチ容器B1の他の変形例を示している。本変形例においては、一対の延長シール部464は、上述した例と比べてx方向寸法が小とされており、第2側辺シール部44からx方向において離間している。また、一対の延長シール部464は、延長部32のx方向中央付近に設けられている。このような変形例によれば、延長部32と外装フィルム1との間に入り込んだ内容物8が、延長シール部464の付近に溜まってしまうことを抑制することができる。また、延長部32の中央付近に延長シール部464を設けることにより、一対の外装フィルム1を拡開した際に、一対の延長部32をより大きく拡開することができる。これは、図6および図7に示すノズル81の挿入をより容易に行うのに適している。
図16は、パウチ容器用包材A1およびパウチ容器B1の他の変形例を示している。本変形例においては、第2側辺シール部44に凹部441が設けられている。凹部441は、第2側辺シール部44の一部がx方向第1側辺13側に凹んだ部分である。凹部441は、そのz方向位置が袋部31のz方向位置と重なっている。本変形例によれば、図12に示す注出において、外観に明瞭に現れる凹部441を目印として挟持領域Fを確実に挟持することができる。
図17は、本発明の第2実施形態に基づくパウチ容器用包材およびパウチ容器を示している。本実施形態のパウチ容器用包材A2およびパウチ容器B2においては、一対の内袋フィルム3は、y方向において互いに対面する2枚のフィルムによって構成されている。このため、袋部31に内底側シール部465が設けられている。内底側シール部465は、一対の内袋フィルム3がz方向底側端縁に沿って、第1側辺シール部43から内第2側方シール部463にわたってヒートシールにより接合された部位であり、本発明で言う内底側連結部の一例である。内底側シール部465は、袋部31のz方向底側境界を規定しており、内第1側方シール部462および内第2側方シール部463に到達している。また、本実施形態においては、挿通部321を形成するための上述した切り欠き等は、一対の内袋フィルム3に設けられる必要はない。このような実施形態によっても、内容物8をよりスムーズ且つ正確に抽出することができる。
図18は、パウチ容器用包材A2およびパウチ容器B2の変形例を示している。本実施形態においては、内第2側方シール部463および内底側シール部465がいずれも円弧形状に湾曲しており、互いに連続的に繋がっている。これにより、袋部31は、z方向における底側部分およびx方向における第2側辺14側部分が、四半円形状をなしている。本変形例から理解されるように、袋部31は、所定量の内容物8を適切に収容可能な形状であればよく、その具体的形状は特に限定されない。本例においても、袋部31のz方向底側部分およびx方向における第2側辺14側部分が一対の外装フィルム1に接合されていないことにより、一対の外装フィルム1を十分に拡開することができる。
図19は、本発明の第3実施形態に基づくパウチ容器用包材およびパウチ容器を示している。本実施形態のパウチ容器用包材A3およびパウチ容器B3においては、一対の内袋フィルム3は、袋部31のみを有しており、上述した一対の延長部32を有していない。また、一対の延長部32を有さないことに関連して、パウチ容器用包材A2およびパウチ容器B2は、上述した延長シール部464を有していない。袋部31の構成は上述した構成と共通している。一対の内袋フィルム3は、一対の内天側シール部461によって一対の外装フィルム1に固定されている。このような実施形態によっても、内容物8をよりスムーズ且つ正確に抽出することができる。
本発明に係るパウチ容器用包材およびパウチ容器は、上述した実施形態に限定されるものではない。本発明に係るパウチ容器用包材およびパウチ容器の各部の具体的な構成は、種々に設計変更自在である。