JP6456376B2 - 組換えタンパク質の精製方法 - Google Patents

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Description

本発明は、タンパク質精製の技術分野に属し、具体的には、組換えタンパク質の精製方法に関する。
イオン交換クロマトグラフィーは、タンパク質の精製によく使われるクロマトグラフ技術である。イオン交換クロマトグラフィーにおいて、溶質の周囲を取り囲む緩衝液のイオン強度が十分低いと、溶質表面の帯電物がクロマトグラフ基質に結合している反対の電荷に吸着される。通常、緩衝液のイオン強度(電気伝導度の値、以下、「電気伝導度」とも称する)を高め、溶質とイオン交換媒体の帯電サイトを競り合うことで溶出することができる。別の手法として、pH変化によって溶質の帯電量を変えて溶質を溶出することもできる。電気伝導率やpHは、漸次的に(勾配溶出)変化させてもよく、数段階に分けて(段階溶出)変化させることも可能である。従来より、これらの変化は漸次的に行われ、pHや電気伝導率を一方的に増大又は低下させるのが普通であった。
現在、陽イオン交換クロマトグラフィーを用いてタンパク質を精製する方法が数多く報告され、例えば、中国特許出願第200410068790.3号に、陽イオン交換クロマトグラフィーを使って酸性汚染物を除去することが開示され、具体的には、比較的高い電気伝導値を利用して酸性汚染物を除去し、後に電気伝導の均衡を下げてから再び電気伝導を引き上げて溶出を行うことが開示されている。精製時にはpHを変えることなく、その結果、酸性変異体が約50%に低下し、塩基性変異体については言及されなかった。また、中国特許出願第200880119331.X号に、陽イオン交換クロマトグラフィーでpHを高くして洗浄を行い、そして、pHを下げることで電気伝導度を高め、抗体サンプルに含まれるCHOP(中国ハムスター卵巣細胞に由来のタンパク質)、脱着したプロテインA、DNA、凝集物等を除去することが開示され、その際、抗体サンプルに含まれる酸性、塩基性タンパク質は除去対象から外された。
上述の方法は、タンパク質精製の目的を一部達成できるが、酸性と塩基性タンパク質の除去が不十分であり、標的タンパク質の損失が大きいといった問題がある。
そこで、本発明は、酸性と塩基性タンパク質の除去率を向上させ、標的タンパク質の損失を減らした組換えタンパク質の精製方法を提供することを目的とする。
上述の目的を達成するため、本発明は、以下の技術案を提供する。
具体的に言うと、本発明は、組換えタンパク質と他の関連のタンパク質を含む混合物から該組換えタンパク質を精製する方法を提供し、該方法は、順に以下の工程を含んでなる。
工程A:第1平衡化緩衝液を用いて組換えタンパク質をイオン交換媒体に結合させ、該第1平衡化緩衝液は、第1電気伝導率及び第1pHを有する。
工程B:第2平衡化緩衝液を用いてタンパク質が結合されているイオン交換媒体を引続き平衡化し、該第2平衡化緩衝液は、第2電気伝導率及び第2pHを有する。
工程C:pHが異なる洗浄液を用いてイオン交換媒体を洗浄し、イオン交換媒体から第1関連タンパク質を溶離させ、該洗浄液は、第3電気伝導率を有すると共に、pHが漸次上昇する。
工程D:第1溶出液を用いてイオン交換媒体を洗い流し、イオン交換媒体から標的組換えタンパク質を溶離させ、該第1溶出液は、第4電気伝導率及び第4pHを有する。
工程E:第2溶出液を用いて引続きイオン交換媒体を洗い流し、イオン交換媒体から第2関連タンパク質を溶離させ、該第2溶出液は、第5電気伝導率及び第5pH有する。
そのうち、上記イオン交換媒体とは、陽イオン交換媒体であり、異なる基質に結合している官能基がSO である担体を指すものである。例えば、カルボキシメチルセルロース、BAKERBOND ABXTM、アガロースに固定したスルホプロピル基(例えば、GE社製のSP−SEPHAROSE FAST FLOWTM又はSP−SEPHAROSE HIGH PERFORMANCETM等)、ポリスチレンジビニルベンゼンに固定したSOURCE−30S、SOURCE−15S、AB社製のPoros HS及びPoros XS、アガロースに固定したスルホニル基(例えば、Pharmacia社製のS−SEPHAROSE FAST FLOWTM等)、及びBio−rad社製の親水性ポリアクリルアミドに固定したNUVIA−S、UNOsphere−S等が挙げられ、これらに制限されない。
第1関連タンパク質の等電点(Isoelectric Point、以下、「PI」とも称する)は、組換えタンパク質のPIより低く、組換えタンパク質のPIは、第2関連タンパク質のPIより低い。具体的に言うと、第1関連タンパク質とは、組換えタンパク質の酸性変異体であり、CEX−HPLCにおける保持時間が標的タンパク質より短い一連の物質を指し、第2関連タンパク質とは、組換えタンパク質の塩基性変異体であり、CEX−HPLCにおける保持時間が標的タンパク質より長い一連の物質を指す。
上述の第2平衡化緩衝液は、第1平衡化緩衝液に比べて電気伝導率が低いが、両者のpHが同じである。具体的には、第1平衡化緩衝液は、塩を含む緩衝液であり、一般に使われる緩衝液としてPB、MES、酢酸が挙げられ、酢酸緩衝液が好ましく、緩衝液の濃度は10〜50mmol/Lの範囲であり、好ましくは20mmol/Lである。pHは4.0〜6.0の範囲であり、pH4.9〜5.1が好ましく、pH5.0が特に好ましい。塩の種類として、塩化ナトリウム、硫酸アンモニウム、塩化カリウム、塩化アンモニウム、硫酸カリウム等の塩を使用することができ、硫酸アンモニウムが特に好ましい。塩濃度は10〜70mmol/Lの範囲であり、40〜60mmol/Lの範囲が好ましく、電気伝導度は8〜13ms/cmの範囲である。そのうち、60mmol/Lの硫酸アンモニウムを用いた場合、酸性タンパク質の溶出に特に有利である。第2平衡化緩衝液は、塩を含まない緩衝液であり、一般に使われる緩衝液としてPB、MES、酢酸が挙げられ、酢酸緩衝液が好ましく、緩衝液の濃度は10〜50mmol/Lの範囲であり、好ましくは20mmol/Lである。pHは4.0〜6.0の範囲であり、pH4.9〜5.1が好ましく、pH5.0が特に好ましい。電気伝導度は1〜2ms/cmの範囲であり、1.1ms/cmが特に好ましい。
洗浄液は、第1平衡化緩衝液に比べて電気伝導率が低く、pHが第1及び/又は第2平衡化緩衝液より高い。
第1溶出液は、洗浄液に比べてpHが高く、電気伝導率がほぼ同じである。第2溶出液のpH及び/又は電気伝導率は、第1溶出液より高い。
洗浄液と第1溶出液は、pHが異なるが、両者とも塩を含む2種類の緩衝液を異なる割合で混合することにより調製される。緩衝液として、リン酸塩、HEPES、BICINE等を適宜選択することができ、リン酸塩が特に好ましい。緩衝液の濃度は10〜50mmol/Lの範囲であり、10mmol/Lが好ましく、電気伝導度の範囲は1〜2ms/cmであり、特に制限がない。そのうち、緩衝液AのpHが7.0〜7.8の範囲であり、7.5が好ましく、緩衝液BのpHが9.3〜9.4の範囲である。塩の種類として、塩化ナトリウム、硫酸アンモニウム、塩化カリウム、塩化アンモニウム、硫酸カリウム等が挙げられる。より具体的には、洗浄液と第1溶出液は、25%のNaHPO(pH7.5)+75%のNaHPO(pH9.3〜9.4)を15%のNaHPO(pH7.5)+85%のNaHPO(pH9.3〜9.4)に変えることでpHを変える。
第2溶出液は、高塩濃度の水溶液であり、塩の種類として、塩化ナトリウム、硫酸アンモニウム、塩化カリウム、塩化アンモニウム、硫酸カリウム等が挙げられ、好ましくは塩化ナトリウムである。
各緩衝液は、通常、4〜30℃で保存することができ、4〜8℃で保存するのが特に好ましい。
組換えタンパク質として、組換え抗体(例えば、組換え抗HER2抗体)をCHO細胞で発現した後、ディスク遠心と深層濾過を経て上澄液を回収し、そして、プロテインAを用いたアフィニティクロマトグラフィーにかけてpHが酸性のクエン酸を用いて溶出させ、標的タンパク質、酸性及び塩基性タンパク質を含む均一な混合液の形態で取得するのが好ましい。この混合液は、つまり、陽イオン交換クロマトグラフィー(例えば、Nuvia−S)の注入液となる。
注入液は、トリス塩基、水酸化ナトリウム等のアルカリ性物質を用いてpH4.0〜6.0に、好ましくはpH4.9〜5.1に、より好ましくはpH5.0に調整した後、塩化ナトリウム、硫酸アンモニウム等の塩析塩を加えて電気伝導度を調整する。電気伝導度の調整には、例えば、メトラー社のseven−easy伝導率測定器等、温度補償機能を備えた伝導率測定器を用い、参照温度を20℃にし、電気伝導度を6.0〜18.0ms/cmの範囲、好ましくは8.0〜12.5ms/cmの範囲に調整する。
本発明において、8.4ms/cm、12.0ms/cmの2つの異なる電気伝導度で試料を注入する。pHを変えることなく、電気伝導度を高くしてで試料を注入する場合、酸性タンパク質の流出に有利であり、通常、10〜20%の割合で酸性ピークを排出することができ、標的タンパク質の損失は無視できるほどである。注入試料は、pHと電気伝導度を調整した後、標的タンパク質の加水分解を防止する観点から4℃で保存するのが好ましい。
カラムの充填は、使用需要に対応できる程度で、通常、カラム効率が2000段/m以上となるように充填することが好ましい。精製は、通常、流速5cm/分間で行う。カラム負荷量は、10〜20mg/mLの範囲であり、15mg/mLが特に好ましい。タンパク質の定量に280nmの紫外分光光度計を用いることができ、組換え抗体の吸光係数、例えば、HER2抗原を認識しうるヒト化モノクローナル抗体の吸光係数が1.50である。
カラム精製は、まず、第1平衡化緩衝液を用いてカラムを平衡化し、通常、3カラム容量であれば完全に平衡化することができ、試料注入に支障が出ない程度となる。試料注入後に、第1平衡化緩衝液を少なくとも1カラム容量用いて更に平衡化し、そして、平衡化緩衝液中の塩による洗浄工程への影響を防ぐため、第2平衡化緩衝液を少なくとも1カラム容量用いて平衡化し続ける。そして、100%の溶液Aを2カラム容量用いて洗浄することでpHを高め、更に60%〜75%の溶液Bを用いてカラムを洗浄することで酸性タンパク質を除去する。1回又は数回分けて洗浄することができ、75%の溶液Bを用いて少なくとも1回洗浄するのが一般的であり、数回分けて洗浄する場合、酸性タンパク質の除去に特に有利である。洗浄時のpHは、通常、7.6〜7.9の範囲である。洗浄は、通常、20〜30カラム容量で行う。洗浄ピークが約50mAuに達すると、十分洗浄できたと判断できる。第1溶出液として85%の溶液Bを用いて溶出を行い、溶出液のpHは、通常、8.05〜8.15の範囲である。溶出は、通常、8〜15カラム容量で行う。溶出ピークが約50mAuに達すると、十分溶出できたと判断できる。最後に、第2溶出液を用いて塩基性タンパク質を溶出する。
注入液における酸性タンパク質の割合を50%以下にすることが好ましく、低いほど精製に有利である。塩基性ピークの割合は、20%以下にすることが好ましく、低いほど精製に有利である。カラム精製により、メインピークの標的タンパク質のCEX−HPLC純度を37%から70%以上に高めることができ、数回分けて洗浄若しくは数回分けて試料を注入、流出させた場合、純度を更に75%ひいては77%以上に引き上げることができる。標的タンパク質の収率は、通常、74%以上である。
本発明において、組換えタンパク質は、宿主細胞で生成したタンパク質であり、該宿主細胞は、該タンパク質を編集する核酸が導入され、若しくは相同組換えによってタンパク質を生成する能力を備えるものである。ここで、核酸の細胞への導入は、トランスフェクション法、トランスフォーメーショん法の何れかを利用することができる。細胞へ導入された核酸は、宿主細胞のゲノムに取り込んでもよく、染色体外因子として存在してもよい。宿主細胞としては、インビトロで培養した細胞株や、宿主動物の細胞を利用することができ、例えば、米国特許5,534,615に遺伝子組換えによりポリペプチドを製造する方法が開示され、その開示内容がすべて参照により本明細書に援用される。
本発明において、組換えタンパク質とは、主に抗体であり、特にHER2抗原を認識しうる組換え抗体を指すものであり、例えば、トラスツズマブ(trastuzumab、Carter et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,89:4285〜4289,1992)、ペルツズマブ(pertuzumab、商品名:OMNITARGTM、WO01/00245)、及び米国特許US64072135、US5821337、US6639055、US6719971、US6800738、US6054297、US5677171、US5770195、US5720954、US5772997、US6165464、US6387371、US6399063、US5720937、US 5725856及び中国発明特許公開公報第01132225.X号に記載の全ての抗体タンパク質が挙げられ、これらに制限されない。本明細書でいう「HER2抗原」とは、ヒトHER2タンパク質を指し、例えば、SembaらのPNAS(USA)82:6497〜6501(1985)及びYamamotoらのNature 319:230〜234(1986)(GeneBank登録番号:X03363)に記載のヒトHER2タンパク質が挙げられる。
酸性タンパク質:標的組換えタンパク質に比べて強い酸性(例えば、陽イオン交換クロマトグラフィーを用いて測定することができる)を示す標的組換えタンパク質の変異体である。酸性タンパク質の例として、脱アミド体が挙げられる。
塩基性タンパク質:標的組換えタンパク質に比べて強いアルカリ性(例えば、陽イオン交換クロマトグラフィーを用いて測定することができる)を示す標的組換えタンパク質の変異体である。塩基性タンパク質の例として、C末端のリジン残基の部分的除去、N末端のグルタミン残基(GLN)の部分的環化が挙げられる。
混合液:抗体、好ましくは抗HER2抗体を含む組成物を意味する用語として「混合液」とは、必要とされる抗体及びその1種又は数種の酸性変異体と塩基性変異体を含むものを指す。酸性変異体は、優位を占める脱アミド化抗HER2抗体と少量の他の酸性変異体を含んでもよく、例えば、遺伝子組換えにより得られる抗HER2抗体の調製物において、約50%の抗HER2抗体が脱アミド化され、約15%の抗体が塩基性タンパク質であることが既に知られている。
陽イオン交換媒体:負電荷を持つ固定相を指し、遊離カチオンを持つため、固定相又は固定相の間を通過する水溶液中のカチオンと交換することができる。固定相に付着して陽イオン交換樹脂を形成する負電荷性のリガンドとして、例えば、カルボン酸塩やスルホン酸塩が挙げられる。市販ルートで入手可能な陽イオン交換樹脂は、異なる基質に結合している官能基がSO3−である担体であり、例えば、カルボキシメチルセルロース、BAKERBOND ABXTM、アガロースに固定したスルホプロピル基(例えば、GE社製のSP−SEPHAROSE FAST FLOWTM又はSP−SEPHAROSE HIGH PERFORMANCETM)、ポリスチレンジビニルベンゼン基に固定したSOURCE−30S、SOURCE−15S、AB社製のPoros HS Poros XS、アガロースに固定したスルホニル基(例えば、Pharmacia社製のS−SEPHAROSE FAST FLOWTM)、Bio−rad社製の親水性ポリアクリルアミドに固定したNUVIA−S、UNOsphere−S等が挙げられ、これらに制限されない。
緩衝液:「緩衝液」とは、その酸・塩基共役成分の作用によってpHの変化を緩める溶液を指すものである。「緩衝液、生物系における緩衝液の調製と使用指南、Gueffroy,D.編集、Calbiochem Corporation(1975)」に、各pH範囲に対応可能な緩衝液が記載されている。本発明の一実施形態において、緩衝液としては、pH範囲が約5〜約7である(例えば、以下の実施例1)。該pH範囲を示す緩衝液として、例えば、MES、MOPS、MOPSO、リン酸塩、酢酸塩、クエン酸塩、コハク酸塩、アンモニウム塩緩衝液及びこれら緩衝液の混合液が挙げられる。
注入液:「注入液」とは、標的タンパク質分子及び1種又は数種の関連タンパク質を含む混合物をイオン交換カラムに注入する緩衝液を指すものである。注入緩衝液は、標的タンパク質分子(通常、1種又は数種の汚染物を含む)をイオン交換樹脂に結合させうる電気伝導率及び/又はpHを有する。
洗浄緩衝液:「洗浄緩衝液」は、標的タンパク質に先立って、イオン交換樹脂から1種又は数種の関連タンパク質を溶出するために用いられる。洗浄緩衝液は、標的タンパク質の溶出を極限に抑え、同時にイオン交換樹脂から関連タンパク質を溶出することのできる電気伝導率及び/又はpHを有する。
溶出緩衝液:固定相から標的タンパク質を溶出するために用いられる。溶出緩衝液は、標的タンパク質をイオン交換樹脂から溶出することのできる電気伝導率及び/又はpHを有する。
電気伝導率とは、水溶液が2つの電極間において電流を伝導する能力を意味するものである。溶液において、電流はイオンを媒介として流される。したがって、水溶液におけるイオン量が増加すると、溶液はより高い電気伝導率を有することとなる。電気伝導率の計量単位はmmhos/cm(ms/cm)であり、導電率計(例えば、Orion社製の導電率計等)で測定可能である。溶液の電気伝導率は、そのイオン濃度を変えることで変化させることができる。例えば、溶液における緩衝剤の濃度及び/又は塩(例えば、NaClやKC1)の濃度を変えて必要とされる電気伝導率を得ることができる。
本発明は、低pHの酸性範囲及び比較的高い塩濃度の溶液条件において試料注入を行い、高pHのアルカリ性範囲及び比較的低い塩濃度の溶液条件において洗浄、溶出する等、緩衝液のpHや塩濃度を変えることで酸性、塩基性タンパク質及び標的タンパク質を効率よく分離することに成功した。本発明によれば、酸性タンパク質の除去率が85%を超え、場合によっては93%に達し、塩基性タンパク質の除去率が59%を超え、同時に標的タンパク質の損失率を26%未満にすることができる。
実施例1で得られる最終産物のクロマトグラムである。 実施例1に係る各画分のCEX−HPLCクロマトグラムである。 実施例2で得られる最終産物のクロマトグラムである。 実施例2に係る各画分のCEX−HPLCクロマトグラムである。 実施例3で得られる最終産物のクロマトグラムである。 実施例3に係る各画分のCEX−HPLCクロマトグラムである。
以下、図面を参酌しつつ本発明を詳述する。以下の実施例は、本発明の一例を例示したに過ぎず、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。
実施例1において、以下のクロマトグラフ条件を用い、注入液を完全に通過させることなく、1段階の75%溶液Bで洗浄し、1段階の85%溶液Bで溶出を行った。
カラム:XK16/40 NuviaS、1カラム容量=50ml、カラム高さ=25cm、流速=10mL/分間
クロマトグラフシステム:AKTA−PURIFIER
使用ソフト:unicornシステム
試料として、rhuMAb HER2抗体と関連タンパク質の混合物を、r−プロテインAを用いるクロマトグラフィーによりクエン酸系に置換し、更にトリス塩基でpH5.0に調整した後、塩化ナトリウムを加えて電気伝導度を8.5ms/cmに調整した。注入液の濃度が15mg/mLであり、総注入量が750mgであった。
使用溶液として、平衡化緩衝液1は、20mm HAc−NaOH+40mm 硫酸アンモニウムで構成され、pHが5.0であり、電気伝導度が8.4ms/cmであった。
平衡化緩衝液2は、20mm HAc−NaOHで構成され、pHが5.0であり、電気伝導度が1.1ms/cmであった。
溶液Aは、10mm NaHPO+リン酸で構成され、pHが7.52であり、電気伝導度が1.5ms/cmであった。
溶液Bは、10mm NaHPO+リン酸で構成され、pHが9.36であり、電気伝導度が1.5ms/cmであった。
100%の溶液Aを洗浄液1とし、25%溶液A+75%溶液Bを洗浄液2とし、15%溶液A+85%溶液Bを溶出液1とし、且つ、電気伝導度が26ms/cmの300mmol/L NaClを溶出液2とした。
精製は、平衡化緩衝液1(3カラム容量)→試料注入→平衡化緩衝液1(1カラム容量)→平衡化緩衝液2(2カラム容量)→洗浄液1(2カラム容量)→洗浄液2(20カラム容量)→溶出液1(12カラム容量)→溶出液2(2カラム容量)→2N 塩化ナトリウム(2カラム容量)→純水(1カラム容量)→0.1N 水酸化ナトリウム(3カラム容量)の順で行い、回収画分は、以下の通りであった。
タンパク質の定量として、回収ピークごとに分光光度計を用いて測定することにより各画分(注入試料、ピーク1、ピーク2、ピーク3、ピーク4)のタンパク質濃度を確定し、測定結果に基づいて産物の収率を算出した。
ピーク1(洗浄ピーク):0.855L×0.37mg/mL=316.35mg
ピーク2(主ピークの前):27mL×0.31mg/mL=8.37mg
ピーク3(主ピーク):520mL×0.6mg/mL=312mg
ピーク4(300mm 塩化ナトリウムで溶出):50mL×1.96mg/mL=98mg
総収率:734.72/752×100%=97.7%
主ピークの収率:41.48%
目的ピークの収率について、CEX−HPLC分析結果を図2に示し、関連データを表1に示す。
Figure 0006456376
表1にクロマトグラムを示す。注入液を完全に通過させることなく、1段階の75%溶液Bで洗浄を行い、1段階の85%溶液Bで溶出を行うことにより、目的ピークの純度を37.51%から69.99%に引き上げた。このとき、酸性ピークの除去率が(1−53.15/359.25)×100%=85.22%、塩基性ピークの除去率が(1−40.12/109.43)×100%=63.4%、目的ピークの損失率が(1−218.37/281.33)×100%=22.38%であった。
実施例2において、以下のクロマトグラフ条件を用い、注入液を完全に通過させることなく、多段階の60%溶液B→70%溶液B→75%溶液Bで洗浄し、1段階の85%溶液Bで溶出を行った。
カラム:XK16/40 NuviaS、1カラム容量=50mL、カラム高さ=25cm、流速=10mL/分間
クロマトグラフシステム:AKTA−PURIFIER
使用ソフト:unicornシステム
試料として、rhuMAb HER2抗体及び関連タンパク質の混合物を、r−プロテインAを用いるクロマトグラフィーによりクエン酸系に置換し、更にトリス塩基でpH5.0に調整した後、塩化ナトリウムを加えて電気伝導度を8ms/cmに調整した。注入液の濃度が15mg/mLであり、総注入量が745mgであった。
使用溶液として、平衡化緩衝液1は、20mm HAc−NaOH+40mm 硫酸アンモニウムで構成され、pHが5.0であり、電気伝導度が8.4ms/cmであった。
平衡化緩衝液2は、20mm HAc−NaOHで構成され、pHが5.03であり、電気伝導度が1.1ms/cmであった。
溶液Aは、10mm NaHPO+リン酸で構成され、pHが7.52であり、電気伝導度が1.5ms/cmであった。
溶液Bは、10mm NaHPO+リン酸で構成され、pHが9.36であり、電気伝導度が1.5ms/cmであった。、
100%の溶液Aを洗浄液1とし、40%溶液A+60%溶液Bを洗浄液2とし、30%溶液A+70%溶液Bを洗浄液3とし、25%溶液A+75%溶液Bを洗浄液4とした。また、溶出液1は、15%溶液A+85%溶液Bで調製され、溶出液2は、電気伝導度が26ms/cmの300mmol/L NaClであった。
精製は、平衡化緩衝液1(3カラム容量)→試料注入→平衡化緩衝液1(1カラム容量)→平衡化緩衝液2(2カラム容量)→洗浄液1(2カラム容量)→洗浄液2→4段階の勾配[60%溶液B(5カラム容量)→70%溶液B(7カラム容量)→75%溶液B(12カラム容量)→溶出液1(9カラム容量)]→溶出液2(2カラム容量)→2N 塩化ナトリウム(2カラム容量)−純水(1カラム容量)→0.1N 水酸化ナトリウム(3カラム容量)の順で行い、回収画分は、以下の通りであった。
ピーク1(洗浄ピーク、75%溶液Bで洗浄する前の全部ピークを含む):1.1L×0.31mg/mL=341mg
ピーク2(主ピークの前、85%溶液Bで150mauまで溶出):28mL×0.3mg/mL=8.4mg
ピーク3(主ピーク、85%溶液Bで150mauから50mauまで溶出):367mL×0.77mg/mL=282.59mg
ピーク4(300mm 塩化ナトリウムで溶出):53mL×1.48mg/mL=78.44mg
総収率:710.43/7458×100%=95.35%
主ピークの収率:37.95%
目的ピークの収率について、CEX−HPLC分析結果を図4に示し、関連データを表2に示す。
Figure 0006456376
図3にクロマトグラムを示す。注入液を完全に通過させることなく、多段階の60%溶液B→70%溶液B→75%溶液Bで洗浄し、1段階の85%溶液Bで溶出することにより、目的ピークの純度を37.53%から75.15%に引き上げた。このとき、酸性ピークの除去率が(1−26.76/358.13)×100%=92.53%、塩基性ピークの除去率が(1−43.46/107.77)×100%=59.67%、目的ピークの損失率が(1−212.37/279.90)×100%=24.13%であった。
実施例3において、以下のクロマトグラフ条件を用い、注入液を全部通過させ、1段階の75%溶液Bで洗浄し、1段階の85%溶液Bで溶出を行った。
カラム:XK16/40 NuviaS、1カラム容量=50mL、カラム高さ=25cm、流速=10mL/分間
クロマトグラフシステム:AKTA−PURIFIER
使用ソフト:unicornシステム
試料として、rhuMAb HER2抗体と関連タンパク質の混合物を、r−プロテインAを用いるクロマトグラフィーによりクエン酸系に置換し、更にトリス塩基でpH5.0に調整した後、塩化ナトリウムを加えて電気伝導度を12ms/cmに調整した。注入液の濃度が15mg/mLであり、総注入量が753.28mgであった。
使用溶液として、平衡化緩衝液1は、20mm HAc−NaOH+60mm 硫酸アンモニウムで構成され、pHが5.0であり、電気伝導度が12ms/cmであった。
平衡化緩衝液2は、20mm HAc−NaOHで構成され、pHが5.0であり、電気伝導度が0.9ms/cmであった。
溶液Aは、10mm NaHPO+リン酸で構成され、pHが7.50であり、電気伝導度が1.5ms/cmであった。
溶液Bは、10mm NaHPO+リン酸で構成され、pHが9.36であり、電気伝導度が1.5ms/cmであった。
そして、それぞれ洗浄液1として100%の溶液A、洗浄液2として25%溶液A+75%溶液B、溶出液1として15%溶液A+85%溶液Bを用いた。溶出液2は、電気伝導度が26ms/cmの300mmol/L NaClを用いた。
精製は、平衡化緩衝液1(3カラム容量)→試料注入→平衡化緩衝液1(1カラム容量)→平衡化緩衝液2(2カラム容量)→洗浄液1(2カラム容量)→洗浄液2(30カラム容量)→溶出液1(11カラム容量)→溶出液2(2カラム容量)→2N 塩化ナトリウム(2カラム容量)→純水(1カラム容量)→0.1N 水酸化ナトリウム(3カラム容量)の順に行い、回収画分は、以下の通りであった。
タンパク質の定量において、回収ピークごとに分光光度計を用いて測定することにより各画分(注入試料、ピーク1、ピーク2、ピーク3、ピーク4、ピーク5)のタンパク質濃度を確定し、測定結果に基づいて産物の収率を算出した。
ピーク1(通過ピーク):150mL×0.1004mg/mL=15.06mg
ピーク2(洗浄ピーク):807mL×0.4388mg/mL=354.19mg
ピーク3(主ピークの前):60mL×0.13mg/mL=8mg
ピーク4(主ピーク):418mL×0.6507mg/mL=272mg
ピーク5(300mm 塩化ナトリウムで溶出):51mL×1.96mg/mL=100mg
総収率:749.25/753.28×100%=99.46%
主ピークの収率:36.11%
目的ピークの収率について、CEX−HPLC分析結果を図6に示し、関連データを表3に示す。
Figure 0006456376
図5にクロマトグラムを示す。注入液を全部通過させ、1段階の75%溶液Bで洗浄し、1段階の85%溶液Bで溶出することにより、目的ピークの純度を37.59%から77.34%に引き上げた。このとき、酸性ピークの除去率が(1−22.28/358.56)×100%=93.78%、塩基性ピークの除去率が(1−39.33/111.56)×100%=64.75%、目的ピークの収率が(1−210.36/281.36)×100%=25.23%であった。
実施例1と2に比較して、実施例3のほうがより効果的に酸性ピークと塩基性ピークを除去することができるが、標的タンパク質の収率が若干低下する傾向が見られた。実施例1〜3の結果から、比較的低いpHと高塩濃度で試料を注入し、比較的高いpHと低塩濃度で洗浄、溶出することにより、組換えタンパク質と他の関連タンパク質をより効果的に分離することのできることが実証された。
実施例1〜3において、rhuMAb HER2抗体と関連タンパク質の混合物は、CHO細胞において中国特許出願第200410068790.3号に記載のSEQ ID NO:1で表される軽鎖アミノ酸配列、及びSEQ ID NO:2で表される重鎖アミノ酸配列を含む全長ヒトIgG rhuMAb HER2[Carter et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,89:4285〜4289(1992)]を発現することにより得られたものであり、CHO細胞で組換え抗体を発現した後、ディスク遠心と深層濾過を経て上澄液を収集し、rhuMAb HER2抗体と関連タンパク質の混合物を取得した。
本発明者は、更に、米国特許US64072135号、US5821337号、及び中国発明特許公開公報第01132225.X号に記載のrhuMAb HER2抗体配列についても上記方法を用いて調製し、そして、実施例1〜3と同様に測定、検証を行ったところ、ほぼ一致する結果が得られることを確認した。
実施例1〜3におけるCEX−HPLC分析方法は、具体的には、以下の通りであった。
1)試薬と測定装置
化学試薬の純度は、少なくとも分析用のレベルであった。カルボキシペプチダーゼBは、濃度が5mg/mLのものを使い、1mol/L Tris―HCl溶液は、pH7.4〜7.6の範囲であり、20mmol/L リン酸塩緩衝液は、pH6.4〜6.6の範囲であり、20mmol/L リン酸塩緩衝液+200mmol/L NaClは、pH6.4〜66の範囲であった。
また、高速液体クロマトグラフとしてWaters Alliance社の2998+2695.Ultimate 3000Bシリーズ、若しくは他社の同類の液体クロマトグラフを用い、カラムとしてDionexPropac WCX−10(4×250mm)を用いた。
2)試料の調製と精製
試料調製は、以下の順に従って行った。すなわち、カルボキシペプチダーゼBを用いて測定用試料を消化し、反応系の体積が100〜500uLであり、溶液中にHER2を認識しうるrhMAb試料5mg/mLを含み、また、体積比で10%の1mol/L Tris−HCl緩衝液(pH7.5)及び体積比で2%のカルボキシペプチダーゼB(5mg/mL)を含み、37℃、水浴の条件下において3時間反応させた。
そして、カラムへ注入する前に、上記処理で得られた反応液を、20mmol/L リン酸塩緩衝液(pH6.4〜6.6)を用いて1.0mg/mLとなるように希釈し、12000r/分間の速度で10分間遠心した後、上澄液を回収し、該上澄液を注入試料とした。
クロマトグラフ条件は、以下の通りであった。
カラム温度:40±2.0℃
試料温度:5±3.0℃
検出波長:214nm
注入量:10uL
流速:1.0mL/分間
移動相は、溶液A及び溶液Bを用い、溶液Aは、20mmol/L リン酸塩緩衝液(pH6.4〜6.6)であり、溶液Bは、20mmol/L リン酸塩緩衝液(pH6.4〜66)+200mmol/L NaClであり、それぞれ0.22umのフィルターで減圧濾過した後、超音波処理によりガス抜きを行い、後段階の使用に備えて2〜8℃の温度で保存した。
移動相は、下記表4に示される勾配を有するものであった。
Figure 0006456376
3)結果分析
クロマトグラムごとに積分ソフトを用いて処理し、各ピークごとに相対面積比較法により純度を算出した。

Claims (19)

  1. 組換えタンパク質と他の関連タンパク質を含む混合物から組換えタンパク質を精製する方法であって、順に、
    第1平衡化緩衝液を用いて組換えタンパク質をイオン交換媒体に結合させ、該第1平衡化緩衝液は、第1電気伝導率及び第1pHを有する工程A、
    第2平衡化緩衝液を用いてタンパク質が結合されているイオン交換媒体を引続き平衡化し、該第2平衡化緩衝液は、第2電気伝導率及び第2pHを有し、且つ該第2平衡化緩衝液は、第1平衡化緩衝液に比べて電気伝導率が低く、両者のpHが同じである工程B、
    pHが異なる洗浄液を用いてイオン交換媒体を洗浄し、イオン交換媒体から第1関連タンパク質を溶離させ、該洗浄液は、第3電気伝導率を有すると共にpHが漸次上昇し、且つ該洗浄液は、第1平衡化緩衝液に比べて電気伝導率が低く、pHが第1及び/又は第2平衡化緩衝液より高い工程C、
    第1溶出液を用いてイオン交換媒体を洗い流し、イオン交換媒体から標的組換えタンパク質を溶離させ、該第1溶出液は、第4電気伝導率及び第4pHを有し、且つ該第1溶出液は、洗浄液に比べてpHが高く、電気伝導率が同じである工程D、及び
    第2溶出液を用いてイオン交換媒体を引続き洗い流し、イオン交換媒体から第2の関連タンパク質を溶離させ、該第2溶出液は、第5電気伝導率及び第5pH有し、且つ該第2溶出液は、第1溶出液に比べてpH及び/又は電気伝導率が高い工程E
    を含んでなり、
    前記工程C〜Eにおいて、前記洗浄と前記溶出は工程ごとに同じ勾配で行われることを特徴とする、組換えタンパク質の精製方法。
  2. 前記イオン交換媒体が陽イオン交換媒体である、請求項1に記載の組換えタンパク質の精製方法。
  3. 前記陽イオン交換媒体は、異なる基質に結合している官能基がSO である担体である、請求項2に記載の組換えタンパク質の精製方法。
  4. 前記第1関連タンパク質と標的組換えタンパク質は、洗浄液と第1溶出液のpHを変えることで溶出される、請求項1に記載の組換えタンパク質の精製方法。
  5. 前記洗浄液と第1溶出液は、pHが異なる2種類の緩衝液を異なる割合で混ぜ合わせることでpHを変える、請求項4に記載の組換えタンパク質の精製方法。
  6. 前記洗浄液と第1溶出液は、25%のNaHPO(pH7.5)+75%のNaHPO(pH9.3〜9.4)を、15%のNaHPO(pH7.5)+85%のNaHPO(pH9.3〜9.4)に変えることでpHを変える、請求項5に記載の組換えタンパク質の精製方法。
  7. 工程Aから工程Dにかけて、pHが漸次上昇する、請求項1に記載の組換えタンパク質の精製方法。
  8. 前記組換えタンパク質と他の関連タンパク質は、等電点が異なり、前記第1関連タンパク質は、前記組換えタンパク質に比べて等電点が低く、前記組換えタンパク質は、前記第2関連タンパク質に比べて等電点が低い、請求項1に記載の組換えタンパク質の精製方法。
  9. 前記第1関連タンパク質は、組換えタンパク質の酸性変異体であり、且つ、CEX−HPLCにおいて標的タンパク質より保持時間が短く、
    前記第2関連タンパク質は、組換えタンパク質の塩基性変異体であり、且つ、CEX−HPLCにおいて標的タンパク質より保持時間が長い、請求項1に記載の組換えタンパク質の精製方法。
  10. 前記組換えタンパク質が抗体である、請求項1〜9の何れか1項に記載の組換えタンパク質の精製方法。
  11. 前記抗体は、トラスツズマブ、ペルツズマブ、及び他のHER2抗原を認識しうる組換え抗体からなる群より選ばれる、請求項10に記載の組換えタンパク質の精製方法。
  12. 前記組換えタンパク質と他の関連タンパク質を含む混合物をイオン交換クロマトグラフィーにかける以前、最中又は以降の段階において、1回又は数回に渡り更に精製することにより、該組換えタンパク質の均一な調製物を得る工程を更に含む、請求項1〜11の何れか1項に記載の組換えタンパク質の精製方法。
  13. 組換え抗HER2抗体と他の関連タンパク質を含む混合物から組換え抗HER2抗体を精製する方法であって、順に、
    第1平衡化緩衝液を用いて組換えタンパク質をイオン交換媒体に結合させ、該第1平衡化緩衝液は、第1電気伝導率及び第1pHを有する工程a、
    第2平衡化緩衝液を用いてタンパク質が結合されているイオン交換媒体を引続き平衡化し、該第2平衡化緩衝液は、第2電気伝導率及び第2pHを有する工程b、
    pHが異なる洗浄液を用いてイオン交換媒体を洗浄し、イオン交換媒体から第1関連タンパク質を溶離させ、該洗浄液は、第3電気伝導率を有すると共にpHが漸次上昇する工程c、
    第1溶出液を用いてイオン交換媒体を洗い流し、イオン交換媒体から標的組換えタンパク質を溶離させ、該第1溶出液は、第4電気伝導率及び第4pHを有する工程d、及び
    第2溶出液を用いてイオン交換媒体を引続き洗い流し、イオン交換媒体から第2の関連タンパク質を溶離させ、該第2溶出液は、第5電気伝導率及び第5pH有する工程e
    を含んでなり、
    前記第2平衡化緩衝液は、第1平衡化緩衝液に比べて電気伝導率が低く、両者のpHが同じであり、前記洗浄液は、前記第1平衡化緩衝液に比べて電気伝導率が低く、pHが前記第1及び/又は第2平衡化緩衝液より高く、前記第1溶出液は、前記洗浄液に比べてpHが高く、電気伝導率が同じであり、前記第2溶出液は、前記第1溶出液に比べてpH及び/又は電気伝導率が高く、
    前記工程c〜eにおいて、前記洗浄と前記溶出は工程ごとに同じ勾配で行われることを特徴とする、組換え抗HER2抗体の精製方法。
  14. 陽イオン交換媒体は、異なる基質に結合している官能基がSO である担体である、請求項13に記載の組換え抗HER2抗体の精製方法。
  15. 前記陽イオン交換媒体は、カルボキシメチルセルロース、BAKERBOND ABXTM、アガロースに固定したスルホプロピル基、ポリスチレンジビニルベンゼンに固定したスルホプロピル基、アガロースに固定したスルホニル基、及び親水性ポリアクリルアミドに固定したスルホプロピル基からなる群より選ばれる少なくと1種である、請求項14に記載の組換え抗HER2抗体の精製方法。
  16. 前記第1平衡化緩衝液は、40〜60mmol/Lの塩化ナトリウム又は硫酸アンモニウを含んでなる10〜50mmol/Lの酢酸緩衝液であり、且つ、pHが4〜6、電気伝導度が8〜13ms/cmの範囲であり、
    前記第2平衡化緩衝液は、塩を含まない10〜50mmol/Lの酢酸緩衝液であり、pHが第1平衡化緩衝液と同じく、電気伝導度が1〜2ms/cmの範囲である、請求項13〜15の何れか1項に記載の組換え抗HER2抗体の精製方法。
  17. 前記洗浄液と第1溶出液は、25%のNaHPO(pH7.5)+75%のNaHPO(pH9.3〜9.4)を、15%のNaHPO(pH7.5)+85%のNaHPO(pH9.3〜9.4)に変えることにより、pHが異なる2種類の緩衝液を異なる割合で混ぜ合わせてpHを変える、請求項13〜15の何れか1項に記載の組換え抗HER2抗体の精製方法。
  18. 前記組換え抗HER2抗体は、トラスツズマブ、ペルツズマブ及び他のHER2抗原を認識しうる組換え抗体からなる群より選ばれる、請求項13に記載の組換え抗HER2抗体の精製方法。
  19. 前記組換え抗HER2抗体と他の関連タンパク質を含む混合物をイオン交換クロマトグラフィーにかける以前、最中又は以降の段階において、1回又は数回に渡り更に精製することにより、該組換え抗HER2抗体の均一な調製物を得る工程を更に含む、請求項13〜18の何れか1項に記載の組換え抗HER2抗体の精製方法。
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